JP6696845B2 - 鉄道車両の前照灯の光軸調整支援装置および光軸調整方法 - Google Patents
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Description
また、本発明に関連する先行技術として、特許文献1には、カメラを使って自動的に光軸調整を行う自動車のヘッドライトの光軸調整方法が示されている。
本発明は、鉄道車両の前方に広い空間を確保しなくて良く、バラツキの少ない正確な光軸調整を行うことのできる鉄道車両の前照灯の光軸調整支援装置および光軸調整方法を提供することを目的とする。
映像を取得する撮影部と、
前記撮影部を支持する支持枠と、
前照灯を有する鉄道車両の前面に前記支持枠を固定可能な固定具と、
前記支持枠に支持され、投射された光を拡散する拡散板と、
前記撮影部により取得された、前記前照灯が前記拡散板に投射した光の映像に基づいて、前記前照灯の光軸のズレ量を計算する計算部と、
計算された光軸のズレ量に基づいて光軸調整を支援する情報を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする鉄道車両の前照灯の光軸調整支援装置とした。
前照灯の近傍に投射された光の像には前照灯のバルブの影が明確な像となって表れる。そこで、上記の構成によれば、バルブの影の位置と映像中に設定される基準点とに基づいて、前照灯の光軸のズレ量をより正確に計算することができ、バラツキの少ない光軸調整が可能となる。
外部からの入力操作によって前記前照灯の配置区分を入力する区分入力部と、
前記前照灯の複数の配置区分にそれぞれ対応する前記基準点の複数の座標値を記憶する基準点記憶部と、
を備え、
前記計算部は、入力された前記配置区分に対応する前記基準点の座標値を用いて前記前照灯の光軸のズレ量を計算するように構成するとよい。
前記支持枠に対して前記撮影部の位置を調整可能な調整機構をさらに備え、
前記固定具は、鉄道車両の前面に吸着可能な複数の吸盤であり、
前記調整機構は、前記撮影部を上下方向および左右方向へ平行移動させる機構を含んでもよい。
この構成によれば、複数の吸盤によって撮影部の支持枠を鉄道車両の前面に容易に固定することができ、さらに固定具、撮影部、および支持枠を含めた構成をコンパクトにできる。さらに、調整機構による撮影部の縦方向および横方向の位置調整により、撮影部と前照灯との位置合わせを正確に行える。
上記の光軸調整支援装置を用いた鉄道車両の前照灯の光軸調整方法であって、
前記固定具を鉄道車両の前面且つ前記前照灯の近傍に固定し、
前記撮影部により映像を取得して前記前照灯の固定枠が映像中の所定位置に来るように前記撮影部の位置を調整した後、
前記撮影部と前記前照灯との間に前記拡散板を配置し、
前記前照灯を点灯して前記拡散板に光を投射し、
前記撮影部により前記拡散板に投射された光の映像を取得し、
前記計算部が前記拡散板の映像に基づいて前記前照灯の光軸のズレ量を計算し、
計算されたズレに基づいて前記前照灯の光軸を変更することを特徴としている。
この方法によれば、鉄道車両の前方に広い空間を確保する必要なく、バラツキの少ない正確な光軸調整が可能となる。
図1は、本発明の実施形態に係る光軸調整支援装置を示す斜視図である。図2は、光軸調整支援装置の本体ベースを示す平面図である。
本実施形態の光軸調整支援装置は、カメラ(撮影部に相当)11が設けられた本体ベース10、取付けガイド20、拡散板30、遮光カバー40、重さ調整板50、および、操作デバイス61とディスプレイ62とを有するコンピュータ(計算部に相当)60を備えている。
ステージ12は、支持フレーム13aとカメラ11との間に介在し、カメラ11の位置を微調整するための構成である。ステージ12は、ダイヤル操作によりカメラ11を上下方向および左右方向に平行移動可能である。
拡散板30は、鉄道車両の前照灯の光を投射させて拡散させるものであり、例えば乳白色のアクリル板から構成できる。拡散板30は、本体ベース10の固定溝F1に取り付け可能であり、取り付けられた際にカメラ11の前方に配置される。
次に、本実施形態の光軸調整支援装置を用いた鉄道車両の前照灯の光軸調整処理について説明する。
先ず、全体的な概要を示す。光軸調整処理は、主に、作業員が大まかな位置調整を行いながら本体ベース10を鉄道車両100の前面に固定する固定工程と、作業員がカメラ11の詳細な位置調整を行う位置調整工程と、カメラ11の撮影画像に基づいてコンピュータ60が前照灯の光軸のズレ量を計算する光軸測定工程と、コンピュータ60の調整支援用の表示に基づいて作業員が光軸を調整する光軸調整工程とを含む。固定工程、位置微調整工程、光軸測定工程、光軸調整工程は、この順に実施され、光軸測定工程と光軸調整工程とは複数回繰り返し実施される。
図3は、鉄道車両の前面に本体ベースを固定した状態を示す斜視図である。図4は、本体ベースの固定時における位置調整方法を説明する図である。
固定工程においては、先ず、本体ベース10に取付けガイド20を固定し、この状態の本体ベース10を鉄道車両100の前照灯101の近傍まで作業員が運ぶ。そして、図4に示すように、目視により、カメラ11の撮影方向に取付けガイド20の円孔21と前照灯101とが一直線に並ぶように、大まかに本体ベース10の位置を合せる。このとき、作業員は、本体ベース10の支持フレーム13aの左右方向が水平になるように、水準器などを用いて調整するとよい。
図5は、本体ベースの固定後におけるカメラの位置調整方法を説明する画像図である。
位置調整工程では、先ず、作業員は、コンピュータ60に位置調整のコマンドを入力する。すると、コンピュータ60は、カメラ11を駆動して撮影画像をディスプレイ62に表示する。
作業員は、このような撮影画像を見ながら、窓枠102が基準円R1の同心円となるように、ステージのダイヤルを操作して、カメラ11の位置を上下方向と左右方向とに微調整する。このとき、カメラ11は連続的に撮影を行い、撮影画像は動画のように刻々と更新されるとよい。なお、微調整の際、前照灯101のレンズ101aの位置は気にする必要がない。この工程により、前照灯101の固定枠に対してカメラ11が一定の配置関係で固定された状態が得られる。窓枠102と基準円R1とが同心となったら、作業員は、コンピュータ60に完了のコマンドを入力して位置調整工程を完了し、光軸測定工程へ処理を移行する。
光軸測定工程では、先ず、作業員は、本体ベース10に拡散板30を固定し、周囲が明るい場合には遮光カバー40を取り付ける。周囲が暗ければ、遮光カバー40の代わりに重さ調整板50を取り付けてもよい。これにより、前照灯101とカメラ11との間に拡散板30が配置され、前照灯101が非点灯のときに拡散板30の周辺が暗くなって撮影に適した環境になる。
このような設定が済んだら、作業員は、前照灯101を点灯し、コンピュータ60に光軸調整支援処理の開始コマンドを入力し、この処理を開始する。
光軸調整支援処理が開始されると、先ず、コンピュータ60のCPUは、前照灯の配置区分に関する入力処理を実行する(ステップS11:区分入力部に相当)。この処理は、ディスプレイ62に、運転士側の前照灯か助士側の前照灯かを選択させる表示を行い、操作デバイス61を介して作業員に選択入力を要求する処理である。運転士側の前照灯の光軸の規定上の向きと、助士側の前照灯の光軸の規定上の向きとは異なるため、CPUは、ここでこれらを識別する。作業員は、操作デバイス61を介して光軸調整の対象の前照灯の配置区分を入力し、入力結果がメモリの所定領域に一時的に記憶される。
光軸測定処理が終了したら、CPUは、バルブ101cの影M1(図8を参照)の位置と、映像フレーム中の基準点R0(図9を参照)との位置を比較する(ステップS13)。基準点R0とは、例えば前照灯101の光軸が規定に準じて設定されている場合に、バルブ101cの影の位置と重なるように、映像フレームD(図9を参照)の中に予め設定される映像座標上の点である。先に説明したように、基準点R0は、前照灯の配置区分によって異なり、コンピュータ60の基準点記憶部には、前照灯の複数の配置区分に対応する複数の基準点R0の座標値が記憶されている。ステップS13では、ステップS11で選択された前照灯101の配置区分に対応する基準点R0が読み出されて、比較処理に使用される。
一方、光軸のズレが許容誤差より大きければ、CPUは、光軸のズレ量を調整値へ変換する(ステップS15)。ここで、調整値としては、例えば、前照灯101に設けられている光軸調整用の複数のネジの回転角度を採用できる。調整値への変換計算は、光軸のズレとネジの回転数との関係を示す関数に基づいて遂行してもよいし、これらの関係を示したルックアップテーブルに基づいて遂行してもよい。
調整支援画像を出力したら、CPUは、光軸の変更操作が終了したか待機する(ステップS17)。ここで、CPUは、例えば、操作に要する時間の計数、或いは、操作デバイス61を介して操作終了の入力が行われるまで待機すればよい。
一方、ステップS18の判別の結果、指定回数完了していれば、CPUは、光軸調整支援処理を終了する。このような光軸調整支援装置により、作業員は容易に少ないバラツキで前照灯101の光軸調整を行うことができる。
図11は、光軸測定処理の詳細な手順を示すフローチャートである。図12は、図11のステップS28の黒丸画像の上端計算処理の詳細な手順を示すフローチャートである。図13は、撮影画像を二値化処理した後の画像の一例を示す図である。
ラベル「白No.1」の領域の上端から下方へと1行ずつ対象行yをずらして黒画素数xを計数していくと、当初、黒画素数xは総画素数xmaxの半分以上の値から半分以下の値まで低下する。黒画素数が半分以下となるのは、対象行yが黒丸画像M0の上方につらなる黒棒の部分にさしかかっているときである。よって、ステップS43の「xmin<1/2 xmax」の条件を満たす場合とは、対象行が黒棒の箇所を通過した後であることを示す。
よって、CPUは、ステップS43の判別処理で肯定となったら、対象行yの座標を黒丸画像M0の上端の座標”y1”に決定し(ステップS47)、上端計算処理を終了する。
また、実施形態の光軸調整支援装置によれば、ステージ12の調整によりカメラ11と前照灯101の固定枠との相対的な位置関係を正確に合せることができる。さらに、光軸調整支援装置では、撮影画像中、前照灯101のバルブ101cの影の位置と、基準点R0との差に基づいて前照灯101の光軸のズレが計算される。これらによって、バラツキの少ない正確な光軸調整が可能となる。
11 カメラ(撮影部)
12 ステージ(調整機構)
13 支持枠
14 固定具
20 取付けガイド
30 拡散板
40 遮光カバー
50 重さ調整板
60 コンピュータ(計算部)
61 操作デバイス
62 ディスプレイ(出力部)
Claims (5)
- 映像を取得する撮影部と、
前記撮影部を支持する支持枠と、
前照灯を有する鉄道車両の前面に前記支持枠を固定可能な固定具と、
前記支持枠に支持され、投射された光を拡散する拡散板と、
前記撮影部により取得された、前記前照灯が前記拡散板に投射した光の映像に基づいて、前記前照灯の光軸のズレ量を計算する計算部と、
計算された光軸のズレ量に基づいて光軸調整を支援する情報を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする鉄道車両の前照灯の光軸調整支援装置。 - 前記計算部は、前記拡散板に投射された前記前照灯のバルブの影の位置と、予め映像フレーム中に設定される基準点の位置との差に基づいて、前記前照灯の光軸のズレ量を計算することを特徴とする請求項1記載の鉄道車両の前照灯の光軸調整支援装置。
- 外部からの入力操作によって前記前照灯の配置区分を入力する区分入力部と、
前記前照灯の複数の配置区分にそれぞれ対応する前記基準点の複数の座標値を記憶する基準点記憶部と、
を備え、
前記計算部は、入力された前記配置区分に対応する前記基準点の座標値を用いて前記前照灯の光軸のズレ量を計算することを特徴とする請求項2記載の鉄道車両の前照灯の光軸調整支援装置。 - 前記支持枠に対して前記撮影部の位置を調整可能な調整機構をさらに備え、
前記固定具は、鉄道車両の前面に吸着可能な複数の吸盤であり、
前記調整機構は、前記撮影部を上下方向および左右方向へ平行移動させる機構を含むことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の鉄道車両の前照灯の光軸調整支援装置。 - 請求項1から請求項4の何れか一項に記載の光軸調整支援装置を用いた鉄道車両の前照灯の光軸調整方法であって、
前記固定具を鉄道車両の前面且つ前記前照灯の近傍に固定し、
前記撮影部により映像を取得して前記前照灯の固定枠が映像中の所定位置に来るように前記撮影部の位置を調整した後、
前記撮影部と前記前照灯との間に前記拡散板を配置し、
前記前照灯を点灯して前記拡散板に光を投射し、
前記撮影部により前記拡散板に投射された光の映像を取得し、
前記計算部が前記拡散板の映像に基づいて前記前照灯の光軸のズレ量を計算し、
計算されたズレに基づいて前記前照灯の光軸を変更することを特徴とする鉄道車両の前照灯の光軸調整方法。
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