以下、本願発明に係る物流システムについて、実施の形態を示す図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における物流システム100の概要を示す説明図である。物流システム100では、第1の小売施設1、第2の小売施設2、物流センター3、制御センター4及び輸送機器5を含む。物流システム100では、第1の小売施設1、第2の小売施設2及び制御センター4に通信接続が可能であって、ユーザが使用する端末装置6、第1の小売施設1又は第2の小売施設2の管理者が使用する端末装置7を含んでよい。
第1の小売施設1は例えば、コンビニエンスストア、キオスク、ニューススタンド等の小規模な小売店である。第2の小売施設2は第1の小売施設1よりも大規模な施設であり、即ち第1の小売施設1よりも多くの在庫を抱えることができる店舗である。第2の小売施設2は例えば、総合スーパー(GMS:General Merchandise Store )である。第2の小売施設2は他の例では、食品スーパーである。第1の小売施設1及び第2の小売施設2は以下の説明において、資本関係が共通のフランチャイズチェーン下にあること好ましいが夫々が個別のオーナーによって管理されてもよく、フランチャイザー以外からの物品をも取り扱うことができる。
実施の形態1における物流システム100では、複数の第1の小売施設1間、又は第1の小売施設1と第2の小売施設2との間で在庫をシェアし、必要に応じて在庫を移動させることを可能とし、販売機会損失を防止しつつも食品ロスを解決する。具体的には、図1に示すように、地理的に近い場所に存在する複数の第1の小売施設1と第2の小売施設2とをグループ化して在庫の移動を可能とする。これにより、同じ地区内での商品の売れ行きの微妙な相違による在庫の融通を迅速に実現できる。更に隣接するグループに重複して所属する第1の小売施設1又は第2の小売施設2を介して図1に示すように異なるグループを繋いでもよい。これにより、隣接する地区同士での在庫の融通も可能となる。
第1の小売施設1及び第2の小売施設2への物品は、物流システム100の図示しない基幹部分により製造業者から直接、又はフランチャイザー経由で、パレットP単位により物流センター3に供給される。
物流センター3は、業者間、又は個人間の荷物が物流の基幹部分から集約される箇所である。発明者提案の方法により(特許第6362229号、特許第6362240号)、業者間、個人間、又は製造業者からの荷物等もパレットP単位で混載されて集約されてよい。この場合荷物はまず、製造業者から発明者提案の方法によって拠点センター間を、パレットP単位で配送されている。なお物流センター3までの荷物の到達は発明者提案の方法には限定されず、卸業を経由してもよいし、製造業者が直接的に所有する輸送機器に拠って物流センター3まで配送する仕組みであってもよい。物流センター3では荷物の宛先、配達時間等の情報に基づく荷物の仕分けが行なわれる。物流センター3では、制御センター4にて把握している第1の小売施設1及び第2の小売施設2夫々からの発注に基づく仕分け情報を制御センター4から受け、これに基づき物品が小型コンテナC単位で納入先へ仕分けられる。仕分けられた小型コンテナCは夫々、納入先のグループ毎に輸送機器5へ搬入される。仕分け又は搬入はマテリアルハンドリングシステムの使用により自動化されてもよいし、人手によって行なわれてもよい。
輸送機器5は、制御センター4からの指示に基づき、物流センター3にて搬送すべき小型コンテナCの搬入を受け、第1の小売施設1及び第2の小売施設2へ搬送する。輸送機器5はまた、制御センター4からの指示に基づき、第1の小売施設1及び第2の小売施設2間で移動すべき小型コンテナCを認識し、夫々の施設で搬出搬入を受けて搬送する。
なお、小型コンテナC単位で物品を納入されるのであれば、物流センター3を介さずに、製造業者から直接的に、又はフランチャイザー経由にて第1の小売施設1及び第2の小売施設2へ物品が直接的に搬送されるようにしてもよい。
各々の発注に応じて納入された物品は、第1の小売施設1及び第2の小売施設2にて販売される。しかしながら、需要予測に基づく発注と実際の販売内容とにはズレが発生し、不足又は余剰分が生まれる。物流システム100では、第1の小売施設1及び第2の小売施設2夫々における不足分又は余剰分をリアルタイムに制御センター4で把握し、過不足に応じて輸送機器5へ移動を指示する。
このような在庫の移動を実現するには、一旦第1の小売施設1及び第2の小売施設2へ納入された物品が、購入されない限りは顧客の手に触れられない新品のままであることが担保される必要がある。そこで物流システム100における第1の小売施設1及び第2の小売施設2は、顧客が第1の小売施設1に存在する商品に購入前に直接的に手を触れることがない方法での販売を実現する。以下、第1の小売施設1について説明する。第2の小売施設2は、第1の小売施設1よりも敷地面積が広く規模が大きく、倉庫の構成が規模の大きさに合わせて異なる以外は、特筆すべき構成を有しないため詳細な説明を省略する。
図2は、第1の小売施設1を示す模式斜視図である。第1の小売施設1は、その容積の大部分を顧客が立ち入ることができない倉庫11が占める構成としてある。倉庫11には、管理者、メンテンナンス作業者以外は立ち入ることができず、倉庫11から顧客への購入品の提供も、倉庫11に対する物品の小型コンテナC単位による搬入搬出についても無人により実現されることが望ましい。倉庫11は、自動ピッキングシステムを利用する。図2に示すように第1の小売施設1では、顧客が購入する物品が陳列された「売り場」が基本的には存在しない。したがって、顧客は購入前に商品に直接的に手を触れることはない。これにより、一旦第1の小売施設1に搬入された物品も、新品であることが担保できる。新品であることが担保されているのであれば、上述したような第1の小売施設1から他の第1の小売施設1、又は第2の小売施設2へ在庫の移動が可能になり、新たなリテールシステムが実現できる。
第1の小売施設1には「売り場」が存在しないので陳列作業が不要である。販売は基本的に、図2に示す販売装置13によって自動的に購入物品を受け渡す方法を採用するから、販売スタッフ無しで物品を販売することができる。
第1の小売施設1には「売り場」が存在しないので、品揃えを豊かにして購買意欲を刺激するための過剰な在庫を抱える必要もない。したがって第1の小売施設1を用いることによって新品を担保することができるというだけでなく、その日に売り切ることができる程度の品数を在庫として持てばよくなる。したがって過剰に発注して廃棄しなければならない状況が発生せず、食品ロスの抑制に大きく貢献し得る。なお、施設を無機質なものとなることを回避するため、後述するように品揃えを顧客に認知させるべくディスプレイ15を用いて仮想的な「売り場」の映像を表示させてもよい。
大部分を倉庫11で占めるため、第1の小売施設1では倉庫11の余剰部分を有効利用することも可能である。例えば第1の小売施設1では、製造業者の直販を行なう。倉庫11における小型コンテナCの個数単位で、発注の有無に関係なく、製造業者が自由に販売し、在庫を把握確認できる枠を設ける。更に、倉庫11では顧客宛ての宅配預かりも可能である。物品を小型コンテナC単位で扱うことにより、柔軟な管理が可能である。
図2を参照して第1の小売施設1についてより詳細に説明する。第1の小売施設1は、壁面に覆われて棚10が収容されている倉庫11内に、棚10に収容される小型コンテナCをピッキングするピッキング装置12を備える。倉庫11は小型コンテナC単位で収容する棚10を備える。棚10は、小型コンテナCを収容する大きさの収容部が略水平に縦横に並設するように組立てたフレームを、複数段積層してある。図2の例では棚10は3段で構成され、しかも1段目及び2段目の間、2段目及び3段目の間は、後述するピッキング装置12が走行し動作することが可能な程度に空間が設けられている。図2に示す棚10は、1段ずつにして小型コンテナCをスタッキングせずに夫々の段に対してピッキング装置12を使用する。これにより、第1の小売施設1に足を運んだ顧客がその場で注文した場合であっても直ちに物品を受け渡すことができるようにしてある。
なお棚10の収容部の設計及びピッキング装置12の配置については多様に設計されてよく、図2に示す例に限定されるべきものではない。
ピッキング装置12は、棚10の各段の上を縦横に走行する走行台121,122を含む。各段で走行する走行台121,122の数は自由である。走行台121にはカゴが備えつけられており、走行台122にはピッキングアーム123が備えつけられている。ピッキングアーム123は、棚10の収容部101から小型コンテナCを取り出す動作、小型コンテナCから物品をピッキングして走行台121のカゴに入れる動作、小型コンテナCを収容部101に収容する動作が可能である。また走行台121,122は、棚10の一部に設けられた入出庫部102から搬入された小型コンテナCが昇降台105よって各段に届けられるとこれを受け取り、搬出されるべき小型コンテナCを昇降台105へ受け渡す。昇降台105を介し入出庫部102から搬出されるべき小型コンテナCが取り出し可能になる。
入出庫部102には、輸送機器5から小型コンテナCの搬入が可能である。同様にして入出庫部102から、小型コンテナCを搬出して輸送機器5に搬入可能である。小型コンテナCの入出庫部102と輸送機器5との間の搬入搬出は、人手、例えば輸送機器5のスタッフによって行なわれてもよいし、入出庫部102に設けられるロボットハンドを用いて輸送機器5の荷台からの自動搬入及び自動搬出が可能であってもよい。また、入出庫部102と輸送機器5との間は、小型コンテナCを載せて走行する自律走行ロボットを用いてもよい。
第1の小売施設1の壁面の入出庫部102が設けられている箇所と異なる面に、販売装置13が設けられている。複数段の棚10に亘って昇降する昇降台104が設けられており、走行台121,122は、顧客へ受け渡すべき荷物を収容させた小型コンテナCを昇降台104へ受け渡す。昇降台104に載せられた小型コンテナCは、販売装置13が設定されている高さへ昇降し、販売装置13へ続くベルトコンベア等を用いて販売装置13まで搬送される。販売装置13が、倉庫11の上方に存在する場合は、ベルトコンベア等の水平方向の搬送機構は使用せずともよい。
販売装置13は、受け渡し口131と、受け渡し口131に対応する表示パネル132及び操作部133とを備える。受け渡し口131は、操作部133で顧客が認証されなければ開かない扉を有している。顧客が購入を完了し、操作部133で顧客が認証されると扉が開かれ、受け渡し口131から購入された物品、又は預かり物品が取り出し可能になる。表示パネル132又は操作部133は、複数の受け渡し口131に対して1つ設けられる構成としてもよい。
表示パネル132は、対応する受け渡し口131から物品がトレーと共に出てくることを顧客へ通知するための文字又は画像を表示させる。表示パネル132は、購入金額を表示するものであってもよいし、例えば購入手続きのための二次元バーコードが表示されてもよい。
操作部133は、顧客を識別する情報の入力操作を受け付ける。操作部133は例えばテンキー(物理的ボタン又はタッチパネル)でもよいし、RFIDのリーダであってもよいし、ICリーダであってもよいし、近距離無線通信によって顧客の端末装置6と通信するアンテナを備えた通信モジュールであってもよい。操作部133が支払いを受け付けてもよい。この場合、操作部133には現金投入口及び釣り銭排出口、並びに、電子マネー又は暗号通貨の決済端末が備えられる。
図2の例では販売装置13は、倉庫11と同一の高さの平面に2つ並設されている。販売装置13はこれに限らず、倉庫11から離隔した位置に1つ、又は3つ以上の受け渡し口131を有する構成としてもよい。販売装置13は、車両に乗ったまま購入する所謂ドライブスルー形式であってもよい。
第1の小売施設1は、ディスプレイ15を備えてもよい。ディスプレイ15は一例では、図2に示す如く、第1の小売施設1の周囲に建てられた壁面に設置された大型の液晶パネルを用いたディスプレイである。後述するように第1の小売施設1の倉庫11は、地下に設けられてもよく、その場合には外壁が存在しない。この場合、ディスプレイ15は販売装置13の周辺に別途設けられてもよい。ディスプレイ15は液晶パネルに限らず、他の映像デバイスを用いてもよい。上述したようにディスプレイ15には、第1の小売施設1で購入可能な物品を陳列させた売り場が仮想的に表現されるとよい。実施の形態1においてディスプレイ15はタッチパネルを内蔵する。ディスプレイ15は、表示中の物品が選択されると、選択された物品を識別し、制御装置14へ通知する。例えば図2に示すように、ディスプレイ15には選択操作を行なうための環状のアイコンが表示されており、顧客がアイコンをディスプレイ15上で動かし、所望の物品の画像上で所定時間静止するとその物品が選択されるといった操作が可能である。なおディスプレイ15自体及びタッチパネルも必須ではない。
倉庫11に周辺には第1の小売施設1全体を制御する制御装置14が備えられている。制御装置14は、ピッキング装置12、販売装置13及びディスプレイ15と有線又は無線により通信接続されており、ピッキング装置12の動作、販売装置13の動作、及びディスプレイ15の動作を制御する。
なお図2に示す第1の小売施設1は、1つの倉庫11を持つ構成とした。しかしながらこれに限らず、冷蔵、冷凍等の保管環境別の複数の倉庫11を持つ構成としてもよい。
第1の小売施設1の各部の構成について詳細に説明するがまず、小型コンテナCについて説明する。図3は、小型コンテナCの模式斜視図である。小型コンテナCは、例えば450mm×300mm、深さ300mmである。小型コンテナCは、所謂「オリコン」であり、図3に示すように折り畳みが可能なコンテナであることが好ましい。小型コンテナCには、無線タグTが取り付けられている。無線タグTには小型コンテナCを夫々識別する識別情報が記憶されており、無線タグリーダによって読み取り可能である。小型コンテナCは、外側の寸法が同一であれば、内側はいくつかの種類があってもよい。例えば、図3に示すように、内側に仕切りC2が嵌められるように内壁C1が設けられ、ガラスビン、スチール缶、ボトル類を入れられる種類があってよい。無線タグTには、小型コンテナCに収容される物品を示す情報を、収容されている箇所を区別して記憶するようにしてもよい。仕切りC2を使用した場合の最小単位で番地を割り振り、収容箇所を識別してもよい。例えば、図3に示した仕切りC2によって15箇所に区切ることができる場合、1〜15番の番地を順次振り、ある物品は1から4番地に収容されており、他の物品は5及び10番地を占めているというように収容箇所を識別可能である。
図4は、第1の小売施設1の制御機構の構成を示すブロック図である。第1の小売施設1は、制御装置14と制御装置14からの指示に基づいて動作するピッキング装置12及び販売装置13により動作する。
ピッキング装置12は、走行台121,122夫々に設けられた処理部120と、走行モータの駆動部124、通信部125を備える。ピッキングアーム123が備えられている走行台122には、更にピッキングアーム123のアーム駆動部126、及び撮像部127が設けられている。
処理部120は、CPU(Central Processing Unit )、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサと、メモリ等を用いる。なお処理部120は、プロセッサ、メモリ、更には通信部125を集積した1つのハードウェア(SoC:System On a Chip)として構成されていてもよい。
駆動部124は、走行台121,122の走行モータを駆動する。駆動部124は、縦方向及び横方向のいずれに進行するかの指示に応じて、夫々の方向に沿って設けられているいずれかの車輪を棚10のフレームの上部をレールにして駆動させる。進行しない方向に向いた車輪はフレームの上部に触れないように走行台121,122に引き込まれている。
通信部125は、制御装置14と通信を行なうための通信モジュールを用いる。通信モジュールは例えば、近距離無線通信に対応する。通信部125は、セキュリティ対策が十分にされるべきである。通信部125は、他の通信部125との間でP2P(Peer To Peer)通信を行なう構成としてもよい。
アーム駆動部126は、ピッキングアーム123の複数の関節部分に各々設けられたモータ又はモータ以外の機構(油圧等)へ、処理部120からの指示に基づき駆動信号を出力する。
撮像部127は、ピッキングアーム123の先端部に設けられた撮像素子を用い、収容部101又は収容部101に収容されている小型コンテナCを撮像する。撮像部127にて撮像された画像(又は映像)は、処理部120に入力される。制御装置14へも送信される。撮像部127に替えて、又は更に加えて、無線タグTに対する情報のリーダライタが備えられてもよい。無線タグT内にコンテナ識別情報に加えて内容物を、収容箇所を識別して記憶している場合、処理部120はピッキングの都度、無線タグTに記憶される内容物の情報の書き換えを行なう。
処理部120は、撮像部127で撮像された撮像画像に基づき、小型コンテナC内の物品を識別する画像処理を行なう。物品の画像からバーコードを読み取ってもよいし、物品の画像のパターンマッチングを行なってもよいし、物品の画像に対して深層学習により学習済みの学習モデルを用いて識別してもよい。なお物品の識別は、画像処理に代替して、各物品のパッケージに取り付けられた無線タグをピッキングアーム123の先端に設けられたタグリーダによって実現されてもよい。
販売装置13は、受け渡し口131の扉の開閉、表示パネル132の表示、操作部133における操作の受け付けを制御する制御機構130及び通信部134を備える。制御機構130は、受け渡し口131の扉の開閉を実現するモータを含む駆動回路、表示パネル132、操作部133と接続されている。販売装置13の制御機構130は、PLC(Programmable Logic Controller)を用い、制御装置14からの指示に応じてモータ及び駆動回路、表示パネル132、並びに操作部133との間で信号を入出力する。
通信部134は、制御装置14との通信接続を実現する。通信部134はRS232C等の有線によるシリアル通信モジュールである。無線通信モジュールであってもよい。
制御装置14は、制御部140、記憶部141、入出力部142、第1通信部143、第2通信部144、及び第3通信部145を備える。制御装置14は、UPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)と接続されて設置されるとよい。
制御部140は、CPU又はGPUを用い、内蔵する揮発性メモリ、クロック等を含む。制御部140は、記憶部141に記憶されている小売制御プログラム14Pに基づいた各処理を実行する。制御部140は、記憶部141、第1通信部143、及び第2通信部144を集積した1つのハードウェア(SoC)として構成されていてもよい。
記憶部141は、SSD(Solid State Drive )を用いる。記憶部141はハードディスクを用いてもよい。記憶部141には、第1の小売施設1における在庫情報、販売履歴が記憶されており、制御部140により逐次更新、追記がされる。
入出力部142は、ディスプレイ15との間のインタフェースである。入出力部142は、制御部140から与えられる映像信号及びディスプレイ15の制御信号をディスプレイ15へ出力する。入出力部142は、ディスプレイ15の状態信号及びタッチパネルで検知した操作情報をディスプレイ15から入力する。
第1通信部143は、ピッキング装置12との通信を実現する通信モジュールである。第1通信部143は、ピッキング装置12の通信部125と同一の近距離無線通信プロトコルにより通信接続する。また第1通信部143は、入出庫部102に設けられる小型コンテナCの無線タグTからコンテナ識別情報を読み取るタグリーダ103との通信を実現する。第1通信部143は、昇降台104,105との通信も実現するとよい。制御部140は、第1通信部143によってピッキング装置12及び昇降台104,105へ制御指示を送信し、また、タグリーダ103から小型コンテナCの入庫時、及び出庫時に読み取られたコンテナ識別情報を第1通信部143によって受信する。
第2通信部144は、販売装置13との通信を実現する通信モジュールである。販売装置13との間はRS232C等の有線によるシリアル通信で実現する。第2通信部144は第1通信部143と兼用して無線により販売装置13との間の通信を実現してもよい。
第3通信部145は、制御センター4との通信接続を実現するネットワークカード又は無線通信デバイスである。第3通信部145は、望ましくは専用線を介して制御センター4と通信接続する。第3通信部145は、公衆通信網又は通信業者が提供するキャリアネットワークを介して制御センター4と情報を送受信してもよい。
このように構成される第1の小売施設1における制御装置14による制御について説明する。制御装置14は、棚10の収容部101夫々に収容部識別情報を付与し、収容部101に収容されている小型コンテナCのコンテナ識別情報を在庫情報として記憶部141に記憶している。図5は、記憶部141に記憶されている在庫情報の一例を示す図である。在庫情報は、収容部識別情報とコンテナ識別情報との収容部テーブルと、コンテナ識別情報と該コンテナ識別情報により識別される小型コンテナC内の物品の情報(商品コード、数量、販売期限等)とを示す物品テーブルとを含む。図5の一例における物品テーブルには、フランチャイザーが購入した「S」から始まる商品コードが付与されている物品の情報と、製造業者が直販する「D」から始まる商品コードが付与された物品の情報とが含まれている。また、第1の小売施設1では、物流センター3からの配送品の預かりも収容部101の単位で可能である。したがって、配送品の場合には、配送品であることが識別できる物品識別情報に対応付けて在庫情報が記憶される。このように、倉庫11ではフランチャイザーに対して発注した物品のみならず、製造業者直販の物品についても物品テーブルに含まれ、在庫情報として記憶される。
第1の小売施設1における販売時の処理について説明する。図6は、販売時の処理手順の一例を示すフローチャートである。以下の処理手順は、顧客が第1の小売施設1にてディスプレイ15又は操作部133にて購入する物品を選択操作した場合に実行される。又は、以下の処理手順は、顧客が使用するスマートフォン等である端末装置6にて制御装置14とローカルに通信接続するか、後述するように制御センター4経由により、第1の小売施設1にて購入可能な物品の一覧を含む画面上での選択操作を受け付けた場合に実行される。
制御装置14の制御部140は、ディスプレイ15操作部133又は端末装置6から購入する物品の選択を受け付け(ステップS101)、選択された物品の識別情報(商品コード)及び数量を一時記憶する(ステップS102)。制御部140は、顧客からの注文を識別する情報(例えば番号)を顧客へ通知しておく(ステップS103)。この際に紙媒体を出力するようにしてもよい。
制御装置14の制御部140は、購入された物品夫々の識別情報により、購入対象の物品が入っている小型コンテナCのコンテナ識別情報、及び、収容されている収容部101の収容部識別情報を在庫情報から特定する(ステップS104)。複数の購入物品がある場合には夫々特定する。制御部140は、購入された物品の識別情報及び数量を、夫々について特定した収容部101の収容部識別情報と共にピッキング装置12へ送信する(ステップS105)。
ピッキング装置12は、購入される物品の識別情報及び数量、収容部識別情報を受信すると(ステップS201)、走行台121,122の収容部識別情報により特定される収容部101への移動経路を決定する(ステップS202)。ピッキング装置12は、決定した移動経路により走行台121,122を走行させ(ステップS203)、購入物品の識別情報に基づいて購入物品をピッキングし(ステップS204)、販売装置13の受け渡し口131へ移送し(ステップS205)、全ての物品の搬送を完了すると制御装置14へ通知する(ステップS206)。
制御装置14の制御部140は、受け渡し口131への搬送完了の通知を受け(ステップS106)、受け渡し口131に搬送された物品に対応する注文識別情報を対応する表示パネル132へ出力する(ステップS107)。制御部140は、操作部133にて顧客からの費用の支払い又は支払い済みの認証を確認すると(ステップS108)、受け渡し口131の扉を開けてトレーを排出させ、顧客が物品を取り出すまで待機する(ステップS109)。ステップS108において制御部140は、支払いが完了しているか否かも含め、物品の正当な受け取り主であることの認証に成功した場合にこれを確認してもよい。
制御部140は、顧客が物品を取り出したことを重量センサ、画像センサ等のセンサを用いて検知すると(ステップS110)、トレーを引き込み、扉を閉める(ステップS111)。制御装置14の制御部140は、販売履歴を作成して記憶部141に追記すると共に、在庫情報を更新する(ステップS112)。これにより制御部140は、1回の販売処理を終了する。
ステップS112で作成される販売履歴は、購入1回につき1レコードとして、注文識別情報に対応付けて、購入された物品の識別情報、数量、合計金額、決済に関する情報を対応付けて逐次記憶されるとよい。
このようにして、第1の小売施設1単体で、販売スタッフ無しで物品を販売することができる。そして第1の小売施設1は、図2に示したように、操作部133及び受け渡し口131が顧客からアクセス可能であって、小型コンテナCの入出庫部102が、輸送機器5からアクセス可能であればよい。第1の小売施設1は大半の容積を地下に埋めることも可能であり、例えばコインパーキング等の路面駐車場の地下に倉庫11を埋めた形態とすることができる。都市部での土地の有効活用が可能になる。マンションのような居住可能な高層建物の1階部分から地階を第1の小売施設1とする形態とすることもできる。また、入出庫部102自体が可動式であってもよい。例えば入出庫部102が道路脇に設置されており、輸送機器5が近づいた場合に開錠されて入出庫が可能になるか、又は、埋め込まれており、輸送機器5が近づいた場合にせり上がって入出庫が可能になる構造でもよい。この場合、入出庫部102から倉庫11へ、荷物が地下又は路側に配設された搬送機構を介して搬送されれば、入出庫部102と倉庫11との間が離隔していてもよい。
記憶部141における在庫情報及び販売履歴は、顧客が物品を購入したタイミング、及び小型コンテナCが入出庫部102から納入されたタイミングに逐次、制御部140により更新される。更新の都度、制御装置14が制御センター4へ、第1の小売施設1の識別情報(店舗識別情報)と対応付けて送信する。これにより、各店舗における物品の在庫情報が制御センター4へ集約される。制御センター4にて、いずれの小売施設の倉庫11のいずれの収容部にどのような物品が存在するかを把握することができるようになる。
実施の形態1における第1の小売施設1における物品の発注は基本的に、第1の小売施設1の管理者が所有する専用端末から行なわれてよい。専用端末では後述するように、制御センター4経由で管理する第1の小売施設1の在庫情報を閲覧することができ、また販売履歴のデータの分析も可能である。管理者は1日に1回、又は数回、専用端末から制御センター4へ発注手続き、即ち物品識別情報と数量、納入のタイミング指定を行なうことができる。
制御センター4の機能について詳細を説明する。図7は、制御センター4のサーバ装置40の構成を示すブロック図である。制御センター4には、第1の小売施設1及び第2の小売施設2から情報を集約し、集約した情報に基づいて在庫管理、発注処理及び注文処理を行なうサーバ装置40が存在する。以下、説明を容易にするためにサーバ装置40は、1台のサーバコンピュータであるとする。しかしながら、複数のサーバコンピュータ及び記憶媒体に分散して処理を行なってもよいし、1台の大型コンピュータに仮想的に生成される複数のサーバコンピュータ(インスタンス)の内の1つであってもよい。
サーバ装置40は、ネットワークNを介して第1の小売施設1、第2の小売施設、及び輸送機器5と情報の送受信が可能であることに加え、ネットワークNを介して顧客が用いる端末装置6、又は、第1の小売施設1及び第2の小売施設2の管理者が使用する端末装置7との間で情報の送受信が可能である。サーバ装置40は、リテールDB(Data Base )400に、第1の小売施設1、第2の小売施設2、輸送機器5、端末装置6,7から収集した情報を記録し、情報をここから読み出して各施設又は装置へ向けて送信することが可能である。
サーバ装置40は、制御部41、記憶部42、入出力部44、第1通信部45及び第2通信部46を備える。
制御部41はCPU又はGPUを用い、内蔵する揮発性メモリ、クロック等を含む。制御部41は、記憶部42に記憶されている制御プログラム40Pに基づき各構成部を制御する。
記憶部42は、ハードディスク又はSSDを用いる。記憶部42は、制御プログラム40Pを記憶する。記憶部42にはWebサーバプログラム42Pが記憶されており、制御部41はWebサーバ機能を発揮し、このWebサーバ機能によって後述するように電子商取引の注文を受け付けることが可能である。
入出力部44は、リテールDB400が構築された外部記憶装置との接続インタフェースである。制御部41は、データベース操作モジュールにより、入出力部44を介して外部記憶装置のリテールDBに対する読み書きが可能である。
第1通信部45は、専用線N3における通信を実現する。制御部41は、第1通信部45により、専用線N3を介して第1の小売施設1の制御装置14と、第2の小売施設2の制御装置との間で情報の送受信が可能である。また制御部41は、第1通信部45により、専用端末である端末装置7とも通信接続が可能である。
第2通信部46は、公衆通信網N1又はキャリアネットワークN2における通信を実現する。制御部41は、第2通信部46により、公衆通信網N1又はキャリアネットワークN2を介して顧客が使用する端末装置6との間で情報の送受信が可能である。また制御部41は、第2通信部46により、キャリアネットワークN2を介して輸送機器5に搭載されている車載機又は輸送機器5を運転する運転者が所持する携帯端末装置との間で情報の送受信が可能である。
このように構成されるサーバ装置40は、第1の小売施設1の制御装置14、第2の小売施設2における制御装置と通信接続が可能であると共に、顧客からのネットワーク経由での注文を受け付ける。
リテールDB400は、施設情報401、収容部情報402、在庫情報403、電子商取引情報404を含む。施設情報401は、第1の小売施設1及び第2の小売施設2夫々を識別する情報(店舗番号)に対応付けた施設の住所、管理者の識別情報、管理者の連絡先等の情報である。収容部情報402は、各小売施設の倉庫11の収容部101の情報(数、空き等)を小売施設の識別情報(店舗番号)に対応付けた情報である。在庫情報403は、物品を収容する小型コンテナCのコンテナ識別情報に対応付けて、対応する小型コンテナCに収容された物品の識別情報(商品コード)及び数量、収容先の収容部識別情報の情報を含む。在庫情報403は、収容される物品の識別情報に対応付けて、物品の提供元の情報を含んでもよい。提供元は、物品を製造業者から購入しているフランチャイザー若しくは直販する製造業者であるか、又は、物品が預かり荷物であれば配送業者であるか等である。在庫情報403は、フランチャイザーが製造業者から購入してフランチャイザーの倉庫に保存している物品の物品識別情報、物品の数量、及び所在の情報と、各小売施設における在庫を集約した情報とを含む。各小売施設から集約する情報は、図5に示した物品の識別情報、数量、販売期限を対応付けた小売施設毎の情報である。電子商取引情報404は、サーバ装置40がWebサーバ機能によって電子商取引により販売する際に使用する情報であり、顧客情報及び注文情報を含む。
図8は、顧客が使用する端末装置6の構成を示すブロック図である。端末装置6は例えばスマートフォン等の情報通信端末であり、処理部60、記憶部61、通信部62、表示部63及び操作部64を備える。
処理部60は、CPU又はGPUを用いる。処理部60は、揮発性メモリ、クロック等を用いて構成部を制御する。処理部60はプロセッサ、メモリ、記憶部61、通信部62を集積した1つのSoCとして構成されてもよい。処理部60は、記憶部61に記憶されているアプリプログラム6Pに基づき、制御センター4のサーバ装置40のWebサーバへの通信接続を実行し、サーバ装置40によって提供される電子商取引に係るWebページを介した処理を実行する。
記憶部61は、フラッシュメモリを用い、アプリプログラム6Pを含む処理部60が参照するプログラム及びデータを記憶する。アプリプログラム6PはWebページを取得するためのWebブラウザプログラムを含み、処理部60は、アプリプログラム6Pに基づいてサーバ装置40から提供されるWebページの情報から後述するアプリ画面を表示部63に表示させる。
通信部62は、ネットワークNへの通信接続を実現する通信モジュールである。通信部62は、ネットワークカード、無線通信デバイス又はキャリアネットワークN2における次世代通信用のモジュールであってもよい。
表示部63は、液晶パネル又は有機ELディスプレイ等のディスプレイ装置を用いる。操作部64は、ユーザの操作を受け付けるインタフェースであり、物理ボタン、ディスプレイ内蔵のタッチパネルデバイス、スピーカ及びマイクロフォン等を用いる。操作部64は、物理ボタン又はタッチパネルにて表示部63に表示されている画面上で操作を受け付けてもよいし、マイクロフォンにて入力音声から操作内容を認識し、スピーカで出力する音声との対話形式で操作を受け付けてもよい。
図9は、専用端末である端末装置7の構成を示すブロック図である。端末装置7は例えば、第1の小売施設1及び第2の小売施設2における専用端末として使用されるタブレット願末である。端末装置7は、処理部70、記憶部71、通信部72、表示部73及び操作部74を備える。
処理部70は、CPU又はGPUを用いる。処理部70は、揮発性メモリ、クロック等を用いて構成部を制御する。処理部70はプロセッサ、メモリ、記憶部71、通信部72を集積した1つのSoCとして構成されてもよい。処理部70は、記憶部71に記憶されている専用端末プログラム7Pに基づき、制御センター4のサーバ装置40のWebサーバへ通信接続し、サーバ装置40によって提供されるWebページを介した注文受付処理、解析結果表示処理等を実行する。
記憶部71は、フラッシュメモリを用い、専用端末プログラム7Pを含む処理部70が参照するプログラム及びデータを記憶する。処理部70は、専用端末プログラム7Pに基づいてサーバ装置40から提供される画面情報に基づき専用端末用画面を表示部73に表示させる。
通信部72は、ネットワークNへの通信接続を実現する通信モジュールである。通信部72は、ネットワークカード、無線通信デバイス又はキャリアネットワークN2における次世代通信用のモジュールであってもよい。
表示部73及び操作部74は、端末装置6の表示部63及び操作部74同様のユーザインタフェースであるから詳細な説明を省略する。
このように構成される制御センター4のサーバ装置40と、端末装置6,7を用い、第1の小売施設1及び第2の小売施設2における在庫の移動と、端末装置6を介した販売受け付けの手順について説明する。
まず第1に、第1の小売施設1及び第2の小売施設2に物品を搬入するまでの処理について説明する。物品の小売施設への分配は、各小売施設の管理者が使用する端末装置7からの発注に基づいて行なわれる。
図10は、発注受付処理の手順の一例を示すフローチャートである。図10では、端末装置7、及びサーバ装置40間で実行される処理手順を示す。
端末装置7は、管理者からの発注操作を操作部74にて受け付け(ステップS301)、管理者を識別する情報を対応付けてサーバ装置40へ通信接続する(ステップS302)。
サーバ装置40の制御部41は、端末装置7と通信接続し(ステップS401)、通信接続に対応付けられた端末装置7の管理者の識別情報に基づき、該管理者の第1の小売施設1又は第2の小売施設2の情報をリテールDB400の施設情報401から抽出する(ステップS402)。制御部41は、抽出した小売施設の情報を用いて抽出された小売施設の在庫情報を取得する(ステップS403)。各小売施設にどのような物品がどれほど存在するかの在庫情報は適宜、周期的に第1及び第2の小売施設1,2の制御装置14から送信され、在庫情報403に記憶されているから、ステップS403において制御部41は、在庫情報403から対象となる小売施設の在庫情報を抽出する。又は、制御部41はステップS403において、対象の第1の小売施設1又は第2の小売施設2の制御装置14に在庫情報の送信依頼を送信し、制御装置14からの応答によって対象の小売施設の在庫情報を取得してもよい。
制御部41は、端末装置7の管理者が管理する第1の小売施設1又は第2の小売施設2における取得した現在の在庫情報に基づいて、在庫内容を示す画面情報を作成し(ステップS404)、作成した画面情報を通信接続中の端末装置7へ送信する(ステップS405)。
端末装置7の処理部70は、画面情報を受信し(ステップS303)、受信した画面情報に基づき在庫を示す画面を表示部73に表示する(ステップS304)。ステップS304で表示される画面は、物品の種別毎の在庫の数を数値で示した表を含むか、又は、物品の画像(イラスト)を在庫の数だけ表示させた画像を含んでもよい。後者の場合、端末装置7を使用する管理者は仮想的に棚卸し作業を行なうようなイメージで在庫を確認することができる。なおステップS304にて表示部73に表示される画面は、サーバ装置40で自動的に行なわれる需要予測に基づき導出される発注すべき物品と発注数とを含んでもよい。
処理部70は、在庫を示す画面に引き続き表示されるか、又は在庫を示す画面と共に表示される発注画面にて、発注品と数量を含む発注を受け付け(ステップS305)、受け付けた発注を通信部72からサーバ装置40へ送信する(ステップS306)。ステップS305で表示される発注画面には、フランチャイザーが製造業者から購入した物品のみならず、製造業者直販の物品が発注可能に表示されるとよい。製造業者直販の物品は、サーバ装置40がリテールDB400にて製造業者からの直販依頼を元に記憶している。
サーバ装置40の制御部41は、発注を受信し(ステップS406)、発注情報として一時的に、発注元の端末装置7の管理者が管理する第1の小売施設1又は第2の小売施設2の識別情報と対応付けて記憶部42に記憶し(ステップS407)、処理を終了する。制御部41は、小売施設の管理者の端末装置7からの発注に限らず、フランチャイザーからの分配指示を受け付けてもよい。なお端末装置7からは発注情報(何を発注したか)が参照できるように制御部41は、受け付けた発注の内容を通知するようにしてよい。
図11は、発注情報に基づく物品の搬入指示の処理手順の一例を示すフローチャートである。サーバ装置40の制御部41は、一日の内に数回等の所定のタイミングに従って以下の処理手順を実行し、フランチャイザーからの物品の搬入と、第1の小売施設1及び第2の小売施設2間での在庫の移動とを実現する。
制御部41は、各小売施設の管理者が使用する端末装置7から受信して記憶してある発注情報を記憶部42から読み出す(ステップS411)。制御部41は、発注情報が示す発注対象の物品及びその数量と、発注対象の物品が収容されているフランチャイザーの倉庫、又は小売施設の場所とに基づいて、フランチャイザーの倉庫又は小売施設から移動させる物品を決定する(ステップS412)。制御部41は、決定した物品を搬送する輸送機器5及び搬送経路を決定する(ステップS413)。
ステップS412において制御部41は、フランチャイザーの倉庫における在庫情報に加え、同一グループ内の他の小売施設における在庫情報と、同一グループ内の他の第1の小売施設1又は第2の小売施設2から受け付けている発注に基づいて決定するとよい。制御部41は、製造業者からの直販依頼、直販品の保管場所(例えば物流センター3)等を考慮して決定するとよい。ステップS413にて制御部41は例えば、移動させる物品及び搬送経路を一旦仮決定し、発注された物品がより早く各小売施設に搬入されるように移動させる物品、輸送機器5、及びその搬送経路を、仮決定を繰り返して最適化する。制御部41は例えば、同一グループ内の他の小売施設の在庫としてある物品の数が所定数以上で余っている等の条件によって、他の小売施設の在庫から優先して移動させる物品を仮決定したり、一旦輸送機器5の位置情報及び輸送機器5の輸送能力(空き)に応じて配分したりして最適化するとよい。なおステップS412、S413にて決定した物品、又は経路等は、次のタイミングにて変更されて再決定されてもよい。
ステップS412及びS413における決定処理は、回帰分析を利用して最適な経路を決定してもよい。回帰分析に限らず、深層学習を用いた学習によって最適な経路を導出できるようにしてあるもモデルを用いて決定してもよい。
制御部41は、決定した物品が収容されている物流センター3、フランチャイザーの倉庫又は各小売施設の制御装置14へ、ピッキングすべき物品の識別情報及び搬出タイミングと共に搬出を指示する(ステップS414)。制御部41は、対応する輸送機器5へ、搬送経路及び搬出された物品が収容される予定の小型コンテナCのコンテナ識別情報を指示する(ステップS415)。
図12及び図13は、発注に基づく在庫移動処理手順の一例を示すフローチャートである。図12は、サーバ装置40からの指示を受信した小売施設における移動対象の物品の搬出処理を示す。
第1の小売施設1又は第2の小売施設2における制御装置14は、制御センター4のサーバ装置40から送信された搬出指示を受信する(ステップS121)。制御装置14の制御部140は、受信した指示に含まれるピッキングすべき物品の識別情報が示す物品が収容されている小型コンテナCのコンテナ識別情報と、小型コンテナCが収容されている収容部101の収容部識別情報とを特定する(ステップS122)。制御装置14の制御部140は、指示された搬出タイミングに応じて適宜、特定したコンテナ識別情報、収容部識別情報、及びピッキングすべき物品の識別情報を含む指示を、ピッキング装置12へ第1通信部143から送信する(ステップS123)。制御部140は、ピッキングした物品を収容して搬出される小型コンテナCを決定し(ステップS124)、決定した小型コンテナCが収容されている収容部101の収容部識別情報と共に、ピッキングした物品の収容をピッキング装置12へ指示する(ステップS125)。
ピッキング装置12は、ピッキングの指示を受信し(ステップS211)、指示された収容部識別情報が示す収容部101へ移動し(ステップS212)、収容部101に収容されている小型コンテナCのコンテナ識別情報を確認する(ステップS213)。ステップS213において収容部101に収容されているはずの小型コンテナCが異なる場合には移動を中止して制御装置14へ通知するなど異常処理を行なうとよい。
ピッキング装置12は、ステップS213で確認した小型コンテナCから、指示された物品を取り出すと共に(ステップS214)、撮像部127で小型コンテナC内部を撮像する(ステップS215)。ピッキング装置12は、取り出した物品を、収容すべき小型コンテナCへ移送し(ステップS216)、小型コンテナCに収容し(ステップS217)、収容完了通知と共にステップS215で撮像した撮像画像を制御装置14へ送信する(ステップS218)。
制御装置14の制御部140は、収容完了通知及び撮像画像を受信し(ステップS126)、収容完了通知及び撮像画像に撮像されている物品の認識結果により、在庫情報における小型コンテナC毎の収容物品の情報(物品テーブル)を更新する(ステップS127)。制御部140は、サーバ装置40から受信した指示に含まれる物品全てについて収容されるべき小型コンテナCへの移送が完了したか否か判断する(ステップS128)。完了していないと判断された場合(S128:NO)、制御部140はステップS122からS127の処理を、完了したと判断されるまで繰り返し実行する。
ステップS128にて完了したと判断された場合(S128:YES)、制御部140は、入出庫部102におけるタグリーダ103により、搬出される小型コンテナCのコンテナ識別情報を検知する(ステップS129)。制御部140は、搬出された小型コンテナCに収容された物品を、記憶部141の在庫情報から削除して更新し(ステップS130)、処理を終了する。
第1の小売施設1又は第2の小売施設2の制御装置14の在庫情報から削除された物品の情報は、輸送機器5で移動中の在庫情報として、制御センター4のリテールDB400にて記憶される。
そして輸送機器5は、指示された搬送経路にて各小売施設からピッキングされた小型コンテナCを収集して搬送すると共に、収集された小型コンテナCを夫々の移動先の小売施設へ移動し、搬入する。
図13は、第1の小売施設1又は第2の小売施設2における移動在庫の物品の搬入処理の手順を示す。図13のフローチャートに示す処理は基本的には、図12のフローチャートに示した手順を遡って実行する手順に相当する。
第1の小売施設1又は第2の小売施設2における制御装置14は、サーバ装置40から送信された搬入予定を受信する(ステップS131)。搬入予定には、搬入される予定の小型コンテナCのコンテナ識別情報に対応付けて、収容されている物品の識別情報が含まれている。制御部140は、受信した搬入予定の小型コンテナCの搬入を、入出庫部102のタグリーダ103により検知すると(ステップS132)、搬入予定に含まれている収容されている物品の識別情報毎に、自倉庫11における収容先を決定する(ステップS133)。なお搬入予定には、物品の識別情報に対応付けて物品の属性情報が含まれており、制御部140は、属性情報(要冷蔵であるか、預かり品であるか等)に応じて、収容先を決定するとよい。なお属性情報には、フランチャイザーからの物品か、直販の物品かが含まれていてもよい。制御部140は、搬入された物品に対して決定した収容先への移送をピッキング装置12へ指示する(ステップS134)。
ピッキング装置12は、移送の指示を受け付け(ステップS221)、搬入された小型コンテナCから物品を取り出し(ステップS222)、収容先の小型コンテナCの収容部101へ移送する(ステップS223)。ピッキング装置12は、収容先の収容部101に収容されている小型コンテナCのコンテナ識別情報を確認する(ステップS224)。
ピッキング装置12は、ステップS224で確認した小型コンテナCへ、指示された物品を収容すると共に(ステップS225)、撮像部127で小型コンテナC内部を撮像する(ステップS226)。ピッキング装置12は、収容完了通知と共にステップS226で撮像した撮像画像を制御装置14へ送信する(ステップS227)。
制御装置14は、収容完了通知及び撮像画像を受信し(ステップS135)、収容完了通知及び撮像画像に撮像されている物品の認識結果により、記憶部141の在庫情報における小型コンテナC毎の収容物品の情報(物品テーブル)を更新する(ステップS136)。ステップS136にて搬入された物品の識別情報が制御装置14の記憶部141の在庫情報に追加されると、移動中の在庫情報として制御センター4のリテールDB400にて記憶されていた情報は削除される。
制御部140は、搬入された小型コンテナCに収容されていた物品全ての倉庫11への収容が完了したか否かを判断する(ステップS137)。完了していないと判断された場合(S137:NO)、制御部140はステップS134からS136の処理を、完了したと判断されるまで繰り返し実行する。ステップS137にて完了したと判断された場合(S137:YES)、制御部140は処理を終了する。
各制御装置14では在庫情報の更新の都度に、サーバ装置40へ在庫情報を送信する。このようにして制御センター4のサーバ装置40における決定に基づいて、物品が顧客に触れられることなしに自動的に移動し、いずれかの小売施設で購入、又は受け取りが可能になる。
小売施設間の小型コンテナC単位で物品を移送する輸送機器5について詳細を説明する。図14は、輸送機器5を後部から見た模式図である。輸送機器5は図14に示すように例えば搬送トラックである。輸送機器5は、小型コンテナC単位で物品を搬送するためにフレーム51を荷台内部に設けている。フレーム51は、小型コンテナCを複数収容可能な多段棚である。図14では4段の棚を構成するフレーム51を長手方向に所定の間隔をあけて並設させている。所定の間隔には、スタッカークレーンを用いた搬送装置(図示省略)が設けられている。所定の間隔にベルトコンベアが敷設されていてもよい。搬送装置は、車長方向に走行可能であり、且つ車高方向に昇降可能であって、フレーム51により構成される棚の収容部間で小型コンテナCを自由に移動することができる。つまり輸送機器5の荷台内部には、マテリアルハンドリングシステム(以下、マテハンシステムという)50が収容されている。輸送機器5の荷台内部には、搬送装置の走行及び昇降を制御する制御端末装置53が設けられている。制御端末装置53は、荷台の収容部を夫々識別し、収容部に収容されている小型コンテナCのコンテナ識別情報と対応付けて記憶する。
図15は、輸送機器5におけるマテハンシステム50の制御機構の構成を示すブロック図である。マテハンシステム50の制御機構は、制御端末装置53と、制御端末装置53からの指示を受けて動作する搬送装置54とを含む。
制御端末装置53は、例えばPLCを用い、制御部530と、記憶部531、入出力部532及び通信部533を備える。
制御部530は、PLCのプロセッサであり、記憶部531に記憶してある情報に基づいてマテハンシステム50を制御する。
記憶部531は、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶媒体を用い、制御部530から書き込まれる情報、又は制御部530が読み出す情報を書き換え可能に記憶する。記憶部531には、荷台内の収容部の識別情報と、夫々の荷台内における位置情報との組みあわせが記憶してある。また記憶部531には、収容部の識別情報と、収容部に収容されている小型コンテナCのコンテナ識別情報との対応関係が記憶され、逐次収容状況に応じて更新される。
入出力部532は、搬送装置54と接続されるインタフェースである。入出力部532は搬送装置54と接続されるPLCコネクタであってもよいし、無線によって制御信号を送信するためのモジュールであってもよい。制御部530は入出力部532を介して制御に係る信号を搬送装置54との間で送受信する。
通信部533は、制御センター4との通信接続を実現する無線通信デバイスである。通信部533は、通信業者が提供するキャリアネットワークを介して制御センター4と無線により情報を送受信する。
制御部530は、記憶部531に記憶してある情報に基づき、通信部533にて受信する指示に基づいて搬送装置54の走行、昇降及び移載動作を制御する。
搬送装置54は、走行モータを含む走行機構541、昇降モータを含む昇降機構542及び移載機543を含み、制御端末装置53からの指示に応じて車長方向の走行制御、車高方向の昇降制御、停止、停止時の移載動作を制御する。
このように構成される輸送機器5は、制御センター4から、搬送経路と、経路上の小売施設から搬出される予定であって、輸送機器5自身に積み込まれるべき小型コンテナCのコンテナ識別情報との指示を受けて、積み込みを受け、空いている収容部又は予定しておいた収容部に収容する。輸送機器5に収容されている間も、小型コンテナC単位で、いずれの輸送機器5の、荷台内のいずれの収容部に収容されているかを識別することが可能である。そして制御端末装置53は、外部、例えば制御センター4からの指示を受けて積み下ろし時に自動的に、後部に設けられる搬入出口から小型コンテナCを搬出することが可能である。また積み込み時も、搬入出口から搬入された小型コンテナCを引き込んで荷台内に自動的に取り込むことができる。更にマテハンシステム50は、搬送装置を用いて小型コンテナCを積み下ろし順に合わせて荷台内で整理することもできる。
上述の実施の形態1では、フランチャイザーにて製造業者から購入した物品の小売施設への分配は、各小売施設からの専用端末である端末装置7からの発注処理に基づいて行なわれる構成とした。なお制御センター4のサーバ装置40が過去の各小売施設における在庫の推移、各小売施設周辺におけるイベントの有無等の情報に基づく需要予測にしたがって自動的に分配してもよい。
次に、制御センター4が提供する電子商取引サービスについて説明する。顧客は、制御センター4が提供する電子商取引サービスにより、製造業者直販の物品、又はフランチャイザーを経由した物品を注文し、第1の小売施設1又は第2の小売施設2で受け取ることが可能である。図16及び図17は、制御センター4における電子商取引の処理手順の一例を示すフローチャートである。顧客が端末装置6を使用して、アプリプログラム6Pを選択して実行すると、以下の処理が開始される。
端末装置6の処理部60は、アプリプログラム6Pに対応付けて記憶してある顧客のログイン情報と共にサーバ装置40の電子商取引サービスへ通信接続を要求する(ステップS501)。
サーバ装置40は、通信接続の要求を受信すると(ステップS601)、通信接続する(ステップS602)。制御部41は、共に受信したログイン情報に基づき顧客情報を、リテールDB400の電子商取引情報404から参照し(ステップS603)、参照した顧客情報に基づき、顧客の利用を推奨する第1の小売施設1又は第2の小売施設2を抽出する(ステップS604)。ステップS604において制御部41は、顧客情報に含まれる住所又は居所から所定距離以内に存在する第1の小売施設1又は第2の小売施設2、顧客の現在地情報が分かる場合には現在地から所定距離以内に存在する第1の小売施設1又は第2の小売施設2を抽出するとよい。ステップS604において制御部41は、顧客が利用したことがある第1の小売施設1又は第2の小売施設2を記憶しておき、抽出してもよい。
制御部41は、参照した顧客情報に基づき、顧客情報に含まれる住所を宛先とする配送品が物流センター3に存在するか否かを判断する(ステップS605)。存在すると判断された場合(S605:YES)、制御部41は、配送品の配送識別番号、配送の依頼主、内容物等の情報を物流センター3から取得する(ステップS606)。ステップS605にて存在しないと判断された場合(S605:NO)、制御部41は、ステップS606の処理を省略し、次の処理へ進める。
制御部41は、電子商取引サービスにおける販売物品の一覧を表示させる画面の画面情報を作成して端末装置6へ送信する(ステップS607)。なおステップS607で作成される画面には、顧客に対する販売履歴(電子商取引情報404)に基づくレコメンド商品を含む販売対象の物品の一覧と共に、ステップS604で抽出された第1の小売施設1又は第2の小売施設2の一覧が含まれるとよい。また、ステップS605で配送品が存在する場合に、ステップS607で作成される画面には、その配送品の情報が含まれる。
端末装置6は、画面情報を受信し(ステップS502)、表示部63に画面情報に基づく画面を表示させる(ステップS503)。図18は、端末装置6に表示される画面の一例を示す図である。図18は、ログインした後に表示される画面例を示している。ログイン後に表示される画面630には図16に示すように、顧客に対して推奨される商品の一覧と、サーバ装置40の電子商取引サービスにて購入可能な商品のカテゴリーの一覧が含まれている。画面630には更に、顧客情報に含まれる住所の情報に基づき取得された顧客又は顧客の家族宛ての配送品情報の表示画面631と、顧客情報に含まれる属性情報に基づき抽出された第1の小売施設1又は第2の小売施設2の一覧を示す受け取り店舗選択画面632とが表示される。
図16及び図17のフローチャートに戻り説明を続ける。端末装置6の処理部60は、表示した画面にて、購入する物品の選択を受け付けると(ステップS504)、選択された物品の情報をサーバ装置40へ送信する(ステップS505)。
サーバ装置40の制御部41は、選択された物品の情報を受信する(ステップS608)。制御部41は、受信した物品に関する移動在庫を含む在庫情報と、ステップS604で抽出した第1の小売施設1又は第2の小売施設2における在庫情報とに基づいて受け取り可能な第1の小売施設1又は第2の小売施設2を抽出する(ステップS609)。ステップS609にて制御部41は、ステップS604で抽出した第1の小売施設1又は第2の小売施設2に含まれない小売施設を抽出してもよい。例えば制御部41は、選択された物品全てが最も早く入手できる小売施設を最も優先して抽出してよい。
制御部41は、抽出した第1の小売施設1又は第2の小売施設2毎に、選択された物品の受け取り可能な時刻、ステップS605にて配送品が存在する場合には、その配送品の受け取り可能な時刻を導出する(ステップS610)。ステップS610において制御部41は、抽出した第1の小売施設1又は第2の小売施設2毎に、選択された物品がその施設の倉庫11に在庫としてあるか、ない場合には他の小売施設又は物流センター3から移動させる所要時間を算出し、時刻を導出する。制御部41は、配送品についても抽出した第1の小売施設1又は第2の小売施設2毎に、物流センター3からの移動の所要時間を算出するとよい。
制御部41は、抽出した第1の小売施設1又は第2の小売施設2の一覧を、夫々における物品の受け取り可能な時刻と共に示す画面を作成し、端末装置6へ送信する(ステップS611)。ステップS611で作成される画面は、受け取る物品毎に異なる時刻が共に表示されてもよい。また制御部41は、全てを一度に受け取る場合の割引額を算出して画面に含めてもよい。
端末装置6の処理部60は、画面情報を受信して画面を表示部63に表示させ(ステップS506)、表示させた画面上で、受け取る小売施設及び受け取り時刻の選択を受け付ける(ステップS507)。処理部60は、選択された小売施設及び受け取り時刻に応じた費用での決済を受け付け(ステップS508)、決済情報と共に選択された小売施設及び時刻の情報をサーバ装置40へ送信する(ステップS509)。
図19は、端末装置6の表示部63に表示される画面630の一例を示す図である。図19の画面例では、選択された物品の決済手続き前のカートの内容を表示している。画面630には配送品情報の表示画面631及び受け取り店舗選択画面632が含まれている。そして、決済手続き前の画面630には図19に示すように、選択された物品の一覧を表示する購入商品一覧633が含まれ、物品夫々について受け取ることができる小売施設の選択肢が表示されている。また、画面630には、受け取り方法の選択肢を表示する受け取り方法選択部634が含まれている。図19の例に示す受け取り方法選択部634には、物品夫々を各々受け取るか、全ての物品を同一タイミングでいずれかの小売施設で受け取るか、又は、全ての物品の指定住所までの配送を依頼するかの選択肢が含まれている。また、受け取り方法選択部634には、選択肢毎の最短の受け取り可能時刻が表示されている。なお図19の画面例では、全ての物品を同一タイミングで同一の小売施設で受け取ることが選択された場合、割引額(又は付与されるポイント)が共に表示される。割引額又は付与されるポイントは、待ち時間の長さに応じて決定されるとよい。図19に示す画面630にて注文ボタン635が操作部64にて選択されると、注文情報が端末装置6からサーバ装置40へ送信される(S509)。
図16及び図17のフローチャートに戻り、説明を続ける。サーバ装置40の制御部41は、決済情報と共に選択された小売施設及び時刻の情報を受信し(ステップS612)、決済手続きを実行する(ステップS613)。制御部41は、注文を識別する情報を発行して(ステップS614)、注文識別情報に対応付けて注文情報を作成し(ステップS615)、リテールDB400に記憶する(ステップS616)。制御部41は、注文識別情報と注文完了の通知を端末装置6へ送信する(ステップS617)。この後、購入が続く場合はそのまま通信接続が維持され、端末装置6がアプリプログラム6Pを使用しない間は、端末装置6とサーバ装置40との間の通信接続が切断される。
端末装置6は、注文完了の通知を受信すると(ステップS510)、表示部63に注文識別情報を表示させ(ステップS511)、一回の販売処理を終了する。
図16及び図17のフローチャートで示した処理手順の内、ステップS504で物品の選択を受け付ける前に、顧客は先に小売施設を選択してもよい。この場合、端末装置6が選択された小売施設の情報をサーバ装置40へ送信する。サーバ装置40では制御部41が、選択された第1の小売施設1又は第2の小売施設2における他の顧客を含む顧客からの販売履歴に基づいて、推奨すべき商品を抽出して物品の一覧を含む画面を作成し、端末装置6へ送信してよい。この画面にて端末装置6で改めて物品の選択がされるとよい。
サーバ装置40の制御部41は、作成してリテールDB400に記憶した注文情報に基づき、発注情報に基づく処理同様に、図10のフローチャートに示した物品の搬入指示の処理を行なう。これにより、各小売施設においても第1の小売施設1又は第2の小売施設2における移動在庫の物品の搬入処理が実行される。そして購入対象の物品が購入時に選択された第1の小売施設1又は第2の小売施設2に搬入されると、以後、その小売施設にて図6のフローチャートにおけるステップS103以降の処理が実行され、顧客は第1の小売施設1又は第2の小売施設2にて、事前に注文して決済した物品を受け取ることができる。
図16及び図17のフローチャートに示したように、実施の形態1における物流システム100では、顧客が注文した物品は、顧客が受け取り可能な第1の小売施設1又は第2の小売施設2へまとめられる。そして物流センター3に到着済み、又は到着予定の顧客宛ての荷物さえも名寄せが可能である。図19に示したように、次の段階では、顧客自身が第1の小売施設1又は第2の小売施設2へ赴くことなしに、顧客宛ての物品を第1の小売施設1又は第2の小売施設2へ保管しておき、顧客が確実に受け取れるタイミングに輸送機器5又は配送専用の機器にて顧客の居所までまとめて配送することも容易になる。確実に顧客へ物品を届けることができる場合、割引額又は付与されるポイントが他よりも更に高く設定されていてもよい。保管先の第1の小売施設1又は第2の小売施設2を、顧客の居所から最寄りの小売施設とすることにより、顧客へ届ける最後の輸送の負荷を軽減することができる。入手できるタイミングの早さ、割引額の多少に応じて画面上で選択肢を色別に表示して判断しやすく表示させるとよい。
なお図19における画面630では、顧客が購入する物品を選択した場合、選択された物品がカートに入れられると共に、最初に選択した物品が最も早く入手できる小売施設が抽出された小売施設から選択されるとよい。
図16−図19を参照して説明した電子商取引サービスにおける物品の受け取り方法の選択では、第1の小売施設1及び第2の小売施設2が、同一のフランチャイズに加盟している状態でそのフランチャイズチェーンにおける物品の購入について説明した。しかしながら、上述の配送手段の名寄及び受け取り方法の選択は同一のフランチャイズチェーンでの電子商取引に限らずともよい。例えば、本実施の形態の物流システムを利用する通信販売サービス業者、小売サービス業者が管理する電子商取引サービスにおいて、欲しいものを選択した後、購入画面へ遷移した際に配送オプションとして制御センター4のサーバ装置40との間で連携させるとよい。具体的には以下のようにするとよい。サーバ装置40は、図16及び図17のフローチャートにおけるステップS608の処理において、外部の電子商取引サービスのサーバ装置から、該サービスで購入予定の物品の物流センター3への搬送予定の情報を受け取るとよい。購入予定の物品が制御センター4で管理している場合には、制御センター4が、選択された購入予定物品の存在場所、いずれの物流センター3へ搬送予定であるかを検索してもよい。以後、受け取り方法に第1の小売施設1又は第2の小売施設2のみならず、他の荷物とまとめて業者によって自宅への配送を選択することを可能として配送方法(まとめて受け取るのか)の選択肢を、電子商取引サービスへ返す。又は、ステップS608において、外部の電子商取引サービスにおける購入手続き中の配送方法の選択画面にて、サーバ装置40への接続が行なわれ、時刻に応じた割引又はポイントの付与を決定後に、サーバ装置40は決済処理(注文確定)を電子商取引サービスへ戻すとよい。顧客宛ての他の荷物の情報等が電子商取引サービスへ漏れずに済むようにすることが望ましい。
そして、第1の小売施設1及び第2の小売施設2の制御装置14で逐次更新される在庫情報は、サーバ装置40が管理するリテールDB400の在庫情報403にリアルタイムに記憶されている。在庫情報は、グループ毎に販売履歴と共に集約して、フランチャイザーのグループ責任者、地域担当者が閲覧することができるようにしてもよい。また、製造業者直販の在庫情報は、製造業者の担当者へ提供されてよい。
図20は、在庫情報の開示処理手順の一例を示すフローチャートである。在庫情報の確認は、小売施設の管理者、製造業者担当者が用いる端末装置6又は端末装置7を用いて、在庫情報の開示を要求する。以下の処理は、製造業者担当者が用いる端末装置6からの開示要求に対するサーバ装置40の処理を示す。
サーバ装置40はリテールDB400、又は記憶部42に、第1の小売施設1又は第2の小売施設2にて物品を直販する製造業者の担当者の識別情報、担当者の連絡先等の製造業者情報を記憶している。
サーバ装置40の制御部41は、製造業者の担当者が使用する端末装置6からの通信接続を受けると(ステップS451)、通信接続に対応付けられている製造業者担当者の識別情報(ログイン情報)により、製造業者を特定する(ステップS452)。制御部41は、リテールDB400の在庫情報403から、ステップS452で特定した製造業者の直販物品の在庫情報、販売履歴を抽出する(ステップS453)。制御部41は、抽出した在庫情報及び販売履歴を製造業者担当者が使用する端末装置6へ送信する(ステップS454)。
図20のフローチャートに示した処理手順により、製造業者の担当者は直販の物品の小売施設における在庫を直接的に把握することができる。製造業者の担当者は、在庫情報及び販売履歴を確認し、これまで直販の物品の発注をした第1の小売施設1又は第2の小売施設2の管理者へ継続的に、発注の促進活動を行なうことができる。
実施の形態1に示した構成により、新品であることの担保と、複数の小売施設での在庫の共有が実現する。第1の小売施設1及び第2の小売施設2では、過剰な在庫を抱えることがなく、陳列のための在庫も必要が無いから、小売施設1及び第2の小売施設2の管理者からは一日で売り切る程度の発注がされることになる。したがって、食品ロスが軽減される。更に、ある小売施設では需要がないが、他の小売施設では需要がある商品について、新品が担保されているために移動が可能であり、事前に注文を受け付けておくことで顧客が受け取りに来るまでに必要な物品を搬入してくことができ、販売機会の損失が低減する。在庫の移動が可能であり、配送品までも物流センター3から各小売施設へ移動することも容易であるから、顧客が注文した商品をいずれかの小売施設でまとめて受け取ることができる。したがって、顧客にとっても複数の配送業者から物品を受け取らずに1つの小売施設にて、日用品等と共に受け取ることができるから利便性が高く、また、配送業者の再配達の負担も軽減される。ラストワンマイルにおける物品の送達の確実性が高まる。
第1の小売施設1を、居住区を持つマンションのような建物の1回又は地下に設けることで、住人は第1の小売施設1又は第2の小売施設2にて物品を購入することができるほか、自分宛の配送物品の受け取りを行なうことができる。従来、コンビニエンスストアでの荷物の受け取りは店員を介して行なわれてきたが、第1の小売施設1及び第2の小売施設2は基本的に、無人で物品の受け取りが行なわれるため、ユーザの満足度を向上させることができる。また、受取人の不在による再配達の発生を防ぎ、配送資源(人員、エネルギー)の無駄を抑制することができる。なお後述するように第1の小売施設1及び第2の小売施設2はスペースの大半を倉庫とするため、これまでコンビニエンスストアでの荷物預かりには確保スペースに制限があったところ、収容部の空きがあれば可能である。
更には、制御センター4にて、第1の小売施設1及び第2の小売施設2夫々における在庫情報を集約してリアルタイムに把握することができる利点がある。制御センター4は販売履歴についても集約し、第1の小売施設1及び第2の小売施設2夫々における解析用データの作成を行なうこともできる。物品夫々については、在庫情報を追跡することによって、いずれの経路で顧客までたどり着いたかの情報を辿ることができ、トレーサビリティが向上する。解析データは、図20のフローチャートで示したように、第1の小売施設1及び第2の小売施設2の管理者夫々が端末装置6,7から閲覧することができるようにしてもよい。
(実施の形態2)
実施の形態1では、第1の小売施設1及び第2の小売施設2の各管理者からの発注に基づいて制御センター4から物品の分配を行なった。実施の形態2では、制御センター4のサーバ装置40が、自律的に第1の小売施設1及び第2の小売施設2における在庫の最適化処理を行なう。また実施の形態2では、製造業者の直販物品について、制御センター4における自動マッチングにより、製造業者からはいずれの小売施設で販売するかを決定し、小売施設側としては倉庫11における空き収容部における販売機会を有効活用する。
図21は、実施の形態2における制御センター4の構成を示すブロック図である。実施の形態2における制御センター4のサーバ装置40は、記憶部42にマッチングプログラム43Pを記憶している。マッチングプログラム43Pは、管理者が用いる端末装置7と、製造業者の担当者が用いる端末装置7とを夫々クライアント装置として、ボットによるマッチングシステムを実現する。
実施の形態2におけるリテールDB400には、施設情報401、在庫情報403、電子商取引情報404に加え、マッチング情報405が記憶される。マッチング情報405は、製造業者側の担当者の識別情報に対応付けた製造業者の属性情報を含む。属性情報は、製造業者が提供する物品の特徴、販売実績、販売された物品に関するSNS(Social Network Service)における発信情報等が含まれてもよい。他の物品との相関関係が含まれてもよい。製造業者に限らず、農家、酪農家、漁業者、作家等からの直販のマッチングを行なってもよい。
図22は、実施の形態2におけるマッチングシステムの概要を示す図である。サーバ装置40は、インターネットをクロールすることで得られる製造業者の情報を、マッチング情報405に蓄積する。サーバ装置40は、マッチング情報405に記憶される製造業者の情報と、施設情報401の情報とに基づいて、製造業者の販売機会と、小売施設側の収容部とをマッチングさせる。つまり制御センター4にて製造業者に新たな販売機会を提案すると共に、小売施設における収容部の稼働を効率化させる。
マッチングシステムにおけるサーバ装置40はマッチングプログラム43Pに基づき、実施の形態1にて説明した新たなリテールシステムと同時並行的に、製造業者側及び小売施設側夫々の立場における販売機会増加と倉庫11の稼働効率化との実現を図る装置として機能する。マッチングシステムは、サーバ装置40とは異なる装置で実現されてもよい。また以下に示す機能は、製造業者が管理する他の装置又は端末装置7と、小売施設の管理者が管理する端末装置7又は制御装置14とで分散されてもよい。
マッチングプログラム43Pには、情報調査部431、調査結果に基づき戦略を立てる戦略立案部432、及び、戦略に基づいて問い合わせ又は応答を実行する営業処理部433が含まれている。
制御部41は、情報調査部431を読み出して実行することによって、情報クローラ441として機能し、インターネット上に開示されている製造業者及び小売施設に関する情報を収集調査する。調査内容は、製造業者の業者間の相関、販売物品間の相関等を含む。調査内容は、原材料の市場調査、加工品の市場調査等を含んでもよい。情報クローラ441は、調査結果をリテールDB400のマッチング情報405に記憶する。
制御部41は、製造業者毎に戦略立案部432を読み出して実行することにより、各々の戦略ボット442として機能し、製造業者について収集した情報に基づく事業戦略を立案し、販売物品、個数、販売時期、販売地域等の販売条件を決定する。戦略ボット442は、予め製造業者毎の事業情報(業績、売り上げ実績、企業情報等)を元に、SWOT分析、PEST分析等に基づくモデルデータを元に、製造業者が販売している商品、立案時期等を入力した場合に、上述の販売条件を出力するべく学習してある学習モデルであってよい。学習モデルは深層学習又は回帰分析によって、各種販売条件に対する重み係数を学習しておいてもよい。販売条件の決定は、月単位、又は週単位等の所定の時間単位で実行される。
制御部41は、小売施設毎に戦略立案部432を読み出して実行することにより、小売施設夫々の戦略ボット443として機能し、小売施設の販売履歴、他の小売施設の在庫情報等に基づく事業戦略を立案し、販売品種、販売時期等の小売条件を決定する。戦略ボット443は戦略ボット442同様に、小売施設の実績を元にSWOT分析、PEST分析等に基づくモデルデータを元に、小売施設の倉庫11における在庫情報及び立案時期を入力した場合に、小売条件を出力するべく学習してある学習モデルであってもよい。学習モデルは深層学習又は回帰分析によって、各種販売条件に対する重み係数を学習しておいてもよい。小売条件の決定は、月単位、又は週単位等の所定の時間単位で実行される。
なお戦略ボット442,443に代替して管理者又は担当者が端末装置7を用いて販売条件、小売条件等を設定してもよい。
制御部41は、製造業者毎に営業処理部433を読み出して実行することにより、各々の営業ボット444として機能し、製造業者の販売条件に基づいて販売依頼先の第1の小売施設1又は第2の小売施設2を選択して販売依頼を出し、販売先を決定する処理を行なう。
制御部41は、第1の小売施設1又は第2の小売施設2毎に、営業処理部433を読み出して実行することにより、各々の営業ボット445として機能する。小売施設側の営業ボット445は、小売施設の立地、収容部101の空き状況等の情報と、販売すべき物品の品種等の小売条件とに基づいて製造業者側からの販売依頼のいずれを受けて入荷するかを決定する処理を行なう。
図23は、マッチングシステムとしての処理手順の一例を示すフローチャートである。制御部41は営業ボット444,445として、任意のタイミングで以下の処理を実行する。制御部41は営業ボット444,445として、1週間若しくは1ヶ月等の所定の期間毎に、又は、対応する第1の小売施設1又は第2の小売施設2における収容部101の空きが所定の割合以上になったタイミングで以下の処理を実行する。
制御部41は、製造業者側の営業ボット444として、販売条件に基づいて、施設情報401に含まれる各小売施設の立地、各小売施設の販売履歴、収容部情報402に基づく空き情報に基づき、販売依頼先の候補となる第1の小売施設1又は第2の小売施設2の識別情報を抽出する(ステップS701)。制御部41は、抽出した識別情報に対応する第1の小売施設1又は第2の小売施設2の施設情報を含む候補通知を担当者の端末装置7へ送信する(ステップS702)。制御部41は、端末装置7を介した選択又は承認を受け付ける(ステップS703)。端末装置7では担当者は、候補の第1の小売施設1又は第2の小売施設2のいずれかを選択するか、抽出された候補の第1の小売施設1又は第2の小売施設2全てについて承認する操作を行ない、これにより端末装置7は選択又は承認をサーバ装置40へ送信する。ステップS703に対する処理は担当者に代替して、戦略ボット443が選択又は承認するようにしてもよい。
制御部41は、選択又は承認された候補である第1の小売施設1又は第2の小売施設2に対する依頼内容を作成し(ステップS704)、担当者の端末装置7へ送信して依頼内容の確認、又は修正を受け付ける(ステップS705)。ステップS704において制御部41は、依頼内容をテキスト、即ち依頼先の管理者が可読な状態のデータとして作成するとよい。なお、後述するように小売施設側の営業ボット445へは販売条件のパラメータを示す数値として通知してもよい。
制御部41は、確認又は承認後の依頼内容を、候補の第1の小売施設1又は第2の小売施設2に対応する営業ボット445へ通知する(ステップS706)。
制御部41は、小売施設側の営業ボット445として、製造業者側の営業ボット444からの通知を受信し(ステップS801)、それまでに受信した通知に含まれる販売元の候補からいずれかを対応する小売条件に基づいて抽出する(ステップS802)。制御部41は、抽出された販売元の候補を担当者の端末装置7へ送信し(ステップS803)、端末装置7を介して担当者から選択又は承認を受け付ける(ステップS804)。端末装置7では第1の小売施設1又は第2の小売施設2の管理者は、販売内容を選択するか、抽出された販売元全てについて承認する操作を行ない、これにより端末装置7は選択又は承認をサーバ装置40へ送信する。ステップS804に対する処理は担当者に代替して、戦略ボット442が選択又は承認するようにしてもよい。
制御部41は、選択又は承認された販売元に対する返信内容を作成し(ステップS805)、管理者の端末装置7へ送信して内容の確認、又は修正を受け付ける(ステップS806)。ステップS805おいて制御部41は、変身内容をテキスト、即ち販売元の担当者が可読なデータとして作成するとよい。数値情報のみであってもよい。
制御部41は、確認又は承認後の返信内容を、選択された販売元に対応する営業ボット444へ通知する(ステップS807)。
制御部41は、販売依頼と返信内容とのマッチングにより発注情報を作成し(ステップS808)、発注情報をリテールDB400に記憶し(ステップS809)、処理を終了する。以後、記憶された発注情報に基づいて図11のフローチャートに示した処理手順が実行される。なお製造業者からの直販物品であるから物流センター3に物品が搬入される予定に基づいて搬出経路の決定、搬出指示等が行なわれる。
制御部41は、製造業者側の営業ボット444,445により、販売元の担当者と第1の小売施設1又は第2の小売施設2における管理者との両者の承認が得られて確定するまで、ステップS701−S706、ステップS801−807の処理が繰り返されるとよい。結果的に承認が得られるマッチングがゼロであってもよい。
図23のフローチャートに示した処理手順は、製造業者側の営業ボット444からの小売施設の抽出(S701)から開始されたが、逆に、小売施設側の営業ボット445からの販売元の抽出(S802)から開始されてもよい。
図24は、管理者の端末装置7の表示部73に表示される画面例を示す図である。図24は、製造業者側の営業ボット444からの依頼内容の通知を受け、承認又は選択を受ける際に表示される画面例を示している。図24に示すように、製造業者の営業ボット444から通知された依頼内容に含まれる販売条件等の一覧が表示されており、管理者はいずれか希望する依頼内容を選択することができる。
このようなマッチングシステムにより、製造業者(第1次産業事業者を含む)にとっては意外と思われる地域での物品の販売機会を得ることができ、第1の小売施設1又は第2の小売施設2としても未知の物品を販売して顧客の選択肢を増加させ、満足度を向上させることが期待できる。
サーバ装置40の制御部41は、このようなマッチングシステムを利用して収容部101を効率的に稼働させるに際し、効率的な搬送経路があるか否かの判定を逐次行なってマッチングの評価を行なってもよい。制御部41はその他、収容部101の空きが多い小売施設、例えば大規模な第2の小売施設2への一時的な物品の搬入を自律的に決定し、在庫を移動させながら効率的な搬送を探索してもよい。
サーバ装置40の制御部41は更に、マッチングシステムのみならず、第1の小売施設1又は第2の小売施設2の倉庫11の販売場所、預かり場所としての占有権(チケット)及びその予約の販売を、収容部101単位で行なってもよい。例えば農家が野菜等を販売する場所として、第1の小売施設1又は第2の小売施設2の倉庫11の一部を借り受けることができる。
図25は、収容部101の占有権の販売手順の一例を示すフローチャートである。制御部41はWebサーバ機能により、顧客の端末装置6又は製造業者の端末装置7からのチケット購入リクエストに応じて、以下の処理手順を実行する。
制御部41は、リクエストを受信したタイミングで購入可能な収容部を有する第1の小売施設1又は第2の小売施設2を、収容部情報402の収容部101の空き情報に基づいて抽出する(ステップS901)。ステップS901において制御部41は、倉庫11全体における物品の収容率が所定の割合以下である第1の小売施設1又は第2の小売施設2を抽出するとよい。
制御部41は、抽出された第1の小売施設1又は第2の小売施設2の識別情報を端末装置6又は端末装置7へ、それらの小売施設の立地、収容部101の数の規模の情報と共に送信し(ステップS902)、選択を受け付ける(ステップS903)。
制御部41は選択された第1の小売施設1又は第2の小売施設2の識別情報に対応付けて、占有期間、占有目的の情報を受け付け(ステップS904)、受け付けた占有期間に収容部101に収容される小型コンテナCを顧客又は製造業者へ割り当てる(ステップS905)。制御部41は、割り当てた小型コンテナCのコンテナ識別情報を端末装置6又は端末装置7へ通知し(ステップS906)、処理を終了する。制御部41は、割り当て処理(S905)の後、占有に対する対価の支払いを受けてからコンテナ識別情報を通知してもよい。
これにより、一般の顧客又は製造業者が、フランチャイザーと共に第1の小売施設1又は第2の小売施設2の倉庫11をシェアすることが可能になる。なお一般の顧客は、倉庫11を預かり場所として使用してもよく、通知されたコンテナ識別情報にて識別される小型コンテナCを指定して物品の移動及び保管を制御センター4に依頼してもよい。製造業者の販売場所として利用される場合、制御部41は、選択された第1の小売施設1又は第2の小売施設2における小型コンテナCへの搬入依頼を受け付けるとよい。搬入依頼には、物流センター3への物品の到着時刻等が含まれるとよい。占有権のチケット販売を通して、第1の小売施設1又は第2の小売施設2の管理者へ、販売依頼が通知され、以後、図23のフローチャートに示した処理手順におけるステップS702以降の処理が実行されてもよい。需要供給に合わせ、需要が高い倉庫又はグループにおける収容部には高い値段を付与するなど需要の分散を図るとよい。
またサーバ装置40は、一旦占有権を購入した顧客又は製造業者から、他の小売施設への移動のリクエストを受け付けるようにしてもよい。売れ残った物品の他への移送、又は回収を可能とする。また、占有されている収容部101の小型コンテナC内の物品の販売方法(単価、宣伝内容)について、サーバ装置40で適宜更新を受け付けることができるようにしてあることが望ましい。
実施の形態1及び2に示したように、小売施設を、顧客が購入前の物品に触れないような構成として新品であることを担保できるとによって、小売施設間の在庫の移動が可能となり在庫を最適化して食品ロスを軽減することが可能になる。更に在庫の移動を自動的に可能とするために各小売施設では物品の搬入搬出を自動化している。在庫の移動が可能となることで、販売物品のみならず配送品を併せて移動させたとしても効率性が低下せず、顧客がまとめて受け取ることができて利便性も向上する。自動化のため、倉庫を、物品が収容される小型コンテナCを収容する収容部101単位で区切ることで、迅速な搬入搬出が可能となる。収容部101単位で区切られたことで、収容されている物品の所在のトレースが容易であるから倉庫11のシェアも可能になる。倉庫11の稼働率を最適化することも容易になる。
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。