図1は、本発明の実施形態に係るアスファルトフィニッシャ100の概略図である。図1(A)はアスファルトフィニッシャ100の側面図であり、図1(B)は上面図である。
アスファルトフィニッシャ100は、主に、トラクタ1、ホッパ2及びスクリード3で構成されている。本実施形態では、アスファルトフィニッシャ100は、車長方向がX軸方向に対応し、且つ、車幅方向がY軸方向に対応するように配置されている。そして、Z軸は、X軸及びY軸のそれぞれと直交するように配置されている。具体的には、車長方向の前側が+X側に対応し、車長方向の後側が−X側に対応し、車幅方向の左側が+Y側に対応し、車幅方向の右側が−Y側に対応し、鉛直上方が+Z側に対応し、鉛直下方が−Z側に対応している。
トラクタ1は、アスファルトフィニッシャ100を走行させるための機構である。本実施形態では、トラクタ1は、後輪走行用モータを用いて後輪5を回転させ、且つ、前輪走行用モータを用いて前輪6を回転させてアスファルトフィニッシャ100を移動させる。後輪走行用モータ及び前輪走行用モータは油圧ポンプから作動油の供給を受けて回転する油圧モータである。トラクタ1は、車輪の代わりにクローラを備えていてもよい。
コントローラ50は、アスファルトフィニッシャ100を制御する制御装置である。本実施形態では、コントローラ50は、CPU、揮発性記憶装置及び不揮発性記憶装置を含むマイクロコンピュータであり、トラクタ1に搭載されている。コントローラ50の各種機能は、例えば、不揮発性記憶装置に記憶されたプログラムをCPUが実行することで実現される。
ホッパ2は、舗装材を受け入れるための機構である。舗装材は、例えば、アスファルト混合物等を含む。本実施形態では、トラクタ1の前側(+X側)に設置され、ホッパシリンダ24によってY軸方向(車幅方向)に開閉可能に構成される。アスファルトフィニッシャ100は、通常、ホッパ2を全開状態にしてダンプトラックの荷台から舗装材を受け入れる。図1(A)及び図1(B)はホッパ2が全開状態であることを示す。ホッパ2内の舗装材が減少するとホッパ2は閉じられ、ホッパ2の内壁付近にあった舗装材はホッパ2の中央部に集められる。ホッパ2の中央部にあるコンベアCVがトラクタ1の後側に舗装材を給送できるようにするためである。トラクタ1の後側(−X側)に給送された舗装材は、スクリュSCによってトラクタ1の後側且つスクリード3の前側で車幅方向に敷き拡げられる。
スクリード3は、舗装材を敷き均すための機構である。本実施形態では、スクリード3は、主に、メインスクリード30及び伸縮スクリード31を含む。伸縮スクリード31は、左伸縮スクリード31L及び右伸縮スクリード31Rを含む。スクリード3は、トラクタ1によって牽引される浮動スクリードであり、レベリングアーム3Aを介してトラクタ1に連結されている。スクリード3は、スクリードリフトシリンダ25の伸縮によってレベリングアーム3Aと共に上下に動かされる。
レベリングアーム3Aは、スクリード3をトラクタ1に連結できるように構成されている。具体的には、レベリングアーム3Aは、一端がスクリード3に連結され、他端がトラクタ1に回動可能に連結されている。
レベリングシリンダ23は、舗装材の敷き均し厚さを調整するためにレベリングアーム3Aの前端部分を上下動させる油圧シリンダである。本実施形態では、レベリングシリンダ23は、シリンダ部がトラクタ1に連結され、ロッド部がレベリングアーム3Aのトラクタ1との連結部に連結されている。敷き均し厚さを増大させる場合、コントローラ50は、油圧ポンプが吐出する作動油をレベリングシリンダ23のロッド側油室内に流入させ、レベリングシリンダ23を収縮させてレベリングアーム3Aを上昇させる。一方、敷き均し厚さを低減させる場合、コントローラ50は、レベリングシリンダ23のロッド側油室内の作動油を流出させ、レベリングシリンダ23を伸張させてレベリングアーム3Aを下降させる。
スクリードリフトシリンダ25は、スクリード3を持ち上げるための油圧シリンダである。本実施形態では、スクリードリフトシリンダ25は、シリンダ部がトラクタ1に連結され、ロッド部がレベリングアーム3Aの後端部分に連結されている。スクリード3を持ち上げる場合、コントローラ50は、油圧ポンプが吐出する作動油をスクリードリフトシリンダ25のロッド側油室内に流入させる。その結果、スクリードリフトシリンダ25は収縮し、レベリングアーム3Aの後端部分が持ち上がりスクリード3が持ち上がる。一方、持ち上げられたスクリード3を下ろす場合、コントローラ50は、スクリードリフトシリンダ25のロッド側油室内の作動油を流出可能とする。その結果、スクリード3の重量によってスクリードリフトシリンダ25は伸張し、レベリングアーム3Aの後端部分が下降してスクリード3が下降する。
伸縮スクリード31の遠位端は、サイドプレート40に取り付けられている。サイドプレート40は、左サイドプレート40L及び右サイドプレート40Rを含む。具体的には、左伸縮スクリード31Lの遠位端(左端)は、左サイドプレート40Lに取り付けられ、右伸縮スクリード31Rの遠位端(右端)は、右サイドプレート40Rに取り付けられている。
サイドプレート40は、伸縮モールドボード41の遠位端にも取り付けられている。伸縮モールドボード41は、スクリュSCによって敷き拡げられた舗装材のうち、伸縮スクリード31の手前に滞留する舗装材の量を調整する部材であり、伸縮スクリード31と共に車幅方向に伸縮できるように構成されている。
伸縮モールドボード41は、左伸縮モールドボード41L及び右伸縮モールドボード41Rを含む。具体的には、左伸縮モールドボード41Lの遠位端(左端)は、左サイドプレート40Lに取り付けられ、右伸縮モールドボード41Rの遠位端(右端)は、右サイドプレート40Rに取り付けられている。
伸縮モールドボード41は、伸縮スクリード31及びサイドプレート40とは無関係に、Z軸方向における高さを調節できるように構成されている。アスファルトフィニッシャ100は、伸縮モールドボード41を上下に移動させることで、伸縮スクリード31の手前に滞留する舗装材の量を調整でき、ひいては、伸縮スクリード31の下側に取り込まれる舗装材の量を調整できる。
スクリードステップ42は、作業者がスクリード3の後方で作業する際の足場を構成する部材である。具体的には、スクリードステップ42は、左スクリードステップ42L、中央スクリードステップ42C及び右スクリードステップ42Rを含む。
次に、図2〜図4を参照し、スクリード3について説明する。図2は、左伸縮スクリード31Lが僅かに伸長された状態にあり、且つ、右伸縮スクリード31Rが最大限に伸長された状態にあるスクリード3の概略図であり、図2(A)〜図2(C)を含む。具体的には、図2(A)は、スクリード3の上面図である。図2(B)は、図2(A)の線分L1を含む鉛直面(XZ平面)を+Y側から見たときの図である。図2(C)は、図2(A)の線分L2を含む鉛直面(XZ平面)を+Y側から見たときの図である。図3は、左伸縮スクリード31L及び右伸縮スクリード31Rの双方が最大限に伸長された状態にあるスクリード3の上面図である。図4は、左伸縮スクリード31L及び右伸縮スクリード31Rの双方が最大限に伸長された状態にあるスクリード3の背面図である。
図2〜図4は、明瞭化のため、図2(C)に示すバイブレータVB及びヒータHTを除き、バイブレータ、ストライクオフ、タンパ及びヒータ等の図示を省略している。しかしながら、実際には、メインスクリード30、左伸縮スクリード31L及び右伸縮スクリード31Rのそれぞれには、バイブレータ、タンパ装置、ストライクオフ及びヒータ等が個別に搭載されている。
バイブレータは、舗装面を締め固めるための振動装置である。本実施形態では、バイブレータは、油圧モータによって駆動される偏心バイブレータである。但し、バイブレータは、電動モータによって駆動されてもよく、ピストンバイブレータ等のリニアバイブレータであってもよい。
タンパ装置は、タンパエッジを上下動させるための装置である。タンパエッジは、舗装材が撒かれた路面を下端部で突き固めることができるように構成されている。
ストライクオフは、タンパ装置の前側に配置され、路面に撒かれた舗装材の呑込角度、及び、路面からの高さを定めることでタンパエッジに供給される舗装材の供給量を調整できるように構成されている。
ヒータは、スクリードプレートを加熱できるようにスクリードプレートに接するように配置されている。ヒータは、電気ヒータであってもよくガスヒータであってもよい。
伸縮スクリード31は、主に、伸縮シリンダ60、スクリードプレート61、前プレート62、ガイドシャフト63、遠位端プレート64、近位端プレート65、遠位端ブラケット66及び近位端ブラケット67で構成されている。
伸縮シリンダ60は、メインスクリード30の筐体の後面に固定されている支持部55によって支持され、伸縮スクリード31を車幅方向に伸縮させることができるように構成されている。具体的には、図2(A)に示すように、伸縮シリンダ60は左伸縮シリンダ60L及び右伸縮シリンダ60Rを含み、支持部55は左支持部55L及び右支持部55Rを含む。
左伸縮シリンダ60Lは、シリンダチューブCT及びロッドRDを含む油圧シリンダであり、左支持部55Lによって支持されている。そして、左伸縮シリンダ60Lは、右伸縮スクリード31Rよりも前側において、メインスクリード30に対して左伸縮スクリード31Lを車幅方向の左側に伸縮させる。
右伸縮シリンダ60Rは、シリンダチューブCT及びロッドRDを含む油圧シリンダであり、右支持部55Rによって支持されている。そして、右伸縮シリンダ60Rは、左伸縮スクリード31Lよりも後側において、メインスクリード30に対して右伸縮スクリード31Rを車幅方向の右側に伸縮させる。
スクリードプレート61は、伸縮スクリード31の底面を構成する板状部材である。具体的には、スクリードプレート61は、左スクリードプレート61L及び右スクリードプレート61Rを含む。スクリードプレート61は、タンパ装置で突き固められた舗装材を敷き均すことができるように構成されている。
前プレート62は、伸縮スクリード31の前面下部に配置される板状部材であり、舗装材を前方に押しながらスクリードプレート61の下側に舗装材を取り込むように構成されている。具体的には、前プレート62は、左前プレート62L及び右前プレート62Rを含む。
ガイドシャフト63は、伸縮スクリード31の伸縮をガイドするために車幅方向に延びるシャフトである。本実施形態では、ガイドシャフト63は、金属パイプで構成されている。具体的には、ガイドシャフト63は、図4に示すように、左ガイドシャフト63L及び右ガイドシャフト63Rを含む。本実施形態では、左ガイドシャフト63Lは、左伸縮シリンダ60Lを挟んで上下に配置された左上ガイドシャフト63TL及び左下ガイドシャフト63BLを含む。右ガイドシャフト63Rは、右伸縮シリンダ60Rを挟んで上下に配置された右上ガイドシャフト63TR及び右下ガイドシャフト63BRを含む。
遠位端プレート64は、ガイドシャフト63の遠位端に固定される板状部材である。具体的には、遠位端プレート64は、図4に示すように、左上ガイドシャフト63TL及び左下ガイドシャフト63BLのそれぞれの遠位端(+Y側の端部)に固定される左遠位端プレート64Lと、右上ガイドシャフト63TR及び右下ガイドシャフト63BRのそれぞれの遠位端(−Y側の端部)に固定される右遠位端プレート64Rと、を含む。
近位端プレート65は、ガイドシャフト63の近位端に固定される板状部材である。具体的には、近位端プレート65は、図4に示すように、左上ガイドシャフト63TL及び左下ガイドシャフト63BLのそれぞれの近位端(−Y側の端部)に固定される左近位端プレート65Lと、右上ガイドシャフト63TR及び右下ガイドシャフト63BRのそれぞれの近位端(+Y側の端部)に固定される右近位端プレート65Rと、を含む。
遠位端ブラケット66は、スクリードプレート61と遠位端プレート64とを連結できるように構成されている。具体的には、遠位端ブラケット66は、図4に示すように、左遠位端プレート64Lと左スクリードプレート61Lの遠位端とを連結する左遠位端ブラケット66L、及び、右遠位端プレート64Rと右スクリードプレート61Rの遠位端とを連結する右遠位端ブラケット66Rを含む。
近位端ブラケット67は、スクリードプレート61と近位端プレート65とを連結できるように構成されている。具体的には、近位端ブラケット67は、図4に示すように、左近位端プレート65Lと左スクリードプレート61Lの近位端とを連結する左近位端ブラケット67L、及び、右近位端プレート65Rと右スクリードプレート61Rの近位端とを連結する右近位端ブラケット67Rを含む。
左支持部55Lは、メインスクリード30の筐体の後面に固定され、且つ、メインスクリード30から後方に延びる板状部材である左外側プレート56L及び左内側プレート57Lを含む。
右支持部55Rは、メインスクリード30の筐体の後面に取り付けられた箱部58と、箱部58の後面から後方に延びる板状部材である右外側プレート56R及び右内側プレート57Rと、を含む。
左伸縮シリンダ60LのシリンダチューブCTは、図2(A)に示すように、左内側プレート57Lに揺動可能に取り付けられている。すなわち、左伸縮シリンダ60LのシリンダチューブCTは、左端部に近い一箇所で揺動可能に左内側プレート57Lに取り付けられ、右端部が非固定状態となるように構成されている。そして、左伸縮シリンダ60LのロッドRDの先端(左端)は、左遠位端プレート64Lに固定されている。この構成により、左伸縮シリンダ60Lは、シリンダチューブCTの延在方向をロッドRDの伸縮方向に合わせることができるため、ロッドRDを円滑に伸縮させることができる。
同様に、右伸縮シリンダ60RのシリンダチューブCTは、右内側プレート57Rに揺動可能に取り付けられている。すなわち、シリンダチューブCTは、右端部に近い一箇所で揺動可能に右内側プレート57Rに取り付けられ、左端部が非固定状態となるように構成されている。そして、右伸縮シリンダ60RのロッドRDの先端(右端)は、右遠位端プレート64Rに固定されている。この構成により、右伸縮シリンダ60Rは、シリンダチューブCTの延在方向をロッドRDの伸縮方向に合わせることができるため、ロッドRDを円滑に伸縮させることができる。
次に、図5を参照し、スクリード3を構成する各部の車幅方向における長さについて説明する。図5は、左伸縮スクリード31L及び右伸縮スクリード31Rの双方が最大限に伸長された状態にあるスクリード3の上面図である。
左伸縮スクリード31Lは、最大限に伸長されたときにメインスクリード30から左側(+Y側)に突出する長さW1と、メインスクリード30の左端から左近位端プレート65Lの右端までの長さW2との合計が、メインスクリード30の長さW3以下となるように構成されている。本実施形態では、左伸縮スクリード31Lは、長さW1と長さW2との合計が長さW3と等しくなるように構成されている。左伸縮スクリード31Lが最も縮められたときに、左伸縮スクリード31Lの左端がメインスクリード30の左端から突出しないようにするためである。
右伸縮スクリード31Rは、最大限に伸長されたときにメインスクリード30から右側(−Y側)に突出する長さW4と、メインスクリード30の右端から右近位端プレート65Rの左端までの長さW5との合計が、メインスクリード30の長さW3以下となるように構成されている。本実施形態では、右伸縮スクリード31Rは、長さW4と長さW5との合計が長さW3と等しくなるように構成されている。右伸縮スクリード31Rが最も縮められたときに、右伸縮スクリード31Rの右端がメインスクリード30の右端から突出しないようにするためである。
左支持部55Lは、左外側プレート56Lの左端と左内側プレート57Lの右端との間の長さである支持幅W6が長さW2未満となるように構成されている。左伸縮スクリード31Lを最大限に伸長させたときに、左内側プレート57Lと左近位端プレート65Lとが接触しないようにするためである。すなわち、左伸縮シリンダ60Lが最大限に伸長した状態になる前に左内側プレート57Lと左近位端プレート65Lとが接触し、その後に左伸縮シリンダ60Lが更に伸長したときに、過度に大きな力で左近位端プレート65Lが左内側プレート57Lを押してしまうのを防止するためである。なお、左伸縮シリンダ60Lは、このような状況が発生してしまうのを防止するために、ロッドRDの過度の伸長を防止するストッパ機能を備えていてもよい。右伸縮シリンダ60Rについても同様である。
同様に、右支持部55Rは、右外側プレート56Rの右端と右内側プレート57Rの左端との間の長さである支持幅W7が長さW5未満となるように構成されている。右伸縮スクリード31Rを最大限に伸長させたときに、右内側プレート57Rと右近位端プレート65Rとが接触しないようにするためである。
上述の構成により、アスファルトフィニッシャ100は、左伸縮スクリード31L及び右伸縮スクリード31Rを車幅方向に最大限に伸長させることで、両者が最も縮められたときに比べ、敷設される道路の幅を2倍以上(約3倍)に大きくすることができる。また、アスファルトフィニッシャ100は、敷設される道路の幅を無段階に調節できる。
次に、図6を参照し、ガイドシャフト63の回り止め構造について説明する。図6は、右ガイドシャフト63Rの回り止め構造の概略図であり、図6(A)〜図6(C)を含む。図6(A)は、右近位端プレート65Rを+Y側から見た図であり、図2(B)における一点鎖線で囲まれた範囲R1の拡大図に相当する。図6(B)は、図6(A)の線分L3を含む鉛直面(YZ平面)を−X側から見たときの図である。図6(C)は、図6(A)の線分L4を含む鉛直面(YZ平面)を−X側から見たときの図である。以下では、右上ガイドシャフト63TRの近位端(左端)の回り止め構造を代表例として説明する。但し、以下の説明は、右上ガイドシャフト63TRの遠位端(右端)、右下ガイドシャフト63BRの近位端(左端)及び遠位端(右端)、左上ガイドシャフト63TLの近位端(左端)及び遠位端(右端)、並びに、左下ガイドシャフト63BLの近位端(左端)及び遠位端(右端)のそれぞれにおける回り止め構造にも同様に適用される。
図6(B)に示すように、右上ガイドシャフト63TRの近位端(左端)は、円板状の第1プレートPL1が溶接されており、その第1プレートPL1によって塞がれている。そして、第1プレートPL1は、右上ガイドシャフト63TRが右外側プレート56R、右内側プレート57R及び右近位端プレート65Rのそれぞれに形成されている貫通孔に通された後で、6つの第1ボルトBT1によって第2プレートPL2に締結される。第1ボルトBT1は、ボルトBT1a〜BT1fを含む。具体的には、右上ガイドシャフト63TRは、右外側プレート56Rに形成された貫通孔H2、右内側プレート57Rに形成された貫通孔H12、及び、右近位端プレート65Rに形成された貫通孔H22のそれぞれに挿入される。このとき、右上ガイドシャフト63TRは、右外側プレート56R及び右内側プレート57Rのそれぞれによって摺動可能に支持されている。右近位端プレート65Rは、右上ガイドシャフト63TRによって摺動可能に支持されている。なお、右近位端プレート65Rは、図6(A)に示すように、右伸縮シリンダ60RのシリンダチューブCTを通すための貫通孔H5を中央部に有している。
その後、第1ボルトBT1によって第1プレートPL1に締結された第2プレートPL2は、図6(C)に示すように、4つの第2ボルトBT2によって右近位端プレート65Rに締結される。第2ボルトBT2は、ボルトBT2a〜BT2dを含む。
本実施形態では、第2プレートPL2の−Y側の面には、右上ガイドシャフト63TRの近位端(左端)に対して第2プレートPL2が位置決めされるように、円形の凹部RCが形成されている。但し、凹部RCは省略されてもよい。
このような回り止め構造により、右上ガイドシャフト63TRの近位端(左端)は、右近位端プレート65Rに対して回り止めされている。すなわち、右上ガイドシャフト63TRの近位端(左端)は、右伸縮スクリード31Rのフレームに対して回り止めされている。なお、右伸縮スクリード31Rのフレームは、右スクリードプレート61R、右前プレート62R、右遠位端プレート64R及び右近位端プレート65Rを含む。
右上ガイドシャフト63TRの遠位端(右端)、右下ガイドシャフト63BRの近位端(左端)及び遠位端(右端)、左上ガイドシャフト63TLの近位端(左端)及び遠位端(右端)、並びに、左下ガイドシャフト63BLの近位端(左端)及び遠位端(右端)のそれぞれについても同様である。
次に、図7を参照し、上述のような回り止め構造による効果について説明する。図7は、右伸縮スクリード31Rを−Y側から見たときの図である。図7は、明瞭化のため、右サイドプレート40R等の、右伸縮スクリード31Rを構成する部材以外の部材の図示を省略している。図7の高さHTは、右伸縮モールドボード41R(図1(B)参照。)を通過して右前プレート62Rに当たる舗装材の舗装面に対する高さを示している。
アスファルトフィニッシャ100による舗装が行われているとき、右伸縮スクリード31Rは、その前面に取り付けられた右前プレート62Rで舗装材を押しながら、舗装材を右スクリードプレート61Rの下側に取り込むように構成されている。
そのため、右伸縮スクリード31Rは、例えば、右伸縮スクリード31Rを押し上げようとする力と、右上ガイドシャフト63TRの中心軸CXを中心として右伸縮スクリード31Rを反時計回りに回転させようとする力を舗装材から受ける。
このとき、右上ガイドシャフト63TRの両端に回り止め構造が適用されていない場合、図7の二点鎖線及び矢印で示すように、右伸縮スクリード31Rは、右上ガイドシャフト63TRの中心軸CXを中心として反時計回りに回転してしまう。その結果、右上ガイドシャフト63TRと右下ガイドシャフト63BRとの間に配置されている右伸縮シリンダ60Rに比較的大きなねじり荷重が作用してしまう。右伸縮シリンダ60Rは、第3ボルトBT3によってロッドRDの先端(右端)が右遠位端プレート64Rに締結されているためである。
一方、右上ガイドシャフト63TRの両端に回り止め構造が適用されている場合、右伸縮スクリード31Rは、右上ガイドシャフト63TRの中心軸CXを中心として右伸縮スクリード31Rが反時計回りに回転してしまうのを抑制或いは防止できる。右上ガイドシャフト63TRが右伸縮スクリード31Rのフレームと一体化され、右伸縮スクリード31Rの全体としての剛性が高まるためである。その結果、右伸縮シリンダ60Rに比較的大きなねじり荷重が作用してしまうのを抑制或いは防止できる。
次に、図8を参照し、右伸縮シリンダ60Rと右内側プレート57Rとの連結構造について説明する。図8は、連結構造に関する図であり、図8(A)及び図8(B)を含む。図8(A)は、右内側プレート57Rを+Y側から見たときの図である。図8(B)は、右内側プレート57Rの中央部に形成された貫通孔H11を含む部分の図であり、図2(B)における一点鎖線で囲まれた範囲R2の拡大図に相当する。
以下では、右伸縮シリンダ60Rと右内側プレート57Rとの連結構造を代表例として説明する。但し、以下の説明は、左伸縮シリンダ60Lと左内側プレート57Lとの連結構造にも同様に適用される。
右内側プレート57Rは、図8(A)に示すように、貫通孔H11〜H13を有する。貫通孔H12は、右上ガイドシャフト63TRを摺動可能に受け入れ且つ支持できるように形成されている。貫通孔H13は、右下ガイドシャフト63BRを摺動可能に受け入れ且つ支持できるように形成されている。
左外側プレート56L、右外側プレート56R及び左内側プレート57Lのそれぞれも同様に、ガイドシャフト63を摺動可能に受け入れ且つ支持するための貫通孔を有する。
貫通孔H11は、右伸縮シリンダ60RのシリンダチューブCTを受け入れ且つ支持できるように形成されている。左内側プレート57Lは、同様に、右伸縮シリンダ60RのシリンダチューブCTを受け入れ且つ支持するための貫通孔を有する。
右伸縮シリンダ60RのシリンダチューブCTには、図8(B)に示すように、フランジ部FLが取り付けられている。
本実施形態では、フランジ部FLは、シリンダチューブCTの周囲に溶接される角丸長方形の板状部材であり、+X側の端面には円形の穴HL1が形成されており、−X側の端面には円形の穴HL2が形成されている。
穴HL1は、箱部58の背面に形成された貫通孔BH、及び、右内側プレート57Rの+X側の端面に形成された貫通孔TH1に差し込まれたピンPN1の先端を受け入れるように構成されている。
穴HL2は、右内側プレート57Rの−X側の端面に形成された貫通孔TH2に差し込まれたピンPN2の先端を受け入れるように構成されている。
このようにして、フランジ部FL、ピンPN1及びピンPN2は、トラ二オン構造を構成する。このトラ二オン構造は、線分L5で示す軸回りにフランジ部FLを揺動可能に支持する。すなわち、このトラ二オン構造は、フランジ部FLに溶接されたシリンダチューブCTを揺動可能に支持する。
なお、上述のトラ二オン構造は、X軸に平行な軸の回りで右伸縮シリンダ60Rを揺動させることができるように構成されているが、Z軸に平行な軸の回りで右伸縮シリンダ60Rを揺動させることができるように構成されていてもよい。また、フランジ部FLは、一対の穴HL1、HL2の代わりに、外側に突出する一対のピンを備えていてもよい。この場合、貫通孔H11の内壁にはそれら一対のピンの先端を受け入れる一対の穴が形成されていてもよい。また、伸縮スクリードは、トラ二オン構造の代わりに、X軸回りの揺動とZ軸回りの揺動を可能にするジンバル構造を備えていてもよい。
次に、図2〜図4及び図8を参照し、伸縮シリンダ60に関する作動油ホースの配索について説明する。
伸縮シリンダ60に関する作動油ホースは、伸縮シリンダ60のロッド側油室に作動油を供給し且つロッド側油室からの作動油を排出できるように構成されるロッド側ホース68と、伸縮シリンダ60のボトム側油室に作動油を供給し且つボトム側油室からの作動油を排出できるように構成されるボトム側ホース69と、を含む。
具体的には、左伸縮シリンダ60Lに関する作動油ホースは、左ロッド側ホース68L及び左ボトム側ホース69Lを含む。右伸縮シリンダ60Rに関する作動油ホースは、右ロッド側ホース68R及び右ボトム側ホース69Rを含む。
以下では、右伸縮シリンダ60Rに関する作動油ホースを代表例として説明する。但し、以下の説明は、左伸縮シリンダ60Lに関する作動油ホースにも同様に適用される。
右ロッド側ホース68R及び右ボトム側ホース69Rは何れも、図2(A)に示すように、右外側プレート56Rと右内側プレート57Rとの間を通るように配置されている。すなわち、右ロッド側ホース68R及び右ボトム側ホース69Rは何れも、図5に示す支持幅W7内を通るように配置されている。この配置は、右ロッド側ホース68R及び右ボトム側ホース69Rが右内側プレート57Rと右近位端プレート65Rとの間、又は、右外側プレート56Rと右遠位端プレート64Rとの間に挟まれて損傷してしまうのを防止できる。
右ロッド側ホース68Rは、右外側プレート56Rと右内側プレート57Rとの間において、右伸縮シリンダ60Rを構成するシリンダチューブCTのロッド側ポートに結合されている。
右ボトム側ホース69Rは、図8(B)に示すように、右内側プレート57Rの−Y側(右側)から貫通孔H11を通って右内側プレート57Rの+Y側(左側)に至る。そして、右ボトム側ホース69Rは、図2(A)に示すように、シリンダチューブCTに沿って+Y側(左側)に延び、シリンダチューブCTの左端にあるボトム側ポートに結合されている。具体的には、右ボトム側ホース69Rは、図8(B)に示すように、右内側プレート57Rの−Y側(右側)から、貫通孔H11の内壁とフランジ部FLとの間を通り、右内側プレート57Rの+Y側(左側)に至る。図8(B)における円形の斜線範囲R3は、右ボトム側ホース69Rの断面を表している。
次に、図2、図3及び図9を参照し、右支持部55Rを構成する箱部58について説明する。図9は、箱部58の斜視図である。
箱部58は、図2(A)に示すように、メインスクリード30の背面から後方に突出し、左伸縮スクリード31Lの可動範囲を跨ぐように、且つ、右支持部55Rを取り付けることができるように構成されている。
具体的には、箱部58は、図9に示すように、前面プレート58F、背面プレート58B、左側面プレート58L、右側面プレート58R(図2(B)参照。)及び頂面プレート58Tで構成されている。
左側面プレート58Lには、車幅方向に左伸縮スクリード31Lが通過できるように、切り欠きCUが形成されている。図2(A)は、左伸縮スクリード31Lを構成する左伸縮シリンダ60L、左スクリードプレート61L、左前プレート62L、左上ガイドシャフト63TL及び左下ガイドシャフト63BLのそれぞれの右端部と左近位端プレート65Lとが箱部58内に収容された状態を点線で示している。図3は、左伸縮シリンダ60LのシリンダチューブCTの右端部のみが箱部58内に残っている状態を点線で示している。すなわち、図3は、左スクリードプレート61L、左前プレート62L、左上ガイドシャフト63TL、左下ガイドシャフト63BL及び左近位端プレート65Lが箱部58から出た状態を示している。
このように、箱部58には、左スクリードプレート61L、左前プレート62L、左上ガイドシャフト63TL、左下ガイドシャフト63BL及び左近位端プレート65Lが箱部58に出入りできるように、切り欠きCUが形成されている。
上述のように、本発明の実施形態に係るアスファルトフィニッシャ100は、トラクタ1と、トラクタ1の前側に設置されて舗装材を受け入れるホッパ2と、ホッパ2内の舗装材をトラクタ1の後側へ給送するコンベアCVと、コンベアCVにより給送された舗装材をトラクタ1の後側で敷き拡げるスクリュSCと、スクリュSCにより敷き拡げられた舗装材をスクリュSCの後側で敷き均すスクリード3と、を備えている。スクリード3は、車長方向で重ならないようにずらして配置されるメインスクリード30と伸縮スクリード31とを含む。伸縮スクリード31は、左伸縮スクリード31L及び右伸縮スクリード31Rを含む。左伸縮スクリード31Lは、第1ガイドシャフトとしての左上ガイドシャフト63TLと、第2ガイドシャフトとしての左下ガイドシャフト63BLと、によって支持されている。そして、左上ガイドシャフト63TL及び左下ガイドシャフト63BLは何れも両端で回り止めされている。右伸縮スクリード31Rは、第1ガイドシャフトとしての右上ガイドシャフト63TRと、第2ガイドシャフトとしての右下ガイドシャフト63BRと、によって支持されている。そして、右上ガイドシャフト63TR及び右下ガイドシャフト63BRは何れも両端で回り止めされている。
この構成により、アスファルトフィニッシャ100は、高い剛性を有する伸縮スクリード31を備えることができ、アスファルトフィニッシャ100の全体としての耐久性を向上させることができる。
第1ガイドシャフトは、望ましくは、第2ガイドシャフトの上に配置されている。例えば、本実施形態では、図4に示すように、左上ガイドシャフト63TLは、左下ガイドシャフト63BLの上に配置されている。また、右上ガイドシャフト63TRは、右下ガイドシャフト63BRの上に配置されている。
また、第1ガイドシャフトと第2ガイドシャフトとの間には、望ましくは、油圧シリンダが配置されている。例えば、本実施形態では、図4に示すように、左上ガイドシャフト63TLと左下ガイドシャフト63BLとの間には、左伸縮シリンダ60Lが配置されている。また、右上ガイドシャフト63TRと右下ガイドシャフト63BRとの間には、右伸縮シリンダ60Rが配置されている。
このように、本実施形態では、アスファルトフィニッシャ100は、車長方向において、伸縮シリンダ60の位置とガイドシャフト63の位置とが一致するように構成されている。具体的には、アスファルトフィニッシャ100は、車長方向において、左伸縮シリンダ60Lの位置と左ガイドシャフト63Lの位置とが一致し、且つ、右伸縮シリンダ60Rの位置と右ガイドシャフト63Rの位置とが一致するように構成されている。そのため、アスファルトフィニッシャ100は、車長方向において伸縮シリンダ60の位置とガイドシャフト63の位置とが異なる場合に比べ、伸縮シリンダ60に作用するねじり荷重を小さくすることができる。その結果、アスファルトフィニッシャ100は、伸縮シリンダ60の伸縮をより滑らかにすることができる。
油圧シリンダは、望ましくは、一箇所で揺動可能に配置されている。例えば、本実施形態では、右伸縮シリンダ60Rは、図8(B)に示すように、右内側プレート57Rの貫通孔H11内の一箇所で、フランジ部FLを介して右内側プレート57Rに対して揺動可能に取り付けられている。左伸縮シリンダ60Lについても同様である。この構成により、アスファルトフィニッシャ100は、シリンダチューブCTの延在方向をロッドRDの伸縮方向に合わせることができるため、伸縮シリンダ60の伸縮を更に滑らかにすることができる。
第1ガイドシャフト及び第2ガイドシャフトは、望ましくは、メインスクリード30から車長方向に突出するようにメインスクリード30に取り付けられた、所定の支持幅を有する支持部55によって支持されている。そして、車幅方向におけるメインスクリード30の幅W3は、支持幅と油圧シリンダのストローク長との合計より大きくなるように構成されている。
例えば、本実施形態では、図5に示すように、左上ガイドシャフト63TL及び左下ガイドシャフト63BLは、支持幅W6を有する左支持部55Lによって支持されている。そして、メインスクリード30の幅W3は、支持幅W6と左伸縮シリンダ60Lのストローク長に相当する長さW1との合計より大きくなるように構成されている。また、右上ガイドシャフト63TR及び右下ガイドシャフト63BRは、支持幅W7を有する右支持部55Rによって支持されている。そして、メインスクリード30の幅W3は、支持幅W7と右伸縮シリンダ60Rのストローク長に相当する長さW4との合計より大きくなるように構成されている。この構成により、アスファルトフィニッシャ100は、伸縮スクリード31が最も縮められたときに、伸縮スクリード31の遠位端がメインスクリード30の端から突出してしまうのを防止できる。すなわち、アスファルトフィニッシャ100は、メインスクリード30の幅W3内に伸縮シリンダ60を完全に収容できる。
伸縮スクリード31は、第1伸縮スクリードとしての左伸縮スクリード31Lと、車長方向において左伸縮スクリード31Lよりもメインスクリード30から離れた位置に配置される第2伸縮スクリードとしての右伸縮スクリード31Rと、を含む。支持部55は、左伸縮スクリード31Lに関する第1支持部としての左支持部55Lと、右伸縮スクリード31Rに関する第2支持部としての右支持部55Rと、を含む。そして、右支持部55Rには、左伸縮スクリード31Lを収容可能な空間が形成されている。例えば、本実施形態では、図9に示すように、右支持部55Rの箱部58には、左伸縮スクリード31Lを収容可能な空間SPが形成されている。この構成により、アスファルトフィニッシャ100は、メインスクリード30、左伸縮スクリード31L及び右伸縮スクリード31Rが車長方向に並ぶように配置される場合であっても、メインスクリード30の幅W3内に左伸縮シリンダ60Lを完全に収容できる。
油圧シリンダを伸縮させるための作動油を供給する作動油ホースは、望ましくは、支持幅内を通るように配置されている。例えば、本実施形態では、図3に示すように、左伸縮シリンダ60Lを伸縮させるための作動油を供給する左ロッド側ホース68L及び左ボトム側ホース69Lは、図5に示す支持幅W6内を通るように配置されている。また、右伸縮シリンダ60Rを伸縮させるための作動油を供給する右ロッド側ホース68R及び右ボトム側ホース69Rは、図5に示す支持幅W7内を通るように配置されている。この構成により、アスファルトフィニッシャ100は、伸縮シリンダ60に関する作動油ホースが内側プレート57と近位端プレート65との間、又は、外側プレート56と遠位端プレート64との間に挟まれて損傷してしまうのを防止できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形又は置換等が適用され得る。また、別々に説明された特徴は、技術的な矛盾が生じない限り、組み合わせが可能である。
例えば、上述の実施形態では、左ガイドシャフト63Lは、左伸縮シリンダ60Lを挟んで上下に配置された左上ガイドシャフト63TL及び左下ガイドシャフト63BLを含む。右ガイドシャフト63Rは、右伸縮シリンダ60Rを挟んで上下に配置された右上ガイドシャフト63TR及び右下ガイドシャフト63BRを含む。
しかしながら、左ガイドシャフト63Lは、左伸縮シリンダ60Lを挟んで前後に配置される左前ガイドシャフト及び左後ガイドシャフトを含んでいてもよい。同様に、右ガイドシャフト63Rは、右伸縮シリンダ60Rを挟んで前後に配置される右前ガイドシャフト及び右後ガイドシャフトを含んでいてもよい。
また、上述の実施形態において、スクリード3は、ストライクオフが別体として取り付けられる構造を採用している。しかしながら、ストライクオフは、前プレート62に一体化されていてもよい。