JP6712142B2 - 乳風味増強剤及びその製造方法 - Google Patents

乳風味増強剤及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、乳を含有する飲食物(以下「乳含有飲食物」という)に対して、乳のコクや広がりをもたらす乳風味増強剤に関し、詳しくは、バニラビーンズをヌクレアーゼ及び多価アルコールを含む溶媒中で酵素処理及び溶媒抽出処理した抽出物を含むことを特徴とする乳風味増強剤とその製造方法に関する。
最近の消費者の飲食物に対する嗜好の多様化や、より高級感を志向する風潮の中で、乳製品等の乳含有飲食物において乳のコク感の増強や広がりといった乳風味に対する改善・品質向上が強く要望されるようになった。
乳感や乳風味の向上剤、改良剤或いは増強剤として、高甘味度甘味料のスクラロースを有効成分とする乳感向上剤(特許文献1)、乳又は乳製品のリパーゼ処理及び/又は乳酸菌による発酵処理により得られる処理物を有効成分として含有することを特徴とする乳飲料又は発酵乳の風味改良剤(特許文献2)、脱苦味乾燥酵母を主要成分とする食品用乳感増強剤(特許文献3)、12−メチルトリデカナールからなる乳風味増強剤(特許文献4)、特定の風味原料、特定量の液状油を組み合わせた食品の乳風味強化方法(特許文献5)、乳清ミネラルを有効成分とする乳風味増強剤(特許文献6)、食用植物油脂と酵母エキス粉末の混合物を粉末状態で加熱して調製されるミート様フレーバーを有する粉末調味料と酵母エキスを配合したことを特徴とする乳感増強剤(特許文献7)、並びに、過酸化物価が25〜300の酸化部分水素添加油脂を有効成分として含む甘味及び/又は乳風味増強剤(特許文献8)が提案されている。
しかしながら、上記の増強剤や増強方法は、乳含有飲食物にもともと含まれていない新たな成分を別途添加する必要があるので、乳含有飲食物本来の風味を損なう恐れがある。また、添加物の数が増えることは、できる限り食品添加物を減らしたいという昨今の風潮にもなじまないし、製造コストの上昇をもたらす。
そこで、本発明者らは、乳含有飲食物に繁用されている香料成分の多機能化を図ることで乳風味増強剤として使用することを検討した。本発明者らは乳含有飲食物に、ほぼ必須の香料として使用されているバニラ香料に着目した。
バニラエキスは、そのふくよかな甘みによりアイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓などの冷菓類;キャラメル、焼菓子、チョコレートなどの菓子類を始めとして、極めて広範な食品の素材として使用されている天然香料である。
バニラエキスは、ラン目ラン科ツチアケビ属のつる性多年草の緑熟バニラ豆を乾燥・発酵・熟成させるキュアリングという工程を経たバニラビーンズをエタノール処理することにより、バニラエキスやバニラオレオレジンの形で香料として市場に流通している。バニラエキスやバニラオレオレジンの主成分はバニリンであるが、共存するその他の種々の微量成分により合成品では得られない香気特性を示す。
バニラエキスの製造方法としては、裁断したバニラビーンズを20〜95%の含水エタノールで抽出する方法が一般的である。
しかしながら、従来法で得られるバニラエキスは力価が高いとは言えず、より強い香気香味を有するバニラ抽出物を得るため、各種酵素処理したバニラビーンズの抽出方法が提案されてきている。
例えば、バニラ青莢の粉砕物を、グリコシダーゼ活性を有する酵素で処理する天然バニラ香料の製造方法(特許文献9)、バニラ青莢の粉砕物を香気成分の前駆体を分解する作用を示す微生物で処理する天然バニラ香料の製造方法(特許文献10)、バニラ豆をペク
チナーゼ等の酵素と、次いでβ−グリコシダーゼタイプ酵素で処理する天然バニラ香料の製造方法(特許文献11)、バニラ青莢の親水性有機溶媒抽出物をβ−グリコシダーゼおよびタンナーゼで処理する天然バニラ香料の製造方法(特許文献12)、キュアリング後のバニラ豆をタンパク質分解酵素、渋味・苦み分解酵素またはヘスペリジン分解酵素で処理するバニラエキストラクトの製造法(特許文献13)などが提案されている。
しかしながら、上記の方法は、いずれも天然バニラの自然な風味バランスが失われる問題点が指摘されていた。
より自然なバニラ風味組成物の製造方法としては、キュアリングを施さないバニラの生のさやを極性溶媒で抽出した香味改善剤(特許文献14)、バニラ豆の粉砕物と精製デンプンを含有する混合物を加水分解処理する糖化物(特許文献15)などが提案されている。
しかしながら、いずれも力価の点でさらなる技術の向上が求められ、特に乳感や乳風味の増強の点で不十分であった。
特開2000−135055号公報 特開2003−250482号公報 特開2010−57434号公報 特開2010−158210号公報 特開2014−45699号公報 特開2014−50336号公報 特許第4909326号公報 特許第5612234号公報 特表平06−502685号公報 特開平09−111285号公報 特表平08−503122号公報 特開平10−316992号公報 特開2001−181671号公報 特開平08−154619号公報 特開2012−210204号公報
本発明が解決しようとする課題は、より自然なバニラ風味を有し、かつ、強い呈味性を有し、しかも乳含有飲食物に乳のコクや広がりをもたらす乳風味増強に優れたバニラ抽出物を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために検討した結果、バニラビーンズをヌクレアーゼによる酵素処理並びに多価アルコールを含む溶媒による抽出処理を行って得られるバニラ抽出物(バニラエキスともいう)が、自然なバニラ風味を有し、強い呈味性を示し、さらに著しく乳風味を増強することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)バニラビーンズをヌクレアーゼ及び多価アルコールを含む溶媒中で酵素処理及び溶媒抽出処理した抽出物を有効成分とすることを特徴とする乳風味増強剤。
(2)多価アルコールを含む溶媒が、プロピレングリコール、グリセリン、糖類、糖アルコール類及びこれらの水溶液からなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴
とする前記の乳風味増強剤。
(3)前記の乳風味増強剤を含有することを特徴とする香味料組成物。
(4)前記の香味料組成物が添加されていることを特徴とする乳含有飲食物。
(5)以下の工程、
(a)ヌクレアーゼ及び多価アルコールを含む溶媒中で、バニラビーンズを酵素処理しつつ前記溶媒による抽出処理を行う工程;
(b)昇温して酵素を失活させる工程;
(c)固形分を除去して抽出液を得る工程;
(d)抽出液を濃縮処理する工程;を含むことを特徴とする乳風味増強剤の製造方法。
(6)酵素処理及び溶媒抽出処理を55〜70℃の温度、10分間〜4時間の時間、pH4〜7の条件で行うことを特徴とする前記の製造方法。
(7)75〜100℃の温度に昇温して酵素の失活処理を行うことを特徴とする前記の製造方法。
(8)多価アルコールを含む溶媒が、プロピレングリコール、グリセリン、糖類、糖アルコール類及びこれらの水溶液からなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、前記の製造方法。
(9)工程(c)が、以下の段階(c1)及び(c2)からなることを特徴とする、前記の製造方法。
(c1)固形分を除去して抽出液を得る段階;次いで、(c2)得られた抽出液を50〜121℃の温度、5分間〜4時間の時間で加熱処理する段階
(10)工程(d)の濃縮処理を、抽出液のブリックス度が70〜80に達するまで減圧濃縮法で行うことを特徴とする、前記の製造方法。
本発明の乳風味増強剤は、強い乳感と呈味性(飲食物のボディ感、余韻感など)を有し、乳含有飲食物全般に有用な食品素材であるとともに、ごく自然なバニラ風味であることから、乳やバニラを含有しない飲食品に添加した場合も他の素材の風味を邪魔しない、極めて汎用性に優れた食品素材である。
以下に、本発明を実施の形態に即して詳細に説明する。
<A> 乳風味増強剤とその製造方法
〔1〕バニラビーンズ
一般に、バニラエキスの原材料のバニラビーンズとして、Vanilla planifolia由来のブルボン豆、インドネシア豆、メキシコ豆、トンガ豆、バリ豆およびVanilla tahitiense由来のタヒチ豆などが挙げられる。本発明においては産地や品種は特に限定されることはないが、好ましくはマダガスカル産や、バリ島産のものが用いられる。
収穫直後のバニラビーンズ(バニラ青莢)には香気がないが、公知のキュアリングと呼ばれる発酵・乾燥工程を経た後、特有の香気が発現する。本発明に用いられるバニラビーンズはこうしたキュアリング処理されたバニラ豆を指す。
本発明において、バニラビーンズは、酵素及び溶媒抽出する前に好ましくは裁断又は粉砕して用いる。裁断する場合は通常5〜15mm程度に裁断されるが、より好ましくはホモジナイザーやミキサー等によって微粉状に粉砕した粉砕物を使用する。さらに好ましくは、凍結乾燥を行った後に70〜120μm程度の粒径に粉砕したものが用いられる。
〔2〕ヌクレアーゼによる酵素処理
バニラビーンズ、好適には裁断又は粉砕されたバニラビーンズは、多価アルコールを含む溶媒中でヌクレアーゼによる酵素処理を行う。
本発明に用いるヌクレアーゼは、核酸分解酵素の総称であり、RNAを分解するリボヌ
クレアーゼと、DNAを分解するデオキシリボヌクレアーゼになどが挙げられる。こうしたヌクレアーゼは試薬等で市販品を入手可能である。
例えば、工業的にはヌクレアーゼ 「アマノ」G(天野エンザイム社製)などの名称で入手できる。ヌクレアーゼ「アマノ」Gは、Penicillium citrinum 由来の菌株を培養して得られる酵素を精製した5’-ホスホジエステラーゼ剤である。RNA分解によって5’-ヌクレオチドを製造し、1本鎖DNAにも同様に作用する。至適pHは5.0、至適温度は70℃、ヌクレアーゼ力はpH5.0で7000u/g以上である。
酵素の使用量は、バニラビーンズの使用量に対して、1〜30質量%、好ましくは5〜15質量%、最も好ましくは10質量%である。
〔3〕多価アルコールを含む溶媒による抽出処理
本発明で用いられる多価アルコールを含む溶媒とは、多価アルコールが溶媒として作用する場合はその多価アルコール自体、又は多価アルコールを溶媒である水に溶解した水溶液、又はそれらの混合物をいう。多価アルコールを含む溶媒は、酵素処理における反応溶媒としての作用、並びに抽出処理における抽出溶媒としての作用を担うものである。
多価アルコールは、分子内に2以上の水酸基を有する化合物をいい、好ましい具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、糖類(単糖、二糖、三糖、オリゴ糖、多糖など)、糖アルコール類(糖のカルボニル基が還元された多価アルコール)が挙げられる。
プロピレングリコールとグリセリンは、溶媒なのでそのまま使用することができるが、水に溶解した水溶液であってもよい。
糖類としては、グルコース、フルクトース、スクロース(ショ糖)や、水飴(グルコース、マルトースの他各種グルコース重合物を含む)などを例示することができ、これらは水に溶解した水溶液で使用する。
糖アルコールとしては、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、マルチトール、ラクチトールなどを例示することができ、これらは水に溶解した水溶液で使用する。
多価アルコールの中でも糖類が好ましく、特に、多価アルコールを含む溶媒としてショ糖、水飴又はこれらの混合物の水溶液が好ましい。この場合は、ショ糖が15〜35質量%、特に20〜30質量%、水飴が5〜20質量%、特に8〜12質量%、水が45〜80質量%、特に58〜72質量%からなる水溶液が好ましい。
ショ糖として市販の砂糖(精製糖)を使用することができるが、純度が高く、淡白でクセのない甘さが特長で、非常に溶けやすい点からグラニュー糖が最も好ましい。
裁断又は粉砕されたバニラビーンズは、多価アルコールを含む溶媒中でヌクレアーゼによる酵素処理と同時に溶媒による抽出処理がされる。
かかる酵素処理及び溶媒抽出処理の操作は、好ましくは55〜70℃の温度、10分〜4時間の時間、pH4〜7の条件で行われる。
また、多価アルコールを含む溶媒の使用量は、バニラビーンズの使用量に対して、好ましくは5〜30倍量、最も好ましくは10〜20倍量である。
〔4〕酵素の失活処理
酵素処理並び溶媒抽出処理の後、80〜100℃の温度、特に好ましくは90℃に昇温して、好ましくは5〜20分間かけて酵素の失活処理を行う。
〔5〕抽出液の分離
酵素の失活処理後、通常は40〜50℃に冷却した後、スラリー状に懸濁している不溶解の固形分を除去して抽出液を得る。
固形分除去の方法として、一般的な固液分離法を採用でき、特に、珪藻土、多孔質セラミックス、焼結金属、金網、濾布(不織布など)、濾紙といった濾材を用いる濾過法、あるいは遠心分離法を挙げることができる。
得られた抽出液はそのまま次の濃縮処理の工程に送っても良いが、濃縮前に加熱処理することが好ましい。加熱処理を施すことにより、本発明の乳風味増強剤は、さらに乳風味の深みとコクの付与に優れたものになるからである。また、加熱処理を行うことによって、抽出液中に存在する雑菌を加熱殺菌できる点においても好ましい。
加熱処理を行う場合、加熱条件は通常50〜121℃、5分〜4時間行われ、好ましくは80〜100℃、10分〜4時間で行われる。なお、加熱時間が4時間を超えるとロースト臭が強くなる恐れがある。
〔6〕濃縮処理
上記の固液分離、あるいは固液分離に加え加熱処理して得られた抽出液は、保存性や飲食物添加時の取扱性などの観点から、ブリックス度(Brix)が70〜80になるまで減圧濃縮して粘稠な液体として得ることが好ましい。ここで、ブリックス度(Brix)とは溶液100gあたりの可溶性固形物重量(g)である。
以上の工程や段階を経て、本発明の乳風味増強剤が製造される。
本発明の乳風味増強剤の飲食物へ添加量は、一般的には0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜5質量%、より好ましくは0.5〜2質量%で使用することができる。
本発明の乳風味増強剤を乳含有飲食物に適正量添加することにより、より自然なバニラ風味と強い呈味性を付与し、さらに乳のコクや広がりをもたらすことができる。
なお、前述したとおり、バニラビーンズの抽出物(バニラエキス)には、バニラフレーバーの主成分であるバニリンの他に、共存する種々の微量成分が含まれそれら全体の作用によって合成品では得られない香気特性が醸し出されるものである。
本発明の乳風味増強剤は、エタノールや水で抽出される従来のバニラエキスと異なり、多価アルコールを含む溶媒中でヌクレアーゼによる酵素反応処理と同時に溶媒による抽出処理がなされ、さらに、固液分離や加熱処理、濃縮処理を経て製造される抽出物である。従って、従来の技術常識や知見からは予想できない成分の抽出や変性が伴い、得られる抽出物は多種多様の成分が複雑な状態や配合比で含まれている組成物である。こうした酵素反応処理、抽出処理、加熱処理並びに濃縮処理を行って得られる本発明の乳風味増強剤を構造や特性により直接特定するためには、構成成分の同定及び定量が必須となるが、全ての構成成分を同定及び定量することは、技術常識から見て到底不可能であるか、又はおよそ実際的ではない。
<B> 香味料組成物
本発明の乳風味増強剤は、既存の食品用香料に添加して香味料組成物として用いることができる。こうして飲食物製造時の工程の単純化を図ることができる。乳風味増強剤の食品用香料への添加率は、通常1〜99質量%、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは15〜50質量%の範囲で用いられる。
本発明の乳風味増強剤を添加できる香料として、以下のものを例示することができる。
アセト酢酸エチル、アセトフェノン、アニスアルデヒド、α−アミルシンナムアルデヒド、アントラニル酸メチル、イオノン、イソオイゲノール、イソ吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、イソチオシアン酸アリル、イソチオシアン酸3−ブテニル、イソチオシアン酸4−ペンテニル、イソチオシアン酸ベンジル、イソチオシアン酸3−メチルチオプロピル、イソチオシアネート類、
イソブタノール、インドール及びその誘導体、γ−ウンデカラクトン、エステル類、2−エチル−3,5−ジメチルピラジン及び2−エチル−3,6−ジメチルピラジン、エチ
ルバニリン、エーテル類、オイゲノール、オクタノール、オクタナール、オクタン酸エチル、ギ酸イソアミル、ギ酸ゲラニル、ギ酸シトロネリル、ケイ皮酸、ケイ皮酸エチル、ケイ皮酸メチル、ケトン類、ゲラニオール、酢酸イソアミル、酢酸エチル、酢酸ゲラニル、酢酸シクロヘキシル、
酢酸シトロネリル、酢酸シンナミル、酢酸テルピニル、酢酸フェネチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、酢酸l−メンチル、酢酸リナリル、サリチル酸メチル、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、1,8−シネオール、高級脂肪酸類、脂肪族高級アルコール類、脂肪族高級アルデヒド類、脂肪族高級炭化水素類、シンナミルアルコール、シンナムアルデヒド、チオエーテル類、チオール類、デカナール、デカノール、デカン酸エチル、テルピネオール、リモネン、ピネン、ミルセン、タピノーレン、
テルペン系炭化水素類、γ−ノナラクトン、バニリン、パラメチルアセトフェノン、ヒドロキシシトロネラール、ヒドロキシシトロネラールジメチルアセタール、ピペロナール、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸エチル、フェノールエーテル類、フェノール類、フルフラール及びその誘導体、プロパノール、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸エチル、
プロピオン酸ベンジル、ヘキサン酸アリル、ヘキサン酸エチル、ヘプタン酸エチル、l−ペリラアルデヒド、ベンジルアルコール、ベンズアルデヒド、芳香族アルコール類、芳香族アルデヒド類、d−ボルネオール、マルトール、N−メチルアントラニル酸メチル、メチルβ−ナフチルケトン、dl−メントール、l−メントール、酪酸、酪酸イソアミル、酪酸エチル、酪酸シクロヘキシル、酪酸ブチル、ラクトン類、リナロオール等の合成或いは天然由来の香料。
本発明の乳風味増強剤と上記香料からなる香味料組成物の乳含有飲食物へ添加量は、一般的には0.001〜1質量%、好ましくは0.01〜0.5質量%、より好ましくは0.05〜0.1質量%で使用することができる。
本発明の香味料組成物を乳含有飲食品へ適正量添加することにより、本来の香味付与に加えて、添加される飲食品に対して乳感、ボリューム感、余韻感などと共に、飲食品全体の呈味感を底上げする優れた風味を付与することができる。
<C> 乳風味増強剤の適用対象
本発明の乳風味増強剤を添加する対象は、乳含有飲食物、すなわち乳を含む飲食物全般であるが、好ましくは乳製品(牛乳やその成分を原料に製造加工する製品)である。飲食物中の乳の含有量が多いほど、効果が発揮される。
乳含有飲食物として、具体的には、無糖、有糖あるいはミルク入りの飲料類、アイスクリーム、シャーベット等の冷菓類、ゼリー、プリン、羊羹等のデザート類、クッキー、ケーキ、チョコレート、チューイングガム、饅頭等の菓子類、菓子パン、食パン等のパン類、ジャム類、ラムネ、タブレット、錠菓類、マーガリン等の油脂、加工クリーム、パン用プレミックスやケーキ用プレミックス、調理用プレミックス等のプレミックス製品、スープ、スープの素、カレールウ、シチュールウ、レトルト食品や冷凍食品、チルド食品、缶詰等の調理食品、ドレッシングやソース、たれ等の調味料、などが挙げられる。
次に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
キュアリング処理されたバニラビーンズ(マダガスタル産)を凍結乾燥し、それを粒径75μm程度に粉砕したバニラビーンズ粉砕物68.4質量部を、ショ糖(グラニュー糖を使用)288質量部、水飴(Brix.85、日本澱粉工業社製)177質量部及び水600質量部からなる溶液に加え、さらにヌクレアーゼ「アマノ」G(天野エンザイム社製)を7.2g加えた。次いで、撹拌しつつ70℃にて3時間かけて酵素反応処理及び溶媒抽出処理をした。
酵素反応処理及び溶媒抽出処理の終了後に、溶液を90℃まで昇温して10分間かけて酵素を失活させた。
次いで、40〜50℃に冷却後、濾紙を用いて固形分を濾別した後、抽出液を90℃で30分間加熱した。
加熱処理後、抽出液をBrix.75まで減圧濃縮することにより、バニラ抽出液を、褐色粘稠な液体として440質量部得た。
〔比較例1〕
キュアリング処理されたバニラビーンズ(マダガスタル産)を約1cmに裁断したバニラビーンズ裁断物100質量部を、45%エタノール水溶液300質量部に加え、40℃で8時間以上かけて抽出を行った。
抽出後に濾紙を用いて固形物を濾別することにより、バニラ抽出液を黄褐色の液体として300質量部得た。
〔比較例2〕
キュアリング処理されたバニラビーンズ(マダガスタル産)を凍結乾燥した後、粒径75μm程度に粉砕したバニラビーンズ粉砕物68.4質量部を、ショ糖(グラニュー糖)288質量部、水飴(Brix.85、日本澱粉工業社製)177質量部及び水600質量部からなる溶液に加えた。
次いで、70℃にて3時間かけて抽出処理を行った。
抽出後に濾紙を用いて固形分を濾別し、抽出液をBrix.75まで減圧濃縮することにより、バニラ抽出液を、褐色粘稠な液体として440質量部得た。
〔試験例1〕(乳入りコーヒー飲料)
市販の乳入りコーヒー飲料に対して、実施例1、比較例1、比較例2のバニラ抽出物を添加し、その評価を、10名の熟練パネルによる官能試験により行った。
実施例1と比較例2のバニラ抽出物の乳入りコーヒー飲料に対する添加量は各1質量%であるが、比較例1のバニラ抽出物については力価を調整するために0.05質量%の添加とした。
バニラ抽出物添加品の「バニラ感」、「乳のコクと広がり」について、比較例1のバニラ抽出物添加品を基準とする評価を5段階で行い、パネル10名の平均点を記載した。点数が高いほど乳風味増強に優れていることを示す。併せて特筆すべきフリーコメントも記載した。
官能評価の基準を表1に示し、本試験例の評価結果を表2に示した。
Figure 0006712142
Figure 0006712142
〔試験例2〕(カスタードクリーム)
カスタードクリーム(砂糖45質量部、薄力粉45質量部、卵1個、牛乳 300質量部から調製した)に対して、実施例1、比較例1、比較例2のバニラ抽出物を添加し、その評価を10名の熟練パネルによる官能試験により行った。実施例1と比較例2のバニラ抽出物の添加量は各1質量%であるが、比較例1のバニラ抽出物については力価を調整するために0.5質量%添加とした。
バニラ抽出物添加品の「バニラ感」、「乳のコクと広がり」について、試験例1と同様の基準で評価した。評価結果を表3に示した。
Figure 0006712142

Claims (9)

  1. バニラビーンズを、5’-ホスホジエステラーゼとしてのヌクレアーゼ及び多価アルコールを含む溶媒中で酵素処理及び溶媒抽出処理した後、昇温による酵素失活処理して得られる抽出液を50〜121℃の温度且つ5分間〜4時間の時間で加熱処理し、次いで、濃縮して得られる抽出物を有効成分とすることを特徴とする乳風味増強剤。
  2. 多価アルコールを含む溶媒が、プロピレングリコール、グリセリン、糖類、糖アルコール類及びこれらの水溶液からなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の乳風味増強剤。
  3. 請求項1又は2に記載の乳風味増強剤を含有することを特徴とする香味料組成物。
  4. 請求項3に記載の香味料組成物が添加されていることを特徴とする乳含有飲食物。
  5. 以下の工程、
    (a)5’-ホスホジエステラーゼとしてのヌクレアーゼ及び多価アルコールを含む溶媒中で、バニラビーンズを酵素処理しつつ前記溶媒による抽出処理を行う工程;
    (b)昇温して酵素を失活させる工程;
    (c)以下の段階からなる工程、
    (c1)固形分を除去して抽出液を得る段階;次いで、
    (c2)得られた抽出液を50〜121℃の温度、5分間〜4時間の時間で加熱処理する段階;
    (d)加熱処理された抽出液を濃縮処理する工程;
    を含むことを特徴とする乳風味増強剤の製造方法。
  6. 酵素処理及び溶媒抽出処理を55〜70℃の温度、10分間〜4時間の時間、pH4〜7の条件で行うことを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
  7. 75〜100℃の温度に昇温して酵素の失活処理を行うことを特徴とする請求項5又は6に記載の製造方法。
  8. 多価アルコールを含む溶媒が、プロピレングリコール、グリセリン、糖類、糖アルコール類及びこれらの水溶液からなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 工程(d)の濃縮処理を、抽出液のブリックス度が70〜80に達するまで減圧濃縮法で行うことを特徴とする、請求項5〜のいずれか1項に記載の製造方法。
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