JP6720436B1 - 炭化珪素の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 種結晶や原料の形状に関わらず、高品質で均一な単結晶炭化珪素を多枚数製造する方法を提供する。【解決手段】炭化珪素の極性面(炭素面または珪素面)を表面とする原料21と種結晶22を対向させ、珪素面からなる種結晶表面22sに対向する原料表面21cを炭素面とする。これらの表面とそれらの間の空間を1600℃から2600℃の間の均一な温度に保ち、炭素面が珪素面よりも飽和蒸気圧が高い状態を発現させる。この際、原料表面21cから炭化珪素が昇華して種結晶表面22s上で再結晶化することにより単結晶の炭化珪素22gが高速でエピタキシャル成長する。この際、種結晶表面上の任意の点において飽和蒸気圧の高い炭素面からなる炭化珪素表面を見込む立体角が2πステラジアンとなるようにすると、種結晶表面22s上に均一に炭化珪素が供給され、再結晶化する炭化珪素22gは高い均一性を示す。【選択図】 図4

Description

本発明は半導体素子の基板材料である単結晶炭化珪素の製造方法に関するものであり、特に、昇華法によって大面積の炭化珪素基板を安価に製造する方法を提供するものである。
単結晶炭化珪素の製造方法としては液相成長法、気相成長法、そして昇華法が挙げられる。これらのなかで、現在、最も一般的な炭化珪素の製造方法は昇華法の一種である改良レーリー法である。この方法は、黒鉛製のルツボに原料となる炭化珪素粉末を入れ、そこから少し離れた上部に単結晶炭化珪素の種結晶を固定し、ルツボを高温に加熱して原料を昇華させ、これを種結晶上で再結晶化させて種結晶と同じ結晶構造の単結晶炭化珪素を得る方法である。この方法では、ルツボの温度に対して種結晶の温度を低めに設定し、かつルツボから種結晶までの温度勾配を制御することにより原料の物理的な輸送を制御する。そして、それらの条件を最適化することにより単結晶炭化珪素の欠陥密度低減や口径拡大が進められてきた。
ただし、改良レーリー法では種結晶表面への原料供給を精密に制御する必要があり、炉内空間の種結晶や原料の配置、そして原料から種結晶までの温度勾配などの微妙な調整が必要である。また、高品質な炭化珪素の結晶を得るためには多くの経験則に基づいた微妙な条件制御が必要である。さらに、結晶成長に要する電力や消耗部品、そして基板外形加工の手間が多大であるため、製造コストの低減が難しいのが現状である。
この改良レーリー法の問題を解消するため、特許第4574852号公報(特許文献1)では気相中の炭化珪素原料ガス成分濃度を最適化するための原料粉末の調整方法が開示されている。具体的には、珪素、炭素、炭化珪素を成長室に入れ、それらを合成して炭化珪素単結晶を成長させるものであり、この際の炭素粉の粒径を30μm以上、かつ80μm以下とする。また、炭素と珪素の反応によってほとんどエネルギーの放出が無い炭素を用い、その粉粒は少なくとも10個を使用するものである。また、珪素として粒径が1mm以下を用いる。そして、1200℃から1900℃で合成し炭化珪素の結晶軸の炭素面側にして4H−SiCを成長するか、あるいは珪素面側にして6H−SiCを成長する方法を提供している。
改良レーリー法とは異なり、より容易でコストの低い炭化珪素基板製造方法としてMaterials Science Forum Vol 264−268(1998)pp.143−146(非特許文献1)に記載されている近接昇華法が考案された。近接昇華法は密閉容器中に単結晶炭化珪素基板(種結晶)と多結晶炭化珪素基板(原料)を近接して配置し、原料を加熱して炭化珪素を昇華させ、これを種結晶上で再結晶化させて単結晶を得る方法であり、改良レーリー法よりも効率の高い単結晶の成長が可能となる。
さらに、特開2006−339397号公報(特許文献2)では近接昇華法を用いた炭化珪素基板の品質向上方法を開示している。ここでは、原料と種結晶の間隔を0.6mm以下、さらに望ましくは0.1mm以上0.3mm以下とし、1600−2100℃の温度で加熱して、原料である多結晶炭化珪素からSiC分子を昇華させて種結晶である単結晶炭化珪素基板の表面に気相エピタキシャル成長させつつマイクロパイプ欠陥を修復する方法を提供している。
また、特開2000−53493号公報(特許文献3)では大口径の単結晶炭化珪素基板上にマイクロパイプ欠陥密度を低減するための単結晶炭化珪素の近接昇華法を提供している。具体的には、温度均一化のために種結晶となる単結晶炭化珪素基板と原料となる多結晶炭化珪素基板とを近接して略平行に保ち、その間の空間にアルゴンガスを一方向に流して欠陥密度の低い単結晶炭化珪素を成長するものである。この際、原料の面積を種結晶の面積よりも大きくすることにより昇華した炭化珪素ガスが種結晶上に均一に供給される。
特許第4574852号公報 特開2006−339397号公報 特開2000−53493号公報
Materials Science Forum Vol 264−268(1998)pp.143−146
上述の技術成果にも関わらず、近接昇華法はいまだ工業的な炭化珪素の製造方法には至っていない。たとえば、特許文献2が提供する方法では原料と種結晶の間隔が狭く、この間隔を厳密に保つためには原料と種結晶双方の板厚とその分布、そして反り量を厳密に制御する必要がある。しかしながら、エピタキシャル成長に伴い、原料と種結晶の間隔が徐々に変化してしまい、一定の成長条件を保持することが難しくなるという問題が生ずる。
特許文献3では、ガスの流れを作るためのガス導入口と排気系を構成する必要があるため、装置の設計に制限が加わる。また、口径の異なる原料と種結晶を平行に保持するため、複雑な形状の基板保持治具が必要となる。さらに、昇華した炭化珪素はアルゴンガスで運ばれるため、原料の使用効率が落ちることが避けられない。
本発明は上記の事情を鑑みなされたもので、改良レーリー法で必要とされる微妙なガス分布や温度勾配制御を避けつつ、従来の近接昇華法のような基板間隔の制限やガス流路などの制限をなくし、基板や原料の形状に関わらず、安定して高品質の基板を安価に多枚数製造する炭化珪素の製造方法を提供することを目的とする。
発明者は以上の課題を解決するにあたり鋭意検討した結果、炭化珪素表面の極性面である炭素面と珪素面の飽和蒸気圧の違いに着目し、これがある温度範囲において炭素面からの炭化珪素昇華を促すとともに、珪素面上での結晶成長の駆動力になることを突き止め、本発明を完成させた。
次に、本発明による課題解決の手段を説明する。
[1] 固体原料(原料)から炭化珪素を昇華させ、これを近接する単結晶炭化珪素(種結晶)上に再結晶化させて炭化珪素を製造する炭化珪素の製造方法において、原料と種結晶はそれぞれ異なる極性の平坦な表面を有しており、原料表面と種結晶表面が対向するように保持され、原料表面に対向する種結晶表面の極性は珪素極性であり、種結晶表面に対向する原料表面の極性は炭素極性であり、かつ原料表面の炭化珪素の飽和蒸気圧は種結晶表面の飽和蒸気圧よりも高いことを特長とする炭化珪素の製造方法。

[2] [1]に記載の炭化珪素の製造方法であり、種結晶と原料は密着しており(原料兼種結晶)、2枚以上の原料兼種結晶がそれぞれの異なる極性面同士を対向するように近接して配置され、原料兼種結晶を構成する種結晶の表面上には再結晶化炭化珪素が形成され、原料の表面は炭化珪素を昇華させることを特長とする炭化珪素の製造方法。
[3] [1]〜[2]に記載の炭化珪素の製造方法であり、原料と種結晶、そして原料表面から隣接する種結晶表面に至る空間の温度は1600℃以上、かつ2600℃以下の範囲の同一の温度であることを特長とする炭化珪素の製造方法。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の炭化珪素の製造方法であり、種結晶表面上の任意の点において、その極性面と異なる極性面を露出する炭化珪素表面を見込む立体角が2π(πは円周率)ステラジアンであることを特長とする炭化珪素の製造方法。
本発明では炭化珪素の極性面を形成する炭素面と珪素面とで飽和蒸気圧が異なる状態を発現させ、飽和蒸気圧の高い面から炭化珪素を昇華させ、これを飽和蒸気圧の低い面へと輸送して再結晶化させる。すなわち、昇華温度範囲を1600℃から2600℃の間に限定し、炭素面の飽和蒸気圧が珪素面の飽和蒸気圧を上回る状態を発現させ、炭素面と珪素面を対向させて炭素面(原料)から炭化珪素を昇華させ、これを珪素面(種結晶)上で再結晶化させる。また、炭化珪素が再結晶化する表面の任意の場所において、炭化珪素の炭素面からなる表面を見込む立体角は半球である2πステラジアンとなるので、種結晶の表面には常に一定の量の炭化珪素が均一に供給される。すなわち、本発明では種結晶上における再結晶化炭化珪素の成長速度が原料との距離の影響を受けなくなり、種結晶と原料との形状の違いや平行度のずれなどの影響を受けにくくなる。さらに、極性面の配向が揃っているため、原料として多結晶炭化珪素を用いる場合においても、その結晶粒の大きさの制限は受けない。これにより高い再現性のもとで均一な厚さと品質の炭化珪素の製造が可能となる。
珪素面上の炭化珪素の成長速度は過飽和度に依存し、過飽和度は炭素面に対する飽和蒸気圧の差で決まるので、温度を1600℃から2600℃の間の所定の温度で一定に保つ限り、炭素面の過飽和度に対する珪素面の過飽和度の差は一定となり、成長速度は温度で一義的に定められる。すなわち、昇華再結晶化温度を一定とすれば、再結晶化する炭化珪素の成長速度も一定となる。
また、炭素面と珪素面の飽和蒸気圧の差は大きくないため、比較的低い過飽和度のもとで結晶成長が進行し、結晶の品質が向上する。
次に、本発明における原料と種結晶の極性面の位置関係に注目する。炭化珪素は極性結晶であり、炭素面と珪素面を有する。たとえば六方晶炭化珪素であれば(0001)面が珪素面であり、その裏側の(000−1)面は炭素面となる。また立方晶炭化珪素であれば(111)面が珪素面であり、その裏側の(−1−1−1)面が炭素面となる。すなわち、炭化珪素の一つの表面が珪素面とすると、結晶多形に依らず、その裏面側は自ずと炭素面となるので、特定の極性面の向きを一方向にそろえて炭化珪素基板を複数枚並べると、炭素面と珪素面が対向する配置となる。
本発明では、原料からの炭化珪素の昇華、ならびに種結晶上での炭化珪素の再結晶化はいずれも表面における現象なので、原料であっても種結晶であっても表面のみが炭化珪素であればよい。すなわち、炭化珪素表面の面極性が制御されている限り、その炭化珪素に被覆される素材は炭化珪素である必要はない。このため、安価な原料や種結晶の選定が可能になる。
原料は多結晶であっても単結晶であっても同じ振る舞いをするので、たとえば炭素面を露出する多結晶炭化珪素に単結晶炭化珪素の珪素面を露出させてもよいし、単結晶炭化珪素の極性面の方向を一方向に揃えて平行に並べてもよい。この場合、たとえば格子欠陥密度の高い炭化珪素基板を原料として用いて、これを格子欠陥密度の低い単結晶炭化珪素へと再生することも可能である。
あるいは、多結晶炭化珪素や単結晶炭化珪素を原料としつつ、この原料の珪素面側に高品質な単結晶炭化珪素膜の珪素面(種結晶)を表面として貼り合わせれば、安価に種結晶と原料の積層体を得ることも可能である。このような原料と種結晶が一体化した原料兼種結晶を用いると、ある原料兼種結晶の原料側から炭化珪素が昇華し、これと対向する原料兼種結晶の種結晶側に再結晶化する。このため、原料と種結晶を密に配置することが可能となり生産性の向上や製造コストの低減がもたらされる。
上記に加え、種結晶側が再結晶化により厚膜化するとともに、原料側が昇華によって減膜するので、原料兼種結晶の厚さと基板間隔が常に一定の値を保ち、安定な炭化珪素の製造が実現するとともに、結晶の品質(板厚、欠陥密度、そして不純物濃度)が均一に保たれる。
本発明の実施形態における昇華再結晶化装置(内面炭化珪素被膜形成前)の断面構造を示す図である。 本発明の実施形態における昇華再結晶化装置(内面炭化珪素被膜形成後)の断面構造を示す図である。 本発明の第1実施形態における原料と種結晶の昇華再結晶化装置内における配置を示す図である。 本発明の第1実施形態における原料と種結晶そして再結晶化炭化珪素の昇華再結晶化装置内における配置を示す図である。 本発明の第2実施形態における積層原料と種結晶の昇華再結晶化装置内における配置を示す図である。 本発明の第2実施形態における積層原料と種結晶そして再結晶化炭化珪素の昇華再結晶化装置内における配置を示す図である。 本発明の第3実施形態における原料保持基板の昇華再結晶化装置内における配置を示す図である。 本発明の第3実施形態における両面積層原料の昇華再結晶化装置内における配置を示す図である。 本発明の第3実施形態における両面積層原料と種結晶の昇華再結晶化装置内における配置を示す図である。 本発明の第3実施形態における両面積層原料、種結晶、再結晶化炭化珪素の昇華再結晶化装置内における配置を示す図である。 本発明の第4実施形態における原料兼種結晶の昇華再結晶化装置内における配置を示す図である。 本発明の第4実施形態における原料兼種結晶と再結晶化炭化珪素の昇華再結晶化装置内における配置を示す図である。 本発明の第5実施形態における原料兼種結晶の昇華再結晶化装置内における配置を示す図である。 本発明の第5実施形態における原料兼種結晶と再結晶化炭化珪素の昇華再結晶化装置内における配置を示す図である。 本発明の第6実施形態における昇華再結晶化温度と種結晶上での再結晶化炭化珪素の成長速度の関係を示す図である。
本発明を実施するうえで最も重要な点は、同一温度において種結晶の表面に対し原料の表面の飽和蒸気圧が高い状態を保つことである。このため、後述する適正な温度範囲にて、原料表面は珪素面に対して飽和蒸気圧の高い炭素面とし、種結晶表面は炭素面よりも飽和蒸気圧の低い珪素面とする必要がある。
上記の条件の下で、原料となる平板に対向して種結晶となる単結晶炭化珪素を平行に並べる。この際、種結晶に面する原料表面は単結晶または多結晶の炭化珪素の炭素面に略平行とし、原料に面する種結晶表面は炭化珪素の珪素面に略平行とする。
原料と種結晶の間隔は0.1mm以上50mm以下の任意の値で良いが、望ましくは0.5mm以上10mm以下、さらに望ましくは1mm以上5mm以下である。基板間隔が0.1mmを下回ると、種結晶あるいは原料基板の反りや厚さの分布などにより原料と種結晶が接触して固着する可能性がある。一方、原料と種結晶の間隔を大きくすると、後述する昇華再結晶化装置のコンテナ内に設置できる基板枚数が少なくなり、生産枚数が少なくなって本発明のコスト低減効果が薄れてしまう。
原料は必ずしも全体が炭化珪素である必要は無く、炭素や無配向の炭化珪素などの原料保持基板の少なくとも一つの表面に炭化珪素を密着させた積層原料でも良い。ただし、積層原料の種結晶側表面には炭化珪素の炭素面を露出させる必要がある。原料保持基板に対して原料を密着させる方法に制限は無く、たとえば原料保持基板に原料となる平板を加圧して接合してもよいし、原料保持基板上に気相や液相から原料を析出させてもよい。
さらに、原料保持基板の両面に原料が密着した両面積層原料を用いることもできる。ただし、両面積層原料は表裏に炭化珪素の炭素面を露出する必要がある。そして、両面積層原料の両面には種結晶が平行に配置される。種結晶表面は両面積層原料側に珪素面を露出するように配置する。このような配置で多枚数の両面積層原料と種結晶に対して昇華再結晶化を実施すると単位時間当たりの生産枚数が増大する。
本発明では、原料と種結晶を表裏として一体化して用いることも可能である。このような原料兼種結晶の原料側の表面は炭化珪素の炭素面であり、種結晶側の表面は単結晶炭化珪素の珪素面である。隣接する原料兼種結晶同士は、それぞれの炭素面と珪素面を対向する。後述の昇華再結晶化工程において、原料兼種結晶の原料(炭素面)側から炭化珪素が昇華し、これが対向する原料兼種結晶の種結晶(珪素面)上に再結晶化する。このような原料兼種結晶は、種結晶の裏面側に炭素面に配向した炭化珪素を成膜しても良いし、原料裏面と種結晶裏面同士を接合しても良い。この形態では原料と種結晶間の不必要な間隔が解消されるため、生産性が向上するとともに、製造コストが低減する。
さらに、一つの単結晶炭化珪素基板を種結晶かつ原料として用いることも可能である。すなわち、種結晶として機能する面は単結晶炭化珪素の珪素面であり、原料として機能する面は珪素面の裏側の炭素面である。単結晶炭化珪素基板を極性面の配向方位が一致するように縦列にして平行に並べると、ある単結晶炭化珪素基板の珪素面は、これと隣接する単結晶炭化珪素基板の炭素面と対向するので、後述の昇華再結晶化工程では一方の炭素面から炭化珪素が昇華し、他方の珪素面上で炭化珪素が再結晶化することにより炭化珪素を得ることができる。
図1は本発明による炭化珪素の製造を実現するための昇華再結晶化装置の断面構造の一つを示している。昇華再結晶化装置は原料と種結晶を設置するための空間を囲むコンテナ11とコンテナ内に不活性ガスや炭化珪素原料ガスを導入するためのガス導入口12、コンテナ内のガスを排出する排出口13、コンテナ内のガスの圧力を一定に保つ圧力調整弁14、コンテナ内の圧力を測定するための圧力計15、コンテナを周囲から均一に加熱するためのヒーター16、コンテナ内の温度を測定するための熱電対17、種結晶と原料を平行に保持するためのボート18からなる。コンテナ11やボート18の材質は後述する昇華再結晶化の温度に耐えるものであれば良く、炭素や炭化珪素、炭化タンタル、炭化タングステンなどを用いることができる。
ただし、コンテナ11の内壁は原料表面と同様、炭化珪素の炭素面を露出していることが望ましい。なぜならば、種結晶の表面には昇華した炭化珪素が均一に供給される必要があるので、種結晶の表面から見込む炭素面の立体角は最大(2πステラジアン)であることが望ましいからである。
このため、昇華再結晶化工程に先立ち、コンテナ11の内部には次の炭化珪素堆積処理を施す。はじめに、ガス導入口12より不活性ガスを導入し圧力調整弁14を用いて圧力計15が示すコンテナ内圧力が大気圧以上となるようにする。不活性ガスとしては窒素やヘリウム、ネオン,アルゴン、クリプトン、キセノンなどを用いることができるが、窒素は炭化珪素結晶中においてドナー不純物となり、再結晶化炭化珪素の抵抗率を低下させる。このため、炭化珪素の抵抗率を高める必要がある場合には、不活性ガスの中でも安価なアルゴンを用いることが望ましい。不活性ガスの流量は1slm以上、望ましくは5slm以上である。これは、不活性ガスの流量が少ないと外気圧の変化によりコンテナ内部の圧力調整が困難になるためである。
コンテナ11内が不活性ガスによって十分に置換されたら、ヒーター16を加熱してコンテナ11内部を均一に昇温する。ヒーター16の加熱方式は抵抗加熱方式であっても良いし、あるいは誘導加熱方式であっても良い。ただし、熱電対17による温度指示が所定の炭化珪素堆積温度となるようにヒータの加熱を調整する。炭化珪素堆積温度は900℃以上、さらに望ましくは1100℃以上ある。なぜならば、炭化珪素堆積温度が低いと、コンテナ11内部を十分な厚さの炭化珪素で被覆するために時間を要するためである。
コンテナ11内の温度が所定の温度に達したのち、ガス導入口12から炭化珪素の原料ガスを導入する。炭化珪素の原料ガスとしてははシラン系ガスと炭化水素ガスを混合しても良いし、塩化シラン系ガスと炭化水素ガスを混合してもよい。ただし、形成する炭化珪素表面が炭素極性となるよう、原料ガスの混合比を炭素過多とすることが望ましい。
以上の炭化珪素堆積処理により、図2に示すように、コンテナ11内部のあらゆる面が炭素面を表面に配向する炭化珪素被膜19で覆われる。この炭化珪素被膜19の厚さは0.3mm以上が望ましく、更に望ましくは1mm以上である。これは、後述する昇華再結晶化工程中にコンテナ内部を被覆する炭化珪素被膜19が消失してしまうことを避けるためである。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図3と図4を用いて説明する。はじめに、図2が示す炭化珪素被膜19で被覆されたコンテナ11内に、多結晶炭化珪素の単体からなる原料21と単結晶炭化珪素からなる種結晶22を交互に並べる。ただし、種結晶の珪素面22sが原料の炭素面21cに面するように極性面の方向をそろえる。この配置により、種結晶の珪素面からなる表面22s上ではいかなる場所においても原料の炭素面21cまたは炭化珪素被膜19を見込む立体角が2πステラジアンとなる。
次いで、炭化珪素被膜19形成と同様の操作でコンテナ11内部を均一に昇温する。ただし、コンテナ11内の温度は、炭素面21cの飽和蒸気圧が珪素面22sの飽和蒸気圧を上回る温度域である1600℃から2600℃の間(昇華再結晶化温度)とする。高温であるほど炭素面21cの飽和蒸気圧が高まるので、十分な炭化珪素成長速度を得るうえでは1800℃以上まで加熱することが望ましい。ただし、高温になると種結晶の珪素面22sの平滑性が損なわれたり、再結晶化炭化珪素内に点欠陥が発生するなどの問題が発生するので、コンテナ内の温度は2400℃以下とすることが望ましい。
第1実施形態により、図4に示すように種結晶の珪素面22s上には再結晶化炭化珪素22gが堆積する。種結晶の珪素面22sには常に一定量の炭化珪素が原料の炭素面21cや周囲の炭化珪素被膜19から均一に供給されるため、再結晶化炭化珪素22gは膜厚と膜質の均一性に優れる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態を図5と図6を用いて説明する。図5が示すように、炭化珪素被膜19で被覆されたコンテナ11内に積層原料24と種結晶22を交互に並べる。積層原料24は原料保持基板23と原料21が密着して積層した構造であり、原料21は炭素面21cを露出する。また、種結晶の珪素面22sが積層原料の炭素面21cに面するように極性面の配向方向がそろえられる。この配置により、種結晶の珪素面22s上では任意の場所において炭素面21cまたは炭化珪素被膜19表面を見込む立体角が2πステラジアンとなる。
次いで、第1実施形態の昇華再結晶化工程と同様にしてコンテナ11内を不活性ガスで置換し、1600℃から2600℃の温度に昇温する。高温であるほど炭素面21cの飽和蒸気圧が高まるので、十分な炭化珪素成長速度を得るうえでは1800℃以上まで加熱することが望ましい。ただし、高温になると種結晶の珪素面22sの平滑性が損なわれたり、再結晶化炭化珪素内に点欠陥が発生したり、積層原料24が変形するなどの問題が発生するので、コンテナ内の温度は2400℃以下とすることが望ましい。
上記の再結晶化工程により、図6に示すように種結晶の珪素面22s上には再結晶化炭化珪素22gが堆積する。種結晶の珪素面22sには常に一定量の炭化珪素が隣接する積層原料の炭素面21cや周囲の炭化珪素被膜19から均一に供給されるため、再結晶化炭化珪素22gは膜厚と膜質の均一性に優れる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態を図7〜10を用いて説明する。はじめに、図7に示すように、炭化珪素被膜で被覆されていないコンテナ11内に、原料保持基板23を平行に設置する。
次いで、コンテナ11内に炭化珪素被膜19を形成する。この成膜条件は図2記載の炭化珪素被膜19形成条件と同様である。この結果、図8が示すように、原料保持基板23の両面も炭素面21cを表面に配向させた原料21で覆われ、両面積層原料25が得られる。
次に、図9に示すように種結晶22を両面積層原料25の間に平行に並べる。この際、種結晶の珪素面22sを両面積層原料の炭素面21cに対向させる。その結果、珪素面22s上ではいかなる場所においても炭化珪素の炭素面21cまたは炭化珪素被膜19表面を見込む立体角が2πステラジアンとなる。
次いで、第1実施形態と同様の昇華再結晶化工程でコンテナ11内を不活性ガスで置換し、1600℃から2600℃の温度に昇温する。高温であるほど炭素面21cの飽和蒸気圧が高まるので、十分な炭化珪素成長速度を得るうえでは1800℃以上まで加熱することが望ましい。ただし、高温になると種結晶の珪素面22sの平滑性が損なわれたり、再結晶化炭化珪素内に点欠陥が発生したり、両面積層原料25が変形するなどの問題が発生するので、コンテナ内の温度は2400℃以下とすることが望ましい。
上記の昇華再結晶化工程を経ると、図10に示すように種結晶の珪素面22s上には再結晶化炭化珪素22gが形成される。珪素面22sには常に一定量の炭化珪素が隣接する炭素面21cや周囲の炭化珪素被膜19から均一に供給されるため、再結晶化炭化珪素22gは膜厚と膜質の均一性に優れる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態を図11と図12を用いて説明する。はじめに、図11が示す炭化珪素被膜19で被覆されたコンテナ11内に、原料兼種結晶26を平行に並べる。ただし、ある原料兼種結晶26の珪素面22sは、これと隣接する原料兼種結晶26の炭素面21cに平行に対向しなければならない。この配置により、原料兼種結晶の珪素面からなる表面22s上ではいかなる場所においても炭化珪素の炭素面21cまたは炭化珪素被膜19表面を見込む立体角が2πステラジアンとなる。
次いで、第1実施形態と同様の昇華再結晶化工程でコンテナ11内を不活性ガスで置換し、1600℃から2600℃の温度に昇温する。高温であるほど炭素面21cの飽和蒸気圧が高まるので、十分な炭化珪素成長速度を得るうえでは1800℃以上まで加熱することが望ましい。ただし、高温になると珪素面22sの平滑性が損なわれたり、再結晶化炭化珪素内に点欠陥が発生したり、原料兼種結晶26が変形するなどの問題が発生するので、コンテナ内の温度は2400℃以下とすることが望ましい。
上記の昇華再結晶化工程を経ると、図12に示すように原料兼種結晶の珪素面22s上には再結晶化炭化珪素22gが形成される。珪素面22sには常に一定量の炭化珪素が隣接する原料兼種結晶の炭素面21cや周囲の炭化珪素被膜19から均一に供給されるため、再結晶化炭化珪素22gは膜厚と膜質の均一性に優れる。
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態を図13と図14を用いて説明する。はじめに、図13が示すように、炭化珪素被膜19で覆われたコンテナ11内に、複数の種結晶22を平行に並べる。ただし、ある種結晶の珪素面22sは、隣接する種結晶の炭素面22cに平行に対向しなければならない。この配置により、種結晶の珪素面22s上ではいかなる場所においても炭化珪素の炭素面22cまたは炭化珪素被膜19表面を見込む立体角が2πステラジアンとなる。
次いで、第1実施形態と同様の昇華再結晶化工程でコンテナ11内を不活性ガスで置換し、1600℃から2600℃の温度に昇温する。高温であるほど炭素面22cの飽和蒸気圧が高まるので、十分な炭化珪素成長速度を得るうえでは1800℃以上まで加熱することが望ましい。ただし、高温になると珪素面22sの平滑性が損なわれたり、再結晶化炭化珪素内に点欠陥が発生したり、種結晶22の結晶多形が変化するなどの問題が発生するので、コンテナ内の温度は2400℃以下とすることが望ましい。
上記の再結晶化工程を経ると、図14に示すように種結晶の珪素面22s上には再結晶化炭化珪素22gが形成される。珪素面22sには常に一定量の炭化珪素が隣接する種結晶の炭素面22cや周囲の炭化珪素被膜19から均一に供給されるため、再結晶化炭化珪素22gは膜厚と膜質の均一性に優れる。
本実施例では、本発明の第1実施形態の手順に従い、以下のようにして炭化珪素の昇華再結晶化を実施した。昇華再結晶化は、幅80cm、奥行き50cm、高さ50cmのコンテナ内で実施した。また、種結晶と原料を縦置きとして平行に保持するため、幅3mmのスリットが3mm間隔で21個所に加工されたボートを使用した。コンテナとボートの材質は高純度の炭素であり、そのかさ比重は1.82、熱膨張係数は4.9ppm/Kである。原料や種結晶を載置する前に、あらかじめボートをコンテナ内に設置し、以下の手順でコンテナ内部に炭化珪素被膜を形成した。
まず、コンテナ上部の導入口から5slmの流量でアルゴンガスを導入し、これをコンテナ下部の排気口から排気した。排気口には圧力調整用のニードルバルブが取り付けられており、コンテナ外部の気圧に対し、コンテナ内部の圧力が50hPaだけだけ高くなるように調整した。
コンテナ内部がアルゴンで満たされ、圧力が調整された後、コンテナ周囲の抵抗加熱式ヒーターに電流を流し、コンテナ内部の温度が1300℃となるように電流値を調整した。コンテナ内部の温度はW−WRe26%熱電対で測定した。熱電対の温度が1300℃に達した後、5slmの水素と200sccmのジクロルシラン、そして67sccmのアセチレンをコンテナ内に導入し、5時間保持した。その後、水素とジクロルシラン、そしてアセチレンの導入を停止し、ヒーターへの通電を止め、内部の温度を100℃以下まで下げた。この操作により、コンテナ内壁とボートの周囲は一様に1mmの厚さの炭化珪素被膜で被覆された。
コンテナ内の炭化珪素被覆は<111>方位に強く配向した多結晶の立方晶炭化珪素であることがX線回折のロッキングカーブ(XRC)で確認され、その表面の極性が炭素面であることが電子線後方散乱回折(EBSD)から確認された。
次いで、炭素面を表面に露出させた多結晶の立方晶炭化珪素ウエハを11枚と単結晶4H−SiCウエハ10枚を交互にボートのスロットに平行に並べた。ただし、再結晶化炭化珪素の品質を向上させるため、単結晶4H−SiCウエハの表面は(0001)珪素面から[11−20]方位に4度偏向させている。多結晶の立方晶炭化珪素ウエハは原料であり、単結晶4H−SiCウエハは種結晶である。各ウエハの口径と厚さはそれぞれ6インチと0.5mmであり、それぞれの珪素面と炭素面を対向させて種結晶と原料基板を5.5mmの等間隔で縦に載置した。すなわち、種結晶表面が見込むコンテナ内壁と原料表面はすべて炭化珪素の炭素面であり、その立体角は2πステラジアンである。
次いで、コンテナ内部に5slmの流量でアルゴンガスを導入し、コンテナ外部の気圧に対してコンテナ内部の圧力が50hPaだけだけ高くなるように調整した。次に、コンテナ周囲のヒータに電流を流し、コンテナ内部の温度を2300℃として1時間保った。最後に、ヒーターへの通電を停止し、コンテナ内部の温度を100℃以下まで降温した後にボートから種結晶を取り外した。
上記処理後の種結晶の珪素面側には再結晶化炭化珪素が形成されており、その平均膜厚は326μmで、膜厚の標準偏差は平均膜厚の4.1%であることが走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察から分かった。また、再結晶化炭化珪素の表面は単結晶4H−SiC(0001)珪素面に略平行であることが反射電子線回折(TED)、そしてEBSDから確認された。
以上の通り、本発明を用いると、ガス流路の工夫や温度勾配の制御、治具の配置の工夫を施すことなく、326μm/時の高速なエピタキシャル成長によって、均一な再結晶化炭化珪素が得られることが分かる。
[比較例1]
本比較例では、実施例1と同様の条件で炭化珪素被膜に覆われたコンテナを用いた。コンテナ内部には、炭素面を表面に露出させた多結晶の立方晶炭化珪素ウエハを10枚と単結晶4H−SiCウエハ10枚を交互にボートのスロットに平行に載置した。ただし、単結晶4H−SiCウエハの表面は(000―1)炭素面に略平行である。多結晶の立方晶炭化珪素ウエハは原料であり、単結晶4H−SiCウエハは種結晶である。各ウエハの口径と厚さはそれぞれ6インチと0.5mmであり、それぞれの炭素面同士を対向させて種結晶と原料基板を5.5mmの等間隔で縦に載置した。
次いで、実施例1と同様の条件でコンテナ内部の圧力調整と昇温をおこない、2300℃で1時間保った。最後に、ヒーターへの通電を停止し、コンテナ内部の温度を100℃以下まで降温してからボートから種結晶を取り外した。
上記処理後の種結晶の炭素面側には再結晶化炭化珪素は形成されておらず、エッチングされていた。エッチングされた量は平均して132μmであることがSEMによる断面観察から分かった。すなわち、原料の炭化珪素表面の極性を炭素面にしても、これに面する種結晶表面の極性が珪素面でないと本発明の効果が得られないことが分かった。
本実施例では、本発明の第2実施形態の手順に従い、以下のようにして炭化珪素の昇華再結晶化を実施した。昇華再結晶化には実施例1と同様の条件で炭化珪素被膜に覆われたコンテナを用いた。コンテナ内には炭素面を表面に露出させた11枚の積層原料と10枚の単結晶4H−SiCウエハを交互にボートのスロットに平行に並べて設置した。ただし、種結晶である単結晶4H−SiCウエハの表面は(0001)珪素面から[11−20]方位に4度偏向している。一方、積層原料は厚さ0.5mmの高純度炭素ウエハの片面に実施例1で用いた多結晶立方晶炭化珪素ウエハを接合することにより作成した。積層原料の口径は6インチであり、厚さは1mmである。また、積層原料の炭化珪素表面には炭素面が露出している。一方、種結晶の口径と板厚はそれぞれ6インチと0.5mmである。積層原料と種結晶はそれぞれの珪素面と炭素面を対向させてボート上に5mmの等間隔で縦に並べられてコンテナ内に載置された。すなわち、種結晶の珪素面が見込むコンテナ内壁と原料表面はすべて炭化珪素の炭素面であり、その立体角は2πステラジアンである。
次いで、実施例1と同様の条件でコンテナ内部の圧力調整と昇温をおこない、2300℃として1時間保った。最後に、ヒーターへの通電を停止し、コンテナ内部の温度を100℃以下まで降温してからボートから種結晶を取り外した。
上記処理後の種結晶の珪素面側には再結晶化炭化珪素が形成されており、その平均膜厚は352μmであり、膜厚の標準偏差は平均膜厚の4.6%であることがSEMによる断面観察から分かった。また、再結晶化炭化珪素の表面は単結晶4H−SiC(0001)珪素面に略平行であることがTEDとEBSDから確認された。
以上の通り、本発明を用いると、ガス流路の工夫や温度勾配の制御、治具の配置の工夫を施すことなく、352μm/時の高速なエピタキシャル成長によって、均一な再結晶化炭化珪素が得られることが分かる。
[比較例2]
実施例2に対する比較として、以下のようにして炭化珪素の昇華再結晶化を実施した。昇華再結晶化には実施例1と同様の条件で炭化珪素被膜に覆われたコンテナを用いた。コンテナ内には珪素面を表面に露出させた11枚の積層原料と10枚の単結晶4H−SiCウエハを交互にボートのスロットに平行に並べて設置した。ただし、種結晶である単結晶4H−SiCウエハの表面は(0001)珪素面から[11−20]方位に4度偏向している。一方、積層原料は厚さ0.5mmの高純度炭素ウエハの片面に多結晶立方晶炭化珪素ウエハの炭素面側を接合することにより作成した。すなわち、接合後の多結晶立方晶炭化珪素(原料)は実施例1とは異なり、表面に珪素面を露出する。積層原料の口径は6インチであり、厚さは1mmである。一方、種結晶の口径と板厚はそれぞれ6インチと0.5mmである。積層原料と種結晶はそれぞれの珪素面同士を対向させてボート上に5.5mmの等間隔で縦に並べ、これをコンテナ内に載置した。
次いで、実施例1と同様の条件でコンテナ内部の圧力調整と昇温をおこない、2300℃で1時間保った。最後に、ヒーターへの通電を停止し、コンテナ内部の温度を100℃以下まで降温してからボートから種結晶を取り外した。
上記処理後の種結晶の珪素面側には再結晶化炭化珪素が形成されており、その平均膜厚は26μmであり、膜厚の標準偏差は平均膜厚の29.9%であることがSEMによる断面観察から分かった。また、再結晶化炭化珪素の表面は単結晶4H−SiC(0001)珪素面に略平行であることがTEDとEBSDから確認された。
以上の通り、種結晶表面の極性を珪素面としても、原料の炭化珪素表面の極性が炭素面でないと本発明のもたらす高速エピタキシャル成長効果が発現しないことが分かった。
本実施例では、本発明の第3実施形態の手順に従い、炭化珪素の昇華再結晶化を実施した。本実施例でも実施例1と同様のコンテナとボートを使用したが、コンテナ内への炭化珪素被膜形成工程に先立ち、ボートには11.5mmの間隔を隔てて11枚の原料保持基板を平行に並べてコンテナ内に載置した。原料保持基板はコンテナやボートと同じ材質である高純度炭素であり、口径は6インチ、厚さは0.5mmである。
次に、実施例1と同様の工程でコンテナ内部の圧力を外部に対して50hPa高めつつ1300℃まで昇温し、5slmの水素と200sccmのジクロルシラン、そして67sccmのアセチレンをコンテナ内に5時間導入し、コンテナ内壁とボート、そして原料保持基板の周囲を一様に1mmの厚さの炭化珪素被膜で被覆した。
原料保持基板上の炭化珪素被膜はコンテナ内の炭化珪素被覆と同様、<111>方位に強く配向した立方晶炭化珪素であることがXRCで確認され、その極性が炭素面であることがEBSDから確認された。すなわち、原料保持基板の両面を被覆する炭化珪素被膜は原料として機能し、原料保持基板と一体化した両面積層原料として用いることができる。両面積層原料の板厚は2.5mmである。
次いで、種結晶として口径6インチの単結晶4H−SiCウエハを両面積層原料の中間に挿入し、図9に示されるように、それぞれの(0001)珪素面に略平行な面を両面積層原料の炭素面からなる表面に4mmの間隔を隔てて対向させた。挿入された単結晶4H−SiCウエハは合計20枚であり、それぞれの炭素面側同士は密着されている。すなわち、種結晶表面が見込むコンテナ内壁と原料表面はすべて炭化珪素の炭素面であり、その立体角は2πステラジアンである。
次いで、実施例1と同様にコンテナ内部の圧力を調整しつつ温度を2300℃として1時間保った後に100℃以下まで降温し、ボートから種結晶を取り外した。
上記処理後の種結晶の珪素面側には再結晶化炭化珪素が形成されており、その平均膜厚は342μmであり、膜厚の標準偏差は平均膜厚の3.2%であることがSEMによる断面観察から分かった。また、再結晶化炭化珪素の表面は単結晶4H−SiC(0001)珪素面に略平行であることがTEDとEBSDから確認された。
以上の通り、本発明を用いると、ガス流路の工夫や温度勾配の制御、治具の配置の工夫を施すことなく、342μm/時の高速なエピタキシャル成長によって、均一な再結晶化炭化珪素が得られることが分かる。
[比較例3]
次に実施例3の比較として、炭化珪素の昇華再結晶化を実施した。本比較例でも実施例3と同様に原料保持基板をコンテナ内に設置したのちに炭化珪素被膜を形成したがその形成条件は実施例3とは異なる。すなわち、コンテナ内部の圧力を外部に対して50hPa高めつつ1300℃まで昇温し、5slmの水素と200sccmのジクロルシランを導入したが、アセチレンの導入量は実施例3の67sccmよりも低い54sccmである。この状態を3時間34分保ち、コンテナ内壁とボート、そして原料保持基板の周囲を1mmの厚さの炭化珪素被膜で一様に被覆した。
上記の操作によって、コンテナ内に形成された炭化珪素被覆をXRCで観察したところ、明確な<111>への配向性は認められず、無配向な立方晶炭化珪素であることが確認された。また、EBSDからも明確な極性面が確認されなかった。すなわち、コンテナ内面や原料保持基板の両面は無配向で非極性の多結晶炭化珪素で被覆された。
次いで、種結晶として口径6インチの単結晶4H−SiCウエハを炭化珪素被膜を有する原料保持基板の中間に挿入し、図9に示されるように、それぞれの(0001)珪素面に略平行な面が炭化珪素被膜表面に対向するように4mmの間隔を隔てて平行に挿入した。挿入された単結晶4H−SiCウエハは合計20枚であり、それぞれの炭素面側同士は密着されている。
次いで、実施例1と同様にコンテナ内部の圧力を調整しつつ温度を2300℃として1時間保った後に100℃以下まで降温し、ボートから種結晶を取り外した。
上記処理後の種結晶の珪素面側には再結晶化炭化珪素が形成されており、その平均膜厚は84μmであり膜厚の標準偏差は平均膜厚の38.5%であることがSEMによる断面観察から分かった。この結果より、種結晶表面の極性が珪素面であっても、原料である炭化珪素表面が無極性であると、再結晶化する炭化珪素の高速成長や高い均一性が実現しないことが分かった。
本実施例では、本発明の第4実施形態の手順に従い、原料兼種結晶を用いて炭化珪素の昇華再結晶化を実施した。原料兼種結晶は次のようにして作成した。はじめに、口径6インチの単結晶4H−SiCウエハを準備した。この単結晶4H−SiCウエハの表面は(000−1)炭素面から[11−20]方位側に4度偏向している。次に、この単結晶4H−SiCウエハの表面に200keVの加速エネルギーと1x1018/cmのドーズ量でプロトンを照射し、表面から約0.4μmの深さに脆弱層を設けた。次いで、実施例1で用いたものと同じ口径6インチの多結晶立方晶炭化珪素の裏面側とともに200Wのアルゴンプラズマに暴露して活性化し、それぞれの活性化された面同士を1t/cmの圧力で接合した。次いで、接合されたウエハを1150℃まで昇温して脆弱層で破断し、多結晶立方晶炭化珪素と4H−SiC薄膜の積層体を得た。最後に、4H−SiC薄膜の表面に化学的機械研磨を施し、珪素面に略平行な平滑な4H−SiC表面を得た。4H−SiC表面は種結晶として機能し、その裏側の多結晶炭化珪素が露出させる炭素面は原料として機能する。この原料兼種結晶の厚さは1mmであった。
上記原料兼種結晶を21枚準備し、これらをボートに5mm間隔で平行に並べてコンテナ内部に載置した。コンテナとボートは実施例1と同様、炭素面を露出する炭化珪素被膜に覆われている。また、隣接する原料兼種結晶同士はそれぞれの原料側の炭素面と種結晶側の珪素面を対向するように並べた。すなわち、原料兼種結晶の珪素面が見込むコンテナ内壁と原料表面はすべて炭化珪素の炭素面であり、その立体角は2πステラジアンである。
次いで、実施例1と同様の条件でコンテナ内部の圧力調整と昇温をおこない、2300℃として1時間保った。最後に、ヒーターへの通電を停止し、コンテナ内部の温度を100℃以下まで降温してからボートから原料兼種結晶を取り外した。
上記処理後の原料兼種結晶の珪素面側には再結晶化炭化珪素が形成されており、その平均膜厚は354μmであり、膜厚の標準偏差は平均膜厚の5.6%であることがSEMによる断面観察から分かった。また、再結晶化炭化珪素の表面は単結晶4H−SiC(0001)珪素面に略平行であることがTEDとEBSDから確認された。また、処理後の原料兼種結晶の厚さをマイクロメーターで測定したところ、その値は処理前の厚さ(1mm)と大きく変わらず、0.98mmであった。すなわち、原料側が炭化珪素を昇華させて薄くなるとともに、種結晶側が再結晶化炭化珪素の成長により厚膜化しており、隣接する原料兼種結晶同士は一定の間隔を保っていたことが分かった。
以上の通り、本発明を用いると、ガス流路の工夫や温度勾配の制御、治具の配置の工夫を施すことなく、354μm/時の高速なエピタキシャル成長によって、均一な再結晶化炭化珪素が再現性良く得られることが分かる。また、原料として消費された炭化珪素のほとんどは再結晶化されていることから、原料の使用効率が高いことが分かった。
[比較例4]
実施例4の比較として、原料兼種結晶を用いて炭化珪素の昇華再結晶化を実施した。原料兼種結晶は実施例4と同様にして作成した。この原料兼種結晶を21枚準備し、これらを5mm間隔でボートに平行に並べてコンテナ内部に載置した。ただし、コンテナとボートは実施例4とは異なり、炭化珪素被膜に覆われていない。
隣接する原料兼種結晶同士はそれぞれの原料側の炭素面と種結晶側の珪素面を対向するように並べた。原料兼種結晶の珪素面は隣接する原料兼種結晶の炭素面を見込むが、コンテナ内壁やボートは炭化珪素被膜で覆われていないので、炭素面を見込む立体角は2πステラジアンを下回る。特に、原料兼種結晶の外周に近づくほど、対向する原料の表面を見込む立体角が減少するので、炭素面を見込む立体角は低下する。
次いで、実施例1と同様の条件でコンテナ内部の圧力調整と昇温をおこない、2300℃として1時間保った。最後に、ヒーターへの通電を停止し、コンテナ内部の温度を100℃以下まで降温してからボートから原料兼種結晶を取り外した。
上記処理後の原料兼種結晶の珪素面側には再結晶化炭化珪素が形成されており、その平均膜厚は306μmであり、膜厚の標準偏差は平均膜厚の17.0%であることがSEMによる断面観察から分かった。また、再結晶化炭化珪素の表面は単結晶4H−SiC(0001)珪素面に略平行であることがTEDとEBSDから確認された。
以上の通り、炭素面からなる原料表面に種結晶の珪素面を対向させても、炭素面を見込む立体角が2πステラジアンを下回ると再結晶化炭化珪素の成長速度が面内でばらつくことが見出された。
本実施例では、本発明の第5実施形態の手順に従い、以下のようにして炭化珪素の昇華再結晶化を実施した。昇華再結晶化には実施例1と同様の条件で炭化珪素被膜に覆われたコンテナを用いた。コンテナ内には、種結晶として、珪素面と炭素面に略平行な面を表裏とする口径6インチの単結晶4H−SiCウエハを用いた。0.5mmの厚さを有する21枚の種結晶を5.5mmの間隔を隔てて平行にボートのスロットに縦に並べてコンテナ内に設置した。ただし、ある種結晶の珪素面は隣接する種結晶の炭素面と対向するように極性面の向きを揃えた。したがって、種結晶の珪素面が見込むコンテナ内壁と原料表面はすべて炭化珪素の炭素面であり、その立体角は2πステラジアンである。
次いで、実施例1と同様の条件でコンテナ内部の圧力調整と昇温をおこない、2300℃で1時間保った。最後に、ヒーターへの通電を停止し、コンテナ内部の温度を100℃以下まで降温してからボートから種結晶を取り外した。
上記処理後の種結晶の珪素面側には再結晶化炭化珪素が形成されており、その平均膜厚は278μmであり、膜厚の標準偏差は平均膜厚の2.2%であることがSEMによる断面観察から分かった。また、再結晶化炭化珪素の表面は単結晶4H−SiC(0001)珪素面に略平行であることがTEDとEBSDから確認された。また、処理後の種結晶の厚さをマイクロメーターで測定したところ、その値は本来の種結晶の厚さ(0.5mm)とほぼ変わらない0.482μmであった。すなわち、種結晶の炭素面からは炭化珪素が昇華し、そのほとんどは対向する種結晶の珪素面上にて再結晶化したことが分かる。
以上の通り、本発明を用いると、ガス流路の工夫や温度勾配の制御、治具の配置の工夫を施すことなく、306μm/時の高速なエピタキシャル成長によって、均一な再結晶化炭化珪素が得られることが分かる。また、原料として消費された炭化珪素のほとんどは再結晶化されていることから、原料の使用効率が高いことが分かった。
[比較例5]
実施例5の比較として、以下のようにして炭化珪素の昇華再結晶化を実施した。昇華再結晶化には実施例1と同様の条件で炭化珪素被膜に覆われたコンテナを用いた。コンテナ内には、種結晶として、珪素面と炭素面に略平行な面を表裏とする口径6インチの単結晶4H−SiCウエハを用いた。0.5mmの厚さを有する21枚の種結晶を5.5mmの間隔を隔てて平行にボートのスロットに縦に並べてコンテナ内に設置した。ただし、隣接する種結晶同士は同じ極性面同士を対向するようにした。すなわち、種結晶の炭素面に対し、隣接する種結晶は炭素面を対向し、その裏面側の珪素面に隣接する種結晶は珪素面を対向する。
次いで、実施例1と同様の条件でコンテナ内部の圧力調整と昇温をおこない、2300℃として1時間保った。最後に、ヒーターへの通電を停止し、コンテナ内部の温度を100℃以下まで降温してからボートから種結晶を取り外した。
上記処理後の種結晶の珪素面側には再結晶化炭化珪素が形成されており、その平均膜厚は22μmであり、膜厚の標準偏差は平均膜厚の22.4%であることがSEMによる断面観察から分かった。一方、炭素面の表面にはいかなる再結晶化炭化珪素も形成されていなかった。
以上の通り、同じ極性面通しを対向させると、本発明の高速エピタキシャル成長が発現せず、かつ昇華再結晶化炭化珪素の面内均一性も悪化することが分かった。
表1は実施例1から5、そして比較例1から5の結果を示している。表からは、種結晶の珪素面が原料の炭素面に対向している場合において再結晶化炭化珪素の成長速度が高い値を示すことがわかる。また、種結晶の表面が炭化珪素の炭素面を見込む立体角が2πステラジアンである場合において再結晶化炭化珪素の板厚の標準偏差が板厚の平均値の6%を下回る高い均一性を示すことが分かる。
本実施例では、昇華再結晶化温度に対する再結晶化炭化珪素の成長速度の変化を調べた。本実施例における昇華再結晶化には炭化珪素被膜に覆われたコンテナを用いた。コンテナ内には炭素面を表面に露出させた11枚の原料と10枚の単結晶4H−SiCウエハを交互にボートのスロットに平行に並べて設置した。ただし、種結晶である単結晶4H−SiCウエハは口径6インチ、厚さが0.5mmであり、その表面は(0001)珪素面から[11−20]方位に4度偏向している。一方、原料は厚さ1mmで口径6インチの多結晶立方晶炭化珪素ウエハであり、その表面に炭素面を露出させている。以上の原料と種結晶をそれぞれの珪素面と炭素面を対向させてボート上に5.5mmの等間隔で縦に並べてコンテナ内に載置した。すなわち、種結晶の珪素面が見込むコンテナ内壁と原料表面はすべて炭化珪素の炭素面であり、その立体角は2πステラジアンである。
次いで、実施例1と同様の条件でコンテナ内部の圧力調整をおこない、コンテナ内の温度を所定の昇華再結晶化温度まで昇温して1時間保った。ただし、本実施例では、昇華再結晶化温度を1400℃から2800℃の間で都度変化させた。最後に、ヒーターへの通電を停止し、コンテナ内部の温度を100℃以下まで降温してからボートから種結晶を取り外した。
上記処理後の種結晶の珪素面側の断面をSEMにより観察し、再結晶化炭化珪素の膜厚を測定した。この測定値から求められた再結晶化炭化珪素の成長速度の平均値と昇華再結晶化温度との関係を図15に示す。図15に示される通り、1600℃から2600℃の間で、再結晶化炭化珪素の成長速度が100μm/時以上の値を示した。
なお、これまで本発明を図面に示した実施形態と実施例をもって説明してきたが、本発明はそれらに限定されるものではなく、原料や種結晶を水平に並べても良いし、所望の成長速度が得られるように昇華温度を変えることもできる。また、原料や種結晶の結晶多形にも制限は無く、炭素面と珪素面で飽和蒸気圧の差があれば、6H−SiCや3C−SiCなど、いかなる結晶多形にも適用可能である。また、原料や種結晶の厚さや口径にも制限がなく、必要とする再結晶化炭化珪素の大きさに応じて原料や種結晶の大きさ、そして昇華再結晶化装置の大きさを決めることができる。
さらに、本発明では昇華する際の雰囲気も大気圧のアルゴンに限定されるものではなく、如何なる不活性ガスを用いることも可能であるし、炭化珪素の蒸気圧を制御する目的で加圧や減圧することも可能である。また、必要とする電気伝導度を再結晶化炭化珪素に与えるため、不活性ガス雰囲気にドナーやアクセプタなどの不純物を含ませても良く、これらの不純物源として、昇華再結晶時の雰囲気に窒素、アンモニア、塩化アルミニウム、ジボラン、フォスフィン、アルシンなどを添加することもできる。さらに、再結晶化炭化珪素中の転位の運動を妨げる目的で、酸素、シラン、炭化水素、ゲルマンなどを添加することも可能である。
11 コンテナ
12 ガス導入口
13 排出口
14 圧力調整弁
15 圧力計
16 ヒーター
17 熱電対
18 ボート
19 炭化珪素被膜
21 原料
21c 原料の炭素面
22 種結晶
22s 種結晶の珪素面
22c 種結晶の炭素面
22g 再結晶化炭化珪素
23 原料保持基板
24 積層原料
25 両面積層原料
26 原料兼種結晶

Claims (4)

  1. 固体原料(原料)から炭化珪素を昇華させ、これを近接する単結晶炭化珪素(種結晶)上に再結晶化させて炭化珪素を製造する炭化珪素の製造方法において、原料と種結晶はそれぞれ異なる極性の平坦な表面を有しており、原料表面と種結晶表面が対向するように保持され、原料表面に対向する種結晶表面の極性は珪素極性であり、種結晶表面に対向する原料表面の極性は炭素極性であり、かつ原料表面の炭化珪素の飽和蒸気圧は種結晶表面の飽和蒸気圧よりも高いことを特長とする炭化珪素の製造方法。
  2. 請求項1に記載の炭化珪素の製造方法であり、種結晶と原料は密着しており(原料兼種結晶)、2枚以上の原料兼種結晶がそれぞれの異なる極性面同士を対向するように近接して配置され、原料兼種結晶を構成する種結晶の表面上には再結晶化炭化珪素が形成され、原料の表面は炭化珪素を昇華させることを特長とする炭化珪素の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の炭化珪素の製造方法であり、原料と種結晶、そして原料表面から隣接する種結晶表面に至る空間の温度は1600℃以上、かつ2600℃以下の範囲の同一の温度であることを特長とする炭化珪素の製造方法。
  4. 請求項1乃至のいずれかに記載の炭化珪素の製造方法であり、種結晶表面上の任意の点において、その極性面と異なる極性面を露出する炭化珪素表面を見込む立体角が2π(πは円周率)ステラジアンであることを特長とする炭化珪素の製造方法。
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