JP6717112B2 - プラズマ光源 - Google Patents

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Description

本発明は、極端紫外光を発生させるプラズマ光源に関する。
当該分野の技術として、特許文献1に記載されたプラズマ光源が知られている。このプラズマ光源は、中心電極と外部電極との間に電位差を発生させている状態において、中心電極と外部電極との間にプラズマ媒質の蒸気を供給して放電を発生させる。特許文献1では、この蒸気の原料となるプラズマ媒質は、中心電極の側面に配置されている。
特開2013−254693号公報
ところで、プラズマ媒質の蒸気(媒質蒸気)は、固体又は液体のプラズマ媒質にレーザ光が照射されることで、プラズマ媒質から蒸発して発生する。中心電極及び外部電極を備える同軸状電極は、プラズマを発生させるプラズマ源として機能する。中心電極と外部電極との間に媒質蒸気が供給されて、発生した初期プラズマは、電磁力によって中心電極の先端に移動して収束し高温・高密度状態になる。
特許文献1に記載の従来技術は、対向型プラズマフォーカス方式が適用され、同軸状電極が中心電極の軸線方向に対向して配置されている。この特許文献1では、両側から中心電極の先端に到達したプラズマを衝突させて、プラズマをより高温・高密度の状態として、極端紫外光を発生させている。従来技術では、レーザ強度を上げることで、媒質蒸気の発生量を増加させて、中心電極と外部電極との間に供給される媒質蒸気の供給量を増やし、極端紫外光の発光量を増大させようとしていた。しかしながら、単に、媒質蒸気の供給量を増加させても、初期放電の開始のタイミングが早まるだけであり、極端紫外光の発光量を調整することは困難であった。
本発明は、媒質蒸気の分布を調整して、極端紫外光の発光量を調整することが可能なプラズマ光源を提供することを目的とする。
本発明のプラズマ光源は、中央面を挟んで対向する一対の同軸状電極を備えたプラズマ光源であって、同軸状電極は、中央面と直交する方向に延在する中心電極と、中心電極の軸線を中心とする仮想円の周方向に離間し、中央面に向かって延在する複数の外部電極と、を備え、プラズマ光源は、周方向に隣り合う外部電極を結ぶ仮想線よりも外側で、プラズマ媒質を保持するプラズマ媒質保持部と、プラズマ媒質保持部に保持されたプラズマ媒質にレーザを照射するレーザ照射部と、プラズマ媒質保持部と外部電極との間に配置され、プラズマ媒質保持部で蒸発した媒質蒸気を通過させる開口が形成されて媒質蒸気が拡散する方向を制限する制限部と、を備え、制限部は、媒質蒸気が通過可能な開口の大きさを可変とする開口可変機構を含む。
このプラズマ光源では、プラズマ媒質保持部で蒸発した媒質蒸気のうち一部は、制限部の開口を通り抜け、制限部によって拡散する方向が制限されて、放電開始位置(所望の位置)に好適に供給される。また、制限部は、媒質蒸気が通過可能な開口の大きさを可変とする開口可変機構を含む構成であるので、開口の大きさを変えて、媒質蒸気が拡散する範囲を調整することができる。これにより、放電開始位置の近傍における媒質蒸気の分布を調整することができる。そして、放電開始位置で発生した初期プラズマが中央面側に移動する際に、放電開始位置よりも中央面側に分布する媒質蒸気によって、初期プラズマの密度分布を調整することができる。その結果、極端紫外光の発光量を調整することができる。また、媒質蒸気が拡散する方向が制限されるので、媒質蒸気が不要な位置に拡散することを防止することができ、媒質蒸気による汚れを抑制することができる。
また、開口は、プラズマ媒質においてレーザが照射される照射面の法線が通過する位置に配置されている構成でもよい。プラズマ媒質にレーザが照射されると、レーザが照射された位置において、プラズマ媒質の照射面の法線を中心として、余弦則に沿って拡散することが想定される。法線が通過する位置に開口が配置されているので、媒質蒸気が多く飛散する方向に、開口が配置されていることになる。そのため、多くの媒質蒸気が開口を通過して、放電開始位置に供給し、濃度が薄い媒質蒸気が拡散する範囲を制限して調整することができる。
また、開口可変機構は、開口の一部を覆う遮蔽板と、遮蔽板を軸線が延在する方向に移動させる駆動部と、を備える構成でもよい。これの構成によれば、中心電極が延在する方向に遮蔽板を移動させて、同軸状電極側に露出する開口の軸線方向における長さを変えることで、媒質蒸気が分布する範囲を調整することができる。
また、遮蔽板は、軸線が延在する方向において、中央面側から張り出すように配置されて、開口の一部を覆う構成でもよい。これにより、開口の中央面側の一部を覆うように遮蔽板を配置し、遮蔽板を軸線方向に移動させることで、開口の大きさを変えることができる。このため、遮蔽板を移動させて、放電開始位置よりも中央面側における媒質蒸気の分布を調整することができる。
また、開口は、軸線と交差する方向に延びる矩形状のスリットである構成でもよい。これにより、軸線が延在する方向において、媒質蒸気が拡散する範囲を制限することができると共に、軸線と交差する方向において、媒質蒸気が拡散する範囲を確保することができる。中心電極の回りに形成された初期プラズマの周方向における分布を均一化させ易くすることができる。周方向に均一化されたリング状の初期プラズマを中心電極の先端部に収束させることで、プラズマの高温化及び高密度化を促進させて、極端紫外光の発光量を増大させることができる。
また、開口の中央面側の部分の開口幅が、当該開口の中央面とは反対側の部分の開口幅よりも狭い構成でもよい。この構成によれば、軸線が延在する方向において、放電開始位置より先端側に、比較的濃度が薄い媒質蒸気を供給することができる。これにより、放電開始位置で発生した初期プラズマが中心電極の先端側に移動するまでに、さらに媒質蒸気を供給し、プラズマの密度を高くすることができる。
また、開口の周縁の中央面側の部分は、プラズマ媒質においてレーザが照射される照射点と、中央面における軸線の位置とを結ぶ直線よりも、中央面とは反対側に存在している構成でもよい。これにより、媒質蒸気が拡散する方向が制限され、中央面を超えて、反対側の同軸状電極へ拡散する媒質蒸気を抑制することができる。
本発明によれば、媒質蒸気の分布を調整して、極端紫外光の発光量を調整することができる。
本発明の一実施形態のプラズマ光源の構成を示す図である。 図1中の仮想面における同軸状電極の端面、及び軸線方向から見たプラズマ媒質供給部の配置を示す図である。 中央面を挟んで対向して配置された一対の同軸状電極及びプラズマ媒質供給部を示す側面図である。 図1中の制限部を示す平面図である。 図4に示す制限部の断面図である。 プラズマ光源の動作時に形成される電流経路を示す図である。 図7(a)は、第1変形例に係る制限部を示す平面図である。図7(b)は、第2変形例に係る制限部を示す平面図である。図7(c)は、第3変形例に係る制限部を示す平面図である。図7(d)は、第4変形例に係る制限部を示す平面図である。 第5変形例に係る制限部を示す平面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図1に示されたプラズマ光源1は、たとえば、半導体素子を製造するための露光装置に適用される。プラズマ光源1は、たとえば、波長13.5nmの極端紫外光(EUV光)を発生可能に構成されている。プラズマ光源1は、EUV光を発生させることにより、微細なパターンを形成するフォトリソグラフィを可能にする。
プラズマ光源1は、いわゆる対向型プラズマフォーカス方式が採用されたものである。プラズマ光源1は、プラズマを発生させる一対の同軸状電極10と、同軸状電極10に電位差を生じさせる電圧印加装置20(電圧印加部)と、媒質蒸気を形成する一対の媒質蒸気形成部30と、プラズマ媒質43を保持するプラズマ媒質供給部41と、を備える。
一対の同軸状電極10は、チャンバ2内に収容されており、軸線A上において互いに対面するように配置されている。一対の同軸状電極10は、仮想の中央面(対称面)Pに関して面対称に配置されている。一対の同軸状電極10の間には、一定の間隔(空間)が設けられている。チャンバ2には一又は複数の排気管3が設けられており、排気管3には真空ポンプ等(図示せず)が接続される。チャンバ2内は所定の真空度に維持される。また、チャンバ2は接地されている。
同軸状電極10は、1本の中心電極11と、複数の外部電極12と、1つの絶縁体13とを備える。中心電極11は、軸線A上に沿って延びる棒状の導電体である。一対の同軸状電極10の中心電極11は、軸線A上で互いに対向して配置されている。そして、中央面Pを挟んで、中心電極11の先端部11a同士が対向して配置されている(図3参照)。
中心電極11は、高温に対して耐性の高い金属からなることが望ましい。中心電極11は、たとえばタングステン(W)やモリブデン(Mo)等の高融点金属からなる。中心電極11の軸線Aは、上記した中央面Pに直交する。中央面Pに対面する中心電極11の先端部11aは、たとえば半球状をなしている。中心電極11の側面11bは、たとえば円錐状をなしている。
外部電極12は、対向する同軸状電極10に向かって延びる棒状の導電体である。外部電極12は、軸線Aに対して傾いた方向に延びている構成でもよい。例えば、図3に示されるように円錐状をなす中心電極11の側面11bから外部電極12までの距離が常に一定になるように、外部電極12は側面11bに対して平行である方向に延びていてもよい。外部電極12は、高温に対して耐性の高い金属からなることが望ましい。外部電極12は、たとえばタングステン(W)やモリブデン(Mo)等の高融点金属からなる。中央面Pに対面する外部電極12の端面は、曲面であってもよく、平面であってもよい。
また、外部電極12は、図2に示されるように、中心電極11の周囲に配置されている。外部電極12は、中心電極11に対して所定の間隔を有している。複数の外部電極12は、軸線Aを中心とする仮想円Fの周方向において等間隔に(すなわち回転対称に)配置されている。同軸状電極10は、6本の外部電極12を有する。6本の外部電極12は、軸線Aを基準として60°毎に配置されている。なお、外部電極12の本数は6本に限定されず、中心電極11および外部電極12の大きさや形状、これらの間隔などに応じて適宜設定され得る。中心電極11のまわりに複数の外部電極12が配置されることにより、初期放電(たとえば沿面放電、アーク放電)が、中心電極11と外部電極12との間に発生する。この初期放電は、面状放電6に至る(図6参照)。
図1に示される絶縁体13は、たとえば円板状をなすセラミックス板である。絶縁体13は、中心電極11と外部電極12の基部を支持し、これらの間隔を規定する。絶縁体13は、中心電極11と外部電極12とを電気的に絶縁する。
電圧印加装置20は、同軸状電極10に同極性又は逆極性の放電電圧を印加することにより、電位差を生じさせる。電圧印加装置20は、たとえば2台の高圧電源(HV Charging Device)21,22を備える。高圧電源は1台でもよく、3台以上でもよい。第1高圧電源21の出力側は、一方の(たとえば図示左側の)同軸状電極10の中心電極11に接続されている。第1高圧電源21は、その中心電極11に対応する外部電極12よりも高い正の放電電圧を印加する。なお、第1高圧電源21は、その中心電極11に対応する外部電極12よりも低い負の放電電圧を印加してもよい。第2高圧電源22の出力側は、他方の(たとえば図示右側の)同軸状電極10の中心電極11に接続されている。第2高圧電源22は、その中心電極11に対応する外部電極12よりも高い正の放電電圧を印加する。なお、第2高圧電源22は、その中心電極11に対応する外部電極12よりも低い負の放電電圧を印加してもよい。いずれの外部電極12も接地されていてもよい。以下の説明では、第1高圧電源21を単に電源21という。同様に、第2高圧電源22を単に電源22という。
なお、たとえば電源21,22のコモン側(リターン側)には、ロゴスキーコイル等を用いて誘導結合された線路が設けられてもよい。これらの線路により、中心電極11を経由した電流(すなわち、すべての放電電流)をオシロスコープ(Oscilloscope)で観察することができる。
プラズマ光源1は、さらに、電圧印加装置20からの放電電圧を放電エネルギとして外部電極12毎に蓄積するエネルギ蓄積回路26を備えている。エネルギ蓄積回路26は、中心電極11と外部電極12との間を個別に接続する複数のコンデンサCを含む。コンデンサCは、電源21,22の出力側及びコモン側に接続されている。放電エネルギを蓄積するコンデンサCが外部電極12毎に設けられることにより、すべての外部電極12において放電が発生し得る。すなわち、中心電極11の周方向における放電分布に偏りが生じて、偏在的に多くの放電エネルギが消費されることが防止される。エネルギ蓄積回路26を備えることにより、同軸状電極10において、中心電極11の全周に亘って発生する理想的な面状放電6が得られる。
プラズマ光源1は、さらに、電圧印加装置20に放電電流が帰還することを阻止する放電電流阻止回路28を備えている。放電電流阻止回路28は、外部電極12と電圧印加装置20(具体的には電源21,22のコモン側)との間を接続するインダクタLを含む。インダクタLは、放電電流に対して十分に高いインピーダンスを有するため、中心電極11及び外部電極12を経由した放電電流は、その発生源であるエネルギ蓄積回路26に戻され得る。これにより、コンデンサCに蓄積された放電エネルギが当該コンデンサCに直結した外部電極12以外の外部電極12に供給されることを防止できる。その結果、中心電極11の周方向における放電の発生分布に偏りが生じることを防止できる。
媒質蒸気形成部30は、レーザ装置(レーザ照射部)31を備える。また、媒質蒸気形成部30は、ビームスプリッタ(ハーフミラー)34及びミラー35を含む。レーザ装置31から出射されたレーザ光32は、ビームスプリッタ34及びミラー35を介してプラズマ媒質供給部41に照射される。このレーザ光32の照射によって、プラズマ媒質43のアブレーションが発生し、プラズマ媒質43の蒸気(媒質蒸気V)が発生する。レーザ装置31はたとえばYAGレーザであり、アブレーションを行うために基本波又は基本波の二倍波を短パルスのレーザ光として出力する。
レーザ装置31は、レーザ光32を出射する。レーザ光32は、ビームスプリッタ34やミラー35等の光学素子により、2本のレーザ光32a,32bに分岐され、プラズマ媒質供給部41に照射される。レーザ光32a,32bが照射されたプラズマ媒質43の表面(照射面)では、アブレーションによってプラズマ媒質43の一部が媒質蒸気Vとなって放出される。ここで媒質蒸気Vは、中性ガス又はイオンを含む。
また、レーザ光32の照射時には、同軸状電極10の中心電極11と外部電極12に電圧印加装置20による放電電圧が既に印加されている。従って、上述のアブレーションが発生すると、中心電極11と外部電極12との間において放電が誘発される。さらに、この放電によって面状放電6が形成される。
放電の発生箇所は、媒質蒸気Vの供給領域及びその近傍に制限される可能性がある。従って、レーザ光32は軸線Aの周方向(仮想円Fの周方向)に沿って間隔を置いて、複数且つ同時に照射することが好ましく、その数は少なくとも2箇所である。これは、誘発された放電の領域が、中心電極11の軸を基点に180度以上の開き角があった実験結果に基づいている。この結果を考慮すると、照射箇所の数が少ないほど中心電極11に対して回転対称な位置にレーザ光32a,32bを照射することが望ましい。なお、複数のレーザ光32の同時照射は、ビームスプリッタ34及びミラー35等の光学素子を用いて光路長を合わせた複数の光路を形成することで容易に達成できる。
図1〜図3に示されるように、プラズマ媒質供給部41は、プラズマ光の発生に用いられるプラズマ媒質43を保持するものである。プラズマ媒質供給部41は、固体又は液体であるプラズマ媒質43と、当該プラズマ媒質43を保持する保持部(プラズマ媒質保持部)42と、を備える。プラズマ媒質43は、必要とされる光の波長に応じて選択され得る。たとえば、13.5nmの紫外光が必要な場合は、プラズマ媒質43は、リチウム(Li)、キセノン(Xe)、スズ(Sn)等が用いられる。また、6.7nmの紫外光が必要な場合は、プラズマ媒質43は、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)等の少なくとも1つが用いられる。また、プラズマ媒質43は固体、液体、気体のいずれであってもよく、発生させたい光の波長によって選択される。プラズマ光源1では、プラズマ媒質43として、液体又は固体のリチウムを用いることができる。
プラズマ光源1は、1個の同軸状電極10に対して2個のプラズマ媒質供給部41を備える。なお、プラズマ媒質供給部41の個数は2個に限定されず、同軸状電極10の大きさや形状などに応じて適宜設定され得る。
図2に示されるように、一対のプラズマ媒質供給部41は、同軸状電極10の周囲に配置されている。具体的には、一対のプラズマ媒質供給部41は、軸線Aのまわりに180度の間隔をもって配置されている。換言すると、一対のプラズマ媒質供給部41は、軸線Aに対して点対称に配置されている。また、一対のプラズマ媒質供給部41は、軸線Aからの距離が互いに等しい位置に配置されている。さらに、一対のプラズマ媒質供給部41は、軸線Aを中心とする仮想円Fの周方向において、等間隔に配置されている。
プラズマ媒質供給部41は、中心電極11及び外部電極12と物理的に接触していない。図1に示されるように、軸線Aに直交する仮想平面P2を規定し、この仮想平面P2における同軸状電極10の端面が図2に示されている。図2では、軸線Aが延在する方向において、中央面P側から見たプラズマ媒質供給部41の配置も図示されている。
そして、仮想円Fの周方向に隣り合う外部電極12の軸線Bを通る仮想線B2を規定する。そうすると、同軸状電極10では、6本の仮想線B2が規定され、これら6本の仮想線B2に囲まれた六角形状の領域BSが規定されている。中心電極11は、この領域BSの中心に配置される。一方、プラズマ媒質供給部41は、この領域BSの外側に配置されている。要するに、プラズマ媒質供給部41は、すべての外部電極12を含むと共に中心電極11を囲む閉じた領域BSの外側に配置される。また、プラズマ媒質供給部41と中心電極11とは、仮想線B2を挟んで配置されるとも言える。
ここで、プラズマ媒質供給部41は、保持部42で蒸発した媒質蒸気Vが拡散する方向を制限する制限部51を備える。制限部51は、軸線Aと直交する方向(仮想円Fの径方向)において、保持部42と同軸状電極10との間に配置されている。
制限部51は、図3に示されるように、媒質蒸気Vを通過させる開口53が形成された制限板52を含む。また、制限部51は、図4及び図5に示されるように、媒質蒸気Vが通過可能な開口53の大きさを可変とする開口可変機構として、シャッタ(遮蔽板)54及びアクチュエータ(駆動部)55を備える。なお、図4では、同軸状電極10側から制限部51を見た場合について図示している。また、図4では、保持部42側から同軸状電極10を見た場合において、対応する位置に、軸線A及び放電開始位置Hを図示している。また、図3では、シャッタ54及びアクチュエータ55の図示を省略している。
制限板52の厚み方向は、たとえば中央面Pに沿う方向に配置されている。制限板52は、たとえば中央面Pに直交するように配置されている。制限板52は、図4に示されるように、矩形状を成すように形成されている。制限板52の長手方向は、軸線Aが存在する方向に沿うように配置されている。なお、制限板52の形状は、矩形状に限定されず、たとえば、円形、台形などその他の形状でもよい。
開口53は、制限板52の板厚方向に貫通している。開口53は、板厚方向から見て矩形状を成すように形成されている。開口53では、軸線A方向と交差する方向に延びる辺53a,53bが、軸線Aに沿う方向に配置された辺53cよりも長い矩形状を成している。開口53の大きさ及び位置は、この開口53を通過した媒質蒸気Vが所望の位置(放電開始位置H)に到達できるように設定される。
具体的には、図5に示されるように、プラズマ媒質43において、レーザが照射される位置であるレーザ照射位置(照射点)43aを通り、当該レーザ照射面と直交する法線(Lv)が通過するように開口53が配置されている。また、開口53では、軸線Aが延在する方向において、レーザ照射位置43aよりも前側の長さL53aが、レーザ照射位置43aよりも後側の長さL53bより長くなっている。図4に示されるように、長さL53aは、軸線Aが延在する方向において、レーザ照射位置43aと中央面P側の辺53aとの間の長さであり、長さL53bは、軸線Aが延在する方向において、レーザ照射位置43aと中央面Pとは反対側の辺53bとの間の長さである。前側とは、軸線Aが延在する方向において、中央面P側であり、後側とは、軸線Aが延在する方向において、中央面Pとは反対側である。
また、開口53の軸線Aと交差する方向の長さは、たとえば、軸線Aを挟んで対向する外部電極12間に媒質蒸気Vを拡散できるように設定される。
シャッタ54は、開口53の一部を覆う板状の部材である。シャッタ54の幅(軸線Aと交差する方向の長さ)は、開口53の幅より大きい。シャッタ54は、たとえば、制限板52の同軸状電極10側の面に沿って配置されて、この面に沿ってスライド可能に保持されている。
シャッタ54は、軸線Aが延在する方向において、開口53より中央面P側に配置されている。シャッタ54の一部は、開口53の中央面P側の辺53aから、中央面Pとは反対側に張り出すように配置されている。シャッタ54の中央面Pとは反対側の端部54bは、軸線Aと交差する方向に開口53を横切るように配置されている。
シャッタ54の幅方向の両端部54aは、一対のガイド部材57によって保持されている。一対のガイド部材57は、軸線Aが延在する方向に沿って配置され、制限板52に固定されている。ガイド部材57は、シャッタ54の幅方向の両端部54aを制限板52に対して保持すると共に、シャッタ54の移動を軸線A方向に案内する。
アクチュエータ55は、シャッタ54を移動させるための駆動部であり、たとえば、真空環境内に配置することができるエアシリンダである。アクチュエータ55は、たとえばシャッタ54の幅方向の中央(軸線Aに対応する位置)に配置されている。アクチュエータ55は、軸線Aが延在する方向に伸長、収縮することができる。アクチュエータ55は、制限板52に固定され、シャッタ54より中央面P側に配置されている。
アクチュエータ55には、図示しないケーブルが接続されている。このケーブルは真空シール部によってシールされてチャンバ2を貫通し、チャンバ2の外部のコントローラに接続されている。アクチュエータ55は、コントローラから出力された指令信号に従って作動する。
アクチュエータ55を伸長させることで、シャッタ54を中央面Pとは反対側に移動させることができる。これにより、シャッタ54が開口53を覆う面積が増加し、媒質蒸気が通過可能な開口の大きさを調整することができる。軸線Aが延在する方向における開口の長さを短く調整することができる。
また、シャッタ54には、圧縮コイルバネ56が連結されている。圧縮コイルバネ56は、軸線Aが延在する方向に沿って配置されている。圧縮コイルバネ56の一端は、シャッタ54に接続され、圧縮コイルバネ56の他端は、制限板52に固定された固定部58に接続されている。圧縮コイルバネ56は、シャッタ54の幅方向において、アクチュエータ55を挟んで両側に配置されている。
圧縮コイルバネ56は、シャッタ54を中央面P側に引き寄せる力を作用させている。アクチュエータ55が収縮する際に、シャッタ54が中央面P側に引っ張られて移動する。これにより、開口53が覆われている面積が縮小されて、媒質蒸気Vが通過可能な開口の面積が拡大されて調整される。
また、開口53の中央面P側の辺53a(開口の周縁の中央面側の部分)は、図3及び図5に示されるように、レーザ照射位置43aと中央面Pにおける軸線Aが通る位置Pとを結ぶ直線Lcに対応して配置されている。辺53aは、たとえば直線Lc上に配置されている。辺53aは、軸線Aが延在する方向において、直線Lcよりもレーザ照射位置43a側に配置されていてもよい。また、シャッタ54の中央面Pとは反対側の端部54bは、軸線Aが延在する方向において、直線Lcよりもレーザ照射位置43a側に配置されて、媒質蒸気Vが拡散する範囲を抑制することができる。
また、プラズマ媒質43の照射面の法線(Lv)が延在する方向において、制限板52をプラズマ媒質43に接近させるほど、開口53の大きさを小さく設定することができると共に、制限板52の面積を小さくする。これにより、シャッタ54の移動量を抑えて、開口53を通過する媒質蒸気Vの量を調整することができる。
また、制限部51は、制限板52の周囲を囲むように配置された側壁(不図示)を備える構成でもよい。側壁は、制限板52の4辺からプラズマ媒質供給部41側に延びるように配置されている。このような側壁によって、プラズマ媒質供給部41で蒸発した媒質蒸気Vの側方への拡散を防止することができる。ここでの「側方」とは、プラズマ媒質43の表面に沿う方向をいう。また、制限板52及び側壁の材質としては、レーザ光を透過可能なものでもよく、レーザ光を透過しないものでもよい。制限板52及び側壁は、媒質蒸気Vの拡散を抑制できればよい。
また、図3に示されるように、軸線Aが延在する方向において、放電開始位置Hと中央面Pとの距離Lは、たとえば15mmである。放電開始位置Hは、媒質蒸気Vが供給されて放電が開始されて、初期プラズマが発生する位置である。放電開始位置Hは、初期プラズマが加速されて所望のエネルギが得られるように設定される。距離Lを長くすることにより、初期プラズマが加速される距離を増加させることができる。
次に、プラズマ光源1の動作について説明する。
まず、チャンバ2内は、プラズマ(初期プラズマ)の発生に適した温度及び圧力に保持される。放電前の同軸状電極10には、電圧印加装置20により放電電圧が印加される。電圧印加装置20は、電源21,22によりコンデンサCに電荷を予め蓄積(充電)し、同軸状電極10に放電電圧を印加する。
放電電圧が印加された状態で、プラズマ媒質供給部41のプラズマ媒質43にレーザ光32a,32bが照射される。これにより、プラズマ媒質43の表面のレーザ照射位置43aでプラズマ媒質43が蒸発して、媒質蒸気Vが発生する。媒質蒸気Vは、プラズマ媒質43の表面の法線方向に拡散する。たとえば法線を中心として、余弦則に沿って拡散することが想定される。
プラズマ媒質43から蒸発した媒質蒸気Vの一部は、制限板(遮蔽部)52によって遮蔽される。これにより、媒質蒸気Vが拡散する方向が制限される。媒質蒸気Vの残りの一部は、一対の開口53を通過して、媒質蒸気Vの濃度が高い部分は、法線に沿って同軸状電極10に向かって進行する。媒質蒸気Vは、設定された放電開始位置Hに供給される。
また、図5に示されるように、法線と直交する方向において、法線から離れた領域には、媒質蒸気Vの濃度が低い部分Vが形成されている。このように、濃度が低い部分Vは、法線(Lv)に対して所定の角度で傾斜する直線Lvに沿って同軸状電極10に向かって進行する。媒質蒸気の濃度が低い部分Vは、同軸状電極10において、放電開始位置Hより中央面P側に供給される。これにより、放電開始時の同軸状電極10において、放電開始位置Hよりも中央面P側には、放電開始位置Hにおける媒質蒸気Vの濃度よりも薄い濃度の媒質蒸気(V)が分布することになる。
そして、媒質蒸気Vが、放電開始位置H近傍に到達し、中心電極11と外部電極12との間における媒質蒸気Vの濃度が上昇すると、図6に示されるように、電圧印加装置20において、電流経路Kが形成され、コンデンサCの正極側から負極側へ電流が流れる。この電流は、コンデンサCに蓄積された電荷量に相当する電流が電気回路の時定数に従ってパルス的に流れる。つまり、電荷は、電流経路Kにおいて、中心電極11、面状放電6、及び外部電極12の順に流れ、最終的にコンデンサCの負極側に戻る。このようにして、放電開始位置Hにおいて放電が開始され、中心電極11の周方向に沿うリング状(面状)の面状放電6が生じる。
また、一対の保持部42で保持されたプラズマ媒質43から蒸発した蒸気は、対向する同軸状電極10同士で、同じタイミングで、同じ濃度分布となるように供給される。そのため、一対の同軸状電極10において、媒質蒸気Vの濃度が同様に上昇し、一対の同軸状電極10において同時に面状放電6が発生する。すなわち、全ての制限部51において、媒質蒸気Vが通過可能な開口53の大きさは同じとなっている。
そして、面状放電6は、中心電極11と外部電極12との間で放電しながら、自己磁場(電磁力)によって、軸線A方向に中心電極11の先端部11aに向かって移動する。換言すると、一対の同軸状電極10で発生した初期プラズマは、中央面Pに向かって両側から進行する。
また、面状放電6が中央面Pに向かって移動する際に、放電開始位置Hよりも中央面P側には、濃度が薄い媒質蒸気Vが分布しているので、これらの媒質蒸気Vによって面状放電6に伴う初期プラズマの密度が高くなる。
また、プラズマ光源1はエネルギ蓄積回路26を備えているため、エネルギ蓄積回路26と複数の外部電極12との協働により、面状放電6の発生確率が高められている。間隔をあけて非連続的に配置される複数の外部電極12は、連続した管状(筒状)の外部電極が採用される場合に比して、面状放電6の形成を容易にするという観点で有利である。
そして、面状放電6に伴うプラズマは同軸状電極10の先端に達する。面状放電6が中心電極11の先端部11aに達したことで、その放電電流の出発点は中心電極11の側面11bから先端部11aに移行する。この電流の移行によって、一対の面状放電6に伴って移動してきたプラズマは収束し、高密度かつ高温になる。
この現象は中央面Pを挟んだ同軸状電極10で進行するため、初期プラズマは、一方の同軸状電極10から他方の同軸状電極10に向かって押し出される。その結果、初期プラズマは、軸線Aに沿う両方向からの圧力を受けて同軸状電極10が対面する中間位置(すなわち中央面Pの位置)に移動し、プラズマ媒質を成分とする単一のプラズマが形成される。そして、プラズマが形成された後も、面状放電6を通じて電流が流れ続け、プラズマを全体的に包囲し、プラズマを一対の中心電極11の中間付近に保持する。
面状放電6が発生している間は、プラズマの高密度化および高温化が進行し、イオンの電離が進行する。その結果、プラズマ媒質に応じた光を含むプラズマ光が放射される。この状態において、面状放電6を通じて電流が流れ続けることにより、長時間に亘って、プラズマ光が発生し得る。
ここで、プラズマ光源1では、運転開始前の設定時において、シャッタ54を移動させて、開口53のうち媒質蒸気Vを通過させることができる開口面積を変更することができる。シャッタ54を移動させて、開口面積を拡大することで、放電開始位置Hよりも中央面P側において、濃度が低い媒質蒸気Vが分布する範囲を拡大することができる。一方、シャッタ54を移動させて、開口面積を縮小することで、放電開始位置Hよりも中央面P側において、濃度が低い媒質蒸気Vが分布する範囲を縮小することができる。
このようなプラズマ光源1によれば、保持部42で蒸発した媒質蒸気Vの一部は、制限板52の開口53を通り抜け、制限部51によって拡散する方向が制限されて、放電開始位置Hに好適に供給される。
また、プラズマ光源1によれば、媒質蒸気Vが通過可能な開口の大きさを可変とする開口可変機構(シャッタ54及びアクチュエータ55)を備えるので、開口の大きさを変えて、軸線Aが延在する方向において媒質蒸気が拡散する範囲を調整することができる。これにより、放電開始位置Hの中央面P側における媒質蒸気の分布を調整することができる。そして、放電開始位置Hで発生した初期プラズマが中央面側に移動する際に、放電開始位置Hよりも中央面側に分布する媒質蒸気によって、初期プラズマの密度を増加させるように調整することができる。その結果、極端紫外光の発光量を調整することができる。
また、プラズマ光源1によれば、媒質蒸気Vが拡散する方向が制限されるので、媒質蒸気が不要な位置に拡散することを防止することができる。これにより、ビームスプリッタ34及びミラー35の汚れを防止することができ、レーザ光32の強度の低下を抑制することができる。
なお、プラズマ光源1では、放電開始位置Hよりも中央面P側に、放電開始位置Hにおける媒質蒸気の濃度よりも低い濃度の媒質蒸気を分布させている。想定していた放電開始位置Hよりも中央面P側に高い濃度の媒質蒸気が分布すると、この位置で放電が開始されるので、所望の走行距離を確保することができず、初期プラズマのエネルギを増加させることができない。また、放電開始位置Hに、より高い濃度の媒質蒸気を供給した場合には、媒質蒸気の濃度が一定値に達したときに初期放電が開始されるため、より高い濃度の媒質蒸気を供給しても、初期プラズマのエネルギを増加させることはできず、極端紫外光の発光量を調整することはできない。プラズマ光源1では、放電開始位置Hよりも中央面P側に、初期放電が開始しない程度の濃度の媒質蒸気Vを分布させておくことで、初期プラズマの中央面P側への移動に伴って初期プラズマのエネルギを増大させることができ、極端紫外光の発光量を増大させることができる。
次に、図7を参照して変形例に係る制限板52B〜52Eについて説明する。制限板52B〜52Eが、制限板52と違う点は開口(貫通孔)61,62,65,68の形状が異なっている点である。開口62,65,68では、中央面Pに近い方の部分が、中央面Pより遠い方の部分よりも開口幅(軸線Aと交差する方向の長さ)が狭くなっている。
図7(a)に示される第1変形例の制限板52Bの開口61は、軸線Aと交差する方向に延びる辺61aが軸線Aに沿う方向に配置された辺61bよりも長い矩形状を成すスリットである。
図7(b)に示される第2変形例の制限板52Cの開口61には、中央面Pに近い方にスリット部分63よりも開口幅が狭い拡張部分64が形成されている。この拡張部分64は、平面視(厚み方向から見て)において矩形状を成している。中央面P側の辺64aは、放電開始位置Hに近い方の辺63aよりも短くなっている。辺64aは、たとえば直線Lcよりも法線(Lv)に近い方に配置されている。
図7(c)に示される第3変形例の制限板52Dの開口65には、中央面Pに近い方にスリット部分66よりも開口幅が狭い部分を含む拡張部分67が形成されている。この拡張部分67は、平面視において三角形を成している。拡張部分67の辺(斜辺)67aは、たとえば直線Lcよりも法線(Lv)に近い方に配置されている。
図7(d)に示される第4変形例の制限板52Eの開口68には、中央面Pに近い方にスリット部分69よりも開口幅が狭い部分を含む拡張部分70が形成されている。この拡張部分70は、平面視において半円状(半楕円状)を成している。拡張部分70の辺70aは、たとえば直線Lcよりも法線(Lv)に近い方に配置されている。
このように、開口62、65、68の中央面P側の拡張部分64,67,70の開口幅が、開口61、62、65、68の中央面Pとは反対側に配置されたスリット部分63、66、69の開口幅よりも狭くなっていると、軸線Aが延在する方向において、放電開始位置Hより先端部11a側に、放電開始位置Hと比較して濃度が薄い媒質蒸気Vを供給することができる。これにより、放電開始位置Hで発生した初期プラズマが中心電極11の先端部11aに移動するまでに、さらに媒質蒸気Vを供給し、プラズマの密度を高くすることができる。この結果、プラズマのエネルギを増大させて、極端紫外光の発光量を増大させることができる。
次に、図8を参照して第5変形例に係る制限部51について説明する。図8に示す制限部51が、図4に示す制限部51と違う点は、アクチュエータ55及び圧縮コイルバネ56の配置が異なっている点である。なお、第5変形例の説明において、上記の実施形態と異なる点について説明する。
図8に示されるように第5変形例に係る制限部51では、アクチュエータ55及び圧縮コイルバネ56は、軸線Aが延在する方向において、シャッタ54に対して中央面Pとは反対側(後側)に配置されている。
また、アクチュエータ55は、軸線Aと交差する方向において、開口53の側方の一方に配置されている。また、圧縮コイルバネ56は、軸線Aと交差する方向において、開口53の側方の他方に配置されている。圧縮コイルバネ56は、軸線Aと交差する方向において、開口53を挟んでアクチュエータ55の反対側に配置されている。なお、圧縮コイルバネ56は、軸線Aと交差する方向において、開口53を挟んで両側に配置されていてもよい。同様に、アクチュエータ55は、軸線Aと交差する方向において、開口53を挟んで両側に配置されていてもよい。
このような第5変形例に係る制限部51では、アクチュエータ55を伸長させることで、シャッタ54を中央面P側に移動させることができる。これにより、シャッタ54が開口53を覆う面積が縮小されて、媒質蒸気が通過可能な開口の面積が拡大されて調整される。軸線Aが延在する方向における開口の長さを長く調整することができる。
また、圧縮コイルバネ56は、シャッタ54を中央面Pとは反対側に引き寄せる力を作用させている。アクチュエータ55が収縮する際に、シャッタ54が中央面Pとは反対側に引っ張られて移動する。これにより、シャッタ54が開口53を覆う面積が増加し、媒質蒸気が通過可能な開口の大きさを調整することができる。軸線Aが延在する方向における開口の長さを短く調整することができる。
本発明は、前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で下記のような種々の変形が可能である。
上記の実施形態では、制限部51が制限板52を備える構成としているが、制限部51は制限板52を備えるものに限定されず、例えば、ブロック体に開口が形成されているものでもよい。
また、制限部51は、板状の部材に開口が形成された構成となっているが、複数の板状の部材を組み合わせて、開口を形成し、媒質蒸気Vが拡散される方向を制限するようにしてもよい。また、上記の実施形態では、制限板52に一つの開口53が形成されているが、複数の開口が形成されている構成でもよい。
また、制限板52の開口53は、法線を通過させる位置に配置されているものに限定されず、法線が通過しない位置に開口が配置されていてもよい。
また、放電開始位置Hにおいて、中心電極11の側面から外部電極12に向かって突出する突出部が形成されている構成でもよい。同様に放電開始位置Hにおいて、外部電極12の側面から中心電極11に向かって突出する突出部が形成されている構成でもよい。
また、開口可変機構は、シャッタ54を移動させることで、媒質蒸気が通過可能な開口の大きさを変更するものに限定されず、たとえば、大きさが異なる開口が複数形成された制限板を準備し、制限板を移動させて、法線を通過する開口の位置を変えることで、開口の大きさを変化させてもよい。また、大きさが異なる開口がそれぞれ形成された複数枚の制限板を準備しておき、制限板を取り替えることで、開口の大きさを変化させてもよい。
また、シャッタ54を駆動するアクチュエータ55は、エアシリンダに限定されず、その他の油圧シリンダ、モータ、ボールねじなどを備えるものでもよい。また、アクチュエータは、チャンバ2の外部に配置されている構成でもよい。この場合には、アクチュエータによる駆動力を伝達する作動軸がチャンバ2を貫通し、チャンバ2の内部のシャッタ54を移動させる。
また、シャッタ54の移動方向は、軸線Aが延在する方向に限定されず、その他の方向に移動するものでもよい。また、複数のシャッタ54を備える構成でもよい。また、シャッタ54は、開口に対して、軸線Aと交差する方向に配置されているものでもよく、開口に対して、たとえば中央面Pとは反対側から張り出すものでもよい。
1 プラズマ光源
2 チャンバ
3 排気管
6 面状放電(初期プラズマ)
10 同軸状電極
11 中心電極
11a 中心電極の先端部
11b 中心電極の側面
12 外部電極
13 絶縁体
20 電圧印加装置
21 第1高圧電源
22 第2高圧電源
30 媒質蒸気形成部
31 レーザ装置(レーザ照射部)
32、32a、32b レーザ光
41 プラズマ媒質供給部
42 保持部(プラズマ媒質保持部)
43 プラズマ媒質
43a レーザ照射位置
51 制限部
52、52B、52C、52D、52E 制限板(遮蔽部)
53、61、62、65、68 開口(貫通孔)
53a (開口の周縁の中央面側の部分)
54 シャッタ(開口可変機構、遮蔽板)
55 アクチュエータ(開口可変機構、駆動部)
A 軸線(中心電極の軸線)
B 軸線
B2 仮想線
BS 領域
F 仮想円
H 放電開始位置
K 電流経路
P 中央面(対称面)
P2 仮想平面
V 媒質蒸気

Claims (7)

  1. 中央面を挟んで対向する一対の同軸状電極を備えたプラズマ光源であって、
    前記同軸状電極は、前記中央面と直交する方向に延在する中心電極と、
    前記中心電極の軸線を中心とする仮想円の周方向に離間し、前記中央面に向かって延在する複数の外部電極と、を備え、
    前記プラズマ光源は、前記周方向に隣り合う外部電極を結ぶ仮想線よりも外側で、プラズマ媒質を保持するプラズマ媒質保持部と、
    前記プラズマ媒質保持部に保持された前記プラズマ媒質にレーザを照射するレーザ照射部と、
    前記プラズマ媒質保持部と前記外部電極との間に配置され、前記プラズマ媒質保持部で蒸発した媒質蒸気を通過させる開口が形成されて前記媒質蒸気が拡散する方向を制限する制限部と、を備え、
    前記制限部は、前記媒質蒸気が通過可能な前記開口の大きさを可変とする開口可変機構を含むプラズマ光源。
  2. 前記開口は、前記プラズマ媒質において前記レーザが照射される照射面の法線が通過する位置に配置されている請求項1に記載のプラズマ光源。
  3. 前記開口可変機構は、前記開口の一部を覆う遮蔽板と、
    前記遮蔽板を前記軸線が延在する方向に移動させる駆動部と、を備える請求項1又は2に記載のプラズマ光源。
  4. 前記遮蔽板は、前記軸線が延在する方向において、前記中央面側から張り出すように配置されて、前記開口の一部を覆う請求項3に記載のプラズマ光源。
  5. 前記開口は、前記軸線と交差する方向に延びる矩形状のスリットである請求項1〜4の何れか一項に記載のプラズマ光源。
  6. 前記開口の前記中央面側の部分の開口幅が、前記開口の前記中央面とは反対側の部分の開口幅よりも狭い請求項1〜5の何れか一項に記載のプラズマ光源。
  7. 前記開口の周縁の前記中央面側の部分は、前記プラズマ媒質において前記レーザが照射される照射点と、前記中央面における前記軸線の位置とを結ぶ直線よりも、前記中央面とは反対側に存在している請求項1〜6の何れか一項に記載のプラズマ光源。
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