以下、図面を用いて、本発明の実施するための形態(以下、実施形態と称する)を説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係わる冷蔵庫の全体を示す縦断面図である。
図1に示す冷蔵庫1は、本体1Aを有している。この冷蔵庫1の本体1Aは、外側側板からなる外箱と、内側側板からなる内箱を有し、その外箱と内箱の間には、断熱材が配置されている断熱性を有するキャビネットにより構成されている。この本体1Aの内部には、複数の貯蔵室が形成されている。
複数の貯蔵室としては、図1と図2に示すように、冷蔵区画として上から順に冷蔵室2、野菜室3が設けられている。この野菜室3の下には、冷凍区画としての製氷室4と上冷凍室5が左右の並べて設けられ、最下部には冷凍区画としての下冷凍室6が設けられている。
図1に示すように、冷蔵室2の前面には、冷蔵室2の前面開口部を開閉する左右の扉7,8が設けられている。左右の扉7,8は、観音開き式扉である。野菜室3、製氷室4、上冷凍室5、下冷凍室6の各前面には、各前面開口部を開閉する引出し式の扉9,10,11,12が設けられている。
図1を参照して、冷蔵庫1の構造例をさらに説明する。図1に示すように、本体1Aの下冷凍室6の背面位置には、機械室22が設けられており、この機械室22には、圧縮器23等が配置されている。本体1Aの背面位置には、野菜室3の後側に、冷蔵室・野菜室用冷却器24と、送風ダクト25と、冷蔵用冷気循環ファン26が配置されている。
また、本体1Aの背面位置には、製氷室(貯蔵室)4と上冷凍室(貯蔵室)5と下冷凍室6の後側に、冷凍室用冷却器27と、送風ダクト28と、冷凍用冷気循環ファン29が配置されている。
冷蔵室・野菜室用冷却器24と冷凍用冷却器27は、圧縮機23から供給される冷媒によって冷却される。冷蔵室2と野菜室3は、冷蔵用冷気循環ファン26と、冷蔵室・野菜室用冷却器24と、送風ダクト25により、それぞれ所定の設定温度に冷却して保持される。製氷室4と上冷凍室5と下冷凍室6は、冷凍用冷気循環ファン29と、冷凍室用冷却器27と、送風ダクト28により、それぞれ所定の設定温度に冷却して保持される。
次に、図1と図2を参照して、野菜室3内の好ましい構造例を説明する。図2は、図1に示す野菜室3付近の構造例を、模式的に示している。
図1に示すように、野菜室3の中には、第1密閉容器30と第2密閉容器40が、上下位置に重ねて収容されている。第1密閉容器30と第2密閉容器40は、好ましくは透明あるいは半透明のプラスチック製の容器であり、第1密閉容器30の収納容量は、第2密閉容器40の収納容量に比べて大きい。第1密閉容器30は、下段の容器であり、第2密閉容器40は、第1密閉容器30の上側に配置された上段の容器である。
第1密閉容器30は、4辺の側面部31と底面部32を有する箱型の容器であり、上部開口部分33を有する。第2密閉容器40は、4辺の側面部41と底面部42を有する箱型の容器であり、上部開口部分43を有する。
第1密閉容器30の上部開口部分33は、第2密閉容器40の底面部42により、開閉可能に密閉されている。ただし、第1密閉容器30の上部開口部分33の後側は、後側領域開口部分34として、開放されている。この後側領域開口部分34は、第1密閉容器30の後側の側面部31と左右の側面部31と、第2密閉容器40の底面部42との間に形成されている。第2密閉容器40の上部開口部分43は、蓋部材44により開閉可能に密閉されている。
このように、第1密閉容器30の上部開口部分33は、第2密閉容器40の底面部42により、ほぼ密閉されており、第2密閉容器40の上部開口部分43は、蓋部材44により密閉されている。
図2に示すように、野菜室3は、冷却器室である冷却ダクト25の前側に設けられている。図1と図2に示すように、第1密閉容器30の前側の側面部31の内面には、透湿シート50と空気浄化手段60が、縦方向に向けて配置されている。この前側の側面部31には、好ましくは開口部77が設けられており、透湿シート50と空気浄化手段60は、この開口部77に対応して、配置されている。すなわち、引出し式の扉9側に近い前側の側面部31の内部には、透湿シート50と空気浄化手段60が設けられている。
同様にして、第1密閉容器30の後側領域開口部分34には、別の透湿シート50と空気浄化手段60が、後側領域開口部分34を塞ぐようにして、水平方向に向けて配置されている。これにより、第1密閉容器30内には、2組の透湿シート50と空気浄化手段60が設けられている。
まず、図1と図2に示す透湿シート50について説明する。
図1と図2に示す透湿シート50は、例えばポリエステル長繊維不織布とポリエチレン多孔質フィルムをラミネートした透湿防水シートであり、安定した防水性の機能と、透湿性の機能と、そして風(冷気)を通さない機能を有する。このポリエステル長繊維不織布は、ポリエチレン多孔質フィルムを配置するための基材である。
この透湿シート50は、複数の孔を有しており、これらの孔は、例えば直径の0.5μm〜3μmの複数の孔を有しており、例えば0.0004μm以下の水蒸気粒子を通過させるが、0.5μm〜3μmよりも大きい水の分子は通過させない。このため、透湿シート50は、相反する透湿性の機能と、防水性の機能の両方を兼ね備えている。
図1に示す冷蔵用冷気循環ファン26が作動して、冷蔵室・野菜室用冷却器24から送風ダクト25を通じて冷気が野菜室3内に流入する。このときに、図2に示す野菜室3内の密閉された第1密閉容器30の後側領域開口部分34には、透湿シート50が配置されているために、透湿シート50が冷気の流入を阻止することから、野菜室3内に流入した冷気が、第1密閉容器30内には流入することがない。また、第1密閉容器30の前側の側面部31の内面には、開口部77に対応して透湿シート50が配置されているために、透湿シート50が冷気の流入を阻止することから、野菜室3内に流入した冷気が、第1密閉容器30内には流入することがない。これにより、野菜が冷気により乾燥してしまうことがなく、野菜が萎れない。
しかも、各透湿シート50には、例えば直径の0.5μm〜3μmの複数の孔が開いており、水蒸気粒子はこれらの複数の孔を通過することができる。このため、第1密閉容器30内の温度が下がっても、水蒸気分子は、前側の透湿シート50と後側領域開口部分34の透湿シート50を通って、第1密閉容器30内から野菜室3内へ出ることができ、第1密閉容器30内では飽和水蒸気量を越えることがなく、第1密閉容器30内の結露も防ぐことができる。
上述したように、複数の透湿シート50が、第1密閉容器30の前側の側面部31と第1密閉容器30の後側領域開口部分34の位置であって、第1密閉容器30の内部に配置されている。このため、冷気は、複数の透湿シート50の存在により流入が阻止されるので、冷気は、第1密閉容器30の後側領域開口部分34を通じて第1密閉容器30内には流入しない。
しかし、前側の側面部31の透湿シート50と後側領域開口部分34の透湿シート50の複数の孔より小さな臭気物質や、植物老化ホルモンであるエチレン等の気体は、後側領域開口部分34の透湿シート50の孔を緩やかに通過する。このために、第1密閉容器30内における臭気物質濃度やエチレン等の気体濃度が高まれば、臭気物質やエチレン等の気体が、前側の側面部31の透湿シート50と後側領域開口部分34の透湿シート50を通過して、第1密閉容器30を収容している野菜室3内に、そして冷蔵庫1の全体に流出するおそれがある。
そこで、各透湿シート50の近傍には、好ましくは空気浄化手段60をそれぞれ設けることで、各空気浄化手段60が第1密閉容器30内の臭気物質やエチレン等の気体に接触し易くなる。これにより、各空気浄化手段60は、第1密閉容器30内の臭気物質やエチレン等の気体を、より効率よく浄化して、脱臭やエチレン分解を行うことができる。
次に、図1と図2に示すこの空気浄化手段60の好ましい構造例について説明する。
空気浄化手段60は、臭気物質やエチレン等の気体を分解可能な触媒であり、好ましくは熱触媒である。熱触媒としては、臭気物質やエチレン等の気体を分解可能な貴金属や金属酸化物等である。
空気浄化手段60を取り付ける位置は、臭気物質やエチレン等の気体が流出する透湿シート50の近傍にあれば、第1密閉容器30の内部であっても、第1密閉容器30の外部であっても良い。空気浄化手段60を取り付ける位置は、食品や野菜が第1密閉容器30内に収納され、臭気物質やエチレン等の気体が高濃度になり易い第1密閉容器30の内部に取り付けるのが、より好ましい。
これにより、第1密閉容器30内における臭気物質濃度やエチレン等の気体濃度が高まった場合に、空気浄化手段60が臭気物質やエチレン等の気体を分解するので、臭気物質やエチレン等の気体が、第1密閉容器30内から透湿シート50を通過して、第1密閉容器30を収容している野菜室3内に、そして冷蔵庫1の全体に流出するのを防ぐことができる。
空気浄化手段60としては、光が当たることにより触媒作用を示す例え酸化チタンや酸化タングステン等の光触媒や、酸化作用を示すラジカルやオゾンを応用したものでも良い。この場合に、空気浄化手段60の光触媒に対して光を当てる発光素子としては、例えばLED(発光ダイオード)を用いることができるが、特に限定されない。
また、上述した空気浄化手段60の熱触媒としては、PtやPdやAu等の貴金属類や二酸化マンガン、酸化銅等の金属酸化物からなる熱触媒を用いることによって、熱触媒は、光触媒とは異なり、触媒作用を起こすための光源や高電圧等の電気の用意が不要になる。このために、熱触媒を用いることで、冷蔵庫1の構造の簡素化が図れる。
図3は、空気浄化手段60の好ましい構造例を示す分解斜視図である。図4は、空気浄化手段60の顆粒状の構造体(触媒の担持体)65に担持されている例えば粉体状(顆粒状)の熱触媒100の例を示している。
図3に示す空気浄化手段60は、顆粒状の構造体65と、ケース70を有している。図3と図4に示す顆粒状の構造体65の材質は、例えばセラミックス等を採用でき、顆粒状の構造体65は、熱触媒100を担持している。熱触媒100の大きさは、顆粒状の構造体65の大きさに比べて、かなり小さい。
熱触媒100は、臭気物質やエチレン等の気体のような反応対象物質と接触し易くするために、粉体状になっている。この熱触媒100は、粉体状のままでは冷気により飛ばされてしまう。このため、熱触媒100が顆粒状の構造体65に担持されていることで、熱触媒100は冷気が吹いても飛ばされないことから、冷気が導入される野菜室3の第1密閉容器30の内外において、触媒作用を維持することができる。
図3に示すケース70は、顆粒状の構造体65を収容する例えばプラスチック製の容器である。ケース70は、本体部分71と、蓋部分72を備えており、蓋部分72は本体部分71に対して、着脱可能にはめ込むことで、蓋部分72と本体部分71は一体化されている。
蓋部分72は、ほぼ全面に渡って通気用の複数の細長い孔72Aを有し、本体部分71は、ほぼ全面に渡って通気用の複数の細長い孔71Aを有している。また、図3に示すように、蓋部分72は、複数の突起72Bを有している。これらの突起72Bは、このケース70を、例えば図2に示す第1密閉容器30の内面または外面に対して、着脱可能に取り付けることができる。
図3に示す通気用の孔71A,72Aの最小寸法は、上述した顆粒状の構造体65の寸法よりも小さく設定されている。これにより、熱触媒100を備える顆粒状の構造体65がケース70の外に脱落するのを防止して、顆粒状の構造体65はケース70の内部に確実に保持している。しかも、ケース70は、通気用の複数の細長い孔72A,71Aを有していることから通気性を保持しており、臭気物質やエチレン等の気体を、顆粒状の構造体65上に担持されている熱触媒100に、確実に接触させることができる。
図3と図4に示す顆粒状の構造体65は、同じ大きさの球体であるが、顆粒状の構造体65の径は、それぞれ異なっても良い。また、顆粒状の構造体65は球体でなくても、他の形状であっても良く、特に限定されない。
ところで、熱触媒等の触媒を担持する担持体としては、プラスチック製のケース70に限らず、例えば図5乃至図7に例示するように、触媒を担持する担持体は、織物や不織布等を袋状に形成したものを用いても良い。
図5は、触媒を担持する担持体として不織布110を示している。この不織布110は、粉体状(顆粒状)の熱触媒100を担持している。この不織布110は、例えば袋状等の体積を確保した立体物に形成されている。これにより、不織布110は、数多くの熱触媒100を担持することができる。
図6は、触媒を担持する担持体として網(ネット)120を示している。この網120は、粉体状(顆粒状)の熱触媒100を担持している。この網120は、より好ましくは図7に示すように、網120を多層に重ねて立体の多層の網130に形成することができる。これにより、多層の網130は、さらに数多くの熱触媒100を担持することができる。
その他に、触媒を担持するための構造体(担持体)の形状は、球体に限らず、ルーバー等の板状あるいは管状であっても良い。触媒を担持するための担持体(構造体)の形状は、ハニカム形状にして、粉体状の熱触媒100は、このハニカム形状の担持体に担持することで、熱触媒100と臭気物質やエチレン等の気体との接触面積を増加させて、脱臭やエチレン分解速度を向上させても良い。しかし、透湿シート50の気体通過速度は緩やかなために、好ましくは図3と図4に示すような顆粒状の構造体65を用いることができる。
上述した本発明の第1実施形態の冷蔵庫1では、密閉容器30の一部分には、防水性の機能と、透湿性の機能と、そして風(冷気)を通さない機能を有する透湿シート50が配置され、透湿シート50の近傍には、臭気物質やエチレン等の気体を分解可能な空気浄化手段60が設けられている。これにより、空気浄化手段60は、第1密閉容器30内において臭気物質の脱臭やエチレン等の気体の分解を行え、貯蔵された野菜の鮮度を向上させることができる。
<第2実施形態>
次に、図8を参照して、本発明の冷蔵庫の第2実施形態を説明する。
図8は、第2実施形態の野菜室3付近の構造例を、模式的に示す。図8に示す第2実施形態における要素が、図2に示す第1実施形態における要素と同様である場合には、同じ符号を記し、その説明を省略する。
図8に示す野菜室3の中には、第1密閉容器30と第2密閉容器140が収容されている。第1密閉容器30と第2密閉容器140は、好ましくは透明あるいは半透明のプラスチック製の容器であり、第1密閉容器30の収納容量は、第2密閉容器140の収納容量に比べて大きい。第1密閉容器30は、下段の容器であり、第2密閉容器140は、第1密閉容器30の上側に配置された上段の容器である。
第1密閉容器30は、4辺の側面部31と底面部32を有する箱型の容器であり、上部開口部分33を有する。第2密閉容器140は、4辺の側面部141と底面部142を有する箱型の容器であり、上部開口部分143を有する。第1密閉容器30の上部開口部分33は、第2密閉容器140の底面部142により、開閉可能に密閉されている。上部開口部分143は図示しない蓋部材により密閉されている。
第1密閉容器30の前側の側面部31の外面には、透湿シート50が配置され、第1密閉容器30の前側の側面部31の内面には、空気浄化手段60が配置されている。透湿シート50と空気浄化手段60は、第1密閉容器30の前側の側面部31を挟んで対応する位置に設けられている。
図1に示す冷蔵用冷気循環ファン26が作動して、冷蔵室・野菜室用冷却器から冷却器室の送風ダクト25を通じて冷気が野菜室3内に流入する。この冷気は、第1密閉容器30内には流入はしない。野菜室3内の密閉された第1密閉容器30の外面には、透湿シート50が配置されているために、野菜室30内の野菜や食品が乾燥しない。
しかし、第1密閉容器30内における臭気物質濃度やエチレン等の気体濃度が高まれば、臭気物質やエチレン等の気体が第1密閉容器30内に充満して、第1密閉容器30内の野菜や食品が萎れる可能性があり、臭気物質やエチレン等の気体が野菜室3や冷蔵庫1の全体に流出するおそれがある。
そこで、第1密閉容器30内に配置されている空気浄化手段60が、第1密閉容器30内の臭気物質やエチレン等の気体に接触して、空気浄化手段60は、第1密閉容器30内の臭気物質やエチレン等の気体を、より効率よく浄化して、第1密閉容器30内の脱臭やエチレン分解を行うことができる。
<第3実施形態>
次に、図9を参照して、本発明の冷蔵庫の第3実施形態を説明する。
図9は、第3実施形態の野菜室3付近の構造例を、模式的に示す。図9に示す第3実施形態における要素が、図2に示す第1実施形態における要素と同様である場合には、同じ符号を記し、その説明を省略する。
図9に示す野菜室3内に収容された第1密閉容器30は、4辺の側面部31と底面部32を有する箱型の容器であり、上部開口部分33を有する。第2密閉容器140は、4辺の側面部141と底面部142を有する箱型の容器であり、上部開口部分143を有する。第1密閉容器30の上部開口部分33は、第2密閉容器140の底面部142により、開閉可能に密閉されている。上部開口部分143は図示しない蓋部材により密閉されている。
第1密閉容器30の前側の側面部31の内面には、透湿シート50が配置され、第1密閉容器30の底面部32の内面には、空気浄化手段60が配置されている。この底面部32に配置された空気浄化手段60は、ほぼ底面部32の内面の全体に渡って配置される大きさを有している。透湿シート50と空気浄化手段60は、第1密閉容器30内において近傍の位置に設けられている。
冷蔵用冷気循環ファン26が作動して、冷蔵室・野菜室用冷却器から冷却器室の送風ダクト25を通じて冷気が野菜室3内に流入する。この冷気は、第1密閉容器30内には直接流入はしない。野菜室3内の密閉された第1密閉容器30の外面には、透湿シート50が配置されているために、野菜室30内の野菜や食品は乾燥することがない。
しかし、第1密閉容器30内における臭気物質濃度やエチレン等の気体濃度が高まれば、臭気物質やエチレン等の気体が第1密閉容器30内に充満して、第1密閉容器30内の野菜や食品が萎れる可能性があり、臭気物質やエチレン等の気体が野菜室3内から冷蔵庫1の全体に流出するおそれがある。
そこで、第1密閉容器30の底面部32の内面側に配置されている大型の空気浄化手段60が、第1密閉容器30内の臭気物質やエチレン等の気体に接触して、空気浄化手段60は、第1密閉容器30内の臭気物質やエチレン等の気体を、より効率よく浄化して、脱臭やエチレン分解を行うことができる。
<第4実施形態>
次に、図10を参照して、本発明の冷蔵庫の第4実施形態を説明する。
図10は、第4実施形態の野菜室3付近の構造例を、模式的に示す。図10に示す第4実施形態における要素が、図2に示す第1実施形態における要素と同様である場合には、同じ符号を記し、その説明を省略する。
図10に示す野菜室3の中には、第1密閉容器30と第2密閉容器140が収容されている。第1密閉容器30と第2密閉容器140は、好ましくは透明あるいは半透明のプラスチック製の容器である。
第1密閉容器30の前側の側面部31の内面と後側の側面部31の内面には、透湿シート50と空気浄化手段60が配置されている。第1密閉容器30の底面部32の内面には、別の比較的大型の空気浄化手段60が配置され、しかも第2密閉容器140の底面部142の下面(第1密閉容器30の天井面に相当する)にも、さらに別の比較的大型の空気浄化手段60が配置されている。さらに、好ましくは、第1密閉容器30の前側の側面部31の外面と後側の側面部31の外面には、透湿シート50が配置されている。
複数の透湿シート50と複数の空気浄化手段60は、第1密閉容器30の内部と外部において近傍の位置に設けられている。複数の空気浄化手段60が、第1密閉容器30内に設けられていることで、1つの空気浄化手段60を設けることに比べて、第1密閉容器30内における空気浄化に貢献できる空気浄化手段60の総体積を増加させることができる。
冷蔵用冷気循環ファン26が作動して、冷蔵室・野菜室用冷却器から冷却器室の送風ダクト25を通じて冷気が野菜室3内に流入する。この冷気は、第1密閉容器30内には流入はしない。野菜室3内の密閉された第1密閉容器30の外面には、透湿シート50が配置されているために、野菜室30内が乾燥することがない。
しかし、第1密閉容器30内における臭気物質濃度やエチレン等の気体濃度が高まれば、臭気物質やエチレン等の気体が第1密閉容器30内の野菜や食品が萎れる可能性があり、臭気物質やエチレン等の気体が野菜室3内に流出するおそれがある。
そこで、第1密閉容器30内に配置されている複数の大型の空気浄化手段60が、第1密閉容器30内の臭気物質やエチレン等の気体に接触して、空気浄化手段60は、第1密閉容器30内の臭気物質やエチレン等の気体を、さらに効率よく浄化して、脱臭やエチレン分解を行うことができる。このため、複数の大型の空気浄化手段60は、第1密閉容器30内における臭気物質濃度やエチレン等の気体濃度が高まれば、第1密閉容器30内に生じる臭気物質やエチレン等の気体を、より効率よく分解することができる。
なお、透湿シート50は、第1密閉容器30の内部と第1密閉容器30の外部の任意の位置に配置することができる。空気浄化手段60は、第1密閉容器30の内部において、透湿シート50の近傍の任意の位置に配置することができる。配置される透湿シート50の枚数や、空気浄化手段60の数は、特に限定されない。
以上説明したように、本発明の実施形態の冷蔵庫1は、貯蔵室としての野菜室3を有する本体1Aと、貯蔵室(野菜室)3内に配置された密閉容器30を有し、密閉容器30の一部には透湿シート50が配置され、透湿シート50の近傍には空気浄化手段60が設けられている。これにより、空気浄化手段60は、透湿シート50から漏れる空気の臭気物質の脱臭やエチレン等の気体の分解を行え、貯蔵された野菜の鮮度を向上させることができる。
空気浄化手段60は、第1密閉容器30内に設けられている。これにより、空気浄化手段60は、臭気物質やエチレンが高濃度となり易い第1密閉容器30内に設けられているので、空気浄化手段60は、透湿シート50から漏れる空気の臭気物質の脱臭やエチレン等の気体の分解を効率よく行える。
空気浄化手段60は、臭気物質やエチレンを分解可能な触媒であり、より好ましくは熱触媒100を用いることができる。空気浄化手段60の触媒としては、好ましくは熱触媒を用いることで、光源が必要となる光触媒や、生成に高電圧が必要となるラジカルよりも、空気浄化手段60と空気浄化手段60を有する冷蔵庫1は、簡単な構成にすることができる。
空気浄化手段60の触媒100は、顆粒状の構造体65に担持されている。これにより、触媒が臭気物質やエチレンに対する反応性を高めたままで、触媒が冷気に飛ばされることが無く、触媒を野菜室3内に容易に配置することができる。
空気浄化手段60の触媒100は、顆粒状の構造体65よりも小さな孔71A,72Aを開けたケース70により保持されている。これにより、ケース70は、顆粒状の構造体65と触媒100をケース70から脱落させずに、触媒に対する通気性を確保することができる。
第1密閉容器30の壁面(側面部31)、底面(底面部32)、および天井面の少なくとも1面に、空気浄化手段60が設けられている。これにより、第1密閉容器30では、空気浄化手段60の大きな面積(体積)を確保することができるので、空気浄化の効率を向上できる。
第1密閉容器30には、複数の透湿シート50が配置され、空気浄化手段60が、複数の透湿シート50の近傍にそれぞれ設けられている。これにより、複数の空気浄化手段60は、第1密閉容器30を複数の位置において、臭気物質の脱臭やエチレンの気体の分解を効率よく行えるので、臭気物質の脱臭やエチレンが、第1密閉容器30内の片側から野菜室3内へ流出するのを防ぐことができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。新規な実施形態は、その他の様々な態様で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
また、図1に示す冷蔵庫1の構造は、一例であり、任意の構造を採用することができる。例えば、冷蔵庫1の冷蔵室2の扉は、片側開き式の扉であっても良い。
複数の空気浄化手段60を第1密閉容器30内に配置することは、図8に示す第2実施形態と図9に示す第3実施形態においても、適用することができる。また、図2に示す第1実施形態では、2つの透湿シート50と2つの空気浄化手段60が第1密閉容器30内に配置されているが、これに限らず3つ以上の透湿シート50と3つの空気浄化手段60が第1密閉容器30内に配置されるようにしても良い。
また、各実施形態は、任意に組み合わせて構成しても良い。