JP6708049B2 - 乗物用シート - Google Patents

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本発明は、乗物用シートに関する。
乗物用シートには、着座乗員の快適性を向上させるためシート着座面から空気を放出したり吸引したりする空調機能を備えたものがある。特許文献1に記載の乗物用シートは、クッション材であるシートパッドと、シートパッドを裏面側から支える支持パネルと、を有している。そして、支持パネルにはシートパッドの支持方向と反対側に凹んだ通気溝が設けられ、シートパッドには通気溝の位置に対応する位置に裏面側から表面側に繋がる通気孔が設けられている。空調ユニットが通気溝に連結されて通気孔を通してシート着座面から空気を放出したり吸引したりする。一方、乗物用シートには、特許文献2に記載されるようにシートパッドを布帛等の面状支持部材によってシートフレームに対して支持しているものがある。
特開2012−197032号公報 特開2014−136472号公報
特許文献1に記載の技術においては、支持パネルが金属製の硬質な部材なので着座乗員が違和感を覚えて座り心地が損なわれないように肉厚の大きいシートパッドを支持パネル上に載置する必要があった。また、特許文献2に記載の技術においては、面状支持部材は柔軟な部材なのでシートパッドの肉厚を小さくし、又はシートパッドを無くしたりすることは可能であるが通気溝を形成することが困難であり空調機能を備えつけにくいという問題があった。
このような問題に鑑み本発明の課題は、着座乗員の身体を面状支持部材でシートフレームに対して支持する乗物用シートにおいて、簡潔な構造でシート着座面から空気を放出したり吸引したりする空調機能を備えた乗物用シートを提供することにある。
本発明の第1発明は、乗物用シートであって、シートフレームと、該シートフレームに張設されて着座乗員の荷重を支持する面状支持部材と、を備え、該面状支持部材の前記着座乗員側面と反対側の面には前記面状支持部材との間で筒状部を形成する面状体が取付けられ、前記筒状部には送排気が可能な空調装置が連結されていることを特徴とする。
第1発明によれば、面状支持部材の着座乗員側面と反対側の面に面状支持部材との間で筒状部を形成する面状体が取付けられ、筒状部には送排気が可能な空調装置が連結されているという簡潔な構造で空調機能を備えた乗物用シートを提供することができる。
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記面状体は前記面状支持部材の一部が前記着座乗員側面と反対側の面に折り返されて形成されていることを特徴とする。
第2発明によれば、面状支持部材によって筒状部が形成されるので別部材の面状体を必要とせず部品点数の増加を抑制できる。
本発明の第3発明は、上記第1発明又は上記第2発明において、前記面状体には樹脂コーティングが施されて前記面状支持部材より低通気度とされていることを特徴とする。
第3発明によれば、筒状部からの着座乗員方向以外の方向への空気の流通が減少し、より効率のよい空調機能を発揮できる。
本発明の第4発明は、上記第1発明ないし上記第3発明のいずれかにおいて、前記筒状部を構成する前記面状支持部材には前記筒状部と連通する連通孔が設けられていることを特徴とする。
第4発明によれば、筒状部からの着座乗員方向への空気の流通が増大し、より効率のよい空調機能を発揮できる。
本発明の第5発明は、上記第1発明ないし上記第4発明のいずれかにおいて、前記面状支持部材の前記着座乗員側面上にはクッション材であるシートパッドが配設され、該シートパッドの前記筒状部の位置に対応する位置には前記面状支持部材側から前記着座乗員側に繋がる通気孔が設けられていることを特徴とする。
第5発明によれば、座り心地のよい空調機能を備えた乗物用シートを提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る自動車用シートの斜視図である。 上記実施形態に係る自動車用シートのシートクッションの分解斜視図である。 上記実施形態に係るパッド支持機構とクッションパッドを示す斜視図である。 図3におけるIV−IV矢視線断面図である。 図3におけるV−V矢視線断面図である。 本発明の第2実施形態に係る自動車用シートの第1実施形態の図5に対応する断面図である。 本発明の第3実施形態に係る自動車用シートのシートバックの分解斜視図である。 筒状部形成部材を形成するための面状材の平面図である。 筒状部形成部材の斜視図である。
図1〜図5、図8及び図9に、本発明の第1実施形態を示す。本実施形態は、自動車用シートに本発明を適用した例である。各図中、矢印により自動車のフロアFに自動車用シート1を取付けた時の自動車及び自動車用シート1の各方向を示している。以下の説明において、方向に関する記述は、この方向を基準として行うものとする。
図1に示すように、本実施形態の自動車用シート1は、シートクッション2とシートバック3とヘッドレスト4とを備えている。シートクッション2の後端部には、リクライナ(図示せず)を介してシートバック3の下端部が取付けられており、シートバック3はシートクッション2に対して傾き角度調整が可能とされている。シートバック3及びヘッドレスト4については、公知の構成のものであるので説明を省略し、シートクッション2について説明していく。ここで、自動車用シート1が、特許請求の範囲の「乗物用シート」に相当する。
図1及び図2に示すように、シートクッション2は、フロアF上に左右一対のスライドレール5を介して取付けられており、スライドレール5によってフロアFに対するシートクッション2の前後方向位置調整が可能とされている。シートクッション2は、クッションフレーム10と、パッド支持機構20と、クッションパッド30と、クッションカバー40と、を備えている。クッションフレーム10は、上面視でシートクッション2の外周形状に沿った四角枠状に形成されている。具体的には、クッションフレーム10は、左右一対の前後方向に長尺な鋼板材よりなるサイドフレーム11と、サイドフレーム11の前端部間に架け渡し状に連結された鋼板製のフロントパネル12と、を有する。さらに、クッションフレーム10は、サイドフレーム11の前部間でフロントパネル12の後方において、サイドフレーム11に対し回転可能に取付けられたフロントパイプ13と、サイドフレーム11の後部間において、サイドフレーム11に対し回転可能に取付けられたリアパイプ14と、を有する。リフター機構15を構成するフロント側のリンクの上端部側は、フロントパイプ13に対して固定され、下端部側はスライドレール5に対して回転可能に取付けられている。リフター機構15を構成するリア側のリンクの上端部側は、リアパイプ14に対して固定され、下端部側はスライドレール5に対して回転可能に取付けられている。これによって、リフター機構15を構成するリア側のリンクをスライドレール5に対して回転させると、クッションフレーム10はスライドレール5に対して上下動する。各サイドフレーム11は、それらの上縁部と下縁部とがシート内側に折り曲げられた形状とされて、曲げや捻りに対する強度が高められている。ここで、クッションフレーム10とクッションパッド30が、それぞれ、特許請求の範囲の「シートフレーム」と「シートパッド」に相当する。
図2〜図5に示すように、パッド支持機構20は、クッションフレーム10に対してクッションパッド30を裏面側から支持するための機構である。パッド支持機構20は、上方から見て略矩形状に形成された布状部材21と、布状部材21の前端部をフロントパイプ13に対して支持するフロント連結部材22と、布状部材21の後端部をリアパイプ14に対して支持するリア連結部材23と、を備えている。布状部材21は、着座乗員の荷重を受け止めることのできる高い引張り強度を備えた伸縮性を有する1枚の布帛材により形成されている。布帛材としては、ポリエステル繊維製の織物や編物が好適に使用される。布状部材21の前端部にはフロント連結部材22に対応してチューブ状部21aが設けられている。チューブ状部21aは、前方向に延設されたフロント延設部21a1を後方向に折り返して、その端末部分近傍を縫製ライン21a2に沿って本体部に対して縫製することで形成されている。また、布状部材21の後端部にはリア連結部材23に対応してチューブ状部21bが設けられている。チューブ状部21bは、後方向に延設されたリア延設部21b1を前方向に折り返して、その端末部分近傍を縫製ライン21b2に沿って本体部に対して縫製することで形成されている。ここで、布状部材21が、特許請求の範囲の「面状支持部材」に相当する。
図3〜図5に示すように、布状部材21のクッションパッド30に当接する面と反対側の面である裏面側の左右には、一対の上方が開口し前後方向に延びる箱状の筒状部形成部材50が取付けられている。筒状部形成部材50は、図8に示すような展開形状の面状材50Mを縫製により図9に示すような上方が開口した直方体の箱状に形成したものである。面状材50Mとしては、布状部材21と同一のポリエステル繊維製の織物や編物が好適に使用される。通気度を低くするために全面にシリコーン樹脂のコーティングが施されている。筒状部形成部材50は、次のように形成される。まず、シリコーン樹脂のコーティングが施された布帛材から、図8に示すような面状材50Mを切り抜く。面状材50Mは、長辺を前後方向とする矩形状の底部51Mの左右にそれぞれ矩形状の左右側部52Mを配置するとともに、底部51Mの上下にそれぞれ矩形状の前後側部53Mを配置した形状をしている。左右側部52Mの短辺部長さと前後側部53Mの長辺部長さとは等しく形成されている。向かい合う左右側部52Mの短辺部と前後側部53Mの長辺部とを根元側から4/5程度の長さに渡って縫い合わせて縫い合わされなかった先端部側を底部51Mと平行に外側に向って開くと図9に示す筒状部形成部材50が得られる。図9において、筒状部形成部材50は、底部51Mから形成された底面部51と、左右側部52Mから形成された左右側面部52a及び左右フランジ部52bと、前後側部53Mから形成された前後側面部53a及び前後フランジ部53bと、を有する。左右側面部52aと前後側面部53aとは、4箇所の縫製部54で連結されている。底面部51の前側には、後述する送風装置60のダクト62の先端部が取付けられるダクト孔51aが設けられている。ここで、筒状部形成部材50が、特許請求の範囲の「面状体」に相当する。
図3〜図5に示すように、筒状部形成部材50は、布状部材21の裏面側において左右方向の中心線に関して対称な位置に取付けられている。具体的には、布状部材21に対して筒状部形成部材50の左右フランジ部52b及び前後フランジ部53bが縫製によって取付けられている。そして、布状部材21と筒状部形成部材50によって前後方向に延びる筒状部55が形成される。布状部材21には、筒状部55に連通する孔21cが左右3つずつ設けられている。ここで、孔21cが、特許請求の範囲の「連通孔」に相当する。
図3及び図4に示すように、フロント連結部材22は、鋼製のワイヤを折り曲げ加工した線状部材である。略U字状に折り曲げたワイヤを、その閉じ部側の横線部22aがフロントパイプ13の軸線と平行になるように配置して、その開口部側の両縦線部をフロントパイプ13の外周に巻きつけるように賦形した一対のR形状部22bを形成する。この後、ばね特性を付与するために焼入れ加工を施してフロント連結部材22を得る。フロント連結部材22の、布状部材21のチューブ状部21aへの取付けは、次のように行われる。フロント連結部材22のR形状部22bが布状部材21の反対側に来る向きで、横線部22aをフロント延設部21a1上に載置し、フロント延設部21a1の端末を横線部22aを下から巻き込みながら後方向に折り返して、その端末部分近傍を本体部に対して縫製する。すなわち、布状部材21のチューブ状部21aの形成と同時にチューブ状部21aへのフロント連結部材22の取付が行われる。
図3及び図4に示すように、リア連結部材23は、鋼製のワイヤを折り曲げ加工した線状部材である。対向端部が長辺部の略中央部分に来るように、略矩形状に折り曲げたワイヤを準備し、長辺部23aをリアパイプ14の軸線と平行になるように配置して、短辺部をリアパイプ14の外周に巻きつけるように賦形した一対のR形状部23bを形成する。次に、一長辺部23aの対向端部同士をプレートを巻き付けてチューブ状にしたチューブ部材23cで覆ってかしめる。この後、ばね特性を付与するために焼入れ加工を施してリア連結部材23を得る。布状部材21のチューブ状部21bへのリア連結部材23の取付けは、次のように行われる。リア連結部材23の後側の長辺部23a1が布状部材21の反対側に来る向きで、前側の長辺部23a2をリア延設部21b1上に載置する。そして、リア延設部21b1の端末を、長辺部23a2を下から巻き込みながら前方向に折り返して、その端末部分近傍を本体部に対して縫製する。すなわち、布状部材21のチューブ状部21bの形成と同時にチューブ状部21bへのリア連結部材23の取付が行われる。
図3に示すように、布状部材21の前端部において、チューブ状部21aに、フロント連結部材22の横線部22aが通された状態で、フロント連結部材22のR形状部22bには樹脂カバー22cが取付けられている。樹脂カバー22cは、フロント連結部材22のR形状部22bが直接フロントパイプ13に接触して異音等が発生しないようにする機能を有する。樹脂カバー22cの内側(フロントパイプ13側)には、断面がU字状の溝が設けられ、その溝にR形状部22bを嵌め込んだとき、R形状部22bが溝中に埋設された状態で保持されて溝から露出しないように構成されている。これによって、フロント連結部材22は、そのR形状部22bがフロントパイプ13に係止されたとき、フロントパイプ13に直接接触しないようになる。
図3に示すように、布状部材21の後端部において、チューブ状部21bにリア連結部材23の長辺部23a2が通された状態で、リア連結部材23のR形状部23bには樹脂カバー23eが取付けられている。樹脂カバー23eは、リア連結部材23のR形状部23bが直接リアパイプ14に接触して異音等が発生しないようにする機能を有する。樹脂カバー23eの内側(リアパイプ14側)には、断面がU字状の溝が設けられ、その溝にR形状部23bを嵌め込んだとき、R形状部23bが溝中に埋設された状態で保持されて溝から露出しないように構成されている。これによって、リア連結部材は、そのR形状部23bがリアパイプ14に係止されたとき、リアパイプ14に直接接触しないようになる。
図3に示すように、布状部材21に取付けられたフロント連結部材22とリア連結部材23とは、それぞれ、フロントパイプ13とリアパイプ14に係止される。具体的には、フロント連結部材22のR形状部22bに樹脂カバー22cが取付けられた状態でフロントパイプ13に係止される。また、リア連結部材23のR形状部23bに樹脂カバー23eが取付けられた状態でリアパイプ14に係止される。この状態で、パッド支持機構20は、クッションフレーム10に対して取付けられる。
図3〜図5に示すように、送風装置60は、送風機61と、ダクト62と、を有する。送風機61は、フロントパネル12の下側面にブラケット(図示せず)を介して取付けられており、ファンを内蔵して通電により送風口61aから空気を送り出す。ダクト62は、樹脂製のチューブ状の部材で上面視で略T字状に形成されている。T字の横棒部の両端部に2つの後ダクト口62aが設けられ、T字の縦棒部の先端部に1つの前ダクト口62bが設けられている。後ダクト口62aは、それぞれ、左右の筒状部形成部材50のダクト孔51aに熱融着等で連結されている。前ダクト口62bは、送風機61の送風口61aに対し嵌め込みで連結されている。これによって、送風装置60の送風機61が作動すると空気が左右の筒状部形成部材50の筒状部55送り込まれ、布状部材21の孔21cから放出される。ここで、送風装置60が、特許請求の範囲の「空調装置」に相当する。
図2〜図5に示すように、クッションパッド30は、軟質ポリウレタン発泡体製のクッション体である。クッションパッド30は、パッド支持機構20によって下から支えられている。クッションパッド30は、着座者の尻部及び大腿部の下面部を支持する天板部31と、着座者身体の尻部及び大腿部の側面部を支持する土手部32と、を有している。天板部31は、天板前部31aと天板後部31bの2つの部分に分かれており、その前後長は天板後部31bが天板前部31aの2倍程度とされている。土手部32は、天板部31の左右両側において上方に向かって張り出した凸形状をしている。天板前部31aと天板後部31bの間には左右方向に延びる前横吊り込み溝31dが設けられている。左右の土手部32と天板部31の間には前後方向に延びる縦吊り込み溝32aが設けられている。前横吊り込み溝31d及び縦吊り込み溝32aの底面部には、それぞれ、クッションカバー40の縫製部を吊り込んで固定するためのワイヤ(図示せず)がインサートされている。天板後部31bには、クッションパッド30をパッド支持機構20の上に載置したとき布状部材21の孔21cに対応する位置に上下方向に貫通する貫通孔31b1が設けられている。貫通孔31b1の直径は、孔21cの直径と同じ又はより小さく設定されている。これによって、送風装置60の送風機61から左右の筒状部形成部材50の筒状部55送り込まれた空気は、クッションパッド30の貫通孔31b1を通って着座面側に放出される。このとき、クッションパッド30の貫通孔31b1の着座面側は通気性のあるクッションカバー40によって覆われているので、空気はクッションカバー40を通して着座面側に放出される。
以上のように構成される本実施形態は、以下のような作用効果を奏する。布状部材21の着座乗員側面と反対側の面に布状部材21との間で筒状部55を形成する筒状部形成部材50が取付けられ、筒状部55に送風装置60のダクト62が連通状態とされている。これによって、着座乗員の身体を布状部材21でクッションフレーム10に対して支持する自動車用シートにおいて、簡潔な構造で空調機能を備えた自動車用シート1を提供することができる。また、筒状部形成部材50にはシリコーン樹脂のコーティングが施されているので、筒状部55からの着座乗員方向以外の方向への空気の漏出が減少し、より効率のよい空調機能を発揮できる。さらに、筒状部55を構成する布状部材21には筒状部55と連通する孔21cが設けられているので、筒状部55からの着座乗員方向への空気の放出が増大し、より効率のよい空調機能を発揮できる。加えて、布状部材21の着座乗員側面上にはクッションパッド30が配設され、筒状部55の位置に対応する位置には貫通孔31b1が設けられている。これによって、座り心地のよい空調機能を備えた自動車用シート1を提供することができる。
図6に本発明の第2実施形態を示す。図6は、上記第1実施形態における図5に対応する図であり、重複する構成については図面に同一の符号を付して説明を省略する。上記第1実施形態との違いは、筒状部形成部材50Aが布状部材21の一部によって形成されている点である。筒状部形成部材50Aは、布状部材21の左右端部を延長して筒状部形成部材50の左右フランジ部52bのうちシート外側の左右フランジ部52bが布状部材21の左右端部と連続した連続部52cとして形成されている。連続部52cは、布状部材21の左右端部からの折り返し部52c1近傍の第1縫製部52c2と、外側の左右側面部52aの上端部近傍の第2縫製部52c3と、において布状部材21に対し縫製で連結されている。なお、筒状部形成部材50Aの筒状部55の内側にはシリコーン樹脂のコーティングが施されている。本実施形態は、筒状部形成部材50Aが布状部材21の一部を着座乗員側面と反対側の面に折り返されて形成されて、筒状部55が形成されるので別部材の筒状部形成部材50を必要とせず部品点数の増加を抑制できる。
図7に本発明の第3実施形態を示す。本実施形態は、ネット状部材90が枠状の支承部材80に張設された状態でバックフレーム70に装着されたシートバック3Aを有する自動車用シート1Aである。バックフレーム70は、金属製パイプ材が正面視で逆U字状に曲げ加工されたアッパフレーム部71と、アッパフレーム部71の左右両端部の下曲げ部に連結された金属製のプレス部材で左右一対のサイドフレーム部72と、を有する。サイドフレーム部72の下端部側にはリクライナが取付けられ、左右のリクライナを連結するリクライニングロッド73が配設されている。支承部材80は、樹脂製でバックフレーム70のアッパフレーム部71の前側を覆う上枠部81と、バックフレーム70のサイドフレーム部72の前側を覆う左右の両側枠部82と、左右の両側枠部82を下端部側で連結する下枠部83と、を有する。上枠部81、左右の両側枠部82、下枠部83は、略方形枠状に形成されている。上枠部81の背面(後面)にはバックフレーム70のアッパフレーム部71の中央部に掛け止めされるフック状の係止部84が形成されている。また、下枠部83の背面(後面)にはバックフレーム70のリクライニングロッド73に嵌め込まれる嵌め込み部85が形成されている。ここで、ネット状部材90が、特許請求の範囲の「面状支持部材」に相当する。
図7に示すように、ネット状部材90は通気性の高いネット状の部材で、支承部材80の開口部を塞ぐように、上枠部81と、左右の両側枠部82と、下枠部83と、の前面に固定されて張設されている。ネット状部材90の背面(後面)には左右方向中心面に関し対称な位置に一対の筒状部形成部材50が上下方向に延びて取付けられている。取付けは、ネット状部材90に対し筒状部形成部材50の左右フランジ部52bと前後フランジ部53bが縫製されることにより行われる。筒状部形成部材50には第1実施形態と同様にシリコーン樹脂のコーティングが施されている。また、一対の筒状部形成部材50には第1実施形態と同様に送風装置60のダクト62が取付けられ筒状部55への送風機61からの送風が可能となっている。
以上のように構成される本実施形態は、以下のような作用効果を奏する。ネット状部材90の着座乗員側面と反対側の面にネット状部材90との間で筒状部55を形成する筒状部形成部材50が取付けられ、筒状部55に送風装置60のダクト62が連通状態とされている。これによって、着座乗員の身体をネット状部材90でバックフレーム70に対して支持する自動車用シートにおいて、簡潔な構造で空調機能を備えた自動車用シート1Aを提供することができる。また、筒状部形成部材50にはシリコーン樹脂のコーティングが施されているので、筒状部55からの着座乗員方向以外の方向への空気の漏出が減少し、より効率のよい空調機能を発揮できる。
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、次のようなものが挙げられる。
1.上記実施形態においては、筒状部形成部材50を、面状材50Mを縫製により箱状に形成することにより作製した。しかし、これに限らず、面状部材を横断面が端部にフランジ部を有するU字状に形成して布状部材21又はネット状部材90にフランジ部を縫製により取付け、長手方向端末部をいせ込みによる縫製で閉じるようにしてもよい。
2.上記実施形態においては、筒状部形成部材50の布状部材21又はネット状部材90への取付けは、縫製により行ったが、これに限らず、接着や熱融着によって行ってもよい。
3.上記実施形態においては、筒状部55に送風装置60から空気を送ったが、これに限らず、送風装置60の送風方向を逆にして筒状部55から空気を吸引するようにしてもよい。
4.上記実施形態においては、筒状部形成部材50を形成する面状材50Mにポリエステル繊維製の織物や編物を採用したが、これに限らず、樹脂製のシート材等を使用することもできる。
5.上記実施形態においては、本発明を自動車のシートに適用したが、これに限らず、飛行機、船、電車等に搭載のシートに適用しても良い。
1 自動車用シート(乗物用シート)
1A 自動車用シート(乗物用シート)
10 クッションフレーム(シートフレーム)
21c 孔(連通孔)
21 布状部材(面状支持部材)
30 クッションパッド(シートパッド)
31b1 貫通孔(通気孔)
90 ネット状部材(面状支持部材)
50 筒状部形成部材(面状体)
50A 筒状部形成部材(面状体)
55 筒状部
60 送風装置(空調装置)
F フロア

Claims (5)

  1. 乗物用シートであって、
    シートフレームと、該シートフレームに張設されて着座乗員の荷重を支持する布状部材又はネット状部材である面状支持部材と、を備え、
    該面状支持部材の前記着座乗員側面と反対側の面の左右方向中心線に関して対称な位置には前記面状支持部材との間で前後方向に延びる筒状部を形成する布状部材又は樹脂製のシート材である面状体が取付けられ、前記筒状部には送排気が可能な空調装置が連結されている乗物用シート。
  2. 請求項1において、前記面状体は前記面状支持部材の一部が前記着座乗員側面と反対側の面に折り返されて形成されている乗物用シート。
  3. 請求項1又は請求項2において、前記面状体には樹脂コーティングが施されて前記面状支持部材より低通気度とされている乗物用シート。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記筒状部を構成する前記面状支持部材には前記筒状部と連通する連通孔が設けられている乗物用シート。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記面状支持部材の前記着座乗員側面上にはクッション材であるシートパッドが配設され、該シートパッドの前記筒状部の位置に対応する位置には前記面状支持部材側から前記着座乗員側に繋がる通気孔が設けられている乗物用シート。


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