以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図22〜図25は、本発明に係る作業機1を示す概略図である。本実施形態では、作業機1として旋回作業機であるバックホーが例示されている。
作業機1は、機体2と、キャビン3と、走行装置4と、作業装置5とを備えている。以下、キャビン3の運転席6に着座した運転者の前側(図22の左側)を前方、運転者の後側(図22の右側)を後方、運転者の左側(図22の手前側)を左方、運転者の右側(図22の奥側)を右方として説明する。また、前後の方向K1(図22参照)に直交する方向である水平方向K2(図25参照)を機体幅方向として説明する。
機体2は、走行装置4上に支持された旋回台7を有している。旋回台7は、走行装置4に、旋回ベアリング(図示略)を介して上下方向の旋回軸心(縦軸)回りに左右に旋回自在に支持されている。旋回台7は、縦軸回りに旋回する基板(以下、旋回基板という)8と、ウエイト9とを有している。旋回基板8は、鋼板等から形成されており、旋回ベアリングに連結されている。ウエイト9は、旋回台7の後部に設けられている。
図22、図24、図25に示すように、旋回台7の後部には、エンジンルームERが設けられている。図24等に示すように、エンジンルームERには、エンジン10等が搭載されている。エンジン10は、駆動軸心が機体幅方向を向くように、横向きに配置されている。旋回台7には油圧機器が搭載されている。油圧機器は、油圧ポンプ11及びコントロールバルブ20を含んでいる。油圧ポンプ11は、エンジン10の左方に設けられている。油圧ポンプ11は、メインポンプ11Aとパイロットポンプ11Bとを有している。メインポンプ11Aは、作業機1に装備された各種の油圧アクチュエータ(油圧シリンダや油圧モータ等)に作動油を供給する。パイロットポンプ11Bは、後述するコントロールバルブ20にパイロット圧を付与する作動油(パイロット油)を供給する。エンジン10の右方には冷却ファン12が設けられている。冷却ファン12の周囲は、シュラウド13により囲まれている。油圧ポンプ11及び冷却ファン12は、エンジン10によって駆動される。冷却ファン12は、右方から左方に向かう空気の流れを生じさせる。冷却ファン12の右方には、エンジン10に供給される冷却水を冷却するラジエータ14が設けられている。ラジエータ14の右方には、作動油を冷却するオイルクーラ15が設けられている。
図24に示すように、旋回台7の右側部には、側部ルームTRが設けられている。側部ルームTRには、作動油タンク16が搭載されている。作動油タンク16は、ラジエータ14及びオイルクーラ15の前方に配置されている。作動油タンク16は、作業機1に装備された各油圧アクチュエータに供給される作動油を貯留する。
図22〜図25に示すように、エンジンルームERの上方、右方、左方及び後方は、カバー30によって覆われている。カバー30は、左カバー31と、右カバー32と、後カバー33と、前カバー34とを有している。左カバー31は、エンジンルームERの左方を覆っている。右カバー32は、エンジンルームERの右方を覆っている。後カバー33は、左カバー23と右カバー24との間に設けられており、エンジンルームERの後方を覆っている。前カバー34は、後カバー33の前方に設けられており、エンジンルームERの上方を覆っている。図23、図25に示すように、右カバー24には、後述する吸気口を形成する環状の第1縁部71が設けられている。
図22〜図24に示すように、旋回台7の側部は、側部カバーにより覆われている。側部カバーは、第1側部カバー35、第2側部カバー36、第3側部カバー37を有している。
図23、図24に示すように、第1側部カバー35及び第2側部カバー36は、側部ルームTRを覆っている。第1側部カバー35は、側部ルームTRの上方を覆っている。第2側部カバー36は、側部ルームTRの右側方を覆っている。図22、図24に示すように、第3側部カバー37は、旋回台7の左側面の下部を覆っている。第3側部カバー37は、ウエイト9の前縁から前方に延びており、キャビン3の下方に位置している。
図22〜図25に示すように、キャビン3は、旋回基板8上の左前部に搭載されている。キャビン3の内部には、運転席6、走行レバー86等が設けられている。
走行装置4は、クローラ式の走行装置である。図24、図25に示すように、走行装置4は、機体2の右側と左側の下方にそれぞれ設けられている。走行装置4は、油圧モータ(図示略)によって駆動される。図22〜図24に示すように、走行装置4の前部にはドーザ25が設けられている。ドーザ25は、ドーザシリンダ26の駆動により上下の方向に揺動する。
図24に示すように、旋回台7の前部には、支持ブラケット21が設けられている。支持ブラケット21には、スイングブラケット22が装着されている。スイングブラケット22は、支持ブラケット21に対して縦方向の軸心回りに揺動可能に支持されている。スイングブラケット22の揺動は、旋回台6に装着されたスイングシリンダ(図示略)の伸縮により行われる。スイングブラケット22には、作業装置5が装着されている。
図23に示すように、作業装置5は、ブーム17と、アーム18と、作業具19とを有している。さらに作業装置は、これらブーム17、アーム18、作業具19の駆動機構(油圧アクチュエータ等)として、ブームシリンダ27と、アームシリンダ28と、作業具シリンダ29とを有している。ブームシリンダ27、アームシリンダ28及び作業具シリンダ29及びスイングシリンダは、油圧シリンダにより構成されている。
ブーム17は、旋回基板8に対して横軸回りに揺動可能に設けられている。詳しくは、ブーム17の基端部は、スイングブラケット22に対して横軸回りに揺動可能に枢支されている。アーム18の基端部は、ブーム17の先端部に対して横軸回りに揺動可能に枢支されている。アーム18の先端部には作業具19が装着されている。ブーム17は、ブームシリンダ27の伸縮により上下に揺動する。アーム18は、アームシリンダ28の伸縮により上下に揺動する。作業具19は、作業具シリンダ29の伸縮によりスクイ・ダンプ動作する。本実施形態では、作業具19としてバケットが装着されているが、バケットに代えて或いは加えて、他の作業具(油圧アタッチメント)を装着することもできる。他の作業具としては、油圧ブレーカ、油圧圧砕機、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等が例示できる。
図22、図24に示すように、旋回台7の左前部には、コントロールバルブ20が設けられている。具体的には、コントロールバルブ20は、旋回基板8上の左前部に、横置きで載置されている。コントロールバルブ20は、作業機1に装備された各種の油圧アクチュエータを制御する複数のバルブを集約している。複数のバルブは、スイングシリンダの制御用バルブ、ブームシリンダ27の制御用バルブ、アームシリンダ28の制御用バルブ、作業具シリンダ29の制御用バルブ、走行装置4の油圧モータの制御用バルブ、旋回台7を旋回させる油圧モータの制御用バルブ、ドーザシリンダ26の制御用バルブ、他の作業具の油圧アタッチメントを制御する後述するSP(サービスポート)の制御用バルブ等である。各バルブは、直動スプール型の切り換えバルブであって、長手方向(スプールの操作方向)に直交する方向に並んでいる。各バルブのスプールは、前後の方向に移動する。
<基板>
旋回基板8上には、旋回基板8と一体化されることにより旋回フレームを構成する上部構造体が設けられている。上部構造体は、溶接により旋回基板8と接続されている。また、上部構造体を構成する部材同士は、溶接等により接続されている。
図1、図2に示すように、上部構造体は、第1縦リブ51、第2縦リブ52、仕切り板53(図1参照)、支持体54、後部フレーム55、支持台56、支柱57を有している。
第1縦リブ51と第2縦リブ52とは、機体幅方向に間隔をあけて設けられている。第1縦リブ51は、旋回基板5の幅方向(機体幅方向と同じ)の一方側(右側)に設けられている。第2縦リブ52は、旋回基板8の幅方向の他方側(左側)に設けられている。第1縦リブ51及び第2縦リブ52は、旋回基板8上に前方から後方に向けて延設されている。
第1縦リブ51は、前リブ51Fと後リブ51Rとを有している。前リブ51Fの前端部は、支持ブラケット21に接続されている。前リブ51Fの後端部は、エンジンルームER内の右部に位置している。後リブ51Rの前部は、仕切り板53の前方であって前リブ51Fの後部の左方に位置している。後リブ51Rの前部と前リブ51Fの後部とはオーバーラップしており、オーバーラップした部分で接続されている。後リブ51Rの後端部は、後部フレーム55の右前部と接続されている。
第2縦リブ52は、前リブ52Fと後リブ52Rとを有している。前リブ52Fの前端部は、支持ブラケット21に接続されている。前リブ52Fの後端部は、エンジンルームER内の左部に位置している。後リブ52Rの前部は、仕切り板53の前方であって前リブ52Fの後部の左方に位置している。後リブ52Rの前部と前リブ52Fの後部とはオーバーラップしており、オーバーラップした部分で接続されている。後リブ52Rの後端部は、後部フレーム55の左前部と接続されている。
仕切り板53は、エンジン10の前方に設けられ、機体幅方向に延びている。図1に示すように、仕切り板53は、下板53Dと上板53Uとを有している。下板53Dの下部は、旋回基板8の上面に接続されている。上板53Uは、下板53Dの上部に接続されている。下板53Dの右端部は、第1縦リブ51の後リブ51Rの左側面に接続されている。第2縦リブ52の前リブ52Fと後リブ52Rは、下板53Dの左部を前方から後方に向けて貫通している。下板53Dの前面左端部には、前方に向けて延出する前方延出板53Fが接続されている。
支持体54は、旋回基板8上の右部に設けられている。支持体54は、旋回基板8上に搭載された作動油タンク16を下方から支持する。支持体54は、第1縦リブ51と接続されている。図1に示すように、支持体54は、上板54Aと、第1縦板54Bと、第2縦板54Cとを有している。
上板54Aは、作動油タンク16の下面に当接することにより、作動油タンク16の下面を受ける。上板54Aは、旋回基板8の上方に且つ旋回基板8の上面と間隔をあけて設けられている。第1縦板54Bは、第1仕切り板53の右側から右方に延びている。第1縦板54Bは、側部ルームTRと後述する吸気室IRとを仕切っている。第1縦板54Bの左端部は、第1縦リブ51の前リブ51Fの右側面に接続されている。第2縦板54Cは、第1縦板54Bの前方にて機体幅方向に延びる前部分と、当該前部分の右端部から後方に向けて延びる右部分とを有している。当該右部分には、第1縦板54Bが接続されている。上板54Aの下面は、前リブ51Fの上部、後リブ51Rの上部、第1縦板54Bの上部、第2縦板54Cの上部に接続されている。
後部フレーム55は、旋回基板8上の後部に設けられている。後部フレーム55は、前板55F、上板55U、後板55R、取付部55Aを有している。前板55Fは機体幅方向に延設されている。前板55Fの右前部には、第1縦リブ51の後リブ51Rの後端部が接続されている。前板55Fの左前部には、第2縦リブ52の後リブ52Rの後端部が接続されている。上板55Uは、機体幅方向の中央付近に設けられており、前板55Fの後面上部から後方に延びている。後板55Rは、上板55Uの下面と旋回基板8の上面とを接続している。取付部55Aは、エンジン10を支持する支持ブラケット83,84(後述する)を取り付けるための部分である。取付部55Aは、後リブ51Rと後リブ52Rとの間に、機体幅方向に間隔をあけて2つ設けられている。右側の取付部55Aは、前板55Fの前面右部から上方且つ前方に突出している。左側の取付部55Aは、前板55Fの前面左部から上方且つ前方に突出している。前板55Fの右部及び左部と後板55Rには、ウエイト9を取り付けるための穴が設けられている。
支持台56は、エンジン10の前部及び/又は支持フレーム64(後述する)の前部を支持する。本実施形態では、支持台56は、エンジン10の前部と支持フレーム64の前部の両方を支持しているが、いずれか一方のみを支持する構成としてもよい。
図1に示すように、支持台56は、脚部56aと、板部56bと、中間脚56cとを有している。脚部56aは、旋回基板8の幅方向の他方側(左側)の上面(詳しくは、旋回基板8の幅方向の他方側の端部付近の上面)に接続され、当該上面から上方に向けて立設されている。板部56bは、脚部56aの上端から旋回基板8の幅方向の一方側(右側)に延設されている。板部56bの上面は、旋回基板8の上面と平行に配置されている。本実施形態では、板部56bは、帯状の金属板をL字状に折り曲げて形成されている。これにより、脚部56aと板部56bとが一体に形成されている。尚、脚部56aと板部56bとは、部品点数の削減及び強度の観点から一体に形成する(1つの部材で形成する)ことが好ましいが、脚部56aと板部56bとを別の部材で形成して溶接等により一体化してもよい。
脚部56aの前部及び板部56bの前部は、仕切り板53(下板53D)の後面に接続(溶接)されている。但し、脚部56aの前部と板部56bの前部のいずれか一方のみが、仕切り板53(下板53D)の後面に接続(溶接)されていてもよい。板部56bの右端部は、第1縦リブ51(後リブ51R)に接続されている。本実施形態では、板部56bの右端部が、第1縦リブ51(後リブ51R)の上面に載せられて、当該上面に接続(溶接)されている。
尚、板部56bの右端部と、第1縦リブ51(後リブ51R)との接続形態は、図1及び図2に示す形態には限定されない。図3は、接続形態の変更例を示している。この変更例では、板部56bは、一方側の端部(右端部)に下向きに屈曲する屈曲部56dを有している。屈曲部56dは、第1縦リブ51(後リブ51R)の左側面及び仕切り板53の後面に接続されている。この変更例において、屈曲部56dの下端と旋回基板8の上面との間に距離Dをあけてもよいし(図3参照)、屈曲部56dの下端と旋回基板8の上面とを当接させてもよい。前者の場合(距離Dをあける場合)、板部56bと後リブ51Rの左側面とを接続(溶接)する際に、接続部の高さ(後リブ51Rに対する板部56bの高さ)を調整することが可能となる。これにより、後リブ51Rの高さと脚部56aの高さとにズレがある場合でも、板部56bの上面を水平に配置することができる。後者の場合(当接させる場合)、屈曲部56dの下端と旋回基板8の上面とを接続することにより、支持台56の強度(剛性)を高めることができる。
図1に示すように、中間脚56cは、板部56bの脚部56aと第1縦リブ51(後リブ51R)との間に配置されている。中間脚56cは、板部56bの下面と旋回基板8の上面とを接続している。これにより、板部56bは、第1縦リブ51、仕切り板53、中間脚56cにより旋回基板8上に支持された構造となる。そのため、板部56bは、上方からの荷重に対して高い強度(剛性)を有している。本実施形態では、中間脚56cは1つであるが、中間脚56cを複数設けてもよい。
板部56bは、第1固定部61と第2固定部62とを有している。但し、板部56bは、第1固定部61と第2固定部62のいずれか一方のみを有していてもよい。後述するように、第1固定部61には、エンジン10の前部を支持するブラケット(支持ブラケット81,82)が固定される。第1固定部61は、板部56bの右部に設けられた右固定部61Rと、板部56bの左部に設けられた左固定部61Lとを有している。右固定部61Rと左固定部61Lとは、それぞれ複数(2つ)の貫通孔を有している。これら複数の貫通孔は、機体幅方向に間隔をあけて設けられている。
第2固定部62には、後述する支持フレーム64の前脚65,66が固定される。第2固定部62は、右固定部61Rより右方に設けられた右固定部62Rと、左固定部61Lより左方に設けられた左固定部62Lとを有している。右固定部62Rと左固定部62Lとは、それぞれ複数(2つ)の貫通孔を有している。
支柱57は、運転席6下方に設けられたフロアシート58(後述する)を支持する。図1,図2に示すように、支柱57は、仕切り板53の前方且つ第2縦リブ52の左方に設けられている。支柱57は、右支柱57Rと左支柱57Lとを有している。右支柱57Rと左支柱57Lとは、機体幅方向に距離を隔てて設けられている。
図1、図2に示すように、旋回基板8は、開口部を形成する複数の環状の縁部を有している。環状の縁部は、第2縁部72と第3縁部73とを有している。第2縁部72と第3縁部73とは、エンジンルームERの下方に設けられている。
図1に示すように、第2縁部72は、仕切り板53、第1縦リブ51の後リブ51R、第2縦リブ52の後リブ52R、後部フレーム55の前板55Fにより囲まれた領域(第1領域という)に形成されている。第1領域にはエンジン10が配置される。第2縁部72は、第1領域の略全域にわたって、エンジン10の下方に1つの開口を形成している。
第3縁部73は、第1領域の左方に設けられている。具体的には、第3縁部73は、仕切り板53、第2縦リブ52の後リブ52R、後部フレーム55の前板55Fにより囲まれた領域(第2領域という)に形成されている。第2領域には油圧ポンプ11が配置される。第3縁部73は、第2領域の略全域にわたって、油圧ポンプ11の下方に1つの開口を形成している。
第2縁部72及び第3縁部73には、これら第2縁部72及び第3縁部73により形成される開口を覆う有孔板63が取り付けられている。有孔板63は、多数の小孔を有する金属板であって、例えば、パンチングメタルや金網等が使用される。本実施形態では、60〜70%程度の開口率を有するパンチングメタルが使用されている。
上述したように、旋回基板8に第2縁部72及び第3縁部73を設けることにより、エンジンルームER内で発生した熱を、第2縁部72及び第3縁部73により形成される開口から外部(旋回基板8の下方)に排出することができる。また、第2縁部72及び第3縁部73により形成される開口を覆う有孔板63が取り付けられていることにより、地面上にある岩等の突起物等が開口から侵入することが防がれる。そのため、突起物等によるエンジン10のオイルパン等の損傷を回避できる。また、風切音が減少するため、周囲に与える騒音を低減することもできる。
<支持フレーム>
図4、図5に示すように、旋回基板8上には、支持フレーム64が設けられている。支持フレーム64は、キャビン3の後部及びカバー30を支持する。支持フレーム64は、右前脚65、左前脚66、後脚67、連絡板68、後縁部69を有している。
右前脚65は、基板65a、起立部65b、傾斜部65c、後延部65dを有している。基板65aは、支持台56の板部56b上に固定されている。具体的には、基板65aは、第2固定部62の右固定部62Rに対してボルトにより固定されている。起立部65bは、基板65aの上面から上方に向けて立ち上がっている。傾斜部65cは、起立部65bの上端から後方且つ上方に向けて延びている。後延部65dは、傾斜部65cの上端から後方に向けて延びている。
左前脚66は、基板66a、起立部66b、傾斜部66c、後延部66d、垂下部66e、連結部66f、支持部66gを有している。基板66aは、支持台56の板部56b上に固定されている。具体的には、基板66aは、第2固定部62の左固定部62Lに対してボルトにより固定されている。起立部66bは、基板66aの上面から上方に向けて立ち上がっている。傾斜部66cは、起立部66bの上端から後方且つ上方に向けて延びている。後延部66dは、傾斜部66cの上端から後方に向けて延びている。垂下部66eは、後延部66dの後端から下方に向けて延びている。連結部68は、起立部66bと傾斜部66cとの境界付近から後方に延びており、垂下部66eと連結されている。支持部66gは、左カバー31の前部を支持する部分であり、起立部65bから左方に向けて延びている。
後脚67は、基板67a、起立部67b、前延部67cを有している。基板67aは、後部フレーム55の上板55Uの上面にボルトにより固定されている。起立部67bは、基板67aの上面から上方に向けて延びている。前延部67は、起立部67bの上端から前方に向けて延びている。後脚67の前延部67cと、右前脚65の後延部65dと、左前脚66の後延部66dとは、前カバー34を支持する。
連絡板68は、右前脚65の後延部65dの上面と、左前脚66の後延部66dの上面と、後脚67の前延部67cとを連絡している。連絡板68は、キャビン3の後部を支持する。
後縁部69は、右前脚65の後延部65dと、左前脚66の後延部66dとを連絡している。後縁部69は、後カバー33の上部を支持する。
<エンジンの支持ブラケット>
図5に示すように、エンジン10は、4つのブラケット(第1支持ブラケット81、第2支持ブラケット82、第3支持ブラケット83、第4支持ブラケット84)により旋回基板8上に支持されている。
図5に示すように、第1支持ブラケット81は、エンジン10の右前部に取り付けられている。第2支持ブラケット82は、エンジン10の左前部に取り付けられている。第1支持ブラケット81は、支持台56の第1固定部61の右固定部61Rにボルト等により固定されている。第2支持ブラケット82は、支持台56の第1固定部61の左固定部61Lにボルト等により固定されている。これにより、エンジン10の前部は、第1支持ブラケット81及び第2支持ブラケット82を介して、支持台56の板部56bに支持されている。
図5に示すように、第3支持ブラケット83は、エンジン10の右後部に取り付けられている。第4支持ブラケット84は、エンジン10の左後部に取り付けられている。第3支持ブラケット83は、後部フレーム55の右側の取付部55Aにボルト等により固定されている。第4支持ブラケット84は、後部フレーム55の左側の取付部55Aにボルト等により固定されている。これにより、エンジン10の後部は、第3支持ブラケット83及び第4支持ブラケット84を介して、後部フレーム55の取付部55Aに支持されている。
上述したように、支持台50は、エンジン10の前部を支持するブラケット(第1支持ブラケット81及び第2支持ブラケット82)を固定する第1固定部61及び/又は支持フレーム64(右前脚65及び左前脚66)の前部を固定する第2固定部62を有している。また、支持台50は、旋回基板8及び第1縦リブ51と接続されている。
従来、エンジンを支持するブラケットを固定する取付部と、支持フレームを支持するブラケットを固定する取付部とは、別部材から形成されており、仕切り板に対して別々に溶接されていた。そのため、溶接により歪みが発生して、エンジンや支持フレームの組み付け精度が低下する虞があった。
これに対して、本実施形態では、エンジン10の前部及び/又は支持フレーム64の前部が、旋回基板8上の幅方向の他方側から第1縦リブ51に向けて延設された支持台56に支持された構造となる。そのため、簡易な構造によって、支持フレーム64及び/又はエンジン10の組み付け精度を向上させることができる。特に、1つの部材(支持台56)の同一面(板部56bの上面)に、エンジン10の前部を支持するブラケット(第1支持ブラケット81及び第2支持ブラケット82)と、支持フレーム64の前部(右前脚65及び左前脚66)とが固定されることにより、溶接による歪みの発生が抑制され、エンジン及び支持フレームの組み付け精度を向上させることができる。また、支持台56が、旋回基板8及び第1縦リブ51と接続されることにより、十分な剛性を確保することができる。
<吸気口>
図23〜図25に示すように、エンジンルームERの右部には吸気室IRが設けられている。図1に示すように、吸気室IRは、縦板54Bの後方且つ第1縦リブ51(後リブ51R)の右方に設けられている。吸気室IRの上方、右側方及び後方は、右カバー32により覆われている。
図6、図24に示すように、吸気室IRには、ラジエータ14及びオイルクーラ15が配置されている。ラジエータ14及びオイルクーラ15は、シュラウド13に固定されたブラケット24に取り付けられている。オイルクーラ15は、ブラケット24の下部に設けられた軸24aを支点として前方に傾動させることが可能となっている。
ラジエータ14及びオイルクーラ15は、放熱面(冷却ファン12の駆動により空気が当たる面)が右方を向くように且つ縦方向に長くなるように、縦置きに配置されている。オイルクーラ15の放熱面15aには、上下の方向に隙間をあけて略平行に並んだ多数のフィンが設けられている。
図23、図25に示すように、右カバー24には第1縁部71が設けられている。第1縁部71は、オイルクーラ15の放熱面15aと対向する位置に吸気口を形成している。当該吸気口の上縁(第1縁部71の上縁)は、オイルクーラ15の放熱面15aの上端より上方に位置し、当該吸気口の下縁(第1縁部71の下縁)は、放熱面15aの下端よりも上方に位置している。また、ラジエータ14の放熱面14aの下端は、オイルクーラ15の放熱面15aの下端より下方に位置している。
図23、図25、図6に示すように、第1縁部71にはルーバ90が設けられている。図6に示すように、ルーバ90は、上下の方向に隙間をあけて略平行に並んだ複数の羽板91を有している。図23に示すように、複数の羽板91は、前後の方向に延びており且つ前方に向かうにつれて下方に移行するように傾斜している。図6に示すように、複数の羽板91は、吸気室IRの内部に向けて下方向に傾斜している。そのため、冷却ファン12の駆動によって吸気口から吸気室IRに取り入れられた空気(冷気)は、隣り合う羽板91の隙間を通ることによって、向きを変えて斜め下方向へと向かう(図6の矢印参照)。これにより、空気(冷気)が、オイルクーラ15の放熱面15aの下部まで到達し、放熱面15a全体を冷却することができる。また、放熱面15aの下部付近に滞留している熱を下方に逃がすことができる。その結果、オイルクーラ15の冷却効率を向上させることが可能となる。また、空気(冷気)が、ラジエータ14の放熱面14aの下部まで到達しやすくなるため、ラジエータ14の熱交換効率を向上させることも可能となる。さらに、吸気口にルーバ90を設けることで、吸気音が低減されるため、騒音低減の効果が得られる。
<ブームのガイド部材>
図7、図23に示すように、ブーム17は、前部17aと、後部17bと、中間部17cとを有している。
中間部17cは、上板17Uと、下板17Dと、右側板17Rと、左側板17Lとを有し、略四角筒状に形成されている。上板17U、下板17D、右側板17R及び左側板17Lにより囲まれる内部空間17Sには、4本の油圧ホース(2本の第1油圧ホース101と、2本の第2油圧ホース102)が挿通される。
第1油圧ホース101は、コントロールバルブ20と作業具シリンダ29とを接続している。第2油圧ホース102は、コントロールバルブ20のSP(サービスポート)の制御用バルブと、後述するサービスポート用のホース継手88とを接続している。
後部17bは、ブーム17の基端側に設けられている。後部17bは、中間部17cの基部に嵌め入れられている。後部17bには、第1油圧ホース101及び第2油圧ホース102を挿入する挿入口38を形成するU字状の縁部(以下、第4縁部38という)が設けられている。後部17bの挿入口38と中間部17cの内部空間17Sとは連通している。
前部17aは、ブーム17の先端側に設けられている。前部17aは、中間部17cの先端に嵌め入れられている。図8に示すように、前部17aは、筒状部171と、軸受部172R,172Lを有している。筒状部171は、中間部17cの先端に嵌め入れられている。筒状部171は、略四角筒状に形成されており、平面状の内底面171aを有している。軸受部172R,172Lは、筒状部171から二股形状で前方に突出している。右側の軸受部172Rと左側の軸受部172Lは、アーム18の基端部を枢支する横軸を支持している。筒状部171の前部であって且つ右側の軸受部172Rと左側の軸受部172Lの間には、油圧ホース(第1油圧ホース101及び第2油圧ホース102)を取り出す取出口39を形成する環状の縁部(以下、第5縁部39という)が設けられている。内底面171aは、第5縁部39の下縁から後方に延設された平面である。前部17aの取出口39と中間部17cの内部空間17Sとは連通している。
図7〜図9に示すように、前部17aにはガイド部材40が設けられている。ガイド部材40は、第1油圧ホース101及び第2油圧ホース102を取出口39に向けて案内する部材である。本実施形態では、ガイド部材40は円柱状の棒から形成されている。ガイド部材40は、筒状部17Aの内底面171aに固定されている。詳しくは、ガイド部材40は、内底面171aの前縁(第5縁部39の下縁)より後方であって且つブーム17の幅方向略中央に固定されている。ガイド部材40は、内底面171aから略垂直に立ち上がっており、第5縁部39の上縁に向けて延びている。ガイド部材40の上端は第5縁部39の上縁と接続してもよいが、本実施形態では、ガイド部材40の上端と第5縁部39の上縁との間に隙間を設けている。この隙間は、油圧ホース(第1油圧ホース101及び第2油圧ホース102)の直径よりも小さく設定されている。これにより、油圧ホースがガイド部材40を越えて移動することを防止している。つまり、ガイド部材40は、取出口39をブーム17の幅方向に2つに仕切っている。以下、ガイド部材40により仕切られた取出口39について、ガイド部材40の右側にある部分を右取出口39Rと称し、ガイド部材40の左側にある部分を左取出口39Lと称する。
図7に示すように、第1油圧ホース101及び第2油圧ホース102は、後部17bの挿入口38から挿入され、中間部17cの内部空間17Sに挿通される。そして、図9に示すように、内部空間17Sに挿通された油圧ホースのうち、第1油圧ホース101は右取出口39Rから取り出され、第2油圧ホース102は左取出口39Lから取り出される。尚、図7、図8では、右取出口39R及び左取出口39Lにおいて第1油圧ホース101及び第2油圧ホース102の図示を省略している。
右取出口39Rから取り出された第1油圧ホース101は、作業具シリンダ29と接続される。左取出口39Lから取り出された第2油圧ホース102は、アーム18に設けられたホース継手88と接続される。
図7、図23に示すように、ホース継手88は、アーム18の側面(左側面及び右側面)に設けられている。具体的には、図7に示すように、アーム18の側面にブラケット89が固定されており、このブラケット89にホース継手88が取り付けられている。ホース継手88の一端側(ブーム17側)には、第2油圧ホース102が接続される。ホース継手88の他端側(作業具19側)は、所謂サービスポートを形成しており、前記他の作業具を駆動するアクチュエータに作動油を送給する油圧ホースが接続される。
上述したように、ブーム17の先端部に設けられたガイド部材40により、第1油圧ホース101は右取出口39Rに案内され、第2油圧ホース102は左取出口39Lに案内される。つまり、接続先の異なる2種類の油圧ホース(第1油圧ホース101と第2油圧ホース102)が、ガイド部材40により仕切られた異なる取出口(右取出口39Rと左取出口39L)から取り出される。
このように、本実施形態では、第1油圧ホース101と第2油圧ホース102とが、ガイド部材40により仕切られた異なる取出口(右取出口39Rと左取出口39L)から取り出される。これにより、第1油圧ホース101と第2油圧ホース102が、組み付けられた後に、交差した状態やねじれた状態となることを防ぐことができる。そのため、第1油圧ホース101及び第2油圧ホース102が短期間で摩耗したり、緩みが生じたりする虞がない。
尚、第1油圧ホース101及び第2油圧ホース102を、右取出口39Rと左取出口39Lのどちらから取り出すかは、各油圧ホースの接続先の位置等を考慮して決定すればよい。例えば、第1油圧ホース101を左取出口39Lから取り出して、第2油圧ホース102を右取出口39Rから取り出してもよい。また、1本の第1油圧ホース101と1本の第2油圧ホース102とを、それぞれ右取出口39Rと左取出口39Lから取り出してもよい。
また、ガイド部材40を設ける位置は、図示の位置には限定されない。例えば、ガイド部材40を、内底面171aの前縁(第5縁部39の下縁)から立ち上げてもよいし、内底面171aの後縁171bよりも後方から立ち上げてもよい。また、ガイド部材40を、ブーム17の前部17aではなく中間部17cに設け、当該中間部17cの内底面(下板17Dの上面)から立ち上げて天井面(上板17Uの下面)に向けて延ばしてもよい。但し、油圧ホースの組み付けの容易さを考慮すると、ガイド部材40は、なるべく前方(取出口39に近い側)に設けることが好ましい。また、複数のガイド部材40を、ブーム17の長さ方向に間隔をあけて並べて設けてもよい。この場合、ガイド部材40を前部17aと中間部17cの両方に設けることができる。
また、ガイド部材40の形状を変更することもできる。例えば、板状のガイド部材40を取出口39から後方に向けて延設することにより、取出口39を右取出口39Rと左取出口39Lとに仕切ってもよい。
<側部カバーの蓋部材>
図10、図17に示すように、旋回基板7の上方であって且つコントロールバルブ20の上方には、フロアシート58が設けられている。フロアシート58は、旋回台7の上面及びキャビン3の底部を構成している。図17に示すように、フロアシート58は、ステップ59と後板60とを有している。ステップ59は、運転席6の前方且つ下方に位置しており、コントロールバルブ20の上方を覆っている。ステップ59の前部には、走行レバー86等が設けられている。後板60はステップ59の後方に設けられている。後板60上にはシート台70が設けられている。シート台70上には、サスペンション装置等を介して運転席6が設けられている。ステップ59の後部及び後板60の前部は、旋回基板8上に設けられた右支柱57R及び左支柱57L(図1、図2も参照)によって支持されている。
図22に示すように、フロアシート58と旋回基板8との間の側方は、旋回基板8上に設けられた第3側部カバー37により覆われている。図11に示すように、第3側部カバー37は、カバー本体37aと、内板37bと、枠部材37cと、蓋部材37dと、鍵部37eを有している。
図10に示すように、カバー本体37aは、ウエイト9の左前部から前方に向けて延設されている。図11に示すように、内板37bは、カバー本体37aの右方に設けられており、前後の方向に延設されている。カバー本体37aと内板37bとの間には空間が形成されており、当該空間はグリスガン等の工具110を収納する工具箱111となっている。カバー本体37aには、上縁から下方に凹んだ凹部37fが形成されている。凹部37fには枠部材37cが固定されている。
枠部材37cは、上枠部37c1と、前枠部37c2と、後枠部37c3とを有している。前枠部37c2には前支持板96Fが固定されており、後枠部37c3には後支持板96Rが固定されている。前支持板96Fは、前枠部37c2の外面(左面)に固定されて下方に延びている。後支持板96Rは、後枠部37c3の外面(左面)に固定されて下方に延びている。前支持板96Fの前下部には、後述するストッパ板93が取り付けられている。
蓋部材37dは、工具箱111を開放又は閉鎖する部材である。蓋部材37dは、枠部材37cに対して開閉可能に取り付けられている。蓋部材37dの下部には支軸95が設けられている。支軸95は、蓋部材37dの前下部に設けられた前支軸95Fと、蓋部材37dの後下部に設けられた後支軸95Rとを有している。前支軸95Fは、外筒97Fと中心軸98Fとを有している。後支軸95Rは、外筒97Rと中心軸98Rとを有している。外筒97F,97Rは円筒状であって、蓋部材37dの下部の内面に固定されている。具体的には、外筒97Fは、蓋部材37dの前下部の内面に固定されており、外筒97Rは、蓋部材37dの後下部の内面に固定されている。中心軸98Fは、前部が前支持板96Fに固定され、後部が外筒97Fを貫通している。中心軸98Rは、前部が後支持板96Rに固定され、後部が外筒97Rを貫通している。中心軸98Fと中心軸98Rとは同一軸線上に配置されている。外筒97Fは、中心軸98F回りに回動可能である。外筒97Rは、中心軸98R回りに回動可能である。これにより、図11の矢印Aに示すように、蓋部材37dは、支軸95の中心軸98F及び中心軸98Rを支点として開閉可能となっている。言い換えれば、支軸95は、蓋部材37dを開放位置(図11、図14参照)と閉鎖位置(図10、図12参照)との間で回動可能に支持している。ここで、支軸95が蓋部材37dの下部に設けられているため、蓋部材37dは下方に向けて開放される(図11参照)。
支軸95が蓋部材37dの上部に設けられている場合、蓋部材37dは上方に向けて開放される。この場合、運転者は工具箱111の内部を確認する際に姿勢を低くして覗きこむ必要があり、運転者の負担が大きい。これに対して、本実施形態では、蓋部材37dは下方に向けて開放されるため、運転者は工具箱111の内部を確認する際に姿勢を低くして覗きこむ必要がなく、運転者の負担が軽減される。
鍵部37eは、蓋部材37dが運転者の意思に反して開放されることを防止するために設けられている。図11に示すように、鍵部37eは、蓋部材37dに設けられた係止片37gと、枠部材37bに設けられた受け部37hとを有している。係止片37gは、蓋部材37dの表面(左面)側に設けられた鍵穴に差し込んだ鍵の回転に伴って回転する。受け部37hは、板状であって上枠部37c1から下方に延出されている。受け部37hは、蓋部材37dを閉じた状態では、係止片37gの奥側(右側)に位置する。蓋部材37dを閉じた状態で、鍵穴に入れた鍵を正方向(図11の矢印B参照)に回転させると、係止片37gが回転して受け部37gと重なる。これにより、蓋部材37dの開放が阻止されたロック状態となる。ロック状態から係止片37gを逆方向に回転させると、係止片37gと受け部37hとの重なりがなくなり、ロック状態が解除される。
図11〜図14に示すように、外筒97Fの外周面には、突出片94が設けられている。突出片94は、外筒97Fの外周面から外方(中心軸98Fから離れる方向)に突出している。突出片94の先端部94aは、中心軸98Fと直交する面内において、円弧状に湾曲している。突出片94は、外筒97Fと共に中心軸98F回りに回転する。
図11〜図14等に示すように、枠部材37bの前上部には、板ばね99が取り付けられている。図12に示すように、板ばね99は、上部99aと中間部99bと下部99cとを有している。上部99aは、ボルト106及びナット107により枠部材37bの前上部に取り付けられている。中間部99bは、上部99aの下端から前方且つ下方に延びている。下部99cは、中間部99bの下端から後方且つ下方に延びている。下部99cの前面は、突出片94の先端部94aに当接している。
板ばね99と突出片94とは、蓋部材37dを開放する方向又は閉鎖する方向に付勢する付勢機構を構成している。以下、付勢機構について詳しく説明する。
図12に示すように、蓋部材37dが閉鎖位置にあるとき、突出片94は外筒97Fの外周面から後方に突出した位置となり、板ばね99の下部99cは先端部94aの円弧の一端側に当接する。このとき、板ばね99は、先端部94aを後方から見て時計回り方向(図12矢印の方向)に付勢する。これにより、蓋部材37dは閉鎖する方向に付勢され、閉鎖状態が維持される。そのため、作業中等に鍵部37eが使用不能となって施錠できなくなった場合でも閉鎖状態が維持され、蓋部材37dが意図せずに開放されることを防止できる。
図13に示すように、蓋部材37dが開放位置にあるとき、突出片94は外筒97Fの外周面から上方に突出した位置となり、板ばね99の下部99cは先端部94aの円弧の他端側に当接する。このとき、板ばね99は、先端部94aを後方からみて反時計回り方向(図13矢印の方向)に付勢する。これにより、蓋部材37dは開放する方向に付勢され、開放状態が維持される。また、このとき、突出片94がストッパ板93に当接することにより、蓋部材37dは略水平状態で維持されて過度の開放が防がれる。
図14に示すように、蓋部材37dが、閉鎖位置と開放位置との中間位置にあるとき、突出片94は外筒97Fの外周面から上方且つ後方に突出した位置となり、板ばね99の下部99cは先端部94aの円弧の中点Mに当接する。このとき、板ばね99の付勢力は、先端部94aを回転させる方向には作用しない。つまり、蓋部材37dは開放する方向にも閉鎖する方向にも付勢されない。
図14に示す状態から、蓋部材37dを下方に回動させて、蓋部材37dが閉鎖位置と中間位置との間に位置したとき、板ばね99の下部99cは先端部94aの円弧の中点Mと一端Aとの間に当接する。このとき、板ばね99は、先端部94aを後方から見て時計回り方向(図14矢印Cの方向)に付勢する。これにより、蓋部材37dは閉鎖する方向に付勢される。この付勢力は、運転者が蓋部材37dを閉鎖する動作を補助する。
図14に示す状態から、蓋部材37dを上方に回動させて、蓋部材37dが中間位置と開放位置との間に位置したとき、板ばね99の下部99cは先端部94aの円弧の中点Mと他端Bとの間に当接する。このとき、板ばね99は、先端部94aを後方から見て反時計回り方向(図14矢印Dの方向)に付勢する。これにより、蓋部材37dは開放する方向に付勢される。この付勢力は、運転者が蓋部材37dを開放しようとする力を補助する。
尚、付勢機構は、蓋部材37dが閉鎖位置にあるときに、蓋部材37dを閉鎖する方向に付勢する機構であればよく、具体的な構成は上述した構成に限定されない。例えば、スプリングや流体圧シリンダ等を用いて付勢機構を構成してもよい。また、本実施形態では、付勢機構を蓋部材37dの前部に設けているが、蓋部材37dの後部に設けてもよい。
<フィルタ>
図15及び図16に示すように、支持フレーム64の左前脚66の連結部66fには、フィルタ46が取り付けられている。フィルタ46は、パイロットポンプ11Bからコントロールバルブ20に供給される作動油(パイロット油)を清浄化する。
フィルタ(以下、パイロットフィルタという)46は、作動油(パイロット油)を流通させるホース(パイロットホース)が接続されるホース接続部を有している。ホース接続部は、第1ホース接続部47と第2ホース接続部48とを有している。第1ホース接続部47は、パイロットフィルタ46の一方側(後側)に設けられている。第2ホース接続部48は、パイロットフィルタ46の他方側(前側)に設けられている。
第1ホース接続部47には、第1パイロットホース49の一端部が接続されている。第1パイロットホース49の他端部は、パイロットポンプ11Bに接続されている。第1パイロットホース49は、第1ホース接続部47から下方且つ前方に向けて延びている。
第2ホース接続部48には、第2パイロットホース50の一端部が接続されている。第2パイロットホース50の他端部は、コントロールバルブ20等に接続されている。第2パイロットホース50は、第2ホース接続部48から下方且つ前方に向けて延びている。
パイロットフィルタ46は、第1ブラケット75及び第2ブラケット76を介して、支持フレーム64の連結部66fに取り付けられている。第1ブラケット75は、平板状の部材であって、連結部66fとパイロットフィルタ46との間に介装されている。パイロットフィルタ46は、2本の締結具(ボルト)77により第1ブラケット75に固定されている。
図15に示すように、第1ブラケット75は、パイロットフィルタ46の正面側(機体2の左側)から見て、パイロットフィルタ46の外形より外方に張り出した張出部を有している。具体的には、第1ブラケット75は、パイロットフィルタ46の上方に張り出した第1張出部75aと、パイロットフィルタ46の下方且つ一方(後方)に張り出した第2張出部75bと、パイロットフィルタ46の下方且つ他方(前方)に張り出した第3張出部75cとを有している。第1張出部75aと第2張出部75bとの間には第1凹部75dが形成されている。第1凹部75dは、他方(前方)に向けて凹んでいる。第1張出部75aと第3張出部75cとの間には第2凹部75eが形成されている。第2凹部75eは、一方(後方)に向けて凹んでいる。
第2ブラケット76は、平板状の部材であって、連結部66fと第1ブラケット75との間に介装されている。第2ブラケット76は、パイロットフィルタ46の正面側(機体2の左側)から見て、パイロットフィルタ46の外形より外方に張り出した張出部を有している。具体的には、図16に示すように、第2ブラケット76は、第1ブラケット75の第1張出部75aと重なる第4張出部76aと、第2張出部75bと重なる第5張出部76bと、第3張出部75cと重なる第6張出部76cと、第1凹部75dから露出する第7張出部76dと、第2凹部75eから露出する第8張出部76eとを有している。
また、図15及び図16に示すように、第2ブラケット76は、第1取付部79と第2取付部78とを有している。
第1取付部79は、第2ブラケット76を支持フレーム64に取り付ける部分である。言い換えれば、第1取付部79は、第2ブラケット76と支持フレーム64とを接続する部分である。本実施形態では、第1取付部79は、2本の締結具(ボルト)により、第2ブラケット76と支持フレーム64の連結部66fとを接続している。第1取付部79において、第2ブラケット76と連結部66fとの間には、防振ゴム等の防振材を介装することができる。第1取付部79は、ホース接続部(第1ホース接続部47、第2ホース接続部48)の下方に設けられている。また、第1取付部79は、パイロットフィルタ46の一方(後方)と他方(前方)に設けられている。一方(後方)の第1取付部79は、第2ブラケット76の第7張出部76dと、連結部66fとを接続している。他方(前方)の第1取付部79は、第2ブラケット76の第8張出部76eと、連結部66fとを接続している。
第2取付部78は、第2ブラケット76に対して第1ブラケット75を取り付ける部分である。言い換えれば、第2取付部78は、第2ブラケット76と第1ブラケット75とを接続する部分である。本実施形態では、第2取付部78は、3本の締結具(ボルト)により、第2ブラケット76と第1ブラケット75とを接続している。第2取付部78において、第2ブラケット76と第1ブラケット75との間には、防振ゴム等の円環状の防振材が介装されている。第2取付部78は、上方取付部78Uと下方取付部78Dとを有している。第2取付部78は、上方取付部78U及び下方取付部78Dにより、第1取付部79を挟んで第2ブラケット76に第1ブラケット75を取り付けている。
上方取付部78Uは、第2ブラケット76に対して第1ブラケット75の上部を取り付けている。具体的には、上方取付部78Uは、第1ブラケット75の第1張出部75aと第2ブラケット76の第4張出部76aとを接続している。上方取付部78Uは、第1取付部79の上方に設けられている。
下方取付部78Dは、第2ブラケット76に対して第1ブラケット75の下部を取り付けている。具体的には、下方取付部78Dは、第1ブラケット75の第2張出部75bと第2ブラケット76の第5張出部76b、及び、第1ブラケット75の第3張出部75cと第2ブラケット76の第6張出部76cとを接続している。下方取付部78Dは、第1取付部79の下方に設けられている。本実施形態では、下方取付部78Dは、パイロットフィルタ46の一方(後方)と他方(前方)に設けられている。
尚、第1取付部79の取り付け形態は、締結具による取り付けには限定されず、例えば溶接等の他の取り付け形態であってもよい。また、第2取付部78について、下方取付部78Dを1箇所とし、上方取付部78Uをパイロットフィルタ46の一方(後方)と他方(前方)の2箇所に設けてもよい。また、上方取付部78Uと下方取付部78Dの両方を、それぞれパイロットフィルタ46の一方(後方)と他方(前方)の2箇所に設けてもよい。
上述したように、第1パイロットホース49は第1ホース接続部47から下方且つ前方に向けて延び、第2パイロットホース50は第2ホース接続部48から下方且つ前方に向けて延びている。そのため、パイロット油の送給による脈動等に起因して、パイロットフィルタ46が第1パイロットホース49及び第2パイロットホース50から下方且や前方に向けて引っ張り力を受ける場合がある。
ここで、本実施形態では、パイロットフィルタ46が固定された第1ブラケット75と、支持フレーム64に取り付ける第1取付部79と、第1取付部79を挟んで第1ブラケット75を取り付ける第2取付部78とを備えている。具体的には、第2取付部78は、第1取付部79の上方に設けられた上方取付部78Uと、第1取付部79の下方に設けられた下方取付部78Dとを有する。これにより、パイロットフィルタ46が第1パイロットホース49及び第2パイロットホース50から引っ張り力を受けた場合に、この力を支持フレーム64の上方と下方とで受けることができる。これにより、上記引っ張り力を受けてもパイロットフィルタ46が傾くことがないため、パイロットフィルタ46を保持するブラケットが支持フレーム64に当たって運転者の耳元騒音が生じることがない。
また、下方取付部78D又は上方取付部78Uが、パイロットフィルタ46の前方及び後方に配置されていることにより、パイロットフィルタ46を傾けようとする力が作用した場合に、この力を支持フレーム64を挟んだ3箇所(上方取付部と下方取付部)で分担して受けることができる。そのため、パイロットフィルタ46が傾いて支持フレーム64に当たることが確実に防止できる。
<クランプ具>
図24に示すように、油圧ポンプ11とコントロールバルブ20とは、第3油圧ホース103、第4油圧ホース104、第5油圧ホース105により接続されている。第3油圧ホース103及び第4油圧ホース104は、メインポンプ11Aとコントロールバルブ20とを接続している。第5油圧ホース105は、サブポンプ11Bとコントロールバルブ20とを接続している。以下、第3油圧ホース103、第4油圧ホース104、第5油圧ホース105をまとめて説明するときは「第3油圧ホース103等」という。
第3油圧ホース103等は、油圧ポンプ11とコントロールバルブ20との中途部において、複数のクランプ具により支持されている。図17、図18、図24に示すように、本実施形態では、クランプ具は、第1クランプ具112と第2クランプ具122とを有している。尚、図17、図18、図24では、図の簡明化のために、クランプ具の説明に関係しない油圧ホースは省略している。
先ず、第1クランプ具112について説明する。
図17、図18に示すように、第1クランプ具112は、旋回基板8の上面に固定されている。具体的には、第1クランプ具112は、右支柱57Rと左支柱57Lとの間において、旋回基板8上の上面に固定されている。
図19、図20に示すように、第1クランプ具112は、第3油圧ホース103等を保持する保持部(以下、第1保持部という)113と、第1保持部113を支持する支持部(以下、第1支持部という)114とを有している。
第1保持部113は、第3油圧ホース103等(第3油圧ホース103、第4油圧ホース104、第5油圧ホース105)を、縦方向に並べで保持する。第1保持部113は、保持部材115、押え板116、締め付け部材117、受け部材118、ブロック材119を有している。
保持部材115は、第1保持部材115Aと第2保持部材115Bとを有している。第1保持部材115A及び第2保持部材115Bは、略直方体形状であって、ゴム等の弾性材から形成されている。第1保持部材115Aの一方の面と第2保持部材115Bの他方の面とは当接している。第1保持部材115Aは、一方の面に半円状の切り欠きを有し、第2保持部材115Bは他方の面に半円状の切り欠きを有している。第1保持部材115Aの切り欠きと第2保持部材115Bの切り欠きを合わせることで、第3油圧ホース103等が挿通される円形の挿通部が形成されている。本実施形態では3つの挿通部131,132,133が形成されている。3つの挿通部は、縦方向に並んで配置されている。以下、3つの挿通部を上から順に、第1挿通部131、第2挿通部132、第3挿通部133という。また、3つの挿通部をまとめて説明するときは「第1挿通部131等」という。
第1保持部材115Aは、他方の面(図20にて左面)に略楕円形状の隆起部115aを有している。第2保持部材115Bは、一方の面(図20にて右面)に略楕円形状の隆起部(図示されず)を有している。
図20に示すように、第1保持部材115Aの上面と第2保持部材115Bの下面には、凹溝115bが形成されている。凹溝115bは、第1保持部材115Aの他方の面(図20にて左面)から第2保持部材115Bの一方の面(図20にて右面)に向けて延設されている。各凹溝115bには、それぞれ略直方体形状のブロック材119が嵌め込まれている。
押え板116は、第1保持部材115Aの他方の面に当接している。押え板116は,楕円形の開口部116aを有している。この開口部116aには、第1保持部材115Aの隆起部115aが嵌り込んでいる。右押え板126Rは、第1保持部材115Aの右面と略同じ大きさに形成されている。
受け部材118は、上板118aと、下板118bと、縦板118cとを有している。縦板118cは、第2保持部材115Bの一方の面に当接している。これにより、保持部材115は、押え板116と縦板118cにより挟まれている。縦板118cは楕円形の開口部(図示略)を有し、この開口部に第2保持部材115Bの隆起部が嵌り込んでいる。縦板118cは、第2保持部材115Bの一方の面と略同じ大きさに形成されている。上板118aは、縦板118cの上端から他方側(第1保持部材115A側)に延びている。下板118bは、縦板118cの下端から他方側(第1保持部材115A側)に延びている。
ブロック材119は、第1ブロック材119Aと第2ブロック材119Bとを有している。第1ブロック材119Aは、第1保持部材115Aの凹溝115bに嵌め込まれている。具体的には、第1ブロック材119Aの下部が第1保持部材115Aの凹溝115bに嵌め込まれ、第1ブロック材119Aの上部は当該凹溝115bから上方に突出している。第1ブロック材119Aの一方側の面は、押え板116に当接している。第1ブロック材119Aの上面は、受け部材118の上板118aの下面に当接している。第1ブロック材119Aの下面は、第1保持部材115Aの凹溝115bの底面に当接している。
第2ブロック材119Bは、第2保持部材115Bの凹溝115bに嵌め込まれている。具体的には、第2ブロック材119Bの上部が第2保持部材115Bの凹溝115bに嵌め込まれ、第2ブロック材119Bの下部は当該凹溝115bから下方に突出している。第2ブロック材119Bの一方側の面(図20にて左面)は、押え板116に当接している。第2ブロック材119Bの下面は、受け部材118の下板118bの上面に当接している。第1ブロック材119Aの上面は、第2保持部材115Bの凹溝115bの底面に当接している。
ブロック材119(第1ブロック材119Aと第2ブロック材119B)は、第1ねじ孔119aと第2ねじ孔119bとを有している。第1ねじ孔119aは、押え板116側から縦板118c側に向かう方向に延びる非貫通孔である。第1ブロック材119Aの第2ねじ孔119bは、上板118a側から下方に延びる非貫通孔である。第2ブロック材119Bの第2ねじ孔119bは、下板118b側から上方に延びる非貫通孔である。第1ねじ孔119aには、後述するボルト120が螺合される。第2ねじ孔119bには、後述する連結部材(ボルト)139が螺合される。
締め付け部材117は、ボルト120とスペーサ121を有している。ボルト120は、上ボルト120Uと下ボルト120Dとを有している。上ボルト120Uは、第1挿通部131の上方に位置している。上ボルト120Uは、押え板116の上部を貫通して、第1ブロック材119Aに設けられた第1ねじ孔119aに螺合されている。下ボルト120Dは、第3挿通部133の下方に位置している。下ボルト120Dは、押え板116の下部を貫通して、第2ブロック材119Bに設けられた第1ねじ孔119aに螺合されている。ボルト120の頭部と押え板116との間にはスペーサ121が介装されている。
ボルト120を締め付けることにより、第1保持部材115Aと第2保持部材115Bとが密接する方向に締め付けられる。これにより、第1保持部材115Aと第2保持部材115Bとが弾性変形し、第1挿通部131等に挿通された第3油圧ホース103等が締め付けられて保持部材115に保持される。
ここで、第1挿通部131、第2挿通部132、第3挿通部133が、縦方向に並んで配置されているため、第3油圧ホース103、第4油圧ホース104、第5油圧ホース105は縦方向に並んで保持される。そのため、複数本の油圧ホースを小さいスペースで保持することができる。
図18に示すように、保持部材115に保持された第3油圧ホース103等は、右支柱57Rと左支柱57Lとの間を通って、旋回基板8の後部(油圧ポンプ11側)から前部(コントロールバルブ20側)に向けて延びている。
第1支持部114は、第1保持部113を縦軸X回りに回動可能に支持する。第1支持部114は、ブラケット138と、連結部材139と、スペーサ140とを有している。
ブラケット138は、第1取付部138aと、第2取付部138bと、第3取付部138cとを有している。第1取付部138aは、帯状板をL字状に屈曲して形成されており、横板138dと縦板138eとを有している。
図20に示すように、横板138dは、第1貫通孔138f、第2貫通孔138g、第3貫通孔138hを有している。横板138dは、長方形状であって、長手方向が旋回基板8の前後の方向を向くように、右支柱57Rと左支柱57Lとの間に配置されている(図18参照)。第1貫通孔138f、第2貫通孔138g、第3貫通孔138hは、横板138dの長手方向に沿って間隔をあけて設けられている。図18に示すように、第1貫通孔138f及び第2貫通孔138gには、ボルト108が挿通される。ボルト108は、旋回基板8に形成されたねじ孔に螺合される。これにより、ブラケット138の横板138dが旋回基板8上に固定される。第3貫通孔138hは、第1貫通孔138fと第2貫通孔138gとの間に設けられている。
縦板138eは、横板138dの一端(第1貫通孔138f側の端部)から上方に延びている。縦板138eは、第4貫通孔138i及び第5貫通孔138jを有している。第4貫通孔138i及び第5貫通孔138jは、サードラインバルブ160を取り付けるための孔である。図17、図18に示すように、サードラインバルブ160は、縦板138eの前面にボルトにより取り付けられる。サードラインバルブ160は、切り換え操作により、前記油圧アクチュエータからの戻り作動油を、コントロールバルブ20を通さずに作動油タンク16に戻すことを可能とする三方切換バルブである。サードラインバルブ160は、第3側部カバー37の蓋部材37dの左方に位置している。これにより、蓋部材37を開放することによって、サードラインバルブ160にアクセスすることができる。
第2取付部138bは、長方形の板状であって、横板138dの他端(第3貫通孔138g側の端部)から上方に延びている。第2取付部138bの平面は、第1取付部138aの平面と直交する向きに配置されている。第2取付部138bは、第6貫通孔138k及び第7貫通孔138mを有している。第6貫通孔138k及び第7貫通孔138mは、SP用のパイロットバルブ161を取り付けるための孔である。図18に示すように、パイロットバルブ161は、第2取付部138bの右面にボルトにより取り付けられる。パイロットバルブ161は、コントロールバルブ20のSP(サービスポート)の制御用バルブと接続されている。
第3取付部138cは、略長方形の板状であって、第2取付部138bの上端から縦板138e側に延びている。第3取付部138cは、横板138dと平行に且つ対向して配置されている。図20に示すように、第3取付部138cには、第8貫通孔138nが設けられている。第8貫通孔138nの中心は、第3貫通孔hの中心と同一軸線上にある。
連結部材139は、第1連結部材139Aと第2連結部材139Bとを有している。本実施形態では、第1連結部材139A及び第2連結部材139Bはボルトである。
図20に示すように、第1連結部材139Aは、第3取付部138cの第8貫通孔138n及び受け部材118の上板118aを貫通して、第1ブロック材119Aの第2貫通孔119bに螺合されている。第1連結部材139Aであるボルトの頭部と第3取付部138cとの間には、ワッシャ151及び弾性材152が介装されている。第3取付部138cと上板118aとの間には、弾性材153が介装されている。弾性材152,153は、円環状であって、防振ゴム等から形成されている。
図20に示すように、第2連結部材139Bは、横板138dの第3貫通孔138h及び受け部材118の下板118bを貫通して、第2ブロック材119Bの第2貫通孔119bに螺合されている。第2連結部材139Bであるボルトの頭部と横板138dとの間には、ワッシャ148及び弾性材149が介装されている。横板138dと下板118bとの間には、弾性材150が介装されている。弾性材149,150は、円環状であって、防振ゴム等から形成されている。
スペーサ140は、上部スペーサ140Aと下部スペーサ140Bとを有している。上部スペーサ140Aは、ワッシャ151と上板118aとの間に介装されている。下部スペーサ140Bは、ワッシャ148と下板118bとの間に介装されている。スペーサ140は、金属等の剛性材から形成された円筒状の部材である。上部スペーサ140Aは、第8貫通孔138n及び弾性材152,153を貫通している。上部スペーサ140Aの内部には、第1連結部材139Aであるボルトの軸部が貫通している。下部スペーサ140Bは、第3貫通孔138h及び弾性材149,150を貫通している。下部スペーサ140Bの内部には、第2連結部材139Bであるボルトの軸部が貫通している。
上部スペーサ140Aは、第1連結部材139Aを第1ブロック材119Aの第2貫通孔119bに締め付けた(螺合した)ときに、ワッシャ151と上板118aとの間の距離を一定以上に保つ役割を有する。ワッシャ151と上板118aとの間の距離が一定以上に保たれることで、第1連結部材139Aを第2貫通孔119bに対して締め付けたときに、締め付けの強さが一定以下となる。これにより、第1連結部材139Aと第2貫通孔119bとの螺合を、締め付け強さが一定以下の緩やかな螺合(完全に固定されない螺合)することができる。
下部スペーサ140Bは、第2連結部材139Bを第2ブロック材119Bの第2貫通孔119bに締め付けた(螺合した)ときに、ワッシャ148と下板118bとの間の距離を一定以上に保つ役割を有する。ワッシャ148と下板118bとの間の距離が一定に保たれることで、第2連結部材139Bを第2貫通孔119bに対して締め付けたときに、締め付けの強さが一定以下となる。これにより、第2連結部材139Bと第2貫通孔119bとの螺合を、締め付け強さが一定以下の緩やかな螺合(完全に固定されない螺合)することができる。
また、第1連結部材139A及び第2連結部材139Bを第2貫通孔119bに対して締め付けたときに、弾性材149,150,152,153が縦軸X方向に弾性変形することによって、締め付けの強さを調整することができる。
上述の通り、第1連結部材139Aと第1ブロック材119Aの第2貫通孔119bとの螺合、及び、第2連結部材139Bと第2ブロック材119Bの第2貫通孔119bとの螺合は、締め付け強さが一定以下の緩やかな螺合となっている。これにより、第1保持部113に縦軸X回りの力が作用した場合に、第1保持部113がブラケット138に対して縦軸X回りに回動可能となっている。つまり、連結部材139(第1連結部材139A、第2連結部材139B)は、第1保持部113をブラケット138に対して縦軸X回りに回動可能に連結している。
このように、第1保持部113が縦軸X回りに回動可能に支持されていることにより、第1保持部113に保持された第3油圧ホース103等が縦軸X回りに回動可能となる。そのため、油圧ポンプ11の駆動に伴って第3油圧ホース103等が脈動した場合に、この脈動に応じて第3油圧ホース103等が縦軸X回りに回動する。これにより、ホースの脈動に起因する騒音の発生を抑制することが可能となる。特に、油圧ポンプ11からコントロールバルブ20に至る経路に設けられた第3油圧ホース103等は脈動が大きい、そのため、第3油圧ホース103等を、第1クランプ具112にて縦軸X回りに回動可能に支持することにより、ホースの脈動に起因する騒音発生を効果的に抑制することができる。
また、第1クランプ具112のブラケット138が、第1保持部113を支持するための部材と、サードラインバルブ160を取り付けるための部材と、SP用バルブ161とを取り付けるための部材とを兼ねているため、部品点数の減少と設置スペースの削減を図ることが可能となる。
尚、第1クランプ具112について、第1保持部113を縦軸X回りに回動可能に支持する構成は、上述した構成には限定されない。例えば、軸受を使用して第1保持部113を縦軸X回りに回動可能に支持してもよい。また、第1保持部113の構成についても、複数のホースを縦方向に並べて保持する構成であればよく、上述した構成には限定されない。
次に、第2クランプ具122について説明する。
第2クランプ具122は、第3油圧ホース103等の前記中途部とは異なる第2中途部を保持する。具体的には、第1クランプ具112よりも後方(油圧ポンプ11に近い側)において、第3油圧ホース103等の第2中途部を保持する。
図17、図18に示すように、第2クランプ具122は、旋回基板8の仕切り板53の前方延出板53Fに固定されている。図21に示すように、第2クランプ具122は、第2パイロットホース50と第3油圧ホース103等(以下、第2パイロットホース50等という)を保持する保持部(以下、第2保持部という)123と、第2保持部123を支持する支持部(以下、第2支持部という)124とを有している。
第2保持部123は、第2パイロットホース50等を、縦方向に並べで保持する。第2保持部123は、保持部材125、押え板126、締め付け部材127を有している。保持部材125は、右保持部材125Rと左保持部材125Lとを有している。右保持部材125R及び左保持部材125Lは、略直方体形状であって、ゴム等の弾性材から形成されている。左保持部材125Lは右面に半円状の切り欠きを有し、右保持部材125Rは左面に半円状の切り欠きを有している。右保持部材125Rの切り欠きと左保持部材125Lの切り欠きを合わせることで、第2パイロットホース50等が挿通される円形の挿通部が形成されている。本実施形態では4つの挿通部134,135,136,137が形成されている。4つの挿通部は、縦方向に並んで配置されている。以下、4つの挿通部を上から順に、第4挿通部134、第5挿通部135、第6挿通部136、第7挿通部137という。また、4つの挿通部をまとめて説明するときは「第4挿通部134等」という。また、左保持部材125Lは左面に略楕円形状の隆起部125aを有し、右保持部材125Rは右面に略楕円形状の隆起部(図示略)を有している。
押え板126は、右押え板126Rと左押え板126Lとを有している。右押え板126Rは、右保持部材125Rの右面に当接している。左押え板126Lは、左保持部材125Lの左面に当接している。これにより、保持部材125は、右押え板126Rと左押え板126Lにより挟まれている。左押え板126Lは,楕円形の開口部126aを有している。この開口部126aには、左保持部材125Lの隆起部125aが嵌り込んでいる。右押え板126Rも楕円形の開口部(図示略)を有し、この開口部に右保持部材125Rの隆起部が嵌り込んでいる。右押え板126Rは、右保持部材125Rの右面と略同じ大きさに形成されているが、左押え板126Lは、左保持部材125Lの左面より大きく形成されている。具体的には、左押え板126Lは、左保持部材125Lの左面より後方に延びる後方延出部126bを有している。後方延出部126bは、後方への延出長さが、下部から上部にむけて次第に大きくなるように形成されている。これにより、左押え板126Lの後縁部(後方延出部126bの後端部)は、左押え板126Lの前縁部に対して傾斜している。
締め付け部材127は、ボルト130、ナット141、プレート142、ワッシャ143、第1弾性材145、第2弾性材146、第3弾性材147を有している。ボルト130は、左押え板126L、左保持部材125L、右保持部材125R、右押え板126R、プレート142を貫通している。ボルト130は、上ボルト130Uと下ボルト130Dとを有している。上ボルト130Uは、第4挿通部134の上方を貫通している。下ボルト130Dは、第7挿通部137の下方を貫通している。ワッシャ143は、ボルト130の頭部と左押え板126Lとの間に介装されている。第1弾性材145、第2弾性材146、第3弾性材147は、円環状であって、防振ゴム等から形成されている。第1弾性材145、第2弾性材146、第3弾性材147は、右押え板126Rとプレート142との間に重ねられて介装されている。第2弾性体146の外径は、第1弾性材145、第3弾性材147の外径より小さい。
第1弾性材145と第3弾性材147とは仕切り板53の前方延出板53Fを挟むように配置される。第2弾性体146は、前方延出板53Fに設けられた穴に嵌め入れられる。これにより、第2クランプ具122が前方延出板53Fに固定される。
プレート142は、長方形状の金属板であって、ナット141と第3ワッシャ147との間に介装されている。プレート142は、上部に上ボルト130Uが貫通する貫通孔を有し、下部に下ボルト130Dが貫通する貫通孔を有している。ナット141は、上ボルト130Uの先端と下ボルト130Dの先端にそれぞれ螺合されている。ナット141を締め付けることにより、右保持部材125Rと左保持部材125Lとが密接する方向に締め付けられる。これにより、右保持部材125Rと左保持部材125Lとが弾性変形し、第4挿通部134等に挿通された第2パイロットホース50等が締め付けられて保持される。
第2支持部124は、第2保持部123を回動不能に支持する。第2支持部124は、ブラケット128とシール材129とを有している。
ブラケット128は、金属製の板を折り曲げて形成されており、左押え板126Lの後方延出部126bに固定されている。ブラケット128は、垂直板128aと水平板128bとを有している。垂直板128aは、旋回基板8に対して垂直に配置される板であって、後方延出部126bの後端部に固定されている。垂直板128aは、左保持部材125Lの後方上部から後方下部に向けて延びる縦部128cと、縦部128cの上端から右方に延びる上部128dと、縦部128cの下端から左方に延びる下部(図示されず)とを有している。縦部128cは第4挿通部134等より左方に位置し、上部128dは第4挿通部134より上方に位置し、下部は第7挿通部137より下方に位置している。これにより、垂直板128aと第3油圧ホース103等との干渉が回避される。水平板128bは、垂直板128aの上部128dの下端から前方に向けて延びている。水平板128bは、前端が右保持部材125Rと左保持部材125Lの後面上部に当接しており、左端が左押え板126Lの右面に固定されている。
シール材129は、ゴム等の弾性材から形成されており、垂直板128aの外縁に取り付けられている。具体的には、上部128dの上縁と、下部の下縁と、縦部128cの左縁に夫々沿うように取り付けられている。シール材129は、第2クランプ具122を仕切り板53の前方延出板53Fに取り付けたときに、第2クランプ具122の周囲を通ってエンジンルームERから仕切り板53の前方へと空気が流れることを阻止する。
左押え板126Lの後縁部(後方延出部126bの後端部)は、旋回基板8に対して垂直となっている。そのため、第1挿通部131等は、後部が高くて前部が低くなるように傾斜している。これにより、第4挿通部134等に挿通された第2パイロットホース50等は、後方から前方に向けて下向きに傾斜するように配策される。その結果、第2クランプ具122より後方且つ上方に位置する油圧ポンプ11から第4挿通部134等に向けて、第2パイロットホース50等を緩やかな屈曲で容易に配策することが可能となる。
上述したように、本実施形態では、油圧ポンプ11とコントロールバルブ20とを接続する第3油圧ホース103等は、油圧ポンプ11とコントロールバルブ20との中途部において、複数のクランプ具(第1クランプ具112と第2クランプ具122)により支持されている。
ここで、本実施形態の作業機1は、油圧ポンプ11は旋回基板8上の後部に設けられており、コントロールバルブ20は旋回基板8上の前部に設けられているため、油圧ポンプ11とコントロールバルブ20とを接続する第3油圧ホース103等が長くなる。そのため、1つのクランプ具では第3油圧ホース103等の経路を固定することが困難であり、当該ホースの脈動が生じ易くなり、運転者の耳元騒音が大きくなる。しかし、本実施形態では、第3油圧ホース103等を複数のクランプ具(第1クランプ具112と第2クランプ具122)により支持しているため、第3油圧ホース103等を固定することができ、このような不具合が生じない。
尚、本実施形態では、第3油圧ホース103等の中途部を2つのクランプ具により支持する構成としたが、3つ以上のクランプ具により支持する構成としてもよい。また、本実施形態では、縦軸回りに回動可能な保持部を有するクランプ具を1つ使用しているが、2つ以上使用してもよい。
以上本発明について説明したが、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。