JP6701807B2 - 積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、セルロース繊維を含有する繊維層と樹脂層とを備えた積層体に関する。
従来、ガラス基材を、軽量化の点で有利な樹脂基材に変更する場合、樹脂基材を繊維で補強することが行われている。中でも、微細セルロース繊維は、透明性を確保しつつ、樹脂基材を補強できることから注目されている。
例えば、ポリカーボネートを補強して高い弾性率と低い線膨張係数を持つ樹脂基材を得るため、微細セルロース繊維で構成された不織布(セルロース不織布)にポリカーボネート等を含浸させて、樹脂とセルロース繊維を一体化させることが知られている。
しかし、セルロース不織布に対する樹脂の含浸状態のコントロールが難しく製造歩留まりが低かった。
そこで、セルロース不織布にポリカーボネートシートを加熱融着して積層体とすることが提案されている(特許文献1)。特許文献1には、予めアクリルプライマー等のプライマー処理液を含ませたセルロース不織布とポリカーボネートシートを加熱融着して積層体とすることも提案されている。
特許第4985573号公報
特許文献1では、セルロース不織布の空隙にポリカーボネートシートの一部が溶融して入り込むことにより、セルロース不織布とポリカーボネートシートとが一体化しているものと考えられる。また、予めアクリルプライマー等のプライマー処理液を含ませたセルロース不織布を用いた場合は、セルロース不織布中のプライマー処理液とポリカーボネートシートとが、融着することにより、セルロース不織布とポリカーボネートシートとが一体化しているものと考えられる。
しかしながら、特許文献1の積層体におけるセルロースによる補強効果は、必ずしも充分ではなかった。また、特許文献1の積層体は、透明性の点でも充分とは言えなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、樹脂層と繊維層の密着性が優れ、透明で、高い弾性率と低い線膨張係数を示す積層体の提供を課題とする。
[1] 平均繊維幅1000nm以下のセルロース繊維によって形成された繊維層と、樹脂層と、前記繊維層と前記樹脂層との間に設けられた接着剤層と、を備えた積層体。
[2] 前記繊維層の密度が1.0g/cm以上1.7g/cm以下である、上記[1]に記載の積層体。
[3] 前記接着剤層の乾燥塗布量が0.5g/m以上5.0g/m以下である、上記[1]又は[2]に記載の積層体。
[4] 前記接着剤層は、(メタ)アクリル酸エステル重合体、α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、カゼイン、天然ゴム、およびでんぷんから選択される一種または二種以上を含む、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の積層体。
[5] 前記繊維層に、親水性の含酸素有機化合物(但し、前記セルロース繊維は除く。
)が含有されている、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の積層体。
[6] 前記繊維層の全質量に対する、前記セルロース繊維及び前記含酸素有機化合物の合計質量が90質量%以上である、上記[5]に記載の積層体。
[7] 前記繊維層の厚さの合計に対する前記樹脂層の厚さの合計の比(前記樹脂層の厚さの合計/前記繊維層の厚さの合計)が、10以上である、上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の積層体。
[8] 前記繊維層の一層の厚さが10μm以上である、上記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の積層体。
[9] 前記繊維層が2層以上備えられ、各繊維層の厚さの合計が20μm以上である、上記[1]〜[8]のいずれか一項に記載の積層体。
[10] 前記繊維層の一層の全光線透過率が70%以上である、上記[1]〜[9]のいずれか一項に記載の積層体。
[11] 前記繊維層の一層のヘーズが20%以下である、上記[1]〜[10]のいずれか一項に記載の積層体。
[12] 厚さが0.5mm以上である、上記[1]〜[11]のいずれか一項に記載の積層体。
[13] 全光線透過率が60%以上である、上記[1]〜[12]のいずれか一項に記載の積層体。
[14] ヘーズが30%以下である、上記[1]〜[13]のいずれか一項に記載の積層体。
[15] 前記積層体の一面から中心までの厚みをTとしたとき、前記一面から厚さT×0.2までの領域に存在する前記繊維層の厚みの割合が、前記領域全体に対して30%以上100%以下である[1]〜[14]のいずれか一項に記載の積層体。
[16] 前記樹脂層の少なくとも一面側には、複数の前記繊維層が積層されており、前記複数の繊維層は互いに、前記接着剤層のみを介して又は直接に接合している[1]〜[15]のいずれか一項に記載の積層体。
本発明によれば、樹脂層と繊維層の密着性が優れ、透明で、高い弾性率と低い線膨張係数を示す積層体を提供できる。
本発明の一例である積層体10Aの断面図である。 本発明の一例である積層体10Bの断面図である。 本発明の一例である積層体10Cの断面図である。 本発明の一例である積層体の製造方法を例示する断面図である。 本発明にかかる実施例5で作製した積層体の断面図である。 本発明にかかる実施例6で作製した積層体の断面図である。 本発明にかかる実施例7で作製した積層体の断面図である。
<積層体>
本発明の積層体は、平均繊維幅1000nm以下のセルロース繊維によって形成された繊維層と、樹脂層と、前記繊維層と前記樹脂層との間に設けられた接着剤層と、を備える。
積層体を構成する繊維層及び樹脂層の数は1層に限られず、2層以上であってもよい。
繊維層が2層以上備えられている場合、繊維層と繊維層の間に接着剤層が設けられていてもよい。繊維層同士を接合する接着剤層は、樹脂層と繊維層を接合する接着剤層と同じであってもよく、異なっていてもよい。繊維層同士が直に接して接合されていてもよいが、繊維層同士の接着力を向上する観点から、繊維層同士は接着剤層を介して接合されていることが好ましい。なお、繊維層同士を直接に接合する方法として、例えば多層抄きの手法が挙げられる。
樹脂層が2層以上備えられている場合、少なくとも1層の樹脂層と少なくとも1層の繊維層との間に接着剤層が設けられている。
本発明の積層体を構成する前記樹脂層の少なくとも一面側には、複数の前記繊維層が積層されていてもよい。前記複数の繊維層は互いに、前記接着剤層のみを介して接合していてもよいし、直接に接合してもよい。
上記のように複数の繊維層が積層されていることにより、前記積層体の曲げ弾性率及び線膨張係数のうち少なくとも一方を向上させることができる。
また、前記複数の繊維層の間に、他の樹脂層が挟まれていてもよい。この場合、前記繊維層と前記他の樹脂層の間に接着剤層が介在することが好ましいが、介在していなくともよい。
本発明の積層体の積層構造の例として、図1〜図3及び図5〜7が挙げられる。
図1の積層体10Aは、第一樹脂層1A(1)、第一接着剤層2A(2)、繊維層3、第二接着剤層2B(2)、第二樹脂層1B(1)が順に積層された積層構造を有する。
図2の積層体10Bは、樹脂層1、接着剤層2、繊維層3が順に積層された積層構造を有する。
図3の積層体10Cは、第一繊維層3A(3)、第一接着剤層2A(2)、第二繊維層3B(3)、第二接着剤層2B(2)、樹脂層1、第三接着剤層2C(2)、第三繊維層3C(3)、第四接着剤層2D(2)、第四繊維層3D(3)が順に積層された積層構造を有する。
繊維層が2層以上備えられている場合、樹脂層の一方の側(表面側)と他方の側(裏面側)のそれぞれに繊維層が均等に積層されていることが好ましい。例えば、図3及び図6に示す様に、樹脂層の表面側に1〜3層、さらには4〜10層の繊維層が積層され、当該樹脂層の裏面側に、表面側の繊維層の厚さの合計と同等の厚さの繊維層が積層された構成が挙げられる。
樹脂層の表面側に備えられた繊維層の厚さの合計と、裏面側に備えられた繊維層の厚さの合計とが同等であると、積層体の表面側と裏面側の機械的強度のバランスが均等に調整される。この結果、積層体の機械的強度をバランスよく向上させることができる。さらに、積層体の製造時や、使用、経年劣化に伴って反り返りが起こることを防止することができる。
上記構成において、樹脂層の表面側に備えられた繊維層の厚さの合計と、裏面側に備えられた繊維層の厚さの合計とが同等であれば、樹脂層の表面側と裏面側に積層された繊維層の積層数の異同に関わらず、上記の様にバランスが調整され、上記の効果を得ることができる。ただし、繊維層間に接着剤層が介在することを考慮すると、バランスをより精度高く調整するためには、樹脂層の表面側と裏面側とで、繊維層の積層数が同じであることが好ましい。
本発明の積層体を構成する1つの繊維層の表面側と裏面側とに、それぞれ接着剤層を介して樹脂層が積層されていることが好ましい。この積層構造であると、繊維層が吸湿したり、外部からの汚損を受けたりすることを防止することができる。また、本発明の積層体の最外層を構成する最上面及び最下面の少なくとも一方は、樹脂層であることが好ましい。最外層が樹脂層であることにより、積層体の耐水性、耐化学薬品性、耐候性等がより確実に確保される。
本発明の積層体において、その表面から裏面までの厚みを2Tとして、前記表面又は裏面の何れかの一面から中心(一面から他面までの中間)までの厚みをTとしたとき、前記一面から厚さT×0.2までの領域に存在する前記繊維層の厚みの割合は、前記領域全体の厚み(100%)に対して30%以上100%以下が好ましく、50%以上100%以下がより好ましく、70%以上100%以下がさらに好ましい。
上記範囲であると、本発明にかかる積層体の曲げ弾性率を一層高めて、線膨張係数を一層低くすることができる。
ここで、前記一面から厚さ0.2Tまでの領域に着目する理由は、積層体の表面付近(表層付近)における繊維層の割合が高いと、積層体の曲げ弾性率及び線膨張係数のうち少なくとも一方を向上させることができるからである。
前記表面と前記裏面とは略平行であることが好ましい。略平行ではない場合、前記一面において、1本の直線上に並ばない任意の3点を定め、その3点における前記割合をそれぞれ求めた結果の平均値を算出する。この平均値が上記範囲内であれば、少なくとも前記3点で定義される平面を含む積層体は、上記と同様の優れた物性を有する。
以下、各層について具体的に説明する。
[繊維層]
繊維層は、平均繊維幅1000nm以下のセルロース繊維によって形成された層である。繊維層は、セルロース繊維同士が物理的に絡み合い、化学的に架橋した、緻密な層である。また、セルロース繊維の平均繊維幅が1000nm以下であるため、繊維層は可視光が透過し易い透明層となり得る。
繊維層の1層の厚さは、例えば、10μm以上1mm以下、さらに好ましくは20μm以上500μm以下、特に好ましくは30μm以上300μm以下である。
上記厚さが10μm以上であると、繊維層による積層体の強度の補強効果が高まる。
上記厚さが300μm以下であると、製造時に均一な厚みの繊維層が形成され易く、積層体の強度の部分的なムラの発生を抑制し易い。
ここで、積層体を構成する繊維層の1層の厚さは、ウルトラミクロトームUC−7(JEOL社製)によって積層体の断面を切り出し、当該断面を電子顕微鏡で観察して、測定される値である。
積層体中に繊維層が2層以上備えられている場合、各繊維層の厚さは、それぞれ独立に10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、30μm以上がさらに好ましい。各繊維層の厚さは互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
各繊維層の厚さがそれぞれ10μm以上であることにより、各繊維層による樹脂層の補強効果が確実に得られる。
積層体中に繊維層が2層以上備えられている場合、各繊維層の厚さの合計は、20μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましく、100μm以上がさらに好ましい。20μm以上であることにより、繊維層全体による樹脂層の補強効果がより一層高められる。
積層体中の各繊維層の密度は、それぞれ独立に1.0g/cm以上1.7g/cm以下が好ましく、1.2g/cm以上1.65g/cm以下がより好ましく、1.4g/cm以上1.6g/cm以下がさらに好ましい。積層体中の各繊維層の密度は互いに同じでもよく、異なってもよい。
繊維層の密度が1.0g/cm以上であると、繊維層による積層体の強度の補強効果がより一層高まる。
繊維層の密度が1.7g/cm以下であると、繊維層と接着剤層との密着性がより向上する。繊維層の密度は繊維層の表面の平滑性に相関があり、密度が高まると繊維層の表面が平滑になる傾向がある。1.7g/cm以下であると、繊維層の表面に適度な粗さが残され、当該表面に接着剤層がアンカーし易くなり、密着性が高まると考えられる。
ここで、積層体を構成する繊維層の1層の密度は、積層体を構成する繊維層の1層の坪量と厚さから、JIS規格P8118:2014に準拠して算出される値である。繊維層の1層の坪量は、ウルトラミクロトームUC−7(JEOL社製)によって積層体の繊維層のみが残るように切削し、JIS規格P8124:2011に準拠し、算出することができる。なお、各繊維層の密度は、セルロース繊維以外の任意成分を含む密度である。
積層体中の各繊維層に含まれるセルロース繊維の含有量は、それぞれ独立に、当該繊維層の総質量に対して、50〜100質量%が好ましく、60〜95質量%がより好ましく、70〜90質量%がさらに好ましい。積層体中の各繊維層の前記含有量は互いに同じでもよく、異なってもよい。
上記範囲の下限値以上であることにより、セルロース繊維同士の物理的な絡み合い、化学的な架橋が充分に形成されるため、繊維層の強度を充分に高めることができる。
上記範囲の上限値以下であることにより、繊維層の強度を維持しつつ、セルロース繊維同士の間に任意成分を保持することができる。
積層体中の各繊維層には、それぞれ独立にセルロース繊維以外の任意成分が含まれていてもよい。任意成分としては、繊維層の強度、密度、化学的耐性などを向上させ得る物質が好ましく、例えば、親水性の含酸素有機化合物(但し、上記セルロース繊維は除く。)が挙げられる。積層体中の各繊維層に含まれる任意成分の種類及び含有量は互いに同じでもよく、異なってもよい。
前記含酸素有機化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、カゼイン、デキストリン、澱粉、変性澱粉、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール(アセトアセチル化ポリビニルアルコール等)、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸塩類、ポリアクリルアミド、アクリル酸アルキルエステル共重合体、ウレタン系共重合体、セルロース誘導体(ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)等の親水性高分子;グリセリン、ソルビトール、エチレングリコール等の親水性低分子が挙げられる。
これらの中でも、繊維層の強度、密度、化学的耐性などを向上させる観点から、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、グリセリン、ソルビトールが好ましい。
繊維層に前記含酸素有機化合物が含まれる場合、その含有量は、セルロース繊維100質量部に対して、1〜40質量部が好ましく、10〜30質量部がより好ましく、15〜25質量部がさらに好ましい。
上記下限値以上であると、繊維層の強度、密度、化学的耐性などをより一層向上させることができる。上記上限値以下であると、セルロース繊維同士の物理的絡まり合い、化学的架橋による構造が充分に維持され、繊維層の強度が充分に保たれる。すなわち、上記範囲であると、セルロース繊維に対する前記含酸素有機化合物の含有量のバランスが良好となり、繊維層の強度、密度、化学的耐性などをより一層向上させることができる。
単一の繊維層の全質量に対する、セルロース繊維及び前記含酸素有機化合物の合計質量は90質量%以上であることが好ましく、95〜100質量%がより好ましい。
前記合計質量が90質量%以上であることにより、繊維層の強度、密度、化学的耐性などをより一層向上させることができる。
繊維層の1層の全光線透過率は、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。全光線透過率が高いほど、従来は透明なガラスが適用されていた用途に本発明の積層体を適用することが容易になる。
ここで、積層体を構成する繊維層の1層の全光線透過率は、ウルトラミクロトームUC−7(JEOL社製)によって積層体の繊維層のみが残るように切削し、JIS規格K7361:1997に準拠し、ヘーズメータ(村上色彩技術研究所社製「HM−150」)を用いて測定された値である。
繊維層の1層のヘーズ(曇度)は、2.0%以下が好ましく、1.5%以下がより好ましく、1.0%以下がさらに好ましい。ヘーズが低いほど、従来は透明なガラスが適用されていた用途に本発明の積層体を適用することが容易になる。
ここで、積層体を構成する繊維層の1層のヘーズは、ウルトラミクロトームUC−7(JEOL社製)によって積層体の繊維層のみが残るように切削し、JIS規格K7136:2000に準拠し、ヘーズメータ(村上色彩技術研究所社製「HM−150」)を用いて測定された値である。
繊維層を構成するセルロース繊維は、平均繊維幅が1000nm以下である微細なセルロース繊維(以下、微細繊維状セルロースと呼ぶことがある。)である。平均繊維幅が1000nm以下であると、通常の製紙用のパルプに含まれる繊維の繊維幅よりも顕著に幅が狭くなり、通常の製紙用パルプとは異なる、強い機械的特性を発揮する。微細セルロース繊維は、I型(平行鎖)の結晶構造のセルロース分子の集合体であることが好ましい。
ここで、積層体の繊維層を構成するセルロース繊維の平均繊維幅は、ウルトラミクロトームUC−7(JEOL社製)によって積層体の断面を切り出して繊維層を露出させ、当該繊維層を電子顕微鏡で観察し、画像解析処理により、少なくとも20本のセルロース繊維の幅を測定して得られた平均値として求められる。ここで「幅」とは、セルロース繊維の端から端までの距離であって短い方の距離を意味する。
セルロース繊維の平均繊維幅は、1nm〜200nmが好ましく、2nm〜50nmがより好ましく、3nm〜25nmがさらに好ましい。
平均繊維幅が1nm以上であれば、セルロース分子として水に溶解することを抑制できるため、微細繊維としての物性(強度や剛性、寸法安定性)を容易に発現できる。平均繊維幅が200nm以下であると、可視光の波長よりも充分に小さいため、接着剤層との界面において可視光の屈折が生じ難く、透明性が向上するので好ましい。
セルロース繊維の平均繊維幅が上記範囲内にある場合、全てのセルロース繊維が上記繊維幅の範囲内にある必要はなく、一部のセルロース繊維は繊維幅が上限を超えてもよいし、下限未満であってもよい。すなわち、太い繊維や細い繊維が混在してもよい。
セルロース繊維の平均繊維長は、100nm〜2.0mmが好ましく、1μm〜1.0mmがより好ましく、10μm〜500μmがさらに好ましい。
前記下限値以上であると、セルロース繊維同士が絡み合い易くなり、繊維層の強度がより向上する。前記上限値以下であると、個々のセルロース繊維の機械的強度が高まり、繊維層の強度がより向上する。
ここで、積層体の繊維層を構成するセルロース繊維の平均繊維長は、ウルトラミクロトームUC−7(JEOL社製)によって積層体の断面を切り出して繊維層を露出させ、当該繊維層を電子顕微鏡で観察し、画像解析処理により、少なくとも20本のセルロース繊維の長さを測定して得られた平均値として求められる。
セルロース繊維の軸比(長軸/短軸)は、前記平均繊維長を前記平均繊維幅で除した値として求められる。すなわち「長軸」は平均繊維長を意味し、「短軸」は平均繊維幅を意味する。
セルロース繊維の軸比は、20〜10,000の範囲であることが好ましい。軸比が20以上であると、繊維層を構成するセルロース繊維同士の絡まり合いが高まるため、繊維層の強度が向上し、軸比が10,000以下であると、繊維層の密度が高まるため、繊維層の強度がより一層向上する。また、軸比が20〜10,000の範囲であると、繊維層を形成する際にセルロース繊維分散液を抄紙する場合、濾水性を高く維持することができる。
繊維層を形成するセルロース繊維には、セルロース中の水酸基を他の官能基に置換する化学修飾が施されていてもよい。化学修飾は公知方法により行われる。
化学修飾によってセルロースに導入させる官能基としては、例えば、リン酸基、アセチル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロピオニル基、プロピオロイル基等のアシル基、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアノイル基等のイソシアネート基、メチル基、エチル基、プロピル基、2−プロピル基、ブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、ベンゾイル基、ナフトイル基等のアリール基等が挙げられる。
セルロース中の全水酸基のうちの化学修飾された水酸基の割合(化学修飾率)は特に限定されず、例えば0.1mmol/g〜5.0mmol/gの範囲で適宜調整することが好ましい。通常、0.1mmol/g以上であると、化学修飾による効果(例えば、加熱による着色を防止する効果)が得られ易くなる。5.0mmol/g以下であると、セルロース繊維の結晶性が充分に維持されるため、繊維層及び積層体の線膨張係数をより小さくすることができる。
セルロース繊維の置換基の導入量(滴定法)の測定は、次の方法で行う。
絶乾質量で0.04g程度のセルロース繊維を含む繊維含有スラリーを調製し、イオン交換水を用いて50g程度に希釈する。この溶液を撹拌しながら、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下した場合の電気伝導度の値の変化を測定し、その値が極小となる時の0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液の滴下量を、滴定終点における滴下量とする。
セルロース繊維の置換基量Xは、X(mmol/g)=0.01(mol/l)×V(ml)/W(g)で表される。ここで、V:0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液の滴下量(ml)、W:繊維含有スラリーが含むセルロース繊維(g)である。
なお、化学修飾率は、重量増加率、元素分析、上記以外の中和滴定法、FT−IR、プロトンNMR等の分析法によって求めることもできる。
[接着剤層]
接着剤層は、繊維層と樹脂層を接合する層である。本発明の積層体は繊維層と樹脂層を接合する接着剤層を備えているため、接着剤層を有しない積層体よりも曲げ弾性率、線膨張係数等の機械的強度が優れる。
接着剤層の1層の乾燥塗布量は、0.5g/m以上5.0g/m以下が好ましく、1.0g/m以上4.0g/m以下がより好ましく、1.5g/m以上3.0g/m以下がさらに好ましい。
上記下限値以上であると、繊維層と樹脂層との充分な密着力が得られ、機械的強度がより向上する。上記上限値以下であると、全光線透過率を高め、ヘーズを低く抑えることができる。
接着剤層の1層の厚さは、例えば、0.1μm〜30μmが好ましく、0.5μm〜10μmがより好ましく、1μm〜7μmがさらに好ましい。
上記下限値以上であると、繊維層と樹脂層との充分な密着力が得られ、機械的強度がより向上する。上記上限値以下であると、全光線透過率を高め、ヘーズを低く抑えることができる。
ここで、積層体を構成する接着剤層の厚さは、ウルトラミクロトームUC−7(JEOL社製)によって積層体の断面を切り出し、当該断面を電子顕微鏡で観察して、測定される値である。
接着剤層は、主成分として、(メタ)アクリル酸エステル重合体、α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、カゼイン、天然ゴム、およびでんぷんから選択される一種または二種以上の接着剤を含むことが好ましい。ここで、「主成分として」とは、接着剤層の総質量(100質量%)に対して50質量%以上であることを意味する。
上記のうち、密着力及び機械的強度の向上と透明性の向上のバランスが優れる、(メタ)アクリル酸エステル重合体を含むことがより好ましく、シリカ粒子及び/又はシラノール基を有する化合物と(メタ)アクリル酸エステル重合体との複合体が密着力向上の観点から特に好ましい。
ここで、上記(メタ)アクリル酸エステル重合体は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の(メタ)アクリル樹脂以外の合成樹脂がグラフト重合してなる重合体、及び(メタ)アクリル酸エステルと他のモノマーとが共重合してなる共重合体を含む。ただし、当該共重合体中の(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマーのモル分率は、50モル%以下である。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(100質量%)中、グラフト重合した(メタ)アクリル樹脂以外の合成樹脂の含有量は、50質量%以下である。
接着剤層には、繊維層との密着力を高める観点から、繊維層の水酸基、及び/又はセルロース繊維に導入された官能基と、接着剤層の主成分との間に共有結合を形成する化合物を含むことがより好ましい。共有結合を形成する化合物の種類は、例えば、シラノール基、イソシアネート基、カルボジイミド基、エポキシ基、オキサゾリン基を含む化合物のうち、少なくともいずれか1種であることが好ましい。上記のうち、繊維層の水酸基、及び/又はセルロース繊維に導入された官能基との反応性に優れる、シラノール基、又はイソシアネート基を含む化合物がより好ましい。
接着剤層の主成分は、樹脂層との密着力を高める観点から、樹脂層との物理的相互作用を誘起する化合物であることがより好ましい。すなわち、接着剤層の主成分と樹脂層の溶解性パラメータ(SP値)が近いほど好ましい。接着剤層の主成分と樹脂層のSP値の差が10以下であることが好ましく、5以下がより好ましく、1以下がさらに好ましい。
ただし、接着剤層を設ける意義を高める観点から、接着剤層の主成分と樹脂層を構成する合成樹脂とは互いに異なることが好ましい。
[樹脂層]
樹脂層は、合成樹脂を主材とする層である。樹脂層の全質量に対する合成樹脂の含有量は、例えば80〜100質量%とすることができる。合成樹脂の種類は、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、およびポリ(メタ)アクリレートのうち、少なくともいずれか1種であることが好ましい。なかでも、成形性に優れ、透明性が高いポリカーボネートがより好ましい。
樹脂層を構成するポリカーボネートとしては、例えば、芳香族ポリカーボネート系樹脂、脂肪族ポリカーボネート系樹脂が挙げられる。これらの具体的なポリカーボネート系樹脂は公知であり、例えば特許文献1に記載されたポリカーボネート系樹脂が挙げられる。
樹脂層には合成樹脂以外の任意成分が含まれていてもよい。任意成分としては、例えば、フィラー、顔料、染料、紫外線吸収剤等の樹脂フィルム分野で使用される公知成分が挙げられる。
樹脂層の1層の厚さとしては、例えば100μm以上が好ましく、500μm以上がより好ましく、1000μm以上がさらに好ましい。100μm以上であると、積層体の機械的強度が充分に安定する。樹脂層の厚さの上限は特に限定されず、用途に応じて適宜設定され、例えば10mm〜50mm程度の厚さにすることもできる。
ここで、積層体を構成する樹脂層の厚さは、ウルトラミクロトームUC−7(JEOL社製)によって積層体の断面を切り出し、当該断面を電子顕微鏡、拡大鏡又は目視で観察して、測定される値である。
[各層の相対的な厚さ]
本発明の積層体を構成する繊維層、接着剤層、樹脂層のうち、互いに隣接する層の相対的な厚さの関係は、樹脂層>繊維層≧接着剤層であることが好ましい。この関係であると、繊維層が樹脂層を補強する関係となり、樹脂層が有する機械的な特性を繊維層がより一層向上させることができる。
繊維層と、接着剤層を介在してその繊維層に接合された樹脂層の厚さの比(樹脂層の厚さ/繊維層の厚さ)は、10以上が好ましく、20以上がより好ましく、30以上がさらに好ましい。10以上であると、積層体の機械的強度がより一層向上する。上記厚さの比の上限は特に限定されず、用途に応じて適宜設定され、例えば50〜100以上にすることもできる。
積層体に、繊維層及び樹脂層の少なくとも一方が複数備えられている場合、繊維層の厚さの合計に対する樹脂層の厚さの合計の比(樹脂層の厚さの合計/繊維層の厚さの合計)は、10以上が好ましく、20以上がより好ましく、30以上がさらに好ましい。10以上であると、積層体の機械的強度がより一層向上する。上記厚さの比の上限は特に限定されず、用途に応じて適宜設定され、例えば50〜100以上にすることもできる。
なお、積層体に備えられた繊維層が1層である場合、積層体に備えられた繊維層の厚さの合計は当該1層の繊維層の厚さである。
積層体の厚さは特に限定されず、例えば、0.5mm以上が好ましく、1mm以上がより好ましく、2mm以上がさらに好ましい。0.5mm以上であることにより、従来はガラスが適用されていた用途に本発明の積層体を適用することが容易になる。
積層体の全光線透過率は特に限定されず、例えば、60%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。60%以上であることにより、従来は透明なガラスが適用されていた用途に本発明の積層体を適用することが容易になる。ここで、積層体の全光線透過率は、後述の測定方法で測定された値である。
積層体のヘーズは特に限定されず、例えば、20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。ヘーズが低いほど、従来は透明なガラスが適用されていた用途に本発明の積層体を適用することが容易になる。ここで、積層体のヘーズは、後述の測定方法で測定された値である。
本発明の積層体の好ましい実施形態は、透明で機械的強度が高く、ヘーズの小さい積層体である。優れた光学特性を活かす観点から、各種のディスプレイ装置、各種の太陽電池、等の光透過性基板の用途に適している。また、電子機器の基板、家電の部材、各種の乗り物や建物の窓材、内装材、外装材、包装用資材等の用途にも適している。
<積層体の製造方法>
本発明の積層体は、繊維層と樹脂層とを接着剤によって接合することにより製造することができる。接着剤を繊維層又は樹脂層の積層面に塗布する方法は公知方法が適用される。具体的には、コーター等を使用して繊維層の積層面となる少なくとも一方の面に前記接着剤を塗布して乾燥することにより、繊維層と接着剤層とが積層してなる積層材を得て、当該積層材の接着剤層に樹脂層を接合することにより、積層体を製造する方法が挙げられる。
なお、接着剤を塗布する量を適宜調整することにより、前述した接着剤層の乾燥塗布量を調整することができる。
積層材の接着剤層に樹脂層を接合する方法(工程)として、積層材の接着剤層の上に樹脂層を構成する樹脂シート材を載置して、熱プレスする方法が挙げられる。また、射出成型用の金型内に積層材を、射出空間側(金型内部の中心側)にその接着剤層が露出するように設置して、当該金型内に加熱されて溶融した樹脂を射出して、前記積層材の接着剤層に射出した樹脂からなる樹脂層を接合させる方法が挙げられる。
繊維層と樹脂層との密着性を向上させる観点から、射出成型法によって積層体を製造することが好ましい。
以下に、射出成型法による積層体の製造方法の一例を説明する。
まず、繊維層の両面に接着剤を塗布して乾燥することにより、繊維層の両面に接着剤層が形成されてなる積層材6を作製する。また、積層材6と共に射出成型の金型内に設置する樹脂シート7を準備する。この樹脂シート7は、金型内において、射出される樹脂の射出圧力によって積層材6に対して熱圧着されることによって樹脂層1となる。
続いて、図4に示す様に、射出成型用平板金型5の内壁面の2箇所に、各々樹脂シート7と、積層材6とを順次載置し、耐熱テープ4で固定する。次に、樹脂シート7と積層材6を載置した平板金型5の内壁面を、形成される積層体10Dの上面と下面の位置に対応するように配置して平板金型5を組み立てる。そして、注入口5aから加熱して溶融させた樹脂を適当な圧力で射出し、適当な温度、適当な型締力、適当な保持時間で成型することにより、積層体10Dが得られる。必要に応じて耐熱テープ4が含まれる両端部分を切断し、完成品の積層体10Dとすることができる。
前記樹脂を射出する圧力としては、例えば10MPa〜500MPaが好ましく、50MPa〜400MPaがより好ましく、100MPa〜300MPaがさらに好ましい。
前記成型時の樹脂溶融温度としては、例えば100〜400℃が好ましく、150〜400℃がより好ましく、200〜400℃がさらに好ましい。
前記成型時の型締力としては、例えば200kN〜100000kNが好ましく、500kN〜50000kNがより好ましく、1000kN〜10000kNがさらに好ましい。
前記成型時の保持時間としては、例えば0.1〜600秒が好ましく、1〜300秒がより好ましく、10〜60秒がさらに好ましい。
前記成型時の金型温度としては、例えば100〜400℃が好ましく、100〜300℃がより好ましく、150〜250℃がさらに好ましい。
以下、本発明の積層体の材料として好適な繊維層の作製方法を例示する。
(繊維層の作製)
繊維層の作製に使用するセルロース繊維としては、例えば、木材から製造されたセルロース繊維、草本類から製造されたセルロース繊維等が挙げられる。
セルロース繊維を得る木材系の材料としては、例えば、針葉樹、広葉樹をクラフト法、サルファイト法、ソーダ法、ポリサルファイド法などで蒸解した化学パルプ、レファイナー、グラインダーなどの機械力によってパルプ化した機械パルプ、薬品による前処理の後、機械力によってパルプ化したセミケミカルパルプ、古紙パルプ等が挙げられる。
セルロース繊維を得る非木材系の材料としては、例えば、綿、マニラ麻、亜麻、藁、竹、パガス、ケナフなどから上記の方法で得られたパルプが挙げられる。
微細化したセルロース繊維を得る方法としては、次の方法が例示できる。まず、公知方法により前記材料からセルロース繊維を含むパルプを得る。続いて、公知の粉砕機や製紙用叩解機を使用して、当該パルプを湿式粉砕または乾式粉砕によって処理することにより、微細化されたセルロース繊維が得られる。
セルロース繊維の微細化処理の前または後で、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルラジカル)酸化処理などの化学変性処理、オゾン処理、クラフト処理、スルファイト処理、漂白処理、酵素処理、化学修飾等を公知方法により施してもよい。
繊維層の作製方法としては、例えば、セルロース繊維を分散媒に分散した繊維スラリーを調製して、これを抄紙又は塗布し、乾燥することによって繊維層(繊維シート)を形成する方法が挙げられる。
繊維スラリーを調製する方法としては、例えば、セルロース繊維を分散媒で希釈することにより、繊維スラリーを得る方法が挙げられる。繊維スラリーの調製に使用するセルロース繊維の平均繊維幅、平均繊維長は、以下の方法により測定される。以下の方法による測定値は、積層体の繊維層を構成するセルロース繊維の平均繊維幅、平均繊維長とほぼ同じとなる。
繊維スラリーの調製に使用するセルロース繊維の平均繊維幅の測定は以下の方法で行う。固形分濃度0.05〜0.1質量%のセルロース繊維の水系懸濁液を調製し、前記懸濁液を親水化処理したカーボン膜被覆グリッド上にキャストして電子顕微鏡観察用試料とする。構成するセルロース繊維の幅に応じた倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。ここで「幅」とは、セルロース繊維の端から端までの距離であって短い方の距離を意味する。
ただし、試料、観察条件や倍率は下記の条件を満たすように調整する。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、前記直線Xに対し、20本以上のセルロース繊維が交差する。
(2)同じ画像内で前記直線と垂直に交差する直線Yを引き、前記直線Yに対し、20本以上のセルロース繊維が交差する。
上記条件を満足する観察画像に対し、直線X、直線Yと交錯するセルロース繊維の幅を目視で読み取る。異なる観察画像を3枚以上同様に観察し、各々の画像に対して、直線X、直線Yと交錯するセルロース繊維の幅を読み取る。この方法で少なくとも20本×2×3=120本の繊維幅を読み取った平均値を本発明における平均繊維幅とする。
繊維スラリーの調製に使用するセルロース繊維のセルロース繊維の平均繊維長は、長さ加重平均繊維長の測定によって求められる。例えば、カヤーニオートメーション社のカヤーニ繊維長測定器(FS−200形)を用いて測定することができる。なお、長さ加重平均繊維長を測定する装置は上記に限られず、同等品を使用してもよい。少なくとも120本のセルロース繊維の繊維長を測定し、その平均値を平均繊維長とする。
繊維スラリーの固形分濃度は、繊維スラリーの総質量に対して、0.1〜10.0質量%が好ましく、0.5〜5.0質量%がより好ましい。
繊維スラリーの固形分濃度が前記下限値以上であると、抄紙による繊維層の製造が容易になる。前記上限値以下であると、繊維スラリー中に凝集塊が形成されることを防止できる。繊維スラリーには、必要に応じて、サイズ剤や紙力増強剤などの公知の製紙用薬品が含まれてもよい。
繊維スラリーを乾燥して繊維シートを形成する方法としては、例えば、加熱乾燥、送風乾燥、減圧乾燥等が挙げられる。乾燥と並行して加圧してもよい。加熱温度は50℃〜250℃程度が好ましい。上記温度範囲であると、乾燥を短時間で完了し、変色や着色を抑制することができる。加圧は0.01MPa〜5MPaが好ましい。上記圧力範囲であると、ひび割れや皺の発生を抑制し、繊維層の密度を高めることができる。
積層体の製造に使用する繊維シートの坪量は、1〜200g/cmが好ましく、10〜100g/cmがより好ましく、25〜75g/cmがさらに好ましい。
ここで、繊維シートの坪量は、JIS P 8124:2011に記載の方法によって測定された値である。
繊維層に任意成分を添加する場合には、繊維スラリー中に当該任意成分を均一に混合させて、任意成分が分散された繊維層を形成することが好ましい。例えば、繊維スラリー中に任意成分としての前記含酸素有機化合物を混合しておくと、繊維スラリーを抄紙又は塗布してなる繊維スラリーの薄層を乾燥させて繊維層を形成する過程において、乾燥が穏やかに進行し、繊維層にひび割れや皺が生じることを抑制できる。この結果、高密度で透明なフィルム状の繊維層を形成することができる。
上記方法に代えて、繊維層を形成した後に、当該繊維層に任意成分を含浸させてもよい。任意成分が親水性高分子である場合には、繊維スラリーに親水性高分子を均一に混合して繊維層を形成することが好ましい。この形成方法によれば、親水性高分子を後追いで繊維層へ含浸させるよりも高い効率で、繊維層中に親水性高分子を均一に含ませることができる。
繊維層に添加する任意成分が増加すると、当該繊維層の全質量に対するセルロース繊維の含有量が相対的に低下する。よって、任意成分の添加量を適宜調整することにより、当該繊維層中のセルロース繊維の含有量を前述した好適な範囲に調整することができる。
積層体の製造に使用する繊維シートの密度は、1.0g/cm以上1.7g/cm以下が好ましく、1.2g/cm以上1.65g/cm以下がより好ましく、1.4g/cm以上1.6g/cm以下がさらに好ましい。
ここで、繊維シートの密度は、繊維シートの坪量と厚さから、JIS規格P8118:2014に準拠して算出される値である。なお、繊維シートの密度は、セルロース繊維以外の任意成分を含む密度である。
<作用効果>
本発明の積層体には樹脂層と繊維層の間に接着剤層が備えられている。そのため、繊維層として不織布のように、空隙が存在するものを使用しなくとも、樹脂層と繊維層との充分な密着性が得られる。
空隙が存在しない、若しくは空隙の少ない繊維層は、密度が高く積層体の補強効果が大きい。また、密度が大きいと、透明性の点でも有利である。
また、前述した積層体の製造方法によれば、樹脂層を形成する樹脂を射出成型することによって、繊維層の表面に設けられた接着剤層に対して、樹脂層を強力に接着させることができる。また、ポリカーボネート樹脂フィルム(樹脂層)をセルロース不織布(繊維層)に押し当てた状態で、ポリカーボネート樹脂フィルムを加熱溶融してセルロース不織布に熱圧着する、という特許文献1の製造方法に比べて、上記機械的特性に優れた積層体をより簡便に高い生産性で製造することができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<実施例1>
(微細繊維状セルロース懸濁液Aの調製)
リン酸二水素ナトリウム二水和物265g、及びリン酸水素二ナトリウム197gを538gの水に溶解させ、リン酸系化合物の水溶液(以下、「リン酸化試薬」という。)を得た。
針葉樹晒クラフトパルプ(王子ホールディングス株式会社製、水分50質量%、JIS
P8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)700ml)を含水率80質量%になるようイオン交換水で希釈し、パルプ懸濁液を得た。このパルプ懸濁液500gに前記リン酸化試薬210gを加え、105℃の送風乾燥機(ヤマト科学株式会社 DKM400)で時折混練しながら質量が恒量となるまで乾燥させた。ついで150℃の送風乾燥機で時折混練しながら1時間加熱処理して、セルロースにリン酸基を導入した。このときのリン酸基の導入量は、0.98mmol/gであった。
次いで、リン酸基を導入したセルロースに5000mlのイオン交換水を加え、撹拌洗浄後、脱水した。脱水後のパルプを5000mlのイオン交換水で希釈し、撹拌しながら、1Nの水酸化ナトリウム水溶液をpHが12〜13になるまで少しずつ添加して、パルプ懸濁液を得た。その後、このパルプ懸濁液を脱水し、5000mlのイオン交換水を加えて洗浄を行った。この脱水洗浄をさらに1回繰り返した。
洗浄脱水後に得られたパルプにイオン交換水を添加して、1.0質量%のパルプ懸濁液にした。このパルプ懸濁液を、高圧ホモジナイザー(NiroSoavi社「Panda
Plus 2000」)で、操作圧力1200barにてホモジナイジングチャンバーを5回通過させ、微細繊維状セルロース懸濁液を得た。さらに、湿式微粒化装置(スギノマシン社製「アルティマイザー」)で245MPaの圧力にて処理チャンバーを5回通過させ、微細繊維状セルロース懸濁液Aを得た。
懸濁液Aを構成する微細繊維状セルロースの平均繊維幅は、5nmであった。
(繊維シートBの作製)
微細繊維状セルロース懸濁液Aに、含酸素有機化合物として親水性高分子であるポリエチレンオキサイド(和光純薬社製:分子量100万)を微細繊維状セルロース100質量部に対し、20質量部になるように添加した。なお、微細繊維状セルロースの固形分濃度が0.5質量%となるように濃度調製を行った。シート坪量が50g/mになるように懸濁液を計量して、市販のアクリル板に展開(キャスト)して、50℃のオーブンにて乾燥し、繊維シートB(繊維層)を得た。
(積層材Cの作製)
繊維シートBの一方の面上に、接着剤として、ポリウレタンがグラフト重合したアクリル樹脂であるウレタンアクリル樹脂(大成ファインケミカル社製、アクリット8UA−347A)100重量部、イソシアヌレート化合物(旭化成ケミカルズ社製、TPA−100)9.7重量部を混合し、バーコーターにて塗布して乾燥させ、繊維シート上に接着剤層を設けた積層材Cを得た。この接着剤層の乾燥塗布量は、1.5g/mであった。
(積層材Dの作製)
積層材Cの接着剤層を設けていない他方の面にも、接着剤として、ポリウレタンがグラフト重合したアクリル樹脂であるウレタンアクリル樹脂(大成ファインケミカル社製、アクリット8UA−347A)100重量部、イソシアヌレート化合物(旭化成ケミカルズ社製、TPA−100)9.7重量部を混合し、バーコーターにて塗布して乾燥させ、繊維シートの両面に接着剤層を設けた積層材Dを得た。この接着剤層の乾燥塗布量は、片面1.5g/m、両面3.0g/mであった。
(積層体の作製)
射出成型用平板金型(サイズ:150mm×150mm)の下金型の内壁面に、積層材C(サイズ:150mm×150mm)の接着剤層が金型の射出空間側に向くように積層材Cを載置し、耐熱テープで固定した。積層材Cを固定した下金型と、上金型とを組み合せてなる射出成型用平板金型を、射出成型試験機(日精樹脂工業社製、NEX140)にセットし、300℃に加熱して溶融させたポリカーボネート樹脂(帝人社製、パンライトL−1250Y)を圧力200MPaで射出し、金型温度200℃、型締力1300kN、保持時間30秒で成型し、実施例1の積層体を得た。
得られた積層体の合計の厚さは1500μmであり、その積層構造は、ポリカーボネート層(厚さ1465μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/繊維シートB(厚さ33μm)の順に積層された構造であった(図2参照)。
得られた積層体の表層から中心までの厚みTに対し、表層から20%の厚み(0.2T=150μm)までの領域に存在する繊維シートBの厚みの割合は、22%(=33÷(750×0.2) %)であった。
<実施例2>
(積層体の作製)
下金型の内壁面に2枚の積層材Cを重ねて載置し、耐熱テープで固定した。また、上金型の内壁面に2枚の積層材Cを重ねて載置し、耐熱テープで固定した。この際、各積層材Cの接着剤層が樹脂層側を向くように配置した。これらの下金型と上金型を組み合わせてなる射出成型用平板金型を使用した以外は、実施例1と同様にして、1層の樹脂層の表面側に2枚、裏面側に2枚、合計4枚の積層材6が積層された、実施例2の積層体を得た。
得られた積層体の合計の厚さは1500μmであった。その積層構造は、繊維シートB(厚さ33μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/繊維シートB(厚さ33μm)/接着剤層(厚さ2μm)/ポリカーボネート層(厚さ1360μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/繊維シートB(厚さ33μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/繊維シートB(厚さ33μm)の順に積層された構造であった(図3参照)。
得られた積層体の表層から中心までの厚みTに対し、表層から20%の厚み(0.2T=150μm)までの領域に存在する繊維シートBの厚みの割合は、44%(=(33+33)÷(750×0.2)%)であった。
<実施例3>
(積層体の作製)
積層材Cの接着剤を、アクリル−シリカ複合体樹脂(荒川化学社製、コンボセランAC601)へ変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の積層体を得た。
得られた積層体の合計の厚さは、1500μmであり、その積層構造は、実施例1の積層体Eとほぼ同じであった(図2参照)。
得られた積層体の表層から中心までの厚みTに対し、表層から20%の厚み(0.2T=150μm)までの領域に存在する繊維シートBの厚みの割合は、22%(=33÷(750×0.2) %)であった。
<実施例4>
(積層体の作製)
射出成型用平板金型(サイズ:150mm×150mm)の下金型の内壁面に、ポリカーボネート樹脂シート(帝人社製、パンライトPC−1151、厚み1.0mm、サイズ:150mm×150mm)と、積層材D(サイズ:150mm×150mm)とを順次載置し、耐熱テープで固定した。ポリカーボネート樹脂シートと積層材Dを固定した下金型と、上金型とを組み合せてなる射出成型用平板金型を、射出成型試験機(日精樹脂工業社製、NEX140)にセットし、300℃に加熱して溶融させたポリカーボネート樹脂(帝人社製、パンライトL−1250Y)を圧力200MPaで射出し、金型温度200℃、型締力1300kN、保持時間30秒で成型し、実施例4の積層体を得た。なお、金型内に設置した上記ポリカーボネート樹脂シートは、金型内に射出されたポリカーボネートの熱と圧力によって積層材Dに対して熱圧着され、接合された。
得られた積層体の合計の厚さは2000μmであり、その積層構造は、ポリカーボネート層(厚さ963μm)/接着剤層(厚さ2μm)/繊維シートB(厚さ33μm)/接着剤層(厚さ2μm)/ポリカーボネート層(厚さ1000μm)の順に積層された構造であった(図1参照)。
得られた積層体の表層から中心までの厚みTに対し、表層から20%の厚みまで(0.2T=200μm)の領域に存在する繊維シートBの厚みの割合は、0%(=0÷(1000×0.2) %)であった。
<実施例5>
(繊維シートEの作製)
微細繊維状セルロース懸濁液Aに、含酸素有機化合物として親水性高分子であるポリエチレンオキサイド(和光純薬社製:分子量100万)を微細繊維状セルロース100質量部に対し、20質量部になるように添加した。なお、微細繊維状セルロースの固形分濃度が0.5質量%となるように濃度調製を行った。シート坪量が300g/mになるように懸濁液を計量して、市販のアクリル板に展開(キャスト)して、50℃のオーブンにて乾燥し、繊維シートE(繊維層)を得た。
(積層材Fの作製)
積層材Cの繊維シートBを繊維シートEに変更した以外は、積層材Cと同様にして、積層材Fを得た。
(積層体の作製)
下金型の内壁面に1枚の積層材Fを載置し、耐熱テープで固定した。また、上金型の内壁面に1枚の積層材Fを載置し、耐熱テープで固定した。この際、各積層材Fの接着剤層が、後で射出成型される樹脂層側を向くように配置した。これらの下金型と上金型を組み合わせてなる射出成型用平板金型を使用した以外は、実施例1と同様にして、1層の樹脂層の表面側に1枚、裏面側に1枚、合計2枚の積層材Fが積層された、実施例5の積層体を得た。
得られた積層体の合計の厚さは1760μmであった。その積層構造は、繊維シートB(厚さ198μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/ポリカーボネート層(厚さ1360μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/繊維シートB(厚さ198μm)の順に積層された構造であった(図5参照)。
得られた積層体の表層から中心までの厚みTに対し、表層から20%の厚み(0.2T=176μm)までの領域に存在する繊維シートBの厚みの割合は、100%(=(198−22)÷(880×0.2) %)であった。
<実施例6>
(積層材Hの作製)
1枚のポリカーボネートフィルム(東レ社製ルミラーS10)上に、1枚の積層材Dを重ね、更に、ポリカーボネートフィルムと積層材Dとが交互になるように重ねていき、合計6枚のポリカーボネートフィルムと合計6枚の積層材Dが交互に積層する積層材Hを得た。
(積層体の作製)
下金型の内壁面に1枚の積層材Hを載置し、耐熱テープで固定した。また、上金型の内壁面に1枚の積層材Hを載置し、耐熱テープで固定した。この際、各積層材Hの接着剤層が、後で射出成型される樹脂層側を向くように配置した。これらの下金型と上金型を組み合わせてなる射出成型用平板金型を使用した以外は、実施例1と同様にして、1層の樹脂層の表面側に1枚、裏面側に1枚、合計2枚の積層材Hが積層された、実施例6の積層体を得た。
得られた積層体の合計の厚さは1760μmであった。その積層構造は、ポリカーボネート層(厚さ50μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/繊維シートB(厚さ33μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/ポリカーボネート層(厚さ50μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/繊維シートB(厚さ33μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/ポリカーボネート層(厚さ50μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/繊維シートB(厚さ33μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/ポリカーボネート層(厚さ50μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/繊維シートB(厚さ33μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/ポリカーボネート層(厚さ50μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/繊維シートB(厚さ33μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/ポリカーボネート層(厚さ50μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/繊維シートB(厚さ33μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/ポリカーボネート層(厚さ716μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/繊維シートB(厚さ33μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/ポリカーボネート層(厚さ50μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/繊維シートB(厚さ33μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/ポリカーボネート層(厚さ50μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/繊維シートB(厚さ33μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/ポリカーボネート層(厚さ50μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/繊維シートB(厚さ33μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/ポリカーボネート層(厚さ50μm)接着剤層(厚さ約2μm)/繊維シートB(厚さ33μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/ポリカーボネート層(厚さ50μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/繊維シートB(厚さ33μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/ポリカーボネート層(厚さ50μm)の順に積層された構造であった(図6参照)。
得られた積層体の表層から中心までの厚みTに対し、表層から20%の厚み(0.2T=176μm)までの領域に存在する繊維シートBの厚みの割合は、38%(=(33+33)÷(880×0.2) %)であった。
<実施例7>
(繊維シートIの作製)
微細繊維状セルロース懸濁液Aに、含酸素有機化合物として親水性高分子であるポリエチレンオキサイド(和光純薬社製:分子量100万)を微細繊維状セルロース100質量部に対し、20質量部になるように添加した。なお、微細繊維状セルロースの固形分濃度が0.5質量%となるように濃度調製を行った。シート坪量が660g/mになるように懸濁液を計量して、市販のアクリル板に展開(キャスト)して、50℃のオーブンにて乾燥し、繊維シートI(繊維層)を得た。
(積層材Jの作製)
繊維シートIの一方の面上に、接着剤として、ポリウレタンがグラフト重合したアクリル樹脂であるウレタンアクリル樹脂(大成ファインケミカル社製、アクリット8UA−347A)100重量部、イソシアヌレート化合物(旭化成ケミカルズ社製、TPA−100)9.7重量部を混合し、バーコーターにて塗布して乾燥させ、繊維シート上に接着剤層を設けた積層材Jを得た。この接着剤層の乾燥塗布量は、1.5g/mであった。
(積層材Kの作製)
積層材Jの接着剤層を設けていない他方の面にも、接着剤として、ポリウレタンがグラフト重合したアクリル樹脂であるウレタンアクリル樹脂(大成ファインケミカル社製、アクリット8UA−347A)100重量部、イソシアヌレート化合物(旭化成ケミカルズ社製、TPA−100)9.7重量部を混合し、バーコーターにて塗布して乾燥させ、繊維シートの両面に接着剤層を設けた積層材Kを得た。この接着剤層の乾燥塗布量は、片面1.5g/m、両面3.0g/mであった。
(積層体Lの作製)
射出成型用平板金型(サイズ:150mm×150mm)の下金型の内壁面に、積層材K(サイズ:150mm×150mm)の一方の接着剤層が金型の射出空間側に向くように積層材Kを載置し、耐熱テープで固定した。積層材Kを固定した下金型と、上金型とを組み合せてなる射出成型用平板金型を、射出成型試験機(日精樹脂工業社製、NEX140)にセットし、300℃に加熱して溶融させたポリカーボネート樹脂(帝人社製、パンライトL−1250Y)を圧力200MPaで射出し、金型温度200℃、型締力1300kN、保持時間30秒で成型し、中間積層体を得た。
続いて、中間積層体を構成する積層材Kの他方の接着剤層に対して、上記と同様の射出成型によりポリカーボネート層を積層し、実施例7の積層体を得た。
得られた積層体Lの合計の厚さは1760μmであり、その積層構造は、ポリカーボネート層(厚さ680μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/繊維シートI(厚さ396μm)/接着剤層(厚さ約2μm)/ポリカーボネート層(厚さ680μm)の順に積層された構造であった(図7参照)。
得得られた積層体の表層から中心までの厚みTに対し、表層から20%の厚み(0.2T=176μm)までの領域に存在する繊維シートIの厚みの割合は、0%(=0÷(880×0.2) %)であった。
<比較例1>
(成形体の作製)
積層材Cを使用しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1の成形体を得た。
得られた成形体の厚さは1500μmであり、その積層構造は、ポリカーボネート層(厚さ1500μm)の単層構造であった。
<比較例2>
(積層体の作製)
積層材Cを繊維シートBへ変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の積層体を得た。得られた積層体の合計の厚さは1500μmであり、その積層構造は、ポリカーボネート層(厚さ1467μm)/繊維シートB(厚さ33μm)の順に積層された二層構造であった。
<比較例3>
(セルロース懸濁液Kの調製)
針葉樹晒クラフトパルプ(王子ホールディングス株式会社製、水分50質量%、JIS
P8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)700ml)に、イオン交換水を添加して、1.0質量%のパルプ懸濁液にした。このパルプ懸濁液を、ラボリファイナー機(相川鉄工社製)で、1万回転/分で5時間処理し、セルロース懸濁液Kを得た。このセルロースの平均繊維幅は、3μmであった。
(繊維シートLの作製)
シート坪量が50g/mになるように懸濁液Kを計量して、市販のアクリル板に展開し50℃のオーブンにて乾燥し繊維シートを得た。
さらに、繊維シートの一方の面上に、接着剤として前記ウレタンアクリル樹脂(大成ファインケミカル社製、アクリット8UA−347A)100重量部、イソシアヌレート化合物(旭化成ケミカルズ社製、TPA−100)9.7重量部を混合し、バーコーターにて塗布して乾燥させ、繊維シート上に接着剤層を設けた繊維シートLを得た。この接着剤層の乾燥塗布量は、1.5g/mであった。
(積層体の作製)
積層材Cを繊維シートLへ変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例3の積層体を得た。得られた積層体の合計の厚さは1500μmであり、その積層構造は、実施例1の積層体Eと同じ三層構造であった(図2参照)。
(測定)
実施例及び比較例で作製した積層体について、積層体を構成する繊維層の平均繊維幅、厚さ、密度、全光線透過率、ヘーズをそれぞれ以下の方法で測定した。その結果を表1に示す。なお、表1に示す結果等は、各積層体を構成する「繊維層」「接着剤層」「樹脂層」の1層あたりの結果等である。
・平均繊維幅の測定方法
積層体の繊維層を構成するセルロース繊維の平均繊維幅は、ウルトラミクロトームUC−7(JEOL社製)によって積層体の断面を切り出し、当該繊維層を電子顕微鏡画像による観察で測定した値である。ここで「幅」とは、セルロース繊維の端から端までの距離であって短い方の距離を意味する。
・厚さの測定方法
積層体を構成する繊維層の1層の厚さは、ウルトラミクロトームUC−7(JEOL社製)によって積層体の断面を切り出し、当該断面を電子顕微鏡画像による観察で測定した値である。
・密度の測定方法
積層体を構成する繊維層の1層の坪量は、ウルトラミクロトームUC−7(JEOL社製)によって積層体の繊維層のみを切削し、JIS規格P8124:2011に準拠し、算出した。ここで算出した坪量と、上記方法で測定した厚さから、JIS規格P8118:2014に準拠し、積層体を構成する繊維層の1層の密度を算出した。
・全光線透過率の測定方法
積層体を構成する繊維層の1層の全光線透過率は、ウルトラミクロトームUC−7(JEOL社製)によって積層体の繊維層のみが残るように切削し、JIS規格K7361:1997に準拠し、ヘーズメータ(村上色彩技術研究所社製「HM−150」)を用いて、測定した。
・ヘーズの測定方法
積層体を構成する繊維層の1層のヘーズは、ウルトラミクロトームUC−7(JEOL社製)によって積層体の繊維層のみが残るように切削し、JIS規格K7136:2000に準拠し、ヘーズメータ(村上色彩技術研究所社製「HM−150」)を用いて、測定した。
Figure 0006701807
(評価)
実施例及び比較例で作製した積層体について、以下の評価を行った。その結果を表2に示す。
<密着性>
得られた積層体をカットして、幅10mm×長さ50mmのサイズのサンプルを各積層体から5枚ずつ得た。
繊維層と樹脂層の密着性を評価するために、オルファ社製のカッターナイフを繊維層と樹脂層の間の接着剤層に刺し込んで、繊維層と樹脂層の剥離の程度を下記の基準で評価した。
◎:サンプル5枚の全てについて、繊維層と樹脂層を少しも剥離できなかった。
○:サンプル5枚中、4枚は少しも剥離せず、1枚のみが1mm程度剥離した。この程度の剥離は実用上問題とならない。
△:サンプル5枚の全てにおいて20mm以上剥離した。この剥離は実用上問題となる。
×:サンプル5枚の全てにおいて、繊維層と樹脂層とが完全に剥離した。
<全光線透過率>
得られた積層体の全光線透過率を、JIS規格K7361:1997に準拠し、ヘーズメータ(村上色彩技術研究所社製「HM−150」)を用いて、測定した。
<ヘーズ>
得られた積層体のヘーズを、JIS規格K7136:2000に準拠し、ヘーズメータ(村上色彩技術研究所社製「HM−150」)を用いて、測定した。
<曲げ弾性率>
得られた積層体の曲げ弾性率を、JIS規格K7074:1988に準拠し、テンシロンRTC−1250Aを用いて、測定した。
<線膨張係数>
得られた積層体の線膨張係数を、JIS規格K7197:2012に準拠し、熱分析機器(日立社製TMA7100)を用いて、100〜150℃の温度範囲で測定した。
<表面付近の繊維層の割合>
得られた積層体の表面(一方の一面)から中心までの厚みをTとしたとき、その表面から厚さT×0.2までの領域(表面付近の領域)に存在する繊維層の厚みの割合を百分率で求めた。これらの結果を表2に示す。
Figure 0006701807
以上の結果から、実施例の積層体は、密着性、全光線透過率、ヘーズ、弾性率、線膨張係数の全ての項目で高評価であることが分かる。繊維層と接着剤層と樹脂層を設けた実施例1は、密着性に優れ、高い透明性と低い線膨張係数を両立できている。繊維層を複数枚積層した実施例2は、密着性と透明性を維持したまま、高い弾性率と低い線膨張係数が得られている。実施例3は、アクリル樹脂にシリカを複合した接着剤を用いることにより、更に強固な密着性が得られている。実施例4は、繊維層の両面に接着剤層を介して樹脂を設けたことにより、密着性が良好で、線膨張係数が低く、より厚い積層体が得られる。
一方、樹脂層のみの比較例1は、透明性は高いものの、線膨張係数が極めて高かった。
接着剤層の無い比較例2は、繊維層と樹脂層の密着が不十分であり、線膨張係数も実施例と比べて高かった。繊維幅が1000nm以上のセルロースの懸濁液Kを用いた比較例3は、透明性が低く、線膨張係数も顕著に高かった。
また、各積層体の表面付近における繊維層の厚みの割合(存在率)をみると、実施例において、前記割合が高いほど、高い弾性率と低い線膨張係数が得られている。
なお、実施例1,3,4,7は比較例である。
1…樹脂層、2…接着剤層、3…繊維層、4…耐熱テープ、5…平板金型、5a…注入口、6…積層材、7…樹脂シート、10A〜10D…積層体

Claims (15)

  1. 1層以上の樹脂層と、平均繊維幅1000nm以下のセルロース繊維によって形成された2層以上の繊維層と、前記1層以上の樹脂層及び前記2層以上の繊維層の各層の間に設けられた接着剤層とからなる積層体であり、
    前記2層以上の繊維層は、1つの前記樹脂層の表面側と裏面側の各々に積層されており、
    前記積層体全体の表面又は裏面の何れかの一面から前記積層体全体の中心までの厚みをTとしたとき、前記積層体全体の表面から前記積層体全体の表面からの距離がT×0.2までの領域に存在する前記繊維層の厚みの割合と、前記積層体全体の裏面から前記積層体全体の裏面からの距離がT×0.2までの領域に存在する前記繊維層の厚みの割合の各々が、30%以上100%以下である、積層体。
  2. 前記繊維層の密度が1.0g/cm以上1.7g/cm以下である請求項1に記載の積層体。
  3. 前記接着剤層の乾燥塗布量が0.5g/m以上5.0g/m以下である請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記接着剤層は、(メタ)アクリル酸エステル重合体、α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、カゼイン、天然ゴム、およびでんぷんから選択される一種または二種以上を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
  5. 前記繊維層に、親水性の含酸素有機化合物(但し、前記セルロース繊維は除く。)が含有されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
  6. 前記繊維層の全質量に対する、前記セルロース繊維及び前記含酸素有機化合物の合計質量が90質量%以上である請求項5に記載の積層体。
  7. 前記繊維層の厚さの合計に対する前記樹脂層の厚さの合計の比(前記樹脂層の厚さの合計/前記繊維層の厚さの合計)が、10以上である請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層体。
  8. 前記繊維層の一層の厚さが10μm以上である請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層体。
  9. 前記繊維層の厚さの合計が20μm以上である請求項1〜8のいずれか一項に記載の積層体。
  10. 前記繊維層の一層の全光線透過率が70%以上である請求項1〜9のいずれか一項に記載の積層体。
  11. 前記繊維層の一層のヘーズが20%以下である請求項1〜10のいずれか一項に記載の積層体。
  12. 前記積層体の厚さが0.5mm以上である請求項1〜11のいずれか一項に記載の積層体。
  13. 前記積層体の全光線透過率が60%以上である請求項1〜12のいずれか一項に記載の積層体。
  14. 前記積層体のヘーズが30%以下である請求項1〜13のいずれか一項に記載の積層体。
  15. 前記樹脂層の少なくとも一面側には、複数の前記繊維層が積層されており、前記複数の繊維層は互いに、前記接着剤層のみを介して又は直接に接合している請求項1〜14のいずれか一項に記載の積層体。
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