以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる撮像装置におけるCMOS型の撮像素子の構成を示すブロック図である。図1において、撮像素子200は、撮像面に行列状に配列され、それぞれが被写体像を光電変換するフォトダイオード(以下、PD)1を有する画素201と、画素201からの出力信号を転送する列出力線2とを有する。列出力線2に出力された画素信号は、デュアルスロープ型A/D変換器(以下、A/D変換器)202に入力され、アナログ信号からデジタル信号(デジタル値)に変換される。
A/D変換器202は、そのオフセットとゲインを補正するためのクリップ電圧発生部5を備える。また、PD1からの出力信号と、クリップ電圧発生部5からの出力信号を切り替えるための第1のスイッチ3と、列毎に配置された列増幅器(以下、CAMP)4を備える。
また、PD1からの出力信号のレベルを判定するためのレベル判定信号発生部7と、比較器である第1のコンパレータ6と、A/D変換器202の主要部を構成する第2のコンパレータ8を備える。また、第2のコンパレータ8の比較電圧を供給する第1のランプ信号発生部9と、第2のランプ信号発生部10を備える。また、第1のランプ信号発生部9と第2のランプ信号発生部10を切り替えるための第2のスイッチ11を備える。さらに、第1のスイッチ3と第2のスイッチ11の制御信号を発生する切替信号発生部16を備える。なお、第2のランプ信号発生部10で発生するランプ信号は、第1のランプ信号発生部9で発生するランプ信号よりも、時間的な変化の傾きが大きい。
第2のコンパレータ8の後段には、シフトレジスタ12を備える。また、第2のコンパレータ8で、傾きの異なるランプ信号を用いてA/D変換するときに発生するオフセットずれやゲインずれを補正するためのデジタルフロントエンド(以下、DFE)13を備える。また、DFE13から出力インタフェース部(以下、出力I/F部)14を介して出力された信号を用いて、DFE13に与える補正値を算出するための補正値算出部15を備える。
以上のように構成される本実施形態の撮像装置の動作について以下説明する。図1において、PD1の出力は、信号転送を行うための列出力線2を介して、第1のスイッチ3に入力される。第1のスイッチ3には、クリップ電圧発生部5からの出力信号も入力される。第1のスイッチ3は、切替信号発生部16からの出力信号に応じて、2つの入力された信号のどちらをCAMP4に向けて出力するかの切替動作を行う。
第1のスイッチ3の出力信号は、列毎に配置された増幅器であるCAMP4に入力される。CAMP4は、設定されたゲイン値になるように入力信号を増幅した後、第1のコンパレータ6に出力する。第1のコンパレータ6は、入力された信号を、レベル判定信号発生部7からの出力信号と比較し、比較結果を第2のスイッチ11と、DFE13に出力する。それと同時に、入力された信号を、そのまま第2のコンパレータ8にも出力する。
第2のスイッチ11は、2つの異なる傾きのランプ信号を発生する第1のランプ信号発生部9と第2のランプ信号発生部10からの出力信号(ランプ信号)を、第1のコンパレータ6からの出力信号に応じて切り替えて、第2のコンパレータ8に出力する。
第2のコンパレータ8には、第1のコンパレータ6からの出力信号と、第2のスイッチ11を介したランプ信号発生部9又は10からのランプ信号が入力され、それら2つの信号の比較動作を行うことでA/D変換を行う。第2のコンパレータ8の出力信号は、シフトレジスタ12を介して、DFE13に入力される。
DFE13には、シフトレジスタ12からの信号の他に、第1のコンパレータ6からの出力信号も入力される。DFE13は、第1のコンパレータ6からの出力信号に応じて、シフトレジスタ12から入力された信号を、未処理でそのまま出力I/F部14に出力する。もしくは、第1のコンパレータ6からの出力信号に応じて、A/D変換器202で発生するオフセットずれや、ゲインずれを補正した後、出力I/F部14に出力する。出力I/F部14からの出力信号は、補正値算出部15に入力され、補正値算出部15は、入力された補正値算出用の固定値から、水平シェーディング量を算出し、シェーディング補正を行う。A/D変換器202で発生するオフセットずれとゲインずれの補正動作中は、補正値算出を行った後、DFE13に補正値を出力する。また、出力I/F部14は、通常の映像出力期間中は、撮像素子200の外部に備えられた信号処理部に映像信号を出力する。
次に、デュアルスロープ型のA/D変換器202で発生するオフセットずれとゲインずれの補正動作について、図2Aと図2Bを参照して説明する。
A/D変換器202で発生するオフセットずれとゲインずれの補正動作中は、列出力線2からの出力信号をCAMP4の入力から切り離す。そのため、第1のスイッチ3は、クリップ電圧発生部5からの出力信号がCAMP4に入力されるように、切替信号発生部16からの出力信号によって切り替えられる。
次に、A/D変換器202で発生するオフセットずれとゲインずれを補正するための補正係数の算出方法について説明する。
(切替信号発生部16とクリップ電圧発生部5による補正値算出動作)
●出力コードD1Lの出力動作
クリップ電圧発生部5は、予め設定された固定電圧値D1を出力し、CAMP4はそれを第1のコンパレータ6に出力する。第1のコンパレータ6は、入力された信号をそのまま第2のコンパレータ8に出力する。切替信号発生部16は、(b1,b0)=(0,0)の信号を、第2のスイッチ11に出力する。
第2のスイッチ11は、切替信号発生部16からの出力信号に応じて、第1のランプ信号発生部9の出力信号が第2のコンパレータ8に入力されるように切り替えられる。第2のコンパレータ8は、入力された第1のコンパレータ6からの出力信号と、第1のランプ信号発生部9からのランプ信号の比較を行った結果を、シフトレジスタ12と、DFE13と、出力I/F部14を介して、出力コードD1Lとして出力する。出力コードD1Lは、補正値算出部15にも同時に入力される。
●出力コードD2Lの出力動作
クリップ電圧発生部5は、予め設定された固定電圧値D2を出力し、CAMP4はそれを第1のコンパレータ6に出力する。第1のコンパレータ6は、入力された信号をそのまま第2のコンパレータ8に出力する。切替信号発生部16は、(b1,b0)=(0,0)の信号を、第2のスイッチ11に出力する。
第2のスイッチ11は、切替信号発生部16からの出力信号に応じて、第1のランプ信号発生部9の出力信号が第2のコンパレータ8に入力されるように切り替えられる。第2のコンパレータ8は、入力された第1のコンパレータ6からの出力信号と、第1のランプ信号発生部9からのランプ信号の比較を行った結果を、シフトレジスタ12と、DFE13と、出力I/F部14を介して、出力コードD2Lとして出力する。出力コードD2Lは、補正値算出部15にも同時に入力される。
●出力コードD1Hの出力動作
クリップ電圧発生部5は、予め設定された固定電圧値D1を出力し、CAMP4はそれを第1のコンパレータ6に出力する。第1のコンパレータ6は、入力された信号をそのまま第2のコンパレータ8に出力する。切替信号発生部16は、(b1,b0)=(0,1)の信号を、第2のスイッチ11に出力する。
第2のスイッチ11は、切替信号発生部16からの出力信号に応じて、第2のランプ信号発生部10の出力信号が第2のコンパレータ8に入力されるように切り替えられる。第2のコンパレータ8は、入力された第1のコンパレータ6からの出力信号と、第2のランプ信号発生部10からのランプ信号の比較を行った結果を、シフトレジスタ12と、DFE13と、出力I/F部14を介して、出力コードD1Hとして出力する。出力コードD1Hは、補正値算出部15にも同時に入力される。
●出力コードD2Hの出力動作
クリップ電圧発生部5は、予め設定された固定電圧値D2を出力し、CAMP4はそれを第1のコンパレータ6に出力する。第1のコンパレータ6は、入力された信号をそのまま第2のコンパレータ8に出力する。切替信号発生部16は、(b1,b0)=(0,1)の信号を、第2のスイッチ11に出力する。
第2のスイッチ11は、切替信号発生部16からの出力信号に応じて、第2のランプ信号発生部10の出力信号が第2のコンパレータ8に入力されるように切り替えられる。第2のコンパレータ8は、入力された第1のコンパレータ6からの出力信号と、第2のランプ信号発生部10からのランプ信号の比較を行った結果を、シフトレジスタ12と、DFE13と、出力I/F部14を介して、出力コードD2Hとして出力する。出力コードD2Hは、補正値算出部15にも同時に入力される。
図2Bは、クリップ電圧発生部5から出力される電圧値D1,D2と、第2のコンパレータ8から出力される出力コードD1L,D2L,D1H,D2Hの直線的な関係を示す図である。補正値算出部15は、出力コードD1L,D2L,D1H,D2Hから、オフセットずれの補正係数Ocとゲインずれの補正係数Gc(ゲイン補正値)を、以下の式(1)、式(2)を用いて算出する。
Oc=D1L−4×D1H×Gc …(1)
Gc=(D2L−D1L)/(D2H−D1H) …(2)
補正値算出部15で算出された各補正係数はDFE13に入力され、シフトレジスタ12からの入力に、各補正係数をかけることで、オフセットずれとゲインずれを補正する。オフセットずれとゲインずれの補正は、シフトレジスタ12からの出力信号であるIhに対して、以下の式(3)を適用することで行う。
ここで、式(3)のSは入力信号Ihの映像信号を示し、Nはノイズ信号を示す。
Ih=(S×4×Gc)−N+Oc …(3)
以上が、デュアルスロープ型のA/D変換器202で発生するオフセットずれとゲインずれを補正する手法である。
次に、CMOS型の撮像素子200の内部の電源レイアウト、読み出し配線レイアウト、A/D変換器の回路レイアウトなどにより発生する水平シェーディングの影響によるA/D変換器202のオフセットずれ及びゲインずれの補正誤差について説明する。図3A、図3Bは、水平シェーディングの影響を説明する図である。
図3Aの横軸は水平方向の画素(pix)の位置を示し、縦軸はその画素の出力レベル(LSB)を示す。CMOS型の撮像素子は、内部の電源レイアウト、読み出し配線レイアウト、A/D変換器の回路レイアウトなどにより水平方向にオフセット値が異なり、結果として、シェーディングが発生する問題がある。そのため、画面中心(例えば、4000pixの位置)に対して、画面左右(1pix及び8000pixの位置)の出力レベルが異なってしまう。
CMOS型の撮像素子の内部の電源レイアウト等により、水平シェーディングが発生するため、デュアルスロープ型のA/D変換器のオフセットずれとゲインずれを補正するための補正値を算出するための補正信号取得領域でも同様の現象が発生する。そのため、クリップ電圧発生部5から固定値電圧D1,D2が出力されても、水平方向の画素の位置により、第2のコンパレータ8から出力される出力コードD1L,D2L,D1H,D2Hにも同様に水平シェーディングが発生する。これにより、図3Bに示すように、水平方向に例えば8分割(領域Aから領域H)し、それぞれでA/D変換のオフセットずれとゲインずれの補正値を算出する場合、各領域で補正値が異なってしまう。
図3Bにおいて、例えばクリップ電圧発生部5から固定電圧値D1,D2を出力し、A/D変換すると、その結果である出力コードD1L,D1H,D2L,D2Hの値が、各領域でそれぞれのLSBに対して異なる。これらの値を用いて、各領域で式(1)、式(2)から補正値Oc,Gcを算出すると、各領域で補正値が異なってしまう。
次に、デュアルスロープ型のA/D変換器で発生するオフセットずれとゲインずれの補正値の算出において、水平シェーディングを補正する手法について、図4を用いて説明する。
既に説明したように、デュアルスロープ型のA/D変換器202で発生するオフセットずれとゲインずれを補正するための補正信号取得領域の読み出し中に、初めにクリップ電圧発生部5から固定電圧値D1を出力する。この固定電圧値D1は、CAMP4と、第1のコンパレータ6を介して、第2のコンパレータ8に出力される。一方、第2のコンパレータ8に、第1のランプ信号発生部9からのランプ信号が入力されるように、切替信号発生部16から、”b1,b0”=“0,0”の信号を第2のスイッチ11に出力する。
第2のコンパレータは、入力された第1のコンパレータ6からの信号と、第1のランプ信号発生部9からのランプ信号を比較することにより、A/D変換を行う。A/D変換の結果は、シフトレジスタ12、DFE13、出力I/F部14を介して、補正値算出部15に、出力コードD1Lとして出力される。
次に、第2のスイッチ11の状態を保持したまま、クリップ電圧発生部5から、固定電圧値D2を出力する。この出力値は、CAMP4と、第1のコンパレータ6を介して、第2のコンパレータ8に入力され、A/D変換された後、シフトレジスタ12、DFE13、出力I/F部14を介して、補正値算出部15に、出力コードD2Lとして出力される。領域A〜Hの各領域で、出力コードD1LとD2Lから、予め用意された基準オフセット値Offset1と、Offset2を減算する。
●領域A
D1L_A’=D1L_A − Offset1 …(4)
D2L_A’=D2L_A − Offset2 …(5)
次に、上記D1L_A’とD2L_A’の差分値を算出する。
A”=D1L_A’−D2L_A’ …(6)
算出した差分値A”が、予め設定された基準値以内であれば、水平シェーディングによる差分値と判定し、差分値A”をD1L,D2L,D1H,D2Hに対して加算あるいは減算した値を、デュアルスロープの補正値の算出に用いる。
●領域Aのデュアルスロープ補正値算出用データ
D1L_A””=D1L−A” …(7)
D2L_A””=D2L−A” …(8)
D1H_A””=D1H−A” …(9)
D2H_A””=D2H−A” …(10)
以上のように、各領域毎に水平シェーディングを補正した新補正用データを用いて、式(1)と式(2)から補正値の算出を行うことにより、水平シェーディングの影響を排除することができる。
次に、被写体撮影中のデュアルスロープ型のA/D変換器202で発生するオフセットずれ及びゲインずれの補正動作と、通常撮影動作の切替について、図2A、図5、図6A、図6Bを用いて説明する。
切替信号発生部16の信号は、例えば2ビット(b1,b0)で構成されており、第1のスイッチ3に入力される。図6Aに示すように、撮像素子200は、画素列が配列された画素領域を有し、画素領域内には、補正信号取得領域と、垂直オプティカルブラック領域(VOB)と、水平オプティカルブラック領域(HOB)と、有効画素部が配置されている。図6Aに示す画像読み出しタイミングにおいて、垂直同期信号VDの後に、補正信号取得領域⇒VOB(垂直オプティカルブラック部)⇒有効画素の順に読み出しが行われる。
垂直同期信号VDが入力された後の補正信号取得領域読み出し中は、切替信号発生部16の出力(b1,b0)を(0,0)として、第1のスイッチ3を、CAMP4にクリップ電圧発生部5の出力信号が入力されるように切り替える。また、クリップ電圧発生部5は固定電圧値D1を出力し、CAMP4には固定電圧値D1が入力される。
また、切替信号発生部16の出力信号(b1,b0)=(0,0)は、第2のスイッチ11にも入力され、第2のスイッチ11は、第1のランプ信号発生部9のランプ信号が第2のコンパレータ8に入力されるように切り替えられる。第2のコンパレータ8には、第1のコンパレータ6からの出力信号と第1のランプ信号発生部9からのランプ信号が入力され、その結果が、シフトレジスタ12、DFE13、出力I/F部14を介して、補正値算出部15に出力コードD1Lとして出力される。
次に、切替信号発生部16の出力である(b1,b0)は(0,0)に維持され、CAMP4の入力はクリップ電圧発生部5側に切り替えられた状態が継続される。クリップ電圧発生部5は、固定電圧値D2を出力し、CAMP4には固定値D2が入力される。切替信号発生部16の出力信号(b1,b0)=(0,0)であるので、第1のランプ信号発生部9のランプ信号が第2のコンパレータ8に入力される状態が保持される。
第2のコンパレータ8には、第1のコンパレータ6からの出力信号と第1のランプ信号発生部9からのランプ信号が入力され、その結果が、シフトレジスタ12、DFE13、出力I/F部14を介して、補正値算出部15に出力コードD2Lとして出力される。
次に、切替信号発生部16の出力である(b1,b0)を(0,1)として、CAMP4の入力はクリップ電圧発生部5側に切り替えられた状態が継続される。クリップ電圧発生部5は、固定電圧値D1を出力し、CAMP4には固定電圧値D1が入力される。また、切替信号発生部16の出力信号(b1,b0)=(0,1)は、第2のスイッチ11にも入力され、第2のスイッチ11は、第2のランプ信号発生部10のランプ信号が第2のコンパレータ8に入力されるように切り替えられる。
第2のコンパレータ8には、第1のコンパレータ6からの出力信号と第2のランプ信号発生部10からのランプ信号が入力され、その結果が、シフトレジスタ12、DFE13、出力I/F部14を介して、補正値算出部15に出力コードD1Hとして出力される。
次に、切替信号発生部16の出力(b1,b0)は(0,1)に維持され、CAMP4の入力はクリップ電圧発生部5側に切り替えられた状態が継続される。クリップ電圧発生部5は、固定電圧値D2を出力し、CAMP4には固定電圧値D2が入力される。また、切替信号発生部16の出力信号(b1,b0)=(0,1)は、第2のスイッチ11にも入力され、第2のスイッチ11は、第2のランプ信号発生部10のランプ信号が第2のコンパレータ8に入力される状態が継続される。
第2のコンパレータ8には、第1のコンパレータ6からの出力信号と第2のランプ信号発生部10からのランプ信号が入力され、その結果が、シフトレジスタ12、DFE13、出力I/F部14を介して、補正値算出部15に出力コードD2Hとして出力される。
補正信号取得領域読み出し中は、出力コードD1L,D2L,D1H,D2Hが、補正値算出部15に入力される。補正値算出部15は、入力された出力コードD1L,D2Lから水平シェーディング量を式(6)を用いて算出する。そして、その算出結果を、式(7)〜(10)に示したように、各入力値D1L,D2L,D1H,D2Hに加算あるいは減算して水平シェーディングを補正した後、式(1)、式(2)からオフセットずれの補正係数Ocとゲインずれの補正係数Gcを算出する。
次に、補正信号取得領域の読み出し終了後、VOB(垂直オプティカルブラック)ラインの読み出しが開始され、切替信号発生部16の出力信号である(b1,b0)を(1,0)とする。CAMP4の入力は、クリップ電圧発生部5の出力信号が入力される状態から、列出力線2からの出力信号、つまりPD1からの出力信号が入力される状態に切り替えられる。CAMP4は、設定されたゲイン値に応じて信号増幅を行った後、その信号を第1のコンパレータ6に出力する。
第1のコンパレータ6には、CAMP4からの出力信号と、レベル判定信号発生部7からの予め設定された基準値Aの出力信号が入力される。第1のコンパレータ6は、CAMP4からの出力信号とレベル判定信号発生部7からの出力信号の比較を行い、基準値A未満であった場合には、判定信号C=0を第2のスイッチ11とDFE13に出力する。
また、第1のコンパレータ6は、判定信号Cの出力と同時に、CAMP4からの出力信号をそのまま第2のコンパレータ8に出力する。第2のスイッチ11には、切替信号発生部16からの出力信号(b1,b0)=(1,0)と、判定信号C=0が入力され、b1=1とC=0から、第1のランプ信号発生部9からの出力信号が、第2のコンパレータ8に入力されるように切り替えられる。
第2のコンパレータ8には、第1のコンパレータ6を介したCAMP4からの出力信号と、第2のスイッチ11を介した第1のランプ信号発生部9からのランプ信号が入力される。第2のコンパレータ8は、2つの入力信号を比較することでA/D変換を行い、その結果を、シフトレジスタ12を介して、DFE13に出力する。DFE13には、シフトレジスタ12からの出力信号と、第1のコンパレータ6からの出力判定信号C=0が入力される。
ここで、DFE13における、デュアルスロープ型のA/D変換器202で発生するオフセットずれ及びゲインずれの補正動作について、図5を用いて説明する。
DFE13には、シフトレジスタ12からの出力信号と、第1のコンパレータ6からの出力信号(判定信号C)と、補正値算出部15からの出力信号が入力される。シフトレジスタ12からの出力信号はスイッチ101に入力され、スイッチ101には、第1のコンパレータ6からの出力信号(判定信号C)も入力される。
スイッチ101は、第1のコンパレータ6からの出力信号(判定信号C)が0の場合、入力されたシフトレジスタ12からの出力信号をそのまま、スイッチ104に出力し、判定信号C=1の場合、ビットシフト部102に出力するように切り替えられる。第1のコンパレータ6からの出力信号(判定信号C)に応じて、スイッチ101が、信号をビットシフト部102に出力するよう切り替えられた場合、シフトレジスタ12からの出力信号は、ビットシフト部102に入力される。そして、ビットシフト部102は、予め設定されたビットシフト量、例えば2ビットのシフトを行った後、信号をDualSlope補正部103に出力する。
DualSlope補正部103には、補正値算出部15からの水平シェーディング補正後に算出した出力信号、つまりデュアルスロープ型のA/D変換器202のオフセットずれとゲインずれを補正するための補正値が入力される。そして、前述した式(3)に基づいて補正動作を行った後、補正された信号をスイッチ104に出力する。
スイッチ104には、DualSlope補正部103からの出力信号と、スイッチ101からの出力信号と、第1のコンパレータ6からの出力信号(判定信号C)が入力される。スイッチ104は、判定信号C=0の場合、スイッチ101を介して入力されたシフトレジスタ12からの出力信号を出力I/F部14に出力する。また、判定信号C=1の場合、スイッチ104は、DualSlope補正部103からの出力信号を出力I/F部14に出力する。ここでは、第1のコンパレータ6からの出力判定信号C=0が入力されているため、DFE13は、シフトレジスタ12からの出力信号をそのまま、出力I/F部14に出力する。
一方、第1のコンパレータ6は、CAMP4からの出力信号と、レベル判定信号発生部7からの出力信号の比較を行った結果、CAMP4からの出力信号が基準値A以上であった場合には、判定信号C=1を第2のスイッチ11と、DFE13に出力する。また、第1のコンパレータ6は、判定信号Cの出力と同時に、CAMP4からの出力信号をそのまま、第2のコンパレータ8に出力する。第2のスイッチ11には、前述と同様に、切替信号発生部16からの出力信号(b1,b0)=(1,0)と、判定信号C=1が入力される。そして、b1=1と、C=1から、第2のランプ信号発生部10からのランプ信号が第2のコンパレータ8に入力されるように、第2のスイッチ11が制御される。
第2のコンパレータ8には、第1のコンパレータ6を介したCAMP4からの出力信号と、第2のスイッチ11を介した第2のランプ信号発生部10からのランプ信号が入力される。第2のコンパレータ8は、この2つの入力信号を比較することで、A/D変換を行い、その結果を、シフトレジスタ12を介して、DFE13に出力する。
DFE13には、シフトレジスタ12からの出力信号と、第1のコンパレータ6からの出力判定信号C=1が入力されるため、DFE13内部のスイッチ101は、シフトレジスタ12からの出力信号がビットシフト部102に入力されるように切り替えられる。ビットシフト部102は、ビットシフト動作をした後、DualSlope補正部103に信号を出力する。DualSlope補正部103は、補正値算出部15から入力された補正値により、入力信号の補正動作を行った後、補正された信号をスイッチ104に出力する。スイッチ104には、出力判定信号C=1が入力されるため、DualSlope補正部103から入力された信号を出力I/F部14に出力する。この動作は、VOBと、有効画素の信号の読み出し中は継続される。
以上が、被写体撮影中のデュアルスロープ型のA/D変換器202で発生するオフセットずれとゲインずれの補正動作と、通常撮影の動作シーケンスである。また、図6Bは、各読み出しエリアと、各ブロック制御の関係をまとめた図である。
ここまで、デュアルスロープ型のA/D変換器202で発生するオフセットずれとゲインずれを補正する補正動作と、映像信号を読み出す通常動作について説明した。次に、デュアルスロープ型のA/D変換器202で発生するオフセットずれとゲインずれの補正前と補正後について、図7A、図7Bを用いて説明する。
図7A、図7Bは、PD1からの出力値である入力輝度値と、A/D変換器202の出力である出力コード(Code)の関係を表している。図7Aは補正前の出力コードの状態を示し、図7BはA/D変換のオフセットとゲインを補正した出力コードの状態を示している。
デュアルスロープのオフセットとゲインの補正前は、図7Aに示すように、ランプ信号のSlope切替ポイントで、A/D変換出力の関係が変化する。つまり、入力信号がレベル判定信号発生部7に設定されている基準値A未満の場合と、基準値A以上の場合で、第1のランプ信号発生部9と第2のランプ信号発生部10を切り替えてA/D変換が行われる。そのため、切替ポイント付近(切り換えの前後)で、A/D変換器の出力が連続的にならず、A/D変換器の入力/出力のリニアリティが低下する。
一方、図7Bでは、A/D変換のオフセットとゲインを補正することにより、Slope切替ポイント付近のA/D変換器出力は補正できている。そのため、入力信号が基準値A未満の場合と基準値A以上の場合とで、A/D変換器の入力/出力リニアリティが保たれる。
次に、本実施形態における補正信号取得領域からの信号読み出し中に行うデュアルスロープ型のA/D変換器202で発生するオフセットずれとゲインずれの補正動作について、図8に示すフローチャートを参照して説明する。
撮像素子200からの信号の読み出し開始後、補正信号取得領域の信号読み出しが開始されると、ステップS1000において、デュアルスロープ型のA/D変換器202で発生するオフセットずれOcとゲインずれGcの補正演算を開始する。ステップS1001では、クリップ電圧発生部5の出力が、CAMP4に入力されるように、第1のスイッチ3を切替信号発生部16からの制御信号に応じて切替えた後、クリップ電圧発生部5から、固定電圧値D1、固定電圧値D2の順に出力する。
ステップS1002では、クロップ電圧発生部5から出力される固定電圧値が、CAMP4、第1のコンパレータ6、第2のコンパレータ8、シフトレジスタ12、DFE13、出力I/F部14を介して、A/D変換値である出力コードとして出力される。出力される出力コードは、D1L,D2L,D1H,D2Hである。ここで、第2のコンパレータ8は、第1のランプ信号発生部9からのランプ信号と、第2のランプ信号発生部10からのランプ信号を切り替えて、A/D変換を行う。
ステップS1003では、出力コードD1L,D2Lから、予め設定された2つのオフセット値(Offset1,Offset2)を減算する。ステップS1004では、D1L’、D2L’の差分値A”を算出する。
ステップS1005では、差分値A”が0か否か判定し、水平シェーディングの発生判定と、水平シェーディング量を算出する。この結果において、差分値A”が0であった場合には、水平シェーディングがないと判定してステップS1006に進む。そして、出力コードD1L,D2L,D1H,D2Hから、デュアルスロープ型のA/D変換器202で発生するオフセット補正量Ocとゲイン補正量Gcを算出する。ステップS1009では、算出された補正値OcとGcをDFE13に入力し、前述した補正算出式に基づいて補正を行う。
一方、ステップS1005において、差分値A”が0でない場合には、水平シェーディングがあると判定しステップS1007に進む。そして、差分値A”を、出力コードD1L,D2L,D1H,D2Hに加算または減算することで、新たな補正値算出用データD1L”,D2L”,D1H”,D2H”を生成する。
ステップS1008では、補正値算出用データD1L”,D2L”,D1H”,D2H”から、オフセット補正量Ocとゲイン補正量Gcを算出する。ステップS1009では、補正値OcとGcをDFE13に入力し、前述した補正算出式に基づいて補正を行う。
このようにして、映像信号に用いない補正信号取得領域の信号読み出し中に、クリップ電圧発生部からの出力値を第1のランプ信号発生部によりA/D変換した値と、第2のランプ信号発生部によりA/D変換した値を比較することで、水平シェーディングを補正する。その補正後、デュアルスロープ型のA/D変換器のオフセットずれ及びゲインずれを補正するための補正値を算出し、オフセットずれ及びゲインずれ補正を行う。これにより、撮像素子内部の電源レイアウト、読み出し配線レイアウト、A/D変換器の回路レイアウトなどにより発生する水平シェーディングの影響によるオフセットずれ及びゲインずれの補正誤差を防止することができる。
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、1つのランプ信号で2つの固定値をA/D変換した結果を比較することで、水平シェーディングを除去する手法について説明した。第2の実施形態では、水平シェーディングを、撮像素子内部の垂直方向に配置したオプティカルブラック領域(VOB)から読み出したデータを用いて除去する手法について、図9A、図9Bを用いて説明する。
図9Aは、撮像素子200の画素構造を示しており、垂直同期信号が入力されると、VOB⇒補正信号取得領域⇒有効画素の順に画素信号が読み出される。VOB、補正信号取得領域、有効画素それぞれの水平総画素を、例えば図9Bに示すように固定のピクセル数で分割し、例えば8領域に分割しておく。その各領域毎に、VOBと補正信号取得領域の信号読み出し中に取得する出力コードD1L,D2L,D1H,D2Hの各値の平均値を算出する。
ここで、領域Aを例に説明すると、VOB,D1L,D2L,D1H,D2Hのそれぞれの平均値は以下のようになる。
VOBの平均値: VOB_Ave_A …(11)
D1Lの平均値: D1L_Ave_A …(12)
D2Lの平均値: D2L_Ave_A …(13)
D1Hの平均値: D1H_Ave_A …(14)
D2Hの平均値: D2H_Ave_A …(15)
領域A以外の各領域(領域B〜H)についても同様に算出し、例えば、D1Lの各領域で算出した平均値(D1L_Ave_A〜D1L_Ave_H)から、VOBの各領域で算出した平均値(VOB_Ave_A〜VOB_Ave_H)を減算する。
D1L_A’=D1L_Ave_A − VOB_Ave_A …(16)
D1L_B’=D1L_Ave_B − VOB_Ave_B …(17)
D1L_C’=D1L_Ave_C − VOB_Ave_C …(18)
D1L_D’=D1L_Ave_D − VOB_Ave_D …(19)
D1L_E’=D1L_Ave_E − VOB_Ave_E …(20)
D1L_F’=D1L_Ave_F − VOB_Ave_F …(21)
D1L_G’=D1L_Ave_G − VOB_Ave_G …(22)
D1L_H’=D1L_Ave_H − VOB_Ave_H …(23)
そして、算出したD1L_A’からD1L_H’をそれぞれ比較し、すべて等しい値であると判定した場合には、D1L_A’からD1L_H’の平均値D1L’を算出し、新たなデュアルスロープ型のA/D変換器の補正値算出用データとする。
上記の動作を、同様にD2L、D1H、D2Hについても行い、それぞれで算出したD1L’,D2L’,D1H’,D2H’から、前述した式(1)、式(2)を用いて、補正値OcとGcを算出する。算出されたOcとGcから補正を行う手法については、第1の実施形態で説明した動作と同様である。
これにより、撮像素子200の内部に配置されたVOBと、補正信号取得領域の信号読み出し中に取得するD1L,D2L,D1H,D2Hを比較することで、水平シェーディングの有無を判定することができる。そしてVOBから算出した水平シェーディング値を、それぞれD1L,D2L,D1H,D2Hから減算する。この減算した結果であるD1L’,D2L’,D1H’,D2H’から、デュアルスロープ型のA/D変換器202のオフセットずれ及びゲインずれを補正するための補正値を算出し、補正を行う。これにより、撮像素子内部の電源レイアウト、読み出し配線レイアウト、A/D変換器の回路レイアウトなどにより発生する水平シェーディングの影響によるオフセットずれ及びゲインずれの補正誤差を防止することができる。
<第3の実施形態>
図10は、本発明の第3の実施形態に係わる撮像装置におけるCMOS型の撮像素子200Aの構成を示すブロック図である。
本実施形態における撮像素子200Aは、図1に示す第1の実施形態における撮像素子とは、デュアルスロープ型のA/D変換器202Aの構成が異なる。具体的には、A/D変換器202Aは、CAMP4と第1のコンパレータ6の間に、信号の周波数特性を制御する周波数特性制御部17と、この周波数特性制御部17を制御するための制御信号発生部18を有する。制御信号発生部18には、切替信号発生部16からの信号が入力される。その他の構成は、第1の実施形態の構成と同様であるので、同一部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
この構成におけるデュアルスロープ型のA/D変換器202Aで発生するオフセットずれとゲインずれの補正動作について、図11を参照して説明する。
A/D変換器202Aで発生するオフセットずれとゲインずれの補正動作中は、列出力線2からの出力信号をCAMP4の入力から切り離す。そのため、第1のスイッチ3は、クリップ電圧発生部5からの出力信号がCAMP4に入力されるように、切替信号発生部16からの出力信号によって切り替えられる。
ここで、A/D変換器202Aで発生するオフセットずれとゲインずれを補正するための補正係数の算出方法について説明する。
(切替信号発生部16とクリップ電圧発生部5による補正値算出動作)
●出力コードD1Lの出力動作
クリップ電圧発生部5は、予め設定された固定電圧値D1を出力し、CAMP4はそれを周波数特性制御部17に出力する。周波数特性制御部17は、制御信号発生部18からの出力帯域制御情報に基づいて、入力信号の帯域制限を行った後、第1のコンパレータ6に出力する。第1のコンパレータ6は、入力された信号をそのまま第2のコンパレータ8に出力する。切替信号発生部16は、(b1,b0)=(0,0)の信号を、第2のスイッチ11に出力する。
第2のスイッチ11は、切替信号発生部16からの出力信号に応じて、第1のランプ信号発生部9の出力信号を第2のコンパレータ8に入力するように切り替えられる。第2のコンパレータ8は、入力された第1のコンパレータ6からの出力信号と、第1のランプ信号発生部9からのランプ信号の比較を行った結果を、シフトレジスタ12と、DFE13と、出力I/F部14を介して、出力コードD1Lとして出力する。出力コードD1Lは、補正値算出部15にも同時に入力される。
●出力コードD1Hの出力動作
クリップ電圧発生部5は、予め設定された固定電圧値D1を出力し、CAMP4はそれを周波数特性制御部17に出力する。周波数特性制御部17は、制御信号発生部18からの出力帯域制御情報に基づいて、入力信号の帯域制限を行った後、第1のコンパレータ6に出力する。第1のコンパレータ6は、入力された信号をそのまま第2のコンパレータ8に出力する。切替信号発生部16は、(b1,b0)=(0,1)の信号を、第2のスイッチ11に出力する。
第2のスイッチ11は、切替信号発生部16からの出力信号に応じて、第2のランプ信号発生部10の出力信号を第2のコンパレータ8に入力するように切り替えられる。第2のコンパレータ8は、入力された第1のコンパレータ6からの出力信号と、第2のランプ信号発生部10からのランプ信号の比較を行った結果を、シフトレジスタ12と、DFE13と、出力I/F部14を介して、出力コードD1Hとして出力する。出力コードD1Hは、補正値算出部15にも同時に入力される。
●出力コードD2Lの出力動作
クリップ電圧発生部5は、予め設定された固定電圧値D2を出力し、CAMP4はそれを周波数特性制御部17に出力する。周波数特性制御部17は、制御信号発生部18からの出力帯域制御情報に基づいて、入力信号の帯域制限を行った後、第1のコンパレータ6に出力する。第1のコンパレータ6は、入力された信号をそのまま第2のコンパレータ8に出力する。切替信号発生部16は、(b1,b0)=(0,0)の信号を、第2のスイッチ11に出力する。
第2のスイッチ11は、切替信号発生部16からの出力信号に応じて、第1のランプ信号発生部9の出力信号を第2のコンパレータ8に入力するように切り替えられる。第2のコンパレータ8は、入力された第1のコンパレータ6からの出力信号と、第1のランプ信号発生部9からのランプ信号の比較を行った結果を、シフトレジスタ12と、DFE13と、出力I/F部14を介して、出力コードD2Lとして出力する。出力コードD2Lは、補正値算出部15にも同時に入力される。
●出力コードD2Hの出力動作
クリップ電圧発生部5は、予め設定された固定電圧値D2を出力し、CAMP4はそれを周波数特性制御部17に出力する。周波数特性制御部17は、制御信号発生部18からの出力帯域制御情報に基づいて、入力信号の帯域制限を行った後、第1のコンパレータ6に出力する。第1のコンパレータ6は、入力された信号をそのまま第2のコンパレータ8に出力する。切替信号発生部16は、(b1,b0)=(0,1)の信号を、第2のスイッチ11に出力する。
第2のスイッチ11は、切替信号発生部16からの出力信号に応じて、第2のランプ信号発生部10の出力信号を第2のコンパレータ8に入力するように切り替えられる。第2のコンパレータ8は、入力された第1のコンパレータ6からの出力信号と、第2のランプ信号発生部10からのランプ信号の比較を行った結果を、シフトレジスタ12と、DFE13と、出力I/F部14を介して、出力コードD2Hとして出力する。出力コードD2Hは、補正値算出部15にも同時に入力される。
ここで、クリップ電圧発生部5から出力される電圧値D1,D2と、第2のコンパレータ8から出力されるデジタル変換値である出力コードD1L,D1H,D2L,D2Hの関係は、既に第1の実施形態で説明した図2Bと同様である。また、デュアルスロープ型のA/D変換器202Aで発生するオフセットずれとゲインずれを補正する手法も、式(1)〜(3)を用いて第1の実施形態と同様に行われるため、説明を省略する。
次に、被写体撮影中のデュアルスロープ型のA/D変換器202Aで発生するオフセットずれ及びゲインずれの補正動作と、通常撮影動作の切替について、図5、図11、図12、図13、図14A、図14Bを用いて説明する。
切替信号発生部16の信号は、例えば2ビット(b1,b0)で構成されており、第1のスイッチ3と制御信号発生部18にはb1が入力され、第2のスイッチ11には(b1,b0)が入力される。図14Aに示す画像読み出しタイミングにおいて、垂直同期信号VDの後に、補正信号取得領域⇒VOB(垂直オプティカルブラック部)⇒有効画素の順に読み出しが行われる。
垂直同期信号VDが入力された後の補正信号取得領域の信号読み出し中は、切替信号発生部16の出力(b1,b0)を(0,0)として、第1のスイッチ3を、CAMP4にクリップ電圧発生部5の出力信号が入力されるように切り替える。また、クリップ電圧発生部5は固定電圧値D1を出力し、CAMP4には固定電圧値D1が入力される。
また、制御信号発生部18にも、切替信号発生部16の出力信号b1=0が入力され、制御信号発生部18は「1」を出力する。制御信号発生部18の出力「1」は、周波数特性制御部17に入力され、周波数特性制御部17は、図12に示す特性AとなるようにCAMP4の出力信号の周波数特性を制限した後、第1のコンパレータ6に出力する。ここで、図12に示す特性Aを実現するための回路構成は図13に示されており、キャパシタC2に接続されているスイッチを制御することにより、周波数特性制御を行う。
また、切替信号発生部16の出力信号(b1,b0)=(0,0)は、第2のスイッチ11にも入力され、第2のスイッチ11は、第1のランプ信号発生部9のランプ信号が第2のコンパレータ8に入力されるように切り替えられる。第2のコンパレータ8には、第1のコンパレータ6からの出力信号と第1のランプ信号発生部9からのランプ信号が入力され、その結果が、シフトレジスタ12、DFE13、出力I/F部14を介して、補正値算出部15に出力コードD1Lとして出力される。
次に、切替信号発生部16の出力である(b1,b0)を(0,1)として、CAMP4の入力はクリップ電圧発生部5側に切り替えられた状態が継続される。クリップ電圧発生部5は、固定電圧値D1を出力し、CAMP4には固定電圧値D1が入力される。また、制御信号発生部18も「1」の出力を継続するため、周波数特性制御部17の周波数特性の制限は継続される。また、切替信号発生部16の出力信号(b1,b0)=(0,1)は、第2のスイッチ11にも入力され、第2のスイッチ11は、第2のランプ信号発生部10のランプ信号が第2のコンパレータ8に入力されるように切り替えられる。
第2のコンパレータ8には、第1のコンパレータ6からの出力信号と第2のランプ信号発生部10からのランプ信号が入力され、その結果が、シフトレジスタ12、DFE13、出力I/F部14を介して、補正値算出部15に出力コードD1Hとして出力される。
次に、切替信号発生部16の出力である(b1,b0)を(0,0)として、CAMP4の入力はクリップ電圧発生部5側に切り替えられた状態が継続される。クリップ電圧発生部5は、固定電圧値D2を出力し、CAMP4には固定電圧値D2が入力される。また、制御信号発生部18も「1」の出力を継続するため、周波数特性制御部17の周波数特性の制限は継続される。切替信号発生部16の出力信号(b1,b0)=(0,0)であるので、第1のランプ信号発生部9のランプ信号が第2のコンパレータ8に入力される状態が保持される。
第2のコンパレータ8には、第1のコンパレータ6からの出力信号と第1のランプ信号発生部9からのランプ信号が入力され、その結果が、シフトレジスタ12、DFE13、出力I/F部14を介して、補正値算出部15に出力コードD2Lとして出力される。
次に、切替信号発生部16の出力(b1,b0)は(0,1)に維持され、CAMP4の入力はクリップ電圧発生部5側に切り替えられた状態が継続される。クリップ電圧発生部5は、固定電圧値D2を出力し、CAMP4には固定電圧値D2が入力される。また、制御信号発生部18も「1」の出力を継続するため、周波数特性制御部17の周波数特性の制限は継続される。また、切替信号発生部16の出力信号(b1,b0)=(0,1)は、第2のスイッチ11にも入力され、第2のスイッチ11は、第2のランプ信号発生部10のランプ信号が第2のコンパレータ8に入力される状態が継続される。
第2のコンパレータ8には、第1のコンパレータ6からの出力信号と第2のランプ信号発生部10からのランプ信号が入力され、その結果が、シフトレジスタ12、DFE13、出力I/F部14を介して、補正値算出部15に出力コードD2Hとして出力される。
補正信号取得領域の信号読み出し中は、出力コードD1L,D1H,D2L,D2Hが、補正値算出部15に入力される。補正値算出部15は、入力されたD1L,D2L,D1H,D2Hを式(1)、式(2)に適用して、オフセットずれの補正係数Ocとゲインずれの補正係数Gcを算出する。
次に、補正信号取得領域の信号読み出し終了後、VOB(垂直オプティカルブラック)領域の読み出しが開始され、切替信号発生部16の出力信号である(b1,b0)を(1,0)とする。CAMP4の入力は、クリップ電圧発生部5の出力信号が入力される状態から、列出力線2からの出力信号、つまりPD1からの出力信号が入力される状態に切り替えられる。CAMP4は、設定されたゲイン値に応じて信号増幅を行った後、その信号を周波数特性制御部17に出力する。制御信号発生部18には、切替信号発生部16の出力信号b1=1が入力され、制御信号発生部18は「0」を出力する。制御信号発生部18の出力「0」は周波数特性制御部17に入力され、周波数特性制御部17は、図12に示す特性B、つまり通常特性となるようにCAMP4の出力信号の周波数特性を制御した後、第1のコンパレータ6に出力する。
第1のコンパレータ6には、周波数特性制御部17からの出力信号と、レベル判定信号発生部7からの予め設定された基準値Aの出力信号が入力される。第1のコンパレータ6は、周波数特性制御部17からの出力信号とレベル判定信号発生部7からの出力信号の比較を行い、基準値A未満であった場合には、判定信号C=0を第2のスイッチ11とDFE13に出力する。
また、第1のコンパレータ6は、判定信号Cの出力と同時に、周波数特性制御部17からの出力信号をそのまま第2のコンパレータ8に出力する。第2のスイッチ11には、切替信号発生部16からの出力信号(b1,b0)=(1,0)と、判定信号C=0が入力され、b1=1とC=0から、第1のランプ信号発生部9からの出力信号が、第2のコンパレータ8に入力されるように切り替えられる。
第2のコンパレータ8には、第1のコンパレータ6を介した周波数特性制御部17からの出力信号と、第2のスイッチ11を介した第1のランプ信号発生部9からのランプ信号が入力される。第2のコンパレータ8は、2つの入力信号を比較することでA/D変換を行い、その結果を、シフトレジスタ12を介して、DFE13に出力する。DFE13には、シフトレジスタ12からの出力信号と、第1のコンパレータ6からの出力判定信号C=0が入力される。
ここで、DFE13の構成と動作であるが、DFE13の構成は第1の実施形態で説明した図5の構成と同じであり、動作も図5を参照して第1の実施形態で説明した動作と同じである。そのため、ここでは説明を省略する。
次に、VOB(垂直オプティカルブラック)ラインの読み出し以降の動作に戻り、ここでは、第1のコンパレータ6からの出力判定信号C=0が入力されているため、DFE13は、シフトレジスタ12からの出力信号をそのまま、出力I/F部14に出力する。
一方、第1のコンパレータ6は、周波数特性制御部17からの出力信号と、レベル判定信号発生部7からの出力信号の比較を行った結果、周波数特性制御部17からの出力信号が基準値A以上であった場合には、判定信号C=1を第2のスイッチ11と、DFE13に出力する。また、第1のコンパレータ6は、判定信号Cの出力と同時に、周波数特性制御部17からの出力信号をそのまま、第2のコンパレータ8に出力する。第2のスイッチ11には、前述と同様に、切替信号発生部16からの出力信号(b1,b0)=(1,0)と、判定信号C=1が入力される。そして、b1=1と、C=1から、第2のランプ信号発生部10からのランプ信号が第2のコンパレータ8に入力されるように、第2のスイッチ11が制御される。
第2のコンパレータ8には、第1のコンパレータ6を介した周波数特性制御部17からの出力信号と、第2のスイッチ11を介した第2のランプ信号発生部10からのランプ信号が入力される。第2のコンパレータ8は、この2つの入力信号を比較することで、A/D変換を行い、その結果を、シフトレジスタ12を介して、DFE13に出力する。
DFE13には、シフトレジスタ12からの出力信号と、第1のコンパレータ6からの出力判定信号C=1が入力されるため、DFE13内部のスイッチ101は、シフトレジスタ12からの出力信号がビットシフト部102に入力されるように切り替えられる。ビットシフト部102は、ビットシフト動作をした後、DualSlope補正部103に信号を出力する。DualSlope補正部103は、補正値算出部15から入力された補正値により、入力信号の補正動作を行った後、補正された信号をスイッチ104に出力する。スイッチ104には、出力判定信号C=1が入力されるため、DualSlope補正部103から入力された信号を出力I/F部14に出力する。この動作は、VOBと、有効画素の信号の読み出し中は継続される。
以上が、被写体撮影中のデュアルスロープ型のA/D変換器202で発生するオフセットずれとゲインずれの補正動作と、通常撮影の動作シーケンスである。また、図14Bは、各読み出しエリアと、各ブロック制御の関係をまとめた図である。
ここまで、デュアルスロープ型のA/D変換器202で発生するオフセットずれとゲインずれを補正する補正動作と、映像信号を読み出す通常動作について説明した。次に、デュアルスロープ型のA/D変換器202Aで発生するオフセットずれとゲインずれの補正前と補正後について、図7A、図15A、図15Bを用いて説明する。
図7A、図15A、図15Bは、PD1からの出力値である入力輝度値と、A/D変換器202Aの出力である出力コード(Code)の関係を表している。図7Aは補正前の出力コードの状態を示し、図15AはA/D変換のオフセットを補正した出力コードの状態を示し、図15BはA/D変換のオフセットとゲインを補正した出力コードの状態を示している。
デュアルスロープのオフセットとゲインの補正前は、図7Aに示すように、ランプ信号のSlope切替ポイントで、A/D変換出力の関係が変化する。つまり、入力信号がレベル判定信号発生部7に設定されている基準値A未満の場合と、基準値A以上の場合で、第1のランプ信号発生部9と第2のランプ信号発生部10を切り替えてA/D変換が行われる。そのため、切替ポイント付近で、A/D変換器の入力/出力のリニアリティが低下する。
デュアルスロープのオフセットのみを補正した場合は、図15Aに示すように、Slope切替ポイント付近の出力コード値の不連続は補正できている。しかし、入力信号が基準値A未満の場合と、基準値A以上の場合とで、入出力のA/D変換レベル(変換ゲイン)が異なるため、A/D変換器の入力/出力リニアリティが低下している。
図15Bでは、A/D変換のオフセットとゲインを補正することにより、Slope切替ポイント付近の不連続と変換ゲインの差は補正できている。そのため、入力信号が基準値A未満の場合と基準値A以上の場合とで、A/D変換器の入力/出力リニアリティが保たれる。
次に、本実施形態における補正信号取得領域の信号読み出し中、VOB領域の読み出し中、映像信号(有効画素)の読み出し中に行うデュアルスロープ型のA/D変換器で発生するオフセットずれとゲインずれの補正動作について、図16のフローチャートを参照して説明する。
ステップS2001において撮像素子200Aからの信号の読み出しが開始されると、ステップS2002では、切替信号発生部16から、2ビット信号(b1,b0)=(0,0)を出力する。ステップS2003では、切替信号発生部16の出力信号b1の値から、周波数特性制御機能をONにするか否かを判定する。ステップS2003において、周波数特性制御機能をONにすると判定した場合、ステップS2004に進み、周波数特性制御部17により周波数特性制御を行う。
ステップS2005では、CAMP4にクリップ電圧発生部5からの出力信号が入力されるように、第1のスイッチ3を切り替える。ステップS2006では、クリップ電圧発生部5から、固定電圧値D1を出力する。第2のスイッチ11は、切替信号発生部16からの出力信号(b1,b0)=(0,0)に応じて、第1のランプ信号発生部9からの出力信号が第2のコンパレータ8に入力されるよう切り替えられる。
ステップS2007では、クリップ電圧発生部5から出力された固定電圧値D1から、CAMP4、第1のコンパレータ6、第2のコンパレータ8、シフトレジスタ12、DFE13、出力I/F部14を介してA/D変換結果である出力コードD1Lを取得する。この出力コードD1Lは、補正値算出部15に入力される。
ステップS2008では、切替信号発生部16から、2ビット信号(b1,b0)=(0,1)を出力する。クリップ電圧発生部5から、固定電圧値D1の出力が継続される。また、第2のスイッチ11は、切替信号発生部16からの出力信号(b1,b0)=(0,1)に応じて、第2のランプ信号発生部10からの出力信号が、第2のコンパレータ8に入力されるよう切り替えられる。
ステップS2009では、クリップ電圧発生部5から出力された固定電圧値D1から、CAMP4、第1のコンパレータ6、第2のコンパレータ8、シフトレジスタ12、DFE13、出力I/F部14を介してA/D変換結果である出力コードD1Hを取得する。この出力コードD1Hは、補正値算出部15に入力される。
ステップS2010では、切替信号発生部16から、2ビット信号(b1,b0)=(0,0)を出力する。ステップS2011では、クリップ電圧発生部5から、固定電圧値D2を出力する。第2のスイッチ11は、切替信号発生部16からの出力信号(b1,b0)=(0,0)に応じて、第1のランプ信号発生部9からの出力信号が、第2のコンパレータ8に入力されるよう切り替えられる。
ステップS2012では、クリップ電圧発生部5から出力された固定電圧値D2から、CAMP4、第1のコンパレータ6、第2のコンパレータ8、シフトレジスタ12、DFE13、出力I/F部14を介してA/D変換結果である出力コードD2Lを取得する。この出力コードD2Lは、補正値算出部15に入力される。
ステップS2013では、切替信号発生部16から、2ビット信号(b1,b0)=(0,1)を出力する。クリップ電圧発生部5から、固定電圧値D2の出力が継続される。また、第2のスイッチ11は、切替信号発生部16からの出力信号(b1,b0)=(0,1)に応じて、第2のランプ信号発生部10からの出力信号が、第2のコンパレータ8に入力されるよう切り替えられる。
ステップS2014では、クリップ電圧発生部5から出力された固定電圧値D2から、CAMP4、第1のコンパレータ6、第2のコンパレータ8、シフトレジスタ12、DFE13、出力I/F部14を介してA/D変換結果である出力コードD2Hを取得する。この出力コードD2Hは、補正値算出部15に入力される。ステップS2015では、補正値算出部15が、出力コードD1L,D1H,D2L,D2Hから、前述した算出式を用いて、補正値を算出する。
ステップS2016では、切替信号発生部16から、2ビット信号(b1,b0)を出力する。ステップS2017では、2ビット信号のb1の値から、周波数特性制御機能のONを継続するか否かを判定する。ステップS2017において、周波数特性制御機能をONにすると判定した場合は、ステップS2004に戻り、ステップS2004からステップS2015を繰り返す。一方、周波数特性制御をOFFすると判定した場合は、ステップS2018に進み、周波数特性制御部17の周波数特性制御を解除する。
ステップS2019では、CAMP4に列出力線2からの出力信号が入力されるように、第1のスイッチ3を切り替える。ステップS2020では、CAMP4の出力信号が、周波数特性制御部17を介して第1のコンパレータ6に入力され、第1のコンパレータ6において、レベル判定信号発生部7からの出力信号と比較される。
ステップS2021では、CAMP4の出力信号が予め定められた基準値以下か否かを判定する。ステップS2021において、基準値以下と判定された場合には、判定結果を第2のスイッチ11に出力し、第1のランプ信号発生部9からの出力信号が第2のコンパレータ8に入力されるよう切り替える。そして、第2のコンパレータ8でA/D変換を行う。このA/D変換後の出力値は、ステップS2025において、シフトレジスタ12、DFE13、出力I/F部14を介して、撮像素子の出力信号として外部に出力される。
一方、ステップS2021において、CAMP4の出力信号が基準値より大きいと判定された場合には、ステップS2023に進む。ステップS2023では、判定結果を第2のスイッチ11に出力し、第2のランプ信号発生部10からの出力信号が第2のコンパレータ8に入力されるよう切り替える。そして、第2のコンパレータ8でA/D変換を行う。ステップS2024では、このA/D変換後の出力値が、シフトレジスタ12を介して、DFE13に入力され、補正値算出部15で取得された補正値を用いてデュアルスロープの補正が行われる。この補正結果は、ステップS2025において、出力I/F部14を介して、撮像素子の出力として外部に出力される。
以上説明したように、映像信号に用いない期間である補正信号取得領域の信号読み出し中と、映像読み出し期間中とで、CAMPの出力の周波数特性を切替える。これにより、デュアルスロープ型のA/D変換器で発生するオフセットずれ及びゲインずれを補正するための補正値の算出中は、CAMPの電源ノイズや配線ノイズの影響を受け難くすることができる。
<第4の実施形態>
第3の実施形態では、補正信号取得領域の信号読み出し中と、映像読み出し期間中で、CAMPの出力の周波数特性を切替える手法について説明した。この第4の実施形態では、デュアルスロープの補正値を算出する場合に、レンズ駆動時に発生する外乱ノイズの影響を排除する手法について説明する。
図17は、第4の実施形態に係わる撮像装置の構成を示す図である。図17では、第3の実施形態の撮像装置200Aを示す図11の構成に、被写体を結像させるための撮影レンズ500と、撮影レンズ500内の絞りやレンズを駆動するためのレンズ駆動部502と、レンズ駆動部502と切替信号発生部16に制御信号を入力するためのCPU503とが加えられている。
撮影レンズ500は、被写体の撮影状態に応じて、CPU503からの制御によりレンズ駆動部502を介して駆動される。撮影レンズ500の駆動中は、内部の絞りとレンズを駆動するためのモータが回転することにより、そのモータから磁気ノイズが放射される。この放射ノイズが、画素201を構成するPD1、列出力線2に影響を及ぼし、さらにCAMP4の電源にも影響を及ぼして、ノイズを発生させる場合がある。
そこで、デュアルスロープ型のA/D変換器202Aで発生するオフセットずれとゲインずれを補正する補正信号取得領域の信号読み出し中は、CAMP4にクリップ電圧発生部5からの出力信号が入力されるようにするとともに、レンズ内のモータを停止させる。具体的には、CPU503は、第1のスイッチ3を、CAMP4にクリップ電圧発生部5からの出力信号が入力されるように切り替える制御信号を切替信号発生部16に出力する。また、同時に、撮影レンズ500内のモータを停止する制御信号をレンズ駆動部502に出力する。
これにより、補正信号取得領域の信号読み出し中は、レンズ内のモータが回転せず、放射ノイズも発生しない。結果的にCAMP4の電源に影響を及ぼさないため、デュアルスロープ型のA/D変換器202Aで発生するオフセットずれとゲインずれの補正値の算出への影響を防止することができる。
次に、本実施形態の撮像装置の動作の流れについて、図18に示すフローチャートを参照して説明する。図18に示すフローチャートでは、ステップS2100〜S2102、ステップS2103以外の動作は、図16に示した第3の実施形態の動作と同一であるので、同一部分については説明を省略する。
ステップS2002では、切替信号発生部16から、2ビット信号(b1,b0)を出力する。ステップS2100では、切替信号発生部16からのb1の値が「0」か否かを判定する。ステップS2100で、b1の値が「0」でないと判定された場合には、ステップS2101に進み、CPU503から、レンズ駆動部502を介して制御信号をレンズに入力することにより、撮影レンズ500内のモータの駆動を継続する。一方、ステップS2100において、b1の値が「0」であると判定された場合には、ステップS2102に進み、CPU503からの制御信号により、レンズ500内のモータの駆動を停止する。
以降のデュアルスロープ型のA/D変換器202Aで発生するオフセットずれとゲインずれを補正するための補正値の算出動作については、図16の動作と同様である。
なお、デュアルスロープ型のA/D変換器で発生するオフセットずれとゲインずれを補正した後、撮像素子から画素信号を映像信号として出力した後は、ステップS2103において、停止させていたレンズの駆動を復帰させる。これは、CPU503から撮影レンズ500に制御信号を入力することにより行う。
以上説明したように、本実施形態では、デュアルスロープ型のA/D変換器で発生するオフセットずれとゲインずれを補正するための補正値の算出中は、外乱ノイズの原因となるレンズ駆動を停止する。そのため、デュアルスロープ型のA/D変換器のオフセットずれとゲインずれ補正の誤動作を防止することができる。
第4の実施形態では、デュアルスロープ型のA/D変換器で発生するオフセットずれとゲインずれの補正値の算出中は、外乱ノイズの原因の一つであるレンズ駆動を停止する手法について説明した。しかし、レンズ駆動中は、オフセットずれとゲインずれの補正値の算出を行わないようにする手法を用いてもよい。
また、レンズ駆動以外に外乱ノイズの原因となる撮像装置内部に配置した冷却用ファンの駆動についても、レンズ駆動と同様の動作を行うことで、A/D変換器のオフセットずれとゲインずれ補正の誤動作を防止することができる。
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。