JP6699125B2 - 電解用電極及びそれを使用した電解装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電解用電極及びそれを使用した電解装置に関する。
希土類金属の精錬において塩化物電解法や酸化物電解法がある。塩化物電解法は混合希土類化合物を塩化希土類の水和物とする方法であり、塩化希土類の吸湿性があるため、脱水工程が必要となり、その際塩素ガスやその他の公害ガスが発生するため回収処理装置も必要となる。また、塩化物を除去するために行う、電気分解に伴い副産物として大量の塩素ガスが発生する。これに対し、酸化物電解に用いる溶融塩電解法での発生ガスは、陽極である炭素に由来する一酸化炭素(CO)もしくは酸化炭素(CO)が大部分であるため、公害としての問題点が塩素ガスに比べて少ないという長所があった(非特許文献1)。
しかしながら前記の事柄に対し、近年、地球温暖化の観点から、さらにCO, COガスを削減することが求められており、環境に考慮したCO, COガスを発生しない不活性陽極の開発が精力的に行われている。この不活性陽極にフェライト材料を用いると使用条件として800℃〜1000℃といった高い温度領域においても、溶融塩中での溶解度が低く耐食性が高い特徴があるが導電性が悪く電解効率が悪化してしまうとういう欠点があった。
希土類の材料技術ハンドブック:NTS
特開平03−140490
本発明は不活性陽極を使用し、溶融塩電解時に生成する金属に対しC濃度の低い溶融塩精錬を行うことである。希土類等を溶融塩電解で生成させる際、陽極に炭素を用いた場合、陽極炭素の一部が、パウダー状のカーボンになるためこれが陰極で生成される金属のC濃度を上げる原因となっていた。これを防ぐため陰極周りにBN製の隔壁を配置し、陰極の周りにC濃度を上げないような対策が取られていた(特許文献1)。しかしながら、近年高性能な磁石を作製する際C濃度が重要なファクターで、さらに高純度のものが求められている。BN製の隔壁においても粒径の小さいものであれば隔壁を経て希土類の生成時に入ってしまう問題があった。高性能な磁石を作製する際C濃度が重要なファクターとなっておりさらにC濃度が低いものが求められていた。
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、導電性および低炭素な金属生成物を得られる電解用電極及びそれを利用した電解装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達するために、本発明はスピネルフェライト相および酸化ニッケル相を含む酸化物相と、前記酸化物相の中に分散する金属相とを有し、スピネルフェライト相の元素比率Fe/Niが2.5〜3.5の範囲であることを特徴とする電解用電極である。ここで、スピネルフェライト相の元素比率とは、該スピネルフェライト相の組成式をNiFeとしたときに、y/xすなわちNi元素に対するFe元素の比率をいうこととする。
本発明の電解用電極は金属相及び酸化物相を有しており、電極の導電性を担う金属相が、耐食性に優れる酸化物相の中に分散している構造を有している。これにより、電解時の高温に曝されたときに金属相中の金属成分が電解質中に溶出することが抑制され、優れた耐食性と優れた導電性とを両立することができる。また、本発明の電解用電極を用いれば、電解質中への不純物元素(例えば電解用電極の金属成分)の溶出が抑制されることから、純度の高い目的物(例えば希土類Dy、Nd等)を得ることが可能である。また、本発明の電解用電極においては、電解用電極の金属相に含まれる金属成分以外に、スピネルフェライト相におけるNi及びFeの元素比率Fe/Niを2.5〜3.5の範囲とすることで、スピネルフェライト相の導電性をになうFe2+の量を増加させ、よって電解用電極の導電性を向上させ、電解電流によるジュール熱の発生を抑制することができる。そのため、電解中の電力ロスを抑制でき、入力電力に対する十分な目的物精製効率を得ることができる。同時に、ジュール熱により電解用電極自体が不要に発熱することが抑制されるため、電解用電極の腐食を良好に防止することが可能である。
本発明に係る電解用電極の望ましい態様としては、酸化物相と金属相の構成比率は、前記電解用電極の断面における金属相の占有面積に対する酸化物相の占有面積の比率が80/20〜95/5であり、更に好ましくは80/20〜86/14である。
上記のような酸化物相と金属相の占有面積の比率の範囲にすれば、耐食性及び導電性に優れた電解用電極が得られる。
本発明に係る電解用電極の望ましい態様としては、Cu、Niを金属相として用いることが好ましい。
金属相にCuを含むことで導電性の観点から好ましい、さらにNiを含むことで多溶融への溶解度が低く耐食性の観点から好ましい。
本発明の望ましい態様としては、電解用電極の任意の断面で、酸化物相の酸化ニッケル相とスピネルフェライト相の占有面積比率(酸化ニッケル相/スピネルフェライト相)が0(0を含まず)より大きく0.15以下となる内部構造を有することが好ましい。
この電解用電極の内部構造中の酸化物相であるスピネルフェライト相と酸化ニッケル相を比較すると、スピネルフェライト相の導電率が酸化ニッケル相の導電率より高い。そのため酸化ニッケル相の占有面積を減らすことで、高い水準で導電性と耐食性を両立することが可能である。
本発明の望ましい態様としては、本発明の電解用電極有する、電解装置を用いることが好ましい。
上記、電解用電極を有する、電解装置を用いて溶融塩電解を行うと低炭素濃度の金属を生成することが可能となる。
本発明によれば、高温に曝されても十分に高い耐食性と導電性とを兼ね備え、かつ電力ロスの小さい電解用電極を提供するとともにそれを用いた電解用装置を使用することで低C濃度の金属の精錬ができる。
図1は本発明の一実施形態に係る電解用電極の断面の一部を拡大して示す模式図である。 図2は実施例1での電解用電極の断面の反射電子像である。 図3は本発明の一実施形態に係る電解装置の模式図である。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。図1は、本実施形態の電解用電極の断面の一部を拡大して示す模式図である。
[電解用電極]
電解用電極は主成分として酸化物相10を含有し、副成分として金属相20を含有する。酸化物相10は、さらにスピネル型結晶構造を有するスピネルフェライト相12と、酸化ニッケルを含有する酸化ニッケル相14とを有している。また、本実施形態の電解用電極においては、金属相20は酸化物相10、特にスピネルフェライト相12の中に分散している。すなわち、金属相20はスピネルフェライト相12内に閉じ込められた構成となっている。なお、電解用電極は焼結体であることから、スピネルフェライト相12の内部、酸化ニッケル相14の内部、及び/又は各相の境界部分に、少量の空孔(図示せず)を有する。
本発明に係る電解用電極においては、該電解用電極に含まれるスピネルフェライト相の元素比率Fe/Niを2.5〜3.5の範囲とする。Fe/Niの比率が2.5未満となると、スピネル構造が、NiFeとなり、2価のサイトをNiが占有してしまう。その結果、導電性をになうFeの2価成分が出現しなくなるため、電解用電極の導電性が悪化する傾向にある。また、Fe/Niが3.5より大きくなるとスピネルフェライト相の耐食性が悪化してしまう傾向にある。
本発明に係る電解用電極の望ましい態様としては、酸化物相と金属相の構成比率は、前記電解用電極の断面における金属相の占有面積に対する酸化物相の占有面積の比率が80/20〜95/5であり、好ましくは80/20〜86/14である。
電解用電極の断面におけるスピネルフェライト相12の面積比率は、任意の断面で、好ましくは55〜95%であり、より好ましくは80〜86%である。スピネルフェライト相12の組成含有率が大きくなり過ぎると、金属相20の面積比率が減少し、電解用電極の導電性が低下する傾向にあり、スピネルフェライト相12の組成含有率が小さくなり過ぎると、酸化ニッケル相14が増加した場合は導電性が悪化し、金属相20が増加した場合は耐食性が悪化する。
電解用電極の断面における酸化ニッケル相14の面積比率は、任意の断面で、好ましくは0(0は含めず)〜26%であり、より好ましくは1〜15%である。酸化ニッケル相14の組成含有率がこの範囲を外れると、電解用電極の導電性が低下する傾向、及び優れた耐食性が損なわれる傾向にある。
電解用電極の断面における金属相20の面積比率は、焼結体全体を基準として、5〜20%であり、好ましくは14〜20%である。金属相20の面積比率が大きくなり過ぎると、電解用電極の優れた耐食性が損なわれる傾向にあり、金属相20の組成含有率が小さくなり過ぎると、電解用電極の導電性が低下する傾向にある。
上述した電解用電極におけるスピネルフェライト相12、酸化ニッケル相14及び金属相20が所望の構造、すなわち、金属相20が、スピネルフェライト相12及び酸化ニッケル相14を含む酸化物相10の中に分散している構造を形成していることは、電子顕微鏡の反射電子線像(BEI)を用いて、電解用電極の断面を500倍に拡大した画像において確認することができる。
本発明に係る電解用電極の望ましい態様としては、金属相20は、Cu及びNiを含むことが好ましい。金属相にCuを含むことで導電性の観点から好ましい、さらにNiを含むことで多溶融への溶解度が低く耐食性の観点から好ましい。
本発明に係る電解用電極の望ましい態様としては、本発明のいづれかの電解用電極有する、電解装置を用いることが好ましい。
本発明に係る電解用電極を陽極として用いることで従来陽極に炭素を使用した場合に比べ、溶融塩電解で腐食した炭素が陰極側で生成する金属(例えばNd、Dy等)に対し炭素の混入を防ぐことが可能となる。
[電解用電極の製造方法]
次に、本実施形態に係る電解用電極の製造方法について説明する。
本実施形態の電解用電極の製造方法は、フェライト酸化物と金属粉末とを混合して混合粉末を得る混合工程と、混合粉末を成形して成形体を得る成形工程と、成形体を所定の雰囲気および温度で焼成して焼結体を得る焼成工程と、を有する。以下、各工程の詳細について説明する。
混合工程では、酸化鉄(Fe)と酸化ニッケル(NiO)とを、所望のモル比率で含有する原料粉を仮焼き粉砕して得られるフェライト酸化物粉末と、金属粉末を準備する。そして、フェライト酸化物粉末と、金属粉末とを、金属粉末に対するフェライト酸化物粉末の面積比率が80/20〜95/5となるように両者を配合する。この配合粉末をボールミル等の通常の混合手段で混合して混合粉末が得られる。金属粉末は金属単体でもよいし、所望の質量比率で2種類以上の金属粉末を混合して溶融化し、合金化した合金粉末(平均一次粒子径が10〜30μm)を用いてもよい。また、混合手段としては湿式法でも乾式法でもよく、粉末が均一に混合されるものであれば特に限定されない。
成形工程では、バインダが添加された混合粉末を、通常の金型の中に充填し、プレス成形して成形体を作製する。このように、通常の乾式成形によって、成形体を作製することができる。なお、成形方法は乾式成形に限定されるものではなく、混合粉末と溶媒とを含むスラリーを、溶媒を除去しながら加圧成形する湿式成形であってもよい。また、バインダは特に限定されるものではないが、良好な成形性が得られるという観点から、ポリビニルアルコール(PVA)が好ましい。
焼成工程は、不活性ガス(例えば、窒素ガス又はアルゴンガス)雰囲気下で行う。不活性ガス雰囲気下で成形体を焼成することにより、金属粉末の酸化を防ぐと共に、酸化ニッケルが還元されNiが遊離し金属粉単体であってもNiとの合金化を促進させることができ、電解用電極の導電率の低下をより高い水準で防ぐ作用がある。
焼成工程における、焼成温度および焼成時間を変化させることにより、スピネルフェライト相の組成を制御することができる。例えば、上述の焼成雰囲気下で、成形体を昇温して、好ましくは1300〜1400℃、より好ましくは1350〜1400℃の焼成温度で、好ましくは10〜50時間、より好ましくは20〜30時間焼成して焼結体を得る。焼成温度が低すぎると、スピネルフェライト相のNiFeが分解せず、NiOとFeを形成しないため2価のFeが生成せず導電率が低くなる傾向にある。一方、焼成温度が高すぎると、焼結体密度が低くなる傾向にある。ただし、焼成設備の耐熱性や、製造コスト低減の観点からも、焼成温度の上限は好ましくは1400℃である。、焼成時間が短すぎるとNiFeの分解が不十分となり、スピネルフェライト相の導電率が低くなる傾向にある。
上述の焼成条件を変更する以外にも酸化物の組成を制御することによりスピネルフェライト相の組成を制御することも可能である。
焼成工程および酸化物の組成制御によって得られた焼結体は、そのまま電解用電極としてもよいし、加工して所望の形状を有する電解用電極としてもよい。また、用途は特に限定されないが、得られた焼結体は高温に曝されても高い耐食性と導電性とを兼ね備えていることから、溶融塩電解用電極として好適に使用することができる。
本実施形態の製造方法では、フェライト酸化物粉末と、金属粉末とが所定の比率で配合された原料を用いるとともに、これによって、図1に示すように、スピネルフェライト相12及び酸化ニッケル相14を含有する酸化物相10と、酸化物相10の中に分散している金属相20とを有する焼結体を得ることができる。
以上の製造方法によって、上述の実施形態に係る電解用電極を得ることができる。本実施形態の製造方法では、金属相20が酸化物相10の中に分散した焼結体を得ることができる。金属相20が酸化物相10に囲まれた焼結体からなる電解用電極は、高温に曝されても金属相20が電解質中に溶出することを抑制することができる。また、所望の組成のフェライト酸化物粉末を酸化物相として用いることで、導電性を向上させ、電力ロスを十分に低くすることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、焼結体は、スピネルフェライト相12、酸化ニッケル相14及び金属相20とは異なる相を含んでいてもよい。
実施例及び比較例を参照して、本発明の内容をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
実験1(実施例1)
市販の酸化ニッケル(NiO)粉末と酸化鉄(Fe)粉末とを、NiO/Feで70/30(モル比率)となるように配合し、ボールミルを用いて混合して混合原料粉を得た。この混合原料粉を、大気中、温度1000℃で3時間保持して仮焼を行った。得られた仮焼粉をボールミルで粉砕し、フェライト酸化物粉末を調製した。
得られたフェライト酸化物粉末と銅の金属粉末とを、質量比率が83/17となるように配合した。配合した粉末をボールミルにより混合し、バインダー(PVA)を粉体量に対し0.8質量%添加してボールミルを用いてさらに混合することで、混合粉末を調整した。
得られた混合粉末をプレス成形し、直方体形状を有する成形体を得た。この成形体を、アルゴンガス雰囲気(酸素濃度:0体積%)中、温度1350℃で10時間保持して焼成し、アルゴンガス中で徐冷して、焼結体(電解用電極)を得た。得られた焼結体の断面を、電子顕微鏡による反射電子線像(BEI)を用いて500倍に拡大して観察した。観察結果を図2に示す。これにより、実施例1の焼結体は、酸化物相が酸化ニッケル相及びスピネルフェライト相を有し、金属相が酸化物相の中のスピネルフェライト相に閉じ込められた構造を有することが確認できた。
焼結体の断面の観察結果から、スピネルフェライト相の組成を調べた。測定方法はEDS(Energy Dispersive Spectroscopy)定量分析を用いて、FeとNi量を測定した。測定点数はスピネルフェライト相の粒子の中心部をランダムに30点とし、これら30点の測定値からFe量、Ni量それぞれの平均値を得た。この平均値を用い、Fe/Niの元素比率を算出した。
また、焼結体の断面をランダムに30視野、500倍で観察し、酸化物相10と金属相20との面積を求め、その比率を算出した。
また、得られた焼結体の導電率(S/cm)の測定を行った。測定方法は、焼結体を150×40×30(mm)の直方体としたのち、4端子になるようにPt線を巻きつけ、その後Ptペーストを塗り、アルゴン雰囲気下で1000℃にて焼付け処理を行った。焼付け処理後のサンプルを、4端子法を用い1000℃での導電率測定を行った。
次に上記の得られた焼結体をφ8(mm)×100(mm)の円柱状の電極に加工し、溶融塩電解試験を以下の手順で行った。すなわち、図3の模式図で示したような電解評価装置を用い、下記に示す電解質を高温溶融塩用坩堝に入れ、電気炉中にて、前記円柱状の電極を用いて溶融塩電解試験を行った。
溶融塩電解試験の条件は以下のとおりである。陰極にMoを用い、電解質:DyzF3(75%)−LiF(25%)の電解質材料を用い炉内温度950℃,試験時間48時間,電流密度1.0A/cmとし、電極を1cm電解質につけ実験をおこなった。なお、電流密度の算出方法は電極の底面積に対する電流値とした。
電解試験を行うと電極のCu、Ni、Fe成分がイオン化し陰極にあつまるため、Dy生成時にDyの不純物として検出される。そのためDy中の不純物を分析することで電極の消耗速度を算出することができる。そこで、試験後に、生成したDy中の不純物定量分析を行い電解用電極の消耗速度を算出した。なお、不純物の定量はICP発光分析法によりおこなった。得られたDyの質量および不純物の量から電極の性能を判断し、試験は5回行いその平均値を不純物量の総和として表1に結果を示した。
(実施例2〜4および比較例1〜3)
焼成温度、焼成時間を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして焼結体(電解用電極)を作製し、スピネル相の組成比、導電率、消耗速度の測定を行った。表1に各項目の測定値を示す。なお電解用電極として良好な各項目の値は、導電率は60S/cm以上、不純物の総和が3000ppm以下の場合を良好とした。また金属中の炭素量について各例に対しおこなったが検出はできなかった。
Figure 0006699125
比較例1〜3および実施例1〜4を比較するとFe/Ni比が上昇することで導電性が向上していることが伺える。これはスピネル相中のFe2+が増加したことに起因すると考えられる。またFe2+の量が多くなりすぎると溶融塩への溶解度が上がることに起因してDy中の不純物量が増加したと考えられる。
実験2(実施例5〜11及び比較例4〜7)
次に、スピネルフェライト相の組成変化の影響、ならびに酸化物相と金属相との比率の影響を確認するため、表2に示すように仕込み組成比を変更した実験を行った。市販の酸化ニッケル(NiO)粉末と酸化鉄(Fe)粉末とを、NiO/Feで所定のモルになるように配合し組成を変更した酸化物を作成したほか、金属粉の配合比率を変更し、実施例1〜4および比較例1〜3と同様の実験を行った。なお、組成変化に伴いFe/Ni元素比率を変更させるため焼成温度及び時間は1300℃、3時間とした。
なお、本明細書では焼結体の組成を比較し易いよう、例えば実施例5の組成を、83mass%[NiO/Fe=55/45mol%]+17mass%Cuと表記し、各項目で得られた測定結果を表2にまとめて記した。
実施例5〜11、比較例4〜7についても、組成を表2のように変更した以外は、実験1と同様にして焼結体(電解用電極)を作製し、スピネルフェライト相のFe/Ni元素比率、導電率、電解時に生成したDyの不純物量の測定を行った。表2に各項目の測定結果を示す。実験1と同様、電解用電極として良好な各項目の値を、導電率は60S/cm以上、不純物の総和が3000ppm以下の場合を良好とした。また金属中の炭素量について各例に対しおこなったが検出はできなかった。
Figure 0006699125
比較例6、7および実施例8、9を比較すると金属相の面積が増加すると導電性向上する、しかしながら金属相の面積比率が増加していくとフェライトで金属を囲む構造を維持できなくなり溶融塩へ溶出してしまうためDy中の不純物の量が増加したと考えられる。
また、実施例10および11の結果から使用する金属は特に限定はなくAgとともにPd、Pt、Au、Rh、Ir、Os等を用いても、同様の結果が得られる。
実験3(実施例12〜14)
焼結体の断面をランダムに10視野、500倍で観察し、酸化ニッケル相14とスピネルフェライト相12の面積を求め、その比率(酸化ニッケル相14/スピネルフェライト相12の面積比率)を計算した。
組成を表3のように変更した以外は、実験1と同様にして焼結体(電解用電極)を作製し、酸化ニッケル相/スピネルフェライト相の面積比率、スピネルフェライト相のFe/Ni元素比率、導電率、電解時に生成したDyの不純物量の測定を行った。表3に各項目の測定結果を示す。また実施例1と同様に金属中の炭素量について各例に対しおこなったが検出はできなかった。
Figure 0006699125
実施例12〜15を比較すると酸化物相を構成するNiO/Feの割合のFeが大きくなるにつれて酸化ニッケル相/スピネルフェライト相の面積比率が減少する。酸化物相のスピネルフェライト相の割合が増加したことで導電性の向上する結果を得られ、導電率向上によりジュール熱が減少し電解用電極自体が不要に発熱することが抑制されるため、電解用電極の腐食を良好にした。実施例15の結果からFeの量が一定値を超えると、スピネルフェライト相中に余剰となった鉄成分が酸化物相の耐食性を悪化させ、電極の耐食性が悪化傾向を示した。
上述のとおり、各実施例に係る焼結体(電解用電極)は比較例の焼結体に比して、酸化物相の組成および酸化ニッケル相/スピネルフェライト相の面積比率を制御することで酸化物相の導電性を向上させた。また、酸化物相および金属相を制御することで、スピネルフェライト相が金属相を取り囲む構造を得られ、溶融塩電解試験における生成物の不純物量を減少し、高純度な金属生成を可能とする。なおかつ導電性に優れた電極材料を得ることができた。本発明にかかわる電解用電極は溶融塩電解用電極のみならず水溶液電解の電極としても利用可能である。
10…酸化物相、12…スピネルフェライト相、14…酸化ニッケル相、20…金属相。

Claims (4)

  1. スピネルフェライト相および酸化ニッケル相を含む酸化物相と、前記スピネルフェライト相の中に分散する金属相とを有し、
    前記スピネルフェライト相を構成する元素比率Fe/Niが2.5〜3.5の範囲であり、前記元素比率とは、スピネルフェライト相の組成式をNi Fe としたときのy/xすなわちNi元素に対するFe元素の比率であり、
    電解用電極の断面において、前記酸化ニッケル相と前記スピネルフェライト相の占有面積比率(酸化ニッケル相/スピネルフェライト相)が0(0を含まず)より大きく0.15以下であることを特徴とする、電解用電極。
  2. 前記電解用電極の断面において、前記金属相の占有面積に対する前記酸化物相の占有面積の比率が80/20〜95/5であることを特徴とする、請求項1に記載の電解用電極。
  3. 前記金属相は、Cu及びNiを含むことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の電解用電極。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載の電解用電極を有する、電解装置。
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