JP6716321B2 - 樹脂組成物 - Google Patents
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Description
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明の樹脂組成物は、リグニン類及び/又はリグニン誘導体を含み、更に、発泡剤成分を含む。なお、リグニン類及び/又はリグニン誘導体は、樹脂の1種であるが、後述するように、本発明の樹脂組成物は、更にリグニン類及び/又はリグニン誘導体とは異なる樹脂(より好ましくはエマルションポリマー)を含むことが好ましい。本発明の樹脂組成物を用いて得られる塗料は、各種添加剤成分の分散性に優れるとともに、基材への密着性及び外観に優れる塗膜を形成することができるものである。
本発明の樹脂組成物は、リグニン類及び/又はリグニン誘導体、並びに、発泡剤成分を含むことで、フクレが抑制された外観良好な塗膜を得ることが出来る。この理由は、以下の通りであると推定される。塗膜のフクレは、塗膜形成時に、塗膜内部から揮発成分が全て蒸発する前に塗膜表面から揮発成分が蒸発し乾燥膜を形成することで塗膜内部の揮発成分の蒸発経路が塞がれ、塗膜内部に残った揮発成分の蒸気により塗膜が持ち上げられることにより生じる。本発明の樹脂組成物は、リグニン類及び/又はリグニン誘導体、並びに、発泡剤成分を含むことにより、塗膜形成時に泡を生じ、その泡を安定化するとともにその形状を適切に保持することができ、該泡が塗膜表面の膜において蒸発経路を好適に形成して、加熱継続下でも水抜け性が維持される。これにより、良好な塗膜外観が得られる。
なお、このようにして得られる塗膜は、多孔構造を有するため、制振材用途に用いた場合に幅広い温度領域での優れた制振性を発揮できる。
上記リグニン類及び/又はリグニン誘導体は、リグニンの基本骨格であるフェニルプロパン骨格が連なった構造をもつ、複雑な三次元網目構造を有する分子である。
上記リグニン類とは、未変性のリグニンを言い、例えば、植物体中に存在する天然のリグニン、又は、植物体から蒸解により単離したままのリグニンのいずれであってもよい。なお、植物体から蒸解により単離したままのリグニンは、チオエーテル結合や、スルホン酸基、スルホン酸塩基、アセチル基等の置換基を有していてもよい。本明細書中、変性とは、植物体から蒸解により単離したままのリグニンに対して、該リグニンが有する構造部位とは異なるその他の構造部位を導入することを言う。
上記リグニンスルホン酸塩としては、1価の金属塩、2価の金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、これらの混合塩等が挙げられる。
上記リグニン類は、上記リグニンスルホン酸(塩)が、更に、分解、又は、分子量分画されたものであってもよい。該分解は、例えば加水分解が挙げられる。該分子量分画は、例えば限外濾過による方法が挙げられる。中でも、加水分解が好ましい。
なお、上記アルカリ蒸解としては、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)等のアルカリ金属水酸化物を使用して木本植物を蒸解させる方法が好ましい。
上記リグニン類の調製には、通常用いられる蒸解助剤を使用することができる。
上記(ポリ)アルキレングリコール鎖の末端の構造は特に制限されず、置換基を有していてもよい。上記末端の酸素原子には、水素原子又は炭化水素基が結合していることが好ましい。上記炭化水素基としては、炭素数1〜2のアルキル基が好ましい。
上記カルボン酸基含有基は、カルボン酸基(−COOH)又はその塩を有する限り特に限定されず、カルボン酸基又はその塩のみの基であっても、カルボン酸基又はその塩とその他の構造部位とを有する基であってもよい。その他の構造部位としては、脂肪族炭化水素基や芳香族炭化水素基等の炭化水素基等が挙げられる。カルボン酸基含有基としては、カルボン酸基又はその塩、カルボン酸基又はその塩が結合された炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、又は、芳香族カルボン酸基が結合された炭素数1〜20のアルキレン基が好ましい。芳香族カルボン酸基は、カルボン酸基又はその塩を有する芳香族基である。
上記炭化水素基としては、炭素数1〜30の炭化水素基が好ましく、より好ましくは1〜5の炭化水素基である。
上記R1〜R6の水素原子以外の置換基は、リグニン骨格のベンゼン環に1つ結合していてもよく、2つ以上結合していてもよい。
上記リグニン類及び/又はリグニン誘導体は、木本植物を原料にして得られる木質系のものであることが好ましく、中でも、針葉樹を原料にして得られるものであることがより好ましい。
上記リグニン類は、従来公知の方法を用いて得ることができる。
上記リグニン誘導体を得るための置換基等によるリグニン類の変性の方法は特に制限されないが、例えば、リグニン類の水酸基等の反応基と置換基を有する化合物とを反応させることにより行うことができる。
上記置換基が(ポリ)アルキレングリコール鎖含有基である場合には、(1)エチレンオキシド等のアルキレンオキシド又は(ポリ)アルキレングリコール鎖を有する化合物とリグニン類の水酸基とを反応させること、又は、(2)(ポリ)アルキレングリコール鎖を有する化合物とアルデヒド化合物とを反応させた後にリグニン類を添加し、反応させることにより変性させることができる。
上記(1)の反応により、リグニン類のフェノール性水酸基と(ポリ)アルキレンオキシド又は(ポリ)アルキレングリコール鎖を有する化合物とが直接結合した変性リグニンが生成し、上記(2)の反応により、リグニン類のベンゼン環と(ポリ)アルキレングリコール鎖を有する化合物とが2価の連結基を介して結合した変性リグニンが生成する。
上記(2)の反応における(ポリ)アルキレングリコール鎖を有する化合物としては、フェノールのエチレンオキシド付加物等の芳香族(ポリ)アルキレングリコール化合物等が挙げられる。
この反応により、リグニン類のベンゼン環とカルボン酸基を有する化合物とが2価の連結基を介して結合した変性リグニンが生成する。
上記カルボン酸基を有する化合物としては、2−ヒドロキシフェニル酢酸等の芳香族カルボン酸系化合物等が挙げられる。
なお、ここでいう固形分とは、水系溶媒等の溶媒以外の成分を意味する。
本発明の樹脂組成物は、更に、発泡剤成分を含む。上記発泡剤成分とは、その使用目的に関わらず、加熱発泡性、機械発泡性等の発泡性を有し、発泡剤として機能し得る剤のすべてを意味する。すなわち、樹脂組成物中の発泡剤成分は、発泡剤として機能し得るものである限り、その他の機能を併せ持つものであってもよい。上記使用目的としては、例えば分散剤、湿潤浸透剤、界面活性剤等としての使用目的が挙げられる。
なお、上記発泡剤成分(例えば界面活性剤成分)は、化合物であってもよく、後述するエマルションポリマーの一部を構成する構成単位であってもよいが、化合物であることが好ましい。
上記界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記アニオン系界面活性剤としては、例えば脂肪酸(塩)、アルキルエーテルカルボン酸(塩)、N−アシルアミノ酸(塩)、アルカンスルホン酸(塩)、α−オレフィンスルホン酸(塩)、α−スルホアルキルエステル(塩)、アルキルスルホコハク酸(塩)、アシルイセチオン酸(塩)、N−アシル−N−アルキルタウリン(塩)、アルキル硫酸エステル(塩)、アルキルエーテル硫酸エステル(塩)、アルキルリン酸エステル(塩)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル(塩)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸(塩)等が好適なものとして挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
スルホコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤の市販品としては、ラテムルS−120、S−120A、S−180及びS−180A(いずれも商品名、花王社製)、エレミノールJS−20(商品名、三洋化成工業社製)等が挙げられる。
アルケニルコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤の市販品としては、ラテムルASK(商品名、花王社製)等が挙げられる。
更に、アニオン系界面活性剤として、アルキルベンゼンスルホン酸(塩)、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル(塩)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸(塩)等を使用することも可能である。
また本発明の樹脂組成物中の発泡剤(化合物)の好ましい含有量が、上述した発泡剤成分の好ましい含有量の範囲内であることもまた、本発明の樹脂組成物における好ましい形態の1つである。なお、この好ましい形態において、本発明の樹脂組成物中に、発泡剤とは別に、発泡剤成分がエマルションポリマーの構成単位として含まれていても構わない。
本発明の樹脂組成物中の発泡剤の含有量は、乾燥後の塗膜から抽出した成分を高速液体クロマトグラフで分析することにより求めることができる。なお、重合時に反応性の炭素−炭素不飽和結合を有する発泡剤を用いた場合も、エマルションポリマーの構成単位となっていないものについては分析することが可能である。
本発明の樹脂組成物は、更に、エマルションポリマーを含むことが好ましい。エマルションポリマーは、モノマー成分を乳化重合してなるものであることが好ましいが、懸濁重合等の、乳化重合以外の重合により得られたポリマーに界面活性剤を添加してエマルションポリマーとしたものであってもよい。なお、本明細書中、エマルションポリマーとは、樹脂組成物中においてエマルション粒子を形成するポリマーを言う。
なお、エマルションポリマーの重量平均分子量(Mw)は、GPCを用い、後述する実施例に記載の条件により測定することができる。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、後述する実施例に記載の方法により算出することができる。また、本発明に係るエマルションポリマーの少なくとも1種が多段重合して得られるものである場合(例えば、後述するコア部とシェル部とを有するエマルション粒子である場合)は、上記ガラス転移温度は、全ての段で用いたモノマー組成から算出したTg(トータルTg)を意味する。
また他方のポリマー鎖(例えば、シェル部のポリマー鎖)のガラス転移温度は、−30〜30℃であることが好ましい。より好ましくは、−20〜20℃である。
また一方のポリマー鎖と他方のポリマー鎖とのガラス転移温度の差は、5〜60℃であることが好ましい。このようにガラス転移温度に差を設けることにより、例えば、制振材用途に適用したときに幅広い温度領域下でより高い制振性を発現させることが可能となり、特に実用的範囲である20〜60℃域での制振性がより向上される。ガラス転移温度の差は、より好ましくは10〜50℃であり、更に好ましくは20〜40℃である。
なお、モノマー成分の蒸発エネルギー、及び、モノマー成分の分子容は、通常用いられる計算値を用いることができる。
このように、構成するモノマーの種類及びその構成比を調整することによって、エマルションポリマーのSP値を調整することができる。
上記(メタ)アクリル酸系モノマー以外の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリロイル基若しくはメタクリロイル基、又は、これらの基における水素原子が他の原子若しくは原子団に置き換わった基を有し、かつ、カルボン酸エステル基をもつモノマー又はそのようなモノマーの誘導体が挙げられる。
またジエン系モノマーとしては、炭素数4〜18のものが好ましく、炭素数4〜12のものがより好ましく、炭素数4〜8のものが更に好ましく、ブタジエンが特に好ましい。
なお、本明細書中では、本発明の樹脂組成物におけるポリマーにおいて、構造中にジエン系モノマー由来の構造を少なくとも1つ有していても、(メタ)アクリル系モノマー由来の構造を少なくとも1つ有するものについては(メタ)アクリル系ポリマーとし、(メタ)アクリル系モノマー由来の構造を有さないものについてはジエン系ポリマーとする。
なお、本明細書中では、本発明の樹脂組成物におけるポリマーにおいて、構造中に酢酸ビニル由来の構造を少なくとも1つ有していても、(メタ)アクリル系モノマー由来の構造を少なくとも1つ有するものについては(メタ)アクリル系ポリマーとし、(メタ)アクリル系モノマー由来の構造を有さず、かつジエン系モノマー由来の構造を少なくとも1つ有するものについてはジエン系ポリマーとし、(メタ)アクリル系モノマー由来の構造又はジエン系モノマー由来の構造のいずれも有さないものについては酢酸ビニル系ポリマーとする。
コア・シェル複合構造を有するエマルションポリマーは、例えば、制振材用途に用いた場合に常温から高温域まで幅広い範囲に渡って優れた制振性を発揮することができる。なお、上記コア・シェル複合構造においては、コア部の表面がシェル部によって被覆された形態であることが好ましい。この場合、コア部の表面は、シェル部によって完全に被覆されていることが好適であるが、完全に被覆されていなくてもよく、例えば、網目状に被覆されている形態や、所々においてコア部が露出している形態であってもよい。
上記平均粒子径がこの範囲にあるエマルション粒子を用いることにより、塗膜外観、塗工性等の基本性能を充分なものとすることができる。エマルション粒子の平均粒子径は、より好ましくは400nm以下であり、更に好ましくは350nm以下である。また、平均粒子径は、好ましくは100nm以上である。
エマルション粒子の平均粒子径は後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
なお、固形分とは、水系溶媒等の溶媒以外の成分を意味する。
本発明の樹脂組成物がその他の成分を含む場合、本発明の樹脂組成物の質量100質量%中、その他の成分の割合は、特に限定されないが、例えば10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下である。なお、ここでいうその他の成分とは、本発明の樹脂組成物を塗布し、加熱乾燥した後も塗膜中に残る不揮発分(固形分)のことを意味し、水系溶媒等の揮発成分は含まれない。その他の成分としては、例えば、エマルションポリマーの原料として用いられたモノマー由来のオリゴマー及びモノマーや、後述する本発明の塗料に含まれる各種添加剤由来の成分と同様の成分等が挙げられる。
上記溶媒の含有量は、本発明の樹脂組成物100質量%中、3質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましく、30質量%以上であることが特に好ましい。また、該溶媒の含有量は、97質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることが更に好ましく、60質量%以下であることが一層好ましく、50質量%以下であることが特に好ましい。
本明細書中、pHは、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本明細書中、粘度は、後述する実施例に記載の条件により測定することができる。
本発明はまた、本発明の樹脂組成物及び顔料を含む塗料でもある。
本発明の塗料の固形分100質量%中、樹脂組成物の固形分は、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。また、該樹脂組成物の固形分は、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが更に好ましい。
上記顔料は、平均粒子径が1〜50μmのものが好ましい。顔料の平均粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置により測定することができ、粒度分布からの重量50%径の値である。
上記顔料の配合量としては、本発明の塗料中の樹脂の固形分100質量部に対し、10〜900質量部とすることが好ましく、より好ましくは200〜800質量部であり、更に好ましくは300〜500質量部である。
上記分散剤としては、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等の無機質分散剤、及び、ポリカルボン酸系分散剤等の有機質分散剤が挙げられる。
上記分散剤の配合量としては、本発明の塗料中の樹脂の固形分100質量部に対し、固形分で0.1〜8質量部が好ましく、0.5〜6質量部がより好ましく、1〜3質量部が更に好ましい。
上記増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース系誘導体、ポリカルボン酸系樹脂等が挙げられる。
上記増粘剤の配合量としては、本発明の塗料中の樹脂の固形分100質量部に対し、固形分で0.01〜5質量部が好ましく、0.1〜4質量部がより好ましく、0.3〜2質量部が更に好ましい。
なお、上記顔料、分散剤、増粘剤、及び、他の成分は、例えば、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、スパイラルミキサー、ニーダー、ディゾルバー等を用いて、本発明に係るポリマーエマルションや発泡剤等と混合され得る。
本発明は更に、本発明の塗料を用いて得られる塗膜でもある。
なお、本発明の塗料を加熱したり撹拌したりして発泡させたうえで乾燥することにより本発明の塗膜を好適に得ることができる。中でも、本発明の塗料を加熱することにより、塗料を発泡させながら乾燥して本発明の塗膜をより好適に得ることができる。
また、塗膜を上記温度にする時間は、1〜300分であることが好ましい。より好ましくは、2〜250分であり、特に好ましくは、10〜150分である。
損失係数は、通常ηで表され、塗膜に対して与えた振動がどの程度減衰したかを示すものである。上記損失係数は、数値が高いほど制振性に優れていることを示す。
上記損失係数は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
<平均粒子径>
エマルション粒子の平均粒子径は動的光散乱法による粒度分布測定器(大塚電子株式会社FPAR−1000)を用い測定した。
<不揮発分(N.V.)>
得られたエマルション約1gを秤量、熱風乾燥機で150℃×1時間後、乾燥残量を不揮発分として、乾燥前質量に対する比率を質量%で表示した。
<pH>
pHメーター(堀場製作所社製「F−23」)により25℃での値を測定した。
<粘度>
B型回転粘度計(東機産業社製「VISCOMETER TUB−10」)を用いて、25℃、20rpmの条件下で測定した。
以下の測定条件下で、GPCにより測定した。
使用カラム:TSK−GEL GMHXL−Lと、TSK−GELG5000HXL(いずれも東ソー社製)とを直列に接続して使用
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
測定機器:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
検量線用標準物質:ポリスチレン(東ソー社製)
測定方法:測定対象物を固形分が約0.2質量%となるようにTHFに溶解し、フィルターにてろ過した物をサンプルとした。
以下の測定条件下で、GPCにより測定した。
使用カラム:東ソー社製、TSK guard column αと、TSKgel α5000と、α−4000と、α−3000とを、この順で連結させたもの。
溶離液:アセトニトリル1,800g、水7141.1gの溶液に、ホウ酸44.5gを溶解し、さらに30%NaOH水溶液でpH10.0に調整した溶液を使用した。
サンプル打ち込み量:100μL
流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃;
検出器:日本Waters社製、2414 示差屈折検出器
解析ソフト:日本Waters社製、Empower2 Software;
較正曲線作成用標準物質:ポリエチレングリコール
測定方法:上記溶離液でリグニン類/リグニン誘導体濃度が0.5質量%となるように溶解させたものをサンプルとした。
ポリマーのTgは、各段で用いたモノマー組成から、下記計算式(1)を用いて算出した。
上記計算式(1)により重合性モノマー成分のガラス転移温度(Tg)を算出するのに使用したそれぞれのホモポリマーのTg値を下記に示した。
メチルメタクリレート(MMA):105℃
スチレン(St):100℃
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA):−70℃
ブチルアクリレート(BA):−56℃
アクリル酸(AA):95℃
ポリオキシエチレンアルキルエーテル・スルホコハク酸半エステル塩は、下記式(i):
式中、nは、平均付加モル数を表し、9である。本明細書中、この化合物はポリオキシエチレンアルキルエーテル・スルホコハク酸半エステル塩(i)とも表される。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル・スルホサクシネート・ジナトリウム塩は、下記式(ii):
レベノールWZ(商品名、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム:花王社製)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水339部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにメタクリル酸メチル520部、2−エチルヘキシルアクリレート230部、ブチルアクリレート240部、アクリル酸10部、重合連鎖移動剤であるt−ドデシルメルカプタン(以下、t−DMとも言う)3部、予め20%水溶液に調整したポリオキシエチレンアルキルエーテル・スルホサクシネート・ジナトリウム塩(ii)180部、及び、脱イオン水164部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を75℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの27部、5%過硫酸カリウム水溶液5部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10部を添加し、初期重合を開始した。40分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を210分にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液95部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液90部を210分かけて均一に滴下し、滴下終了後60分同温度を維持し、重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、2−ジメチルエタノールアミン16.7部を添加し、不揮発分55.0%、pH8.1、粘度190mPa・s、平均粒子径245nm、重量平均分子量84000のアクリル系エマルションを得た。
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水339部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにスチレン100部、メタクリル酸メチル420部、2−エチルヘキシルアクリレート220部、ブチルアクリレート250部、アクリル酸10部、t−ドデシルメルカプタン3部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ(商品名、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム:花王社製)180部及び脱イオン水164部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を75℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの27部、5%過硫酸カリウム水溶液5部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10部を添加し、初期重合を開始した。40分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を210分にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液95部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液90部を210分かけて均一に滴下し、滴下終了後60分同温度を維持し、重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、2−ジメチルエタノールアミン16.7部を添加し、不揮発分55.0%、pH8.0、粘度290mPa・s、粒子径190nm、重量平均分子量78000のスチレン/アクリル系エマルションを得た。
製造例1において得られたエマルション77.7部に、リグニンスルホン酸マグネシウム19.4部、加熱発泡剤(商品名F−36、松本油脂製薬社製)2.9部、及び、水18.2部を混ぜ、試験サンプル1を得た。
製造例2において得られたエマルション77.7部に、リグニンスルホン酸ナトリウム19.4部、加熱発泡剤(商品名F−36、松本油脂製薬社製)2.9部、及び、水18.2部を混ぜ、試験サンプル2を得た。
製造例2において得られたエマルション58.3部に、リグニンスルホン酸ナトリウム38.8部、加熱発泡剤(商品名F−36、松本油脂製薬社製)2.9部、及び、水34.2部を混ぜ、試験サンプル3を得た。
製造例1において得られたエマルション75.5部に、リグニンスルホン酸マグネシウム18.9部、加熱発泡剤(商品名F−36、松本油脂製薬社製)5.6部、及び、水20.0部を混ぜ、試験サンプル4を得た。
製造例1において得られたエマルション77.7部に、リグニンスルホン酸ナトリウム19.4部、加熱発泡剤(商品名エクスパンセルWU642、日本フィライト社製)2.9部、及び、水18.2部を混ぜ、試験サンプル5を得た。
製造例2において得られたエマルション75.2部に、リグニンスルホン酸ナトリウム18.8部、機械発泡剤(予め20%水溶液に調整したポリオキシエチレンアルキルエーテル・スルホコハク酸半エステル塩(i))6.0部、及び、水11.6部を混ぜ、試験サンプル6を得た。
製造例1において得られたエマルション72.3部に、リグニンスルホン酸マグネシウム18.1部、機械発泡剤(予め20%水溶液に調整したポリオキシエチレンアルキルエーテル・スルホコハク酸半エステル塩(i))9.6部、及び、水8.7部を混ぜ、試験サンプル7を得た。
製造例2において得られたエマルション100部に、加熱発泡剤(商品名F−36、松本油脂製薬社製)2.9部、及び、水2.4部を混ぜ、試験サンプル8を得た。
製造例2において得られたエマルションを試験サンプル9とした。
実施例1〜7及び、比較例1〜2で得られた試験サンプル1〜9を下記の通り配合し、配合物として、塗膜ズレ抵抗性試験、乾燥塗膜表面状態、制振性を評価した。結果を表1に示す。
試験サンプル1〜9 359部
炭酸カルシウムNN#200*1 620部
分散剤 アクアリックDL−40S*2 6部
増粘剤 アクリセットWR−650*3 4部
消泡剤 ノプコ8034L*4 1部
*1:日東粉化工業株式会社製 充填剤
*2:株式会社日本触媒製 ポリカルボン酸型分散剤(有効成分44%)
*3:株式会社日本触媒製 アルカリ可溶性のアクリル系増粘剤(有効成分30%)
*4:サンノプコ株式会社製 消泡剤(主成分:疎水性シリコーン+鉱物油)
関西ペイント社製カチオン電着塗料エレクロン「KG−400」を用いて電着塗装した0.8mm*70mm*150mmの鋼板(ED鋼板)に、上記により得られた塗料配合物をウェット膜厚6mmになるように塗布し、直ちに塗布面を垂直にして、120℃×30分間の焼き付けを行って、得られた塗膜を目視により観察して、塗膜崩壊性の評価を行った(図1参照。)。加熱後、試験板を取り出し、塗布部位からずれた長さを定規で測定し、以下の基準で評価する。
評価基準
塗布面上端から塗料が崩壊した長さ(mm)
◎:0mm以上、1mm以下
○:1mmを超え、2mm以下
△:2mmを超え、5mm以下
×:5mmを超える
鋼板(商品名SPCC−SD、幅75mm×長さ150mm×厚み0.8mm:日本テストパネル社製)の上に、作製した制振材配合物を配合物の塗布厚みが3mmとなるように塗布した。その後、熱風乾燥機を用いて、150℃で30分間乾燥し、得られた乾燥塗膜の表面状態を以下の基準で評価した。
評価基準
○:異常なし
△:表面や界面に亀裂あり
×:塗膜形状を維持できない
上記制振材配合物を冷間圧延鋼板(SPCC・幅15mm×長さ250mm×厚み1.5mm)上に3mmの厚みで塗布して150℃で30分間乾燥し、冷間圧延鋼板上に面密度4.0Kg/m2の制振材被膜を形成した。制振性の測定は、それぞれの温度(20℃、30℃、40℃、50℃、60℃)における損失係数を、片持ち梁法(株式会社小野測機製損失係数測定システム)を用いて評価した。また、制振性の評価は、総損失係数(20℃、30℃、40℃、50℃、60℃での損失係数の和)により行い、総損失係数の値が大きいほど制振性に優れるものとした。
なお、例えば実施例2と比較例1とを比較すれば、発泡剤を含む樹脂組成物が更に安価なリグニン類及び/又はリグニン誘導体を含むことにより、得られる塗膜の密着性、外観、制振性が大きく改善されることが明らかである。
Claims (7)
- リグニン類及び/又はリグニン誘導体を含み、更に、発泡剤成分を含む樹脂組成物であって、
該リグニン誘導体は、下記一般式(1);
リグニン類及び/又はリグニン誘導体の含有量は、樹脂組成物の固形分100質量%中、7質量%以上であり、
該樹脂組成物は、更に、(メタ)アクリル系ポリマー、ジエン系ポリマー、及び、酢酸ビニル系ポリマーからなる群より選択される少なくとも1種のポリマーからなるエマルションポリマー、及び、水系溶媒を含む
ことを特徴とする樹脂組成物。 - 前記発泡剤成分の含有量は、リグニン類及び/又はリグニン誘導体の質量100質量%に対し、300質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記発泡剤成分は、界面活性剤成分、及び/又は、加熱膨張カプセル型発泡剤である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。 - 前記組成物は、加熱乾燥用である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物、及び、顔料を含む
ことを特徴とする塗料。 - 請求項5に記載の塗料を用いて得られる
ことを特徴とする塗膜。 - 塗料を用いて塗膜を製造する方法であって、
請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物及び顔料を含む塗料を撹拌するか、及び/又は、加熱する工程を含むことを特徴とする塗膜の製造方法。
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