JP6710022B2 - 可変剛性軸受と、当該可変剛性軸受を使用した工作機械の主軸装置及び当該主軸装置を備えたマシニングセンタ - Google Patents

可変剛性軸受と、当該可変剛性軸受を使用した工作機械の主軸装置及び当該主軸装置を備えたマシニングセンタ Download PDF

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Description

本発明は可変剛性軸受と、当該可変剛性軸受を使用した工作機械の主軸装置及び当該主軸装置を備えたマシニングセンタに関する。
マシニングセンタなどの工作機械の主軸装置には、一般的に組合せアンギュラ玉軸受が多く使用されている。当該アンギュラ玉軸受の初期隙間又は初期予圧量は、組立後あるいは運転時の所要の主軸剛性、軸振れ精度、振動量、温度上昇等を加味して決定される。初期予圧量は、予圧付与機構によって、アンギュラ玉軸受に対して軸線方向から所定の大きさの予圧を付与することで確保される。
予圧付与機構の初期予圧量が過大であると、主軸が高速回転したときに軸受に過大な負荷がかかることで焼損の原因になる。また初期予圧量が過小であると、主軸を無理なく高速回転はできるが、低速回転時に予圧が不足して必要な軸受剛性と加工精度が得られない。この様な課題に対して主軸を軸承する軸受の予圧量を可変にした予圧可変主軸が複数提案されている。
特許文献1(特開平5‐196034号公報)の技術は、軸受外筒の内部に軸線方向に可動に配設した軸受箱を軸線方向3位置に選択的に移動させることで、当該軸受箱の内側に配設したアンギュラ玉軸受の予圧量を3段階で変更可能にしている。
特許文献2(特開2011−11306号公報)の技術は、NCプログラムに基いて予圧付与装置を制御可能にしたものである。この予圧付与装置は環状の油圧シリンダに油圧を供給し、当該油圧によってピストンが後方側に押圧されることで第2前側転がり軸受の外輪が押圧されて当該第2前側転がり軸受に予圧が付与される。また当該予圧により主軸が後方側に移動して第1前側転がり軸受の内輪が押圧されることで当該第1前側転がり軸受にも予圧が付与される。
特許文献3(特開2009−14101号公報)の技術は、主軸を軸承する軸受の予圧量と剛性を、電磁石の磁力によって調整可能にしたものである。軸受の剛性を変えることで主軸の固有振動数を主軸回転数と異ならせて共振発生を抑制し、びびり振動のない安定した加工を実現するようにしている。
特許文献4(特開平6−8005号公報)の技術は、主軸の前側転がり軸受と前側ハウジングとの間に中間ハウジングを介装し、この中間ハウジングを、減衰性を付加した静圧軸受で支持して加工中のびびりを抑制するようにしている。
特許文献5(特開2011‐79078号公報)の技術は、主軸の前側軸受に前記特許文献2と同様の構成で予圧を付与するとともに、主軸の後側軸受の外周に静圧軸受を嵌合し、当該静圧軸受の絞り比を制御することで静圧軸受の減衰性を調整するようにしている。
特開平5‐196034号公報 特開2011−11306号公報 特開2009−14101号公報 特開平6−8005号公報 特開2011‐79078号公報
工作機械の主軸の予圧方法には定位置予圧と定圧予圧の二種類がある。特許文献1の技術は定位置予圧を使用したものであり、この定位置予圧では高い主軸剛性が得られる反面、予圧量を自由に変更することができないという欠点がある。
特許文献2の技術は定圧予圧を使用したものであり、この定圧予圧では油圧シリンダの圧力によって任意の予圧量を設定可能であるが、外力(切削力)に対する主軸の抵抗力を表す主軸剛性は、定位置予圧のように高くすることができないという欠点がある。
また、びびり振動が発生しない安定した加工を実現するには、主軸剛性を高めるだけでなく、主軸振動特性(固有振動数、減衰性、コンプライアンス)も考慮する必要がある。しかし、軸受の予圧を変更することで主軸振動特性、特にコンプライアンスを変更可能にしたものは、特許文献3〜5を含めて従来の技術では未だ実現されていない。
そこで本発明の目的は、主軸を軸承する軸受の予圧を変更することで主軸剛性を変更可能にし、当該主軸剛性の変更によりコンプライアンスなどの主軸振動特性をも変更可能にすることにある。
前記課題を解決するため、本発明の可変剛性軸受は、予圧可能な転がり軸受に対して、軸線方向に作用する予圧の大きさを調整することで、当該転がり軸受の軸受負隙間の大きさを調整する静圧機構を配設したことを特徴とするものである。
本発明は以上のように、静圧機構によって軸受の予圧の大きさを調整することで軸受負隙間の大きさを調整するようにしたので、静圧機構の圧力調整で主軸剛性を容易に変更することができる。
本発明の実施形態に係る可変剛性軸受の断面図である。 図1の可変剛性軸受のIIA−IIA線矢視断面図である。 図2AのIIB−IIB線矢視側面図である。 (a)は従来の定位置予圧軸受の一例を示す断面図、(b)は定位置予圧軸受の力学モデル、(c)は定位置予圧軸受の剛性モデルである。 (a)は従来の定圧予圧軸受の一例を示す断面図、(b)は定圧予圧軸受の剛性モデルである。 (a)は本発明の実施形態に係る可変剛性軸受の断面図、(b)は当該軸受の剛性モデルである。 可変剛性軸受の供給油圧と主軸剛性との関係を示す図である。 可変剛性軸受の供給油圧とアキシャル方向コンプライアンスとの関係を示す図である。 可変剛性軸受の供給油圧とラジアル方向コンプライアンスとの関係を示す図である。
以下、図面に基いて本発明の実施形態に係る可変剛性軸受を使用した工作機械の主軸装置について説明する。なお、各図面で共通する部材には原則として同じ符号を付すことで、一度説明した部材についてはその後の重複した説明を省略することとする。
(主軸装置の概要)
図1に、可変剛性軸受を使用した工作機械としてのマシニングセンタの主軸装置100の概要を示す。マシニングセンタは任意の軸数で縦型又は横型で構成可能であり、図1は縦型マシニングセンタを想定している。この主軸装置100は主軸頭10の内部に主軸11を回転可能に配設している。主軸11は主軸頭10の後方に配置された駆動モータと連結されており、後述する制御装置40によって駆動モータの回転数を任意に変更することで所望の回転数で回転駆動されるようになっている。
主軸11は上下方向に4列で配列されたアンギュラ玉軸受21〜24により回転可能に軸承されている。前側のアンギュラ玉軸受21、22が固定側であり、後側のアンギュラ玉軸受23、24が自由側である。前側のアンギュラ玉軸受21の内輪端部に主軸11の段部11aが当接している。
前側1、2列のアンギュラ玉軸受21、22と、後側3、4列のアンギュラ玉軸受23、24は、互いに背面合わせで配設されている。このように背面合せで配設することで、モーメント耐荷重を高めることができる。
アンギュラ玉軸受21〜24と主軸頭10との間には、第1部材と第2部材を構成する2つの軸受外筒31、32が、互いに軸線方向に対向する形で配設されている。前側の軸受外筒31が固定側であり、後側の軸受外筒32が自由側である。軸受外筒31、32相互間にはスペーサ34が配設され、後述するランド部隙間hの最低量が当該スペーサ34で確保されている。
前側軸受外筒31の内周に前側1、2列のアンギュラ玉軸受21、22の外輪が嵌合され、また後側軸受外筒32の内周に後側3、4列のアンギュラ玉軸受23、24の外輪が嵌合されている。そしてアンギュラ玉軸受21〜24の相互間に中間部内輪間座25cと、内・外輪間座25dが配設されている。
前側軸受外筒31は、主軸頭10の先端において複数のボルト12で固定されている。また、前側軸受外筒31の先端部にネジ固定されたフロントキャップ13が、アンギュラ玉軸受21の外輪端部に当接し、これによりアンギュラ玉軸受21の外輪位置が固定されている。
後側軸受外筒32の後端部には、当該軸受外筒32を前側に付勢するバイアス用ばね60が配設されている。そしてこのばね60によって軸受外筒32が前側に付勢されることで軸受外筒32の前側移動を可能にし、かつ、当該前側付勢によって後述する油静圧軸受50の剛性を高めるようにしている。ばね60の後端は、ボルト61で主軸頭10に固定されたエンドキャップ62で支持されている。
主軸11の後側に押圧リング14と軸受ナット15が配設されている。軸受ナット15はボルト等で主軸11に固定され、この軸受ナット15と後側アンギュラ玉軸受24の内輪との間に押圧リング14が配設されている。この押圧リング14によってアンギュラ玉軸受24の内輪位置が固定されている。また、アンギュラ玉軸受24の外輪位置は、ボルト63によって軸受外筒32に固定されたリヤキャップ64によって固定されている。
2つの軸受外筒31、32は、図1の拡大図に示すように、互いに向き合った端部がL字状に屈曲形成され、このL字状部分31a、32aが互いに摺動可能に入れ子式に嵌合されている。軸受外筒31のL字状部分31aの段部に前側アンギュラ玉軸受22の外輪後端面が当接し、後側軸受外筒32のL字状部分32aの段部に後側アンギュラ玉軸受23の外輪前端面が当接している。
(油静圧軸受の構成)
2つの軸受外筒31、32のL字状部分31a、32aに、主軸11のスラスト方向に予圧を付与するための静圧機構としての油静圧軸受50が配設されている。本発明の特徴は、当該油静圧軸受50の高剛性の利点を生かして可変予圧を実現したことにある。油静圧軸受50は、この実施形態では定ポンプ圧力・絞り弁方式であるが、定流量方式を採用することも可能である。
定ポンプ圧力・絞り弁方式は、後述する静圧ポケット31cの上流側に流体絞りSを設け、ランド部31dにかかる負荷荷重に対応して静圧ポケット31c内の圧力を増減させることで、負荷の変化に対応してランド部31dによって支えるアンギュラ玉軸受21〜24の外輪の軸線方向位置を安定化させる。なお、絞りSは、静圧ポケット31c内の圧力増減範囲を大きくするために可変絞り型にすることも可能である。
なお、定流量方式では静圧ポケット31cに定流量の圧油を供給し、ランド部31dに作用する負荷荷重に対して、ランド部隙間hの変化から静圧ポケット31c内の圧力を変化させることで負荷荷重を支持する。この定流量方式は定流量ポンプ又は流量制御弁を使用する。
油静圧軸受50は、静圧ポケット31c、ランド部31d、流体絞りSを有し、静圧ポケット31cに供給する油圧の大きさによってランド部31dの隙間の大きさ、ひいてはアンギュラ玉軸受21〜24の軸受負隙間(アキシャル負隙間、ラジアル負隙間)の大きさを調整可能とされている。なお、油静圧軸受50は主軸11を軸承するアンギュラ玉軸受21〜24に予圧を与えるものであり、主軸11を直接的に軸承するものではない。
図2Aは図1のIIA−IIA線矢視断面図であり、軸受外筒31、32のランド部31dが周方向に四分割された状態を示している。また図2Bは図2AのIIB−IIB線矢視側面図である。四分割されたランド部31dはそれぞれ中心角90度の扇形で構成され、各ランド部31dによって4つの独立した油静圧軸受50が構成されている。これら4つの独立した油静圧軸受50で各ランド部隙間hが独立的に自動調整されることで、主軸11の周方向の最適剛性バランスが得られるようになっている。
軸受外筒31の内部には、各静圧ポケット31cに油を供給するため4つの油供給通路31bが形成されている。これら4つの油供給通路31bの上流側は、主軸頭10の油供給通路10aを介して予圧付与装置20の油圧ポンプに接続されている。また、4つの油供給通路31bの下流側は、絞りSを介して各静圧ポケット31cに接続されている。
前記予圧付与装置20は制御装置40で制御されるようになっている。当該制御装置40はNCプログラムを内蔵して主軸11の駆動モータをはじめとしてマシニングセンタ全体を制御するものである。前記NCプログラムの解読により制御装置40で前記予圧付与装置20の供給油圧を制御することも可能である。
前記静圧ポケット31cは、L字状部分31aの先端側に中心角90度の円弧状の溝部として形成されている。この静圧ポケット31cは、その上端部(下流側)がL字状部分31aの端面に形成されたランド部31dに開口し、下端部(上流側)が絞りSを介して油供給通路31bに接続されている。
前記ランド部31dは、L字状部分31aの端面に水平に形成されている。このランド部31dは、後側の軸受外筒32のL字状部分32aの対向面32dとランド部隙間hを介して対向している。ランド部31dの外側は大気圧POに開放され、ランド部隙間hから半径方向に絞り出された油は、軸受外筒31内に軸線方向で形成された排出通路31eと、主軸頭10の油排出通路10bを経由して、主軸頭10の外部に排出されるようになっている。前記排出通路31eは、ランド部31dの分割位置に対応して軸受外筒31内に周方向等間隔に4本形成されている。
(油静圧軸受の作動)
制御装置40によって予圧付与装置20が制御されることで、当該予圧付与装置20の油圧ポンプから所定圧の油が供給されると、当該油は軸受外筒31の油供給通路31bを通り、絞りSを通って静圧ポケット31c内に導入される。静圧ポケット31cに導入された油はランド部隙間h、すなわち前側軸受外筒31の後端面と後側軸受外筒32の前端面との間の隙間hを通って機外に排出される。
静圧ポケット31c内の圧力は、供給する油圧とランド部隙間hのバランスで決まる中間圧に保たれており、ランド部31dの外側では大気圧P0になっている。外力(切削力)が主軸11に作用すると、主軸11を軸承するアンギュラ玉軸受21〜24を介して油静圧軸受50の負荷が変動する。負荷が大きくなるとランド部隙間hが狭くなり、静圧ポケット31c内の中間圧が高くなって油静圧軸受50の負荷容量が増える。これと反対に負荷が小さくなるとランド部隙間hが広がり、静圧ポケット31c内の中間圧が低くなって油静圧軸受50の負荷容量が下がる。
また、油圧ポンプの供給油圧を変更することで油静圧軸受50のランド部隙間hを変更し、主軸11を軸承するアンギュラ玉軸受21〜24の予圧量を調整することもできる。供給油圧を変更するとランド部隙間hが変わるが、4つのランド部隙間hで僅かではあるが偏りが生じる。しかし、後述する油静圧軸受の原理から分かるように、ランド部隙間hが相対的に狭いと負荷容量Wが相対的に大きくなるので、ランド部31cを周方向に分割しておけば、アンギュラ玉軸受21〜24の負隙間が周方向に均等になるように自己調整される。
このように油静圧軸受50は、油圧シリンダを使用した従来の定圧予圧とは異なり、原理的に剛性の高い機構である。したがって、後述するように力学モデルにおける油静圧軸受50の剛性の直列結合により主軸剛性も高めることができる。また、油静圧軸受50に粘性の高い油を用いることで軸受の減衰性能も高めることができる。この減衰性能はランド隙間hから油が押し出される際に発生する圧力(スクイズ効果による発生圧力)により得られ、その大きさはランド隙間hの時間変化(∂h/∂t)や油の粘度に比例する。
(油静圧軸受の原理)
油静圧軸受50は、図2Bに示すように、予圧付与装置20のポンプから供給された油が絞りSを通って静圧ポケット31cに入り、ランド部隙間hを通って軸受外に排出される。ここで、予圧付与装置のポンプの供給圧をPs、静圧ポケット31c内の中間圧をPr、大気圧をP0、ポンプから絞りSを通って静圧ポケット31cに入る油の流量をQin、ランド部隙間hから排出される油の流量をQoutとすると、Qin=Qoutとなる。
また、絞りSを通る流量Qinは供給圧Psと中間圧Prの差に比例する。したがって、
in=π・(d 2/4)・Vin∝Ps−Pr
となる。dは絞りSの径、Vinは絞りSを通る油の流速である。
外力が増加してランド部隙間hが狭くなると、Qout、Qinとも少なくなり、供給圧Psと中間圧Prとの差が小さくなる。その結果、中間圧Prが外力の増加に見合うように高くなる。負荷容量Wは中間圧Prが軸受有効面積Aの範囲に作用した値になるので、中間圧Prが高くなると負荷容量Wが増加して外力と釣り合う(W=A・Pr)。ここで外力に対する抵抗力(剛性)をKsとすると、剛性Ksは次式で表される。
s=−∂W/∂h
このように、本発明で使用する油静圧軸受50は、ランド部隙間hに対応して中間圧Prを変化させる機構である。なお、絞りSがない場合は油の流速Vinが遅くても流量Qinが確保されるのでPs≒Prとなり、ランド部隙間hの変化に対して中間圧Prが殆ど変化しない。したがって、負荷容量Wが増大しても剛性Ksは高くならない。したがって、油静圧軸受50に定ポンプ圧力で供給圧Psを供給する場合は絞りSが必要である。
(従来の定位置予圧軸受、定圧予圧軸受との相違)
図3の(a)は従来の定位置予圧を使用した軸受の概略図であり、(b)は当該定位置予圧軸受の力学モデルである。定位置予圧では主軸11を軸承するアンギュラ玉軸受21〜24の間にある中間部外輪間座25aと外輪間座25bの寸法によりアンギュラ玉軸受21〜24の予圧量を調整する。
アンギュラ玉軸受21〜24のうち前側1、2列の軸受等価剛性(バネ定数)をKb1、後側3、4列の軸受等価剛性をKb2とすると、定位置予圧軸受で支持された主軸11と、当該主軸11に作用する外力(切削力)Fとの関係は、図3(c)のように表すことができる。したがって、外力(切削力)に対する主軸11の抵抗力を表す主軸剛性は以下の式(1)で表される。
Kb1+Kb2 …(1)
一方、図4(a)は従来の定圧予圧を使用した軸受であり、図4(b)は当該定圧予圧軸受の力学モデルである。定圧予圧はばねや油圧シリンダを軸方向に用いて一定の荷重を与えるものであり、図4(a)では前側軸受外筒31と後側軸受外筒32との間に油圧室33を設けている。
そして油圧室33に油圧を供給して当該油圧による圧力Pにより、4列アンギュラ玉軸受21〜24の後側3、4列の外輪を後方に移動させることで予圧を与える。また前側1、2列のアンギュラ玉軸受21、22の内輪は、後側3、4列の外輪予圧で後方に移動される主軸11を介して予圧が与えられる。
定圧予圧軸受で支持された主軸11の力学モデルは、外力(切削力)をFとして図4(b)のように表すことができるので、外力(切削力)に対する主軸11の抵抗力を表す主軸剛性は以下の式(2)で表される。
Kb1 …(2)
これに対して本発明に係る可変剛性軸受では、図5(a)に示すように、前側軸受外筒31と後側軸受外筒32との間に油静圧軸受50を配置している。そして当該油静圧軸受50に供給する油圧により油静圧軸受50のランド部隙間hを変更して後側軸受外筒32と主軸11を軸承する4列アンギュラ玉軸受21〜24のうち3、4列の外輪を後方に移動させて予圧を与える。また前側1、2列のアンギュラ玉軸受21、22の内輪は、後側3、4列の外輪予圧で後方に移動される主軸11を介して予圧が与えられる。
ここで油静圧軸受50の等価剛性をKbsとし、主軸11に作用する外力(切削力)をFとすると、可変剛性軸受の力学モデルは図5(b)のように表すことができる。この力学モデルは、図3(c)の定位置予圧の力学モデルに、油静圧軸受50の等価剛性Kbsを直列結合した形である。したがって、外力(切削力)Fに対する主軸の抵抗力を表す主軸剛性は以下の式(3)で表される。
Kb1+Kbs・Kb2/(Kbs+Kb2 …(3)
本発明に係る可変剛性軸受は、油静圧軸受50に供給する油圧を変更することにより主軸11を軸承する4列アンギュラ玉軸受21〜24の予圧量を任意に変更することができ、式(1)〜(3)から明らかなように、従来の定位置予圧や定圧予圧に比べて高い主軸剛性を得ることができる。
(供給油圧Psの変更による効果)
図6は油静圧軸受50に供給する供給油圧Ps(MPa)と主軸剛性(N/μm)との関係を示したものである。このように供給油圧Psを変更することで任意の主軸剛性(例えば500N/μm以上)を得ることができる。したがって、例えばフライス加工のような重切削加工(切削力の大きな加工)では大きな主軸剛性が必要になるので、供給油圧Psを上げて主軸剛性を高めることができる。
また、主軸11の振動の大きさを表すコンプライアンスは図7、図8のようになる。図7は主軸11の軸方向振動のコンプライアンスであり、図8は主軸11の半径方向振動のコンプライアンスである。
図7に示すように、軸方向振動のコンプライアンスは、圧力を上げるに従い減少して振動が小さくなる。また図8に示すように、半径方向振動のコンプライアンスは、圧力を上げるに従いに増大して振動が大きくなる。したがって、軸方向の振動が生じ易いドリル加工や座グリ加工では供給油圧Psを上げることで軸方向振動のコンプライアンスを下げて加工を行う。
またエンドミル加工やボーリング加工では半径方向の振動が生じ易いので供給油圧Psを下げることで半径方向振動のコンプライアンスを下げて加工を行う。このように、加工の種類に対応して供給油圧Psを増減調整して最適化することで、びびり振動のない安定した加工を実現することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、種々の変形が可能である。例えば前記実施形態では、転がり軸受をアンギュラ玉軸受で構成したが、アンギュラ玉軸受に代えて、又はアンギュラ玉軸受と共に、ころ軸受やテーパころ軸受を使用することもできる。
また、転がり軸受は背面合わせで使用する他、正面組み合わせや並列組み合わせで使用することも可能である。そして当該組み合わせ方に応じて、転がり軸受の軸受負隙間の大きさを調整可能なように静圧機構を配設すればよい。前記実施形態では背面合わせのアンギュラ玉軸受の外輪に油静圧軸受50で予圧を作用させたが、転がり軸受の種類と組み合わせ方によっては外輪ではなく内輪に予圧を作用させる。
また、前記実施形態では静圧機構の第1部材と第2部材として2つの軸受外筒31、32を使用したが、静圧機構としての油静圧軸受50の構成如何によっては、軸受外筒31、32の一方を転がり軸受の外輪又は内輪に一体化した構成も可能である。また、前記実施形態ではランド部31cを四分割したが、ランド部31cを分割しない構成や、ランド部31cを四分割以外で分割する構成も勿論可能である。
本発明の可変剛性軸受は、マシニングセンタなどの工作機械の主軸装置に限らず、電動機用軸受、測定器用軸受、自動車のデフピニオン用軸受など、あらゆる用途の軸受に対して適用可能性を有する。
10:主軸頭
10a:油供給通路
10b:油排出通路
11:主軸
11a:段部
12:ボルト
13:フロントキャップ
14:押圧リング
15:軸受ナット
20:予圧付与装置
21〜24:アンギュラ玉軸受
25a:中間部外輪間座
25b:外輪間座
25c:中間部内輪間座
25d:内・外輪間座
31:前側軸受外筒
31a:L字状部分
31b:油供給通路
31c:静圧ポケット
31d:ランド部
31e:排出通路
32:後側軸受外筒
32a:L字状部分
32d:対向面
33:油圧室
34:スペーサ
40:制御装置
50:油静圧軸受
60:バイアス用ばね
61:ボルト
62:エンドキャップ
63:ボルト
64:リヤキャップ
100:主軸装置
h:ランド部隙間

Claims (6)

  1. 予圧可能な転がり軸受に対して、軸線方向に作用する予圧の大きさを調整することで、当該転がり軸受の軸受負隙間の大きさを調整する静圧機構を配設した可変剛性軸受であって、
    前記静圧機構は、静圧隙間を介して軸線方向に対向した第1部材と第2部材を有し、前記第1部材と第2部材の対向面に前記静圧隙間を挟んで対向するランド部が形成されると共に、前記第1部材と第2部材の少なくとも一方の前記ランド部に、前記第1部材内又は前記第2部材内に形成された給油通路によって油圧が供給される静圧ポケットが形成され、当該静圧ポケットに供給された油が前記静圧隙間を通って前記ランド部の外側に排出されるように構成され、
    前記第1部材と第2部材の少なくとも一方が、前記転がり軸受の軸受負隙間の大きさを調整可能なように、前記第1部材又は前記第2部材の対向面の軸線方向の反対側に前記転がり軸受の外輪又は内輪に軸線方向に当接する当接面が形成され、前記第1部材と第2部材は前記静圧隙間の大きさを増減させることで軸線方向に相対変位可能とされていることを特徴とする可変剛性軸受。
  2. 前記転がり軸受が背面合わせのアンギュラ玉軸受で構成されるとともに、前記静圧機構が前記背面合わせのアンギュラ玉軸受相互間に配設され、前記第1部材と第2部材が前記アンギュラ玉軸受の外輪に軸線方向に当接していることを特徴とする請求項1の可変剛性軸受。
  3. 前記第1部材と第2部材が前記転がり軸受の周方向で複数に分割され、当該分割された第1部材と第2部材相互間の前記静圧隙間が独立に増減可能とされていることを特徴とする請求項2の可変剛性軸受。
  4. 前記分割された第1部材と第2部材の対向面に前記ランド部が円弧状に形成され、当該第1部材と第2部材の少なくとも一方の前記ランド部の内側に前記円弧状に沿った溝部によって前記静圧ポケットが形成され、当該静圧ポケットに対して給油通路によって油圧が供給され、前記静圧隙間を通って前記ランド部の外側に排出された油が排油通路によって軸受外に排出されることを特徴とする請求項3の可変剛性軸受。
  5. 請求項1から4のいずれか1項の可変剛性軸受を備えたことを特徴とする工作機械の主軸装置。
  6. 請求項5の主軸装置を備えたことを特徴とするマシニングセンタ。
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