以下、本発明を具体化した物品位置推定システムであって、二階建て建物に設置された場合の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、二階建ての建物Tは一階部分10と二階部分30とを有している。一階部分10には、屋内空間として、例えば、玄関11、リビング12、ダイニングキッチン13、和室14、浴室15、洗面・脱衣室16、トイレ17及び廊下18等が設けられている。
一階部分10において、各屋内空間11~18には、それぞれ日常生活に必要な設備・家電・家具類が設置されている。例えば、玄関11には靴等を収納するための収納棚21等が設けられ、リビング12にはテレビ22、テレビボード23、リビングテーブル24及びソファ25等が設けられている。ダイニングキッチン13にはダイニングテーブル26、収納付キッチンカウンタ27等が設けられ、洗面・脱衣室16には洗面台28等が設けられている。
建物Tの二階部分30には、屋内空間として、例えば、主寝室31、洋室32、廊下33、納戸34等が設けられている。主寝室31、洋室32及び納戸34等は廊下33を通じて相互に行き来することが可能となっている。主寝室31及び洋室32には、クローゼット31a,32aが併設されている。また、二階部分30には、これら各屋内空間31~34の他に、主寝室31に隣接してバルコニー35が設けられている。
二階部分30においても、各屋内空間31~34には、それぞれ日常生活に必要な設備・家電・家具類が設置されている。例えば、主寝室31及び洋室32には、ベッド41,42、当該ベッド41の脇に置かれるベッドサイドテーブル43,44等が設けられている。
建物Tには、一階部分10と二階部分30とにまたがる屋内空間として、階段室19が設けられている。階段室19には階段Sが設けられている。階段室19は、一階部分10及び二階部分30のそれぞれの廊下18,33につながっている。
続いて、建物Tに設けられた物品位置推定システムの構成について説明する。物品位置推定システムは、建物T内における住人の位置を随時検出して当該検出した位置情報から住人の移動履歴を推測し、さらにその移動履歴に基づいて眼鏡や車両キー等の物品の位置を推定し、推定結果をモニタに表示するものである。このようなシステムが建物Tに設置されていることにより、住人は、眼鏡や車両キー等の物品を建物T内のどこかに置き忘れてしまい、その所在が分からなくなっても、モニタに表示された推定結果をもとに探すことができる。
本実施形態では、建物Tに居住する住人は複数存在しており、例として両親と子供一人の家族からなること、犬等のペットを一匹飼っていることを想定している。以下の説明では、各住人やペットを区別して説明する必要がある場合は、父親を住人Aとし、母親を住人Bとし、子供を住人Cとし、ペットをPとする。
図2に示すように、物品位置推定システムは、システムを統括するコントローラ50を備えている。コントローラ50は、カレンダー機能部51と、推測手段としての移動履歴推測部52と、推定手段としての物品位置推定部53とを有している。カレンダー機能部51は、現在の年月日及び時刻を示す。移動履歴推測部52は、カレンダー機能部51が示す「現在時刻」と、住人ごとに検出された建物T内での位置情報とを利用して、住人の移動履歴を推測する。物品位置推定部53は、移動履歴推測部52により推測された住人の移動履歴と、眼鏡や車両キー等の部品の種類ごとに設定された属性とに基づいて、探し物の位置を推定する。なお、移動履歴推測部52及び物品位置推定部53による具体的な処理については後述する。
コントローラ50には、認証手段としての人認証センサ54、位置検出手段を構成する測距センサ55及び記憶手段としてのメモリ56が接続されている。人認証センサ54は、図1に示すように、玄関11への出入り口の屋外側に設けられ、出入り口を通過して玄関11に入る人物の顔情報をコントローラ50に出力する。コントローラ50は、入力された顔情報に基づき、当該顔情報を備えた人物が住人であるか否か、住人であるとしてどの住人であるかを特定する。
測距センサ55は、図3にリビング12を一例として示すように、建物T内の各屋内空間11~19,31~34の天井において、それぞれの空間が格子状をなす多数のエリアに区分された場合の当該エリアごとに設けられている。エリアごとの特定が可能となるように、システム上、縦横それぞれに異なる英数字や記号等が割り振られ、各測距センサ55の設置位置が特定されるようになっている。例えば、図3では、縦にはアルファベット、横は数字が割り振られている。測距センサ55は、超音波を送受信するソナーや、電磁波を送受信するレーダ等が用いられる。測距センサ55は、その有する送受信部において探査波を発生させて床面に向けて送信し、その反射波を受信することにより、センサ下方との距離を計測する。測距センサ55は、その計測した距離情報をコントローラ50に出力する。コントローラ50は、入力された距離情報に基づき、距離情報を出力した測距センサ55が設置されたエリアを特定するとともに、当該エリアに前記人認証センサ54によって特定された住人が存在する場合には、そのエリア情報に時刻(例えば、時、分、秒、100分の1秒まで)を関連付けた状態で、特定住人の位置情報としてメモリ56に記憶する。
また、コントローラ50は人特定部57を有しており、人特定部57は、測距センサ55から入力された距離情報に基づき、メモリ56に記憶されている住人及びペットの身長差に基づく個体差に基づいて、当該人物が家族のうちのどの住人であるか、ペットであるかを特定する。そのため、人特定部57は位置検出手段を構成するとともに、特定手段に相当する。
メモリ56には、コントローラ50が実行する処理プログラムや、当該処理の実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶したり、各住人の顔情報や身長等の身体情報及びペットの身長(数十センチ程度)等の身体情報が予め登録されたりしている。また、図4に詳細を示すように、メモリ56は、属性記憶部56a及び位置記憶部56bを有している。属性記憶部56aには、眼鏡やキー等の物品ごとに設定された属性が記憶されている。位置記憶部56bには、住人ごとの位置情報が記憶されている。
属性記憶部56aに記憶された物品の属性としては、一般属性と特殊属性とに区分されている。一般属性とは、当該物品を置き忘れがちな行動等、探し物の位置推定において一般的に用いられる属性である。一般属性の内容ごとに、置き忘れの可能性レベルが設定される。一般属性は、システム設置の際に入力処理されることにより予め設定されており、属性記憶部56aの一般属性記憶領域に記憶されている。もちろん、システム設置後に、新たな一般属性を追加入力して設定を更新することができるようにしてもよい。
特殊属性とは、個々の住人に特有であったり、建物Tに暮らす家族において特有であったりするもので、物品の位置推定において役立つ特殊な事情(住人特有の性格や行動パターン等)である。特殊属性により、物品ごとの新たな属性が追加されたり、一般属性で設定された置き忘れの可能性レベルが変更されたり、一般属性として設定されたものから外されたりする。特殊属性は、システム設置後に、住人の入力処理により、当該住人や家族に特有の属性として設定され、属性記憶部56aの特殊属性領域に記憶されている。
一般属性及び特殊属性としては、物品の種類ごとに例えば次のように設定されている。ここでは、置き忘れの可能性のレベルを設定する場合には、「可能性大」、「可能性中」及び「可能性小」の3つのレベルに区分されている。
[近眼用眼鏡の属性]
近眼用眼鏡は日常的に着用されるものであり、一般には外す場面が限定されている。外す場面として想定されるのは、睡眠時、洗顔時、入浴時等である。そのため、主寝室31及び洋室32におけるベッドサイドテーブル43,44及びその周辺エリア、洗面・脱衣室16における洗面台28及びその周辺エリア、洗面・脱衣室16における脱衣及びその周辺エリア、浴室15における洗い場エリア等には、外された近眼用眼鏡が存在する可能性が高い。そこで、一般属性として、これらのエリアが「可能性大」として設定される。
その他に近眼用眼鏡を外す場面としては、リビング12に設けられたソファ25での仮眠時も想定される。そこで、一般属性として、ソファ25及びその周辺エリアが「可能性中」に設定される。
特殊属性としては、住人のうち特定人物(例えば住人A)が近眼用眼鏡を外さずに入浴するという事情、住人のうち特定人物と使用するベッドサイドテーブル43,44との関連付けが例として想定される。前者の事情を特殊属性とした場合、一般属性において「可能性大」と設定された、洗面・脱衣室16における脱衣及びその周辺エリア及び浴室15における洗い場エリアを、「可能性小」に変更するように設定する。後者の事情を特殊属性とした場合、主寝室31に設置されたベッドサイドテーブル43,44のうち特定人物が使用するものを特定する。この場合、特定されたもの以外のベッドサイドテーブル43,44については、「可能性小」に変更するように設定する。
[テレビリモコンの属性]
テレビリモコンは、リビング12に設置されたテレビ22のオンオフやチャンネル選択等のテレビ操作に用いられるものであり、一般には収納する場所や使用する態様が限定されている。収納する場所として想定されるのはテレビボード23の引出しやリビングテーブル24の上である。使用態様として想定されるのは、ソファ25に座りながらである。そのため、テレビボード23及びその周辺エリア、リビングテーブル24及びその周辺エリア、ソファ25及びその周辺エリア等には、テレビリモコンが存在する可能性が高い。そこで、これらのエリアが「可能性大」として設定される。
また、テレビリモコンによりテレビ操作をした場合には、その操作をした時点において人が存在した場所にテレビリモコンが存在していた可能性が高い。そこで、最後にテレビ操作がなされたタイミング(時刻)に住人が滞在していたエリアが、一般属性として「可能性大」に設定される。なお、コントローラ50とテレビ22とを接続することにより、コントローラ50はテレビ操作がなされたタイミングを把握できる。そのため、コントローラ50はテレビ22と接続されており、テレビ操作が行われるたびに、その操作信号がコントローラ50のメモリ56に記憶されるようになっている。
特殊属性としては、ペットPがテレビリモコンを咥えながらどこかの場所へ持って行き、そこで遊ぶ癖があるという事情が、例として想定される。建物Tに居住する家族において、このようなペットPの癖に関する事情があてはまる場合には、家族と関連付けられた特殊属性として、当該事情が追加的に「可能性中」に設定される。
[車両キーの属性]
車両キーは、常時携帯されるものではなく、一般には置き場所が限定されている。置き場所として想定されるのは、玄関11に設置された収納棚21である。そこで、一般属性として、玄関11における収納棚21及びその周辺エリアが、「可能性大」に設定される。
その他に、車両キーが存在し得る所として想定されるのは、鞄の中や衣服のポケットの中等である。そこで、主寝室31及び洋室32のクローゼット31a,32a及びその周辺エリアが、一般属性として「可能性中」に設定される。
特殊属性としては、住人のうち特定人物(例えば住人B)の性格として、帰宅後直ちに車両キーをどこかに置いてしまうことが多いという事情、住人のうち特定人物と使用するクローゼット31a,32aとの関連付けが例として想定される。前者の事情を特殊属性とした場合、一般属性において「可能性大」と設定された、玄関11における収納棚21及びその周辺エリアが「可能性小」に変更される。後者の事情を特殊属性とした場合、主寝室31及び洋室32に設置されたクローゼット31a,32aのうち特定人物が使用するものを特定する。この場合、特定されたクローゼット31a,32a以外のクローゼット31a,32aについては、「可能性小」に変更するように設定される。
[爪切りの属性]
爪切りは、一般的な使用態様として、特定の保管場所から持ち出され、その後、移動した先で使用される。そのため、このような使用態様が一般属性として設定される。そして、特殊属性として、建物Tに居住する家族が爪切りを保管している場所(例えば、リビングテーブル24の引出し等)が設定される。
探し物ごとの属性の一例は以上のとおりであり、これらがメモリ56の属性記憶部56aにおける一般属性記憶領域や特殊属性記憶領域に記憶されている。
次に、図2に示すように、コントローラ50には、表示手段としてのモニタ60が接続されている。モニタ60は、図1に示すように、例えばリビング12の壁面に設けられる。モニタ60は、太陽光発電装置等を用いたエネルギ管理システム等の他のシステムに用いられるモニタと兼用させてもよい。モニタ60はタッチパネル式であり、入力操作画面61、推定結果表示画面70等の各種表示画面が表示される。モニタ60では、人が画面を指でタッチすることにより、各種の入力が可能となっている。
図5は、入力操作画面61の一例である。図5(a)に示すように、探し物選択画面62では、近眼用眼鏡、テレビリモコン、車両キー、爪切り等の物品が表示される。物品の探索を求める住人は、その中から所望する物品が表示された部分にタッチすることで、探し物を選択できるようになっている。探し物選択画面62は、第1指定手段に相当する。
図5(b)に示すように、日時・時間帯選択画面63では、日付及び時刻の指定画面、当該時刻から過去に遡る時間の選択画面(例えば、30分、1時間、2時間、3時間、5時間、7時間、10時間等)が表示される。住人は、その中から、探し物の存在が分かっている時点と、その時点からどのくらい経過しているかを想定しつつ、過去に遡る時間帯とをタッチして選択することで、日時及び時間帯を選択できるようになっている。なお、日付や時刻、過去に遡る時間の選択がされなかった場合は、操作時点の日付と時刻が自動的に指定され、また、過去に遡る時間は12時間と設定されるように予め設定されている。日時・時間帯選択画面63は、第2指定手段に相当する。
この他、入力操作画面61の一つとして、物品ごとの特殊属性を入力する特殊属性入力画面64も表示される。例えば、図5(c)に示すように、爪切りの特殊属性である保管場所を設定登録する特殊属性入力画面64では、保管場所を含む部屋(図ではリビング12)が選択されることにより、当該部屋の平面図、設備・家電・家具類の設置状況が表示される。住人は、その中から、爪切りの保管場所をタッチすることにより、保管場所が設定登録される。特殊属性入力画面64は、登録手段に相当する。
図6は、推定結果表示画面70の一例である。図6に示すように、当該推定結果表示画面70には、人物表示部71、日時・時間帯表示部72、物品表示部73、結果表示部74及び部屋名表示部75がそれぞれ表示されている。人物表示部71には住人のうちの人物を特定する人物名が示され、日時・時間帯表示部72には日付及び選択された時間帯が示され、物品表示部73には探し物として選択された物品が示される。
人物表示部71及び日時・時間帯表示部72では、それぞれをタッチすると、選択肢を表示する画面が表示され、内容を変更することが可能となっている。例えば、人物表示部71をタッチした場合、図7に示すように、住人の名前及びペットPの名前を表示する選択画面71aが表示される。そのため、例えば住人Aが選択されている状態で、人物表示部71をタッチして選択画面71aを表示させ、当該選択画面71aにて住人Bを選択すると、コントローラ50は、新たに住人Bが設定されたとして、住人Bに関する処理を実行する。日時・時間帯表示部72についても、これと同様に、新たに選択された情報に基づいて処理を実行する。
図6に戻り、結果表示部74には、物品が存在する可能性があるとして推定された結果が表示される。結果表示部74は、推定により特定された場所を有する部屋の平面図と、当該部屋に設置された設備・家電・家具類とが表示される。部屋名表示部75は、結果表示部74に表示されている部屋が建物Tの屋内空間11~19,31~34のうちのどの部屋であるかを示すべく、部屋の名称が表示される。結果表示部74は、測距センサ55が設置されるエリアが格子状に示されている。推定結果である特定の場所は、目立つ特徴を有する形状をなした適宜のマーク74a(例えば図示のように星印のマーク74a)によって表示される。部屋の平面図、設備・家電・家具類及び格子状のエリア表示より、マーク74aが示された位置が部屋の中のどの位置であるのかを容易に把握できるようになっている。
物品が存在する可能性があるとして推定された結果が複数存在し、各推定結果について、物品が存在する可能性の高さの順に順位付けられている場合もある。その異なる順位の推定結果が同じ部屋に存在する場合は、当該複数の推定結果を示すマーク74aが同時に表示されるとともに、それぞれのマーク74aについて順位表示される。住人は、順位付けられた複数の推定結果をもとに、物品を探し出すことが可能となる。
同様に推定結果が複数存在する場合において、図6に示すように、結果表示部74が複数のタブ74bを設けることでその複数の推定結果が表示されることもある。タブ74bごとにそれぞれ異なる推定結果が表示されるようになっており、所望のタブ74bをタッチして選択することによって切り替え表示される。各タブ74bには、順位やそれぞれのタブ74bが示す推定結果の説明が表示される。住人は、一つのタブ74bに表示された一つ又は複数のマーク74aや、複数のタブ74bをタッチして表示を切り替えることにより、それぞれのタブ74bに表示される一つ又は複数のマーク74aをもとに、物品を探し出すことが可能となる。
続いて、コントローラ50が実行する処理について、図8及び図9に示すフローチャートに基づいて説明する。
初めに、図8のフローチャートに示す位置情報記録処理について説明する。この処理は、人認証センサ54から顔情報が入力された場合に開始する。
まずステップS101において、入力された顔情報に基づいて、玄関11の出入り口から玄関11に入った人物が住人であるか否かを判定する。住人でなければ判定を否定して本処理を終了し、住人であれば判定を肯定してステップS102に進む。ステップS102では、住人特定処理を行う。住人特定処理では、入力された顔情報を備え、玄関11に入った住人が、住人A~Cのいずれの住人であるかを特定する。続くステップS103では、位置書込処理を実行する。位置書込処理では、住人特定処理によって特定された住人について、測距センサ55から入力される距離情報に基づき、玄関11をスタート地点として、建物T内での存在エリア及び当該エリアに存在した時刻を含む位置情報をメモリ56の位置記憶部56bに順次書き込んでいく。この位置書込処理は、当該住人が玄関11の出入り口から建物Tの外で出るまで継続して行われる。
位置書込処理の実行において、建物T内で複数の住人が同じエリアに存在する状態となると、その後の位置情報がどの住人のものか特定できなくなるおそれがある。このような場合は、測距センサ55から入力された距離情報と、メモリ56に登録された住人の身長情報とに基づいて、移動中の住人がどの住人であるかを特定することができる。この改めて特定した住人の位置情報を順次書き込んでいく。
次に、図9のフローチャートに示す物品位置推定処理について説明する。この処理は、住人がモニタ60の入力操作画面61により、物品の探索要求がされた場合に開始する。住人の位置情報は随時記録されていることから、モニタ60が設けられたエリアに存在する住人がどの住人であるかを特定し、当該住人がモニタ60を操作して探索要求をしたと判断できる。そのため、コントローラ50は、当該住人を探索要求者として把握し、物品位置推定部53がこの処理を実行する。
まずステップS201において、モニタ60に探し物選択画面(図5(a)参照)を表示させる。探索要求者は、その中から所望する物品を選択し、その選択された物品をメモリ56に記憶する。続くステップS202では、モニタ60に日時・時間帯選択画面(図5(b)参照)を表示させる。探索要求者は、その中から探し物の存在が分かっている時点からどのくらい経過しているかを想定しつつ、所望する時間帯を選択する。
次のステップS203では、属性記憶部56aから探し物として選択された物品に関連付けられた属性を取得する。次いで、ステップS204にて、位置記憶部56bから、先のステップS202で選択された時間帯に応じた探索要求者の位置情報の履歴を取得する。続くステップS205において、取得した位置情報の履歴に基づいて、移動履歴推測部52が探索要求者の移動履歴を推測する。次のステップS206では、位置推定処理を実行する。位置推定処理においては、先のステップS203で取得した属性と、推測された探索要求者の移動履歴とに基づいて、物品が存在する可能性がある位置を推定する。
次に、ステップS207に進み、モニタ60に推定結果表示画面70(図6参照)を表示させて、推定結果を表示させる。推定結果表示画面70においては、人物表示部71には探索要求者となった住人の名前が、日時・時間帯表示部72及び物品表示部73にはそれぞれ選択された時間帯及び探し物が、結果表示部74には推定結果がそれぞれ表示される。推定結果が複数ある場合は、順位付けられた複数のマーク74aや複数のタブ74bによって、その複数の推定結果を表示する。探索要求者は、順位や複数のタブ74bを切り替えて、物品を探し出すことができる。
なお、探索要求者により、人物表示部71で別の住人が選択し直されたり、日時・時間帯表示部72で別の時間帯が選択し直されたりした場合は、変更された内容に応じて、位置推定処理を再度実行する。また、モニタ60に推定結果表示画面70が表示されてから所定時間以上経過するか、または住人によってリセット入力がされた場合には、当該推定結果表示画面70の表示を停止する。この場合、画面表示の停止に伴って、推定履歴をリセットしてもよいし、メモリ56に記憶させた状態を維持してもよい。後者の場合、推定結果の履歴を利用し、結果通りに物品が存在していたかどうかの情報と併せて記録しておくことで、物品位置推定の精度を向上させることが可能となる。
次に、上記物品位置推定処理における位置推定処理(ステップS206)について、近視用眼鏡、テレビリモコン、車両キー及び爪切りがそれぞれ探し物として選択された場合の具体的処理について、フローチャートを適宜用いながらさらに詳しく説明する。
[近視用眼鏡が選択された場合の処理]
ここでは、次の属性が設定されているものとする。すなわち、一般属性として、主寝室31におけるベッドサイドテーブル43,44及びその周辺エリア、洗面・脱衣室16における洗面台28及びその周辺エリア、洗面・脱衣室16における脱衣及びその周辺エリア、浴室15における洗い場エリアが「可能性大」として設定されている。ソファ25及びその周辺エリアが「可能性中」に設定されている。
探索要求者として、住人A(父親)が設定された場合を想定する。そのため、特殊属性として、近眼用眼鏡を外さずに入浴するという事情が設定され、洗面・脱衣室16における脱衣及びその周辺エリア及び浴室15における洗い場エリアが「可能性小」に変更されている。また、住人Aについて、主寝室31の第1ベッドサイドテーブル43を使用しているため、第1ベッドサイドテーブル43と関連付けられている。そのため、第1ベッドサイドテーブル43及びその周辺エリアは「可能性大」と設定され、第2ベッドサイドテーブル44については「可能性小」と設定されている。
コントローラ50は、一般属性及び住人Aの特殊属性を取得することで、可能性の最終設定として以下の表1に示す設定を把握している。
近眼用眼鏡の位置推定処理では、コントローラ50は、次のような物品位置推定処理を実行する。すなわち、選択された時間帯における探索要求者の移動履歴から、「可能性大」のエリアのうち、所定時間を超える滞在時間(例えば、数秒程度)である場合に、滞在時間が最も長いエリアから順に推定位置を判断する。また、「可能性大」エリアに次ぐ「可能性中」エリアもそれに次ぐ順位の推定位置とする。近眼用眼鏡が存在する可能性が高いとして予め設定されたエリアのうち、所定時間を超える滞在をしていたエリアがあれば、そのエリアに近眼用眼鏡を置き忘れている可能性が高いからである。
一例として、住人Aが、午後12時頃という就寝前に近眼用眼鏡をどこかに置き忘れたことに気付き、近眼用眼鏡の探索要求をする場合を想定する。住人Aとしては、午後7時頃の夕食時には着用していたことまでは覚えていたものとする。この場合に、住人Aが、現在の日時と遡る時間帯として5時間を設定したとすると、コントローラ50は現在から過去5時間分の住人Aの位置情報履歴を取得して、住人Aの移動履歴を推測する。
この例において、過去5時間の移動履歴によると、住人Aは、主寝室31の第1ベッドサイドテーブル43周辺を移動した履歴がないか又は通過しただけであり(滞在時間は数秒未満)、就寝前の歯磨きのために洗面台28を利用していたとする。そうすると、第1ベッドサイドテーブル43のエリアは判断対象から除かれ、洗面台28のエリアで所定時間滞在していることとなる。そのため、洗面台28のエリアが第1順位となる。次いで、「可能性中」エリアである、リビング12のソファ25のエリアが第2順位となる。
この場合、位置推定処理の後の結果表示処理(図9のフローチャートにおけるステップS207)では、モニタ60において、人物表示部71は住人Aが表示され、日時・時間帯表示部72には、探索要求した現在の日時及び過去5時間の時間帯が表示され、物品表示部73には「近眼用眼鏡」と表示される。結果表示部74には、「第1順位」と表示されたタブ74bに洗面・脱衣室16の平面図が表示され、その平面図の洗面台28周辺の滞在エリアにマーク74aが表示される。部屋名表示部75には「洗面・脱衣室」と表示される。また、「第2順位」と表示されたタブ74bにリビング12の平面図が表示され、その平面図のソファ25における滞在エリアにマーク74aが表示される。部屋名表示部75には「リビング」と表示される。
住人Aは、これらの情報をもとに、第1順位としてマーク74aが表示された辺りを中心に近眼用眼鏡を探し、それでもなければ、第2順位としてマーク74aが表示された辺りを中心に近眼用眼鏡を探すことができる。
[テレビリモコンが選択された場合の処理]
ここでは、次の属性が設定されているものとする。すなわち、一般属性として、テレビボード23及びその周辺エリア、リビングテーブル24及びその周辺エリア、ソファ25及びその周辺エリアが「可能性大」として設定されている。また、最後にテレビ操作がなされたタイミング(時刻)で滞在したエリアが「可能性大」として設定されている。ダイニングテーブル26及びその周辺エリアは、「可能性中」として設定されている。
特殊属性として、ペットPがテレビリモコンを咥えながらどこかの場所へ持って行き、そこで遊ぶ癖があるという事情が、「可能性中」に設定されている。
コントローラ50は、一般属性及び特殊属性を取得することで、可能性の最終設定として以下の表2に示す設定を把握している。
テレビリモコンの位置推定処理では、コントローラ50は、図10のフローチャートに示す位置推定処理を実行する。
まずステップS301にて、選択された時間帯における探索要求者の移動履歴から、「可能性大」のエリアのうち、滞在頻度が最も多いエリアから順に抽出し、上位複数のエリア(例えば3つ)を推定位置として判断する。テレビリモコンが存在する可能性が高いとして予め設定されたエリアのうち、滞在頻度が高いエリアがあれば、そのエリアでテレビリモコンが操作されていて、そこに置き忘れている可能性が高いからである。
続くステップS302において、最後にテレビ操作がなされた時刻情報をメモリ56から取得する。次いで、ステップS303にて、取得した時刻情報の時点において、リビング12及びダイニングキッチン13に滞在していた住人情報を、位置記憶部56bから取得する。そして、ステップS304に進み、当該住人の位置情報を推定結果として判断する。テレビリモコンを用いたテレビ操作は、リビング12又はダイニングキッチン13で行われる。そうすると、最後にテレビ操作がなされた時刻において、リビング12又はダイニングキッチン13に住人が滞在していたとすれば、当該住人はその滞在位置でテレビリモコンを使用した可能性が高く、その位置にテレビリモコンが存在する可能性が高い。そこで、このような推定を実行する。
次のステップS305では、ペットPに関して遊び癖という特殊属性があるかを判定する。ペットPのそのような特殊属性がなければ判定を否定して処理を終了し、あれば判定を肯定してステップS306に進む。ステップS306では、ペットPの位置情報を位置記憶部56bから取得する。ステップS307に進み、設定された時間帯におけるペットPの位置情報から、ペットPの移動履歴を推測する。その後、ステップS308に進み、ペットPの移動履歴に基づいて、ペットPが所定時間(例えば5分程度)以上滞在していた一時滞在エリアを抽出し、当該エリアをテレビリモコンの推定結果として判断する。ペットPにテレビリモコンで遊ぶ癖があるという場合、ペットPがテレビリモコンを咥えて所定の場所に移動し、そこでテレビリモコンで遊んでいた可能性がある。そこで、このような癖が特殊属性として設定されていた場合には、ペットPが一時滞在していたエリアに、テレビリモコンが存在する可能性がある。そこで、このような推定を実行する。
一例として、住人Aが、夕食後の午後8時頃にテレビ22を視聴するため、テレビリモコンを使用しようとしたら、それがないことに気付き、テレビリモコンの探索要求をする場合を想定する。住人Aとしては、午後1時頃にテレビリモコンを自ら使用したことを覚えていたとする。この場合に、住人Aが、現在の日時と遡る時間帯として「7時間」とを設定したとすると、コントローラ50は現在から過去7時間分の住人Aの位置情報を取得し、住人Aの移動履歴を推測する。
この例で、過去7時間の住人Aの移動履歴によれば、可能性大とされたエリアのうち住人Aが滞在する頻度は、ソファ25、リビングテーブル24、テレビボード23の順であったとする。すると、推定結果は、ソファ25のエリアが第1順位、リビングテーブル24のエリアが第2順位、テレビボード23のエリアが第3順位となる。
この場合、位置推定処理の後の結果表示処理(図9のフローチャートにおけるステップS207)では、モニタ60において、人物表示部71には住人Aが表示され、日時・時間帯表示部72には探索要求した日時及び過去7時間の時間帯が表示され、物品表示部73には「テレビリモコン」とそれぞれ表示される。結果表示部74には、「滞在頻度」と表示されたタブ74bにリビング12の平面図が表示され、その平面図のソファ25、リビングテーブル24、テレビボード23における各滞在エリアに、順位づけられたマーク74aが表示される。部屋名表示部75には「リビング」と表示される。
また、例えば、最後にテレビ操作がなされた時刻に、住人Cがリビング12に滞在していた場合、結果表示部74には、「最後のテレビ操作」と表示されたタブ74bにリビング12の平面図が表示され、住人Cが滞在したエリアにマーク74aが表示される。住人Aの操作によりこのタブ74bに切り替え表示されると、人物表示部71には住人Cが表示され、日時・時間帯表示部72には住人C滞在した日時と時刻が表示され、部屋名表示部75には「リビング」と表示される。
さらに、例えば、選択された時間帯において、ペットPがリビング12のソファ25裏で一時滞在していた場合、結果表示部74には、「ペットの一時滞在」と表示されたタブ74bにリビング12の平面図が表示され、ソファ25の裏エリアにマーク74aが表示される。住人Aの操作によりこのタブ74bに切り替え表示されると、人物表示部71にはペットPが表示され、部屋名表示部75には「リビング」と表示される。
[車両キーが選択された場合の処理]
ここでは、次の属性が設定されているものとする。すなわち、一般属性として、玄関11の収納棚21及びその周辺エリアが「可能性大」として設定され、主寝室31及び洋室32のクローゼット31a,32a及びその周辺エリアが「可能性中」として設定されている。
探索要求者として、住人B(母親)が設定された場合を想定する。そのため、特殊属性として、住人Bについて、帰宅後直ちに車両キーをどこかに置くことが多いという事情が設定されている。そのため、一般属性における玄関11の収納棚21及びその周辺エリアが「可能性小」に変更されている。また、住人Bについて、主寝室31のクローゼット31aを使用しているため、そのクローゼット31aと関連付けられている。そのため、各クローゼット31a,32aのうち、主寝室31のクローゼット31a及びその周辺エリアは「可能性中」の設定が維持され、洋室32のクローゼット32aについては「可能性小」に設定が変更されている。
コントローラ50は、一般属性及び特殊属性を取得することで、可能性の最終設定として以下の表3に示す設定を把握している。
車両キーの位置推定処理では、コントローラ50は、図11のフローチャートに示す位置推定処理を実行する。
まずステップS401にて、探索要求者の特殊属性として、帰宅後すぐにどこかに置くという属性が存在するか否かを判定する。かかる特殊属性が存在する場合は、判定を肯定してステップS402に進む。ステップS402では、探索要求者の移動履歴から、探索要求者が帰宅した時点と、その後の所定時間(例えば数分程度)の移動履歴とを把握する。続くステップS403では、帰宅後の所定時間の中で、当該所定時間より短い時間(例えば数十秒程度)以上滞在していた一時滞在エリアを抽出し、当該エリアを車両キーの第1順位の推定結果として判断する。数十秒程度でも一時滞在したエリアは、通過しただけではなく、いったん立ち止まって車両キーを置くという動作をした可能性が高いからである。
次いで、ステップS404において、探索要求者の前記移動履歴から、帰宅後に、探索要求者と関連付けられたクローゼット31a,32aのエリアに、当該探索要求者が所定時間(例えば、数分程度)以上滞在していたか否かを判定する。前記ステップS401にて、帰宅後すぐにどこかに置くという探索要求者の特殊属性がない場合には、当該ステップS401の判定を否定して、ステップS404に進む。ステップS404においてこのような判定を行うのは、帰宅後、車両キーをポケット等に入れたまま衣服(上着)を脱いで、クローゼット31a,32aに収納した可能性があるからである。
クローゼット31a,32aでの一時滞在がある場合には判定を肯定し、ステップS405に進む。ステップS405では、クローゼット31a,32aのエリアを第2順位の推定結果として判断する。
クローゼット31a,32aへの一時滞在がない場合は判定を否定し、ステップS406に進む。ステップS406では、探索要求者の移動履歴から、帰宅後、前記ステップS402や前記ステップS403での各所定時間よりも長い所定時間(例えば30分程度)の移動履歴を把握する。続くステップS407では、その移動履歴から、帰宅後に、衣服を脱ぐ程度の所定時間(例えば数分程度)以上滞在していた最初のエリアを抽出し、当該エリアを第2順位の推定結果として判断する。このようなエリアを推定結果と判断するのは、クローゼット31a,32aでの一時滞在がなければ、帰宅後に一時滞在したエリアで衣服を脱いだ可能性があるからである。
一例として、住人Bが、午前10時頃に外出しようとすると、車両キーがないことに気付き、車両キーの探索要求をする場合を想定する。住人Bとしては、前日の午後6時頃の帰宅時に車両キーを使用したことまでは覚えていたものとする。この場合に、住人Bが特に時間指定をしなかったとすると、コントローラ50は、探索要求した日時及び過去12時間分の住人Bの位置情報を取得して、住人Bの移動履歴を推測する。
この例では、住人Bは、帰宅後に車両キーを直ちにどこかに置くという特殊属性が存在するため、住人Bの帰宅直後、リビング12のリビングテーブル24のエリアで一時滞在をしていた場合は、当該エリアが第1順位の推定結果とされる。また、住人Bの移動履歴から、帰宅後に、主寝室31のクローゼット31aに一時滞在していればその箇所が第2順位の推定結果とされる。クローゼット31aでの一時滞在がなく、ダイニングキッチン13の収納付キッチンカウンタ27で、帰宅後に最初に一時滞在していた場合は、当該エリアが第2順位の推定結果とされる。
この場合、位置推定処理の後の結果表示処理(図9のフローチャートにおけるステップS207)では、モニタ60において、人物表示部71には住人Bが表示され、日時・時間帯表示部72には、帰宅日時とそこから所定時間(30分程度)が表示され、物品表示部73には「車両キー」と表示される。結果表示部74には、「第1順位」と表示されたタブ74bにリビング12の平面図が表示され、その平面図のリビングテーブル24周辺の一時滞在エリアにマーク74aが表示される。部屋名表示部75には「リビング」と表示される。また、「第2順位」と表示されたタブ74bに、主寝室31又はダイニングキッチン13の平面図が表示され、その平面図のクローゼット31a又は収納付キッチンカウンタ27周辺の一時滞在エリアにマーク74aが表示される。部屋名表示部75には「主寝室」又は「ダイニングキッチン」と表示される。
[爪切りが選択された場合の処理]
ここでは、特定の保管場所から持ち出されてその後に移動した先で使用されるという使用態様が一般属性として設定されているとする。また、特殊属性として、建物Tに居住する家族が爪切りを保管する場所がリビングテーブル24の引出しであると設定されている。
爪切りの位置推定処理では、コントローラ50は、図12のフローチャートに示す位置推定処理を実行する。
まずステップS501にて、探索要求者の移動履歴から、特殊属性によって把握した保管場所から別のエリアに移動した履歴があるか否かを判定する。そのような移動履歴があれば判定を肯定し、ステップS502に進む。ステップS502では、保管場所から移動した後に所定時間(例えば数分程度)以上滞在したエリアを抽出し、当該エリアを探索要求者に関する推定結果として判断する。一方、保管場所から別の場所に移動した履歴がなければ、判定を否定して、ステップS503に進む。
ステップS503では、他の住人についての位置情報を位置記憶部56bから取得する。その後、ステップS504にて、他の住人の移動履歴を推測する。次いで、ステップS505にて、その移動履歴から、特殊属性によって把握した保管場所から別のエリアに移動した履歴があるか否かを判定する。そのような移動履歴があれば判定を肯定し、ステップS506に進む。ステップS506では、保管場所から移動した後に所定時間(例えば数分程度)以上滞在したエリアを抽出し、当該エリアを推定結果として判断する。
一例として、住人Aが、爪切りを使おうとしたが保管場所にないことに気付き、爪切りの探索要求をする場合を想定する。住人Aとしては、爪切りの使用について特に覚えがないもの。この場合に、住人Aが特に時間指定をしなかったとすると、コントローラ50は過去12時間分の住人Aの位置情報履歴から、住人Aの移動履歴を推測する。
この例の場合であれば、住人Aの移動履歴に基づき、住人Aがリビングテーブル24からソファ25のあるエリアに移動して数分程度滞在したならば、当該エリアが住人Aに関する推定結果と判断される。また、住人Aにそのような移動履歴がなく、その代わり、住人Bの移動履歴に基づき、住人Bがリビングテーブル24から和室14の所定エリアに移動して数分程度滞在したならば、当該エリアが推定結果と判断される。
この場合、位置推定処理の後の結果表示処理(図9のフローチャートにおけるステップS207)では、モニタ60において、人物表示部71には住人A又は住人Bが表示され、日時・時間帯表示部72には探索要求した日時及び過去12時間の時間帯が表示され、物品表示部73には「爪切り」と表示される。結果表示部74には、住人Aに推定結果がある場合ならば、リビング12の平面図が表示され、その平面図のソファ25周辺の一時滞在エリアにマーク74aが表示される。住人Bに推定結果がある場合ならば、和室14の平面図が表示され、その平面図の一時滞在エリアにマーク74aが表示される。
本実施の形態の物品位置推定システムは上記のとおりであり、この物品位置推定システムが建物Tに設置されていることにより、以下のような効果が得られる。
玄関11への出入り口に設置された人認証センサ54及び天井の各所に設置された多数の測距センサ55により、建物T内の住人の位置が随時検出され、その位置情報が時刻と関連付けられてメモリ56の位置記憶部56bに記憶される。コントローラ50の移動履歴推測部52は、この位置情報により、建物T内における時間の経過に伴う移動履歴を住人ごとに推測する。所定の物品を紛失した場合、コントローラ50の物品位置推定部53は、住人の移動履歴をもとに所定物品がどこに置き忘れられたのかを推定し、これをモニタ60に表示することによって教示する。その結果、ICタグのような検知手段を物品個々に取り付けなくても、建物T内で置き忘れてしまった物品の位置を推定することができる。
建物Tに居住する住人が複数いる場合でも、多数の測距センサ55を用いて、住人の身長差を把握しながら移動履歴を把握することができる。その結果、複数の住人がいる場合にも、住人を個々に特定することができ、物品の位置を推定する際に推定結果の精度が低下してしまうことを抑制することができる。また、測距センサ55は住人の特定と住人の移動履歴の推測とに共用できることから、センサが役割ごとに分けられて過剰に増えることがない。
建物Tの出入口で人を認証することにより、移動履歴を推測した人が住人であるか、住人のうちの誰であるかを特定でき、物品の位置を推定する精度が一層向上する。
メモリ56の属性記憶部56aには物品に関する一般属性及び特殊属性が登録されており、コントローラ50の物品位置推定部53が所定物品のありかを推定する場合に、当該属性を利用して所定物品の位置が推定される。これにより、物品ごとの属性を利用して物品の位置が推定されるため、物品個々に適した推定を行うことができる。
物品があった時点まで遡る時間帯を指定して、物品の位置が推定されるようになっている。物品を探す場合に、ある時間までは確実にその物品があったが、それ以降、どこにいったか分からないという状況が想定される。そのため、時間帯を指定することにより、物品の位置推定精度を高めることができる。
次に、上記実施の形態の物品位置推定システムは、上記形態に限定されるものではなく、例えば次のように変更してもよい。
上記実施の形態では、物品ごとの一般属性として予め想定されたものが予め設定され、属性記憶部56aに記憶されているが、物品ごとに、インターネットを経由して一般属性情報をダウンロードして設定するようにしてもよい。
上記実施の形態では、物品ごとの特殊属性が住民による事前の入力処理により設定されて属性記憶部56aに記憶されているが、探索要求時に個別に入力するようにしてもよい。例えば、爪切りの保管場所については、予め保管場所を設定しておくのではなく、探索要求時に場所を指定するようにしてもよい。
上記実施の形態では、モニタ60の結果表示部74には、部屋の平面図に推定結果を示すマーク74aを表示させるようにしたが、結果表示部74には他の情報も、マーク74aの表示と同時に又は別に表示させるようにしてもよい。例えば、住人の移動履歴に基づいて、移動の時系列に沿って滞在場所を順に点灯表示させて、移動経過を視覚的に把握できるようにしてもよい。移動経過が可視化されるだけでも、住人にとっては、過去の自らの行動を確認でき、探し物を探索する一助とすることができる。また、エリアごとの滞在頻度や滞在時間の長短を、表示色の濃淡によって表現して表示させてもよい。この場合も、どのエリアに長く又は多数存在していたかが過しかされるため、住人にとっては、探し物を探索する一助とすることができる。
上記実施の形態では、モニタ60をその全面がタッチパネル式のものとしたが、機械式のボタン等を併用したものや、入力すべてを機械式のボタンによって行うものを採用してもよい。
上記実施の形態では、人認証センサ54が玄関11の出入り口にのみ設置されているが、他の各屋内空間12~19,31~34への出入り口にも設置して、それぞれの空間に人が入室するたび、当該人物の認証を行うようにしてもよい。これにより、住人を特定する精度を向上させることができる。また、玄関11の出入り口に人認証センサ54を設置するのに代えて、他の各屋内空間12~19,31~34への出入り口に人認証センサ54を設置するようにしてもよい。
上記実施の形態では、物品位置推定システムを二階建て建物Tに設置された場合について説明したが、三階建て以上の複数階建て建物、平屋建ての建物、商店や倉庫等の非住宅の建物に適用してもよい。