以下、本実施形態に係る空気圧縮機について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
図1、図2、図3、及び図4に示すように、空気圧縮機10は、金属製または合成樹脂製のケーシング11と、ケーシング11内に設けられた電動モータ12と、ケーシング11内に設けられた圧縮部13と、ケーシング11内に設けられた冷却ファン14と、ケーシング11の外に設けられた調圧器15と、空気圧縮機10を床面に載置する足部105と、を有する。調圧器15は打込機16に接続される。ケーシング11は中空であり、ケーシング11は、天板17と、天板17に連続する前壁18及び後壁19と、一対の側壁20,21と、底板22と、を有する。
前壁18と後壁19とは互いに平行に配置され、一対の側壁20,21は互いに平行に配置されている。前壁18は通気口23を有し、後壁19は通気口24を有し、側壁20は通気口25を有し、側壁21は通気口26を有する。通気口23,24,25,26は、ケーシング11の内部と外部とをつなぐ。
電動モータ12は、クランクケース30の外側に回転しないように設けられたステータ28と、モータケース27内に回転可能に設けられたロータ29と、を有する。ステータ28は、ステータコア28Aと、ステータコア28Aに巻いた導線28Bと、を有する。ロータ29は永久磁石を有する。ステータ28は、導線28Bに通電されると回転磁界を形成する。電動モータ12はブラシレスモータと呼ばれ、通電用のブラシが設けられていない。
クランクケース30は、マウント60、ブラケット100及び支持板92を介して底板22により支持されている。支持板92は、ねじ部材により底板22に固定されている。クランクシャフト31は、クランクケース30内に回転可能に設けられている。ロータ29及びクランクシャフト31は、一体回転するように連結されている。クランクシャフト31の一部はクランクケース30の外に配置されている。クランクシャフト31のうち、クランクケース30の外に配置された箇所に、冷却ファン14が取り付けられている。ケーシング11の平面視で、ロータ29及びクランクシャフト31の回転中心となる軸線A1は、一対の側壁20,21と平行に配置されている。ケーシング11の平面視及び側面視で、冷却ファン14は、クランクケース30と前壁18との間に配置され、クランクケース30は、後壁19と冷却ファン14との間に配置されている。
圧縮部13は、第1圧縮部32及び第2圧縮部33を有する。ケーシング11の正面視及び平面視で、第1圧縮部32は、クランクケース30と側壁20との間に配置されている。ケーシング11の正面視及び平面視で、第2圧縮部33は、クランクケース30と側壁21との間に配置されている。
第1圧縮部32は、図5に示すように、シリンダ34と、シリンダ34内に往復動可能に配置された第1ピストン35と、シリンダ34内に形成された圧縮室36と、シリンダ34に固定されたシリンダヘッド96と、を有する。第1ピストン35は、コネクティングロッド37を介してクランクシャフト31に動力伝達可能に連結されている。
吸気室38及び排気室39がシリンダヘッド96内に設けられ、吸気管40が吸気室38に接続されている。吸気フィルタ41が吸気管40に設けられている。吸気室38と圧縮室36とを接続する吸気ポート42が設けられ、吸気ポート42を開閉する逆止弁43が設けられている。排気室39と圧縮室36とを接続する排気ポート44が設けられ、排気ポート44を開閉する逆止弁45が設けられている。
第2圧縮部33は、シリンダ46と、シリンダ46内に往復動可能に配置された第2ピストン47と、シリンダ46内に形成された圧縮室48と、シリンダ46に固定したシリンダヘッド97と、を有する。第2ピストン47は、コネクティングロッド49を介してクランクシャフト31に動力伝達可能に連結されている。第1ピストン35と第2ピストン47とは、別々に動作する。
吸気室50及び排気室51が、シリンダヘッド97内に設けられている。吸気室50と排気室39とを接続する接続管52が設けられている。図2のように、シリンダヘッド97に連結部98が設けられ、接続管53の連結部99が、連結部98に接続されている。接続管53は排気室51につながっている。図5のように、吸気室50と圧縮室48とを接続する吸気ポート54が設けられ、吸気ポート54を開閉する逆止弁55が設けられている。排気室51と圧縮室48とを接続する排気ポート56が設けられ、排気ポート56を開閉する逆止弁57が設けられている。
シリンダ46は、圧縮室48につながる空気抜き通路58を有する。空気抜き通路58を開閉するアンロードバルブ59が、シリンダ46の外に設けられている。アンロードバルブ59として電磁弁が用いられており、アンロードバルブ59への通電と非通電とを切り替えることにより、空気抜き通路58を開閉できる。
図1に示すケーシング11の正面視、図2に示すケーシング11の平面視で、シリンダ46の最大外径はシリンダ34の最大外径よりも小さい。図5に示すように、第2ピストン47の外径は、第1ピストン35の外径よりも小さい。シリンダ46の内径は、シリンダ34の内径よりも小さい。シリンダ34,46の最大外径は、シリンダ34,46の体格である。圧縮室48の最大容積は、圧縮室36の最大容積よりも小さい。
図1に示すように、ケーシング11の正面視で、シリンダ34,46の上端は同じ高さに配置されている。ケーシング11の正面視で、シリンダ46の下端は、シリンダ34の下端よりも上に位置する。ケーシング11の正面視で、シリンダ46の下端と底板22との間隔は、シリンダ34の下端と底板22との間隔よりも広い。
中間ハブ61がクランクケース30に取り付けられている。中間ハブ61は、金属製、例えば、アルミニウムでブロック形状に構成されており、中間ハブ61は通気路62を有する。通気路62は接続管53に接続されている。ケーシング11の正面視で、中間ハブ61は第2圧縮部33と底板22との間に配置され、かつ、クランクケース30と側壁21との間に配置されている。ケーシング11の平面視で、中間ハブ61は、第2圧縮部33と前壁18との間に配置され、かつ、クランクケース30と側壁21との間に配置されている。
第1エアホース63は、調圧器15と、中間ハブ61の通気路62とを接続する。第1エアホース63は、可撓性を有する第1管状部材である。第1エアホース63は合成樹脂製であり、かつ、可撓性を有する。第1エアホース63の長手方向の第1端部に連結部64が設けられ、第2端部に連結部65が設けられている。中間ハブ61は連結部66を有し、作業者は、連結部64を連結部66に対して手作業で着脱可能である。連結部66はバルブを有し、バルブは、連結部64が連結部66から取り外されていると閉状態にある。バルブは、連結部64が連結部66に連結されていると、開状態にある。第1エアホース63は、連結部64を連結部66に連結した状態で、長手方向の一部がケーシング11の外に露出する。第1エアホース63は、連結部64を連結部66に連結した状態で撓むと、ケーシング11、第2圧縮部33及び中間ハブ61に対して移動可能である。
中間ハブ61にリリーフバルブ68が取り付けられている。リリーフバルブ68は、通気路62の空気圧を所定圧以下に保持するバルブである。リリーフバルブ68は、バネ及び弁体と、通気路62につながるポート69と、を有し、バネの力で弁体が付勢されてポート69を閉じる。リリーフバルブ68は、通気路62の空気圧が上限圧以下であればポート69を閉じ、通気路62の空気圧が上限圧を超えるとポート69を開く。上限圧は、例えば、4.8MPaである。
中間ハブ61にリークバルブ70が設けられている。リークバルブ70は、通気路62の空気圧を低下させる役割を持つ。図6に示すように、リークバルブ70は、バルブボディ71と、バルブボディ71に形成されたポート72と、バルブボディ71に取り付けられたバルブステム73と、を有する。ポート72は、通気路62につながっている。バルブボディ71は中間ハブ61に固定されている。
ケーシング11に開口部74が設けられ、バルブボディ71は、ケーシング11内、開口部74及びケーシング11の外に亘って配置されている。バルブボディ71に雌ねじ孔71Aが設けられている。バルブステム73は雄ねじ75を有し、雄ねじ75が雌ねじ孔71Aに挿入されている。バルブステム73が回転すると、バルブステム73はバルブボディ71に対して移動する。バルブステム73の端部にノブ76が設けられている。ノブ76はケーシング11の外に配置されている。作業者がノブ76を手で掴んでバルブステム73を第1方向に回転するとポート72が開き、バルブステム73を第2方向に回転すると、ポート72が閉じる。
図1及び図2に示すように、中間ハブ61に圧力センサ77が設けられている。圧力センサ77は、通気路62の空気圧を検出して信号を出力する。図3に示すように、ケーシング11の後壁19に操作部78が設けられている。図4に示すように、操作部78は、スイッチ79及び表示部80を有する。スイッチ79は、空気圧縮機10の起動・停止を切り替えるために作業者が操作する。表示部80は、空気圧縮機10の状態、例えば、通気路62の空気圧、電動モータ12の回転数等を表示する。表示部80は、液晶ディスプレイ、ランプを含む。
調圧器15は連結部67を有し、作業者は、連結部65を連結部67に対して手作業で着脱可能である。調圧器15はケーシング11の外部に設けられている。連結部65はバルブを有し、バルブは、連結部65が連結部67から取り外されていると閉状態にある。バルブは、連結部65が連結部67に取り付けられていると、開状態にある。連結部64,65、66,67は、何れもカプラまたはソケットと呼ばれる。
ケーシング11内に制御部81が設けられている。制御部81は、図1におけるケーシング11の正面視で、クランクケース30と天板17との間に配置されている。制御部81は、ケーシング11の正面視で、第1圧縮部32及び第2圧縮部33の上方に配置されている。図2におけるケーシング11の平面視で、制御部81の配置領域は、クランクケース30の配置領域、第1圧縮部32,33の配置領域と重なる。制御部81は、基板93と、基板93に設けられ、かつ、図4に示すコントローラ82及びインバータ回路83と、を有する。図1及び図3のように、基板93はホルダ94に支持され、ホルダ94はキャリヤ95を介してクランクケース30に固定されている。
コントローラ82は、入力インタフェース、出力インタフェース、記憶部及び中央演算処理装置を備えたマイクロコンピュータである。インバータ回路83は、電動モータ12のステータ28と、電源84との間の電気回路を形成する。インバータ回路83と電源84とを接続する電力ケーブル91が設けられている。ロータ29の回転位相を検知する位相検知センサ101が設けられている。
インバータ回路83は、接続及び遮断が可能な半導体スイッチを有する。コントローラ82は、スイッチ79のオン・オフ信号、圧力センサ77から入力される信号、位相検知センサ101から入力される信号、記憶部に記憶されているデータに基づいて、インバータ回路83を制御する。コントローラ82がインバータ回路83の半導体スイッチの接続及び遮断を制御すると、電動モータ12の回転及び停止を切り替えること、電動モータ12の回転数を制御すること、が可能である。コントローラ82は、アンロードバルブ59に対する通電及び非通電を切り替える。
調圧器15は、空気圧を設定圧力まで減圧して打込機16に供給する。調圧器15が減圧する設定圧力は、例えば、2MPaである。設定圧力2MPaは、打込機16で止具88を打撃するために必要な圧力である。調圧器15の設定圧力は、打込機16の使用条件、例えば、止具88の長さ、太さ、止具88を打ち込む被打込材に硬度、に応じて変更可能である。
図4に示すように、調圧器15と打込機16とを接続する第2エアホース90が設けられている。第2エアホース90は、可撓性を有する第2管状部材であり、第2エアホース90は合成樹脂製である。打込機16は、本体部85と、本体部85内に設けた空気圧室86と、空気圧室86の空気圧で動作する打撃子87と、本体部85に供給する止具88を収容したマガジン89と、を有する。
作業者は、空気圧縮機10を使用する前にリークバルブ70を操作して、ポート72を閉じる。空気圧縮機10の動作例を説明する。制御部81は、スイッチ79をオンされていることを検出すると、電源84の電圧を電動モータ12に印加する。また、制御部81は、スイッチ79がオンされていると、アンロードバルブ59を非通電とし、空気抜き通路58が閉じられている。
電動モータ12に電圧が印加されて、電動モータ12のロータ29及びクランクシャフト31が共に回転すると、クランクシャフト31の回転力で、第1ピストン35及び第2ピストン47が往復動する。第1圧縮部32は、第1ピストン35がシリンダ34内で往復動すると、ケーシング11内の空気を圧縮室36に吸入し、かつ、吸入した空気を圧縮して吐出する。具体的に説明すると、第1ピストン35がクランクシャフト31に近づく行程で、逆止弁43が吸気ポート42を開き、かつ、逆止弁45が排気ポート44を閉じる。このため、ケーシング11内の空気は、吸気フィルタ41、吸気室38及び吸気ポート42を通り、圧縮室36に吸い込まれる。
第1ピストン35がクランクシャフト31から離れる行程で、逆止弁43が吸気ポート42を閉じ、かつ、圧縮室36の空気圧が上昇する。また、逆止弁45が排気ポート44を開き、圧縮室36で圧縮された空気は、排気ポート44から排気室39に吐出される。
第2圧縮部33の第2ピストン47は、第1ピストン35とは逆向きに動作する。第1ピストン35がクランクシャフト31から離れる行程で、第2ピストン47はクランクシャフト31に近づく。第1ピストン35がクランクシャフト31に近づく行程で、第2ピストン47はクランクシャフト31から離れる。第2ピストン47がシリンダ46内で動作すると、圧縮室48に空気が吸入され、かつ、吸入した空気を圧縮して吐出する。
第2ピストン47がクランクシャフト31に近づく行程で、逆止弁55が吸気ポート54を開き、かつ、逆止弁57が排気ポート56を閉じる。すると、排気室39の空気は、接続管52、吸気室50、吸気ポート54を通り、圧縮室48に吸い込まれる。
第2ピストン47がクランクシャフト31から離れる行程で、逆止弁55が吸気ポート54を閉じ、かつ、圧縮室48の空気圧が上昇する。また、逆止弁57が排気ポート56を開き、圧縮室48で圧縮された空気は、排気ポート56から排気室51に吐出される。圧縮室48の空気圧の最大値は、圧縮室36の空気圧の最大値よりも高い。第1圧縮部32を低圧部として把握し、第2圧縮部33を高圧部として把握可能である。つまり、空気圧縮機10は、第1圧縮部32及び第2圧縮部33により、2段階に空気を圧縮する。したがって、蓄圧部である第1エアホース63を小型化できる。
圧縮室48から排気室51に排出された空気は、接続管53、中間ハブ61の通気路62及び第1エアホース63を通り、調圧器15に送られる。調圧器15は、空気圧を減圧して第2エアホース90に吐出する。打込機16で所定の操作が行われると、第2エアホース90内の空気が空気圧室86に流入する。打撃子87は空気圧室86の空気圧で動作し、打撃子87は止具88を打撃して被打込部材に打ち込む。
圧力センサ77は、通気路62の実際の空気圧を検出し、空気圧に応じた信号を出力する。制御部81は、通気路62の実際の空気圧、記憶部に記憶されているデータに基づいて、電動モータ12の回転、停止及び回転数を制御する。
制御部81は、例えば、通気路62内の実際の空気圧が、第1目標圧力Pmaxとなるように電動モータ12の目標回転数を制御する。前述した“打込機16の使用条件“に応じて決定される。第1目標圧力Pmaxは、打込機16で止具88を連続して所定回数打ち込む作業を行うことができる値、例えば、第1目標圧力Pmaxは4.4MPaに設定される。
制御部81は、通気路62内の実際の空気圧が第1目標圧力Pmaxを超えると、電動モータ12を停止する。制御部81は、通気路62の実際の空気圧が第1目標圧力Pmaxよりも低い第3目標圧力P1以下になると、停止している電動モータ12を回転させる。第1目標圧力Pmax及び第3目標圧力P1は、設定圧力2MPaよりも高い。第3目標圧力P1は、停止している電動モータ12を再起動する際に、所定時間内に第1目標圧力Pmaxに到達可能な値とする。このため、第3目標圧力P1は、電動モータ12の再起動時の回転数に応じて変更可能であり、第3目標圧力P1は、例えば、3.2MPaに設定される。
第1エアホース63は、中間ハブ61の通気路62から排出された空気を調圧器15に送るまでの間、一時的に貯留するタンクの役割を果たす。
リリーフバルブは68は、通気路62の空気圧が上限圧4.8MPa以下であるとポート69を閉じる。リリーフバルブ68は、何らかの理由によって通気路62の空気圧が上限圧4.8MPaを超えるとポート69を開き、通気路62の空気を大気中に排出する。
制御部81は、作業者がスイッチ79をオフするか、または、通気路62内の実際の空気圧が第1目標圧力Pmaxを超えると、電動モータ12を停止する。制御部81は、スイッチ79がオフされるか、または、通気路62内の実際の空気圧が第1目標圧力Pmaxを超えると、アンロードバルブ59に通電して空気抜き通路58を所定時間開き、その後、アンロードバルブ59を非通電として空気抜き通路58を閉じる。圧縮室48の空気は空気抜き通路58から排出され、圧縮室48の空気圧が低下する。このため、スイッチ79が次回にオンされ、制御部81が電動モータ12を回転する際に、電動モータ12の回転を開始した初期段階で、第2ピストン47の動作抵抗を軽減できる。したがって、停止している電動モータ12を起動する際の応答性、つまり、回転数の上昇性能を高めることができる。
ケーシング11内の冷却作用は、次の通りである。ケーシング11内には、発熱要素がある。発熱要素は、中間ハブ61、電動モータ12、クランクケース30、第1圧縮部32及び第2圧縮部33、制御部81を含む。第1圧縮部32及び第2圧縮部33で空気を圧縮すると、空気の温度が上昇する。圧縮室48から排出された空気が流れる中間ハブ61は発熱する。電動モータ12は、導線28Bの通電抵抗、ロータ29の回転抵抗により発熱する。クランクケース30は、クランクシャフト31の回転抵抗で発熱する。制御部81は、インバータ回路83の通電抵抗により発熱する。
冷却ファン14は、ケーシング11内に空気の流れを形成して発熱要素を冷却する。電動モータ12の回転力でクランクシャフト31が回転すると、冷却ファン14は、クランクシャフト31と共に回転する。冷却ファン14が回転すると、ケーシング11の外の空気は、通気口23を通りケーシング11内を流れる。発熱要素の熱は、ケーシング11内を流れる空気に伝達され、発熱要素の温度上昇が抑制される。発熱要素の熱が伝達された空気は、通気口24,25,26を通ってケーシング11の外に排出される。
中間ハブ61は、通気口23から通気口24に向かう空気の流れ方向で、冷却ファン14と圧縮部13との間に配置されている。したがって、中間ハブ61を効率よく冷却できる。
シリンダ46の最大外径は、シリンダ34の最大外径よりも小さい。このため、ケーシング11の上下方向で、シリンダ46の下端と底板22との間隔は、シリンダ34の下端と底板22との間隔よりも広い。そして、ケーシング11の正面視及び側面視で、シリンダ46の下端と底板22との間に、中間ハブ61が配置されている。したがって、ケーシング11が、図1に示す正面視で上下方向に大型化することを抑制できる。
作業者は、スイッチ79がオフされている状態で、第1エアホース63を中間ハブ61から取り外すことができる。第1エアホース63が中間ハブ61から取り外されると、連結部66のバルブが閉じられる。また、第2圧縮部33の逆止弁57は、排気室51の空気圧で閉じられている。つまり、接続管53及び通気路62に空気が残留している。作業者がリークバルブ70を操作してポート72を開くと、接続管53及び通気路62に残留していた空気はポート72から排出され、通気路62の空気圧が低下する。このため、次回に連結部64を連結部66に接続する際、必要な接続荷重を低減できる。したがって、連結部64を連結部66に接続する作業性が向上する。
また、連結部65と連結部67とが接続され、かつ、連結部65と連結部67とが取り外された状態において、作業者がリークバルブ70を操作してポート72を開くことも可能である。この場合、接続管53、通気路62、第1エアホース63に残留していた空気は、ポート72から排出され、第1エアホース63内の空気圧が低下する。このため、連結部65を連結部67に接続する際に、必要な接続荷重を低減できる。したがって、連結部65を連結部67に接続する作業性が向上する。
さらに、第1圧縮部32及び第2圧縮部33で空気を圧縮すると、空気の温度が上昇し、その後に空気の温度が低下する過程で水が生成される。その水は、空気の流れ方向に移動し、例えば、第2圧縮部33の排気室51の内面に付着する。中間ハブ61は、重力の作用方向で連結部98よりも下に配置されている。このため、排気室51の内面に付着した水は、自重で接続管53を通り、中間ハブ61の通気路62に移動する。このため、通気路62の水が、排気室51に逆流することを防止できる。
また、作業者が、図6に示すリークバルブ70を操作してポート72を開くと、通気路62内の空気と共に水がポート72から排出される。ポート72から排出された水は、自重で開口部74を通り、ケーシング11の外に排出される。
制御部81が行う制御例を、図7のフローチャートを参照して説明する。まず、制御部81はスイッチ79がオンされると制御を開始し、停止している電動モータ12をステップS1で回転させ、かつ、電動モータ12の目標回転数を初期化する。
制御部81は、ステップS2において“圧力フラグ=1“が立てられているか否かを判断する。“圧力フラグ=1“の意味は後述する。制御部81は、ステップS2で“圧力フラグ=1“が立てられていないと判断すると、ステップS3に進む。制御部81は、ステップS3において、通気路62の実際の空気圧が第2目標圧力P2を超えているか否かを判断する。
第2目標圧力P2は、第1目標圧力Pmaxよりも低く、かつ、第3目標圧力P1である3.2MPaを超える値である。第2目標圧力P2は、通気路62の実際の空気圧が第1目標圧力Pmaxを超えて、制御部81が電動モータ12を停止する信号を出力した時点から、電動モータ12が停止するまでの間に、通気路62の実際の空気圧が第1目標圧力Pmaxを大幅に超えることがない値を設定する。このため、第2目標圧力P2は、電動モータ12を停止する前の回転数、及び回転数の上昇割合いに応じて、例えば、4.35MPaに設定される。
制御部81は、ステップS3の判断時点で、通気路62の実際の空気圧が第2目標圧力P2以下であるとステップS4に進み、電動モータ12の目標回転数を第1回転数に設定する。制御部81は、第1回転数として例えば2,500/minを設定する。制御部81は、ステップS5において、圧力センサ77が検出する空気圧が第1目標圧力Pmaxを超えているか否かを判断する。
制御部81は、圧力センサ77が検出する空気圧が第1目標圧力Pmax以下であると、ステップS6で電動モータ12の回転を継続する。制御部81は、ステップS7でスイッチ79がオフされたか否かを判断し、制御部81は、スイッチ79がオンされていると、ステップS2に進む。
制御部81は、ステップS3で通気路62の実際の空気圧が第2目標圧力P2を超えていると判断すると、ステップS8で通気路62の空気圧の振幅を演算する。空気圧の振幅とは、所定時間内における空気圧の変化幅である。制御部81は、ステップS9において、通気路62の空気圧の振幅が所定値A以上であるか否かを判断する。制御部81は、通気路62の空気圧の振幅が所定値A未満であると、ステップS4の処理を行う。
制御部81は、ステップS9で通気路62の空気圧の振幅が所定値A以上であると判断すると、ステップS10の処理を行い、ステップS5に進む。制御部81は、ステップS10において、電動モータ12の目標回転数を第2回転数に設定する。第2回転数は第1回転数よりも低く、将来、電動モータ12を停止する際に、通気路62の実際の空気圧が第1目標圧力Pmaxを大幅に超えることを防止できる値である。制御部81は、第2回転数として、例えば、1,500/minを設定する。
制御部81は、ステップS5で通気路62の空気圧が第1目標圧力Pmaxを超えていると判断すると、ステップS11に進んで電動モータ12を停止し、かつ、ステップS12で“圧力フラグ=1“を立て、ステップS7に進む。“圧力フラグ=1“は、“回転している電動モータ12が停止されて、通気路62の圧力が低下中である“ことを意味する。
制御部81は、ステップS2の判断時点で“圧力フラグ=1“が立てられているとステップS13に進み、通気路62の実際の空気圧が第3目標圧力P1を超えているか否かを判断する。制御部81は、ステップS13の判断時点で、通気路62の実際の空気圧が第3目標圧力P1を超えていると電動モータ12の停止を継続し、ステップS7に進む。
制御部81は、ステップS13の判断時点で通気路62の空気圧が第3目標圧力P1以下であると、ステップS14に進み、停止している電動モータ12を起動する。また、制御部81はステップS15で“圧力フラグ=0“を立て、ステップS7に進む。ここで、“圧力フラグ=0“は、“電動モータ12が回転しており、通気路62の空気圧が上昇中である“ことを意味する。
制御部81は、ステップS7でスイッチ79がオフされていると判断すると、ステップS16で電動モータ12を停止し、図7の制御を終了する。なお、制御部81はステップS7の判断を常時行う。
図7の制御例に対応するタイムチャートの例を、図8を参照して説明する。時刻t1以前ではスイッチ79がオフされており、電動モータ12は停止している。時刻t1でスイッチ79がオンされると、電動モータ12の目標回転数として第1回転数2,500/minが設定され、かつ、通気路62の空気圧が上昇する。
通気路62の空気圧が、時刻t2で第2目標圧力P2を超えると、電動モータ12の目標回転数として第2回転数1,500/minが設定される。時刻t2以降における通気路62の空気圧の上昇割合いは、時刻t1から時刻t2の間における通気路62の空気圧の上昇割合いよりも小さい。
通気路62の空気圧が、時刻t3で第1目標圧力Pmaxを超えると、電動モータ12が停止される。また、打込機16で止具88の打ち込みが行われ、通気路62の空気圧が低下する。電動モータ12の停止後、打込機16で止具88の打ち込みが継続され、時刻t4で通気路62の空気圧が第3目標圧力P1以下になると、電動モータ12の目標回転数が第1回転数2,500/minに設定される。
通気路62の空気圧が、時刻t5で第2目標圧力P2を超えると、電動モータ12の目標回転数として第2回転数1,500/minが設定される。時刻t5以降における通気路62の空気圧の上昇割合いは、時刻t4から時刻t5の間における通気路62の空気圧の上昇割合いよりも小さい。そして、通気路62の空気圧が、時刻t6で第1目標圧力Pmaxを超えると、電動モータ12が停止されている。
制御部81は、通気路62の実際の空気圧が、第1目標圧力Pmaxよりも低い第2目標圧力P2を超え、かつ、通気路62の空気圧の振幅が所定値A以上であると、電動モータ12の目標回転数を、第1目標回転数から第2目標回転数に変更する。このため、制御部81が電動モータ12を停止する信号を出力した時点から、電動モータ12が実際に停止するまでの経過時間を、なるべく短くすることができる。つまり、電動モータ12が慣性力で回転する時間を短くできる。したがって、通気路62の実際の空気圧が、第1目標圧力Pmaxに対して大幅に大きくなることを回避できる。
第1エアホース63は、打込機16に送る空気を貯留するタンクの役割を果たしているが、第1エアホース63は合成樹脂製であるため、金属製のタンクと比べて、容積が小さい。したがって、電動モータ12が回転を開始してから、通気路62の実際の空気圧が第1目標圧力Pmaxに到達するまでの経過時間を、なるべく短くすることができ、空気の圧縮作業性が向上する。
制御部81が図7の制御例を行うと、第1ピストン35が1往復し、かつ、第2ピストン47が1往復する間、第1エアホース63内及び通気路62内の空気圧の変動幅をなるべく小さくできる。制御部81は、図7の制御例のステップS3で肯定判断した場合に、ステップS8,S9をスキップしてステップS10に進むことも可能である。
制御部81は、通気路62の実際の空気圧に応じて、打込機16の使用可及び使用不可を表示部80で表示する。制御部81は、通気路62の実際の空気圧が第3目標圧力P1を超えていると、表示部80で“打込機16の使用可“の表示を行う。制御部81は、通気路62の実際の空気圧が第3目標圧力P1以下であると、表示部80で“打込機16の使用不可“の表示を行う。
ロータ29及びクランクシャフト31は、軸線A1を中心として同心状に配置されているため、ケーシング11がロータ29の径方向に大型化することを抑制できる。また、合成樹脂製の第1エアホース63がタンクの役割を果たしており、金属製のタンクを設けずに済む。このため、空気圧縮機10の体格をなるべく小型にでき、かつ、重量をなるべく軽量とすることができる。したがって、空気圧縮機10の携帯性が向上する。空気圧縮機10は、地上に置く構造と、ベルトを介して作業者の体で支持する構造と、を含む。電動モータ12に電力を供給する電源は、直流電源または交流電源の何れでもよい。直流電源は、ケーシング11に着脱可能な電池パックを含む。
さらに、第1エアホース63に必要量以上の圧縮空気を貯留しないため、空気圧縮機10の寿命が向上する。また、空気の圧縮に要する時間短縮でき、作業効率が向上する。
ここで、実施の形態で説明した構成の意味を説明すると、電動モータ12はモータであり、第1エアホース63は蓄圧部に相当し、中間ハブ61は中継部に相当し、打込機16は作業機に相当し、リークバルブ70は排出機構に相当し、調圧器15は減圧機に相当する。リリーフバルブ68の上限圧は、最大圧力として把握可能である。制御部81は、第1制御部、第2制御部、第3制御部及び圧力設定部に相当し、圧力センサ77及び制御部81は、第1検出部、第2検出部、第3制御部、第4制御部及び第5制御部に相当し、アンロードバルブ59はアンロード機構に相当する。
上記実施形態の変形例として、打込機16の使用可及び使用不可の確認は、図4に示すように、制御部81に打込機16の使用可及び使用不可の情報を送信する送信機102、打込機16に制御部81からの打込機16の使用可及び使用不可の情報を受信する受信機103及び、制御部81からの打込機16の使用可及び使用不可の情報を打込機16に表示する表示部104を設けることで、空気圧縮機10からの打込機16の使用可及び使用不可の情報を打込機16でも確認可能としても良い。
以下変形例について詳細に説明する。変形例に係る空気圧縮機及び打込機の基本構成は、本実施形態に係る空気圧縮機10及び打込機16と共通である。変形例における空気圧縮機10は、ケーシング11内に制御部81を備え、制御部81は、通気路62の実際の空気圧に応じて、打込機16の使用可及び使用不可の情報を外部に送信する送信機102が設けられている。また打込機16には、制御部81からの打込機16の使用可及び使用不可の情報を受信する受信機103と、使用可及び使用不可の情報を表示する表示部104が設けられている。
制御部81は、通気路62の実際の空気圧が第3目標圧力P1を超えていると、送信機102から打込機16に設けられた受信機103に打込機16が使用可である情報を送信し、打込機16に設けられた表示部104で“打込機16の使用可“の表示を行う。制御部81は、通気路62の実際の空気圧が第3目標圧力P1を以下であると、送信機102から打込機16に設けられた受信機103に打込機16が使用可である情報を送信し、打込機16に設けられた表示部104で“打込機16の使用不可“の表示を行う。変形例におけるその他の動作は、実施形態と共通であるため説明は省略する。
空気圧縮機は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、リークバルブ70としてソレノイドバルブを用い、コントローラ82がリークバルブ70を制御する構成を採用可能である。この構成を採用すると、作業者がスイッチ79をオフした場合に、コントローラ82がリークバルブ70を動作させ、ポート72を所定時間開いて閉じる制御を行い、ポート72から空気及び水を排出することが可能である。リークバルブ70の全部がケーシング11内に位置するレイアウトを採用可能である。この場合、ケーシング11に開口部74は設けなくてもよい。
また、中間ハブ61は、ケーシング11の正面視で、シリンダ34と底板22との間に配置することも可能である。リークバルブは、バルブステム及びバネを有する変更例でもよい。変更例のリークバルブは、バルブステムに作業者の操作力が加えられていない場合は、ポートを閉じる。変更例のリークバルブは、バルブステムに作業者の操作力が加えられると、バネの力に抗してバルブステムが移動し、ポートを閉じる。
操作部78は、側壁20または側壁21、あるいは、天板17に設けられていてもよい。アンロードバルブは、バルブステム及びバネを有する変更例でもよい。変更例のアンロードバルブは、バルブステムに作業者の操作力が加えられていない場合は、空気抜き通路を閉じる。変更例のアンロードバルブは、バルブステムに作業者の操作力が加えられると、バネの力に抗してバルブステムが移動し、空気抜き通路を閉じる。つまり、作業者は、アンロードバルブを手動で操作し、圧縮室48の空気を抜くことができる。調圧器15は、ケーシング11の外部、またはケーシング11の内部の何れに設けられていてもよい。ピストンを動作させるモータは、電動モータの他、油圧モータ、空気圧モータ、内燃機関を含む。