以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1及び2には、空気入りタイヤ16が示されている。図1において、上下方向がタイヤ16の周方向であり、左右方向がタイヤ16の軸方向である。図2においては、上下方向がタイヤ16の半径方向であり、左右方向がタイヤ16の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ16の周方向である。図1及び2において、一点鎖線CLはタイヤ16の赤道面を表わす。このタイヤ16の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。図1において、一点鎖線ALはタイヤ16の軸線である。軸線ALは、軸方向に延びる。このタイヤ16の形状は、トレッドパターンを除き、この軸線ALに対しても対称である。図2は、図1の軸線ALに沿った断面である。
このタイヤ16は、トレッド18、一対のサイドウォール20、一対のクリンチ22、一対のビード24、カーカス26、ベルト28、バンド30、インナーライナー32及び一対のクッション層34を備えている。このタイヤ16は、チューブレスタイプである。このタイヤ16は、乗用車に装着される。
トレッド18は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド18は、路面と接地するトレッド面36を形成する。トレッド18は、ゴム組成物を架橋することにより形成される。トレッド18は、架橋ゴムからなる。このタイヤ16のトレッド18には、従来からある公知のゴム組成物が採用されている。このゴム組成物は、タイヤ16のトレッド18として機能するものであれば、特に制限されない。
トレッド18には、溝38が刻まれている。この溝38により、トレッドパターンが形成されている。このタイヤ16では、このトレッドパターンには、軸方向に並列された複数の主溝40が含まれている。各主溝40は、周方向に延びている。このタイヤ16のトレッド18は、軸方向に並列され周方向に延びる複数の主溝40を有している。
それぞれのサイドウォール20は、トレッド18の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール20の半径方向外側端は、トレッド18と接合されている。このサイドウォール20の半径方向内側端は、クリンチ22と接合されている。このサイドウォール20は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。サイドウォール20は、カーカス26の軸方向外側に位置している。このサイドウォール20は、カーカス26の損傷を防止する。
それぞれのクリンチ22は、サイドウォール20の半径方向略内側に位置している。クリンチ22は、軸方向において、ビード24及びカーカス26よりも外側に位置している。クリンチ22は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。クリンチ22は、リム(図示されず)のフランジと当接する。
それぞれのビード24は、クリンチ22の軸方向内側に位置している。ビード24は、内側パート42と、外側パート44とを備えている。より詳細には、ビード24は内側パート42及び外側パート44から構成されている。内側パート42は、カーカス26よりも軸方向内側に位置している。外側パート44は、カーカス26よりも軸方向外側に位置している。図から明らかなように、内側パート42及び外側パート44はカーカス26の一部を挟み込んでいる。
内側パート42は、内側コア46と、内側エイペックス48とを備えている。詳細には、内側パート42は内側コア46及び内側エイペックス48から構成されている。
内側コア46は、リング状である。内側コア46は、巻回された非伸縮性ワイヤー50を含む。この内側コア46は、ワイヤー50を周方向に沿って渦巻き状に巻き回すことにより形成されている。ワイヤー50の典型的な材質は、スチールである。図から明らかなように、内側コア46はカーカス26の端部に内接している。
内側エイペックス48は、高硬度な架橋ゴムからなる。内側エイペックス48は、カーカス26の軸方向内側において、内側コア46を覆い、かつ、この内側コア46から半径方向略外向きに延在している。
外側パート44は、外側コア52と、外側エイペックス54とを備えている。詳細には、外側パート44は外側コア52及び外側エイペックス54から構成されている。
外側コア52は、リング状である。外側コア52は、巻回された非伸縮性ワイヤー56を含む。この外側コア52は、ワイヤー56を周方向に沿って渦巻き状に巻き回すことにより形成されている。ワイヤー56の典型的な材質は、スチールである。このタイヤ16では、外側コア52のワイヤー56は前述の内側コア46のワイヤー50と同等である。図から明らかなように、外側コア52はカーカス26の端部に外接している。
外側エイペックス54は、高硬度な架橋ゴムからなる。外側エイペックス54は、カーカス26の軸方向外側において、外側コア52を覆い、かつ、この外側コア52から半径方向略外向きに延在している。このタイヤ16では、外側エイペックス54は内側エイペックス48の架橋ゴムと同等の架橋ゴムからなる。外側エイペックス54が内側エイペックス48の架橋ゴムとは異なる架橋ゴムからなってもよい。
カーカス26は、カーカスプライ58を備えている。このタイヤ16のカーカス26は、一枚のカーカスプライ58からなる。このカーカス26が2枚以上のカーカスプライ58から形成されてもよい。
カーカスプライ58は、両側のビード24の間に架け渡されている。カーカスプライ58は、トレッド18及びサイドウォール20の内側に沿っている。図示されていないが、カーカスプライ58は並列された多数のカーカスコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのカーカスコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス26はラジアル構造を有する。カーカスコードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ポリエチレンテレフタレート繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
図から明らかなように、このタイヤ16では、カーカスプライ58の端部はビード24の内側コア46とその外側コア52との間に挟まれている。このタイヤ16では、カーカスプライ58は従来のタイヤのように折り返されていない。このタイヤ16のカーカス26の形成は容易である。このカーカス26は、生産性の向上に寄与する。
ベルト28は、トレッド18の半径方向内側に位置している。ベルト28は、カーカス26と積層されている。ベルト28は、カーカス26を補強する。ベルト28は、内側層60及び外側層62からなる。図2から明らかなように、軸方向において、内側層60の幅は外側層62の幅よりも若干大きい。図示されていないが、内側層60及び外側層62のそれぞれは、並列された多数のベルトコードとトッピングゴムとからなる。言い換えれば、ベルト28は並列された多数のベルトコードを含んでいる。それぞれのベルトコードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の一般的な絶対値は、10°以上35°以下である。内側層60のベルトコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層62のベルトコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。ベルトコードの好ましい材質は、スチールである。ベルトコードに、有機繊維が用いられてもよい。ベルト28の軸方向幅は、タイヤ16の最大幅の0.7倍以上が好ましい。ベルト28が、3以上の層を備えてもよい。
バンド30は、ベルト28の半径方向外側に位置している。軸方向において、バンド30の幅はベルト28の幅と同等である。このタイヤ16では、バンド30はトレッド18とベルト28との間に位置し、かつこのベルト28を覆っている。バンド30は、バンドコードを含んでいる。バンドコードは、螺旋状に巻かれている。このバンド30は、いわゆるジョイントレス構造を有する。このバンドコードによりベルト28が拘束されるので、ベルト28のリフティングが抑制される。バンドコードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
インナーライナー32は、カーカス26の内側に位置している。インナーライナー32は、カーカス26の内面に接合されている。インナーライナー32は、空気遮蔽性に優れた架橋ゴムからなる。インナーライナー32の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー32は、タイヤ16の内圧を保持する。
ぞれぞれのクッション層34は、ベルト28の端の近傍において、カーカス26と積層されている。クッション層34は、軟質な架橋ゴムからなる。クッション層34は、ベルト28の端の応力を吸収する。このクッション層34により、ベルト28のリフティングが抑制される。
前述したように、このタイヤ16のトレッド18は、複数の主溝40を有している。このタイヤ16では、トレッド18は3本の主溝40を有している。図1に示されているように、このタイヤ16では、3本の主溝40のうち、右側に位置する主溝40aが、ウェアインジゲータ64を備えている。図2に示されているように、このウェアインジゲータ64は主溝40の底から半径方向外向きに突出している。
タイヤ16は、使用により摩耗する。これにより、主溝40の深さは浅くなる。浅い主溝40は、排水性に影響する。ウェアインジゲータ64は、この摩耗による使用の限界をユーザーに知らしめるためのものである。通常ウェアインジゲータ64の高さは、主溝40の底から1.6mmに設定される。
前述したように、このタイヤ16では、3本の主溝40のうち、右側に位置する主溝40a(以下、第一主溝)がウェアインジゲータ64を備えている。ウェアインジゲータ64をタイヤ16に設ける場合には、トレッド18に設けられた複数の主溝40のうち、少なくとも一つの主溝40に、ウェアインジゲータ64が設けられればよく、中央に位置する第二主溝40bがウェアインジゲータ64を備えてもよいし、左側に位置する第三主溝40cがウェアインジゲータ64を備えてもよい。一の主溝40には、少なくとも一つウェアインジゲータ64が設けられればよく、周方向に間隔をあけて複数のウェアインジゲータ64が一の主溝40に設けられてもよい。
図3は、図1のタイヤ16の一部が示された拡大断面図である。この図3において、上下方向がタイヤ16の半径方向であり、左右方向がタイヤ16の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ16の周方向である。この図3には、第一主溝40aの部分が拡大して示されている。
このタイヤ16のバンド30は、バンドコード66とトッピングゴム68とからなる。前述したように、このタイヤ16のバンド30では、バンドコード66は螺旋状に巻かれている。これにより、このバンド30には、軸方向に並列された多数のループ70が形成されている。
このタイヤ16では、バンドコード66の巻回しのピッチが調整されている。これにより、図3に示されているように、ループ70が疎に配置された部分(以下、疎部72)と、ループ70が密に配置された部分(以下、密部74)とがバンド30に設けられる。疎部72では、一のループ70aとこの一のループ70aの隣に位置する他のループ70bとの間の間隔は大きい。密部74では、一のループ70cとこの一のループ70cの隣に位置する他のループ70dとの間の間隔は小さい。このタイヤ16では、密部74に含まれるループ70のうち、疎部72側に位置するループ70eの端が、疎部72と密部74との境界である。
図2及び図3に示されているように、疎部72は主溝40の半径方向内側に位置している。言い換えれば、疎部72は主溝40の直下にある。このバンド30では、疎部72以外は密部74である。
このタイヤ16では、密部74においては、バンドコード66は実質的に周方向に延びている。周方向に対するバンドコード66の角度は、5°以下、さらには2°以下である。疎部72におけるバンドコード66は、密部74におけるバンドコード66よりも、周方向に対して僅かに傾斜している。この疎部72における、周方向に対するバンドコード66の角度は、密部74における、周方向に対するバンドコード66の角度よりも大きい。好ましくは、疎部72における、周方向に対するバンドコード66の角度は、5°よりも大きく、10°以下である。
図4には、図1のウェアインジゲータ64の部分が拡大して示されている。この図4において、上下方向がタイヤ16の周方向であり、左右方向がタイヤ16の軸方向である。前述したように、ウェアインジゲータ64は主溝40に設けられる。この主溝40の直下には、バンド30の疎部72が設けられる。この図4には、説明のために、疎部72に含まれるループ70(バンドコード66)の配置の様子が点線で表されている。
図4において、一点鎖線LGは主溝40の中心線である。この中心線LGは、周方向に延びる。軸方向において、この中心線LGは主溝40の幅の中間を通る。主溝40のうち、ウェアインジゲータ64が設けられていない部分では、この中心線LGの位置でその深さが最大となるように、主溝40の形状は整えられる。
このタイヤ16では、ウェアインジゲータ64は中心線LG上に設けられる。この図4において、符号PWはウェアインジゲータ64の中心である。このタイヤ16では、ウェアインジゲータ64は軸方向においてその中心PWが中心線LGと一致するように主溝40に設けられる。
前述したように、このタイヤ16では、バンド30のバンドコード66は螺旋状に巻かれる。疎部72のバンドコード66は、周方向に対して僅かに傾斜している。図4に示されているように、疎部72に配置された複数のループ70には、中心線LGを横切るループ70aが含まれる。本願においては、主溝40の中心線LGを横切るループ70は基準ループと称される。この図4において、符号PLは基準ループ70aと中心線LGとの交差位置である。図4から明らかなように、このタイヤ16では、軸方向において、交差位置PLはウェアインジゲータ64の中心PWと一致している。周方向において、交差位置PLは中心PWと一致している。
以上説明されたタイヤ16を得るためには、ローカバー(未架橋タイヤ16とも称される)が準備され、このローカバーが加圧及び加熱される。このタイヤ16の製造には、ローカバーを準備するための成形装置と、このローカバーを加圧及び加熱してタイヤ16を得るための加硫装置とが用いられる。
図5において、符号Rはローカバーである。この図5には、ローカバーRを準備するための成形装置76の一部が示されている。この図5において、左右方向はタイヤ16の軸方向に相当する。上下方向は、タイヤ16の半径方向(又は直径方向)に相当する。
この成形装置76は、中子78を備えている。中子78は、金属製である。中子78は、剛体である。この中子78の材質としては、アルミニウム合金が例示される。中子78は、トロイド状の外面80を備えている。この成形装置76では、この外面80において、ローカバーRが形成される。中子78は、その内部に加熱手段としてのヒーター82を備えている。このヒーター82により、中子78は加熱される。
この成形装置76では、中子78を支持しつつこの中子78は回転させられる。このために、この成形装置76は、前述の中子78以外に、スペーサー84、一対の支持プレート86、チャック部88及び連結部90を備えている。
スペーサー84は、パイプである。スペーサー84は、中子78の半径方向内側に位置している。スペーサー84は、中子78の外面80形状を保持する役割を果たす。それぞれの支持プレート86は、支持軸92と、この支持軸92から半径方向外向きに拡がる側板94とを備えている。左右の側板94により、前述の中子78及びスペーサー84は把持される。支持軸92は、連結部90を介してチャック部88に繋げられる。この成形装置76では、連結部90は、ボールロック機構を有している。支持軸92は、着脱自在にチャック部88と連結される。さらにこのチャック部88は、図示されないモーターのような駆動手段により回転させられる。このチャック部88の回転により、中子78は回転させられる。
この図5において、一点鎖線RALは中子78の軸線である。この成形装置76において、中子78は、軸線RALを中心に回転させられる。この中子78の回転方向は、タイヤ16の周方向に相当する。この軸線RALは、タイヤ16の軸線ALに対応する。一点鎖線RCLは、中子78の赤道面である。この赤道面RCLは、中子78の外面80形状に基づいて得られる。この赤道面RCLは、タイヤ16の赤道面に対応する。中子78の形状は、赤道面RCLに対して対称である。
図6には、ローカバーRを加圧及び加熱してタイヤ16を得るための加硫装置96が示されている。この図6において、左右方向はタイヤ16の半径方向(又は直径方向)に相当する。上下方向は、タイヤ16の軸方向に相当する。この加硫装置96は、モールド98、コンテナ100、上側プラテン102、下側プラテン104、連結部106及びチャック部108を備えている。
モールド98は、セクターシュー110と、セグメント112と、上下一対のサイドプレート114と、上下一対のビードリング116と、上側ベースプレート118aと、下側ベースプレート118bとを備えている。このモールド98は、いわゆる「割モールド」である。
セクターシュー110は、コンテナ100の半径方向内側に位置している。図示されていないが、セクターシュー110の平面形状は、実質的に円弧状である。このモールド98では、複数のセクターシュー110がリング状に配置されている。
セグメント112は、セクターシュー110の半径方向内側に位置している。図示されていないが、セグメント112の平面形状は実質的に円弧状である。このモールド98では、複数のセグメント112がリング状に配置されている。各セグメント112には、半径方向内向きに突出する突条120が設けられている。突条120は、周方向に延在している。セグメント112は、金属製である。セグメント112は、剛体である。このセグメント112の材質としては、アルミニウム合金が例示される。
このモールド98では、セグメント112はセクターシュー110と一体である。したがって、このモールド98では、セグメント112の数はセクターシュー110のそれと同等である。
このモールド98では、セグメント112の数は、通常3以上20以下である。典型的なモールド98において、セグメント112の数は、例えば8個又は9個である。
サイドプレート114は、実質的にリング状である。サイドプレート114は、分割されていない。このサイドプレート114は、ベースプレート118に固定されている。サイドプレート114は、金属製である。サイドプレート114は、剛体である。このサイドプレート114の材質としては、アルミニウム合金が例示される。
ビードリング116は、実質的にリング状である。ビードリング116は、分割されていない。ビードリング116は、金属製である。ビードリング116は、剛体である。このビードリング116の材質としては、アルミニウム合金が例示される。このモールド98では、ビードリング116はサイドプレート114と一体である。サイドプレート114は、ベースプレート118に固定されている。したがって、このビードリング116はベースプレート118に固定されている。
コンテナ100は、モールド98の半径方向外側に位置している。コンテナ100は、リング状である。コンテナ100は、モールド98の外周面に沿って周方向に延在している。図示されていないが、コンテナ100の内部には、スペースが設けられている。このコンテナ100は、このスペースが加熱媒体で満たされるように構成されている。このスペースが加熱媒体で満たされることにより、このコンテナ100の温度が上昇する。高い温度を有するコンテナ100により、前述のモールド98は加熱される。この加熱媒体としては、所定の温度及び所定の圧力に調節されたスチームが例示される。
上側プラテン102は、円盤状である。上側プラテン102は、モールド98の上側に位置している。図示されていないが、上側プラテン102の内部には、スペースが設けられている。この上側プラテン102は、このスペースが、前述のコンテナ100に供給される加熱媒体と同等の加熱媒体で満たされるように構成されている。このスペースが加熱媒体で満たされることにより、この上側プラテン102の温度が上昇する。高い温度を有する上側プラテン102により、前述のモールド98は加熱される。
下側プラテン104は、円盤状である。下側プラテン104は、モールド98の下側に位置している。図示されていないが、下側プラテン104の内部には、スペースが設けられている。この下側プラテン104は、このスペースが、前述のコンテナ100に供給される加熱媒体と同等の加熱媒体で満たされるように構成されている。このスペースが加熱媒体で満たされることにより、この下側プラテン104の温度が上昇する。高い温度を有する下側プラテン104により、前述のモールド98は加熱される。
図6に示されているように、ローカバーRは、中子78とともにモールド98に投入される。加硫装置96において、中子78は、支持プレート86の支持軸92が連結部106を介してチャック部108に繋げられることにより、支持されている。加硫装置96の連結部106及びチャック部108は、前述された成形装置76の連結部90及びチャック部88の構成と同等の構成を有している。
図6に示されたモールド98は、閉じられた状態にある。この状態において、セグメント112、サイドプレート114及びビードリング116が組み合わされ、キャビティ面122が構成される。キャビティ面122は、ローカバーRと当接し、タイヤ16の外面を形成する。キャビティ面122の一部としてのセグメント112の内面は、タイヤ16のトレッド面36を形成する。前述されたセグメント112の突条120は、トレッド18の主溝40に対応する。このモールド98は、主溝40に対応する突条120を有している。キャビティ面122のうち、サイドプレート114の部分は、タイヤ16のサイドウォール20の部分を形成する。このキャビティ面122のうち、ビードリング116の部分は、タイヤ16のビード24の部分を形成する。なお、図6において、一点鎖線MALはこのモールド98の軸線である。この軸線MALは、タイヤ16の軸線ALに対応する。一点鎖線MCLは、モールド98の赤道面である。この赤道面MCLは、タイヤ16の赤道面CLに対応する。キャビティ面122の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面MCLに対して対称である。軸線MAL及び赤道面MCLは、モールド98のキャビティ面122に基づいて得られる。
図1に示されたタイヤ16は、中子78とモールド98とを用いて次のようにして製造される。この製造方法は、ローカバーRを準備する工程(以下、準備工程)、ローカバーRをモールド98に投入する工程(以下、投入工程)及びモールド98内でローカバーRを加圧及び加熱する工程(以下、加圧及び加熱工程)を含んでいる。
準備工程では、公知の方法により、並列された多数のベルトコード含むベルトシートが準備される。このタイヤ16のベルト28は内側層60及び外側層62からなるので、内側層60に対応する第一ベルトシート及び外側層62に対応する第二ベルトシートが、準備される。
中子78の外面80には、インナーライナー32が形成される。インナーライナー32の端部に、ビード24の外側パート44が組み合わされる。インナーライナー32及び外側パート44を組み合わせたものの半径方向外側に、カーカス26が貼り付けられる。このカーカス26の端部に、ビード24の内側パート42が組み合わされる。
カーカス26の所定位置に、クッション層34が貼り付けられる。クッション層34の貼り付け後、カーカス26の半径方向外側に第一ベルトシートが巻かれる。さらにこの第一ベルトシートの半径方向外側に、第二ベルトシートが巻かれる。これにより、ベルト28のための部材が形成される。つまり、この準備工程では、中子78の半径方向外側において、ベルトシートを巻いてベルト部材が形成される。
この準備工程では、公知の方法により、図7に示されたストリップ124が準備される。ストリップ124は、バンド30の形成に用いられる。このストリップ124は、バンドコード66とトッピングゴム68とからなる。この図7に示されているように、ストリップ124に含まれるバンドコード66の数は1本である。このバンドコード66の数が2本以上とされてもよい。
図8には、成形装置76を用いてバンド30を形成している様子が示されている。この成形装置76では、図示されない制御手段により、中子78はその軸線RALを中心にして矢印RAで示された方向に回転させられる。この中子78は、両矢印SAで示された方向、すなわち、軸線RALの延在方向に移動可能である。この回転方向RAはタイヤ16の周方向に相当し、移動方向SAはタイヤ16の軸方向に相当する。
図8に示されているように、この準備工程では、中子78を周方向に回転させつつストリップ124を引き出しながら、ベルト部材にこのストリップ124が螺旋状に巻かれる。これにより、バンド30のための部材が形成される。前述したように、ストリップ124はバンドコード66を含んでいる。つまり、この準備工程では、ベルト部材にバンドコード66を螺旋状に巻いてバンド部材が形成される。バンドコード66を螺旋巻きすることにより、このバンド部材には、軸方向に並列された多数のループ70が形成される。
この製造方法では、バンド部材の形成において、中子78の回転速度及び移動速度を調節して、バンドコード66の巻回しのピッチが調整される。これにより、複数のループ70が疎に配置された疎部72と、複数のループ70が密に配置された密部74とが、バンド部材に形成される。疎部72又は密部74の形成位置は、このタイヤ16の製造のために前もって準備される設計書に基づいて決められる。
バンド部材の形成後、このバンド部材には、トレッド18のゴム組成物で形成されたテープが巻かれる。これにより、トレッド18のための部材が形成される。この準備工程では、バンド部材の半径方向外側に、トレッド18のゴム組成物を用いてトレッド部材が形成される。ビード24の部分には、クリンチ22のゴム組成物で形成されたテープが巻かれる。これにより、クリンチ22のための部材が形成される。さらにこのトレッド部材の端からクリンチ部材までの部分に、サイドウォール20のゴム組成物で形成されたテープが巻かれ、サイドウォール20のための部材が形成される。これにより、図2に示されたタイヤ16の構成と同様の構成を有するローカバーRが得られる。
この製造方法では、準備工程で得たローカバーRは、加硫装置96に供給される。ローカバーRは、この加硫装置96のモールド98に投入される。
図9には、ローカバーRのモールド98への投入の開始の様子が示されている。この図9において、左右方向はタイヤ16の半径方向(又は直径方向)に相当する。上下方向は、タイヤ16の軸方向に相当する。
投入工程では、投入開始のとき、モールド98は開かれている。ローカバーRは、中子78に組み合わされた状態で開かれたモールド98に投入される。投入の時、図示されない加硫装置96の位置調整手段により、ローカバーRの軸線RALとモールド98の軸線MALとが一致させられる。中子78は、下方に動かされる。これにより、図10に示されているように、ローカバーRは、下側のサイドプレート114及びビードリング116に載せられる。このとき、前述の位置調整手段により、軸方向における、中子78の赤道面RCLの位置とモールド98の赤道面MCLの位置とが一致させられる。
ローカバーRがサイドプレート114及びビードリング116に載せられると、図11に示されているように、コンテナ100が下方に動かされる。このコンテナ100の動きにより、上側のサイドプレート114及びビードリング116がローカバーRに向かって移動していく。このコンテナ100の動きにより、セクターシュー110が半径方向内向きにスライドする。このセクターシュー110のスライドにより、セグメント112がローカバーRに向かって移動していく。これにより、モールド98は閉じられる。
閉じられたモールド98では、モールド98と中子78との間にキャビティが形成される。キャビティは、ローカバーRで満たされている。モールド98が閉じられると、この加硫装置96では、図示されない加硫装置96の型締め手段により、このモールド98は締め付けられる。これにより、キャビティ内のローカバーRは加圧される。この締め付け力の調整により、キャビティ内の圧力が制御される。
ローカバーRの内面は、中子78と当接している。モールド98が閉じられるとき、モールド98のキャビティ面122がローカバーRの外面に当接していく。前述したように、中子78はヒーター82により加熱される。モールド98は、その内部が加熱媒体で満たされたコンテナ100、上側プラテン102及び下側プラテン104により、加熱されている。中子78とローカバーRとの当接及びモールド98とローカバーRとの当接により、ローカバーRは加熱される。
前述したように、セグメント112には突条120が設けられている。モールド98が閉じられるとき、この突条120は半径方向内向きに動き、トレッド部材に食い込んでいく。本願においては、突条120によるトレッド部材への食い込みが開始された時点が、ローカバーRの加圧及び加熱工程の開始の時とされる。このタイミングにおいて、ヒーター82による誘導加熱で中子78は一気に昇温される。
このように、加圧及び加熱工程では、ローカバーRは、中子78とモールド98との間において、加圧及び加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーRのゴム組成物が流動する。ゴムが架橋反応を起こし、図1−4に示されたタイヤ16が得られる。
この製造方法では、モールド98が閉じられるとき、セグメント112の突条120は、半径方向内向きに動き、トレッド部材に食い込む。この突条120の動きにより、この突条120の半径方向内側に位置するゴムは半径方向内向きに押し下げられる。
この製造方法では、バンドコード66を螺旋状に巻回し、バンド部材が形成される。このバンド部材の形成においては、バンドコード66の巻回しにより形成される多数のループ70のピッチが調整される。これにより、バンド部材には、複数のループ70が疎に配置された疎部72と、複数のループ70が密に配置された密部74とが設けられる。
この製造方法では、この疎部72の形成位置は、軸方向において、主溝40の形成位置と一致させられる。なお、本願においては、疎部72の形成位置が、軸方向において、主溝40の形成位置と一致させられている状態には、主溝40の一部が、半径方向において、密部74と重複している状態は含まれない。疎部72の形成の状態は、図2に示されたタイヤ16の断面により判断される。
この製造方法では、疎部72におけるループ70の間隔は、密部74におけるループ70の間隔よりも広く設定される。したがって、バンド部材において、疎部72は密部74よりも柔軟である。柔軟な疎部72は、ベルト28に伝わるゴムの作用を和らげる。この製造方法で得られるタイヤ16では、ベルト28に波打ちは生じにくい。
この製造方法では、剛体である中子78上にローカバーRが組み立てられる。この中子78とモールド98との間においてローカバーRは、加圧及び加熱させられる。この製造方法では、ローカバーRの形態変化を伴うことなく、このローカバーRからタイヤ16が得られる。この製造方法では、軸方向において、疎部72の形成位置を主溝40の形成位置と一致させやすい。この製造方法で得られるタイヤ16では、従来のブラダー2を用いたタイヤの製造方法に比べて、ベルト28に波打ちは生じにくい。
前述したように、この製造方法では、バンドコード66を螺旋状に巻回し、バンド部材が形成される。この形成においては、中子78はその軸線RALを中心に回転させられる。中子78の回転速度と軸方向への移動速度との制御により、このバンドコード66の巻回しにより形成される多数のループ70のピッチが調整される。この製造方法では、中子78の外面80は、タイヤ16の内面形状と実質的に同じ形状を有している。詳細には、この外面80は、空気が充填されその内圧が正規内圧の5%に保持された状態にあるタイヤ16の内面形状に近似されている。この製造方法の準備工程では、中子78の赤道面RCLに対する疎部72の位置が高精度に制御される。しかも投入工程においては、ローカバーRの軸線RALとモールド98の軸線MALとを一致させつつ、軸方向における、中子78の赤道面RCLの位置とモールド98の赤道面MCLの位置とが一致させられて、ローカバーRはモールド98に投入される。この製造方法では、疎部72の形成位置は、軸方向において、主溝40の形成位置と高い精度で一致させられる。ほぼ設計通りに、疎部72を配置することができるので、疎部72がベルト28の波打ちの発生防止に効果的に機能する。この製造方法により得られるタイヤ16では、ベルト28における波打ちの発生が十分に抑えられる。
波打ちの発生が防止されたベルト28は、高速耐久性及び耐偏摩耗性に寄与する。このタイヤ16では、波打ち防止のための補強層のような別の部材の追加は不要である。この製造方法によれば、質量及び生産性への影響が抑えられる。すなわち、本発明の製造方法によれば、質量及び生産性への影響を抑えつつ、ベルト28の波打ちが防止された空気入りタイヤ16が得られる。
図12には、このタイヤ16のモールド98の一部がローカバーRとともに示されている。この図12において、上下方向がタイヤ16の半径方向に相当し、左右方向がタイヤ16の軸方向に相当し、紙面との垂直方向がタイヤ16の周方向に相当する。この図12には、加圧及び加熱工程におけるモールド98の第一突条120aの部分が拡大されて示されている。
前述したように、タイヤ16の第一主溝40aはウェアインジゲータ64を備えている。このモールド98では、この第一主溝40aに対応する第一突条120aに、凹み126が設けられている。この凹み126は、ウェアインジゲータ64に対応する。
凹み126は、第一突条120aと疎部72との間に存在するゴム組成物の量を増加させる。この量の増加は、突条120が動くことにより、この突条120に押しのけられるゴム量の低減に寄与する。この凹み126は、ベルト28に伝わるゴムの作用の緩和に寄与する。
疎部72に含まれるループ70には、主溝40の中心線LGを横切る基準ループ70aが存在する。この図12において符号SRは、図4に示された基準ループ70aが中心線LGを横切る交差位置PLに対応する。この符号SRは、この交差位置PLに対応するローカバーRの特定の位置である。タイヤ16のウェアインジゲータ64の中心PWは、主溝40の中心線LGと一致するようにこの主溝40に設けられる。この図12において符号SMは、図4に示されたウェアインジゲータ64の中心PWに対応する。この符号SMは、この中心PWに対応するモールド98の特定の位置である。
図13には、このタイヤ16の製造方法におけるローカバーRの投入工程の一部が示されている。この図13は、図9に示された投入工程の様子を紙面の上側から見た様子が示されている。
前述したように、成形装置76において、中子78は軸線RALを中心に周方向に回転する。この中子78は、加硫装置96においても、中子78は軸線RALを中心に周方向に回転する。両矢印RBは、この加硫装置96における中子78の回転方向である。
この製造方法では、モールド98は加硫装置96に固定される。この固定により、加硫装置96におけるモールド98の特定位置SMが決定される。前述したように、加硫装置96において、中子78は軸線RALを中心に周方向に回転する。この加硫装置96では、この中子78の回転により、ローカバーRの特定位置SRの、この加硫装置96における周方向位置の制御が可能である。この加硫装置96では、特定位置SRの周方向位置は、図示されない位置制御手段により、制御される。
周方向において特定位置SRを特定位置SMと離して配置した場合、つまり交差位置PLの直上に凹み126の設けられていない状態でタイヤ16を製造した場合、加圧及び加熱工程において、突条120の先端は基準ループ70aにかなり近接する。この場合、この特定位置SRにおいて、突起が押しのけたゴムの作用により、この部分において、ベルト28に波打ちが生じる恐れがある。
前述したように、ウェアインジゲータ64に対応する凹み126は、ベルト28に伝わるゴムの作用の緩和に寄与する。このため、この製造方法における投入工程においては、中子78を周方向に回転させて、周方向において、ローカバーの特定位置SRと、モールド98の特定位置SMとが合わせられるのが好ましい。これにより、基準ループ70aが突条120の先端の直下を横切る周方向位置、すなわち交差位置PLと、凹み126の周方向位置、すなわち中心PWとが合わせられるので、突条120が押しのけたゴムの作用がモールド98の凹み126により十分に緩和され、この交差位置PLにおける波打ちの発生が効果的に防止される。この製造方法により得られるタイヤ16では、ベルト28における波打ちの発生がさらに十分に抑えられる。
図3において、両矢印WGは主溝40の軸方向幅である。この幅WGは、主溝40の開口部において、一方の縁から他方の縁までの軸方向長さで表される。両矢印WSは、疎部72の軸方向幅である。
このタイヤ16では、疎部72の幅WLの、主溝40の幅WGに対する比は1.5以上2.5以下が好ましい。この比が1.5以上に設定されることにより、ベルト28の波打ち防止に疎部72が効果的に寄与する。この比が2.5以下に設定されることにより、バンド30全体の拘束力が適切に維持される。このタイヤ16は、高速耐久性に優れる。
このタイヤ16では、疎部72におけるバンドコード66の密度の、密部74におけるバンドコード66の密度の比率、すなわち疎密比は、50%以上80%以下が好ましい。この疎密比が50%以上に設定されることにより、疎部72によるバンド30全体の拘束力への影響が抑えられる。バンド30全体の拘束力が適切に維持されるので、このタイヤ16は高速耐久性に優れる。この疎密比が80%以下に設定されることにより、疎部72の柔軟性が適切に維持される。疎部72が、ベルト28の波打ち防止に効果的に寄与する。本願において、バンドコード66の密度は図2に示されたタイヤ16の断面において計測される。
このタイヤ16では、高速耐久性の観点から、密部74におけるバンドコード66の密度は50エンズ/5cm以上が好ましい。バンド30の形成が容易、すなわち加工性の観点から、このバンドコード66の密度は、60エンズ/5cm以下が好ましい。
このタイヤ16では、高速耐久性の観点から、疎部72におけるバンドコード66の密度は30エンズ/5cm以上が好ましい。疎部72がベルト28の波打ち防止に効果的に寄与するとの観点から、このバンドコード66の密度は、40エンズ/5cm以下が好ましい。
本発明では、タイヤ16の各部材の寸法及び角度は、タイヤ16が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ16に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ16には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ16が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ16が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。乗用車用タイヤ16の場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
中子にローカバーを形成し、このローカバーを中子とともにモールドに投入し、図1−4に示されたタイヤを製造した。このことが、表の製法の欄に「N」で表されている。製造したタイヤのサイズは、195/65R15であった。
実施例1の製造では、投入工程において、ローカバーRの軸線RALとモールドの軸線MALとを一致させつつ、軸方向における、中子の赤道面RCLの位置とモールドの赤道面MCLの位置とが一致させられた。さらに中子を周方向に回転させて、周方向において、ローカバーの特定位置SRと、モールドの特定位置SMとが合わせられた。つまり、モールドに対するローカバーの位置調整が、軸方向及び周方向において実施された。このことが、表の位置調整の軸方向及び周方向の欄それぞれに、「Y」で表されている。
実施例1で製造されたタイヤでは、疎部の幅WLの、主溝の幅WGに対する比(WL/WG)は2.0とされた。主溝の幅WGは10mmであり、その深さは8mmであった。この主溝には、ウェアインジゲータが設けられている。
疎部におけるバンドコードの密度の、密部におけるバンドコードの密度の比率、すなわち疎密比は、65%とされた。密部におけるバンドコードの密度は、55エンズ/5cmであった。バンドコードには、ナイロン繊維からなるコードが用いられた。このバンドコードの繊度は1670dtexであった。
[実施例2]
周方向におけるモールドに対するローカバーの位置調整が実施されなかった他は実施例1と同様にして、タイヤを製造した。周方向におけるモールドに対するローカバーの位置調整が実施されなかったことが、表の周方向の欄に「N」で表されている。
[比較例1]
ブラダーを用いた従来の製造方法でタイヤを製造した。比較例1では、バンドに疎部は設けられなかったが、特開2002−337509公報記載のタイヤのように、主溝の内側で、かつべルトの内側に、補強層が設けられた。補強層のコードには、バンドコードと同等のコードが用いられた。
[比較例2]
実施例1で製造したタイヤを、ブラダーを用いた従来の製造方法で製造した。
[実施例3−6]
比(WL/WG)を下記の表2の通りとした他は実施例1と同様にしてタイヤを製造した。
[実施例7−10]
疎密比を下記の表3の通りとした他は実施例1と同様にしてタイヤを製造した。
[波打ちベルトの発生]
試作したタイヤ(100本)を解体し、波打ちベルトの発生の有無を確認した。波打ちベルトの発生状況が、下記の基準で格付けされた。その結果が、下記の表1−3に示されている。
A・・・・波打ちベルトの発生したタイヤの本数が0本〜1本
B・・・・波打ちベルトの発生したタイヤの本数が2本〜3本
C・・・・波打ちベルトの発生したタイヤの本数が3本〜
[高速耐久性]
タイヤを正規リム(サイズ=6.0J)に組み込み、このタイヤに空気を充填して内圧を280kPaとした。このタイヤをドラム式走行試験機に装着し、4.83kNの縦荷重をタイヤに負荷した。このタイヤを、80km/hの速度で、半径が1.7mであるドラムの上を走行させた。タイヤが破壊するまでの走行距離を、測定した。なお試験が実施された環境の温度は、25℃とされた。この結果が、比較例1を100とした指数で、下記の表1−3に示されている。数値が大きいほど、好ましい。
[質量]
タイヤの質量を計測した。この結果が、比較例1を100とした指数で、下記の表1−3に示されている。数値が小さいほど、好ましい。
[生産性]
単時間あたりに成形できたローカバーの本数を計測した。この結果が、比較例1を100とした指数で、下記の表1−3に示されている。数値が大きいほど、好ましい。
表1−3に示されるように、実施例の製造方法では、比較例の製造方法に比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。