以下、本発明に係る空調用ブロアモータユニットにつき、その製造方法と、それを構成する空調用ブラシレスモータとの関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以降における「下」、「上」は、図1〜図3における下方(Z1方向)及び上方(Z2方向)に対応する。また、必要に応じて各図面に付したX1方向同士は同一方向を表し、X2、Y1、Y2、Z1及びZ2方向同士についても同様である。さらに、空調用ブラシレスモータを単に「ブラシレスモータ」と表記する。
図1〜図3は、それぞれ、本実施の形態に係る空調用ブロアモータユニット10の概略全体斜視図、概略縦断面図、概略分解斜視図である。この空調用ブロアモータユニット10は、ブラシレスモータ12と、該ブラシレスモータ12を制御する制御回路が設けられた回路基板14と、該回路基板14を支持する支持盤16と、これらブラシレスモータ12、回路基板14及び支持盤16を収容したケーシング18とを有する。ブラシレスモータ12の回転軸20には、図2に仮想線で示すブロアファン22が取り付けられる。
ケーシング18は、いずれも樹脂からなる下側半体24(第2ケーシング部材)と上側半体26(第1ケーシング部材)とが組み合わされて構成される。下側半体24は、上側半体26に臨む側が開口した中空体であり、一方、上側半体26は、下側半体24に臨む側が開口した中空体である。すなわち、下側半体24は底部を構成し、上側半体26は天井部を構成する。従って、ケーシング18も中空体として構成され、その中空内部は、上側半体26に形成された空気導入口28から導入された冷却風(空気)の流通路となる。なお、冷却風は、回転するブロアファン22によって発生する。
特に図3に示すように、下側半体24には、該下側半体24を上側半体26に連結する図示しない連結ネジを通すためのネジ挿通孔32a〜32cが形成されている。この中のネジ挿通孔32aは、冷却風の流通を妨げない位置に形成される。また、下側半体24の、ネジ挿通孔32cの近傍には、その底壁部が上側半体26側に指向して折曲されることで、略逆V字形状をなす突部34が形成されている。すなわち、突部34の2個の側部は傾斜部である。この突部34は、冷却風を案内する案内部として機能する。
図2に示すように、突部34をなす2個の傾斜部の外壁には、略三角形形状をなす橋架リブ36が設けられる。換言すれば、橋架リブ36は、下側半体24の外壁の、突部34の外面に対応する部位に設けられている。
また、ネジ挿通孔32bの近傍には切欠38(図3参照)が形成される。この切欠38により、下側半体24が、支持盤16に設けられたカプラハウジング40(図1参照)に干渉することが回避される。すなわち、カプラハウジング40は、下側半体24と隣り合うように設けられる。カプラハウジング40内には、回路基板14(図2参照)に設けられた図示しない複数個の導通部材が収容され、これによりカプラ部が構成される。
下側半体24の上側開口の外縁部近傍には、該外縁部に沿って周回する薄肉の第1嵌合部42(図3参照)が形成されている。一方、上側半体26の下側開口には、該外縁部に沿って周回する薄肉の第2嵌合部44(図2参照)が形成されており、下側半体24に上側半体26が組み付けられたときには、図2に示すように、第2嵌合部44が第1嵌合部42を覆う。すなわち、第1嵌合部42の外面と第2嵌合部44の内面とが互いに当接する。これにより、下側半体24と上側半体26とが互いに嵌合している。
上側半体26は、図1〜図3に示すように、一端部に前記空気導入口28が形成された直線形状部50と、該直線形状部50に連なる円環形状の蓋部52とを有する。空気導入口28の近傍には、所定の部材、例えば、ブロアファン22を囲繞するいわゆるスクロール形状のファンケーシング(図示せず)に接続されるダクト54が立設される。また、蓋部52の周縁部には、空調用ブロアモータユニット10を前記ファンケーシングに連結するためのステー部56a〜56cが、互いに略120°の位相差となるように設けられている。
ネジ挿通孔32a〜32cに対応する部位には、ネジ穴58a〜58cが設けられる。すなわち、ネジ挿通孔32a〜32cの各々を通された連結ネジの胴部は、ネジ穴58a〜58cに螺合される。これにより、下側半体24と上側半体26が連結されてケーシング18が構成される。
蓋部52の中心部には、円環状突部60が上方に指向して突出形成される。該円環状突部60には、後述するロータ66よりもやや大径の回転軸挿通口62が形成される。この回転軸挿通口62からは、ブラシレスモータ12の回転軸20が露呈する。その一方で、ブラシレスモータ12を構成するステータ64及びロータ66、該ブラシレスモータ12を制御する回路基板14等は、支持盤16とともにケーシング18に収容されている。
図4に示すように、蓋部52の裏面には、支持盤16を保持するためのネジ穴が形成された螺合用ボス部68a〜68c(支持盤保持部)が設けられている。螺合用ボス部68a〜68cは略円柱形状をなし、その外周壁の周囲には、下側半体24に指向して突出した円環状リブ70がそれぞれ設けられている。すなわち、螺合用ボス部68a〜68cは円環状リブ70で囲繞され、このため、螺合用ボス部68a〜68cと円環状リブ70との間に、円環状リブ70に対して相対的に陥没した凹部が形成される。
また、蓋部52の裏面には、回路基板14及び支持盤16の外縁部を囲繞する囲繞壁部72(図7も参照)が、下側半体24に指向するように突出形成される。すなわち、回路基板14及び支持盤16は、囲繞壁部72内に収納される。前記第2嵌合部44は、この囲繞壁部72に沿って設けられる。また、下側半体24の上部は、囲繞壁部72の形状に対応した形状で開口している。囲繞壁部72の中、支持盤16の外縁部を囲繞する部位は回転軸挿通口62の近傍に位置し、一方、支持盤16の外縁部よりも径方向に突出した回路基板14の外縁部を囲繞する部位は、蓋部52の外周縁部の近傍に位置する。
蓋部52の裏面には、該蓋部52の直径方向に沿って放射状に延在する径方向リブ74(補強部)が、回転軸挿通口62を周回するようにして複数個設けられている。径方向リブ74は、下側半体24に指向するように突出形成される。径方向リブ74の一部は、囲繞壁部72の、支持盤16の外縁部を囲繞する部位に連なり、該部位を始点として蓋部52の外周縁部まで延在する。また、他の一部は、回転軸挿通口62の近傍を始点とし、囲繞壁部72の、蓋部52の外周縁部の近傍に位置する部位まで延在する。結局、各々の径方向リブ74は、蓋部52の裏面及び囲繞壁部72の双方に連なる。
各径方向リブ74が、回転軸挿通口62の直径方向外方に沿って延在することから、複数個の径方向リブ74は、蓋部52に放射状に形成された形状となる。従って、隣り合う径方向リブ74同士の離間間隔は、回転軸挿通口62に近接するにつれて小さく、蓋部52の外縁部に近接するにつれて大きくなる。
蓋部52には、回転軸挿通口62とともに同心円を形成する周方向リブ76(補強部)が併せて形成される。周方向リブ76は、下側半体24に指向して突出形成するとともに、径方向リブ74及び円環状リブ70に連なる。
支持盤16は金属からなり、図3に示すように、円盤形状部80と、該円盤形状部80の外周縁部から突出して互いに約120°の位相差となる位置に配設された3個のゴム保持部82a〜82cとを有する。ゴム保持部82a、82c同士の間には、ヒートシンク部84が設けられる。
円盤形状部80は、その厚み方向に沿って貫通する複数個の通風孔86が放射状に形成された薄肉板形状をなす。前記カプラハウジング40は、円盤形状部80の外周縁部近傍に位置決め固定される。カプラハウジング40は樹脂からなり、絶縁性である。このカプラハウジング40内には、図示しないワイヤハーネスが挿入される。前記ワイヤハーネスは、前記導通部材に電気的に接続される。
円盤形状部80の中心には、円筒形状をなす軸受部88が設けられる。ブラシレスモータ12の回転軸20は、この軸受部88に回転自在に支持される(図2参照)。軸受部88内には、第1ベアリング90、第2ベアリング92が挿入されるとともに、第1ベアリング90の外輪によってウェーブワッシャ94が挟圧保持される。一方、軸受部88の側壁には、直径方向内方に指向して陥没した圧入用凹部96が形成されている。
また、該円盤形状部80の周縁部には、肉厚の円環部98が形成されている。ゴム保持部82a〜82c及びヒートシンク部84は、円環部98の外周壁(円盤形状部80の周縁部)から突出している。
ゴム保持部82a〜82cは、円弧の一部が切り欠かれた円環形状をなし、従って、平面視で略C字形状である。ゴム保持部82a〜82cの各々には、円筒状ゴム部材100の小径な中腹部が挿入される。この挿入により、円筒状ゴム部材100がゴム保持部82a〜82cに保持されている。円筒状ゴム部材100の大径な下端部及び上端部は、ゴム保持部82a〜82cから露呈する。
ヒートシンク部84は、複数個のフィンが立設されることで表面積が大となった放熱部である。すなわち、ヒートシンク部84により、支持盤16に伝達された回路基板14の熱が放散される。なお、支持盤16は、ヒートシンク部84の下面が前記突部34側を臨み且つ前記フィンが上側半体26を臨む姿勢でケーシング18内に収容されている。
ゴム保持部82a、82c及びヒートシンク部84には、螺合用ボス部102a〜102cが形成されている。螺合用ボス部102a〜102cの各々にはネジ穴が形成されており、該ネジ穴には、回路基板14を支持盤16に取り付けるための支持ネジ104(図2参照)が螺合される。また、ヒートシンク部84に形成された螺合用ボス部102cとゴム保持部82bの互いの位相差は、約180°に設定されている。
以上の円盤形状部80、軸受部88、円環部98、ゴム保持部82a〜82c、ヒートシンク部84及び螺合用ボス部102a〜102cが一体的に連なることで、支持盤16が構成されている。換言すれば、支持盤16は、円盤形状部80、軸受部88、円環部98、ゴム保持部82a〜82c、ヒートシンク部84及び螺合用ボス部102a〜102cを有する単一部材である。このような構成の支持盤16は、例えば、アルミニウム合金からなる鋳造物として得ることができる。支持盤16は、ケーシング18内で、囲繞壁部72やリブ70、74、76に対して所定の距離で離間している。
また、ゴム保持部82a〜82cに保持された円筒状ゴム部材100には、上側半体26に設けられた前記螺合用ボス部68a〜68cが挿入される。換言すれば、円筒状ゴム部材100は螺合用ボス部68a〜68cに外嵌される。この際、螺合用ボス部68a〜68cは、全体が円筒状ゴム部材100内に埋入される(図2参照)。円筒状ゴム部材100の上端部は、螺合用ボス部68a〜68cと円環状リブ70との間の凹部に挿入される。この状態で、螺合用ボス部68a〜68cのネジ穴にワッシャ106を介挿して連結ネジ108(螺合部材)が螺合される。
回路基板14は、直線形状部110と湾曲円弧部112とを有する略半円形状をなし、直線形状部110が回転軸20(軸受部88)側を臨む。直線形状部110には、軸受部88に干渉することを回避するべく湾曲円弧部112に指向して凹形状に陥没した、切欠部としての逃げ部114が形成される。このため、回路基板14は、平面視で回転軸20ないし軸受部88に重なる(覆う)ことはなく、囲繞することもない。
逃げ部114の、軸受部88から最も離間する底部近傍には、2個を1組として、回路基板14に形成された分岐回路(図示せず)に接続するスルーホール120が3組(6個)形成されている。1組をなす2個のスルーホール120は、互いに近接する。また、逃げ部114を挟むようにして、ネジ通過孔122、第1係合部としての係合孔124がそれぞれ貫通形成される。なお、この実施の形態では、スルーホール120は2個を1組としているが、1組をなす個数は、ブラシレスモータ12の必要電流量に対応して適宜変更すればよい。すなわち、ブラシレスモータ12の設計計画出力が小さく前記分岐回路の個別の負荷電流量が小となる場合には、1個のスルーホール120を他のスルーホール120と組み合わせることなく用いるようにしてもよい。これとは逆に、より大きな出力のブラシレスモータ12を用いるために前記分岐回路の個別の負荷電流量が大となり得る場合には、3個以上のスルーホール120を1組とするようにしてもよい。
回路基板14には、コンデンサや抵抗、スイッチング素子等の各種の電子部品126が設けられるとともに図示しない配線によって導電経路が形成され、これにより制御回路が構成されている。該制御回路は、回転軸20の回転速度を制御する等の制御を行う。
前記導通部材は、前記配線に電気的に接続される。前記制御回路への通電は、これら導通部材を介してなされる。これら導通部材は、回路基板14の上方(上面)にハンダ等で固着されて直線形状部110から突出し、上述したように、突出した導通部材の先端側はカプラハウジング40内に収納されている。
一方、制御回路からステータ64を構成する電磁コイル130(特に図3参照)への通電は、逃げ部114の縁部に沿って設けられたバスバーユニット132によってなされる。一層詳細には、バスバーユニット132は、図5に示すように、短バスバー134と、2本の長バスバー136a、136bと、これら短バスバー134及び長バスバー136a、136bを一体的に被覆する絶縁被覆138とを有する。なお、図5は、図3で視認される面の裏面に相当する。
短バスバー134は、2個を1組として設けられたスルーホール120に対応するようにして二叉に分岐したリード部140a、140b(回路側端子部)と、結線側端子部である2個のクランプ142a、142bと、リード部140a、140bと2個のクランプ142a、142bを接続する1本の胴部144aとを一体的に有する。クランプ142a、142bは、胴部144aの延在方向に対して直交する方向に延在するように連なった交差部の両端が逃げ部114の底部側に折曲されることで形成される。
長バスバー136aは、2個を1組として設けられたスルーホール120に対するようにして二叉に分岐して1組のスルーホール120に挿入されるリード部140c、140dと、2個のクランプ142c、142dと、リード部140c、140dと2個のクランプ142c、142dを接続して胴部144aに比して長尺な1本の胴部144bとを一体的に有する。クランプ142c、142dは、その先端が逃げ部114から離間する方向に折曲されることで形成される。長バスバー136bも同様に、二叉に分岐したリード部140e、140fと、2個のクランプ142e、142fと、リード部140e、140fと2個のクランプ142e、142fを接続する1本の胴部144cとを一体的に有する。クランプ142e、142fもまた、その先端が逃げ部114から離間する方向に折曲されることで形成される。長バスバー136a、136b同士の形状及び位置は、線対称の関係にある。
絶縁被覆138は、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の樹脂材料からなり、胴部144aを被覆する柱状部148aと、胴部144b、144cの各々を被覆して柱状部148aの端部に連なる柱状部148b、柱状部148cとを一体的に有する。柱状部148b及び柱状部148cは、柱状部148aの両端部の、回路基板14から離間する側(軸受部88側)に臨む端面から突出し、該柱状部148aの延在方向に対して略直交する方向に延在する。このため、バスバーユニット132は、逃げ部114の縁部の形状に対応する略「コ」字状をなす。
柱状部148b及び柱状部148cの先端部下端面には、それぞれ、爪が直線形状部110側を臨むような形状のフック部150a、150bが突出形成される。後述するように、フック部150a、150bは、直線形状部110の縁部に掛止される。
また、柱状部148aの下端面には、柱状部148bの近傍に、第2係合部としての円柱形状突起152が設けられる。該円柱形状突起152は、前記係合孔124に係合する。さらに、柱状部148cにおいて、柱状部148aの近傍には、ネジ穴154が形成されたネジ受部156が設けられる。ネジ穴154には、ネジ通過孔122を通された取付ネジが螺合される。
リード部140a〜140fは柱状部148aの回路基板14側(逃げ部114の底部側)に臨む端面から露出し、スルーホール120側に指向するように湾曲される。すなわち、リード部140a〜140fの端部はスルーホール120に挿通され、さらに、スルーホール120近傍の配線に対し、ハンダ等を介して接合される。バスバーユニット132は、フック部150a、150bが直線形状部110の縁部に掛止されること、円柱形状突起152が係合孔124に係合すること、取付ネジがネジ穴154に螺合されること、リード部140a〜140fがスルーホール120に挿入され且つ配線にハンダ接合されることにより、回路基板14に保持されている。
一方、クランプ142a、142bは柱状部148aの、クランプ142c、142dは柱状部148bの、クランプ142e、142fは柱状部148cの、軸受部88側に臨む端面から突出する。これらクランプ142a〜142fには、後述する電磁コイル130(特に図6参照)の結線部160b、160c、160d、160e、160f、160aが挟持される。クランプ142a、142bは逃げ部114内に露出し、クランプ142c〜142fは直線形状部110から露出する。
回路基板14には、支持ネジ用挿通孔162a〜162cが形成される。支持ネジ用挿通孔162a〜162cの各々に支持ネジ104が通されるとともに、各支持ネジ104が支持盤16の螺合用ボス部102a〜102cの各ネジ穴に螺合される。この螺合により、回路基板14が支持盤16に支持される。回路基板14は、支持盤16を介して間接的にケーシング18に支持されるが、ケーシング18に直接連結されてはいない。
ブラシレスモータ12は、図2及び図3に示すように、支持盤16の軸受部88に位置決め固定されたステータ64と、回転軸20に取り付けられて該回転軸20とともに回転するロータ66とを有する。この中のステータ64は、図6に示すように円環形状をなす部材であり、軸受部88に圧入されることで位置決め固定されるヨーク部と、ヨーク部の外周から回転軸20の軸線と垂直な方向に放射状に突出するように形成されるティース部とを有する積層コア164と、該積層コア164を上下から挟持する1組のインシュレータ166a、166b(絶縁材)と、該インシュレータ166a、166bを介して積層コア164のティース部に巻回された電磁コイル130とを備える。
ヨーク部は、該積層コア164の内周側で円環形状をなし、軸受部88の外周壁に堅牢に位置決め固定される。一方、ティース部は、ロータ66を構成する回転盤168の内周壁(側壁部170)に対向する。すなわち、この場合、ブラシレスモータ12は、ステータ64の外方にロータ66が位置する、いわゆるアウタロータ型である。
隣接するティース部(電磁コイル130)同士は、所定間隔で互いに離間している。すなわち、互いの間にはクリアランスが形成されている。このクリアランスは、冷却風が通過する通路となる。
支持盤16を臨む積層コア164下方のインシュレータ166aには、支持盤16及び回路基板14に指向して延在する3個の結線案内部172a〜172cがそれぞれ設けられる。これら結線案内部172a〜172cの各々には、該結線案内部172a〜172cの延在方向に沿って延在する2個の挿入孔が形成される。以下、理解を容易にするべく、結線案内部172aの2個の挿入孔の参照符号を174a、174b、結線案内部172bの2個の挿入孔の参照符号を174c、174d、結線案内部172cの2個の挿入孔の参照符号を174e、174fとする。
挿入孔174a〜174fは、結線案内部172a〜172cの、ティース部を臨む側においても開口している。このため、挿入孔174a〜174fの、延在方向に直交する方向の断面はいずれも略U字形状又は略V字形状をなす。
電磁コイル130は、U相を形成するU相用電磁コイル180aと、V相を形成するV相用電磁コイル180bと、W相を形成するW相用電磁コイル180cとを5個ずつ有する。なお、U相用電磁コイル180a、V相用電磁コイル180b、W相用電磁コイル180cはいずれも、1本の線材が、周方向に沿って隣り合う奇数個、例えば、5個のティース部に順次掛け渡されることで形成される。そして、5個のU相用電磁コイル180aの中、両端に位置するものから結線部160a、160bが1本ずつ引き出される。5個のV相用電磁コイル180b、5個のW相用電磁コイル180cにおいても同様に、両端に位置するものから結線部160c、160d、結線部160e、160fが1本ずつ引き出される。
結線部160a、160bは、それぞれ、結線案内部172cの挿入孔174f、結線案内部172aの挿入孔174aに挿入される。また、結線部160c、160dは、結線案内部172aの挿入孔174b、結線案内部172bの挿入孔174cに挿入される。さらに、結線部160e、160fは、結線案内部172bの挿入孔174d、結線案内部172cの挿入孔174eに挿入される。
図7に示すように、結線案内部172a〜172cは支持盤16に挿通されて支持盤16の下方に露出している。これにより、回路基板14が支持盤16に保持されたとき、クランプ142a、142bが結線案内部172aに対向する。従って、結線案内部172aの挿入孔174a、174bから露出した結線部160b、160cは、クランプ142a、142bに電気的に接続される。これと同様に、クランプ142c、142dが結線案内部172bに対向し、クランプ142e、142fが結線案内部172cに対向する。このため、結線案内部172bの挿入孔174c、174dから露出した結線部160d、160eはクランプ142c、142dに電気的に接続され、結線案内部172cの挿入孔174e、174fに案内された結線部160f、160aはクランプ142e、142fに電気的に接続される。
結線部160b、160c、160d、160e、160f、160aは、クランプ142a、142b、142c、142d、142e、142fにそれぞれ挟持されるとともに、電着(ヒュージング)によって接合されている。電着により、両者間の電気的接続がなされる。
結線案内部172a〜172cはインシュレータ166aの一部位であり、従って、絶縁体である。このため、挿入孔174a、174b、174c、174d、174e、174fに挿入された結線部160b、160c、160d、160e、160f、160aは、結線案内部172a〜172cに被覆されることで外部と電気的に絶縁される。すなわち、この被覆に伴い、結線部160b、160c、160d、160e、160f、160aと、支持盤16との間で導電経路が形成されることが回避される。
ロータ66は、図3及び図8に示す回転盤168を有する。この回転盤168は、支持盤16の軸受部88に回転自在に挿入された回転軸20に支持される。該回転盤168は、側壁部170と円形状底面182とを有する有底カップ形状をなし、円形状底面182から略垂下するように形成された側壁部170は、その下端部が支持盤16の円環部98内に挿入される。
図8のIX−IX線矢視断面図である図9に示すように、側壁部170の内面には、ステータ64のティース部と対向するように、複数個の永久磁石184が保持されている。回転軸20とともに回転盤168が回転するときには、永久磁石184も回転盤168と一体的に回転する。
円形状底面182は上方を臨み、且つ該円形状底面182は、上側半体26の円環状突部60に形成された回転軸挿通口62から、回転軸20とともに露呈する。円環状突部60と円形状底面182との間には、所定のクリアランスが形成される。なお、図1から諒解されるように、前記側壁部170は回転軸挿通口62に囲繞されており、空調用ブロアモータユニット10の外部には露呈しない。
さらに、円形状底面182には、ブロアファン22が設けられる回転軸20を通すべく中心部に設けられた回転軸支持部185が円環状突部として設けられるとともに、ティース部(電磁コイル130)に臨む複数の通気開口186が形成される。該通気開口186の、円形状底面182の周方向に沿う寸法は、該円形状底面182の直径方向内方から外方に向かうに従って大きくなるように設定されている。このため、通気開口186は、短辺が回転軸挿通口62を臨み、長辺が円形状底面182の外周縁部を臨む略台形形状をなす。
隣り合う通気開口186同士の間には、回転軸20を中心に放射状に並ぶスポーク部188が形成される。図9から諒解されるように、スポーク部188には、側壁部170から回転軸20に向かう途中で、ステータ64や回路基板14から離間する方向、換言すれば、上方に隆起(突出)した段部としての折曲部190(共振抑制部)が設けられている。各スポーク部188における折曲部190は、回転軸支持部185の軸芯と同心円を形成する仮想円C上に設けられている。換言すれば、各スポーク部188における折曲部190は、回転軸20、ないし回転軸支持部185の軸芯に対して同心円上に配置されている。
図8に示すように、隣り合う永久磁石184の周方向端面同士は、スポーク部188の幅方向中心を間に挟んで対向する。換言すれば、永久磁石184は、スポーク部188の幅方向中心で分割されている。
本実施の形態に係る空調用ブロアモータユニット10ないしブラシレスモータ12は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
空調用ブロアモータユニット10は、以下のようにして組み立てられる。すなわち、回路基板14にバスバーユニット132を取り付ける。この際、回路基板14に形成された係合孔124に対し、バスバーユニット132の柱状部148aに設けられた円柱形状突起152を係合する。また、柱状部148b及び柱状部148cにそれぞれ突出形成されたフック部150a、150bを、直線形状部110の縁部に掛止する。これにより、回路基板14に対するバスバーユニット132の位置決めがなされる。その結果、逃げ部114の縁部に沿って絶縁被覆138が配設されるとともに、ネジ受部156の位置とネジ通過孔122の位置が合う。
次に、バスバー実装工程を行う。このために取付ネジをネジ通過孔122に挿通し、ネジ受部156のネジ穴154に螺合する。取付ネジの頭部が回路基板14に当接することに伴い、バスバーユニット132が回路基板14に取り付けられて位置決め固定される。絶縁被覆138が逃げ部114の縁部に沿って当接するとともにフック部150a、150bが縁部を把持するので、該縁部の補強がなされる。
その後、カプラ部を構成するカプラハウジング40を、回路基板14の直線形状部110から突出した導通部材が収容されるようにして支持盤16に連結する。このように、カプラハウジング40は支持盤16に設けられ、回路基板14には設けられていない。このため、回路基板14における電子部品126の搭載スペースが十分な広さとして確保されるので、回路基板14にいわゆるデッドスペースが生じ難い。加えて、カプラハウジング40が平面視で回転軸20に重なることがない。
さらに、回路基板取付工程を行う。すなわち、バスバーユニット132が取り付けられた回路基板14の支持ネジ用挿通孔162a〜162cの各々に通した支持ネジ104を、螺合用ボス部102a〜102cの各々に形成されたネジ穴に螺合する。これにより、回路基板14が支持ネジ104を介して支持盤16に支持される。
その一方で、積層コア164をインシュレータ166a、166bで覆った後、インシュレータ166a、166bを介してティース部に線材(巻線)を巻回することで電磁コイル130を形成する。1個のティース部に対する巻回が終了したら、隣のティース部に線材を掛け渡して巻回する。これを繰り返して5個の電磁コイル130を形成し、U相用電磁コイル180aとする。同様にして、V相用電磁コイル180b、W相用電磁コイル180cを形成する。
そして、巻線引出工程を行うべく、結線案内部172aの挿入孔174a、174bの各々に、U相用電磁コイル180aの結線部160b、V相用電磁コイル180bの結線部160cをそれぞれ挿入する。挿入孔174a、174bが、ティース部を臨む側においても開口した、断面略U字形状又は断面略V字形状であるので、挿入孔174a、174bの側方から結線部160b、160cを挿入することができる。このように、挿入孔174a、174bを、延在方向に対して直交する方向の断面を略U字形状又は略V字形状としたことにより、該挿入孔174a、174bに対して結線部160b、160cを挿入することが容易となる。挿入孔174a、174bに挿入された結線部160b、160cは、挿入孔174a、174bに案内されて直線状に延在する。
同様にして、結線案内部172bの挿入孔174c、174dの各々に、V相用電磁コイル180bの結線部160d、W相用電磁コイル180cの結線部160eを挿入するとともに、結線案内部172cの挿入孔174e、174fの各々に、W相用電磁コイル180cの結線部160f、U相用電磁コイル180aの結線部160aを挿入する。上記した理由から、この挿入も容易である。また、結線部160d、160e、160f、160aが直線状に延在する。
なお、U相用電磁コイル180aを形成して結線部160a、160bを結線案内部172cの挿入孔174f、結線案内部172aの挿入孔174aに挿入し、次に、V相用電磁コイル180bを形成して結線部160c、160dを結線案内部172aの挿入孔174b、結線案内部172bの挿入孔174cに挿入し、さらに、W相用電磁コイル180cを形成して結線部160e、160fを結線案内部172bの挿入孔174d、結線案内部172cの挿入孔174eに挿入するようにしてもよい。
以上とは別に、回転軸20を軸受部88内に挿入するとともに、該回転軸20に第1ベアリング90及び第2ベアリング92の各々を外嵌する。この際、第1ベアリング90は回転軸20に圧入されるとともに、軸受部88の下方からウェーブワッシャ94を介在するようにして軸受部88に摺動自在に挿入される。また、第2ベアリング92は、軸受部88の上方から回転軸20及び軸受部88に圧入される。以上により、第1ベアリング90及び第2ベアリング92に軸受与圧が付与される。
この作業の前、又は後に、支持盤16の軸受部88の側壁に形成された圧入用凹部96に、ステータ64の円環形状のヨーク部の中心側端部を圧入する。この際、結線案内部172a〜172cは、支持盤16の円盤形状部80に形成された通風孔86に、結線部160b、160c、160d、160e、160f、160aごと挿通されるようにして支持盤16の下方に露出する。これにより、結線部160b、160c、160d、160e、160f、160aは、支持盤16の下方でクランプ142a〜142fと対峙する。なお、結線部160b、160cはクランプ142a、142bを、結線部160d、160eはクランプ142c、142dを、結線部160f、160aはクランプ142e、142fを通る。
ここで、結線案内部172a〜172cは上記したように絶縁体である。このため、結線案内部172a〜172cが支持盤16に接触したとしても、結線部160b、160c、160d、160e、160f、160aと支持盤16との間に導電経路が形成されることはない。従って、例えば、通風孔86の開口縁を結線案内部172a〜172c側に近接させるようにして各結線案内部172a〜172cと支持盤16との間のクリアランスを極小化することが可能となる。
さらに、回転軸20の上方から回転盤168を圧入固定する。その結果、回転盤168の側壁部170の内面に支持されてロータ66を構成する永久磁石184が、ステータ64の積層コア164に対向する。すなわち、ブラシレスモータ12の半製品が構成される。
回転盤168を構成する円形状底面182において、スポーク部188には折曲部190(段部)が設けられている。すなわち、スポーク部188の一部は上側半体26に向かって折曲されている。なお、折曲部190は、図示しないプレス装置によって回転軸支持部185の軸芯と同心円上に円形状底面182の一部が隆起された略有底円筒形状のロータ66の素形材を深絞り成形するとともに該素形材に通気開口186の形状を打ち抜く加工を行うことでスポーク部188とともに一挙に形成することができる。
回転軸20に回転盤168を圧入固定する前、又は後に電着工程を行い、結線部160b、160cをクランプ142a、142bに電着する。すなわち、所定の載置台に、図示しない電着用工具を据え置くとともに上記半製品を電着用工具に対して相対回転可能に保持し、載置台上で半製品を回転させることで前記電着用工具の溶接電極にクランプ142a、142bを近接させる。次に、前記溶接電極にてクランプ142a、142bを圧潰し、図10に示すように、クランプ142a、142bの内面が結線部160b、160cに押接した状態とする。これと同時に、前記溶接電極から該クランプ142a、142bに所定の通電を行い、クランプ142a、142b及び結線部160b、160cを加熱する。その結果、クランプ142a、142bの内面と結線部160b、160cとの当接箇所の電着がなされる。
その後、図11に示すように、クランプ142a、142bの電着を終えた半製品を約120°回転させ、クランプ142c、142dを前記電着用工具に近接させる。そして、クランプ142c、142dを圧潰して該クランプ142c、142dの内面を結線部160d、160eに押接させると同時に、該クランプ142c、142dに通電を行う。これにより、クランプ142c、142dの内面と結線部160d、160eとの当接箇所の電着がなされる。
さらに、図12に示すように半製品を約120°回転させ、クランプ142e、142fを前記電着用工具に近接させる。以降は上記と同様にして、クランプ142e、142fを圧潰して該クランプ142e、142fに通電を行う。これにより、クランプ142e、142fの内面と結線部160f、160aとの当接箇所の電着がなされ、全ての電磁コイル130と制御回路とが電気的に接続される。
このように、本実施の形態によれば、バスバーユニット132を略「コ」形状とし、柱状部148aにクランプ142a、142bを設けるとともに、柱状部148b及び柱状部148cの各々にクランプ142c、142d、クランプ142e、142fをそれぞれ設け、短バスバー134のクランプ142a、142bが逃げ部114内に露出し、且つクランプ142c〜142fが直線形状部110から露出するようにしている。また、各クランプ142a〜142fは、回転軸20の周りに回転対称(3回対称)となるように配置されている。このため、半製品を約120°ずつ回転させながら電着を行うことにより、クランプ142a、142b、142c、142d、142e、142fと結線部160b、160c、160d、160e、160f、160aとを容易に電気的に接続することができる。
以上のようにして得られたブラシレスモータ12、回路基板14及び支持盤16の組立体を、上側半体26に組み付ける。すなわち、略C字形状のゴム保持部82a〜82cに予め保持された円筒状ゴム部材100の中空内部に、上側半体26に設けられた螺合用ボス部68a〜68cを挿入する。その結果、円筒状ゴム部材100が螺合用ボス部68a〜68cに外嵌されるとともに、螺合用ボス部68a〜68cの全体が円筒状ゴム部材100内に埋入される(図2参照)。円筒状ゴム部材100の上端部は、円環状リブ70によって形成される凹部内に挿入される。これと同時に、回転軸20と、回転盤168の円形状底面182が上側半体26の回転軸挿通口62から露呈する。
そして、螺合用ボス部68a〜68cのネジ穴にワッシャ106を介挿するようにして連結ネジ108を螺合する。これに伴って円筒状ゴム部材100がワッシャ106で圧潰されるとともに、当該圧潰部分が、連結ネジ108の頭部と螺合用ボス部68a〜68c(上側半体26)との間に介在する。
従って、連結ネジ108の頭部と螺合用ボス部68a〜68c(上側半体26)との間に、弾性を示す円筒状ゴム部材100がゴム保持部82a〜82cを挟持してそれぞれ介挿された状態となる。これ以外に支持盤16を支持する構造は特に設けられていない。従って、支持盤16は、上側半体26(ケーシング18)に対し、円筒状ゴム部材100の弾発作用下にフローティング支持された状態となる。なお、回路基板14は支持盤16を介して上側半体26に間接的に支持され、上側半体26に直接連結されることはない。
螺合用ボス部68a〜68cの突出長さは、径方向リブ74、周方向リブ76及び円環状リブ70の突出長さに比して大きい。この分、支持盤16は、これらリブ70、74、76から離間した位置にある。すなわち、支持盤16とこれらリブ70、74、76、さらには、囲繞壁部72との間には、十分なクリアランスが形成される。
次に、下側半体24に形成されたネジ挿通孔32a〜32cの各々に連結ネジを通し、さらに、該連結ネジを、上側半体26に形成されたネジ穴58a〜58cに螺合する。これにより、下側半体24と上側半体26とが連結される。また、この際、第1嵌合部42の外面を第2嵌合部44の内面が覆うことで、下側半体24が上側半体26に嵌合される。以上により、前記組立体(回路基板14、支持盤16及びブラシレスモータ12)を収容したケーシング18が構成される。下側半体24が上側半体26にしっかりと嵌合されているので、ケーシング18が優れた剛性を示す。
さらに、回転軸20にブロアファン22(図2参照)が取り付けられることで、空調用ブロアモータユニット10が得られるに至る。カプラハウジング40は、下側半体24から露出して該下側半体24に隣り合う位置となる。
上記したように回路基板14が平面視で回転軸20(ないし軸受部88)に重ならないオフセット位置であるため、ケーシング18の上下方向(厚み方向)寸法が大きくなることを回避することができる。さらに、カプラハウジング40(カプラ部)が下側半体24に隣り合うので、下側半体24の厚みの範囲内に収まる。このため、ケーシング18が厚み方向に大きくなることが回避される。従って、空調用ブロアモータユニット10の小型化を図ることが容易となる。
空調用ブロアモータユニット10は、車体に搭載されて車両用空調装置に組み込まれる。この際、ステー部56a〜56cに固定ネジが通されるとともに、該固定ネジが所定の部材、例えば、ブロアファン22を囲繞するいわゆるスクロール形状のファンケーシング(図示せず)に螺合される。上側半体26の裏面に、複数個の径方向リブ74が放射状に設けられており、蓋部52の外縁部に接近するにつれて径方向リブ74同士の離間間隔が大きくなるので、ステー部56a〜56c近傍の剛性が向上する。
この状態で、車体側のワイヤハーネスが前記カプラハウジング40内に挿入されて導通部材に電気的に接続される。車両用空調装置を運転する際には、ワイヤハーネスから導通部材を介して制御回路に通電がなされる。
この通電に伴い、該制御回路の制御下にコンデンサや抵抗、スイッチング素子等の各種の電子部品126を介して電磁コイル130にも通電がなされる。その結果、ステータ64に交番磁界が発生する。この交番磁界と、ロータ66を構成する永久磁石184による磁界との間で吸引・反発が連続的に起こることにより、回転盤168が回転する。これと一体的に、回転軸20及びブロアファン22が回転する。
制御回路に通電がなされることに伴い、電子部品126及び回路基板14が熱を帯びる。この熱は、支持盤16に伝達されて該支持盤16のヒートシンク部84に到達する。ここで、ヒートシンク部84の近傍は、螺合用ボス部102cに螺合された支持ネジ104によって回路基板14に密接している。従って、回路基板14の熱が速やかにヒートシンク部84に伝達される。
ブロアファン22が回転することに伴い、図示しない前記ファンケーシング内に該ブロアファン22の周囲(特に上方)の空気が巻き込まれて、遠心ファンであるブロアファン22の遠心方向に向かう空気流となる。この空気流の一部は、上側半体26のダクト54内に形成された空気導入口28からケーシング18の内部に導入され、該ケーシング18内の流通路を流通する冷却風となる。
ここで、下側半体24には、上側半体26に向かって凸となる突部34が設けられている。冷却風が突部34に接触した際には、該冷却風は、傾斜した上流側の側部に沿って流通する。その結果、冷却風の一部の進行方向が上側半体26側に変更される。このように、突部34は、冷却風の一部を上側半体26側に案内する案内部である。
上側半体26側に進行した冷却風の一部は、ヒートシンク部84に接触する。従って、ヒートシンク部84が速やかに冷却される。上記したように、回路基板14の熱がヒートシンク部84に速やかに伝達されるので、ヒートシンク部84を介しての回路基板14の熱の放散が効率よく進行する。このように、ケーシング18内に突部34(案内部)を設けて冷却風をヒートシンク部84に向けるようにしたことにより、回路基板14の熱を除去することが容易となる。
しかも、ヒートシンク部84は、支持盤16の一部位として一体的に設けられている。このため、別部材であるヒートシンクを連結する場合に比して放熱面積を大きくすることができるので、空調用ブロアモータユニット10の小型化を図りながら、回路基板14を効率よく冷却することができる。
冷却風の残部は、突部34を越えて下側半体24内(流通路)を流通し、回路基板14や電磁コイル130側に向かって上昇する。冷却風は、回路基板14や軸受部88に接触した後に支持盤16の通風孔86を通過し、さらに、ステータ64の周方向に隣接するティース部同士の間の間隙を通過する。これにより、回路基板14や支持盤16、ブラシレスモータ12が冷却される。
冷却風は、上側半体26の回転軸挿通口62とブラシレスモータ12の回転盤168との間の間隙や、回転盤168に形成された通気開口186を介してケーシング18外に排出される。その後、ブロアファン22(遠心ファン)の空気流に還流される。
回転軸20が回転することに伴い、軸受部88から円盤形状部80に振動が伝達される。ここで、通風孔86の開口縁を結線案内部172a〜172c側に偏倚するようにして開口面積を小さく設定している場合、円盤形状部80の剛性が向上するので、回転軸20の回転時に該支持盤16が振動することを抑制することができる。
また、支持盤16が金属からなるために剛性が高いので、該支持盤16が共振を起こし難い。しかも、円盤形状部80に連なるゴム保持部82a〜82cと上側半体26との間には、円筒状ゴム部材100が介挿されている。この円筒状ゴム部材100は、弾性を示すことで振動に対して緩衝作用を営む。このため、振動がケーシング18に伝達されることが抑制され、その結果、該ケーシング18が共振することが回避される。
仮に振動が支持盤16からケーシング18に伝達されたとしても、下側半体24の、突部34の外面に対応する部位に橋架リブ36が設けられ、且つ上側半体26の裏面には、径方向リブ74、周方向リブ76及び円環状リブ70が設けられている。このため、ケーシング18に剛性が確保されるので、ケーシング18の可聴域での共振が防止される。
径方向リブ74、周方向リブ76及び円環状リブ70は、上側半体26と一体的に設けられている。このため、部品点数が増加することはない。また、これらのリブ70、74、76を設けても、重量増加は極僅かである。すなわち、リブ70、74、76を設けたことによって空調用ブロアモータユニット10の重量が過度に上昇することが回避される。
加えて、径方向リブ74、周方向リブ76及び円環状リブ70が存在するため、蓋部52に冷却風が接触しても該蓋部52が撓み難い。換言すれば、上側半体26が変形を起こし難い。このため、上側半体26の耐久性が向上する。また、これにより騒音を抑制することもできる。
さらに、支持盤16及び回路基板14は、突部34、囲繞壁部72やリブ70、74、76をはじめとするケーシング18の内壁に対して所定距離で離間している。このため、支持盤16及び回路基板14が振動ないし揺動した場合であっても、突部34やその他の内壁が支持盤16ないし回路基板14に干渉することが回避される。しかも、組立体(回路基板14、支持盤16及びブラシレスモータ12)は、ケーシング18に収容されている。このために組立体から放出される騒音がケーシング18の内壁に衝突するので、騒音がケーシング18の周囲に過度に放射される事態を防止することができる。以上のような理由から、静粛性が一層向上する。また、当接音が発生する懸念や、回路基板14に傷が発生する懸念が払拭されるとともに、耐久性が向上する。
さらに、本実施の形態では、回転盤168の円形状底面182に略台形形状の通気開口186が形成されている。通気開口186の形状と、通気開口186が形成されている分だけ円形状底面182の面積が小さくなることとが相俟って、ロータ66の、いわゆる鳴きが低減する。
また、円形状底面182のスポーク部188には、段差となる折曲部190が、回転軸20と同心円上に設けられている。この折曲部190によって、永久磁石184の電磁力に基づく振動が吸収される。換言すれば、共振がミュートされる。このように、折曲部190は共振抑制部として機能し、側壁部170からの振動が回転軸20に伝達されることを防止している。
加えて、隣り合う永久磁石184の端面同士が、スポーク部188の幅方向中心を間に挟んで対向している。このため、永久磁石184の電磁力に基づくスポーク部188の直径方向に沿う収縮振動が、2個の永久磁石184からスポーク部188に略均等に伝達される。このため、振動ピークが低減して騒音が低減する。しかも、このようなロータ66は、側壁部170が上側半体26の円環状突部60に覆われるようにして、支持盤16とともにケーシング18に収容されている。このため、ロータ66の放射音が、円環状突部60の内面に衝突することで低減される。以上のような理由からも、静粛性が一層向上する。
図13Aは、外縁部近傍に円弧状の通気開口が形成された回転盤を用いたブラシレスモータにおける周波数(振動数)応答関数を表し、図13Bは、上記した形状の回転盤168を用いたブラシレスモータ12における周波数応答関数を表す。図13Aと図13Bを対比すると、回転盤168を用いたブラシレスモータ12では、聴感上、耳につきやすい周波数10kHz以下(図13Bでは、特に7kHz付近)における振動数のピークを分散し得ることが明らかである。このことは、回転軸20が回転することに伴う加振状況下でのロータの振幅が低下して放射音(鳴き)が生じ難くなることを意味し、これにより本発明者は、回転盤168を用いたブラシレスモータ12では、従来の外縁部近傍に円弧状の通気開口が形成された回転盤を用いたブラシレスモータと比べて約1dBAの騒音レベル低下を達成できることを見出した。
結局、本実施の形態によれば、静粛性に優れる小型な空調用ブロアモータユニット10を構成することができる。
本発明は、上記した実施の形態に特に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上側半体26(第1ケーシング部材)の蓋部52の裏面(ケーシング18の内面)には、周方向リブ76又は径方向リブ74を設け、且つリブ74、76同士が連なるようにしているが、さらに斜行するリブを設けるようにしてもよい。また、下側半体24(第2ケーシング部材)の、ケーシング18の内面となる面にも、上記と同様に周方向、径方向又は斜行する多数のリブを設けることが可能である。この場合、ケーシング18の全体がさらに変形し難くなるとともに、増加されるリブによってケーシング18内の騒音がさらに分散される。これによっても、優れた剛性及び遮音性を示すケーシング18が構成される。
また、図14に示すように、結線案内部172a〜172cに1個の挿入孔174gのみを形成するようにしてもよい。この場合、短バスバー134及び長バスバー136a、136bに設けるクランプ142gの個数も1個とし、挿入孔174gに通された結線部160b、160c(160d、160e又は160f、160a)を纏めて1個のクランプ142gで保持するようにしてもよい。この場合、短バスバー134及び長バスバー136a、136bの構成が簡素となる利点がある。
さらに、下側半体24に、上側半体26の薄肉部(嵌合部)を囲繞するような薄肉部(嵌合部)を設けるようにしてもよい。この場合、上記とは逆に、下側半体24の嵌合部の内面が、上側半体26の嵌合部の外面に当接する。