JP6721991B2 - 表面処理された成形断熱材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
炭素繊維を交絡させた繊維フェルトと前記繊維フェルトの炭素繊維表面を被覆する炭素質からなる保護炭素層とを有する成形断熱材の少なくとも一つの表面から1〜20mmの領域を、合成樹脂と前記合成樹脂を溶解する溶媒とからなる表面被覆剤溶液に浸漬して、成形断熱材に前記表面被覆剤溶液を添加する浸漬ステップと、前記浸漬ステップの後、成形断熱材を不活性雰囲気下1500〜2500℃で熱処理し、前記合成樹脂を炭素化させて、表面被覆層を形成する熱処理ステップと、を有し、前記合成樹脂がフェノール樹脂であり、前記浸漬ステップの後、前記熱処理ステップの前に、前記フェノール樹脂を熱硬化させる熱硬化ステップをさらに有する、表面処理された成形断熱材の製造方法。
炭素繊維を交絡させた繊維フェルトと、前記繊維フェルトの炭素繊維表面を被覆する炭素質からなる保護炭素層と、を有する成形断熱材において、前記成形断熱材の少なくとも一つの表面近傍の領域には、炭素繊維表面及び保護炭素層表面を被覆するとともに、炭素繊維相互間の空隙の一部を埋める表面被覆層が設けられ、前記表面被覆層は、粒状成分を含まない炭素質からなり、前記表面被覆層のラマン分光スペクトルにおける1360cm-1付近のピーク強度IDと1580cm-1付近のピーク強度IGとの比ID/IGが、1.7〜2.2であり、前記表面被覆層が形成された領域の厚みが、1〜20mmである、ことを特徴とする成形断熱材。
本実施の形態に係る成形断熱材は、炭素繊維を交絡させた繊維フェルトと繊維フェルトの炭素繊維の表面を被覆する炭素質からなる保護炭素層とを有している。そして、成形断熱材の少なくとも一つの表面近傍の領域には、炭素繊維表面及び保護炭素層表面を被覆するとともに、炭素繊維相互間の空隙の一部を埋める表面被覆層が設けられている。この表面被覆層は、粒状成分を含まない炭素質で構成されている。表面被覆層を構成する炭素質のラマン分光スペクトルにおける1360cm-1付近のピーク強度IDと1580cm-1付近のピーク強度IGとの比ID/IGは、1.7〜2.2であることが好ましい。
(表面被覆剤の作製)
住友ベークライト製のフェノール樹脂(スミライトレジンPR−50273)に、溶媒としてのメタノールを粘度が0.5Pa・sとなるように加えて、表面被覆剤溶液を作製した。表面被覆剤溶液の粘度は、JIS Z 8803に準拠して、25℃、1気圧における値を測定した。
表面処理を行っていない成形断熱材(大阪ガスケミカル製DON−1000−H、嵩密度0.16g/cm3)を100mm(縦)×100mm(横)×40mm(厚み)に、切断したものを、比較例1に係る成形断熱材とした。
上記のように作製された実施例1、比較例1に係る成形断熱材を10cm四方に裁断して、試験片を作製した。この試験片の表面にサンドペーパー#500を設置し、15gf/cm2の荷重がかかるように、金属性の錘をサンドペーパー上に載置した。こののち、サンドペーパーを2cm/secで10cm引っ張り、試験前後の重量変化(減少)を測定した。試験片の表面1cm2あたりの重量変化(3サンプルの平均値)は、実施例1で0.018mg、比較例1で0.047mgであった。
メタノールの添加量を変化させて表面被覆剤溶液の粘度を0.3Pa・sとしたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例2に係る成形断熱材を作製した。
メタノールの添加量を変化させて表面被覆剤溶液の粘度を0.1Pa・sとしたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例3に係る成形断熱材を作製した。
(参考例1)
新日本理化(株)製のポリイミド(リカコートSN−20(粘度13.9Pa・s))に、溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンを粘度が0.5Pa・sとなるように加えた表面被覆剤溶液を用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして成形断熱材を作製した。
上記実施例1及び参考例1で用いた表面被覆剤溶液を単体で、上記実施例1と同様の条件で熱硬化及び炭素化を行って、樹脂炭サンプルを作製した。これをラマン分光法(Thermo Fischer製DXR Raman Microscope)を用いて黒鉛化性の評価をおこなった。このとき、出力2mW、波長532nmのレーザー光をビーム径2μmに絞って測定を行った。この結果を図2に示す。
住友ベークライト製のフェノール樹脂(スミライトレジンPR−50273)を単体で硬化、炭素化、黒鉛化処理を施し、樹脂炭サンプルを作製した。また参考対象として、新日本理化(株)製のポリイミド(ポリイミドリカコートSN−20)についても同様のサンプルを作製した。示差熱天秤(Rigaku製TG8120)の白金パンに上記の樹脂炭サンプル約10mgを入れ、空気100ml/minを流した状態で昇温速度5℃/minで室温から1000℃まで加熱し、このときの重量変化を測定した。
2 保護炭素層
3 表面被覆層
Claims (4)
- 炭素繊維を交絡させた繊維フェルトと前記繊維フェルトの炭素繊維表面を被覆する炭素質からなる保護炭素層とを有する成形断熱材の少なくとも一つの表面から1〜20mmの領域を、合成樹脂と前記合成樹脂を溶解する溶媒とからなる表面被覆剤溶液に浸漬して、成形断熱材に前記表面被覆剤溶液を添加する浸漬ステップと、
前記浸漬ステップの後、成形断熱材を不活性雰囲気下1500〜2500℃で熱処理し、前記合成樹脂を炭素化させて、表面被覆層を形成する熱処理ステップと、
を有し、
前記合成樹脂がフェノール樹脂であり、
前記浸漬ステップの後、前記熱処理ステップの前に、前記フェノール樹脂を熱硬化させる熱硬化ステップをさらに有する、表面処理された成形断熱材の製造方法。 - 前記表面被覆剤溶液の粘度が、0.1〜1Pa・sである、
ことを特徴とする請求項1に記載の成形断熱材の製造方法。 - 炭素繊維を交絡させた繊維フェルトと、前記繊維フェルトの炭素繊維表面を被覆する炭素質からなる保護炭素層と、を有する成形断熱材において、
前記成形断熱材の少なくとも一つの表面近傍の領域には、炭素繊維表面及び保護炭素層表面を被覆するとともに、炭素繊維相互間の空隙の一部を埋める表面被覆層が設けられ、
前記表面被覆層は、粒状成分を含まない炭素質からなり、
前記表面被覆層のラマン分光スペクトルにおける1360cm-1付近のピーク強度ID
と1580cm-1付近のピーク強度IGとの比ID/IGが、1.7〜2.2であり、
前記表面被覆層が形成された領域の厚みが、1〜20mmである、
ことを特徴とする成形断熱材。 - 前記表面被覆層が形成された領域の嵩密度は、成形断熱材の他の領域の嵩密度よりも0.02〜0.30g/cm3大きい、
ことを特徴とする請求項3に記載の成形断熱材。
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