JP4355231B2 - セラミックス小球体の製造方法、セラミックス小球体、およびアルミナ小球体 - Google Patents

セラミックス小球体の製造方法、セラミックス小球体、およびアルミナ小球体 Download PDF

Info

Publication number
JP4355231B2
JP4355231B2 JP2004037175A JP2004037175A JP4355231B2 JP 4355231 B2 JP4355231 B2 JP 4355231B2 JP 2004037175 A JP2004037175 A JP 2004037175A JP 2004037175 A JP2004037175 A JP 2004037175A JP 4355231 B2 JP4355231 B2 JP 4355231B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ceramic
alumina
powder
raw material
spherical
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2004037175A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004284943A (ja
Inventor
登紀夫 上柳
隆之 藤田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taimei Chemicals Co Ltd
Original Assignee
Taimei Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taimei Chemicals Co Ltd filed Critical Taimei Chemicals Co Ltd
Priority to JP2004037175A priority Critical patent/JP4355231B2/ja
Publication of JP2004284943A publication Critical patent/JP2004284943A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4355231B2 publication Critical patent/JP4355231B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Description

本発明は、セラミックス小球体、アルミナ小球体、およびそれらの製造方法に関するものである。さらに詳しくは、セラミックス小球体の真球化技術に関するものである。
セラッミクス小球体は、従来、分散粉砕媒体、ベアリング用ボール、クロマトグラフィの吸着剤、触媒、あるいは触媒の担体としての用途がある。
このようなセラミックス小球体を製造するにあたっては、従来、転動造粒法、プレス成形法、攪拌造粒法などの方法があるが、これらの造粒方法では、セラミックス原料が金属材料からなる造粒設備と接触した際、セラミックス原料に金属が混入するという問題点がある。また、これらの造粒方法は、設備コストが嵩み、かつ、少量生産の場合には生産性が低いという問題点がある。
そこで、撥水性を有する平滑な滴下面上に、セラミックス原料を含むスラリーを適量滴下し、表面張力によりスラリーを球状またはそれが変形した形状の液滴として保形させつつ乾燥させてセラミックス小球体を製造する技術などが案出されている(例えば、特許文献1参照)。
また、セラミックス焼結体の利用例として、アルミナ結晶の平均結晶粒子径が2.5μm以下のアルミナ焼結体を分散粉砕媒体として用いることが提案されており、このような分散粉砕媒体では、アルミナ結晶の平均結晶粒子径が小さいほど、耐磨耗性に優れた分散粉砕媒体を実現できる(例えば、特許文献2参照)。
特開平8−59352号公報 特公平5−39902号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、滴下面が金属板の表面にフッ素樹脂とニッケルとを共分散したもの、シリコーンオイルで表面処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、あるいはフッ素樹脂を含浸したガラスクロスであるため、セラミックス原料を含むスラリーを滴下した際、液滴が真球状にならない。このため、セラミックス小球体を真球状に形成できないという問題点がある。
また、特許文献2には、アルミナ焼結体においてアルミナ結晶の平均結晶粒子径が小さいほど磨耗の小さな分散粉砕媒体を実現できる旨が開示されているが、従来は、アルミナ結晶の平均結晶粒子径を0.8μm以下にまで細かくすることができず、分散粉砕媒体としては、耐磨耗性をこれ以上、向上させることができないという問題点がある。
さらに近年、分散粉砕媒体として、1mm以下の小粒径のものが望まれているが、このような要求を満たすものがないというのが現状である。
本発明は、上記問題点を解決するものであり、真球状のセラミックス小球体を得ることのできるセラミックス小球体の製造方法、およびセラミックス小球体を提供することにある。
また、本発明の課題は、耐磨耗性などをさらに向上させることのできるアルミナ小球体、およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のセラミックス小球体の製造方法では、撥水性を備えた粉体を敷き詰めて滴下面を形成しておき、セラミックス原料を含む親水性の液状原料を前記滴下面に滴下させて当該滴下面上に球状液滴を形成し、しかる後に当該球状液滴に対して熱処理を行ってセラミックス小球体を製造するにあたって、前記粉体として、前記セラミックス小球体と同一材料からなる粉末に撥水処理を施してなる粉体を用いることを特徴とする。
本発明において、撥水性を備えた粉体を敷き詰めた滴下面に対して、セラミックス原料を含む親水性の液状原料を適量滴下すると、滴下面と液状原料との接触角が大きいため、液状原料は、滴下面上で球状液滴となる。また、粉体を敷き詰めた滴下面は、微細な凹凸を有しているので、平滑面と比較して滴下面と液状原料との見掛けの接触角が大きいため、液状原料は、真球に近い球状液滴となる。さらに、液状原料が滴下面に落下した際の衝撃によって、さらに液滴が滴下面上を転がることによって液滴に粉体が付着すれば、液滴は、濡れにくくなる結果、液状原料は、より真球に近い球状液滴となる。従って、この球状液滴に乾燥、あるいは焼成を行えば、真球状のセラミックス小球体を得ることができる。また、液状原料の種類を変えるだけで、異なる種類のセラミックス小球体を容易に製造することもできる。しかも、粉体を敷き詰めた滴下面であれば、見かけ上、柔軟性を有しているので、液状原料を滴下させた際、滴下面が液滴によって沈み込むので、このような条件も、液状原料が真球に近い球状液滴となることに寄与していると考えられる。また、粉体は、撥水性を有しているので、液滴の内部に入り込むことがなく、液滴の表面に付着しているだけであるため、粉体の付着部分を除去すれば、粉体がセラミックス小球体を汚染することはない。
本発明において、前記親水性の液状原料は、例えば水系の液状原料である。
本発明において、前記セラミックス原料は、例えば、セラミックス粉末を含んでいる。
また、前記親水性の液状原料は、前記セラミックス原料として、平均粒径が0.25μm以下のアルミナ粉体を含んでいることが好ましい。
特に、前記アルミナ粉体は、アンモニウムアルミニウムカーボネイトハイドロオキサイドを熱分解して得られたものであることが好ましい。このような方法で製造されたアルミナ粉体によれば、平均粒径が0.25μm以下のもので、かつ、比較的低い温度で高密度な焼結体を得ることができる。
このような製造条件によれば、平均結晶粒子径が0.8μm以下、見かけ密度がアルミナの理論密度(3.989g/cm3)の96%以上、直径が0.8mm以下の真球形状の緻密質焼結体からなる新規なアルミナ小球体を製造することができる。また、直径が0.8mm以下の真球形状を有するアルミナ小球体を製造することができ、このようなアルミナ小球体は、媒体攪拌型粉砕機において、分散粉砕媒体として、水酸化アルミニウムのスラリーとともに周速12.6m/secで回転させたときに、下式
(1時間当りの分散粉砕媒体の磨耗量/分散粉砕媒体の初期投入量)×100
で求められる1時間当りの磨耗率を2%/h以下にまで向上することができる。
また、本発明では、前記セラミックス原料は、焼成によりセラミックスを形成する金属を含む化合物であってもよい。
本発明において、セラミックス原料を含む親水性の液状原料を滴下面に滴下すると、滴下面と液状原料との接触角が大きいため、液状原料は、滴下面上で球状液滴となる。また、粉体を敷き詰めた滴下面は、微細な凹凸を有しているので、真球に近い球状液滴となる。さらに、液滴が滴下面上を転がることによって液滴に粉体が付着すれば、液滴は、濡れにくくなる結果、液状原料は、より真球に近い球状液滴となる。従って、この球状液滴に乾燥、あるいは焼成を行えば、真球状のセラミックス小球体を得ることができる。
また、本発明では、高濃度のアルミナスラリーなどを用いた湿式造粒であるため、高濃度の前駆体(成形体)を形成できる。また、スプレードライ法のように高温、短時間で乾燥させる場合に発生するような中空の前駆体や表面が陥没した前駆体とならない。従って、親水性の液状原料において、セラミックス原料として、平均粒径が0.25μm以下のアルミナ粒子を用いれば、見掛け密度が高い前駆体を形成できるので、高密度のアルミナ小球体を製造できる。さらに、このような前駆体であれば、1300℃前後の比較的低い温度で焼成できるので、アルミナ結晶の平均結晶粒子径が小さい。それ故、アルミナ結晶の平均結晶粒子径が0.8μm以下、見かけ密度がアルミナの理論密度の96%以上、直径が0.8mm以下の真球形状のアルミナ小球体を製造することができ、このようなアルミナ小球体は、媒体攪拌型粉砕機の分散粉砕媒体として用いた場合、優れた耐磨耗性を発揮する。
[実施の形態1]
図1は、本発明に係る方法で製造したセラミックス小球体を顕微鏡で拡大して見たときの説明図である。
図1に示すように、本発明に係るセラミックス小球体は、略真球に近い球形状をしており、その径は、例えば0.5mmである。また、製造条件を変更することにより、例えば、直径が0.8mm以下、例えば、直径が0.1mmから0.8mmのセラミックス小球体を製造することも可能である。また、以下に説明する振動式ノズルに代えて、スプレー式ノズルを用いれば、直径が0.1mm未満のセラミックス小球体を製造することも可能である。
このようなセラミックス小球体を製造するにあたって、本形態では、まず、セラミックス原料としてのアルミナ粉末100gを、適量の分散剤(例えば、東亞合成株式会社製の商品名:アロンA−6114)とともに37gの水に加えてボールミルで混合し、原料スラリー(液状原料)とする。
一方、アルミナ粉末100gと、撥水剤としてのステアリン酸エマルジョン(中京油脂株式会社製の商品名:セロゾール)50gと、水100gとをボールミルで混合した後、この混合物を100℃で乾燥させ、粉砕して80メッシュの篩いを通して敷き粉とする。次に、この敷き粉を1mm程度の厚さに敷いて滴下面を構成する。
そして、振動式のノズルから原料スラリーを滴下面に滴下する。その結果、滴下面では、スラリーの液滴が落下した箇所がわずかに沈み込んで液滴を受ける。その際、液滴は、滴下面上で球状液滴となる。
次に、球状液滴を敷き粉とともに約60℃の温度で加熱し、乾燥させ、球状液滴をセラミックス小球体の前駆体としての小球体成形物とする。
次に、小球体成形物の前駆体と敷き粉とを篩い分けした後、小球体成形物を1200℃〜1600℃の温度で焼成し、アルミナ製のセラミックス小球体を得る。
なお、小球体成形物、あるいはセラミックス小球体に付着している粉体については、小球体成形物の段階、あるいはセラミックス小球体にした段階で、バレル研磨などにより、粉体が付着している部分を除去する。
このようにして得られたセラミックス小球体は、図1に示したように、直径0.5mmの真球状になっており、粒子径の異なるものが混在したままの状態で、あるいは、粒子径によって分離された状態で各種の用途に供される。
例えば、分散粉砕媒体、ベアリング用ボール、クロマトグラフィの吸着剤、触媒、あるいは触媒の担体などとして用いられる。
このように本形態では、撥水性を備えた粉体を敷き詰めた滴下面に対して、セラミックス原料を含む親水性のスラリーを適量滴下する。ここで、滴下面は撥水性を有しているので、スラリーとの接触角が大きい。このため、スラリーは、滴下面上で球状液滴となる。
また、粉体を敷き詰めた滴下面は微細な凹凸を有しているので、滴下面とスラリーとの見掛けの接触角が大きいため、スラリーは、真球に近い球状液滴となる。すなわち、濡れにくい面は、粗であればあるほど濡れにくいので、見かけ上の接触角が大きくなるからである。
さらに、スラリーが滴下面に落下した際の衝撃によって、さらに液滴が滴下面上を転がることによって液滴に粉体が付着し、液滴は、濡れにくくなる。その結果、スラリーは、より真球に近い球状液滴となる。
従って、この球状液滴に乾燥、あるいは焼成を行えば、真球状のセラミックス小球体を得ることができる。また、スラリーの種類を変えるだけで、異なる種類のセラミックス小球体を容易に製造することもできる。
しかも、粉体を敷き詰めた滴下面であるため、見かけ上、柔軟性を有している。従って、スラリーを滴下させた際、滴下面が液滴によって沈み込むので、このような条件も、スラリーが真球に近い球状液滴となることに寄与していると考えられる。
また、粉体は、撥水性を有しているので、液滴の内部に入り込むことがなく、液滴の表面に付着しているだけであるため、小球体成形物の状態で、あるいはセラミックス小球体の状態で粉体が付着している部分を除去すれば、セラミックスからなる小球体を得ることができる。
[実施の形態2]
上記形態では、スラリーに配合するセラミックス原料として、アルミナ粉末などのセラミックス粉末を用いたが、セラミックス原料として、焼成によりセラミックスを形成する金属を含む化合物を用い、この化合物の水溶液を液状材料としてもよい。
例えば、塩基性塩化アルミニウム水溶液(Al(OH)2.5Cl0.5・nH2O:Al23換算濃度=23.8mass%/液状原料)を振動式のノズルから滴下させて小球体状ゲル化物を得た。得られた小球体ゲル成形体を50℃で乾燥させた後、1350℃で焼成し、アルミナ製のセラミックス小球体を製造してもよい。
このように塩基性塩化アルミニウムを用いると、水溶液(液状原料)中のアルミニウム濃度が高いので、ゲル形成能があり、小球体成形体が得られやすいという利点がある。
参考例1
また、上記形態では、アルミナ製のセラミックス小球体を形成するのに、滴下面をセラミックス小球体と同一材料であるアルミナ粉体を敷き詰めることにより構成したが、滴下面を構成する材料については、それが液滴に混入しても、セラミックス小球体の特性を劣化させないものであれば、セラミックス小球体を構成する材料と、滴下面を構成する材料が異なっていてもよい。例えば、アルミナ製のセラミックス小球体を形成するのであれば、水酸化アルミニウムを用いてもよい。
また、焼成によって分解する材料、例えば、有機物によって滴下面を形成してもよい。有機物を用いて滴下面を構成する例としては、ロジン微粉末を敷き粉として敷いて滴下面を構成すればよい。ロジン粉末は、材料自身が予め撥水性を有しているので、撥水処理を省略することができる。
参考例2
また、以下の方法で構成した滴下面を用いて略真球状のセラミックス小球体を形成してもよい。まず、アルミナ粉体に撥水剤としてステアリン酸エマルジョンと水を加えボールミルにて混合し、この混合物を100℃で乾燥させた後、粉砕処理し、80メッシュの篩に通す。得られた粉体を、硬化後に柔軟性を有する樹脂性接着剤を表面に塗った厚さ3mmのラバー面に敷き詰めた後、接着剤を硬化させ、粉体をラバー表面に固定して滴下面を構成する。
次に、この滴下面上に振動式のノズルからアルミナ粉体スラリー(液状原料)を滴下させて小球体状成型物を得る。
次に、得られた小球体成形体を60℃で乾燥させた後、1300℃で焼成してアルミナ製のセラミックス小球体を製造する。
[実施の形態
上記形態は、アルミナ製のセラミックス小球体を製造する例であったが、他のセラミックス小球体を製造するのに本発明を適用してもよい。
例えば、ジルコニア粉体に分散剤と水を加えたものをボールミルで混合して得た原料スラリー(液状原料)を、上記形態と同様な方法で滴下面に滴下した後、60℃で乾燥させて小球体状成形体を形成し、得られた小球体状成形体を1450℃で焼成してジルコニア製のセラミックス小球体を製造してもよい。
[比較例]
撥水性を有する平滑なテフロン(登録商標)板を滴下面として、この滴下面上に上記の各形態で用いた液状原料を同様な方法で適量滴下し、その後、60℃で乾燥させて成形物を得た。そして、この成形物を焼成して一見、球状のアルミナ製セラミックス体を得たが、滴下面との濡れ性に起因する平坦な面があり、真球状のものは得られなかった。
[その他の実施の形態]
上記の実施の形態では、滴下面については、ステアリン酸の添加により滴下面に撥水性を付与したが、その他の撥水剤、あるいは撥水処理を用いてもよい。
さらに、上記形態では、液状原料の滴下を1回のみ行ったが、滴下面に対するスラリーの滴下を行って球状液滴を形成した後、そのまま、あるいは乾燥のための熱処理を行ってから、さらにその上層に再び敷き粉を敷いて新たな滴下面を形成し、しかる後に、この新たな滴下面にスラリーの滴下を行って球状液滴を新たに形成してもよい。また、このようなサイクルを3サイクル以上、例えば、数十回、繰り返してもよい。このような方法を採用すれば、セラミックス小球体の生産効率を向上させることができる。
さらにまた、ベルトコンベア上、あるいは回転円盤上に滴下面を構成し、液状原料の滴下を連続して行えば、セラミックス小球体の生産効率をさらに向上させることができる。
アルミナ焼結体においてアルミナ結晶の平均結晶粒子径が小さいほど磨耗の小さな分散粉砕媒体を実現できるが、従来は、アルミナ結晶の平均結晶粒子径を0.8μm以下にまで細かくすることができず、分散粉砕媒体としては、耐磨耗性を向上させることができない。しかるに本発明では、親水性の液状原料において、セラミックス原料として、平均粒径が0.25μm以下のアルミナ粒子を用いれば、セラミックス小球体を製造するための前駆体(成形体)として、見掛け密度が高いものを形成でき、かつ、このような前駆体であれば、比較的、低い温度で焼結することができる。それ故、アルミナ結晶の平均結晶粒子径が0.8μm以下、見かけ密度がアルミナの理論密度の96%以上、直径が0.1mmから0.8mmの真球形状のアルミナ小球体を製造することができ、このようなアルミナ小球体は、媒体攪拌型粉砕機の分散粉砕媒体として用いた場合、優れた耐磨耗性を発揮する。
そこで、以下に、本発明に係るセラミックス小球体を媒体攪拌型粉砕機の分散粉砕媒体に適用した実施例を説明する。なお、以下に説明するアルミナ小球体の用途については、以下の分散粉砕媒体に限定されるものではない。
[実施例1]
液状原料用のセラミックス原料としてのアルミナ粉体(大明化学工業株式会社製の商品名TM−DAR、アンモニウムアルミニウムカーボネイトハイドロオキサイドを熱分解し粉砕処理したアルミナ粉体、アルミナ含有率99.99%以上、平均粒径0.15μm、比表面積14m2/g)100gを、適量の分散剤(東亞合成株式会社製の商品名アロンA−6114)とともに水37gに加えてボールミルにて混合し原料スラリー(液状原料)とした。アルミナ粉体の平均粒子径の測定にあたっては、アルミナ粉体をヘキサメタリン酸ソーダの0.07重量%溶液中で超音波分散機にて15分間分散させて試料懸濁液を調製した後、遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製のSA−CP3)にて粒度分布を測定した。
一方、敷き粉はアルミナ粉体100gと、撥水剤としてステアリン酸エマルジョン(中京油脂株式会社製の商品名セロゾール)50gと、水100gをボールミルにて混合した後、この混合物を100℃で乾燥させ、しかる後に粉砕して80メッシュを通して調製した。次に、この敷き粉を1mm程度の厚さに敷いて滴下面を構成した。
次に、振動式のノズルから原料スラリーを滴下面に滴下させてスラリーを球状液滴とした。
次に、球状液滴を敷き粉とともに約60℃の温度で加熱、乾燥させ、球状液滴をアルミナ小球体の前駆体としての小球体成形物を得た。
次に、小球体成形物と敷き粉を篩い分けした後、小球体成形物を1260℃の温度で2時間焼成し、アルミナ小球体を得た。なお、アルミナ小球体に付着している敷き粉由来の付着層は研磨により除去した。
このようにして得られたアルミナ小球体の見掛け密度は3.85g/cm3であった。この見掛け密度はゲーリュサック型比重瓶を用いて測定した。
また、得られたアルミナ小球体の焼結体組織の平均結晶粒子径は0.6μmであった。この平均結晶粒子径は、図2に示すアルミナ小球体の研磨エッチング面のSEM写真よりインターセプト法により10点測定した平均値であり、算出式は下式
D=1.5×L/n
D:平均結晶粒子径(μm)
L:測定直線の長さ(μm)
n:測定直線長さ当たりの結晶粒子の個数
の通りである。
次に、本例のアルミナ小球体のうち、篩い分け直径が0.425〜0.6mmの範囲となるものについて、以下の摩耗率試験を行った。
上記方法で得たアルミナ小球体315g(容積130ml)を、媒体撹拌型粉砕機(三井鉱山株式会社製の商品名 SCミル SC100/32型、ローターはウレタンライニング、スクリーンはジルコニア製)に入れ、水2400mlに水酸化アルミニウム(日本軽金属株式会社製の商品名 BW153 ギブサイト 平均粒子径15μm)600gを分散させたスラリーとともにディスク周速12.6m/secで1時間回転、粉砕するテストを行い、アルミナ小球体の摩耗率を測定した。
その結果、本例に係るアルミナ小球体の摩耗率は0.16%/hであり、後述する比較例1のジルコニア製のビーズと同様の磨耗率を示した。
なお、摩耗率の算出式は下式
M=Wm/Wo×100
M:1時間当たりの摩耗率(%/h)
m:1時間当たりの摩耗量(g)
o:テスト前の投入量(g)
の通りである。
このように本例のアルミナ小球体は、平均結晶粒子径が0.8μm以下、見かけ密度がアルミナの理論密度(3.989g/cm3)の96%以上の新規な球体であるため、これまでのアルミナ焼結体では得られない良好な耐磨耗性を発揮する。また、本形態のアルミナ小球体は、直径が0.1mmから0.8mmの真球形状の緻密質焼結体であり、種々の需要に応えることができる。
[実施例2]
実施例1と同様にしてアルミナ小球体の前駆体としての小球体成形物を得た。小球体成形物を1320℃の温度で2時間焼成しアルミナ小球体を得た。アルミナ小球体に付着している敷き粉由来の付着層は研磨により除去した。
このようにして得られたアルミナ小球体の見掛け密度は3.97g/cmであった。また、アルミナ小球体の焼結体組織の平均結晶粒子径は1.1μmであった。
また、本例のアルミナ小球体のうち、篩い分け直径が0.425〜0.6mmの範囲となるものについて実施例1と同様な方法で摩耗率試験を行った。その結果、アルミナ小球体の摩耗率は4.1%/hであり、実施例1に係るアルミナ小球体より劣るが、それでも、良好な磨耗率を示した。
[比較例1]
市販のジルコニア製φ0.5mmビーズ490g(容積130ml)について実施例1、2と同様な方法で摩耗率試験を行った。その結果、ジルコニアビーズの摩耗率は0.07%/hであった。
[実施例3]
実施例1と同様にして得られた平均結晶粒子径が0.6μm、直径が0.425〜0.6mmのアルミナ小球体315gを媒体撹拌型粉砕機(三井鉱山株式会社製 SCミルSC100/32型 ローターはウレタンライニング、スクリーンはジルコニア製)に入れ、水1533mlにα−アルミナ粉体(大明化学工業株式会社製 TM−5D)2300gを分散させたスラリーとともにディスク周速12.6m/secで1時間回転、粉砕するテストを行い摩耗率を測定した。その結果、本例のアルミナ小球体の摩耗率は、1.2%/hであり、後述する比較例2のジルコニアビーズと比較して良好な耐磨耗性を示した。
[実施例4]
実施例2と同様にして得られた平均結晶粒子径が1.1μm、直径が0.425〜0.6mmのアルミナ小球体315gについて、実施例3と同様な方法で摩耗率試験を行った。その結果、摩耗率は4.4%/hであり、実施例3に係るアルミナ小球体より劣るが、それでも、良好な磨耗率を示した。
[比較例2]
市販のジルコニア製φ0.5mmビーズ490gについて実施例3、4と同様な方法で摩耗率試験を行った。その結果、ジルコニアビーズの摩耗率は2.5%/hであった。
[実施例5]
液状原料用のセラミックス原料としてのアルミナ粉体(大明化学工業株式会社製 TM−DAR、アンモニウムアルミニウムカーボネイトハイドロオキサイドを熱分解し粉砕処理したアルミナ粉体、アルミナ含有率99.99%以上、平均粒径0.15μm、比表面積14m2/g)100gを、適量の分散剤(東亞合成株式会社製の商品名 アロンA−6114)とともに水37gに加えてボールミルにて混合し原料スラリーとした。
一方、敷き粉については、アルミナ粉体100gと、撥水剤としてステアリン酸エマルジョン(中京油脂株式会社製 セロゾール)50gと、水100gをボールミルにて混合した後、この混合物を100℃で乾燥させ、粉砕して80メッシュを通して調製した。次に、この敷き粉を1mm程度の厚さに敷いて滴下面を構成した。
そして、振動式のノズルから原料スラリーを滴下面に滴下させてスラリーを球状液滴とした。
次に、球状液滴を敷き粉とともに約60℃の温度で加熱し、乾燥させ、球状液滴をアルミナ小球体の前駆体としての小球体成形物とした。
次に、小球体成形物と敷き粉を篩い分けした後、小球体成形物を1255℃の温度で2時間焼成しアルミナ小球体を得た。なお、アルミナ小球体に付着している敷き粉由来の付着層は研磨により除去した。
得られたアルミナ小球体の見掛け密度は3.89g/cm3であった。この見掛け密度はゲーリュサック型比重瓶を用いて測定した。
また、得られたアルミナ小球体の焼結体組織の平均結晶粒子径は0.5μmであった。この平均結晶粒子径はアルミナ小球体の研磨エッチング面のSEM写真よりインターセプト法により10点測定した平均値である。
得られたアルミナ小球体のうち、篩い分け直径が0.25〜0.355mmの範囲となるものについて摩耗率試験を行った。
上記方法で得たアルミナ小球体315gを、媒体撹拌型粉砕機(三井鉱山株式会社製の商品名 SCミル SC100/32型 ローターはウレタンライニング、スクリーンはジルコニア製)に入れ、水1533mlにα−アルミナ粉体(大明化学工業株式会社製 TM−5D)2300gを分散させたスラリーとともに、ディスク周速12.6m/secで1時間回転、粉砕するテストを行い摩耗率を測定した。その結果、本形態のアルミナ小球体の摩耗率は0.8%/hであり、以下に説明する比較例と比較してかなり良好な耐磨耗性を示した。
このように本例のアルミナ小球体は、平均結晶粒子径が0.8μm以下、見かけ密度がアルミナの理論密度(3.989g/cm3)の96%以上の新規な球体であるため、これまでのアルミナ焼結体では得られない良好な耐磨耗性を発揮する。また、本形態のアルミナ小球体は、直径が0.1mmから0.8mmの真球形状の緻密質焼結体であり、種々の需要に応えることができる。
[比較例3]
市販のジルコニア製φ0.3mmビーズ490gについて、実施例5と同様な方法で摩耗率試験を行った。その結果、ジルコニアビーズの摩耗率は2.7%/hであった。
以上説明したように、本発明によれば、真球状のセラミックス小球体を得ることができ、かつ、平均粒径が0.25μm以下のアルミナ粒子を用いれば、アルミナ結晶の平均結晶粒子径が0.8μm以下、見かけ密度がアルミナの理論密度の96%以上、直径が0.8mm以下の真球形状のアルミナ小球体を製造することができる。このようなアルミナ小球体は、媒体攪拌型粉砕機の分散粉砕媒体として用いた場合、優れた耐磨耗性を発揮する。
本発明に係る方法で製造したセラミックス小球体を顕微鏡で拡大して見たときの説明図である。 本発明に係る方法で製造したアルミナ小球体の研磨エッチング面のSEM写真を示す説明図である。

Claims (9)

  1. 撥水性を備えた粉体を敷き詰めて滴下面を形成しておき、セラミックス原料を含む親水性の液状原料を前記滴下面に滴下させて当該滴下面上に球状液滴を形成し、しかる後に当該球状液滴に対して熱処理を行ってセラミックス小球体を製造するにあたって、
    前記粉体として、前記セラミックス小球体と同一材料からなる粉末に撥水処理を施してなる粉体を用いることを特徴とするセラミックス小球体の製造方法。
  2. 請求項1において、前記親水性の液状原料は、水系の液状原料であることを特徴とするセラミックス小球体の製造方法。
  3. 請求項1または2において、前記滴下面に対する前記液状原料の滴下を行って前記球状液滴を形成した後、該球状液滴の上層に再び前記滴下面を形成し、しかる後に、該滴下面に前記液状原料の滴下を行って前記球状液滴を新たに形成することを特徴とするセラミックス小球体の製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記セラミックス原料は、セラミックス粉末を含んでいることを特徴とするセラミックス小球体の製造方法。
  5. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記親水性の液状原料は、前記セラミックス原料として、平均粒径が0.25μm以下のアルミナ粉体を含んでいることを特徴とするセラミックス小球体の製造方法。
  6. 請求項5において、前記アルミナ粉体は、アンモニウムアルミニウムカーボネイトハイドロオキサイドを熱分解して得られたものであることを特徴とするセラミックス小球体の製造方法。
  7. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記セラミックス原料は、焼成によりセラミックスを形成する金属を含む化合物であることを特徴とするセラミックス小球体の製造方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに規定する製造方法で製造したことを特徴とするセラミックス小球体。
  9. 請求項8に規定するセラミックス小球体からなるアルミナ小球体であって、
    平均結晶粒子径が0.8μm以下であり、見かけ密度がアルミナの理論密度の96%以上の緻密質焼結体からなり、直径が0.8mm以下の真球形状を有することを特徴とするアルミナ小球体。
JP2004037175A 2003-03-04 2004-02-13 セラミックス小球体の製造方法、セラミックス小球体、およびアルミナ小球体 Expired - Lifetime JP4355231B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004037175A JP4355231B2 (ja) 2003-03-04 2004-02-13 セラミックス小球体の製造方法、セラミックス小球体、およびアルミナ小球体

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003057590 2003-03-04
JP2004037175A JP4355231B2 (ja) 2003-03-04 2004-02-13 セラミックス小球体の製造方法、セラミックス小球体、およびアルミナ小球体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004284943A JP2004284943A (ja) 2004-10-14
JP4355231B2 true JP4355231B2 (ja) 2009-10-28

Family

ID=33302055

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004037175A Expired - Lifetime JP4355231B2 (ja) 2003-03-04 2004-02-13 セラミックス小球体の製造方法、セラミックス小球体、およびアルミナ小球体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4355231B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102731111B (zh) * 2012-07-05 2014-01-15 北京科技大学 一种陶瓷微球的制备方法
JP6715025B2 (ja) * 2015-02-27 2020-07-01 Agcセラミックス株式会社 セラミックスビーズ
CN107140953B (zh) * 2017-04-18 2019-11-22 华中科技大学 一种快速挤出制备陶瓷微球的方法
CN111072375A (zh) * 2019-12-31 2020-04-28 青海圣诺光电科技有限公司 一种氧化铝研磨球的制备方法
CN116425564B (zh) * 2023-04-14 2024-03-12 北京华圻生态科技有限公司 一种氧化铝耐火材料及其制备方法
CN117735961B (zh) * 2023-12-21 2024-05-31 任红波 一种滴定法制备氧化铝研磨介质的方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004284943A (ja) 2004-10-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6986048B2 (ja) 成形研磨粒子及びその形成方法
US11926780B2 (en) Shaped abrasive particles and method of forming same
KR102006615B1 (ko) 형상화 연마 입자들을 포함하는 연마 물품
KR101313768B1 (ko) 나노 다이아몬드 분산액 및 그 제조 방법
JP6290428B2 (ja) 成形研磨粒子を含む研磨物品
JP2018020956A (ja) 粒子材料およびその形成方法
JP2017007088A (ja) 特定の形状を有する研磨粒子およびこのような粒子の形成方法
EP3114080B1 (en) Methods for producing a hydroxyapatite composition
US20210094835A1 (en) Porous silica particles and method for producing same
JP2017518887A (ja) 成形研磨粒子を含む研磨物品
KR20160023852A (ko) 형상화 연마 입자들을 포함하는 연마 물품
JP4355231B2 (ja) セラミックス小球体の製造方法、セラミックス小球体、およびアルミナ小球体
CN107207278B (zh) 磁性填料
JP7354783B2 (ja) セラミックス球形体の製造方法
WO2023191019A1 (ja) 多孔質シリカ粒子及びその製造方法
JP6568458B2 (ja) 摩擦材
JP2001146482A (ja) 球状セラミック焼結体の製造方法
CN109476550A (zh) 高强度成形氧化铝和用于生产这样的高强度成形氧化铝的方法
JP2008161948A (ja) バレル研磨方法および球体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050530

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080618

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080624

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080808

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090723

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090731

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4355231

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120807

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120807

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130807

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140807

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term