JP6720738B2 - 冷媒r32用の冷凍機油およびこれを含有する組成物 - Google Patents

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Description

本発明は優れた添加剤溶解性を有する冷媒R32用の冷凍機油およびこれを含有する組成物に関する。
従来、ルームエアコン、パッケージエアコンなどの空調機器、家庭用冷凍冷蔵庫、産業用冷凍機、およびハイブリッドカー、電気自動車などのカーエアコンには塩素を含むフロン冷媒が用いられていた。近年では、オゾン層の破壊などの原因となるこれら塩素系冷媒に代わり、冷媒R134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)、冷媒R125(ペンタフルオロエタン)、冷媒R410A(冷媒R32(ジフルオロメタン)および冷媒R125(ペンタフルオロエタン)の混合冷媒)などのハイドロフルオロカーボン(HFC)冷媒が使用されている。しかし、これらHFC冷媒はオゾン層破壊係数がゼロであるものの、地球温暖化係数(GWP)が1000以上と高い。そのため、温室効果の低減を目的とした規制の対象となっており、使用が制限されてくることからGWPの低い冷媒の使用が検討されている。例えば、GWPが4である冷媒HFO−1234yf(2,3,3,3−テトラフルオロプロペン)や、GWPが675である冷媒R32(ジフルオロメタン)の単独使用などへの転換が進められている。
GWPが低い冷媒R32を用いると、コンプレッサーでの吐出温度が高くなり、コンプレッサー内の潤滑条件がより厳しくなる。そのため、潤滑性を改善するため、これまで種々の添加剤が検討されている。例えば、特許文献1には、所定基油と、リン系極圧剤と、油性剤とを含有する冷凍機油組成物が開示されている。
特開2010−209360号公報
冷媒R32は従来の冷媒と比較して添加剤溶解性に劣ることから、冷媒R32と接触する冷凍機油では、結晶性の高い添加剤が析出し易くなる。そのため、潤滑性向上効果に優れた従来の添加剤を使用することが困難となる場合があることから、冷凍機油の添加剤溶解性の向上が望まれている。本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、その目的は、添加剤溶解性に優れた冷媒R32用の冷凍機油を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行なった結果、クエン酸トリエステルと炭素数4〜12の脂肪族1〜2価カルボン酸のエステルとの混合エステルであって、両者を特定の量比で含有する混合エステルが、優れた添加剤溶解性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。この知見に基づく本発明は、以下の通りである。
[1] エステル(A)とエステル(B)との混合エステルを含む冷凍機油であって、エステル(A)とエステル(B)の質量比((A)/(B))が1/99〜30/70であることを特徴とする、冷媒R32用の冷凍機油。
エステル(A):クエン酸トリエステル
エステル(B):炭素数4〜12の脂肪族1〜2価カルボン酸のエステル
[2] エステル(B)が下記の成分(b1)と成分(b2)からなることを特徴とする、上記[1]記載の冷媒R32用の冷凍機油。
(b1)炭素数2〜10の脂肪族1〜6価アルコール
(b2)炭素数4〜12の脂肪族1〜2価カルボン酸
[3] クエン酸トリエステルが、クエン酸と炭素数2〜10の脂肪族1価アルコールからなるクエン酸トリエステルである、上記[1]又は[2]記載の冷媒R32用の冷凍機油。
[4] クエン酸トリエステルが、クエン酸と以下の成分(a1)および成分(a2)からなるクエン酸トリエステルであり、該クエン酸トリエステルを構成する成分(a1)と成分(a2)のモル比((a1)/(a2))が、60/40〜95/5である、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の冷媒R32用の冷凍機油。
(a1)炭素数2〜5の脂肪族1価アルコール
(a2)炭素数6〜10の脂肪族1価アルコール
[5] 質量比が75/25である1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン/酢酸エチルの混合溶媒中に10質量%の濃度で溶解させたときの曇り点が−30℃以上である添加剤、および上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の冷媒R32用の冷凍機油を含有し、前記添加剤の含有量が、0.01〜5質量%であることを特徴とする、冷媒R32用の冷凍機油組成物。
[6] 前記添加剤が、トリフェニルホスフェートおよび/またはグリセリンモノオレートである、上記[5]に記載の冷媒R32用の冷凍機油組成物。
[7] 上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の冷媒R32用の冷凍機油および冷媒R32を含有する冷凍機用作動流体組成物。
[8] 上記[5]または[6]に記載の冷媒R32用の冷凍機油組成物および冷媒R32を含有する冷凍機用作動流体組成物。
本発明の冷媒R32(ジフルオロメタン)用の冷凍機油は、優れた添加剤溶解性を有するため、潤滑性が特に要求される冷凍空調機器や冷蔵庫などのコンプレッサーに好適に用いることができる。また、本発明の冷媒R32用の冷凍機油は、冷媒R32(ジフルオロメタン)との相溶性が高いため、冷媒R32を含有する冷凍機用作動流体組成物に好適に用いることができる。
以下、本発明の冷媒R32用の冷凍機油について詳しく説明する。
なお、本明細書において記号「〜」を用いて規定された数値範囲は「〜」の両端(上限および下限)の数値を含むものとする。例えば「2〜10」は2以上10以下を表す。
本発明の冷媒R32用の冷凍機油(以下、単に「本発明の冷凍機油」とも略称する)は、エステル(A)とエステル(B)との混合エステルを含んで成る。なお、「混合エステル」とは、エステル(A)とエステル(B)の混合物を意味する。
また、本発明において、「冷凍機油」とは、一般に、冷凍空調機器におけるコンプレッサーのための潤滑油を意味し、冷凍空調機器としては、例えば、エアコンなどが挙げられる。また、本明細書において、「冷媒R32用の冷凍機油」とは、冷媒R32(ジフルオロメタン)を使用する冷凍空調機器におけるコンプレッサー等のための潤滑油を意味する。
[エステル(A)]
本発明で用いるエステル(A)は、クエン酸トリエステルであり、該クエン酸トリエステルを製造するためのクエン酸としては、工業的に入手可能なクエン酸を使用することができる。また、クエン酸トリエステルの製造にクエン酸無水物を使用してもよい。
クエン酸トリエステルは、クエン酸と炭素数2〜10の脂肪族1価アルコールからなるクエン酸トリエステルが好ましく、該炭素数2〜10の脂肪族1価アルコールの炭素数は2〜10が好ましく、より好ましくは3〜10であり、特に好ましくは3〜9である。炭素数2〜10の脂肪族1価アルコールは1種または2種以上を使用することができる。炭素数2〜10の脂肪族1価アルコールの具体例としては、後述する炭素数2〜5の脂肪族1価アルコール(成分(a1))および炭素数6〜10の脂肪族1価アルコール(成分(a2))の具体例と同じものが挙げられる。
炭素数2〜10の脂肪族1価アルコールは、好ましくは、炭素数2〜5の脂肪族1価アルコール(成分(a1))および炭素数6〜10の脂肪族1価アルコール(成分(a2))の併用である。これら成分(a1)および成分(a2)は、それぞれ、1種または2種以上を使用できる。
成分(a1)としては、例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノールなどが挙げられる。成分(a1)は、好ましくは炭素数3〜5の脂肪族1価アルコールであり、より好ましくは炭素数3〜5の直鎖状の飽和脂肪族1価アルコールである。1−ブタノールを使用すると、冷媒R32との溶解性、潤滑性、低温安定性において優れたクエン酸トリエステルを得ることができるので、成分(a1)は少くとも1−ブタノールを含む態様が好ましい。
成分(a2)としては、例えば、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−エチル−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−メチル−1−ヘキサノール、2−エチル−1−ペンタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、2−メチル−1−ヘプタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、2−ノナノール、3−ノナノール、2−メチル−1−オクタノール、2−エチル−1−ヘプタノール、1−デカノール、2−デカノール、3−デカノール、2−メチル−1−ノナノール、2−エチル−1−オクタノールなどが挙げられる。冷凍機油(クエン酸トリエステル)中のアルコールに由来するアルキル基が分枝鎖状である場合、その冷凍機油は低温安定性やR32との相溶性に優れる傾向にあるので、成分(a2)は、好ましくは炭素数6〜10の分枝鎖状の飽和脂肪族1価アルコールであり、より好ましくは炭素数7〜9の分枝鎖状の飽和脂肪族1価アルコールである。2−エチル−1−ヘキサノールを使用すると、添加剤再溶解性、潤滑性、低温安定性において優れたエステルを得ることができるので、成分(B2)は少くとも2−エチル−1−ヘキサノールを含む態様が好ましい。ここで、添加剤再溶解性とは、析出した添加剤を再溶解させる性能のことである。
クエン酸トリエステルにおける成分(a1)と成分(a2)のモル比(成分(a1)/成分(a2))は60/40〜95/5であることが好ましい。この範囲にモル比を調整することによって、添加剤再溶解性に優れたクエン酸トリエステルを得ることができる。該モル比(成分(a1)/成分(a2))はより好ましくは65/35〜90/10であり、さらに好ましくは65/35〜85/15である。
クエン酸トリエステルを構成する成分(a1)と成分(a2)のモル比(成分(a1)/成分(a2))を調整する方法に特に限定は無い。例えば、クエン酸またはクエン酸無水物と成分(a1)および成分(a2)の混合物を反応させてもよいし、クエン酸またはクエン酸無水物と成分(a1)および成分(a2)のそれぞれを反応させた生成物を混合してもよい。
クエン酸トリエステルを構成する成分(a1)と成分(a2)のモル比(成分(a1)/成分(a2))はガスクロマトグラフィーによって分析することができる。例えば、クエン酸トリエステル(0.1g)を、質量比が80/20であるトルエン/メタノールの混合溶媒(5g)で希釈し、次いで28質量%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(和光純薬工業(株)製)(0.3g)を加え、常温にて30分静置することにより、クエン酸トリエステルを加メタノール分解する。得られたエステル分解溶液をガスクロマトグラフィーで分析し、得られた成分(a1)および成分(a2)のピーク面積比から、クエン酸トリエステルを構成する成分(a1)と成分(a2)のモル比(成分(a1)/成分(a2))を算出することができる。なお、各アルコール単独のガスクロマトグラフィーを分析することで、クエン酸トリエステルを構成していたアルコールの種類を同定することができる。
クエン酸トリエステルは、例えば、クエン酸またはクエン酸無水物および脂肪族1価アルコールを反応器へ仕込み、常圧での窒素雰囲気下または減圧下にて、例えば150〜250℃で、反応水を留去しつつエステル化反応を行なうことによって、製造することができる。得られるクエン酸トリエステルの酸価は、好ましくは10mgKOH/g以下、より好ましくは5mgKOH/g以下、さらに好ましくは2mgKOH/g以下である。エステル化反応は無触媒で行なってもよく、ブレンステッド酸触媒やルイス酸触媒を使用してもよい。
クエン酸トリエステルを得るためのエステル化反応は、クエン酸またはクエン酸無水物に対して過剰の脂肪族1価アルコールを用いて行うことが好ましい。この場合、エステル化反応後、過剰なアルコールを減圧下で留去する。得られたクエン酸トリエステルは、例えば吸着剤を用いて精製処理することが好ましい。
本発明において、エステル(A)(クエン酸トリエステル)は1種または2種以上を使用できる。
[エステル(B)]
本発明で用いるエステル(B)は、炭素数4〜12の脂肪族1〜2価カルボン酸のエステルである。該炭素数4〜12の脂肪族1〜2価カルボン酸のエステルは、下記の成分(b1)と成分(b2)からなるエステル(すなわち、下記の成分(b1)と成分(b2)から形成されたエステル)であることが好ましい。
(b1)炭素数2〜10の脂肪族1〜6価アルコール
(b2)炭素数4〜12の脂肪族1〜2価カルボン酸
成分(b1)の炭素数2〜10の脂肪族1〜6価アルコールは、好ましくは炭素数2〜10の脂肪族2〜6価アルコールの1種または2種以上である。かかる炭素数2〜10の脂肪族2〜6価アルコールは、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、ジペンタエリスリトールなどが挙げられる。中でも、1,4−ブタンジオールが好ましい。
また、炭素数2〜10の脂肪族2〜6価アルコールの好ましい具体例として、「ネオペンチルポリオール」が挙げられる。「ネオペンチルポリオール」とは、ネオペンチル構造を有する2〜6価のポリオールのことであり、好ましくは、ネオペンチル構造を有する2〜4価のポリオールである。このようなネオペンチルポリオールとしては、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−プロピル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−プロピル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジプロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジブチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられ、中でも、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、ペンタエリスリトールが好ましい。
炭素数2〜10の脂肪族1〜6価アルコールにおける1価アルコールは、後述の成分(b2)(エステル(B)の酸成分)として2価カルボン酸が使用される場合に、2〜6価アルコールとともにアルコール成分の一部として使用される。炭素数2〜10の脂肪族1価アルコールとしては、炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族1価アルコールが好ましく、具体例としては、前述のエステル(A)のアルコール成分である「(a1)炭素数2〜5の脂肪族1価アルコール」および「(a2)炭素数6〜10の脂肪族1価アルコール」の具体例と同じものが挙げられる。かかる炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族1価アルコールは、より好ましくは分岐鎖の飽和脂肪族1価アルコールであり、さらに好ましくは、炭素数が4〜9の分岐鎖の飽和脂肪族1価アルコールであり、特に好ましくは、炭素数が8〜9の分岐鎖の飽和脂肪族1価アルコールであり、最も好ましくは、3,5,5−トリメチルヘキサノール、2−エチルヘキサノールである。
成分(b1)が2〜6価アルコールと1価アルコールを含む場合、成分(b1)の全体が有するヒドロキシル基の総モル数に対して、1価アルコールに由来するヒドロキシル基が30モル%以下であることが好ましく、20モル%以下であることがより好ましい。
成分(b1)は、冷凍機油の熱安定性等の観点から、ネオペンチルポリオールを少なくとも含むことが好ましく、成分(b1)の全体が有するヒドロキシル基の総モル数に対して、ネオペンチルポリオールに由来するヒドロキシル基が50モル%以上であることがより好ましく、60モル%以上が更に一層好ましく、70モル%以上が最も好ましい。なお、成分(b1)の全体がネオペンチルポリオールであってもよい。
成分(b2)(即ち、エステル(B)の酸成分)である炭素数4〜12の脂肪族1〜2価カルボン酸において、脂肪族1価カルボン酸としては、炭素数4〜12の直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族1価カルボン酸が好ましく、特に低温安定性およびR32相溶性に優れたエステルが得られる点から分岐鎖の飽和脂肪族1価カルボン酸が好ましく、また、炭素数が4〜10であることが好ましい。かかる脂肪族1価カルボン酸の具体例としては、例えば、2−メチルプロパン酸、2−メチルブタン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、ネオデカン酸などが挙げられる。特に好ましくは、2−メチルプロパン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸である。かかる脂肪族1価カルボン酸は1種又は2種以上を使用することができる。
炭素数4〜12の脂肪族1〜2価カルボン酸において、2価カルボン酸としては、炭素数4〜10で両末端の炭素にカルボキシ基を有する直鎖状の2価カルボン酸が好ましく、また、熱安定性に優れたエステルが得られる点から飽和脂肪族2価カルボン酸が好ましい。かかる2価カルボン酸の具体例としては、例えば、コハク酸(炭素数4)、グルタル酸(炭素数5)、アジピン酸(炭素数6)、ピメリン酸(炭素数7)、スベリン酸(炭素数8)、アゼライン酸(炭素数9)、セバシン酸(炭素数10)などが挙げられる。これらは1種又は2種以上を使用することができる。
炭素数4〜12の脂肪族2価カルボン酸は、粘度指数と低温安定性において、より優れたエステルを得ることができる点から、炭素数が6〜8であることが好ましく、特に好ましくは、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸である。最も好ましくはアジピン酸である。
エステル(B)は、例えば、成分(b1)である炭素数2〜10の脂肪族1〜6価アルコールと、成分(b2)である炭素数4〜12の脂肪族1〜2価カルボン酸とを反応器へ仕込み、常圧での窒素雰囲気下または減圧下にて、例えば150〜250℃で、反応水を留去しつつエステル化反応を行なうことによって、製造することができる。エステル化反応は無触媒で行なってもよく、ブレンステッド酸触媒やルイス酸触媒を使用してもよい。また、上記エステル化反応を行なう際、カルボキシ基またはヒドロキシ基の過剰率を適宜調整することができる。エステル化反応後、過剰のカルボン酸または脂肪族アルコールを減圧下で留去することで得られた粗ポリオールエステルを、例えば吸着剤を用いて精製処理することが好ましい。
本発明において、エステル(B)は、冷凍機油の熱安定性の観点から、酸価が10mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは5mgKOH/g以下、さらに好ましくは2mgKOH/g以下である。ここでいう酸価の測定方法は、例えば、JIS K5400に記載の方法による。
エステル(B)の成分(b1)及び成分(b2)のそれぞれの組成はガスクロマトグラフィーによって分析することができる。例えば、エステル(B)(0.1g)を、質量比が80/20であるトルエン/メタノールの混合溶媒(5g)で希釈し、次いで28質量%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(和光純薬工業(株)製)(0.3g)を加え、常温にて30分静置することにより、エステル(B)を加メタノール分解する。得られたエステル分解溶液をガスクロマトグラフィーで分析し、得られた成分(b1)及び成分(b2)のピーク面積比から、エステル(B)を構成する成分のモル比率を算出することができる。なお、各成分単独のガスクロマトグラフィーを分析することで、エステル(B)を構成していた成分の種類を同定することができる。
[冷凍機油]
本発明の冷凍機油は、上述のエステル(A)とエステル(B)の混合エステルを含んで成る。混合エステルにおけるエステル(A)とエステル(B)の質量比((A)/(B))は1/99〜30/70であり、この範囲にあることで、目的の優れた添加剤溶解性が得られる。エステル(A)とエステル(B)を混合する方法は、特に限定されないが、例えば、エステル(A)とエステル(B)をビーカーへ任意の量を測り採り、攪拌羽を用いて攪拌混合する方法が挙げられる。エステル(A)とエステル(B)の質量比((A)/(B))は1/99〜25/75が好ましく、3/97〜20/80がより好ましい。エステル(A)とエステル(B)の質量比((A)/(B))が1/99〜30/70の範囲を離れて、エステル(A)の割合が少ない場合、優れた添加剤溶解性が得られ難くなり、エステル(A)の割合が多くなると、性能が頭打ちとなり、エステル(A)の含有量に見合った添加剤溶解性及びフロン溶解性が得られ難くなる場合がある。
混合エステルの40℃における動粘度は、好ましくは5〜300mm/sであり、より好ましくは10〜250mm/sであり、さらに好ましくは10〜200mm/sである。また、酸価は、好ましくは10mgKOH/g以下であり、より好ましくは5mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは2mgKOH/g以下であり、特に好ましくは1mgKOH/g以下である。ここでいう「動粘度」はJIS K2283に準拠して測定することができる。また、「酸価」はJIS C2101に準拠して測定することができる。
[冷媒R32用の冷凍機油組成物]
本発明は、質量比(1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン/酢酸エチル)が75/25である1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンと酢酸エチルの混合溶媒中に10質量%の濃度で溶解させたときの曇り点が−30℃以上である添加剤、および上述の冷媒R32用の冷凍機油(即ち、上述の混合エステル)を含有する冷媒R32用の冷凍機油組成物も提供する。
前記添加剤の含有量は、冷媒R32用の冷凍機油組成物中、0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜4質量%である。この冷媒R32用の冷凍機油組成物は、添加剤の析出が無く、添加量に見合った各種添加剤の効果が得られるという優れた効果を達成することができる。
前記添加剤としては、上述の条件で測定した曇り点が−30℃以上である限り、任意のものを使用できる。また、前記添加剤としては、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本発明の冷媒R32用の冷凍機油は添加剤溶解性に優れており、このため、本発明の冷媒R32用の冷凍機油組成物は、曇り点が高く、溶解し難い添加剤を用いることができる。上記条件で測定した前記添加剤の曇り点は、好ましくは−20℃以上、より好ましくは−15℃以上である。なお曇り点は、JIS 2269「原油および石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」に従い、測定することができる。
前記添加剤としては、例えば、耐荷重添加剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、酸捕捉剤が挙げられる。冷媒R32を用いたコンプレッサーは、従来のHFC冷媒使用時より潤滑条件が厳しくなることから、前記添加剤としては、耐荷重添加剤が好ましい。ここで耐荷重添加剤とは、金属摩擦面を油膜で隔てることができずに金属摩擦面が互いに接触する際に機能する添加剤を意味し、例えば、油性向上剤、摩耗防止剤、極圧剤が挙げられる。
耐荷重添加剤としては、例えば、脂肪酸エステル系添加剤、エーテル系添加剤、リン酸エステル系添加剤、およびチオリン酸エステル系添加剤が挙げられる。これらの中で、脂肪酸エステル系添加剤、リン酸エステル系添加剤、およびチオリン酸エステル系添加剤が、潤滑性向上効果の面で好ましく、脂肪酸エステル系添加剤、およびリン酸エステル系添加剤がより好ましい。リン酸エステル系添加剤としては、例えばトリフェニルホスフェートが挙げられる。脂肪酸エステル系添加剤としては、グリセリンモノオレートが挙げられる。前記添加剤は、好ましくはトリフェニルホスフェートおよび/またはグリセリンモノオレートである。
上述したように、「冷媒R32用の冷凍機油」とは、冷媒R32(ジフルオロメタン)を使用するエアコンにおけるコンプレッサーなどのための潤滑油を意味し、本発明の冷媒R32用の冷凍機油およびその組成物も、冷媒R32を使用するエアコンにおけるコンプレッサーなどで用いられる。但し、冷媒R32を含む冷媒、例えば、冷媒R410R(質量比が50/50である冷媒R125(ペンタフルオロエタン)/冷媒R32(ジフルオロメタン)の混合物)または冷媒R410B(質量比が55/45である冷媒R125(ペンタフルオロエタン)/冷媒R32(ジフルオロメタン)の混合物)を使用するコンプレッサーで用いられる冷凍機油および冷凍機油組成物も、本発明の冷媒R32用の冷凍機油および冷媒R32用の冷凍機油組成物に包含される。本発明の冷媒R32用の冷凍機油は、従来の冷媒R32用の冷凍機油では得られなかった優れた添加剤溶解性を有するため、本発明の冷媒R32用の冷凍機油およびその組成物は、冷媒として添加剤溶解性に乏しい冷媒R32のみを使用するコンプレッサーで用いられる場合に、最もその有用性が発揮される。
本発明は、上述した冷媒R32用の冷凍機油または冷媒R32用の冷凍機油組成物、および冷媒R32を含有する冷凍機用作動流体組成物も提供する。これら冷凍機用作動流体組成物中の冷媒R32用の冷凍機油の含有量は、冷媒R32(ジフルオロメタン)100質量部に対して、好ましくは1〜500質量部であり、より好ましくは2〜400質量部である。
以下、実施例および比較例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲は、下記の実際例によって制限されるものではない。
[エステル(A)の合成]
製造例1
クエン酸無水物(282g、1.47mol)、1−ブタノール(294g、3.97mol)、および2−エチル−1−ヘキサノール(114g、0.87mol)を四つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下、200℃で反応水を留去しつつ常圧で5時間反応を行なった。その後、200℃で酸価が2mgKOH/g以下となるまで反応を継続した。次いで、1〜5kPaの減圧下にて200℃で過剰なアルコールを留去し、粗エステルを得た。粗エステルを冷却し、これに酸性白土およびシリカ−アルミナ系の吸着剤を、それぞれ理論上得られるエステル量の1.0質量%となるように添加して、吸着処理した(吸着処理温度:100℃、圧力:1〜5kPa、および吸着処理時間:2時間)。最後に1ミクロンのフィルターを用いて濾過を行い、目的のクエン酸トリエステル(酸価0.1mgKOH/g以下)(以下「エステルA1」と記載する。)を得た。
製造例2
クエン酸無水物(295g、1.53mol)、1−ブタノール(326g、4.40mol)、および1−オクタノール(86g、0.66mol)を四つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下、200℃で反応水を留去しつつ常圧で5時間反応を行なった。以降の工程は製造例1と同様にして行い、目的のクエン酸トリエステル(以下「エステルA2」と記載する。)を得た。
製造例3
クエン酸無水物(307g、1.60mol)、2−プロパノール(206g、3.43mol)、および1−ヘキサノール(189g、1.85mol)を四つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下、200℃で反応水を留去しつつ常圧で6時間反応を行なった。以降の工程は製造例1と同様にして行い、目的のクエン酸トリエステル(以下「エステルA3」と記載する。)を得た。
製造例4
クエン酸無水物(269g、1.40mol)、2−ブタノール(247g、3.33mol)、および3,5,5−トリメチルヘキサノール(187g、1.29mol)を四つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下、200℃で反応水を留去しつつ常圧で6時間反応を行なった。以降の工程は製造例1と同様にして行い、目的のクエン酸トリエステル(以下「エステルA4」と記載する。)を得た。
製造例5
クエン酸無水物(346g、1.80mol)、エタノール(137g、2.97mol)、および1−ブタノール(220g、2.97mol)を四つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下、180℃で反応水を留去しつつ常圧で7時間反応を行なった。以降の工程は製造例1と同様にして行い、目的のクエン酸トリエステル(以下「エステルA5」と記載する。)を得た。
製造例6
クエン酸無水物(307g、1.60mol)および1−ブタノール(391g、5.28mol)を四つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下、200℃で反応水を留去しつつ常圧で5時間反応を行なった。以降の工程は製造例1と同様にして行い、目的のクエン酸トリエステル(以下「エステルA6」と記載する。)を得た。
製造例7
クエン酸無水物(218g、1.13mol)および2−エチル−1−ヘキサノール(487g、3.74mol)を四つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下、220℃で反応水を留去しつつ常圧で5時間反応を行なった。以降の工程は製造例1と同様にして行い、目的のクエン酸トリエステル(以下「エステルA7」と記載する。)を得た。
[エステル(B)の合成]
製造例8
ペンタエリスリトール(100g、0.73mol)、2−エチルヘキサン酸(185g、1.29mol)、3,5,5−トリメチルヘキサン酸(377g、2.39mol)を四つ口フラスコに仕込んだ。最後に仕込んだアルコールの水酸基に対して0.2mol当量のチタンイソプロポキシドを仕込んだ。窒素雰囲気下、200℃で反応水を留去しつつ常圧で5時間反応を行なった。ついで、200℃、1〜5kPaの減圧下にて過剰な2−エチルヘキサン酸と3,5,5−トリメチルヘキサン酸を留去し、粗エステルを得た。粗エステルを冷却し、これに酸性白土およびシリカ−アルミナ系の吸着剤を、それぞれ理論上得られるエステル量の1.0質量%となるように添加して吸着処理した。吸着処理温度、圧力、および吸着処理時間は100℃、1〜5kPa、2時間とした。最後に1ミクロンのフィルターを用いて濾過を行い、目的のエステル(以下「エステルB1)」と記載する。)を得た。
製造例9
ペンタエリスリトール(130g、0.95mol)、2−メチル−プロパン酸(273g、3.10mol)、3,5,5−トリメチルヘキサン酸(264g、1.67mol)を四つ口フラスコに仕込んだ。最後に仕込んだアルコールの水酸基に対して0.2mol当量のチタンイソプロポキシドを仕込んだ。窒素雰囲気下、200℃で反応水を留去しつつ常圧で5時間反応を行なった。ついで、200℃、1〜5kPaの減圧下にて過剰な2−メチル−プロパン酸と3,5,5−トリメチルヘキサン酸を留去し、粗エステルを得た。
以降の工程は製造例8と同様にして行い、目的のエステル(以下「エステルB2)」と記載する。)を得た。
製造例10
ネオペンチルグリコール205g(1.97mol)、1,4−ブタンジオール26g(0.28mol)、アジピン酸373g(2.55mol)、3,5,5−トリメチルヘキサノール217g(1.50mol)を4つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下、125℃で反応水を留去しつつ常圧で3時間反応を行なった。その後、200℃で酸価が2以下となるまで反応を7時間継続した。ついで、200℃、1〜5kPaの減圧下にて過剰な3,5,5−トリメチルヘキサノールを留去し、粗エステルを得た。以降の工程は製造例8と同様にして行い、目的のエステル(以下「エステルB3」と記載する。)を得た。
上述の製造例1〜7のエステルA1〜A7の製造に使用したカルボン酸およびアルコールを下記表1、2に示す。また、上述の製造例8〜10のエステルB1〜B3の製造に使用したカルボン酸およびアルコールを下記表3に示す。
[実施例1〜9、比較例1〜3]
上述のエステルA1〜A7とエステルB1〜B3を下記表4に示す配合比で混合し、冷凍機油1〜9(実施例1〜9)及び凍機油10〜12(比較例1〜3)を調製した。また、エステルA1〜A7、エステルB1〜B3、及び冷凍機油1〜12の特性を以下のようにして測定した。それらの結果を表1〜6に示す。
[エステルA1〜A7を構成するアルコール成分のモル比]
エステルA1〜A7のそれぞれについて、エステル(0.1g)を、質量比が80/20であるトルエン/メタノールの混合溶媒(5g)で希釈し、次いで28質量%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(和光純薬工業(株)製)(0.3g)を加え、常温にて30分静置することにより、エステルを加メタノール分解した。得られたエステル分解溶液を、ガスクロマトグラフィーで分析し、得られたアルコールのピーク面積比から、エステルを構成するアルコールのモル比を算出した。
[エステルB1〜B3を構成するアルコール成分及びカルボン酸成分のモル比]
エステルA1〜A7と同様にして、加メタノール分解して得られた、エステル分解溶液をガスクロマトグラフィーで分析し、得られたアルコール及びカルボン酸のピーク面積比から、エステルを構成するアルコール及びカルボン酸のモル比を算出した。
[酸価]
JIS C2101に準拠して、エステルA1〜A7、エステルB1〜B3、及び冷凍機油1〜12の酸価を測定した。
[流動点]
JIS K2269に準拠して、エステルA1〜A7、エステルB1〜B3、及び冷凍機油1〜12の流動点を測定した。
[二層分離温度]
冷凍機油1〜12のそれぞれについて、冷凍機油(2g)と冷媒R32(6g)を耐圧ガラス管に封入し、ドライアイスを入れたエタノール浴を用いて、1℃/分の速度で40℃から冷却した。エステルと冷媒R32とが二層分離する温度を−20℃〜+40℃の範囲で目視により測定した。
なお、40℃にて既に二層分離し白濁していた場合、または二層分離温度が30℃〜40℃であった場合は、評価×とした。
[溶解性試験1]
冷凍機油1〜12のそれぞれについて、冷凍機油(2g)、トリフェニルホスフェート(0.04g)、および冷媒R32(6g)を耐圧ガラス管に封入し、40℃にて配合した。その後、配合した混合物を、−5℃/時間の速度で+40℃から+20℃まで冷却し、析出物の有無を目視で確認した。析出物が確認された温度を1℃刻みで記録した。+20℃で析出のないものは、「析出なし」と評価した。
なお、冷凍機油11は+39℃でトリフェニルホスフェートおよび冷媒R32と溶解せず二層分離しており、+20℃まで冷却したとき冷凍機油層が白濁した状態であった(下記表5で「39℃で分層、冷凍機油層白濁」と記載)。冷凍機油10と冷凍機油12については+40℃で二層分離しており、+20℃まで冷却したとき冷凍機油層が白濁した状態であった(下記表5で「40℃で分層、冷凍機油層白濁」と記載)。
[溶解性試験2]
冷凍機油1〜12のそれぞれについて、冷凍機油(2g)、グリセリンモノオレート(0.02g)、および冷媒R32(6g)を耐圧ガラス管に封入し、40℃にて配合した。その後、配合した混合物を、−5℃/時間の速度で+40℃から+20℃まで冷却し、析出物の有無を目視で確認した。析出物が確認された温度を1℃刻みで記録した。+20℃で析出のないものは、「析出なし」と評価した。
冷凍機油10〜冷凍機油12については+40℃でグリセリンモノオレートおよび冷媒R32と溶解せず二層分離しており、+20℃まで冷却したとき冷凍機油層が白濁した状態であった(下記表6で「40℃で分層、冷凍機油層白濁」と記載)。
[再溶解性試験]
冷凍機油1〜12のそれぞれについて、冷凍機油(2g)、グリセリンモノオレート(0.02g)、および冷媒R32(6g)を耐圧ガラス管に封入し、40℃にて配合した。その後、配合した混合物を、0℃に設定した恒温槽にて24時間静置することによって、混合物中のグリセリンモノオレートを析出させた。次いで、この混合物を、速やかに30℃の恒温槽へ移し、混合物中の析出物が溶解し、透明になるまでに要する時間を測定した。なお、冷凍機油10〜冷凍機油12は、40℃でもグリセリンモノオレートおよび冷媒R32と溶解せず、白濁した状態であった(下記表6で「40℃で白濁」と記載)。
溶解性試験1および2、並びに、再溶解性試験で使用した添加剤(トリフェニルホスフェートおよびグリセリンモノオレート)を、質量比が75/25である1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン/酢酸エチルの混合溶媒中に10質量%の濃度で溶解させたときの曇り点を、JIS 2269に従って測定した。この条件で測定したトリフェニルホスフェートの曇り点は−3℃であり、グリセリンモノオレートの曇り点は25℃であった。
上記表5、6から明らかなように、本発明のエステル(A)とエステル(B)の混合エステルからなる冷媒R32用の冷凍機油は添加剤溶解性に優れている。
本発明の冷媒R32用の冷凍機油、冷媒R32用の冷凍機油組成物および冷凍機用作動流体組成物は、冷媒R32を使用するエアコンにおけるコンプレッサーなどで好適に使用することができる。

Claims (8)

  1. エステル(A)とエステル(B)との混合エステルを含む冷凍機油であって、エステル(A)とエステル(B)の質量比((A)/(B))が1/99〜30/70であることを特徴とする、冷媒R32用の冷凍機油。
    エステル(A):クエン酸トリエステル
    エステル(B):炭素数4〜12の脂肪族1〜2価カルボン酸のエステル
  2. エステル(B)が下記の成分(b1)と成分(b2)からなることを特徴とする、請求項1に記載の冷媒R32用の冷凍機油。
    (b1)炭素数2〜10の脂肪族1〜6価アルコール
    (b2)炭素数4〜12の脂肪族1〜2価カルボン酸
  3. クエン酸トリエステルが、クエン酸と炭素数2〜10の脂肪族1価アルコールからなるクエン酸トリエステルである、請求項1又は2記載の冷媒R32用の冷凍機油。
  4. クエン酸トリエステルが、クエン酸と以下の成分(a1)および成分(a2)からなるクエン酸トリエステルであり、該クエン酸トリエステルを構成する成分(a1)と成分(a2)のモル比((a1)/(a2))が、60/40〜95/5である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷媒R32用の冷凍機油。
    (a1)炭素数2〜5の脂肪族1価アルコール
    (a2)炭素数6〜10の脂肪族1価アルコール
  5. 質量比が75/25である1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン/酢酸エチルの混合溶媒中に10質量%の濃度で溶解させたときの曇り点が−30℃以上である添加剤、および請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷媒R32用の冷凍機油を含有し、前記添加剤の含有量が、0.01〜5質量%であることを特徴とする、冷媒R32用の冷凍機油組成物。
  6. 前記添加剤が、トリフェニルホスフェートおよび/またはグリセリンモノオレートである請求項5に記載の冷媒R32用の冷凍機油組成物。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷媒R32用の冷凍機油および冷媒R32を含有する冷凍機用作動流体組成物。
  8. 請求項5または6に記載の冷媒R32用の冷凍機油組成物および冷媒R32を含有する冷凍機用作動流体組成物。
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