JP6714481B2 - 上部旋回体 - Google Patents

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Description

本発明は、上部旋回体に関する。
例えば特許文献1などに、従来の上部旋回体が記載されている(同文献の図1、図4などを参照)。この上部旋回体は、支持フレーム(同文献における主フレーム)と、支持フレームの後端部に固定されたウェイトと、を備える。この上部旋回体では、支持フレームの後端部の下端は、ウェイトの下端と同じ高さに配置されている。
特開平06−299574号公報
この上部旋回体は、左右方向に揺れる場合がある。このとき、支持フレームの後端部の断面中心と、ウェイトの重心との、上下方向における距離が大きいほど、支持フレームをねじる慣性モーメントが大きくなる(詳細は後述)。この慣性モーメントにより、支持フレームのねじれが問題となるおそれがある。
そこで本発明は、支持フレームのねじれを抑制できる上部旋回体を提供することを目的とする。
本発明の上部旋回体は、支持フレームと、ウェイトと、を備える。前記支持フレームには、ベアリングが取り付けられる。前記ウェイトは、前記ベアリングよりも後側で前記支持フレームに支持される。前記支持フレームは、ベアリング結合面と、支持フレーム後部と、を備える。前記ベアリング結合面には、前記ベアリングが結合され、前記ベアリングが接する。前記支持フレーム後部は、前記支持フレームのうち、前記ベアリング結合面の後端よりも後側かつ前記ウェイトの前端よりも前側の所定前後位置から、前記支持フレームの後端までの部分である。前記支持フレーム後部は、前記ウェイトの外枠の内側に配置される部分であるウェイト内配置部を備える。前記ウェイトの上端は、前記ウェイト内配置部の上端よりも上側に配置される。前記ウェイトの下端は、前記ウェイト内配置部の下端よりも下側に配置される。前記支持フレーム後部の下端は、前記ベアリング結合面よりも上側に配置される。
上記構成により、支持フレームのねじれを抑制できる。
建設機械を横から見た図である。 図1に示す上部旋回体フレーム40などを横から見た図である。 図2に示す上部旋回体フレーム40などを上から見た図である。 図2相当図であって、図3に示すデッキ80を省略した図である。 図3に示すウェイト31などを後側X2から見た図である。 図4に示すエンジン35などを示す、F6−F6矢視断面図である。 図7に示すエンジン固定部70などの斜視図である。 変形例1の図6相当図である。 変形例1の図7相当図である。 変形例2の図6相当図である。 変形例3の図6相当図である。 比較例の図6相当図である。
図1〜図7を参照して、図1に示す上部旋回体20を備える建設機械1について説明する。
建設機械1は、建設作業などの作業を行う機械であり、例えばショベルであり、例えば油圧ショベルである。建設機械1は、下部走行体11と、ベアリング13と、アタッチメント15と、シリンダ17と、上部旋回体20と、を備える。
下部走行体11は、建設機械1を走行させる部分であり、クローラを備える。ベアリング13(旋回ベアリング)は、下部走行体11に取り付けられ、下部走行体11に対して上部旋回体20を旋回自在に支持する装置である。アタッチメント15は、基端側(上部旋回体20側)から順に、例えば、ブーム15bと、アーム(図示なし)と、バケット(図示なし)と、を備える。シリンダ17は、上部旋回体20に対してブーム15bを起伏させる、伸縮シリンダであり、油圧シリンダである。
上部旋回体20は、ベアリング13を介して下部走行体11に取り付けられ、下部走行体に対して旋回自在である。上部旋回体20には、ブーム15bなどが取り付けられる。上部旋回体20は、ウェイト31と、エンジン35と、上部旋回体フレーム40と、を備える。ベアリング13の回転軸(下部走行体11に対する上部旋回体20の回転軸)に直交する方向であって、上部旋回体フレーム40の支持フレーム50の長手方向を前後方向Xとする。前後方向Xにおいて、ウェイト31からブーム15bに向かう側(または向き)を前側X1とし、その逆側を後側X2とする。ベアリング13の回転軸に直交し、かつ、前後方向Xに直交する方向を左右方向Yとする。左右方向Yにおいて、後側X2から前側X1に向かって見たときの、左側を左側Y1、右側を右側Y2とする。ベアリング13の回転軸の方向を上下方向Zとする。上下方向Zにおいて、下部走行体11から上部旋回体20に向かう側を上側Z1、その逆側を下側Z2とする。
ウェイト31(カウンターウェイト)は、上部旋回体20の後側X2部分に設けられる、おもりである。ウェイト31は、建設機械1の部品の中で、特に質量の大きい部品である。ウェイト31は、ベアリング13よりも後側X2で、支持フレーム50に支持され、支持フレーム50に固定される。図5に示すように、ウェイト31の重心をウェイト重心31gとする。ウェイト31は、マウント部31mと、ウェイト外枠31oと、を備える。
ウェイト重心31gの位置は、ウェイト31形状および密度分布から算出される。マウント部31mは、支持フレーム50が配置される部分である。マウント部31mは、ウェイト外枠31oに対して凹む部分であり、例えばウェイト31の下面(下側Z2の面)から上側Z1に凹む部分である。ウェイト外枠31oは、ウェイト31の外枠(外周)である。前後方向Xから見たとき、ウェイト外枠31oは長方形(略長方形を含む)である。図1に示すように、左右方向Yから見たとき、ウェイト外枠31oは、長方形(略長方形を含む)である。なお、前後方向Xから見たときウェイト外枠31oは長方形でなくてもよく、左右方向Yから見たときウェイト外枠31oは長方形でなくてもよい。
エンジン35は、建設機械1の駆動源である。エンジン35は、ウェイト31よりも前側X1に配置される。図6に示すように、エンジン35は、底部基部35aと、底部突出部35bと、を備える。底部基部35aおよび底部突出部35bは、エンジン35の下部(下側Z2部分)に設けられる。底部突出部35bは、底部基部35aよりも下側Z2に突出する。
上部旋回体フレーム40(旋回フレーム)は、図1に示すように、上部旋回体20の基本骨格となる部分である。図3に示すように、上部旋回体フレーム40は、支持フレーム50と、エンジン固定部70と、デッキ80と、左右デッキ接続梁85と、を備える。
支持フレーム50は、図2に示すように、ウェイト31を支持する。支持フレーム50には、ベアリング13が取り付けられる。図3に示すように、支持フレーム50は、上部旋回体フレーム40の左右方向Yの中央部に配置される、センターセクションである。図4に示すように、支持フレーム50は、底板51と、縦板53と、上フランジ55と、下フランジ57と、を備える。支持フレーム50は、支持フレーム後部60を備える。
底板51は、支持フレーム50の底部を構成する板である。底板51は、ベアリング結合面51aを備える。ベアリング結合面51aは、底板51の下側Z2の面である。ベアリング結合面51aは、ベアリング13が結合(例えばボルト結合)される部分であり、ベアリング13の上端(上側Z1の端)が接する面である。
縦板53は、上下方向Zおよび前後方向Xに延びる板である。縦板53は、底板51に固定(溶接)され、底板51から上側Z1に突出する。縦板53は、ブーム取付部53bと、シリンダ取付部53cと、を備える。ブーム取付部53bおよびシリンダ取付部53cは、縦板53の前側X1部分に配置される。ブーム取付部53bは、ブーム15b(図1参照)が取り付けられる部分であり、ブーム15bがピン結合されるピン孔である。シリンダ取付部53cは、シリンダ17(図1参照)が取り付けられる部分であり、シリンダ17がピン結合されるピン孔である。図3に示すように、縦板53は、複数枚設けられ、例えば2枚設けられる。縦板53は、左縦板53lと、右縦板53rと、を備える。右縦板53rと左縦板53lとは、互いに左右方向Yに対向し、互いに左右方向Yに隙間をあけて配置される。右縦板53rは、左縦板53lよりも右側Y2に配置される。
上フランジ55は、図5に示すように、縦板53を補強する部材(例えば板)である。上フランジ55は、縦板53の上端に固定(溶接により接合)され、縦板53の上端から左側Y1および右側Y2に突出する。上フランジ55は、右縦板53rおよび左縦板53lそれぞれに設けられる。図4に示すように、上フランジ55の前端は、エンジン35の前端よりも前側X1に配置される。上フランジ55の後端(後側X2の端)の前後方向X位置(前後方向Xにおける位置)は、支持フレーム50の後端の前後方向X位置と一致する(略一致してもよい)。なお、上フランジ55は設けられなくてもよい。
下フランジ57は、図5に示すように、縦板53を補強する部材(例えば板)である。下フランジ57は、縦板53の下端(下側Z2の端)に固定(溶接により接合)され、縦板53の下端から左側Y1および右側Y2に突出する。下フランジ57は、右縦板53rおよび左縦板53lそれぞれに設けられる。図4に示すように、下フランジ57の前端は、ベアリング結合面51aよりも後側X2に配置され、底板51の後端に接し、底板51の後端よりも後側X2に配置されてもよい。下フランジ57の後端の前後方向X位置は、支持フレーム50の後端の前後方向X位置と一致する(略一致してもよい)。なお、下フランジ57は設けられなくてもよい。また、底板51よりも後側X2において、右縦板53rと左縦板53lとに接続される板(図3に示す底板51と同様の板)が設けられてもよい。
支持フレーム後部60は、図4に示すように、支持フレーム50のうち、所定前後位置60fから支持フレーム50の後端までの部分である。所定前後位置60fは、ベアリング結合面51aの後端よりも後側X2、かつ、ウェイト31の前端よりも前側X1の、前後方向X位置である。例えば、所定前後位置60fは、底板51の後端の前後方向X位置と同じ位置である。
この支持フレーム後部60の下端は、ベアリング結合面51aよりも上側Z1に配置される。支持フレーム後部60は、ベアリング結合面51aよりも上側Z1にのみ配置される。なお、所定前後位置60fよりも前側X1で、支持フレーム50の下端が、ベアリング結合面51aよりも上側Z1に配置されてもよい。支持フレーム後部60の下端は、下部傾斜部61aおよび下部水平部61bを備える。支持フレーム後部60の上端は、上部傾斜部62aおよび上部水平部62bを備える。支持フレーム後部60は、直線状部63を備える。
下部傾斜部61aおよび下部水平部61bは、例えば下フランジ57により構成される。下部傾斜部61aは、底板51の後端(所定前後位置60f)から後側X2に延びる。下部傾斜部61aは、後側X2ほど上側Z1に配置されるように、前後方向Xおよび上下方向Zに対して傾斜する。下部水平部61bは、下部傾斜部61aの後端から後側X2に延びる。左右方向Yから見たとき、下部傾斜部61aおよび下部水平部61bは、直線状であり、略直線状でもよい。下部傾斜部61aは、左右方向Yから見たとき曲線状でもよい。
上部傾斜部62aおよび上部水平部62bは、上フランジ55および縦板53の少なくともいずれかにより構成される。上部傾斜部62aは、後側X2ほど下側Z2に配置されるように、前後方向Xおよび上下方向Zに対して傾斜する。上部水平部62bは、上部傾斜部62aの後端から後側X2に延びる。上部水平部62bは、左右方向Yから見て直線状であり、略直線状でもよい。
直線状部63は、支持フレーム後部60のうち、前後方向Xに略直線状に延びる部分である。前後方向Xから見た直線状部63の断面の形状および位置は、前後方向X位置にかかわらず一定または略一定である。直線状部63は、縦板53と、上フランジ55と、下フランジ57と、により構成される。直線状部63は、下部水平部61bと上部水平部62bとに上下方向Zに挟まれた部分である。直線状部63の前端は、ウェイト31の前端よりも前側X1である。直線状部63の後端の前後方向X位置は、支持フレーム50の後端の前後方向X位置と同じ位置である。直線状部63は、エンジン直下部65と、ウェイト内配置部67と、を備える。
エンジン直下部65は、支持フレーム後部60のうち(支持フレーム50のうち)、上下方向Zから見たときにエンジン35と重なる部分である。
ウェイト内配置部67は、支持フレーム後部60のうち(支持フレーム50のうち)、ウェイト外枠31oの内側に配置される部分である。ウェイト内配置部67は、マウント部31m(図5参照)の内部に配置され、マウント部31mに固定(結合)される。図5に示すように、前後方向Xから見たウェイト内配置部67の断面の図心を、断面中心67cとする。断面中心67cは、前後方向Xから見た直線状部63(図4参照)の断面の図心でもある。
このウェイト内配置部67に対するウェイト31の配置は次の通りである。ウェイト31の上端は、ウェイト内配置部67の上端よりも上側Z1に配置される。ウェイト31の下端は、ウェイト内配置部67の下端よりも下側Z2に配置される。ウェイト31の下端の上下方向Z位置(上下方向Zにおける位置、高さ位置)は、ベアリング結合面51aの上下方向Z位置と、一致する。ウェイト31の下端の上下方向Z位置と、ベアリング結合面51aの上下方向Z位置とは、一致しなくてもよく、略一致してもよく、ずれがあってもよい。
このウェイト内配置部67に対するウェイト重心31gの配置は次の通りである。図5に示すように、ウェイト重心31gは、ウェイト内配置部67の上端よりも下側Z2に配置される。ウェイト重心31gは、縦板53の上端よりも下側Z2に配置される。ウェイト重心31gは、ウェイト内配置部67の下端よりも上側Z1に配置される。ウェイト重心31gは、縦板53の下端よりも上側Z1に配置される。好ましくは、ウェイト重心31gの上下方向Z位置は、断面中心67cの上下方向Z位置と一致する(図示なし)。ウェイト重心31gの左右方向Y位置(左右方向Yにおける位置)は、断面中心67cの左右方向Y位置に対してずれてもよい。例えば、ウェイト重心31gは、ウェイト内配置部67の左右方向Yの両端よりも、左右方向Yにおける内側に配置される。ウェイト重心31gは、右縦板53rよりも左側Y1に配置される。ウェイト重心31gは、左縦板53lよりも右側Y2に配置される。図5に示す例では、ウェイト重心31gの左右方向Y位置は、断面中心67cの左右方向Y位置と一致する。
なお、断面中心67cに関する条件は、図4に示す直線状部63のうちウェイト内配置部67以外の部分でも満たされる。また、直線状部63が設けられない場合など、前後方向X位置によって断面中心67cの位置が異なる場合が考えられる。この場合、断面中心67cに関する条件は、ウェイト内配置部67の全体で満たされることが好ましく、ウェイト内配置部67の一部のみで満たされてもよい。
エンジン固定部70は、図6に示すように、支持フレーム50に固定され、エンジン35を支持する。エンジン固定部70は、右縦板53rおよび左縦板53lそれぞれに設けられる。エンジン固定部70には、エンジン35が固定される。エンジン固定部70は、エンジン35の底部突出部35bと干渉しないように配置される。エンジン固定部70は、エンジン接触部71と、補強部材73と、を備える。
エンジン接触部71は、エンジン35に接する部分である。エンジン接触部71は、底部基部35aに接する。底部基部35aは、上フランジ55にも接する。エンジン接触部71の上端(エンジン固定部70の上端)の上下方向Z位置は、エンジン直下部65の上端の上下方向Z位置と一致し、例えば、上フランジ55の上端の上下方向Z位置と一致する。エンジン接触部71の上端の上下方向Z位置は、エンジン直下部65の上端の上下方向Z位置よりも下側Z2でもよい。図7に示すように、エンジン接触部71の上面(上側Z1の面)は、水平方向(左右方向Yおよび前後方向X)に延びる。エンジン接触部71は、板状である。エンジン接触部71は、上フランジ55と一体的に形成される。エンジン接触部71を構成する板と、上フランジ55を構成する板と、が共通化される。エンジン接触部71は、上フランジ55から横(左右方向Y)に突出する突起である。エンジン接触部71と上フランジ55とを構成する板のうち、エンジン接触部71が設けられる部分の左右方向Yの幅は、エンジン接触部71が設けられない部分の左右方向Yの幅よりも広い。
補強部材73は、エンジン接触部71を補強する。図6に示すように、補強部材73は、縦板53とエンジン接触部71とに接続される。補強部材73は、縦板53に固定され、上フランジ55に固定され、エンジン接触部71に固定される。補強部材73は、上フランジ55に固定されなくてもよい。補強部材73は、板状である。補強部材73が延びる方向は、縦板53およびエンジン接触部71の両方に垂直であり、上下方向Zおよび左右方向Yである。補強部材73の厚さ方向は、前後方向Xである。なお、補強部材73は、棒状、ブロック状、または三角柱状などでもよい。
デッキ80は、図3に示すように、支持フレーム50に固定され、支持フレーム50から左右方向Yに延びるように配置される。デッキ80には、機器類、運転室(キャブ)、およびカバー(ボンネット)などが搭載される。デッキ80は、梁80bを備える。梁80bは、左右方向Yに延び、例えば縦板53に固定される。デッキ80は、右デッキ81と、左デッキ83と、を備える。右デッキ81は、支持フレーム50の横(左右方向Y外側)に配置され、支持フレーム50よりも右側Y2に配置される。左デッキ83は、支持フレーム50に対して右デッキ81とは反対側に配置され、支持フレーム50よりも左側Y1に配置される。梁80bは、右デッキ81および左デッキ83それぞれに、例えば2本ずつ(合計4本)設けられ、例えば1本ずつ設けられてもよく、3本以上ずつ設けられてもよい。
左右デッキ接続梁85は、右デッキ81と左デッキ83とに接続される。左右デッキ接続梁85は、右デッキ81と左デッキ83とに固定される。左右デッキ接続梁85は、左右方向Yに延び、棒状(略直線状)である。左右デッキ接続梁85は、右デッキ81から左デッキ83にわたって(連続して)設けられる。左右デッキ接続梁85は、支持フレーム後部60(図4参照)の真下に配置される。支持フレーム後部60の真下とは、支持フレーム後部60よりも下側Z2、かつ、支持フレーム後部60と上下方向Zに対向する位置である。左右デッキ接続梁85は、例えば、直線状部63(図4参照)の真下に配置されてもよく、下部傾斜部61a(図4参照)の真下に配置されてもよい。左右デッキ接続梁85は、支持フレーム50から切り離された状態であり、支持フレーム50に直接には固定されていない状態である。左右デッキ接続梁85と支持フレーム50との間には、上下方向Zの隙間がある。この隙間はなくてもよい。
(支持フレーム50に生じるねじれ)
図5に示すウェイト31の揺れにより、支持フレーム50にねじりの変形(歪み、ねじれ)が、次のように生じる。
図1に示す上部旋回体20が左右方向Yに揺れる場合がある。上部旋回体20の左右方向Yの揺れは、建設機械1の走行中の振動によって生じ、例えば下部走行体11が路面の凹凸(石など)を乗り越えることなどによって生じる。また、上部旋回体20の左右方向Yの揺れは、下部走行体11に対して上部旋回体20が旋回する旋回動作によって生じる。上部旋回体20の左右方向Yの揺れにより、図5に示すウェイト31にも左右方向Yの揺れが発生する。その結果、支持フレーム50から見た慣性力αが、ウェイト31に発生する。このとき、支持フレーム50は、断面中心67cを通る軸であって前後方向X延びる軸回りの慣性モーメントIによりねじられる。ここで、断面中心67cからウェイト重心31gまでの上下方向Zにおける距離Lを、距離L1とする。すると、慣性モーメントIは、距離L1に慣性力αを乗じた値(L1×α)となる。よって、距離L1を短くするほど、慣性モーメントIが小さくなり、支持フレーム50に生じるねじれが抑制される。
(支持フレーム50の剛性を上げる)
図5に示す支持フレーム50がねじられたときに支持フレーム50が破損しないように、支持フレーム50の剛性を確保する必要がある。支持フレーム50の剛性を上げるために、例えば支持フレーム50の構成要素の板厚を厚くする、構成要素を大きくする、などが考えられる。しかし、これらの場合、支持フレーム50の質量が増大する。
支持フレーム50のねじれを抑制するために、距離Lを短くすることで、慣性モーメントIを小さくすることが考えられる。
(ウェイト重心31gを下げる)
通常、ウェイト重心31gは、断面中心67cよりも上側Z1にある。そこで、距離Lを短くするために、ウェイト重心31gをできるだけ下げることが考えられる。ウェイト重心31gを下げるために、ウェイト31の下端を下げると、ウェイト31が下部走行体11(図1参照)に干渉するおそれがある。また、ウェイト重心31gを下げるために、ウェイト31の上端を下げると、ウェイト31の質量が減り、建設機械1(図1参照)の安定性が低下するおそれがある。また、ウェイト重心31gを下げるために、ウェイト31の充填材(内容物)の密度を調整することが考えられる。例えば、ウェイト31の上部の充填材の密度に比べ、ウェイト31の下部の充填剤の密度を高くする。具体的には例えば、ウェイト31の上部の充填材を、一般的な充填材(コンクリートなど)とし、ウェイト31の下部の充填剤を、一般的な充填材よりも高密度の充填材とする。しかし、このような高密度の充填材は、一般的な充填材よりも高価であり、ウェイト31のコストが増大するおそれがある。なお、本実施形態において、上記のようにウェイト重心31gを下げてもよい。
(ウェイト内配置部の上端のみを上げる)
図12に、比較例の支持フレームを示す。比較例では、支持フレームの下端の上下方向Z位置は、ベアリング結合面51a(図4参照)の後端からウェイト内配置部567の後端まで、ベアリング結合面51aの上下方向Z位置と同じ位置である。その結果、ウェイト内配置部567の下端の上下方向Z位置は、ウェイト531の下端の上下方向Z位置と一致する。比較例における、ウェイト内配置部567の断面中心567cからウェイト重心531gまでの上下方向Zにおける距離Lを、距離L2とする。
距離Lを短くするために、ウェイト内配置部67の下端の位置を変えずに、ウェイト内配置部67の上端を上げる(上側Z1に変える)ことが考えられる。例えば、上フランジ555の位置を、距離A上げるとする(上フランジ655を参照)。この場合、断面中心567cの位置は、約A/2しか上がらない(断面中心667cを参照)。そのため、慣性モーメントIは、約A×α/2しか低減しない。また、ウェイト内配置部567の上端を上げた分、ウェイト内配置部567の質量が増大し、支持フレームのコストが増大する。
(ウェイト内配置部67全体を上げる)
距離Lを短くするために、比較例に対して、図5に示すようにウェイト内配置部67全体を上げることが考えられる。例えば、比較例(図12参照)に対して、ウェイト内配置部67の断面の形状および寸法を変えずに、ウェイト内配置部67の断面全体を距離A上げるとする。この場合、断面中心67cは、断面中心567cに対して、距離A上がる。このとき、慣性モーメントIは、約A×α低減する。よって、比較例に対してウェイト内配置部567(図12参照)の上端のみを距離A上げる場合に比べ、慣性モーメントIを低減させる効果が、約A×α/2大きい。また、この構造では、比較例に対してウェイト内配置部67の質量を増やす必要がない。
また、図4に示すウェイト内配置部67の部分だけでなく、直線状部63全体で、図5に示す距離Lが比較例よりも短くなり、慣性モーメントIが低減する。また、図4に示す支持フレーム後部60のうち直線状部63よりも前側X1の部分でも、この部分の前後方向Xから見た断面の図心と、ウェイト重心31g(図5参照)との上下方向Zにおける距離が比較例よりも短くなり、慣性モーメントIが低減する。
(効果1)
図2に示す上部旋回体20による効果は次の通りである。上部旋回体20は、支持フレーム50と、ウェイト31と、を備える。支持フレーム50には、ベアリング13が取り付けられる。ウェイト31は、ベアリング13よりも後側X2で支持フレーム50に支持される。支持フレーム50は、ベアリング結合面51aと、支持フレーム後部60と、を備える。ベアリング結合面51aには、ベアリング13が結合され、ベアリング13が接する。支持フレーム後部60は、支持フレーム50のうち、ベアリング結合面51aの後端よりも後側X2かつウェイト31の前端よりも前側X1の所定前後位置60fから、支持フレーム50の後端までの部分である。支持フレーム後部60は、ウェイト外枠31oの内側に配置される部分であるウェイト内配置部67を備える。ウェイト31の上端は、ウェイト内配置部67の上端よりも上側Z1に配置される。
[構成1]図4に示すように、ウェイト31の下端は、ウェイト内配置部67の下端よりも下側Z2に配置される。支持フレーム後部60の下端は、ベアリング結合面51aよりも上側Z1に配置される。
上部旋回体20は、上記[構成1]を備える。よって、従来の上部旋回体(例えば図12参照)に比べ、図5に示すように、前後方向Xから見た支持フレーム後部60の断面中心(例えば断面中心67c)とウェイト重心31gとの上下方向Zにおける距離Lを小さくできる。よって、支持フレーム50をねじる慣性モーメントIであって、距離Lに比例する慣性モーメントIを小さくできる。よって、支持フレーム50が受けるねじり荷重を抑制でき、支持フレーム50のねじれを抑制できる。その結果、支持フレーム50のねじれに対する剛性(断面剛性)を確保するための部材の質量を抑制できる。
(効果2)
[構成2]ウェイト重心31gは、ウェイト内配置部67の上端よりも下側Z2、かつ、ウェイト内配置部67の下端よりも上側Z1に配置される。
上記[構成2]により、ウェイト内配置部67の上端よりも上側Z1またはウェイト内配置部67の下端よりも下側Z2にウェイト重心31gが配置される場合に比べ、距離Lを短くできる。よって、慣性モーメントIを抑制でき、支持フレーム50のねじれをより抑制できる。
(効果3)
[構成3]ウェイト重心31gの上下方向Z位置は、前後方向Xから見たウェイト内配置部67の図心(断面中心67c)の上下方向Z位置と一致する。
上記[構成3]により、距離Lがゼロになる。よって、慣性モーメントIによって生じる支持フレーム50のねじれを、なくす(または、ほぼなくす)ことができる。
(効果4)
図6に示すように、上部旋回体20は、エンジン35と、エンジン固定部70と、を備える。エンジン固定部70は、支持フレーム50に固定され、エンジン35を支持する。エンジン固定部70には、エンジン35が固定される。支持フレーム50のうち、上下方向Zから見たときにエンジン35と重なる部分をエンジン直下部65とする。
[構成4]エンジン固定部70の上端の上下方向Z位置は、エンジン直下部65の上端の上下方向Z位置と一致する、またはエンジン直下部65の上端の上下方向Z位置よりも下側Z2である。
上記[構成4]により、エンジン固定部70の上端が、エンジン直下部65の上端よりも上側Z1に配置される場合に比べ、エンジン35を下側Z2に配置できる。その結果、建設機械1(図1参照)の重心を低くでき、建設機械1の安定性を向上させることができる。また、エンジン35を覆う部材(ボンネットなど)が設けられる場合、この部材の上下方向Z位置を低くできる。
(効果5)
図7に示すように、支持フレーム50は、上下方向Zに延びる縦板53と、縦板53の上端に固定される上フランジ55と、を備える。
[構成5]エンジン固定部70は、エンジン35(図6参照)に接するエンジン接触部71を備える。エンジン接触部71は、上フランジ55と一体的に形成される。
上記[構成5]により、エンジン接触部71と上フランジ55とが別体の場合(図10参照)に比べ、エンジン接触部71と上フランジ55とを容易に製造できる。例えば、エンジン接触部71と上フランジ55との溶接工数を抑制できる。例えば、エンジン接触部71および上フランジ55を構成する部材の数を抑制できる。その結果、上部旋回体20のコストを抑制できる。
(効果6)
[構成6]エンジン接触部71は、上フランジ55から横(左右方向Y)に突出する突起である。
上記[構成6]により、例えば、上フランジ55およびエンジン接触部71を構成する部材(例えば板)の左右方向Yの幅が一定の場合などに比べ、上フランジ55およびエンジン接触部71を構成する部材を軽量化できる。
(効果7)
[構成7]エンジン固定部70は、縦板53とエンジン接触部71とに接続される補強部材73を備える。
上記[構成7]の補強部材73により、エンジン接触部71が補強される。よって、エンジン固定部70が、エンジン35をより確実に支持できる。また、エンジン35(図6参照)から支持フレーム50に伝わる振動を抑制できる。
この補強部材73による効果の具体例は次の通りである。支持フレーム50の製造時に、上フランジ55およびエンジン接触部71を構成する部材(例えば板)が、縦板53に溶接される。この溶接時に、図6に示す上フランジ55が、溶接の歪によって変形(溶接変形)する場合がある。この溶接変形により、エンジン接触部71の配置が、エンジン35を取り付けるのに適した配置でなくなる場合がある。具体的には例えば、エンジン接触部71の上面が、水平を確保できなくなる場合などがある。そこで、上記[構成7]の補強部材73を設けることで、上記の溶接変形を抑制できる。その結果、エンジン固定部70がエンジン35を確実に支持できる。
また、補強部材73により、上フランジ55およびエンジン接触部71の剛性を向上させることができる。よって、エンジン35の加振力により発生する応力であって、エンジン固定部70およびその周辺の応力を抑制できる。よって、エンジン固定部70およびその周辺の疲労寿命を向上させることができる。その結果、エンジン固定部70がエンジン35(図6参照)を確実に支持できる。
また、補強部材73により、上フランジ55およびエンジン接触部71の剛性を向上させることができる結果、エンジン35の振動の振幅を抑えることができる。よって、エンジン35から支持フレーム50に伝達される振動を抑制することができる。よって、エンジン35の加振力による建設機械1(図1参照)の振動を抑制できる。
(効果8)
図3に示すように、上部旋回体20は、右デッキ81と、左デッキ83と、左右デッキ接続梁85と、を備える。右デッキ81は、支持フレーム50に固定され、支持フレーム50の横(左右方向Y外側)に配置される。左デッキ83は、支持フレーム50に固定され、支持フレーム50に対して右デッキ81とは反対側に配置される。
[構成8]左右デッキ接続梁85は、右デッキ81と左デッキ83とに接続される。図2に示すように、左右デッキ接続梁85は、支持フレーム後部60(図4参照)の真下に配置され、支持フレーム50から切り離された状態である。
上部旋回体20は、上記[構成8]を備える。よって、例えばウェイト31の慣性力α(図5参照)によるねじれなどにより、支持フレーム50が揺れたとき、支持フレーム50の揺れは左右デッキ接続梁85に直接には伝わらない。よって、図3に示す支持フレーム50が揺れたときの、右デッキ81および左デッキ83の揺れを抑制できる。その結果、右デッキ81および左デッキ83と、支持フレーム50と、の接合部の応力を抑制できる。よって、この接合部での歪や割れを抑制できる。
また、図4に示すように、上記[構成1]では、支持フレーム後部60の下端が、ベアリング結合面51aよりも上側Z1に配置される。その結果、右デッキ81と左デッキ83との間(左右方向Yの間)に、スペースができる。上記[構成8]では、このスペースに、左右デッキ接続梁85が配置される。よって、このスペースを有効活用できる。
(変形例1)
図8および図9に示すように、図6および図7に示す補強部材73は設けられなくてもよい。
(変形例2)
図10を参照して、エンジン固定部70(図6参照)の変形例であるエンジン固定部270について、主に上記実施形態との相違点を説明する。なお、上記実施形態との共通点については、上記実施形態と同一の符号を付し、説明を省略した。
エンジン固定部270は、支持フレーム50に固定されるブラケットである。エンジン固定部270は、エンジン接触部271と、連結部273と、を備える。図6に示すように、上記実施形態では、エンジン接触部71は、上フランジ55と一体であった。一方、図10に示すように、エンジン接触部271は、上フランジ55と別体である。エンジン接触部271は、上フランジ55に固定されない(固定されてもよい)。
連結部273は、エンジン接触部271と支持フレーム50とに固定(接続)される。連結部273は、エンジン接触部271の下面と、縦板53の側面(右側Y2および左側Y1の少なくともいずれかの側面)と、に固定される。連結部273は、上フランジ55に、接してもよく、接さなくてもよい。
(変形例3)
図10に示すエンジン固定部270に代えて、図11に示すエンジン固定ブラケット370が設けられてもよい。エンジン固定ブラケット370の上端は、エンジン直下部65の上端よりも上側Z1に配置される。エンジン固定ブラケット370は、上フランジ55に固定されてもよい。
(他の変形例)
上記実施形態および変形例の構成要素どうしが組み合わされてもよい。例えば、図6に示すエンジン固定部70と、図10に示すエンジン固定部270と、が組み合わされてもよい。上記実施形態(および変形例)の構成要素の一部が設けられなくてもよい。また、構成要素の数が変更されてもよい。例えば、図3に示す左右デッキ接続梁85は、上記実施形態では1本設けられたが、設けられなくてもよく、2本以上設けられてもよい。また、エンジン固定部70は設けられなくてもよい。
上記実施形態(および変形例)の構成要素の形状は変更されてもよい。例えば、図4に示す支持フレーム50の形状は変更されてもよい。例えば、図4に示す例では、エンジン直下部65およびウェイト内配置部67は、直線状部63に含まれた。一方、エンジン直下部65およびウェイト内配置部67の少なくとも一部は、直線状部63に含まれなくてもよい。また、直線状部63は設けられなくてもよい。
図5に示すウェイト重心31gは、断面中心67cよりも下側Z2に配置されてもよい。図6に示すエンジン固定部70と同様に構成される固定部に、エンジン35以外の被固定物が固定されてもよい。
13 ベアリング
20 上部旋回体
31 ウェイト
35 エンジン
50 支持フレーム
51a ベアリング結合面
53 縦板
55 上フランジ
60 支持フレーム後部
65 エンジン直下部
67 ウェイト内配置部
70、270 エンジン固定部
71、271 エンジン接触部
73 補強部材
81 右デッキ
83 左デッキ
85 左右デッキ接続梁
273 連結部

Claims (7)

  1. ベアリングが取り付けられる支持フレームと、
    前記ベアリングよりも後側で前記支持フレームに支持されるウェイトと、
    前記支持フレームに固定され、前記支持フレームの横に配置される右デッキと、
    前記支持フレームに固定され、前記支持フレームに対して前記右デッキとは反対側に配置される左デッキと、
    前記右デッキと前記左デッキとに接続される左右デッキ接続梁と、
    を備え、
    前記支持フレームは、
    前記ベアリングが結合され、前記ベアリングが接するベアリング結合面と、
    前記支持フレームのうち、前記ベアリング結合面の後端よりも後側かつ前記ウェイトの前端よりも前側の所定前後位置から、前記支持フレームの後端までの部分である支持フレーム後部と、
    を備え、
    前記支持フレーム後部は、前記ウェイトの外枠の内側に配置される部分であるウェイト内配置部を備え、
    前記ウェイトの上端は、前記ウェイト内配置部の上端よりも上側に配置され、
    前記ウェイトの下端は、前記ウェイト内配置部の下端よりも下側に配置され、
    前記支持フレーム後部の下端は、前記ベアリング結合面よりも上側に配置され、
    前記左右デッキ接続梁は、前記支持フレーム後部の真下に配置され、前記支持フレームから切り離された状態である、
    上部旋回体。
  2. 請求項1に記載の上部旋回体であって、
    前記ウェイトの重心は、前記ウェイト内配置部の上端よりも下側、かつ、前記ウェイト内配置部の下端よりも上側に配置される、
    上部旋回体。
  3. 請求項2に記載の上部旋回体であって、
    前記ウェイトの重心の上下方向位置は、前後方向から見た前記ウェイト内配置部の図心の上下方向位置と一致する、
    上部旋回体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の上部旋回体であって、
    エンジンと、
    前記支持フレームに固定され、前記エンジンを支持し、前記エンジンが固定されるエンジン固定部と、
    を備え、
    前記支持フレームのうち、上下方向から見たときに前記エンジンと重なる部分をエンジン直下部とし、
    前記エンジン固定部の上端の上下方向位置は、前記エンジン直下部の上端の上下方向位置と一致する、または前記エンジン直下部の上端の上下方向位置よりも下側である、
    上部旋回体。
  5. 請求項4に記載の上部旋回体であって、
    前記支持フレームは、
    上下方向に延びる縦板と、
    前記縦板の上端に固定される上フランジと、
    を備え、
    前記エンジン固定部は、前記エンジンに接するエンジン接触部を備え、
    前記エンジン接触部は、前記上フランジと一体的に形成される、
    上部旋回体。
  6. 請求項5に記載の上部旋回体であって、
    前記エンジン接触部は、前記上フランジから横に突出する突起である、
    上部旋回体。
  7. 請求項5または6に記載の上部旋回体であって、
    前記エンジン固定部は、前記縦板と前記エンジン接触部とに接続される補強部材を備える、
    上部旋回体。
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