JP6708176B2 - 車載シャッタシステム - Google Patents

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Description

本発明は、車載シャッタシステムに関するものである。
従来、自動車のフロントグリル開口部からエンジンコンパートメント内のラジエータに空気流を流す空気流路に配置されているシャッタが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
シャッタは、空気流路内に並べられている第1、第2、第3ブレードを備える。第1、第2、第3ブレードは、それぞれの回動によって空気流路を流れる空気流路を調整する。
第1、第2ブレードが第1伝達機構により結合されている。第2、第3ブレードが第2伝達機構により結合されている。第1ブレードには、駆動モータが結合されている。第3ブレードには、第1、第2、第3ブレードの回動状態を検出する検出部が結合されている。
シャッタは、駆動モータの駆動力を第1ブレード→第1伝達機構→第2ブレード→第2伝達機構→第3ブレード→検出部の順に直列的に伝達するトルク伝達経路を形成する。
特開2014−080071号公報
上記シャッタは、駆動モータの駆動力を第1、第2、第3ブレードを通して検出部に直列的に伝達するトルク伝達経路を形成する。このため、駆動モータと検出部との間の第1、第2、第3ブレードのうち1つのブレードでも故障すれば、ブレードの回動異常となる。このため、シャッタが故障していると検出部によって検出されることになる。
このようにシャッタの故障が検出部によって検出されたとき、走行用エンジンのオーバーヒートを予防するためのフェイルセーフを目的として、シャッタを全開すると、シャッタの本来の目的である自動車の空力低減効果を十分に発揮できなくなる。
自動車の空力低減効果は、シャッタを閉じてフロントグリル開口部からエンジンルームに車両走行風が流れることを抑制して車両の外側に車両走行風を流して車両走行時における自動車の空気抵抗を低減させる効果である。
本発明は上記点に鑑みて、ブレードの故障時にも、故障状態に応じて、シャッタとしての効果を発揮できるようにした車載シャッタシステムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、熱交換器(6、7)を収納する収納室(3)と、収納室から車両進行方向前側に開口する前側開口部(5)と、熱交換器を冷却するために車両進行方向前側から前側開口部を通して熱交換器に流れる空気流を流通させる空気流路(3b)とを形成する自動車に適用され、
空気流路内に並べられて、開度を調整することにより空気流路内の空気流量を調整する複数のブレード(11)と、
複数のブレードの開度を調整させる電動アクチュエータ(30)と、
複数のブレードのうち故障して開度の調整が不能となった故障ブレードの枚数を検出する検出部(23、23B、23A)と、
検出部の検出値に基づいて、複数のブレードのうち故障ブレード以外のブレードの開度が所定の目標開度となるように電動アクチュエータを制御する制御部(185)と、を備える。
これにより、ブレードの故障時にも、故障状態に応じて、シャッタとしての効果を発揮できるようにした車載シャッタシステムを提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、補正部は、複数のブレードのうち故障ブレードの枚数が多くなるほど、複数のブレードのうち故障ブレード以外のブレードの目標開度を小さくする。
これにより、ブレードに故障が生じても、ブレードの故障時における空気流路内の風量を、ブレードの故障前における空気流路内の風量に近づけることができる。
請求項4に記載の発明によれば、検出部の検出値に基づいて、複数のブレードのうち故障ブレードの枚数が閾値以上であるか否かを判定する判定部を備え、補正部は、故障ブレードの枚数が閾値以上であると判定部が判定したときに、複数のブレードのうち故障ブレード以外のブレードの目標開度を大きくする。
したがって、故障ブレードの枚数が閾値以上であるときには、空気流路内の風量を増加させることにより、熱交換器を冷却することを優先させることができる。
請求項6に記載の発明では、車載シャッタシステムは、熱交換器を収納する収納室と、収納室から車両進行方向前側に開口する前側開口部と、熱交換器を冷却するために車両進行方向前側から前側開口部を通して熱交換器に流れる空気流を流通させる空気流路とを形成する自動車に適用される。
車載シャッタシステムは、空気流路内にて所定方向に並べられて、開度を調整することにより空気流路内の空気流量を調整する複数のブレードと、複数のブレードの開度を調整させる電動アクチュエータとを備える。複数のブレードは、所定方向の一方側に並べられて第1グループを構成する複数の第1ブレードと、複数の第1ブレードに対して所定方向の他方側に並べられて第2グループを構成する複数の第2ブレードとを備える。
車載シャッタシステムは、複数のブレードの開度を目標開度に近づけるように電動アクチュエータを制御する制御部と、第1グループおよび第2グループのうちいずれか一方のグループを構成するブレードに故障が生じて開度が大きくなったか否かを判定する故障判定部と、一方のグループを構成するブレードに故障が生じて開度が大きくなったと故障判定部が判定したとき、一方のグループを構成する複数のブレードのうち故障ブレード以外のブレードの目標開度を補正する補正部とを備える。
制御部は、一方のグループを構成する複数のブレードのうち故障ブレード以外のブレードの開度を補正部によって補正された目標開度に近づけるように電動アクチュエータを制御する。
請求項6に記載の発明によれば、一方のグループを構成するブレードに故障が生じて開度が大きくなったブレードに起因してシャッタを通過した空気流が原因で熱交換器に生じる温度勾配を小さくすることができる。したがって、温度勾配が原因で生じる熱ひずみを抑制することができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
第1実施形態における車載シャッタシステムの全体構成を示す図である。 図1のシャッタ、コンデンサ、およびラジエータを示す斜視図である。 図2のシャッタの一部を車両進行方向から視た図である。 図2のシャッタの上側部分を車両進行方向から視た斜視図である。 (a)(b)は、図2のシャッタの一部を天地方向上側から視た図であって、ブレードの開閉を示す図である。 第1実施形態における車載シャッタシステムの電気的構成を示す模式図である。 図2のシャッタのブレードの作動角を説明するための図である。 第1実施形態におけるブレード故障枚数とモータ電流との関係を示す図である。 図6のCPUによる風量制御処理を示すフローチャートである。 第2実施形態における車載シャッタシステムの電気的構成を示す模式図である。 図10のCPUによる風量制御処理を示すフローチャートである。 第3実施形態におけるブレード目標角度補正処理の詳細を示すフローチャートである。 第4実施形態における車載シャッタシステムの電気的構成を示す模式図である。 第4実施形態におけるシャッタとラジエータとの配置関係を示す模式図である。 図13のCPUによる風量制御処理を示すフローチャートである。 図15中の第1グループ故障有無確認処理の詳細を示すフローチャートである。 図15中の第2グループ故障有無確認処理の詳細を示すフローチャートである。 対比例においてブレードの故障が起因して生じるラジエータの温度ムラを示す図である。 第4実施形態においてブレードの故障が起因して生じるラジエータの温度ムラを小さくすることを示す図である。 第5実施形態における車載シャッタシステムの電気的構成を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
以下、本実施形態の電子制御装置20が適用されている車載シャッタシステム1について図1等を参照して説明する。
車載シャッタシステム1は、自動車2に適用されて、自動車2の走行に伴って前側開口部5からエンジンコンパートメント3内に導入される車両走行風の風量を制御するものである。
前側開口部5は、自動車2のフロントグリルにおいてエンジンコンパートメント3から車両進行方向前側に開口されている。
エンジンコンパートメント3は、自動車2のうち走行用エンジン3aを収納する空間であって、車両のうち車室内4に対して車両進行方向前側に位置する収納部である。走行用エンジン3aは、車両の駆動輪に回転力を与える駆動源である。
エンジンコンパートメント3のうち前側開口部5と走行用エンジン3aとの間には、車両進行方向前側から前側開口部5に流入した空気流を走行用エンジン3a側に導く空気流路3bがファンシュラウド(図示省略)によって形成されている。
ファンシュラウドは、後述するシャッタ10、コンデンサ7、ラジエータ6、および電動ファン8を車両幅方向右側および左側、並びに上下方向から覆うように形成されている。
自動車2のエンジンコンパートメント3の天地方向上側には、エンジンコンパートメント3の天地方向上側を覆うように形成されているエンジンフード9が配置されている。
シャッタ10は、前側開口部5内に配置されている。シャッタ10は、空気流路3bを流れる空気流量を調整する。
エンジンコンパートメント3内の空気流路3bのうちシャッタ10と走行用エンジン3aとの間には、コンデンサ7、ラジエータ6、および電動ファン8が配置されている。
コンデンサ7は、圧縮機、減圧器、エバポレータ等とともに、冷媒を循環させる空調装置用の蒸気圧縮式冷凍サイクルを構成する熱交換器である。コンデンサ7は、圧縮機から吐出される高圧冷媒とシャッタ10を通過した空気流との間の熱交換により高圧冷媒を冷却する。
ラジエータ6は、コンデンサ7および走行用エンジン3aの間に配置されて、シャッタ10を通過した空気流とエンジン冷却水との間の熱交換によりエンジン冷却水を冷却する熱交換器である。エンジン冷却水は、被冷却対象としての走行用エンジン3aを冷却するための熱媒体である。
電動ファン8は、ラジエータ6および走行用エンジン3aの間に配置されて、車両進行方向前側からシャッタ10、コンデンサ7、およびラジエータ6を通過した空気流を吸い込んで走行用エンジン3aに吹き出す送風機である。
次に、本実施形態のシャッタ10の構造の詳細について図2、図3、図4等を参照して説明する。
本実施形態のシャッタ10は、複数のブレード11、伝達機構12、およびレバー13を備える。
複数のブレード11は、それぞれ、天地方向に延びる細長い薄板である。複数のブレード11は、図4、図5(a)に示すように、天地方向上側から視て車両幅方向に交差するように配置されている。複数のブレード11は、車両幅方向に並べられている。複数のブレード11のそれぞれには、図3に示すように、支持軸11a、11bが設けられている。
支持軸11a、11bは、複数のブレード11のそれぞれから天地方向上側に突起するように形成されている。支持軸11aは、複数のブレード11のそれぞれのうち車両進行方向後側に設けられている。支持軸11bは、複数のブレード11のそれぞれのうち車両進行方向前側に設けられている。
本実施形態の複数のブレード11は、それぞれ、支持軸11bを中心として回転して、開度を調整するドアである。開度は、空気流路3bにおいてブレード11による開口面積を示す度合いである。開度が大きくなるほど、開口面積が大きくなり、開度が小さくなるほど、開口面積が小さくなる。
伝達機構12は、リンクバー12a、12bを備える。リンクバー12a、12bは、それぞれ車両幅方向に延びる棒材である。リンクバー12bは、リンクバー12aに対して車両進行方向前側に配置されている。
リンクバー12aは、複数のブレード11のそれぞれの支持軸11aを回転自在に支持する。リンクバー12bは、複数のブレード11のそれぞれの支持軸11bを回転自在に支持する。
ここで、リンクバー12bは、自動車2の車体に固定されている。レバー13は、駆動モータ14の駆動軸とリンクバー12aとの間に連結されている。レバー13はその長手方向一端側が駆動モータ14の駆動軸に固定されている。レバー13は、その長手方向他端側がリンクバー12bに対して回転自在に支持されている。
したがって、駆動モータ14の駆動軸によりレバー13を回転することにより、リンクバー12aを車両幅方方向にスライド移動させる。
これに伴い、複数のブレード11のそれぞれの支持軸11a側が車両幅方向に移動する。よって、複数のブレード11は、それぞれ、支持軸11bを中心として揺動する(図5(a)、(b)参照)。
このことにより、複数のブレード11は、それぞれの開度が制御されることになる。すなわち、リンクバー12aのスライド移動によってブレード11の作動角度θが変化する。
本実施形態のブレード11の作動角度θ(図7参照)は、車両進行方向とブレード11との間で時計回り方向に形成される角度である。作動角度θが大きくなるほど、ブレード11の開度(すなわち、開口面積)が小さくなる一方、作動角度θが小さくなるほど、ブレード11の開度が大きくなる。
ここで、駆動モータ14から複数のブレード11に対して駆動トルクが与えられることが停止されたときには、空気流路3bを流れる空気流(すなわち、走行風)によって複数のブレード11が空気流に沿うようにそれぞれ変位するように伝達機構12が構成されている。
つまり、駆動モータ14から複数のブレード11に対して駆動トルクが与えられることが停止されたときには、複数のブレード11が車両走行風によって空気流方向(すなわち、車両進行方向)に平行になるように伝達機構12が構成されている。
本実施形態の伝達機構12は、後述するように、ブレード11の故障によって駆動モータ14の駆動トルクが減ずるように構成されている。
次に、車載シャッタシステム1の電気的構成について図6を参照して説明する。
車載シャッタシステム1は、電子制御装置20、および電動アクチュエータ30を備える。
電子制御装置20は、CPU21、メモリ22、およびモータ電流検出回路23を備える。
CPU21は、メモリ22に予め記憶されているコンピュータプログラムにしたがって、
ブレード11の故障時にシャッタ10としての効果を発揮するための風量制御処理を実行する。CPU21は、風量制御処理を実行する際に、メモリ22に予め記憶されているデータマップ、車速センサ24の検出値、および水温センサ26の検出値に基づいて、電動アクチュエータ30を制御する。
電動アクチュエータ30は、駆動モータ14とともに、モータ駆動回路15を備える。駆動モータ14は、伝達機構12を介して複数のブレード11を駆動する。モータ駆動回路15は、CPU21によって制御されて、車載バッテリから供給される直流電力に基づいて駆動モータ14を駆動するために駆動モータ14に電流を流す。本実施形態では、駆動モータ14としては、例えば、ステッピングモータが用いられる。
モータ電流検出回路23は、モータ駆動回路15から駆動モータ14に流れる電流(以下、モータ電流という)を検出する。本実施形態では、駆動モータ14がシャッタ10を駆動する際に必要となるトルクが大きくなるほど、モータ電流が大きくなる駆動モータ14が採用されている。
データマップは、後述するように、モータ電流、車速センサ24の検出値、ブレード11の作動開始角θ(図7参照)等に基づいて、複数のブレード11のうち故障したブレードの枚数(以下、ブレード11の故障枚数という)を求めるために用いられる。
車速センサ24は、自動車2の走行速度を検出するセンサであって、自動車2の駆動輪の回転数によって求められる。水温センサ26は、ラジエータ6を流れるエンジン冷却水の温度を検出する温度センサである。
以下、本実施形態のCPU21によるブレード11の故障枚数の算出の詳細について説明する。
まず、自動車2の車速が大きくなるほど、車両進行方向前側から前側開口部5を通して空気流路3bに流れる車両走行風の風量が増加する。車両走行風の風量が増加するほど、
ブレード11の作動角θ(図7参照)を大きくする際のブレード11の回転を妨げる抵抗力が大きくなり、モータ電流が増加する。このため、車速によってモータ電流が増減することになる。
しかし、複数のブレード11のうち、あるブレード11の支持軸11aが破断すると、支持軸11bのみによって、あるブレード11がリンクバー12bに対して支持されることになる。
以下、本実施形態では、ブレード11の故障とは、ブレード11の支持軸11aが破断して、ブレード11の開度の調整が不能になることをいう。説明の便宜上、開度の調整が不能になった、あるブレード11を、以下、故障ブレード11という。
このような支持軸11aの破断によって故障ブレード11およびリンクバー12aの間が開放されると、故障ブレード11および駆動モータ14の間が開放されることになる。
このため、故障ブレード11が支持軸11bを中心として車両走行風によって回転されるため、故障ブレード11の開度が大きくなる。
このとき、駆動モータ14が複数のブレード11の作動角θ(図7参照)を大きくするために、リンクバー12aを介して複数のブレード11を駆動しようとしても、車両走行風に基づいて故障ブレード11の回転を妨げる抵抗力が駆動モータ14に伝わらない。
これにより、複数のブレード11のいずれかに故障が生じた場合には、複数のブレード11が全て正常である場合に比べて、駆動モータ14がシャッタ10に対してクローズ作動を実施させる際に必要となるトルクが小さくなる。クローズ作動とは、複数のブレード11の開度を小さくするための作動である。
したがって、複数のブレード11のいずれかに故障が生じた場合には、複数のブレード11が全て正常である場合に比べて、モータ駆動回路15から駆動モータ14に流れるモータ電流が小さくなる。このため、ブレード11の故障枚数が増加するほど、モータ電流が小さくなる。
さらに、駆動モータ14がシャッタ10に対してクローズ作動を実施させる際のブレード11の作動開始角度が大きくなるほど、ブレード11の回転を妨げる抵抗力が大きくなる。
ブレード11の回転を妨げる抵抗力は、車両走行風によって生じる力であって、複数のブレード11からレバー13およびリンクバー12aを通して駆動モータ14に伝達される。
ブレード11の作動開始角度は、駆動モータ14によって複数のブレード11の開度を制御する際の複数のブレード11の作動角度θの初期値である。
このため、ブレード11の作動開始角度が大きくなるほど、車両走行風によってブレード11の回転を妨げる抵抗力が大きくなるため、モータ電流が増大する。これにより、車速、作動開始角度、およびブレード11の故障枚数によってモータ電流が変化する関係が成立することになる。
しかし、このように、車速、作動開始角度、およびブレード11の故障枚数によってモータ電流が変化する関係が成立するためには、車両進行方向前側から前側開口部5を通して空気流路3bに流れる車両走行風の風量が一定風量Ha以上であることが必要になる。
ここで、車速は速くなるほど、車両走行風の風量は増える。このため、車速が所定速度Sa以上であれば、空気流路3bに流れる風量が一定風量Ha以上となり、車速、作動開始角度、モータ電流、およびブレード11の故障枚数とが1対1対1対1で特定される関係となることが分かる。
そこで、本実施形態では、CPU21は、車速が所定速度Sa以上であるか否かを判定することにより、車両走行風を利用してブレード11の故障枚数を算出することができるか否かを判定する。
CPU21は、車速が所定速度Sa以上であるとき、車両走行風を利用してブレード11の故障枚数を算出することができると判定して、車速、作動開始角度、およびモータ電流を用いてブレード11の故障枚数を算出する。
具体的には、ブレード11の故障枚数を求めるために複数の車速データ、複数の作動開始角度データ、および複数のモータ電流データをブレード11の故障枚数毎に予め実験で取得しておく。そして、車速データ、作動開始角度データ、モータ電流データ、およびブレード11の故障枚数が1対1対1対1で特定される関係となるように、複数の車速データ、複数の作動開始角度データ、および複数のモータ電流データ、およびブレード11の故障枚数の関係がマップデータとしてメモリ22に記憶されている。
このため、CPU21は、マップデータを参照して、作動開始角度、車速センサ24の検出値、およびモータ電流検出回路23の検出値に対して1対1対1対1で特定されるブレード11の故障枚数を求めることができる。ブレード11の故障枚数とは、複数のブレード11のうち電動アクチュエータ30によって開度の調整が不能となったブレードの枚数である。
なお、車速データは、車速センサ24の検出値を示すデータであり、作動開始角度データは、ブレード11の作動開始角度を示すデータであり、モータ電流データは、モータ駆動回路15の検出値(すなわち、モータ電流)を示すデータである。
次に、本実施形態のCPU21による風量制御処理の詳細について図9を参照して説明する。図9は、CPU21による風量制御処理を示すフローチャートである。CPU21は、図9のフローチャートにしたがって、風量制御処理を実行する。
まず、ステップ100において、CPU21は、クローズ作動を実施させる指令(以下、クローズ指令という)を他の電子制御装置から受けたか否かを判定する。クローズ指令は、シャッタ10によって空気流路3bを閉じさせる指令である。
このとき、CPU21は、クローズ指令を他の電子制御装置から受けると、ステップ100でYESと判定する。
これに伴い、CPU21は、ステップ110において、シャッタ10のクローズ作動を開始させる。具体的には、CPU21は、モータ駆動回路15を介して駆動モータ14を制御してシャッタ10によりクローズ作動を開始させる。このため、駆動モータ14が伝達機構12を介して複数のブレード11を駆動することにより、複数のブレード11の作動角度θが目標角度θmに近づけることになる。
これにより、複数のブレード11の作動角度θが大きくなり、複数のブレード11の開度が小さくなる。目標角度θmは、クローズ指令とともに他の電子制御装置からCPU21に与えられる。ここで、目標角度θmは、複数のブレード11の目標開度を示す情報である。目標角度θmは、エンジン冷却水が高くなるほど目標開度が大きくなるように設定されている。
次に、ステップ120において、CPU21は、車速が所定速度Sa以上であるか否かを判定することにより、車両走行風を利用してブレード11の故障枚数を算出することができるか否かを判定する。
そこで、本実施形態では、CPU21は、車速が所定速度Sa以上であるとき、車両走行風を利用してブレード11の故障枚数を算出することができるとして、ステップ120においてYESと判定する。
次に、ステップ130において、CPU21は、シャッタ10の駆動負荷としてのモータ電流検出回路23の検出値を確認する。
次に、ステップ140において、CPU21は、ブレード11の作動開始角度をメモリ22から読み出すとともに、作動開始角度、車速センサ24の検出値、およびモータ電流検出回路23の検出値に対して1対1対1対1で特定されるブレード11の故障枚数をマップデータから求める。
ここで、N回目のステップ140で用いられる作動開始角度は、後述するように、(N−1)回目のステップ180(ブレード補正角度補正処理)の実行後における複数のブレード11の作動角度である。作動開始角度は、CPU21によってステップ180の実行毎にメモリ22に記憶される(ステップ190)。N、N−1等は、CPU21による風量制御処理の実行回数を示す。
次に、ステップ150において、CPU21は、ブレード11の故障枚数が増加したか否かを判定する。
ここで、N回目のステップ140で求められたブレード11の故障枚数が、(N−1)回目のステップ140で求められたブレード11の故障枚数よりも多くなったとき、CPU21は、ブレード11の故障枚数が増加したとしてステップ150においてYESと判定する。
これに伴い、ステップ160において、メモリ22に記憶される「ブレード11の故障枚数」を更新するために、メモリ22にブレード11の故障枚数を記憶させてから、その後、ステップ170に移行する。
一方、N回目のステップ140で求められたブレード11の故障枚数が、(N−1)回目のステップ140で求められたブレード11の故障枚数と同一であるとき、CPU21は、ステップ150においてNOと判定する。
或いは、N回目のステップ140で求められたブレード11の故障枚数が、(N−1)回目のステップ140で求められたブレード11の故障枚数よりも少なくなったとき、CPU21は、ステップ150においてNOと判定する。
上記ステップ120において、CPU21は、車速が所定速度Sa未満であるとき、車両走行風を利用してブレード11の故障枚数を算出することができないとして、NOと判定する。その後、ステップ170に移行する。
さらに、上記ステップ100において、CPU21は、クローズ指令ではなく、オープン作動を実施させる指令(以下、オープン指令という)を他の電子制御装置から受けたとき、ステップ100でNOと判定する。オープン指令は、シャッタ10によって空気流路3bを開けさせる指令である。
これに伴い、ステップ200において、モータ電流検出回路23を介して駆動モータ14を制御してシャッタ10によりオープン作動を開始させる。このため、駆動モータ14が伝達機構12を介して複数のブレード11を駆動することにより、複数のブレード11の作動角度θが目標角度に近づけることになる。
これにより、複数のブレード11の作動角度θが小さくなり、複数のブレード11の開度が大きくなる。目標角度は、オープン指令とともに他の電子制御装置からCPU21に与えられる。その後、ステップ170に移行する。
このようにステップ170に移行すると、CPU21は、メモリ22に記憶されているブレード11の故障枚数を確認する。そして、CPU21は、ブレード11の故障枚数に基づいてブレード11の目標角度θmを補正する(ステップ180)。
ここで、複数のブレード11が全て正常であり、かつ複数のブレード11の作動角度θがそれぞれ目標角度θmに一致している状態で、シャッタ10を通過する空気流量を目標流量Hmとする。
複数のブレード11のうちいずれかのブレードに故障が生じたときに、シャッタ10を通過する実際の空気流量を目標流量Hmに近づけるための複数のブレード11の目標角度を補正後目標角度θeとする。
目標角度θmと補正後目標角度θeとブレード11の故障枚数とは、1対1対1対で特定される関係にある。
本実施形態では、目標角度θmとブレード11の故障枚数とに基づいて補正後目標角度θeを求めるための実験を実施し、その実験結果として、目標角度θmとブレード11の故障枚数と補正後目標角度θeとが1対1対1で特定されるように複数の目標角度θm、複数の補正後目標角度θe、および複数のブレード11の故障枚数を備えるデータマップMkがメモリ22に記憶されている。
そこで、ステップ180において、CPU21は、このようにメモリ22に記憶されるデータマップMkとブレード11の故障枚数と目標角度θmとに基づいて補正後目標角度θeを求める。
補正後目標角度θeはブレード11の故障枚数に基づいてブレード11の目標角度θm(すなわち、目標開度)を補正された目標角度である。
例えば、ブレード11の故障枚数が多くなるほど、ブレード11の補正後目標角度θeが大きくなる一方、ブレード11の故障枚数が少なくなるほど、ブレード11の補正後目標角度θeが小さくなる。このため、ブレード11の故障枚数が多くなるほど、ブレード11の目標開度が小さくなる一方、ブレード11の故障枚数が少なくなるほど、ブレード11の目標開度が大きくなる。
これに伴い、CPU21は、モータ駆動回路15を介して駆動モータ14を制御して複数のブレード11を駆動することにより、複数のブレード11の作動角度θを補正後目標角度θeに近づける(ステップ185)。
このことにより、シャッタ10を構成する複数のブレード11のうち故障したブレード11以外の残りのブレード11の開度は、ブレード11の故障枚数が多くなるほど、小さくなる。
これに伴い、CPU21は、このような補正後目標角度θeをメモリ22に記憶する(ステップ190)。
一方、ブレード11の故障枚数が零枚のときには、目標角度θmと補正後目標角度θeとが同一になるため、複数のブレード11の作動角度θの補正が実施されない。このため、CPU21は、このような目標角度θmをメモリ22に記憶する(ステップ190)。
このように、CPU21は、補正後目標角度θe、或いは目標角度θmをメモリ22に記憶することになる。
その後、ステップ100に戻り、CPU21は、オープン指令を他の電子制御装置から受けると、NOと判定して、ステップ110(オープン作動の開始処理)、ステップ170(ブレード11の故障枚数確認処理)、ステップ180(ブレード目標角度補正処理)、およびステップ190(目標角度記憶処理)を実施する。
次に、ステップ100に戻り、CPU21は、クローズ指令を他の電子制御装置から受けると、YESと判定すると、モータ駆動回路15を介して駆動モータ14を制御してシャッタ10によりクローズ作動を開始させる(ステップ110)。
このとき、CPU21は、車速が所定速度Sa未満であるときには、ステップ120でNOと判定して、ステップ170(ブレード11の故障枚数確認処理)、ステップ180(ブレード目標角度補正処理)、およびステップ190(目標角度記憶処理)を実施する。
次に、ステップ100に戻り、CPU21は、このステップ100でYESと判定すると、ステップ110(クローズ作動の開始処理)を実施する。その後、CPU21は、車速が所定速度Sa以上であるときには、ステップ120でYESと判定して、ステップ130(シャッタ駆動負荷確認処理)、およびステップ140(ブレード故障枚数判定)を実施する。
その後、CPU21は、ステップ150において、ブレード11の故障枚数が変化していなく、NOと判定すると、ステップ170、180、190のそれぞれの処理を実行する。
その後、CPU21は、ステップ100のYES判定、ステップ110、ステップ120のYES判定、ステップ130、140のそれぞれ処理を実行後に、ブレード11の故障枚数が増加している場合には、ステップ150においてYESと判定する。その後、CPU21は、ステップ160、170、180、185、190のそれぞれの処理を実行する。
このようにCPU21は、クローズ指令を他の電子制御装置から受け、かつ車速が所定速度Sa以上である場合には、ブレード11の故障枚数を算出する。
CPU21は、データマップMkとブレード11の故障枚数と目標角度θmとに基づいて補正後目標角度θeを求める。これに伴い、CPU21は、モータ駆動回路15を介して駆動モータ14を制御して複数のブレード11を駆動することにより、複数のブレード11の作動角度θを補正後目標角度θeに近づける。
以上説明した本実施形態によれば、車載シャッタシステム1は、複数のブレード11と複数のブレード11の開度を調整させる電動アクチュエータ30とを備えるシャッタ10と、シャッタ10を制御するCPU21とを備える。
複数のブレード11は、ラジエータ6、コンデンサ7を冷却するためにラジエータ6、コンデンサ7を通過する空気流が流れる空気流路3b内にそれぞれ配置されてそれぞれの開度を調整することにより空気流路3b内の空気流量を調整する。
CPU21は、複数のブレード11の開度を目標開度に近づけるように電動アクチュエータ30を制御する。モータ電流検出回路23は、複数のブレード11のうち故障して開度の調整が不能となった故障ブレード11の枚数を検出するためのものである。
CPU21は、モータ電流検出回路23の検出値に基づいて、複数のブレード11のうち故障ブレード以外のブレードの目標開度を補正する。CPU21は、ブレード11の故障枚数が多くなるほど、補正後の目標開度を小さくする。CPU21は、補正後の目標開度に複数のブレードのうち故障ブレード以外のブレードの開度を近づけるように電動アクチュエータ30を制御する。
換言すれば、CPU21は、複数のブレードのうち故障ブレード以外のブレードの開度が補正後の目標開度となるように、電動アクチュエータ30を制御する。これにより、複数のブレード11のうちいずれかのブレード11に故障が生じて開度の調整が不能になっても、シャッタ10を通過する空気流量の変化を小さくすることができる。
以上により、ブレード11の故障時にも、故障状態に応じて、シャッタ10としての空力低減効果を発揮できるようにした車載シャッタシステム1を提供することができる。
空力低減効果は、自動車において、シャッタを閉じてフロントグリル開口部からエンジンルームに車両走行風が流れることを抑制して車両の外側に車両走行風を流して車両走行時における自動車の空気抵抗を低減させる効果である。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、モータ電流によってブレード故障枚数を求めた例について説明したが、これに代えて、ブレード11の作動角を検出する検出器11cをブレード11毎に設けて検出器11cの検出値に基づいてブレード故障枚数を求めた本第2実施形態について説明する。
図10に本実施形態の車載シャッタシステム1の電気的構成を示す。図10において、図6と同一符号は、同一のものを示し、その説明を省略する。
本実施形態の車載シャッタシステム1は、モータ電流検出回路23に代えて、ブレード11毎の検出器11cおよびブレード位置検出回路23Aを備える。
検出器11cは、ブレード11毎に設けられ、支持軸11bを中心とするブレード11の作動角度θをブレード11毎に検出する。ブレード位置検出回路23Aは、ブレード11毎の検出器11cの出力信号をCPU21に出力する。
次に、本実施形態のCPU21による風量制御処理の詳細について図11を参照して説明する。図11は、CPU21による風量制御処理を示すフローチャートである。CPU21は、図9に代わる図11のフローチャートにしたがって、風量制御処理を実行する。図11において図9と同一符号は、同一ステップを示し、その説明を省略する。
まず、CPU21は、クローズ指令を他の電子制御装置から受けると、ステップ100でYESと判定する。これに伴い、ステップ110において、モータ駆動回路15を介して駆動モータ14を制御してシャッタ10によりクローズ作動を開始させる。
次に、CPU21は、ステップ120において、車速が所定速度Sa以上であるか否かを判定することにより、車両走行風を利用してブレード11の故障枚数を算出することができるか否かを判定する。
このとき、車速が所定速度Sa以上であるときには、車両走行風を利用してブレード11の故障枚数を算出することができるとして、CPU21は、ステップ120においてYESと判定する。
この場合、CPU21は、ブレード位置検出回路23Aを通して入力されるブレード11毎の検出器11cの検出値に基づいて、ブレード11の故障枚数を算出する(ステップ140)。ブレード11の故障枚数とは、開度の調整が不能になったブレード11の枚数である。
具体的には、CPU21は、ブレード11の作動角θが閾値よりも大きいか否かを判定することにより、ブレード11が故障しているか否かをブレード11毎に判定する。
ここで、複数のブレード11のうち、あるブレード11が正常であるときには、クローズ作動が開始された後には、ブレード11の作動角θは零度よりも大きくなる。
一方、複数のブレード11のうち、あるブレード11にその支持軸11aが破断する故障が生じると、クローズ作動が開始されても、駆動モータ14からの駆動力が、あるブレード11に伝達されない。
ここで、車速が所定速度Sa以上であれば、空気流路3bに流れる車両走行風の風量が一定風量Ha以上となる。支持軸11aが破断した、あるブレード11(以下、故障ブレード11という)は、車両走行風の流れ方向に沿うように変位する。つまり、故障ブレード11は、車両走行風によってその流れ方向と平行になる。このため、故障ブレード11の作動角θは、零度(或いは、零度付近の値)になる。
そこで、本実施形態のCPU21は、閾値を(零+所定値α)として、ブレード11の作動角θが閾値よりも小さいか否かについてブレード11毎の検出器11cの検出値に基づいて判定することにより、ブレード11が故障して開度の調整が不能になっているか否かをブレード11毎に判定する。そして、CPU21は、ブレード11の作動角θが閾値よりも小さいと判定したブレード11の個数をブレード11の故障枚数とする。
その後、CPU21は、ステップ150、160、170を経てから、上記第1実施形態と同様に、メモリ22に記憶されるデータマップMkとブレード11の故障枚数と目標角度θmとに基づいて補正後目標角度θe(すなわち、補正後目標開度)を求めることができる(ステップ180)。
例えば、ブレード11の故障枚数が多くなるほど、ブレード11の補正後目標角度θeが大きくなる一方、ブレード11の故障枚数が少ないほど、ブレード11の補正後目標角度θeが小さくなる。このため、ブレード11の故障枚数が多くなるほど、ブレード11の目標開度が小さくなる一方、ブレード11の故障枚数が少ないほど、ブレード11の目標開度が大きくなる。
したがって、CPU21は、上記第1実施形態と同様に、モータ駆動回路15を介して駆動モータ14を制御して複数のブレード11を制御することにより、複数のブレード11の作動角度θを補正後目標角度θeに近づけることができる。
よって、CPU21は、上記第1実施形態と同様に、モータ駆動回路15を介して駆動モータ14を制御して複数のブレード11を制御することにより、複数のブレード11のうちブレード故障枚数が多くなるほど、複数のブレード11のうち故障したブレード11以外の残りのブレード11の開度を小さくする。
これにより、複数のブレード11のうちいずれかのブレード11に故障が生じても、シャッタ10を通過する空気流量の変化を小さくすることができる。
また、CPU21は、クローズ指令ではなく、オープン指令を他の電子制御装置から受けると、ステップ100でNOと判定する。すると、CPU21は、ステップ200において、モータ駆動回路15を介して駆動モータ14を制御してシャッタ10によりオープン作動を開始させる。その後、ステップ170に進む。
さらに、上記ステップ120において、CPU21は、車速が所定速度Sa未満であるとき、車両走行風を利用してブレード11の故障枚数を算出することができないとして、NOと判定する。その後、ステップ170に移行する。
以上説明した本実施形態によれば、車載シャッタシステム1では、検出器11cは、支持軸11bを中心とするブレード11の作動角θをブレード11毎に検出する。CPU21は、シャッタ10によりクローズ作動を開始させた後に、ブレード11の作動角θが閾値よりも小さいか否かを判定することにより、ブレード11が故障しているか否かをブレード11毎に判定する。そして、CPU21は、ブレード11の作動角θが閾値よりも小さいと判定したブレード11の個数をブレード11の故障枚数とする。
CPU21は、ブレード11の故障枚数が多くなるほど、複数のブレード11のうち故障したブレード11以外の残りのブレード11の目標開度を補正して小さくする。これに伴い、CPU21は、モータ駆動回路15を介して駆動モータ14を制御して、複数のブレード11のうち故障ブレード11以外の残りのブレード11の開度を目標開度に近づける。よって、複数のブレード11のうちいずれかのブレード11に故障が生じて開度の調整が不能になっても、シャッタ10を通過する空気流量の変化を小さくすることができる。
以上により、ブレード11の故障時にも、故障状態に応じて、シャッタ10としての空力低減効果を発揮できるようにした車載シャッタシステム1を提供することができる。
(第3実施形態)
本第3実施形態では、上記第1、第2実施形態において、CPU21は、複数のブレード11の故障枚数が閾値Ma以上であるときには、走行用エンジン3aのオーバーヒートを避けるフェイルセーフとして、複数のブレード11の作動角度θを小さく(具体的には、零度付近に)する例について説明する。
本実施形態の車載シャッタシステム1の構成と上記第1、第2実施形態の車載シャッタシステム1の構成とは、同一である。本実施形態と上記第1、第2実施形態とは、風量制御処理のうちブレード目標角度補正処理(ステップ180)が相違するだけで、その他の処理は、同一である。
以下、本実施形態ブレード目標角度補正処理(ステップ180)について図12を参照して説明する。図12は、本実施形態のブレード目標角度補正処理(ステップ180)の詳細を示すフローチャートである。
CPU21は、図12のフローチャートにしたがって、ブレード目標角度補正処理を実行する。
まず、CPU21は、ステップ182において、水温センサ26の検出温度に基づいて、エンジン冷却水の温度が所定温度Ta以上であるか否かを判定する。このことにより、走行用エンジン3aにオーバーヒートが生じる可能性(つまり、危険度)が高いか否かを判定することになる。走行用エンジン3aのオーバーヒートとは、走行用エンジン3aの過熱状態のことである。
このとき、エンジン冷却水の温度が所定温度Ta以上であるときには、CPU21は、走行用エンジン3aにオーバーヒートが生じる可能性が高いとして、ステップ182において、YESと判定することになる。
一方、エンジン冷却水の温度が所定温度Ta未満であるときには、CPU21は、走行用エンジン3aにオーバーヒートが生じる可能性が低いとして、ステップ182において、NOと判定することになる。
ここで、エンジン冷却水の温度が所定温度Ta以上であるときには、CPU21は、ステップ183において後述するステップ186で用いる閾値Mbとして閾値Mb1(=Mb)を設定する。一方、エンジン冷却水の温度が所定温度Ta未満であるときには、CPU21は、ステップ184において、後述するステップ186で用いる閾値Mbとして閾値Mb2(=Mb)を設定する。
ここで、閾値Mb2は、閾値Mb1(<Mb2)よりも大きい値である。このため、走行用エンジン3aにオーバーヒートが生じる可能性が低いときには、CPU21は、走行用エンジン3aにオーバーヒートが生じる可能性が高いときに比べて、閾値Mbとして大きい値を用いることを設定する。
次に、ステップ185において、CPU21は、このように設定される閾値Mb(=Mb1、Mb2)に基づいて、走行用エンジン3aのオーバーヒートを避けるフェイルセーフを実施すべきか否かを判定する。
具体的には、ブレード11の故障枚数が閾値Mb以上であるか否かを判定する。このとき、ブレード11の故障枚数が閾値Mb以上であるときには、CPU21は、ステップ182において、YESと判定する。この場合、走行用エンジン3aのオーバーヒートを避けるフェイルセーフを実施すべきであると判定することになる。
これに伴い、CPU21は、ステップ186において、走行用エンジン3aのオーバーヒートを避けるフェイルセーフとして、モータ駆動回路15を介して駆動モータ14を制御して複数のブレード11の作動角度θを小さく(具体的には零度付近に)する。このため、シャッタ10を通過してラジエータ6に流れる空気流の流量が増大する。
したがって、ラジエータ6の冷却を優先させることができる。これにより、ラジエータ6においてエンジン冷却水から空気流に大量に放熱される。したがって、エンジン冷却水の温度を低下させることができるので、走行用エンジン3aのオーバーヒートを避けることができる。
一方、ブレード11の故障枚数が閾値Mb未満であるときには、CPU21は、ステップ185において、NOと判定する。この場合、走行用エンジン3aのオーバーヒートを避けるフェイルセーフを実施すべきではないと判定することになる。これに伴い、ステップ187に移行する。
この場合、上記第1実施形態のステップ180と同様に、CPU21は、モータ駆動回路15を介して駆動モータ14を制御して複数のブレード11を駆動することにより、複数のブレード11の作動角度θを補正後目標角度θeに近づける。これにより、複数のブレード11の作動角度θを大きくすることができる。
以上説明した本実施形態によれば、CPU21は、ブレード11の故障枚数が閾値Mb未満であるときには、ブレード11の故障枚数が多くなるほど、複数のブレード11のうち故障したブレード11以外の残りのブレード11の目標開度を補正して目標開度を小さくする。
CPU21は、モータ駆動回路15を介して駆動モータ14を制御して複数のブレード11のうち故障ブレード11以外のブレード11の開度を補正後の目標開度に近づける。
これにより、上記第1実施形態と同様に、ブレード11の故障枚数が多くなるほど、複数のブレード11のうち故障ブレード11以外のブレード11の開度を小さくする。このため、ブレード11の故障時にも、故障状態に応じて、シャッタ10としての空力低減効果を発揮できるようにした車載シャッタシステム1を提供することができる。
これに加えて、本実施形態では、CPU21は、ブレード11の故障枚数が閾値Mb以上であるときには、複数のブレード11のうち故障ブレード11以外の残りのブレード11の目標開度を補正して目標開度を大きくする。
これに伴い、CPU21は、モータ駆動回路15を介して駆動モータ14を制御して、複数のブレード11のうち故障ブレード11以外の残りのブレード11の開度を補正後の目標開度に近づける。
このため、走行用エンジン3aのオーバーヒートを避けるフェイルセーフとして、ラジエータ6の冷却を優先して、モータ駆動回路15を介して駆動モータ14を制御して複数のブレード11の開度を大きくする。このため、シャッタ10を通過してラジエータ6に流れる空気流の流量が増大する。
したがって、ラジエータ6において、エンジン冷却水から空気流に大量に放熱される。これにより、エンジン冷却水の温度を低下させることができるので、走行用エンジン3aのオーバーヒートを避けることができる。
本実施形態では、CPU21は、走行用エンジン3aにオーバーヒートが生じる可能性(すなわち、危険度)が低いときには、CPU21は、走行用エンジン3aにオーバーヒートが生じる可能性が高いときに比べて、閾値Mbとして大きい値を用いることを設定する。これにより、走行用エンジン3abのオーバーヒートの危険度が低いときには、オーバーヒートの危険度が高いときに比べて、フェイルセーフの動作に至るのを遅くすることができる。つまり、走行用エンジン3abのオーバーヒートの危険度が低いときには、オーバーヒートの危険度が高いときに比べて、フェイルセーフが実行される頻度を少なくすることができる。
(第4実施形態)
上記第1実施形態では、複数のブレード11のうちいずれかのブレード11に故障が生じても、シャッタ10を通過する空気流量の変化を小さくする例について説明したが、これに代えて、故障したブレード11が起因して生じるラジエータ(熱交換器)6の温度ムラを小さくする本第3実施形態について図13等を参照して説明する。
車載シャッタシステム1は、図13に示すように、シャッタ10、電子制御装置20、および電動アクチュエータ30A、30Bを備える。
シャッタ10は、複数のブレード11A、複数のブレード11B、および伝達機構12A、12Bを備える。
複数のブレード11Aは、上記第1実施形態の複数のブレード11と同様に構成されている。伝達機構12Aは、上記第1実施形態の伝達機構12と同様に構成されて、電動アクチュエータ30Aからの駆動力を複数のブレード11Aに伝達する。
複数のブレード11Bは、上記第1実施形態の複数のブレード11と同様に構成されている。伝達機構12Bは、上記第1実施形態の伝達機構12と同様に構成されて、電動アクチュエータ30Bからの駆動力を複数のブレード11Aに伝達する。
複数のブレード11Aおよび伝達機構12Aは、第1グループ10Aを構成する。複数のブレード11Bおよび伝達機構12Bは、第2グループ10Bを構成する。
複数のブレード11Aは、空気流路3bのうち車両幅方向一方側(すなわち、所定方向一方側)に配置されている。複数のブレード11Aは、車両幅方向(すなわち、所定方向)に並べられている。複数のブレード11Bは、空気流路3bのうち車両幅方向他方側(すなわち、所定方向他方側)に配置されている。複数のブレード11Bは、車両幅方向(すなわち、所定方向)に並べられている。
電動アクチュエータ30Aは、駆動モータ14Aとともに、モータ駆動回路15Aを備える。駆動モータ14Aは、伝達機構12Aを介して複数のブレード11Aを駆動する。モータ駆動回路15Aは、車載バッテリから供給される直流電力に基づいて駆動モータ14Aを駆動するために駆動モータ14Aに電流を流す。
電動アクチュエータ30Bは、駆動モータ14Bとともに、モータ駆動回路15Bを備える。駆動モータ14Bは、伝達機構12Bを介して複数のブレード11Bを駆動する。モータ駆動回路15Bは、車載バッテリから供給される直流電力に基づいて駆動モータ14Bを駆動するために駆動モータ14Bに電流を流す。
本実施形態では、駆動モータ14A、14Bとしては、上記第1実施形態の駆動モータ14と同様に、例えば、ステッピングモータが用いられる。
電子制御装置20は、CPU21、メモリ22、およびモータ電流検出回路23A、23Bを備える。
CPU21は、メモリ22に予め記憶されているコンピュータプログラムにしたがって、ブレード11A、11Bの故障時にシャッタ10としての温度分布勾配の縮小効果を発揮するための風量制御処理を実行する。
CPU21は、風量制御処理を実行する際に、メモリ22に予め記憶されているデータマップと、車速センサ24の検出値とに基づいて、電動アクチュエータ30A、30Bを制御する。
モータ電流検出回路23Aは、モータ駆動回路15Aから駆動モータ14Aに流れるモータ電流を検出する。モータ電流検出回路23Bは、モータ駆動回路15Bから駆動モータ14Bに流れるモータ電流を検出する。
メモリ22には、CPU21において風量制御処理を実行するためのコンピュータプログラムと、データマップとが記憶されている。データマップは、後述するように、モータ電流、車速センサ24の検出値、ブレードの作動開始角θ等に基づいて、複数のブレード11A(或いは、複数のブレード11B)のうちブレード11の故障枚数を求めるために用いられる。
本実施形態の複数のブレード11A、11Bは、図14に示すように、それぞれ、ラジエータ6の複数のチューブ6aと平行に配置されている。
複数のチューブ6aは、それぞれ、天地方向に延びるように形成されて、アッパタンク6bから分配されるエンジン冷却水を流通する。複数のチューブ6aは、それぞれ、シャッタ10を通過した空気流とエンジン冷却水との熱交換によりエンジン冷却水を冷却する。
アッパタンク6bは、複数のチューブ6aに対して天地方向上側に配置されて、走行用エンジン3aのウォータージャケットから流れるエンジン冷却水を複数のチューブ6aに分配する。
ロアタンク6cは、複数のチューブ6aに対して天地方向下側に配置されて、複数のチューブ6aからエンジン冷却水を集合させて走行用エンジン3aのウォータージャケットに導く。
ウォータージャケットは、走行用エンジン3aにおいてシリンダから排出される排熱をエンジン冷却水に放熱する水路である。
なお、図14においては、シャッタ10およびラジエータ6の間のコンデンサ7の図示が省略されている。
次に、本実施形態のCPU21による風量制御処理の詳細について図15を参照して説明する。
図15は、CPU21による風量制御処理を示すフローチャートである。CPU21は、図9に代わる図13のフローチャートにしたがって、風量制御処理を実行する。図15において、図9と同一の符号は、同一ステップを示し、その説明を省略する。
まず、ステップ100において、CPU21は、クローズ指令を他の電子制御装置から受けると、ステップ100でYESと判定する。これに伴い、ステップ110において、モータ駆動回路15を介して駆動モータ14を制御してシャッタ10によりクローズ作動を開始させる。
次に、ステップ120において、CPU21は、車速が所定速度Sa以上であるか否かを判定することにより、車両走行風を利用してブレード11A、11Bの故障枚数を算出することができるか否かを判定する。
そこで、本実施形態では、CPU21は、車速が所定速度Sa以上であるとき、車両走行風を利用してブレード11A、11Bの故障枚数を算出することができるとして、ステップ120においてYESと判定する。
次に、CPU21は、ステップ130Aにおいて、車両走行風を利用してブレード11Aの故障枚数を算出する。その後、CPU21は、ステップ130Bにおいて、車両走行風を利用してブレード11Bの故障枚数を算出する。ブレード11A(11B)の故障枚数とは、故障して開度の調整が不能になったブレードの枚数である。その後、ステップ210に進む。
なお、ブレード11Aの故障枚数の算出処理(ステップ130A)、およびブレード11Bの故障枚数の算出処理(ステップ130B)の説明については後述する。
一方、上記ステップ120において、CPU21は、車速が所定速度Sa未満であり、NOと判定したときには、ステップ210に進む。
さらに、上記ステップ100において、CPU21は、オープン指令を他の電子制御装置から受けると、NOと判定する。これに伴い、ステップ200において、モータ電流検出回路23を介して駆動モータ14を制御してシャッタ10によりオープン作動を開始させてから、ステップ210に進む。
このようにステップ210に進むと、第1グループ10Aおよび第2グループ10Bのそれぞれの複数のブレード11A、11Bにおいて、故障が生じたか否かを判定する。
具体的には、CPU21は、第1グループ10Aの複数のブレード11Aがそれぞれ正常であり、かつ第2グループ10Bの複数のブレード11Bがそれぞれ正常であるときには、ステップ210においてNOと判定して、ステップ260に移行する。
CPU21は、第1グループ10Aの複数のブレード11Aのうちいずれかのブレード11Aが故障して開度の調整が不能になったときには、ステップ210においてYESと判定して、ステップ220に移行する。
CPU21は、第2グループ10Bの複数のブレード11Bのうちいずれかのブレード11Bが故障して開度の調整が不能になったときには、ステップ210においてYESと判定して、ステップ220に移行する。
このようにステップ220に移行すると、CPU21は、第1グループ10Aおよび第2グループ10Bのうち、一方のグループのブレードが故障して開度の調整が不能になり、かつ他方のグループの複数のブレードが閉じた状態であるか否かを判定する。
具体的には、CPU21は、次の(a)(b)(c)(d)の如く判定する。
(a)CPU21は、第1グループ10Aの複数のブレード11Aが閉じた状態で、第2グループ10Bの複数のブレード11Bのうちいずれかのブレード11Bに故障して開度の調整が不能になったときには、ステップ220にてYESと判定する。
ここで、複数のブレード11Aが閉じた状態とは、複数のブレード11Aが全閉状態であることに限定されなく、複数のブレード11Aが若干でも閉じた状態であればよい。
(b)CPU21は、第2グループ10Bの複数のブレード11Bが閉じた状態で、第1グループ10Aの複数のブレード11Aのうちいずれかのブレード11Aが故障して開度の調整が不能になったときには、ステップ220にてYESと判定する。
ここで、複数のブレード11Bが閉じた状態とは、複数のブレード11Bが全閉状態であることに限定されなく、複数のブレード11Bが若干でも閉じた状態であればよい。
(c)CPU21は、第1グループ10Aを構成する複数のブレード11Aが正常で、かつ第2グループ10Bを構成する複数のブレード11Bが正常であるときには、ステップ220にてNOと判定する。
(d)CPU21は、第1グループ10Aの複数のブレード11Aのうちいずれかのブレード11Aが故障して開度の調整が不能になり、かつ第2グループ10Bの複数のブレード11Bのうちいずれかのブレード11Bが故障して開度の調整が不能になったとき、ステップ220にてNOと判定する。
このように(a)(b)(c)(d)の如くステップ220のYES又はNOの判定を行う。
例えば、第2グループ10Bの複数のブレード11Bが閉じた状態で、第1グループ10Aの複数のブレード11Aのうちいずれかのブレード11Aが故障して開度の調整が不能になったときには、CPU21は、ステップ220にてYESと判定した後に、ステップ230でYESと判定する。
この場合、第1グループ10Aの複数のブレード11Aのうち故障ブレード11A以外の残りの複数のブレード11Aの目標角度を補正して補正後目標角度θfaを求める(ステップ240)。
本実施形態の補正後目標角度θfaは、目標角度θmから所定角度Δθaを引いた角度である。但し、補正後目標角度θfaは、第2グループ10Bの複数のブレード11Bの目標角度θmb(>θfa)よりも小さい値が設定されている。
つまり、ステップ240では、第1グループ10Aの複数のブレード11Aのうち故障ブレード11A以外の残りの複数のブレード11Aの目標開度を補正して目標開度を大きくする。
その後、CPU21は、モータ駆動回路15を介して駆動モータ14を制御して、第1グループ10Aの複数のブレード11Aのうち故障ブレード11A以外の残りの複数のブレード11Aの作動角度θaを補正後目標角度θfaに近づける(ステップ260)。
換言すれば、第2グループ10Bの複数のブレード11Bの開度を維持した状態で、第1グループ10Aの複数のブレード11Aのうち故障ブレード11A以外の残りの複数のブレード11Aの開度を補正後目標開度に近づける。
このため、第2グループ10Bの複数のブレード11Bが閉じた状態で、第1グループ10Aの複数のブレード11Aのうち故障ブレード11A以外の残りの複数のブレード11Aの開度を大きくすることができる。これに伴い、CPU21は、このような補正後目標角度θfaをメモリ22に記憶する(ステップ190)。
また、CPU21は、第1グループ10Aの複数のブレード11Aが閉じた状態で、第2グループ10Bの複数のブレード11Bのうちいずれかのブレード11Bが故障して開度の調整が不能になったときには、CPU21は、ステップ220にてYESと判定した後に、ステップ230でNOと判定する。
すると、CPU21は、第2グループ10Bの複数のブレード11Bのうち故障ブレード11B以外の残りの複数のブレード11Bの目標角度を補正して補正後目標角度θfbを求める(ステップ250)。
本実施形態の補正後目標角度θfbは、目標角度θmから所定角度Δθbを引いた角度である。但し、補正後目標角度θfbは、第1グループ10Aの複数のブレード11Aの目標角度θma(>θfb)よりも小さな値が設定されている。
つまり、ステップ250では、第2グループ10Bの複数のブレード11Bのうち故障ブレード11B以外の残りの複数のブレード11Bの目標開度を補正して目標開度を大きくする。
その後、CPU21は、モータ駆動回路15を介して駆動モータ14を制御して、第2グループ10Bの複数のブレード11Bのうち故障ブレード11B以外の残りの複数のブレード11Bの作動角度θbを補正後目標角度θfbに近づける(ステップ260)。
このため、第1グループ10Aの複数のブレード11Aが閉じた状態で、第2グループ10Bの複数のブレード11Bのうち故障ブレード11B以外の残りの複数のブレード11Bの開度を大きくすることができる。これに伴い、CPU21は、このような補正後目標角度θfbをメモリ22に記憶する(ステップ190)。
また、CPU21は、ステップ220にて(c)(d)の如く、NOと判定すると、ステップ260に移行する。この場合、補正後目標角度θfa(θfb)は零になるため、目標角度θmは補正されずに維持される。このため、複数のブレード11Aの作動角度θは目標角度θfaとなり、かつ複数のブレード11Aの作動角度θが目標角度θfbとなる。
さらに、上記ステップ210において、第1グループ10Aおよび第2グループ10Bのそれぞれの複数のブレード11A、11Bが正常であり、第1グループ10Aおよび第2グループ10Bのそれぞれの複数のブレード11A、11Bに故障が生じていないとしてNOと判定すると、ステップ260に移行する。
この場合、補正後目標角度θfa(θfb)は零になるため、目標角度θmは補正されずに維持される。このため、複数のブレード11Aの作動角度θは目標角度θfaとなり、かつ複数のブレード11Aの作動角度θが目標角度θfbとなる。
次に、本実施形態のブレード11Aの故障枚数算出処理(ステップ130A)、ブレード11Bの故障枚数算出処理(ステップ130B)について図16A、図16Bを参照して説明する。
図16Aは、ブレード11Aの故障枚数算出処理(ステップ130A)の詳細を示すフローチャートであり、図16Bは、ブレード11Bの故障枚数算出処理(ステップ130B)の詳細を示すフローチャートである。
まず、図16Aのステップ131Aにおいて、CPU21は、シャッタ10の第1グループ10Aの複数のブレード11Aの駆動負荷としてのモータ電流検出回路23Aの検出値を確認する。
次に、CPU21は、ステップ131Aにおいて、シャッタ10の第1グループ10Aの複数のブレード11Aのうちいずれかのブレード11Aに故障が生じたか否かを判定する。
具体的には、CPU21は、図9のステップ140と同様に、作動開始角度、車速センサ24の検出値、およびモータ電流検出回路23Aの検出値に対して1対1対1対1で特定されるブレード11Aの故障枚数をマップデータから求める。
このとき、CPU21は、ブレード11Aの故障枚数が1以上であるときには、ステップ132Aにおいて、シャッタ10の第1グループ10Aの複数のブレード11Aに故障が生じたとしてYESと判定する。
この場合、CPU21は、ステップ133Aにおいて、今回のステップ131Aで求められたブレード11Aの故障枚数がメモリ22に記憶させる。このことにより、メモリ22に記憶されるブレード11Aの故障枚数を更新することができる。その後、ステップ130Bに移行する。
次に、図16Bのステップ130Bのステップ131Bにおいて、CPU21は、シャッタ10の第2グループ10Bの複数のブレード11Bのうちいずれかのブレード11Bに故障が生じたか否かを判定する。
具体的には、CPU21は、図9のステップ140と同様に、作動開始角度、車速センサ24の検出値、およびモータ電流検出回路23Aの検出値に対して1対1対1対1で特定されるブレード11Bの故障枚数をマップデータから求める。
このとき、ブレード11Bの故障枚数が1以上であるときには、CPU21は、ステップ132Bにおいて、シャッタ10の第2グループ10Bの複数のブレード11Bに故障が生じたとしてYESと判定する。
この場合、CPU21は、ステップ133Bにおいて、今回のステップ132Bで求められたブレード11Bの故障枚数がメモリ22に記憶させる。このことにより、メモリ22に記憶されるブレード11Bの故障枚数を更新することができる。その後、図13のステップ210に移行する。
本実施形態の車載シャッタシステム1の具体例について図17、図18を参照して説明する。
図15のステップ240(或いは、250)実施しない対比例の場合において、第1グループ10Aを構成する1枚のブレード10Aが故障して開度が大きくなり、第2グループ10Bを構成する複数のブレード10Aが閉じている状態では、故障により開度が大きくなった1枚のブレード10Aが起因してシャッタ10を通過した車両走行風(以下、通過車両走行風という)がラジエータ6に流れる。このため、故障した1枚のブレード10Aが起因してシャッタ10を通過する車両走行風が増える。
この際に、通過車両走行風は、ラジエータ6の複数のチューブ6aのうち「故障した1枚のブレード10A」に対して車両進行方向後側のチューブ6a(以下、風下側チューブ6aという)付近を通過する。
このため、風下側チューブ6aの温度は、複数のチューブ6aのうち風下側チューブ6a以外の残りの複数のチューブ6aの温度よりも低くなる。これにより、ラジエータ6において風下側チューブ6aと残りの複数のチューブ6aとの間の温度差によって熱ひずみが生じるため、ラジエータ6の耐久性が劣化する。
一方、図15のステップ240(或いは、250)実施する本実施形態の場合において、第2グループ10Bを構成する複数のブレード10Aが閉じている状態では、第1グループ10Aを構成する1枚のブレード10Aが故障する(図18参照)。
この場合、CPU21は、モータ駆動回路15を介して駆動モータ14を制御して、第1グループ10Aの複数のブレード11Aのうち、故障したブレード11A以外の残りのブレード11Aを駆動することにより、残りのブレード11Aの作動角度θaを補正後目標角度θfaに近づける(ステップ260)。
換言すれば、第1グループ10Aの複数のブレード11Aのうち、故障ブレード11A以外の残りのブレード11Aの目標開度を大きくして、この大きくした目標開度に前記残りのブレード11Aの開度を近づける。
このため、残りの複数のブレード11Aの作動角度θaを小さくすることができる。これに伴い、シャッタ10のうちグループ10A側において車両幅方向に亘って車両走行風を通過させることができる。
よって、ラジエータ6の複数のチューブ6aのうち複数のブレード11Aに対して車両進行方向後側に位置するチューブ6aの温度が全体に亘って低下する。このため、故障したブレード11Aに起因してシャッタ10を通過した空気流によって複数のチューブ6aに生じる温度ムラを小さくすることができる。
以上説明した本実施形態の車載シャッタシステム1において、CPU21は、第1グループ10Aおよび第2グループ10Bのうち一方のグループを構成する複数のブレードにおいて故障により開度の調整が不能になったブレードが生じ、かつ他方のグループを構成する複数のブレードが閉じた状態であると判定すると、一方のグループを構成する複数のブレードのうち故障ブレード以外のブレードの目標開度を補正して大きくする。
CPU21は、電動アクチュエータ30A、30Bを制御して、他方のグループを構成する複数のブレードの開度を維持した状態で、一方のグループを構成する複数のブレードのうち故障ブレード以外のブレードの開度を補正後の目標開度に近づける。
これにより、他方のグループを構成する複数のブレードの開度を維持した状態で、一方のグループを構成する複数のブレードのうち故障ブレード以外の残りのブレードの開度を大きくすることができる。したがって、シャッタ10のうち一方のグループを構成する複数のブレード側を通過する風量を増やすことができる。
これにより、前記故障が生じたブレードに起因してシャッタ10を通過した空気流に基づいてラジエータ6の複数のチューブ6aに生じる温度勾配を小さくすることができる。
以上により、車載シャッタシステム1において、ラジエータ6の複数のチューブ6aに生じる温度勾配を小さくする温度勾配の縮小効果を得ることができるので、熱ひずみによりラジエータ6の耐久性が劣化することを抑制する効果が得られる。
(第5実施形態)
上記第4実施形態では、モータ電流によってブレード故障枚数を求めた例について説明したが、これに代えて、ブレード11の作動角を検出する検出器11c(11d)をブレード11A(11B)毎に設けて検出器11cの検出値に基づいてブレード故障枚数を求めた本第5実施形態について説明する。
図19に本実施形態の車載シャッタシステム1の電気的構成を示す。図19において、図13と同一符号は、同一のものを示し、その説明を省略する。
本実施形態の車載シャッタシステム1は、モータ電流検出回路23に代えて、ブレード11A(11B)毎の検出器11c(11d)およびブレード位置検出回路25A、25Bを備える。
検出器11cは、ブレード11A毎に、ブレード11Aの作動角θaを検出して作動角θaを示す出力信号をブレード位置検出回路23Aに出力する。ブレード位置検出回路23Aは、ブレード11A毎の検出器11cの出力信号をCPU21に出力する。
検出器11dは、ブレード11B毎に、ブレード11Bの作動角θbを検出して作動角θbを示す出力信号をブレード位置検出回路23Bに出力する。ブレード位置検出回路23Bは、ブレード11B毎の検出器11dの出力信号をCPU21に出力する。
本実施形態と上記第4実施形態とは、ブレード11A、11Bの故障枚数の算出処理が相違するだけで、その他の処理は、同一である。このため、以下、ブレード11A、11Bの故障枚数の算出処理について説明し、その他の処理の説明を省略する。
CPU21は、ブレード11A毎の検出器11cの出力信号に基づいてブレード11Aの実際の作動角θaが閾値よりも小さいか否かを判定することにより、ブレード11Aが故障しているか否かをブレード11A毎に判定する。
CPU21は、ブレード11Aの実際の作動角θaが小さいと判定されるブレード11Aの個数をブレード故障枚数とする。
CPU21は、ブレード11B毎の検出器11dの出力信号に基づいてブレード11Bの実際の作動角θbが閾値よりも大きいか否かを判定することにより、ブレード11Bが故障しているか否かをブレード11B毎に判定する。
CPU21は、ブレード11Bの実際の作動角θが閾値よりも大きいと判定されるブレード11Bの個数をブレード故障枚数とする。ここで、ブレード11Bの故障枚数を求めるために用いられる閾値は、上記第2実施形態のステップ140で用いられる閾値と同様である。
以上説明した本実施形態によれば、CPU21は、上記第4実施形態と同様、第1グループ10Aおよび第2グループ10Bのうち一方のグループを構成する複数のブレードにおいて故障により開度の調整が不能になったブレードが生じ、かつ他方のグループを構成する複数のブレードが閉じた状態であると判定すると、一方のグループを構成する複数のブレードのうち故障ブレード以外のブレードの目標開度を補正して大きくする。
CPU21は、電動アクチュエータ30A、30Bを制御して、他方のグループを構成する複数のブレードの開度を維持した状態で、一方のグループを構成する複数のブレードのうち故障ブレード以外のブレードの開度を補正後の目標開度に近づける。
これにより、他方のグループを構成する複数のブレードの開度を維持した状態で、一方のグループを構成する複数のブレードのうち故障ブレード以外の残りのブレードの開度を大きくすることができる。したがって、シャッタ10のうち一方のグループを構成する複数のブレード側を通過する風量を増やすことができる。
これにより、車載シャッタシステム1において、前記故障が生じたブレードに起因してシャッタ10を通過した空気流に基づいてラジエータ6の複数のチューブ6aに生じる温度勾配を小さくすることができる。よって、熱ひずみによりラジエータ6の耐久性が劣化することを抑制する効果が得られる。
(他の実施形態)
(1)上記第1〜第3実施形態では、駆動モータ14(14A、14B)としてステッピングモータを用いた例について説明した。しかし、負荷トルクによって駆動モータ14に流れる電流が変化するものであるのであれば、ステッピングモータ以外に、直流モータ、ブラシレスモータなど各種のモータを駆動モータ14として用いてもよい。
同様に、上記第4、第5実施形態において、駆動モータ14A、14Bとして、ステッピングモータに代わる直流モータ、ブラシレスモータなど各種のモータを駆動モータ14として用いてもよい。
(2)上記第1〜第5実施形態では、リンクバー12a、12b等によって駆動モータ14の駆動力を複数のブレード11に伝達する例について説明した。しかし、これに代えて、
ブレード11の故障時に駆動モータ14の駆動トルクが減ずるように構成されているのであれば、伝達機構12としてはどのように構成されていてもよい。
(3)上記第1〜第5実施形態では、リンクバー12a、12b等によって伝達機構12を構成した例について説明した。しかし、これに限らず、駆動モータ14から複数のブレード11に対して駆動トルクが与えられることが停止されたときには、空気流路3bを流れる空気流によって複数のブレード11の開度が大きくなるように構成されるのであれば、どのような伝達機構12であってもよい。
(4)上記第1〜第5実施形態では、走行用駆動源として走行用エンジン3aを用いた例について説明したが、これに代えて、走行用電動機を走行用駆動源としてもよい。
(5)上記第1〜第5実施形態では、シャッタ10をコンデンサ7、ラジエータ6に対して車両進行方向前側に配置した例について説明したが、これに代えて、次の(a)(b)ようにしてもよい。
(a)シャッタ10をコンデンサ7およびラジエータ6の間に配置する。
(b)シャッタ10をコンデンサ7、ラジエータ6に対して車両進行方向後側に配置する。
(6)上記第3実施形態では、走行用エンジン3aにオーバーヒートが生じる可能性(つまり、危険度)が高いか否かを判定するために、水温センサ26の検出温度を用いた例について説明したが、水温センサ26の検出温度以外の情報を用いて、走行用エンジン3aにオーバーヒートが生じる可能性(つまり、危険度)が高いか否かを判定してもよい。
(7)上記第5実施形態では、CPU21は、第1グループ10Aおよび第2グループ10Bのうち一方のグループを構成する複数のブレードが閉じて、かつ他方のグループを構成するブレードに故障が生じてシャッタ10を通過した空気流の風量が増大したとき、次のようにした。
すなわち、他方のグループを構成する複数のブレードのうち故障が生じたブレード以外の残りの複数のブレードをそれぞれを同一の補正後目標角度にした。
しかし、上記第5実施形態では、CPU21は、ブレード11A毎の検出器11cの検出値およびブレード11B毎の検出器11dの検出値に応じて、他方のグループを構成する複数のブレードのうち故障したブレードを特定することができる。以下、この特定されたブレードを故障ブレードという。
そこで、上記第5実施形態では、他方のグループを構成する複数のブレードのうち、故障ブレードから車両幅方向一方側に進むほど残りの複数のブレードの補正後目標角度を大きくして、かつ故障ブレードから車両幅方向他方側に進むほど残りの複数のブレードの補正後目標角度を大きくする。これにより、ラジエータ6の複数のチューブ6aに生じる温度勾配をより一層小さくすることができる。
(8)上記第1〜第5実施形態では、複数のブレードの長手方向が天地方向になるように複数のブレードを配置した例について説明したが、これに代えて、複数のブレードの長手方向が天地方向以外の方向になるように複数のブレードを配置してもよい。
(9)上記第1、第2実施形態では、CPU21は、ブレード11の故障枚数に基づいてブレード11の目標角度θmを補正する例について説明したが、これに代えて、次のようにしてもよい。
複数のブレード11のうち1枚以上のブレードに故障が生じたときには、複数のブレード11のうち故障ブレード以外のブレード11の目標角度を予め決められた一定の目標開度θsに設定する。一定の目標開度θsは、複数のブレード11の全てが正常であるときの目標開度よりも小さい開度である。
このため、複数のブレード11のうち1枚以上のブレードに故障が生じたときには、CPU21は、ブレードの故障枚数に関係なく、複数のブレード11の開度が一定の目標開度θsになるようにモータ駆動回路15を介して駆動モータ14を制御して複数のブレード11を駆動する。
これにより、複数のブレード11の故障が生じると、CPU21は、モータ駆動回路15を介して駆動モータ14を制御して複数のブレード11のうち故障ブレード11以外のブレード11の開度を小さくすることになる。
(10)なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
(まとめ)
上記第1〜第5実施形態、および他の実施形態の一部または全部に記載された第1の観点によれば、車載シャッタシステムは、熱交換器を収納する収納室と、収納室から車両進行方向前側に開口する前側開口部と、熱交換器を冷却するために車両進行方向前側から前側開口部を通して熱交換器に流れる空気流を流通させる空気流路とを形成する自動車に適用される。
車載シャッタシステムは、空気流路内に並べられて、開度を調整することにより空気流路内の空気流量を調整する複数のブレードと、複数のブレードの開度を調整させる電動アクチュエータと、複数のブレードの開度を目標開度に近づけるように電動アクチュエータを制御する制御部とを備える。
車載シャッタシステムは、複数のブレードのうち故障して開度の調整が不能となった故障ブレードの枚数を検出する検出部と、検出部の検出値に基づいて、複数のブレードのうち前記故障ブレード以外のブレードの開度が所定の目標開度となるように電動アクチュエータを制御する制御部(185)を備える。
第2の観点によれば、 車載シャッタシステムは、検出部の検出値に基づいて、複数のブレードのうち故障ブレード以外のブレードの目標開度を補正してこの補正された目標開度を所定の目標開度として求める補正部(180)を備える。
制御部は、複数のブレードのうち故障ブレード以外のブレードの開度が補正部によって補正された目標開度となるように電動アクチュエータを制御する。
第3の観点によれば、車載シャッタシステムは、補正部は、複数のブレードのうち故障ブレードの枚数が多くなるほど、複数のブレードのうち故障ブレード以外のブレードの目標開度を小さくする。
これにより、ブレードの故障枚数が多くなるほど、複数のブレードのうち故障ブレード以外の残りのブレードの開度を小さくする。これにより、複数のブレードのうちいずれかのブレードに故障が生じても、シャッタを通過する空気流量の変化を小さくすることができる。
第4の観点によれば、検出部の検出値に基づいて、複数のブレードのうち故障ブレードの枚数が閾値以上であるか否かを判定する判定部を備え、補正部は、故障ブレードの枚数が閾値以上であると判定部が判定したときに、複数のブレードのうち故障ブレード以外のブレードの目標開度を大きくする。
したがって、ブレードの故障枚数が閾値以上であるときには、複数のブレードのうち前記故障したブレード以外の残りのブレードの開度を大きくすることにより、シャッタを通過する風量を増加させることができる。よって、熱交換器から空気流に放熱される放熱量を増加させることができる。このため、熱交換器の冷却を優先させることができる。
第5の観点によれば、車載シャッタシステムは、過熱判定部と設定部とを備える。熱交換器は、被冷却対象を冷却するための熱媒体および空気流の間の熱交換によって熱媒体を冷却し、過熱判定部は、被冷却対象に過熱状態が生じる可能性が低いか否かを判定し、設定部は、被冷却対象に過熱状態が生じる可能性が低いと過熱判定部が判定したときには、被冷却対象に過熱状態が生じる可能性が高いと過熱判定部が判定したときに比べて、判定部で用いる閾値として大きい値を設定する。
したがって、被冷却対象に過熱状態(すなわち、オーバーヒート)が生じる可能性が低いと過熱判定部が判定したときには、被冷却対象に過熱状態が生じる可能性が高いときに比べて、被冷却対象の冷却を優先させるフェイル制御の実施に至るのを遅くすることができる。
第6の観点によれば、車載シャッタシステムは、熱交換器を収納する収納室と、収納室から車両進行方向前側に開口する前側開口部と、熱交換器を冷却するために車両進行方向前側から前側開口部を通して熱交換器に流れる空気流を流通させる空気流路とを形成する自動車に適用される。
車載シャッタシステムは、空気流路内にて所定方向に並べられて、開度を調整することにより空気流路内の空気流量を調整する複数のブレードと、複数のブレードの開度を調整させる電動アクチュエータとを備え、複数のブレードは、所定方向の一方側に並べられて第1グループを構成する複数の第1ブレードと、複数の第1ブレードに対して所定方向の他方側に並べられて第2グループを構成する複数の第2ブレードとを備えるシャッタを備える。
車載シャッタシステムは、複数のブレードの開度を目標開度に近づけるように電動アクチュエータを制御する制御部と、第1グループおよび第2グループのうちいずれか一方のグループを構成するブレードに故障が生じて開度が大きくなったか否かを判定する故障判定部と、一方のグループを構成するブレードに故障が生じて開度が大きくなったと故障判定部が判定したとき、一方のグループを構成する複数のブレードのうち故障ブレード以外のブレードの目標開度を補正する補正部とを備える。
制御部は、一方のグループを構成する複数のブレードのうち故障ブレード以外のブレードの開度を補正部によって補正された目標開度に近づけるように電動アクチュエータを制御する。
これにより、故障が生じたブレードに起因してシャッタを通過した空気流によって熱交換器に生じる温度勾配を小さくすることができる。
第7の観点によれば、補正部は、一方のグループを構成する複数のブレードのうち故障ブレード以外のブレードの目標開度を大きくする。
1 車載シャッタシステム
3 エンジンコンパートメント
10 シャッタ
11 複数のブレード
12 伝達機構
14 駆動モータ
20 電子制御装置
21 CPU
30 電動アクチュエータ

Claims (7)

  1. 熱交換器(6、7)を収納する収納室(3)と、前記収納室から車両進行方向前側に開口する前側開口部(5)と、前記熱交換器を冷却するために車両進行方向前側から前記前側開口部を通して前記熱交換器に流れる空気流を流通させる空気流路(3b)とを形成する自動車に適用され、
    前記空気流路内に並べられて、開度を調整することにより前記空気流路内の空気流量を調整する複数のブレード(11)と、
    前記複数のブレードの開度を調整させる電動アクチュエータ(30)と、
    前記複数のブレードのうち故障して開度の調整が不能となった故障ブレードの枚数を検出する検出部(23、23B、23A)と、
    前記検出部の検出値に基づいて、前記複数のブレードのうち前記故障ブレード以外のブレードの開度が所定の目標開度となるように前記電動アクチュエータを制御する制御部(185)と、
    を備える車載シャッタシステム。
  2. 前記検出部の検出値に基づいて、前記複数のブレードのうち前記故障ブレード以外のブレードの目標開度を補正してこの補正された目標開度を前記所定の目標開度として求める補正部(180)を備え、
    前記制御部は、前記複数のブレードのうち前記故障ブレード以外のブレードの開度が前記補正部によって補正された目標開度となるように前記電動アクチュエータを制御する請求項1に記載の車載シャッタシステム。
  3. 前記補正部は、前記複数のブレードのうち前記故障ブレードの枚数が多くなるほど、前記複数のブレードのうち前記故障ブレード以外のブレードの目標開度を小さくする請求項2に記載の車載シャッタシステム。
  4. 前記検出部の検出値に基づいて、前記複数のブレードのうち前記故障ブレードの枚数が閾値以上であるか否かを判定する判定部(185)を備え、
    前記補正部は、前記故障ブレードの枚数が閾値以上であると前記判定部が判定したときに、前記複数のブレードのうち前記故障ブレード以外のブレードの目標開度を大きくする請求項2または3に記載の車載シャッタシステム。
  5. 過熱判定部(182)と、
    設定部(184、183)と、を備え、
    前記熱交換器は、被冷却対象(3a)を冷却するための熱媒体および前記空気流の間の熱交換によって前記熱媒体を冷却し、
    前記過熱判定部は、前記被冷却対象に過熱状態が生じる可能性が低いか否かを判定し、
    前記設定部は、前記被冷却対象に過熱状態が生じる可能性が低いと前記過熱判定部が判定したときには、前記被冷却対象に過熱状態が生じる可能性が高いと前記過熱判定部が判定したときに比べて、前記判定部で用いる前記閾値として大きい値を設定する請求項4に記載の車載シャッタシステム。
  6. 熱交換器(6、7)を収納する収納室(3)と、前記収納室から車両進行方向前側に開口する前側開口部(5)と、前記熱交換器を冷却するために車両進行方向前側から前記前側開口部を通して前記熱交換器に流れる空気流を流通させる空気流路(3b)とを形成する自動車に適用され、
    前記空気流路内にて所定方向に並べられて、開度を調整することにより前記空気流路内の空気流量を調整する複数のブレード(11)と、前記複数のブレードの開度を調整させる電動アクチュエータ(30A、30B)とを備え、前記複数のブレードは、前記所定方向の一方側に並べられて第1グループを構成する複数の第1ブレード(11A)と、前記複数の第1ブレードに対して前記所定方向の他方側に並べられて第2グループを構成する複数の第2ブレード(11B)とを備えるシャッタ(10)と、
    前記複数のブレードの開度を目標開度に近づけるように前記電動アクチュエータを制御する制御部(260)と、
    前記第1グループおよび前記第2グループのうちいずれか一方のグループを構成するブレードに故障が生じて開度が大きくなったか否かを判定する故障判定部(220)と、
    前記一方のグループを構成するブレードに故障が生じて開度が大きくなったと前記故障判定部が判定したとき、前記一方のグループを構成する複数のブレードのうち前記故障ブレード以外のブレードの目標開度を補正する補正部(240、250)と、を備え、
    前記制御部は、前記一方のグループを構成する複数のブレードのうち前記故障ブレード以外のブレードの開度を前記補正部によって補正された目標開度に近づけるように前記電動アクチュエータを制御する車載シャッタシステム。
  7. 前記補正部は、前記一方のグループを構成する複数のブレードのうち前記故障ブレード以外のブレードの目標開度を大きくする請求項6に記載の車載シャッタシステム。
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