JP6697711B2 - エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、繊維強化複合材料およびその製造方法 - Google Patents
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Description
繊維強化複合材料の製造方法としては、各種の方法が知られており、強化繊維基材にマトリックス樹脂形成用樹脂組成物を含浸させたシート状、テープ状または紐状の中間基材であるプリプレグを用いる方法が広く用いられている。プリプレグを用いる方法では、プリプレグを複数枚積層した後、加熱することにより成形物が得られる。
エポキシ樹脂組成物としては、高い耐熱性が要求される場合、硬化剤としてイミダゾール系化合物を含むものが用いられる。
特定のイミダゾール化合物とエポキシ化合物との反応生成物である変性イミダゾールと、特定のポリアミン化合物とエポキシ化合物との反応生成物である変性ポリアミンと、フェノール化合物と、エポキシ樹脂とを含み、変性イミダゾール/変性ポリアミンの質量比が9/1〜6/4であり、変性イミダゾールおよび変性ポリアミンの合計100質量部に対してフェノール化合物が10〜100質量部である、一成分硬化型の硬化性エポキシ樹脂組成物(特許文献1)。
<1>成分(A):イミダゾール化合物とエポキシ樹脂との反応生成物である変性イミダゾールと、成分(B):ポリアミン化合物とエポキシ樹脂との反応生成物である変性ポリアミンと、成分(C):エポキシ樹脂とを含むエポキシ樹脂組成物であり、前記成分(C)の100質量部に対する前記成分(A)および前記成分(B)の合計が、8〜20質量部であり、前記成分(C)のエポキシ当量が、150〜220であり、前記エポキシ樹脂組成物の30℃における粘度が、1.0×102〜1.0×105Pa・sである、エポキシ樹脂組成物。
<2>前記エポキシ樹脂組成物の100℃における粘度が、4.0×10−1〜1.0×101Pa・sである、前記<1>のエポキシ樹脂組成物。
<3>前記成分(C)が、成分(C1):30℃において固体のノボラック型エポキシ樹脂と、成分(C2):30℃における粘度が1.0〜250Pa・sであるビスフェノール型エポキシ樹脂とを含む、前記<1>または<2>のエポキシ樹脂組成物。
<4>前記成分(C1)の100℃における粘度が、4.0×10−1〜1.0×103Pa・sである、前記<3>のエポキシ樹脂組成物。
<5>前記成分(C1)と前記成分(C2)との質量比((C1)/(C2))が、30/70〜80/20である、前記<3>または<4>のエポキシ樹脂組成物。
<6>前記成分(A)と前記成分(B)との質量比((A)/(B))が、90/10〜60/40である、前記<1>〜<5>のいずれかのエポキシ樹脂組成物。
<7>前記成分(A)が、下記式(I)で表されるイミダゾール化合物とエポキシ樹脂との反応生成物である、前記<1>〜<6>のいずれかのエポキシ樹脂組成物。
<8>前記成分(B)が、脂肪族ポリアミン化合物、芳香族ポリアミン化合物および脂環式ポリアミン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリアミン化合物であり、かつ1級アミノ基を2個以上有するポリアミン化合物とエポキシ樹脂との反応生成物である、前記<1>〜<7>のいずれかのエポキシ樹脂組成物。
<9>前記<1>〜<8>のいずれかのエポキシ樹脂組成物と、強化繊維基材とを含む、プリプレグ。
<10>前記<9>のプリプレグの成形物である、繊維強化複合材料。
<11>前記<9>のプリプレグを加熱成形して繊維強化複合材料を得る、繊維強化複合材料の製造方法。
本発明のプリプレグは、エポキシ樹脂組成物の含浸性およびプリプレグの形態保持性が良好である。本発明のプリプレグによれば、90℃曲げ強度が高い繊維強化複合材料を得ることができる。
本発明の繊維強化複合材料は、90℃曲げ強度が高い。
本発明の繊維強化複合材料の製造方法によれば、90℃曲げ強度が高い繊維強化複合材料を製造できる。
「エポキシ樹脂」とは、分子内にエポキシ基を有する化合物をいう。
「エポキシ樹脂組成物」とは、エポキシ樹脂と硬化剤と含む組成物をいう。
「変性イミダゾール」とは、イミダゾール化合物とエポキシ樹脂との反応生成物をいう。
「変性ポリアミン」とは、ポリアミン化合物とエポキシ樹脂との反応生成物をいう。
エポキシ樹脂の「エポキシ当量」は、JIS K 7236:2009(ISO 3001:1999)に準拠して測定された値である。2種以上のエポキシ樹脂を併用する場合は、各エポキシ樹脂のエポキシ当量にその含有割合を乗じた値の合計値である。
エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂組成物の「粘度」は、実施例に記載の方法にて測定された粘度である。
エポキシ樹脂の「軟化点」は、JIS K 7234−1986の環球法に準拠して測定された値である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、成分(A):イミダゾール化合物とエポキシ樹脂との反応生成物である変性イミダゾールと、成分(B):ポリアミン化合物とエポキシ樹脂との反応生成物である変性ポリアミンと、成分(C):エポキシ樹脂とを含む。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
成分(A)の変性イミダゾールは、イミダゾール化合物(a1)とエポキシ樹脂(a2)との反応によって得られた生成物、いわゆるイミダゾールアダクトである。
成分(A)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
グリシジル基を有する複素環化合物としては、例えば、トリグリシジルイソシアヌレート等が挙げられる。
成分(B)の変性ポリアミンは、分子中にアミノ基を2個以上有するポリアミン化合物(b1)とエポキシ樹脂(b2)との反応によって得られた生成物、いわゆるアミンアダクトである。
成分(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
1級アミノ基を2個以上有する脂環式ポリアミン化合物としては、例えば、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−3,6−ジエチルシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンタンジアミン、1,3−ビスアミノシクロヘキサン等が挙げられる。
(α)分子内にそれぞれ反応性を異にする2個の1級アミノ基を有する、脂環式ジアミンおよび脂肪族ジアミン。
(β)分子内に2個の1級アミノ基を有するとともに、一方のアミノ基がエポキシ基と反応した場合に生じる立体障害によって、他方のアミノ基のエポキシ基との反応性が低下する、芳香族ポリアミンおよび脂環式ポリアミン。
(β)に該当するジアミンとしては、例えば、m−キシリレンジアミン、1,3−ビスアミノシクロヘキサン等が挙げられる。
成分(C)は、エポキシ当量が150〜220であり、成分(C)を含むエポキシ樹脂組成物の30℃における粘度が後述する範囲内となるようなエポキシ樹脂であればよく、特に制限されない。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、三菱化学社製のjER(登録商標)152、154、DIC社製のEPICLON(登録商標)N−740、N−770、N−775等が挙げられる。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、DIC社製のEPICLON(登録商標)N−660、N−665、N−670、N−673、N−680、N−690、N−695、日本化薬社製のEOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S等が挙げられる。
100℃における粘度が前記範囲内であるフェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、DIC社製のEPICLON(登録商標)N−770、N−775等が挙げられる。
100℃における粘度が前記範囲内であるクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、DIC社製のEPICLON(登録商標)N−660、N−665、N−670、N−673、N−680、N−690、N−695、日本化薬社製のEOCN−103S、EOCN−104S等が挙げられる。
軟化点が前記範囲内であるフェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、DIC社製のEPICLON(登録商標)N−770、N−775等が挙げられる。
軟化点が前記範囲内であるクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、DIC社製のEPICLON(登録商標)N−660、N−665、N−670、N−673、N−680、N−690、N−695、日本化薬社製のEOCN−103S、EOCN−104S等が挙げられる。
30℃における粘度が前記範囲内ビスフェノール型エポキシ樹脂の市販品としては、三菱化学社製のjER(登録商標)828、jER(登録商標)807等が挙げられる。
他の成分としては、フェノール化合物、硬化促進剤、成分(A)および成分(B)以外の硬化剤、他の任意成分等が挙げられる。
フェノール化合物としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、n−ブチルフェノール、tert−ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、シクロヘキシルフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−チオジフェノール、ジヒドロキシジフェニルメタン、ナフトール、テルペンフェノール、フェノール化ジシクロペンタジエン等が挙げられる。また、これらのフェノール化合物をアルデヒドケトン類で縮合反応させて高分子量化したものを用いてもよい。
成分(A)と成分(B)との質量比((A)/(B))は、90/10〜60/40が好ましく、85/15〜65/35がより好ましい。成分(A)が前記範囲の上限値以下であり、成分(B)が前記範囲の下限値以上であれば、エポキシ樹脂組成物の硬化物の接着性がさらに良好となる。成分(A)が前記範囲の下限値以上であり、成分(B)が前記範囲の上限値以下であれば、エポキシ樹脂組成物の硬化性が良好となる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の調製方法としては、各成分が混練され、均一に分散または溶解する限り、従来から用いられる方法を採用できる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、各成分を同時に混合して調製してもよく;あらかじめ成分(A)、成分(B)、他の成分等を、成分(C)に適宜分散させたマスターバッチを調製し、これらを用いて調製してもよい。
調製の際には、3本ロールミル、プラネタリミキサ、ニーダ、万能撹拌機、ホモジナイザ、ホモディスペンサ等の混合機を用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物の30℃における粘度は、1.0×102〜1.0×105Pa・sであり、1.3×102〜8.0×104Pa・sが好ましく、1.5×102〜5.0×104Pa・sがより好ましい。エポキシ樹脂組成物の30℃における粘度が前記範囲内であれば、プリプレグに適した粘度のエポキシ樹脂組成物が得られる。すなわち、エポキシ樹脂組成物の30℃における粘度が前記範囲の下限値以上であれば、プリプレグの形態保持性を保つことができる。エポキシ樹脂組成物の30℃における粘度が前記範囲の上限値以下であれば、エポキシ樹脂組成物の含浸性が良好となる。
以上説明した本発明のエポキシ樹脂組成物にあっては、成分(A)と成分(B)と成分(C)とを含み、成分(C)の100質量部に対する成分(A)および成分(B)の合計が8〜20質量部であり、成分(C)のエポキシ当量が150〜220であるため、強化繊維基材との接着性が良好な硬化物を形成できる。そのため、90℃曲げ強度が高い繊維強化複合材料を得ることができる。
また、エポキシ樹脂組成物の30℃における粘度が、1.0×102〜1.0×105Pa・sであるため、プリプレグに適した粘度のエポキシ樹脂組成物が得られ、プリプレグのマトリックス樹脂形成用樹脂組成物として好適である。そのため、エポキシ樹脂組成物の含浸性およびプリプレグの形態保持性が良好なプリプレグを得ることができる。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物にあっては、成分(A)と成分(B)とを含むため、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性および硬化性に優れ、かつ耐熱性が高い繊維強化複合材料を得ることができる。
本発明のプリプレグは、本発明のエポキシ樹脂組成物と強化繊維基材とを含む。具体的には、本発明のエポキシ樹脂組成物が強化繊維基材に含浸したものである。
強化繊維基材としては、繊維強化複合材料の使用目的に応じて様々なものを用いることができる。
強化繊維は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のプリプレグは、公知の方法で製造できる。プリプレグの製造方法としては、例えば、下記の方法が挙げられる。
・離型紙等の工程剥離材の表面に所定量の本発明のエポキシ樹脂組成物を塗工し、その表面に強化繊維基材を供給した後、押圧ロールを通過させる等によって強化繊維基材にエポキシ樹脂組成物を含浸させる方法。
・強化繊維基材に所定量のエポキシ樹脂組成物を直接塗工した後、必要に応じて強化繊維基材を工程剥離材で挟み、押圧ロールを通過させる等によって強化繊維基材にエポキシ樹脂組成物を含浸させる方法。
以上説明した本発明のプリプレグにあっては、強化繊維基材との接着性が良好な硬化物を形成できるエポキシ樹脂組成物を含むため、90℃曲げ強度が高い繊維強化複合材料を得ることができる。
また、プリプレグに適した粘度のエポキシ樹脂組成物を含むため、エポキシ樹脂組成物の含浸性およびプリプレグの形態保持性が良好である。
また、成分(A)と成分(B)とを含むエポキシ樹脂組成物を含むため、プリプレグの貯蔵安定性および硬化性に優れ、かつ耐熱性が高い繊維強化複合材料を得ることができる。
本発明の繊維強化複合材料は、プリプレグの成形物であり、プレス成形物であることが好ましい。本発明の繊維強化複合材料は、強化繊維基材と、エポキシ樹脂組成物の硬化物からなるマトリックス樹脂とを含む。
本発明の繊維強化複合材料の製造方法は、プリプレグを加熱成形し、硬化させて繊維強化複合材料を得る方法である。
プリプレグの成形法は、特に制限されない。プリプレグの成形法としては、成形サイクルが速く、外観のよい成形物が得られる点から、プレス成形法が好ましい。
内部を気密に保つ金型としては、金型を閉じたときに、上型と下型とが接触する部分(雄型と雌型とが接触する部分)にシアエッジ構造やゴムシール構造を採用した金型が挙げられる。また、金型の内部を気密に保つものであれば公知のいかなる構造を採用した金型であってもよい。
以上説明した本発明の繊維強化複合材料にあっては、強化繊維基材との接着性が良好な硬化物を形成できるエポキシ樹脂組成物を含むプリプレグを硬化させたものであるため、90℃曲げ強度が高い。
また、成分(A)と成分(B)とを含むエポキシ樹脂組成物を含むプリプレグを硬化させたものであるため、耐熱性が高い。
(30℃における粘度)
エポキシ樹脂またはエポキシ樹脂組成物の等温粘度を下記の測定条件で測定し、測定開始から5分後の粘度を30℃における粘度とした。
装置:レオメーター(ティー・エイ・インスツルメント社製、VAR−100)、
使用プレート:25φパラレルプレート、
プレートギャップ:0.5mm、
測定周波数:10rad/秒、
測定温度:30℃、
応力:300Pa。
エポキシ樹脂またはエポキシ樹脂組成物の昇温粘度を下記の測定条件で測定し、100℃のときの粘度を100℃における粘度とした。
装置:レオメーター(ティー・エイ・インスツルメント社製、VAR−100)、
使用プレート:25φパラレルプレート、
プレートギャップ:0.5mm、
測定周波数:10rad/秒、
昇温速度:2℃/分、
測定範囲:30℃〜120℃、
応力:300Pa。
各実施例および比較例にて得られた一方向プリプレグについて、繊維方向にプリプレグを折り曲げた際にプリプレグ表面にできる凹凸を目視にて確認し、下記基準にてプリプレグにおけるエポキシ樹脂組成物の含浸性を評価した。
〇(良) :100mm×100mmの範囲内に凹凸が5個以内。
×(不良):100mm×100mmの範囲内に凹凸が5個より多い。
各実施例および比較例にて得られた一方向プリプレグについて、プリプレグを100mm×100mmにカットし、23℃50%RHの環境下で24時間静置したものを目視にて確認し、下記基準にてプリプレグの形態保持性を評価した。
〇(良) :繊維のトウ(束)の間に隙間がない。
×(不良):繊維のトウ単位でばらけ、トウとトウの間に隙間がある。
各実施例および比較例にて得られた一方向プリプレグを、298mm(繊維と平行方向)×298mm(繊維と直交方向)の寸法にカットし、繊維方向をそろえて10ply積層してプリプレグ積層体とした。プリプレグ積層体にかかる面圧:4MPa、金型温度:140℃、成形時間:各例に記載の時間の条件にてプレス成形を行い、バリを除いて平板状のプレス成形物を得た。
プレス成形物を、湿式ダイヤモンドカッタによって長さ(繊維と直交方向)63mm×幅(繊維と平行方向)12.7mmの寸法に切断して試験片を作製した。試験片について、万能試験機(Instron社製、Instron4465、解析ソフト:Bluehill)を用い、ASTM D790に準拠して圧子R:5.0、L/D:16、クロスヘッドスピード:0.78〜0.96mm/分の条件にて3点曲げ試験を行い、90゜曲げ強度を算出した。
(成分(A)、成分(B))
EH−15LS:潜在性硬化剤(ADEKA社製、アデカハードナーEH−15LS、成分(A)と成分(B)との混合物、成分(A):式(I)で表されるイミダゾール化合物と、エポキシ樹脂との反応生成物、成分(B):脂肪族ポリアミン化合物およびイソホロンジアミンと、エポキシ樹脂との反応生成物、成分(A)と成分(B)との質量比((A)/(B)):55/45)。
PN−50:潜在性硬化剤(味の素ファインテクノ社製、アミキュアPN−50、成分(A):4−メチルイミダゾールと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびフェニルグリシジルエーテルとの反応生成物)。
N−775:30℃において固体のフェノールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製、EPICLON(登録商標)N−775、エポキシ当量:189、100℃における粘度:17Pa・s、軟化点:70〜80℃)。
N−740:30℃において固体のフェノールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製、EPICLON(登録商標)N−740、エポキシ当量:182、100℃における粘度:0.43Pa・s、半固形)。
N−673:30℃において固体のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製、EPICLON(登録商標)N−673、エポキシ当量:210、100℃における粘度:19Pa・s、軟化点:73〜82℃)。
828:30℃において液体のビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製、jER(登録商標)828、エポキシ当量:186、30℃における粘度:7.5Pa・s)。
1001:30℃において固体のビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製、jER(登録商標)1001、エポキシ当量:464、100℃における粘度:7.3Pa・s)。
炭素繊維束:PAN系炭素繊維トウ(三菱レイヨン社製、PYROFIL(登録商標)TR50S15L、引張強度:4.9GPa、引張弾性率:240GPa、フィラメント数15000本、目付:1.0g/m)。
硬化剤マスターバッチ1:
表1に示す配合組成にしたがって、828およびEH−15LSを撹拌混合し、得られた混合物を3本ロールミルにてさらに細かく混合し、硬化剤マスターバッチ1を得た。
硬化剤マスターバッチ2:
表1に示す配合組成にしたがって、828およびPN−50を撹拌混合し、得られた混合物を3本ロールミルにてさらに細かく混合し、硬化剤マスターバッチ2を得た。
溶解釜に、828の30質量部およびN−775の60質量部を計量し、溶解釜を80℃に加熱し、内容物を混合した後、60℃程度まで冷却した。溶解釜に、硬化剤マスターバッチ1の20質量部を入れ、60℃で撹拌し、エポキシ樹脂組成物1を得た。エポキシ樹脂組成物1に含まれる各成分の含有量および全エポキシ樹脂(成分(C))のエポキシ当量を算出した。エポキシ樹脂組成物1の30℃における粘度、100℃における粘度を測定した。結果を表2に示す。
マルチコーター(ヒラノテクシード社製、M−500型)を用い、エポキシ樹脂組成物1を離型紙上に60℃で塗布して、樹脂フィルムを得た。樹脂フィルムの樹脂塗布面上に炭素繊維束をドラムワインドにて巻き付け、同じフィルムで炭素繊維束を挟み込み、エポキシ樹脂組成物1を炭素繊維束に含浸させることによって一方向プリプレグを得た。プリプレグにおける炭素繊維束の目付は250g/m2であり、樹脂含有率は30.0質量%であった。プリプレグにおけるエポキシ樹脂組成物の含浸性およびプリプレグの形態保持性を表2に示す。
プリプレグを積層し、プレス成形(成形時間:5分間)を行い、プレス成形物を得た。プレス成形物の90°曲げ強度を表2に示す。
溶解釜に、828の25質量部およびN−775の60質量部を計量し、溶解釜を80℃に加熱し、内容物を混合した後、60℃程度まで冷却した。溶解釜に、硬化剤マスターバッチ1の30質量部を入れ、60℃で撹拌し、エポキシ樹脂組成物2を得た。
エポキシ樹脂組成物2を用い、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。プリプレグにおける炭素繊維束の目付は256g/m2であり、樹脂含有率は27.9質量%であった。
プリプレグを積層し、プレス成形(成形時間:5分間)を行い、プレス成形物を得た。
エポキシ樹脂組成物2、プリプレグおよびプレス成形物についての結果を表2に示す。
N−775をN−740に変更した以外は実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物3を得た。
エポキシ樹脂組成物3を用い、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。プリプレグにおける炭素繊維束の目付は243g/m2であり、樹脂含有率は29.4質量%であった。
プリプレグを積層し、プレス成形(成形時間:25分間)を行い、プレス成形物を得た。
エポキシ樹脂組成物3、プリプレグおよびプレス成形物についての結果を表2に示す。
溶解釜に、828の10質量部およびN−740の80質量部を計量し、溶解釜を80℃に加熱し、内容物を混合した後、60℃程度まで冷却した。溶解釜に、硬化剤マスターバッチ1の20質量部を入れ、60℃で撹拌し、エポキシ樹脂組成物4を得た。
エポキシ樹脂組成物4を用い、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。プリプレグにおける炭素繊維束の目付は251g/m2であり、樹脂含有率は30.9質量%であった。
プリプレグを積層し、プレス成形(成形時間:25分間)を行い、プレス成形物を得た。
エポキシ樹脂組成物4、プリプレグおよびプレス成形物についての結果を表2に示す。
N−775をN−673に変更した以外は実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物5を得た。
エポキシ樹脂組成物5を用い、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。プリプレグにおける炭素繊維束の目付は248g/m2であり、樹脂含有率は30.3質量%であった。
プリプレグを積層し、プレス成形(成形時間:25分間)を行い、プレス成形物を得た。
エポキシ樹脂組成物5、プリプレグおよびプレス成形物についての結果を表2に示す。
溶解釜に、828の30質量部、N−775の20質量部および1001の40質量部を計量し、溶解釜を80℃に加熱し、内容物を混合した後、60℃程度まで冷却した。溶解釜に、硬化剤マスターバッチ1の20質量部を入れ、60℃で撹拌し、エポキシ樹脂組成物6を得た。
エポキシ樹脂組成物6を用い、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。プリプレグにおける炭素繊維束の目付は256g/m2であり、樹脂含有率は29.5質量%であった。
プリプレグを積層し、プレス成形(成形時間:5分間)を行い、プレス成形物を得た。
エポキシ樹脂組成物6、プリプレグおよびプレス成形物についての結果を表3に示す。
溶解釜に、828の30質量部およびN−775の60質量部を計量し、溶解釜を80℃に加熱し、内容物を混合した後、60℃程度まで冷却した。溶解釜に、硬化剤マスターバッチ2の25質量部を加え、60℃で撹拌し、エポキシ樹脂組成物7を得た。
エポキシ樹脂組成物7を用い、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。プリプレグにおける炭素繊維束の目付は271g/m2であり、樹脂含有率は29.1質量%であった。
プリプレグを積層し、プレス成形(成形時間:5分間)を行い、プレス成形物を得た。
エポキシ樹脂組成物7、プリプレグおよびプレス成形物についての結果を表3に示す。
溶解釜に、828の35質量部およびN−775の60質量部を計量し、溶解釜を80℃に加熱し、内容物を混合した後、60℃程度まで冷却した。溶解釜に、硬化剤マスターバッチ1の10質量部を入れ、60℃で撹拌し、エポキシ樹脂組成物8を得た。
エポキシ樹脂組成物8を用い、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。プリプレグにおける炭素繊維束の目付は265g/m2であり、樹脂含有率は29.0質量%であった。
プリプレグを積層し、プレス成形(成形時間:25分間)を行い、プレス成形物を得た。
エポキシ樹脂組成物8、プリプレグおよびプレス成形物についての結果を表3に示す。
溶解釜に、828の15質量部およびN−775の60質量部を計量し、溶解釜を80℃に加熱し、内容物を混合した後、60℃程度まで冷却した。溶解釜に、硬化剤マスターバッチ1の50質量部を入れ、60℃で撹拌し、エポキシ樹脂組成物9を得た。
エポキシ樹脂組成物9を用い、実施例1と同様の方法で一方向プリプレグを得た。プリプレグにおける炭素繊維束の目付は255g/m2であり、樹脂含有率は29.5質量%であった。
プリプレグを積層し、プレス成形(成形時間:5分間)を行い、プレス成形物を得た。
エポキシ樹脂組成物9、プリプレグおよびプレス成形物についての結果を表3に示す。
溶解釜に、828の90質量部および硬化剤マスターバッチ1の20質量部を入れ、60℃で撹拌し、エポキシ樹脂組成物10を得た。
マルチコーター(ヒラノテクシード社製、M−500型)を用い、エポキシ樹脂組成物10を離型紙上に30℃で塗布して、樹脂フィルムを得た。樹脂フィルムの樹脂塗布面上に炭素繊維束をドラムワインドにて巻き付け、同じフィルムで炭素繊維束を挟み込み、エポキシ樹脂組成物10を炭素繊維束に含浸させることによって一方向プリプレグを得た。プリプレグは炭素繊維トウ単位でばらけ、プリプレグの形態を保持することができなかった。エポキシ樹脂組成物10およびプリプレグについての結果を表3に示す。
溶解釜に、828の10質量部およびN−775の80質量部を計量し、溶解釜を80℃に加熱し、内容物を混合した後、60℃程度まで冷却した。溶解釜に、硬化剤マスターバッチ1の20質量部を入れ、60℃で撹拌し、エポキシ樹脂組成物11を得た。
マルチコーター(ヒラノテクシード社製、M−500型)を用い、エポキシ樹脂組成物11を離型紙上に60℃で塗布して、樹脂フィルムを得た。樹脂フィルムの樹脂塗布面上に炭素繊維束をドラムワインドにて巻き付け、同じフィルムで炭素繊維束を挟み込み、エポキシ樹脂組成物11を含浸させようとしたが、エポキシ樹脂組成物11の粘度が高く、含浸しなかった。エポキシ樹脂組成物11およびプリプレグについての結果を表3に示す。
比較例2は、成分(B)を含まないため、繊維強化複合材料の90°曲げ強度が不十分であった。
比較例3は、成分(C)の100質量部に対する成分(A)および成分(B)の合計が8質量部未満であったため、繊維強化複合材料の90°曲げ強度が不十分であった。
比較例4は、成分(C)の100質量部に対する成分(A)および成分(B)の合計が20質量部超であったため、繊維強化複合材料の90°曲げ強度が不十分であった。
比較例5は、エポキシ樹脂組成物の30℃における粘度が1.0×102Pa・s未満であったため、プリプレグの形態保持性がよくなかった。
比較例6は、エポキシ樹脂組成物の30℃における粘度が1.0×105Pa・s超であったため、プリプレグにおけるエポキシ樹脂組成物の含浸性がよくなかった。
Claims (10)
- 成分(A):イミダゾール化合物とエポキシ樹脂との反応生成物である変性イミダゾールと、
成分(B):ポリアミン化合物とエポキシ樹脂との反応生成物である変性ポリアミンと、
成分(C):エポキシ樹脂と
を含むエポキシ樹脂組成物であり、
前記成分(B)が、脂肪族ポリアミン化合物、芳香族ポリアミン化合物および脂環式ポリアミン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリアミン化合物であり、かつ1級アミノ基を2個以上有するポリアミン化合物とエポキシ樹脂との反応生成物であり、
前記成分(C)の100質量部に対する前記成分(A)および前記成分(B)の合計が、8〜20質量部であり、
前記成分(C)のエポキシ当量が、150〜220であり、
前記エポキシ樹脂組成物の30℃における粘度が、1.0×102〜1.0×105Pa・sである、エポキシ樹脂組成物。 - 前記エポキシ樹脂組成物の100℃における粘度が、4.0×10−1〜1.0×101Pa・sである、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記成分(C)が、成分(C1):30℃において固体のノボラック型エポキシ樹脂と、成分(C2):30℃における粘度が1.0〜250Pa・sであるビスフェノール型エポキシ樹脂とを含む、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記成分(C1)の100℃における粘度が、4.0×10−1〜1.0×103Pa・sである、請求項3に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記成分(C1)と前記成分(C2)との質量比((C1)/(C2))が、30/70〜80/20である、請求項3または4に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記成分(A)と前記成分(B)との質量比((A)/(B))が、90/10〜60/40である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物と、強化繊維基材とを含む、プリプレグ。
- 請求項8に記載のプリプレグの成形物である、繊維強化複合材料。
- 請求項8に記載のプリプレグを加熱成形して繊維強化複合材料を得る、繊維強化複合材料の製造方法。
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