JP2017057426A - 電解用電極の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温に曝されても、十分に高い耐食性を備える電解用電極の製造が可能となる電解用電極の製造方法。【解決手段】本願発明は、電解用電極の製造方法であって、前記電解用電極は、酸化物相と該酸化物相中に分散している金属相を有する焼結体からなり、前記焼結体表面を酸化処理することを特徴とする、電解用電極の製造方法である。また、前記酸化処理を行った焼結体に、更に表面処理を行うことにより、より高い耐食性を得ることが可能となる。【選択図】図1

Description

本発明は、電解用電極の製造方法に関する。
希土類金属の精錬において塩化物電解法や酸化物電解法がある。塩化物電解法は混合希土類化合物を塩化希土類の水和物とする方法であり、塩化希土類の吸湿性があるため、脱水工程が必要となり、その際塩素ガスやその他の公害ガスが発生するため回収処理装置も必要となる。また、塩化物を除去するために行う、電気分解に伴い副産物として大量の塩素ガスが発生する。これに対し、酸化物電解に用いる溶融塩電解法での発生ガスは、陽極である炭素に由来する一酸化炭素(CO)もしくは酸化炭素(CO)が大部分であるため、公害としての問題点が塩素ガスに比べて少ないという長所があった(非特許文献1)。
しかしながら前記の事柄に対し、近年、地球温暖化の観点から、さらにCO、COガスを削減することが求められており、環境に考慮したCO、COガスを発生しない不活性陽極の開発が精力的に行われている。この不活性陽極にフェライト材料を用いると使用条件として800℃〜1000℃といった高い温度領域においても、溶融塩中での溶解度が低く耐食性が高い特徴があるが導電性が悪く電解効率が悪化してしまうとういう欠点があった。そこで、固体燃料電池の分野においてセラミックを電極として使用するためセラミック中に金属を添加するコンポジット材料が開発されている(特許文献1)。
希土類の材料技術ハンドブック:NTS
特表2011−514931号公報 特開平03−140490号公報
本発明は不活性陽極を使用し、溶融塩電解時に生成する金属に対しC濃度の低い溶融塩精錬を行うことである。希土類等を溶融塩電解で生成させる際、陽極に炭素を用いた場合、陽極炭素の一部が、パウダー状のカーボンになるためこれが陰極で生成される金属のC濃度を上げる原因となっていた。これを防ぐため陰極周りにBN製の隔壁を配置し、陰極の周りにC濃度を上げないような対策が取られていた(特許文献2)。しかしながら、近年高性能な磁石を作製する際C濃度が重要なファクターで、さらに高純度のものが求められている。BN製の隔壁においても粒径の小さいものであれば隔壁を経て希土類の生成時に入ってしまう問題があった。高性能な磁石を作製する際C濃度が重要なファクターとなっておりさらにC濃度が低いものが求められていた。
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、コンポジット材料を用いた不活性陽極を用い低炭素な金属生成物を得られかつコンポジット材料起因による不純物量を減らすことを目的とした電解用電極の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達するために、本発明の電解用電極の製造方法は、電解用電極の製造方法であって、前記電解用電極は、酸化物相と該酸化物相中に分散している金属相を有する焼結体からなり、前記焼結体を酸化雰囲気下で熱処理することを特徴とする。
本発明の電解用電極は金属相及び酸化物相を有する焼結体からなり、前記焼結体は、電極の導電性を担う金属相が、耐食性に優れる酸化物相の中に分散しているコンポジット構造を有している。このような焼結体を酸化雰囲気下で熱処理することで、前記焼結体の表面に、コンポジット中の金属が酸化した金属酸化物層とコンポジット中の金属が取り除かれた酸化物の層(フェライト層)が形成される。前記金属酸化物層は、焼結体中の金属成分が酸化されることにより形成され、前記フェライト層は、焼結体中の酸化物成分を含み形成される。前記金属酸化物層とフェライト層では、金属酸化物層のほうが酸化されやすいため、金属酸化物層が最表面に形成されると考えられる。焼結体表面に、前記金属酸化物層とフェライト層が形成されることにより、電解時の高温に曝されたときに電解用電極中に存在する金属相中の金属成分が、溶媒と接しなくなるため、電解質中に溶出することが抑制され、従来のものよりも高い水準で耐食性を向上させることが可能である。このため、本発明の電解用電極の製造方法によって得られた電解用電極を用いることにより、電解時に電解質中への不純物元素(例えば電極の中の金属成分)の溶出が抑制され、純度の高い目的物(例えばNd、Dy等)を得ることができる。また、本発明の電解用電極の製造方法によって得られた電解用電極を用いることにより、電解用電極内部の導電性を向上させる設計が可能となり、電解電流によるジュール熱の発生を抑制することができる。そのため、電解中の電力ロスを抑制でき、入力電力に対する十分な目的物精製効率を得ることができる。さらに、ジュール熱により電解用電極自体が不要に発熱することが抑制されるため、電解用電極の腐食を良好に防止することが可能である。
本発明の望ましい態様としては、前記酸化雰囲気下で熱処理を行った焼結体に更に、表面処理を行うことが好ましい。
酸化雰囲気下で熱処理を行った焼結体は、その表面に、前記金属酸化物層とフェライト層を有し、通常、金属酸化物層が最表面に形成される。最表面に形成されている金属酸化物相よりもさらに耐食性がよいフェライト層最外層にすることにより一層、電解用電極として使用した場合の耐食性がよくなる。そのため、前記金属酸化物の層を除去することで最外層をフェライト層にした電極で電解をすると、生成物中に含有する不純物量を減らすことができ、より高純度の目的物を得ることができる。表面処理の方法としては金属酸化物層が除去できれば方法は問わない。
本発明の望ましい態様としては、前記表面処理は、フッ化物で熱処理を行う方法であることが好ましい。
表面処理をフッ化物中で熱処理をおこなうことで、あらかじめ電解用電極中の電極がもつフッ化物に溶出しやすい部分を予め除去することができる。このため、生成する金属中の不純物を減らすことができる。
このような製造方法をすれば、電解用電極を形成する焼結体の表面に金属酸化物層とフェライト層が形成され、電解時に電解用電極中の金属成分の溶出を防ぐことができ、電極の耐食性が向上する。また、電解用電極中の金属成分の溶出を防ぐことから、電解時の生成する目的物に対し、不純物の量を減らすことができ、高純度の生成物を生成することが可能である。さらに、最外層である金属酸化物層を除去することによりさらに電極の耐食性を向上させることが可能であり、従来よりも耐食性の高い電解用電極を製造することができる。
図1は本発明の一実施形態に係る電解用電極内部構造の断面の一部を拡大して示す模式図である。 図2は本発明の製造方法で得られる、酸化雰囲気下で熱処理をした電解用電極の表面部の断面の一部を拡大して示す模式図である。 図3は本発明の製造方法で得られる酸化雰囲気下で熱処理をした後、表面処理をした電解用電極の表面部の断面の一部を拡大して示す模式図である。 図4は本発明の酸化雰囲気下での熱処理温度プロファイルを示した図である。 図5は実施例1で用いる電解用電極の断面の反射電子像である。 図6は本発明の製造方法で得られた、実施例1の電解用電極の表面部の断面を一部拡大した反射電子像である。 図7は本発明の製造方法で得られた、実施例11の電解用電極の表面部の断面を一部拡大した反射電子像である。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。図1〜3は、本実施形態の電解用電極の断面の一部を拡大して示す模式図である。
[電解用電極]
図1は、本実施形態の電解用電極を構成する焼結体の内部構造の模式図である。図1の焼結体は、酸化物相10と金属相20を含有するコンポジット層を有する。酸化物相10は、さらにスピネル型結晶構造を有するフェライトを含有するスピネルフェライト相12と、酸化ニッケルを含有する酸化ニッケル相14とを有している。また、本実施形態の電解用電極において、金属相20は酸化物相10、特にスピネルフェライト相12の中に分散している。すなわち、金属相20はスピネルフェライト相12内に閉じ込められた構成となっている。なお、電解用電極は焼結体であることから、スピネルフェライト相12の内部、酸化ニッケル相14の内部、及び/又は各相の境界部分に、少量の空孔(図示せず)を有する。
図2は図1の焼結体に、酸化雰囲気下で熱処理を行った後の焼結体の模式図である。図2に示す焼結体は、コンポジット層22と、スピネルフェライト相12と酸化ニッケル相14を含むフェライト層24と、焼結体中の金属成分が酸化することにより形成された金属酸化物相16を含む金属酸化物層26を含む。なお、図2においては図示しないが、内部、及び/又は各相の境界部分に、少量の空孔(図示せず)を有する。
酸化雰囲気下での熱処理を行うことにより、電極表面が酸化物に囲まれたコンポジット電極となり、溶融塩電解をする際の溶媒に溶け込む金属の量を減少させる構造を形成、電解反応で金属を生成した際、コンポジット中に含有する金属成分の不純物を減少させることができ、より高純度の金属を生成することが可能である。
図3は、酸化雰囲気下で熱処理をした焼結体にさらに、表面処理をおこなった焼結体表面付近の模式図である。表面処理をおこなうと金属酸化物層よりも耐食性のよいフェライト層24が最外層となり、より電極の耐食性がよくなる。溶融塩電解の電極で使用した際、溶媒中への溶出する成分が減少し、結果、生成した金属中への不純物量を減らし高純度のものを生成することができる。
[電解用電極の製造方法]
次に、本発明の電解用電極の製造方法の好適な実施形態について説明する。
本実施形態の電解用電極の製造方法は、フェライト酸化物粉末と金属粉末とを混合して混合粉末を得る混合工程と、混合粉末を成形して成形体を得る成形工程と、成形体を所定の雰囲気および温度で焼成して焼結体を得る焼成工程と、を有し得られた焼結体を酸化雰囲気下で熱処理する製造工程および酸化雰囲気下で熱処理した焼結体を表面処理する製造工程を有する。以下、各工程の詳細について説明する。
混合工程では、酸化鉄(Fe)と酸化ニッケル(NiO)とを、所望のモル比率で含有するフェライト原料粉を仮焼きし、粉砕して得られるフェライト酸化物粉末と、金属粉末を準備する。そして、フェライト酸化物粉末と、金属粉末とを、金属粉末に対するフェライト酸化物粉末の所望の配合比となるように両者を配合する。これらの粉末をボールミル等の通常の混合手段で混合して混合粉末が得られる。金属粉末は例えばCu金属単体でもよいし、所望の質量比率で2種類以上の金属粉末(例えばCu、Ni)を混合して溶融化し、合金化した合金粉末(平均一次粒子径が10〜30μm)を用いてもよい。また、混合手段としては湿式法でも乾式法でもよく、粉末が均一に混合されるものであれば特に限定されない。
成形工程では、通常の金型の中にバインダが添加された混合粉末を充填し、プレス成形して成形体を作製する。このように、通常の乾式成形によって、成形体を作製することができる。なお、成形方法は乾式成形に限定されるものではなく、混合粉末と溶媒とを含むスラリーを、溶媒を除去しながら加圧成形する湿式成形であってもよい。また、バインダは特に限定されるものではないが、良好な成形性が得られるという観点から、ポリビニルアルコール(PVA)が好ましい。
焼成工程は、不活性ガス(例えば、窒素ガス又はアルゴンガス)雰囲気下で行う。不活性ガス雰囲気下で成形体を焼成することにより、金属粉末の酸化を防ぐと共に、酸化ニッケルが還元されNiが遊離し金属粉単体であってもNiとの合金化を促進させることができ、電解用電極の導電率の低下をより高い水準で防ぐ作用がある。
焼成工程における、焼成温度及び焼成時間は特に限定されず、原料として使用するフェライト酸化物粉末と、金属粉末により適宜調整することができる。例えば、上述の焼成雰囲気下で、成形体を昇温して、好ましくは1250〜1400℃、より好ましくは1300〜1400℃の焼成温度で、好ましくは1〜10時間、より好ましくは2〜6時間焼成して焼結体を得る。焼成温度が低すぎると、焼結体(電解用電極)の導電率が低くなる傾向にある。一方、焼成温度が高すぎると、酸化ニッケルの生成量が多くなる傾向にある。ただし、焼成設備の耐熱性や、製造コスト低減の観点から、焼成温度の上限は好ましくは1400℃である。
焼成工程によって得られた焼結体は、そのまま電解用電極としてもよいし、加工して所望の形状を有する電解用電極としてもよい。
図4は本実施形態に係る電解用電極の製造方法の酸素雰囲気下での熱処理工程における温度の時間変化を示す模式図である。図4に示すように、酸素雰囲気下の熱処理工程は、昇温工程(ステップS1)と、高温保持工程(ステップS2)と、降温工程(ステップS3)とを含む。本実施形態において、熱処理雰囲気の圧力は大気圧(1気圧)であるが、これに限定されるものではない。
昇温工程(ステップS1)は、加熱炉内の成形体を徐々に加熱する工程である。昇温速度は、10K/時間から600K/時間とすることが好ましく、さらには50K/時間から300K/時間とすることが好ましい。
高温保持工程(ステップS2)は、所定の温度に保持する工程であり、図4の時間t1から開始される。この工程において、本実施形態では、800℃から1200℃、好ましくは、900℃から1050℃の間に保持する。高温保持工程において保持される前記所定の温度を、保持温度という。保持温度は、焼成工程(ステップS2)における最高保持温度になる。また、保持時間は好ましくは1〜100時間、より好ましくは10〜40時間で熱処理を行い、電解用電極を得る。降温工程(ステップS3)は、保持温度から徐々に降温させる工程であり、図4の時間t2から開始される。降温工程に特に制約はないが昇温工程と同様10℃/時間から600℃/時間とすることが好ましい。
上記課題を解決する手段である酸素雰囲気濃度は昇温工程から高温保持工程、降温工程において、不活性ガス(アルゴンまたは窒素等)と酸素との混合ガスを用い、酸素濃度を0.1〜20%より好ましくは1〜3%にすることが好ましい。そのような酸素雰囲気下で熱処理することで表面部に酸化物の層を形成することができ、電極の耐食性を向上させることができる。
酸化雰囲気下で熱処理した電解用電極は、酸化物相と金属相を含有するコンポジット層と、焼結体中のスピネルフェライト相と酸化ニッケル相を有するフェライト層、及び、焼結体中の金属成分が酸化されることにより形成された金属酸化物相を含む金属酸化物層の少なくとも3層を有する。金属酸化物層よりもフェライトを主成分とする酸化物層のほうが、耐食性が良好なため、金属酸化物層を表面処理により除去することにより、より耐食性のよい電極を製造することができる。なお、表面処理は限定されるものではなく、物理的に研磨、酸での溶解であってもよい。
本願発明は電解用で使用されるという観点から、前記表面処理は、溶融塩電解で使用されるフッ化物中での熱処理とすることが好ましい。フッ化物中の熱処理としては、熱処理の条件およびフッ化物の組成等は特に限定はないが、実際に溶融塩電解を行う電極の使用環境で行うことが好ましい。例えば、Dyの電解を行う環境は、フッ化物の混合物としてDyzF3(75%)−LiF(25%)の混合物を熱処理温度900℃〜1000℃で溶融させ電解を行う。このことからフッ化物の混合物を熱処理により液体にした状態で、酸化雰囲気下で熱処理した電極を浸漬させる。このような環境でフッ化物の熱処理をおこなうことで、溶融塩電解する際に余剰となる金属成分の溶媒への溶出をあらかじめ除去することができ、より高純度の生成物を得ることができる。
以上の製造方法によって、従来よりも高純度の金属を生成することができる電解用電極を得ることができる。本実施形態の製造方法では、電解用電極が酸化物の層に囲まれたコンポジット電極となり、溶融塩電解をする際の溶媒に溶け込む金属の量を減少させる構造を形成し、高温に曝されても金属相20が電解質中に溶出することを抑制することができる。また、この構造を得ることにより、例えば金属成分を増加させた内部構造を設計でき、導電性を向上させ、電力ロスを十分に低くすることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、焼結体は、スピネルフェライト相12、酸化ニッケル相14、金属酸化物相16及び金属相20とは異なる他の相を含んでいてもよい。
実施例及び比較例を参照して、本発明の内容をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
市販の酸化ニッケル(NiO)粉末と酸化鉄(Fe)粉末とを、Feに対するNiOのモル比率が70/30となるように配合し、ボールミルを用いて混合して混合粉を得た。この混合粉を、大気中、温度1000℃で3時間保持して仮焼を行った。得られた仮焼粉をボールミルで粉砕し、フェライト酸化物粉末を調製した。
得られたフェライト酸化物粉末と銅の金属粉末とを、質量比率が83/17となるように配合した。配合した粉末をボールミルにより混合し、バインダー(PVA)を粉体量に対し0.8質量%添加してボールミルを用いてさらに混合することで、混合粉末を調整した。
得られた混合粉末をプレス成形し、直方体形状を有する成形体を得た。この成形体を、アルゴンガス雰囲気(酸素濃度:0体積%)中、温度1300℃で3時間保持して焼成し、アルゴンガス中で徐冷して、焼結体(電解用電極)を得た。得られた焼結体の断面を、反射電子線像(BEI)を用いて500倍に拡大して観察したところ、実施例1で使用する焼結体は、図5に示すような酸化物相が酸化ニッケル相及びスピネルフェライト相と、Cu粉末とフェライト酸化物粉末中のNiが合金化したCu−Ni合金相の3成分を有する構造が確認できた。
上記のようにして得られた焼結体をφ8(mm)×100(mm)の円柱形状に加工し、さらに酸化雰囲気下(1%O2−99%Ar)、1000℃で10時間熱処理をおこなった。
上記の酸化雰囲気下で熱処理した焼結体の断面を、反射電子像(BEI)を用いて300倍で観察したところ、図6に示すように最表面層から中心に向かって、金属酸化物層、酸化ニッケル相及びスピネルフェライト相を有するフェライト層、Cu粉末とフェライト酸化物粉末中のNiが合金化したCu−Ni合金相が酸化物相の中のスピネルフェライト相に閉じ込められた構造を有するコンポジット層を形成していることが確認できた。
次に上記のようにして得られた焼結体を、溶融塩電解試験を以下の手順で行った。すなわち、下記に示す電解質を高温溶融塩用坩堝に入れ、電気炉中にて試験を行った。
溶融塩電解試験の条件は以下のとおりである。陰極にMoを用い、電解質:DyzF3(75%)−LiF(25%)の電解質材料を用い炉内温度950℃,試験時間48時間,電流密度1.0A/cmとし、電極を1cm電解質につけ実験をおこなった。なお、電流密度の算出方法は電極の底面積に対する電流値とした。
電解試験を行うと電極のCu、Ni、Fe成分がイオン化し陰極にあつまるため、Dy生成時にDyの不純物として検出される。そのためDy中の不純物を分析することで電極の消耗速度を算出することができる。そこで、試験後に、生成したDy中の不純物定量分析を行った。なお、不純物の定量はICP発光分析法によりおこなった。得られたDyの質量および不純物の量から電極の性能を判断し、試験は5回行いその平均値を不純物量の総和として表1に結果を示した。
なお、本明細書では焼結体の組成を比較し易いよう、実施例1の組成を、83mass%[NiO/Fe=70/30mol%]+17mass%Cuと表記し、酸化雰囲気の条件、温度、雰囲気処理時間、不純物量の総和 、の実験条件および測定結果と表1にまとめて表記した。
(実施例2〜10及び比較例1〜6)
組成および酸化雰囲気の条件、雰囲気処理時間の条件を変更した以外は実施例1と同等にして焼結体(電解用電極)を作成し電解時のDy生成時に含まれるDyの不純物量の総和の測定を行った。表1に実測値の例を示す。
Figure 2017057426
比較例1と実施例1〜5は酸化雰囲気下の雰囲気濃度及び時間を変化させた。すべての実施例において、酸化雰囲気下で熱処理をおこなうことで表面層が酸化し、その酸化した層を形成する結果、コンポジット中の金属成分であるCuとNiが電解で生成したDy中の不純物として減少している結果が得られる。
比較例1〜6および実施例2、6〜10を比較すると酸化物相を構成するNiO/Feの割合および金属Cuの量を変化しても酸化した表面層を形成する結果、生成した金属中のCuとNiの不純物を減少させることができる結果が得られる。
(実施例11)
実施例1で得られるコンポジット焼結体を酸化雰囲気下(1%O2−99%Ar)で1000℃、20時間熱処理したものに対し表面処理を行った。表面処理は溶融塩電解時と同様の組成でDyzF3(75%)−LiF(25%)の電解質材料であるフッ化物の混合粉中に浸漬し、1000℃で20時間熱処理を行った。フッ化物の混合粉中に浸漬し熱処理した焼結体の断面を、反射電子像(BEI)を用いて300倍で観察したところ、図7に示すように表面層の金属酸化物層が溶出し、酸化ニッケル相及びスピネルフェライト相を有するフェライト層が最外層となり、Cu粉末とフェライト酸化物粉末中のNiが合金化したCu−Ni合金相が酸化物相の中のスピネルフェライト相に閉じ込められた構造を有するコンポジット層の内部構造を形成していることが確認できた。
上述の表面処理した焼結体を実施例1同様にして溶融塩電解試験を行い、生成したDyの不純物量の総和を算出した。比較のため表1で示した比較例1及び実施例2とあわせて表2に示す
Figure 2017057426
比較例1、実施例2、11を比較すると上述で示したとおり酸化雰囲気で処理することで生成したDy中の不純物量が減少したことがわかる。さらに実施例2、11を比較すると最外層である金属酸化物層を除去することで、さらに高純度なDyを生成することができる結果が得られる。
上述のとおり、各実施例に係る焼結体(電解用電極)は比較例の焼結体に比して、酸化雰囲気下で熱処理することで、その表面に金属酸化物層とフェライト層を有し、電解の際に金属の溶出を防ぐ構造を得ることができる。さらに最外層となっている金属酸化物層を除去することで、耐食性のよい酸化ニッケル相及びスピネルフェライト相を有するフェライト層が最外層となり、より高純度の金属を得ることが可能である。本発明にかかわる電解用電極の製造方法は電解での金属成分の溶出を防ぐ観点から溶融塩電解用電極のみならず水溶液電解の電極としても利用可能である製造工程である。
10…酸化物相、12…スピネルフェライト相、14…酸化ニッケル相、
16…金属酸化物相、20…金属相 22・・・コンポジット層 24・・・フェライト層、26・・・金属酸化物層

Claims (3)

  1. 電解用電極の製造方法であって、前記電解用電極は、酸化物相と該酸化物相中に分散している金属相を有する焼結体からなり、前記焼結体表面を酸化処理することを特徴とする電解用電極の製造方法。
  2. 請求項1の電解用電極の製造方法であって、前記酸化処理を行った焼結体に更に、表面処理を行うことを特徴とする電解用電極の製造方法。
  3. 請求項2の電解用電極の製造方法であって、前記表面処理は、フッ化物中で熱処理することを特徴とする電解用電極の製造方法。
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