まず、本願発明者らがなした発明は以下のとおりである。
第1の発明は、筐体と、前記筐体内に空気を吸い込むファンユニットと、空気流入口お
よび焙煎室を有する、内部が中空の焙煎筒と、前記焙煎筒内の前記空気流入口から前記焙煎室までの間に配置され、前記空気流入口から流れ込んだ前記空気を加熱するヒータユニットと、前記焙煎筒の外周壁の一部を覆い、前記焙煎筒の外周壁の一部から間隙を設けて配置された焙煎筒カバーとを備え、前記焙煎筒は、所定以上の熱伝導率を有する材料で形成されており、前記焙煎筒カバーの内周壁および前記焙煎筒の外周壁の一部は、前記ファンユニットによって吸い込まれた前記空気を前記焙煎筒の前記空気流入口に導く間隙風路を形成する、熱風式焙煎機である。
この構成によれば、焙煎筒は、所定以上の熱伝導率を有する材料で形成されているため、ヒータへの通電によって熱を帯びる。間隙風路を通過する空気は、焙煎筒の外周壁からの熱により、焙煎筒の空気流入口に到達するまでの間に熱せられる。この構成によれば、温度が低い空気をヒータユニット内部でのみ加熱するよりも、加熱効率を向上させることができる。
第2の発明では、前記焙煎筒の外側面は金属材料で形成されている。
第3の発明では、前記金属材料はアルミである。
第4の発明では、前記焙煎筒カバーは、前記ヒータユニットが設けられた位置に対応する前記焙煎筒の外周壁を少なくとも覆う。
第5の発明では、前記焙煎筒カバーは、前記焙煎室の位置に対応する前記焙煎筒の外周壁の一部をさらに覆う。
第6の発明では、熱風式焙煎機は、前記焙煎筒を通過した加熱空気を前記筐体の外部に排出する排気口、および、前記焙煎筒の焙煎室と前記排気口とを接続し、前記焙煎筒から排出される前記加熱空気を前記排気口へ導く風路を有する風洞構造体をさらに備え、前記ファンユニットによって吸い込まれた前記空気は前記風洞構造体の外周壁に接触して前記間隙風路に到達する。
第7の発明では、前記風洞構造体は金属材料で形成されている。
上記第6および第7の発明によれば、空気は、風洞構造体の外周壁に接触して風洞構造体の熱を奪う。間隙風路に到達するまでに、空気はさらに熱せられるため、加熱効率を大きく向上させることができる。同時に風洞構造体を冷却することができる。特に風洞構造体を金属材料で形成することにより、熱交換効率を向上させることができる。
第8の発明では、前記ヒータユニットは、少なくとも1本の電熱線と、前記焙煎筒の内部に配置されて前記空気流入口から流れ込んだ前記空気の流れを規制する少なくとも1枚の整流板とを有する。
第9の発明では、前記整流板は、前記空気が通過する間隙を有する形状または大きさを有しており、前記少なくとも1本の電熱線は前記間隙の近傍に配置されている。
これにより、電熱線は整流板の間隙の近傍に配置されているため、空気は、電熱線が設けられた空間を通過して流れる。これにより、空気は効率的に加熱される。
第10の発明では、前記少なくとも1本の電熱線、および、前記間隙は、前記焙煎筒の内周壁に沿って設けられている。
これにより、電熱線が焙煎筒の内周壁に沿って設けられるため、電熱線の長さを確保できる。長い電熱線を採用することができるため電熱線の抵抗値が大きくなり、発熱量を効果的に増やすことができる。
第11の発明では、前記少なくとも1枚の整流板は第1整流板および第2整流板を含み、前記第1整流板は、前記第1整流板の外周と前記焙煎筒の内周壁との間に所定の間隙が生じる大きさを有しており、前記少なくとも1本の電熱線は、前記所定の間隙の近傍に配置されており、前記第2整流板は、前記空気流入口からみて前記第1整流板および前記少なくとも1本の電熱線よりも後に設けられ、かつ、前記焙煎筒の内周壁に接触して前記焙煎筒の中央部に開口する開口部を有する。
これにより、空気流入口から流れ込んだ空気は、第1整流板が設けられたことにより、内周壁に沿って移動する。これにより、内周壁近傍に配置された電熱線によって効果的に加熱される。電熱線が焙煎筒の内周壁に沿って設けられるため、電熱線の長さを確保できる。長い電熱線を採用することができるため、電熱線の抵抗値が大きくなり、発熱量を効果的に増やすことができる。さらに、加熱空気は第2整流板によって焙煎筒の中央部に開口した開口部から焙煎室に吹き込むため、焙煎室内の熱の偏りが生じにくくなる。
第12の発明では、熱風式焙煎機は、加熱された空気が通過する複数のスリットを有する仕切り板をさらに備え、前記仕切り板は、前記焙煎筒内部の、前記第2整流板と前記焙煎室との間に配置されており、前記複数のスリットは、前記仕切り板の中央部から前記内周壁の方向に離間した位置に設けられている。
これにより、焙煎室の仕切り板は、焙煎筒の中央部と内周壁との間に複数のスリットを有するため、第2整流板によって焙煎筒の中央部に集められた加熱空気が、焙煎筒の内周壁方向に送られて複数のスリットから焙煎室内に吐出される。これにより、焙煎室に吹き出す加熱空気の温度を均一化できる。
第13の発明では、前記少なくとも1枚の整流板は雲母で形成されている。
第14の発明では、前記少なくとも1本の電熱線は、複数の電熱線であり、前記複数本の電熱線は前記焙煎筒の内周壁に沿って配置されている。
第15の発明では、前記風洞構造体は、断熱部品を介して前記筐体に固定されている。
第16の発明では、前記断熱部品は樹脂で形成されている。
第17の発明では、熱風式焙煎機は、前記ファンユニットと前記風洞の外側面との間の風路上に電子回路基板をさらに備える。
これにより、熱風式焙煎機の動作中は、電子回路基板に搭載された種々の電子部品が発熱する。ファンユニットによって吸い込まれた低温の空気は、電子回路基板に接触して電子回路基板の熱を奪う。間隙風路に到達するまでに、空気はさらに熱せられるため、加熱効率を大きく向上させることができる。同時に、低温の空気は電子部品および電子回路基板の熱を奪うため、電子部品および電子回路基板を効率的に冷却できる。
第18の発明では、前記電子回路基板は前記ファンユニット近傍の前記筐体の内部底面に固定される。
第19の発明では、前記電子回路基板はさらに前記焙煎筒カバーを利用して固定される
。
第20の発明では、前記ファンユニットは、ファンおよびファンモータを有し、かつ、前記筐体の内部底面近傍に設けられており、前記ファンユニットは、前記ファンの回転軸の方向とは異なる方向から、前記筐体内に前記空気を吸い込む。
第21の発明では、前記ファンの回転軸は前記筐体の外部底面に垂直であり、前記外部底面は、前記回転軸の方向と平行な方向で、かつ、前記筐体の外側に向かう方向に突出する突出カバーを有しており、前記突出カバーは、前記底面に平行な方向から前記筐体内に前記空気を吸い込むための開口を有する。
第22の発明では、前記開口はスリットである。
第23の発明では、前記開口部は網目状の穴である。
第24の発明では、熱風式焙煎機は、前記ファンユニットと前記焙煎筒カバーとの間に、電子回路基板、および、板状体をさらに備え、前記板状体は、前記ファンユニットと前記電子回路基板との間に設けられており、前記板状体は防水性素材で形成され、または、防水性コーティングを有する。
これにより、仕切り板は、ファンユニットと回路基板との間に設けられており、防水性素材で形成され、または、防水性コーティングを有する。これにより、ファンユニットが液体を吸い込んでしまった場合でも、回路基板への液体の飛散を防止できる。
本願発明者は、熱風式焙煎機内に水等の液体が注入された場合についても検討を行った。熱風式焙煎機内に水等の液体が注入され、液体が電子回路基板に直接かかると、漏電が発生する可能性がある。そこで本明細書では、過誤等によって内部に水等の液体が注入された場合でも、液体が電子回路基板に直接かからないようにするための発明も説明する。具体的には以下のとおりである。
第25の発明では、熱風式焙煎機は、前記焙煎室に被焙煎物を投入するための投入口をさらに備え、前記投入口から液体が侵入した場合、前記焙煎筒カバーは前記焙煎筒を通過した前記液体を受ける。
これにより、過誤等によって被焙煎物を投入するための投入口に液体が注がれた場合、焙煎筒カバーで液体を受けることにより、液体が電子回路基板に直接かかることを防止することができる。その結果、漏電を防ぐことが可能になる。
第26の発明では、前記焙煎筒カバーは、受けた前記液体を前記筐体の外部に排出する排水管を有する。
第27の発明では、前記焙煎筒カバーの内部は、前記焙煎筒カバーと前記排水管との接続位置に向かって傾斜する。
第28の発明では、前記排水管は、前記筐体内部の壁面に沿って配置される。
これにより、筐体内部の壁面に近い位置に排水管を設けることにより、筐体内部の中心部に密に配置され、液体を避けるべき部品との距離を取ることが可能になる。
第29の発明では、前記ヒータユニットは、前記焙煎筒カバーの内部の底面から所定の
距離を開けて配置される。
第30の発明では、前記所定の距離は、前記焙煎筒カバーが予め定められた量の前記液体を受けたときの液体の深さよりも大きい。
これにより、焙煎筒の下部と焙煎筒カバーの内部の底面とは、所定の距離を開けて配置される。焙煎筒カバーで液体を受けた場合であっても、焙煎筒内のヒータユニットがすぐに液体に浸かることはない。所定の距離を、焙煎筒カバーが予め定められた量、たとえば200ml、の液体を受けたときの液体の深さよりも大きくすることにより、予め定められた量までの液体が誤注入されたとしても、ヒータユニットが液体に浸からないことを保証できる。
第31の発明では、前記焙煎筒の下端は前記ヒータユニットよりも上である。
第32の発明では、熱風式焙煎機は、前記焙煎筒と前記ヒータユニットとの間に、少なくとも1枚の絶縁シートをさらに備える。
第31および第32の発明によれば、ヒータユニットおよび焙煎筒の両方が水に浸かると漏電が発生する可能性が生じる。焙煎筒の下端をヒータユニットよりも上にすることで、両方が同時に液体に浸かることを避けられる。さらに、ヒータユニットと焙煎筒との間に絶縁シートを設けることにより、漏電を防止できる。
第33の発明では、前記少なくとも1枚の絶縁シートは雲母で形成されている。
第34の発明では、前記少なくとも1枚の絶縁シートは、前記焙煎筒と前記ヒータユニットとの間に設けられた複数枚の絶縁シートである。
第35の発明では、熱風式焙煎機は、前記ヒータユニットによって加熱された前記空気の温度を検出する温度センサをさらに備え、前記ヒータユニットは、少なくとも1本の電熱線と、前記焙煎筒の内部に配置されて前記空気流入口から流れ込んだ前記空気の流れを規制する第1整流板および第2整流板を含み、前記第1整流板は、前記第1整流板の外周と前記焙煎筒の内周壁との間に所定の間隙が生じる大きさを有しており、前記少なくとも1本の電熱線は、前記所定の間隙の近傍に配置されており、前記第2整流板は、前記空気流入口からみて前記第1整流板および前記少なくとも1本の電熱線よりも後に設けられ、かつ、前記焙煎筒の内周壁に接触して前記焙煎筒の中央部に開口する開口部を有し、さらに、前記温度センサの位置に対応する位置に切り欠き部を有している。
第36の発明では、熱風式焙煎機は、前記焙煎筒カバーの内部の底面に、前記液体を検出する液体検出センサをさらに備える。
第37の発明では、熱風式焙煎機は、前記熱風式焙煎機の動作を制御するマイコンをさらに備え、前記液体検出センサが、前記液体を検出した場合には、前記マイコンは前記熱風式焙煎機の動作を停止させる。
第38の発明では、熱風式焙煎機は、前記ヒータユニットによって加熱された前記空気の温度を検出する温度センサと、前記熱風式焙煎機の動作を制御するマイコンとをさらに備え、前記温度センサが、前記温度が所定時間内に所定温度以上低下したことを検出した場合には、前記マイコンは前記熱風式焙煎機の動作を停止させる。
本願発明者は、被焙煎物を熱風式焙煎機内に投入するために効果的な構造についても検
討を行った。焙煎中は熱風式焙煎機の内部は高温になるため、被焙煎物は、熱風式焙煎機の内部に適切に投入される必要がある。そのためにユーザは、予め定められた手順に従って操作することが求められる。本願発明者は、予定された手順通りに操作が行われない場合には、焙煎工程が開始されないよう動作を制限することとし、そのための構造を熱風式焙煎機に設けた。具体的には以下のとおりである。
第39の発明では、熱風式焙煎機は、筐体と、前記筐体内に空気を吸い込むファンユニットと、空気流入口および焙煎室を有する、内部が中空の焙煎筒と、前記焙煎筒内の前記空気流入口から前記焙煎室までの間に配置され、前記空気流入口から流れ込んだ前記空気を加熱するヒータユニットと、前記筐体に設けられて、前記焙煎室に通じる開口を有する開口構造体と、前記開口構造体に着脱可能で、かつ、規定量以下の被焙煎物を充填可能な容器とを備え、前記容器および前記開口構造体の一方は突起を有し、前記容器および前記開口構造体の他方は、前記突起と契合する溝を有し、前記溝は、前記容器が前記開口構造体に挿入される第1方向に伸び、さらに前記第1方向の端部において前記第1方向とは異なる第2方向に伸びており、前記突起と前記溝とが契合して前記容器が前記第1方向に沿って前記開口構造体に装着された位置では前記容器から前記焙煎室への前記被焙煎物の移動が許容され、前記容器が前記第2方向にスライドされたとき、前記容器から前記焙煎室への前記被焙煎物の移動が制限される。
容器および開口構造体は、突起と溝とによって契合して第1方向に装着される。容器が第1方向に沿って開口構造体に装着されただけでは、容器から焙煎室への被焙煎物の移動は制限される。容器から焙煎室への被焙煎物の移動は、第2方向にスライドされることで許容される。そのため、たとえば容器および開口構造体の間に被焙煎物が噛みこまれてしまった場合には第1方向および/または第2方向にスライドできず、被焙煎物を焙煎室に投入して焙煎することができない。使用者は容器が開口構造体に確実に装着されている状態でのみ、高熱を発する焙煎工程に進むことができる。
第40の発明では、前記第1方向および前記第2方向は直交する。
第41の発明では、前記容器は円筒形状であり、前記第2方向へのスライドは前記容器の円周方向への回転によるスライドである。
第42の発明では、前記容器は直方体形状であり、前記第1方向へのスライドは第1の辺の方向へのスライドであり、前記第2方向へのスライドは前記第1の辺と異なる第2の辺の方向へのスライドである。
第43の発明では、熱風式焙煎機は、前記焙煎筒を通過した加熱空気を前記筐体の外部に排出する排気口と、前記焙煎筒の焙煎室と前記排気口とを接続し、前記焙煎筒から排出される前記加熱空気を前記排気口へ導く風路を有する風洞構造体と、前記開口構造体に対応する第1開口部、および、前記排気口に対応する第2開口部をそれぞれ有し、前記筐体に装着される蓋とをさらに備え、前記蓋は、前記筐体に装着されたときに前記風洞構造体の風路の一部を形成し、前記容器に前記突起が設けられ、前記開口構造体に前記溝が設けられているときにおいて、前記第1開口部の側面には、前記開口構造体の溝に接続し、かつ、前記容器の装着時に前記突起部が契合する切り欠き溝を有する。
これにより、蓋の第1開口部の側面には、開口構造体の溝に接続し、かつ、容器の装着時に前記突起部が契合する切り欠き溝を有する。蓋が正規の位置に配置されていなければ、容器の装着が適正にできないため、蓋の位置ずれを確実に防止できる。蓋が正規の位置に配置されていることにより、蓋が風洞構造体の風路を形成することができるため、熱風の漏れを防止でき、想定した温度で焙煎工程を実現できる。
第44の発明では、熱風式焙煎機は、磁界を検出する磁気センサと、前記熱風式焙煎機の動作を制御するマイコンとをさらに備え、前記容器は磁石を有し、前記容器が前記第1方向に沿って前記開口構造体に装着され、前記磁気センサが前記磁石の磁界を検出した場合には、前記マイコンは前記熱風式焙煎機の動作の開始を許可する。
第45の発明では、熱風式焙煎機は、磁界の大きさに応じて磁気分極が増大する軟磁性体の板金をさらに備え、前記板金の一端は前記磁気センサの近傍に配置され、前記板金の他端は、前記容器が前記第1方向に沿って前記開口構造体に装着されたときの前記容器の磁石の近傍に配置され、前記板金の磁気分極は、前記磁石によって生成された前記磁界の大きさに応じて変化し、前記磁気センサは、前記板金の前記磁気分極に基づいて前記磁石の磁界を検出する。
第46の発明では、前記磁気センサは、前記容器が前記第1方向に沿って前記開口構造体に装着されたときの前記磁石の位置から少なくとも前記板金の長さだけ離間する。
第45および第46の発明によれば、磁気センサを容器から離間して配置することができるため、焙煎時に容器が高温になったとしても、磁気センサへの影響を低減して熱暴走を防ぐことができる。
本願発明者は、種々の観点で改良、対策を行った熱風式焙煎機を開発した。たとえば、熱交換効率を高めるための改良、筐体の温度上昇対策、過誤により液体(たとえば水)が注入されたときの対策、空気の吸込み口の改良、熱風漏れ対策、操作の確実性を向上させる対策である。ただし、ある改良または対策が、他の改良または対策にも該当し得るため、特に項分けをせずに説明する。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の例示的な実施形態にかかる焙煎機を説明する。以下に説明する実施形態では焙煎を行う対象(被焙煎物)はコーヒーの生豆であるとする。焙煎機は、高温の熱風によって生豆を焙煎する熱風式焙煎機である。なお、単に「豆」と記載した場合には、焙煎されていない生豆、焙煎されている途中の生豆、および、焙煎されたコーヒー豆のいずれをも含み得る。
図1は、熱風式焙煎機100の外観図である。以下の説明では、図示されたようにX軸、Y軸およびZ軸を取って説明に利用する。特に−Z方向を「下方向」または「下」、+Z方向を「上方向」または「上」と呼ぶことがある。以下、熱風式焙煎機100を「焙煎機100」と略記する。各図において、同じ構成要素には同じ参照符号を付す。
焙煎機100は、筐体110と、スイッチ111と、状態表示LED112と、電子回路基板113と、豆投入カップ114と、排気口115と、蓋116と、容器117とを有する。なお焙煎機100には主電源をオン/オフするスイッチ(図示せず)が設けられてもよい。
筐体110は、焙煎機100の種々の内部に設けられる種々の要素を収容する収容体として機能するとともに、一部の要素を支持する支持体としても機能する。さらに筐体110は、焙煎工程において発生する熱を閉じ込め、焙煎時の急激な温度変化を防ぐ機能をも有する。
スイッチ111は、焙煎開始/停止、および、豆の排出を行うためにユーザによって押下される。スイッチ111が押下された時、焙煎機100がどのように機能するかは、焙煎機100の状態に応じて変わる。たとえば、電源投入後に豆投入カップ114が装着さ
れた状態でスイッチ111が押下されると、焙煎機100は予熱動作を開始する。焙煎動作が完了した後にスイッチ111が押下されると、焙煎機100は焙煎された豆を容器117に排出する。
状態表示LED112は、焙煎機100に電源が投入され、焙煎機100が焙煎プロファイル2を受信するまでの間は、たとえば緑色に点灯し、焙煎プロファイル2を受信した後は、たとえば赤色に点滅する。また、状態表示LED112は、予熱中にはたとえば赤色に点灯し、焙煎中にはたとえば橙色に点滅する。
電子回路基板113は、種々の電子回路が搭載されている。たとえば電子回路基板113上には、図24を参照しながら後に説明するように、マイコン301、無線通信回路302、メモリ303、ストレージ306および通信バス307等が設けられている。なお、図1に示す電子回路基板113は非常に簡略化して記載している。後述の通り、電子回路基板113は筐体内部で比較的広範な範囲に亘って広がりを有している。
豆投入カップ114は、筐体110の開口部に着脱可能で、かつ、規定量以下の生豆を充填可能な容器である。豆投入カップ114は上面および下面にそれぞれ開口を有する。上面の開口は、ユーザが生豆を豆投入カップ114に充填するために利用される。底面の開口は、豆投入カップ114に充填された生豆を、焙煎機100内部の焙煎釜(後述)に投入するために利用される。
排気口115は、焙煎中の高温空気を筐体110の外に排出する開口である。この排気口115を介して焙煎機100の内部で発生した音が外部に漏れる場合がある。これを回避するため、十字状の部材(2つの矩形の部材を交差させたもの)を排気口115の内壁に設ける(十字状の部材の矩形の短辺を排気口115の内壁に取り付ける)ことにより雑音が除去され、耳障りな音が改善される(図示せず)。
蓋116は、筐体110に取り外し可能に装着される。蓋116には豆投入カップ114が装着される開口部と、排気口115が設けられる開口部を有している。
容器117は、排出された豆を収容する。
次に、図2〜図4を参照しながら焙煎機100の内部を説明する。
図2は、焙煎機100の内部の構成を示す。図3は、焙煎筒カバー121を透過表示した焙煎機100の内部の構成を示す。図4は、焙煎筒カバー121を取り外した状態の焙煎機100の内部の構成を示す。
図2に示すように、焙煎機100は、ファンユニット120と、焙煎筒カバー121と、焙煎筒122と、風洞構造体123と、排出筒124とを有する。また、図2には、電子回路基板113の大きさおよび構造の例が示されている。
ファンユニット120は、焙煎機100の外部の空気を焙煎機100の筐体110内に取り込む。図3に示すように、ファンユニット120は、ファンモータ120aと、ファン120bと、エア・アウトレット120cとを有する。ファン120bはファンモータ120aに取り付けられている。ファンモータ120aが回転することによってファン120bも回転し、焙煎機100外部の空気を焙煎機100内部に取り込む。取り込まれた空気はヒータユニット127(図4)よって熱せられ、生豆の焙煎に利用される。なお、焙煎機100が設置された面に液体(たとえば水)があった場合には、誤ってファンユニット120がその液体を吸引してしまうことが考えられる。このとき、その液体はエア・アウトレット120cから周囲に撒き散らされて、電子回路基板113に直接かかってしまう。これを回避するため、エア・アウトレット120cの周囲に、それを取り囲むよう遮水壁を設けることが望ましい(図示せず)。
焙煎筒カバー121は、焙煎筒122の一部を覆って配置されたカバーである。焙煎筒カバー121は、樹脂材料、たとえばポリブチレンテレフタレート(PBT)で形成されている。図3に示すように、焙煎筒カバー121の内壁は焙煎筒122の外周壁とは接しておらず、所定の間隙が設けられている。
焙煎筒122は、図示しない2つの開口を+Z側(上側)および−Z側(下側)に有する円筒形状を有する。本実施形態では、焙煎筒122は金属材料、たとえばアルミ、で形成されている。ただしこれは一例である。他の材料で形成されていてもよい。
図4に示されるように、焙煎筒122の内部には、焙煎室126およびヒータユニット127が設けられる。図4は、焙煎室126およびヒータユニット127が設けられる位置を示している。なお、ヒータユニット127の下端は、焙煎筒カバー121の下端よりも下にある。よって、厳密にいえば、ヒータユニット127は焙煎筒カバー121の内部に完全に収容されるわけではない。
ファンユニット120によって焙煎機100の筐体110内に吸い込まれた空気は、下側の開口から焙煎筒122内に入り、上側の開口から排出される。下側の開口は空気流入口であり、上側の開口は空気流出口ということができる。空気流入口から空気流出口までの焙煎筒122の内部には、ヒータユニット127および焙煎室126がこの順序で設けられる。焙煎時の空気の流れについては後に説明する。
本実施形態では、焙煎筒カバー121は、種々の機能を有する。たとえば、焙煎筒カバー121は、ファンユニット120によって焙煎機100の筐体110内に吸い込まれた空気の流路(風路)を形成する。本明細書では、焙煎筒カバー121の内壁と、焙煎筒122の外周壁との間に形成される風路を「間隙風路125」と呼ぶ。間隙風路125は、ファンユニット120によって吸い込まれた空気を焙煎筒122の空気流入口に導く。
また焙煎筒カバー121は、ユーザが過誤等によって生豆を投入するための投入口に液体(たとえば水)を注いでしまった場合に、その液体を受け、排出する。これにより、液体が電子回路基板113に直接かかることを防止できる。
上述の各機能を実現する構造の詳細は後述する。
風洞構造体123は、焙煎筒122の上側の開口に対応する位置、および、排出筒124の上側の開口に対応する位置にそれぞれ開口を有する、金属材料で形成された部材である。風洞構造体123は、当該2つの開口を接続する溝状の通路も有している。金属材料は、たとえばアルミである。風洞構造体123に、排気口115を有する蓋116が被せられることにより、風洞構造体123の溝状の通路は、蓋116とともに焙煎筒122から排気口115に至る風路を形成する。風洞構造体123の構造の詳細は後に図9を参照しながら説明する。なお、風洞構造体123と焙煎筒122とは螺子留めされているが、それらは共に金属材料で形成されている。このため、ユーザが誤って液体(たとえば水)を焙煎筒122に入れた場合であっても、漏電し、ユーザが容易に感電しないよう風洞構造体123と焙煎筒122との間に電気的な絶縁シートを挟む(設置する)ことが好ましい。
排出筒124は、焙煎室126内の豆を容器117に排出する際の豆の排出路である。
豆の排出時には、ファンユニット120は高速に回転して強風を筐体110内に送る。個々の豆は強風によって焙煎室126から吹き飛ばされ、風洞構造体123の風路を通過して、排出筒124の上側の開口に対応する位置に到達する。そして、当該開口から重力によって排出筒124内を落下し、容器117に排出される。
焙煎機100は、複数のスペーサー128を有する。複数のスペーサー128は、風洞構造体123と筐体110との間に設けられて筐体110を支持する。複数のスペーサー128は、たとえばフェノール樹脂(ベークライト)製、または、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂製である。
次に、図5を参照しながら、焙煎機100内部の空気の流れを説明する。
図5は、焙煎機100内部の空気の流れを矢印で示す。ファンユニット120、焙煎筒カバー121、焙煎筒122および風洞構造体123内部を通過する空気の流れは破線の矢印で示している。
まず、ファンユニット120のファンモータ120aが回転することにより、筐体110の下方(−Z側)から空気が吸い込まれる。焙煎機100内部に取り込まれた空気は、主として電子回路基板113に吹き付けられる。
本願発明者は、電子回路基板113を、意図的にファンユニット120と風洞構造体123との間の風路上に配置した。その理由は、電子回路基板113を効果的に冷却できるためである。焙煎機100の動作中は、電子回路基板113に搭載された種々の電子部品が発熱する。ファンユニット120によって吸い込まれた外気温(低温)の空気は、電子回路基板113に吹き付けられて、電子部品および電子回路基板113の熱を奪う。これにより、電子回路基板113を冷却することができる。
電子回路基板113の熱によって空気の温度が上昇することは、好都合である。その理由は、ヒータユニット127のみを熱源としなくて済むからである。少しでも空気の温度を上昇させておけば、ヒータユニット127による加熱を効果的に行うことができる。
空気は、続いて上方向に進み、風洞構造体123の外表面(外周壁)に当たってその進路を+Y方向に変える。焙煎工程では、ヒータユニット127の加熱が継続されると、加熱された空気が風洞構造体123内を通過して排気口115から排出される。上述のように、風洞構造体123は金属材料で構成されているため、風洞構造体123内を通過する空気の熱が、風洞構造体123の外周壁に伝達されその温度が上昇する。その結果、空気は風洞構造体123に当たることによって風洞構造体123からも熱を奪い、その結果、空気はさらに熱せられる。これにより、加熱効率を大きく向上させることができる。同時に風洞構造体123を冷却し、その温度の上昇を抑制することができる。
次に、空気は間隙風路125に入り、焙煎筒カバー121と焙煎筒122との間を下方向に進んで、焙煎筒122の空気流入口に到達する。間隙風路125を通過する間にも空気は加熱される。焙煎工程が始まると、上述の風洞構造体123の外周壁の温度が上昇した理由と同じ理由により、焙煎筒122の外周壁の温度が上昇するからである。よって、空気が間隙風路125内を進んで焙煎筒122の空気流入口に到達した時点で、相当程度、空気の加熱が進んでいることになる。本実施形態の構成によれば、非常に効率的な熱交換が可能になる。
空気は焙煎筒122の空気流入口から焙煎筒122内部に入り、ヒータユニット127によって加熱されて熱風となる。熱風は、焙煎室126に投入された生豆をその風力によ
って撹拌する。その結果、焙煎室126内の生豆がむらなく焙煎される。熱風は焙煎筒122の上側の開口(空気流出口)から風洞構造体123に入り、風洞構造体123内の風路を経て、排気口115から排出される。
なお、焙煎筒カバー121が焙煎筒122の外周壁の一部を覆っていれば、間隙風路125を通過する空気は、焙煎筒122の外周壁の熱を奪うことができる。よって、焙煎筒カバー121は、たとえばヒータユニット127が設けられた位置(範囲)に対応する焙煎筒122の外周壁を覆っていればよい。ただし本願発明者は、ヒータユニット127だけでなく焙煎室126が設けられた位置(範囲)に対応する焙煎筒122の外周壁をも焙煎筒カバー121で覆うことにした。これにより、間隙風路125においてさらに効果的に空気を加熱することが可能になった。
次に、図6から図8を参照しながら、ヒータユニット127およびその近傍の構成を説明する。
図6は、ヒータユニット127の構成を示す。図4に示すように、ヒータユニット127は焙煎筒122の内部に配置される。
ヒータユニット127は、複数の電熱線140a〜140cと、第1整流板141と、第2整流板142と、温度センサ143とを有する。図6には、仕切り板126aが記載されているが、仕切り板126aはヒータユニット127の構成要素ではない。
複数の電熱線140a〜140cは、いずれも電力を熱に変換する。複数の電熱線140a〜140cは、焙煎筒122の内周壁の近傍に、内周壁に沿ってZ方向に並んで配列されている。複数の電熱線140a〜140cが焙煎筒122の内周壁に沿って配置されるため、電熱線をより長く確保できる。これにより、電熱線の抵抗値が大きくなり、発熱量を効果的に増やすことができる。なお、本実施形態では3本の電熱線を用いているが、本数は任意である。少なくとも1本の電熱線が設けられていればよい。
第1整流板141および第2整流板142はいずれも、空気の流れを制御するために設けられている。空気は図面の下側の開口部144から入り、電熱線140a〜140cによって加熱される。その後、加熱された空気は、第1整流板141および第2整流板142によって形成される風路を通過して、仕切り板126aのスリットから焙煎室126に入るなお、第1整流板141および第2整流板142によって形成される風路の詳細は後述する。
温度センサ143は、ヒータユニット127によって加熱された空気の温度を検出する。温度センサ143は、たとえば耐熱温度が約450度である白金温度センサである。
図7は、第1整流板141および第2整流板142の大きさおよび配置を示す。図7の破線122は、焙煎筒122の内周壁の位置を示す。なお、簡略化のため、図7には温度センサ143は記載していない。
第1整流板141は概ね円盤状の板である。一方、第2整流板142は、中央部に開口を有する円環状の板である。第1整流板141および第2整流板142のいずれも、温度が約200度の熱風に曝されるため、たとえば雲母で形成されている。
まず第1整流板141を説明する。図7に示すように、第1整流板141の外周と、焙煎筒122の内周壁との間には所定の間隙L1が設けられている。空気流入口から流れ込んだ空気は、第1整流板141が設けられることにより、焙煎筒122の内周壁に沿って
移動する。その結果、空気は、内周壁に沿って配置された電熱線140a〜140cより長い時間接することになるため、空気を効率よく加熱することができる。
なお、本実施形態では、第1整流板141の外周と、焙煎筒122の内周壁近傍との間に間隙L1を設けるとともに、さらに、内周壁近傍に電熱線140a〜140cを配置した。この構成は一例である。電熱線140a〜140cの長さはより短くなるが、第1整流板141の非外周部分に空気が通過する間隙を設け、当該間隙の近傍に電熱線140を配置してもよい。
次に第2整流板142を説明する。円環状の第2整流板142の外周は、焙煎筒122の内周壁と接している。間隙L1を通過した加熱空気は、焙煎筒122の内周壁に沿って上側に進むことができないため、第2整流板142の中央部の開口L2に向かって流れ、開口L2を通って上に向かう。熱風は一旦開口L2に集められ、その後、仕切り板126aのスリット126bを通って焙煎室126に吹き込む。
図8は、仕切り板126aの上面図である。図8から理解されるように、仕切り板126aの中央部126cは閉じられており、空気は通過できない。一方、仕切り板126aは、中央部126cから外周方向に向かって放射状に複数のスリット126bを有する。このような仕切り板126aを用いることにより、第2整流板142の開口L2近傍に到達した加熱された空気は、仕切り板126aの中央部126cから外周方向へ、均等かつ放射状に流れる。そして複数のスリット126bの各々から均等に焙煎室126に吹き込む。これにより、焙煎室126に吹き出す加熱空気の温度を均一化できる。そして、焙煎室126内の熱の偏りが生じにくくなり、焙煎に適した環境を実現できる。
図9は、主として風洞構造体123を示す斜視図である。図9では蓋116は焙煎機100から取り外されている。
風洞構造体123は、第1チャンバ123aと、風路123bと、第2チャンバ123cとを有する。第1チャンバ123aは、焙煎室126と一体化された空間である。図9には、焙煎室126の底である仕切り板126aが記載されている。風路123bは、焙煎室126と排気口115とを接続し、かつ、焙煎筒122から排出される加熱空気および/または豆を第2チャンバ123cに導く。第2チャンバ123cは、排気口115および排出筒124の両方と接続される空間である。
風路123bを通過してきた熱風は、第2チャンバ123cから排気口115を経て筐体110の外へ排出される。一方、風路123bを通過してきた豆は、第2チャンバ123cから排出筒124に落下し、容器117に収容される。
上述のとおり、焙煎開始後は、約200度の熱風が風洞構造体123の通路123bを通過するため、通路123bは熱せられる。風洞構造体123は金属材料で構成されているため、熱は風洞構造体123の外周壁に到達する。その結果、図5で説明したとおり、電子回路基板113から間隙風路125に向かう空気が熱せられる。
図2から図4および図9に示すように、複数のスペーサー128は風洞構造体123の周囲4カ所にそれぞれ設けられている。風洞構造体123の外周壁の温度は非常に高温になるため、複数のスペーサー128には耐熱性能が必要とされる。
本願発明者はさらに、断熱性能を有する複数のスペーサー128を採用した。その理由は、風洞構造体123の外周壁の熱を筐体110に伝えないようにするためである。熱が筐体110に伝わると、ユーザが筐体110に触れることが困難になる。また、熱が筐体
110に逃げることにより、風洞構造体123の外周壁の温度が下がる。これでは間隙風路125に吹き込む前の空気が温まりにくくなり、熱回収の効率が低下する。複数のスペーサー128に断熱性能を持たせると、筐体110と風洞構造体123との間の熱絶縁が実現される。筐体内部に熱を籠らせることができるため、風路を流れる空気を効果的に加熱でき、熱回収を効率化できる。
複数のスペーサー128の材料としてフェノール樹脂(ベークライト)、または、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂を例示した。しかしながら、上述の耐熱性能および断熱性能を予め定めた基準で実現できる限り、例示した材料以外の材料を用いて複数のスペーサー128を製造してもよい。
図10は、焙煎筒カバー121の水受け機能を説明するための図である。
焙煎機100の上部には、生豆を投入するための開口部が存在している。そのため、当該開口部から液体、たとえば水、が誤って注入される可能性がある。焙煎機100に電源が投入されている状態では、筐体110内部に液体が侵入し電子回路基板113等にかかることは好ましくない。
そこで本願発明者は、筐体110内部の電子回路等に液体がかかることを防止するために焙煎筒カバー121を設けた。ユーザの過誤によって筐体110の開口部から液体が注ぎ込まれた場合、当該液体は焙煎筒カバー121によって受け止められる。
図10に示すように、焙煎筒カバー121の一方の隅には、排水管150が接続されている。そして、焙煎筒カバー121内の液体が排水管150との接続位置に集まるよう、焙煎筒カバー121の内部底面には角度θの傾斜が設けられている。角度θはたとえば2〜5度である。焙煎筒カバー121内の液体は、角度θの傾斜によって排水管150との接続位置に集められ、排水管150を伝って筐体110外部に排出される。排水管150は、筐体110内部の壁面に沿って配置されている。筐体110内部の中心部には、電子回路基板113が配置されており、電子回路基板113上には電子回路部品が密に配置されている。筐体110内部の壁面に沿って排水管150を設けることにより、液体を避けるべき電子回路基板113およびその上の電子部品群との距離を可能な限り多く確保することができる。
図11は、液体注入時の想定される液面位置D1と、ヒータユニット127の下端位置D2と、焙煎筒122の下端位置D3との関係を示す。本願発明者は最大200mlの液体が注入されたとき、液面が位置D1に到達すると想定した。ヒータユニット127は、焙煎筒カバー121の内部の底面から所定の距離を開けて配置されている。より具体的には、ヒータユニット127の下端位置D2は、想定される液面位置D1よりも高い位置に配置される。これにより、想定された液量の範囲内では、ヒータユニット127の最も下に位置する電熱線140cが液体に浸かり続けることはない。
また、焙煎筒122の下端位置D3は、ヒータユニット127の下端位置D2よりも上である。そして、焙煎筒122とヒータユニット127との間には、少なくとも1枚の絶縁シート155が設けられている。絶縁シート155は、ヒータユニット127の外周と焙煎筒122の内周との間に設けられれば良い。1枚ではなく、複数枚の絶縁シート155を設けてもよい。
少なくとも1枚の絶縁シート155を設けることにより、ヒータユニット127が液体に没したとしても、液面が少なくとも位置D3に到達するまでは、金属材料で形成された焙煎筒122を介して電気が筐体110内部上方の広範な領域に伝わることはない。
なお、温度センサ143は、ヒータユニット127の壁面および焙煎筒122の壁面を貫通する孔(挿入口)から、焙煎筒122の内部に挿入されている。
図11に示すように、本実施形態では第2整流板142は切り欠き部142aを有している。図12は、第2整流板142および切り欠き部142aの形状を示している。なお、図示された第2整流板142および切り欠き部142aの各形状は一例である。
切り欠き部142aは、挿入口から挿入された温度センサ143の位置に対応して設けられる。このような切り欠き部142aを設けた理由は、液体の誤注入時の、焙煎筒122とヒータユニット127との導通をより確実に避けるためである。図13Aおよび図13Bを参照しながら、具体的に説明する。
図13Aは、温度センサ143および切り欠き部142aの位置における、焙煎筒122およびヒータユニット127の断面図である。第2整流板142の切り欠き部142aは、温度センサ143の下方に設けられている。なお、第2整流板142は円環状であるため、中央には開口L2が存在する。
図13Bは、注入された液体156の第2整流板142近傍における流れ方を模式的に示す。切り欠き部142aを設けることにより、切り欠き部142aはヒータユニット127の内周面に到達することなく、下方に流れ落ちる。液体156は、ヒータユニット127に設けられた温度センサ143の挿入口にも到達しない。
一方、切り欠き部142aを設けない場合には、液体156は図14Bに示す経路とは異なる経路で下方に流れ落ちる。
図14Aは、切り欠き部142aを設けない仮想的な場合における、焙煎筒122およびヒータユニット127の断面図である。切り欠き部142aが存在しないため、第2整流板142はヒータユニット127の内周面に接している。
図14Bは、注入された液体156の第2整流板142近傍における流れ方を模式的に示す。第2整流板142とヒータユニット127の内周面とが接しているため、液体156はヒータユニット127に達する。さらに、液体156の一部は温度センサ143の挿入口からヒータユニット127の外側面に漏れ出す。
漏れ出した液体156の一部は、ヒータユニット127と絶縁シート155との間を伝って下方に流れる。漏れ出した液体156のさらに一部は絶縁シート155に設けられた挿入口から焙煎筒122側に漏れ出し、絶縁シート155と焙煎筒122との間を伝って下方に流れる。このような状況では、焙煎筒122とヒータユニット127とが液体を導体として導通する可能性が生じる。
図13Bと図14Bとの対比から明らかなように、第2整流板142に切り欠き部142aを設けることにより、より確実に焙煎筒122とヒータユニット127との導通を回避することができる。
次に、図15を参照しながら、筐体110の下部からの液体の侵入防止対策を説明する。
図15は、筐体110の外部底面近傍の拡大透過図である。筐体110の外部底面には、筐体の外側に向かう方向に突出する突出カバー160が設けられている。本実施形態では、突出カバー160はZ軸に平行な軸を有する円柱形状であるとする。
突出カバー160は空気を吸い込む複数のスリット160aを有している。複数のスリット160aの各々は、円柱形状の突出カバー160の側面である。本実施形態ではさらに、複数のスリット160aの各々は、突出カバー160の側面のさらに上方に配置させた。
本実施形態では、ファンユニット120のファンモータ120aの回転軸は、Z軸に平行である。よって、空気は円柱形状の突出カバー160と平行な方向に沿ってファンモータ120aに吸い込まれる。しかしながら、複数のスリット160aを通過するとき、空気は、筐体110の底面に平行な方向から筐体110内に吸い込まれる。
まず、複数のスリット160aを突出カバー160の側面に設けた理由は、焙煎機100動作中の液体の吸い込みを回避するためである。仮に、複数のスリット160aが筐体110の底面に設けられ、空気がZ方向に沿って吸い込まれるとする。空気はそのままZ方向に沿ってファンモータ120aに吸い込まれることになる。これでは、焙煎機100が載置された面に、液体、たとえば水、が存在していた場合や、焙煎機100の動作中に液体が流れてきたとき、液体も吸い込んでしまう。焙煎機100が電気で動作する以上、筐体110内に液体が飛散することは好ましくない。また、突出カバー160の側面上方に複数のスリット160aを設けたため、側面下方に設ける場合よりも液体を吸い込みにくくすることができる。
本実施形態の構成のように、複数のスリット160aを突出カバー160の側面上方に設けることにより、空気を筐体110の外部底面に平行な方向から、筐体110内に空気を吸い込むことができる。これにより、仮に焙煎機100が設置された位置に液体が存在していたとしても、液体を筐体110内に吸い込むことがなくなる。なお、複数のスリット160aは網目状の穴であってもよい。これにより、比較的大きな異物の吸い込みを防ぐことができる。更に、図15の左下方にある、筐体110に取り付けられている脚部の高さを適宜変えて最適化することによって、焙煎機100が設置された面に液体(たとえば水)があった場合であっても、焙煎機100本体内への液体の浸入を防止することができると共に、焙煎機100の安定度に貢献する。
本願発明者は、仮に液体を吸い込んでしまった場合の対策も講じた。どのような電子回路基板であっても、液体が飛散することは本来的には好ましくない。しかしながら、相対的に高電圧の電子回路基板への液体の飛散を防ぐことはより優先されるべきと考えられる。本実施形態の構成によれば、ファンユニット120の上方にはヒータユニット127が存在する。ヒータユニット127には相対的に高電圧、大電流が印加される。そのため、本願発明者は、吸い込まれた液体がヒータユニット127の上方に飛散した場合の対策を講じた。
ヒータユニット127の近傍には、ヒータユニット127を駆動する駆動回路、および/または、駆動回路に電力を供給する電源回路等が実装された電子回路基板が設けられる。本願発明者は、ファンユニット120と焙煎筒カバー121との間に、当該電子回路基板を収容したケース161を設けるとともに、ケース161とファンユニット120との間には、さらに、防水性素材で形成された板状体162を設けた。これにより、仮に、ファンユニット120によって液体が吸い込まれたとしても、電子回路基板への液体の飛散を防止することができる。
ケース161は、たとえばPBT樹脂で形成されている。板状体162もまた、たとえばPBT樹脂で形成されていてもよい。なお、板状体162は防水性素材で形成されてい
なくてもよい。たとえば非防水素材であるが、その表面に防水性コーティングを施し、または防水性シートを貼付することにより、防水性能を実現してもよい。
次に、図16から図19Bを参照しながら、豆投入カップ114の構成および豆投入カップ114を筐体110に装着するときの豆投入カップ114の動きを説明する。
図16は、底面側から見た豆投入カップ114の拡大図である。また図17は、蓋116に一体的に設けられた開口構造体170を示す。蓋116には、開口構造体170に対応して開口部116aが設けられている。開口構造体170は開口部116aにはめ込まれている。なお蓋116には排気口115に対応する開口116bも設けられている。図18は開口構造体170の拡大図である。
まず図16を参照する。
豆投入カップ114は、概ね円柱形状を有している。豆投入カップ114は、2つの磁石114aと、突起114bと、開口114cと、取っ手114dとを有する。
2つの磁石114aは、所定の強さの磁力を発生させる。焙煎機100に設けられた磁気センサ(後述)が磁界の強さを検出することにより、豆投入カップ114が焙煎機100に装着されたことが検出される。
突起114bは、後述する開口構造体170に設けられた切り欠き溝170に契合する。
開口114cは、豆投入カップ114の上面の開口から充填された生豆を焙煎室126に投入するために設けられている。開口114cが、焙煎機100側の開口と対向するとき、豆投入カップ114に充填された生豆が焙煎室126に投入される。
取っ手114dは、ユーザが豆投入カップ114を移動させるために把持することを想定して設けられている。取っ手114dは豆投入カップ114の+Z方向の端部に設けられており、−Z方向の端部よりも大きい半径を有している。取っ手114dは、滑りにくい材料、たとえば発泡シリコンゴムで形成されている。後述するように、豆を焙煎することによって蓋116の温度が上がるため、ユーザが取っ手114dを把持する際、指が滑らないよう、取っ手114dの最下部を鍔形状にすることが望ましい(図示せず)。
次に、図18を参照する。
開口構造体170は円環状であり、開口部では半径方向に所定の幅を有している。
本実施形態では、開口構造体170は蓋116に組み付けられている。蓋116が焙煎機100に取り付けられたとき、蓋116が風洞構造体123の上部を完全に覆い、それにより風路123bが隙間なく形成される必要がある。
そこで本実施形態では、開口構造体170と風洞構造体123とが予め定められた位置関係で確実に契合するよう、開口構造体170に凸部を設け、風洞構造体123に凹部を設けた。
図18に示すように、開口構造体170は、−Z方向に突出する凸部170bを有している。一方の風洞構造体123には凹部123dが設けられている。図18では、開口構造体170と接触する風洞構造体123の外周を破線で示している。
開口構造体170の凸部170bと、風洞構造体123の凹部123dとが契合するとき、開口構造体170は風洞構造体123に適正な位置関係、すなわち、設計者が想定した位置関係を有する。開口構造体170と風洞構造体123とが適正な位置関係を有しているとき、開口構造体170が組み付けられた蓋116は風洞構造体123の上部を完全に覆い、かつ、蓋116と風洞構造体123との間に隙間が生じないように設計されている。蓋116は風洞構造体123の風路123bの一部を構成する。
ユーザは、風洞構造体123の凹部123dを目印にして、蓋116に組み付けられた開口構造体170の凸部170bを契合させれば、隙間なく蓋116を焙煎機100に取り付けることができる。これにより、蓋116の位置ずれを防ぎ、熱風の漏れを防止することができる。
開口構造体170の円周の内側部分には切り欠き溝170aが設けられている。開口構造体170の円周の内側部分の直径は豆投入カップ114の外周の直径と概ね一致する。また開口構造体170の切り欠き溝170aの半径方向の長さは、突起114bの突出した部分の高さと概ね一致する。豆投入カップ114はその突起114bが切り欠き溝170aと契合する位置でのみ、−Z方向175aに沿って焙煎機100内に挿入される。
切り欠き溝170aは、−Z方向に沿って伸びる第1の溝171に接続される。さらに第1の溝は、第1の溝171に直交する第2の溝172に接続される。図18には、第1の溝171が伸びる第1の方向175aと、第2の溝172が伸びる第2の方向175bとが示されている。なお、第2の溝172は、焙煎機100に組み込まれたとき、明確な溝として機能する。参考のため、第2の溝172の−Z側の位置を破線によって示す。当該破線部分の構造は風洞構造体123側に設けられる。
豆投入カップ114は、第1の方向175aに沿って、取っ手114dが開口構造体170に接触する位置まで挿入される。このときの豆投入カップ114の位置を、便宜的に「第1の位置」と呼ぶ。図19Aは第1の位置まで挿入された豆投入カップ114を示す透過図である。図19Aには参考のため蓋116の輪郭が示されている。
第1の位置において、2つの磁石114aによって作られる磁界は、焙煎機100側に設けられた磁気センサ180によって検出される。磁気センサ180はたとえばホール素子である。これにより、後述する焙煎機100のCPUは、豆投入カップ114が焙煎機100に挿入されたことを知ることができる。磁界の大きさを検出するための詳細な構成は後述する。なお、第1の位置では、豆投入カップ114の開口114cと、焙煎機100側の開口とが一致する。そのため、豆投入カップ114と焙煎室126とが連通する。なお、焙煎機100側の開口とは、本実施形態では風洞構造体123に設けられた開口を意味する。
第1の位置では、豆投入カップ114は第2の方向に沿って回転可能である。ある位置まで回転されると、豆投入カップ114の回転が止まる位置に到達する。このときの豆投入カップ114の位置を、便宜的に「第2の位置」と呼ぶ。図19Bは第2の位置まで挿入された豆投入カップ114を示す透過図である。図19Aと図19Bとを比較すると、突起114bの位置が異なっていることが理解される。なお、第2の位置では、豆投入カップ114の開口114cと、焙煎機100側の開口とが一致しない。つまり、豆投入カップ114の開口114cは風洞構造体123によって塞がれ、豆投入カップ114と焙煎室126とは連通しない。豆投入カップ114が第2の位置にあるとき、焙煎機100は予熱工程を実行する。
ユーザは、第2の位置にある豆投入カップ114に生豆を充填し、予熱工程の終了後に、豆投入カップ114を逆方向に回転させる。これにより、豆投入カップ114は再び第1の位置に戻る。第1の位置に到達したとき、豆投入カップ114に充填された生豆は焙煎室126に投入される。その後、豆投入カップ114が再び第2の位置に戻されると、焙煎機100は焙煎工程を実行する。
上述の説明では、豆投入カップ114に突起114bを設け、開口構造体170に溝を設けた。しかしながら、当該構成は一例である。豆投入カップ114に溝を設け、開口構造体170に突起を設けてもよい。
また、本実施形態では、豆投入カップ114は円柱形状であり、XY平面内を回転可能であるとした。他の構成例として、豆投入カップは直方体形状(箱状)であってもよい。この場合、開口構造体は概ね矩形になる。豆投入カップは、Z方向の辺に平行に開口構造体に挿入され、X方向またはY方向の辺に平行にスライドさせることができる。円柱状の豆投入カップ114と同様、直方体形状の豆投入カップもまた、上面と、底面の一部とに開口を有する。そして、挿入後の第1の位置では底面の開口から焙煎室126に生豆の移動が許容され、スライド後の第2の位置においては、底面の開口から焙煎室126に生豆の移動が制限される。
上述の構成によれば、豆投入カップ114の突起114bが切り欠き溝170aと契合し、かつ、第1の溝171に沿って挿入できなければ、豆投入カップ114は第1の位置に到達しないし、その後、第2の位置に回転させることができない。逆に言えば、第1の溝171に生豆等の異物が詰まっている場合には、豆投入カップ114を正常に挿入し、第2の位置に移動させることができない。第2の溝172に異物が詰まっている場合も同様である。後に図26を参照しながら説明するように、焙煎機100は、豆投入カップ114が第1の位置および第2の位置にあることをもって、予熱動作およびその後の焙煎動作を許可する。突起114bと第1の溝171とを契合させ、さらに突起114bと第2の溝172とを契合させるように構成することにより、焙煎機100は、異物混入時に動作を禁止する機能を備えることが可能になった。
ここで、図19Aおよび図19Bに示す、磁界を検出するための構成を説明する。
本実施形態では、豆投入カップ114が挿入される穴は風洞構造体123に設けられている。豆投入カップ114が焙煎機100に挿入され、第1の位置に到達したとき、豆投入カップ114の2つの磁石114aは風洞構造体123と接する。そのため、磁気センサ180は、通常であれば2つの磁石114aの到達位置に近接して配置されればよい。
しかしながら、上述のように風洞構造体123は高温になる。電子部品である磁気センサ180を風洞構造体123に近接して配置すると、磁気センサ180の耐熱温度を超えてしまう。
そこで本願発明者は、図19Aおよび図19Bに示すように、風洞構造体123から離れた位置に設けられた基板181上に磁気センサ180を実装した。そして、磁石114aの磁界を検出するために、磁界の大きさに応じて磁気分極が増大する軟磁性体の板金182を用いることとした。
図示されるように、板金182の一端は、基板181を挟んで磁気センサ180の裏側まで引き伸ばされる。板金182の他端は、豆投入カップ114が第1の位置に到達したときの、豆投入カップ114の磁石114aの近傍に配置される。よって磁気センサ180は、少なくとも板金182の長さだけは、2つの磁石114aの位置から離れている。
ただし、板金182の磁気分極は、2つの磁石114aによって生成された磁界の大きさに応じて変化するため、磁気センサ180は、板金182の磁気分極に基づいて磁石の磁界を検出することができる。これにより、焙煎時に風洞構造体123および豆投入カップ114が高温になったとしても、磁気センサ180への熱の影響を低減でき、磁気センサ180の熱暴走を防ぐことができる。
次に、焙煎機100の動作を説明する。本実施形態では、焙煎機100は、コーヒーの生豆に関する情報提供システムを利用して、焙煎プロファイルを取得する。焙煎プロファイルとは、ユーザが所有する焙煎機100を制御するための制御情報である。焙煎プロファイルは、たとえば、焙煎機100における焙煎時間と焙煎温度との関係を示す温度プロファイル、および、焙煎時間と、焙煎機100のファンモータ120aの単位時間当たりの回転数との関係を示す回転数プロファイルを含む。
ユーザは、所有する端末装置を利用して焙煎プロファイルを取得し、取得した焙煎プロファイルを焙煎機100に無線で送信する。焙煎機100は受信した焙煎プロファイルにしたがって生豆の焙煎工程を実行する。
なお、焙煎プロファイルは、生豆提供業者からの依頼を受けて、焙煎の技能が優れた焙煎士によって生豆の種類ごとにあらかじめ作成され得る。生豆の種類とは、生豆の産地、農園、生豆の銘柄等による区分である。典型的には、焙煎士は、ユーザに販売されている焙煎機100と同じ性能を有する焙煎機を利用して、その生豆の焙煎に適切であると考える温度プロファイルおよび回転数プロファイルの組を決定する。
図20は、情報提供システム10の構成を示す。以下、情報提供システム10においてユーザが焙煎プロファイルを取得する手順を説明する。図20には異なるユーザAおよびBが示されている。説明の重複を避けるため、以下ではユーザAについてのみ説明するが、ユーザBにも同様の説明が適用され得る。
ユーザAは、焙煎機100の他、端末装置200を保持している。たとえば端末装置200はカメラ付きスマートフォンである。ユーザは端末装置200のカメラで情報コード5を撮影(読み取り)する。本実施形態では、情報コード5は、ユーザが購入した生豆の包装容器に表示された、生豆の焙煎プロファイルを取得するために利用する情報である。ユーザAの端末装置200は、生豆の包装容器に付与された情報コード5から生豆の識別情報4を抽出し、識別情報4に基づいて、その生豆の属性情報を取得する。たとえば、識別情報は商品番号であり、情報コード5はQRコード(登録商標)であり得る。文字情報からQRコード(登録商標)を生成する技術は公知であるためその詳細な説明は省略する。なお、本明細書では生豆の情報コード5と識別情報とは異なるとして説明するが、異なることは必須ではない。たとえば識別情報をそのまま情報コード5として取り扱ってもよい。
たとえば、端末装置200の信号処理回路(信号処理プロセッサまたはCPU)がアプリケーション・プログラムを実行して、読み取った情報コード5から識別情報4を抽出する。または、端末装置200の専用の処理回路(DSP)が読み取った情報コードから識別情報4を抽出する。
端末装置200は得られた識別情報4を、通信ネットワーク9を介して生豆提供業者のDBサーバ400に送信し、その生豆の属性情報6の送信を要求する。通信ネットワーク9は、たとえばインターネットである。
属性情報6は、その生豆の1または複数の焙煎プロファイル2を含む。DBサーバ40
0は、焙煎プロファイル2とともに予め格納していたその生豆の属性情報6を、通信ネットワーク9を介してユーザの端末装置200に送信する。端末装置200は属性情報6を受信する。
ユーザの端末装置200は、取得した属性情報6から焙煎プロファイル2を抽出し、自己が所有する焙煎機100に送信する。焙煎機100は焙煎プロファイル2を受信して、焙煎動作の開始前に制御情報として焙煎プロファイル2を設定する。これにより、焙煎機100は、その生豆を焙煎士が焙煎したと同じ条件で焙煎を行う。焙煎が終了すると、ユーザは焙煎プロファイル2に従って焙煎された豆8’を得ることができ、それをグラインドして、コーヒーを愉しむことができる。
焙煎作業は、生豆ごとに温度管理、送風管理、時間管理を別個独立して適切に行わなければならないため、一般人が満足のゆく焙煎を行うためには時間と労力が必要である。たとえば温度管理に関しては、焙煎開始直後の初期に温度が1℃異なると焙煎後のコーヒーの風味が大きく変わると言われる。
本実施形態では、焙煎士が決定した焙煎プロファイルを用意し、ユーザが所有する端末装置200から焙煎プロファイルを焙煎機100に設定する。これにより、手軽に、かつ適切な焙煎を行うことができ、生豆を焙煎する作業を通じてユーザの満足感を向上させることができる。
また、後述のように、属性情報6には、焙煎プロファイル2の他、種々の情報が含まれる。種々の情報の例は、その生豆の生産地、生産者、焙煎士に関する情報等である生豆に関する付随情報、サーバに接続するためのアクセス情報、複数の焙煎プロファイルが含まれる場合に焙煎士が特におすすめする焙煎プロファイルを示す優先度情報である。ユーザは、端末装置200を利用してこれらの情報を参照することができる。これにより、ユーザはその生豆について深く知ることができ、より深くコーヒーを愉しむことができる。
以下、図21から図24を参照しながら、DBサーバ400、端末装置200および焙煎機100の情報処理に関するハードウェア構造を説明する。
図21は、生豆提供業者が運用するDBサーバ400のハードウェア構成図である。DBサーバ400は、信号処理回路(以下「CPU」と呼ぶ。)401と、通信回路402と、メモリ403とを有するコンピュータシステムである。CPU401、通信回路402およびメモリ403は通信バス404に接続され、相互にデータを送受信できる。通信回路402は、たとえば、イーサネット(登録商標)規格の有線接続の通信を行う。
メモリ403には、図示されない不揮発性メモリから読み出されたコンピュータプログラム403aが読み出されて展開されている。コンピュータプログラム403aは、たとえば、プロファイルデータベース(DB)の構築用プログラム、プロファイルDBの管理プログラムである。CPU401はこれらのコンピュータプログラムを実行することにより、後述する通信および処理を行う。
またDBサーバ400には、プロファイルデータベース(DB)410が接続されている。プロファイルDB410には、生豆提供業者が焙煎士から受け取った焙煎プロファイル2が蓄積されている。
図22および図23は、異なる焙煎プロファイル2の例を示す。横軸は焙煎時間tを示し、縦軸は、焙煎温度およびファンモータ120aの回転数を示す。焙煎プロファイルは、焙煎機100による各生豆の焙煎方法を示す制御情報である。焙煎プロファイルは、焙煎機100における焙煎時間と焙煎温度との関係を示す温度プロファイル、および、焙煎時間とファンモータ120aの回転数との関係を示す回転数プロファイルを含む。
図22および図23に示す2つの焙煎プロファイルは、時刻t1までは温度変化は同じであるが、時刻t1以降は異なっている。またファンモータ120aの回転数については当初の時刻t0から異なっていることが理解される。
このように焙煎時の温度および風量の各条件が異なる理由は、たとえば生豆の特徴および目標とする焙煎の程度が異なるためである。「生豆の特徴」とは個々の生豆の大きさ、水分含有量、各種炭水化物、酸、脂質、アミノ酸、たんぱく質、カフェイン、クロロゲン酸等を言う。「焙煎の程度」とは、浅煎り、中煎り、深煎りである。
生豆ごとに、焙煎の程度が異なる少なくとも3つの焙煎プロファイル、つまり、浅煎り用、中煎り用、深煎り用の3つの焙煎プロファイルが用意されてもよい。
なお、焙煎の程度は、浅煎りから深煎りに向かって、順に、ライトロースト、シナモンロースト、ミディアムロースト、ハイロースト、シティロースト、フルシティロースト、イタリアンロースト、フレンチロースト、のようにさらに細分化され得る。
焙煎機100は図22および図23に示す焙煎プロファイルに沿うよう、温度およびファンモータ120aの回転数を制御する。焙煎機100のマイコン(後述)は、温度センサ143の出力値に基づいて、ヒータユニット127への入力を調整する。これにより、焙煎機100の焙煎室126内の温度が制御される。
なお、図22および図23に示す波形は、理解の便宜のため連続関数で示した。しかしながら実際には、焙煎開始時刻を基準とした経過時刻ごとに温度および回転数が示されたデータ列として用意され得る。
図示されない通信インタフェースを介して、プロファイルDB410もまたバス404に接続され、CPU401等によってプロファイルDB410の検索、更新等が行われ得る。プロファイルDB410はDBサーバ400内に設けられてもよい。
DBサーバ400の動作の詳細は、後に説明する。
図24は、ユーザ端末装置200および焙煎機100のハードウェア構成図である。
端末装置200は、信号処理回路(以下「CPU」と呼ぶ。)201と、無線通信回路202と、入力インタフェース(I/F)装置203と、メモリ204と、画像処理回路205と、ディスプレイ206と、カメラモジュール207と、ストレージ208と、スピーカ209とを有するコンピュータシステムである。たとえば、端末装置200はスマートフォンまたはタブレット型コンピュータである。端末装置200の上述の構成要素は通信バス210に接続され、相互にデータを送受信できる。
本実施形態では、通信回路202は、複数の通信規格の通信を行うことが可能であるとする。たとえば無線通信回路202は、通信会社が提供する通信方式(たとえばCDMA通信)での通信、Wi−Fi(登録商標)規格の通信、および、Bluetooth(登録商標)規格の通信を行うことが可能である。一例として、前二者はDBサーバ400との通信に利用され得る。Bluetooth(登録商標)規格の通信は、焙煎機100との通信に利用され得る。
入力I/F装置203は、ユーザが指令を端末装置200に入力するための装置である。本実施形態では、入力I/F装置203は、ディスプレイ206に重畳して設けられたタッチスクリーンパネルであるとする。ただし、タッチスクリーンパネルは入力I/F装置203の一例である。入力I/F装置203は、物理ボタンであってもよい。または、入力I/F装置203は、マイクおよび音声認識回路によって構成されてもよい。入力I/F装置203は、ユーザの音声を認識して端末装置200への指示を入力する。
メモリ204には、図示されない不揮発性メモリから読み出されたコンピュータプログラム204aが展開されている。コンピュータプログラム204aは、たとえば生豆提供業者によって提供され、生豆提供業者が端末装置200に実行させたい処理手順が記述されている。たとえば、コンピュータプログラム204aは、CPU201の指示によってカメラモジュール207を起動させ、情報コードを撮影させて、CPU201に情報コードから生豆の識別情報を抽出させる。そしてコンピュータプログラム204aは、CPU201にDBサーバ400と通信させ、DBサーバ400から生豆の属性情報を受信させ、ディスプレイ206に文字および画像を表示させる。このとき、画像処理回路205に表示のための処理を行わせることもある。さらにコンピュータプログラム204aは、CPU201に、受信した属性情報をストレージ208に格納させる。
画像処理回路205は、ディスプレイ206に文字、図形等を表示するための演算を行う回路である。
ディスプレイ206は出力装置の一例である。ディスプレイ206は、たとえば液晶表示パネル、または有機ELパネルであり、画像処理回路205の演算結果に基づいて、文字および/または画像を表示する。
カメラモジュール207は、いわゆる撮像装置の一例である。カメラモジュール207は、たとえば、一枚または複数枚のレンズ、当該レンズを光軸方向に移動させるアクチュエータおよび撮像素子を含む。本実施形態では、カメラモジュール207はQRコード(登録商標)を読み取るために利用される。
ストレージ208は、たとえば不揮発性のフラッシュメモリであり、端末装置200が取得した生豆の属性情報等が記憶される。
スピーカ209は出力装置の一例である。本実施形態では、スピーカ209は、生豆に関する説明を音声によって出力する。当該説明は、生豆の生産地、生産者、焙煎士に関する説明であり付随情報として予め用意されている。
端末装置200の動作の詳細は後述する。
焙煎機100は、マイクロコントローラ(以下「マイコン」と記述する。)301と、無線通信回路302と、メモリ303と、ファンモータ120aと、ヒータユニット127とを有している。焙煎機100の上述の構成要素は通信バス307に接続され、相互にデータを送受信できる。これらは、たとえば電子回路基板113上に搭載されている。
本実施形態では、通信回路302は、Bluetooth(登録商標)規格の通信を行うことが可能であるとする。無線通信回路302は、端末装置200の無線通信回路202と当該規格の通信を行うことができる。
マイコン301は無線通信回路302を介して端末装置200と通信し、端末装置200から焙煎プロファイル2を受信して、一時的にメモリ303に格納してストレージ30
6に蓄積する。そしてマイコン301は、焙煎プロファイル2を利用した焙煎動作時に、ファンモータ120aの回転速度(単位時間当たりの回転数。以下「回転数」と略記する。)を制御し、さらにヒータユニット127の温度を制御する。
図24のマイコン301は、予め所定の動作を行うよう、マイコン301内部のEEPROM(図示せず)にコンピュータプログラムが予め記憶されている。マイコン301は内部のバッファおよびレジスタを利用してそのコンピュータプログラムを実行する。なお、DBサーバ400および端末装置200の例と同様、焙煎機100においてもメモリ303に展開されたコンピュータプログラムを、マイコン301が実行してもよい。
図25は、焙煎機100とユーザ端末装置200との間で行われる通信と、焙煎機100およびユーザ端末装置200の各々の処理の手順を示すフローチャートである。
ステップS1において、端末装置200のCPU201は、包装容器に付与された情報コードを端末装置200で読み取って生豆コードを取得する。
ステップS2において、CPU201は、生豆コードに対応する属性情報がストレージ208に存在するか否かを判定する。たとえばCPU201は、取得した生豆コードと同じ生豆コードを有する属性情報が存在するか否かを判定する。生豆コードに代えて製品名を用いることもできる。取得した生豆コードと同じ生豆コードを有する属性情報が存在する場合には処理はステップS3に進み、処理が存在しない場合には処理はステップS4に進む。
ステップS3において、CPU201は、最新の情報に更新するか否かをユーザに確認する。CPU201が最新の情報に更新する指示を受け取ると、処理はステップS5に進む。一方、ステップS4において、CPU201は、生豆コードに対応づけて属性情報をストレージ208に記憶する。
ステップS5以降は、焙煎機100に制御情報を送信する処理に関する。
ステップS5において、端末装置200のCPU201は、生豆コードに対応する属性情報から、制御情報(焙煎プロファイル)、優先度情報等を抽出して、ユーザに焙煎方法の選択を促すための通知を表示する。
ステップS6において、CPU201は、たとえばディスプレイ206に表示された送信ボタンへのタッチを、選択された焙煎方法に対応する制御情報の送信指示として受け付ける。CPU201は選択された焙煎方法に対応する制御情報(焙煎プロファイル)を焙煎機100に送信する。
なお、CPU201は選択された焙煎方法に対応する制御情報(焙煎プロファイル)のみを焙煎機100に送信することが望ましい。たとえば、ストレージ208に格納された、浅煎り用、中煎り用、深煎り用の3つの焙煎プロファイルが存在するときであっても、それらのうちのいずれか1つが焙煎機100に送信される。送受信されるデータ量を抑制することにより、焙煎機100のメモリ303またはストレージ306の容量を削減できるため、焙煎機100を低コストで提供できる。
ステップS8において、焙煎機100のマイコン301は、制御情報を受信して、ストレージ306に記憶する。さらにマイコン301は、受信した制御情報をマイコン301の動作パラメータとして設定する。マイコン301は、動作パラメータに応じてファンモータ120aおよびヒータユニット127に流すべき電流値を決定するためのテーブル、関数またはプログラムを予め保持している。マイコン301は、動作パラメータが設定されると、その動作パラメータにしたがって生豆を焙煎することができる。
ステップS9において、焙煎機100のマイコン301は、設定した動作パラメータに従って焙煎を開始する。
以上、焙煎機100の基本的な一連の動作を説明した。次に、図26を参照しながら、焙煎工程が開始される前の動作を説明する。
図26は、豆投入カップ114の装着から焙煎動作が実行されるまでの手順を示すフローチャートである。図26に示す処理は焙煎機100に電源が投入されてから実行される。なお、図26の処理とは別に、マイコン301は、適用する焙煎プロファイルのデータをユーザの端末装置200から受信し、そのデータをメモリ303に格納する処理を実行しているとする。
ステップS21において、焙煎機100のマイコン301は磁気センサ180(図19Aおよび図19B)の出力を監視する。
ステップS22において、マイコン301は、磁気センサ180の出力に基づいて磁界の強さが所定値以上になったか否かを判定する。この判定処理は、豆投入カップ114が焙煎機100に装着されたか否かの判定処理に相当する。上述のように、豆投入カップ114の底面には磁石114a(図16)が設けられている。豆投入カップ114が開口構造体170に挿入され第1の位置に到達したとき、磁石114aが作る磁界の強さは、所定値以上になる。その結果、マイコン301は、磁界の強さが所定以上になったと判定する。その後、処理はステップS23に進む。一方、磁界の強さが所定値以上にならない場合には、処理はステップS21に戻る。
なお、「所定値」は予め定めることができる。たとえば焙煎機100の製造時において、焙煎機100の製造者は磁石114aが作り出す磁界の強さを予め知ることができる。「所定値」は、豆投入カップ114が第1の位置にあるときの磁界の強さに基づいて決定し得る。
ステップS23において、マイコン301は、磁界の向きが変化し、その大きさが所定範囲内に入ったか否かを判定する。この判定処理は、豆投入カップ114が回転され、第2の位置に到達したか否かの判定処理に相当する。豆投入カップ114が回転されると磁石114aの位置が変わるため、磁気センサ180が検出する磁界の向きおよび強さが変わる。豆投入カップ114が回転されて第2の位置に到達したとき、磁石114aが作る磁界の向きは第1の位置における磁界の向きと相違し、かつ、磁界の強さも異なる。第2の位置における磁界の向き、および、磁界の大きさを予め測定して設定しておくことにより、マイコン301は豆投入カップ114が第2の位置に到達したか否かを判定できる。ステップS23の磁界の向きの変化および磁界の強さの条件を満たすときは処理はステップS24に進み、満たさないときは処理はステップS21に戻る。
ステップS24において、マイコン301は予熱動作を行う。つまり、予熱動作は豆投入カップ114が第1の位置に装着され、回転されて第2の位置に来なければ実行されない。予熱動作として、マイコン301は予め定められた大きさの電流をヒータユニット127に流す。予め定められた温度に到達すると予熱動作は終了する。なお、予熱動作中、豆投入カップ114が第2の位置にあるとき、ユーザは豆投入カップ114に生豆を装填する。
ステップS25において、マイコン301は、磁界の向きが2回変化し、その大きさが所定範囲内に入ったか否かを判定する。この判定処理は、豆投入カップ114が逆方向に回転され、第1の位置に戻った後、さらにもう一度第2の位置に戻ったか否かの判定処理に相当する。豆投入カップ114が第1の位置に戻ると、装填された生豆が豆投入カップ114の開口114cから焙煎室126に投入される。その後、第2の位置に戻されて開口が閉じた状態で、焙煎のための準備が整う。
ステップS26において、マイコン301は、予め取得しておいた焙煎プロファイルに基づいて焙煎動作を開始する。
以上の説明から理解されるように、豆投入カップ114が焙煎機100に挿入され、磁気センサ180が2つの磁石114aの磁界を検出した場合には、マイコン301は、焙煎機100の動作の開始を許可する。その結果、焙煎機100は予熱動作および焙煎動作を実行する。
次に、図27を参照しながら、温度センサ143の出力に基づく緊急停止動作を説明する。予熱動作中または焙煎動作中に焙煎機100内に液体が侵入した場合、筐体110内部は非常に高温であるため焙煎機100の動作を即座に停止する必要がある。本願発明者は、液体の侵入を検出するため、温度センサ143を用いることとした。
温度センサ143は、ヒータユニット127によって加熱された空気の温度を検出する。しかしながら、図13Bに示すように、温度センサ143は、豆投入カップ114から液体が投入されたときには、液体がかかりやすい位置に設置されている。液体が温度センサ143にかかると、温度センサ143の温度は急激に低下し得るため、液体の侵入を即座に検出できる。
図27は、温度センサ143による温度低下検出時の処理の手順を示すフローチャートである。
ステップS31において、マイコン301は、温度センサ143の出力電圧を監視する。温度センサ143は温度の高さに応じた電圧を出力する。マイコン301は、現在の出力電圧の大きさに応じて現在の温度を推定することができる。また、温度センサ143は、1℃の温度変化が生じると出力電圧はたとえば数mVで変化する。マイコン301は、出力電圧値の変化の大きさにより、温度変化を知ることができる。
ステップS32において、マイコン301は、所定以上の電圧変化を検出したか否かを判定する。予熱または焙煎中に液体がかかった場合、温度はたとえば20度以上変化すると考えられる。20度の温度変化に対応する電圧の変化量の情報は予め用意され、たとえばメモリ303に保持されている。
マイコン301が所定以上の電圧変化を検出した場合には処理はステップS33に進み、そうでない場合には処理はステップS31に戻る。
ステップS33において、マイコン301は、種々の命令を出力する。たとえばマイコン301は、ヒータユニット127への通電の停止、筐体110内を冷却するためのファンモータ120aの高速回転、および、図示しないスピーカからの警告音の出力である。さらにマイコン301は端末装置200にも警告を送り、そのディスプレイ206に警告文字を表示し、スピーカ209から警告音を出力してもよい。
温度センサ143を用いる例に代えて、またはその例とともに、焙煎筒カバー121の
内部の底面に、受けた液体を検出する液体検出センサを設けてもよい。液体検出センサを設けることにより、確実に液体の侵入を検出することができる。液体検出センサが液体を検出した場合には、マイコン301は上述のステップS33の処理を実行すればよい。
上述の説明では、焙煎筒122、風洞構造体123は金属材料で形成されているとしたが、これは一例である。金属材料以外の材料を利用してもよい。たとえば、焙煎時の温度である約200度において所定以上、たとえば100(W・m-1・K-1)の熱伝導率を有する材料で形成されていればよい。
上述の実施形態では、コーヒー生豆を焙煎する態様を説明したが、これは一例である。上述の説明は、たとえばアーモンド、クルミ等のナッツ類、または茶葉の焙煎を行う焙煎機と、その焙煎機に制御情報を送信する端末装置にも適用され得る。
また、上述の実施形態では、情報コード5はQRコード(登録商標)であり得るとして説明したが、バーコード(JANコード)であってもよい。また、実施形態では、情報コード5は端末装置200のカメラで撮影されて、光学的に読み取られると説明したが、他の態様を採用し得る。たとえば情報コード5を磁気テープ等に記録し、端末装置200が磁気ヘッドを用いて磁気的に情報コード5を読み取ってもよい。あるいは、情報コード5を無線通信タグの記憶装置(たとえばフラッシュメモリ)に記録し、端末装置200が無線通信によって情報コード5を読み取ってもよい。または、ユーザが包装容器に付与されたラベルの品名等を読み取り、端末装置200に入力してもよい。