[第1の実施形態]
以下、第1の実施形態について説明するが、本実施形態は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。なお、以下に説明する実施形態では、近距離無線通信手段および音波発信手段を備えた位置情報発信装置を含み構成される位置情報発信システムとして、PAN(Personal Area Network)通信部およびスピーカを備えた照明装置130(位置情報発信モジュール200)を含み構成される経路案内システム100を用いて説明する。
図1は、第1の実施形態による経路案内システム100の全体構成を示す概略図である。経路案内システム100は、1または複数の屋内フロア150に複数の位置情報発信モジュール200が配列され、各屋内フロア150を識別して3次元的な位置が検出可能なように構成されている。
経路案内システム100は、具体的には、配設された複数の位置情報発信モジュール200の位置を管理する位置管理サーバ110と、上記位置管理サーバ110にネットワーク102を介して接続されるPAN送受信機120と、各屋内フロア150に設けられる複数の位置情報発信モジュール200とを含み構成される。図1に示す例では、3つの屋内フロア150−1〜150−3が存在し、フロアごとに設けられたPAN送受信機120−1〜120−3が、フロアごとに位置情報発信モジュール200と通信している。
説明する実施形態において、位置情報発信モジュール200は、LED(Light Emitting Diode)照明などの照明装置130に設けられ、照明装置130の電源からの電力供給を受けて動作する。照明装置が建物内において所定間隔で設けられる性質を有し、また照明用の既設の配線設備が利用し易いという観点から、好ましい実施形態では、照明装置130に備えられた位置情報発信モジュール200を用いることができる。しかしながら、位置情報発信モジュール200は、例示の具体的な実施態様に限定されるものではなく、他の装置に付随してもよいし、位置情報発信モジュール200が単独で壁や天井に直接配置されてもよい。
位置管理サーバ(位置管理装置)110は、位置情報発信モジュール200の位置を管理するべく、位置情報発信モジュール200を固有に識別する固有識別情報に関連付けて、事前に測定された位置座標情報(所定の地理座標系上の経度、緯度、および建物階情報または高度)を記憶する。位置管理サーバ110は、さらに、位置情報発信モジュール200から発信させる情報を管理するべく、位置情報を生成し、固有識別情報に関連付けて記憶する。ここで、受信側で位置を検出するための情報を位置情報と参照する。位置情報は、位置座標情報に関連付けられればよく、典型的には、一時的に割り当てられた識別情報を用いることができる。
PAN送受信機120は、位置情報発信モジュール200と、ネットワーク102上の位置管理サーバ110との通信を仲介する装置である。ネットワーク102は、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などの有線または無線のネットワークである。PAN送受信機120は、上記ネットワーク102を介して位置管理サーバ110と通信し、位置管理サーバ110から位置情報を受信し、近距離無線通信により位置情報発信モジュール200に位置情報を伝達する。
位置情報発信モジュール200は、後述するようにスピーカを含み構成され、上記位置情報を音波信号としてスピーカから発信する。また、位置情報発信モジュール200は、後述するように位置ビーコン発信部も含み構成され、電波を発信する。位置情報発信モジュール200は、さらに、後述するようにPAN通信部を含み構成される。位置情報発信モジュール200が発信する位置情報は、PAN送受信機120を介して位置管理サーバ110から受信したものが用いられる。また、近距離無線通信が1cm〜数mの範囲の距離で確立される通信であるため、PAN送受信機120が直接通信可能な範囲が限定的なものとなる。そこで、説明する実施形態では、位置情報発信モジュール200間で相互に近距離無線通信を行い、次から次へと位置情報を伝達できるよう構成されている。このように1つの空間に1または複数の位置情報発信モジュール200が、PANで関連付けて設置される。
経路案内システム100は、位置情報発信モジュール200が位置情報を音波信号としてスピーカから発信するとともに、電波による位置ビーコンも発信するので、音波で大まかな位置情報を得て、スマートフォン(以下「スマホ」ともいう)などの携帯情報端末(受信装置)に到達する音波と電波との時間差を計算することにより、更なる詳細位置を検出できる。
また、逆に、経路案内システム100は、位置ビーコンで大まかな位置情報を得て、かつ音波による位置情報発信と、電波による位置情報発信から、受信時間差、つまり、スマホなどの携帯情報端末(受信装置)に到達する時間差を計算することにより、更なる詳細位置を検出できる。
本実施形態における経路案内システム100は、音波および電波をペアで発信しているので、上述の時間差を求める計算ができる。また、経路案内システム100は、PANで位置情報発信モジュールに無線によりデータを順次伝達していることから、PANからの指示で音波および電波の各々の発信開始時刻を指定できるので時間差を測定することができる。なお、音波および電波にそれぞれ同じ周波数パルスを含ませる構成とすれば携帯情報端末(受信装置)での好適な信号処理が可能となる。
位置情報発信モジュール200は、好適な実施形態では、スピーカに近接して、さらに、マイクロフォンを含み構成される。これにより、上記位置情報を音波信号として発信するスピーカから発信する信号の確認、出力の確認、これらにより故障の診断を行うことができる。また、マイクロフォンで周辺の音波状況を測定することで、その設置環境における人の混雑具合や雨などの気象状況に起因したノイズレベルを測定し、ノイズレベルに応じて適切に音波発生できるように構成されている。
このように、マイクロフォンを含む位置情報発信モジュール200が配置されることで、位置情報発信モジュール200から発信する出力音波を確認し、また周辺の音波状況を3次元的に確認することができる。なお、マイクロフォンは、スピーカと1対1に対応づけて設けてもよいし、1つ置きなど間引いて設けられてもよく、特に限定されるものではない。
本実施形態による経路案内システム100では、ユーザは、位置情報利用装置である携帯情報端末170を付帯し、携帯情報端末170を用いて経路案内サービスの提供を受けることができる。携帯情報端末170は、第3世代移動通信システム(3G)やLTE(Long Term Evolution)などの基地局106および公衆ネットワーク104を介して、位置管理サーバ110と通信する。あるいは、図示しない無線LANアクセス・ポイントを介して、無線LANにより、携帯情報端末170と位置管理サーバ110とが通信してもよい。
携帯情報端末170上には、位置情報発信モジュール200が発信する音波信号および位置ビーコンの電波を受信して位置座標を取得し、得られた位置座標を利用して現在位置表示や経路案内を行うためのアプリケーションがインストールされている。携帯情報端末170は、位置情報発信モジュール200からの音波信号および位置ビーコンによる位置情報を受信し、音波信号および位置ビーコンに基づいて位置管理サーバ110に問い合わせを行うことによって、当該携帯情報端末170の現在の位置座標を取得する。位置座標が得られると、現在の位置座標を用いた地図表示および経路案内が可能となる。なお、携帯情報端末170は位置検出手段を構成する。
以下、図2を参照しながら、本実施形態による位置情報発信モジュール200について、より詳細に説明する。図2は、本実施形態による経路案内システム100を構成する位置情報発信モジュール200周りの機能ブロック図である。また、図2には、PAN送受信機120の機能構成も示されており、PAN送受信機120は、有線または無線でネットワーク102と接続するためのネットワークI/F122と、近距離無線通信を行うためのPAN送受信部124とを含み構成される。
図2には、第1位置情報発信モジュール200−1が代表して、その詳細な機能ブロックが示されている。図2に示すように、位置情報発信モジュール200は、近距離無線通信を行う近距離無線通信手段であるPAN通信部210を含む。第1位置情報発信モジュール200−1は、PAN通信部210により、PAN送受信機120および隣接する第2位置情報発信モジュール200−2と通信する。位置情報発信モジュール200は、さらに、上記位置情報を音波信号として発信するためのスピーカ230と、位置ビーコンを発信する位置ビーコン発信部217と、位置ビーコンの電波を放射するアンテナ231とを含み構成されている。この位置ビーコン発信部217は、位置ビーコン発信手段を構成する。なお、以下の説明において、第n位置情報発信モジュール200−nが発信する音波信号および位置ビーコンをそれぞれ第n音波信号および第n位置ビーコンと呼ぶ。
図2に示す好適な実施形態では、位置情報発信モジュール200は、さらに、スピーカ230の出力音波および周辺の音波状況を測定するためのマイクロフォン232を含み構成される。なお、マイクロフォン232は、位置情報発信モジュール200内に設けられるものとして説明するが、スピーカ230を備える位置情報発信モジュール200に近接し、スピーカ230からの発信音圧を確認できるSN(Signal to Noise Ratio)が得られる位置、周辺ノイズが確認できるSNが得られる位置に設けられればよい。マイクロフォン232は、本実施形態による位置情報発信装置が備える音波受信手段を構成する。
この位置情報発信モジュール200では、音波信号として発信するための位置情報を事
前に設定する必要があるが、上記PAN通信部210が位置情報の事前設定を担う。
PAN通信部210は、より詳細には、受信部212と、ID格納部214と、ID算出部216と、送信部218とを含み構成される。受信部212は、PAN送受信機120または隣接する第2位置情報発信モジュール200−2から、近距離無線通信により、位置情報を受信する。
なお、説明する実施形態では、位置情報として、定期的または不定期に更新されるスピーカIDが用いられるものとする。また、近距離無線通信は、暗号通信を行ってもよい。ID格納部214は、受信部212により受信した、当該位置情報発信モジュール200に割り当てられたスピーカIDを格納する。ID格納部214に格納されたスピーカIDに基づき、スピーカ駆動信号が生成されて、スピーカ230から音波信号が発信されることになる。なお、スピーカIDに付属して、更新日時(更新時間情報)などの他の情報を含めることもできる。
また、PAN送受信機120は、位置ビーコンの送信開始または送信停止を行うためのオンオフ信号と、位置ビーコンの信号間隔を示す信号とを送信する。この信号間隔は、スピーカ発信信号の開始時刻(信号立ち上がり時刻)からの位置ビーコン発信信号開始時刻(信号立ち上がり時刻)までの時間差を示す。この時間差が複数地点のある基準(例えば音声信号が基準)からの時間差が測定できるので詳細な位置が計測できる。つまり、音波と、音波と電波との時間差とを組み合わせることで、音波のみでの位置取得よりも、さらに詳細な位置情報を認知できる。経路案内システム100は、これらの位置情報、つまり音波IDによる位置情報と、電波(位置ビーコン)による位置情報と、音波と電波の受信時間差とを利用することで、詳細な位置情報誘導が可能になる。
なお、位置ビーコンの発信間隔がランダムとされる場合があるので、位置ビーコンの信号の立ち上がりと、音波信号の立ち上がりとの時間差さえ決めておけば、位置情報発信モジュール200と受信機との距離差を求めることができる。なお、位置ビーコンの送信にあたっては、受信機の接続時間間隔(connection interval(例えば1.25msの整数倍))も考慮するのが好ましい。
ID算出部216は、自身に割り当てられたスピーカIDに基づいて、隣接する位置情報発信モジュールに割り当てるスピーカIDを算出する。隣接するモジュールのスピーカID(以下、隣接スピーカIDと参照する。)の算出方法は、特に限定されるものではないが、自身に伝達されたスピーカIDを所定関数に入力して得ることができる。簡便には、入力された値を1インクリメントする関数に自身のスピーカIDを入力して、隣接スピーカIDを算出することができる。
送信部218は、上記隣接する第2位置情報発信モジュール200−2に対し、算出した隣接スピーカIDを近距離無線通信により送信する。送信部218は、さらに、上記PAN送受信機120に対しても、算出した隣接スピーカIDを送信し、位置管理サーバ110上で、隣接スピーカIDを位置座標情報に関連付けさせる。
説明する実施形態では、位置管理サーバ110にPAN送受信機120を介して直接通信する位置情報発信モジュール(例えば第1位置情報発信モジュール200−1)に対しては、位置管理サーバ110が伝達したスピーカIDが設定される。一方、位置管理サーバ110と直接通信できない位置情報発信モジュール(例えば第2位置情報発信モジュール200−2)に対しては、既にスピーカIDが伝達された位置情報発信モジュール上で隣接スピーカIDを算出し、これを伝達する。これにより、位置管理サーバ110と直接通信できない1以上の位置情報発信モジュール200に対する位置情報の配布を連鎖的に行うことができる。
また、位置管理サーバ110は、位置ビーコンに対しては、位置管理サーバ110からスピーカ発信信号の開始時刻(信号立ち上がり時刻)からの位置ビーコン発信信号開始時刻(信号立ち上がり時刻)までの時間差を示す信号をPAN送受信機120に送信する。PAN送受信機120は、位置管理サーバ110から受信した、時間差を示す信号を位置情報発信モジュール200に発信する。
なお、説明する実施形態では、第1位置情報発信モジュール200−1側において、隣接する第2位置情報発信モジュール200−2用のスピーカIDを算出し、この隣接スピーカIDを隣接する第2位置情報発信モジュール200−2に送信するものとした。しかしながら、他の実施形態では、第1位置情報発信モジュール200−1が、そのまま自身に割り当てられたスピーカIDを隣接する第2位置情報発信モジュール200−2に送信し、隣接する第2位置情報発信モジュール200−2側において、受信した第1位置情報発信モジュール200−1用のスピーカIDに基づいて、自身に設定すべきスピーカIDを算出してもよい。
スピーカ230は、PAN通信部210によって伝達されたスピーカIDを音波信号として発信する音波発信手段である。スピーカ230は、PAN通信部210で取得されID格納部214に格納されたスピーカIDに基づく音波信号を、定期的または定常的に発信する。
音波信号は、人間には聞こえないように発信される。通常、人間が聞き取れる感覚限界は、音圧が50dB以下であれば16KHz程度であり、それ以上の周波数の音波は、殆ど人間には聞こえない。また、人間の通常会話が7KHz程度までと言われているが、近年のスマートフォンが備えるマイクロフォンは、20KHz、より好ましく24KHz程度まで感度がある。よって、好適な実施形態では、人間がほとんど聞こえず、かつ、典型的なスマートフォンが感度を有する、16KHz〜24KHzの周波数領域の音波を発生することができる。なお、好適に用いることができるスピーカ230の構成については、詳細を後述する。
図2に示す好適な実施形態では、PAN通信部210は、さらに、スピーカ230からの出力音波および周辺の音波状況の測定を担当する音圧測定部220を含み構成される。音圧測定部220は、マイクロフォン232を用いて、位置情報発信モジュール200が設置される周辺の音波状況を測定して、測定されたノイズレベルに合わせて、スピーカ230の出力にフィードバックをかけることができる。音圧測定部220は、さらに、位置情報発信モジュール200がスピーカ230から発信した出力音波をマイクロフォン232で測定し、正しいIDが確認できるか否か、また確認できる場合にはその音圧を測定し、スピーカ230の出力にフィードバックをかけることができる。マイクとしては、16KHz〜24KHzの周波数領域に感度を有する、指向性または無指向の例えばコンデンサマイクロフォンなど、これまで知られた如何なるマイクロフォンを用いることができる。
好適な実施形態において、送信部218は、上記PAN送受信機120に対し、スピーカ230から発信した出力音波および周辺の音波状況の測定結果を送信し、位置管理サーバ110上で、測定結果を保存させることができる。また、好適な実施形態において、受信部212は、PAN送受信機120を介して、位置管理サーバ110上で測定結果に基づき決定されるスピーカ230の出力レベルを受信することができる。
受信部212は、さらに、隣接する第2位置情報発信モジュール200−2から、近距離無線通信により、隣接する第2位置情報発信モジュール200−2での測定結果を受信することができる。この場合に、送信部218は、隣接する第2位置情報発信モジュール200−2での測定結果を、上記PAN送受信機120に対して転送することができる。また、送信部218は、隣接する第2位置情報発信モジュール200−2に対して、上記PAN送受信機120から受信した出力レベルを転送することができる。
上述したように、位置管理サーバ110と直接通信できない1以上の位置情報発信モジュール200からの位置管理サーバ110への測定結果の報告、および、位置管理サーバ110と直接通信できない1以上の位置情報発信モジュール200への位置管理サーバ110からの出力レベルの配布を、連鎖的に行うことができる。
位置管理サーバ110は、位置ビーコンに関しては位置ビーコンのオンオフ信号と、スピーカ発信信号の開始時刻(信号立ち上がり時刻)からの位置ビーコン発信信号開始時刻(信号立ち上がり時刻)までの時間差を示す信号を送信する。送信内容には、位置情報発信モジュールのID(音波信号および位置ビーコン)が含まれる。
以下、図3〜図5を参照しながら、本実施形態による経路案内システム100における各モジュールの位置情報設定処理について説明する。図3は、本実施形態による経路案内システム100で実行される、位置情報設定処理を示すフローチャートである。図4および図5は、位置管理サーバ110が管理する位置管理テーブルを例示する。図4は、位置情報設定処理前の状態を表し、図5は、設定処理後の状態を表している。
図3に示す処理は、音波に関するステップを示す。ステップS100から開始される。ステップS101では、位置管理サーバ110は、PAN送受信機120に対しスピーカIDを送信する。ステップS102では、PAN送受信機120は、第1位置情報発信モジュール200−1に対し、位置管理サーバ110から受信したスピーカIDを転送する。ステップS103では、第1位置情報発信モジュール200−1は、受信部212によりスピーカIDを受信し、ステップS104で、スピーカIDをID格納部214に格納する。
ステップS105では、第1位置情報発信モジュール200−1は、ID算出部216により、隣接するモジュール用の隣接スピーカIDを算出する。ステップS106では、第1位置情報発信モジュール200−1は、送信部218により、第2位置情報発信モジュール200−2に対し隣接スピーカIDを送信する。第2位置情報発信モジュール200−2は、ステップS107で、第1位置情報発信モジュール200−1からスピーカIDを受信し、ステップS108で、受信したスピーカIDを自身のスピーカIDとしてID格納部214に格納する。以降、さらに隣接する第3位置情報発信モジュール200−3へのID算出および送信処理が適宜連鎖的に行われることになるが、ここでは説明を割愛する。
ステップS109では、第1位置情報発信モジュール200−1は、送信部218により、さらに、PAN送受信機120に対し、算出した隣接スピーカIDと、隣接モジュールの固有識別情報とを組にして隣接スピーカID報告を送信する。ステップS110では、PAN送受信機120は、位置管理サーバ110に対し、第1位置情報発信モジュール200−1から受信した隣接スピーカIDおよび固有識別情報を含む報告を転送する。
スピーカIDは、位置管理サーバ110で生成されるものと、位置情報発信モジュール200内で生成されるものとがあるところ、位置情報発信モジュール200内で生成されたスピーカIDは、そのままでは位置管理サーバ110が感知し得ない。上記隣接スピーカID報告は、位置管理サーバ110に、隣接スピーカIDおよび隣接モジュールの固有識別情報を戻すことで、その隣接スピーカIDが固有識別情報で識別されるモジュールに設定されたことを認識させ、位置座標情報と紐付けるために行われる。
ステップS111では、位置管理サーバ110は、隣接スピーカID報告を受信する。ステップS112では、位置管理サーバ110は、報告された隣接スピーカIDを、報告された固有識別情報に対応する位置管理テーブル300のレコードに記録し、ステップS113で本処理を終了させる。
図4に示す位置管理テーブル300は、管理対象の位置情報発信モジュール200ごとに、固有識別情報(ID番号)300aと、スピーカIDフィールド300bと、位置座標300cと、位置の説明情報300dとを含むレコードから構成される。位置の説明情報300dは、位置座標に付属させる説明、時刻表、店舗情報、店舗URL、交通手段との距離など他の関連情報を保持するフィールドである。
図4に示すように、設定処理前においては、位置情報発信モジュール200に対応付けて、位置座標300cおよび位置の説明情報300dのみが記憶されており、スピーカIDフィールド300bが空欄となっている。これに対して、上記位置情報設定処理をすべての位置情報発信モジュールに対して完了させた後は、図5に示すように、スピーカIDフィールド300bに値が入力され、各スピーカIDに対して位置座標が対応付けて管理される。
なお、位置情報発信モジュール200の位置座標300cは、位置情報発信モジュール200を設置する際に、事前にその設置場所の位置座標が機器で測定され、その測定値が入力されているものとする。位置の説明情報300dも同様に、設置時に適宜入力されているものとする。
図3に示すように、スピーカIDを位置情報発信モジュール200で算出することにより、サーバへの問い合わせを行う必要がなくなり、システム全体の処理負荷を軽減することができる。
以下、図6および図7を参照しながら、本実施形態による経路案内システム100における出力音圧決定および確認処理について説明する。図6は、本実施形態による経路案内システム100で実行される、出力音圧決定および確認処理を示すフローチャートである。図7は、位置管理サーバ110が管理する、周辺ノイズレベルに対しスピーカ出力レベルを対応付けるテーブル320を例示する。
図6に示す処理は、定期的、不定期に、または、位置管理サーバ110からの要求に対応して、音圧確認が求められるタイミングで、ステップS200から開始される。ステップS201では、位置情報発信モジュール200は、音圧測定部220により、マイクロフォン232を用いて、周辺ノイズレベルを測定する。
周辺ノイズレベルを測定する際には、周波数フィルタにより、信号として用いる周波数を除いた14KHz〜16KHz帯のノイズを、複数回(例えば10回程度)サンプリングし、その平均値を用いることができる。
ステップS202では、位置情報発信モジュール200は、送信部218により、PAN送受信機120に対し、測定した周辺ノイズレベルの報告を送信する。周辺ノイズレベルは、測定値としてもよいし、測定値の範囲に対応付けられるレベル識別子で表されてもよい。ステップS203では、PAN送受信機120は、位置管理サーバ110に対し、位置情報発信モジュール200から受信した周辺ノイズレベルの報告を転送する。
ステップS204では、位置管理サーバ110は、PAN送受信機120から周辺ノイズレベルの報告を受信する。ステップS205では、位置管理サーバ110は、図7に示すテーブル320を参照して、報告を受けた周辺ノイズレベルに対応するスピーカ出力レベルを取得し、これを用いるものとして決定し、その出力レベル(またはその出力レベルを実現するための電流値)をPAN送受信機120に送信する。ステップS206では、PAN送受信機120は、位置情報発信モジュール200に対し、位置管理サーバ110から受信したスピーカ出力レベルを転送する。ステップS207では、位置情報発信モジュール200は、受信部212により、決定されたスピーカ出力レベルを受信する。
ステップS208では、位置情報発信モジュール200は、受信したスピーカ出力レベルおよびID格納部214に格納されたスピーカIDに基づいて、スピーカ230からの音波信号の発信を行う。ステップS209では、位置情報発信モジュール200は、音圧測定部220により、マイクロフォン232を用いて、上記音波信号の発信下で、スピーカ出力を測定する。
スピーカ230からの音波信号を測定する際には、上述した周波数フィルタを無効化し、受信した音波信号からスピーカIDの抽出を試みることによって、スピーカIDが正しく出力されているかの判定を可能とする。また、スピーカ230からの音波信号を測定する際には、ピーク値での音圧を測定することによって、スピーカ230から正しい出力レベルで音波信号が発信されているかの判定を可能とする。
ステップS210では、位置情報発信モジュール200は、送信部218により、PAN送受信機120に対し、スピーカ230からの出力測定結果報告を送信する。出力測定結果は、出力音波から抽出されたスピーカIDと、ピーク値受信におけるピーク音圧レベルとを含むことができる。ステップS211では、PAN送受信機120は、位置管理サーバ110に対し、位置情報発信モジュール200から受信した出力測定結果報告を転送する。
ステップS212では、位置管理サーバ110は、PAN送受信機120から周辺ノイズレベルの報告を受信する。以後、位置管理サーバ110は、出力測定結果に含まれるス
ピーカIDに基づき、正しいIDが出力されているか否かを確認することができる。さらに、位置管理サーバ110は、出力測定結果に含まれる音圧レベルに基づいて、適切な出
力レベルで出力されているか否かを確認することができる。
例えば、位置管理サーバ110は、図7に示すテーブル320を参照して、決定したスピーカ出力レベルに対応する音圧レベルの推定値を取得し、これと、出力測定結果に含まれる音圧レベルと比較することができる。この場合に、位置管理サーバ110は、出力測定結果に含まれる音圧レベルが、音圧レベルの推定値を中心とした既定範囲から外れる場合に、適切な音圧レベルが得られるように、位置情報発信モジュール200に、より出力レベルを上げるよう、またはより出力レベルを下げるようフィードバックすることができる。また、正しいIDが抽出されなかった場合は、位置管理サーバ110は、当該位置情報発信モジュール200が故障しているものとして判定することができる。
以下、図8、図9を参照しながら、本実施形態による経路案内システム100において、携帯情報端末170が行う音波および電波(位置ビーコン)の受信処理について説明する。図8は、音波および位置ビーコンの時間的位置関係を示す図である。図9は、本実施形態による経路案内システム100で実行される、携帯情報端末170での音波および電波の受信処理を示すフローチャートである。
上述したように、PAN送受信機120は、位置ビーコンの信号間隔を示す信号を送信するようになっている。この信号間隔は、図8に示す時間差Δiniである。時間差Δiniは、例えば、音波であるスピーカ発信信号の最初の波形の立ち上がり時刻から位置ビーコンの電波の最初の波形の立ち上がり時刻までの時間差を示している。
図9の上段は、音波に関するステップを示す。ステップS120から開始される。ステップS121では、位置管理サーバ110は、PAN送受信機120に対し第1スピーカIDを送信する。ステップS122では、PAN送受信機120は、第1位置情報発信モジュール200−1に対し、位置管理サーバ110から受信した第1スピーカIDを転送する。ステップS123では、第1位置情報発信モジュール200−1は、受信部212により第1スピーカIDを受信し、ステップS124では、送信部218により、携帯情報端末170に対し第1スピーカIDを送信する。ステップS125では、携帯情報端末170は、第1スピーカIDを受信する。ステップS126では、第2位置情報発信モジュール200−2は、第1位置情報発信モジュール200−1と同様に、携帯情報端末170に対し第2スピーカIDを送信する。ステップS127では、携帯情報端末170が、第2音波信号が受信可能な範囲内に移動することにより、携帯情報端末170は、第2スピーカIDを受信することができる。
図9の下段は、電波(位置ビーコン)に関するステップを示す。ステップS130から開始される。ステップS131では、位置管理サーバ110は、PAN送受信機120に対し第1ビーコン用情報を送信する。第1ビーコン用情報は、第1位置情報発信モジュール200−1用の位置ビーコンのオンオフ信号と、位置ビーコンの信号間隔を示す信号とを含む。ステップS132では、PAN送受信機120は、第1位置情報発信モジュール200−1に対し、位置管理サーバ110から受信した第1ビーコン用情報を転送する。ステップS133では、第1位置情報発信モジュール200−1は、受信部212により第1ビーコン用情報を受信し、ステップS134では、位置ビーコン発信部217により、アンテナ231を介して携帯情報端末170に対し第1ビーコンを送信する。ステップS135では、携帯情報端末170は、第1ビーコンを受信する。ステップS136では、第2位置情報発信モジュール200−2は、第1位置情報発信モジュール200−1と同様に、携帯情報端末170に対し第2ビーコンを送信する。ステップS137では、携帯情報端末170が、第2位置ビーコンが受信可能な範囲内に移動することにより、携帯情報端末170は、第2ビーコンを受信することができる。
後述するように、経路案内システム100は、第1スピーカIDや第2スピーカID等で音波位置が把握でき、携帯情報端末170の位置を検出することができる。さらに、これに加えて、経路案内システム100は、第1ビーコン、第2ビーコン、その他の位置ビーコンの情報を加味すれば、携帯情報端末170の位置をさらに詳しく検出することができる。また、携帯情報端末170が所定の音波範囲内からその音波範囲外に出た場合でも第1ビーコン、第2ビーコン、その他の位置ビーコンの情報により、携帯情報端末170の位置を検出することができる。
次に、携帯情報端末170が音波の届く範囲内にある場合に、経路案内システム100(特に、後述する経路案内アプリケーション174)が位置情報を特定するステップを図10および図11を参照しながら説明する。図10は、経路案内システム100が位置情報を特定するステップの説明図である。図11は、屋内の天井に位置情報発信モジュール200が所定間隔で設置された場合において、音波および位置ビーコンの届く範囲を天井側から見た模式図である。なお、本実施形態では、音波の届く範囲はスピーカIDごとに互いに独立しているものとしている。
図11において、黒丸印は第1位置情報発信モジュール200−1〜第6位置情報発信モジュール200−6がそれぞれ設置された位置を示しており、音波および位置ビーコンが同一位置から発信されるものとしている。また、例えば、zone1sは、第1位置情報発信モジュール200−1からの音波が届く範囲を示している。また、例えば、zone1bは、第1位置情報発信モジュール200−1からの電波(位置ビーコン)が届く範囲を示している。この電波が届く範囲であるzone1bは、音波が届く範囲zone1sを含んでいる。
図10に示すように、ステップ1としては、携帯情報端末170が、音波信号を受信し、その音波信号に含まれるスピーカIDに基づき、第2位置情報発信モジュール200−2からの音波信号(第2音波信号)であれば、その第2音波信号の受信位置は図11に示すzone2s内であることが把握できる。
図11に示す位置に携帯情報端末170がある場合、携帯情報端末170は、第1位置ビーコン、第2位置ビーコン、第5位置ビーコンを受信可能である。これらの位置ビーコンの信号強度は、携帯情報端末170と各位置情報発信モジュール200との位置関係から、第2位置ビーコン、第1位置ビーコン、第5位置ビーコンの順で大きい。
ステップ2において、第2音波信号の最初の波形の立ち上がり時刻と位置ビーコンの電波の最初の波形の立ち上がり時刻との予め定められた時間差Δini(図8参照)と、携帯情報端末170で実際に受信した音波と電波との時間差Δactとの時間差(Δini−Δact)を計算することにより、受信した音波および電波の発信位置から携帯情報端末170までの距離が求まる。
例えば、携帯情報端末170が受信した第2音波信号の受信時刻と、信号強度が2番目に大きい第1位置ビーコンの受信時刻との時間差から、図11に示す点線170aの位置に携帯情報端末170があることが求まる。
ステップ3において、第2音波信号の最初の波形の立ち上がり時刻と、信号強度が3番目に大きい第5位置ビーコンの最初の波形の立ち上がり時刻との予め定められた時間差Δiniと、携帯情報端末170で実際に受信した音波と電波との時間差Δactとの時間差(Δini−Δact)を計算することにより、受信した音波および電波の発信位置から携帯情報端末170までの距離が求まる。図11では、一点鎖線170bで示す位置に携帯情報端末170があることが求まる。
ステップ4において、ステップ2で求めた点線170aと、ステップ3位置で求めた一点鎖線170bとの交点を求める。その交点の位置は、携帯情報端末170の詳細な位置である。
次に、携帯情報端末170が音波の届く範囲外にある場合に、経路案内システム100が位置情報を特定するステップを図12および図13を参照しながら説明する。図12は、経路案内システム100が位置情報を特定するステップの説明図である。図13は、屋内の天井に位置情報発信モジュール200が所定間隔で設置された場合において、音波および位置ビーコンの届く範囲を天井側から見た模式図である。以下の説明では、携帯情報端末170がzone4sから出てzone5sの方向に向かっており、zone4sとzone5sとの間の音波が届かない範囲にあるものとする。
図12に示すように、ステップ1において、経路案内システム100は、携帯情報端末170が第4電波信号を受信しなくなることによりzone4sを出たことを把握でき、第4位置ビーコンに加えて第5位置ビーコンを受信することにより携帯情報端末170がzone5sの方向に向かっていることを把握できる。
図12に示した位置に携帯情報端末170がある場合は、携帯情報端末170は、第1位置ビーコン、第4位置ビーコン、第5位置ビーコンを受信可能である。これらの位置ビーコンの信号強度は、携帯情報端末170と各位置情報発信モジュール200との位置関係から、第4位置ビーコン、第5位置ビーコン、第1位置ビーコンの順で大きい。
ステップ2において、経路案内システム100は、位置ビーコンの強度1番目と強度2番目、すなわち、第4位置ビーコンと第5位置ビーコンの信号強度比で携帯情報端末170の位置を決定し、点線170aに携帯情報端末170があることを把握する。なお、例えば、第4位置ビーコンと第5位置ビーコンの強度比(第5位置ビーコン/第4位置ビーコン)が例えば0.85ならば、携帯情報端末170は、第5位置情報発信モジュール200−5よりも第4位置情報発信モジュール200−4側に寄っていることがわかる。
ステップ3において、位置ビーコンの強度1番目と強度3番目、すなわち、第4位置ビーコンと第1位置ビーコンの信号強度比で携帯情報端末170の位置を決定し、一点鎖線170bの位置に携帯情報端末170があることを把握する。なお、例えば、第4位置ビーコンと第1位置ビーコンの強度比(第1位置ビーコン/第4位置ビーコン)が例えば0.42ならば、携帯情報端末170は、第1位置情報発信モジュール200−1よりも第4位置情報発信モジュール200−4側に寄っていることがわかる。
ステップ4において、ステップ2で求めた点線170aと、ステップ3位置で求めた一点鎖線170bとの交点を求める。その交点の位置は、携帯情報端末170の詳細な位置である。なお、携帯情報端末170が音波の届く範囲外になることがある構成でも、歩くスピードが速ければ隣接する音波zoneにすぐ入れるような屋内領域では、ステップ2まで程度でもよい。
なお、音波の受信機(例としてスマホなど)が受信可能な距離は、概ね0m〜8m程度(平均5m程度)であるが、受信可能な距離は周辺ノイズに依存する。また、位置ビーコンの受信機が受信可能な距離は、概ね0m〜12m程度(平均10m程度)である。
位置情報発信モジュール(音波および位置ビーコンの発信機)は、その設置コストが考慮され、どの程度の密度で設置するかにもよるが、位置ビーコン信号が複数受信可能な、5m〜10m程度の間隔で設置するのが好ましい。ただし、音波および電波が到達できればよいので、この数字に限定されるものではない。
また、位置ビーコンのデバイスからの距離を携帯情報端末170に表示する場合には、例えば3種類(Far,Near,Immediate)の表示を用いることができる。この表示は、おおまかな距離感を提示するものであり、例えば、"Far"は約10m以上、"Near"は数m以内、"Immediate"は1m程度以内の距離を示す。
以下、図14〜図17を参照しながら、携帯情報端末170から利用するできる現在位置表示機能について説明する。図14は、本実施形態による経路案内システム100における現在位置表示機能に関連する機能ブロック図である。
図14に示すように、位置管理サーバ110上には、図4に示したような位置管理テーブル300が保持されている。位置管理サーバ110は、外部装置からの位置問い合わせに応答して、位置管理テーブル300を参照し、対応する位置座標を提供する位置座標提供サーバ112を含む。位置座標提供サーバ112は、サーバプログラムとして、位置管理サーバ110上にインストールされる。
位置座標提供サーバ112は、外部装置からの位置問い合わせに応答して、問い合わせに含まれるスピーカIDに紐付けられた位置座標を位置管理テーブル300から検索し、発見した位置座標を位置問い合わせに対する応答として返す。また、ここでは、位置座標に加えて、店舗情報、広告、店舗URL、交通手段との距離、時刻表など関連情報を応答に含めてもよい。
一方、携帯情報端末170上には、位置情報発信モジュール200が発信する音波信号を受信して位置座標を取得し、得られた位置座標を利用して現在位置表示や経路案内を行うための経路案内アプリケーション174がインストールされている。経路案内アプリケーション174は、携帯情報端末170が備えるマイクロフォン171からの音声信号入力を受け付けるよう構成されている。また、携帯情報端末170は、位置ビーコンを受信するアンテナ172と、位置ビーコンの受信信号を処理する位置ビーコン受信部173とを有する。経路案内システム100からの位置情報を利用するためには、ユーザは、経路案内アプリケーションのプログラムを事前にダウンロード、または記録媒体を介して取得し、携帯情報端末170にインストールして、稼働させておけばよい。
経路案内アプリケーション174は、音声信号入力に基づいてスピーカIDを抽出し、抽出したスピーカIDと、位置ビーコンの情報とを用いて、図10および図12に基づき説明した交点を算出し、位置管理サーバ110に対し位置問い合わせを行う。経路案内アプリケーション174は、また、位置管理サーバ110から返される応答に含まれる位置座標を取得し、現在の位置座標の周辺地図や、店舗情報などの情報と組み合わせて、現在位置表示をディスプレイ上に表示することができる。経路案内アプリケーション174は、音波信号からスピーカIDを抽出する、本実施形態による抽出手段、および、位置管理サーバ110に問い合わせを行うことによって地理座標系上の位置座標に変換する本実施形態による変換手段を構成する。
図15は、本実施形態による経路案内システム100で実行される現在位置表示処理を示すフローチャートである。また、図16および図17は、経路案内アプリケーション174が表示する現在位置表示画面を例示する。
図15に示す処理は、位置情報発信モジュール200が自身のスピーカIDを受信してID格納部214に格納したことに応答して、ステップS300から開始される。ステップS301では、位置情報発信モジュール200は、ID格納部214のスピーカIDに基づき、現在設定されている出力レベルでスピーカ230からの音波信号の発信と位置ビーコンの発信を開始する。なお、図15では、位置ビーコンを位置BCNと記載している。
ステップS302では、携帯情報端末170は、マイクロフォン171により経路案内アプリケーション174に音声信号入力が行われ、音波信号を受信する。また、携帯情報端末170は、アンテナ172および位置ビーコン受信部173を介して位置ビーコン入力が行われ、位置ビーコンを受信する。ステップS303では、携帯情報端末170は、音声入力信号に基づいてスピーカIDを抽出する。ステップS304では、携帯情報端末170は、ネットワークを介して、抽出されたスピーカIDを用いて位置管理サーバ110に対して位置問い合わせを送信する。
ステップS305では、位置管理サーバ110は、携帯情報端末170からの位置問い合わせを受信する。ステップS306では、位置管理サーバ110は、問い合わせにかかるスピーカIDに関連付けられた位置座標を位置管理テーブル300から検索する。ステップS307では、位置管理サーバ110は、問い合わせのスピーカIDに対応した位置座標を問い合わせ元の携帯情報端末170に送信する。
ステップS308では、携帯情報端末170は、問い合わせに対する応答として位置座標を受信し、ステップS309で、得られた現在の位置座標に基づいて、図16に例示するような現在位置表示画面400を表示するなどの処理を行う。なお、説明する実施形態では、位置管理サーバ110から応答された位置座標をそのまま携帯情報端末170の位置座標として取り扱うものとする。しかしながら、他の実施形態では、複数の位置情報発信モジュール200からの音波信号を分離して検出できる場合に、複数取得される位置座標から携帯情報端末170の位置座標を算出するようにしてもよい。
図16に例示する現在位置表示画面400は、地図画像402上に、携帯情報端末170の現在位置座標が存在する建物のフロアマップ404が重ねて表示されている。現在位置表示画面400には、地図画像402上で携帯情報端末170の現在位置座標を表示するマーク406と、さらにフロア情報を示す吹き出し408とを含み構成される。図示しないが、このような画面上に、店舗情報を表示してもよいし、現在位置から指定の目的地までの経路案内を行ってもよい。
また、図15に示したステップS309において、図10、図11を用いて説明したように、音波および位置ビーコンの電波に基づいて経路案内アプリケーション174が携帯情報端末170の詳細な位置を求めることにより、図16で示した位置よりもさらに詳細な位置として、図17に例示すように、携帯情報端末170の現在位置座標を表示するマーク406を表示することができる。図17に示した例では、携帯情報端末170は、現在位置がB店の前であることを利用者に提示することができる。
上述した経路案内システム100により、GPS電波が弱い屋内や地下であっても、位置情報発信モジュール200からの音波信号に基づいて、受信側で位置を検出できる。また、経路案内システム100は、音波信号および位置ビーコンに基づいて現在位置を求める構成としたので、音波信号のみでの位置取得よりも、さらに詳細に現在位置を取得することができる。上述した音声信号入力に基づく位置情報の抽出処理は、例えば、携帯情報端末170が備える通常のGPS機能で位置情報が取得されない状態となったことや、通常のGPS機能で事前登録されたモジュール設置済みの建物内への移動を検知したことに応答して有効化され、GPS機能での測位とシームレスに位置情報検知モジュールを用いた測位を開始できる。
以上説明した実施形態では、経路の案内は、携帯情報端末170上で稼働する経路案内アプリケーション174により、携帯情報端末170が備えるディスプレイを介して行われるものであった。以下、配列される複数の位置情報発信モジュール200を用いて、利用者を目的地まで案内ないし誘導することができる他の実施形態による経路案内システムについて、図18〜図20を参照しながら説明する。図18〜図20を参照して説明する実施形態は、図1〜図17を参照して説明した実施形態と共通の構成を備えるため、以下、相違点を中心に説明する。また、同様な働きをする構成要素は、同一符番を付して参照する。
図18は、他の実施形態による経路案内システム100の全体構成を示す概略図である。図18に示す実施形態による経路案内システム100は、図1に示した実施形態と同様に、1または複数の屋内フロアに複数の位置情報発信モジュール200が配列され、3次元的な位置が検出可能なように構成されている。
図18に示す実施形態では、さらに、目的地Gが設定されており、目的地までの距離に応じて、図18に示す例では3つの領域、すなわち、目的地から近い領域(領域1)、目的地に少し近い領域(領域2)および目的地に少し遠い領域(領域3)に区分されている。説明する実施形態では、携帯情報端末170からの案内要求に応答して、該携帯情報端末170の現在位置と、目的地の位置との距離に応じて、位置情報発信モジュール200から発信する情報を変化させるよう構成されている。なお、説明する実施形態では、位置関係として距離を用いるものとするが、他の実施形態では、位置関係として、方角などを追加的にまたは代替的に用いてもよい。
上述した目的地は、例えば、利用者が近接している所定の店舗などのように、所定の条件を満たした利用者に対し設定される共通の誘導先としてもよいし、利用者が経路案内アプリケーション174において設定した個別の経路案内先としてもよいし、または、緊急時の誘導先などとしてもよい。
図18に示す実施形態による経路案内システム100も、同様に、位置管理サーバ110と、上記位置管理サーバ110にネットワーク102を介して接続されるPAN送受信機120とを含み構成される。
図18に示す実施形態による位置管理サーバ110は、配設された複数の位置情報発信モジュール200の位置を管理するとともに、利用者の現在位置および目的地の位置を管理する。位置管理サーバ110は、携帯情報端末170の利用者を固有に識別する利用者IDに関連付けて、利用者の現在の位置および目的地の位置を記憶する。
利用者の現在の位置は、携帯情報端末170上の経路案内アプリケーション174が位置管理サーバ110に対し位置問い合わせを行った際のスピーカIDに紐付けられる位置情報発信モジュール200の固有識別情報(ID番号)、または、位置座標情報にて管理することができる。位置座標情報は、位置管理サーバ110側で、固有識別情報に紐付けられて管理しているものとしてもよいし、携帯情報端末170側で、複数の位置情報発信モジュールの位置座標から算出し、通知してきたものとしてもよい。目的地の位置も同様に、経路案内アプリケーション174を介して利用者が設定した案内先、または、事前に登録された誘導先の位置座標情報または位置情報発信モジュール200の固有識別情報にて管理することができる。
図19は、他の実施形態による位置管理サーバ110が管理する、利用者の現在の位置および目的地の位置を保持するテーブルを例示する図である。図19に示す利用者の位置管理テーブル340は、利用者毎に、利用者ID340aと、現在位置に紐付けられた位置情報発信モジュール200の固有識別情報340bと、目的地に紐付けられた位置情報発信モジュール200の固有識別情報340cとを含むレコードから構成される。なお、図19は、利用者毎に、経路案内先としての目的地が設定される場合を例示する。店舗の所定範囲内にいるなどの条件を満たす利用者に対し、店舗へ誘導する場合は、目的地と、条件を満たす利用者とその現在位置とを管理するなどをすればよい。
図18に示す実施形態による経路案内システム100では、ユーザは、位置情報利用装置である携帯情報端末170を付帯し、携帯情報端末170を用いて経路案内サービスの提供を受ける。携帯情報端末170は、公衆ネットワーク104を介して、位置管理サーバ110と通信する。
図18に示す実施形態による携帯情報端末170上の経路案内アプリケーション174は、位置座標を取得する機能の他に、位置管理サーバ110に対し、案内要求を発行する機能を有する。携帯情報端末170は、位置情報発信モジュール200からの位置情報に基づいて、位置管理サーバ110に対し、受信した位置情報または位置情報から変換される位置座標情報とともに案内要求を送信する。これによって、利用者が、当該携帯情報端末170の現在の位置と目的地の位置との距離に応じた案内を受けることが可能となる。
位置管理サーバ110は、携帯情報端末170からの案内要求に応答して、携帯情報端末170の位置と目的地の位置との距離に応じて変化する条件で、携帯情報端末170の周辺に位置する位置情報発信モジュール200に対し、案内指令を行う。携帯情報端末170の周辺に位置する位置情報発信モジュール200は、携帯情報端末170に最も近いものであってもよいし、複数あってもよい。
また、PAN送受信機120は、位置情報発信モジュール200と、ネットワーク102上の位置管理サーバ110との通信を仲介し、位置管理サーバ110から所定の位置情報発信モジュール200に対する案内の指令を受信して、近距離無線通信により位置情報発信モジュール200に案内の指令を伝達することができる。
位置情報発信モジュール200は、上述したようにスピーカ230を含み構成され、上記位置情報を音波信号としてスピーカから発信するとともに、案内の指令に応答して、上述した距離に応じて変化する条件にて案内を行う。また、位置管理サーバ110と直接通信できない1以上の位置情報発信モジュール200への案内の指会い令は、位置情報発信モジュール200内のPAN通信部210によって連鎖的に伝達される。
位置情報発信モジュール200が上記距離に応じて変化する条件で実行する案内としては、特に限定されるものではないが、位置情報発信モジュール200は、上述した位置情報を発信する音波に加えて、案内のための音波を別途発信することができる。案内のための音波は、可聴域の音波とすることができる。そして、位置情報発信モジュール200から発信する音波の音圧、周波数および位相の少なくとも1つを、距離に応じて区分される領域のいずれに位置するかに応じて変化させることを含むことができる。案内は、好適な実施形態では、携帯情報端末170からの案内要求に応答して行われる。音圧および周波数を変化させる構成については後述する。
また、他の実施形態では、複数の位置情報発信モジュール200は、それぞれ、近接して光発信装置を備えており、上述した音波での案内に加え、または、音波での案内に代えて、位置情報発信モジュール200に近接して備えられた光発信装置から光を発信することができる。そして、光発信装置から発信する光の点滅間隔および色の一方または両方を、距離に応じて区分される領域のいずれに位置情報発信装置が位置するかに応じて変化させることを含むことができる。なお、光発信装置は、上述した照明装置130に含まれるLED素子であってもよいし、照明用とは別に設けられる他のLED素子であってもよい。
好適な実施形態では、上記光発信装置は、位置情報発信モジュール200のスピーカ230からの音波に反応して光発信するよう構成することができる。そして、光発信装置とスピーカ230の距離などで設定することにより、通常時は、スピーカ230の振動では反応しない様にしておき、非常時や、案内要求があったときのみ、スピーカ230から案内のための可聴域または非可聴域の音波を発生させて、これに連動して光発信装置を点滅させることができる。
この際、グラフィックイコライザに用いられるようなスペクトルアナライザを用いて、音波信号を周波数で分割し、得られた周波数毎のレベルを表す電圧信号を光発信装置に出力することによって、スピーカ230からの音波に連動して、光発信装置の点灯および点滅を実現することができる。これにより、光発信装置が発信する光の色を変化させることが可能である。例えば、各周波数に対応させて複数の色の発光素子を設け、スピーカ230から、所望の色の発光素子に対応した周波数の音波を出力することで、それに反応した発光素子から所望の色の光発信を行うことができる。このように、スピーカ230からの音波発信と、光発信装置からの光発信とを同時に行い、音波の周波数帯と発光の色とを分けておくことにより、光発信装置の色の変化を使い分けることも可能である。例えば、上述した方角を位置関係に含める実施形態では、現在位置と目的地の位置関係により、東西南北などの方角に対応して4色(北は青、南は赤、西は緑、東は白など)で光発信することができる。これにより、携帯情報端末170から案内要求を出して、近くにある位置情報発信モジュール200の近傍の光発信装置の色を確認することで、自らが進むべき方向を判断することができる。
図20は、他の実施形態による経路案内システム100で実行される案内処理を示すフローチャートである。図20に示す処理は、携帯情報端末170が利用者からの案内指示を受領したことに応答して、ステップS401から開始される。利用者からの案内指示は、例えば、経路案内アプリケーション174の画面上で、近くの位置情報発信モジュールからの案内を受けられるよう指示するためのボタンが受け付けられる。ステップS402では、携帯情報端末170は、位置情報発信モジュール200からの音声信号から抽出したスピーカIDを用いて位置管理サーバ110に対して案内要求を送信する。
ステップS403では、位置管理サーバ110は案内要求を受信する。ステップS404では、位置管理サーバ110は、案内要求とともに渡されたスピーカIDに基づいて、図5に示したような位置管理テーブルから現在の位置を検索し、また、図19に示したような利用者の位置管理テーブルから、利用者IDに基づいて対応する目的地の位置を検索し、領域を判定する。図18に示す例では、領域1〜領域3のいずれの領域に属するかが判定される。例えば、携帯情報端末170の位置が、図18に示す位置にあれば、領域3であると判定される。ステップS405では、位置管理サーバ110は、PAN送受信機120に対し、案内要求とともに渡されたスピーカIDに対応した位置情報発信モジュール200に宛てて、判定された領域に応じた条件での案内の指令を送信する。例えば、領域3に対応した、まだ目的地まで距離があることを示す色に対応する周波数での音波の発信の指令を送信する。
ステップS406では、PAN送受信機120は、対応した位置情報発信モジュール200に対し、位置管理サーバ110から受信した案内指令を転送する。ステップS407では、対応する位置情報発信モジュール200は、受信部212により案内指令を受信し、ステップS408で、案内指令に指定された条件にて案内を実施する。例えば、領域3に対応する周波数での音波を発信し、これに反応して光発信装置から、まだ目的地まで距離があることを示す色での光発信を行う。これにより、光発信を観察した利用者は、自身が目的地までまだ距離があることを認識することができる。
上述した他の実施形態による経路案内システム100においては、携帯情報端末170を付帯する利用者は、近くにある位置情報発信モジュール200からの音波信号に基づいて、位置管理サーバ110に案内を求めることにより、近くにある位置情報発信モジュール200から案内をうけて、目的地との位置関係に関連する情報を認識することができるようになる。
さらに、経路案内システム100は、上述した音波信号に基づいた経路案内に加えて、図10〜図13を用いて説明した位置情報を特定するステップを実行することにより、より詳細な位置情報に基づいた経路案内を実行することができる。
これまで、経路案内システム100について説明してきたが、以下、位置情報発信モジュール200で用いることができる構成要素について説明を加える。以下、図21を参照しながら、好適な実施形態による位置情報発信モジュール200で用いることができる回路について説明する。図21は、本実施形態で用いることができる(A)周波数変調回路および(B)電流駆動回路を示す回路図である。
上述した音波の周波数を変化させる際に使用できる回路としては、例示としては、LC発振方式、水晶・セラミック発振方式などを挙げることができるが、図21(A)は、クラップ型のLC発振回路を示す図である。図21(A)に示す回路は、インダクタと複数のキャパシタとから構成され、トランジスタTrへの入力へ加えるフィードバック電圧を決定している。図21(A)に示すような回路において、静電容量Cを変化させるために、可変容量ダイオードを使用し、可変容量値を外部設定することにより、発信周波数を制御できるようになる。この可変容量値は、例えば、位置管理サーバ110からの案内要求に基づいて、ソフトウェア的に変化させることが可能に構成することができる。
図21(B)は、音圧を所定の音圧に上下させることを可能とする電流駆動回路を示す。図21(B)では、一例として、オペアンプの出力に、一対のトランジスタQ1,Q2で構成するプッシュプル回路を接続し、互いに相補的に動作するように組み合わせた構成としている。図21(B)に示すような電流駆動回路をスピーカ230に設けることにより、音圧を変化させることが可能となる。なお、この電流駆動回路は、マイクロフォン232で周辺の音圧やノイズレベルを測定し、測定された音圧やノイズレベルに応じて適切に音波発生できるように出力を制御するためにも用いることができる。また、上述した案内における音波の音圧を変化させる際に用いることができる。この電流変化は、例えば、位置管理サーバ110からの案内要求に基づいて、ソフトウェア的に変化させることが可能に構成することができる。
以下、図22を参照しながら、好適な実施形態による位置情報発信モジュール200の構成について、より詳細に説明する。図22は、本実施形態による位置情報発信モジュール200が備えるスピーカ230の構造の作製手順を説明するための模式図である。図22に示すスピーカ230は、円筒ないし半円筒形状のスピーカとして構成される。
スピーカ230の作成においては、まず、図22(A)に示すように円筒50の外周面に沿って永久磁石20が巻き付けられるように固定される。なお、本実施形態においては、円筒50の外周面に永久磁石20の厚みに応じた凹部を形成して、永久磁石20を円筒50に埋め込むようにしてもよい。続いて、図22(B)に示すように、永久磁石20の表面全体または一部を覆うように緩衝膜30が形成される。その上に、図22(C)に示すように、コイル14が形成されたフレキシブル基板である振動板10が配置される。緩衝膜30の配置により、振動板10および永久磁石20間の固着や振動板10の分割振動が回避されるとともに、振動板10が充分な振幅をもって振動するために必要な可動域が確保される。
好適な実施形態では、図22に示す円筒ないし半円筒形状のスピーカ230を、直管型LEDランプのカバーの外周または内周に設け、カバー内部にPAN通信部210を設けることができる。このとき、LEDランプが設置される照明装置からPAN通信部210およびスピーカ230へ電源供給を行うことで、わざわざ各々の電源を用意しなくて済むようになる。また、照明電源としては、交流電源が供給されているため、スピーカ230の電源として都合がよい。さらに、既設の照明装置のランプに代替する形で、位置情報発信モジュール200を設置することができるので、電源の工事が不要である。また、PAN通信によりスピーカIDを伝達させることができるので、有線のネットワークを敷設する必要もない。
上述したように直管型LEDランプに巻き付ける形でスピーカ230を設ける場合、LED照明ランプの発光素子直上の領域以外の領域にスピーカ230を設けられることが好ましい。熱により、磁石の減磁が起こり、音圧低下につながるためである。LED照明からの熱については、6−16Wのランプで50℃までの上昇が起こりうることが確認されている。LED発光素子直上の領域にスピーカ230を設けない構成を採用することにより、スピーカ230に熱が直接作用することを防ぎ、音圧低下を防止することができる。
また、LED発光素子からの放射の範囲が、典型的には30度程度有するので、より好ましくは、LED発光素子の直上から15度以上ずれた領域に設けることが望ましい。
また、直管型LEDランプに巻き付ける形でスピーカ230を設けることは必ずしも要さないが、LEDランプの外側にスピーカ230を隣接させることで、ある消費電力の下、所定音圧を所定距離だけ離れたところに届ける観点から、効率を向上させられるという利点がある。また、本実施形態で用いるような範囲の音波は、超音波の下限に位置し、比較的直進性が高いので、上述したように円筒ないし半円筒形状とすることで、位置情報の到達範囲を広げることができ、複数のスピーカを設ける必要もない。
以上説明したように、上述までの実施形態によれば、それぞれ受信側で位置を取得するための位置情報を複数の位置情報発信装置に効率的に配布し、位置情報発信装置各々から上記位置情報を音波信号として発信することができる、新規な位置情報発信システム、位置情報発信装置、および、位置情報発信方法を提供することができる。
上記構成によれば、ネットワークにおいて1つの位置情報発信モジュール200に位置情報を送信することで、近距離無線通信により次々に位置情報がモジュール200に伝達され、位置情報の設定を効率的に行うことが可能となる。
また、スピーカ230が配列されてネットワークを形成し、伝達された位置情報を音波信号として発信することによって、地下街などGPS信号が届かない場所において、GPS機能を補完することができる。また、IMESと異なり、IMES対応のGPSモジュールを端末側に用意する必要がない。また、携帯情報端末170側では、1〜2m程度離れたスピーカ230からの音波信号を受信するだけなので、消費電力の観点からも好ましい。さらに、スピーカ230が発信する情報が、地理座標上の絶対位置座標に紐付けられ
ているので、絶対位置座標に関連づけられる複数の店舗位置情報や、交通情報も提供することができる。さらに、本経路案内システム100上の情報は、ネットワーク上で随時更新されるので、更新までの時間やコストが生じない。さらに、大規模災害等があった場合でも、バックアップ電源により照明にさえ電力が供給されれば、スピーカが駆動され、位置情報の発信が開始され、経路案内や現在位置表示を利用できるようになる。また、位置情報を伝達するキャリアが音波であるので、無線LAN、Bluetooth、電子レンジなどの他の機器との電磁波の干渉も生じず、通信速度も安定である。
さらに、好ましい実施形態では、スピーカ230に近接してマイクロフォン232が配置され、マイクロフォン232により、周辺環境の音波状況およびスピーカ230から出力状況が測定可能とされている。このため、スマートフォンなどの外部装置を経由する必要なく、位置情報発信モジュール200は、自身の発生する音波信号、信号の出力、故障を示す情報を取得することができ、位置管理サーバ110にこれらの情報を送信することで、故障情報などを一元管理することができる。また、人の混雑状況や雨などの気象状況に起因した周辺環境のノイズレベルの変動に対応することが可能となる。例えば、ノイズが多い環境に設置されている位置情報発信モジュール200からは、高い音圧でスピーカIDを発信することで、そのようなノイズの多い場所または時にでも、スマートフォンで検出可能とすることができる。また、ノイズが低い環境に設置されている位置情報発信モジュール200からは、できる限り低い音圧でスピーカIDを発信することで、スピーカの消費電力を軽減し、また16KHz〜24KHzの音波信号が環境に与える影響を小さくすることができる。
さらに、図18〜図20を参照して説明した他の実施形態では、携帯情報端末170の位置と目的地の位置との位置関係に応じて変化する条件で位置情報発信モジュール200から案内を行わせることによって、人を所定の目的地へ誘導ないし案内することが可能となる。
例えば、上述した他の実施形態では、案内情報は、位置管理サーバ110側で管理されており、複数の位置情報発信モジュール200を連携させて、所定の目的地へ人を誘導ないし案内することができる。
また、上述した他の実施形態では、案内は、ほとんど人の耳には聞こえない周波数および音圧で発信するので、目に見えて混乱する情報は発信しない。また、光発信を使う場合でも、要求がある時間のみ点滅するのみなので、混乱は避けられる。
なお、上述した説明では、各フロアでの位置情報配信モジュールの配列について特に言及しなかったが、一次元配列であってもよいし、二次元配列であってもよい。また、位置情報配信モジュールの数に特に制限はなく、フロアの数にも制限はない。
なお、特に上述した実施形態の位置管理サーバ110および上記携帯情報端末170上の機能は、C、C++、C#、Java(登録商標)などで記述された装置実行可能なプログラムにより実現でき、本実施形態のプログラムは、ハードディスク装置、CD−ROM、MO、DVD、フレキシブルディスク、EEPROM、EPROMなどの装置可読な記録媒体に格納して頒布することができ、また他装置が可能な形式でネットワークを介して伝送することができる。
これまで本発明の実施形態について説明してきたが、本発明の実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
[第2の実施形態]
<システム構成>
図23は、第2の実施形態に係る位置情報発信システムの構成例を示す図である。位置情報発信システム2310は、図1に示す第1の実施形態に係る経路案内システム100と同様のシステムである。ただし、本実施形態では、位置情報の発信方法について説明を行うため、以下の説明では、位置情報発信システム2310と呼ぶものとする。
位置情報発信システム2310は、複数の位置情報発信装置2301a、2301b、2301c、位置管理サーバ110、PAN送受信機120、携帯情報端末170等を含む。なお、以下の説明の中で、位置情報発信装置2301a、2301b、2301cのうち、任意の位置情報発信装置を示す場合、「位置情報発信装置2301」を用いる。また、図23に示す位置情報発信装置2301、PAN送受信機120、及び携帯情報端末170等の数は一例である。
複数の位置情報発信装置2301は、例えば、建物2303の天井等の互いに異なる位置に設置され、自装置の位置に関する情報(例えば、自装置の識別情報、座標情報等)を含む信号を出力する。また、複数の位置情報発信装置2301は、PAN送受信機120と所定の無線通信が可能であり、所定の無線通信を介して、位置管理サーバ110と通信可能である。なお、位置情報発信装置2301は、単体で動作する位置情報発信装置であっても良いし、第1の実施形態で説明した、照明装置130に設けられ、照明装置の電源からの電力供給を受けて動作する位置情報発信モジュール200であっても良い。
図23において、位置情報発信装置2301aは、スピーカ等の音波発信手段を有しており、位置情報発信装置2301aに固有の識別情報である音波ID「SP1001−1」を含む音波を所定の領域に向けて発信している。また、位置情報発信装置2301aは、例えば、Bluetooth Low Energy(以下、BLEと呼ぶ)等の電波発信手段を有しており、位置情報発信装置2301aに固有の識別情報である電波ID「SP1001−2」を含む電波を所定の領域に向けて発信している。なお、音波ID(第1の識別情報)と、電波ID(第2の識別情報)は、異なる識別情報であっても良いし、同じ識別情報であっても良い。
同様に、位置情報発信装置2301bは、音波ID「SP1002−1」を含む音波と、電波ID「SP1002−2」を含む電波を所定の領域に向けて発信している。また、位置情報発信装置2301cは、音波ID「SP1003−1」を含む音波と、電波ID「SP1003−2」を含む電波を所定の領域に向けて発信している。複数の位置情報発信装置2301a〜2301cによって形成される領域の例を、図24(a)に示す。
図24(a)は、図23に示す建物2303を上面から見た状態を示している。図24において、位置情報発信装置2301aの電波発信手段は、領域2401aに対して、位置情報発信装置2301aの電波ID「SP1001−2」を含む電波を、第1の時間間隔(例えば、10秒間隔)で発信しているものとする。また、位置情報発信装置2301aの音波発信手段は、領域2402aに対して、位置情報発信装置2301aの音波ID「SP1001−1」を含む音波を、第1の時間間隔より短い第2の時間間隔(例えば、1秒間隔)で発信しているものとする。
同様に、位置情報発信装置2301bの電波発信手段は、領域2401bに対して、電波ID「SP1002−2」を含む電波を発信し、音波発信手段は、領域2402bに対して、音波ID「SP1002−1」を含む音波を発信しているものとする。また、位置情報発信装置2301cの電波発信手段は、領域2401cに対して、電波ID「SP1003−2」を含む電波を発信し、音波発信手段は、領域2402cに対して、音波ID「SP1002−1」を含む音波を発信しているものとする。
図23に戻って、位置情報発信システム2310のシステム構成の説明を続ける。
位置管理サーバ110は、例えば、インターネットやLAN等のネットワーク102に接続された、例えば、PC(Personal Computer)等の情報処理装置である。位置管理サーバ110は、位置情報発信システム2310に対応する位置管理サーバ110用のアプリケーションプログラム(以下、アプリと呼ぶ)を実行する。なお、位置管理サーバ110は、複数の情報処理装置によって構成されるものであっても良い。
位置管理サーバ110は、ネットワーク102、及び所定の無線通信を介して、複数の位置情報発信装置2301と通信可能であり、複数の位置情報発信装置2301が設置されている位置に関する情報や、携帯情報端末170の位置を示す位置情報を管理する。また、位置管理サーバ110は、例えば、各位置情報発信装置2301が発信する音波ID、電波IDや、音波の発信方法、電波の発信方法等を制御する。
PAN送受信機120は、ネットワーク102を介して位置管理サーバ110と接続されており、また、複数の位置情報発信装置2301と共に無線ネットワークを形成している。PAN送受信機120は、PAN送受信機120が提供する無線ネットワークに接続された複数の位置情報発信装置2301と、位置管理サーバ110との間のデータの転送(中継)を行う。
携帯情報端末170は、位置情報発信システム2310の利用者2302が所持している、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末等の情報端末であり、無線通信により、ネットワーク102に接続して位置管理サーバ110と通信可能である。また、携帯情報端末170は、位置情報発信システム2310に対応する携帯情報端末170用のアプリを実行する。
携帯情報端末170は、携帯情報端末170用のアプリを実行することにより、内蔵されたマイクロフォン等を用いて位置情報発信装置2301が発信する音波を取得し、取得した音波に含まれる音波IDを抽出する。
また、携帯情報端末170は、例えば、内蔵された無線受信部を用いて位置情報発信装置2301が発信する電波を受信し、受信した電波に含まれる電波IDを抽出する。
さらに、携帯情報端末170用のアプリは、携帯情報端末170にインストールされたアプリ毎に固有の識別情報(以下、アプリIDと呼ぶ)を有する。携帯情報端末170は、アプリを実行し、位置情報発信装置2301の音波ID又は電波IDを抽出すると、抽出された音波ID又は電波IDと、自己のアプリIDとを含む取得情報を位置管理サーバ110に送信する。
なお、アプリIDは、携帯情報端末170を識別するための識別情報の一例である。アプリIDを用いることにより、位置情報発信システム2310は、例えば、電話番号やメールアドレス等の個人情報によらずに、携帯情報端末170を識別することができる。ただし、これはあくまで一例であり、携帯情報端末170は、アプリIDに変えて、携帯情報端末170の識別情報(端末ID)や、利用者の識別情報(利用者ID)等を用いるものであっても良い。
上記の構成において、位置管理サーバ110は、複数の位置情報発信装置2301の位置を管理し、各位置情報発信装置2301が出力する音波ID、電波ID等を管理する。
また、位置管理サーバ112は、携帯情報端末170から、携帯情報端末170が取得した電波ID又は音波IDを含む取得情報を受信する。位置管理サーバ112は、受信した取得情報に含まれる電波ID又は音波IDに基づいて、位置情報発信装置2301の電波の発信方法、音波の発信方法等を制御する。
図24(a)を参照して、位置情報発信装置2301aは、例えば、BLE通信等により、電波IDを含む電波を比較的広い範囲(例えば、半径2.5〜50m以内)の領域2401aに発信しているものとする。また、位置情報発信装置2301aは、例えば、消費電力等の観点から電波の送信間隔が長く(例えば、10秒間隔)設定されているものとする。このままでは、位置情報発信装置2301aの電波のみを受信できる領域2401aにある携帯情報端末170は、10秒に1回しか、電波ID(位置情報の一例)を取得することができない。
一方、位置情報発信装置2301aは、音波IDを含む音波を、例えば、電波の送信間隔より短い時間間隔(例えば1秒間隔)で、電波より狭い領域2402aに発信しているものとする。これにより、携帯情報端末170が領域2402aにある場合、携帯情報端末170は、1秒に1回、電波ID(位置情報の一例)を取得することができる。その代り、音波を取得できる領域2402aは、電波を取得できる領域2401aより狭いので、位置情報発信装置2301aの設置間隔が離れていると、音波IDを取得できる領域は飛び飛びになる。
そこで、本実施形態に係る位置情報発信システム2310は、携帯情報端末170が取得した電波ID、又は音波IDを含む取得情報に基づいて、位置情報発信装置2301の電波の発信方法や、音波の発信方法を制御する。
例えば、図24(a)において、携帯情報端末170は、位置情報発信装置2301aが発信する電波のみを受信できる位置にあるものとする。この場合、携帯情報端末170から位置管理サーバ110に送信される取得情報には、位置情報発信装置2301aの電波ID「SP1001−2」のみが含まれる。このような場合、位置管理サーバ110は、例えば、位置情報発信装置2301aに対して、電波の送信間隔を短く(例えば、1秒間隔)変更させる。これにより、携帯情報端末170は、位置情報発信装置2301aが発信する電波のみを受信できる位置にある場合でも、電波IDを1秒間隔で取得することができるようになる。
別の一例として、位置管理サーバ110は、取得情報に位置情報発信装置2301aの電波ID「SP1001−2」のみが含まれる場合、例えば、位置情報発信装置2301aに対して、音波の出力レベルを高く(例えば、+6dB)変更させる。これにより、携帯情報端末170は、例えば、図24(b)に示すように、位置情報発信装置2301aが発信する音波の領域2402aが拡大され、音波IDを受信できるようになる可能性を高めることができる。
なお、位置管理サーバ110は、位置情報発信装置2301aの電波ID、音波IDを取得した携帯情報端末170から取得情報を通知がない場合、電波の送信間隔、音波の出力レベル等を、例えば、所定の時間を経過した後に、既定の値に戻すことが望ましい。
このように、本実施形態に係る位置情報発信システム2310では、携帯情報端末170から受信した取得情報に基づいて、位置情報発信装置2301が発信する音波ID、又は電波IDの発信方法を制御する。これにより、屋内等で位置情報を携帯情報端末170に発信する位置情報発信システム2310において、携帯情報端末170に通知する位置情報の精度を向上させることが可能となる。
なお、上記の電波の送信間隔、及び音波の出力レベルは、位置情報発信システム2310が制御する電波の発信方法、又は音波の発信方法の一例である。例えば、位置情報発信システム2310は、電波の出力レベル、音波の中心周波数、音波の数等を制御するものであっても良い。
<ハードウェア構成>
(位置情報発信装置のハードウェア構成)
図25は、第2の実施形態に係る位置情報発信装置のハードウェア構成例を示す図である。位置情報発信装置2301は、例えば、CPU(Central Processing Unit)2501、RAM(Random Access Memory)2502、フラッシュROM(Read Only Memory)2503、無線通信部2504、音声処理部2505、増幅部2506、スピーカ部2507、近距離無線通信部2508、及びマイク部2509等を有する。
CPU2501は、フラッシュROM2503等に格納された位置情報発信装置2301用のプログラムを実行することにより、位置情報発信装置2301の各機能を実現する演算装置である。RAM2502は、CPU2501のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。フラッシュROM2503は、位置情報発信装置2301用のプログラムや、電波ID、音波ID等の様々な情報を記憶する不揮発性のメモリである。
無線通信部2504は、PAN送受信機120と所定の無線通信を行うための無線通信装置であり、例えば、送受信回路、アンテナ、制御回路等が含まれる。無線通信部604は、例えば、無線LAN、Zigbee(登録商標)、又は、920MHz帯の特定省電力無線(IEEE802.15.4g)等、各種の無線通信方式の無線部を用いることができる。
なお、第1の実施形態では、例えば、Zigbee等のマルチホップ通信で、PAN送受信機120までのデータ伝送を行う方法を例示した。ここでは、920MHz帯の特定省電力無線を適用した場合の例について説明する。この無線方式は、2.4MHz帯を用いる無線LANや、Zigbee等の無線方式に対し、伝送速度が200Kbps程度と低い反面、数10mA程度の消費電流で数100m程度までのデータ伝送が可能である。この無線方式により、例えば、Zigbeeではマルチホップでゲートウェイまでの無線通信を行っていたのに対し、省電力かつシングルホップでデータの送受信を行うことができる。なお、920MHz帯の特定省電力無線や、Zigbee等のマルチホップ通信は、無線通信部2504による所定の無線通信の一例である。所定の無線通信は、他の無線通信方式を用いるものであっても良い。
音声処理部2505は、CPU2501の制御に従って、例えば、音波IDを含む音波を生成する処理や、マイク部2509が取得した音波に含まれる音波IDの抽出、ノイズレベルを測定等、様々な音声処理を行う。
好ましくは、音声処理部2505は、CPU2501の制御に従って、音波IDを含む音波を、音声周波数帯域のうち、例えば、16kHz以上の高い周波数を用いて生成する。音波は、高い周波数ほど指向性が高く、16kHz以上の周波数は人間にはほとんど聞こえないため、音波ID等の情報を送信するために好適である。
なお、本実施形態では、具体的な音波によるデータ転送方法について、特に限定しないが、例えば、所定の周波数の音波に、FSK(Frequency Shift Keying)や、PSK(Phase Shift Keying)等の公知の変調をかけて、情報を伝送することができる。
或いは、音波によるデータ転送方法は、所定の周波数(例えば、19kHz)の音波をオン/オフさせることにより、デジタル値の「1」/「0」を表すもの等であっても良い。この場合、音波を受信した携帯情報端末170は、例えば、所定のサンプリングレートで予め定められた周波数の有無を判断することにより、音波に含まれる情報を取得することができる。
なお、音声処理部2505は、音声処理用の半導体集積回路で実現されるものであっても良いし、DSP(Digital Signal Processor)等で実現されるものであっても良い。或いは、音声処理部2505は、CPU601で動作するプログラムによって実現されるものであっても良い。
増幅部2606は、スピーカ部2507に出力する音波を増幅する増幅装置である。増幅部2606は、例えば、CPU2501の制御により、スピーカ部2507に出力する音波の出力レベル(音量、音圧等)を変更することができる。
スピーカ部2507は、増幅部2506から出力された音波IDを含む音波信号を音波に変換して出力する音波発生装置である。
近距離無線通信部2508は、位置情報発信装置2301の電波IDを含む電波を発信(送信)する無線送信(通信)装置である。
好ましくは、近距離無線通信部2508は、例えば、BLE等、一般的な携帯情報端末170と通信可能な近距離無線通信により、電波IDを含む電波を発信する。なお、近距離無線通信部605が送信する電波の到達範囲は、例えば、BLE通信の場合、2.5m〜50m程度以内である。なお、BLEは電波IDを含む電波を発信する無線方式の一例である。近距離無線通信部2508は、他の通信方式により、電波IDを含む電波を発信するものであっても良い。
マイク部2509は、マイクロフォン等の収音素子を含む。マイク部2509は、マイクロフォン等により取得した音波を音波信号に変換する。
(位置管理サーバのハードウェア構成)
図26は、第2の実施形態に係る位置管理サーバのハードウェア構成例を示す図である。位置管理サーバ110は、一般的なコンピュータの構成を有しており、例えば、CPU2601、RAM2602、ROM2603、ストレージ部2604、外部I/F部2605、入力部2606、表示部2607、ネットワークI/F部2608、バス809等を有する。
CPU2601は、ROM2603やストレージ部2604等に格納されたプログラムやデータをRAM2602上に読み出し、処理を実行することで、位置管理サーバ110の各機能を実現する演算装置である。RAM2602は、CPU2601のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。ROM2603は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性のメモリである。
ストレージ部2604は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)や、SSD(Solid State Drive)等のストレージ装置であり、OS(Operation System)、アプリケーションプログラム、及び各種データ等を記憶する。
外部I/F2605は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、例えば、記録媒体2610等が含まれる。位置管理サーバ110は、外部I/F2605を介して、記録媒体2610の読取り及び/又は書き込みを行うことができる。記録媒体2610には、例えば、光学ディスク、磁気ディスク、メモリカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ等が含まれる。また、記録媒体2610に所定のプログラムを格納し、この記録媒体2610に格納されたプログラムを外部I/F2605を介して、位置管理サーバ110にインストールすることにより、位置管理サーバ110は所定のプログラムを実行することができる。
入力部2606は、マウス等のポインティングデバイスや、キーボード等、位置管理サーバ110に各操作信号を入力するために用いられる入力装置である。表示部2607はディスプレイ等、位置管理サーバ110による処理結果等を表示する表示装置である。
ネットワークI/F部2608は、位置管理サーバ110をネットワーク102に接続するための、例えば、有線/無線LAN等の通信インタフェースである。位置管理サーバ110は、ネットワークI/F部2608を介して、他の機器とデータ通信を行うことができる。バス2609は、上記各構成要素に接続され、アドレス信号、データ信号、及び各種制御信号等を伝送する。
(情報端末のハードウェア構成)
図27は、第2の実施形態に係る携帯情報端末のハードウェア構成例を示す図である。携帯情報端末170は、一般的なコンピュータの構成を含み、例えば、CPU2701、RAM2702、ROM2703、ストレージ部2704、通信I/F部2705、近距離無線通信部2706、マイク部2707、スピーカ部2708、表示入力部2709及びバス2710等を有する。
CPU2701は、ROM2703やストレージ部2704等に格納されたプログラムやデータをRAM2702上に読み出し、処理を実行することで、携帯情報端末170の各機能を実現する演算装置である。RAM2702は、CPU2701のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。ROM2703は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性のメモリである。
ストレージ部2704は、例えば、HDD、SSD、フラッシュROM等のストレージ装置であり、OS、アプリケーションプログラム、及び各種データ等を記憶する。
通信I/F部2705は、例えば、3G(3rd. Generation)、LTE(Long Term Evolution)等の移動通信網や、無線LAN等の通信方式に対応した通信インタフェースである。携帯情報端末170は、通信I/F部2705を介して、ネットワーク102に接続し、位置管理サーバ110等とデータ通信を行う。
近距離無線通信部2706は、位置情報発信装置2301が出力する電波IDを含む電波を受信する無線受信(通信)装置である。近距離無線通信部2706は、位置情報発信装置2301の近距離無線通信部2508と同じ無線通信方式(例えば、BLE)で、位置情報発信装置2301が送信する電波を受信する。なお、BLEは電波IDを含む電波を発信する無線方式の一例であり、本発明の範囲を限定するものではない。
マイク部2707は、マイクロフォン等の収音素子を含む収音装置である。マイク部2707は、マイクロフォン等により取得した音波を音波信号に変換し、さらに、必要に応じて所定のフォーマットの音波データに変換する。近年のスマートフォン等が備えるマイクロフォンは、20kHz、より好適な例では24kHz程度の音波まで収音可能である。そのため、マイク部2707は、位置情報発信装置2301から出力された音波に含まれる、例えば、16kHz以上の高い周波数に変換された音波IDを好適に取得することができる。
スピーカ部2708は、スピーカ等の音波出力素子を含む。スピーカ部2708は、音波信号を、スピーカ等により音波に変換して出力する。
表示入力部2709は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示素子と、タッチパネル等の入力用の素子とを含み、利用者による入力操作を受け付けると共に、携帯情報端末170で実行されるプログラムによる表示画面を表示する。
バス2710は、上記の各構成要素に接続され、アドレス信号、データ信号、及び各種制御信号等を伝送する。
<機能構成>
(位置情報発信装置の機能構成)
図28は、第2の実施形態に係る位置情報発信装置の機能構成の一例を示す図である。ここでは、PAN送受信機120が提供する無線ネットワークが、前述した920MHz帯の特定省電力無線であるものとして、以下の説明を行う。なお、これは、あくまで一例であり、PAN送受信機120が提供する無線ネットワークは、第1の実施形態と同様のマルチホップ通信で行われるものであっても良い。
位置情報発信装置2301は、通信部2801、音波発信部2802、電波発信部2803、発信制御部2804、音波収集部2805、音波解析部2806、及び識別情報記憶部2807等を有する。
通信部(無線通信手段)1101は、PAN送受信機120が提供する無線ネットワークによる所定の無線通信を行う手段である。通信部1101は、例えば、図25の無線通信部2504、及び図25CPU2501で動作するプログラム等によって実現される。図28の例では、各位置情報発信装置2301は、PAN送受信機120との所定の無線通信を介して、位置管理サーバ110と通信可能である。
例えば、位置管理サーバ110が、所定の情報を一斉(ブロードキャスト)送信すると、所定の情報は、PAN送受信機120を介して、各位置情報発信装置2301に送信される。位置情報発信装置2301は、通信部1101を介して、所定の情報を受信し、必要な情報(例えば、自装置の識別情報や、アドレス情報等に対応する情報)を取得する。また、各位置情報発信装置2301は、通信部1101により、PAN送受信機120経由で、位置管理サーバ110に所定の情報を送信することができる。
音波発信部(音波発信手段)2802は、位置情報発信装置2301の音波ID(第1の識別情報)を含む音波を発信する。音波発信部2802は、例えば、図25のスピーカ部2507、増幅部2506、音声処理部2505、及び図25のCPU2501で動作するプログラム等によって実現される。
電波発信部(電波発信手段)2803は、位置情報発信装置2301の電波ID(第2の識別情報)を含む電波を発信する。電波発信部2803は、例えば、図25の近距離無線通信部2508、及び図25のCPU2501で動作するプログラム等によって実現される。
発信制御部(発信制御手段)2804は、例えば、通信部2801による所定の無線通信(例えば、PAN送受信機120が提供する無線ネットワーク)を介して、通知された制御情報に応じて、音波の発信方法、又は電波の発信方法を変更する。
例えば、音波発信部2802は、所定の出力レベルで、音波IDを含む音波を発信しているものとする。位置管理サーバ110から、音波の出力レベルの変更を指示する制御情報を受信すると、発信制御部2804は、制御情報の指示に従って、音波発信部2802が発信する音波の出力レベルを変更する。或いは、電波発信部2803は、所定の時間間買うで、電波IDを含む電波を発信しているものとする。位置管理サーバ110から、電波を発信する時間間隔の変更を指示する制御情報を受信すると、発信制御部2804は、制御情報の指示に従って、電波発信部2803が発信する電波の時間間隔を変更する。発信制御部2804は、例えば、図25のCPU2501で動作するプログラムによって実現される。
音波収集部(音波収集手段)2805は、位置情報発信装置2301の周辺の音波を収集する手段であり、例えば、図25のマイク部2509、及び図25のCPU2501で動作するプログラム等によって実現される。
音波解析部(解析手段)2806は、音波収集部2805が取得した音波を解析する手段であり、例えば、図25の音声処理部2505、及び図25のCPU2501で動作するプログラム等によって実現される。音波解析部2806は、例えば、位置情報発信装置2301の周辺のノイズレベルの測定や、音波収集部2805が取得した音波に含まれる音波IDの抽出等を行う。また、音波解析部2806は、解析した、位置情報発信装置2301の周辺のノイズレベルや、取得した音波に含まれる音波ID等を、通信部2801を用いて、位置管理サーバ110に通知する。
識別情報記憶部2807は、位置情報発信装置2301の電波IDや、音波ID等を記憶する手段であり、例えば、図3のフラッシュROM2503、RAM2502、図6のCPU2501で動作するプログラム等によって実現される。
(位置情報発信システムの機能構成)
図29は、第2の実施形態に係る位置情報発信システムの機能構成図である。図29の位置情報発信システム2310の機能構成図には、位置情報発信装置2301、位置管理サーバ110、PAN送受信機120、及び携帯情報端末170の最小構成が示されている。
(位置管理サーバの機能構成)
位置管理サーバ110は、通信部2901、取得情報受信部2902、補完制御部2903、位置情報管理部2904、位置情報提供部2905、及び記憶部2910等を有する。
通信部2901は、位置管理サーバ110をネットワーク102に接続し、例えば、PAN送受信機120、携帯情報端末170等との通信を行う。通信部2901は、例えば、図26のネットワークI/F部2608、及び図26のCPU2601で動作するプログラム等によって実現される。
取得情報受信部(受信手段)2902は、携帯情報端末170から、携帯情報端末170が位置情報発信装置2301より取得した電波ID、又は音波IDを含む取得情報を受信する。取得情報受信部2902は、例えば、図26のCPU2601で動作するプログラムによって実現される。
補完制御部(補完制御手段)2903は、取得情報受信部2902が受信した取得情報に基づいて、位置情報発信装置2301が発信する音波、又は電波の発信方法を制御する制御情報を、PAN送受信機120を介して、位置情報発信装置2301に通知する。補完制御部2903は、例えば、図26のCPU2601で動作するプログラムによって実現される。
補完制御部2903は、例えば、取得情報受信部2902が受信した取得情報と、記憶部2910に記憶した補完制御情報2911とに基づいて、位置情報発信装置2301が発信する音波、又は電波の発信方法を制御する制御内容を決定する。
図30は、第2の実施形態に係る補完制御情報の例を示す図である。
図30(a)は、補完制御情報2911の一例である。図30(a)の例では、補完制御情報2911には、「制御項目」、「音波ID」、「電波ID」、「既定値」、「変更値」等の情報が含まれる。
「制御項目」は、制御情報を制御する内容を示す情報である。例えば、「電波の送信間隔」は、位置情報発信装置2301が、電波IDを含む電波を発信する送信間隔を変更する制御であることを示している。また、「電波の出力レベル」は、位置情報発信装置2301が、電波IDを含む電波を発信する出力レベルを変更する制御であることを示している。
「音波ID」、及び「電波ID」は、取得情報に含まれる音波ID、及び電波IDの有無に対応する情報である。例えば、音波ID「あり」は、取得情報に音波IDが含まれていることを示しており、音波ID「なし」は、取得情報に音波IDが含まれていないことを示している。同様に、電波ID「あり」は、取得情報に電波IDが含まれていることを示しており、電波ID「なし」は、取得情報に電波IDが含まれていないことを示している。
「既定値」は、各制御項目の既定値を示す情報である。例えば、制御項目「電波の送信間隔」の既定値は「10秒に1回」となっており、位置情報発信装置2301は、制御情報を送信しない場合、電波を10秒に1回発信することを示している。
「変更値」は、「音波ID」、及び「電波ID」の組合わせに対応する、各制御項目の変更内容を示す情報である。例えば、制御項目「電波の送信間隔」において、取得情報の音波IDが「なし」、電波IDが「あり」の場合、電波の送信間隔を、既定値より短い「1秒に1回」に変更することを示している。また、変更値「−」は、変更を行わないことを示している。
また、制御項目「電波の出力レベル」の音波ID「複数」は、、取得情報受信部2902が受信した取得情報に、複数の電波IDが含まれている場合を示している。このような場合、携帯情報端末170の位置を特定することが困難になるため、例えば、周辺の位置情報発信装置2301の電波の出力レベルを下げることが望ましい。
図30(b)は、補完制御情報2911の別の一例である。図30(b)に示すように、補完制御情報2911には、様々な制御項目がさらに含まれていても良い。
例えば、「音波の出力レベル」は、位置情報発信装置2301が、音波IDを含む音波を発信する出力レベルを変更する制御を示す。「音波の周波数」は、位置情報発信装置2301が発信する音波の中心周波数を変更する制御を示す。「音波の数」は、位置情報発信装置2301が発信する音波数を変更する制御を示す。
また、補完制御情報2911は、図30(b)に示すように「優先度」情報を有していても良い。例えば、図30(b)の例では、音波ID「なし」、電波ID「あり」に対応する複数の制御項目(例えば、「電波の送信間隔」、「音波の出力レベル」、「音波の周波数」、「音波の数」等)が存在する。このような場合、補完制御部2903は、「優先度」が高い(数値が小さい)ものから、順次に制御項目を実行することが望ましい。
例えば、音波ID「なし」、電波ID「あり」である場合、補完制御部2903は、優先度「1」の「電波の送信間隔」を「1秒に1回」に変更する。また、変更後に、音波ID「なし」、電波ID「あり」の状態が継続する場合、補完制御部2903は、優先度「2」の「音波の出力レベル」を「+6dB」高く変更する。さらに、変更後に、音波ID「なし」、電波ID「あり」の状態が継続する場合、補完制御部2903は、優先度「3」の「音波の周波数」を「f1(例えば、20kHz)」から「f2(例えば、17kHz)」に変更する。
なお、補完制御部2903が、図30に示す補完制御情報2911を用いて制御内容を決定するのはあくまで一例である。補完制御部2903は、補完制御情報2911によらずに、取得情報に含まれる電波ID、音波IDに基づいて、制御内容を決定するものであっても良い。
図29に戻り、位置管理サーバ110の機能構成の説明を続ける。
位置情報管理部(管理手段)2904は、位置情報発信装置2301の識別情報(電波ID、音波ID等)と、位置情報発信装置2301が設置された位置を示す情報(例えば、座標情報等)とを対応づけて記憶した位置管理情報2912を管理する。また、位置管理サーバ110は、携帯情報端末170から受信した取得情報と、位置管理情報2912とに基づいて、携帯情報端末170の位置情報2913を管理する。位置情報管理部2904は、例えば、図26のCPU2601で動作するプログラムによって実現される。
図31は、第2の実施形態に係る位置情報管理部が管理する情報の例を示す図である。図31(a)は、位置管理情報2912の一例である。位置管理情報2912は、例えば、「発信装置ID」、「音波ID」、「電波ID」、「位置座標」、「位置の説明」等の情報を含む。
「発信装置ID」は、位置情報発信装置2301を識別する識別情報である。位置管理サーバ110は、発信装置IDを用いて、位置情報発信装置2301に様々な制御情報を送信する。例えば、位置管理サーバ110は、発信装置IDを含む制御情報を、複数の位置情報発信装置2301に一斉送信し、位置情報発信装置2301は、自装置の発信装置IDを含む制御情報だけを取得する。或いは、位置管理サーバ110は、発信装置IDとアドレス情報を対応づけて記憶しておき、発信装置IDに対応するアドレスに、制御情報を送信するもの等であっても良い。
「音波ID」は、各位置情報発信装置2301が、音波に含めて送信する音波IDである。「電波ID」は、各位置情報発信装置2301が、電波に含めて送信する電波IDである。「音波ID」及び「電波ID」は、位置情報発信装置2301毎にユニークな情報であり、「音波ID」または「電波ID」に基づいて、位置情報発信装置2301を特定することができる。なお、「音波ID」と「電波ID」は同じ値であっても良いが、ここでは説明を簡潔にするため、異なる値であるものとして説明を行う。
「位置座標」は、各位置情報発信装置2301が設置された位置を示す情報の一例である。「位置情報」は、フロアを複数の領域に分割し、分割された各領域を識別する領域情報等であっても良い。
「位置の説明」には、例えば、位置座標に対応する説明、時刻表、店舗情報、店舗URL、交通手段との距離等の関連情報が記憶される。
図31(b)は、位置管理情報2912の別の一例である。図31(b)の例では、図31(a)に示す位置管理情報2912の「音波ID」、「電波ID」に代えて、第1の実施形態と同様に「スピーカID」が記憶されている。この場合、位置情報発信装置2301は、例えば、同じスピーカIDを含む音波と電波を発信する。或いは、位置情報発信装置2301は、例えば、スピーカIDの末尾等に異なる情報(例えば、「−1」、「−2」等)を付加して、電波、音波を送信するものであっても良い。
図31(c)は、携帯情報端末170の位置情報2913の例を示す。位置情報管理部2904は、例えば、取得情報受信部2902が受信した取得情報に含まれる音波ID、又は電波IDと、位置管理情報2912とを用いて、携帯情報端末170の位置座標を特定し、位置情報2913に記憶して、管理する。
「アプリID」は、携帯情報端末170を識別する識別情報の一例である。
「音波ID」、「電波ID」は、携帯情報端末170から受信した取得情報に含まれる音波ID、及び電波IDである。例えば、図31(c)の例では、アプリID「AP001」の携帯情報端末170は、位置情報発信装置2301から、電波ID「SP1001−2」のみを取得し、音波IDは取得できなかったことを示している。また、アプリID「AP002」の携帯情報端末170は、位置情報発信装置2301から、音波ID「SP1002−1」と、電波ID「SP1002−2」の共に取得できたことを示している。さらに、アプリID「AP003」の携帯情報端末170は、複数の電波ID「SP1002−2」、「SP1003−2」を取得し、音波IDは取得できなかったことを示している。
「取得日時」は、例えば、位置管理サーバ110が、携帯情報端末170から取得情報を受信した日時、または、携帯情報端末170が、音波ID、電波ID等を取得した日時に関する情報である。
「発信装置ID」、「位置座標」は、位置情報管理部2904が、位置管理情報2912に基づいて特定した、音波ID、電波IDに対応する位置情報発信装置2301の識別情報と、位置情報発信装置2301が設置された位置を示す情報である。
この携帯情報端末170の位置情報2913を用いて、位置管理サーバ110は、携帯情報端末170の位置を特定することができる。また、この位置情報2913を用いて、位置管理サーバ110は、各携帯情報端末170が取得した音波ID、電波IDを特定することができる。
再び、図29に戻り、位置管理サーバ110の機能構成の説明を続ける。
位置情報提供部2905は、携帯情報端末170の位置情報2913を用いて、携帯情報端末170に位置情報を提供する手段であり、例えば、図26のCPU2601で動作するプログラムによって実現される。
記憶部2910は、前述の補完制御情報2911、位置管理情報2912、及び位置情報2913等を記憶する手段であり、例えば、図4のストレージ部2604、RAM2602、及び図4のCPU2601で動作するプログラム等によって実現される。
(携帯情報端末の機能構成)
携帯情報端末170は、音波取得部2921、電波取得部2922、情報抽出部2923、通信部2924、取得情報送信部2925、記憶部2926、表示制御部2927、及び操作受付部2928等を有する。
音波取得部2921は、位置情報発信装置2301から発信された音波IDを含む音波を取得する手段であり、例えば、図27のマイク部2707、及び図27のCPU2701で動作するプログラム等によって実現される。
電波取得部2922は、位置情報発信装置2301から発信された電波IDを含む電波を取得する手段であり、例えば、図27の近距離無線通信部2706、及び図27のCPU2701で動作するプログラム等によって実現される。
情報抽出部2923は、音波取得部2921が取得した音波に含まれる音波IDを抽出する。また、情報抽出部2923は、電波取得部2922が取得した電波に含まれる電波IDを抽出する。情報抽出部2923は、例えば、図27のCPU2701で動作するプログラム等によって実現される。
通信部2924は、携帯情報端末170をネットワーク102に接続し、位置管理サーバ110等と通信を行うための手段である。通信部2924は、例えば、図27の通信I/F部2705、及び図27のCPU2701で動作するプログラム等によって実現される。
取得情報送信部2925は、情報抽出部2923によって、音波ID、又は電波IDが抽出された場合、抽出された音波ID、又は電波IDと、自装置の識別情報であるアプリIDと、を含む取得情報を、位置管理サーバ110に送信する。取得情報送信部2925は、例えば、図27のCPU2701で動作するプログラムによって実現される。
記憶部2926は、例えば、携帯情報端末170を識別する識別情報であるアプリID等を記憶する手段であり、例えば、図27のストレージ部2704、及び図27のCPU2701で動作するプログラム等によって実現される。
表示制御部2927は、例えば、位置管理サーバ110から取得した位置情報に基づく表示画面等を、図27の表示入力部2709等に表示させる。表示制御部2927は、例えば、図27のCPU2701で動作するプログラムによって実現される。
操作受付部2928は、利用者の操作(例えば目的地の設定等)を受け付ける手段であり、例えば、図27の表示入力部2709、及び図27のCPU2701で動作するプログラム等によって実現される。
<処理の流れ>
(ID設定処理)
図32は、第2の実施形態に係るIDの設定処理の例を示すシーケンス図である。この処理は、例えば、図28、29に示す位置情報発信システム2310の機能構成において、位置管理サーバ110が、各位置情報発信装置2301の電波ID、音波ID等を設定(変更)する場合の処理の一例を示している。なお、この処理は、図3に示す第1の実施形態に係る位置情報設定処理の別の一例である。
ステップS3201において、位置管理サーバ110の位置情報管理部2904は、PAN送受信機120を介して、複数の位置情報発信装置2301a〜2301cに、IDの設定要求を一斉送信する。このスピーカIDの設定要求には、例えば、図31(a)に示すような、複数の「発信装置ID」、各「発信装置ID」に対応する「音波ID」、「電波ID」等の情報が含まれる。
ステップS3202a〜3202cにおいて、PAN送受信機120から、各位置情報発信装置2301a〜2301cに、ID設定要求が転送される。
ステップS3203aにおいて、位置情報発信装置2301aは、IDの設定要求を受信すると、位置情報発信装置2301aの発信装置ID(例えば、「ID0001」)に対応する音波ID「SP1001−1」、及び電波ID「SP1001−2」を取得し、記憶部2926に記憶する。これに応じて、位置情報発信装置2301aの発信制御部2804は、音波発信部2802が発信する音波に含まれる音波ID、及び電波発信部2803が発信する電波に含まれる電波IDを更新(変更)する。
ステップS3204a、3205aにおいて、位置情報発信装置2301aは、IDを設定したことを示す完了通知を、PAN送受信機120を介して、位置管理サーバ110に通知する。この完了通知には、例えば、位置情報発信装置2301aの発信装置IDが含まれており、位置管理サーバ110は、位置情報発信装置2301aのスピーカIDの設定が完了したことを認識することができる。
同様に、ステップS3203bにおいて、位置情報発信装置2301bは、IDの設定要求を受信すると、位置情報発信装置2301bの発信装置IDに対応する音波ID、及び電波IDを取得し、記憶部2926に記憶する。また、ステップS3204b、3205bにおいて、位置情報発信装置2301bは、IDを設定したことを示す完了通知を、PAN送受信機120を介して、位置管理サーバ110に通知する。
また、ステップS3203cにおいて、位置情報発信装置2301cは、IDの設定要求を受信すると、位置情報発信装置2301cの発信装置IDに対応する音波ID、及び電波IDを取得し、記憶部2926に記憶する。また、ステップS3204c、3205cにおいて、位置情報発信装置2301cは、IDを設定したことを示す完了通知を、PAN送受信機120を介して、位置管理サーバ110に通知する。
上記の処理により、位置管理サーバ110は、位置情報発信システム2310の複数の位置情報発信装置2301の音波ID、電波ID等を管理することができる。
続いて、位置情報発信システム2310による位置情報発信装置2301の電波の発信方法、又は音波の発信方法の制御の例について説明する。
(第1の制御の例)
図33は、第2の実施形態に係る位置情報発信システムの処理の例を示すシーケンス図(1)である。この処理は、例えば、図24(a)において、携帯情報端末170が、位置情報発信装置2301aによって発信される音波ID、電波IDのうち、電波IDのみを受信した場合の処理の一例を示している。
なお、ここでは、位置情報発信装置2301は、音波IDを含む音波を、例えば、1秒間隔で周期的に間欠送信しているものとする。この「1秒間隔」は、位置情報発信装置2301が音波IDを含む音波を送信する既定の送信間隔の一例であり、他の時間間隔であっても良い。
また、位置情報発信装置2301は、電波IDを含む電波を、例えば、10秒間隔で周期的に間欠送信しているものとする。この「10秒間隔」は、位置情報発信装置2301が電波IDを含む電波を送信する既定の送信間隔の一例である。この「10秒間隔」は、位置情報発信装置2301が音波IDを含む音波を送信する既定の送信間隔(ここでは1秒間隔)より長い、他の時間間隔であっても良い。
さらに、図33に示す処理の開始時点において、携帯情報端末170では、位置情報発信システム2310に対応するアプリが起動されており、継続的に位置情報発信装置2301が発信する音波、電波を受信しているものとする。
ステップS3301a〜S3301cにおいて、位置情報発信装置2301の音波発信部2802は、既定の送信間隔(1秒間隔)で、音波IDを含む音波を間欠送信する。ただし、ステップS3301a〜S3301cで発信された音波は、携帯情報端末170で正しく受信できないものとする。なお、図33の「×」は、発信した音波に含まれる音波IDが、携帯情報端末170で正しく受信できないことを示す。以後の説明の中でも同様である。
ステップS3302において、位置情報発信装置2301の電波発信部2803は、既定の送信間隔(10秒間隔)で、電波IDを含む電波を送信する。
ステップS3303において、携帯情報端末170の情報抽出部2923は、音波取得部2921が取得した音波、及び電波取得部2922が取得した電波に含まれるID(電波ID、音波ID)を抽出する。ここでは、情報抽出部2923によって、ステップS3302で受信した電波に含まれる電波IDが抽出される。
ステップS3304において、携帯情報端末170の取得情報送信部2925は、記憶部2926に記憶された携帯情報端末170の識別情報であるアプリIDと、ステップS3303で抽出された電波IDとを含む取得情報を、位置管理サーバ110に送信する。
ステップS3305において、位置管理サーバ110の取得情報受信部2902は、携帯情報端末170から送信された取得情報を受信する。また、位置管理サーバ110の位置情報管理部2904は、取得情報に基づいて携帯情報端末170の位置情報を作成し、記憶部2910に記憶した位置情報2913を更新する。
このとき、更新された携帯情報端末170の位置情報は、例えば、図31(c)の位置情報2913のアプリID「AP0001」のように、音波IDが「−」として記録される。図31(c)の例では、アプリID「AP0001」の携帯情報端末170は、音波IDを取得できず、電波ID「SP1001−2」のみ取得したことが判る。
ステップS3306において、位置管理サーバ110の補完制御部2903は、ステップS3305で更新された位置情報2913に対応する制御内容を決定する。例えば、図31(c)に示す位置情報2913において、アプリID「AP0001」の位置情報が更新されたものとする。この場合、補完制御部2903は、位置情報2913の「発信装置ID」により、制御対象となる位置情報発信装置2301の発信装置ID「ID0001」を特定する。また、補完制御部2903は、アプリID「AP0001」に対応する携帯情報端末170が、音波IDを取得できなかったこと、及び電波IDを取得できたことを特定する。さらに、補完制御部2903は、例えば、図30(a)に示す補完制御情報2911を用いて、音波ID「なし」、電波ID「あり」の場合の制御内容が、電波の送信間隔を「1秒に1回」に変更することであることを特定する。
要するに、補完制御部2903は、ステップS3304で取得した取得情報に音波ID(第1の識別情報)が含まれない場合、位置情報発信装置2301が発信する電波の送信間隔を、既定値より短い送信間隔に変更することを、制御内容として決定する。
ステップS3307において、位置管理サーバ110の補完制御部2903は、電波IDを含む電波の送信間隔を「1秒」に制御する制御情報を、PAN送受信機120を介して、位置情報発信装置2301に送信する。なお、電波IDを含む電波の送信間隔を「1秒」に制御する制御情報は、位置情報発信装置2301が発信する音波、又は位置情報発信装置2301が発信する電波の発信方法を制御する制御情報の一例である。
また、PAN送受信機120による無線通信は、位置管理サーバ110が、位置情報発信装置2301に制御情報を送信する所定の無線通信の一例である。なお、PAN送受信機120の処理は、位置管理サーバ110と位置情報発信装置2301との間の通信を転送(中継)するのみなので、図33以降に示すシーケンス図では記載を省略する。
ステップS3308において、位置情報発信装置2301の発信制御部2804は、PAN送受信機120による所定の無線通信を介して、位置管理サーバ110から通知された制御情報に基づいて、電波IDを含む電波の送信間隔を1秒毎に変更する。
ステップS3309a〜S3309cにおいて、位置情報発信装置2301の電波発信部2803は、発信制御部2804による制御に従って、電波IDを含む電波を、1秒間隔で周期的に間欠送信する。
ステップS3310a〜S3310cにおいて、位置情報発信装置2301の音波発信部2802は、既定の送信間隔(1秒間隔)で、音波IDを含む音波の間欠送信を継続する。
なお、電波発信部2803が、電波を発信する送信間隔を既定の送信間隔に戻すタイミング、方法は任意で良い。例えば、発信制御部2804は、電波発信部2803が電波を発信する送信間隔を1秒毎に変更した後、所定の時間(例えば1分間)経過後に、電波の送信間隔を既定の送信間隔に戻すものであっても良い。或いは、発信制御部2804は、位置管理サーバ110による制御情報に基づいて、電波発信部2803が電波を発信する送信間隔を既定の送信間隔に戻すものであっても良い。
例えば、図24(a)に示す携帯情報端末170は、位置情報発信装置2301aが発信する音波IDを含む音波を取得することができない。しかし、上記の処理により、位置情報発信装置2301aが発信する電波IDを含む電波の送信間隔が、10秒間隔からを、1秒間隔に変更されるので、携帯情報端末170は、1秒間隔で電波IDを取得することができるようになる。
(第2の制御の例)
図34は、第2の実施形態に係る位置情報発信システムの処理の例を示すシーケンス図(2)である。この処理は、例えば、図24(a)において、携帯情報端末170が、位置情報発信装置2301aによって発信される音波ID、電波IDのうち、電波IDのみを受信した場合の処理の別の一例を示している。なお、図34のステップS3301〜S3305の処理は、図33に示す第1の制御の例と同様なので、ここでは差分を中心に説明を行う。
ステップS3401において、位置管理サーバ110の補完制御部2903は、ステップS3305で更新された位置情報2913に対応する制御内容を決定する。ここでは、補完制御部2903は、ステップS3304で取得した取得情報に音波ID(第1の識別情報)が含まれない場合、位置情報発信装置2301が発信する音波の出力レベルを、既定の出力レベルより高く変更することを、制御内容として決定する。
ステップS3402において、位置管理サーバ110の補完制御部2903は、音波IDを含む音波の出力レベルを、既定の出力レベルより高く(例えば+6dB)制御する制御情報を、PAN送受信機120を介して、位置情報発信装置2301に送信する。
ステップS3403において、位置情報発信装置2301の発信制御部2804は、PAN送受信機120による所定の無線通信を介して、位置管理サーバ110から通知された制御情報に基づいて、音波IDを含む音波の出力レベルを6dB高く変更する。
ステップS3401において、位置情報発信装置2301の電波発信部2803は、既定の送信間隔(10秒間隔)で、電波IDを含む電波の間欠送信を継続する。
ステップS3405a〜S3405cにおいて、位置情報発信装置2301の音波発信部2802は、発信制御部2804による制御に従って、音波IDを含む音波を、既定の出力レベルより6dB高い出力レベルで、周期的(1秒間隔)に間欠送信する。
なお、音波発信部2802が、音波の出力レベルを既定の出力レベルに戻すタイミング、及び方法は任意で良い。
例えば、図24(a)に示す携帯情報端末170は、位置情報発信装置2301aが発信する音波IDを含む音波を取得することができない。しかし、上記の処理により、位置情報発信装置2301aが発信する音波IDを含む音波の出力レベルが上昇することにより、図24(b)に示すように、音波を取得可能な領域2402aが広くなる。従って、携帯情報端末170が、位置情報発信装置2301aが発信する音波IDを含む音波を取得できる可能性を高めることができる。
(第3の制御の例)
図35は、第2の実施形態に係る位置情報発信システムの処理の例を示すシーケンス図(3)である。この処理は、例えば、図24(a)において、携帯情報端末170が、位置情報発信装置2301aによって発信される音波ID、電波IDのうち、電波のみを受信した場合の処理のさらに別の一例を示している。
ステップS3501a〜S3501cにおいて、位置情報発信装置2301の音波発信部2802は、既定の送信間隔(1秒間隔)で、音波IDを含む音波を、第1の中心周波数f1(例えば、20kHz)で間欠送信する。ただし、ステップS3501a〜S3501cで発信された音波は、携帯情報端末170で正しく受信できないものとする。正しく受信できない理由としては、例えば、携帯情報端末170のマイクの周波数特性が悪い場合、或いは、第1の中間周波数に周辺ノイズがある場合等を想定している。
なお、音波IDを含む音波を、第1の中心周波数で送信するとは、例えば、音波IDを含む音波が、第1の中心周波数f1に対して所定の帯域内(例えば、−5kHz〜+5kHz等)に含まれていることを示すものとする。
ステップS3502において、位置情報発信装置2301の電波発信部2803は、既定の送信間隔(10秒間隔)で、電波IDを含む電波を送信する。
ステップS3503において、携帯情報端末170の情報抽出部2923は、音波取得部2921が取得した音波、及び電波取得部2922が取得した電波に含まれるID(電波ID、音波ID)を抽出する。ここでは、情報抽出部2923によって、ステップS3502で受信した電波に含まれる電波IDが抽出される。
ステップS3504において、携帯情報端末170の取得情報送信部2925は、携帯情報端末170のアプリIDと、ステップS3503で抽出された電波IDとを含む取得情報を、位置管理サーバ110に送信する。
ステップS3505において、位置管理サーバ110の取得情報受信部2902は、携帯情報端末170から送信された取得情報を受信する。また、位置管理サーバ110の位置情報管理部2904は、取得情報に基づいて携帯情報端末170の位置情報を作成し、記憶部2910に記憶した位置情報2913を更新する。
ステップS3506において、位置管理サーバ110の補完制御部2903は、ステップS3505で更新された位置情報2913に対応する制御内容を決定する。ここでは、補完制御部2903は、ステップS3504で取得した取得情報に音波ID(第1の識別情報)が含まれない場合、位置情報発信装置2301が発信する音波の中心周波数を、異なる中心周波数に変更することを、制御内容として決定する。
ステップS3507において、位置管理サーバ110の補完制御部2903は、音波IDを含む音波の中心周波数f1を、異なる中心周波数f2に変更する制御情報を、PAN送受信機120を介して、位置情報発信装置2301に送信する。
ステップS3508において、位置情報発信装置2301の発信制御部2804は、PAN送受信機120による所定の無線通信を介して、位置管理サーバ110から通知された制御情報に基づいて、音波IDを含む音波の中心周波数を、f2に変更する。
ステップS3509において、位置情報発信装置2301の電波発信部2803は、既定の送信間隔(10秒間隔)で、電波IDを含む電波の間欠送信を継続する。
ステップS3510a〜S3510cにおいて、位置情報発信装置2301の音波発信部2802は、発信制御部2804による制御に従って、音波IDを含む音波を、中心周波数f2(例えば、17kHz)で、周期的(1秒間隔)に間欠送信する。
例えば、携帯情報端末170のマイクの周波数特性が狭い場合、上記の処理により、位置情報発信装置2301aが発信する音波IDを含む音波の中心周波数が変更されるので、携帯情報端末170が音波IDを含む音波を取得できる可能性を高めることができる。
また、位置情報発信装置2301の周囲に、例えば、周波数f1を含むノイズの発生限がある場合、位置情報発信装置2301aが発信する音波IDを含む音波の中心周波数が変更されるので、携帯情報端末170が音波を取得できる可能性を高めることができる。
(第4の制御の例)
図36は、第2の実施形態に係る位置情報発信システムの処理の例を示すシーケンス図(4)である。この処理は、例えば、図24(a)において、携帯情報端末170が、位置情報発信装置2301bによって発信される音波ID、電波IDのうち、音波IDのみを受信した場合の処理の一例を示している。
ステップS3601において、位置情報発信装置2301bの音波発信部2802は、既定の送信間隔(1秒間隔)で、音波ID「SP1002−1」を含む音波を間欠送信する。
ステップS3602において、位置情報発信装置2301aの音波発信部2802は、既定の送信間隔(1秒間隔)で、音波ID「SP1001−1」を含む音波を間欠送信する。ただし、位置情報発信装置2301aが発信する音波は、携帯情報端末170に届かないものとする。なお、位置情報発信装置2301aは、位置情報発信装置2301bの周辺の位置情報発信装置2301の一例である。
ステップS3603において、位置情報発信装置2301bの電波発信部2803は、既定の送信間隔(10秒間隔)で、電波IDを含む電波を送信する。ただし、位置情報発信装置2301bが発信する電波IDを含む電波は、携帯情報端末170で正しく受信できないものとする。
例えば、位置情報発信装置2301が、BLE通信により電波IDを含む電波を送信する場合、電波の到達距離は、周囲の人物や、障害物等によって、2.5m〜50m程度まで変化する。従って、このように、位置情報発信装置2301bが発信する電波、音波のうち、音波のみが携帯情報端末170に到達する場合があり得る。
ステップS3604において、位置情報発信装置2301aの電波発信部2803は、既定の送信間隔(10秒間隔)で、電波IDを含む電波を送信する。ただし、位置情報発信装置2301aが発信する電波IDを含む電波は、携帯情報端末170に届かないものとする。
ステップS3605において、携帯情報端末170の情報抽出部2923は、音波取得部2921が取得した音波、及び電波取得部2922が取得した電波に含まれるID(電波ID、音波ID)を抽出する。ここでは、情報抽出部2923によって、ステップS3601で受信した音波に含まれる音波ID「SP1002−1」が抽出される。
ステップS3606において、携帯情報端末170の取得情報送信部2925は、携帯情報端末170のアプリIDと、ステップS3605で抽出された音波ID「SP1002−1」とを含む取得情報を、位置管理サーバ110に送信する。
ステップS3607において、位置管理サーバ110の取得情報受信部2902は、携帯情報端末170から送信された取得情報を受信する。また、位置管理サーバ110の位置情報管理部2904は、取得情報に基づいて携帯情報端末170の位置情報を作成し、記憶部2910に記憶した位置情報2913を更新する。
ステップS3608において、位置管理サーバ110の補完制御部2903は、ステップS3607で更新された位置情報2913に対応する制御内容を決定する。ここでは、補完制御部2903は、ステップS3606で取得した取得情報に電波ID(第2の識別情報)が含まれない場合、位置情報発信装置2301が発信する電波の出力レベルを、既定の出力レベルより高い出力レベルに変更することを、制御内容として決定する。
なお、このとき、制御対象となる位置情報発信装置2301は、ステップS3601で音波を取得した位置情報発信装置2301bに加えて、周辺の位置情報発信装置2301aを含むものであっても良い。移動可能な携帯情報端末170は、周辺の位置情報発信装置2301が、電波、及び音波を発信する領域に移動する可能性があるためである。
ステップS3609において、位置管理サーバ110の補完制御部2903は、電波IDを含む電波の出力レベルを、既定の出力レベルより高い出力レベル(例えば、+6dB)に制御する制御情報を、位置情報発信装置2301bに送信する。
ステップS3610において、位置管理サーバ110の補完制御部2903は、電波IDを含む電波の出力レベルを、既定の出力レベルより高い出力レベル(例えば、+6dB)に制御する制御情報を、位置情報発信装置2301aに送信する。
ステップS3611において、位置情報発信装置2301bの発信制御部2804は、位置管理サーバ110から通知された制御情報に基づいて、電波IDを含む電波の出力レベルを、既定の出力レベルより高い出力レベル(例えば、+6dB)に変更する。
ステップS3612において、位置情報発信装置2301aの発信制御部2804は、位置管理サーバ110から通知された制御情報に基づいて、電波IDを含む電波の出力レベルを、既定の出力レベルより高い出力レベル(例えば、+6dB)に変更する。
ステップS3613において、位置情報発信装置2301bの音波発信部2802は、既定の送信間隔(1秒間隔)で、音波ID「SP1002−1」を含む音波の間欠送信を継続する。
ステップS3614において、位置情報発信装置2301aの音波発信部2802は、既定の送信間隔(1秒間隔)で、音波ID「SP1001−1」を含む音波の間欠送信を継続する。
ステップS3615において、位置情報発信装置2301bの電波発信部2803は、発信制御部2804による制御に従って、電波ID「SP1002−2」を含む電波を、既定の出力レベルより6dB高い出力レベルで、周期的に間欠送信する。
ステップS3616において、位置情報発信装置2301aの電波発信部2803は、発信制御部2804による制御に従って、電波ID「SP1001−2」を含む電波を、既定の出力レベルより6dB高い出力レベルで、周期的に間欠送信する。
上記の処理により、位置情報発信装置2301a、2301bが発信する電波IDを含む電波の出力レベルが高くなることにより、電波の到達範囲が広くなるので、携帯情報端末170が、電波IDを含む電波を取得できる可能性を高めることができる。
(第5の制御の例)
図37は、第2の実施形態に係る位置情報発信システムの処理の例を示すシーケンス図(5)である。この処理は、例えば、携帯情報端末170が、複数の位置情報発信装置2301a、2301bによって発信される電波IDを取得した場合の処理の一例を示している。
図37に示す処理の開始時点において、携帯情報端末170は、例えば、図24(a)に示す複数の領域のうち、領域2402bの範囲内にあるものとする。
ステップS3701において、位置情報発信装置2301aの音波発信部2802は、既定の送信間隔(1秒間隔)で、音波ID「SP1001−1」を含む音波を間欠送信する。ただし、位置情報発信装置2301aが発信する音波は、携帯情報端末170に届かないものとする。
ステップS3702において、位置情報発信装置2301aの電波発信部2803は、既定の送信間隔(10秒間隔)で、電波ID「SP1001−2」を含む電波を送信する。
ステップS3703において、位置情報発信装置2301bの音波発信部2802は、既定の送信間隔(1秒間隔)で、音波ID「SP1002−1」を含む音波を間欠送信する。
ステップS3704において、位置情報発信装置2301bの電波発信部2803は、既定の送信間隔(10秒間隔)で、電波ID「SP1002−2」を含む電波を送信する。
ステップS3705において、携帯情報端末170の情報抽出部2923は、音波取得部2921が取得した音波、及び電波取得部2922が取得した電波に含まれるID(電波ID、音波ID)を抽出する。ここでは、ステップS3702で取得した電波ID「SP1001−2」、ステップS3703で取得した音波ID「SP1002−1」、及びステップS3704で取得した電波ID「SP1002−2」が抽出される。
ステップS3706において、携帯情報端末170の取得情報送信部2925は、アプリIDと、抽出された電波ID「SP1001−2」、「SP1002−2」、音波ID「SP1002−1」を含む取得情報を、位置管理サーバ110に送信する。
ステップS3707において、位置管理サーバ110の取得情報受信部2902は、携帯情報端末170から送信された取得情報を受信する。また、位置管理サーバ110の位置情報管理部2904は、取得情報に基づいて携帯情報端末170の位置情報を作成し、記憶部2910に記憶した位置情報2913を更新する。
ステップS3708において、位置管理サーバ110の補完制御部2903は、ステップS3707で更新された位置情報2913に対応する制御内容を決定する。ここでは、補完制御部2903は、取得情報に複数の電波ID(第2の識別情報)が含まれる場合、位置情報発信装置2301a、2301bが発信する電波の出力レベルを、既定の出力レベルより低い出力レベルに変更することを、制御内容として決定する。
なお、このとき、位置管理サーバ110の補完制御部2903は、音波IDを取得した位置情報発信装置2301bを、制御対象となる位置情報発信装置2301から除外するものであっても良い。
ステップS3709において、位置管理サーバ110の補完制御部2903は、電波IDを含む電波の出力レベルを、既定の出力レベルより低い出力レベル(例えば、−3dB)に制御する制御情報を、位置情報発信装置2301aに送信する。
ステップS3710において、位置情報発信装置2301aの発信制御部2804は、位置管理サーバ110から通知された制御情報に基づいて、電波IDを含む電波の出力レベルを、既定の出力レベルより3dB低い出力レベルに変更する。
ステップS3711において、位置管理サーバ110の補完制御部2903は、電波IDを含む電波の出力レベルを、既定の出力レベルより低い出力レベル(例えば、−3dB)に制御する制御情報を、位置情報発信装置2301bに送信する。
ステップS3712において、位置情報発信装置2301bの発信制御部2804は、位置管理サーバ110から通知された制御情報に基づいて、電波IDを含む電波の出力レベルを、既定の出力レベルより3dB低い出力レベルに変更する。
ステップS3713において、位置情報発信装置2301aの音波発信部2802は、既定の送信間隔(1秒間隔)で、音波ID「SP1001−1」を含む音波の間欠送信を継続する。
ステップS3714において、位置情報発信装置2301aの電波発信部2803は、発信制御部2804による制御に従って、電波ID「SP1001−2」を含む電波を、既定の出力レベルより3dB低い出力レベルで、周期的に間欠送信する。これにより、位置情報発信装置2301aの電波発信部2803が発信する電波が、周辺の位置情報発信装置2301bに対応する領域に与える影響を低減させることができる。
ステップS3715において、位置情報発信装置2301bの音波発信部2802は、既定の送信間隔(1秒間隔)で、音波ID「SP1002−1」を含む音波の間欠送信を継続する。
ステップS3716において、位置情報発信装置2301bの電波発信部2803は、発信制御部2804による制御に従って、電波ID「SP1002−2」を含む電波を、既定の出力レベルより3dB低い出力レベルで、周期的に間欠送信する。
上記の処理により、位置情報発信装置2301a、2301bが発信する電波IDを含む電波の出力レベルが低くなることにより、電波の到達範囲が狭くなるので、隣接する他の領域に与える影響を低減させることができる。
(第6の制御の例)
図38は、第2の実施形態に係る位置情報発信システムの処理の例を示すシーケンス図(6)である。この処理は、位置情報発信装置2301bが有する音波収集部2805によって取得した音波に基づいて、複数の位置情報発信装置2301a〜2301cが発信する電波の出力レベルを変更する場合の例について説明する。
ステップS3801において、位置情報発信装置2301aの音波発信部2802は、既定の送信間隔で、音波ID「SP1001−1」を含む音波を間欠送信する。
ステップS3802において、位置情報発信装置2301cの音波発信部2802は、既定の送信間隔で、音波ID「SP1003−1」を含む音波を間欠送信する。
ステップS3803において、位置情報発信装置2301bの音波発信部2802は、既定の送信間隔で、音波ID「SP1002−1」を含む音波を間欠送信する。
ステップS3804において、位置情報発信装置2301bは、位置管理サーバ110から、PAN送受信機120を介して、音波情報の取得要求を受信する。
ステップS3805において、位置情報発信装置2301bの音波解析部2806は、位置管理サーバ110から、音波状況の取得要求を受け付けると、音波収集部2805が取得した周囲の音波に含まれる音波IDを抽出する。ここでは、3つの音波ID「SP1001−1」、「SP1002−1」、「SP2003−1」が抽出されるものとする。
ステップS3806において、音波解析部2806は、位置情報発信装置2301bの発信装置IDと、抽出された3つの音波ID「SP1001−1」、「SP1002−1」、「SP2003−1」を含む音波情報を、位置管理サーバ110に通知する。
ステップS3807において、位置管理サーバ110の補完制御部2903は、位置情報発信装置2301bから通知された音波状況に基づいて、位置情報発信装置2301b、及びその周辺の位置情報発信装置2301への制御内容を決定する。ここでは、補完制御部2903は、通知された音波状況に複数の音波IDが含まれる場合、位置情報発信装置2301a〜2301cが発信する音波の出力レベルを、既定の出力レベルより低い出力レベルに変更することを、制御内容として決定する。
ステップS3808において、位置管理サーバ110の補完制御部2903は、音波IDを含む音波の出力レベルを、既定の出力レベルより低い出力レベル(例えば、−3dB)に制御する制御情報を、位置情報発信装置2301aに送信する。
ステップS3809において、位置情報発信装置2301aの発信制御部2804は、位置管理サーバ110から通知された制御情報に基づいて、音波IDを含む音波の出力レベルを、既定の出力レベルより3dB低い出力レベルに変更する。
ステップS3810において、位置管理サーバ110の補完制御部2903は、音波IDを含む音波の出力レベルを、既定の出力レベルより低い出力レベル(例えば、−3dB)に制御する制御情報を、位置情報発信装置2301bに送信する。
ステップS3811において、位置情報発信装置2301bの発信制御部2804は、位置管理サーバ110から通知された制御情報に基づいて、音波IDを含む音波の出力レベルを、既定の出力レベルより3dB低い出力レベルに変更する。
ステップS3812において、位置管理サーバ110の補完制御部2903は、音波IDを含む音波の出力レベルを、既定の出力レベルより低い出力レベル(例えば、−3dB)に制御する制御情報を、位置情報発信装置2301cに送信する。
ステップS3813において、位置情報発信装置2301cの発信制御部2804は、位置管理サーバ110から通知された制御情報に基づいて、音波IDを含む音波の出力レベルを、既定の出力レベルより3dB低い出力レベルに変更する。
ステップS3814において、位置情報発信装置2301aの音波発信部2802は、発信制御部2804による制御に従って、音波ID「SP1001−1」を含む音波を、既定の出力レベルより3dB低い出力レベルで、周期的に間欠送信する。これにより、位置情報発信装置2301aの音波発信部2802が発信する音波が、位置情報発信装置2301bに対応する領域に与える影響を低減させることができる。
ステップS3815において、位置情報発信装置2301cの音波発信部2802は、発信制御部2804による制御に従って、音波ID「SP1003−1」を含む音波を、既定の出力レベルより3dB低い出力レベルで、周期的に間欠送信する。これにより、位置情報発信装置2301cの音波発信部2802が発信する音波が、位置情報発信装置2301bに対応する領域に与える影響を低減させることができる。
ステップS3816において、位置情報発信装置2301bの音波発信部2802は、発信制御部2804による制御に従って、音波ID「SP1002−1」を含む音波を、既定の出力レベルより3dB低い出力レベルで、周期的に間欠送信する。
なお、上記の処理では、位置情報発信装置2301bの音波解析部2806は、音波収集部2805が取得した音波に含まれる音波IDを抽出(ステップS3805)したが、音波解析部2806は、周囲のノイズレベルを、音波状況として取得しても良い。
この場合、位置管理サーバ110の補完制御部2903は、位置情報発信装置2301bから通知された音波情報が示す周囲のノイズレベルが高い場合、位置情報発信装置2301a〜2301cの音波の出力レベルを下げる制御を行えば良い。