JP6705408B2 - セパレータ付き電極板の製造装置及びセパレータ付き電極板の製造方法 - Google Patents

セパレータ付き電極板の製造装置及びセパレータ付き電極板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、帯状の電極板の両主面に帯状で樹脂製のセパレータがそれぞれ接着されてなるセパレータ付き電極板を製造するセパレータ付き電極板の製造装置及びセパレータ付き電極板の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池などの電池の電極体を製造するにあたり、帯状の正極板または負極板の両主面に帯状で樹脂製のセパレータをそれぞれ接着して、これらが一体となったセパレータ付き電極板を形成し、その後、このセパレータ付き電極板を切断等して用いる場合がある。このようなセパレータ付き電極板の中には、帯状の電極体のうち幅方向一方側の一方側端縁から、セパレータの一部が幅方向一方側に延出し、かつ、電極板の長手方向に帯状に延びるセパレータ延出部を有するものがある。
なお、関連する従来技術として、例えば特許文献1が挙げられる。この特許文献1には、正極板と負極板とを隔離材(セパレータ)を介して重ねた電極体が開示されている(特許文献1の段落(0061)等を参照)。
特開2006−172777号公報
ところで、セパレータは、セパレータの製造過程で張力が掛けられる。加えて、セパレータを電極板の両主面に接着する際にも、各セパレータに張力が掛けられる。このため、各セパレータは伸びた状態で電極板に接着されるので、セパレータ付き電極板の各セパレータには、収縮しようとする残留応力が生じる。しかし、セパレータのうち電極板と接着した部分は、もはや収縮できないため、残留応力はそのまま残る。一方、セパレータのうちセパレータ延出部は、電極板と接着していないため、セパレータ延出部自身が収縮して反り等の変形が生じる。このような変形が生じると、この帯状のセパレータ付き電極板を所定形状に切断したセパレータ付き電極板を積層するなどして電極体を形成するにあたり、帯状のセパレータ付き電極板や所定形状に切断されたセパレータ付き電極板を搬送する際、変形したセパレータ延出部が機器に引っ掛かるなど搬送不良が生じて、電極体の生産性が低下することが判ってきた。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、セパレータ延出部を有するセパレータ付き電極板を製造するにあたり、セパレータ延出部に変形が生じるのを抑制できるセパレータ付き電極板の製造装置及びセパレータ付き電極板の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の一態様は、帯状の電極板の両主面に帯状で樹脂製のセパレータがそれぞれ接着されてなり、上記セパレータは、上記電極板のうち幅方向一方側の一方側端縁よりも幅方向一方側に延出し、かつ、上記電極板の長手方向に帯状に延びたセパレータ延出部をそれぞれ有し、上記セパレータの上記セパレータ延出部同士は、互いに離間しているセパレータ付き電極板を製造するセパレータ付き電極板の製造装置であって、上記セパレータ付き電極板の厚み方向の両側から、上記セパレータ延出部同士が互いに離間した状態を保ちつつ、上記セパレータ延出部をそれぞれ加熱して軟化させる加熱部を備えるセパレータ付き電極板の製造装置である。
上述のセパレータ付き電極板の製造装置は、上述の加熱部を備えるので、この加熱部によって各セパレータのセパレータ延出部をそれぞれ軟化させることができる。セパレータ延出部を軟化させると、これをなす樹脂の各分子が比較的自由に動くことができるようになり、セパレータ延出部に存在していた残留応力が開放される。これにより、各セパレータ延出部に残留応力によって変形が生じるのを抑制できる。
更に、上記のセパレータ付き電極板の製造装置であって、前記加熱部は、前記セパレータ延出部をそれぞれ非接触な状態で加熱するセパレータ付き電極板の製造装置とするのが好ましい。
加熱部がセパレータ延出部に接触すると、加熱部とセパレータ延出部との摩擦などによりセパレータ付き電極板の搬送に影響を与えることが考えられる。これに対し、上述の製造装置では、加熱部は、セパレータ延出部を非接触な状態で加熱するので、加熱部を設けているにも拘わらず、セパレータ付き電極板の搬送に影響を及ぼすことがない。
更に、上記のいずれかに記載のセパレータ付き電極板の製造装置であって、第1プレスロール、及び、この第1プレスロールと加圧間隙を介して平行に配置された第2プレスロールを有し、上記加圧間隙で、前記電極板の前記両主面に接着層を介して前記セパレータをそれぞれ重ねた積層体を、加圧して一体化させる加圧部と、上記加圧部の上記加圧間隙に向けて、上記セパレータにそれぞれ張力を掛けつつ上記セパレータをそれぞれ送る張力付与部と、を備えるセパレータ付き電極板の製造装置とするのが好ましい。
セパレータ付き電極板は、各セパレータに張力を掛けつつ各セパレータを加圧部に送って、加圧部の第1プレスロールと第2プレスロールとの加圧間隙で、電極板の両主面に接着層を介して各セパレータをそれぞれ重ねた積層体を加圧して形成することが考えられる。その際、各セパレータには張力が掛かっているため、前述のように、各セパレータは伸びた状態で電極板に接着されて一体化する。このため、各セパレータ延出部には、残留応力による反り等の変形が生じ易い。
これに対し、上述の製造装置は、前述の加熱部によって、各セパレータのセパレータ延出部を軟化させることができる。これにより、前述のように、セパレータ延出部に存在していた残留応力を開放できるので、各セパレータに張力を掛けつつ加圧部で加圧してセパレータ付き電極板を形成するにも拘わらず、各セパレータ延出部に残留応力によって変形が生じるのを抑制できる。
他の態様は、帯状の電極板の両主面に帯状で樹脂製のセパレータがそれぞれ接着されてなり、上記セパレータは、上記電極板のうち幅方向一方側の一方側端縁よりも幅方向一方側に延出し、かつ、上記電極板の長手方向に帯状に延びたセパレータ延出部をそれぞれ有し、上記セパレータの上記セパレータ延出部同士は、互いに離間しているセパレータ付き電極板の製造方法であって、上記セパレータ付き電極板の厚み方向の両側から、上記セパレータ延出部同士が互いに離間した状態を保ちつつ、上記セパレータ延出部をそれぞれ加熱して軟化させる加熱軟化工程を備えるセパレータ付き電極板の製造方法である。
上述のセパレータ付き電極板の製造方法は、上述の加熱軟化工程で各セパレータのセパレータ延出部を軟化させる。これにより、セパレータ延出部から、変形の発生要因である残留応力を開放できるので、セパレータ延出部に残留応力によって変形が生じるのを抑制できる。
実施形態に係るセパレータ付き負極板の断面図である。 実施形態に係る電極体の断面図である。 実施形態に係るセパレータ付き電極板の製造装置を示す説明図である。 実施形態に係るセパレータ付き電極板の製造装置のうち、加圧部及び加熱部を示す説明図である。 実施形態に係り、セパレータ付き負極板と加熱部を示す説明図である。 変形形態に係るセパレータ付き電極板の製造装置を示す説明図である。 図1に示したセパレータ付き負極板のうち、各セパレータのセパレータ延出部において、残留応力による変形が生じた様子を示す説明図である。
(実施形態)
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。図1に、本実施形態に係るセパレータ付き負極板(セパレータ付き電極板)1の断面図を示す。また、図2に、このセパレータ付き負極板1を用いて製造した電池の電極体50の断面図を示す。また、図3〜図5に、後述するセパレータ付き電極板の製造装置100を示す。なお、以下では、セパレータ付き負極板1の長手方向BH、幅方向CH及び厚み方向DH、並びに、負極板(電極板)10の長手方向EH、幅方向FH及び厚み方向GHを、図1〜図5に示す方向に定めて説明する。
セパレータ付き負極板1は、図1中、紙面に直交する方向(長手方向BH,図3等を参照)に延びる帯状であり、帯状の負極板10と、帯状で樹脂製の一対のセパレータ20,20と、負極板10の両主面10a,10aと各セパレータ20,20との間に形成され、負極板10と各セパレータ20,20をそれぞれ接着する第1接着層23,23とから構成される。
このうち負極板10は、図1中、紙面に直交する方向(長手方向EH,図3等を参照)に延びる帯状であり、帯状の銅箔からなる負極集電箔11の両主面に、負極活物質層13,13を帯状に設けてなる。これらの負極活物質層13,13には、負極活物質、結着剤及び増粘剤が含まれる。負極板10のうち、幅方向FHの一方の端部(図1中、右側の端部)は、厚み方向GHに負極活物質層13が存在せず、負極集電箔11が厚み方向GHに露出した負極露出部10mとなっている。
セパレータ20は、図1中、紙面に直交する方向に延びる帯状であり、ポリオレフィン(本実施形態では、ポリエチレン)からなる多孔質膜である。このセパレータ20の軟化点は、125℃であり、セパレータ20を125〜140℃に加熱することにより、セパレータ20を軟化させることができる。
負極板10とセパレータ20,20とを接着する各第1接着層23,23は、ポリエチレン粒子とポリエチレン粒子同士を結着する結着剤とからなる多孔質層である。
セパレータ付き負極板1を構成した状態において、各セパレータ20,20は、セパレータ延出部20e,20eをそれぞれ有する。具体的には、セパレータ延出部20eは、負極板10の幅方向FHのうち幅方向一方側FH1の一方側端縁10fよりも幅方向一方側FH1に延出すると共に、負極板10の長手方向EH(図1中、紙面に直交する方向)に帯状に延びる部位である。
次に、上記セパレータ付き負極板1を用いて製造した電極体50について説明する(図2参照)。この電極体50は、概略直方体状であり、複数の矩形状の正極板30と、矩形状に切断された複数のセパレータ付き負極板1xとを、第2接着層25を介して交互に積層してなる。この電極体50は、ハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカー、電気自動車等の車両などに搭載される角型で密閉型のリチウムイオン二次電池内に収容される積層型の電極体である。
このうち正極板30は、それぞれ、矩形状のアルミニウム箔からなる正極集電箔31の両主面に、正極活物質層33,33を矩形状に設けてなる。これらの正極活物質層33,33には、正極活物質、導電材及び結着剤が含まれる。正極板30のうち、図2中、左側の端部は、厚み方向(図2中、上下方向)に正極活物質層33が存在せず、正極集電箔31が厚み方向に露出した正極露出部30mとなっている。
正極板30とセパレータ20,20とを接着する各第2接着層25,25は、第1接着層23と同様に、ポリエチレン粒子とポリエチレン粒子同士を結着する結着剤とからなる多孔質層である。
セパレータ付き負極板1xは、前述のセパレータ付き負極板1を長手方向BHに所定間隔毎に、幅方向CHに切断して矩形状としたものである。このセパレータ付き負極板1xと正極板30とを第2接着層25を介して交互に積層することにより、負極板10と正極板30との間にセパレータ20がそれぞれ配置される。詳細には、負極板10の負極活物質層13とセパレータ20とが第1接着層23により接着すると共に、正極板30の正極活物質層33とセパレータ20とが第2接着層25により接着して、電極体50を構成している。
次いで、前述のセパレータ付き負極板1の製造方法について説明する(図3〜図5参照)。まず、負極板10を用意する。この負極板10は、以下の手法により形成する。即ち、帯状の銅箔からなる負極集電箔11を用意し、その一方の主面に、負極活物質、結着剤及び増粘剤を分散媒と共に混練した負極ペーストを塗布し、加熱乾燥させて負極活物質層13を形成する。また、負極集電箔11の反対側の主面にも同様に負極ペーストを塗布し、加熱乾燥させて負極活物質層13を形成する。その後、この負極板をロールプレス機でプレスして、負極活物質層13,13の密度を高める。これにより、負極板10が形成される。また別途、帯状のセパレータ20,20を用意しておく。
次に、セパレータ付き電極板の製造装置(以下、単に「製造装置」ともいう)100を用いて、負極板10の両主面10a,10aにセパレータ20,20をそれぞれ接着してセパレータ付き負極板1を形成する。まず、本実施形態で用いる製造装置100について説明する。この製造装置100は、負極板供給部110と、第1セパレータ供給部120と、第2セパレータ供給部130と、張力付与部150と、接着層形成部140と、加圧部160と、延出部加熱部170と、巻取部180とを備える。
このうち負極板供給部110には、巻出ロール111に巻かれた帯状の負極板10が取り付けられており、この負極板供給部110から負極板10がその長手方向EH(図3中、左右方向)送り出されるようになっている。
負極板供給部110の上方には、第1セパレータ供給部120が配置されている。この第1セパレータ供給部120には、巻出ロール121に巻かれた帯状のセパレータ20が取り付けられており、この第1セパレータ供給部120からセパレータ20がその長手方向に送り出されるようになっている。
また、負極板供給部110の下方には、第2セパレータ供給部130が配置されている。この第2セパレータ供給部130には、巻出ロール131に巻かれた帯状のセパレータ20が取り付けられており、この第2セパレータ供給部130からセパレータ20がその長手方向に送り出されるようになっている。
張力付与部150は、後述する加圧部160の加圧間隙KG1に向けて、負極板10及び一対のセパレータ20,20にそれぞれ張力を掛けつつ、負極板10及び一対のセパレータ20,20を送る。本実施形態では、張力付与部150は、複数の搬送ロール151,152,153,154,155,156、前述した巻出ロール111,121,131、後述する巻取ロール181等から構成される。
接着層形成部140は、負極板供給部110と後述する加圧部160との間(負極板供給部110の下流で加圧部160の上流)に配置されている。この接着層形成部140は、負極板10の両側の負極活物質層13,13の全面に、ポリエチレン粒子及び結着剤を水に分散させた分散液を塗布する塗布部と、分散液の塗膜を加熱乾燥させて第1接着層23,23を形成する加熱乾燥部とを有する。
加圧部160は、負極板10の両主面10a,10aに第1接着層23,23を介してセパレータ20,20をそれぞれ重ねた積層体3を、加圧して一体化させる部位である。具体的には、加圧部160は、ロール表面161cがステンレス鋼からなる第1プレスロール161と、これに加圧間隙KG1を介して平行に配置され、ロール表面163cがステンレス鋼からなる第2プレスロール163とを有する。これら第1プレスロール161と第2プレスロール163の加圧間隙KG1で、後述するように、負極板10、第1接着層23,23及びセパレータ20,20からなる積層体3を長手方向BHに連続的に加圧して一体化させて、セパレータ付き負極板1を形成する。
加圧部160の下流には、延出部加熱部170が設けられている。この延出部加熱部170は、セパレータ付き負極板1のうち各セパレータ20,20のセパレータ延出部20e,20eをそれぞれ非接触な状態で加熱する。具体的には、延出部加熱部170は、各セパレータ延出部20e,20eをそれぞれ加熱する第1遠赤外線ヒータ171及び第2遠赤外線ヒータ173を有する。
第1遠赤外線ヒータ171は、上側のセパレータ延出部20eの上方に、このセパレータ延出部20eとは所定の間隙KG2(図5参照)を空けて配置されており、上方からこのセパレータ延出部20eを加熱するようになっている。一方、第2遠赤外線ヒータ173は、下側のセパレータ延出部20eの下方に、このセパレータ延出部20eとは間隙KG2と同じ大きさの間隙KG3(図5参照)を空けて配置されており、下方からこのセパレータ延出部20eを加熱するようになっている。なお、これら第1遠赤外線ヒータ171及び第2遠赤外線ヒータ173は、各セパレータ延出部20e,20eを、このセパレータ20の軟化点である125℃以上の125〜140℃に加熱して、セパレータ延出部20e,20eをそれぞれ軟化させることができるように構成されている。
巻取部180は、巻取ロール181を有しており、延出部加熱部170を通過した後、更に複数の搬送ロール155,156で搬送されたセパレータ付き負極板1を、巻き取ることができるように構成されている。
次に、上述の製造装置100を用いたセパレータ付き負極板1の製造方法について説明する。負極板供給部110から搬送された負極板10、第1セパレータ供給部120から搬送されたセパレータ20、及び、第2セパレータ供給部130から搬送されたセパレータ20は、それぞれ加圧部160に向かう。これら負極板10及び一対のセパレータ20,20は、搬送ロール151〜156、巻出ロール111,121,131、巻取ロール181等から構成される張力付与部150により、それぞれ張力が掛けられた状態で、加圧部160の加圧間隙KG1に送られる。
加圧部160の上流において、接着層形成部140の塗布部により、負極板10の両側の負極活物質層13,13の外表面13a,13aの全面にわたって、ポリエチレン粒子及び結着剤を水に分散させた分散液を塗布し、続いて、接着層形成部140の加熱乾燥部により、分散液の塗膜を加熱乾燥させて第1接着層23,23を形成する。
その後、「加圧工程」において、加圧部160の第1プレスロール161と第2プレスロール163の加圧間隙KG1で、負極板10の両主面10a,10aに第1接着層23,23を介してセパレータ20,20がそれぞれ重なった積層体3を、加圧して一体化させて、セパレータ付き負極板1を形成する。具体的には、加圧部160の加圧間隙KG1には、各セパレータ20,20が、負極板10の一方側端縁10fよりも幅方向一方側FH1にそれぞれ延出する一方、負極板10の負極露出部10mが、各セパレータ20,20よりも幅方向他方側FH2に延出する形態で、負極板10、第1接着層23,23及びセパレータ20,20が重なる積層体3が供給される。そして、この積層体3が加圧間隙KG1で加圧されて、セパレータ付き負極板1が形成される。このセパレータ付き負極板1の各セパレータ20,20には、負極板10の一方側端縁10fよりも幅方向一方側FH1に延出し、かつ、長手方向EHに帯状に延びるセパレータ延出部20e,20eがそれぞれ形成される。
なお、各セパレータ20,20は、セパレータ20の製造過程で張力が掛けられる。加えて、各セパレータ20,20と負極板10とを接着する際にも、各セパレータ20,20には張力が掛かっている。このため、各セパレータ20,20は伸びた状態で負極板10に接着されるので、セパレータ付き電極板1の各セパレータ20,20には、収縮しようとする残留応力が生じる。しかし、セパレータ20のうち負極板10の負極活物質層13と接着した部分は、もはや収縮できないため、残留応力はそのまま残る。一方、セパレータ20のうちセパレータ延出部20eは、負極板10と接着していないため、収縮しようとする。
次に、「加熱軟化工程」において、延出部加熱部170によってセパレータ付き負極板1の厚み方向DHの両側からセパレータ延出部20e,20eをそれぞれ加熱して軟化させる。具体的には、セパレータ付き負極板1のうち上側のセパレータ延出部20eは、延出部加熱部170の第1遠赤外線ヒータ171でセパレータ20の軟化点である125℃以上の125〜140℃に加熱されて軟化する。また、セパレータ付き負極板1のうち下側のセパレータ延出部20eは、延出部加熱部170の第2遠赤外線ヒータ173でセパレータ20の軟化点である125℃以上の125〜140℃に加熱されて軟化する。セパレータ延出部20e,20eが軟化すると、これをなす樹脂の各分子が比較的自由に動くことができるようになり、セパレータ延出部20e,20eに存在していた残留応力が開放される。このため、各セパレータ延出部20e,20eが収縮して変形することが抑制される。
ここで、製造装置100が延出部加熱部170を備えない場合について説明する。延出部加熱部170が存在しない場合、各セパレータ延出部20e,20eには残留応力が残ったままであるため、図7に示すように、各セパレータ延出部20e,20eが収縮して反り等の変形が発生する。
これに対し、本実施形態では、上述のように、製造装置100が延出部加熱部170を備え、この延出部加熱部170によって各セパレータ延出部20e,20eが加熱されて軟化するため、前述のように、各セパレータ延出部20e,20eに存在していた残留応力が開放される。これにより、各セパレータ延出部20e,20eに残留応力による反り等の変形が生じるのを抑制できる。
延出部加熱部170を通過したセパレータ付き負極板1は、更に複数の搬送ロール155,156で搬送され、巻取部180において、巻取ロール181に巻き取られる。かくして、セパレータ付き負極板1が形成される。
なお、延出部加熱部170で加熱されたセパレータ延出部20e,20eの熱が次の搬送ロール155に伝わって搬送ロール155が加熱されないように、延出部加熱部170から次の搬送ロール155までは、十分な間隔を設けるのが好ましい。或いは、延出部加熱部170から次の搬送ロール155までの間に冷却装置を設け、冷却装置によりセパレータ延出部20e,20eを冷却してもよい。
なお、上述のセパレータ付き負極板1は、電極体50を製造するにあたり、長手方向BHに所定間隔毎に、幅方向CHに切断して矩形状とする。そして、矩形状とされたセパレータ付き負極板1xに、正極活物質層33,33に第2接着層25,25を形成した矩形状の正極板30を重ねて加圧して、セパレータ付き負極板1xと正極板30とを接着する。これを繰り返して、セパレータ付き負極板1xと正極板30とが交互に積層された前述の電極体50(図2参照)を形成する。
以上で説明したように、セパレータ付き電極板の製造装置100は、セパレータ付き負極板1の厚み方向DHの両側からセパレータ延出部20e,20eをそれぞれ加熱して軟化させる延出部加熱部170を備える。この延出部加熱部170によってセパレータ延出部20e,20eを軟化させると、これをなす樹脂の各分子が比較的自由に動くことができるようになり、セパレータ延出部20e,20eに存在していた残留応力が開放される。これにより、各セパレータ延出部20e,20eに残留応力によって変形が生じるのを抑制できる。
また、延出部加熱部170がセパレータ延出部20e,20eに接触すると、延出部加熱部170とセパレータ延出部20e,20eとの摩擦などによりセパレータ付き負極板1の搬送に影響を与えることが考えられる。これに対し、前述の製造装置100では、延出部加熱部170は、セパレータ延出部20e,20eを非接触な状態で加熱するので、延出部加熱部170を設けているにも拘わらず、セパレータ付き負極板1の搬送に影響を及ぼすことがない。
また、本実施形態では、各セパレータ20,20に張力を掛けつつ各セパレータ20,20を加圧部160に送って、加圧部160の第1プレスロール161と第2プレスロール163との加圧間隙KG1で、負極板10の両主面10a,10aに第1接着層23,23を介して各セパレータ20,20をそれぞれ重ねた積層体3を、加圧して一体化させている。その際、各セパレータ20,20には張力が掛かっているため、各セパレータ20,20は伸びた状態で負極板10に接着されて一体化する。このため、セパレータ延出部20e,20eには、残留応力による反り等の変形が生じ易い。これに対し、前述の製造装置100は、前述の延出部加熱部170によって各セパレータ20,20のセパレータ延出部20e,20eを軟化させる。これにより、各セパレータ延出部20e,20eに存在していた残留応力を開放できるので、各セパレータ20,20に張力を掛けつつ加圧部160でセパレータ付き負極板1を形成しているにも拘わらず、各セパレータ延出部20e,20eに残留応力によって変形が生じるのを抑制できる。
(変形形態)
次いで、上記実施形態の変形形態について説明する。上記実施形態のセパレータ付き電極板の製造装置100(図3参照)は、接着層形成部140を備えており、この接着層形成部140により、前述のように、負極板10の両主面10a,10aに第1接着層23,23を形成する。そして、加圧部160の加圧間隙KG1で、負極板10の両主面10a,10aに第1接着層23,23を介してセパレータ20,20が重なった積層体3を、加圧して一体化させている。
これに対し、本変形形態のセパレータ付き電極板の製造装置(以下、単に「製造装置」ともいう)200(図6参照)は、接着層形成部140の代わりに、接着剤塗布部240及び接着剤硬化部245を備える。
このうち接着剤塗布部240は、負極板供給部110と加圧部160との間に配置されており、負極板10の両側の負極活物質層13,13の全面に、熱硬化性の接着剤をそれぞれ塗布して、未硬化の接着剤層23z,23zをそれぞれ形成するように構成されている。
一方、接着剤硬化部245は、加圧部160のすぐ下流に配置されている。この接着剤硬化部245は、セパレータ付き負極板1の両側から熱風によりセパレータ付き負極板1を加熱し、負極板10と各セパレータ20,20との間の未硬化の接着剤層23z,23zを加熱して硬化させて、第1接着層23,23をそれぞれ形成するように構成されている。
なお、製造装置200のその他の構成は、実施形態の製造装置100と同様である。
次に、本変形形態の製造装置200を用いたセパレータ付き負極板1の製造方法について説明する。加圧部160の上流において、接着剤塗布部240により、負極板10の両側の負極活物質層13,13の外表面13a,13aの全面にわたって前述の接着剤をそれぞれ塗布する。これにより、負極板10の各負極活物質層13,13の外表面13a,13aに未硬化の接着剤層23z,23zがそれぞれ形成される。
その後、「加圧工程」において、加圧部160の加圧間隙KG1で、負極板10の両主面10a,10aに接着剤層23z,23zを介してセパレータ20,20がそれぞれ重なった積層体3を、加圧する。これにより、未硬化の接着剤層23z,23zを有するセパレータ付き負極板1が形成される。なお、このセパレータ付き負極板1の各セパレータ20,20には、実施形態と同様に、セパレータ延出部20e,20eがそれぞれ形成される。
次に、加圧部160の下流において、接着剤硬化部245からの熱風により、セパレータ付き負極板1を両側からそれぞれ加熱して、負極板10と各セパレータ20,20との間の未硬化の接着剤層23z,23zをそれぞれ硬化させる。これにより、負極板10の各負極活物質層13,13と各セパレータ20,20とが第1接着層23,23を介してそれぞれ接着する。なお、本変形形態においても、セパレータ20のうちセパレータ延出部20eは、負極板10と接着していないため、残留応力により収縮しようとする。
次に、実施形態と同様に、「加熱軟化工程」において、延出部加熱部170によってセパレータ付き負極板1の厚み方向DHの両側からセパレータ延出部20e,20eをそれぞれ加熱して軟化させる。これにより、セパレータ延出部20e,20eに存在していた残留応力が開放されるので、各セパレータ延出部20e,20eが収縮して変形することが抑制される。
その後は、実施形態と同様にセパレータ付き負極板1を巻取部180で巻き取る。かくして、セパレータ付き負極板1が形成される。
本変形形態においても、セパレータ付き電極板の製造装置200は、セパレータ付き負極板1の厚み方向DHの両側からセパレータ延出部20e,20eをそれぞれ加熱して軟化させる延出部加熱部170を備える。この延出部加熱部170によってセパレータ延出部20e,20eを軟化させると、セパレータ延出部20e,20eに存在していた残留応力が開放されるので、各セパレータ延出部20e,20eに残留応力によって変形が生じるのを抑制できる。その他、実施形態と同様な部分は、実施形態と同様な作用効果を奏する。
以上において、本発明を実施形態及び変形形態に即して説明したが、本発明は上述の実施形態及び変形形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば、実施形態及び変形形態では、負極板10の両主面10a,10aにセパレータ20,20をそれぞれ接着したセパレータ付き負極板1を、セパレータ付き電極板の製造装置100,200を用いて製造する場合を例示したが、これに限られない。正極板30の両主面にセパレータ20,20をそれぞれ接着したセパレータ付き正極板を、製造装置100,200を用いて製造することもできる。
また、実施形態及び変形形態の製造装置100,200では、第1遠赤外線ヒータ171及び第2遠赤外線ヒータ173により延出部加熱部170を構成したが、これに限られない。遠赤外線ヒータの代わりに、例えば、ハロゲンランプヒータや熱風ヒータなどを用いることができる。
また、実施形態の製造装置100では、接着層形成部140により負極板10の両主面10a,10aに第1接着層23,23を形成したが、これに限られない。接着層形成部を第1セパレータ供給部120と加圧部160との間、及び、第2セパレータ供給部130と加圧部160との間にそれぞれ設けて、各セパレータ20,20のうち負極板10と重なる主面に、第1接着層23,23をそれぞれ形成してもよい。
また、変形形態の製造装置200では、接着剤硬化部245からの熱風によりセパレータ付き負極板1を加熱して、未硬化の接着剤層23z,23zを硬化させたが、これに限られない。例えば、接着剤硬化部を、ロール表面をそれぞれ加熱可能な一対のプレスロールを用いて構成し、このプレスロールでセパレータ付き負極板1を加熱すると共に加圧して、未硬化の接着剤層23z,23zを硬化させてもよい。
1 セパレータ付き負極板(セパレータ付き電極板)
10 負極板(電極板)
10a (負極板の)主面
10f (負極板の)一方側端縁
20 セパレータ
20e セパレータ延出部
23 (負極板とセパレータとを接着する)第1接着層
23z (未硬化の)接着剤層
30 正極板(電極板)
100,200 セパレータ付き電極板の製造装置
150 張力付与部
160 加圧部
161 第1プレスロール
163 第2プレスロール
170 延出部加熱部(加熱部)
171 第1遠赤外線ヒータ
173 第2遠赤外線ヒータ
BH (セパレータ付き負極板の)長手方向
CH (セパレータ付き負極板の)幅方向
DH (セパレータ付き負極板の)厚み方向
EH (負極板の)長手方向
FH (負極板の)幅方向
FH1 (負極板の)幅方向一方側
FH2 (負極板の)幅方向他方側
GH (負極板の)厚み方向
KG1 (第1プレスロールと第2プレスロールの)加圧間隙

Claims (2)

  1. 帯状の電極板の両主面に帯状で樹脂製のセパレータがそれぞれ接着されてなり、
    上記セパレータは、上記電極板のうち幅方向一方側の一方側端縁よりも幅方向一方側に延出し、かつ、上記電極板の長手方向に帯状に延びたセパレータ延出部をそれぞれ有し、
    上記セパレータの上記セパレータ延出部同士は、互いに離間している
    セパレータ付き電極板を製造するセパレータ付き電極板の製造装置であって、
    上記セパレータ付き電極板の厚み方向の両側から、上記セパレータ延出部同士が互いに離間した状態を保ちつつ、上記セパレータ延出部をそれぞれ加熱して軟化させる加熱部を備える
    セパレータ付き電極板の製造装置。
  2. 帯状の電極板の両主面に帯状で樹脂製のセパレータがそれぞれ接着されてなり、
    上記セパレータは、上記電極板のうち幅方向一方側の一方側端縁よりも幅方向一方側に延出し、かつ、上記電極板の長手方向に帯状に延びたセパレータ延出部をそれぞれ有し、
    上記セパレータの上記セパレータ延出部同士は、互いに離間している
    セパレータ付き電極板の製造方法であって、
    上記セパレータ付き電極板の厚み方向の両側から、上記セパレータ延出部同士が互いに離間した状態を保ちつつ、上記セパレータ延出部をそれぞれ加熱して軟化させる加熱軟化工程を備える
    セパレータ付き電極板の製造方法。
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