JP6712864B2 - 免震滑り支承装置 - Google Patents

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Description

本発明は、免震滑り支承装置に関する。
四フッ化エチレン樹脂を主成分とする低摩擦性樹脂で構成された第1滑り部材と第2滑り部材とを相対滑動自在に面接触させてなる免震装置の滑り支承が開示されている(特許文献1参照)。第1滑り部材には、その上面であって第2滑り部材との接触面である第1滑り面に開口し且つその開口部及び第1滑り面に平行する任意断面を同一面積とする複数個の有底孔が設けられている。各有底孔には、流動性を有する潤滑剤が充填保持され、この潤滑剤の滲出により接触面に潤滑膜が形成されることで、摩擦係数が低減されるとしている。
また、すべり免震装置において、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系樹脂に繊維状配合剤が配合されたすべり材を用いるものが開示されている(特許文献2参照)。更に、架橋PTFEに、繊維等の充填材及び高分子樹脂を混合した耐摩耗性樹脂組成物が開示されている(特許文献3参照)。また、フッ素樹脂とポリエステルとを含む樹脂組成物、該樹脂組成物により形成された成形体、該成形体を用いて形成された摺動用部材が開示されている(特許文献4参照)。
特開2001−59544号公報 特開2002−81496号公報 特開2003−253073号公報 特開2013−32484号公報
上記した特許文献1に記載の従来例では、滑り面の接触圧によって潤滑剤が有底孔から滲出することが期待されているが、有底孔が上方に開口していることから、接触圧だけですべての潤滑剤を滲出させることは困難と考えられる。
本発明は、上記事実を考慮して、潤滑剤による滑り部材の低摩擦性を長期にわたって維持することを目的とする。
第1の態様に係る免震滑り支承装置は、下部構造体と前記下部構造体の上方に配置される上部構造体との間に介在し、前記上部構造体及び前記下部構造体の一方に固定される滑り支承本体と、前記滑り支承本体に設けられ、前記上部構造体及び前記下部構造体の他方に対する滑り面を有する滑り部材と、前記滑り支承本体と前記滑り部材との間に設けられ、潤滑剤が収容される潤滑剤溜め部と、前記滑り支承本体と前記滑り部材との間に設けられ、前記滑り支承本体が前記上部構造体から受ける荷重により、前記潤滑剤溜め部内の前記潤滑剤を加圧状態に維持する潤滑剤加圧部と、前記滑り部材に設けられ、前記潤滑剤溜め部から前記滑り面へ通じる潤滑剤供給部と、を有する。
この免震滑り支承装置を、上部構造体及び下部構造体の一方に固定して、該上部構造体と下部構造体との間に介在させると、滑り支承本体が上部構造体から受けた荷重による潤滑剤加圧部の作用により、潤滑剤溜め部内の潤滑剤が加圧状態に維持される。潤滑剤溜め部は、滑り部材の潤滑剤供給部によって該滑り部材の滑り面へ通じているが、該滑り面は、上記荷重によって上部構造体及び下部構造体の他方に押し当てられているので、通常時における滑り面への潤滑剤の流出は抑制される。
地震等の作用により上部構造体が動いた際には、滑り部材が上部構造体及び下部構造体の他方に対して滑ることにより、上部構造体に作用する水平方向の加速度を低減することができる。この際、滑り面と上部構造体及び下部構造体の他方との間に微小な隙間が生じたり、滑り部材に微小変形が生じたりすることにより、潤滑剤加圧部による加圧状態にある潤滑剤の圧力が解放され、潤滑剤溜め部とその外部との圧力差により、潤滑剤が滑り面へ供給される。
第2の態様は、第1の態様に係る免震滑り支承装置において、前記滑り部材は、保持部材を介して前記滑り支承本体に設けられており、前記潤滑剤溜め部は、前記保持部材と、前記滑り部材と、前記潤滑剤加圧部とにより囲まれた空間に設けられている。
この免震滑り支承装置では、潤滑剤溜め部が、滑り部材の保持部材と、滑り部材と、潤滑剤加圧部とにより囲まれた空間、つまり内部的な空間に設けられているので、装置の簡素化が可能となる。
第3の態様は、第1の態様又は第2の態様に係る免震滑り支承装置において、前記潤滑剤加圧部は、前記荷重により変形して、前記潤滑剤溜め部の容積を狭める弾性体である。
この免震滑り支承装置では、潤滑剤加圧部としての弾性体が、上部構造体から受けた荷重により変形して、潤滑剤溜め部の容積を狭めることで、潤滑剤を加圧状態に維持することができる。したがって、潤滑剤を加圧するための複雑な装置や動力が不要である。
第4の態様は、第3の態様に係る免震滑り支承装置において、前記弾性体は、前記潤滑剤溜め部の前記潤滑剤供給部と反対側に配置されており、前記潤滑剤溜め部の高さ方向に圧縮された際に、前記潤滑剤溜め部の容積を前記高さ方向に狭める。
この免震滑り支承装置では、弾性体が潤滑剤溜め部の容積を該潤滑剤溜め部の高さ方向に狭めることで、潤滑剤を加圧状態に維持する。荷重の方向と加圧方向が対応しているため、効率的に潤滑剤を加圧することができる。
第5の態様は、第4の態様に係る免震滑り支承装置において、前記潤滑剤溜め部に、前記弾性体と前記潤滑剤との間を仕切ると共に前記弾性体の加圧力を前記潤滑剤に伝達する仕切り部材が設けられた。
この免震滑り支承装置では、弾性体と潤滑剤との間が仕切り部材により仕切られているので、弾性体と潤滑剤の接触を抑制すると共に、潤滑剤を効率的に加圧することができる。
第6の態様は、第3の態様に係る免震滑り支承装置において、前記弾性体は、前記潤滑剤溜め部の高さ方向に圧縮された際に、前記潤滑剤溜め部の容積を、前記高さ方向と交差する方向に狭める。
この免震滑り支承装置では、弾性体が潤滑剤溜め部の高さ方向に圧縮された際に、潤滑剤溜め部の容積を該高さ方向と交差する方向に狭めることで、潤滑剤を加圧状態に維持する。これにより、装置の高さ寸法の増加を抑制し、滑り支承本体の設計の自由度を高めることができる。
第7の態様は、第1〜第6の態様の何れか1態様に係る免震滑り支承装置において、前記滑り部材が、芳香族ポリエステル又はポリイミドを含有する四フッ化エチレン樹脂組成物である。
第8の態様は、第1〜第6の態様の何れか1態様に係る免震滑り支承装置において、前記滑り部材が、芳香族ポリエステルを5〜30wt%含有する四フッ化エチレン樹脂組成物である。
第9の態様は、第1〜第6の態様の何れか1態様に係る免震滑り支承装置において、前記滑り部材が、ポリイミドを5〜30wt%含有する四フッ化エチレン樹脂組成物である。
第10の態様は、第7〜第9の態様の何れか1態様に係る免震滑り支承装置において、前記滑り部材が、更に炭素繊維、グラファイト、グラスファイバー、二硫化モリブデン、チタン酸カリウム、ブロンズのうち1種類以上を含有する。
第11の態様は、第7〜第9の態様の何れか1態様に係る免震滑り支承装置において、前記滑り部材が、更に炭素繊維、グラファイト、グラスファイバー、二硫化モリブデン、チタン酸カリウム、ブロンズのうち1種類以上を、0を超え5〜20wt%以下含有する。
第12の態様は、第7〜第11の態様の何れか1態様に係る免震滑り支承装置において、前記滑り部材が面圧20MPaのときの摩擦係数が、0.01以下である。
第13の態様は、第7〜第11の態様の何れか1態様に係る免震滑り支承装置において、前記滑り部材が面圧最大80MPaのときの圧縮歪量が、40%以下である。
本発明に係る免震滑り支承装置によれば、潤滑剤による滑り部材の低摩擦性を長期にわたって維持することができる、という優れた効果が得られる。
第1実施形態に係る免震滑り支承装置を示す断面図である。 第1実施形態に係る免震滑り支承装置を示す要部断面図である。 第2実施形態に係る免震滑り支承装置を示す要部断面図である。 第3実施形態に係る免震滑り支承装置を示す要部断面図である。 第4実施形態に係る免震滑り支承装置を示す要部断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。
[第1実施形態]
図1、図2において、本実施形態に係る免震滑り支承装置10は、滑り支承本体12と、滑り部材の一例たる第1滑り部材14と、潤滑剤溜め部16と、潤滑剤加圧部の一例たる弾性体18と、潤滑剤供給部の一例たる貫通孔22と、を有している。
滑り支承本体12は、下部構造体28と、下部構造体28の上方に配置される上部構造体26との間に介在し、上部構造体26及び下部構造体28の一方、例えば上部構造体26に固定されている。上部構造体26は、建物、タンク、貯水槽等の被支持体である。下部構造体28は、例えば、コンクリート等で構成された基礎部分であり、地盤(図示せず)に固定されている。下部構造体28の上面には、板状の第2滑り部材24が設けられている。第2滑り部材24は、例えば鋼板である。なお、第2滑り部材24の表面に、フッ素樹脂コーティング等の低摩擦性化処理を施してもよい。
滑り支承本体12は、積層体32の上端に上取付け板34を固着し、下端に連結板36を固着して構成されている。積層体32は、複数枚の円板状の金属板42と、複数枚の円板状のゴム44とをその厚さ方向に交互に積層して円柱状に構成され、上取付け板34の中央に配置されている。金属板42は、例えば鋼板である。金属板42とゴム44とは、加硫接着により強固に一体化されている。これにより、鉛直方向(矢印V方向)の荷重に対しては所定の剛性を有し、水平方向(矢印H方向)の荷重に対しては、ばね機能を発揮すると共に所定の変形量を確保することが可能になっている。
上取付け板34及び連結板36は、夫々肉厚の円板状の鋼板で構成されている。上取付け板34の外径は、滑り支承本体12の外径よりも大径であり、上部構造体26に対して例えばボルト締結されている(図示せず)。
連結板36の外径は、金属板42の外径と同等に設定されており、積層体32及び連結板36の外周には、被覆ゴム46が円筒状に配置されている。この被覆ゴム46によって金属板42の外縁が覆われているため、金属板42及び連結板36が外部へ露出せず、その劣化が防止されるようになっている。
図1において、滑り支承本体12は、上部構造体26からの荷重を受けており、僅かに圧縮変形して無負荷状態よりも鉛直方向の長さが短くなっている。この状態で、下部構造体28と上部構造体26とが水平方向に相対移動すると、この相対移動の振動エネルギーが、滑り支承本体12のせん断変形によって一部吸収されるようになっている。
第1滑り部材14は、滑り支承本体12に設けられ、上部構造体26及び下部構造体28の他方に対する滑り面14Aを有する低摩擦部材である。第1滑り部材14の材質は、例えば四フッ化エチレン樹脂を主成分とする低摩擦性樹脂である。第1滑り部材14は、保持部材50を介して滑り支承本体12の例えば下端側に設けられている。保持部材50は、例えば円板状に形成されている。保持部材50の下端(第1滑り部材14側の端部)には、円形の凹部50Aが形成されている。
第1滑り部材14の材質は、例えば次の(1)〜(5)の何れかである。これらは、第1滑り部材14の摩擦係数の低減及び機械的強度を共に改善できる配合である。
(1)芳香族ポリエステル又はポリイミドを含有する四フッ化エチレン樹脂組成物。
(2)芳香族ポリエステルを5〜30wt%含有する四フッ化エチレン樹脂組成物。
(3)ポリイミドを5〜30wt%含有する四フッ化エチレン樹脂組成物。
(4)上記1)〜3)の何れかにおいて、更に炭素繊維、グラファイト、グラスファイバー、二硫化モリブデン、チタン酸カリウム、ブロンズのうち1種類以上を含有するもの。
(5)上記1)〜3)の何れかにおいて、更に炭素繊維、グラファイト、グラスファイバー、二硫化モリブデン、チタン酸カリウム、ブロンズのうち1種類以上を、0を超え5〜20wt%以下含有するもの。
なお、上記(4)、(5)においては、グラファイト、二硫化モリブデンが、摩擦特性の観点から他の材料より好ましい。
面圧20MPaのときの第1滑り部材14の摩擦係数は、例えば0.01以下であり、0.08以下がより好ましい。面圧最大80MPaのときの第1滑り部材14の圧縮歪量は、例えば40%以下である。
第1滑り部材14は、例えば円板状に形成されており、保持部材50の凹部50Aに嵌め込まれて、例えば接着により固定されている。第1滑り部材14の外径は、保持部材50の外径よりも小さく、例えば連結板36の外径と同等である。凹部50Aは、第1滑り部材14の厚さよりも浅く形成されている。これにより、第1滑り部材14は、保持部材50の下方に突出している。なお、第1滑り部材14の外径は、保持部材50の外径よりも小さい場合に限定されず、第1滑り部材14の外径が保持部材50の外径と略等しくてもよく、保持部材50の外径よりも大きくてもよい。
潤滑剤溜め部16は、滑り支承本体12と第1滑り部材14との間に設けられ、潤滑剤52が収容される部位である。この潤滑剤溜め部16は、保持部材50と、第1滑り部材14と、弾性体18とにより囲まれた空間に設けられている。具体的には、保持部材50の例えば中央部に貫通孔を形成し、該貫通孔の下端側に第1滑り部材14を配置し、該貫通孔の上端側に弾性体18を配置することで、潤滑剤溜め部16が形成されている。潤滑剤52は、弾性体18を保持部材50に重ねる前に、潤滑剤溜め部16に入れられる。
弾性体18は、滑り支承本体12と第1滑り部材14との間に設けられ、滑り支承本体12が上部構造体26から受ける荷重により変形して、潤滑剤溜め部16の容積を狭め、該潤滑剤溜め部16内の潤滑剤52を加圧状態に維持する部材である。この弾性体18は、潤滑剤溜め部16の貫通孔22と反対側、つまり潤滑剤溜め部16の上方に配置されており、潤滑剤溜め部16の高さ方向に圧縮された際に、潤滑剤溜め部16の容積を、潤滑剤溜め部16の高さ方向に狭めるようになっている。
具体的には、この弾性体18は、例えば円板状のゴムであり、滑り支承本体12と保持部材50との間に挟まれている。弾性体18は、滑り支承本体12が上部構造体26から受ける荷重により、保持部材50との間で上下方向に圧縮されるが、潤滑剤溜め部16の部位は保持部材50の貫通孔であるため弾性体18が上下方向に圧縮されない。これにより、弾性体18のうち潤滑剤溜め部16及びその周辺部位が、該潤滑剤溜め部16に入り込む進入部18A(図2)となることで、該潤滑剤溜め部16の容積が、該潤滑剤溜め部16の高さ方向に狭まるようになっている。
貫通孔22は、第1滑り部材14に設けられ、潤滑剤溜め部16から滑り面14Aへ通じている。この貫通孔22は、第1滑り部材14の厚さ方向と平行に形成されているが、これに限られず、該厚さ方向に対して傾斜していてもよい。また、この貫通孔22の断面積は一定に限られず、連続的又は段階的に変化していてもよい。図示の例では、貫通孔22は複数であるが、単数であってもよい。
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図1に示されるように、本実施形態に係る免震滑り支承装置10を、上部構造体26及び下部構造体28の一方、例えば上部構造体26に固定し、該上部構造体26と下部構造体28との間に介在させる。すると、滑り支承本体12が上部構造体26から受けた荷重により、弾性体18の一部が、潤滑剤溜め部16に入り込むように変形し、進入部18Aが形成される。図2に示されるように、この進入部18Aにより、潤滑剤溜め部16の容積が、該潤滑剤溜め部16の高さ方向に狭められる。
一方、潤滑剤溜め部16は、第1滑り部材14の貫通孔22によって該第1滑り部材14の滑り面14Aへ通じている。しかしながら、滑り面14Aは、上記荷重によって下部構造体28の第2滑り部材24に押し当てられているので、通常時における滑り面14Aへの潤滑剤52の流出は抑制される。したがって、潤滑剤溜め部16に収容された潤滑剤52を加圧状態に維持することができる。荷重の方向と加圧方向が対応しているため、効率的に潤滑剤52を加圧することができる。また、弾性体18の変形による加圧であるため、潤滑剤52を加圧するための複雑な装置や動力が不要である。また、潤滑剤溜め部16が、第1滑り部材14の保持部材50と、第1滑り部材14と、弾性体18とにより囲まれた空間、つまり内部的な空間に設けられているので、装置の簡素化が可能となる。
地震等の作用により上部構造体26が水平方向(矢印H方向)に動いた際には、第1滑り部材14が下部構造体28の第2滑り部材24に対して滑ることにより、上部構造体26に作用する水平方向の加速度を低減することができる。この際、滑り面14Aと第2滑り部材24との間に微小な隙間が生じたり、第1滑り部材14に微小変形が生じたりすることにより、加圧状態にある潤滑剤52の圧力が解放され、潤滑剤溜め部16とその外部との圧力差により、潤滑剤52が滑り面14Aへ供給される。これにより、潤滑剤52による第1滑り部材14の低摩擦性を長期にわたって維持することができる。
[第2実施形態]
図3において、本実施形態に係る免震滑り支承装置20では、潤滑剤溜め部16に、弾性体18と潤滑剤52との間を仕切ると共に弾性体18の加圧力を潤滑剤52に伝達する仕切り部材54が設けられている。この仕切り部材54は、例えば円板である。仕切り部材54の外径は、潤滑剤溜め部16を構成している貫通孔の内径と同等とされている。これにより、仕切り部材54は、潤滑剤溜め部16内を上下方向に摺動可能とされている。潤滑剤52は、仕切り部材54と、第1滑り部材14との間に収容されている。
図示の例では、保持部材50が、例えば、滑り支承本体12側に位置する大径部50Bと、第1滑り部材14側に位置する小径部50Cとを有する段付きの円板状に形成されている。第1滑り部材14が取り付けられる凹部50Aは、小径部50Cの下端(第1滑り部材14側の端部)に形成されている。したがって、第1滑り部材14の外径は、保持部材50の小径部50Cの外径よりも小さい。
この免震滑り支承装置20では、滑り支承本体12が上部構造体26(図1)から受けた荷重により、弾性体18の進入部18Aが仕切り部材54を押圧すると、該仕切り部材54により潤滑剤溜め部16の容積が該潤滑剤溜め部16の高さ方向に狭められ、潤滑剤52が加圧される。この際、弾性体18の少なくとも一部が仕切り部材54に当接すれば潤滑剤52を加圧できるので、弾性体18の変形が少なくても、潤滑剤52を効率的に加圧することができる。
第1実施形態と同様に、地震等の作用により上部構造体26が水平方向(矢印H方向)に動いた際に、加圧状態にある潤滑剤52の圧力が解放され、潤滑剤溜め部16とその外部との圧力差により、潤滑剤52が貫通孔22を通じて滑り面14Aへ供給される。これにより、潤滑剤52による第1滑り部材14の低摩擦性を長期にわたって維持することができる。また、弾性体18と潤滑剤52との間が仕切り部材54により仕切られているので、弾性体18と潤滑剤52の接触を抑制することができる。これにより、弾性体18の特性の変化を長期にわたって抑制することができる。
また、仕切り部材54を設けることにより、潤滑剤52の量を少なくすることができる。更に、仕切り部材54により潤滑剤52を均一に加圧できるので、潤滑剤52の供給タイミングを制御し易くなる。
他の部分については、第1実施形態と同様であるので、同一の部分には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
[第3実施形態]
図4において、本実施形態に係る免震滑り支承装置30は、潤滑剤溜め部16が複数設けられている。各々の潤滑剤溜め部16内には、第2実施形態に記載の仕切り部材54が設けられている。また、第1滑り部材14において、各々の潤滑剤溜め部16に対応する位置に貫通孔22が設けられている。これにより、貫通孔22が、第1実施形態及び第2実施形態と比較して、広い範囲に分布している。
この免震滑り支承装置30によれば、潤滑剤溜め部16が複数設けられているので、滑り面14Aの広い範囲に潤滑剤52を供給することが可能である。これにより、潤滑剤52による第1滑り部材14の広範囲での低摩擦性を、長期にわたって維持することができる。
他の部分については、第1実施形態又は第2実施形態と同様であるので、同一の部分には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
[第4実施形態]
図5において、本実施形態に係る免震滑り支承装置40では、弾性体48が、潤滑剤溜め部16の高さ方向に圧縮された際に、潤滑剤溜め部16の容積を、該高さ方向と交差する方向に狭めるようになっている。なお、高さ方向と交差する方向とは、例えば水平方向(矢印H方向)であるが、水平方向に対して傾いた方向も含まれる。保持部材50は、滑り支承本体12の連結版36に対して、接着やボルト締結等の手段により固定されている(図示せず)。
具体的には、弾性体48は、例えば断面略矩形で、かつ円環状に形成され、保持部材50の凹部50Aの内周に沿って配置されている。弾性体48の上方、下方及び径方向外方の三方は、保持部材50における凹部50Aの周壁及び底部50Dと、滑り部材14とに接している。弾性体48の径方向内方(内周部48A)は、潤滑剤52に接している。第1滑り部材14が凹部50Aに嵌合できるように、弾性体48の厚さは、凹部50Aの深さよりも小さく設定されている。第1滑り部材14は、凹部50Aに嵌合すると共に、該凹部50Aに対して上下方向に摺動可能に取り付けられている。本実施形態における潤滑剤溜め部16は、弾性体48と、保持部材50における凹部50Aの底部50Dと、第1滑り部材14とにより囲まれた領域に形成されている。
この免震滑り支承装置40では、弾性体48が潤滑剤溜め部16の高さ方向(矢印V方向)に圧縮されると、弾性体48のうち潤滑剤52と接している内周部48Aが、潤滑剤溜め部16の高さ方向と交差する方向、具体的には潤滑剤溜め部16の径方向内側(潤滑剤52側)に膨らむ。これは、弾性体48の上側、下側及び外側の三方への変形が、保持部材50における凹部50Aの周壁及び底部50Dと、滑り部材14とにより抑制されるためである。これにより、潤滑剤溜め部16の容積が、潤滑剤溜め部16の高さ方向と交差する方向に狭められることで、潤滑剤52が加圧状態に維持される。このため、免震滑り支承装置40の高さ寸法の増加を抑制し、滑り支承本体12の設計の自由度を高めることができる。
なお、弾性体48の断面形状は、断面略円形等であってもよい。
他の部分については、第1実施形態と同様であるので、同一の部分には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明の実施形態は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
第1滑り部材14が、保持部材50を介して滑り支承本体12に設けられるものとしたが、保持部材50を介さず、滑り支承本体12に設けられる構成であってもよい。この場合、保持部材50及び滑り支承本体12の少なくとも一方に凹部を設ける等して、潤滑剤溜め部が形成されると共に、滑り支承本体12と第1滑り部材14との間に潤滑剤加圧部が設けられる(図示せず)。
免震滑り支承装置10,20,30,40において、第1滑り部材14が下部構造体28に対して滑る構造としたが、上下の向きを反転させて、第1滑り部材14が上部構造体26に対して滑る構造としてもよい。
潤滑剤供給部の一例として貫通孔22を挙げたが、潤滑剤供給部はこれに限られるものではなく、潤滑剤52が浸透可能な発泡体や繊維束等の浸透部材(図示せず)を、潤滑剤溜め部16と滑り面14Aとの間に配置してもよい。この浸透部材を、貫通孔22内に配置してもよい。
潤滑剤加圧部として弾性体18,48を挙げたが、潤滑剤加圧部はこれに限られるものではなく、滑り支承本体12が上部構造体26から受ける荷重により、潤滑剤溜め部16内の潤滑剤52を加圧状態に維持できるものであればよい。例えば、潤滑剤溜め部16にそって摺動するピストンを用いることができる。また、第4実施形態において、弾性体を潤滑剤溜め部16の任意の位置に配置し、該弾性体が潤滑剤溜め部16の高さ方向に圧縮されて広がることで、潤滑剤溜め部16を狭めて、潤滑剤52を加圧する構成であってもよい(図示せず)。
積層体32を構成する金属板42及びゴム44、弾性体18,48、保持部材50、第1滑り部材14及び仕切り部材54の形状は、共に円板状だけでなく角型などでもよい。
(試験例1)
表1〜表3において、第1保持部材の組成の違いによる、摩擦係数及び圧縮歪量の違いを試験した。共通の試験条件は、次のとおりである。
ベース樹脂:ポリテトラフルオロエチレン(四フッ化エチレン樹脂、PTFE)
<摩擦試験>
試験機:動的摩擦試験機
第2滑り部材の材質:SUS304
面圧:20MPa
速度:100mm/s
振幅:200mm
<圧縮歪量>
試験機:圧縮試験機
面圧:80MPa
速度:1.3mm/min
試験片形状:直径30mm×厚さ5mm
共通でない試験条件は、次のとおりである。
潤滑剤:シリコーンオイル
摩擦係数の目標値は、0.01以下である。圧縮歪量の目標値は、40%以下である。摩擦係数及び圧縮歪量の目標値は、共に満たされることが望ましい。なお、圧縮歪量は((d1−d2)/d1)×100(%)と定義した。ここで、d1は第1保持部材の試験前厚みであり、d2は第1保持部材の試験後厚みである。
表1、表2より、第1保持部材に配合される材料が、芳香族ポリエステル又はポリイミドの何れであっても、各々の配合割合が5〜30wt%の場合に、摩擦係数及び圧縮歪量の目標値が共に達成されることがわかった。また、表3より、グラファイト添加量として20wt%以下の場合に、摩擦係数及び圧縮歪量の目標値が達成されることがわかった。
Figure 0006712864
Figure 0006712864
Figure 0006712864
10…免震滑り支承装置、12…滑り支承本体、14…第1滑り部材(滑り部材)、14A…滑り面、16…潤滑剤溜め部、18…弾性体(潤滑剤加圧部)、20…免震滑り支承装置、22…貫通孔(潤滑剤供給部)、26…上部構造体、28…下部構造体、30…免震滑り支承装置、40…免震滑り支承装置、48…弾性体、50…保持部材、52…潤滑剤、54…仕切り部材

Claims (11)

  1. 下部構造体と前記下部構造体の上方に配置される上部構造体との間に介在し、前記上部構造体及び前記下部構造体の一方に固定される滑り支承本体と、
    前記滑り支承本体に設けられ、前記上部構造体及び前記下部構造体の他方に対する滑り面を有する滑り部材と、
    前記滑り支承本体と前記滑り部材との間に設けられ、潤滑剤が収容される潤滑剤溜め部と、
    前記滑り支承本体と前記滑り部材との間に設けられ、前記滑り支承本体が前記上部構造体から受ける荷重により、前記潤滑剤溜め部内の前記潤滑剤を加圧状態に維持する潤滑剤加圧部と、
    前記滑り部材に設けられ、前記潤滑剤溜め部から前記滑り面へ通じる潤滑剤供給部と、
    を有し、
    前記潤滑剤加圧部は、前記荷重により変形して、前記潤滑剤溜め部の容積を狭めるゴムであり、
    前記ゴムは、前記潤滑剤溜め部の前記潤滑剤供給部と反対側に配置されており、前記潤滑剤溜め部の高さ方向に圧縮された際に、前記潤滑剤溜め部の容積を前記高さ方向に狭める免震滑り支承装置。
  2. 前記滑り部材は、保持部材を介して前記滑り支承本体に設けられており、
    前記潤滑剤溜め部は、前記保持部材と、前記滑り部材と、前記潤滑剤加圧部とにより囲まれた空間に設けられている請求項1に記載の免震滑り支承装置。
  3. 下部構造体と前記下部構造体の上方に配置される上部構造体との間に介在し、前記上部構造体及び前記下部構造体の一方に固定される滑り支承本体と、
    前記滑り支承本体に設けられ、前記上部構造体及び前記下部構造体の他方に対する滑り面を有する滑り部材と、
    前記滑り支承本体と前記滑り部材との間に設けられ、潤滑剤が収容される潤滑剤溜め部と、
    前記滑り支承本体と前記滑り部材との間に設けられ、前記滑り支承本体が前記上部構造体から受ける荷重により、前記潤滑剤溜め部内の前記潤滑剤を加圧状態に維持する潤滑剤加圧部と、
    前記滑り部材に設けられ、前記潤滑剤溜め部から前記滑り面へ通じる潤滑剤供給部と、
    を有し、
    前記潤滑剤加圧部は、前記荷重により変形して、前記潤滑剤溜め部の容積を狭める弾性体であり、
    前記弾性体は、前記潤滑剤溜め部の前記潤滑剤供給部と反対側に配置されており、前記潤滑剤溜め部の高さ方向に圧縮された際に、前記潤滑剤溜め部の容積を前記高さ方向に狭めるものであり、
    前記潤滑剤溜め部に、前記弾性体と前記潤滑剤との間を仕切ると共に前記弾性体の加圧力を前記潤滑剤に伝達する仕切り部材が設けられ免震滑り支承装置。
  4. 前記ゴムは、前記潤滑剤溜め部の高さ方向に圧縮された際に、前記潤滑剤溜め部の容積を、前記高さ方向と交差する方向に狭める請求項1又は請求項2に記載の免震滑り支承装置。
  5. 前記滑り部材は、芳香族ポリエステル又はポリイミドを含有する四フッ化エチレン樹脂組成物である請求項1〜請求項の何れか1項に記載の免震滑り支承装置。
  6. 前記滑り部材は、芳香族ポリエステルを5〜30wt%含有する四フッ化エチレン樹脂組成物である請求項1〜請求項の何れか1項に記載のされた免震滑り支承装置。
  7. 前記滑り部材は、ポリイミドを5〜30wt%含有する四フッ化エチレン樹脂組成物である請求項1〜請求項の何れか1項に記載の免震滑り支承装置。
  8. 前記滑り部材は、更に炭素繊維、グラファイト、グラスファイバー、二硫化モリブデン、チタン酸カリウム、ブロンズのうち1種類以上を含有する請求項〜請求項の何れか1項に記載された免震滑り支承装置。
  9. 前記滑り部材は、更に炭素繊維、グラファイト、グラスファイバー、二硫化モリブデン、チタン酸カリウム、ブロンズのうち1種類以上を、0を超え〜20wt%以下含有する請求項〜請求項の何れか1項に記載された免震滑り支承装置。
  10. 前記滑り部材が面圧20MPaのときの摩擦係数は、0.01以下である請求項〜請求項の何れか1項に記載された免震滑り支承装置。
  11. 前記滑り部材が面圧最大80MPaのときの圧縮歪量は、40%以下である請求項〜請求項の何れか1項に記載された免震滑り支承装置。
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