JP2022083947A - アルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化処理法及び陽極酸化皮膜の封孔処理法 - Google Patents

アルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化処理法及び陽極酸化皮膜の封孔処理法 Download PDF

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Abstract

【課題】アルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の細孔の孔径を小さく、かつ高度に封孔することが可能なアルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化処理法及び陽極酸化皮膜の封孔処理法を提供する。【解決手段】硫酸を電気分解して得られる電解硫酸浴を用いて電流密度1.0~3.0A/dm2で陽極酸化処理し、次いで金属塩とフッ化物とを含む混合浴またはフッ化金属化合物を含む浴を用いて常温封孔処理を行い、さらに加温した水中に浸漬して封孔処理を行う。【選択図】図1

Description

本発明は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化処理法及び陽極酸化皮膜の封孔処理法に関するものである。
アルミニウムまたはアルミニウム合金は私達の身の回りで広く使われている。しかし、空気中においては緻密で安定的な自然酸化皮膜を形成しているものの、その膜厚は2nm程度と非常に薄く、使用環境によっては容易に腐食してしまう。そこで、十分な酸化皮膜を得るために人工的な酸化処理が行われている。
陽極酸化処理後にできた表面には無数の細孔が形成される。この陽極酸化皮膜に存在する細孔は化学的に活性のため、酸素や他の化学物質と反応しやすい状態にあり、耐食性などを向上させるため、封孔処理を施すのが一般的である。この封孔処理方法としては、沸騰水封孔、加圧水蒸気封孔、常温ニッケル封孔、高温ニッケル封孔等が知られている。
アルミニウムまたはアルミニウム合金を陽極酸化処理し、さらに封孔処理する表面処理方法において、耐食性を向上させるため、これまでは陽極酸化処理を検討することよりも封孔処理での見直しに取り組んできた。
特開昭50-117648号公報(特許文献1)では、極性溶媒と金属フッ化物を含有させ耐食性を向上させる常温ニッケル封孔に関する発明が発表され、特開昭56-062991号公報(特許文献2)では陽極酸化皮膜を形成させた後、第1封孔処理として金属塩、アンモニウム誘導体、アミン化合物、水酸化アルカリまたはホウ素化合物のように通常使用されている封孔剤の一種もしくはそれ以上を0.1g/L~飽和濃度の範囲で含む5~80℃の水溶液に浸漬し、次いで、第2封孔処理として60~100℃に加温した水中に浸漬し耐食性を向上させる2段封孔処理法を提供している。
また、アルミニウム合金の陽極酸化皮膜に関する国内規格では、JIS H8601-1968で封孔方法として水和封孔を規定し、JIS H9500-1971及びJIS H9501-1971で加圧水蒸気封孔または沸騰水封孔における処理条件を規定して、沸騰水封孔の場合には封孔助剤の添加を認めている。
特開昭50-117648号公報(特許公報 特許出願公告 昭54-15856) 特開昭56-062991号公報(特許公報 特許出願公告 昭59-52718)
小野幸子ら、表面技術、Vol.66、No.8、p.p.364-371(2015)
上記従来の陽極酸化処理法及び陽極酸化皮膜の封孔処理法では、以下の問題があった。
(1)アルカリ性雰囲気での耐食性に欠ける
(2)発明者らが各種封孔法により封孔したアルミニウム合金のサンプルを35℃10規定塩酸に浸漬し、水素が発生するまでの時間を測定した耐塩酸性試験の結果を図2に示す。図2から明らかなように、現在単独の封孔方法としては加圧水蒸気封孔法が最も信頼性が高いが、それでも約500分で水素が発生している。
(3)上記のように単独の封孔方法としては加圧水蒸気封孔法が最も信頼性が高いが、処理に長時間を要する。さらに、前処理から陽極酸化処理までは自動で処理可能だが、加圧水蒸気封孔装置では、専用の治具に被処理物を載せ替えなければならず、その作業にも時間を要する。
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、アルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の細孔の孔径を小さく、かつ高度に封孔することが可能なアルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化処理法及び陽極酸化皮膜の封孔処理法を提供することを目的とする。
発明者らは、従来のような封孔処理だけに改善を求めるのではなく、陽極酸化処理と封孔処理の両処理について、検討を加えた。
封孔処理は、沸騰水封孔または加圧水蒸気封孔では陽極酸化処理によって生成された無水状態のAl
Al + HO → Al・HO ・・・・・・・(1)
Al + 3HO → Al・3HO ・・・・・・・(2)
の反応に従って水和物に変化し、その際の体積膨張によって細孔を閉塞するというメカニズムである(JIS H8601-1968)。式(1)と(2)は処理温度約80℃を境に、80℃以上では式(1)、80℃以下で式(2)となる。すなわち、封孔処理直後では一水和物で、その後室温で徐々に三水和物まで進むこととなる。
しかし、三水和物まで体積膨張しても、図3に示した細孔の直径17nm程度までしか閉塞できず、17nm以上の細孔を封孔することはできない。そのため、まず発明者らは細孔径を小さくする陽極酸化処理について検討した。
次に、封孔処理法について検討した。図4にアルミニウムのプルベイ線図を、図5にニッケルのプルベイ線図を示す。酸化アルミニウム三水和物(Al・3HO)はpH4.0~8.5で腐食せず安定で、水酸化ニッケル(Ni(OH))はpH9~12で腐食せず安定である。酸性雰囲気及びアルカリ性雰囲気のいずれにも耐食性を持たせるため、下層にアルカリ性雰囲気に強い水酸化ニッケルを常温ニッケル封孔で析出させ、続けて上層に酸性雰囲気に強い酸化アルミニウム水和物を沸騰水封孔で析出させる2段封孔処理をすることとした。
酸化アルミニウム水和物を生成するには加圧水蒸気封孔が最も信頼性が高いが、処理時間の短い沸騰水封孔を採用しても、常温ニッケル封孔と組み合わせることで、十分な耐食性を得る処理法を発明した。
かかる発明(発明1)によれば、陽極酸化処理時の電流密度を小さくすることで細孔の孔径を小さくできることを小野幸子らが報告している。発明者らは硫酸浴を用いて電流密度1.5A/dm以下で陽極酸化処理して細孔を得、次いで金属塩とフッ化物とを含む混合浴またはフッ化金属化合物を含む浴を用いて常温封孔処理を行い、さらに加温した水中に浸漬して封孔処理を行うアルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化処理法及び陽極酸化皮膜の封孔処理法を提供する。
上記発明1においては、硫酸浴の硫酸濃度が10~25重量%であることが好ましい(発明4)。
かかる発明(発明2)によれば、硫酸を電気分解して得られる電解硫酸浴を用いて電流密度1.0~3.0A/dmで陽極酸化処理し、微細孔を得、次いで金属塩とフッ化物とを含む混合浴またはフッ化金属化合物を含む浴を用いて常温封孔処理を行い、さらに加温した水中に浸漬して封孔処理を行うアルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化処理法及び陽極酸化皮膜の封孔処理法を提供する。
上記発明2においては、電解硫酸浴の硫酸濃度が5~40重量%、酸化剤濃度が2~30g/Lであることが好ましい(発明5)。
かかる発明(発明3)によれば、常温封孔処理浴に用いる金属イオンは、ニッケル、コバルトの少なくとも一種を含有させた封孔処理法を提供する。
本発明によれば、アルミニウムまたはアルミニウム合金を陽極酸化しさらに封孔処理する表面処理方法において、まず陽極酸化処理において細孔の孔径が17nm以下になるようにし、さらに常温ニッケル封孔処理、続けて沸騰水封孔することで良好な耐食性を得ることができる。
本発明装置の一例を示す模式的な断面図である。 耐塩酸性試験による各種封孔法の耐食性を比較した図である。 陽極酸化処理後の細孔モデルである。 アルミニウムのプルベイ線図である。 ニッケルのプルベイ線図である。 酸化還元電位の一例である。
以下に、本発明の一実施形態によるアルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化処理法及び陽極酸化皮膜の封孔処理法について、詳細に説明する。
本実施形態のアルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化処理法及び陽極酸化皮膜の封孔処理法は、陽極酸化処理液中で処理して表面に細孔を形成する陽極酸化処理工程とこの陽極酸化処理工程後の細孔表面を封孔処理する封孔工程とを有する。
[陽極酸化処理工程]
<作用機構>
アルミニウムまたはアルミニウム合金は空気中の酸素と化合し、約2nmという薄い自然酸化皮膜が形成されている。この酸化皮膜形態をバリア型酸化皮膜というが、酸化皮膜そのものは電気を通さないので、陽極酸化処理において、絶縁破壊する電圧以上を印加し、細孔を深さ方向に成長させながら酸化皮膜を厚くする。この酸化皮膜形態をポーラス型酸化皮膜という。電圧が低いほど絶縁破壊される箇所の数が少ない、かつ電流密度も低いので、アルミニウムイオンの溶出も少なく、細孔の孔径が小さくなる(非特許文献1)。
絶縁破壊以上の電圧をかけ、電流が流れ始めると
Al → Al3+ + 3e ・・・・・・・・・・(3)
の反応に従ってAlが溶解する。溶出したAl3+は、陽極反応のもう1つの反応(4)で表される水分解反応によって発生する酸素と反応し、Alとなる(式(5))。
3HO → 3(O) + 6H + 6e ・・・・・・・・・・(4)
式(3)と(4)の総括反応は次式(5)となる。
2Al + 3HO → Al + 6H + 12e ・・・・・・・・・・(5)
式(3)からわかるように、流す電流で決まるAlの溶解速度と、溶出したAl3+が式(5)で酸化される速度、すなわち酸化速度のバランスで陽極酸化処理はなされており、酸化速度が速いほど細孔の孔径は小さくなる。
酸化速度は陽極酸化浴の酸化還元電位が高いほど速い。本発明では、硫酸を電気分解して得られる電解硫酸浴を用いる。
硫酸を電気分解すると、硫酸溶液中の硫酸水素イオン(HSO )が式(6)の反応により、
2HSO → 2H + S 2- + 2e ・・・・・・・・・・(6)
図6に示すように高い酸化還元電位を有しているペルオキソ二硫酸(S 2-)が生成される。この電解硫酸浴中で陽極酸化処理すれば、Al3+の酸化速度が速まり、孔径の小さな細孔を得ることができる。
<硫酸浴での処理条件>
陽極酸化処理の温度(処理温度)は、5~30℃が好ましい。処理温度が低過ぎると処理時間が長くなり、高過ぎるとAlの溶解速度が速くなり細孔の孔径が大きくなる。
また、電流密度は1.5A/dm以下が好ましい。電流密度が1.5A/dmを超えるとAlの溶解速度が速くなり細孔の孔径が大きくなる。定電流で陽極酸化するため電圧はなりゆきだが、10~25Vの範囲となる。
また、硫酸濃度は10~25重量%が好ましい。硫酸濃度が低過ぎると細孔が形成されず、高過ぎると細孔の孔径が大きくなる。
<電解硫酸浴での処理条件>
陽極酸化処理の温度(処理温度)は、5~30℃が好ましい。処理温度が低過ぎると処理時間が長くなり、高過ぎるとAlの溶解速度が速くなり細孔の孔径が大きくなる。
また、電流密度は1.0~3.0A/dmが好ましい。電流密度が低過ぎると細孔が開かなくなり、高過ぎるとAlの溶解速度が速くなり細孔の孔径が大きくなる。定電流で陽極酸化するため電圧はなりゆきだが、10~25Vの範囲となる。
また、硫酸濃度は5~40重量%が好ましい。硫酸濃度が低過ぎると細孔が形成されず、高過ぎると細孔の孔径が大きくなる。
<酸化剤の生成>
硫酸を電気分解してペルオキソ二硫酸を得るわけだが、このペルオキソ二硫酸は不安定なため自己分解し、ペルオキソ一硫酸になる。このペルオキソ一硫酸も図6からわかるように高い酸化還元電位を有するので、この両酸化剤を合わせた濃度が2~30g/Lとなるように電気分解する。酸化剤濃度が低過ぎるとAl3+の酸化速度が硫酸浴と同じで、上記の処理条件では細孔の孔径が大きくなる。酸化剤濃度の高いことは陽極酸化処理に何ら悪影響を及ぼさないが、Al3+の酸化速度は十分に速くなっており、これ以上の酸化剤を生成するための電力等コスト面で不利となる。
また、電気分解する方法としては特に制限はない。図1に本発明装置の一例を示す。
[封孔処理工程]
本実施形態においては、封孔処理として、常温ニッケル封孔法と沸騰水封孔法を用いる。図4にアルミニウムのプルベイ線図を、図5にニッケルのプルベイ線図を示す。酸化アルミニウム三水和物(Al・3HO)はpH4.0~8.5で腐食せず安定で、水酸化ニッケル(Ni(OH))はpH9~12で腐食せず安定である。酸性雰囲気及びアルカリ性雰囲気のいずれにも耐食性を持たせるため、下層にアルカリ性雰囲気に強い水酸化ニッケルを常温ニッケル封孔で析出させ、続けて上層に酸性雰囲気に強い酸化アルミニウム水和物を沸騰水封孔で析出させる2段封孔処理を行う。
酸化アルミニウム水和物を生成するには加圧水蒸気封孔が最も信頼性が高いが、処理時間の短い沸騰水封孔を採用しても、常温ニッケル封孔と組み合わせることで、十分な耐食性を得る処理法を発明した。
以下に、常温ニッケル封孔及び沸騰水封孔の処理条件について説明する。
<常温ニッケル封孔での処理条件>
常温ニッケル封孔液については、市販されている封孔液を使用する。その処理条件を参考までに以下に示す。
・封孔液中薬剤濃度:3~7g/L
・処理温度:20~35℃
・処理時間:0.5~2分/μm
・pH:5.2~6.5
<沸騰水封孔での処理条件>
処理液として純水または水道水を使用し、処理温度は90~95℃、処理時間は15~60分が好ましい。
[耐食性評価試験]
<耐アルカリ試験>
JIS H8681-1に示されている耐アルカリ試験の中の「アルカリ滴下試験」を採用した。純水に水酸化ナトリウムを濃度100g/Lになるよう溶解した溶液を、以下の試験条件で
・試験雰囲気温度:35±1℃
・試験面積:約28mm(直径6mm)
・試験液滴下量:約16mg
・試験液滴下間隔時間:5秒
滴下し、気泡が発生するまでの滴下回数で比較できる。発明者らは30回以上を合格としている。
<コロードコート試験>
JIS H8502に示されている耐酸試験の1つで、試験面にコロードコート泥を塗布し、乾燥後湿気槽内に放置して耐食性を調べる試験方法である。
硝酸銅溶液(硝酸銅2.5gを純水に溶解し500mLとする)7mL、塩化鉄六水和物溶液(塩化鉄六水和物2.5gを純水に溶解し500mLとする)33mL及び塩化アンモニウム溶液(塩化アンモニウム50gを純水に溶解し500mLとする)10mLを混合した溶液に、はくとう土30gを加え、均一に混合し、コロードコート泥とする。この泥を試験面に厚さ0.08~0.2mmとなるよう塗布し、温度20±5℃、相対湿度50%以下で1時間乾燥させる。乾燥した試験片は直ちに湿気槽(温度38±2℃、相対湿度80~90%)に入れ、16時間後の腐食率で比較する。発明者らは腐食率10%以下を合格としている。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの記載により何ら限定されるものではない。
図1に示す装置を用いて、電解セルに電流を流さない状態で、アルミニウム-マグネシウム-シリコン系合金A6063板を、硫酸浴を用いて陽極酸化処理し、次いで常温ニッケル封孔及び沸騰水封孔を行った。
<硫酸浴での陽極酸化処理>
処理槽2の仕様及び処理条件は以下の通りである。
・処理槽2の容積:25L
・A6063板(Al板8)の寸法:100mm×50mm×厚さ3mm
・陰極9の寸法:100mm×50mm×厚さ3mm
・陰極9の材質:A1050(工業用純アルミニウム)
・Al板と陰極との距離:20mm
・電流密度:1.3A/dm
・陽極酸化浴
硫酸濃度:15重量%
浴温度:20℃
・処理時間:25分
処理槽2に硫酸濃度15重量%の硫酸溶液を収容し、電解セル6に電流を流さず、循環ポンプを作動させ、処理槽2に陽極としてのAl板8を浸漬し、陰極9との間に電流2.6A(電流密度1.3A/dm)を通じて陽極酸化を開始し、25分間陽極酸化を継続した。その後、表面に陽極酸化皮膜が形成されたAl板8を処理槽2から取り出し、純水で洗浄した後乾燥した。この陽極酸化処理条件を表1に示す。
この陽極酸化皮膜を形成したAl板8に対し、まず常温ニッケル封孔処理し、続けて沸騰水封孔を行った。
<常温ニッケル封孔条件>
・封孔液中ニッケル濃度:5g/L
・処理温度:20℃
・処理時間:20分
・pH:5.7
<沸騰水封孔条件>
・処理温度:90℃
・処理時間:30分
<耐食性試験>
続いて耐食性試験として、耐アルカリ試験及びコロードコート試験を実施した。その結果を表2に示す。
実施例1において、硫酸を電気分解して得られる電解硫酸浴を用いて陽極酸化処理を行い、次いで封孔処理条件は実施例1と同じとして常温ニッケル封孔及び沸騰水封孔を行った。陽極酸化処理条件を表1に、耐食性試験結果を表2に示す。
<酸化剤の生成>
硫酸を電気分解する際の処理条件を以下に示す。
・電解セル6の容積:0.5L
・陽極6A及び陰極6Bの材質:ダイヤモンド電極(直径150mm)
・バイポーラ電極6Cの材質:ダイヤモンド電極(直径150mm)
・電流密度:15.0A/dm
・溶液循環流量:3L/分
<電解硫酸浴での陽極酸化処理>
硫酸浴での陽極酸化処理と異なる処理条件を以下に示す。
・電流密度:2.0A/dm
・硫酸濃度:30重量%
・酸化剤濃度:15g/L
・処理時間:20分
[実施例3~6]
封孔処理条件は実施例1及び2と同じとして、陽極酸化処理条件を表1に示すように種々変更し、耐食性試験を実施した。耐食性試験の結果を表2に合わせて示す。
[比較例1~3]
比較のために、陽極酸化処理条件を実施例2と同じとして、常温ニッケル封孔処理のみで行った(比較例1)。また、沸騰水封孔処理のみで行った(比較例2)。さらに、常温ニッケル封孔と沸騰水封孔の処理の順番を逆に封孔処理を行った(比較例3)。これらの封孔処理法の組合せを表3に、耐食性試験の結果を表2に合わせて示す。
Figure 2022083947000002
Figure 2022083947000003
Figure 2022083947000004
Figure 2022083947000005
表2から明らかな通り、実施例1~4のアルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化処理法及び陽極酸化皮膜の封孔処理法を実施すると、耐アルカリ試験及びコロードコート試験を満足することがわかった。
1 処理装置
2 処理槽
3 直流電源器
4 エアポンプ
5 循環ポンプ
6 電解セル
6A 陽極
6B 陰極
6C バイポーラ電極
8 Al板
9 陰極

Claims (5)

  1. 硫酸浴を用いて電流密度1.5A/dm以下で陽極酸化処理し、次いで金属塩とフッ化物とを含む混合浴またはフッ化金属化合物を含む浴を用いて常温封孔処理を行い、さらに加温した水中に浸漬して封孔処理を行うことを特徴とするアルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化処理法及び陽極酸化皮膜の封孔処理法
  2. 硫酸を電気分解して得られる電解硫酸浴を用いて電流密度1.0~3.0A/dmで陽極酸化処理し、次いで金属塩とフッ化物とを含む混合浴またはフッ化金属化合物を含む浴を用いて常温封孔処理を行い、さらに加温した水中に浸漬して封孔処理を行うことを特徴とするアルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化処理法及び陽極酸化皮膜の封孔処理法
  3. 常温封孔処理浴に用いる金属イオンは、ニッケル、コバルトの少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1及び2に記載のアルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化処理法及び陽極酸化皮膜の封孔処理法
  4. 硫酸浴の硫酸濃度が10~25重量%であることを特徴とする請求項1及び3に記載のアルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化処理法及び陽極酸化皮膜の封孔処理法
  5. 電解硫酸浴の硫酸濃度が5~40重量%、酸化剤濃度が2~30g/Lであることを特徴とする請求項2及び3に記載のアルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化処理法及び陽極酸化皮膜の封孔処理法
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