以下、本発明の一実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るコンピュータネットワークの全体構成の一例を示す図である。図1に示すように、インターネットなどのコンピュータネットワーク16には、いずれもコンピュータを中心に構成された登記情報データ管理システム10、登記申請情報データ提供システム12、登記情報提供システム14が接続されている。
登記情報データ管理システム10は、例えば不動産業者や金融機関などといったユーザが利用するコンピュータシステムである。本実施形態に係る登記情報データ管理システム10には、例えばユーザの顧客が所有する不動産の登記情報や、当該ユーザが関係する法務局の管轄する地域に属するすべての不動産の登記情報などといった登記情報が登録されている。なお以下の説明では、登記情報データ管理システム10には、ユーザの顧客が所有する不動産の登記情報のデータが登録されていることとする。
図1に示すように、登記情報データ管理システム10には、制御部10a、記憶部10b、通信部10c、出力部10d、入力部10eが含まれる。
制御部10aは、例えばCPU等のプログラム制御デバイスであって、記憶部10bに記憶されたプログラムに従って各種の情報処理を実行する。
記憶部10bは、例えばROMやRAM等の記憶素子やハードディスクドライブなどである。記憶部10bには、制御部10aによって実行されるプログラムなどが記憶される。
通信部10cは、例えばコンピュータネットワーク16を介して登記申請情報データ提供システム12や登記情報提供システム14との間でデータを授受するための通信インタフェースである。登記情報データ管理システム10は、通信部10cを経由して登記申請情報データ提供システム12や登記情報提供システム14との間で情報の送受信を行う。
出力部10dは、例えば制御部10aから入力される指示に従って情報を表示出力するディスプレイ等の表示部や音声出力するスピーカ等の音声出力部である。
入力部10eは、例えばユーザが行った操作の内容を制御部10aに出力するゲームコントローラ、タッチパッド、マウス、キーボード、マイク等である。
登記申請情報データ提供システム12は、例えば法務局で管理されている不動産登記受付帳の記載内容に相当する登記申請情報がデータとして登録されたコンピュータシステムである。登記申請情報データ提供システム12は、例えば登記情報データ管理システム10等のコンピュータシステムからの要求に応じて、要求された登記申請情報のデータを当該コンピュータシステムに提供する。
登記情報提供システム14は、例えば一般財団法人民事法務協会などによる登記情報提供サービスを提供するコンピュータシステムである。登記情報提供システム14は、例えば登記情報データ管理システム10等のコンピュータシステムからの要求に応じて、要求された不動産登記全部事項等の登記情報を当該コンピュータシステムに提供する。
本実施形態に係る登記情報提供システム14は、不動産登記全部事項の情報を、例えばPDF形式のファイルで登記情報データ管理システム10に提供する。そして本実施形態では登記情報データ管理システム10が、当該ファイルに対してテキスト化処理を実行する。そして本実施形態では、テキスト化処理により生成されたテキストの内容に応じた登記情報のデータが登記情報データ管理システム10に登録される。
図2A〜図2Dは、登記情報データ管理システム10に登録される登記情報のデータの一例である登記情報データ20を示す図である。なお1個の登記情報データ20が図2A〜図2Dの全体で表現されていることとする。
本実施形態に係る登記情報データ20は、登記情報提供システム14が提供する、1の不動産についての不動産登記全部事項の情報に対応付けられる。図2A〜図2Dに示すように、本実施形態に係る登記情報データ20には、顧客ID、表題部データ、権利部(甲区)データ、権利部(乙区)データ、共同担保目録データが含まれる。図2A〜図2Dの例では、登記情報データ20に2個の共同担保目録データが含まれている。なお登記情報データ20では、抹消された値に下線が引かれている。
図2Aに示す顧客IDは、登記情報データ管理システム10のユーザの顧客の識別情報である。本実施形態に係る登記情報データ管理システム10に登録される登記情報データ20は、顧客IDによって名寄せされている。すなわち本実施形態では同一の顧客が所有する不動産の登記情報データ20には、同一の顧客IDが設定される。以下、同一の顧客IDが設定されている登記情報データ20が示す不動産を、所有者共通不動産と呼ぶこととする。本実施形態では、顧客IDはユーザによって設定されることとする。
図2Aに示す表題部データは、対応する不動産登記全部事項の表題部の記載内容に相当するデータである。表題部データには、表示種別データ、調製年月日データ、不動産番号データ、地図番号データ、筆界特定データ、所在データ、が含まれる。
表示種別データは、不動産登記全部事項の表題部との記載の右側に括弧書きで記載されている、不動産の種別を示すデータである。調製年月日データ、不動産番号データ、地図番号データ、筆界特定データ、所在データは、それぞれ、不動産登記全部事項の表題部の調製、不動産番号、地図番号、筆界特定、所在の記載内容を示すデータである。
また表題部データには、地番データ、地目データ、地積データ、原因及びその日付[登記の日付]データの組合せが1又は複数含まれる。
地番データ、地目データ、地積データ、原因及びその日付[登記の日付]データは、それぞれ、不動産登記全部事項の表題部の地番、地目、地積、原因及びその日付[登記の日付]の記載内容を示すデータである。
図2Bに示す権利部(甲区)データは、対応する不動産登記全部事項の権利部(甲区)の記載内容に相当するデータである。権利部(甲区)データには、順位番号、登記の目的データ、受付年月日データ、受付番号、権利者その他の事項データの組合せが1又は複数含まれる。
順位番号、登記の目的データは、それぞれ、不動産登記全部事項の権利部(甲区)の順位番号、登記の目的の記載内容を示すデータである。受付年月日データ、受付番号は、それぞれ、不動産登記全部事項の権利部(甲区)の受付年月日・受付番号に含まれる受付年月日、受付番号の記載内容を示すデータである。権利者その他の事項データは、不動産登記全部事項の権利部(甲区)の権利者その他の事項の記載内容を示すデータである。
図2Bに示す権利部(乙区)データは、対応する不動産登記全部事項の権利部(乙区)の記載内容に相当するデータである。権利部(乙区)データには、順位番号、登記の目的データ、受付年月日データ、受付番号、権利者その他の事項データの組合せが1又は複数含まれる。
順位番号、登記の目的データは、それぞれ、不動産登記全部事項の権利部(乙区)の順位番号、登記の目的の記載内容を示すデータである。受付年月日データ、受付番号は、それぞれ、不動産登記全部事項の権利部(乙区)の受付年月日・受付番号に含まれる受付年月日、受付番号の記載内容を示すデータである。権利者その他の事項データは、不動産登記全部事項の権利部(乙区)の権利者その他の事項の記載内容を示すデータである。
図2C及び図2Dに示す共同担保目録データは、対応する不動産登記全部事項の共同担保目録の記載内容に相当するデータである。共同担保目録データには、調製年月日データ、記号及び番号が含まれる。
調製年月日データ、記号及び番号は、それぞれ、不動産登記全部事項の共同担保目録の調製、記号及び番号の記載内容を示すデータである。
また共同担保目録データには、番号、担保目的権利データ、順位番号、予備データの組合せが複数含まれる。番号、担保目的権利データ、順位番号、予備データは、それぞれ、不動産登記全部事項の共同担保目録の番号、担保の目的である権利の表示、順位番号、予備の記載内容を示すデータである。このように1の共同担保目録データにおいては記号及び番号をキーとして、共同担保である複数の不動産が互いに関連付けられている。以下、1の共同担保目録データにおいて互いに関連付けられている不動産を共同担保不動産と呼ぶこととする。
図3は、登記申請情報データ提供システム12が提供する登記申請情報のデータの一例である登記申請情報データ22を示す図である。図3に例示する登記申請情報データ22は、1の不動産登記申請に対応付けられる。本実施形態に係る登記申請情報データ22には、受付年月日データ、受付番号、物件特定データ、登記目的データ、不動産種別データ、外筆データが含まれる。
受付年月日データは、例えば当該登記申請情報データ22に対応付けられる登記申請の受付年月日を示すデータである。受付番号は、例えば当該登記申請情報データ22に対応付けられる登記申請の受付順序に従って設定される番号である。物件特定データは、例えば当該登記申請情報データ22に対応付けられる登記申請の対象となる不動産を特定するためのデータである。図3に示すように物件特定データには、都道府県名データ、市区町村名データ、大字名町名データ、字名丁目データ、地番家屋番号データ、が含まれる。都道府県名データ、市区町村名データ、大字名町名データ、字名丁目データ、地番家屋番号データは、それぞれ、登記申請の対象となる不動産の都道府県名、市区町村名、大字名又は町名、字名又は丁目、地番又は家屋番号を示すデータである。登記目的データは、当該登記申請情報データ22に対応付けられる登記申請の目的を示すデータである。外筆データは、物件特定データにより特定される不動産ととともに1の登記申請により登記申請がされた不動産の存在の有無や数を示すデータである。以下、2以上の不動産についての1の登記申請による登記申請を、一括申請と呼ぶこととする。
一括申請がされた他の不動産が存在する場合は、登記申請情報に「外1」、「外2」などいった外筆情報が記録される。ここで「外1」は、物件特定データにより特定される不動産ととともに一括申請がされた不動産が1つ存在することを意味する。また「外2」は、物件特定データにより特定される不動産ととともに一括申請された不動産が2つ存在することを意味する。
本実施形態では外筆情報が記録されている登記申請情報については、外筆データに1以上の値が設定される。本実施形態では例えば「外1」との外筆情報が記録されている登記申請情報に相当する登記申請情報データ22の外筆データには値として1が設定されることとする。また、「外2」との外筆情報が記録されている登記申請情報に相当する登記申請情報データ22の外筆データには値として2が設定されることとする。また本実施形態では、外筆情報が記録されていない登記申請情報については、外筆データの値として0が設定されることとする。
法務局が不動産の登記申請を受け付けると、当該登記申請の内容に応じて、当該不動産の不動産登記全部事項などといった登記情報が更新される。ここで不動産登記全部事項が更新されてもそのことはユーザには通知されないが、登記申請情報データ22を用いれば、更新された不動産登記全部事項を的確に推定できるものと期待できる。例えば登記申請情報データ22の物件特定データの値に相当する所在データの値及び地番データの値を含む登記情報データ20を、更新された不動産登記全部事項に対応付けられる登記情報データ20として推定することが考えられる。
しかしこのようにしても、物件特定データにより特定される不動産ととともに一括申請がされた、登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が登記申請情報データ22に示されていない不動産については、登記申請情報データ22だけからは特定できない。
そこで本実施形態では以下のようにして、物件特定データにより特定される不動産ととともに一括申請がされた、登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が登記申請情報データ22に示されていない不動産を推定できるようにした。
以下、物件特定データにより特定される不動産ととともに一括申請がされた不動産の推定を中心に、本実施形態に係る登記情報データ管理システム10の機能及び登記情報データ管理システム10で行われる処理についてさらに説明する。
図4は、本実施形態に係る登記情報データ管理システム10で実装される機能の一例を示す機能ブロック図である。なお、本実施形態に係る登記情報データ管理システム10で、図4に示す機能のすべてが実装される必要はなく、また、図4に示す機能以外の機能が実装されていても構わない。
図4に示すように、本実施形態に係る登記情報データ管理システム10は、機能的には例えば、登記情報記憶部30、登記申請情報記憶部32、登記申請情報要求部34、登記申請情報取得部36、登記情報特定部38、外筆対応登記情報推定部40、現況確認部42、登記情報更新部44、を含んでいる。登記情報記憶部30、登記申請情報記憶部32は、記憶部10bを主として実装される。登記申請情報要求部34は、制御部10a、通信部10c、出力部10d、入力部10eを主として実装される。登記申請情報取得部36、現況確認部42は、通信部10cを主として実装される。登記情報特定部38、外筆対応登記情報推定部40、登記情報更新部44は、制御部10aを主として実装される。登記情報データ管理システム10は、本実施形態において、外筆データに対応付けられる不動産登記全部事項等の不動産登記情報を推定する外筆対応登記情報推定システムとしての役割を担うこととなる。
以上の機能は、コンピュータである登記情報データ管理システム10にインストールされた、以上の機能に対応する指令を含むプログラムを制御部10aで実行することにより実装されてもよい。このプログラムは、例えば、光ディスク、磁気ディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体を介して、あるいは、インターネットなどを介して登記情報データ管理システム10に供給されてもよい。
登記情報記憶部30は、本実施形態では例えば、登記情報データ20などといった登記情報を記憶する。
登記申請情報記憶部32は、本実施形態では例えば、登記申請情報データ22などといった登記申請情報を記憶する。
登記申請情報要求部34は、本実施形態では例えば、登記申請情報を要求する。登記申請情報要求部34は例えば、出力部10dに表示される検索画面(図示せず)に入力部10eを介してユーザにより入力される検索条件に関連付けられた検索コマンドを登記申請情報データ提供システム12に送信する。ここで検索条件の一例としては、受付年月日データの値の範囲や物件特定データの値の範囲などが挙げられる。
すると登記申請情報データ提供システム12は、登記申請情報要求部34が送信する検索コマンドの受信に応じて、当該検索コマンドに関連付けられた検索条件を満足する1又は複数の登記申請情報データ22を特定する。そして登記申請情報データ提供システム12は特定された登記申請情報データ22を登記情報データ管理システム10に送信する。
登記申請情報取得部36は、本実施形態では例えば、登記申請情報を取得する。登記申請情報取得部36は例えば、登記申請情報データ提供システム12が送信する登記申請情報データ22を受信して、登記申請情報記憶部32に記憶させる。なお本実施形態において登記申請情報取得部36が取得する登記申請情報には、外筆情報が記録されている登記申請情報が含まれていることとする。
登記情報特定部38は、本実施形態では例えば、登記情報記憶部30に記憶されている複数の登記情報のうちから、登記申請情報取得部36が取得する登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産の登記情報を特定する。ここでは、登記申請情報取得部36が取得する登記申請情報データ22に示されている不動産の登記情報データ20が特定される。ここで登記情報特定部38は、例えば、登記申請情報取得部36が取得する登記申請情報データ22に含まれる市区町村名データ、大字名町名データ、字名丁目データのそれぞれの値を結合した結合所在文字列を特定する。また登記情報特定部38は、地番家屋番号データの値に含まれるハイフンを「番」に置換する。そして登記情報特定部38は、特定された結合所在文字列の値を所在データの値として含み、置換された地番家屋番号データの値を地番データの値として含む登記情報データ20を特定する。なお登記申請情報取得部36が取得する登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産の登記情報の特定方法はこの方法に限定されない。他の方法によって登記申請情報取得部36が取得する登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産の登記情報が特定されてもよい。
外筆対応登記情報推定部40は、本実施形態では例えば、登記申請情報取得部36が取得する、外筆情報が記録されている登記申請情報について、当該外筆情報に対応付けられる不動産の登記情報を推定する。ここで外筆対応登記情報推定部40は、登記情報特定部38が特定する登記情報が示す不動産の所有者共通不動産又は当該登記情報が示す不動産の共同担保である不動産を示す登記情報を、外筆情報に対応付けられる登記情報として推定してもよい。外筆情報に対応付けられる不動産の登記情報の推定方法については後述する。
現況確認部42は、本実施形態では例えば、登記情報に対応付けられる不動産の現況の不動産登記全部事項を確認する。ここで現況確認部42は、外筆情報に対応付けられる登記情報として推定される登記情報に対応付けられる不動産の現況の不動産登記全部事項を確認してもよい。現況確認部42は例えば、外筆情報に対応付けられる不動産の登記情報データ20に含まれる不動産番号データの値を登記情報提供システム14に送信する。すると登記情報提供システム14は、当該不動産番号データの値により識別される不動産登記全部事項の情報のファイルを登記情報データ管理システム10に送信する。
登記情報更新部44は、本実施形態では例えば、現況確認部42により確認される現況に基づいて、登記情報記憶部30に記憶されている登記情報を更新する。ここで登記情報更新部44は、現況確認部42により確認される現況に基づいて、登記情報記憶部30に記憶されている、外筆情報に対応付けられる登記情報として推定される登記情報を更新してもよい。登記情報更新部44は例えば、現況確認部42が受信した不動産登記全部事項の情報のファイルに対してテキスト化処理を実行する。そして登記情報更新部44は例えば、テキスト化処理により生成されたテキストの内容を登記情報データ20の値に反映させることにより、登記情報データ20を更新する。
以下、本実施形態に係る登記情報データ管理システム10において行われる処理の流れの一例を、図5に例示するフロー図を参照しながら説明する。なお図5に示されている処理例を第1の処理例と呼ぶこととする。
まず登記申請情報要求部34が、検索条件に関連付けられた検索コマンドを登記申請情報データ提供システム12に送信する(S101)。
そして登記申請情報取得部36が、S101に示す処理で送信された検索コマンドの受信に応じて登記申請情報データ提供システム12が送信する1又は複数の登記申請情報データ22を受信する(S102)。
そして登記情報特定部38が、S102に示す処理で取得された登記申請情報データ22のうちから以下のS104〜S110に示す処理が実行されていない1の登記申請情報データ22を選択する(S103)。
そして登記情報特定部38が、S103に示す処理で選択された登記申請情報データ22に対応する、登記情報記憶部30に記憶されている登記情報データ20を、上述のようにして特定する(S104)。
そして外筆対応登記情報推定部40は、S103に示す処理で選択された登記申請情報データ22に含まれる外筆データの値を確認する(S105)。
ここで外筆データの値が1以上であることが確認されたとする。この場合、外筆対応登記情報推定部40は、登記情報記憶部30に記憶されている登記情報データ20のうちから、S104に示す処理で特定された登記情報データ20が示す不動産の所有者共通不動産の登記情報データ20を特定する(S106)。ここでは例えば、S104に示す処理で特定された登記情報データ20と同じ顧客IDの値をふくむ登記情報データ20が特定される。
そして外筆対応登記情報推定部40は、登記情報記憶部30に記憶されている登記情報データ20のうちから、S104に示す処理で特定された登記情報データ20が示す不動産の共同担保不動産の登記情報データ20を特定する(S107)。ここでは例えば、S104に示す処理で特定された登記情報データ20の所在データの値と地番データの値とを結合した文字列が特定される。そして特定される文字列が、当該登記情報データ20の担保目的権利データの値として設定されている共同担保目録データが特定される。そして特定される共同担保目録データに含まれる他の担保目的権利データの値に対応付けられる所在データの値及び地番データの値が設定された登記情報データ20が特定される。
外筆データの値が0であることが確認された(S105:N)、あるいは、S107に示す処理が終了したとする。この場合、現況確認部42が、S104、S106、及び、S107に示す処理で特定された登記情報データ20に対応する不動産登記全部事項の情報の送信要求を登記情報提供システム14に送信する(S108)。そして現況確認部42が、不動産登記全部事項の送信要求の受信に応じて登記情報提供システム14が送信する不動産登記全部事項の情報を受信する(S109)。
そして登記情報更新部44は、S109に示す処理で受信した不動産登記全部事項に基づいて、S104、S106、又は、S107に示す処理で特定された登記情報データ20を更新する(S110)。
そして登記情報特定部38が、S102に示す処理で取得された登記申請情報データ22のすべてがS103に示す処理で選択されたか否かを確認する(S111)。登記申請情報データ22のすべてがS103に示す処理で選択されていない場合は(S111:N)、S103に示す処理に戻る。登記申請情報データ22のすべてがS103に示す処理で選択されている場合は(S111:Y)、本処理例に示す処理が終了される。
なお第1の処理例において、S104に示す処理で特定される登記情報データ20については、S105に示す処理の前に、S108〜S110に示す処理が先行して実行されてもよい。すなわちS104に示す処理で特定される登記情報データ20については、S106、又は、S107に示す処理で特定される登記情報データ20よりも先に現況の不動産登記全部事項に基づいて登記情報データ20の更新が行われてもよい。
また第1の処理例において、S106及びS107に示す処理が、S103に示す処理で選択された登記申請情報データ22に相当する登記申請情報に記録されている外筆情報に対応付けられる登記情報を推定する処理に相当する。
不動産登記の実務上、同一の登記所の管轄区域内にある2以上の不動産について申請する「登記の目的」、「登記原因」、当該登記原因の「日付」が同一であるときは、一括申請が可能となっている。なお登記申請の申請人の同一性がない場合は、一括申請の対象とはならない。本実施形態ではこの点に着目して、外筆情報に対応する不動産として所有者共通不動産が推定されるようになっている(上記S106参照)。
また例えば、抵当権の設定や抹消登記などの登記申請は、共同担保不動産について一括申請により行われると考えられる。本実施形態ではこの点に着目して、外筆情報に対応する不動産として共同担保不動産が推定されるようになっている(上記S107参照)。
そして以上のようにすることで、本実施形態では、外筆情報に対応する不動産を含む、不動産登記全部事項が更新された不動産を的確に推定できる。そして不動産登記全部事項が更新されたと推定される不動産の登記情報データ20に絞って現況の不動産登記全部事項の内容の確認、及び当該内容に基づく登記情報データ20の更新が行われる。このようにして本実施形態によれば、登記情報記憶部30に記憶されている登記情報データ20のすべてにつき現況の不動産登記全部事項と照合して登記情報データ20の更新を行う場合よりも、登記情報データ20の管理の手間を軽減できることとなる。
次に、図5に示す第1の処理例の変形例である、本実施形態に係る登記情報データ管理システム10において行われる処理の流れの別の一例を、図6A及び図6Bに例示するフロー図を参照しながら説明する。なお図6A及び図6Bに示されている処理例を第2の処理例と呼ぶこととする。
まず登記申請情報要求部34が、検索条件に関連付けられた検索コマンドを登記申請情報データ提供システム12に送信する(S201)。
そして登記申請情報取得部36が、S201に示す処理で送信された検索コマンドの受信に応じて登記申請情報データ提供システム12が送信する1又は複数の登記申請情報データ22を受信する(S202)。
そして登記情報特定部38が、S202に示す処理で取得された登記申請情報データ22のうちから以下のS204〜S210に示す処理が実行されていない1の登記申請情報データ22を選択する(S203)。
そして登記情報特定部38が、S203に示す処理で選択された登記申請情報データ22に対応する、登記情報記憶部30に記憶されている登記情報データ20を、上述のようにして特定する(S204)。
そして現況確認部42が、S204に示す処理で特定された登記情報データ20に対応する不動産登記全部事項の情報の送信要求を登記情報提供システム14に送信する(S205)。そして現況確認部42が、不動産登記全部事項の送信要求の受信に応じて登記情報提供システム14が送信する不動産登記全部事項の情報を受信する(S206)。
そして登記情報更新部44は、S205に示す処理で受信した不動産登記全部事項に基づいて、S203に示す処理で特定された登記情報データ20を更新する(S207)。
そして外筆対応登記情報推定部40は、S203に示す処理で選択された登記申請情報データ22に含まれる外筆データの値を確認する(S208)。
ここで外筆データの値が1以上であることが確認されたとする。この場合、外筆対応登記情報推定部40は、後述する、外筆情報に対応付けられる登記情報の先行推定処理を実行する(S209)。S209に示す処理では例えば、S203に示す処理で選択された登記申請情報データ22に示されている不動産の種別、登記の目的、外筆の数、又は、登記申請の受付年月日に基づいて、外筆情報に対応付けられると推定される登記情報データ20が特定される。
そして現況確認部42が、S209に示す処理で特定された登記情報データ20に対応する不動産登記全部事項の情報の送信要求を登記情報提供システム14に送信する(S210)。そして現況確認部42が、不動産登記全部事項の送信要求の受信に応じて登記情報提供システム14が送信する不動産登記全部事項の情報を受信する(S211)。
そして登記情報更新部44は、S211に示す処理で受信した不動産登記全部事項に基づいて、S209に示す処理で特定された登記情報データ20を更新する(S212)。
そして外筆対応登記情報推定部40は、S209に示す処理で特定された登記情報データ20の数を示す値が、S208に示す処理で確認された外筆データの値以上であるか否かを確認する(S213)。
ここでS209に示す処理で特定された登記情報データ20の数を示す値が、S208に示す処理で確認された外筆データの値以上でないことが確認されたとする(S213:N)。この場合、外筆対応登記情報推定部40は、S106に示す処理と同様にして、S204に示す処理で特定された登記情報データ20が示す不動産の所有者共通不動産の登記情報データ20を特定する(S214)。
そして外筆対応登記情報推定部40は、S107に示す処理と同様にして、S204に示す処理で特定された登記情報データ20が示す不動産の共同担保不動産の登記情報データ20を特定する(S215)。
そして現況確認部42が、S215に示す処理で特定された登記情報データ20に対応する不動産登記全部事項の情報の送信要求を登記情報提供システム14に送信する(S216)。そして現況確認部42が、不動産登記全部事項の送信要求の受信に応じて登記情報提供システム14が送信する不動産登記全部事項の情報を受信する(S217)。そして登記情報更新部44は、S217に示す処理で受信した不動産登記全部事項に基づいて、S215に示す処理で特定された登記情報データ20を更新する(S218)。
S208に示す処理で外筆データの値が0であることが確認された、S213に示す処理で登記情報データ20の数を示す値が外筆データの値以上であることが確認された(S213:Y)、又は、S218に示す処理が終了したとする。この場合、S202に示す処理で取得された登記申請情報データ22のすべてがS203に示す処理で選択されたか否かを確認する(S219)。登記申請情報データ22のすべてがS203に示す処理で選択されていない場合は(S219:N)、S203に示す処理に戻る。登記申請情報データ22のすべてがS203に示す処理で選択されている場合は(S219:Y)、本処理例に示す処理が終了される。
第2の処理例では、S209、S214及びS215に示す処理が、S103に示す処理で選択された登記申請情報データ22に相当する登記申請情報に記録されている外筆情報に対応付けられる登記情報を推定する処理に相当する。
なおS213に示す処理において、S212に示す処理で更新が成功した登記情報データ20の数を示す値が、S208に示す処理で確認された外筆データの値以上であるか否かが確認されるようにしてもよい。
またS216に示す処理において、S204、S209、S214、及び、S215に示す処理で特定された登記情報データ20についての対応する不動産登記全部事項の情報の送信要求が登記情報提供システム14に送信されてもよい。そして不動産登記全部事項の送信要求に応じて登記情報提供システム14が送信する不動産登記全部事項に基づいて、S204、S209、S214、及び、S215に示す処理で特定された登記情報データ20がS218に示す処理でまとめて更新されてもよい。
ここで上述のS209に示す先行推定処理では、例えば以下の(1)〜(4)に示す処理のうちの1又は複数が実行される。
(1)登記申請情報に外筆が1つであることを示す外筆情報が記録されており、当該登記申請情報に示されている不動産が土地であるとする。この場合に、外筆対応登記情報推定部40は、登記情報特定部38が特定する登記情報が示す土地と敷地上物関係にある建物を示す登記情報を、当該外筆情報に対応付けられる登記情報として推定する。
例えば外筆対応登記情報推定部40が、S203に示す処理で選択された登記申請情報データ22に含まれる不動産種別データの値が「土地」であり、かつ、外筆データの値が1であるという条件を満足するか否かを確認する。ここで当該条件を満足することが確認された場合は、外筆対応登記情報推定部40が、S204に示す処理で特定された登記情報データ20に対応する土地と敷地上物関係にある建物の登記情報データ20を特定する。なおS204に示す処理で特定された登記情報データ20に対応する土地と敷地上物関係にある建物の登記情報データ20は、登記情報データ20が示す不動産の所有者共通不動産の地番や家屋番号などの関係から特定可能である。
所有者が同一である土地と建物は、同時に利用や処分がされることが多い。また不動産登記の実務上、不動産登記の一括申請が土地と建物について行われる場合、土地が登記申請情報データ22に所在が記載される代表の不動産となる。そのため、登記申請情報データ22に含まれる不動産種別データの値が「土地」であり、かつ、外筆データの値が1であるという条件を満足する場合は、外筆情報に対応する不動産は敷地上物関係にある建物であると考えられる。上記(1)の先行推定処理はこの点に着目したものであり、当該先行推定処理により外筆情報に対応する登記情報をより的確に推定できることとなる。
(2)登記申請情報に示されている不動産が建物であるとする。この場合に、外筆対応登記情報推定部40は、登記情報特定部38が特定する登記情報が示す建物と所有者が同じである建物又は当該建物の共同担保不動産である建物を示す登記情報を、外筆情報に対応付けられる登記情報として推定する。
例えば外筆対応登記情報推定部40が、S203に示す処理で選択された登記申請情報データ22に含まれる不動産種別データの値が「建物」であるか否かを確認する。ここで「建物」であることが確認された場合は、外筆対応登記情報推定部40は、S204に示す処理で特定された登記情報データ20に対応する建物の共同担保不動産である建物の登記情報データ20を特定する。
上述のように不動産登記の実務上、不動産登記の一括申請が土地と建物について行われる場合、土地が代表の不動産となる。そのため建物が代表の不動産である登記申請情報については外筆情報に対応する不動産は土地ではなく建物ということとなる。上記(2)の先行推定処理はこの点に着目したものであり、当該先行推定処理により外筆情報に対応する登記情報をより的確に推定できることとなる。
(3)登記申請情報に示されている登記の目的が、担保に関連するものであるとする。この場合に、外筆対応登記情報推定部40は、当該登記申請情報に示されている不動産の現況の不動産登記全部事項に示されている受付番号又は共同担保目録に基づいて、外筆情報に対応付けられる登記情報を推定する。
例えば外筆対応登記情報推定部40が、S203に示す処理で選択された登記申請情報データ22に含まれる登記目的データの値が担保に関連するものであるか否かを確認する。例えば登記申請情報データ22に含まれる登記目的データの値が「抵当権の設定」、「抹消登記」、「処分の制限に関する登記」などである場合に、当該登記目的データの値が担保に関連するものであると特定される。ここで登記目的データの値が担保に関連するものであることが確認された場合は、外筆対応登記情報推定部40は、S204に示す処理で特定された登記情報データ20に対応する不動産の共同担保不動産の登記情報データ20を特定する。
またこのとき、S204に示す処理で特定された登記情報データ20に含まれる権利部(乙区)データのなかから、例えば受付番号としてS203に示す処理で選択された登記申請情報データ22に含まれる受付番号が設定されているものが特定されてもよい。そして当該権利部(乙区)データにおいて当該受付番号に関連付けられている受付年月日データと同じ年月日が調製年月日データの値として設定されている、当該登記申請情報データ22の共同担保目録データが特定されてもよい。そして当該共同担保目録データに示されている共同担保不動産の登記情報データ20が特定されてもよい。
ここで例えばS207に示す処理で登記情報データ20の更新が行われる場合は、登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産については、現況の不動産登記全部事項の内容が反映されている。そのためこの場合は、S203に示す処理で選択された登記申請情報に示されている不動産の現況の不動産登記全部事項に示されている受付番号又は共同担保目録に基づいて、外筆情報に対応付けられる登記情報が推定されることとなる。
登記の目的が担保に関連する場合は、外筆情報に対応する不動産は共同担保不動産である可能性が高い。上記(3)の先行推定処理はこの点に着目したものであり、当該先行推定処理により外筆情報に対応する登記情報をより的確に推定できることとなる。
(4)登記申請情報に示されている登記の目的が、不動産の分割又は統合に関連するものであるとする。この場合に、外筆対応登記情報推定部40は、当該登記申請情報に示されている不動産の現況の不動産登記全部事項の表題部に示されている原因及びその日付に基づいて、外筆情報に対応付けられる登記情報を推定する。
例えば外筆対応登記情報推定部40が、S203に示す処理で選択された登記申請情報データ22に含まれる登記目的データの値が不動産の分割又は統合に関連するものであるか否かを確認する。例えば登記申請情報データ22に含まれる登記目的データの値が土地の「分筆」又は「合筆」、建物の「合体」又は「分割」などである場合に、当該登記目的データの値が不動産の分割又は統合に関連するものであると特定される。ここで登記目的データの値が不動産の分割や統合に関連するものであることが確認されたとする。この場合は、外筆対応登記情報推定部40は、S204に示す処理で特定された登記情報データ20に含まれる原因及びその日付[登記の日付]データに示されている地番の不動産の登記情報データ20を特定する。
例えばS203に示す処理で、登記目的データの値が「合筆」である、登記申請情報のデータの別の一例である図7に示す登記申請情報データ50が選択されたとする。またS204に示す処理で、登記情報のデータの別の一例である図8に示す登記情報データ52が特定されたとする。
この場合、図7に示す登記申請情報データ50の受付年月日データが示す日付から当該所定期間後(例えば1週間後)の日付までの期間が特定される。ここでは例えば、2014年9月6日から2014年9月13日までの期間が特定されるとする。そして図8に示す登記情報データ52に含まれる、特定された期間の日付及び「合筆」の両方を値として含む、表題部データの原因及びその日付[登記の日付]データが特定される。そして例えば当該原因及びその日付[登記の日付]データの値に含まれる地番が特定される。ここでは例えば、223番2の地番が特定される。そして特定される地番の不動産の登記情報のデータが、外筆情報に対応付けられる登記情報のデータとして推定される。
また例えばS203に示す処理で、登記目的データの値が「分筆」である、登記申請情報のデータのさらに別の一例である図9に示す登記申請情報データ54が選択されたとする。またS204に示す処理で図8に示す登記情報データ52が特定されたとする。
この場合、図9に示す登記申請情報データ54の受付年月日データが示す日付から当該所定期間後(例えば1週間後)の日付までの期間が特定される。ここでは例えば、2014年9月6日から2014年9月13日までの期間が特定されるとする。そして図8に示す登記情報データ52に含まれる、特定された期間の日付及び「分筆」を値として含む、表題部データの原因及びその日付[登記の日付]データが特定される。そして例えば当該原因及びその日付[登記の日付]データの値に含まれる地番が特定される。なお図8に示す登記情報データ52の地番データが示す地番は除外される。そのためここでは例えば223番4ないし223番7の地番が特定される。そして特定される地番の不動産の登記情報のデータが、外筆情報に対応付けられる登記情報のデータとして推定される。
ここで例えばS207に示す処理で登記情報データ20の更新が行われる場合は、登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産については、現況の不動産登記全部事項の内容が反映されている。そのためこの場合は、S203に示す処理で選択された登記申請情報に示されている不動産の現況の不動産登記全部事項の表題部に示されている原因及びその日付に基づいて、外筆情報に対応付けられる登記情報が推定されることとなる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、外筆対応登記情報推定部40が外筆情報に対応付けられる不動産の登記情報として推定する登記情報の不動産番号データの値のリストがディスプレイに表示されるようにしてもよい。そしてユーザが、当該リストを用いて、現況の不動産登記全部事項の確認や、登記情報のデータの更新を行うようにしてもよい。
また例えば登記情報データ管理システム10、登記申請情報データ提供システム12、登記情報提供システム14の役割分担は上述のものに限定されない。例えば、上述の実施形態では登記申請情報データ提供システム12に登録される登記申請情報データが登記情報データ管理システム10に記憶されてもよい。そして登記申請情報取得部36は、登記情報データ管理システム10に記憶されている登記申請情報データ22を取得してもよい。