JP6721478B2 - 造形面に内容物を吐出する吐出容器 - Google Patents
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第一に、上記特許文献1には、外装部および中皿が容器軸回りに一体に回転自在に設けられ、これらを回転させることで一体に下降させる構成が開示されている。この構成によれば、操作性を向上させることができる一方で、ステムからの内容物の吐出が停止した後で時間差をおいて中皿が上昇し、拡散室内の内容物が追加で造形面に吐出されることにより、成形孔から吐出される内容物の流れが不連続になることで造形物の形の精度が低下する場合がある。
そして第二に、上記特許文献1には、中皿が上方付勢状態で下方移動可能に配設され、中皿を直接押下する構成も開示されている。この構成によれば、中皿を押し下げるのを止めることで、ステムからの内容物の吐出が停止するとともに上方付勢力によって中皿が自ずと上昇し、拡散室内の内容物が造形面に吐出されるため、成形孔から吐出される内容物の流れを連続的にすることができる反面、造形面に吐出される内容物の量が中皿を押し下げる操作時間の長短によって大きく左右されてしまうため、造形物の造形精度に改善の余地がある。
このように、外装部を容器体に対して容器軸回りに回転させる操作によって、内容物をステムから吐出させるとともに、ステムからの吐出を停止させて中皿を待機位置まで復元変位させることができる。これにより、例えば中皿を手で押し下げることで内容物をステムから吐出させる場合と比較して操作力を低減し、内容物の吐出量を安定させつつ、内容物がステムから吐出されている間に造形面に吐出される内容物の流れと、ステムからの吐出を停止して拡散室内の内容物を造形面に押し出す間に造形面に吐出される内容物の流れと、を連続的にして、造形物を高精度に造形させることができる。
さらに、案内突部および摺動突部の双方が、容器軸方向に延びる垂直面を有しているため、外装部および中皿の容器体に対する容器軸回りの回転を一方向にのみ許容するとともに、逃げ部に到達した摺動突部を付勢手段の上方付勢力によって上方に向けて速やかに移動させることができる。これにより、外装部を容器体に対して回転させる際の操作性を向上させ、かつ造形面に吐出される内容物の速度および量を安定させて、造形物の造形の精度をより確実に向上させることができる。
図1から図5に示すように、吐出容器1は、内容物が収容される容器本体10を備える容器体2と、吐出器3と、外装部14(造形部)と、中皿15と、を備えている。吐出容器1は、例えば泡体や高粘性材料など、吐出後に少なくとも一定時間、形状を保持可能な内容物を吐出する。吐出容器1には、有頂筒状のキャップ40が装着されている。
容器体2は、容器本体10と、容器本体10の口部10aに装着された固定部材13と、を備えている。
容器本体10は、口部10aが頂壁板17で覆われることで内部が密閉されている。頂壁板17には、周方向に延びると共に下方に向けて窪んだ環状凹部18が設けられている。固定部材13は、容器軸Oと同軸の多重筒状に形成され、容器本体10の口部10aに対して固定されている。
容器本体10及び吐出器3は、容器本体10内に収容された内容物をステム3aから吐出する吐出容器本体を構成している。図示の例では、吐出容器本体として、内部に液状の内容物が収容されたエアゾール缶を採用している。
固定部材13は、頂壁板17を介して容器本体10の口部10aに径方向外側から嵌合された外筒部21と、外筒部21の上端部から径方向内側に向けて延びる環状の連結部23と、連結部23の内周縁から下方に向けて延びる内筒部22と、内筒部22の下端部から径方向内側に向けて延びる環状の受け部54と、受け部54の内周縁から上方に向けて延びる外変換筒部55と、を備えている。
内筒部22は、頂壁板17の環状凹部18内に位置しており、環状凹部18の径方向内側を向く外周面に、径方向内側から固定されている。
中皿15は、容器軸Oに直交する平面内に延在する板状の皿本体30と、皿本体30から下方に向けて延びる容器軸Oと同軸のガイド筒31および内変換筒部32と、を備えている。内変換筒部32は、ガイド筒31の径方向外側に配設されている。内変換筒部32の下端部は、ガイド筒31の下端部より下方に位置している。
皿本体30には、これを容器軸O方向に貫通する連通孔33が形成されている。連通孔33は、容器軸Oと同軸に配設されている。連通孔33の内径は、ステム3aの外径より小さい。
内変換筒部32の外径は外変換筒部55の内径より小さい。内変換筒部32は、外変換筒部55の内側に配設されている。内変換筒部32の下端部は、外変換筒部55の容器軸O方向における中央部に位置している。
図1に示すように、中皿15が待機位置に位置するときには、芯体25が連通孔33に挿通され、ガイド筒31の下端部がステム3aの上端部に挿通されている。
拡散室34が設けられることで、外装部14の後述する複数の成形孔26のうち、特定の部分から内容物が偏って吐出されるのが抑えられ、各成形孔26により形成される造形片を精度良く形成することが可能になり、造形物を高精度に形成することができる。
外装部14の頂壁部24は、ステム3aの上方に配設されている。頂壁部24は、容器軸Oに直交する板状に形成されている。外装部14の周壁部における内周面には、径方向内側に向けて突出する凸部14bが形成されている。凸部14bは、容器軸O方向に延びており、周方向に間隔を空けて複数形成されている。凸部14bに、中皿15の皿本体30における外周縁に形成された凹部30aが係合することで、外装部14に対する皿本体30の容器軸O回りの回転が規制される。これにより、外装部14と中皿15とは、容器軸O回りに一体に回転自在となっている。図示の例では、凸部14bおよび凹部30aは、容器軸Oを挟んで対向する位置に一対ずつ設けられている。これにより、外装部14と中皿15とを確実に一体として回転させることができる。
なお、外装部14および中皿15を一体に回転させるための形態は、上記凸部14bおよび凹部30aに限られない。例えば、凸部14bおよび凹部30aの数を適宜変更してもよい。あるいは、外装部14に凹部が形成され、この凹部に係合する凸部が中皿15に形成されていてもよい。
芯体25は、中実の棒状、柱状に形成され、容器軸Oと同軸に配設されている。芯体25は、ステム3aよりも上方に位置しており、ステム3aの上端部内と容器軸O方向で対向している。芯体25は、下方に向かうに従い漸次縮径している。芯体25の上端部における外径は、ステム3aの内径および連通孔33の内径よりも小さい。芯体25は、連通孔33内に挿通されている。
図2に示すように、成形孔26は、周方向に延びる長穴状に形成されている。成形孔26は、周方向および径方向に間隔をあけて複数配設されている。本実施形態では、周方向に間隔をあけて配設された複数の成形孔26が、孔列29を形成していて、この孔列29が、容器軸Oを中心として多重に配設されている。孔列29は、平面視において、前記芯体25を径方向外側から囲うように配設されている。
図1に示すように、本実施形態の吐出容器1は、外装部14および中皿15の容器体2に対する容器軸O回りの回転動作を、中皿15の容器軸O方向の動作に変換する変換機構36を備えている。変換機構36は、中皿15および容器体2のうちのいずれか一方に設けられた摺動突部32aと、いずれか他方に設けられた案内突部55aと、により構成されている。
摺動突部32aは、全体として案内突部55aよりも小さく、案内突部55aと略相似な形状に形成されている。第1垂直面55bおよび第1傾斜面55cがなす角度と、第2垂直面32bおよび第2傾斜面32cがなす角度と、は互いに同等となっている。
なお、このラチェット機構は、平面視において中皿15の容器体2に対する時計回りの回転を許容し、反時計回りの回転を規制するように構成されていてもよい。
図3に示すように、案内突部55aは、外変換筒部55の内周面に、周方向に等間隔を空けて複数形成されている。これにより、外変換筒部55の内周面には、案内突部55aを回避した逃げ部55eが設けられている。逃げ部55eは、案内突部55aに周方向に隣り合っている。逃げ部55eの周方向における幅は、摺動突部32aの周方向における幅よりも大きい。このため、逃げ部55eに摺動突部32aが位置している状態では、摺動突部32aと案内突部55aとの間に、周方向の遊びが生じる。これにより、中皿15に過剰に大きな回転力が加えられた際、例えば摺動突部32aが複数の案内突部55aを連続して周方向に乗り越えることで、内容物が連続して吐出されてしまうのを抑止することができる。
摺動突部32aは、内変換筒部32の外周面に、周方向に等間隔を空けて複数形成されている。摺動突部32aは、案内突部55aと同数(図示の例では4つ)設けられている。なお、摺動突部32aは案内突部55aと同数設けられていなくてもよく、例えば案内突部55aより少なくてもよい。
また、内容物を再度吐出させる場合には、外装部14を回転させる操作を再度行うことにより、上述した作用が繰り返されて、内容物を繰り返し吐出させることができる。
また、第1傾斜面55cおよび第2傾斜面32cの角度が互いに同等であることと、案内突部55aおよび摺動突部32aが周方向に間隔をあけて複数設けられていることとが相俟って、操作時に中皿15の中心軸が容器軸Oに対して傾くように回転するのが抑えられ、中皿15を容器体2に対して引っかかりなく円滑に回転させることができる。
また、案内突部55aが下方に向けて突の曲面55dを有し、摺動突部32aが上方に向けて突の曲面32dを有していることにより、摺動突部32aが案内突部55aを周方向にスムーズに乗り越えることができる。
また、前記実施形態では、案内突部55aが、容器体2に固定された固定部材13に設けられ、容器体2に間接的に設けられているが、本発明はこれに限られない。例えば案内突部55aが、容器本体10の口部10aに一体に形成され、容器体2に直接設けられていてもよい。
また、第1傾斜面55cと第1垂直面55bとがなす角度と、第2傾斜面32cと第2垂直面32bとがなす角度と、は互いに同等でなくてもよい。また、摺動突部32aは内変換筒部32から径方向内側に向けて延びる円柱状に形成されていてもよい。
Claims (3)
- 内容物が収容される容器本体を備える容器体と、
前記容器本体の口部に上方付勢状態で下方移動可能に立設されたステムを有する吐出器と、
前記ステムの上方に配設されるとともに成形孔が容器軸方向に貫通する頂壁部を有し、前記成形孔から、前記頂壁部において上方を向く造形面に内容物を吐出する外装部と、
前記外装部内に上方付勢状態で下方移動可能に配設され、前記頂壁部において下方を向く供給面に当接又は近接する上方の待機位置と、前記供給面から下方に離れ、前記外装部との間に、前記ステムからの内容物を径方向に拡散して前記成形孔に供給する拡散室を形成する下方の吐出位置と、の間を上下動する中皿と、を備え、
前記中皿には、前記中皿が前記吐出位置に位置するときに前記ステムに係止され、前記中皿の下降に伴って前記ステムを下降させる係止部が形成され、
前記容器体と前記中皿との間には、前記吐出位置に位置する前記中皿を上方付勢する付勢手段が配設され、
前記外装部および前記中皿は、前記容器体に対して容器軸回りに一体に回転自在に設けられ、
前記中皿および前記容器体のうちのいずれか一方には、いずれか他方に設けられた摺動突部が、容器軸回りに沿う周方向に摺動して前記中皿を前記付勢手段による上方付勢力に抗して下降させる案内突部と、前記案内突部に周方向に隣り合い、前記案内突部を周方向に乗り越えた前記摺動突部の上方に向けた移動を許容する逃げ部と、が設けられていることを特徴とする吐出容器。 - 前記容器体は、前記容器本体の口部に固定された内筒部と、前記内筒部から径方向内側に向けて延びる受け部と、前記受け部の内周縁から上方に向けて延びる外変換筒部と、を有する固定部材を備え、
前記中皿には、前記外変換筒部の径方向内側において下方に向けて延びる内変換筒部が形成され、
前記案内突部は、前記外変換筒部および前記内変換筒部のうちのいずれか一方に設けられ、前記摺動突部は、いずれか他方に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の吐出容器。 - 前記案内突部は、容器軸方向に延びる第1垂直面と、前記第1垂直面から上方に向かうに従い漸次前記第1垂直面から周方向の一方側に離間する第1傾斜面と、を有し、
前記摺動突部は、容器軸方向に延びる第2垂直面と、下方に向かうに従い漸次前記第2垂直面から周方向の他方側に離間する第2傾斜面と、を有し、
前記第1垂直面および前記第1傾斜面がなす角度と、前記第2垂直面および前記第2傾斜面がなす角度と、が互いに同等であることを特徴とする請求項1または2に記載の吐出容器。
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