JP6706928B2 - 自動車外装・外板用樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は耐熱性に優れ、耐衝撃の改良された芳香族ポリカーボネート/芳香族ポリエステルに基づく熱可塑性樹脂組成物に関し、さらに温度による成形体の寸法変化が抑制され、湿度による成形体の寸法変化も小さい自動車外装・外板用熱可塑性樹脂組成物に関する。
近年、エネルギー問題や環境問題に起因して、自動車にはエネルギー使用効率の大幅な改善が求められている。軽量化によりその達成に寄与するために、金属製部品の樹脂化の要求が非常に大きくなっている。
また大型の自動車外装・外板に使用される金属板は通常プレス加工により形状付与されるが、意匠性や空力特性の必要性の高まりなどの理由から、プレス加工では困難な複雑な形状付与の要求が高まりつつある。この場合にも、複雑な形状に成形加工できる樹脂へと素材の置換えが求められる。生産性や加工時のエネルギー使用量低減の観点から、時間効率的な生産が必要であり、特に近年、熱可塑性樹脂への置換え要求が高まっている。
従来、自動車用部材に用いる熱可塑性樹脂組成物としては、(耐熱)アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、芳香族ポリカーボネート樹脂(PC)とABS樹脂のアロイ(PC/ABS)、あるいはタルク・ガラス繊維などが充填されたポリプロピレン樹脂(PP)などをベースとした樹脂組成物が知られている。これらは安価であり、かつ低温環境で良好な耐衝撃性を有するなど、有用に用いられてきた。しかしながら金属を代替するには剛性が不十分である場合が多く、実使用中に部材にかかる荷重などに起因した変形を防ぐために、製品の肉厚を厚くとる必要があった。またスポイラーの水平面など厳しい太陽光照射に曝される用途では、部材温度が上昇したときに変形する場合があるなどで、使用に適さない場合があった。
そこで、適切な剛性を有し、また厳しい太陽光照射下で部材温度が上昇しても変形しない十分な耐熱性がある材料として、PCとポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)やポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)などの芳香族ポリエステル樹脂とのアロイが提案されている。中でも成形時の反りが抑制され大型製品を得やすいことから、PC/PETアロイをベースとした樹脂組成物が提案されている(特許文献1〜3)。ここで、前記PC/PET系樹脂組成物からなる大型成形体を金属製の自動車本体に組み付けて使用した場合、金属と前記PC/PET系樹脂組成物の温度による線膨張係数(熱線膨張係数)の差異に起因して、歪みが生じたり、高温で膨張した前記成形体が金属部と接触して傷つく場合があった。その回避のために、隙間を大きくとるなどデザインに制約が出る場合があった。このような課題を解消し、かつ薄肉の成形体を実現して軽量化を推進すべく、PC・PET・鉱物系フィラー・ビスオール変性PETからなる樹脂組成物が提案されている(特許文献4)。この樹脂組成物からなる成形体は熱線膨張係数が低く抑えられ、薄肉化により軽量化されている一方で、剛性は十分に有し、実使用環境での荷重や熱による変形にも優れた耐性を有する。しかしながら、当該成形体からなる部品に塗装を施して使用する場合には、かかる樹脂組成物の耐熱温度が120〜130℃程度であり、自動車本体(金属製の板金など)の中塗り・クリア塗装工程に用いられるメラミン樹脂塗料や酸エポキシ樹脂塗料に適用される140℃以上に至る焼付温度では、成形体の変形を抑制することが難しい。そのため120℃以下の低温での焼付処理が可能な別の塗料と別工程を用いて、塗装する必要があった。この場合には、自動車本体と当該成形体からなる部品の塗装システムが異なるために、これらの間に発生する微妙な色合い差を埋めるための困難な調整が必要となった。また、初期の色合いの調整は良好でも、自動車本体と当該成形体からなる部品のそれぞれの耐候変色挙動が異なることが問題となる場合があった。
特許文献5および6には、ポリアミド樹脂(PA)・ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE)のアロイ(PA/PPE)をベースとし、これにポリスチレン(PSt)とゴムを配合して衝撃強度を高めたり、針状フィラーを配合して熱線膨張係数を低く抑えるなどした樹脂組成物が開示されている。これらの樹脂組成物は耐熱温度が高く、その成形体は140℃以上の高温下での熱変形が抑制されている。そのため、これら樹脂組成物の成形体を、電着塗装が完了した金属製の自動車本体にあらかじめ組み付けて一体化した後、自動車本体用塗料を塗布して焼付処理を行う方法が提案されている(いわゆるインライン塗装)。またはインライン塗装が困難であっても、自動車本体用塗料を別工程で塗装する方法が提案されている(いわゆるオフライン塗装)。前記2種類の塗装方法では、樹脂製の部品と自動車本体に用いられる塗装システムが一致するので、初期の色合い差のみならず、耐候変色による色調差の拡大を解消することができる。だがここで、PAを主とするこれら樹脂組成物は、吸湿性が大きいことが課題となる場合があった。すなわち、東南アジアなど湿度の高い地域では吸湿による変形が課題となる場合があった。また吸湿による塗装中の不良発生や、アロイ中で連続相を形成するPAが結晶性樹脂であるため塗膜との密着性が不足し塗装後に不良が発生するなど、課題が生じる場合があった。
PA/PPEアロイ同様に耐熱温度を高め、一方で湿度変化に起因した前述のごとき不良の発生や、連続相を占める結晶性樹脂に起因した塗装不良などを解消する方法として、分子内に特定の脂環式構造を有する高耐熱ポリカーボネート樹脂・任意に前記高耐熱ポリカーボネート樹脂以外のポリカーボネート樹脂・PET・エラストマー性ポリマー・フィラーおよび/または強化材を用いた樹脂組成物が提案されている(特許文献7)。この樹脂組成物を成形して得られる部品は、前記PA/PPEの場合と同様に自動車本体用塗料を適用することを想定されたものである。使用すべき自動車本体用塗料の詳細については特許文献7には明記されていないが、得られた部品は、インライン塗装を経てもその表面平滑性を良好に維持でき、外観に優れた塗装面を得ることができるとしている。しかしながら、本発明者らが検討する中で、メラミン樹脂塗料や酸エポキシ樹脂塗料などの焼付工程で140℃以上の高温環境中に数十分間保持される間に、成形品の耐衝撃強度が著しく低下する問題に直面した。
特開2011−231280号公報 特開2010−222393号公報 特開2002−121373号公報 特開2010−254739号公報 特開平6−287446号公報 特開平5−179135号公報 特表2004−526848号公報
本発明は、自動車本体の金属部位との塗装外観と耐候変色の一貫性を保つことが可能な樹脂成形体を作製すべく、140℃以上の高温焼付が必要な自動車本体用塗料を適用可能なレベルの耐熱性を有し、塗装後も良好な表面性を維持し、塗装焼付による耐衝撃強度低下が小さく、熱や湿分による線膨張性が抑制され、剛性・耐薬品性・塗膜密着性に優れ、軽量かつデザイン自由度の高い、加工性に優れた自動車外装・外板部材用の樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため、特許文献2に記載の樹脂組成物において、特に140℃以上の高温焼付により耐衝撃強度が著しく低下する課題について、鋭意調査を重ねた結果、前記高耐熱ポリカーボネート樹脂とそれ以外のポリカーボネート樹脂からなる連続相中に分散して存在するPET相の結晶化度が、塗装焼付後に大きく変化することに起因することを突き止めた。
そこで、本発明者らは、さらに鋭意検討を重ねた結果、結晶融解熱が特定値以下である非結晶性ポリエステルと、特定の荷重たわみ温度を有する高耐熱芳香族ポリカーボネート樹脂(HHPC)と、必要に応じて特定の荷重たわみ温度を有するHHPC以外の芳香族ポリカーボネート樹脂(PC)とのアロイをベースとすることで、塗装焼付後の芳香族ポリエステル相の結晶化度変化を抑えて耐衝撃強度低下を抑制することにより、前記課題を解決することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の樹脂組成物は、
[1](A)非結晶性ポリエステル樹脂、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂、(C)高耐熱芳香族ポリカーボネート樹脂からなる自動車外装・外板用樹脂組成物であって、(A)と(B)と(C)の合計量が100重量部であるのに対し、(A)が5〜82重量部であり、(B)と(C)の合計量が18〜95重量部であり、(B)/(C)の重量比が0/100〜75/25であり、(A)が、示差走査熱量計による熱分析で180〜300℃の範囲内に10J/g以上の結晶融解熱を有さず、ASTM D648に基づき測定した(B)の荷重たわみ温度(A法)が110℃以上145℃未満であり、(C)の荷重たわみ温度(A法)が145℃以上であることを特徴とする自動車外装・外板用樹脂組成物に関する。
[2]さらに、荷重たわみ温度(B法)が130℃以上である前記自動車外装・外板用樹脂組成物に関する。
[3]さらに、(A)非結晶性ポリエステル樹脂が、(a1)テレフタル酸70〜80モル%および(a2)テレフタル酸以外のジカルボン酸20〜30モル%
からなる(a)ジカルボン酸由来の単位と、(b1)エチレングリコール80〜100モル%および(b3)その他共重合可能なジオール0〜20モル%からなるジオール(b)由来の単位とを含む樹脂である前記自動車外装・外板用樹脂組成物に関する。
[4]さらに、(A)非結晶性ポリエステル樹脂が、(a1)テレフタル酸70〜80モル%および(a2)イソフタル酸20〜30モル%からなる(a)ジカルボン酸由来の単位と、(b1)エチレングリコール100モル%からなるジオール(b)由来の単位とを含む樹脂である前記自動車外装・外板用樹脂組成物に関する。
[5](A)非結晶性ポリエステル樹脂が、(a1)テレフタル酸80〜100モル%および(a2)テレフタル酸以外のジカルボン酸0〜20モル%からなる(a)ジカルボン酸由来の単位と、(b1)エチレングリコール60〜80モル%および(b2)炭素数3〜10の脂肪族ジオールまたは炭素数6〜21の脂環式ジオールからなる群より選ばれる1種以上のジオール20〜40モル%と、(b3)その他共重合可能なジオール0〜20モル%からなる(b)ジオール由来の単位とを含む樹脂である前記自動車外装・外板用樹脂組成物に関する。
[6](A)非結晶性ポリエステル樹脂が、(a1)テレフタル酸100モル%からなる(a)ジカルボン酸由来の単位と、(b1)エチレングリコール60〜80モル%、ならびに(b2)ネオペンチルグリコールまたはシクロヘキサンジメタノールからなる群より選ばれる1種以上のジオール20〜40モル%と、(b3)その他共重合可能なジオール0〜20モル%からなる(b)ジオール由来の単位とを含む樹脂である前記自動車外装・外板用樹脂組成物に関する。
[7]さらに(D)板状フィラー2.5〜50重量部を含む前記自動車外装・外板用樹脂組成物に関する。
本発明の樹脂組成物を用いることで、自動車本体の金属部位との塗装外観と耐候変色の一貫性を保つべく、140℃以上の高温焼付が必要な自動車本体用塗料を適用可能なレベルの耐熱性を有し、塗装後も良好な表面性を維持し、塗装焼付による耐衝撃強度低下が小さく、熱や湿分による線膨張性が抑制され、剛性・耐薬品性・塗膜密着性に優れ、軽量かつデザイン自由度の高い、加工性に優れた自動車外装・外板部材に好適な成形体を提供することができる。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではない。
本発明の樹脂組成物は、(A)非結晶性ポリエステル、(B)ASTM D648に基づき測定した荷重たわみ温度(エッジワイズ、以下、DTULという)(A法)が110℃以上140℃未満である芳香族ポリカーボネート、(C)DTUL(A法)が145℃以上である高耐熱芳香族ポリカーボネートからなる自動車外装・外板用樹脂組成物であって、
(A)非結晶性ポリエステルが、示差走査熱量計(DSC)による熱分析で180〜300℃の範囲内に10J/g以上の結晶融解熱(ΔHc)を有さないことを特徴とする。
本発明の樹脂組成物は、良好な耐熱性を有し、メラミン樹脂塗料や酸エポキシ樹脂塗料などの自動車本体用塗料の焼付時の熱変形を抑制するために、DTUL(B法)が130℃以上であることが好ましく、より好ましくは139℃以上であり、さらに好ましくは145℃以上である。さらに高温に至る電着塗装から実施する、いわゆるオンライン塗装に供する場合には、前記DTUL(B法)は、さらに170℃以上が好ましく、より好ましくは180℃以上である。上限は限定しないが、成形加工性の観点から、上限は好ましくは220℃であり、より好ましくは200℃であり、さらには190℃である。
本発明の樹脂組成物から得られる成形体と金属部品との熱線膨張係数差による変形対策として、自動車本体の金属部位との嵌合を過度に増やしたりすることなく、また、前記熱線膨張係数差による物理的干渉への対策として必要となる間隙を小さく抑え、意匠性を高めるために、本発明の樹脂組成物の線膨張係数が、6.5x10−5以下であることが好ましく、6.1x10−5以下であることがより好ましい。なお線膨張係数は、本発明の樹脂組成物をISO 20753に規定されるタイプA1ダンベルに加工し、切削加工により試験片を切り出して、成形加工時の溶融樹脂の流れ方向に平行な方向(MD)にてISO 11359−2に基づき測定したものである。なお本発明では、成形加工時の溶融樹脂の流れ方向に垂直な方向(TD)にて前記同様に測定した線膨張係数が、MDにて測定した線膨張係数の±0以上+1以内にあることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、自動車外装・外板部材に成形加工して用いるので、成形体や最終製品の製品剛性を確保するために、本発明の樹脂組成物の曲げ弾性率は、2900MPa以上とすることが好ましい。また、本発明の樹脂組成物は、所定の目的に応じて前記曲げ弾性率を調整することも可能である。例えば、軽量化を目的には製品剛性を維持しつつ成形体を3mmを下回る厚みにもできるよう、3500MPa以上が好ましく、特に厚みを1.5〜2.5mm程度に設定する場合には、4000MPa以上がより好ましく、5000MPa以上がさらに好ましい。本発明において曲げ弾性率は、ISO 178に基づき測定する。
以下では、本発明の配合成分につき説明するが、その使用量で用いる「重量部」とは、(A)非結晶性ポリエステル樹脂、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂および(C)高耐熱芳香族ポリカーボネート樹脂の合計量を100重量部としたときの重量部とした。
本発明の(A)非結晶性ポリエステル樹脂の使用量は、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性、耐薬品性、熱安定性、成型加工性の観点から、5〜82重量部が好ましい。
(A)の使用量の下限は、熱安定性や成形加工性の観点から、10重量部がさらに好ましく、20重量部がより好ましい。
(A)の使用量の上限は、耐衝撃性や耐熱性の観点から、50重量部がさらに好ましく、40重量部がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は(B)芳香族ポリカーボネート樹脂を含んでもよい。
(B)芳香族ポリカーボネート樹脂の使用量は、耐熱性と成型加工性、耐衝撃性のバランスの観点から、0〜50重量部が好ましい。
(B)の使用量の下限は、耐衝撃性と成形加工性の観点から、5重量部がさらに好ましく、10重量部がより好ましい。
(B)の使用量の上限は、耐熱性の観点から、40重量部がさらに好ましく、30重量部がより好ましい。
(C)高耐熱芳香族ポリカーボネート樹脂の使用量は、耐熱性と成型加工性、耐衝撃性のバランスの観点から、10〜90重量部が好ましい。
(C)の使用量の下限は、耐熱性を損なわないために、20重量部がさらに好ましく、30重量部がより好ましく、40重量部が特に好ましい。
(C)の使用量の上限は、耐衝撃性と成形加工性の観点から、80重量部がさらに好ましく、70重量部がより好ましく、60重量部が特に好ましい。
本発明の樹脂組成物において、耐熱性・耐衝撃性・流動性のバランスの観点から、(B)と(C)の合計量が18〜95重量部であり、(B)/(C)の重量比が0/100〜75/25に調整する。
(B)と(C)の合計量の下限は40重量部が好ましく、55重量部がより好ましく、また、上限は85重量部が好ましく、75重量部がより好ましい。
(B)/(C)の重量比の下限は、15/85が好ましく、25/75がより好ましく、35/65がさらに好ましく、また、上限は、75/25が好ましく、65/35がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、耐衝撃性と剛性、耐熱性、熱線膨張性、表面外観のバランスを良好とするために、(D)板状フィラーを含んでもよい。
(D)板状フィラーの使用量としては、2.5〜50重量部が好ましい。
(D)の使用量の下限は、熱線膨張係数を低く抑え、剛性、耐熱性を高めるために、4.5重量部がより好ましく、5.5重量部がさらに好ましく、6.5重量部以上がさらに好ましい。
(D)の使用量の上限は、耐衝撃性を低下させず、表面外観を良好とするために、34重量部がより好ましく、29重量部以下がさらに好ましく、24重量部以下がさらに好ましく、15重量部以下が特に好ましい。
本発明の樹脂組成物は、耐衝撃性、特に低温環境での耐衝撃性を改良するために、(E)エラストマーを含んでもよい。
(E)エラストマーの使用量は、耐衝撃性と耐熱性、熱線膨張のバランスを良好とするために、0.5〜10重量部が好ましい。
(E)の使用量の下限は、耐衝撃性の観点から、1重量部がより好ましく、3重量部がさらに好ましい。
(E)の使用量の上限は、耐熱性と熱線膨張性を悪化させないために、7重量部がより好ましく、5.5重量部がさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物は、原料に含まれる金属化合物によって生じる、機械物性の低下、成形加工時の熱安定性低下あるいは分解ガス発生などによる成形体の外観不良を抑制するために、金属化合物の補足剤として、(F)リン化合物を含んでもよい。
(F)リン化合物は、0〜2重量部が好ましい。
(F)の使用量の下限は、0.002重量部がより好ましく、0.01重量部がさらに好ましく、0.1重量部が特に好ましい。
(F)の使用量の上限は、成形体の外観不良を抑制するために、2重量部が好ましく、1重量部がより好ましく、0.5重量部がさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物は、ポリカーボネート系樹脂以外の(G)非晶性熱可塑性樹脂を0.5〜15重量部含んでもよい。
本発明の樹脂組成物に含まれるアンチモン元素(Sb)の濃度は、成形加工時の熱安定性を維持し、また成形体の機械物性の低下、耐熱性の低下を抑制するために、20ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましく、4ppm以下が特に好ましい。
本発明の樹脂組成物に含まれるゲルマニウム元素(Ge)の濃度は、成形加工時の熱安定性を維持し、また成形体の機械物性の低下、耐熱性の低下を抑制するために、200ppm以下が好ましく、100ppm以下がより好ましく、50ppmが特に好ましい。
<(A)非結晶性ポリエステル樹脂>
本発明で用いる(A)非結晶性ポリエステル樹脂は、示差走査熱量計(DSC)による熱分析で10℃/minの昇温速度条件で測定したときに、180〜300℃の範囲内に10J/g以上の結晶融解熱を有するピークが検知されないことを要件とする。DSCによる熱分析では、さらに、5J/g以上の結晶融解熱ピークが検知されないものが好ましく、2J/g以上の結晶融解熱ピークが検知されないものであることがより好ましい。
前記の条件でDSCによる熱分析をしたときに10J/g以上の結晶融解熱ピークが検知される場合、成形体の物性に影響を及ぼす程度の結晶性を有することになる。すなわち、得られた成形体に自動車本体用塗料を塗布し、通常130℃以上となる高温条件にて焼付工程に供する間に、樹脂組成物中で分散相をなす当該ポリエステル相の結晶化度が高まる。その結果、樹脂組成物の弾性率が高まり、さらにポリエステル相の比重が変化することに起因して、当該ポリエステル相と、(C)高耐熱芳香族ポリカーボネート樹脂および必要に応じて(B)芳香族ポリカーボネート樹脂により形成される連続相との界面周辺において、歪みや応力集中が発生する。これが成形体の耐衝撃性の低下を導く。これに対して、10J/g以上の結晶融解熱ピークが検知されないものであれば、結晶性は実質的に物性を与えない程度に低く、前述のようなポリエステル相の結晶化促進に起因した耐衝撃性低下をもたらさない。
本発明で用いる(A)非結晶性ポリエステル樹脂は、主鎖にエステル結合を有する重縮合体であり、ジカルボン酸単位とジオール単位の組み合わせに由来する構造を有するもの、あるいは1分子中に1以上のカルボン酸基と1以上の水酸基を併せ持つ化合物単位に由来する構造を有するもの、あるいはそれらの組み合わせが存在する。得られる樹脂組成物の耐熱性と熱安定性を良好にするために、前記ジカルボン酸が芳香族ジカルボン酸、および/または前記ジオールが芳香族ジオールである、あるいは芳香族環上の置換基として直接または炭化水素鎖などを介して1以上のカルボン酸と、同様に直接または炭化水素鎖などを介して1以上の水酸基が結合した芳香族化合物などを使用することができる。工業的に容易に入手できることから芳香族ジカルボン酸とジオールの重縮合体が好ましく用いられる。
芳香族ジカルボン酸の例としてはテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。芳香族環を含まないジカルボン酸としては、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸を用いることができる。
芳香族ジオールの例としてはカテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(「ビスフェノールA」)や1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(「ビスフェノールTMC」)などのビスフェノール化合物、4,4’−ビフェノールなどのビフェノール化合物などを挙げることができる。
芳香族環を有しないジオールとしては、エチレングリコール(EG)、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール(別名:トリメチレングリコール)、1,4-ブタンジオール、ジメチルプロパンジオール、メチルペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ノナンジオールなどを挙げることができる。芳香族環上の置換基として直接または炭化水素鎖などを介して1以上のカルボン酸と、同様に直接または炭化水素鎖などを介して1以上の水酸基が結合した芳香族化合物としては、例えばヒドロキシ安息香酸などを用いることができる。1分子中に1以上のカルボン酸と、1以上の水酸基を併せ持つ脂肪族化合物を用いることもでき、乳酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシヘキサン酸などを例示できる。これらは組み合わせて用いることもできる。
本発明の(A)非結晶性ポリエステル樹脂は、機械物性、流動性、耐熱性あるいは塗装焼付け工程での耐衝撃性の観点から、(a)ジカルボン酸と(b)ジオールのどちらかあるいは両方が変性されていることが好ましい。
なお、変性とは、(a)ジカルボン酸および/または(b)ジオールが別の基で置換されていることをいう。
(a)ジカルボン酸が変性された(A)非結晶性ポリエステル樹脂として、例えば、
(a1)テレフタル酸10〜95モル%および
(a2)テレフタル酸以外のジカルボン酸5〜90モル%
からなる(a)ジカルボン酸由来の単位と、
(b1)エチレングリコール80〜100モル%および
(b3)その他共重合可能なジオール0〜20モル%
からなるジオール(b)由来の単位とを含むものが好ましく、
(a1)テレフタル酸50〜90モル%および
(a2)テレフタル酸以外のジカルボン酸10〜50モル%
からなる(a)ジカルボン酸由来の単位と、
(b1)エチレングリコール80〜100モル%および
(b3)その他共重合可能なジオール0〜20モル%
からなるジオール(b)由来の単位とを含むものがより好ましく、
(a1)テレフタル酸70〜80モル%および
(a2)テレフタル酸以外のジカルボン酸20〜30モル%
からなる(a)ジカルボン酸由来の単位と、
(b1)エチレングリコール80〜100モル%および
(b3)その他共重合可能なジオール0〜20モル%
からなるジオール(b)由来の単位とを含むものがさらに好ましく、
(a1)テレフタル酸70〜80モル%および
(a2)イソフタル酸20〜30モル%
からなる(a)ジカルボン酸由来の単位と、
(b1)エチレングリコール100モル%
からなるジオール(b)由来の単位とを含むものが特に好ましい。
(b)ジオールが変性された(A)非結晶性ポリエステル樹脂として、例えば、
(a1)テレフタル酸80〜100モル%および
(a2)テレフタル酸以外のジカルボン酸0〜20モル%
からなる(a)ジカルボン酸由来の単位と、
(b1)エチレングリコール10〜95モル%
(b2)炭素数3〜10の脂肪族ジオールまたは炭素数6〜21の脂環式ジオールからなる群より選ばれる1種以上のジオール5〜90モル%と、
(b3)その他共重合可能なジオール0〜20モル%
からなる(b)ジオール由来の単位とを含むものが好ましく、
(a1)テレフタル酸80〜100モル%および
(a2)テレフタル酸以外のジカルボン酸0〜20モル%
からなる(a)ジカルボン酸由来の単位と、
(b1)エチレングリコール50〜90モル%
(b2)炭素数3〜10の脂肪族ジオールまたは炭素数6〜21の脂環式ジオールからなる群より選ばれる1種以上のジオール10〜50モル%と、
(b3)その他共重合可能なジオール0〜20モル%
からなる(b)ジオール由来の単位とを含むものがより好ましく、
(a1)テレフタル酸80〜100モル%および
(a2)テレフタル酸以外のジカルボン酸0〜20モル%
からなる(a)ジカルボン酸由来の単位と、
(b1)エチレングリコール60〜80モル%
(b2)炭素数3〜10の脂肪族ジオールまたは炭素数6〜21の脂環式ジオールからなる群より選ばれる1種以上のジオール20〜40モル%と、
(b3)その他共重合可能なジオール0〜20モル%
からなる(b)ジオール由来の単位とを含むものがさらに好ましく、
(a1)テレフタル酸100モル%
からなる(a)ジカルボン酸由来の単位と、
(b1)エチレングリコール60〜80モル%
(b2)ネオペンチルグリコールまたはシクロヘキサンジメタノールからなる群より選ばれる1種以上のジオール20〜40モル%
(b3)その他共重合可能なジオール0〜20モル%
からなる(b)ジオール由来の単位とを含むものが特に好ましい。
(A)非結晶性ポリエステル樹脂の対数粘度(IV値)は、特に制限されないが、耐衝撃性の観点から、0.4以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.6以上がさらに好ましい。また、(A)の対数粘度(IV値)は、成形加工性の観点から、1.5以下が好ましく、1.2以下がより好ましく、1.0以下がさらに好ましい。
IV値の測定方法としては、テトラクロロエタン/フェノール=50/50(重量比)の混合溶剤中、25℃、(A)の濃度0.5g/dlの溶液として、ウーベローデ粘度計を用いて得られる。
(A)非結晶性ポリエステル樹脂は、ゲルマニウム触媒、チタン触媒、アルミニウム触媒およびアンチモン触媒からなる群より選択される重合触媒を用いて製造されたものが好ましく、樹脂組成物の熱安定性や成形加工時の分解ガス発生の抑制の観点から、ゲルマニウム触媒あるいはチタン触媒用いて製造されたものがさらに好ましく、ゲルマニウム触媒を用いて製造されたものがより好ましい。
(A)中に残存する重合触媒残渣は、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂や(C)高耐熱芳香族ポリカーボネート樹脂と溶融混練した際に、エステル交換反応を引き起こし、物性低下や外観不良を招く場合がある。
(A)中のゲルマニウム金属含有量は、溶融混練する際に、エステル交換反応を引き起こし、物性低下や外観不良を招く場合があるので、5〜500ppmが好ましく、10〜400ppmがより好ましい。
(A)中のチタン金属含有量は、溶融混練する際に、エステル交換反応を引き起こし、物性低下や外観不良を招く場合があるので、100ppm以下が好ましく、20ppm以下がより好ましく、1.5ppm以下がさらに好ましい。
(A)中のアルミニウム金属含有量は、溶融混練した際に、エステル交換反応を引き起こし、物性低下や外観不良を招く場合があるので、100ppm以下が好ましく、50ppm以下がより好ましく、20ppm以下がさらに好ましい。
(A)中のアンチモン金属含有量は、溶融混練した際に、エステル交換反応を引き起こし、物性低下や外観不良を招く場合があるので、100ppm以下が好ましく、50ppm以下がより好ましく、6ppm以下がさらに好ましい。
ゲルマニウム触媒としては、二酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム酸化物、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトライソプロポキシド等のゲルマニウムアルコキシド、水酸化ゲルマニウム及びそのアルカリ金属塩、ゲルマニウムグリコレート、塩化ゲルマニウム、酢酸ゲルマニウム等が挙げられるが、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。これらのゲルマニウム触媒の中では、不要な残渣が生じないことから、二酸化ゲルマニウムが特に好ましい。
チタン触媒としては、テトラエトキシチタン、炭素数2〜10のアルコールで処理されたチタンアルコキシドなどを用いることができる。成形加工時の熱安定性を高めるために、例えば、前記チタンアルコキシド、または前記チタンアルコキシドとベンゼンジカルボン酸、ベンゼントリカルボン酸、ベンゼンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸またはその酸無水物とを反応させて得たチタン化合物に、下記式1で表されるリン化合物またはその塩を反応させて得られたチタン−リン触媒の存在下で重合して得られる(A)非結晶性ポリエステル樹脂を、好ましくは用いることができる。
Figure 0006706928
(ただしRは未置換または置換された、炭素原子数6〜20の炭化水素基を表し、pは1または2)
同じ理由からより好ましくは、下記式2で表される化合物の存在下に重合された(A)非結晶性ポリエステル樹脂を用いることができる。
Figure 0006706928
(ただしR、Rはそれぞれ独立に未置換または置換された、炭素原子数2〜12のアルキル基または炭素原子数6〜12個のアリール基を表す)
一方で,工業的に安価に入手できるアンチモン化合物を触媒として用いて得られた(A)非結晶性ポリエステル樹脂を単純に用いた場合には、成形体外観を損なうことが問題となる場合が多いため、その回避のために、後で詳述するリン化合物(F)を併用することが好ましい。リン化合物(F)の使用量は前述の通りである。
<(B)芳香族ポリカーボネート樹脂>
本発明の樹脂組成物は、靭性、耐衝撃性、機械特性の観点から、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂を含んでもよい。(B)芳香族ポリカーボネート樹脂は、通常2価フェノールとホスゲン、あるいは2価フェノールと炭酸ジエステルとの反応、もしくは2価フェノールのジハロホルメートの反応により得られる樹脂のことである。中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)からなるポリカーボネートが、耐衝撃性が発現しやすく好ましい。2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン由来単位とカーボネート結合のみを実質的に含むポリカーボネートを用いることが特に好ましい。
(B)の荷重たわみ温度(A法)は、耐衝撃性と耐熱性のバランスの観点から、110℃以上145℃未満であり、110℃以上140℃以下が好ましい。
(B)の重量平均分子量は、耐衝撃性、耐薬品性、成形加工性等の観点から、20,000〜200,000が好ましい。
(B)の重量平均分子量(以下、GPC分子量ともいう)の下限は、耐衝撃性と耐薬品性の観点から、40,000が好ましく、45,000がより好ましい。
(B)の重量平均分子量の上限は、成形加工性の観点から、150,000が好ましく、100,000がより好ましく、80,000がより好ましく、60,000が特に好ましい。
<(C)高耐熱芳香族ポリカーボネート樹脂>
本発明に用いる(C)高耐熱芳香族ポリカーボネート樹脂は、130℃以上となるメラミン樹脂塗料や酸エポキシ樹脂塗料の焼付温度あるいは170℃以上となる電着塗装温度に耐えうる耐熱性を樹脂組成物に付与する。
(C)の荷重たわみ温度(A法)は、耐熱性の観点から、145℃以上が好ましく、155℃以上がより好ましく、170℃以上がさらに好ましい。
また、(C)の荷重たわみ温度(A法)は、成型加工性の観点から、250℃以下が好ましく、220℃以下がより好ましく、200℃以下がさらに好ましい。
(C)の重量平均分子量は、20,000〜200,000が好ましい。さらに、耐衝撃性と耐薬品性の観点から、40,000以上がより好ましく、50,000以上がさらに好ましく、55,000以上が特に好ましい。また、成形加工性の観点から、100,000以下がより好ましく、80,000以下がさらに好ましく、70,000以下が特に好ましい。
本発明に用いる(C)高耐熱芳香族ポリカーボネート樹脂として、ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン、ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン、ビス(ヒドロキシアリール)アダマンタン、およびジヒドロキシテトラアリールメタンからなる群より選ばれる少なくとも1つを単量体単位として含むポリカーボネートを好ましく用いることができる。これらは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン単量体単位と併せて含むことが、耐衝撃性を良好に発現するために、より好ましい。
前記ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカンとしては、置換または未置換のビス(ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンをより好ましく用いることができ、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサンなどが挙げられ、特に1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(「ビスフェノールTMC」)を好ましく用いることができる。1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを併用し、その中で1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン単量体単位のモル分率を10〜90%とすることが、耐衝撃性と耐熱性、加工性のバランスから好ましい。前記モル分率の下限はさらに30%が好ましく、特に50%が好ましく、上限はさらに85%が好ましく、特に70%が好ましい。
前記ビス(ヒドロキシアリール)フルオレンとしては、置換または未置換のビス((ヒドロキシアルコキシ)フェニル)フルオレン化合物、ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン化合物などを好ましく使用することができる。ビス((ヒドロキシアルコキシ)フェニル)フルオレン化合物としては、好ましくはビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン化合物を挙げることができ、これとジヒドロキシベンゼン化合物および/またはジヒドロキシナフタレン化合物を併用して用いることができる。ジヒドロキシベンゼン化合物はハイドロキノン、レゾルシノール、カテコールから選択することができ、また、ジヒドロキシナフタレン化合物としては具体的には2,6−ナフタレンジオールを選択することができる。また、ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン化合物としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン化合物、特に9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(「ビスフェノールBCF」)を好ましく用いることができる。例えば9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを併用し、その中で9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンのモル分率を10〜90%とすることが、耐衝撃性と耐熱性、加工性のバランスから好ましい。下限はさらに25%が好ましく、さらに40%が好ましく、特に60%が好ましく、上限はさらに85%が好ましく、特に70%が好ましい。また、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンとα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン(「ビスフェノールM」)を併用し、その中で9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン単量体単位のモル分率を10〜90%とすることもできる。
前記ビス(ヒドロキシアリール)アダマンタンとしては、置換または未置換のビス(ヒドロキシフェニル)アダマンタンを好ましく用いることができ、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタンなどが挙げられ、特に2,2−ビス(4-ヒドロキシフェニル)アダマンタンを好ましく用いることができる。2,2−ビス(4-ヒドロキシフェニル)アダマンタンと1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(「ビスフェノールZ」)を併用し、その中で2,2−ビス(4-ヒドロキシフェニル) アダマンタン単量体単位のモル分率を10〜90%とすることが、耐衝撃性と耐熱性、加工性のバランスから好ましい。下限はさらに30%が好ましく、特に50%が好ましく、上限はさらに90%が好ましく、特に80%が好ましい。さらに、α,ω−ビス(ヒドロキシフェニルプロピル)−ポリジメチルシロキサン、および/または1,1、1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどを併用することもできる。
前記ジヒドロキシテトラアリールメタンとしては、置換または未置換のジヒドロキシテトラフェニルメタンを好ましく用いることができ、特に4,4’−ジヒドロキシテトラフェニルメタン(「ビスフェノールBP」)を好ましく用いることができる。4,4’−ジヒドロキシテトラフェニルメタンと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび/またはα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンを併用し、それらのなかで4,4’−ジヒドロキシテトラフェニルメタン単量体単位のモル分率が10〜90%とすることが耐衝撃性と耐熱性、加工性のバランスから好ましい。下限はさらに30%、特に45%が好ましく、上限はさらに90%が好ましく、特に80%が好ましい。
これらの中で、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとで構成された芳香族ポリカーボネートが、工業的に容易に入手でき、好ましい。
<(D)板状フィラー>
本発明の樹脂組成物は、樹脂組成物から得られる成形体の熱線膨張係数を抑制し、かつその成形体の面内異方性を小さくするために、(D)板状フィラーを含んでもよい。
(D)板状フィラーは、ケイ素元素を含むアルカリ性の無機物であり、ケイ酸塩鉱物が好ましく、本発明ではマイカ、タルクまたはカオリンから選択される少なくとも1種を特に好ましく用いることができる。
(D)板状フィラーの形状は、平板状または鱗片状が好ましい。
(D)板状フィラーは、レーザー回折法で求めた体積平均粒子径(MV)が0.5〜45μmであるものを好ましく用いることができ、またそのMVと厚さとの比、すなわちアスペクト比が5〜200のものを好ましく用いることができる。熱線膨張係数を抑制し、耐熱性を良好とするためには、MVは好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、さらには5μm以上であり、耐衝撃性を大きく悪化させないために、好ましくは45μm以下、より好ましくは35μm以下、さらには25μm以下とすることができる。線膨張係数の抑制効果と耐熱性・耐衝撃性のバランスを良好とするために、アスペクト比は、より好ましくは10以上、さらに好ましくは50以上であり、より好ましくは150以下、さらに好ましくは100以下、さらに好ましくは80以下である。線膨張係数抑制効果と耐衝撃性のバランスから、マイカが好ましく用いられる。
(D)板状フィラーは、前述のようにアルカリ性の無機物であり、本発明の樹脂組成物中で、コンパウンド製造時や成形加工時の高温下で、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂や(C)高耐熱芳香族ポリカーボネート樹脂と接触すると、それらに対する分解触媒として作用する場合がある。分解が激しいと炭酸ガスなどが発生し、成形加工時にシルバーストリークなどの外観不良を引き起こす場合がある。このような分解作用を抑制するために、(D)板状フィラーの構成元素にはアルカリ土類金属が実質的に含まれないことが好ましい。かかるアルカリ土類金属にはカルシウム、マグネシウム、バリウムなどが挙げられる。このような条件から、本発明においては(D)板状フィラーとしては白マイカ、絹マイカなどが好適に用いられ、特に白マイカが好適に用いられる。ここで「実質的に含む」とは、当該フィラー中に5重量%を超えてアルカリ土類金属元素を含むことを言う。
本発明においては、(D)板状フィラーは、採掘後、粉砕時、もしくは粉砕後に水に分散させ、その後に水相を湿式振動ふるい、沈降分離、湿式サイクロン、濾過や遠心分離などの方法により分離してから、乾燥させたものが好ましい。これはフィラー中に含まれる不純物が、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂や(C)高耐熱芳香族ポリカーボネート樹脂に対して分解触媒として作用する場合があるためで、前記のごとき水によるフィラーの処理により、これら不純物をフィラーから除去することが好ましい。また、高アスペクト比の微粉末化が実現され、耐衝撃性などの機械物性と線膨張係数の抑制効果のバランスがとりやすいことから、粉砕時に水を用いる湿式粉砕法により製造されたフィラーが好ましく用いられる。かかる湿式粉砕法として、湿式ボールミル、湿式ローラーミル、湿式ミクロンミル、水流式ジェット粉砕、石臼による湿式摩砕等を用いることができる。
本発明において(D)板状フィラーは、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤などで表面処理して用いることができるが、コストと表面外観の観点から、表面処理なきものをより好ましく用いることができる。
<(E)エラストマー>
本発明の樹脂組成物は、耐衝撃性、特に低温の耐衝撃性の改良を目的に、(E)エラストマーを含んでもよい。(E)としては、(E1)グラフト共重合体、(E2)エチレン系共重合体を挙げることができる。(E1)グラフト共重合体と(E2)エチレン系共重合体は併用することができる。
<(E1)グラフト共重合体>
本発明に用いることができる(E1)グラフト共重合体は、ゴム状重合体の存在下に、単量体をグラフト重合させて得られる。
ゴム状重合体のガラス転移温度は、低温での耐衝撃性の観点から、−10℃以下が好ましく、−30℃以下がより好ましく、−50℃以下が特に好ましい。
ゴム状重合体は、架橋されていることが好ましい。
(E1)中のゴム状重合体の量は、(E1)を100重量%として、40〜95重量%が好ましい。耐衝撃性の観点と、成形時のガスの発生などを抑制の観点から、50重量%以上がより好ましく、65重量%以上がさらに好ましい。
前記量は、(E1)の分散粒子径をサブミクロンサイズ以下に制御し、後述する基本粒子単位での分散状態を確保することで、耐衝撃性を安定に発現させるために、90重量%以下がより好ましく、85重量%以下がさらに好ましい。
ゴム状重合体としては、ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、アクリル酸エステル共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリル酸エステル共重合体、ポリオルガノシロキサン、ポリオルガノシロキサン−アクリル酸エステル複合体、およびポリオルガノシロキサン−ブタジエン複合体などを用いることができる。低温での耐衝撃性の観点から、ポリブタジエン、ポリオルガノシロキサン、ポリオルガノシロキサン−アクリル酸エステル複合体がより好ましく、特にポリブタジエン、ポリオルガノシロキサンが好ましい。
本発明において、(E1)グラフト共重合体は、前記ゴム状重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、および(メタ)アクリル酸エステル化合物からなる群より選択される1種以上の単量体を1段以上で重合して得られるものが好ましい。安定に耐衝撃性を発現するために、前記単量体はメチルメタクリレートを主とするものが好ましく、メチルメタクリレート(MMA)とエチルアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、またはスチレンなどとを、ゴム状重合体部分を除く全単量体中MMAを好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上,さらには80重量%以上、好ましくは98重量%以下、より好ましくは95重量%以下の割合となるよう用いる。またさらに同様の理由で、スチレンとアクリロニトリルを主とし、1段以上で重合したものも用いることができるが、その際にはゴム状重合体部分を除く全単量体中スチレンを好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、好ましくは90重量%以下、さらに好ましくは80重量%以下の割合となるよう用いる。
本発明において、(E1)グラフト共重合体は、乳化重合などによる製造方法を用いて、ゴム状重合体の体積平均粒子径が70〜320nmとなるように調整されたものを好ましく用いることができ、少量添加で優れた耐衝撃性を実現するために、下限はより好ましくは100nm、さらに好ましくは150nm、上限は好ましくは320nm、さらに好ましくは250nmとすることができる。本発明の樹脂組成物中において、あらかじめ設計された粒子径の基本単位で(E1)グラフト共重合体が分散することで、耐衝撃性改良効果が最大化される。
<(E2)エチレン系共重合体>
本発明に用いることができる(E2)エチレン系共重合体は、(E1)グラフト共重合体と同様に、特に低温環境での耐衝撃性を改良するのに加えて、成形加工時の流動性を良好とするための成分である。
本発明において、(E2)エチレン系共重合体は、単量体単位としてエチレンと、エチレンと共重合可能な他の不飽和単量体とで組成される。かかる不飽和単量体として、エチルアクリレート、メチルアクリレートなどのアクリル酸低級アルキルエステルや、プロピレンなどを使用できるが、本発明の樹脂組成物中に良好に分散させて、層状剥離などの成形不良を起こさないために、エチルアクリレートとの共重合体とすることが好ましい。エチレンと不飽和単量体の合計量におけるエチレンの割合は、耐衝撃性を十分に発現するために好ましくは10重量%以上、より好ましくは50重量%以上、さらには70重量%以上であり、層状剥離などの成形不良を回避するために、好ましくは90重量%以下,より好ましくは85重量%以下、さらには80重量%以下である。
JIS K7216に基づき測定した(E2)の脆化温度(F50)は、耐衝撃性の観点から、−30℃以下が好ましく、−50℃以下がより好ましく、−70℃以下がさらに好ましい。
JIS K7121に基づき測定した(E2)の融点は、樹脂組成物の製造時における取り扱いの容易さや、成形体のべたつき感を抑えるために、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましく、成形加工性の観点から、130℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。
JIS K7210に基づき測定した(E2)のメルトフローレートは、成形加工時の流動性を良くするために、1g/10min以上が好ましく、5g/10min以上がより好ましく、10g/10min以上がさらに好ましく、耐熱性を損なわないために、400g/10min以下が好ましく、50g/10min以下がより好ましく、30g/10min以下がさらに好ましい。
なお、JISとは日本工業規格である。
<(F)リン化合物>
本発明における(F)リン化合物は、その効果として耐湿熱性や成形時の熱安定性を良好にする成分であるが、酸性リン酸、前記式1で表される酸性リン酸エステル、またはこれらのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、もしくは亜鉛などとの塩、オキサホスホリン化合物、亜リン酸エステル、ホスホン酸誘導体、ホスフィン酸誘導体などを用いることができる。
酸性リン酸の塩の例としてはピロリン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カルシウムなどが挙げられる。
前記酸性リン酸エステルあるいはその塩の例としては、下記式3〜5で表される化合物を挙げることができる。
オキサホスホリン化合物の例としては、下記式6で表される化合物やその誘導体などを挙げることができる。
前記亜リン酸エステルの例としては、下記式7で表される化合物などを挙げることができる。
前記ホスホン酸誘導体の例としては、n−オクタデシルホスホン酸、ベンジルホスホン酸などのアルミニウム塩や亜鉛塩などを挙げることができる。
前記ホスフィン酸誘導体の例としては、ジフェニルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸などのアルミニウム塩や亜鉛塩などを挙げることができる。
より好ましい(F)リン化合物として、下記式3で表される酸性リン酸エステル、リン酸二水素カルシウムなどを用いることができる。
Figure 0006706928
(ただしqは1または2)
Figure 0006706928
Figure 0006706928
Figure 0006706928
Figure 0006706928
本発明の樹脂組成物から得られる成形体に静電塗装を施す必要がある場合には、カーボン繊維,カーボンナノチューブ(CNT)、グラファイト、グラフェン、ケチェンブラック、カーボン粒子などのカーボン系導電性フィラー、ステンレスやアルミニウムなどの金属繊維などを本発明の樹脂組成物中に配合して導電性を付与して用いることができる。また、本発明の樹脂組成物から得られた成形体に、静電プライマーを十分な程度にあらかじめ塗装し、成形体表面に導電性を付与して用いることができる。前記静電プライマーは、例えば、導電性カーボンブラック、グラファイト、銀、ニッケル、銅などの導体を、例えば、活性メチレン系ブロックポリイソシアネート/塩素化ポリオレフィン併用樹脂などとともに、例えば、キシレン、トルエン、シクロヘキサンなどの炭化水素性溶剤、メチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤、例えばメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン系溶媒、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル系容剤、あるいはこれらの混合溶剤などに希釈して得られる。
本発明では、カーボン系導電性フィラーや金属繊維などの配合による方法と、静電プライマー塗装による方法を組み合わせることもできる。ここで、静電塗装とは、金属部材および本発明の樹脂組成物から得られる成形体にプラスまたはマイナスの一方の電圧をかけておき、塗料ミストを吹き付ける際にミスト側に逆極性の電圧をかけることで塗料ミストを逆電荷に帯電させ、発生する静電気的な引力の作用を利用して、金属部材および本発明の成形体に塗料ミストを吸着させ、効率よく均一に塗膜を形成する塗装方法である。
<(G)非晶性熱可塑性樹脂>
本発明の樹脂組成物は、(メタ)アクリル樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂(AS)、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、フッ素樹脂などの(G)非晶性熱可塑性樹脂を含むことが出来る。(G)非晶性熱可塑性樹脂は、耐熱分解性、耐熱性の観点から、ガラス転移温度が150℃以上であることが好ましく、例えば、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスルホン樹脂・ポリフェニルスルホン樹脂・ポリエーテルスルホン樹脂などのポリスルホン系樹脂、フタルマレイミド共重合(メタ)アクリル樹脂、(フェニル)イミド化(メタ)アクリル樹脂、およびポリアリレート樹脂が挙げられる。また、他ポリマーとのポリマーアロイやポリマーブレンドのような混合品を用いることもできる。
<(H)その他添加剤>
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、(H)その他添加剤を配合することができる。(H)その他添加剤としては、公知の光安定剤、酸化防止剤、熱安定剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、離型剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料・染料、無機充填剤、長繊維充填剤、pH調整剤、流動性改良剤などが挙げられる。
公知の光安定剤としてはベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物などを用いることができる。公知の離型剤としてはステアリルステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、モンタン酸エステル、ジグリセリンステアレート、グリセリンモノベヘネートなどを用いることができる。
本発明では、ガラス繊維、カーボンファイバー、ステンレス繊維、アラミド繊維などの連続繊維、好ましくはこれら連続繊維集束体を開繊したものに、本発明の樹脂組成物を、含浸ダイ、あるいは押出機内で溶融含浸させた後、ペレット化することにより、前記繊維を本発明の樹脂組成物中に取り込ませた形で回収した長繊維ペレットを用いることができる。回収された繊維の長さとペレット長が実質的に一致することで、耐衝撃性に優れた樹脂組成物が得られ、好ましい。ステンレス繊維を用いた場合には電磁波遮蔽効果にも優れる場合があり、好ましい。
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物の製造は任意の方法で行なうことができる。たとえば、ブレンダー、スーパーミキサーなどを用いての混合、単軸または多軸のスクリュー押出機などで、(A)および(C)、必要であれば(B)、さらには所望の目的に応じて(D)、(E)、(F)、(G)、(H)を適宜選択して混練することにより製造される。
<樹脂組成物の成形方法>
本発明の樹脂組成物の成形は任意の方法で行うことができる。たとえば、射出成形、射出圧縮成形、押出成形、ブロー成形、圧縮成形などで成形することができる。射出成形、射出圧縮成形による成型方法が、効率良くリブやクリップ座などの複雑形状を有する成形体を生産でき、好ましい。大型の成形体を良好な外観で取得するために、ホットランナー金型・タイミングゲートを用いて射出成形、射出圧縮成形することが好ましい。
かくして本発明の樹脂組成物は、前述の如き成形法を適用することにより、自動車外装・外板用の成形体とすることができる。特に、投影面積40,000mm以上かつ平均厚さ5mm以下の成形体とすることができる。金属からの置き換え面積を大きくして効率よく車両重量の軽量化を図るために、投影面積は60,000mm以上がより好ましく、さらには100,000mm以上とすることが好ましい。部材そのものの軽量化のため、平均厚さは3.5mm以下がより好ましく、さらには3mm以下がより好ましく、2.5mm以下がより好ましく、さらには2mm以下とすることが好ましい。製品剛性を下げすぎないために、平均厚みは1mm以上が好ましく、1.5mm以上とすることがより好ましい。ここで言う厚みは成形体の天面の平均厚みである。製品剛性をより確保するために、当該成形体には裏面にリブ構造を設けることができる。天面の意匠面に生じるヒケを抑制するためにリブの厚みは天面の1/2以下にすることが好ましく、1/2.5以下にすることがより好ましい。一方、リブ部におけるショートショットを防ぐために、0.3mm以上の厚みとすることが好ましく、より好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは0.6mm以上である。本発明においてヒケとは、樹脂の冷却に伴う体積収縮により意匠面等に生じる設計上意図しない凹みのことを言う。
なお、投影面積および厚みは、一般的にはCAD(コンピューター・アシステッド・デザイン)での成形体構造設計時に設定した値を用いることができるが、設定値が不明である場合には、3Dスキャンなどにより成形体構造を数値化し、そのデータをもとにCADあるいはCAE(コンピューター・アシステッドエンジニアリング)ソフトウェアなどで解析することができる。
本発明の樹脂組成物は耐熱性に優れるので、メラミン塗料、酸エポキシ塗料などの自動車本体用塗料を好適に塗装し、130℃以上で焼付して塗膜を硬化させても、その成形体は過度の変形を伴うこと無く、塗装後の表面外観を良好に保ち、さらに焼付後も耐衝撃性を保つことができる。そのため、必要に応じて金属製の自動車本体に当該成形体を組み付けた上でインライン塗装を施し、あるいは当該成形体のみに自動車本体とは別にオフラインで塗装を施すことができる。本発明の樹脂組成物から得た成形体は、熱線膨張係数が抑制され、耐衝撃性などの機械物性にも優れ、外観にも優れるため、ガーニッシュ・スポイラー・フェンダー・ルーフ・トランクリット・フューエルリット・ドア・テイルゲートなどの自動車用外装・外板部材として、好適に使用することができる。本発明の樹脂組成物から得た成形体は、耐久性に優れ、さらに金属に比べて比重が低いため、自動車の軽量化に寄与することができ、環境に配慮した優れたものである。また射出成形や射出圧縮成形により成形することができるので、自動車の意匠性の向上に寄与できる。
以下では、本発明をより具体的に表す実施例を説明するが、これらに限定するものではない。
下記測定条件や実施例などにおける「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
まず、使用した材料、及び測定方法につき以下説明する。
<使用した材料>
(A)非結晶性ポリエステル樹脂
A−1:テレフタル酸単位、エチレングリコール(EG)単位、およびシクロヘキサンジメタノール(CHDM)単位とを含むシクロヘキサンジメタノール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂(非結晶性ポリエステル樹脂):IV値0.65、結晶融解熱0J/g(DSCによる熱分析で10℃/minの昇温速度条件で測定したとき180〜300℃の範囲の結晶融解熱。以下の(A)も同じ)、EG単位/CHDM単位=69/31(mol/mol)、ゲルマニウム元素を100ppm以下含み、アンチモン元素の含有量が検出限界以下である。
A−2:テレフタル酸単位、エチレングリコール(EG)単位、およびネオペンチルグリコール(NPG)単位とを含むネオペンチルグリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂(非結晶性ポリエステル樹脂)、IV値:0.78、結晶融解熱0J/g、EG単位/NPG単位=67/33(mol/mol)、ゲルマニウム元素を100ppm以下含み、アンチモン(Sb)元素の含有量が検出限界以下である。
A−3:テレフタル酸(TPA)単位、イソフタル酸(IPA)単位、およびエチレングリコール単位とを含むイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート樹脂(非結晶性ポリエステル樹脂)、IV値:0.64、結晶融解熱0J/g、TPA単位/IPA単位=77/23(mol/mol)、ゲルマニウム元素を100ppm以下含み、アンチモン元素の含有量が検出限界以下である。
A−4:ポリエチレンテレフタレート樹脂、IV値:0.70、結晶融解熱37J/gゲルマニウム元素を100ppm以下含み、アンチモン元素の含有量が検出限界以下である。
ゲルマニウム(Ge)元素、およびアンチモン(Sb)元素の含有量は蛍光X線測定により求めたもので、アンチモン(Sb)元素の測定限界は1ppmである。
(B)芳香族ポリカーボネート樹脂
B−1:ビスフェノールAポリカーボネート樹脂、GPC分子量49,700、荷重たわみ温度(A法) 130℃
(C)高耐熱芳香族ポリカーボネート樹脂
C−1:ビスフェノールA−ビスフェノールTMC共重合ポリカーボネート樹脂、GPC分子量58,400、荷重たわみ温度(A法) 172℃、ビスフェノールA単位/ビスフェノールTMC単位=40/60(mol/mol)
(D)板状フィラー
D−1:天然白マイカ湿式/乾式併用粉砕品、体積平均粒子径:5.4μm、アスペクト比未知
D−2:天然白マイカ湿式粉砕品、体積平均粒子径:20μm、アスペクト比70
体積平均粒子径は日機装株式会社製 マイクロトラック「MT−3000」で測定したもの、アスペクト比は走査型電子顕微鏡(SEM)観察で求めたもの。
(E)エラストマー
E−1:ゴム状重合体としてポリブタジエンをベースに、メチルメタクリレート・ブチルアクリレートをグラフト重合したグラフト共重合体、体積平均粒子径200nm。
E−2:エチレン/エチルアクリレート共重合体、密度0.94、脆化温度<−75℃
(H)その他の添加剤
H−1:フェノール系酸化防止剤、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]
H−2:リン系酸化防止剤、ペンタエリスリトール ビス(ジフェニル)ホスフェート
H−3:モンタン酸エステル系離型剤
H−4:エポキシ系熱安定剤、ビスフェノールAエポキシ樹脂
H−5:顔料、カーボンブラック
<測定方法>
(固有粘度(IV値))
テトラクロロエタン/フェノール=50/50(重量比)の混合溶媒を用い、芳香族ポリエステル(A)濃度0.5g/dlの溶液に調整し、25℃にて測定して得た対数粘度から算出した。
(重量平均分子量)
ポリマー試料を約20mg/10mlのクロロホルム溶液とし、その溶液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析することにより重量平均分子量を決定した。GPCシステム(Waters社製)を使用し、カラムはポリスチレンゲルカラム「Shodex K−806」、及びK805(昭和電工(株)製)を用い、クロロホルムを溶出液として30℃で展開し、ポリスチレン換算で解析した。
(メルトフローレート(MFR))
ISO 1133に従い、280℃にて、21.18N荷重で測定した。測定には110℃で5時間以上乾燥したペレットを用いた。
(スパイラル流動長(SFL))
射出成形機「FAS−150B」(ファナック株式会社製)を用い、シリンダー温度280℃、金型温度は80℃にて、3mm厚みのスパイラル金型を用いて成形を行い、流動長を評価した。測定には130℃で5時間以上乾燥したペレットを用いた。
(荷重たわみ温度(A法))
ASTM D648に基づき、A法(1.8MPa荷重)で、エッジワイズにて測定した。
(荷重たわみ温度(B法))
ASTM D648に基づき、B法(0.45MPa荷重)で、エッジワイズにて測定した。
(ヒートサグ)
JIS K 7195に準じ、ただし成形体はASTM D638 95 Type−I試験片を用い、オーバーハング量100mm位置の変位量を計測した。140℃および150℃で評価を実施した。
(表面外観)
製射出成形機「FN−1000」(日精樹脂工業株式会社)を用い、シリンダー温度280℃、金型温度80℃で2分滞留させて成形した120mm×120mm×3mmの平板の成形品の外観を肉眼で観察して、以下の基準に従い評価した。
◎:表面のフラッシュや荒れが全く認められないもの
○:表面のフラッシュや荒れが全面積の10%以下で観察されるもの
△:表面のフラッシュや荒れが全面積の10%を超え25%以下で観察されるもの
×:表面のフラッシュや荒れが全面積の25%を超えて観察されるもの
(線膨張係数)
樹脂流れ方向(MD)・同直交方向(TD)それぞれについて、ISO 11359:1999(E)に従い、熱力学分析(TMA)により、温度範囲−30〜80℃で線膨張係数を測定した。試験片を7mmx4mmx厚み4mmとした。この際、試験方向(MDまたはTD)が7mmとなるように向きを合わせ、切削した。
(曲げ試験)
ISO 178に従い、試験速度5mm/min、23℃にて、曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
(耐衝撃強度)
6cmx6cmx3mm厚みの平板40枚以上を準備し、自動車本体用塗料を塗装する際の最大熱負荷を想定し、150℃x60分の熱処理有り・無しの試験片を各20枚以上準備した。それぞれについて、ASTM D2794(プラスチック用)に準じ、落錘4.5kgとし、−30℃環境中で測定して最大非破壊高さを求め、重力加速度(9.807m/s)×落錘重量×最大非破壊高さにより、エネルギー値(単位:J)に換算、これを耐衝撃強度とした。
(比重)
ISO 1183−1に従い、液浸法にて求めた。
(実施例1〜9、比較例1)
(樹脂組成物)
(A)非結晶性ポリエステル樹脂、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂、(C)高耐熱芳香族ポリカーボネート樹脂、(D)板状フィラー、(E)エラストマー、(H)その他の添加剤を、表1に示す割合で予備混合し、それぞれ290℃で二軸押出機「TEX−44SS」(株式会社日本製鋼所製)を用いて溶融混練し、ペレットを製造した。この際、(D)板状フィラーはサイドフィーダーより供給した。得られたペレットを用いて、シリンダー温度290℃、金型温度100℃に設定した射出成形機「FN−1000」(日精樹脂工業株式会社製)で試験片を作製し、前記方法により、表1に示す物性を評価した。また、同様に射出成形機「FN−1000」(日精樹脂工業株式会社製)で200mm×150mm×3mm厚みの平板を作製し、60mm×60mm四方に切り出した上で、前記方法により耐衝撃強度を評価した。また前記方法により、メルトフローレートおよびスパイラル流動長を求めた。評価結果を表2に示した。
Figure 0006706928
表1に見るように、比較例1の成形体が150℃x60分の熱処理後の耐衝撃強度が熱処理前に比べて50%未満に低下しているのに対し、実施例1〜9で得られた成形体はいずれも65%以上を保持しており、140℃以上の高温焼付が必要な自動車本体用塗料を適用可能なレベルの耐熱性を有していることが分かる。
また、表1に示される各物性の結果から、実施例1〜9で得られた成形体は、いずれも塗装後も良好な表面性を維持し、塗装焼付による耐衝撃強度低下が小さく、熱や湿分による線膨張性が抑制され、剛性・耐薬品性・塗膜密着性に優れており、軽量かつデザイン自由度の高い、加工性に優れた成形体であることが分かる。
したがって、実施例1〜9で得られる成形体は、自動車本体の金属部位との塗装外観と耐候変色の一貫性を保つことが可能な樹脂成形体であることが分かる。
本発明の樹脂組成物は、特に意匠性、外観などが重視される乗用車などの自動車用の外装・外板部材、さらには焼付塗装を施された自動車用外装・外板部材に好適に使用される。

Claims (7)

  1. (A)非結晶性ポリエステル樹脂であってテレフタル酸単位およびエチレングリコール単位を主たる構成成分とする非結晶性ポリエステル樹脂、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂、(C)高耐熱芳香族ポリカーボネート樹脂
    からなる自動車外装・外板用樹脂組成物であって、
    (A)と(B)と(C)の合計量が100重量部であるのに対し、
    (A)が5〜50重量部であり、
    (B)と(C)の合計量が50〜95重量部であり、
    (B)/(C)の重量比が0/100〜75/25であり、
    (A)が、示差走査熱量計による熱分析で180〜300℃の範囲内に10J/g以上の結晶融解熱を有さず、
    ASTM D648に基づき測定した(B)の荷重たわみ温度(A法)が110℃以上145℃未満であり、
    (C)の荷重たわみ温度(A法)が145℃以上である
    ことを特徴とする自動車外装・外板用樹脂組成物。
  2. 荷重たわみ温度(B法)が130℃以上である、請求項1記載の自動車外装・外板用樹脂組成物。
  3. (A)非結晶性ポリエステル樹脂が、
    (a1)テレフタル酸70〜80モル%および
    (a2)テレフタル酸以外のジカルボン酸20〜30モル%
    からなる(a)ジカルボン酸由来の単位と、
    (b1)エチレングリコール80〜100モル%および
    (b3)その他共重合可能なジオール0〜20モル%
    からなるジオール(b)由来の単位を含む樹脂である請求項1または2に記載の自動車外装・外板用樹脂組成物。
  4. (A)非結晶性ポリエステル樹脂が、
    (a1)テレフタル酸70〜80モル%および
    (a2)イソフタル酸20〜30モル%
    からなる(a)ジカルボン酸由来の単位と、
    (b1)エチレングリコール100モル%
    からなるジオール(b)由来の単位を含む樹脂である請求項1または2に記載の自動車外装・外板用樹脂組成物。
  5. (A)非結晶性ポリエステル樹脂が、
    (a1)テレフタル酸80〜100モル%および
    (a2)テレフタル酸以外のジカルボン酸0〜20モル%
    からなる(a)ジカルボン酸由来の単位と、
    (b1)エチレングリコール60〜80モル%および
    (b2)炭素数3〜10の脂肪族ジオールまたは炭素数6〜21の脂環式ジオールからなる群より選ばれる1種以上のジオール20〜40モル%と、
    (b3)その他共重合可能なジオール0〜20モル%
    からなる(b)ジオール由来の単位を含む樹脂である請求項1または2に記載の自動車外装・外板用樹脂組成物。
  6. (A)非結晶性ポリエステル樹脂が、
    (a1)テレフタル酸100モル%
    からなる(a)ジカルボン酸由来の単位と、
    (b1)エチレングリコール60〜80モル%、ならびに
    (b2)ネオペンチルグリコールまたはシクロヘキサンジメタノールからなる群より選ばれる1種以上のジオール20〜40モル%と、
    (b3)その他共重合可能なジオール0〜20モル%
    からなる(b)ジオール由来の単位を含む樹脂である請求項1または2に記載の自動車外装・外板用樹脂組成物。
  7. さらに(D)板状フィラー2.5〜50重量部を含む請求項1〜6のいずれかに記載の自動車外装・外板用樹脂組成物。
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