JP4626120B2 - 空気圧縮機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は空気圧縮機に係り、特に工事現場などの配線が長くなる場所で使用される空気圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、建築現場などでは、圧縮空気の圧力で釘を木材などに打ち込む釘打ち機を使用している。このように、屋外で使用される釘打ち機は、搬送可能な空気圧縮機で生成された圧縮空気を供給されて釘装填部に装填された釘を空気圧力で打ち込むように構成されている。
【0003】
この種の空気圧縮機は、空気を吸い込んで圧縮するピストン・シリンダ部(空気圧縮部)と、ピストンを駆動するモータ(駆動部)と、ピストン・シリンダ部及びモータを覆うカバーと、圧縮空気を貯留するタンクとを備えてなる。
【0004】
また、空気圧縮機に搭載された制御部は、タンクの圧力を監視しており、タンク内の圧力が上限圧力値に達するまでモータを駆動させて圧縮空気をタンクに充填し、タンク内の圧力が上限圧力値に達すると、モータを一時的に停止させ、タンク内の圧力が下限圧力値に低下すると、再びモータを起動させてタンクへ圧縮空気を充填する。
【0005】
また、建築現場では、コンセントの数が限られており、延長コードを使用して釘打機を使用場所での電源を確保している。ところが、コンセントの位置から釘打機の使用場所までの距離が長い場合には、複数の延長コードを直列に接続する等して配線が長くなる場合もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、延長コードには、釘打機以外にも他の電動工具(例えば、電動ドリルや電動ノコギリなど)が接続される場合がある。このように、延長コードに複数の電動工具のコードが接続された状態で同時に使用されると、各電動工具及び空気圧縮機へ供給される電圧が低下することがある。
【0007】
その場合、空気圧縮機では、モータやピストン・シリンダ部を冷却するためのファンが内部で回転しているため、電圧低下が生じてモータの回転数が下がったり、あるいはモータがトルク不足で停止してしまうと、ファンの回転数も減速されて十分な冷却効果が得られず、モータやピストン・シリンダ部の温度が上昇して寿命が短くなるという問題も生じる。
【0008】
このような問題を解消する手段としては、電圧が所定値以下に低下した場合、電源スイッチをオフ状態に切り替えて停止状態とすることでモータにかかる負荷を取り除くことが考えられている。
【0009】
しかしながら、作業者は、釘打機を使用しているときに、空気圧縮機のモータが停止してしまうと、空気圧縮機が故障したものと勘違いして製造メーカに修理を依頼してしまい、製造メーカのメンテナンス要員が修理に来ても何ら異常がないことが分かり、そのメンテナンス要員の移動及び点検作業が無駄になるという問題があった。
【0010】
また、モータの回転数が遅い分、通常よりもタンク内に圧力が溜まるのに時間がかかり、作業者が故障と間違えてしまうという問題もあった。
【0011】
そこで、本発明は上記課題を解決した空気圧縮機を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような特徴を有する。
本発明は、空気を吸い込んで圧縮する空気圧縮部と、該空気圧縮部を駆動するモータと、前記空気圧縮部により生成された圧縮空気を貯留するタンクと、を備えた空気圧縮機において、前記モータの回転数を検出する回転検出手段と、前記回転検出手段により検出された回転数が予め設定された第一の所定回転数以下に減速したとき、前記モータに供給される電圧値が低下したと判定し、操作パネル上の表示により電圧低下が生じたことを警告し、前記モータに供給される電圧値が低下して前記モータがさらに減速し、停止した場合にアラームによりモータの停止を警告する報知手段と、前記モータが停止した場合に前記モータへの通電を停止する制御部と、を備えたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明の一実施例について説明する。
図1は本発明になる空気圧縮機の一実施例を示す斜視図である。図2はカバー22を外した状態を示す斜視図である。図3は空気圧縮機の側面図である。図4は空気圧縮機の平面図である。図5は空気圧縮機の正面図である。図6は空気圧縮機の背面図である。
【0014】
図1乃至図6に示されるように、空気圧縮機10は、例えば、建築現場などの屋外において、空圧式の釘打ち機(図示せず)に圧縮空気を供給するように構成された小型コンプレッサである。
【0015】
また、空気圧縮機10は、フレーム12に円筒形状に形成された一対のタンク14,16が平行に支持されており、タンク14,16の上部には圧縮空気を生成する空気圧縮部18と、空気圧縮部18を駆動する駆動部20とが搭載されている。さらに、タンク14,16の上部には、空気圧縮部18及び駆動部20を覆うように一体成型された樹脂製のカバー22が取り付けられている。
【0016】
また、タンク14,16の両端下部には、脚部24〜27が設けられている。さらに、フレーム12の両端部には、コ字状に形成された把持部28,30が固着されている。空気圧縮機10は、把持部28,30を把持されて搬送される。
【0017】
また、空気圧縮機10は、空気圧縮部18の両側に空気吐出部32,34が設けられている。空気吐出部32,34は、タンク14,16の取り出し管路(図示せず)に接続された圧力調整弁36,38と、圧力調整弁36,38により調整された吐出圧力値を表示する圧力計40,42と、圧力調整弁36,38により調整された圧力の圧縮空気を吐出する吐出口44〜47とを有する。
【0018】
圧力調整弁36,38は、ハンドル36a,38aが回わされて吐出圧力を調整する。また、吐出口44〜47は、釘打ち機に接続されたホース(図示せず)が接続されるクイックカプラが設けられている。
【0019】
さらに、カバー22の上部には、操作パネル48が設けられている。この操作パネル48には、電源スイッチ及び各種表示ランプが設けられているが、物が置かれても電源オフにならないようにカバー22の凹部23内に設けられている。
【0020】
図2に示されるように、カバー22は、着脱自在に取り付けられており、空気圧縮部18及び駆動部20のメンテナンス時にはフレーム12から外される。このように、カバー22が外されると、タンク14,16の上部に設けられた空気圧縮部18及び駆動部20の他に圧力調整弁36,38、圧力計40,42、吐出口44〜47が露出された状態になる。
【0021】
ここで、圧縮部18及び駆動部20の構成について説明する。
図7は圧縮部18及び駆動部20の内部構成を示す横断面図である。
【0022】
図7に示されるように、圧縮部18は、ケーシング60の両側に配置されたピストン・シリンダ機構62,64を有する。このピストン・シリンダ機構62,64は、180°異なる向きに形成されている。
【0023】
ピストン・シリンダ機構62,64は、ピストン62a,64aと、シリンダ62b,64bと、連接棒62c,64cと、シリンダヘッド62d,64dとを有する。尚、図7において、ピストン64aは、隠れて見えない。
【0024】
また、ケーシング60は、圧縮部18の回転部分を収納する第1の部屋60aと、圧縮用空気の導入経路に設けられたフィルタ66を収納する第2の部屋60bと、駆動部20のモータ68を収納する第3の部屋60cとを有する。
【0025】
モータ68は、ロータの回転速度(回転数)を検出するための回転検出センサを必要とするモータであり、例えば、直流ブラシレスモータ(DCBLモータ)、あるいはスイッチリラクタンスモータ(SRモータ)、あるいはシンクロナスリラクタンスモータなどインバータ制御により駆動されるモータ等から構成されている。
【0026】
この圧縮部18は、2段圧縮方式で空気を高圧に圧縮しており、第1段のピストン・シリンダ機構62で空気導入口22mから導入された空気を圧縮した後、第2段のピストン・シリンダ機構64でさらに圧縮してタンク14,16に貯留する。尚、タンク14,16は、互いに連通されているので、同じ圧力に保持されている。
【0027】
また、第1段のピストン・シリンダ機構62と第2段のピストン・シリンダ機構64との間は、連通管(図示せず)を介して接続されている。
【0028】
連接棒62c,64cは、一端がピストン62a,64aと一体に形成されており、他端が軸受70,72を介して回転軸74に支持されている。この回転軸74は、ケーシング60の隔壁60dに保持された軸受76と、モータカバー79の内部に保持された軸受78とにより回転自在に軸承されている。
【0029】
回転軸74の一端74aには、圧縮用空気を第1の空気導入口22mから吸い込むための第1のファン(羽根車)80が固着されている。また、回転軸74の他端74bには、モータ冷却用の空気を空気導入口22nから吸い込むための第2のファン(羽根車)82が固着されている。
【0030】
第1のファン80により空気導入口22mから吸い込まれた空気は、ケーシング60及びピストン・シリンダ機構62,64の表面に吹き付けられて冷却すると共に、その一部がフィルタ66を通過してろ過された後に第1段のシリンダ62bで圧縮された後、第2段のシリンダ64bに供給されて更に圧縮される。
【0031】
また、第2のファン82は、モータカバー79の入り口79aに設けられており、モータ68を冷却するための空気を吸い込んでモータ68の周囲に送風する。モータ68は、回転軸74に固定されたマグネット(ロータ)68aと、マグネット68aの外周に配置されたステータ68bと、ステータ68bの内部に巻回されたコイル68cから構成されている。このモータ68は、小型化及び軽量化されており、回転軸74を介してピストン62a,64aを往復動させると共に、ファン80,82を回転駆動する。
【0032】
また、駆動部20は、円筒状のモータカバー78の内部にファン82とモータ68が収納されているので、このファン82の回転によって空気導入口22nから外部の空気を吸い込み、モータカバー79の内部を通過して複数の排気孔22sから排気される。モータカバー79の内部では、図8中矢印で示すように、ファン82の回転によって生じた空気流の流速が高まり、この空気流がモータ68の発熱を効率良く奪ってモータ68を冷却される。
【0033】
ここで、操作パネル48の構成について説明する。
図8は操作パネル48の構成を示す平面図である。
図8に示されるように、操作パネル48は、電源ONスイッチ90と、電源OFFスイッチ92と、タンク14,16内の圧力変化を6段階(0.5MPaずつ0.5MPa〜3.0MPa)に表示する圧力表示用赤色LED88〜88(▲1▼〜▲6▼)と、通電の有無を表示する通電表示用赤色LED88(▲7▼)と、運転状態を表示する運転状態表示用緑色LED88(▲8▼)とで構成されている。
【0034】
電源ONスイッチ90及び電源OFFスイッチ92は、押圧操作されたときにオフからオンに切り替わるメンブレンスイッチからなり、押圧操作されない状態では、オフのままである。
【0035】
上記LED88〜88(▲1▼〜▲8▼)は、操作パネル48の下方に配置された基板(図示せず)上に半田付けされた発光ダイオードからなり、操作パネル48には、長方形状のレンズが露出されている。尚、赤色LED88〜88(▲1▼〜▲6▼)は、タンク14,16内の圧力変化に応じて段階的に点灯または消灯されるため、点灯数によってタンク14,16内の圧力値を表示する。
【0036】
また、圧力表示用赤色LED88〜88(▲1▼〜▲6▼)は、一斉に点滅することで電圧低下によりモータ68が停止したことを表示する報知手段としても機能する。
【0037】
また、圧力表示用赤色LED88〜88(▲1▼〜▲6▼)は、一斉に点滅することで電圧低下によりモータ68が停止したことを表示する報知手段としても機能する。また、通電表示用赤色LED88(▲7▼)及び運転状態表示用緑色LED88(▲8▼)は、温度上昇によりモータ68が停止したことを表示する報知手段としても機能する。
【0038】
図9は空気圧縮機10に設けられた各電気系統の構成を示すブロック図である。
図9に示されるように、空気圧縮機10の制御部94には、上記LED88〜88(▲1▼〜▲8▼)、モータ68、電源ONスイッチ90、電源OFFスイッチ92の他に圧力センサ98、温度センサ100、モータ回転検出センサ(回転検出手段)102と接続されている。
【0039】
圧力センサ98は、タンク14,16内の圧力を検出するための圧力検出手段であり、圧力の変化に応じた信号(電圧)を出力するように構成されている。また、温度センサ100は、モータ68に設けられており、モータ68の温度が設定された温度に達すると信号を出力する。
【0040】
制御部94には、後述するように圧力センサ98により検出された圧力値に応じたモータ68のオン・オフ制御を行う制御と、モータ68の回転数をモータ回転検出センサ102により検出された回転数が予め設定された所定値以下に減速されたとき、モータ68に供給される電圧値が低下したことを判別する制御(低電圧判別手段)と、モータ68に供給される電圧値が低下したものと判別されたとき、低電圧状態であることを報知する制御(報知手段)とを行う。
【0041】
図10(A)〜(H)はタンク内圧力変化及び圧力表示用赤色LED88〜88(▲1▼〜▲6▼)及びモータ68の制御動作例を示すタイミングチャートである。尚、本実施例では、タンク14,16に充填される圧力の上限圧力値を3.0MPaとし、モータ68の再起動を行うタンク圧力の下限圧力値を2.5MPaとする。
図10(A)に示されるように、空気圧縮機10の運転開始(時間T1)によりタンク14,16内の圧力が徐々に上昇し、タンク14,16内の圧力が予め設定された上限圧力3.0MPaに達すると(時間T7)、図10(H)に示されるように、モータ68がオフ(待機状態)になり、その間にタンク14,16内の圧縮空気が釘打機(図示せず)等により消費されてタンク圧力が降下する。
【0042】
そして、図10(A)に示されるように、タンク14,16内の圧力が予め設定された下限圧力2.5MPaに低下すると(時間T8)、図10(H)に示されるように、モータ68の運転が再開されてタンク14,16への圧縮空気の供給が行われる。これにより、タンク14,16内の圧力は、圧縮空気の供給に伴って徐々に上昇する。
【0043】
その後、タンク14,16内の圧力が上限圧力3.0MPaに上昇すると(時間T9)、モータ68が再び停止して待機状態になる。このように、空気圧縮機10は、通常の運転モードにおいて、圧縮運転状態と待機状態とが交互に行われる。
【0044】
図10(B)に示されるように、圧力表示用赤色LED88(▲1▼)は、圧力センサ98により検出された圧力値が第1段圧力0.5MPaに達すると(時間T2)、点灯してタンク14,16内の圧力値が0.5MPaに達したことを表示する。
【0045】
図10(C)に示されるように、圧力表示用赤色LED88(▲2▼)は、圧力センサ98により検出された圧力値が第2段圧力1.0MPaに達すると(時間T3)、点灯してタンク14,16内の圧力値が1.0MPaに達したことを表示する。
【0046】
図10(D)に示されるように、圧力表示用赤色LED88(▲3▼)は、圧力センサ98により検出された圧力値が第3段圧力1.5MPaに達すると(時間T4)、点灯してタンク14,16内の圧力値が1.5MPaに達したことを表示する。
【0047】
図10(E)に示されるように、圧力表示用赤色LED88(▲4▼)は、圧力センサ98により検出された圧力値が第4段圧力2.0MPaに達すると(時間T5)、点灯してタンク14,16内の圧力値が2.0MPaに達したことを表示する。
【0048】
図10(F)に示されるように、圧力表示用赤色LED88(▲5▼)は、圧力センサ98により検出された圧力値が第5段圧力2.5MPaに達すると(時間T6)、点灯してタンク14,16内の圧力値が2.5MPaに達したことを表示する。
【0049】
図10(G)に示されるように、圧力表示用赤色LED88(▲6▼)は、圧力センサ98により検出された圧力値が第6段圧力3.0MPaに達すると(時間T7)、点灯してタンク14,16内の圧力値が3.0MPaに達したことを表示する。また、圧力表示用赤色LED88(▲6▼)は、圧力センサ98により検出された圧力値が2.5MPa以下に低下すると(時間T8)、消灯してタンク14,16内の圧力値が第5段圧力2.5MPaに低下したことを表示する。
【0050】
さらに、圧力表示用赤色LED88(▲6▼)は、モータ68のオン・オフに連動しており、タンク14,16内の圧力が第6段圧力3.0MPa(時間T9)に達してモータ68の運転が停止されると共に、点灯する。また、圧力表示用赤色LED88(▲6▼)は、タンク14,16内の圧力が第5段圧力2.5MPa以下に低下してモータ68の運転が再開されると共に、消灯する。
【0051】
このように、圧力表示用赤色LED88(▲6▼)をモータ68のオン・オフに連動して消灯または点灯させるため、モータ68のオン・オフを作業者は、視覚で確認でき、故障してモータ68が停止したのではないことを一目で分かるようにした。また、タンク圧力が上限圧力値3.0MPa付近で温度変化等により変動したとしてもモータ68の運転が再開されるまで圧力表示用赤色LED88(▲6▼)が点灯した状態が継続されるので、圧力表示用赤色LED88(▲6▼)の表示が安定することになり、作業者に安心感を与えることが可能になる。
【0052】
図11(A)(B)はモータ68の特性の一例を示すグラフである。
図11(A)に示されるように、本実施例のモータ68は、例えば、無負荷状態であれば100Vの電圧が印加されると、2400rpmで回転する性能を有している。そして、タンク14,16の圧力が上昇するのに連れて負荷が次第に増大するため、電流一定で入力電圧を一定に制御した状態でタンク14,16の圧力が3MPaに達したときには、モータ68の回転数は2000rpmに下がっている。
【0053】
図11(B)に示されるように、モータ68は、タンク14,16の圧力が3MPaであるときに、印加電圧が100Vであるときは、2000rpmで回転している。また、モータ68は、タンク14,16の圧力が3MPaであるときに、印加電圧が65Vまで下がると、回転数は1000rpmに下がってしまう。但し、この回転数と電圧との関係は、一例であり、モータ出力やタンク圧力などの条件によって変化するのは言うまでもない。
【0054】
このことから、モータ68への印加電圧は、80V〜100Vであれば回転数1500rpm以上でモータ68がピストン・シリンダ機構62,64を駆動することが可能になる。従って、空気圧縮機10は、モータ68への印加電圧が65V以下に低下した場合には、回転数は1500rpm以下に下がってピストン・シリンダ機構62,64の負荷が相対的に増大して圧縮空気の生成量が低下するばかりか、モータ68、ピストン・シリンダ機構62,64を冷却するためのファン80,84の回転数が減速して冷却効率が大きく低下することになる。その場合、モータ68やピストン・シリンダ機構62,64の温度上昇が問題になる。
【0055】
尚、上記請求項1に記載された所定値とは、警告を行うモータ68の回転数の所定値(1500rpm)であり、且つ、定常回転数よりも小さい値であり、タンク内圧力が高くて負荷が大きい場合においても定常ではない値を所定値と設定する。
【0056】
また、上記図11(B)に示す停止値とは、負荷が小さい場合においてもモータ68が回転することができない状況となる所定値(1000rpm)と設定する。
【0057】
ここで、低電圧時に制御部94が実行するモータ制御処理について説明する。
図12は低電圧時に制御部94が実行するモータ制御処理を示すフローチャートである。
図12において、制御部94は、ステップS11(以下「ステップ」を省略する)で空気圧縮機10の電源コード(図示せず)のプラグがAC100Vのコンセントに差し込まれた後、電源ONスイッチ90がオンに操作されると、S12に進み、モータ68への通電を開始してピストン・シリンダ機構62,64による圧縮運転を開始させる。
【0058】
次のS13では、モータ回転検出センサ102により検出されたモータ68の回転数Nが予め設定された所定値Na(例えば、Na=1500rpm)以下に減速されたかどうかをチェックする(低電圧判別手段)。S13において、モータ68の回転数Nが予め設定された所定値Na以下でないときは、S14に進み、後述する警告処理を停止させる。
【0059】
そして、S15では、タンク14,16内の圧力変化に応じて赤色LED88〜88(▲1▼〜▲6▼)を段階的に点灯または消灯し、LED点灯数によってタンク14,16内の圧力値を表示する。その後、S12に戻り、S12以降の処理を行う。
【0060】
また、上記S13において、モータ68の回転数Nが予め設定された所定値Na以下(第一の所定回転数以下)であるときは、例えば、延長コードに接続された複数の電動工具が同時に使用されて電圧が70V以下に低下したものと判断してS16に進み、電圧低下が生じたことを警告する(報知手段)。本実施例の警告方法としては、例えば、6個の赤色LED88〜88((1)〜(6))を一斉に点滅させてモータ68が電圧低下により停止状態であることを報知する。また、低電圧によりモータ68を停止させて警告する際、圧力表示用赤色LED88〜88((1)〜(6))を一斉に点滅する代わりに、他のLEDを点滅させても良いし、あるいは、アラームで報知するようにしても良い。
【0061】
次のS17では、モータ68の回転速度VがV=0となり、モータ68が停止したかどうかをチェックする。S17において、モータ68が電圧低下したことでピストン・シリンダ機構62,64の負荷により停止した場合、S18に進み、モータ68への通電をオフにしてモータ68が過熱することを防止する。
【0062】
また、S17において、モータ68の回転速度VがV>0であるときは、上記S13に戻り、S13以降の処理を繰り返す。尚、上記制御処理において、作業者が、電源OFFスイッチ92をオンに操作したときは、電源オフの割り込み処理が優先して実行され、電圧低下の警告をオフにした後、モータ68への通電を停止させる。
【0063】
これにより、空気圧縮機10は、モータ68への印加電圧が、例えば圧力3MPa時に80V以下に低下した場合には、前述したようにピストン・シリンダ機構62,64の負荷が相対的に増大してモータ68、ピストン・シリンダ機構62,64を冷却するためのファン80,84の回転数が減速して冷却効率が大きく低下するので、モータ68を停止させることで、モータ68やピストン・シリンダ機構62,64の温度上昇を防止できる。
【0064】
本実施例では、モータ68の回転数Nの減速により低電圧を検出するため、電圧変化を検出するための回路が不要であり、その分電気回路の構成を簡略化することが可能になっている。
【0065】
このように、モータ68の回転数Nが予め設定された所定値Na以下であるときは、圧力3MPaで80V以下に低下したものと判断して警告を発することにより、作業者に空気圧縮機10の運転状況を報知することが可能になり、作業員がモータ68の停止理由が分からずに、故障と思い込んで修理を製造メーカに依頼することを防止して、必要の無いメンテナンス作業の増加を防止できる。
【0066】
さらに、上記のようにモータ68の回転数Nが所定値Na以下であるときに警告を発することにより、モータ68の回転数が遅い分、通常よりもタンク内に圧力が溜まるのに時間がかかり、作業者が故障と間違えてしまうことも防止できる。
【0067】
尚、上記実施例では、ピストン・シリンダ機構62,64により2段圧縮する構成を一例として挙げたが、これに限らず、ピストン・シリンダ機構を一つあるいは3つ以上設けた構成のものでも良い。
【0068】
また、上記実施例では、一対のタンク14,16を有する構成を一例として挙げたが、これに限らず、タンクを一つあるいは3つ以上設けた構成のものでも良い。
【0069】
【発明の効果】
上述の如く、本発明によれば、空気を吸い込んで圧縮する空気圧縮部と、該空気圧縮部を駆動するモータと、前記空気圧縮部により生成された圧縮空気を貯留するタンクと、を備えた空気圧縮機において、前記モータの回転数を検出する回転検出手段と、前記回転検出手段により検出された回転数が予め設定された第一の所定回転数以下に減速したとき、前記モータに供給される電圧値が低下したと判定し、操作パネル上の表示により電圧低下が生じたことを警告し、前記モータに供給される電圧値が低下して前記モータがさらに減速し、停止した場合にアラームによりモータの停止を警告する報知手段と、前記モータが停止した場合に前記モータへの通電を停止する制御部と、を備えたものであり、例えば他の電動工具が同時に使用された場合等、一時的に低電圧状態になっていることを作業者に警告を報知しながらモータの運転を持続することが可能となる。また、モータの回転数Nの減速により低電圧を検出するため、電圧変化を検出するための回路が不要であり、その分電気回路の構成を簡略化することができる。
【0070】
また、モータがさらに減速し、停止した場合に前記モータへの通電を停止するため、モータの過熱を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる空気圧縮機の一実施例を示す斜視図である。
【図2】空気圧縮機のカバー22を外した状態を示す斜視図である。
【図3】空気圧縮機の側面図である。
【図4】空気圧縮機の平面図である。
【図5】空気圧縮機の正面図である。
【図6】空気圧縮機の背面図である。
【図7】圧縮部18及び駆動部20の内部構成を示す横断面図である。
【図8】操作パネル48の構成を示す平面図である。
【図9】空気圧縮機10に設けられた各電気系統の構成を示すブロック図である。
【図10】タンク内圧力変化及び圧力表示用赤色LED88〜88(▲1▼〜▲6▼)及びモータ68の制御動作例を示すタイミングチャートである。
【図11】モータ68の特性の一例を示すグラフである。
【図12】低電圧時に制御部94が実行するモータ制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 空気圧縮機
12 フレーム
14,16 タンク
18 空気圧縮部
20 駆動部
22 カバー
24〜27 脚部
28,30 把持部
32,34 空気吐出部
36,38 圧力調整弁
40,42 圧力計
44〜47 吐出口
48 操作パネル
60 ケーシング
62,64 ピストン・シリンダ機構
66 フィルタ
68 モータ
79 モータカバー
80 第1のファン
82 第2のファン
88〜88 圧力表示用赤色LED
88 通電表示用赤色LED
88 運転状態表示用緑色LED
90 電源ONスイッチ
92 電源OFFスイッチ
94 制御部
98 圧力センサ
100 温度センサ
102 モータ回転センサ(回転検出手段)

Claims (1)

  1. 空気を吸い込んで圧縮する空気圧縮部と、
    該空気圧縮部を駆動するモータと、
    前記空気圧縮部により生成された圧縮空気を貯留するタンクと、
    を備えた空気圧縮機において、
    前記モータの回転数を検出する回転検出手段と、
    前記回転検出手段により検出された回転数が予め設定された第一の所定回転数以下に減速したとき、前記モータに供給される電圧値が低下したと判定し、操作パネル上の表示により電圧低下が生じたことを警告し、前記モータに供給される電圧値が低下して前記モータがさらに減速し、停止した場合にアラームによりモータの停止を警告する報知手段と、
    前記モータが停止した場合に前記モータへの通電を停止する制御部と、
    を備えたことを特徴とする空気圧縮機。
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