JP6718712B2 - 質量分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、質量分析装置に関する。
質量分析装置は、質量分析法(Mass Spectrometry)により試料の分析を行うための装置である。質量分析装置は、試料をイオン化するイオン源、イオンの質量を価数で除した値(m/z)ごとに分離・検出する質量分析部、マススペクトルの作成やデータ処理を行うデータ処理部、に分けることができる。
質量分析法において、質量mは、12Cを12uとする単位系であらわされる。そのため、1価のイオンの場合、概して1uおきにピークが観測される。
質量分析装置には、下記表1に示すように多様な種類がある。
Figure 0006718712
表1に示すように、質量分析装置は、分解能の観点から、低質量分解能MS、高質量分解能MS、および超高質量分解能MSに分けることができる。
低質量分解能MSは、質量分離・質量精度がともに1uが分離できる程度に設定されている。高質量分解能MSは、1uの質量分離は容易に達成でき、質量精度も数ppmを達成できる。しかし、高質量分解能MSと低質量分解能MSとでは、マススペクトルに現れるピーク数には大きな差はない。
一方、近年、0.1u〜0.2u程度の質量分離が可能な超高質量分解能MSも普及している。0.1u〜0.2uの差の質量分離が可能となると、分子を構成する原子の質量欠損を足し合わせた整数質量からのずれを分離できるようになる。そのため、超高質量分解能MSでは、マススペクトルに現れるピーク数は、低質量分解能MSや高質量分解能MSの数倍〜10倍以上に増える。また、超高質量分解能MSでは、1ppm程度の質量精度も達成できるため、精密質量による化合物の推定が容易である。一方で、超高質量分解能MSは高い質量分解能を有するため、得られるマススペクトルは複雑であり、適切にピーク情報を引き出す手法が必要となる。
低質量分解能MSに分類されるのは、主に、四重極型MS(QMS)、イオントラップ型MS(IT MS)、リニア型TOFMSである。高質量分解能MSに分類されるのは、主に、リフレクトロン型TOFMSである。近年、TOFMSの中にも飛行距離を延ばす工夫が施され、超高質量分解能MSに分類できるものもでてきている(非特許文献1参
照)。例えば、多重反射型TOFMSや、多重周回型TOFMSは、飛行距離を延ばす工夫が施されており、超高質量分解能MSに分類できる。また、超高質量分解能MSとしては、さらに、電場型フーリエ変換型MS(FT MS)や、磁場型フーリエ変換型イオンサイクロトロン共鳴型MS(FT−ICR MS)等がある。
近年、二次元の位置情報と各位置に含まれる化合物の質量と存在量の情報を得る手法として、マスイメージングが注目されている(例えば特許文献1参照)。マスイメージングは、例えば、一次イオンを試料表面に照射し、生成された二次イオンを分析する二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry、SIMS)や、レーザーを試料表面に照射し、生成されたイオンを分析するレーザー脱離イオン化質量分析法(Laser Desorption/Ionization Mass Spectrometry、LDI−MS)などを用いて行うことができる。
マスイメージングでは、試料表面に区画された微小領域ごとに、マススペクトルが得られる。そのため、マスイメージングで得られるデータは(X,Y,m/z,イオン強度)となる。なお、X、Yは微小領域の座標を表している。
マスイメージングを行うことで、特定の化合物のm/zを指定してその化合物の2次元分布、すなわちマスイメージを描画することができる。また、マスイメージ中のある関心領域(ROI)に含まれる複数のピクセルの各マススペクトルを積算して、当該領域に局在する化合物の情報を得ることができる。
超高質量分解能MSを用いてマスイメージングを行うと、低質量分解能MS、高質量分解能MSでは得られない、明確な化合物の分布を得ることができる(非特許文献2参照)。
特開2015−146288号公報
M.Toyoda,D.Okumura,M.Ishihara and I.Katakuse, J.Mass Spectrom,2003,38,1125−1142. T.Satoh,A.Kubo,H.Hazama,K.Awazu,M.Toyoda,Mass Spectrometry Vol.3(2014),S0027
マスイメージングにおいて測定データからマスイメージを描く際に、ユーザーは、マススペクトル上に観測されているピークの中心と幅を指定する。しかしながら、超高質量分解能MSを用いて得られたマススペクトルには多数のピークが存在しており、この多数のピークから所望のピークを選択することは、多大な労力を必要とする。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、容易に、良好なマスイメージを生成することができる質量分析装置を提供することにある。
(1)本発明に係る質量分析装置は、
試料の所定領域内に設定された複数の測定領域の各々に対して、質量分析を行うことによりマスイメージを生成する質量分析装置であって、
前記試料を前記測定領域ごとにイオン化し、生成されたイオンを質量分離し検出する測定部と、
前記測定部の測定結果に基づいて、前記測定領域ごとにマススペクトルを取得するマススペクトル取得部と、
前記マススペクトル取得部で取得された複数のマススペクトルに基づいて、マスイメージを生成するマスイメージ生成部と、
を含み、
前記マスイメージ生成部は、
複数のマススペクトルの少なくとも一部を積算して、積算マススペクトルを生成する処理と、
前記積算マススペクトルから同一化合物由来のピークを抽出する処理と、
抽出された同一化合物由来のピークに基づいて、マスイメージを生成する処理と、
を行い、
同一化合物由来のピークを抽出する処理では、モノアイソトピックピーク、および当該モノアイソトピックピークに関連する同位体ピークを抽出して、ピークグループを作成し、
マスイメージを生成する処理では、前記ピークグループに含まれる複数のピークの各々についてマスイメージを生成し、生成された複数のマスイメージを積算する
このような質量分析装置では、マスイメージ生成部が積算マススペクトルから同一化合物由来のピークを抽出する処理を行うため、例えば1つの測定領域のマススペクトルからピークの抽出を行う場合と比べて、各ピークを正確に分離、検出することができる。また、マスイメージ生成部が同一化合物由来のピークに基づいてマスイメージを生成するため、例えば1つのピーク(例えばモノアイソトピックピーク)からマスイメージを生成する場合と比べて、S/N比が高く、化合物の正確な強度分布の情報が得られるマスイメージを生成することができる。したがって、このような質量分析装置では、容易に、良好なマスイメージを生成することができる。さらに、このような質量分析装置では、同一化合物由来のモノアイソトピックピークおよび同位体ピークの情報を含むマスイメージを生成することができる。したがって、このような質量分析装置では、良好なマスイメージを生成することができる。
)本発明に係る質量分析装置において、
同一化合物由来のピークを抽出する処理では、抽出する同位体ピークの数を、マススペクトルの質量範囲に応じて変更してもよい。
このような質量分析装置では、良好なマスイメージを生成することができる。
)本発明に係る質量分析装置において、
同一化合物由来のピークを抽出する処理では、さらに、付加イオンが異なる同一化合物由来のピークを抽出して、前記ピークグループを作成してもよい。
このような質量分析装置では、付加イオンが異なる同一化合物由来のピークの情報を含むマスイメージを生成することができる。したがって、このような質量分析装置では、良好なマスイメージを生成することができる。
)本発明に係る質量分析装置において、
同一化合物由来のピークを抽出する処理では、さらに、高分子ポリマーにおいて繰り返し単位数が異なる同一化合物由来のピークを抽出して、前記ピークグループを作成してもよい。
このような質量分析装置では、高分子ポリマーにおいて繰り返し単位数が異なる同一化合物由来のピークの情報を含むマスイメージを生成することができる。したがって、このような質量分析装置では、良好なマスイメージを生成することができる。
)本発明に係る質量分析装置において、
マスイメージを生成する処理で生成された複数のマスイメージを記憶する記憶部を含んでいてもよい。
)本発明に係る質量分析装置において、
前記ピークグループに含まれるピークを表示部に表示させる処理を行う表示処理部を含んでいてもよい。
)本発明に係る質量分析装置において、
前記測定部は、前記イオンを質量分離し検出する質量分析部を有し、
前記質量分析部は、飛行時間型質量分析器、電場型フーリエ変換質量分析器、または磁場型フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴型質量分析器であってもよい。
本実施形態に係る質量分析装置を模式的に示す図。 試料の測定の対象となる領域を、測定領域ごとに分割した状態を模式的に示す図。 Angiotensin IIの同位体ピークのイオン強度分布を示す図。 ACTH Fragment 18−39の同位体ピークのイオン強度分布を示す図。 積算マススペクトルからモノアイソトピックピークを抽出する処理を説明するための図。 積算マススペクトルから同位体ピークを抽出する処理を説明するための図。 データ処理の結果を表示する画面の一例を示す図。 本実施形態に係る質量分析装置の動作の一例を示すフローチャート。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 質量分析装置
まず、本実施形態に係る質量分析装置について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る質量分析装置100を模式的に示す図である。
質量分析装置100は、試料Sの所定領域内に設定された複数の測定領域の各々に対して、質量分析を行うことによりマスイメージを生成する装置である。質量分析装置100は、図1に示すように、測定部10と、制御部20と、表示部30と、操作部32と、を含む。
測定部10は、試料Sを設定された測定領域ごとにイオン化し、生成されたイオン(イオン群)を質量分離し検出する。
図2は、試料Sの測定の対象となる領域(所定領域)を、測定領域Aごとに分割した状態を模式的に示す図である。測定部10は、図2に示すように、測定の対象となる領域を、複数の測定領域Aに分割して、測定領域Aごとに測定を行う。測定領域Aの数や大きさ(面積)は特に限定されず、任意に設定することができる。測定領域Aの位置は、二次元の直交座標系(測定領域(X,Y))で表すことができる。測定部10が測定領域Aごとに測定を行うことにより、1つの測定領域Aに対して1つのマススペクトルが得られる。
測定部10は、イオン源12と、質量分析部14と、を含んで構成されている。
イオン源12は、所定の手法で試料Sをイオン化し、生成されたイオンを一定のパルス電圧で加速する。本実施形態では、イオン源12は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法を用いて、試料Sをイオン化する。なお、イオン源12におけるイオン化の手法は特に限定されず、例えば二次イオン質量分析法(SIMS)を用いてもよい。
イオン源12は、図1に示すように、レーザー光源12aと、試料ステージ12bと、ステージ駆動部12cと、を含んで構成されている。
レーザー光源12aは、試料Sにレーザー光を照射する。レーザー光源12aからのレーザー光は、図示はしないが、レンズやミラー等の光学素子を介して、試料Sに照射されてもよい。質量分析装置100では、レーザー光の照射位置は固定されているため、試料ステージ12bが試料Sを移動させることにより、試料S上におけるレーザー光の照射領域が移動する。
試料ステージ12bには、試料Sが配置されたターゲットプレート2が載置される。試料Sには、必要に応じて、イオン化を促進するためのマトリックス(金属微粒子や有機化合物等)が噴霧される。試料ステージ12bは、X軸方向およびY軸方向に試料Sを移動させる。ステージ駆動部12cは、試料ステージ12bを駆動させる。
質量分析部14は、イオン源12で生成されたイオンを質量分離して検出する。質量分析部14は、イオンの飛行時間を計測することにより質量を分離する。すなわち、質量分析部14は、飛行時間型質量分析器(TOFMS)である。
質量分析部14は、例えば飛行距離が10m以上の多重周回型TOFMS、または多重反射型TOFMSである。すなわち、質量分析装置100は、0.1u〜0.2u程度の質量分離が可能な超高質量分解能MSである。
なお、質量分析部14は、電場型フーリエ変換質量分析器であってもよいし、磁場型フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴型質量分析器であってもよい。また、質量分析部14は、その他の手法により質量分離を行う質量分析器であってもよい。
質量分析部14は、イオンを検出し、入射したイオンの量(強度)に応じた信号を出力する検出器を含む。
表示部30は、表示処理部28によって生成された画像を表示するものであり、その機能は、LCD、CRTなどにより実現できる。
操作部32は、ユーザーによる操作に応じた操作信号を取得し、制御部20(分析制御部22)に送る処理を行う。操作部32の機能は、例えば、ボタン、キー、タッチパネル型ディスプレイ、マイクなどにより実現できる。ユーザーは、操作部32を介して、測定条件の設定や、マスイメージを生成する際のデータ処理の条件の設定などを行うことができる。
制御部20は、測定部10の制御や、測定部10の測定結果に基づきマスイメージを生成する処理などを行う。制御部20は、分析制御部22と、データ取得部24(マススペクトル取得部の一例)と、データ処理部26(マスイメージ生成部の一例)と、表示処理部28と、記憶部29と、を含んで構成されている。
分析制御部22、データ処理部26、および表示処理部28の機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)でプログラムを実行することにより実現してもよいし、ASIC(ゲートアレイ等)などの専用回路により実現してもよい。
記憶部29は、分析制御部22、データ処理部26および表示処理部28が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。また、記憶部29は、データ処理部26等の作業領域として用いられ、データ処理部26等が各種プログラムに従って実行した算出結果等を一時的に記憶するためにも使用される。記憶部29の機能は、ハードディスク、RAMなどにより実現できる。
分析制御部22は、測定部10の制御を行う。また、分析制御部22は、操作部32を介して入力されたデータ処理の条件などをデータ処理部26に送る処理を行う。
データ取得部24は、測定部10の測定結果に基づいて、試料Sの測定領域Aごとにマススペクトル(マススペクトルデータ)を取得する。データ取得部24は、質量分析部14の検出器の出力信号に基づき、マススペクトルを生成し、マススペクトルを取得する。
データ取得部24は、検出器の出力信号をデジタルデータに変換するデジタイザと、デジタイザから出力されたデジタルデータを一時的に記憶するメモリ(DRAM等)と、を含んで構成されている。データ取得部24におけるマススペクトルの取得は、例えば、デジタイザが所定の時間間隔(時間等間隔)で検出器の出力信号(すなわちイオン強度)をサンプリングし、サンプリングされたデータを時間に等間隔な形でメモリに記憶させることで行われる。データ取得部24は、マススペクトルを、測定領域Aの座標の情報とともにメモリに記録する。データ取得部24は、この処理を測定領域Aごとに行い、測定領域Aごとにマススペクトルを取得する。
データ処理部26は、データ取得部24で取得された複数のマススペクトルに基づいて、マスイメージを生成する処理を行う。
データ処理部26は、データ取得部24で取得された複数のマススペクトルを積算して、積算マススペクトルを生成する。データ処理部26は、例えば、全ての測定領域Aのマススペクトルを積算して、1つのマススペクトル(積算マススペクトル)を生成する。
なお、データ処理部26は、例えば指定された複数の測定領域Aのマススペクトルを積算して、1つのマススペクトル(積算マススペクトル)を生成してもよい。例えばユーザーが操作部32を介して組織切片が存在する複数の測定領域Aを指定した場合、データ処理部26において、組織切片の積算マススペクトルを生成することができる。
データ処理部26は、積算マススペクトルから同一化合物由来のピークを抽出する。
ここで、化合物を構成する元素は、安定同位体を持つことが多い。例えば、12Cと13Cなどである。構成元素数が少なければ、化合物の質量は最も存在量の多い安定同位体の組み合わせ(これをモノアイソトピックピークと呼ぶ)で考えればよい。しかしながら、構成元素が多くなると存在量の少ない同位体の組み合わせも無視できなくなる。
図3は、標準物質として用いられるペプチドであるAngiotensin IIの同位体ピークのイオン強度分布を示す図である。図4は、ACTH Fragment 18−39の同位体ピークのイオン強度分布を示す図である。
図3および図4に示すように、構成元素数の多いACTH Fragment 18−39は、構成元素数の少ないAngiotensin IIに比べて、モノアイソトピックピークの存在量が少なく、同位体ピークの存在量の割合が大きい。このように、一般的に、構成元素数、すなわち、m/zが大きくなるに従い、モノアイソトピックピークの存在量が少なくなり、同位体ピークの存在量の割合が大きくなる。
データ処理部26は、モノアイソトピックピーク、および当該モノアイソトピックピークに関連する同位体ピークを抽出して、同一化合物由来のピークのグループ(ピークグループ)を作成する。ピークグループは、積算マススペクトル上に出現する複数のピークから、同一化合物由来のピークを抽出してグループ化したものである。
例えば、データ処理部26は、積算マススペクトルに対してピーク判定を行い、積算マススペクトルに存在するすべてのピークを抽出する。そして、抽出されたピーク群からモノアイソトピックピークを抽出する。モノアイソトピックピークを抽出する処理(デアイソトープ処理)は、例えば、マススペクトル上で1つの同位体ピーク群に属すると推定される複数の同位体ピークの強度比と各元素の天然同位体比等に基づき理論的に計算される同位体ピークの強度比とを比較し、強度比が一致するか否かを判定することで行われる。強度比が一致した場合には、同位体ピーク群に含まれるピークの中からモノアイソトピックピークを抽出することができる。
図5は、積算マススペクトルからモノアイソトピックピークを抽出する処理を説明するための図である。
図5に示す例では、データ処理部26は、積算スペクトルから、化合物Aのモノアイソトピックピークと化合物Bのモノアイソトピックピークを抽出している。
モノアイソトピックピークが抽出されると、データ処理部26は、同位体ピーク間の質量差の情報を取得し、当該同位体ピーク間の質量差に基づき抽出されたモノアイソトピックピークに関連する同位体ピークを抽出する。例えば、ユーザーが操作部32を介して、抽出されたモノアイソトピックピークから同定される化合物の情報(当該化合物を構成する元素の情報)を入力することで、同位体ピーク間の質量差の情報が得られる。そして、データ処理部26は、当該同位体ピーク間の質量差に基づいて、同位体ピークを抽出する。
例えば、生体化合物では、そのほとんどがC、N、O、Hの組み合わせである。ここで、Cの同位体比(13C/12C)は1%であり、生体化合物を構成する他の元素の同位体比に比べて大きい。そのため、同位体ピーク間の質量差は、13Cと12Cとの質量差である1.003としてもよい。
図6は、積算マススペクトルから同位体ピークを抽出する処理を説明するための図であ
る。
図6に示す例では、データ処理部26は、積算スペクトルから、化合物Aの複数(図示の例では2個)の同位体ピークと化合物Bの複数(図示の例では2個)の同位体ピークを抽出している。
データ処理部26は、抽出する同位体ピークの数をマススペクトルの質量範囲に応じて変更してもよい。具体的には、高質量の同位体ピーク群では、低質量の同位体ピーク群と比較して、抽出する同位体ピークの数を増やしてもよい。上述したように、構成元素数、すなわち、m/zが大きくなるに従い、モノアイソトピックピークの存在量が少なくなり、同位体ピークの割合が大きくなるためである。
図3に示すAngiotensin IIでは、モノアイソトピックピーク、およびモノアイソトピックピークから高質量側に向かって1つ目の同位体ピークを抽出する。これに対して、図4に示すACTH Fragment 18−39では、モノアイソトピックピーク、モノアイソトピックピークから高質量側に向かって1つ目の同位体ピーク、および高質量側に向かって2つ目の同位体ピークを抽出する。
データ処理部26は、このようにして積算マススペクトルから同一化合物由来のモノアイソトピックピークと当該モノアイソトピックピークに関連する同位体ピークとを抽出して、ピークグループを作成する。データ処理部26は、積算マススペクトルの全てのモノアイソトピックピークに対して、それぞれピークグループを作成する。試料Sが複数の化合物から構成されている場合、化合物の数に応じて複数のピークグループが作成される。なお、データ処理部26は、ユーザーによって指定されたモノアイソトピックピークについてのみ、ピークグループを作成してもよい。
データ処理部26で作成されたピークグループの情報は、記憶部29に記憶される。ピークグループの情報は、例えば、モノアイソトピックピークのm/z、および当該モノアイソトピックピークに関連する同位体ピークのm/zの情報を含む。
制御部20は、作成されたピークグループをユーザーに提示する処理を行う。例えば、表示処理部28が記憶部29に記憶されたピークグループの情報を読み出して、表示部30に表示させる。表示処理部28は、ピークグループのラベルを、モノアイソトピックピークの質量電荷比(m/z)として、ピークグループに含まれるモノアイソトピックピークのm/zおよび同位体ピークのm/zを表示する。また、表示処理部28は、複数のピークグループのなかから1つのピークグループが選択された場合に、そのグループに含まれるモノアイソトピックピークおよび同位体ピークを積算マススペクトル上に表示してもよい(図6参照)。
データ処理部26は、抽出された同一化合物由来のピークに基づいて、マスイメージを生成する。具体的には、データ処理部26は、ピークグループに含まれる複数のピーク(モノアイソトピックピークおよび同位体ピーク)の各々についてマスイメージを生成し、生成された複数のマスイメージを積算してマスイメージ(以下、「積算マスイメージ」ともいう)を生成する。マスイメージの積算は、複数のマスイメージの各々の対応するピクセルの強度を積算することで行われる。そのため、積算マスイメージは、積算マススペクトルから抽出された同一化合物由来の複数のピークの情報を含むイメージとなる。データ処理部26は、1つのピークグループについて、1つの積算マスイメージを生成する。
データ処理部26は、作成されたすべてのピークグループに対して、それぞれ積算マスイメージを生成する処理を行ってもよいし、ユーザーによって指定されたピークグループ
についてのみ積算マスイメージを生成する処理を行ってもよい。
データ処理部26で生成された積算マスイメージは、記憶部29に記憶される。このとき、積算マスイメージとともに、積算マスイメージに対応するピークグループの情報が記憶部29に記憶されてもよい。
また、積算マスイメージとともに、積算前のマスイメージが記憶部29に記憶されてもよい。すなわち、積算マスイメージとともに、モノアイソトピックピークのマスイメージ、同位体ピークのマスイメージが記憶部29に記憶されてもよい。このとき、さらに、当該マスイメージを生成する際に用いた、モノアイソトピックピークのm/zおよび同位体ピークのm/zの情報が、記憶部29に記憶されてもよい。
表示処理部28は、データ処理部26におけるデータ処理の結果を表示部30に表示させる。表示処理部28は、データ処理部26で生成された積算マススペクトルや、ピークグループの情報、積算前のマススペクトルなどを表示部30に表示させる。表示処理部28は、これらの情報を記憶部29から読み出して、表示部30に表示させる処理を行う。
図7は、データ処理の結果を表示する画面の一例を示す図である。
データ処理部26においてデータ処理が終了すると、表示処理部28は、表示部30に、積算マスイメージおよび積算前のマスイメージ(すなわち、モノアイソトピックピークのマスイメージおよび同位体ピークのマスイメージ)を表示させる。このとき、積算マスイメージおよび積算前のマスイメージとともに、ピークグループに含まれるピークがバー型スペクトルとして表示される。表示されるバー型スペクトルは、ピークグループに含まれるピークのm/zを横軸に、各ピークのマスイメージの全部の測定領域Aの強度を積算した値を縦軸にしたものである。
このように、バー型スペクトルを表示することにより、各ピークグループに対応する化合物に含まれる分子について、直感的な情報を得ることができる。また、積算前のマスイメージを表示することにより、積算マスイメージのなかに、ピーク分離が不十分で他の化合物の情報が含まれてしまったマスイメージが含まれていた場合に、当該他の化合物の情報が含まれてしまったマスイメージを容易に特定することができる。他の化合物の情報が含まれてしまったマスイメージを特定することができれば、他の化合物の情報が含まれてしまったマスイメージを、積算対象から外して、再度、積算マスイメージを生成することができる。図7に示す例では、「同位体ピーク4」は、同一化合物由来のピークではないと考えられるため、データ処理部26において、「同位体ピーク4」をピークグループから除いて、再度、積算マスイメージを生成してもよい。
2. 質量分析装置の動作
次に、質量分析装置100の動作について説明する。図8は、質量分析装置100の動作の一例を示すフローチャートである。ここでは、マスイメージング測定を行う際の質量分析装置100の動作について説明する。
試料Sは、ターゲットプレート2に配置される。必要に応じて、イオン化を促進するためのマトリックスを試料Sに噴霧してもよい。ユーザーは、操作部32を介して、測定条件を設定する。設定される測定条件は、ターゲットプレート2上における測定対象領域の指定、測定対象領域の分割数(測定領域Aの大きさの設定)、各測定領域Aでのレーザー照射回数(例えば数十回〜数百回)等である。ユーザーは、操作部32を介して、これらの測定条件を分析制御部22に入力し、測定の開始を要求すると、分析制御部22は、測定部10を制御する処理を開始する。
分析制御部22は、設定された測定条件でレーザー照射位置が変更されるようにステージ駆動部12cを制御し、1つの測定領域Aに対して指定された回数だけレーザー光が照射されるようにレーザー光源12aを制御する。レーザーの照射により測定領域Aで発生したイオンは、レーザー照射ごとに、質量分析部14で質量分離され検出される。
データ取得部24は、測定部10の測定結果に基づいて、試料Sの測定領域Aごとにマススペクトルを取得する(ステップS10)。データ取得部24は、質量分析部14の検出器の出力信号に基づきマススペクトルを生成し、マススペクトルを取得する。
次に、データ処理部26は、データ取得部24で測定領域Aごとに取得された複数のマススペクトルを積算して、積算マススペクトルを生成する(ステップS12)。
次に、データ処理部26は、積算マススペクトルから、モノアイソトピックピーク、および当該モノアイソトピックピークに関連する同位体ピークを抽出して、同一化合物由来のピークのグループ(ピークグループ)を作成する(ステップS14)。
次に、表示処理部28がピークグループの情報を表示部30に表示させる(ステップS16)。ピークグループが複数ある場合には、表示処理部28は、複数のピークグループをリストにして、表示部30に表示させる。
次に、データ処理部26は、ピークグループに含まれる複数のピークの各々についてマスイメージを生成し、生成された複数のマスイメージを積算して積算マスイメージを生成する(ステップS18)。
データ処理部26は、ピークグループのリストに含まれるすべてのピークグループについて積算マスイメージを生成する。なお、データ処理部26は、ユーザーによってピークグループのリストからピークグループが選択された場合には、選択されたピークグループの積算マスイメージのみを生成する。
次に、表示処理部28は、データ処理部26で生成された積算マスイメージを表示部30に表示させる(ステップS20)。
表示処理部28は、図7に示すように、積算マスイメージ、積算前のマスイメージ、および、ピークグループに含まれるピークの情報を、表示部30に表示させる。
以上の処理により、マスイメージ(積算マスイメージ)を取得することができる。
質量分析装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
質量分析装置100では、データ処理部26は、複数のマススペクトルの少なくとも一部を積算して、積算マススペクトルを生成する処理と、積算マススペクトルから同一化合物由来のピークを抽出する処理と、抽出された同一化合物由来のピークに基づいて、マスイメージを生成する処理と、を行う。
このように、質量分析装置100では、データ処理部26が積算マススペクトルから同一化合物由来のピークを抽出する処理を行うため、例えば1つの測定領域Aのマススペクトルからピークの抽出を行う場合と比べて、各ピークを正確に分離、検出することができる。また、質量分析装置100では、データ処理部26が同一化合物由来のピークに基づいてマスイメージを生成するため、例えば1つのピーク(例えばモノアイソトピックピー
クのみ)からマスイメージを生成する場合と比べて、S/N比が高く、化合物の正確な強度分布の情報が得られるマスイメージを生成することができる。したがって、質量分析装置100では、容易に、良好なマスイメージを生成することができる。
このように、質量分析装置100では、マスイメージにおいて、本来、同一化合物として扱われるべきものが、質量分析法の特性上、マススペクトルに別々のピークとして出現している場合に、それらのピークを1つのピークグループとして統合してマスイメージを生成することができる。したがって、質量分析装置100では、より明確な化合物の分布情報を得ることができる。
質量分析装置100では、データ処理部26における同一化合物由来のピークを抽出する処理では、モノアイソトピックピーク、および当該モノアイソトピックピークに関連する同位体ピークを抽出してピークグループを作成し、データ処理部26におけるマスイメージを生成する処理では、ピークグループに含まれる複数のピークの各々についてマスイメージを生成し、生成された複数のマスイメージを積算する。そのため、質量分析装置100では、同一化合物由来のモノアイソトピックピークおよび同位体ピークの情報を含むマスイメージを生成することができる。したがって、質量分析装置では、良好なマスイメージを生成することができる。
質量分析装置100では、データ処理部26における同一化合物由来のピークを抽出する処理では、抽出する同位体ピークの数を、マススペクトルの質量範囲に応じて変更する。そのため、質量分析装置100では、容易に、良好なマスイメージを生成することができる。
質量分析装置100では、マスイメージを生成する処理において生成された複数のマスイメージを記憶する記憶部29を含むため、事後的に、他の化合物の情報が含まれてしまったマスイメージを積算対象から外して、再度、積算マスイメージを生成することができる。
質量分析装置100では、質量分析部14は、飛行時間型質量分析器、電場型フーリエ変換質量分析器、または磁場型フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴型質量分析器である。質量分析装置100では、質量分析部14が超高質量分解能MSであっても、容易に、良好なマスイメージを生成することができる。
3. 変形例
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
(1)第1変形例
上述した実施形態では、データ処理部26は、積算マススペクトルから同一化合物由来のピークを抽出する処理において、積算マススペクトルからモノアイソトピックピークおよび当該モノアイソトピックピークに関連する同位体ピークを抽出して、ピークグループを作成した。
これに対して、第1変形例では、データ処理部26は、積算マススペクトルから同一化合物由来のピークを抽出する処理において、積算マススペクトルから、さらに、付加イオンが異なる同一化合物由来のピークを抽出して、ピークグループを作成する。
質量分析においては、試料をイオン化する際に、付加イオンが生成される場合がある。付加イオンには、プロトン付加[M+H]+、ナトリウム付加[M+Na]+、カリウム
付加[M+K]+、銀付加[M+Ag]+、等がある。付加イオンには、試料中に含まれる物質由来のものや、イオン化を促進するために意図的に添加されたマトリックス由来のものなどがある。マススペクトル上には、同一化合物が、複数の付加イオンの形であらわれることがある。例えば試料が生体組織の場合には、同一化合物が、プロトン付加イオン、ナトリウム付加イオン、カリウム付加イオンの形で同時にマススペクトル上にあらわれることがある。
データ処理部26は、同一化合物由来のモノアイソトピックピークおよび同位体ピークを抽出する処理とともに、付加イオンが異なる同一化合物由来のピークを抽出する処理を行い、これらの処理で抽出された同一化合物由来のピークを1つのピークグループとする。
データ処理部26は、付加イオンの質量差に基づいて、付加イオンが異なる同一化合物由来のピークを抽出する処理を行う。プロトンの質量は1.0007uであり、ナトリウムイオンの質量は22.9892uであり、カリウムイオンの質量は38.9632uである。そのため、モノアイソトピックピークを起点に、上記の質量の差でピークを探すことで、積算マススペクトルから付加イオンが異なる同一化合物由来のピークを抽出することができる。
例えば、ユーザーが操作部32を介して付加イオンの種類を指定した場合には、データ処理部26は指定された付加イオンに関して、同一化合物由来のピークを抽出する処理を行ってもよい。
本変形例における質量分析装置100の動作は、上述した図8に示す質量分析装置100の動作において、積算マススペクトルから同一化合物由来のピークグループを作成する処理(ステップS14)で、同一化合物由来のモノアイソトピックピークおよび同位体ピークを抽出するとともに、付加イオンが異なる同一化合物由来のピークを抽出してピークグループを作成する点を除いて同じである。そのため、本変形例における質量分析装置100の動作の説明を省略する。
本変形例では、データ処理部26が積算マススペクトルから同一化合物由来のピークを抽出する処理において、付加イオンが異なる同一化合物由来のピークを抽出して、ピークグループを作成する。そのため、本変形例によれば、付加イオンが異なる同一化合物由来のピークの情報を含むマスイメージを生成することができ、良好なマスイメージを生成することができる。
(2)第2変形例
上述した実施形態では、データ処理部26は、積算マススペクトルから同一化合物由来のピークを抽出する処理において、積算マススペクトルからモノアイソトピックピークおよび当該モノアイソトピックピークに関連する同位体ピークを抽出して、ピークグループを作成した。
これに対して、第2変形例では、データ処理部26は、積算マススペクトルから同一化合物由来のピークを抽出する処理において、積算マススペクトルから、さらに、高分子ポリマーにおいて繰り返し単位数が異なる同一化合物由来のピークを抽出して、ピークグループを作成する。
合成高分子ポリマーは、ある特定の組織の繰り返し構造と、末端構造と、を持つ。そのため、マススペクトルには、繰り返し構造の質量差の間隔でピークが出現する。例えば、ポリエチレングリコール(HO(CO)HNa+)の場合、繰り返し単位はC
Oであり、繰り返し単位の質量は44.026である。積算マススペクトル上において、ある任意のnを持つポリマーのモノアイソトピックピークを起点に、繰り返し単位の質量差でピークを探すことで、繰り返し単位数が異なる同一化合物由来のピークを抽出することができる。
例えば、ユーザーが操作部32を介して高分子ポリマーの組成、または繰り返し単位を入力した場合には、データ処理部26は、入力された高分子ポリマーの組成または繰り返し単位に基づいて同一化合物由来のピークを抽出する処理を行ってもよい。
本変形例における質量分析装置100の動作は、上述した図8に示す質量分析装置100の動作において、積算マススペクトルから同一化合物由来のピークグループを作成する処理(ステップS14)で、同一化合物由来のモノアイソトピックピークおよび同位体ピークを抽出するとともに、高分子ポリマーにおいて繰り返し単位数が異なる同一化合物由来のピークを抽出してピークグループを作成する点を除いて同じである。そのため、本変形例における質量分析装置100の動作の説明を省略する。
本変形例では、データ処理部26が積算マススペクトルから同一化合物由来のピークを抽出する処理において、高分子ポリマーにおいて繰り返し単位数が異なる同一化合物由来のピークを抽出して、ピークグループを作成する。そのため、本変形例によれば、高分子ポリマーにおいて繰り返し単位数が異なる同一化合物由来のピークの情報を含むマスイメージを生成することができ、良好なマスイメージを生成することができる。
(3)第3変形例
上述した実施形態では、データ処理部26は、積算マススペクトルから同一化合物由来のピークを抽出する処理において、積算マススペクトルからモノアイソトピックピークおよび当該モノアイソトピックピークに関連する同位体ピークを抽出して、ピークグループを作成した。
これに対して、第3変形例では、データ処理部26は、積算マススペクトルから同一化合物由来のピークを抽出する処理において、積算マススペクトルから、さらに、付加イオンが異なる同一化合物由来のピークを抽出し、かつ、高分子ポリマーにおいて繰り返し単位数が異なる同一化合物由来のピークを抽出して、ピークグループを作成してもよい。
また、本変形例の質量分析装置100では、ユーザーが操作部32を介して、上述した同位体ピークを抽出する処理、付加イオンを抽出する処理、および高分子ポリマーの繰り返し単位数が異なるピークを抽出する処理のうちのどの処理を行うかの指定を行ってもよい。データ処理部26は、ユーザーの指定に応じて、上記のいずれかの処理、または上記の複数の処理を組み合わせて行ってもよい。
(4)第4変形例
上述した実施形態では、データ処理部26は、積算マススペクトルからモノアイソトピックピークおよび当該モノアイソトピックピークに関連する同位体ピークを抽出して、ピークグループを作成した。
ここで、質量分析法による測定を行う際には、マススペクトルに、ユーザーが既知の化合物のピークや、ユーザーがターゲットとする化合物があらわれる場合も多い。この場合、データ処理部26が、積算マススペクトルからモノアイソトピックピークを抽出する処理を行わずに、ユーザーによって入力されたモノアイソトピックピークの組成式のリストに基づいて、ピークグループを作成する処理を行ってもよい。すなわち、この場合、データ処理部26が、モノアイソトピックピークの組成式のリストに挙げられたモノアイソト
ピックピークに関して、上述した同位体ピークを抽出する処理や、付加イオンを抽出する処理、高分子ポリマーの繰り返し単位数が異なるピークを抽出する処理を行ってもよい。
この処理において、どのピークグループにも属さないピークについては、ユーザーが想定していない化合物であるから、データ処理部26において、モノアイソトピックピークを抽出して、上述した同位体ピークを抽出する処理や、付加イオンを抽出する処理、高分子ポリマーの繰り返し単位数が異なるピークを抽出する処理を行ってもよい。
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
2…ターゲットプレート、4…同位体ピーク、10…測定部、12…イオン源、12a…レーザー光源、12b…試料ステージ、12c…ステージ駆動部、14…質量分析部、20…制御部、22…分析制御部、24…データ取得部、26…データ処理部、28…表示処理部、29…記憶部、30…表示部、32…操作部、100…質量分析装置

Claims (7)

  1. 試料の所定領域内に設定された複数の測定領域の各々に対して、質量分析を行うことによりマスイメージを生成する質量分析装置であって、
    前記試料を前記測定領域ごとにイオン化し、生成されたイオンを質量分離し検出する測定部と、
    前記測定部の測定結果に基づいて、前記測定領域ごとにマススペクトルを取得するマススペクトル取得部と、
    前記マススペクトル取得部で取得された複数のマススペクトルに基づいて、マスイメージを生成するマスイメージ生成部と、
    を含み、
    前記マスイメージ生成部は、
    複数のマススペクトルの少なくとも一部を積算して、積算マススペクトルを生成する処理と、
    前記積算マススペクトルから同一化合物由来のピークを抽出する処理と、
    抽出された同一化合物由来のピークに基づいて、マスイメージを生成する処理と、
    を行い、
    同一化合物由来のピークを抽出する処理では、モノアイソトピックピーク、および当該モノアイソトピックピークに関連する同位体ピークを抽出して、ピークグループを作成し、
    マスイメージを生成する処理では、前記ピークグループに含まれる複数のピークの各々についてマスイメージを生成し、生成された複数のマスイメージを積算する、質量分析装置。
  2. 請求項において、
    同一化合物由来のピークを抽出する処理では、抽出する同位体ピークの数を、マススペクトルの質量範囲に応じて変更する、質量分析装置。
  3. 請求項またはにおいて、
    同一化合物由来のピークを抽出する処理では、さらに、付加イオンが異なる同一化合物
    由来のピークを抽出して、前記ピークグループを作成する、質量分析装置。
  4. 請求項ないしのいずれか1項において、
    同一化合物由来のピークを抽出する処理では、さらに、高分子ポリマーにおいて繰り返し単位数が異なる同一化合物由来のピークを抽出して、前記ピークグループを作成する、質量分析装置。
  5. 請求項ないしのいずれか1項において、
    マスイメージを生成する処理で生成された複数のマスイメージを記憶する記憶部を含む、質量分析装置。
  6. 請求項ないしのいずれか1項において、
    前記ピークグループに含まれるピークを表示部に表示させる処理を行う表示処理部を含む、質量分析装置。
  7. 請求項ないしのいずれか1項において、
    前記測定部は、前記イオンを質量分離し検出する質量分析部を有し、
    前記質量分析部は、飛行時間型質量分析器、電場型フーリエ変換質量分析器、または磁場型フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴型質量分析器である、質量分析装置。
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