JP6706012B1 - 微細孔を封孔したチタン又はチタン合金の酸化薄膜の製造方法 - Google Patents

微細孔を封孔したチタン又はチタン合金の酸化薄膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】微細孔を封孔したチタン又はチタン合金の酸化薄膜の製造方法を提供する。【解決手段】電解処理装置1は、処理槽2とこの処理槽2内に設置された陰極部材4及び陽極部材5とを有し、これら陰極部材4及び陽極部材5はそれぞれ直流電源3のマイナス極及びプラス極に接続している。この電解処理装置1において、陽極部材5は被処理部材となるものであり、チタン又はチタン合金製の薄膜を用いた部材を用いる。この処理槽2にフッ化水素化合物を0.5重量%以下溶解した酸化剤濃度5g/L以上の電解硫酸液Sを収容して1〜20A/dm2の電流密度で電解処理する(開孔工程)。その後電流密度を0.1A/dm2以下で電解処理を行う(封孔工程)。【選択図】図1

Description

本発明は、微細孔を形成したチタン又はチタン合金の酸化薄膜を封孔するチタン又はチタン合金の酸化薄膜の製造方法に関する。
チタン又はチタン合金部材は、高い硬度と強度とを備えた軽い金属であり、かつ耐食性が高く、延性に富むという優れた特性を有することから広く利用されている。さらに、チタン及びチタン合金部材に陽極酸化処理を施して陽極酸化皮膜を形成することによって、着色、耐摩耗性の向上、光触媒としての機能が発現されるだけでなく、生態適合性が高いことから医療用などその用途が拡大されている。
このチタン又はチタン合金への陽極酸化皮膜の形成方法は、例えばチタン又はチタン合金を陽極として、硫酸、リン酸、過酸化水素の混合液などの電解液中で電解処理を行うことが知られている(例えば特許文献1、特許文献2など)。これらの文献によると、100V以上の高い電圧をかけて火花放電処理することにより、微細孔を形成することで光触媒の機能を付与し、有機化合物や細菌などの有害物質を除去することができるようになる。
しかしながら、高電圧をかける火花放電処理によりチタン又はチタン合金の陽極酸化皮膜に孔を形成した場合には、形成される孔が約1μmと大きい。このように陽極酸化皮膜に形成される孔が大きいと、チタン酸化皮膜と人体組織などの基体との結合の際に組織が密に埋まらず、固定するのが困難となる、という問題点がある。また、1μmより小さい微細孔の孔を開けることができる技術もあるが、孔がチューブ状となっているため貫通した際に皮膜が離れてしまい、膜としての形状を維持できない、という問題点がある。
そこで、本出願人は、先にフッ化水素化合物を0.5重量%以下溶解した硫酸溶液又はフッ化水素化合物を0.5重量%以下溶解した酸化剤濃度5g/L以上の電解硫酸液中で1〜20A/dmの電流密度で電解処理して微細孔を形成する、チタン又はチタン合金薄膜から100nm以下の孔を有するチタン又はチタン合金の酸化薄膜を製造する方法について提案した(特願2017−198830)。
特公平6−41640号公報 特公平8−984号公報
しかしながら、各種金属の微細孔薄膜は、微細孔の底部が最も薄く耐薬品性が低いため封孔処理が必要になることがある。アルミ表面上の微細孔薄膜は水和することで体積膨張を起こすため、容易に封孔することができるが、チタンおよびチタン合金上の微細孔薄膜は水和しないため、同様の封孔技術が適応できない。もし、チタンおよびチタン合金上の微細孔薄膜を封孔して、厚みのある酸化皮膜を形成することができれば、その用途をさらに拡大することができるので望ましい。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、微細孔を封孔したチタン又はチタン合金の酸化薄膜の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、チタン又はチタン合金製薄膜を陽極として、フッ化水素化合物を0.5重量%以下溶解した硫酸溶液又はフッ化水素化合物を0.5重量%以下溶解した酸化剤濃度5g/L以上の電解硫酸液中で1〜20A/dmの電流密度で電解処理して微細孔を形成する開孔工程と、硫酸溶液又は酸化剤濃度5g/L以上の電解硫酸液中で電流密度を0.1A/dm以下で電解処理して前記微細孔を封孔する封孔工程とを行う、微細孔を封孔したチタン又はチタン合金の酸化薄膜の製造方法を提供する(発明1)。
かかる発明(発明1)によれば、フッ化水素化合物を用いた1〜20A/dmの電流密度での電解処理によるエッチング効果により、チタン又はチタン合金の酸化薄膜に100nm以下、特に50nm以下の微細孔を形成することができる。そして、この開孔したチタン又はチタン合金の酸化薄膜に電流密度0.1A/dm以下で電解処理を施すことにより、この微細孔を封孔して、厚みのある酸化皮膜を形成することができる。
上記発明(発明1)においては、前記硫酸溶液又は電解硫酸の硫酸濃度が10重量%以上であることが好ましい(発明2)。
かかる発明(発明2)によれば、開孔工程により100nm以下の微細孔を有するチタン又はチタン合金の酸化薄膜を短時間で形成することができ、その後の封孔工程でこの微細孔を封孔して、厚みのある酸化皮膜を形成することができる。
上記発明(発明1,2)においては、前記フッ化水素化合物が、フッ化アンモニウムであることが好ましい(発明3)。
かかる発明(発明3)によれば、開孔工程によりチタン又はチタン合金の酸化薄膜に100nm以下の微細孔を容易に形成することができ、その後の封孔工程でこの微細孔を封孔して、厚みのある酸化皮膜を形成することができる。
上記発明(発明1〜3)においては、前記開孔工程の処理時間が30〜60秒であり、前記封孔工程の処理時間が5〜12時間であることが好ましい(発明4)。
かかる発明(発明4)によれば、短時間の開孔工程によりチタン又はチタン合金の酸化薄膜に100nm以下の微細孔を容易に形成することができる一方、長時間の封孔工程により微細孔を封孔して、厚みのある酸化皮膜を形成することができる。
上記発明(発明1〜4)においては、前記開孔工程が、前記フッ化水素化合物を溶解した硫酸溶液又は電解硫酸液による1段目の電解処理と、フッ化水素化合物を溶解しない電解硫酸液中で1〜20A/dmの電流密度による2段目の電解処理とを備えることが好ましい(発明5)。
かかる発明(発明5)によれば、1段目の電解処理をフッ化水素化合物を溶解した硫酸溶液又は電解硫酸液で行った後、2段目の電解処理をフッ化水素化合物を溶解しない電解硫酸液中で行うことにより、チタン又はチタン合金の酸化薄膜に100nm以下の微細孔を安定化することができ、その後の封孔工程でこの微細孔を封孔して、厚みのある酸化皮膜を形成することができる。
本発明の微細孔を封孔したチタン又はチタン合金の酸化薄膜の製造方法によれば、チタン又はチタン合金製薄膜を陽極としてフッ化水素化合物を溶解した硫酸溶液又は電解硫酸液中で1〜20A/dmの電流密度で短時間の電解処理をすることにより、酸化皮膜を形成するとともに微細孔を形成した後、電流密度0.1A/dm以下で長時間の電解処理を施すことにより、この微細孔を封孔することができる。これにより微細孔を封孔したチタン又はチタン合金の酸化薄膜を効率的に製造することができる。
本発明の一実施形態による微細孔を封孔したチタン又はチタン合金の酸化薄膜の製造方法を適用可能な処理装置を示す概略図である。
以下、本発明の一実施形態による微細孔を封孔したチタン又はチタン合金の酸化薄膜の製造方法について、添付図面を参照して詳細に説明する。
[電解処理装置]
図1は本発明の一実施形態による微細孔を封孔したチタン又はチタン合金の酸化薄膜の製造方法を適用可能な処理装置を概略的に示しており、図1において電解処理装置1は、処理槽2とこの処理槽2内に設置された陰極部材4及び陽極部材5とを有し、これら陰極部材4及び陽極部材5はそれぞれ直流電源3のマイナス極及びプラス極に接続している。なお、処理槽2には該処理槽2内の溶液を所望の温度に保つための恒温ヒータ(図示せず)を設けることができる。このような電解処理装置1において、陽極部材5は被処理部材となるものであり、チタン又はチタン合金製の薄膜を表面に設けた部材を用いる。また、陰極部材4としては、通電性の材料であれば特に制限はないが、導電性、耐食性などの点でチタン又はチタン合金製の部材(薄膜を含む)を用いることができる。
[微細孔を封孔したチタン又はチタン合金の酸化薄膜の製造方法]
次に上述したような電解処理装置1を用いた本実施形態の微細孔を封孔したチタン又はチタン合金の酸化薄膜の製造方法について説明する。
(開孔工程)
まず、微細孔を有するチタン又はチタン合金の酸化薄膜を電解処理により製造する。この電解処理は2段階で行うことが好ましい。
(1段目の電解処理)
1段目の電解処理では、電解処理装置1の処理槽2に収容する電解処理の溶液として、フッ化水素化合物を溶解した硫酸溶液又は電解硫酸Sを用いる。硫酸溶液のみでは酸化力がないためチタン又はチタン合金が溶解するのみで、その微細孔の孔径を100nm以下とすることはできるが、30nm以下とするのは困難である。より微細孔を形成するためには、酸化力を有する電解硫酸を使用する。この電解硫酸の場合における酸化剤濃度は、硫酸を電解して電解硫酸を作製する際に生成可能な酸化剤濃度であればよいが、5g/L未満では酸化速度が遅くなってしまい、陽極部材5に用いたチタン又はチタン合金製の薄膜に形成される孔径が大きくなるため、後述する封孔工程において、封孔が困難となってしまう。なお、酸化剤濃度の上限については特に制限はないが、硫酸を電解して電解硫酸を作製する際の効率の点から10g/L程度が現実的である。
前記フッ化水素化合物としては、フッ酸と塩基性物質との塩であれば良く、フッ化アンモニウムが取扱い性が良好で汎用的である点で好ましい。例えば、フッ化水素化合物がフッ化アンモニウムの場合、その濃度は0.5重量%以下である。フッ化アンモニウムの濃度が0.5重量%を超えると、チタンの溶解が進み過ぎて孔が大きくなり、孔がチューブ状となったりする。また、フッ化アンモニウムの濃度の下限については0.1重量%未満では、チタンの溶解が進まず、微細孔の形成が十分でなく、その上チタンの溶解が進まないため形成される酸化皮膜も薄くなり、チタン又はチタン合金製の薄膜を貫通できないため好ましくない。特に微細孔の形成の点でフッ化アンモニウムの濃度を0.25±0.05重量%とすることが好ましい。なお、フッ化アンモニウム以外のフッ化水素化合物の場合であってもその濃度は0.5重量%以下とすればよい。
さらに、硫酸溶液又は電解硫酸Sにおける硫酸濃度については、硫酸濃度が5重量%未満では、後述する電解処理における硫酸の電解によるH(H)イオンが少ないため陽極部材5(被処理部材)としてのチタン又はチタン合金の溶解速度が遅くなり、表面に酸化皮膜が形成されてしまい反応が進まなくなる一方、硫酸濃度が80重量%を超えるとチタンの溶解速度が速くなり過ぎ、チタンの溶解が優先的に進んでしまい、チタンの酸化皮膜が形成されにくくなるため5〜80重量%とすることが好ましい。特に硫酸濃度を10〜75重量%とすることが好ましい。
このようなフッ化水素化合物を溶解した硫酸溶液又は電解硫酸Sを処理槽2に満たしたら、直流電源3に接続した被処理部材としての陰極部材4及びチタン又はチタン合金製の薄膜を用いた部材からなる陽極部材5を処理槽2に吊設する。
そして、直流電源3から電流を印加する。これにより、陽極部材5のチタン又はチタン合金製の薄膜に酸化皮膜が形成される一方、フッ化水素化合物のエッチング効果により微細孔が形成される。ここで印加する電流密度は1A/dmよりも低いと安定した制御が困難となる一方、20A/dmよりも高いと電流密度が大きくなりすぎるため、チタン又はチタン合金製の薄膜に形成される孔径が大きくなってしまうばかりか、孔がチューブとなったりする。したがって、電流密度は1〜20A/dm、好ましくは3〜10A/dmである。
この電解処理における硫酸溶液又は電解硫酸Sの温度については、特に制限はないが、硫酸溶液又は電解硫酸Sの温度が10℃未満であると電解硫酸中の酸化剤の効果が十分に発揮されず、十分に酸化皮膜が形成されない一方、50℃を超えると酸化速度が上がってしまい、不動態である酸化皮膜の形成によりチタンの溶解が進まなくなり微細孔を形成しにくくなり、基材であるチタン又はチタン合金製の薄膜を貫通することが困難となるため好ましくない。したがって、好ましい硫酸溶液又は電解硫酸Sの温度は10〜50℃、特に20〜50℃とする。したがって、処理槽2では硫酸溶液又は電解硫酸Sの温度が上述した温度となるように必要に応じて恒温ヒータ(図示せず)により所定の温度に保持することが好ましい。
上述したような電解処理の時間は特に制限はないが30秒未満では、チタンの溶解が不十分で微細孔が形成されにくい。なお、電解処理時間の上限については、あまり長すぎるとチタンの溶解が進み、形成される孔が大きく、不均一となってしまうばかりか、処理効率が低下するため、360秒未満とするのが好ましい、特に処理時間は30〜60秒程度とすることが好ましい。
上述した電解処理により、以下の化学反応によりチタン又はチタン合金製の薄膜が微細孔を有するチタン又はチタン合金の酸化薄膜となる。すなわち、硫酸溶液又は電解硫酸液S中の硫酸とフッ化水素化合物による電解処理により、陽極ではTi3+が溶出し、微細孔を形成する。
Ti+3H→Ti3++3/2H …(1)
電解硫酸液S中に電解硫酸が含まれる場合には以下の反応も進みTiOを形成する。
Ti+2HO→TiO+4H+4e …(2)
チタンまたはチタン合金の陽極酸化処理は式(1)のTiの溶解と式(2)のTiの酸化との競争反応であり、Ti酸化速度とフッ化水素化合物によるTiOのエッチング作用により、酸化皮膜を形成しつつ微細な孔を開けることが可能となる。そして、このフッ化水素化合物の濃度が高すぎる場合や曝されている時間が長いとエッチング作用がTiOの内部に浸透し、内側のチタンも溶解してしまう。これによりチューブ状の弱い酸化皮膜が形成される原因となる可能性が高くなることから、この硫酸溶液又は電解硫酸Sの硫酸濃度及び酸化剤濃度とフッ化水素化合物濃度と電解処理条件については十分に配慮するのが望ましい。
(2段目の電解処理)
さらに、本実施形態においては、上述した硫酸溶液又は電解硫酸Sとフッ化水素化合物とによる1段目の電解処理の後、フッ化水素化合物を用いない電解硫酸Sのみによる2段目の電解処理を行うことが好ましい。
この2段目の電解処理の条件は、基本的に前述した1段目の電解処理と同じでよいが、処理時間については、陽極部材5に用いたチタン又はチタン合金製の薄膜の厚さに応じて適宜設定すればよい。このような2段目の電解処理をフッ化水素化合物を溶解しない電解硫酸液中で行うことにより、チタン又はチタン合金の酸化薄膜に形成された100nm以下の微細孔を安定化することができる。
(封孔工程)
次にこのようにしてチタン又はチタン合金の酸化薄膜に形成した微細孔を封孔する。
封孔工程は、基本的には前述した開孔工程から引き続いて行う。すなわち、開孔工程が完了したら、電流密度を0.1A/dm以下、特に0.05A/dm以下で電解処理を行う。電流密度が0.1A/dmを超えると、エッチング効果も発揮されるため封孔が十分でない。なお、電流密度が、0.01A/dm未満では、封孔効率が悪すぎて時間がかりすぎるため、好ましくない。
この封孔工程の電解処理における硫酸溶液又は電解硫酸Sの濃度及び温度については、特に制限はなく、前述した開孔工程における条件と同じでよい。
上述したような封孔工程の時間は特に制限はないが、5時間未満では十分に微細孔を封じることができない一方、12時間を超えてもそれ以上の封孔効果の向上が得られないばかりか処理効率が低下するため、5〜12時間とすることが好ましい。
上述した封孔処理では、電流密度が微弱であるので、Tiの溶解の溶解(微細孔の形成)は進行しないが、TiOの形成は進行する。
Ti+2HO→TiO+4H+4e …(2)
これにより開孔工程で酸化皮膜に形成された微細孔に酸化チタン(TiO)が蓄積さることで封孔を行い、この結果、厚みのある強度的に優れた酸化皮膜を形成することができる。
以上、本発明の微細孔を封孔したチタン又はチタン合金の酸化薄膜の製造方法について、前記実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は前記実施形態に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、陽極部材5はチタン又はチタン合金製の薄膜を用いていればよく、金属製の電極材の表面をチタン又はチタン合金製の薄膜で覆う形状としてもよい。また、フッ化水素化合物の濃度、硫酸濃度、電流密度、電解硫酸の温度及び電解処理の時間により形成される微細孔の孔径が異なるので、所望とする微細孔に応じて、これらの条件を適宜調整することができる。さらに、2段目の電解処理は必ずしも必要なく、その場合には、封孔工程においてフッ化水素化合物を用いない電解硫酸Sのみによる電解処理を行えばよい。
以下に実施例により本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの記載により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
100mm×100mm×0.04mm(t)の純チタンの試験片を用意し、この試験片を用いて陰極部材4及び陽極部材5を形成し、図1に示す電解処理装置1を構成した。この電解処理装置1の処理槽2に硫酸濃度10重量%、酸化剤濃度10g/L、フッ化アンモニウム濃度0.25重量%の電解硫酸液Sを充填し、温度30℃、電流密度3.5A/dmで40秒間1段目の電解処理を行った。次に2段目の電解処理を、フッ化アンモニウムを溶解することなく1段目と同濃度の電解硫酸のみで60秒行い、開孔工程を完了した。その後、電解硫酸液Sはそのままにして電流密度を0.05/dmに変更し、12時間かけて封孔工程を行った。
この陽極部材5の純チタンの試験片の開孔工程後(封孔工程前)と封孔工程後の表面を電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)で100,000倍に拡大して観測したところ、開孔工程後の陽極部材5の純チタンの試験片には、約20nmの微細孔を有するチタン酸化皮膜が形成されていることが確認できた。一方、封孔工程後の陽極部材5の純チタンの試験片の表面には微細孔は確認されず、孔が埋まっていた。この開孔工程後と封孔工程後の陽極部材5の純チタンの試験片の微細孔の孔径を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、開孔工程の電解処理条件を、硫酸濃度を75重量%に変更した以外は同様にして、純チタンの試験片を処理した。
この陽極部材5の純チタンの試験片の開孔工程後(封孔工程前)と封孔工程後の表面を電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)で100,000倍に拡大して観測したところ、開孔工程後の陽極部材5の純チタンの試験片には、約40nmの孔が形成されたチタン酸化皮膜が形成されていることが確認できた。一方、封孔工程後の陽極部材5の純チタンの試験片の表面には孔は確認されず、孔が埋まっていた。この開孔工程後と封孔工程後の陽極部材5の純チタンの試験片の微細孔の孔径を表1にあわせて示す。
Figure 0006706012
表1から明らかなように硫酸濃度を変化させても微細孔を有する酸化チタン薄膜を製造することができ、この微細孔の封孔が可能であることが確認できた。
1 電解処理装置
2 処理槽
3 直流電源
4 陰極部材
5 陽極部材
S 硫酸溶液又は電解硫酸

Claims (5)

  1. チタン又はチタン合金製薄膜を陽極として、
    フッ化水素化合物を0.5重量%以下溶解した硫酸溶液又はフッ化水素化合物を0.5重量%以下溶解した酸化剤濃度5g/L以上の電解硫酸液中で1〜20A/dmの電流密度で電解処理して微細孔を形成する開孔工程と、
    硫酸溶液又は酸化剤濃度5g/L以上の電解硫酸液中で電流密度を0.1A/dm以下で電解処理して前記微細孔を封孔する封孔工程と
    を行う、微細孔を封孔したチタン又はチタン合金の酸化薄膜の製造方法。
  2. 前記硫酸溶液又は電解硫酸の硫酸濃度が10重量%以上である、請求項1に記載の微細孔を封孔したチタン又はチタン合金の酸化薄膜の製造方法。
  3. 前記フッ化水素化合物が、フッ化アンモニウムである、請求項1又は2に記載の微細孔を封孔したチタン又はチタン合金の酸化薄膜の製造方法。
  4. 前記開孔工程の処理時間が30〜60秒であり、前記封孔工程の処理時間が5〜12時間である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の微細孔を封孔したチタン又はチタン合金の酸化薄膜の製造方法。
  5. 前記開孔工程が、前記フッ化水素化合物を溶解した硫酸溶液又は電解硫酸液による1段目の電解処理と、フッ化水素化合物を溶解しない電解硫酸液中で1〜20A/dmの電流密度による2段目の電解処理とを備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の微細孔を封孔したチタン又はチタン合金の酸化薄膜の製造方法。
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