JP6714568B2 - ビードシール構造 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池用金属セパレータに設けられたビードシール構造に関する。
一般的に、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる固体高分子電解質膜を採用している。燃料電池は、固体高分子電解質膜の一方の面にアノード電極が、前記固体高分子電解質膜の他方の面にカソード電極が、それぞれ配設された電解質膜・電極構造体(MEA)を備える。MEAは、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持されることにより、発電セル(単位燃料電池)が構成されている。発電セルは、所定の数だけ積層されることにより、例えば、車載用燃料電池スタックとして使用されている。
発電セルでは、セパレータとして金属セパレータが使用される場合がある。アノード電極に沿って一方の反応ガスである燃料ガスを流す燃料ガス流路が形成されたアノード側金属セパレータがMEAの一方面側に配置され、カソード電極に沿って他方の反応ガスである酸化剤ガスを流す酸化剤ガス流路が形成されたカソード側金属セパレータがMEAの他方面側に配置される。
ところで、下記特許文献1では、製造コストを低減するため、金属セパレータにシール部としてプレス成形により凸形状のビードシール(境界壁7)を形成することが開示されている。また、下記特許文献1では、金属セパレータに設けられた反応ガス流路の流路幅方向端部での反応ガスのバイパスを防止するために、ビードシールに交差するバイパス止め凸状部(制限部材10)が設けられている。
特許第5239091号公報
本発明は、上記の従来技術に関連してなされたものであり、ビードシールに対して交差する交差要素部(バイパス止め凸状部等)が設けられたビードシール構造において、ビードシール頂部の面圧分布の均一化を図ることを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、燃料電池用金属セパレータにセパレータ厚さ方向に突出して形成され、流体の漏れを防止するビードシールと、前記ビードシールに対して交差する交差要素部とを備えたビードシール構造において、前記交差要素部は、前記燃料電池用金属セパレータのベースプレート部からの立ち上がり起点である根元部と、前記ベースプレート部から立ち上がった側壁とを有し、前記根元部の前記ビードシールとの接続部位の曲率半径は、前記側壁の前記ビードシールとの接続部位の曲率半径よりも大きい。
前記交差要素部は、前記流体のバイパスを防止するバイパス止め凸状部、又は内側空間が前記ビードシールと連通したトンネルであることが好ましい。
前記交差要素部は、前記セパレータ厚さ方向から見た平面視で、前記ビードシールに対して90°の角度で交差することが好ましい。
前記交差要素部の頂部高さは、前記ビードシールの頂部高さよりも低いことが好ましい。
前記ビードシールの断面形状は、台形状であることが好ましい。
前記交差要素部の断面形状は、台形状であることが好ましい。
本発明のビードシール構造によれば、交差要素部の根元部のビードシールとの接続部位の曲率半径は、交差要素部の側壁のビードシールとの接続部位の曲率半径よりも大きい。これにより、公差等の寸法ズレに対してビードシール頂部の面圧(シール面圧)の感度を低くすることができる。これにより、ビードシール頂部の面圧分布の均一化(面圧変動の抑制)が図られる。
本発明の実施形態に係るビードシール構造を備えた発電セルの分解斜視図である。 図1及び図4におけるII−II線に沿った発電セルの断面図である。 第1金属セパレータ側から見た発電セルの平面図である。 第1金属セパレータの要部拡大平面図である。 本発明の実施形態に係るビードシール構造の斜視断面図である。 図5におけるVI−VI線に沿った断面図である。 第1金属セパレータに設けれた連通孔ビード部の拡大平面図である。 第2金属セパレータ側から見た発電セルの平面図である。 第2金属セパレータの要部拡大平面図である。 交差要素部の根元部の接続部位の曲率半径を変更した場合のビードシールの圧縮荷重特性を示す図である。
以下、本発明に係るビードシール構造について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
図1に示す単位燃料電池を構成する発電セル12は、樹脂フィルム付きMEA28と、樹脂フィルム付きMEA28の一方面側(矢印A1方向側)に配置された第1金属セパレータ30と、樹脂フィルム付きMEA28の他方面側(矢印A2方向側)に配置された第2金属セパレータ32とを備える。複数の発電セル12が、例えば、矢印A方向(水平方向)又は矢印C方向(重力方向)に積層されるとともに、積層方向の締付荷重(圧縮荷重)が付与されて、燃料電池スタック10が構成される。燃料電池スタック10は、例えば、車載用燃料電池スタックとして燃料電池電気自動車(図示せず)に搭載される。
第1金属セパレータ30及び第2金属セパレータ32は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した金属薄板の断面を波形にプレス成形して構成される。互いに隣接する発電セルにおける一方の発電セルの第1金属セパレータ30と、他方の発電セルの第2金属セパレータ32とは、外周を溶接、ろう付け、かしめ等により一体に接合され、接合セパレータ33を構成する。
発電セル12の長辺方向である水平方向の一端縁部(矢印B1方向側の縁部)には、積層方向(矢印A方向)に互いに連通して、酸化剤ガス入口連通孔34a、冷却媒体入口連通孔36a及び燃料ガス出口連通孔38bが設けられる。酸化剤ガス入口連通孔34a、冷却媒体入口連通孔36a及び燃料ガス出口連通孔38bは、鉛直方向(矢印C方向)に配列して設けられる。酸化剤ガス入口連通孔34aは、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給する。冷却媒体入口連通孔36aは、冷却媒体、例えば、水を供給する。燃料ガス出口連通孔38bは、燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出する。
発電セル12の長辺方向である水平方向の他端縁部(矢印B2方向側の縁部)には、積層方向に互いに連通して、燃料ガス入口連通孔38a、冷却媒体出口連通孔36b及び酸化剤ガス出口連通孔34bが設けられる。燃料ガス入口連通孔38a、冷却媒体出口連通孔36b及び酸化剤ガス出口連通孔34bは、鉛直方向に配列して設けられる。燃料ガス入口連通孔38aは、燃料ガスを供給する。冷却媒体出口連通孔36bは、冷却媒体を排出する。酸化剤ガス出口連通孔34bは、酸化剤ガスを排出する。酸化剤ガス入口連通孔34a及び酸化剤ガス出口連通孔34bと燃料ガス入口連通孔38a及び燃料ガス出口連通孔38bの配置は、本実施形態に限定されるものではなく、要求される仕様に応じて、適宜設定すればよい。
図2に示すように、樹脂フィルム付きMEA28は、電解質膜・電極構造体28a(以下、「MEA28a」と表記する)と、MEA28aの外周部に設けられた枠形状の樹脂フィルム46とを備える。
MEA28aは、電解質膜40と、電解質膜40を挟持するアノード電極42及びカソード電極44とを有する。電解質膜40は、例えば、固体高分子電解質膜(陽イオン交換膜)である。固体高分子電解質膜は、例えば、水分を含んだパーフルオロスルホン酸の薄膜である。電解質膜40は、アノード電極42及びカソード電極44に挟持される。電解質膜40は、フッ素系電解質の他、HC(炭化水素)系電解質を使用することができる。
カソード電極44は、電解質膜40の一方の面に接合される第1電極触媒層44aと、第1電極触媒層44aに積層される第1ガス拡散層44bとを有する。アノード電極42は、電解質膜40の他方の面に接合される第2電極触媒層42aと、第2電極触媒層42aに積層される第2ガス拡散層42bとを有する。
第1電極触媒層44a及び第2電極触媒層42aは、電解質膜40の両面に形成される。第1電極触媒層44aは、例えば、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が、イオン導電性高分子バインダとともに第1ガス拡散層44bの表面に一様に塗布されて形成される。第2電極触媒層42aは、例えば、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が、イオン導電性高分子バインダとともに第2ガス拡散層42bの表面に一様に塗布されて形成される。第1ガス拡散層44b及び第2ガス拡散層42bは、カーボンペーパ又はカーボンクロス等から形成される。
図1に示すように、樹脂フィルム46の矢印B1方向側の縁部には、酸化剤ガス入口連通孔34a、冷却媒体入口連通孔36a及び燃料ガス出口連通孔38bが設けられる。樹脂フィルム46の矢印B2方向側の縁部には、燃料ガス入口連通孔38a、冷却媒体出口連通孔36b及び酸化剤ガス出口連通孔34bが設けられる。
図2に示すように、樹脂フィルム46は、厚さの異なる2枚の枠状シート46a、46bを有する。具体的には、樹脂フィルム46は、内周部がMEA28aの外周部に接合された第1枠状シート46aと、第1枠状シート46aに接合された第2枠状シート46bとを有する。第1枠状シート46aと第2枠状シート46bとは、接着剤からなる接着層46cにより、厚さ方向に互いに接合されている。第2枠状シート46bは、第1枠状シート46aの外周部に接合される。
第1枠状シート46a及び第2枠状シート46bは樹脂材料により構成される。第1枠状シート46a及び第2枠状シート46bの構成材料としては、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PPA(ポリフタルアミド)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルフォン)、LCP(リキッドクリスタルポリマー)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、m−PPE(変性ポリフェニレンエーテル樹脂)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)又は変性ポリオレフィン等が挙げられる。
樹脂フィルム46の内周部46n(第1枠状シート46aの内周部)は、アノード電極42の外周部とカソード電極44の外周部との間に配置される。具体的に、樹脂フィルム46の内周部46nは、電解質膜40の外周部とアノード電極42の外周部との間に挟持される。樹脂フィルム46の内周部46nと電解質膜40の外周部とは、接着層46cを介して接合される。なお、樹脂フィルム46の内周部46nは、電解質膜40とカソード電極44との間に挟持されてもよい。
なお、樹脂フィルム46を用いることなく、電解質膜40を外方に突出させてもよい。また、外方に突出した電解質膜40の両側に枠形状のフィルムを設けてもよい。
図3に示すように、第1金属セパレータ30の樹脂フィルム付きMEA28に向かう面30a(以下、「表面30a」という)には、例えば、矢印B方向に延在する酸化剤ガス流路48が設けられる。酸化剤ガス流路48は、酸化剤ガス入口連通孔34a及び酸化剤ガス出口連通孔34bに流体的に連通する。酸化剤ガス流路48は、矢印B方向に延在する複数本の流路形成突起48a間に形成された複数の流路溝48bを有する。従って、酸化剤ガス流路48では、複数の流路形成突起48aと複数の流路溝48bとが流路幅方向(矢印C方向)に交互に配置されている。本実施形態において、流路形成突起48a及び流路溝48bは、平面形状が波形状であるが、これに限らず、流路形成突起48a及び流路溝48bは、平面形状がストレート形状であってもよい。
流路形成突起48aの幅方向(矢印C方向)両側の側壁は、セパレータ厚さ方向に対して傾斜しており、流路形成突起48aの横断面形状は台形状である。なお、流路形成突起48aの幅方向両側の側壁は、セパレータ厚さ方向と平行であり、流路形成突起48aの横断面形状は矩形状であってもよい。以下、複数の流路形成突起48aのうち、流路幅方向の両端に位置するものを「端部流路形成突起48a1」という。端部流路形成突起48a1は、第1ガス拡散層44bの外端44beよりも内側に配置されている。
第1金属セパレータ30の表面30aにおいて、酸化剤ガス入口連通孔34aと酸化剤ガス流路48との間には、矢印C方向に並ぶ複数個のエンボス部50aからなるエンボス列を複数有する入口バッファ部50Aが設けられる。また、第1金属セパレータ30の表面30aにおいて、酸化剤ガス出口連通孔34bと酸化剤ガス流路48との間には、複数個のエンボス部50bからなるエンボス列を複数有する出口バッファ部50Bが設けられる。
なお、第1金属セパレータ30の、酸化剤ガス流路48とは反対側の面30bには、入口バッファ部50Aの上記エンボス列間に、面30b側に突出し矢印C方向に並ぶ複数個のエンボス部67aからなるエンボス列が設けられるとともに、出口バッファ部50Bの上記エンボス列間に、面30b側に突出し矢印C方向に並ぶ複数個のエンボス部67bからなるエンボス列が設けられる(図1参照)。エンボス部67a、67bは、冷媒面側のバッファ部を構成する。
第1金属セパレータ30の表面30aには、プレス成形により第1シールライン52が樹脂フィルム付きMEA28(図1)に向かって膨出成形される。詳細は図示しないが、第1シールライン52の凸部先端面には、樹脂材が印刷又は塗布等により固着されてもよい。なお、当該樹脂材はなくてもよい。
第1シールライン52は、複数の連通孔(酸化剤ガス入口連通孔34a等)を個別に囲む複数のビードシール53(以下、「連通孔ビード部53」という)と、酸化剤ガス流路48、入口バッファ部50A及び出口バッファ部50Bを囲むビードシール54(以下、「外周側ビード部54」という)とを有する。連通孔ビード部53及び外周側ビード部54は、第1金属セパレータ30の厚さ方向から見た平面形状が波形状である。なお、連通孔ビード部53及び外周側ビード部54は、平面形状がストレート形状を有していてもよい。
複数の連通孔ビード部53は、第1金属セパレータ30の表面30aからMEA28に向かって突出するとともに、酸化剤ガス入口連通孔34a、酸化剤ガス出口連通孔34b、燃料ガス入口連通孔38a、燃料ガス出口連通孔38b、冷却媒体入口連通孔36a及び冷却媒体出口連通孔36bの周囲をそれぞれ個別に周回する。以下、複数の連通孔ビード部53のうち、酸化剤ガス入口連通孔34aを囲むものを「連通孔ビード部53a」と表記し、酸化剤ガス出口連通孔34bを囲むものを「連通孔ビード部53b」と表記する。
第1金属セパレータ30には、連通孔ビード部53a、53bの内側(連通孔34a、34b側)及び外側(酸化剤ガス流路48側)を連通するブリッジ部80、82が設けられる。酸化剤ガス入口連通孔34aを囲む連通孔ビード部53aの、酸化剤ガス流路48側の辺部に、ブリッジ部80が設けられる。酸化剤ガス出口連通孔34bを囲む連通孔ビード部53bの、酸化剤ガス流路48側の辺部に、ブリッジ部82が設けられる。
ブリッジ部80、82は、連通孔ビード部53a、53bの内側及び外側にそれぞれ複数本のトンネル80t、82t(ビードシールと交差する交差要素部)を有する。トンネル80t、82tは、プレス成形により、第1金属セパレータ30の表面30aから樹脂フィルム付きMEA28(図2参照)側に向かって突出成形される。
図4に示すように、酸化剤ガス流路48の流路幅方向両端部(端部流路形成突起48a1)と外周側ビード部54との間に、酸化剤ガスのバイパスを防止する第1バイパス止め凸状部84(ビードシールと交差する交差要素部)が設けられている。本実施形態では、酸化剤ガス流路48の流路幅方向は、長方形状の第1金属セパレータ30の短辺に沿った方向(矢印C方向)である。第1バイパス止め凸状部84は、樹脂フィルム付きMEA28(図2参照)側に向かって突出成形される。各第1バイパス止め凸状部84は、一端が外周側ビード部54に繋がり、他端が端部流路形成突起48a1に繋がっている。第1バイパス止め凸状部84は、外周側ビード部54に対して交差する。本実施形態において、第1バイパス止め凸状部84は、セパレータ厚さ方向から見た平面視で、外周側ビード部54に対して略90°の角度で交差する。
第1バイパス止め凸状部84は、端部流路形成突起48a1の延在方向(矢印B方向)に間隔を置いて複数個配列されている。互いに隣接する第1バイパス止め凸状部84の間には、MEA28aの外周部を支持する中間凸状部89が設けられている。中間凸状部89は、樹脂フィルム付きMEA28に向かって突出している。中間凸状部89は、互いに隣接する第1バイパス止め凸状部84の間に、複数個ずつ配置されている。
図5に示すように、外周側ビード部54の断面形状は、凸形状の先端側に向かって先細り形状となる略台形状である。具体的には、外周側ビード部54の両側の側壁54sは、セパレータ厚さ方向(矢印A方向)に対して傾斜している。外周側ビード部54の突出端部である頂部54tの形状は、締付荷重が付与されていない状態(組立前の状態)で外周側ビード部54の突出方向に膨出する湾曲形状であるが、締付荷重が付与された燃料電池スタック10の組立状態では、平坦状となる。なお、外周側ビード部54の幅方向両側の側壁54sは、セパレータ厚さ方向と平行であり、外周側ビード部54の横断面形状は矩形状であってもよい。
第1バイパス止め凸状部84は、ベースプレート部30sからの立ち上がり起点である根元部84rを有する。側壁84sは、ベースプレート部30sから立ち上がり、根元部84rから頂部84tまでを構成する。第1バイパス止め凸状部84の幅方向(矢印B方向)両側の側壁84sは、セパレータ厚さ方向に対して傾斜しており、第1バイパス止め凸状部84の横断面形状は略台形状である。なお、第1バイパス止め凸状部84の幅方向両側の側壁84sは、セパレータ厚さ方向と平行であり、第1バイパス止め凸状部84の横断面形状は矩形状であってもよい。第1金属セパレータ30のベースプレート部30sからの第1バイパス止め凸状部84の突出高さ(頂部84tの高さ)は、ベースプレート部30sからの外周側ビード部54の突出高さ(頂部54tの高さ)よりも低い。
第1バイパス止め凸状部84の根元部84rの外周側ビード部54との接続部位102(外周側ビード部54の根元部54rとの接続部位)は、弧状に湾曲している。接続部位102は、第1バイパス止め凸状部84と外周側ビード部54の根元部84r、54r同士が繋がる部位である。第1バイパス止め凸状部84の側壁84sの外周側ビード部54(外周側ビード部54の側壁54s)との接続部位104は、弧状に湾曲している。接続部位104は、根元部84rと頂部84tとの間で、第1バイパス止め凸状部84と外周側ビード部54の側壁84s、54s同士が繋がる部位である。
図6に示すように、根元部54r、84r同士の接続部位102の曲率半径R1は、側壁54s、84s同士の接続部位104の曲率半径r1よりも大きい(R1>r1)。根元部54r、84r同士の接続部位102は、単一の曲率半径を含む湾曲(円弧)に限らず、複数の曲率半径を含む湾曲形状であってもよい。接続部位104は、曲率半径r1が略ゼロの部位を有していてもよい。
図7に示すように、ブリッジ部80を構成する複数のトンネル80tは、連通孔ビード部53aの内側の側壁53sから酸化剤ガス入口連通孔34aに向かって突出した複数の内側トンネル80t1と、連通孔ビード部53aの外側の側壁53sから酸化剤ガス流路48(図3)に向かって突出した複数の外側トンネル80t2とを有する。各トンネル80tの裏側凹形状である内部空間は、連通孔ビード部53aの裏側形状である内部空間と連通している。各トンネル80tは、連通孔ビード部53aに対して交差する。本実施形態において、各トンネル80tは、連通孔ビード部53aと略90°の角度で交差する。
複数の内側トンネル80t1は、連通孔ビード部53aの延在方向に沿って互いに間隔を置いて配置されている。各内側トンネル80t1の、連通孔ビード部53aと接続する側とは反対側の端部は、酸化剤ガス入口連通孔34aにて開口する。
複数の外側トンネル80t2は、連通孔ビード部53aの延在方向に沿って互いに間隔を置いて配置されている。外側トンネル80t2の、連通孔ビード部53aとの接続箇所とは反対側の端部には、外側トンネル80t2の内外を貫通する開口部83が設けられる。
複数の内側トンネル80t1と複数の外側トンネル80t2とは、連通孔ビード部53aに沿って互い違い(ジグザグ状)に配置されている。なお、複数の内側トンネル80t1と複数の外側トンネル80t2とは、連通孔ビード部53aを介して互いに対向配置されてもよい。
連通孔ビード部53aの断面形状は、凸形状の先端側に向かって先細り形状となる略台形状である。具体的には、連通孔ビード部53aの両側の側壁53sは、セパレータ厚さ方向に対して傾斜している。連通孔ビード部53aの突出端部である頂部53tの形状は、締付荷重が付与されていない状態(組立前の状態)で連通孔ビード部53aの突出方向に膨出する湾曲形状であるが、締付荷重が付与された燃料電池スタック10の組立状態では、平坦状となる。なお、連通孔ビード部53aの側壁53sは、セパレータ厚さ方向と平行であり、連通孔ビード部53aの横断面形状は矩形状であってもよい。
トンネル80tは、ベースプレート部30sからの立ち上がり起点である根元部80trを有する。トンネル80tの側壁80tsは、ベースプレート部30sから立ち上がり、根元部80trから頂部80ttまでを構成する。各トンネル80tの断面形状は、凸形状の先端側に向かって先細り形状となる略台形状である。具体的には、トンネル80tの両側の側壁80tsは、セパレータ厚さ方向に対して傾斜している。トンネル80tの側壁80tsは、セパレータ厚さ方向と平行であり、トンネル80tの横断面形状は矩形状であってもよい。第1金属セパレータ30のベースプレート部30sからのトンネル80tの突出高さ(頂部80ttの高さ)は、ベースプレート部30sからの連通孔ビード部53aの突出高さ(頂部53tの高さ)よりも低い。
トンネル80tの根元部80trの連通孔ビード部53aとの接続部位106(連通孔ビード部53aの根元部53rとの接続部位)は、弧状に湾曲している。トンネル80tの側壁80tsの連通孔ビード部53a(連通孔ビード部53aの側壁53s)との接続部位108は、弧状に湾曲している。
連通孔ビード部53aとトンネル80tとの根元部53r、80tr同士の接続部位106の曲率半径R2は、側壁53s、80ts同士の接続部位108の曲率半径r2よりも大きい(R2>r2)。連通孔ビード部53aとトンネル80tとの根元部53r、80tr同士の接続部位106は、単一の曲率半径を含む湾曲(円弧)に限らず、複数の曲率半径を含む湾曲形状であってもよい。接続部位108は、曲率半径r2が略ゼロの部位を有していてもよい。内側トンネル80t1と連通孔ビード部53aとの接続部位は、外側トンネル80t2と連通孔ビード部53aとの接続部位と同様に構成されている。
なお、第1金属セパレータ30における他方のブリッジ部82を構成する複数のトンネル82tも、上述した一方のブリッジ部80を構成する複数のトンネル80tと同様に構成されている。
図8に示すように、第2金属セパレータ32の樹脂フィルム付きMEA28(図1)に向かう面32a(以下、「表面32a」という)には、例えば、矢印B方向に延在する燃料ガス流路58が形成される。
燃料ガス流路58は、燃料ガス入口連通孔38a及び燃料ガス出口連通孔38bに流体的に連通する。燃料ガス流路58は、矢印B方向に延在する複数の流路形成突起58a間に形成された複数の流路溝58bを有する。従って、燃料ガス流路58では、複数の流路形成突起58aと複数の流路溝58bとが流路幅方向(矢印C方向)に交互に配置されている。本実施形態において、流路形成突起58a及び流路溝58bは、平面形状が波形状であるが、これに限らず、流路形成突起58a及び流路溝58bは、平面形状がストレート形状であってもよい。以下、複数の流路形成突起58aのうち、流路幅方向の両端に位置するものを「端部流路形成突起58a1」という。端部流路形成突起58a1は、第2ガス拡散層42bの外端面42beよりも内側に配置されている。
第2金属セパレータ32の表面32aにおいて、燃料ガス入口連通孔38aと燃料ガス流路58との間には、矢印C方向に並ぶ複数個のエンボス部60aからなるエンボス列を複数有する入口バッファ部60Aが設けられる。また、第2金属セパレータ32の表面32aにおいて、燃料ガス出口連通孔38bと燃料ガス流路58との間には、複数個のエンボス部60bからなるエンボス列を複数有する出口バッファ部60Bが設けられる。
なお、第2金属セパレータ32の、燃料ガス流路58とは反対側の面32bには、入口バッファ部60Aの上記エンボス列間に、面32b側に突出した矢印C方向に並ぶ複数個のエンボス部69aからなるエンボス列が設けられるとともに、出口バッファ部60Bの上記エンボス列間に、面32b側に突出した矢印C方向に並ぶ複数個のエンボス部69bからなるエンボス列が設けられる。エンボス部69a、69bは、冷媒面側のバッファ部を構成する。
第2金属セパレータ32の表面32aには、プレス成形により第2シールライン62が樹脂フィルム付きMEA28に向かって膨出成形される。詳細は図示しないが、第2シールライン62の凸部先端面には、樹脂材が印刷又は塗布等により固着されている。なお、当該樹脂材はなくてもよい。
図8に示すように、第2シールライン62は、複数の連通孔(連通孔38a等)を個別に囲む複数のビードシール63(以下、「連通孔ビード部63」という)と、燃料ガス流路58、入口バッファ部60A及び出口バッファ部60Bを囲むビードシール64(以下、「外周側ビード部64」という)とを有する。
複数の連通孔ビード部63は、第2金属セパレータ32の表面32aから突出するとともに、酸化剤ガス入口連通孔34a、酸化剤ガス出口連通孔34b、燃料ガス入口連通孔38a、燃料ガス出口連通孔38b、冷却媒体入口連通孔36a及び冷却媒体出口連通孔36bの周囲をそれぞれ個別に周回する。以下、複数の連通孔ビード部63のうち、燃料ガス入口連通孔38aを囲むものを「連通孔ビード部63a」と表記し、燃料ガス出口連通孔38bを囲むものを「連通孔ビード部63b」と表記する。
第2金属セパレータ32には、燃料ガス入口連通孔38aと燃料ガス出口連通孔38bをそれぞれ囲む連通孔ビード部63a、63bの内側(連通孔38a、38b側)及び外側(燃料ガス流路58側)を連通するブリッジ部90、92が設けられる。燃料ガス入口連通孔38aを囲む連通孔ビード部63aの、燃料ガス流路58側の辺部に、ブリッジ部90が設けられる。燃料ガス出口連通孔38bを囲む連通孔ビード部63bの、燃料ガス流路58側の辺部に、ブリッジ部92が間隔を置いて設けられる。
ブリッジ部90、92は、連通孔ビード部63a、63bの内側及び外側にそれぞれ複数本のトンネル90t、92tを有する。トンネル90t、92tは、プレス成形により、第2金属セパレータ32の表面32aから樹脂フィルム付きMEA28(図2参照)側に向かって突出成形される。
燃料ガス流路58の流路幅方向両端部(端部流路形成突起58a1)と外周側ビード部64との間に、燃料ガスのバイパスを防止する第2バイパス止め凸状部94が設けられている。本実施形態では、燃料ガス流路58の流路幅方向は、長方形状の第2金属セパレータ32の短辺に沿った方向(矢印C方向)である。第2バイパス止め凸状部94は、樹脂フィルム付きMEA28(図2参照)側に向かって突出成形される。
第2バイパス止め凸状部94は流路溝58bの延在方向(矢印B方向)に間隔を置いて複数個配置されている。
各第2バイパス止め凸状部94は、外周側ビード部64から延出し、燃料ガス流路58の流路幅方向に延在している。各第2バイパス止め凸状部94の一端は、外周側ビード部64に繋がっている。複数の第2バイパス止め凸状部94は、他端が端部流路形成突起58a1に繋がったものと、他端が端部流路形成突起58a1に繋がっていない(端部流路形成突起58a1から離間している)ものとを有し、これらが交互に配置されている。
なお、第1バイパス止め凸状部84(図3)と同様に、複数の第2バイパス止め凸状部94は、すべて、端部流路形成突起58a1に繋がっていてもよい。
互いに隣接する第2バイパス止め凸状部94の間には、MEA28aの外周部を支持する中間凸状部98が設けられている。中間凸状部98は、樹脂フィルム付きMEA28に向かって突出している。中間凸状部98は、互いに隣接する第2バイパス止め凸状部94の間に、複数個ずつ配置されている。
外周側ビード部64の断面形状は、第1金属セパレータ30の外周側ビード部54と同様に、凸形状の先端側に向かって先細り形状となる略台形状である。外周側ビード部64の横断面形状は矩形状であってもよい。
第2バイパス止め凸状部94は、ベースプレート部32sからの立ち上がり起点である根元部94rを有する。第2バイパス止め凸状部94の側壁94sは、ベースプレート部32sから立ち上がり、根元部94rから頂部94tまでを構成する。第2バイパス止め凸状部94の横断面形状は、第1バイパス止め凸状部84と同様に、略台形状である。第2バイパス止め凸状部94の横断面形状は矩形状であってもよい。第2金属セパレータ32のベースプレート部32sからの第2バイパス止め凸状部94の突出高さ(頂部94tの高さ)は、ベースプレート部32sからの外周側ビード部64の突出高さ(頂部64tの高さ)よりも低い。
第2バイパス止め凸状部94の根元部94rの外周側ビード部64との接続部位110(外周側ビード部64の根元部64rとの接続部位)は、弧状に湾曲している。接続部位110は、外周側ビード部64と第2バイパス止め凸状部94との根元部64r、94r同士が繋がる部位である。第2バイパス止め凸状部94の側壁94sの外周側ビード部64(側壁64s)との接続部位112は、弧状に湾曲している。接続部位112は、根元部94rと頂部94tとの間で、外周側ビード部64と第2バイパス止め凸状部94の側壁64s、94s同士が繋がる部位である。
根元部64r、94r同士の接続部位110の曲率半径R3は、側壁64s、94s同士の接続部位112の曲率半径r3よりも大きい(R3>r3)。根元部64r、94r同士の接続部位110は、単一の曲率半径を含む湾曲(円弧)に限らず、複数の曲率半径を含む湾曲形状であってもよい。接続部位112は、曲率半径r3が略ゼロの部分を有していてもよい。
図8において、第2金属セパレータ32の一方のブリッジ部90を構成する複数のトンネル90t及び他方のブリッジ部92を構成する複数のトンネル92tは、第1金属セパレータ30のブリッジ部80を構成する複数のトンネル80tと同様に構成されている。従って、複数のトンネル90tの連通孔ビード部63aとの接続部位、及び複数のトンネル92tの連通孔ビード部63bとの接続部位は、第1金属セパレータ30における複数のトンネル80tの連通孔ビード部53aとの接続部位と同様に構成されている。
図1に示すように、互いに接合される第1金属セパレータ30の面30bと第2金属セパレータ32の面32bとの間には、冷却媒体入口連通孔36aと冷却媒体出口連通孔36bとに流体的に連通する冷却媒体流路66が形成される。冷却媒体流路66は、酸化剤ガス流路48が形成された第1金属セパレータ30の裏面形状と、燃料ガス流路58が形成された第2金属セパレータ32の裏面形状とが重なり合って形成される。
このように構成される発電セル12は、以下のように動作する。
まず、図1に示すように、酸素含有ガス等の酸化剤ガス、例えば、空気は、酸化剤ガス入口連通孔34aに供給される。水素含有ガス等の燃料ガスは、燃料ガス入口連通孔38aに供給される。純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体は、冷却媒体入口連通孔36aに供給される。
図3に示すように、酸化剤ガスは、酸化剤ガス入口連通孔34aから第1金属セパレータ30の酸化剤ガス流路48に導入される。そして、酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路48に沿って矢印B方向に移動し、MEA28aのカソード電極44(図2参照)に供給される。
一方、図8に示すように、燃料ガスは、燃料ガス入口連通孔38aから第2金属セパレータ32の燃料ガス流路58に導入される。燃料ガスは、燃料ガス流路58に沿って矢印B方向に移動し、MEA28aのアノード電極42(図2参照)に供給される。
従って、各MEA28aでは、カソード電極44に供給される酸化剤ガスと、アノード電極42に供給される燃料ガスとが、第1電極触媒層44a及び第2電極触媒層42a内で電気化学反応により消費されて、発電が行われる。
次いで、図1に示すように、カソード電極44に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路48から酸化剤ガス出口連通孔34bへと流動し、酸化剤ガス出口連通孔34bに沿って矢印A方向に排出される。同様に、アノード電極42に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス流路58から燃料ガス出口連通孔38bへと流動し、燃料ガス出口連通孔38bに沿って矢印A方向に排出される。
また、冷却媒体入口連通孔36aに供給された冷却媒体は、第1金属セパレータ30と第2金属セパレータ32との間に形成された冷却媒体流路66に導入された後、矢印B方向に流通する。この冷却媒体は、MEA28aを冷却した後、冷却媒体出口連通孔36bから排出される。
この場合、本実施形態に係るビードシール構造を備えた発電セル12は、以下の効果を奏する。
以下では、代表的に、第1金属セパレータ30に設けられた外周側ビード部54及び第1バイパス止め凸状部84からなるビードシール構造に関連して、本実施形態の効果を説明するが、連通孔ビード部53とトンネル80t(又はトンネル82t)とからなるビードシール構造や、第2金属セパレータ32に設けられた同様のビードシール構造によっても、同様の効果が得られる。
第1金属セパレータ30に設けられたビードシール構造では、交差要素部である第1バイパス止め凸状部84の根元部84rの外周側ビード部54との接続部位102の曲率半径R1は、第1バイパス止め凸状部84の側壁84sの外周側ビード部54との接続部位104の曲率半径r1よりも大きい。これにより、公差等の寸法ズレに対して外周側ビード部54の頂部54tの面圧(シール面圧)の感度を低くすることができる。これにより、外周側ビード部54の頂部54tの面圧分布の均一化(面圧変動の抑制)が図られる。
ビードシールと交差要素部の根元部同士の接続部位の曲率半径を大きめに設定すると、図10に示すように、圧縮荷重特性をなだらかにすることができる。このため、公差等の寸法ズレに対し、シール面圧(線圧)の感度を低くすることができる。圧縮荷重特性をなだらかにすることで、寸法変化に対するシール面圧のバラツキを低減し、シール成立範囲の拡大が図られる。
一方、ビードシールと交差要素部の根元部同士の接続部位の曲率半径を小さめに設定すると、ビードシールの弾性域の上限(弾性限界)を引き上げることができる。このため、寸法変化がない状態で大きな衝撃が発生したとき等の荷重に耐えやすくなる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。
12…発電セル 30…第1金属セパレータ
32…第2金属セパレータ 53、63…連通孔ビード部(ビードシール)
54、64…外周側ビード部(ビードシール)
84…第1バイパス止め凸状部(交差要素部)
94…第2バイパス止め凸状部(交差要素部)
80t、82t、90t、92t…トンネル(交差要素部)

Claims (4)

  1. 燃料電池用金属セパレータにセパレータ厚さ方向に突出して形成され、突出方向に締付荷重が付与されることにより流体の漏れを防止するビードシールと、前記ビードシールに対して交差する交差要素部とを備えたビードシール構造において、
    前記交差要素部は、前記燃料電池用金属セパレータのベースプレート部からの立ち上がり起点である根元部と、前記ベースプレート部から立ち上がった側壁とを有し、
    前記ビードシールの断面形状は、台形状であり、
    前記交差要素部の断面形状は、台形状又は矩形状であり、
    前記交差要素部の前記根元部の前記ビードシールの根本部との接続部位の曲率半径は、前記交差要素部の前記側壁の前記ビードシールの側壁との接続部位の曲率半径よりも大きく設定されている、
    ことを特徴とするビードシール構造。
  2. 請求項1記載のビードシール構造において、
    前記交差要素部は、前記流体のバイパスを防止するバイパス止め凸状部、又は内側空間が前記ビードシールと連通したトンネルである、
    ことを特徴とするビードシール構造。
  3. 請求項1又は2記載のビードシール構造において、
    前記交差要素部は、前記セパレータ厚さ方向から見た平面視で、前記ビードシールに対して90°の角度で交差する、
    ことを特徴とするビードシール構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のビードシール構造において、
    前記交差要素部の頂部高さは、前記ビードシールの頂部高さよりも低い、
    ことを特徴とするビードシール構造。
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