次に、図面を参照して、実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
又、以下に示す実施の形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
[比較例]
比較例に係るパワーモジュール100Aの模式的構造断面図は、図1に示すように表される。
パワーモジュール100Aは、半導体デバイス、半導体デバイスを搭載する絶縁基板、半導体デバイスの主電源端子P・N、及び出力端子Oを樹脂封止した第1樹脂層15と、シールド板20Aと、ゲートドライバ基板22と、を備える。
第1樹脂層15は、例えばSiC MOSFETの半導体デバイスQ1とQ4を内蔵している。半導体デバイスQ1とQ4の制御端子であるゲート信号電極に接続するゲート端子G1・G4が、主電源端子P・Nと出力端子Oと、直交する方向に導出されている。同様に、半導体デバイスQ1・Q4のソースセンス信号電極に接続するソースセンス端子SS1・SS4が導出されている。
ゲートドライバ基板22は、半導体デバイスQ1・Q4を駆動する駆動回路が実装された基板であり、シールド板20Aを挟んで第1樹脂層15と反対側の位置に配置されている。シールド板20Aは、半導体デバイスQ1・Q4がON/OFFする際に生じる電磁波雑音を、遮蔽するように作用する。
よって、ゲートドライバ基板22は、半導体デバイスQ1・Q4が発生する電磁波雑音の影響を受けずに安定した動作が可能である。
ただし、シールド板20Aは、パワーモジュール100Aの部品点数を増加させ、その組み立て工数も増加させる。また、シールド板20Aは、パワーモジュール100Aを大型化させる。
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態に係る平板形状のシールド層20Fを備えたパワーモジュール100の断面を示す模式的断面構造図は、図2(a)に示すように表される。また、形状の異なるシールド層20Bを備えたパワーモジュール100の断面を示す模式的断面構造図は、図2(b)に示すように表される。また、パワーモジュール100の他の断面を示す模式的断面構造図は、図2(c)に示すように表される。なお、第1の実施の形態に係る平板形状のシールド層20Fを備えたパワーモジュール100の模式的鳥瞰構成は、図24−図28と同様に表される。
パワーモジュール100は、半導体デバイス40(401・402)を搭載した絶縁基板80を封止する第1樹脂層15と第1樹脂層15に対向して配置されるシールド層20Fと、第1樹脂層15とシールド層20Fとを封止する第2樹脂層18とを備える。
なお、図2中に参照符号16で示す部分は、第1樹脂層15とシールド層20Fとの間の空隙である。この空隙部分16には、第2樹脂層18が充填されても良いし、第2樹脂層18が無い隙間であっても良い。また、第1樹脂層15とシールド層20Fは、隙間なく密着していても良い。また、シールド層20Fの一部は、第2樹脂層18から露出していても良い。
パワーモジュール100は、絶縁基板80上に搭載された半導体デバイス40に接続される主電源端子P・Nと出力端子Oとを備え、第1樹脂層15は、絶縁基板80、半導体デバイス40、主電源端子P・N、および出力端子Oを封止し、シールド層20Fは、半導体デバイス40と対向する平面を覆う位置に配置され、第2樹脂層18は、第1樹脂層15とシールド層20Fとを一体化し、主電源端子P・Nと出力端子Oを外部に導出させて封止する。
なお、図2において、半導体デバイス40と絶縁基板80の構成は簡略に表記している。図2に表記するP・Nは、半導体デバイス回路に電源を供給する主電源端子である。また、Oは半導体デバイス回路の出力端子である。第1樹脂層15は、以降において、モジュール部15と表記する場合もある。
なお、シールド層20Fの形状は、平板に限られない。図2(b)に示すように、シールド層20Bは、第2導電層18と対向する平面20BMと平面20BMの各辺から第1樹脂層15を囲む周囲に配置するようにしても良い。シールド層20Bによれば、モジュール部15の端部から放射される電磁波雑音も遮蔽することができる。シールド層20Bは、主電源端子P・Nを除く出力端子Oを含む他の端子と電気的に絶縁されている。なお、図2(b)に示す例では、シールド層20Bは主電源端子P・Nのどちらにも接続していない。以降において、特に必要な場合を除いてシールド層の参照符号は20とする。
また、第1樹脂層15とシールド層20と第2樹脂層18の断面を示す模式的断面構造図の一例は図3(a)に示すように表される。第1樹脂層15にシールド層20が接し、シールド層20と第2樹脂層18が接する。なお、図2(c)に示すように第1樹脂層15とシールド層20との間に、空隙16が有っても良い。また、空隙16は、シールド層20と第2樹脂層18との間に有っても構わない。
また、第1樹脂層15と第3樹脂層19とシールド層20と第2樹脂層18の断面を示す模式的断面構造図の一例は図3(b)に示すように表される。第1樹脂層15に第3樹脂層19が接し、第3樹脂層19にシールド層20が接し、シールド層20に第2樹脂層18が接する。第1〜第3樹脂層15・18・19の組成はそれぞれ異なっていても良い。各樹脂層の組成について、詳しくは後述する。
シールド層20は、導電性材料を備える。導電性材料としては、例えばAg、W、Mo、などの金属粒子を含んだ導電性を有する樹脂を用いても良い。また例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、銀、金、などの金属材料を用いるもできる。このように各種の導電性材料を用いることができる。
シールド層20に金属材料を適用した場合は、シールド層20が薄くても十分な電磁遮蔽(シールド)効果を得ることができる。例えば、10μm程度の薄い銅板であっても実用的なシールド効果がある。
シールド層20は、他の電極(G1・SS1・G4・SS4・P・N・O)と電気的に絶縁されている。電気的に絶縁されていても、半導体デバイス40がスイッチングした際に生じる電磁波雑音を、シールド層20で反射、及び減衰させることができる。なお、シールド層20は、接地電位に接続される主電源端子P・Nのどちらか一方に接続するようにしても良い。
また、第2樹脂層18と対向するゲートドライバ基板22を備え、ゲートドライバ基板22は、半導体デバイス40を駆動するドライバ回路を搭載する。なお、ドライバ回路の図示は省略している。
図2において、第1樹脂層15からゲートドライバ基板22の方向を、例えば上方向と定義すると、ドライバ回路は、ゲートドライバ基板22上に配置しても良い。
このようにドライバ回路を配置すると、ドライバ回路が半導体デバイス40と直接対向しないので、ドライバ回路の耐雑音性能を高めることができる。なお、ドライバ回路は、ゲートドライバ基板22下に配置しても構わない。
ゲートドライバ基板22としては、例えばAMB(Active Metal Brazed,Active Metal Bond)基板、DBC(Direct Bonding Copper)基板、DBA(Direct Brazed Alumnium)基板などが適用可能である。なお、ゲートドライバ基板22の第2樹脂層18と対向する表面に導電層を配置することで、更にドライバ回路の耐雑音性能を向上させることができる。
図2において、ゲートドライバ基板22下に配置された導電層の表記は省略する。この導電層は、シールド層20と同様に、半導体デバイス40がスイッチングした際に生じる電磁波雑音を遮蔽する。
また、第2樹脂層18は、導電性樹脂を備えていても良い。第2樹脂層18に導電性を持たせることで、第2樹脂層18においても電磁波雑音を、反射、及び減衰させることが可能である。第2樹脂層18を導電性樹脂で構成することで、シールド層20の作用と相まって、モジュール部15から放射される電磁波雑音を更に減衰させることができる。
以上説明した実施の形態に係る構成によって、パワーモジュールの部品点数を削減することができ、その組み立て工数も削減できる。また、小型で電磁遮蔽可能なパワーモジュールを提供することができる。
なお、パワーモジュールは、樹脂層や絶縁基板等の熱膨張率の異なるもの同士が密着して構成される。第1樹脂層15及び第2樹脂層18は、例えば約200℃といった高温で成型されるため、成型後に常温に戻った際に、熱膨張率の差によってパワーモジュールに反りが生じる。
パワーモジュールは、冷却器と接合して使用する場合があるが、この反りを吸収するために、十分な厚さの冷却器接着層が必要になる。この冷却器接着層が、冷却器を含むパワーモジュールの厚みを厚くしてしまう。冷却器接着層を薄くするためには、反り量を減らす必要がある。本実施の形態では、第1樹脂層15と第2樹脂層18を用いるため、両者の組成を工夫することで、反りを減少させることが可能である。次に、反り量を減少させるように構成した第2の実施の形態について説明する。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態に係るパワーモジュール200の主要部の断面を示す模式的断面構造部は、図4に示すように表される。
パワーモジュール200は、パワーモジュール100と、冷却器接着層26を介してパワーモジュール100の下面に接着された冷却器105とを備える。図4に例示する冷却器105は、1つ以上の空洞部115を備える水冷式の冷却手段である。
パワーモジュール100は、絶縁基板80と、絶縁基板80上に配置されたシリコンカーバイトデバイスやワイドバンドギャップ型のデバイス等からなるパワー回路用の複数の半導体デバイス(半導体チップ)40(401・402・403)と、各半導体チップ40および絶縁基板80上に配置され、各半導体チップ40を覆うように形成される第1樹脂層15(例えば汎用樹脂)と、第1樹脂層15の上に配置されるシールド層20と、シールド層20上に配置され、第1樹脂層15の熱膨張率(CTE)よりも小さい熱膨張率(CTE)を有するとともに、第1樹脂層15の弾性率よりも大きい弾性率を有する第2樹脂層18(例えば多フィラー樹脂)とを備え、第2樹脂層18は、第1樹脂層15の少なくとも上面を覆うように形成される。
絶縁基板80は、例えば、セラミックスの基板と、当該基板の上下に配置された銅箔を備えてもよい。
また、第1樹脂層15および第2樹脂層18は、ハードレジンである。
また、第1樹脂層15の熱膨張率と第2樹脂層18の熱膨張率は、それぞれ絶縁基板80(或いは銅箔)の熱膨張率よりも大きくなされていても良い。
また、半導体チップ40は、単一のチップでもよいし、図4に例示するように複数個の半導体チップ401・402・403でもよい。
このような、第1樹脂層15と第2樹脂層18とを組み合わせた二重モールド構造を用いることで、単一モールド構造を有するパワーモジュールにおける反り量に比べて、実施の形態に係るパワーモジュール200の反り量(図4の例では、反り量W1)を大幅に低減することができる(詳細は後述する)。
また、第1樹脂層15と第2樹脂層18とを組み合わせた二重モールド構造を用いることで、モールド成型の温度を(例えば、約200℃から約180℃に)低減することができ、信頼性の向上や高効率化を図ることができる。
(二重モールド構造)
実施の形態に係るパワーモジュール200に適用する封止樹脂として、図5に示すような第2樹脂層18(熱膨張率が比較的低く、反り量が比較的小さい多フィラー樹脂)と、第1樹脂層15(密着力が比較的高い汎用樹脂)とを用いる。
なお、図5、図7、及び図9では、第2樹脂層18よりも変形し易い(弾性率の大きい)シールド層20の表記は省略する。
半導体チップ40を封止する樹脂の主材料は、エポキシ樹脂と反応に必要な硬化剤であるが、それ以外に主材料の半分以上をSiO2のフィラー13が占めている。フィラー13は、樹脂の熱膨張率(CTE)よりも小さい熱膨張率(CTE)を有するため、このようなフィラー13を樹脂に含有させることで、樹脂の実効熱膨張率を下げることができる。
例えば、第1樹脂層15と第2樹脂層18に含まれるフィラー13は、50容量パーセント濃度(vol%)以上のフィラー13を用いても良い。
より具体的には、図6に例示するように、密着力の高い第1樹脂層15(汎用樹脂)を基板80側に成型し、反りを抑制する効果のある第2樹脂層18(多フィラー樹脂)を第1樹脂層15の上面に付加することで、反り量と密着度のトレードオフを解消する。
図7は、樹脂の厚みと反り量との関係(樹脂をどの程度の厚みにすれば、反りが抑制できるのか)を検証するためのシミュレーションに用いた二重モールド構造の例を模式的示す。シミュレーションに用いた二重モールド構造は、図7に例示するように、セラミックス基板80(CTE=3)の上に汎用樹脂を用いた第1樹脂層15(CTE=16)を形成し、第1樹脂層15の上面に多フィラー樹脂を用いた第2樹脂層18(CTE=9)を形成した二重モールド構造である。この例では、第1樹脂層15の厚さは、第2樹脂層18の厚さよりも薄く形成されていても良い。
図8は、樹脂の厚みと反り量との関係を検証するためのシミュレーションの結果を模式的に示す。このシミュレーションにおいては、例えば、約50mm×約40mmの大きさの基板上に全樹脂厚t0=7.6mmに対し第1樹脂層15の厚みt(mm)を横軸とし、反り量を縦軸としている。図8において、t=0mm(符号18)は、多フィラー樹脂(第2樹脂層18)による単一モールド構造でのシミュレーション結果に対応し、t=7.6mm(第1樹脂層15)は、汎用樹脂(第1樹脂層15)による単一モールド構造でのシミュレーション結果に対応する。
図8において、反り量をプロットした結果、二重モールド構造の反り量は、第1樹脂層15の厚みtが1〜3mmの範囲において極小値が得られ、これは、多フィラー樹脂(第2樹脂層18)による単一モールド構造でのシミュレーション結果の反り量(単一モールド構造での最小値)よりも優れた値(反りがさらに抑制された値)になっている。
単一モールド構造の場合は、第1樹脂層15と第2樹脂層18のそれぞれの熱膨張率と基板80の熱膨張率の差によって、反り量が決まる。この場合、第1樹脂層15と第2樹脂層18のそれぞれの熱膨張率(CTE=9、CTE=16)の方が基板80(CTE=3)の熱膨張率よりも大きいので、必ず下方向に反ることになる。
一方で、二重モールド構造の場合、図9に例示するように、基板80と第1樹脂層15との間の境界(下境界)と、第1樹脂層15と第2樹脂層18との間の境界(上境界)の2つの境界がある。ここで、下境界と上境界においてそれぞれ反りが発生すると考えると、図9(a)に例示するように、基板80(CTE=3)と第1樹脂層15(CTE=16)との間の下境界では下反りが生じ、図9(b)に例示するように、第1樹脂層15(CTE=16)と第2樹脂層18(CTE=9)との間の上境界では、CTE値の関係が下境界とは逆転しており、上反りが生じる。
このように、上境界における上反りの効果が高まることにより、下境界における下反りを抑制できる(図9(c))。
上境界における上反りの効果を高めるためには、(1)式に例示するように曲げ剛性を考慮する必要がある(互いの曲げ剛性のバランスで反り量が決まる(反りを0にすることも可能))。
剛性kB=EI/L、Ix=∫Ay2dA=at3/12 (1)
ここで、Eはヤング率、Lは長さ、aは幅、Iは断面二次モーメント、Aは断面積である(図10参照)。特に、剛性kBは、厚みtの3乗に比例するため、厚みtのバランスが調整することで、単一モールド構造よりもさらに反り量を低減させることができる。
(二重モールド構造の製造方法)
実施の形態に係るパワーモジュール200に適用する二重モールド構造の製造方法の一
例は、図11・図12に示すように表される。なお、二重モールド構造の製造方法は、後述するパワーモジュールの製造方法と同じである。
二重モールド構造の製造方法は、金型350内に半導体デバイスが表面に搭載された基板80を設置するステップと、金型350内に入れ子310を挿入するステップと、入れ子310を挿入した状態の金型350に対して第1の樹脂を投入して、基板80の表面を覆うように第1樹脂層15を形成するステップと、金型350から入れ子310を取り除くステップと、第1樹脂層15の上にシールド層20を形成するステップと、第1樹脂層15とシールド層20を入れ子が取り除かれた金型に設置するステップと、入れ子310が取り除かれた金型350に対して第2の樹脂を投入して、第1樹脂層15の少なくとも上面を覆うように第1樹脂層15の上に第2樹脂層18を形成するステップと、金型350を取り外すステップとを有し、第2樹脂層18は、第1樹脂層15の熱膨張率よりも小さい熱膨張率を有するとともに、第1樹脂層15の弾性率よりも大きい弾性率を有する。
まず、図11(a)に例示するように、金型の厚さを可変できる入れ子金型350を用意し、金型350内に基板80を設置する。
次に、入れ子310を挿入した状態の金型350(小金型)に対して(図11(b))、汎用樹脂を投入して第1樹脂層15(例えば樹脂厚2.5mm)を成型する(図11(c))。第1樹脂層15は、例えばトランスファーモールドで成型される。
次に、第1樹脂層15の上にシールド層20を配置する(図12(a)。そして、入れ子310を抜いた状態の金型350(大金型)に対して、多フィラー樹脂を投入して第2の樹脂層18(例えば樹脂厚7.6mm)を成型する(図12(b))。
次に、金型350を取り外すと、第1樹脂層15と第2樹脂層18との間にシールド層20が配置された二重モールド構造が得られる(図12(c))。
なお、冷却器105を備えるパワーモジュールの製造方法は、基板80の下面に冷却器接着層26を介して冷却器105を接着するステップを更に有していても良い。冷却器105を備えるパワーモジュールの構成について、詳しくは後述する。
(樹脂層の厚みと反り量との関係の検証)
図13は、先に図8に示したシミュレーション結果(折線)の模式的グラフ上に、この実測試験による反り量の実測値M1〜M4をプロットした図である。実測値M1は、多フィラー樹脂を用いた第2樹脂層18の単一モールド構造による反り量の実測値であり、実測値M2は、汎用樹脂を用いた第1樹脂層15の単一モールド構造による反り量の実測値であり、実測値M3は、第1樹脂層15と第2樹脂層18との二重モールド構造による反り量の実測値である。
シミュレーションした単一モールド構造は、約40mm×約30mmの大きさのセラミック基板80上に汎用樹脂を用いた第1樹脂層15を厚みt=7.6mmで形成している。また、二重モールド構造は、セラミック基板80上に汎用樹脂を用いた第1樹脂層15厚みt=2.5mmで形成し、さらに第1樹脂層15の上面に多フィラー樹脂を用いた第2樹脂層18を形成している。
それぞれの実測値M1、M2、M3は、図8に示したシミュレーション結果(折線)のデータと略一致している。尚、第2樹脂層18の単一モールド構造による実測試験の結果、第2樹脂層18と基板80との密着性が弱いことがわかった。
また、図14は、樹脂厚みと反り量との関係を検証するための別のシミュレーションに用いたモールド構造であって、図14(a)単一モールド構造(多フィラー樹脂)の例を模式的に示し、図14(b)は、単一モールド構造(汎用樹脂)の例を模式的示し、図14(c)は、二重モールド構造(第1樹脂層15+第2樹脂層18)の例を模式的示している。また、図15は、図14に示した各モールド構造を用いたシミュレーションの結果を模式示す。
このシミュレーションにおいては、全樹脂厚t0=7mmに対し第1樹脂層15の厚みt(mm)を横軸とし、反り量を縦軸としている。図15において、ポイントS1(t=0)は、多フィラー樹脂(第2樹脂層18)の単一モールド構造でのシミュレーション結果に対応し、ポイントS2(t=7)は、汎用樹脂(第1樹脂層15)による単一モールド構造でのシミュレーション結果に対応し、ポイントS3は、二重モールド構造(第1樹脂層15+第2樹脂層18)によるシミュレーション結果に対応する。図15から明らかなように、二重モールド構造の反り量は、第1樹脂層15の厚みtが2.5mm付近において極小値(約37μm)が得られ、これも、多フィラー樹脂(第2樹脂層18)の単一モールド構造での反り量(約42μm:単一モールド構造での最小値)よりも優れた値になっている。汎用樹脂(第1樹脂層15)による単一モールド構造での反り量は、約121μmであった。
(反りの温度特性)
図16は、図13に示した実測試験にそれぞれ用いた単一モールド構造と二重モールド構造のそれぞれの反りと温度との関係を例示する模式的グラフである。図16において、ポイントM13は、樹脂モールドの成型温度(175℃:反り量=0μm)であり、ポイントM11は、単一モールド構造を用いた場合の反り量(約56μm)であり、ポイントM12は、二重モールド構造を用いた場合の反り量(約12μm)である。
図16から明らかなように、反りは、温度によって変化し、単一モールド構造を用いた場合の反り量は、成型温度(175℃)ではゼロであり、常温で約56μmとなる。一般的なパワーモジュール等の場合、信頼性の面から−50℃程度までの動作補償が求められており、単一モールド構造を用いた場合の反りは、−50℃では常温のときの約2倍の100μm程度も反ることになる。そうすると、1.5倍程度の設計マージンを考慮すると、単一モールド構造を用いた場合の冷却器接着層26の厚みは、150μm程度の反りを吸収するために、150μm程度必要になる。
その一方で、二重モールド構造を用いた場合の反り量は、常温で約12μmであり、−50℃においても約20μm程度であると考えられる。したがって、1.5倍程度の設計マージンを考慮しても、二重モールド構造を用いた場合の冷却器接着層26の厚みは、50μm弱の反りを吸収できる、約50μm程度に設定される。
(パワーモジュールの構成例)
実施の形態に係るパワーモジュール200の構成例(その1)は、図17(a)に例示するように、セラミックス基板80と、セラミックス基板80上に配置された単一の半導体チップ40と、半導体チップ40およびセラミックス基板80上に配置され、半導体チップ40を覆うように形成される第1樹脂層15(例えば汎用樹脂)と、第1樹脂層15上に配置されるシールド層20、第1樹脂層15の熱膨張率(CTE)よりも小さい熱膨張率(CTE)を有するとともに、第1樹脂層15の弾性率よりも大きい弾性率を有する第2樹脂層18(例えば多フィラー樹脂)とを備え、第2樹脂層18は、第1樹脂層15の少なくとも上面を覆うように形成される。
実施の形態に係るパワーモジュール200の構成例(その2)では、図17(b)に例示するように、図17(a)の構成例(その1)に比べて、第1樹脂層15の厚みを薄く形成している。図17(b)の例では、第1樹脂層15の厚みは、半導体チップ40の高さよりも少し高く設定されている。また、第1樹脂層15の厚みを薄くした分、第2樹脂層18の厚みを増加させて、二重モールド構造全体の厚みを、構成例(その1)のものと同程度に形成している。
実施の形態に係るパワーモジュール200の構成例(その3)では、図17(c)に例示するように、第1樹脂層15とシールド層20との間に第3樹脂層17aを挿入している。第3樹脂層17aの熱膨張率は、第1樹脂層15の熱膨張率よりも小さく、かつ第2樹脂層18の熱膨張率よりも大きくなされていても良い。また、第3樹脂層17aの弾性率は、第1樹脂層15の弾性率よりも大きく、かつ第2樹脂層18の弾性率よりも小さくなされていても良い。
実施の形態に係るパワーモジュール200の構成例(その4)では、図17(d)に例示するように、第1樹脂層15とシールド層20との間に第4樹脂層17bを挿入している。第4樹脂層17bは、比較的高い熱膨張率を有する樹脂(例えば第1樹脂層15に用いられる樹脂)と比較的低い熱膨張率を有する樹脂(例えば第2樹脂層18に用いられる樹脂)とが混合された樹脂を含有する。第4樹脂層17bの熱膨張率は、第1樹脂層15の熱膨張率よりも小さく、かつ第2樹脂層18の熱膨張率よりも大きい。また、第4樹脂層17bの弾性率は、第1樹脂層15の弾性率よりも大きく、かつ第2樹脂層18の弾性率よりも小さい。
尚、実施の形態に係るパワーモジュール200の構成例(その1〜その4)においては、単一の半導体チップ40を搭載する例を示したが、搭載する半導体チップ40の数はこれに限定されず、必要に応じて、2以上の半導体チップ40を搭載しても良い。
また、シールド層20は、図2(c)に示した形状のシールド層20Bであっても良い。シールド層20Bを用いたパワーモジュール200の構成例(その1〜その4)を図18(a)−図18(d)に例示する。図18(a)−図18(d)に示す構成は、シールド層20Bである以外は、図17(a)−図17(d)と同じである。
また、パワーモジュール200を複数備えるパワーモジュール300の構成も考えられる。パワーモジュール300の構成例を示す模式的断面構造図は、図19に示すように表される。
パワーモジュール300は、セラミックス基板80と、セラミックス基板80上に配置された少なくとも1つの半導体チップ40(401、402、403、…、40n)と、各半導体チップ40およびセラミックス基板80上に配置され、各半導体チップ40を覆うように形成される第1樹脂層15(例えば汎用樹脂)と、第1樹脂層15上に配置されるシールド層20と、シールド層20上に配置され、第1樹脂層15の熱膨張率(CTE)よりも小さい熱膨張率(CTE)を有するとともに、第1樹脂層15の弾性率よりも大きい弾性率を有する第2樹脂層18(例えば多フィラー樹脂)とを備え、第2樹脂層18は、第1樹脂層15の少なくとも上面を覆うように形成されるパワーモジュール200を複数個(図19(a)の例ではn個)備える。各パワーモジュール200は、図示しないケース等に一体的に収容される。
図19(a)に示すパワーモジュール300の例では、単一の半導体チップ40を備えるパワーモジュール2001と、3つの半導体チップ401、402、403を備えるパワーモジュール2002と、n個の半導体チップ401、402、403、…、40nを備えるパワーモジュール2003とが備えられる。ただし、各パワーモジュール200が搭載する半導体チップ40の数は、図19(a)の例に限定されず、それぞれのパワーモジュール200が、それぞれ必要に応じた数の半導体チップ40を搭載しても良い。
実施の形態に係るパワーモジュール300の構成例(その2)では、図19(b)に例示するように、図19(a)の構成例(その1)に比べて、各パワーモジュール200の第1樹脂層15の厚みを薄く形成している。図19(b)の例では、第1樹脂層15の厚みは、半導体チップ40の高さよりも少し高く設定されている。また、第1樹脂層15の厚みを薄くした分、第2樹脂層18の厚みを増加させて、二重モールド構造全体の厚みを、図19(a)の構成例(その1)のものと同程度に形成している。
尚、図19(b)に示すパワーモジュール300の例では、各パワーモジュール200の第1樹脂層15の厚みおよび第2樹脂層18の厚みをそれぞれ一律にしているが、必要に応じて、各パワーモジュール200毎に厚みを変更しても良い。
実施の形態に係るパワーモジュール300の構成例(その3)では、図19(c)に例示するように、各パワーモジュール200の第1樹脂層15とシールド層20との間に第3樹脂層17aを挿入している。第3樹脂層17aの熱膨張率は、第1樹脂層15の熱膨張率よりも小さく、かつ第2樹脂層18の熱膨張率よりも大きくなされていても良く、第3樹脂層17aの弾性率は、第1樹脂層15の弾性率よりも大きくなされていても良く、かつ第2樹脂層18の弾性率よりも小さくなされていても良い。
尚、図19(c)に示すパワーモジュール300の例では、各パワーモジュール200の第1樹脂層15の厚み、第2樹脂層18の厚み、第3樹脂層17aの厚みをそれぞれ一律にしているが、必要に応じて、各パワーモジュール200毎に厚みを変更しても良い。また、各層の熱膨張率や弾性率も、必要に応じて、各パワーモジュール200毎に変更しても良い。また、第3樹脂層17aを含まないパワーモジュール200がパワーモジュール300内に備えられても良い。また、第2樹脂層18と第3樹脂層17aの一方又は双方は、導電性樹脂を備えていても良い。
実施の形態に係るパワーモジュール300の構成例(その4)では、図19(d)に例示するように、各パワーモジュール200の第1樹脂層15とシールド層20との間に第4樹脂層17bを備える。第4樹脂層17bは、比較的高い熱膨張率を有する樹脂(例えば第1樹脂層15に用いられる樹脂)と比較的低い熱膨張率を有する樹脂(例えば第2樹脂層18に用いられる樹脂)とが混合された樹脂を含有していても良い。第4樹脂層17bの熱膨張率は、第1樹脂層15の熱膨張率よりも小さくなされていても良く、かつ第2樹脂層18の熱膨張率よりも大きくなされていても良く、第4樹脂層17bの弾性率は、第1樹脂層15の弾性率よりも大きくなされていても良く、かつ第2樹脂層18の弾性率よりも小さくなされていても良い。
尚、図19(d)に示すパワーモジュール300の例では、各パワーモジュール200の第1樹脂層15の厚み、第2樹脂層18の厚み、第4樹脂層17bの厚みをそれぞれ一律にしているが、必要に応じて、各パワーモジュール200毎に厚みを変更しても良い。また、各層の熱膨張率や弾性率も、必要に応じて、パワーモジュール200毎に変更しても良い。また、第4樹脂層17bを含まないパワーモジュール200がパワーモジュール300内に備えられても良い。また、第2樹脂層18と第4樹脂層17bの一方又は双方は、導電性樹脂を備えていても良い。
(冷却器を備えるパワーモジュールの構成例)
冷却器105を備えた実施の形態に係るパワーモジュール300の構成例(その1)は、図20に例示するように、パワーモジュール200と、冷却器接着層26を介してパワーモジュール200の下面に接着された冷却器105とを備える。冷却器は、水冷式又は空冷式のいずれも適用可能である。
図20に例示する冷却器105は、1つ以上の空洞部115を備える水冷式の冷却手段である。また、パワーモジュール200の構成は、図17(a)に示したパワーモジュール200の構成例(その1)と同様であるので、詳細な説明は省く。
尚、実施の形態に係るパワーモジュール300の構成例(その1)においては、図17(b)−図17(d)に示したパワーモジュール200と同様の構成を有するパワーモジュール200を備えても良い。
冷却器105を備えた実施の形態に係るパワーモジュール300の構成例(その2)は、図21に例示するように、複数のパワーモジュール200と、冷却器接着層26を介して複数のパワーモジュール200の下面に接着された冷却器105とを備える。図21に例示する冷却器105は、図20に示した冷却器105と同様であり、複数のパワーモジュール200の構成は、図19(a)に示したパワーモジュール300の構成例(その1)に備えられる複数のパワーモジュール200と同様であるので、詳細な説明は省く。
尚、パワーモジュール300の構成例(その2)においても、図19(b)−図19(d)に示した各パワーモジュール300が備える複数のパワーモジュール200と同様の構成を有するパワーモジュール200群を備えても良い。
冷却器105を備えた実施の形態に係るパワーモジュール300の構成例(その3)は、図22に例示するように、パワーモジュール200と、冷却器接着層26を介してパワーモジュール200の下面に接着された冷却器106とを備える。図22に例示する冷却器106は、1つ以上の冷却フィンを備える空冷式の冷却手段である。また、パワーモジュール200の構成は、図17(a)に示したパワーモジュール200の構成例(その1)と同様であるので、詳細な説明は省く。
尚、パワーモジュール300の構成例(その3)においても、図17(b)−図17(d)に示したパワーモジュール200と同様の構成を有するパワーモジュール200を備えても良い。
冷却器105を備えた実施の形態に係るパワーモジュール300の構成例(その4)は、図23に例示するように、複数のパワーモジュール200と、冷却器接着層26を介して複数のパワーモジュール200の下面に接着された冷却器106とを備える。図23に例示する冷却器106は、図22に示した冷却器106と同様であり、複数のパワーモジュール200の構成は、図19(a)に示したパワーモジュール300の構成例(その1)に備えられる複数のパワーモジュール200と同様である。
尚、パワーモジュール300の構成例(その4)においても、図19(b)−図19(d)に示した各パワーモジュール300が備える複数のパワーモジュール200と同様の構成を有するパワーモジュール200群を備えていても良い。
(パワーモジュールの製造方法)
パワーモジュール300の製造方法について説明する。なお、パワーモジュール300の製造方法は、二重モールド構造の製造方法と同じであり、必要に応じて図11・図12も参照する。
パワーモジュール300の実装後の絶縁基板80の模式的鳥瞰構成図は、図24に示すように表される。また、実装後の絶縁基板80を第1樹脂層15で封止した状態を示す模式的鳥瞰構成図は、図25に示すように表される。また、シールド層20Bの模式的鳥瞰構成図は、図26に示すように表される。第1樹脂層15上にシールド層20Bを配置した状態を示す模式的鳥瞰構成図は、図27に示すように表される。第1樹脂層15とシールド層20を第2樹脂層18で封止した状態を示す模式的鳥瞰構成図は、図28に示すように表される。
図24に示す絶縁基板80は、半導体デバイスQ1とQ4のそれぞれを、半導体チップ40を2個(4011・4012,4041・4042)用いて構成した例を示す。半導体チップ4011・4012の配列方向と直交する方向に導出される端子SS1・G1・T11・T21・T42・T41・G4・SS4は、半導体デバイスQ1・Q4の制御端子である。なお、端子T11・T21・T42・T41は、温度センサ用の端子である。各制御端子についての説明は省く。
図24に示す実装後の絶縁基板80を、金型内に設置する(図11(a)参照)。金型内に入れ子を挿入した状態の金型に対して第1の樹脂を投入して、絶縁基板80の表面を覆うように第1樹脂層15を、例えばトランスファーモールドで形成する(図11(c)参照)。
第1樹脂層15を形成した状態を図25に示す。各制御端子SS1〜SS4、主電源端子P・N、及び出力端子Oの絶縁基板80と反対側の端部を除いて絶縁基板80は、第1樹脂層15で覆われる。
次に、金型から入れ子を取り除き、第1樹脂層15の上にシールド層20を形成する。シールド層20の形成は、例えば図26に例示するシールド層20Bを用意し、第1樹脂層15上に、シールド層20Bをはめ込んで形成しても良い。
シールド層20Bは、第1樹脂層15と対向する平面20BMと当該平面20BMの各辺から第1樹脂層15の周囲を囲む形状である。主電源端子P・Nと制御端子SS1〜SS4と、干渉する部分のシールド層20の周囲部分は、干渉しないように切り欠き部AP・AN・AGSが形成されている。
図27に、第1樹脂層15上にシールド層20Bを、完全にはめ込む前の状態を示す。第1樹脂層15上にシールド層20Bを完全にはめ込んだ状態は、例えばシールド層20Bの周辺の先端部は、第1樹脂層15の底面15Tと同じ高さである。
次に、第1樹脂層15とシールド層20Bとを、入れ子が取り除かれた金型に設置する。そして、入れ子が取り除かれた金型に第2の樹脂を投入して、第1樹脂層15の少なくとも上面を覆うように第1樹脂層15の上に第2樹脂層18を形成する(図12(b)参照)。
図28に、第1樹脂層15の上面を、覆うように封止した第2樹脂層18を示す。第2樹脂層18は、例えばトランスファーモールドで形成する。ここで、第2樹脂層18の代わりに第1樹脂層15を再び投入すれば、単一モールド構造のパワーモジュールを得ることができる。
なお、シールド層20Bは、例えば図29にシールド層20Hの模式的鳥瞰構成図を示すように封止樹脂が通れる穴AHを備えたシールド層20Hを用いても良い。シールド層20Hは、シールド層20Bの平面20BMに複数の穴AHを空けたものである。穴AHが有ることで、シールド層20Hと第1樹脂層15との間に、第2の樹脂が入り易くなる。
以上説明したように実施の形態に係るパワーモジュールの製造方法は、第1の樹脂による1次モールドの後、シールド層20Bをかぶせ、さらに2第2の樹脂による2次モールドを行う。1次モールドと2次モールドによって、第1樹脂層15と第2樹脂層18の組成を任意に設計することが可能である。
例えば、第2樹脂層18は、第1樹脂層15の熱膨張率よりも小さい熱膨張率を有するとともに、第1樹脂層15の弾性率よりも大きい弾性率を有するようにすることもできる。
(パワーモジュールおよび半導体チップの詳細構成例)
実施の形態に係るパワーモジュール200であって、ツーインワンモジュール(2 in 1 Module:ハーフブリッジ内蔵モジュール)において、第2樹脂層18を形成前の模式的平面パターン構成は図30に示すように表され、第2樹脂層18を形成後の模式的鳥瞰構成は図32に示すように表される。また、実施の形態に係るパワーモジュールであって、半導体デバイス(チップ)としてSiC MOSFETを適用した図30(図32)に対応したツーインワンモジュール(ハーフブリッジ内蔵モジュール)の回路構成は、図31に示すように表される。
実施の形態に係るパワーモジュール200は、2個のMOSFETQ1・Q4が1つのモジュールに内蔵されたハーフブリッジ内蔵モジュールの構成を備える。
図30においては、MOSFETQ1・Q4は、それぞれ4チップ並列に配置されている例が示されている。
実施の形態に係るパワーモジュール200は、図32に示すように、第2樹脂層18に被覆されたセラミックス基板8の第1の辺に配置された正側電力端子Pおよび負側電力端子Nと、第1の辺に隣接する第2の辺に配置されたゲート端子GT1・ソースセンス端子SST1と、第1の辺に対向する第3の辺に配置された出力端子Oと、第2の辺に対向する第4の辺に配置されたゲート端子GT4・ソースセンス端子SST4とを備える。ここで、図30に示すように、ゲート端子GT1・ソースセンス端子SST1は、MOSFETQ1のゲート用信号配線パターンGL1・ソース用信号配線パターンSL1に接続され、ゲート端子GT4・ソースセンス端子SST4は、MOSFETQ4のゲート用信号配線パターンGL4・ソース用信号配線パターンSL4に接続される。
図30に示すように、MOSFETQ1・Q4から信号基板241・244上に配置されたゲート用信号配線パターンGL1・GL4およびソースセンス用信号配線パターンSL1・SL4に向けてゲート用ワイヤGW1・GW4およびソースセンス用ワイヤSSW1・SSW4が接続される。また、ゲート用信号配線パターンGL1・GL4およびソースセンス用信号配線パターンSL1・SL4には、外部取り出し用のゲート端子GT1・GT4およびSST1・SST4が半田付けなどによって接続される。
図30に示す信号基板241・244は、セラミックス基板8上に、半田付けなどによって接続される。
また、実施の形態に係るパワーモジュール200であって、ハーフブリッジ内蔵モジュールにおいて、上面板電極221・224を形成後で第2樹脂層18を形成前の模式的鳥瞰構成は、図33に示すように表される。4チップ並列に配置されたMOSFETQ1・Q4のソースS1・S4は、上面板電極221・224によって共通に接続される。尚、図33においては、ゲート用ワイヤGW1・GW4およびソースセンス用ワイヤSSW1・SSW4は図示を省略している。
また、図30−図33においては、図示は省略されているが、MOSFETQ1・Q4のD1・S1間およびD4・S4間に図34−図36に示すような逆並列にダイオードが接続されていても良い。
図30−図33に示された例では、4チップ並列に配置されたMOSFETQ1・Q4のソースS1・S4は、上面板電極221・224によって共通に接続されているが、上面板電極221・224の代わりにソース同士がワイヤで導通されていても良い。
正側電力端子P・負側電力端子N、外部取り出し用のゲート端子GT1・GT4およびSST1・SST4は、例えば、Cuで形成可能である。
信号基板241・244は、セラミックス基板で形成可能である。セラミックス基板は、例えば、Al2O3、AlN、SiN、AlSiC、若しくは少なくとも表面が絶縁性のSiCなどで形成されていても良い。
主配線導体(電極パターン)321・324・22nは、例えば、Cu、Alなどで形成可能である。
MOSFETQ1・Q4のソースS1・S4と上面板電極221・224を接続する柱状電極251・254(図33参照)および上面板電極221・224部分は、例えば、Cu、CuMoなどで形成されていても良い。CTEの値が同等である同じ大きさの材料を比較すると、発生応力は、ヤング率の値が大きい材料の方が大きくなる。このため、ヤング率×CTEの数値が、より小さい材料を選定することによって、発生応力の値の小さな部材を達成することができる。CuMoは、このような利点を有している。また、CuMoは、Cuには劣るが、電気抵抗率も相対的に低い。また、上面板電極221・224間の表面に沿った離隔距離は、沿面距離と呼ばれる。沿面距離の値は、例えば、約2mmである。
ゲート用ワイヤGW1・GW4およびソースセンス用ワイヤSSW1・SSW4は、例えば、Al、AlCu、若しくはCuなどで形成可能である。
MOSFETQ1・Q4としては、図37−図41の説明において後述するようなSiC DIMOSFET、SiC TMOSFETなどのSiC系パワーデバイス、或いはGaN系高電子移動度トランジスタ(HEMT: High Electron Mobility Transistor)などのGaN系パワーデバイスを適用可能である。また、場合によっては、Si系MOSFETやIGBTなどのパワーデバイスも適用可能である。
実施の形態に係るパワーモジュール200においては、4チップ構成のMOSFETQ1は、主配線導体(電極パターン)321上に半田層などを介して配置された第1器部材101内の主配線導体(電極パターン)321上にチップ下接合層(半田層)を介して配置されている。さらに、第1器部材101内には、第1樹脂層151が充填され、4チップ構成のMOSFETQ1を樹脂封止している。同様に、4チップ構成のMOSFETQ4は、主配線導体(電極パターン)324上に半田層などを介して配置された第2器部材104内の主配線導体(電極パターン)324上にチップ下接合層(半田層)を介して配置されている。さらに、第2器部材104内には、第1樹脂層154が充填され、4チップ構成のMOSFETQ4を樹脂封止している。第1樹脂層151と第1樹脂層154は同一材料で形成される。
第1樹脂層151と第1樹脂層154の上に、シールド層20が配置される。この例のシールド層20の平面形状は、ほぼセラミック基板8の平面形状に等しい。シールド層20は、例えばCu、Alなどで形成可能である。この例のシールド層20は板状である。
パワーモジュール200は、複数のチップからなる半導体デバイスと、複数の半導体デバイスの同一種別の主電極に接続される主配線導体321・324を備え、シールド層20の平面形状は、主配線導体321・324の平面形状より大きく、かつシールド層20は、主配線導体321・324に平面視で重なるように配置される。
尚、器部材101・104は、図30および図33に示す例では複数のMOSFETQ1・Q4を内包しているが、複数のMOSFETQ1・Q4をそれぞれ内包するように配置しても良い。
実施の形態に係るパワーモジュール200の主要部は、セラミックス基板8と、セラミックス基板8上に配置された半導体デバイスQ1・Q4と、セラミックス基板8上に配置され、半導体デバイスQ1・Q4を囲む器部材101・104と、器部材101・104の内側に配置され、半導体デバイスQ1・Q4を封止する第1樹脂層151・154と、器部材101・104の外側および第1樹脂層151・154上に配置されるシールド層20と、第1樹脂層151・154、シールド層20、およびセラミックス基板8を封止する第2樹脂層18とを備える。
(パワーモジュール回路の具体例)
実施の形態に係るパワーモジュール50であって、ワンインワンモジュールのSiC MOSFETの模式的回路表現は、図34(a)に示すように表され、ワンインワンモジュールのIGBTの模式的回路表現は、図34(b)に示すように表される。
図34(a)には、MOSFETQに逆並列接続されるダイオードDIが示されている。MOSFETQの主電極は、ドレイン端子DTおよびソース端子STで表される。同様に、図34(b)には、IGBTQに逆並列接続されるダイオードDIが示されている。IGBTQの主電極は、コレクタ端子CTおよびエミッタ端子ETで表される。
また、実施の形態に係るパワーモジュール50であって、ワンインワンモジュールのSiC MOSFETの詳細回路表現は、図35に示すように表される。
実施の形態に係るパワーモジュール50は、例えば、ワンインワンモジュールの構成を備える。すなわち、1個または、複数個が並列化されたMOSFETQが1つのモジュールに内蔵されている。一例として5チップ(MOSFET×5)搭載可能であり、それぞれのMOSFETQは、5個まで並列接続可能である。尚、5チップの内、一部をダイオードDI用として搭載することも可能である。
さらに詳細には、図35に示すように、MOSFETQに並列にセンス用MOSFETQsが接続される。センス用MOSFETQsは、MOSFETQと同一チップ内に、微細トランジスタとして形成されている。図35において、SSは、ソースセンス端子、CSは、電流センス端子であり、Gは、ゲート信号端子である。尚、実施の形態においても半導体デバイスQには、センス用MOSFETQsが同一チップ内に、微細トランジスタとして形成されている。
また、実施の形態に係るパワーモジュール50Tであって、ツーインワンモジュールのSiC MOSFETの模式的回路表現は、図36(a)に示すように表される。
図36(a)に示すように、2個または2組のMOSFETQ1・Q4と、MOSFETQ1・Q4に逆並列接続されるダイオードD1・D4が1つのモジュールに内蔵されている。G1は、MOSFETQ1のゲート信号端子であり、S1は、MOSFETQ1のソース端子である。G4は、MOSFETQ4のゲート信号端子であり、S4は、MOSFETQ4のソース端子である。Pは、正側電源入力端子であり、Nは、負側電源入力端子であり、Oは、出力端子である。
また、実施の形態に係るパワーモジュール50Tであって、ツーインワンモジュールのIGBTの模式的回路表現は、図36(b)に示すように表される。図36(b)に示すように、2個のIGBTQ1・Q4と、IGBTQ1・Q4に逆並列接続されるダイオードD1・D4が1つのモジュールに内蔵されている。G1は、IGBTQ1のゲート信号端子であり、E1は、IGBTQ1のエミッタ端子である。G4は、IGBTQ4のゲート信号端子であり、E4は、IGBTQ4のエミッタ端子である。Pは、正側電源入力端子であり、Nは、負側電源入力端子であり、Oは、出力端子である。
(半導体デバイスの構成例)
実施の形態に適用可能な半導体デバイスの例であって、SiC MOSFETの模式的断面構造は、図37(a)に示すように表され、IGBTの模式的断面構造は、図37(b)に示すように表される。
実施の形態に適用可能な半導体デバイス110(Q)の例として、SiC MOSFETの模式的断面構造は、図37(a)に示すように、n-高抵抗層からなる半導体基板126と、半導体基板126の表面側に形成されたpボディ領域128と、pボディ領域128の表面に形成されたソース領域130と、pボディ領域128間の半導体基板126の表面上に配置されたゲート絶縁膜132と、ゲート絶縁膜132上に配置されたゲート電極138と、ソース領域130およびpボディ領域128に接続されたソース電極134と、半導体基板126の表面と反対側の裏面に配置されたn+ドレイン領域124と、n+ドレイン領域124に接続されたドレイン電極136とを備える。
図37(a)では、半導体デバイス110は、プレーナゲート型nチャネル縦型SiC MOSFETで構成されているが、後述する図41に示すように、nチャネル縦型SiC TMOSFETなどで構成されていても良い。
また、実施の形態に適用可能な半導体デバイス110(Q)には、SiC MOSFETの代わりに、GaN系FETなどを採用することもできる。
実施の形態に適用可能な半導体デバイス110には、SiC系、GaN系のいずれかのパワーデバイスを採用可能である。
さらには、実施の形態に適用可能な半導体デバイス110には、バンドギャップエネルギーが、例えば、1.1eV〜8eVのワイドバンドギャップ半導体を用いることができる。
同様に、実施の形態に適用可能な半導体デバイス110A(Q)の例として、IGBTは、図37(b)に示すように、n-高抵抗層からなる半導体基板126と、半導体基板126の表面側に形成されたpボディ領域128と、pボディ領域128の表面に形成されたエミッタ領域130Eと、pボディ領域128間の半導体基板126の表面上に配置されたゲート絶縁膜132と、ゲート絶縁膜132上に配置されたゲート電極138と、エミッタ領域130Eおよびpボディ領域128に接続されたエミッタ電極134Eと、半導体基板126の表面と反対側の裏面に配置されたp+コレクタ領域124Pと、p+コレクタ領域124Pに接続されたコレクタ電極136Cとを備える。
図37(b)では、半導体デバイス110Aは、プレーナゲート型のnチャネル縦型IGBTで構成されているが、トレンチゲート型nチャネル縦型IGBTなどで構成されていても良い。
実施の形態に適用可能な半導体デバイス110の例であって、ソースパッド電極SP、ゲートパッド電極GPを含むSiC MOSFETの模式的断面構造は、図38に示すように表される。ゲートパッド電極GPは、ゲート絶縁膜132上に配置されたゲート電極138に接続され、ソースパッド電極SPは、ソース領域130およびpボディ領域128に接続されたソース電極134に接続される。
また、ゲートパッド電極GPおよびソースパッド電極SPは、図38に示すように、半導体デバイス110の表面を覆うパッシベーション用の層間絶縁膜144上に配置される。尚、本実施の形態に適用可能な半導体デバイスでは、図37−図41に示す微細構造のトランジスタ構造を複数並列接続したものを1つの半導体デバイス110としている。ゲートパッド電極GPおよびソースパッド電極SPの下方の半導体基板126内には、図37(a)或いは、図38の中央部と同様に、微細構造のトランジスタ構造が形成されていても良い。
さらに、図38に示すように、中央部のトランジスタ構造においても、パッシベーション用の層間絶縁膜144上にソースパッド電極SPが延在して配置されていても良い。
実施の形態に適用する半導体デバイス110Aの例であって、ソースパッド電極SP、ゲートパッド電極GPを含むIGBTの模式的断面構造は、図39に示すように表される。ゲートパッド電極GPは、ゲート絶縁膜132上に配置されたゲート電極138に接続され、エミッタパッド電極EPは、エミッタ領域130Eおよびpボディ領域128に接続されたエミッタ電極134Eに接続される。
また、ゲートパッド電極GPおよびエミッタパッド電極EPは、図39に示すように、半導体デバイス110Aの表面を覆うパッシベーション用の層間絶縁膜144上に配置される。尚、ゲートパッド電極GPおよびエミッタパッド電極EPの下方の半導体基板126内には、図37(b)或いは、図39の中央部と同様に、微細構造のIGBT構造が形成されていても良い。
さらに、図39に示すように、中央部のIGBT構造においても、パッシベーション用の層間絶縁膜144上にエミッタパッド電極EPが延在して配置されていても良い。
―SiC DIMOSFET―
実施の形態に適用可能な半導体デバイス110の例であって、SiC DIMOSFETの模式的断面構造は、図40に示すように表される。
実施の形態に適用可能なSiC DIMOSFETは、図40に示すように、n-高抵抗層からなる半導体基板126と、半導体基板126の表面側に形成されたpボディ領域128と、pボディ領域128の表面に形成されたn+ソース領域130と、pボディ領域128間の半導体基板126の表面上に配置されたゲート絶縁膜132と、ゲート絶縁膜132上に配置されたゲート電極138と、ソース領域130およびpボディ領域128に接続されたソース電極134と、半導体基板126の表面と反対側の裏面に配置されたn+ドレイン領域124と、n+ドレイン領域124に接続されたドレイン電極136とを備える。
図40では、半導体デバイス110は、pボディ領域128と、pボディ領域128の表面に形成されたn+ソース領域130が、ダブルイオン注入(DI)で形成され、ソースパッド電極SPは、ソース領域130およびpボディ領域128に接続されたソース電極134に接続される。ゲートパッド電極GP(図示省略)は、ゲート絶縁膜132上に配置されたゲート電極138に接続される。また、ソースパッド電極SPおよびゲートパッド電極GP(図示省略)は、図40に示すように、半導体デバイス110の表面を覆うパッシベーション用の層間絶縁膜144上に配置される。
SiC DIMOSFETは、図40に示すように、pボディ領域128に挟まれたn-高抵抗層からなる半導体基板126内に、破線で示されるような空乏層が形成されるため、接合型FET(JFET)効果に伴うチャネル抵抗RJFETが形成される。また、pボディ領域128/半導体基板126間には、図40に示すように、ボディダイオードBDが形成される。
―SiC TMOSFET―
実施の形態に適用可能な半導体デバイス110の例であって、SiC TMOSFETの模式的断面構造は、図41に示すように表される。
実施の形態に適用可能なSiC TMOSFETは、図41に示すように、n層からなる半導体基板126Nと、半導体基板126Nの表面側に形成されたpボディ領域128と、pボディ領域128の表面に形成されたn+ソース領域130と、pボディ領域128を貫通し、半導体基板126Nまで形成されたトレンチの内にゲート絶縁層132および層間絶縁膜144U・144Bを介して形成されたトレンチゲート電極138TGと、ソース領域130およびpボディ領域128に接続されたソース電極134と、半導体基板126Nの表面と反対側の裏面に配置されたn+ドレイン領域124と、n+ドレイン領域124に接続されたドレイン電極136とを備える。
図41では、半導体デバイス110は、pボディ領域128を貫通し、半導体基板126Nまで形成されたトレンチ内にゲート絶縁層132および層間絶縁膜144U・144Bを介して形成されたトレンチゲート電極138TGが形成され、ソースパッド電極SPは、ソース領域130およびpボディ領域28に接続されたソース電極134に接続される。ゲートパッド電極GP(図示省略)は、ゲート絶縁膜132上に配置されたゲート電極138に接続される。また、ソースパッド電極SPおよびゲートパッド電極GP(図示省略)は、図41に示すように、半導体デバイス110の表面を覆うパッシベーション用の層間絶縁膜144U上に配置される。
SiC TMOSFETでは、SiC DIMOSFETのような接合型FET(JFET)効果に伴うチャネル抵抗RJFETは形成されない。また、pボディ領域128/半導体基板126N間には、ボディダイオードBDが形成される。
実施の形態に係るパワーモジュールを用いて構成した3相交流インバータ140の模式的回路構成において、半導体デバイスとしてSiC MOSFETを適用し、電源端子PL、接地端子NL間にスナバコンデンサCを接続した回路構成例は、図42(a)に示すように表される。同様に、実施の形態に係るパワーモジュールを用いて構成した3相交流インバータ140Aの模式的回路構成において、半導体デバイスとしてIGBTを適用し、電源端子PL、接地端子NL間にスナバコンデンサCを接続した回路構成例は、図42(b)に示すように表される。
実施の形態に係るパワーモジュールを電源Eと接続し各スイッチング素子によるスイッチング動作を行わせると、SiC MOSFETやIGBTのスイッチング速度が速いため、接続ラインの有するインダクタンスLによって、大きなサージ電圧Ldi/dtを生ずる。例えば、電流変化di=300A、スイッチングに伴う時間変化dt=100nsecとすると、di/dt=3×109(A/s)となる。インダクタンスLの値により、サージ電圧Ldi/dtの値は変化するが、電源Vにこのサージ電圧Ldi/dtが重畳される。電源端子PLと接地端子NL間に接続されるスナバコンデンサCによって、このサージ電圧Ldi/dtを吸収することができる。
(パワーモジュールを適用した応用例)
次に、図43を参照して、半導体デバイスとしてSiC MOSFETを適用した実施の形態に係るパワーモジュールを用いて構成した3相交流インバータ140について説明する。
図43に示すように、3相交流インバータ140は、ゲートドライブ部150と、ゲートドライブ部150に接続されたパワーモジュール部152と、3相交流モータ部154とを備える。パワーモジュール部152は、3相交流モータ部154のU相、V相、W相に対応して、U相、V相、W相のインバータが接続されている。ここで、ゲートドライブ部150は、SiC MOSFETQ1・Q4、SiC MOSFETQ2・Q5、およびSiC MOSFETQ3・Q6に接続されている。
パワーモジュール部152は、蓄電池(E)146が接続されたコンバータ148のプラス端子(+)とマイナス端子(−)間に接続され、インバータ構成のSiC MOSFETQ1・Q4、Q2・Q5、およびQ3・Q6を備える。また、SiC MOSFETQ1〜Q6のソース・ドレイン間には、フリーホイールダイオードD1〜D6がそれぞれ逆並列に接続されている。
図2に示したように、本実施の形態に係るパワーモジュールではゲートドライブ部150との間にシールド層20Fを有する構造になっているので、パワーモジュール部152で生じたノイズの影響をゲートドライブ部150では殆ど受けないようにすることが容易に可能となっている。
次に、図44を参照して、半導体デバイスとしてIGBTを適用した実施の形態に係るパワーモジュール50Tを用いて構成した3相交流インバータ140Aについて説明する。
図44に示すように、3相交流インバータ140Aは、ゲートドライブ部150Aと、ゲートドライブ部150Aに接続されたパワーモジュール部152Aと、3相交流モータ部154Aとを備える。パワーモジュール部152Aは、3相交流モータ部154AのU相、V相、W相に対応して、U相、V相、W相のインバータが接続されている。ここで、ゲートドライブ部150Aは、IGBTQ1・Q4、IGBTQ2・Q5、およびIGBTQ3・Q6に接続されている。
パワーモジュール部152Aは、蓄電池(E)146Aが接続されたコンバータ148Aのプラス端子(+)とマイナス端子(−)間に接続され、インバータ構成のIGBTQ1・Q4、Q2・Q5、およびQ3・Q6を備える。さらに、IGBTQ1〜Q6のエミッタ・コレクタ間には、フリーホイールダイオードD1〜D6がそれぞれ逆並列に接続されている。
本実施の形態に係るパワーモジュールは、ワンインワン、ツーインワン、フォーインワン、シックスインワン若しくはセブンインワン型のいずれにも形成可能である。
以上説明したように、本実施形態によれば、パワーモジュールとシールド層を一体化することで、小型で電磁遮蔽可能なパワーモジュールおよびその製造方法を提供することができ、パワーモジュールを用いたシステム全体の小型化を可能にする。
[その他の実施の形態]
上記のように、実施の形態について記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
このように、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。