JP6715025B2 - セラミックスビーズ - Google Patents

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本発明は、湿式溶媒中で粉体原料を粉砕または分散させる際に好適に用いられる、セラミックスビーズに関するものである。
湿式溶媒中で粉体を粉砕または分散させる装置はビーズミル等のように良く知られており、様々な分野において利用されている。
例えば、鉱業においては、予め予備粉砕された粒子(炭酸カルシウム、酸化チタン、石灰等)をさらに微粉砕して所望の大きさの粒子にするために、また、塗料、インク等に含有させる顔料等を取扱う工業分野では、種々の液体および固体成分の混合物中において、固体成分を十分に分散させ、均一化するために、上記したビーズミル等が用いられる。
このような湿式溶媒中での粉砕または分散において、多くの場合、粉砕または分散媒体として、球状かつ小径のビーズが用いられる。これらのビーズは、粉砕または分散を十分に行うために、一般に、耐摩耗性、長期安定性、装置(撹拌部、容器等)への低研磨性、粉砕効率等の諸特性について、その用途に応じて所定の範囲のものが求められる。
現在、市場で見られる粉砕または分散媒体としては、例えば、ガラスビーズ、金属ビーズ、焼結セラミックスビーズ、溶融セラミックスビーズ、等が挙げられる。
ここで、ガラスビーズは強度が良好で、低研磨性であり、幅広い直径のものが利用し得る等、比較的幅広く使用されている。しかしながら、ガラスビーズは、見掛比重が小さく、粉砕または分散媒体としては軟らかい材質に分類されるため、特に、硬質原料の粉砕や粘度の高い顔料の分散には向いていない。
また、金属ビーズは、見掛比重が大きく、上記ガラスビーズにおける課題を部分的に解決するところもある。ところが、金属ビーズを使用すると、ビーズの摩耗粉が黒色に近いため、特に色調を重視する白色系の原料の粉砕または分散では色調が変化し、品質上の問題となる場合がある。また、金属ビーズは見掛比重が大きいことから、粉砕または分散させるのには良好であるものの、その際のエネルギー負荷が大きく、装置自体が過熱する問題等も出てくる。
一方、セラミックスビーズは、ガラスビーズよりも一般的に強度が高く、高密度で、化学的に不活性であり、また、金属ビーズよりも見掛比重が小さいことが多く、粉砕または分散媒体として好ましい特性を有している。
このようなセラミックスビーズとしては、例えば、セラミックス粉末を転動造粒法、プレス法、液中造粒法などの方法により得られた成形体を融点より低い温度で焼成することにより得られる焼結セラミックスビーズと、より高温でセラミックスを融解した後、球状液滴を形成して、固化することにより得られる溶融セラミックスビーズが知られている。また、このようなセラミックスビーズを構成する材料としては、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、シリカ(SiO)等がよく用いられている。
より具体的には、焼結セラミックスビーズとしては、例えば、ジルコニア系(ZrO−Y、ZrO−CeO)、ジルコン系(ZrO−SiO)、アルミナ系(Al)が知られている。また、溶融セラミックスビーズとしては、例えば、ジルコニア系(ZrO−Y、ZrO−CeO)、ジルコン系(ZrO−SiO)等が知られている(例えば、特許文献1〜5参照)。
特許第2594023号公報 特許第4901728号公報 特許第5466170号公報 特開2004−269348号公報 特許第5653423号公報
しかしながら、ジルコニア系(ZrO−Y、ZrO−CeO)の焼結セラミックスビーズは60℃以上となるような熱水下にあると、脆性的に破壊することが知られている。したがって、セラミックスビーズの破壊防止のために、冷却手段等により温度をコントロールする必要がある。このときの温度は、例えば、装置内温度を40℃以下で操業可能なようにコントロールされる。
さらに、ジルコニア系の焼結セラミックスビーズは、その見掛比重が5.5〜6.1と非常に大きく、粉砕または分散を行うためには装置を運転するための十分に大きなエネルギー、すなわち、電力が必要になる。
また、アルミナ系(Al)の焼結セラミックスビーズは、ジルコニア系の焼結セラミックビーズに比べて見掛比重は低く、硬度が非常に高いため粉砕または分散効率は良く好ましいが、ビーズ表面のアルミナ粒が摩耗して脱落することがある。その脱落したアルミナ粒がスラリーに混入すると、硬いアルミナ粒が影響し、例えば、塗料等の分野では塗装の際に傷がつく等の品質上の問題が生じる場合がある。
また、このように非常に硬い粉砕または分散媒体は、粉砕または分散を行う容器内面を傷付けてしまうため、その容器内面を非常に高い硬度を有する材料で形成する等の必要がある。したがって、アルミナ系の焼結セラミックスビーズが使用される分野は、限定的である。これは溶融ビーズとした場合でも同様である。
ジルコン系の焼結セラミックスビーズは、溶融ジルコン系セラミックスガラス相が少なく結晶相が多いために硬度が高く見掛比重が大きいため、粉砕および分散装置へのエネルギー負荷が大きくなりやすいという問題があった。
ジルコニア系の溶融セラミックスビーズは、上記ジルコニア系の焼結セラミックスビーズと同様の課題を有する。
ジルコン系の溶融セラミックスビーズは、ジルコニア系ビーズに比べ比重は低いものの、ガラス相が多く含まれるために硬度が低くなり、粉砕または分散の効率も比較的低く、ビーズ自身の耐摩耗性が劣る。
さらに、ジルコニア含有率が高くなると、ジルコニア自体が自然放射性物質であるため、その取扱い、特に使用済みビーズは、法律等の規定に基づいて処理する必要が出てくる。
そこで、本発明は、従来のセラミックスビーズと比較し、粉砕および分散媒体として、装置の運転エネルギー(電力)を抑制しながら、粉体の粉砕または分散の効率性を高く維持することが可能な新規のセラミックスビーズを提供することを目的とするものである。これまで、粉砕や分散用のセラミックスビーズにおいて、上記の観点、特にエネルギー効率の観点から検討された例はなかった。
本発明のセラミックスビーズは、酸化物基準で、アルミナ(Al)を50質量%以上含有するセラミックスビーズであって、前記セラミックスビーズの、見掛比重が3.5〜4.2であり、かつ、ビッカース硬さ(HV)が800〜1200である、ことを特徴とする。
本発明のセラミックスビーズは、アルミナを多量に含有しながら、見掛比重を軽く、かつ、ビッカース硬さを粉砕または分散媒体として好適な範囲とした、セラミックスビーズである。このように、粒子の粉砕または分散媒体として所定の特性を有するものとしたことで、粉砕または分散における粉砕または分散効率を良好にできる。そのため、従来と同等の効率を得ようとする場合には、装置の運転エネルギー(電力)を低減させることができる。
実施例1のセラミックスビーズの粉砕試験における、周速と粉砕効率との関係を示すグラフである。
以下、本発明のセラミックスビーズについて詳細に説明する。
[セラミックスビーズ]
本発明のセラミックスビーズは、上記した通り、アルミナ(Al)を50質量%以上含有するセラミックスビーズからなるものである。さらに、このセラミックスビーズの特性として、見掛比重が3.5〜4.2の範囲、ビッカース硬さが800〜1200の範囲であることを必須要件とするものである。
セラミックスビーズの見掛比重は、その組成や製造方法により決定されるが、本発明において重要な特性である。この見掛比重は、3.5〜4.2の範囲であり、3.6〜4.1が好ましく、3.6〜3.8がより好ましい。見掛比重が3.5未満であると、顔料など粘性が高い原料を効率よく粉砕または分散できなくなるおそれがあり、4.2を超えると、ビーズミルにおける粉砕室等の回転を十分に行うために必要な電力量が大きくなってしまい、使用エネルギーまで考慮した効率的な操作が難しくなってしまう。
なお、見掛比重は、アルキメデス浮力に基づく静水法により比重壜を用い、冷水で測定した見掛密度(g/cm)を、水に対する比重として表したものである。
また、セラミックスビーズのビッカース硬さ(HV)は、こちらもその組成や製造方法により決定されるが、本発明において重要な特性である。このビッカース硬さは、800〜1200の範囲であり、850〜1150が好ましく、900〜1050がより好ましい。このようなビッカース硬さの範囲とすることで、使用するビーズミル等の損傷が緩やかになり、製品寿命を長くできることに伴ってその製造コストも低減できる。なお、この範囲のビッカース硬さの場合、ビーズミルの粉砕室等の内壁として、ウレタン材、使用するセラミックスビーズと同材質またはそれよりもビッカース硬さの大きい材質のセラミックス等で内張りすればよい。
ビッカース硬さが800未満であると、粉砕または分散対象物である粒子の粉砕または分散効率が低減するおそれがあり、特に硬質の粒子を粉砕または分散する際には、その効果の低減が顕著となってしまう。一方、ビッカース硬さが1200を超えると、粉砕または分散効率は向上するものの、上記のように装置側の強度として非常に高いものが必要となり、実用上難しかったり、高コストとなってしまう。
なお、ビッカース硬さは、JIS Z 2244:2009に準じて求められる。
また、このセラミックスビーズは、上記のようにアルミナ(Al)を50質量%以上含有するものであるが、それ以外にセラミックスビーズで使用される公知の化合物を含有してもよい。以下、このセラミックスビーズの組成について説明する。
本発明のセラミックスビーズは、その化学成分として、アルミナ(Al)を50質量%以上含有する。また、それ以外の化学成分として、ジルコニア(ZrO)、シリカ(SiO)等を含有することが好ましい。なお、以下、本明細書においては、「質量%」を単に『%』と略して示す。また、本明細書において、セラミックスビーズの各成分の含有量は、セラミックスビーズ中に存在する各成分が、表示された酸化物として存在するものとした場合の換算含有量を示す。例えば「アルミナ(Al)を50%以上含有する」とは、ビーズ中に存在するAlが、すべてAlの形で存在するものとした場合のAl含有量、すなわちAlのAl換算含有量が50%以上であることを意味するものである。
アルミナ(Al)はセラミックスビーズの骨格を形成する主成分である。アルミナはコランダム結晶を構成し、このコランダム結晶は高い耐摩耗性を示し、かつ温度変化に伴う異常な膨張、収縮を示さない特性を有する。
セラミックスビーズ中のAlの含有量は50%以上であり、50〜95%が好ましく、60〜90%がより好ましく、70〜85%がさらに好ましい。この含有量が50%未満であると、相対的に他の成分の含有量が増え、求める特性が得られなくなってしまう。例えば、次に説明するZrOは靭性が高く、粒子の粉砕または分散媒体として好ましい組成ではあるが、多量に含有すると見掛比重が大きくなりすぎてしまう。また、Alの含有量が98%を超えると、残りの成分でビーズの硬度を下げることが難しくなり、その結果、スラリーに硬いアルミナ(Al)の摩耗粉が混入し、品質上の問題となってしまう。
ZrOはバデライト結晶を構成し、ビーズの耐摩耗性を高める成分であり、含有することが好ましい成分である。なお、以下に「ZrO」と記載するときは、「ZrO+HfO」であることを意味する。セラミックスビーズの製造に用いられるジルコニア原料は不可避的に1〜3質量%のHfOを含んでおり、HfOは製造時に蒸発などの損失はほとんどなくセラミックスビーズ中に残存するため、本発明も含めた通常のセラミックスビーズは「ZrO+HfO」の合計量に対して1〜3質量%のHfOを含んでいる。HfOはセラミックスビーズ一般においてZrOと同じ役割を果たすため、ZrO+HfOの値をもって単にZrOと表記するのが通例であり、本発明においてもZrO+HfOの値をもってZrOと表記する。
セラミックスビーズ中のZrOの含有量は1〜35%が好ましく、3〜30%がより好ましく、5〜15%がさらに好ましい。ZrOは耐摩耗性を向上させるという点からは多く含まれるほうが好ましく、その含有量が1%以上であると耐摩耗性が良好となる。ZrOの含有量が35%以下であると、不必要に見掛比重を大きくさせることがない。そのため、粉砕または分散の際に、装置を駆動するエネルギーを抑制可能なセラミックスビーズが得られる。
また溶融法で製造するセラミックスビーズにおいて、SiOは非晶質組織のマトリックスガラスを形成する成分であり、これを含有すると、製造過程における不規則な割れが減少する。
セラミックスビーズ中のSiOの含有量は0.1〜15%が好ましく、1.0〜12.5%がより好ましく、3.0〜10.0%がさらに好ましい。
すなわち、セラミックスビーズ中においてSiOは望ましいガラス質を構成するので、含有量が0.1%未満であると、空洞が生じて強度が低下する問題が生じるおそれがある。また、15%を超えると、ガラス成分の増加によって、硬度低下に伴う性能の低下が生じたり、生産時に繊維が生じて効率を低下したり、することがある。
はセラミックスビーズの機械的強度の向上を目的として添加される成分であり、必要に応じて付加的に添加されるものである。添加する場合には、セラミックスビーズ中のYの含有量は5%以下である。このYの含有量は4%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。
ここで使用するセラミックスビーズの粒径は、0.01〜50mmであることが好ましく、0.03〜30mmであることがより好ましい。セラミックスビーズの粒径は、粉砕機種とその粉砕または分散対象の粒子の大きさによって、好ましい大きさが決まる。例えば、ボールミルの場合、10〜30mmが好ましく、アトライターミルの場合、3〜15mmが好ましく、サンドミルの場合、1〜5mmが好ましく、ビーズミルの場合、0.03〜2mmが好ましい。また、ナノサイズの粉砕を行うには微小ビーズが必要であり、0.1mm以下のビーズが用いられる。
なお、本明細書におけるセラミックスビーズの粒径は、例えば、JIS R 6001(研削といし用研磨材の粒度)で規定される粒度分布のことを指し、その分布の数値はJIS R 8815に規定される乾式ふるい分け試験方法によって測定したものである。
また、セラミックスビーズの形状は、粉砕または分散媒体のセラミックスビーズとして公知の形状であれば特に限定されるものではないが、粉砕容器内部を傷つけることを抑えるため球状等が好ましい。なお、使用前に、粉砕容器内にセラミックスビーズと水を収容し、これを作動(回転)させてセラミックスビーズ同士を衝突させることで、セラミックスビーズの凸状部分を滑らかにすることもできる。
なお、2mm以下のセラミックスビーズは後述する溶融法により、0.1mmを超えるセラミックスビーズは後述する焼結法により、製造することが好ましい。これはそれぞれの製造方法により得られる粒子の大きさが制約されるためである。重複する範囲はいずれの製造方法を用いてもよく、得られるセラミックスビーズの特性を勘案して決定すればよい。
[セラミックスビーズの製造方法]
次に、本発明のセラミックスビーズの製造方法について説明する。この製造方法は、特に制限されないが、調製された原料をアーク電気炉などで溶解し出湯時に高速のエアー等で細粒化する方法(以下、単に溶融法と略す)や調製された原料を転動造粒して成形球体としたのち焼結する方法(以下、単に焼結法と略す)などが具体的な製造法として挙げられる。
中でも、溶融法は原価面で有利であるため好ましい。また、溶融法で製造された溶融セラミックスビーズは、粒子表面に凹凸が少ないため、わずかな加工で粉砕または分散媒体とすることができる。
この溶融法にあたっては、調製済みの原料を溶解する溶融炉の形式としては、特に制限されないが、バーナー、電気抵抗、アーク、コークス等の加熱形式によるものが挙げられる。特に、アーク形式では、比較的容易に高温が得られ。溶融物の均質性も高く、しかも炉の設備が簡単で操作性に優れるなどの利点があるため好ましい。
溶融法においては、調製された原料は溶解された後、当該溶融物を溶解炉の外壁に取付けた出湯口から出湯する。出湯する際には、溶解炉を傾動させると、出湯が容易になり好ましい。溶融物は出湯口から流れだし、例えば100mm程度落下した後、後方から圧縮空気を吹き付けて細粒化する。細粒化する際に表面積が増大し空気に触れることで急冷され、良好なセラミックスビーズとなる。
また、圧縮空気と共に一定量の水をノズルに同時に流し込むことによって、高圧水を作り、圧縮エアーと同時に吹き付けると、細粒化と同時に粒子の温度が低下し、その後の取り扱いを容易にするため好ましい。
また、焼結法により製造する場合には、例えば調合済みセラミックス粉末を回転パン型造粒機に投入し、パンの一定回転速度の下で水を流加して造粒してなる成形球体を、空気中にて融点より低い温度で焼成し、その後ふるい分けすることにより焼結セラミックスビーズを得ることができる。
なお、上記以外に、調合済みセラミックス粉末を水からなるスラリーをディスク式の噴霧乾燥機を用いて噴霧、乾燥して得る成形球体を、空気中にて融点より低い温度で焼成することで焼結セラミックスビーズを得ることができる。その他、液中造粒機を用いて得る方法もある。
このようにして得られたセラミックス粒子は、その表面に凹凸を有しているため、その表面を研磨加工等により滑らかなものとして、本発明のセラミックスビーズとすることが好ましい。このとき、研磨加工は、ビーズミルを使用した空ずりにより行うことができる。
上記では、粉砕または分散用媒体に好適なものとしてセラミックスビーズを説明したが、その他の用途、例えば、セラミックスビーズを高速で噴出させて、研磨対象物に衝突させ、所望の部分のみピーニング加工するブラストショット用のセラミックス粒子等としても適用できる。これらの用途においても、見掛比重が軽く、ビッカース硬さが所望の範囲であるため、研磨やピーニングの効率を良好にしつつ、使用エネルギーの低減を図ることができる。
以下に、本発明を実施例および比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの記載によってなんら限定されるものではない。
(実施例1〜2、比較例1)
炉内直径1.5m、高さ1.5m、炉内容積2.5mのアーク式溶融炉を使用し、電源としては1100KVAのトランスを準備した。なお、溶融炉の内張耐火物はアルミナ含有量95%の電鋳耐火物を使用した。電極には直径15cmの電極を三本使用した。
表1に記載したように原料を所定の化学成分に混合し上記溶融炉において溶解した。溶融条件は電圧100V−250V、電力800KW〜1000KWで、1回の投入量600kgを3回に分割して10分〜15分間隔として炉内に分割して投入した。全体の原料投入時間は30分〜45分であった。溶解時間は80分から100分であった。
次に、圧力4MPaの圧縮空気に2L/分の水を加え、ノズルから噴き出した。上記溶融炉から出湯された溶融物の下方から高速の圧縮エアーを湯に吹き付けて粒子化した。粒子は耐火物で保護された金属製の捕集容器にて回収し、セラミックス粒子を得た。このときの圧縮空気の流速は100m/秒〜150m/秒であった。
得られたセラミックス粒子を、予め0.85〜0.60mmの粒径でふるい分けしたのち、アシザワ・ファインテック社製ビーズミル(形式:LME4、粉砕室容量:3.3L)の粉砕室に入れ、水を供給して運転し、空ずりを行うことで粒子表面を鏡面に仕上げた。乾燥して水分を除去後、ビーズ形状の不揃いをなくすため、転選機(原島電機工業社製、形式:MH−9010)を使用して球状ではないビーズを除去し、ほぼ球状のビーズに揃えた。そのあと、改めて0.85〜0.60mmの粒径でふるい分けしてセラミックスビーズとした。
(実施例3〜4、比較例2)
表1に記載した化学成分になるよう原料粉末を混合したのち、これを直径600mmのパンを有する回転パン型造粒機に投入し、パンの一定回転速度の下で水を添加し造粒した。ここで、使用した粉末の平均粒子径は0.5μmであった。得られた成形球体の平均球径0.95mmであり、水分率(造粒剤の含有率)は1%であった。
次に、得られた成形球体を予め開口度0.8mmと1.1mmのふるいを用いて分級し、平均球径が0.95mmの成形球体を得た。
次に、分級により得られた成形球体を、空気中にて1500℃で2時間焼結し、焼結球体を得た。得られた焼結球体の表面を、溶融法と同様に、ビーズミルを用いて鏡面に仕上げて、転選機によりほぼ球状のビーズに揃えた。そのあと、0.85〜0.60mmの粒径でふるい分けして焼結セラミックスビーズとした。
実施例1〜4、比較例1〜2で得られたセラミックスビーズについて、ビッカース硬さ、見掛比重、充填率について調べた。
Figure 0006715025
[ビッカース硬さ]
粒径を揃えたセラミックスビーズを熱硬化性樹脂に埋め込み、ビーズ断面が見えるところまで研磨した。ビーズ5個を任意に選び、各ビーズの断面の任意の1か所をビッカース硬さ計で測定し、平均値を求めた。荷重は1kgfである。
[見掛比重]
セラミックスビーズの見掛比重は、アルキメデス浮力に基づく静水法により比重壜を用い、冷水で測定した見掛密度(g/cm)を、水に対する比重として表したものである。
[充填率]
メスフラスコにセラミックスビーズを500cc充填し、その質量を測定して、単位体積当たりの質量を計算した。500ccの計量はメスフラスコを用いた。
〔試験例1〕
[ビーズミルによる粉砕試験]
以下、重質炭酸カルシウムの湿式粉砕を目的として、セラミックスビーズを適用した例について具体的に説明する。
まず、三井鉱山株式会社製ビーズミル(形式:SC100、ケーシング容量:0.44L)に、実施例1〜2および比較例1の各セラミックスビーズ 0.2L(見掛容積)を充填した。粒径は一般的に使用される粒径として、0.85〜0.60mmを採用した。
ここで使用したビーズミルは、そのケーシング部が短い円筒型をしていて、軸芯からスラリーを供給し放射状に流れる構造であり、内部には、円筒形をした媒体攪拌用のロータがあり、その外周にセラミックスビーズとスラリーを分けるセパレータを有する構造となっている。
このセパレータの内径をD(m)、ロータの回転数をN(rpm)としたとき、スラリー抵抗がない場合の周速V(m/秒)はV=π×D×N÷60で与えられる。一般的にスラリーの粉砕に用いる周速Vは10m/sであり、これを目安にしたロータの回転数は本ビーズミルの場合、約30rpmであったことから、30rpmを基本条件とした。
粉砕すべき懸濁物(スラリー)は濃度75質量%(粉末10.5kgに対して、水3.5kg)の濃縮された重質炭酸カルシウム粉末(日東粉化工業株式会社製、商品名:SS#80;平均粒径 4.7μm)である。なお分散性に配慮して、粉に対して外掛0.5質量%の分散剤(中京油脂株式会社製、商品名:セルナD−305;ポリカルボン酸アンモニウム塩)を予め水に添加することとした。
このスラリーを3L/分の流速で蠕動ポンプによりケーシング部へ運んだ。試験は3時間行い、粉砕効率、セラミックスビーズの質量減少率、電力量について評価し、その結果を表2に示した。
〔試験例2〕
実施例3〜4、比較例1で得られた粒径0.60〜0.85mmのセラミックスビーズを使用した以外は試験例1と同様の条件で粉砕試験を行い、粉砕効率、セラミックスビーズの質量減少率、電力量について評価し、その結果を表2に示した。
Figure 0006715025
[粉砕効率]
粉砕効率は、粉砕対象の粉体における、粉砕試験前後の平均粒子径の減少比で表した。この減少比は、試験前の平均粒子径bD50に対する試験後の平均粒子径aD50の割合(aD50/bD50)で算出した。
なお、ここで平均粒子径は、粉砕対象粉体の粉砕前後において、それぞれレーザー回折法により粒度分布を測定し、その粒度分布における体積基準による50%積算値(D50)をいう。また、本明細書において、成形球体の平均球径、セラミックスビーズの平均粒子径も同様の測定、算出方法により得られる。
[セラミックスビーズの質量減少率]
セラミックスビーズの質量減少率は、粉砕試験前後のセラミックスビーズの質量をW、粉砕試験後の質量をWとして、(W−W)/W×100(%)で表したものである。
[電力量比]
電力量は、上記試験を行ったときに使用した実測の電力量について、実施例1の電力量を1.00として、比で表したものである。
表1の結果から、実施例1および2の見掛比重は、溶融法として典型的なセラミックスビーズである比較例1に比べ約4%低い値であり、軽量化できていることが分かる。さらに、実施例1および2のビッカース硬さは、比較例1に比べ大きい値であり、粉砕対象物の粉砕効率を良好なものとしながら、装置の運転エネルギー量(電力量)の低減を図ることができる。
また、実施例1および2のセラミックスビーズの質量減少率は比較例1に比べ小さい値となった。また、重質炭酸カルシウムの3時間粉砕後の平均粒子径減少比(3hr後の最終平均粒子径D50/初期平均粒子径D50)は比較例1の0.381に対して、実施例1、2ともに0.34以下であり、粉砕効率が大きくなっていたことは極めて特筆すべき点である。
また、表1の結果から、実施例3および4の見掛比重は、焼結法として典型的なセラミックスビーズである比較例2に比べ約9%低い値であり、軽量化できていることが分かる。さらに、実施例3および4のビッカース硬さは、比較例2と同等であり、粉砕対象物の粉砕効率を良好なものとしながら、使用エネルギー量の低減を図ることができる。
〔試験例3〕
上記のように、実施例の粉砕効率が良好であるということは、同等の粉砕効率となるように処理を行おうとしたとき、実施例のビーズミルにおいてはそのロータの回転数を低くすることができる、という意味でもある。そこで、実施例1のセラミックスビーズにおいて、粉砕におけるロータの回転数を10m/sより低い値で3時間運転した時の粉砕効率を調べた。
実施例1のセラミックスビーズを粉砕または分散媒体とした試験例1において、ビーズミルの周速を9.2m/秒(試験例3−2)、6.7m/秒(試験例3−3)と変えたときの粉砕効率、セラミックスビーズの質量減少率、電力量について評価し、その結果を表3に示した。なお、試験例1で得られた周速を10m/秒のときの結果を試験例3−1として併せて表3に示した。また、これらの結果を、周速と粉砕効率との関係をプロットし、その結果を図1に示した。
Figure 0006715025
得られた表3および図1の結果から、これらの関係には比例関係があることがわかった。すなわち、粉砕効率はロータの回転数に比例する、という新しい知見を得た。このことから、比較例1の粉砕効率0.381に相当する粉砕を実施例1のセラミックスビーズで得るためには、ビーズミルのロータの回転数をおよそ9.2m/sとすればよいことがわかる。
そして、このロータの回転数減少による電力削減効果は、理論上、次のように計算できる。すなわち、実施例1のときの電力を1.00としたとき、実施例5の9.2m/sの電力は、9.2を10で除した値の3乗であり、0.78となる。すなわち、実施例1に対して約22%の削減率を達成できることがわかる。これは、実際に測定して得られた電力量比と極めて近い値で一致した。
また、従来公知の比較例1の結果と比較すると、0.78÷1.03=0.76となり、約24%のエネルギー削減効果が得られるものと試算される。
以上のとおり、本発明のセラミックスビーズは、粉砕または分散媒体として、粉砕対象物の粉砕効率を維持しながら、使用するエネルギー効率を極めて効果的に低減でき、特に粉砕または分散媒体として好適である。
本発明により、粉砕または分散媒体、特に湿式溶媒中の粉砕または分散媒体、として好適なセラミックスビーズを提供できる。このセラミックスビーズは、粉砕または分散媒体以外の用途にも適用できる。

Claims (8)

  1. 酸化物基準で、Alを50質量%以上85質量%以下、SiO を0.1質量%以上15質量%以下含有し、見掛比重が3.5〜4.2であり、かつ、ビッカース硬さ(HV)が800〜1050である、ことを特徴とするセラミックスビーズ。
  2. 前記セラミックスビーズが、酸化物基準で、ZrOを1質量%以上35質量%以下含有する請求項1に記載のセラミックスビーズ。
  3. 前記セラミックスビーズが、酸化物基準で、Yを5質量%以下含有する請求項1または2に記載のセラミックスビーズ。
  4. 前記セラミックスビーズが、焼結セラミックスビーズである請求項1〜3のいずれか1項に記載のセラミックスビーズ。
  5. 前記セラミックスビーズが、溶融セラミックスビーズである請求項1〜3のいずれか1項に記載のセラミックスビーズ。
  6. 前記セラミックスビーズの粒径が50mm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のセラミックスビーズ。
  7. 前記セラミックスビーズの粒径が2mm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のセラミックスビーズ。
  8. 前記セラミックスビーズが、粉砕または分散用媒体である請求項1〜7のいずれか1項に記載のセラミックスビーズ。
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