JP6723805B2 - ケーブル制振用被覆材及びケーブルの制振性能付与方法 - Google Patents

ケーブル制振用被覆材及びケーブルの制振性能付与方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6723805B2
JP6723805B2 JP2016081006A JP2016081006A JP6723805B2 JP 6723805 B2 JP6723805 B2 JP 6723805B2 JP 2016081006 A JP2016081006 A JP 2016081006A JP 2016081006 A JP2016081006 A JP 2016081006A JP 6723805 B2 JP6723805 B2 JP 6723805B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cable
covering material
spiral
covering
damping
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016081006A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017190621A (ja
Inventor
敬士 石川
敬士 石川
一平 榊
一平 榊
亮平 有路
亮平 有路
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobelco Wire Co Ltd
Original Assignee
Shinko Wire Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shinko Wire Co Ltd filed Critical Shinko Wire Co Ltd
Priority to JP2016081006A priority Critical patent/JP6723805B2/ja
Publication of JP2017190621A publication Critical patent/JP2017190621A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6723805B2 publication Critical patent/JP6723805B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • DTEXTILES; PAPER
    • D07ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
    • D07BROPES OR CABLES IN GENERAL
    • D07B5/00Making ropes or cables from special materials or of particular form
    • D07B5/005Making ropes or cables from special materials or of particular form characterised by their outer shape or surface properties
    • DTEXTILES; PAPER
    • D07ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
    • D07BROPES OR CABLES IN GENERAL
    • D07B2501/00Application field
    • D07B2501/20Application field related to ropes or cables
    • D07B2501/2015Construction industries
    • D07B2501/203Bridges

Landscapes

  • Bridges Or Land Bridges (AREA)

Description

本発明は、例えば斜張橋等に用いられるケーブルに対して制振性能を付与するケーブル制振用被覆材及びケーブル制振用棒材、並びにその制振性能付与方法に関し、既設の構造物のケーブルに適用可能なケーブル制振用被覆材及びケーブル制振用棒材、並びにその制振性能付与方法に関する。
図20は、一般的な斜張橋の側面図である。一般的な斜張橋は、図20に示すように、橋桁101と、橋桁101に対して垂直に立つ主塔102と、主塔102から橋桁101に向けて斜めに設置された複数の斜ケーブル103と、斜ケーブル103同士を結合するワイヤ104とによって構成されている。そして、主塔102から延びる複数の斜ケーブル103によって橋桁101が吊り下げられている。
上記斜ケーブル103は、一般的に、鋼線束をプラスチック製の被覆材によって被覆したものであり、その断面形状は円形で平滑な表面を有している。このような斜ケーブル103の問題点として、風と雨の相互作用によって生じるレインバイブレーションが挙げられる。レインバイブレーションは、実際の橋梁においても確認される現象で、斜ケーブル103の表面に雨滴が集中して水路が形成されるとともに、この水路によって盛り上がった部分が気流に晒されて、斜ケーブル103が不安定に振動することによって生じる。
レインバイブレーション以外の振動現象としてドライギャロッピングも近年着目されつつある。ドライギャロッピングは、降雨がない状況下で斜ケーブル103の軸方向に対して所定の角度をなして流れる気流によって生じる大振幅振動現象である。さらに別の振動現象として、例えば複数本の斜ケーブル103を並列に設けた並列ケーブルにおいては、ウェイクギャロッピング、ウェイクフラッター等の励振力の大きな制振現象が注目されている。
上記各種の制振現象の発生を抑制する試みとして、例えば特許文献1には、芯材と、当該芯材の表面に設けられた複数の螺旋突起を有する被覆材とを有する制振ケーブルが開示されている。特許文献1に開示の技術によれば、制振ケーブルに生じる振動を抑制するとともに風荷重を低減することができる。
特許文献1に開示の制振ケーブルは、芯材と被覆材とが一体となっているため、新設の橋梁に適用することはできるが、既設の橋梁のケーブルに対して制振性能を付与することはできない。
そこで、既設の橋梁のケーブルに対して制振性能を付与する技術として、ケーブル同士を連結する方法や、ケーブルを固定する両端部の近傍に制振ダンパーを設置することによりケーブルの振動を減衰させる方法が検討されている。しかしながら、ケーブル同士を連結する方法は、美観を損ねる問題がある他、高所でケーブル同士を連結する付帯工事が必要となるため、安全性及び経済性の面で採用しにくいという問題がある。また制振ダンパーを設置する場合には、実質的にケーブルを制振することができなかったり、また一旦ケーブルを制振できたかに見えても経時後にケーブルの振動が再発したり、するケースもある。
このような状況の中で、例えば非特許文献1には、明石海峡大橋のハンガーロープに対して制振性能を付与する技術が開示されている。図21は明石海峡大橋のハンガーロープ(ケーブル)の模式図である。非特許文献1に開示の斜ケーブル103は、図21に示すように、断面略円形状のケーブル本体112の外周に2本のヘリカルロープ113を螺旋状に巻き付けることでケーブル本体112に対して制振性能を付与している。2本のヘリカルロープ113は互いに等間隔でケーブル本体112に巻き付けられている。
特開2011−174243号公報
本四技報Vol.24 No.93 2000.4(明石海峡大橋のハンガーロープ制振対策)
非特許文献1に開示の制振対策における問題点として、(a)ケーブル本体112に対して2本のヘリカルロープ113を等間隔に巻き付けることができずにヘリカルロープ113の巻き付け間隔Pに疎密が生じやすいこと、(b)ケーブル本体112とヘリカルロープ113とが密着されていないためヘリカルロープ113の自重によりヘリカルロープ113が下方に垂れてケーブル本体112の下方ほどヘリカルロープ113の巻き付け間隔Pが密になる傾向があること、(c)ヘリカルロープ113の巻き付け間隔Pに疎密が生じることで、ケーブル本体112の美観が損なわれたり、ケーブル本体112の制振性能が低下したりすること等が挙げられる。
本発明の目的は、上記課題を解決するためになされたものであり、ケーブルに簡便に取り付けることができ、かつ効果的に制振性能を付与するとともに付与した制振性能を維持しやすいケーブル制振用被覆材及びケーブル制振用棒材を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明のケーブル制振用被覆材(以下「被覆材」とも記す)は、ケーブルの表面を被覆するように螺旋状の巻き癖がついた帯状の被覆材本体と、前記被覆材本体の長手方向に互いに略平行に延びるように前記被覆材本体の表面に一体的に設けられた4本以上15本以下の螺旋突起と、を備えている
本発明によれば、帯状の被覆材が制振性能を発揮する表面形状を有しているので、既設のケーブルに対して被覆材を巻き付けることで、従来は新設時のみに適用できた制振対策を既設のケーブルに施すことができる。また、従来のロープよりも幅がある帯状の被覆材を巻きつけるので、従来のロープに比してケーブルに対する位置ずれが生じたり捻じれたりしにくく、耐久性の高い制振対策を施すことができる。このため、本発明の被覆材を巻き付けたケーブルは、従来のロープを巻き付けたケーブルに比して制振性能を維持しやすく、かつ見栄えが悪くなりにくい。また本発明の被覆材を巻き付けたケーブルは、ダンパー等を取り付けた場合に必要となる維持管理も不要であるためライフサイクルコストを低減することもできる。
さらに、被覆材自身の巻き癖によって被覆材を既設のケーブルに抱き着かせることができるので、既設のケーブルに対して被覆材を巻き付ける作業が容易となるし、巻き付けた被覆材がケーブルに対して上下に動作しにくい。しかも、既設のケーブルに対して被覆材を取り付ける作業に必要となる足場も少なく済ますことができる。すなわち例えば、既設のケーブルの上端から被覆材を巻き付ける作業を開始し、ケーブルの長手方向に沿って被覆材を下方に滑らせながら被覆材を巻き付けることができるし、また逆に既設のケーブルの下端から被覆材を巻き付ける作業を開始し、ケーブルの長手方向に沿って被覆材を上方に昇らせながら被覆材を巻き付けることができる。通常、既設のケーブルに対して空力対策を施す場合には道路の交通規制を実施する等して広範囲の足場を確保する必要があるが、本発明の被覆材は、上述のようにケーブルに取り付けるに際し必要となる足場を、ケーブルの上端近傍又は下端近傍のみとすることができるので、交通規制を最小限に抑えつつ既設のケーブルに対して被覆材を取り付けることができる。
上記構成によれば、被覆材本体と突起とが一体になっているので、突起のみに意図せず外力が加わっても突起が被覆材本体から外れにくい。このような被覆材を既設のケーブルに取り付けることにより、ケーブルの外周面に突起を設けることができる。この突起によりケーブルが雨風に晒されたときに当該外周面上に水路が形成されることを抑制することができ、当該水路に起因するレインバイブレーションの発生を抑制することができる。
さらに、既存のケーブルに対して被覆材を巻き付けたことで、被覆材も含めたケーブルの外径は、元のケーブルよりも大きくなって風荷重自体は大きくなるとも考えられるが、上記突起による風荷重(抗力)の低減効果により、結果としては風荷重を低下させることができる。
上記螺旋突起により、ケーブルが雨風に晒されたときに当該外周面上に水路が形成されることを抑制できるので、当該水路に起因するレインバイブレーションを抑制することができるし、ドライギャロッピングが発生することを抑制することも可能となる。しかも、上記螺旋突起によりケーブルに作用する風荷重を低減することもできる。
ところで、既設のケーブルに対してロープを螺旋状に巻き付ける場合には、巻き付けるロープの本数は2本が限度であり、3本以上のロープをケーブルに巻き付けようとすると、ロープ同士がケーブルの表面で重なってしまう場合もあるが、本発明のように複数の螺旋突起を一体に設けた帯状の被覆材をケーブルに巻き付けることにより、螺旋突起同士がケーブルの表面で交差することなくケーブルの表面に複数の(つまり2本以上の)螺旋突起を設けることができる。しかも、帯状の被覆材が互いに重なることなくケーブルの表面全体を覆うことによりケーブルの表面に均一に離間して螺旋突起を設けることができる。
また本発明のように被覆材の表面に複数の螺旋突起を設けることで、従来のロープのように自重でロープ同士の間隔が狭くなってしまうこともないので、螺旋突起の疎密が生じて見栄えが悪くなることもないし、制振性能が長期に亘って低下することも少ない。本発明のケーブル制振用被覆材によれば風荷重の抑制効果が得られる特定の位置に螺旋突起を設置することが容易であり、設計当初に想定したケーブルにかかる風荷重を超える可能性
も低い。
好ましくは、前記被覆材本体の幅方向の長さT1に対する前記螺旋突起の幅方向の長さT2の比(T2/T1)は0.005以上0.6以下である。
上記構成によれば、ケーブルの表面に対して被覆材に重なりが生じないように巻き付けることにより、被覆材に設ける螺旋突起の本数が過剰に多くなることを抑制し、既存のケーブルに対して適度な間隔で螺旋突起を設けることができる。
上記構成において、突起はその断面が略矩形状であることが好ましい。
従来のように既設のケーブルに対してロープを巻き付ける場合に断面形状が略矩形のロープを採用すると、ケーブルの表面においてロープが捻じれてしまうことで、必ずしも空力対策に有効とは言えなくなるケースもあるが、上記の被覆材をケーブルに巻き付ける場合には被覆材自体がケーブルの表面で捻じれないので、突起の底面を常にケーブルの表面に向かうように突起をケーブルの表面に設けることができ、空力対策に有効である。
上記構成において、被覆材が熱収縮する材質で構成されていることが好ましい。このような材質で構成されている被覆材を既設のケーブルに巻き付けることにより、巻き付けた被覆材を加熱することで被覆材を既設のケーブルに密着させることができる。これにより被覆材の自重で既設のケーブルから被覆材が垂れ下がることを一層防止することが可能となる。
本発明のケーブル制振用被覆材は、ケーブルの表面を被覆するように螺旋状の巻き癖がついた帯状の被覆材本体と、前記被覆材本体の表面に一体的に設けられた突起と、を備えている。前記突起は、内部に芯材を有している
上記構成によれば、芯材によって突起を補強することができるし、芯材によって被覆材の巻き癖をより強固なものとすることができる。これにより被覆材に対して外力が加わっても突起を変形しにくくすることができるし、既設ケーブルに対して被覆材をより巻き付きやすくすることができる。
本発明のケーブルの制振性能付与方法は、制振性能を発揮する表面形状を有し、螺旋状の巻き癖がついた帯状の被覆材をケーブルの表面に取り付ける工程と、取り付けた前記被覆材を巻き締めることにより前記被覆材の螺旋ピッチを調整する工程と、取り付けた前記被覆材を前記ケーブルに固定する工程とを含むことを特徴とする。
本発明のケーブルの制振性能付与方法によれば、制振性能を発揮する表面形状を有する被覆材がケーブルの表面に固定されることによりケーブルに対して制振性能を付与することができる。ここで、ケーブルに対する被覆材の巻き付けにおいては、被覆材に螺旋状の巻き癖がついているので、ケーブルの表面に対して被覆材を容易に巻き付けることができるし、その巻き付けた被覆材がケーブルに対して上下に動作しにくく、被覆材がケーブルから外れにくい。しかも、被覆材が帯状であるため、従来のロープを巻き付ける場合に比して捻じれが生じにくいし、被覆材の自重による位置ズレも生じにくい。このため、ケーブルに付与された制振性能を長期に亘って維持することが可能となる。
本発明のケーブルの制振性能付与方法は、制振性能を発揮する表面形状を有し、螺旋状の巻き癖がついた帯状の被覆材をケーブルの表面に取り付ける工程と、取り付けた前記被覆材を前記ケーブルに固定する工程と、を備えている。前記被覆材は、熱収縮する材質で構成され、前記被覆材を前記ケーブルに固定する工程は、前記被覆材を加熱することにより前記被覆材を熱収縮させ、前記ケーブルと前記被覆材とを密着させる。
上記構成によれば、被覆材が熱収縮する材質で構成されているので、ケーブルに取り付けられた被覆材を加熱することにより、ケーブルと被覆材とを密着させることができる。これにより被覆材の自重によってケーブルに対して被覆材に位置ズレが生じることを一層防止することができる。
本発明の目的は、ケーブルに簡便に取り付けることができ、かつ効果的に制振性能を付与するとともに付与した制振性能を持続しやすいケーブル制振用被覆材及びケーブル制振用棒材を提供することである。
実施形態1のケーブル制振用被覆材の正面図である。 図1におけるII−II線断面図である。 図1におけるIII−III線断面図である。 図1におけるIV−IV線断面図である。 ケーブルに対してケーブル制振用被覆材を巻き付ける状態を示す正面図である。 主塔から橋桁に向けて斜めに設置されたケーブルに対してケーブル制振用被覆材を巻き付ける状態を示す正面図である。 主塔から橋桁に向けて斜めに設置されたケーブルに対してケーブル制振用被覆材を巻き付けた後の状態を示す正面図である。 主塔から橋桁に向けて斜めに設置されたケーブルに対してケーブル制振用被覆材を密着させた後の状態を示す正面図である。 実施形態2のケーブル制振用被覆材の断面図である。 実施形態3のケーブル制振用被覆材の断面図である。 図10のXI−XI線断面図である。 実施形態4のケーブル制振用被覆材の正面図である。 図12のXIII−XIII線断面図である。 実施形態5のケーブル制振用被覆材の正面図である。 図14のXV−XV線断面図である。 実施形態6のケーブル制振用棒材の正面図である。 図16の棒材を既設のケーブルに巻き付けた状態を示す正面図である。 図17のXVIII−XVIII線断面図である。 制振ケーブルの設置角度を説明する斜視図である。 一般的な斜張橋の側面図である。 明石海峡大橋のハンガーロープ(ケーブル)の模式図である。
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
<実施形態1:ケーブル制振用被覆材>
図1は、本実施形態のケーブル制振用被覆材の正面図であり、図2は、図1のII−II線断面図、図3は図1のIII−III線断面図、図4は図1のIV−IV線断面図である。本実施形態のケーブル制振用被覆材1(以下「被覆材」とも記す)は、図1乃至図3に示すように、外力を加えていない自然状態で螺旋状の巻き癖がついたものであり、例えば斜張橋等のケーブルに巻き付けられるものである。この被覆材1は、図3に示すように、螺旋に延びる方向に垂直な面で切断した断面が略円形であり、所定の内径Iを有している。この内径Iよりも直径の大きいケーブルに本実施形態の被覆材1を取り付けてもよいし、被覆材1の内径Iよりも直径の小さいケーブルに本実施形態の被覆材1を取り付けてもよい。被覆材1の内径Iよりも大きい直径のケーブルに取り付けることで、ケーブルに被覆材1を取り付けやすいし、取り付けた被覆材1がケーブルの外周面に密着する。被覆材1の内径Iよりも直径の小さいケーブルに本実施形態の被覆材1を取り付けることで、本実施形態の被覆材1をケーブルの軸方向に送りやすい。ただし、被覆材1の内径Iよりも直径の小さいケーブルに被覆材1を取り付ける場合には、被覆材1を取り付けた後に被覆材1を巻き締める作業が必要となる。上記巻き癖は、被覆材を構成する樹脂を円筒状の芯材に巻き付けて、溶融成形することによって付与することができる。
本実施形態の被覆材1は、被覆材本体2と、螺旋突起3とを有する。
被覆材本体2は、既存のケーブルに巻き付けやすい螺旋状の巻き癖がついた帯状の膜部材であり、ここでの巻き癖は、ケーブルの軸方向に被覆材本体2同士の隙間Tができるようにしている。このような巻き癖によりケーブルに巻き付けたときに被覆材本体2同士が互いに重なることを防止することができる。被覆材本体2の長手方向の長さは、被覆する対象のケーブルの全長によって適宜変更することができる。ここで、被覆材本体2の長手方向とは、螺旋状の巻き癖がついた被覆材本体の巻き癖を伸ばした状態での長手方向を意味するものであり、図1の巻き癖で巻かれた状態のケーブルの軸方向を意味するものではない。また被覆材本体2の厚みは、1mm以上10mm以下であり、好ましくは2mm以上6mm以下である。被覆材の幅方向(長手方向に直交する方向)の長さは、特に限定されず、例えば5cm以上200cm以下とすることができる。
螺旋突起3は、被覆材本体2の外周面に一体に形成され、被覆材本体2の長手方向に略平行に延びる突起である。螺旋突起3は、図2及び図3に示すように、その断面形状が略矩形状となって被覆材本体2の外側に盛り上がっている。図1に示す形態では、12本の螺旋突起3が被覆材本体2の外周面に互いに等間隔で形成されており、図3に示す断面で見ると、12本の螺旋突起3は、被覆材本体2の周方向に互いに等間隔(この場合30°間隔)で並んでいる。螺旋突起3の本数は上記に限られず、1本以上15本以下であることが好ましく、4本以上15本以下であることがより好ましく、さらに好ましくは4本以上12本以下である。上記図1乃至図3に示す被覆材1を幅方向に2分割、3分割又は4分割することによって被覆材本体2の外周面に6本、4本又は3本の螺旋突起3を設けてもよい。
図1に示すように、上記螺旋突起3の1本が被覆材本体2の外周を1周するときにケーブルの軸方向に進む軸方向距離(螺旋ピッチ)P、つまり1本の螺旋突起3における任意の位置と、当該位置から螺旋突起3が被覆材本体2の外周面を1周して到達する位置との間の距離Pは、被覆材本体2の外径D(図3)の2.9倍以上8倍以下、つまり2.9D以上8D以下にされている。上記距離Pは、被覆材本体2の外径Dの2.9倍以上6倍以下であることが好ましく、より好ましくは2.9倍以上4.8倍以下である。
図4は被覆材1の長手方向に垂直な面(つまり幅方向に平行な面)で被覆材を切断したときの被覆材1の断面図である。図4において、被覆材1の幅方向の長さT1に対する螺旋突起3の幅方向の長さT2の比(T2/T1)は0.005以上0.6以下である。ここで、被覆材1に複数の螺旋突起3が形成されている場合にはその全ての螺旋突起3の幅方向の長さの和を螺旋突起3の幅方向の長さT2というものとする。つまり、本実施形態では、図4に示すように、螺旋突起3の幅方向の長さT2は1本の螺旋突起3の幅の12倍となる。上記長さの比T2/T1は、0.01以上0.5以下であることが好ましく、より好ましくは0.1以上0.4以下である。
図3に示すように、螺旋突起3の被覆材本体2の外周面からの高さHは、被覆材本体2の外径Dの1.5%以上5%以下であり、被覆材本体2の外径Dの1.9%以上5%以下が好ましく、1.9%以上3.6%以下がより好ましい。さらに、被覆材本体2の周方向における各螺旋突起3の周方向幅Wは、螺旋突起3の高さHの1倍以上3倍以下である。
(取付方法)
次に、本実施形態のケーブル制振用被覆材1の取付方法を説明する。図5は、ケーブルに対して被覆材を巻き付ける状態を示す正面図であり、図6乃至図8はそれぞれ、ケーブル4の下端から被覆材1を巻き付ける作業を開始してから、その取り付けが完了するまでの状態を示す正面図である。本実施形態の被覆材1は、図5に示すようにケーブル4に対して巻き付けていくことによりケーブル4に制振性能を付与している。ここでのケーブル4の全長は特に限定されないが、長手方向の長さが75m以上のケーブルに適用することが好ましい。このケーブル4は、図6乃至図8に示すように、主塔5から橋桁6に向けて斜めに延び、橋桁6を支持するために設けられている。
本実施形態の被覆材1の取付では、まず、図6に示すようにケーブル4に被覆材1の端部を巻き込ませる。当該端部を巻き込ませると、被覆材1自体が巻き癖を有しているので、被覆材1がケーブル4を巻き込んでいく。このため、図6に示すように、被覆材1をケーブル4に対して上側に回転させながら滑らせることによりケーブル4に被覆材1を巻き進めることができる。言い換えると、作業者は、ケーブル4の下端でケーブル4に対して被覆材1を回転しながら上側に滑らせるだけの作業をすることで、ケーブル4に被覆材1を巻き付けていくことができる。このようにして図7に示すようにケーブル4の上端まで被覆材1を巻き上げていく。図7に示す状態では、ケーブル4と被覆材1との間に若干の隙間があるので、ケーブル4に対して被覆材1を上下動させることができる。
次いで、被覆材1の上端から被覆材1を巻き締める。これにより図8に示すように、ケーブル4と被覆材1との隙間をなくすようにケーブル4の表面に対し被覆材1を固定することができる。このとき被覆材1同士が互いに重ならないように被覆材1を巻き締める。これによりケーブル4の表面全体が被覆材1に覆われるように(つまりケーブル4の表面が露出しないように)均一に被覆材1が巻き付けられるので、螺旋突起が前記外周面を1周するときに前記芯材の軸方向に進む軸方向距離(螺旋ピッチ)Pを一定とすることができる。なお、ここでの巻き締め強さを任意に変更することにより、被覆材1とケーブル4との密着度を調整することができる。
最後に、被覆材1の下端とケーブル4とを固定し、被覆材1の上端とケーブル4とを固定する。ここでの固定方法としては、ケーブル4を覆う被覆材1のさらに外周にステンレス製、鋼製又は樹脂製のバンドを巻き付けることによってケーブル4と被覆材1とを固定してもよいし、被覆材1とケーブル4とにそれぞれボルトとナットを設け、ナットにボルトを締め付けることで固定してもよいし、被覆材1の外周面を覆うカバーを設け、当該カバーをボルトとナットで締め付けるか又は溶接することでケーブル4と被覆材1とを固定してもよいし、被覆材をケーブル4に溶接又は溶着することによって固定してもよいし、被覆材1として熱収縮性を有する材料を用い、被覆材1の表面に温風を吹き当てることにより被覆材1を熱収縮させて被覆材1をケーブル4に固定してもよい。このように被覆材1をケーブル4に固定することによりケーブル4に対して制振性能を付与することができる。
(作用効果等)
本実施形態によれば、帯状の被覆材1が制振性能を発揮する螺旋突起3を有しているので、既設のケーブル4に対して被覆材1を巻き付けることで、従来は新設時のみに適用できた制振性能を既設のケーブル4に付与することができる。また、従来のロープよりも幅がある帯状の被覆材1を巻きつけるので、従来のロープに比してケーブル4に対する位置ずれが生じたり捻じれたりしにくく、耐久性の高い制振対策を施すことができる。このため、本実施形態の被覆材1を巻き付けたケーブル4は、従来のロープを巻き付けたケーブルに比して制振性能を維持しやすく、かつ見栄えが悪くなりにくい。また本実施形態の被覆材1を巻き付けたケーブル4は、ダンパー等を取り付けた場合に必要となる維持管理も不要であるためライフサイクルコストを低減することもできる。
さらに、被覆材自身の巻き癖によって被覆材1を既設のケーブル4に抱き着かせることができるので、既設のケーブル4に対して被覆材1を巻き付ける作業が容易となる。しかも、既設のケーブル4に対して被覆材1を取り付ける作業に必要となる足場も少なく済ますことができる。すなわち例えば、既設のケーブル4の上端から被覆材1を巻き付ける作業を開始し、ケーブル4の長手方向に沿って被覆材1を下方に滑らせながら被覆材1を巻き付けることができるし、また逆に既設のケーブル4の下端から被覆材1を巻き付ける作業を開始して、ケーブル4の長手方向に沿って被覆材1を上方に昇らせながら被覆材1を巻き付けることができる。
通常、既設のケーブル4に対して空力対策を施す場合には道路の交通規制を実施する等して広範囲の足場を確保する必要があるが、本実施形態の被覆材1は、上述のようにケーブル4に取り付けるに際し必要となる足場を、ケーブル4の上端近傍又は下端近傍のみとすることができるので、交通規制を最小限に抑えつつ既設のケーブル4に対して被覆材1を取り付けることができる。
上記実施形態では、被覆材1は、被覆材本体2と、前記被覆材本体2の表面に設けられた螺旋突起3と、を一体に有しているので、螺旋突起3のみに意図せず外力が加わっても螺旋突起3が被覆材本体2から外れにくい。このような被覆材1を既設のケーブル4に取り付けることにより、ケーブル4の外周面に螺旋突起3を設けることができる。この螺旋突起3によりケーブル4が雨風に晒されたときに当該外周面上に水路が形成されることを抑制することができ、当該水路に起因するレインバイブレーションの発生を抑制することができるし、ドライギャロッピングが発生することを抑制することも可能となる。しかも、上記螺旋突起によりケーブルに作用する風荷重を低減することもできる。
既設のケーブル4に対して従来のロープを螺旋状に巻き付ける場合には、巻き付けるロープの本数は2本が限度であり、3本以上のロープをケーブルに巻き付けようとすると、ロープ同士がケーブルの表面で重なってしまう場合もあるが、本実施形態では複数の螺旋突起3を一体に設けた帯状の被覆材1をケーブル4に巻き付けるので、螺旋突起3同士がケーブル4の表面で交差することなくケーブル4の表面に複数の(つまり2本以上の)螺旋突起3を設けることができる。しかも、螺旋突起3を有する帯状の被覆材1が互いに重なることなく均一にケーブル4の表面全体を覆うことによりケーブル4の表面に均一に離間して螺旋突起3を設けることができる。
さらに、既存のケーブル4に対して被覆材1を巻き付けたことで、被覆材1も含めたケーブル4の外形自体は、元のケーブル4よりも大きくなって風荷重自体は大きくなるとも考えられるが、上記螺旋突起3による風荷重(抗力)の低減効果により、結果としては風荷重を低下させることができる。
上記実施形態では、図4に示すように被覆材1の幅方向の長さT1に対する螺旋突起3の幅方向の長さT2の比(T2/T1)は0.005以上0.6以下であるので、被覆材1が重ならないようにケーブル4の表面に被覆材1を巻き付けることにより、被覆材1に設ける螺旋突起3の本数が過剰に多くなることを抑制し、既存のケーブル4に対して適度な間隔で螺旋突起3を設けることができる。
また本実施形態のように被覆材本体2の表面に複数の螺旋突起3を設けることで、従来のロープのように自重によってロープ同士の間隔が狭くなってしまうこともないので、見栄えが悪くなることもないし、制振性能が長期に亘って低下しにくい。このように螺旋突起3同士の重なりが生じないので、ケーブル4にかかる風荷重が極端に増加することもないし、設計当初に想定したケーブル4にかかる風荷重を超える可能性も低い。
(変形例)
上記実施形態では、被覆材本体2と螺旋突起3とは熱収縮性を有する材質で一体に成形されていることが好ましい。このような材質の被覆材1を用いることにより、既設のケーブル4に巻き付けた被覆材1の両端を加熱することで被覆材1を既設のケーブル4に密着させることができる。これにより被覆材1の自重により既設のケーブル4から被覆材1が垂れ下がることを一層防止することが可能となる。上記熱収縮性を有する材質としては、例えば、ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、ニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、硬質ポリ塩化ビニル、軟質ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン又はポリフッ化ビニリデンを例示することができる。
上記では被覆材1の両端を加熱することによってケーブル4に対して被覆材1を固定する場合を説明したが、それのみに限られず、被覆材全体を加熱することにより被覆材全体を収縮させてケーブル4の表面全体に被覆材1を固定してもよいし、ケーブル4の両端に加えてケーブル4の両端の中間を複数箇所加熱してケーブル4と被覆材1とを複数箇所で固定してもよい。なお、被覆材1を熱収縮させて固定する方法を採用しない場合には、被覆材1を構成する材料に熱収縮する材質のものを用いなくてもよく、一般的な樹脂材料を用いることができる。
上記実施形態においては、螺旋突起3の断面形状が略矩形の場合を説明したが、螺旋突起3の断面形状はこのような形状のみに限られず、図3の螺旋突起3の側面が傾斜した台形状であってもよいし、螺旋突起3の上面の端部が湾曲した湾曲面であってもよい。このように湾曲面とすることで、気流の剥離特性を向上させることができるし、螺旋突起3の上面の端部に負荷がかかっても、その端部にかかる応力集中を緩和することができる。
上記実施形態においては、ケーブル4に対して1枚の被覆材1を巻き付ける場合を説明したが、ケーブル4に対して2枚以上の被覆材1を巻き付けてもよい。
<実施形態2>
本実施形態は、上記実施形態1の被覆材の螺旋突起3の内部に芯材7を通したことが異なる他は、実施形態1の被覆材1と同様である。したがって、実施形態2の被覆材1の正面図は上記実施形態1の図1と同形状である。図9は、実施形態2の被覆材1の断面図である。図9に示すように螺旋突起3の内部に芯材7を組み込むことにより、芯材7によって螺旋突起3を補強することができるし、芯材7によって被覆材1の巻き癖をより強固なものとすることができる。これにより被覆材1を加熱した時に螺旋突起3を変形しにくくすることができるし、既設のケーブル4に対して被覆材1をより巻き付けやすくなる。ここでの芯材7は、特に限定されないが、鋼線を用いることが好ましく、例えばPC鋼線、亜鉛めっき鋼線、SUS線等を用いることが好ましい。
<実施形態3>
本実施形態のケーブル制振用被覆材11は、上記実施形態1の被覆材1に対し突起が延びる方向を変更したことが異なる他は実施形態1と同様のものである。図10は、実施形態3の被覆材11の正面図であり、図11は図10のXI−XI線断面図である。実施形態1では、被覆材1の長手方向に平行に延びる螺旋突起3を設けているので、被覆材1を螺旋状にケーブル4に巻き付けることで、螺旋状の突起が設けられているが、実施形態3では、ケーブル4の長手方向(軸方向)に延びる平行突起13を被覆材本体12の表面に設けている。このように被覆材本体12の表面に平行突起13を設けた場合でも、被覆材11の断面は、図11に示すように、実施形態1のそれと略同一形状となる。本実施形態の被覆材11でも上記実施形態1と同様の効果を得ることができる。
実施形態1においては、被覆材本体2の長手方向に平行に延びる螺旋突起3を12本設ける場合を説明し、実施形態3においては、ケーブル4の長手方向に平行に延びる平行突起13を12本設ける場合を説明したが、実施形態1においても実施形態3においても、突起の本数は12本に限定されず、1本以上の範囲で適宜変更することができる。
<実施形態4>
図12は、実施形態4の被覆材21の正面図であり、図13は図12のXIII−XIII線断面図である。本実施形態の被覆材21は、上記実施形態1の被覆材1に設ける螺旋突起3に代えて多数の凹部23を点在させたことが異なる他は実施形態1の被覆材1と同様のものである。
本実施形態において、多数の凹部23は、図13に示すように、被覆材本体2の外周面から円柱形状に内側に凹んだ形状を有するものであり、被覆材本体2の周方向に互いに等間隔(この場合60°間隔)で集中して並ぶように設けられている。凹部23の形状は、被覆材本体2の外周面から被覆材本体2の中心側に向けて被覆材本体2の厚みの15%以上50%以下の厚みで凹ませたものであり、つまり凹部23の高さは、被覆材本体2の厚みの15%以上50%以下である。このような凹部23を被覆材本体2の外周面に多数設けることによって、被覆材の表面に水路を形成しにくくすることができ、凹部23による表面粗度により抗力を軽減することができる。
本実施形態では、凹部23の形状が略円柱形状の場合を説明したが、凹部23の形状は円柱形状のみに限られるものではなく、三角柱形状、四角柱形状、五角柱形状等の多角柱形状であってもよいし、楕円柱形状又は円錐台形状であってもよい。また凹部23の形成位置は、図12及び図13に示す形態のみに限られず、ケーブルの軸方向に沿って所定の間隔で離間して設けられていてもよいし、被覆材本体2の長手方向に沿って所定の間隔で離間して設けられていてもよいし、被覆材本体2の表面にランダムに設けられていてもよい。また上記のように凹部を点在する形態のみに限られず、被覆材本体2の外周面に螺旋状に螺旋凹部を設けてもよいし、被覆材本体2の外周面にケーブル軸方向に平行に連なる平行凹部を設けてもよい。なお、本実施形態では、被覆材本体2の周方向に互いに60°間隔で凹部23を設ける場合を説明したが、上記互いの凹部23の間隔は、例えば周方向に30°以上90°以下の間隔で設けることが好ましく、より好ましくは周方向に40°以上60°以下の間隔で設けることであり、さらに好ましくは周方向に45°間隔で凹部23を設けることである。
<実施形態5>
図14は、実施形態5の被覆材31の正面図であり、図15は図14のXV−XV線断面図である。本実施形態の被覆材31は、上記実施形態1の被覆材1に設ける螺旋突起3に代えて多数の凸部33を点在して設けたことが異なる他は実施形態1の被覆材1と同様のものである。
本実施形態において、多数の凸部33は、図15に示すように、被覆材本体2の外周面から外側に円柱形状に延びる形状を有するものであり、被覆材本体2の周方向に互いに等間隔に並ぶように設けられている。凸部33の形状は、被覆材本体2の外周面から被覆材本体2の外側に向けて被覆材本体2の厚みの15%以上50%以下の厚みで突出させたものであり、つまり凸部33の高さは被覆材本体2の厚みの15%以上50%以下である。このような凸部33を被覆材本体2の外周面に点在して多数設けることによって、被覆材の表面に水路を形成しにくくすることができ、凸部33による表面粗度により抗力を軽減することができる。
本実施形態では、凸部33の形状が略円柱形状の場合を説明したが、凸部33の形状は円柱形状のみに限られるものではなく、三角柱形状、四角柱形状、五角柱形状等の多角柱形状であってもよいし、楕円柱形状又は円錐台形状であってもよい。また凸部33の形成位置は、図14及び図15に示す形態のみに限られず、被覆材本体2の表面にランダムに設けられていてもよい。
<実施形態6>
図16は、実施形態6のケーブル制振用棒材の正面図であり、図17は、既設のケーブルに対してケーブル制振用棒材を取り付けた後の状態の正面図であり、図18は、図17のXVIII−XVIII線断面図である。本実施形態の棒材43は、上記実施形態1のケーブル制振用被覆材における被覆材本体を省略した構成であり、図16に示すように、既設のケーブルの表面に巻き付くように巻き癖がついたものである。このように巻き癖がついていることで、従来のロープに比してケーブルに対する位置ずれが生じたり捻じれたりしにくく、耐久性の高い制振対策を施すことができる。このため、図17に示すように、本実施形態の棒材43を巻き付けたケーブル40は、従来のロープを巻き付けたケーブルに比して制振性能を維持しやすく、かつ見栄えが悪くなりにくい。
さらに、棒材自身の巻き癖によって棒材43を既設のケーブル40に抱き着かせることができるので、既設のケーブル40に対して棒材43を巻き付ける作業が容易となるし、巻き付けた棒材43が既設のケーブル40に対して上下に動作しにくい。しかも、棒材43自体が剛性を有しているので、上記実施形態1〜5の被覆材と同様、既設のケーブルに対して棒材を取り付ける作業に必要となる足場も少なく済ますことができる。
図18に示すように、棒材43は、その断面が略矩形状であるので、略矩形の棒材43の底面が常にケーブル40の表面に向かうように棒材43をケーブル40に取り付けることができる。これにより既設のケーブルの空力対策に有効となる。
本実施形態においては、棒材43が単一の材料で構成されている場合を説明したが、例えば実施形態2のように棒材43の内部に芯材を有するものを用いてもよい。内部に芯材を備えることにより棒材43を補強することができるし、芯材によって棒材43の巻き癖をより強固なものとすることができる。これにより棒材43に対して外力が加わっても棒材43が変形しにくく、かつ既設ケーブルに対して棒材43をより巻き付きやすくすることができる。
(取付方法)
上記実施形態の棒材を既設のケーブルに取り付ける場合、既設のケーブルの下端又は上端から棒材43を巻き付けて、棒材43の下端とケーブル40とを固定し、棒材43の上端とケーブル40とを固定する。ここでの固定方法としては、ケーブルに対して被覆材を取り付ける方法と同様の方法を用いることができる。本実施形態の棒材43は、巻き癖がついているので、ケーブル40に取り付けやすく、かつ取り付けた棒材43がケーブル40に対して上下に動作しにくい。
図19は、既設のケーブルの設置角度を説明する斜視図である。耐風工学的には風向き9に対する偏角γが17°以上60°以下のときにレインバイブレーションが生じやすいと考えられている。図19における偏角γはsin-1(cosα・cosβ)によって特定される。ここで、風向角βは、水平面に投影した既設のケーブル4と風向き9の直交面とのなす角度である。
上記実施形態のケーブル制振用被覆材及びケーブル制振用棒材は、図19における水平面に対する角度(傾斜角α)が9°以上60°以下となる既設のケーブル4に適用されることが好ましく、より好ましくは9°以上40°以下である。このような角度で設置されたケーブル4に取り付けることにより、レインバイブレーション及びドライギャロッピングが発生することを抑制する効果を高めることができる。
上記各実施形態においては、既設のケーブル4に対して被覆材1又は棒材43を取り付ける場合を説明したが、既設のケーブルに取り付ける場合のみに限られず、斜張橋等に設置前のケーブルに上記各実施形態の被覆材1を取り付けてもよい。
1、11、21、31 ケーブル制振用被覆材(被覆材)
2、12 被覆材本体
3 螺旋突起
4 ケーブル
5 主塔
6 橋桁
7 芯材
13 平行突起
23 凹部
33 凸部
40 ケーブル
43 棒材
101 橋桁
102 主塔
103 斜ケーブル
104 ワイヤ
112 ケーブル本体
113 ヘリカルロープ

Claims (7)

  1. ケーブルの表面を被覆するように螺旋状の巻き癖がついた帯状の被覆材本体と、
    前記被覆材本体の長手方向に互いに略平行に延びるように前記被覆材本体の表面に一体的に設けられた4本以上15本以下の螺旋突起と、を備えているケーブル制振用被覆材。
  2. 前記被覆材本体の幅方向の長さT1に対する前記螺旋突起の幅方向の長さT2の比(T2/T1)は0.005以上0.6以下である請求項1記載のケーブル制振用被覆材。
  3. 前記螺旋突起は、その断面が略矩形状である請求項1又は2記載のケーブル制振用被覆材。
  4. 前記被覆材は、熱収縮する材質で構成されている請求項1乃至3のいずれか一項記載のケーブル制振用被覆材。
  5. ケーブルの表面を被覆するように螺旋状の巻き癖がついた帯状の被覆材本体と、
    前記被覆材本体の表面に一体的に設けられた突起と、を備え、
    前記突起は、内部に芯材を有しているケーブル制振用被覆材。
  6. 制振性能を発揮する表面形状を有し、螺旋状の巻き癖がついた帯状の被覆材をケーブルの表面に取り付ける工程と、
    取り付けた前記被覆材を巻き締めることにより前記被覆材の螺旋ピッチを調整する工程と、
    取り付けた前記被覆材を前記ケーブルに固定する工程とを含む、ケーブルの制振性能付与方法。
  7. 制振性能を発揮する表面形状を有し、螺旋状の巻き癖がついた帯状の被覆材をケーブルの表面に取り付ける工程と、
    取り付けた前記被覆材を前記ケーブルに固定する工程と、を備え、
    前記被覆材は、熱収縮する材質で構成され、
    前記被覆材を前記ケーブルに固定する工程は、前記被覆材を加熱することにより前記被覆材を熱収縮させ、前記ケーブルと前記被覆材とを密着させる、ケーブルの制振性能付与方法。
JP2016081006A 2016-04-14 2016-04-14 ケーブル制振用被覆材及びケーブルの制振性能付与方法 Active JP6723805B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016081006A JP6723805B2 (ja) 2016-04-14 2016-04-14 ケーブル制振用被覆材及びケーブルの制振性能付与方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016081006A JP6723805B2 (ja) 2016-04-14 2016-04-14 ケーブル制振用被覆材及びケーブルの制振性能付与方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017190621A JP2017190621A (ja) 2017-10-19
JP6723805B2 true JP6723805B2 (ja) 2020-07-15

Family

ID=60085733

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016081006A Active JP6723805B2 (ja) 2016-04-14 2016-04-14 ケーブル制振用被覆材及びケーブルの制振性能付与方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6723805B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA3073482A1 (en) * 2017-10-20 2019-04-25 Balmoral Comtec Limited A cylindrical element profiled to reduce vortex induced vibration (viv) and/or drag
CN109826095B (zh) * 2019-02-28 2020-08-18 深圳大学 一种可抑制风雨激振的桥梁拉索
CN114233783A (zh) * 2021-12-06 2022-03-25 天津大学 一种用于塔器减振的d形翅片

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS50154868U (ja) * 1974-06-08 1975-12-22
JPS52148922A (en) * 1976-06-07 1977-12-10 Japan Broadcasting Corp Vibration isolation type columnar body
JPS5611286U (ja) * 1979-07-02 1981-01-30
JPS6059350B2 (ja) * 1983-02-01 1985-12-24 神鋼鋼線工業株式会社 ケ−ブルの防食被覆方法
US4549035A (en) * 1983-10-19 1985-10-22 Leib Zaltsberg Aerodynamic damper for suppressing galloping in overhead transmission lines
JPH022734Y2 (ja) * 1985-05-08 1990-01-23
JPH0378413A (ja) * 1989-08-18 1991-04-03 Hitachi Cable Ltd 低コロナ騒音型低風音電線
JPH05291781A (ja) * 1992-04-06 1993-11-05 Furukawa Electric Co Ltd:The ケーブル用被覆材
JPH0718627A (ja) * 1993-07-05 1995-01-20 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 制振型斜張橋ケーブル
JPH11350421A (ja) * 1998-06-09 1999-12-21 Se:Kk ケーブルの耐風制振方法とその構造
JP2001311111A (ja) * 2000-04-28 2001-11-09 Sumitomo Rubber Ind Ltd ケーブル被覆具
JP2005155286A (ja) * 2003-11-28 2005-06-16 Nm Kikaku:Kk ケーブル制振方法とその保護管
JP2010183688A (ja) * 2009-02-04 2010-08-19 Viscas Corp 線材の巻付装置および巻付方法
JP5571411B2 (ja) * 2010-02-23 2014-08-13 国立大学法人京都大学 制振ケーブル
JP6259721B2 (ja) * 2014-06-12 2018-01-10 グンゼ株式会社 金属線巻付けテープ材及び被覆長尺材

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017190621A (ja) 2017-10-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6723805B2 (ja) ケーブル制振用被覆材及びケーブルの制振性能付与方法
JP6401155B2 (ja) ケーブル及び複数の輪がねを有する構造及び引張り要素
RU179789U1 (ru) Устройство для предотвращения посадки птиц на сооружения
JP6177134B2 (ja) ステーのような構造用ケーブルの偏向のための装置、および、そのように装備された構造体
DK2885462T3 (en) A construction and a tension element comprising a cable and one or more strakes
JP6509257B2 (ja) オープンフレームワーク構造を有する格子マスト、特に送電線用若しくは通信線用マスト、並びにオープンフレームワーク構造を有する格子マストの安定性を高めるための方法
JP2923186B2 (ja) 制振ケーブル
JP2898205B2 (ja) 制振ケーブル
KR20190002947U (ko) 강연선 클램핑용 더미 구조체
JP5811643B2 (ja) ケーブルの風荷重低減装置
JP2014211082A (ja) 制振ケーブル
JPH0841823A (ja) 架設ケーブルの外套保護管
JP2653685B2 (ja) 被覆ケーブル
JP2922079B2 (ja) 制振ケーブル
CN214089483U (zh) 一种悬索桥主缆索股的定型结构
KR200494644Y1 (ko) 강연선 클램핑용 더미 구조체
CN203160129U (zh) 适用于斜拉索的豆荚雨线型阻尼器
JPH01146006A (ja) 斜張橋ケーブル空力不安定振動総合制振装置
JP2005155286A (ja) ケーブル制振方法とその保護管
JPH11350420A (ja) ケーブルの耐風制振方法とその構造
JP2023104157A (ja) 振動抑制構造および振動抑制構造の形成方法
JP2003064865A (ja) 索条カバー
JPH0718627A (ja) 制振型斜張橋ケーブル
JPS5938479Y2 (ja) 吊構造物用防食被覆長尺ケ−ブル
JPH05248122A (ja) 架空線支持構造物の風圧低減方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190314

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200107

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200306

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200602

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200624

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6723805

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250