JP6696061B2 - 車両インストルメントパネル表皮材および基材への接合方法 - Google Patents

車両インストルメントパネル表皮材および基材への接合方法 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂シートからなる表皮外層、ポリオレフィン樹脂発泡体シートからなる中間層、および接着剤層からなる内層から構成される積層構造を有する車両インストルメントパネルの表皮材および該表皮材を基材へ接合する方法に関するものであって、より詳しくは、車両インストルメントパネル表面の微細な凹凸形状を再現できる凹引き成形条件でも基材への接着剤塗工なしで充分に接着し、カールがなく取扱い性のよい、車両インストルメントパネルの表皮材および該表皮材を基材と一体化するための接合方法に関するものである。
自動車等の車両における内装品は、通常、硬質ポリプロピレンなどで成形された基材表面を表皮材によって被覆された状態で一体化され完成品となることはよく知られている。
従来より、基材と表皮材の接着は、一体化成形直前に、基材面に溶液型接着剤をスプレーし、加熱下に基材表面と表皮材を合体し一体化することが行われている。
ところで、車両インストルメントパネルの表皮に微細な凹凸形状を表現するためには、凹引き真空成形により凹引き型のエンボスを転写することが好ましいが,高温での加工が必要となるため、高温でも安定した接着力を発揮し得る接着剤が求められている。
車両インストルメントパネル表面の美観を優れたものにするための試みは従来から種々行われている。
例えば、特許第4095972号公報(特許文献1)には、特定の溶融粘度を有するアモルファス―ポリ(α―オレフィン)と、特定の軟化点と融点を有するポリプロピレン系ワックス(さらに粘着付与剤樹脂が含まれていてもよい)を必須成分とするホットメルト接着剤を、自動車内装表皮材の裏面に予め塗布した自動車内装用プレコート表皮材が記載されている。
それ以外にも、例えば、特開2009-227756号(特許文献2)には、低温特性、耐熱性に優れ、柔軟性に富み、低圧射出成形による複雑な形状への二次加工が可能な架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体に関する技術が開示されている。
特許文献2に開示された技術は、エラストマーを含むポリオレフィン系樹脂からなり、特定範囲の吸熱ピークと引張り伸びを有する架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を、車両用内装材として使用するものである。
特許第4095972号明細書 特開2009-227756号公報
ところが、特許文献1に記載された表皮材を本発明者らが追試したところ、成形時に基材面が35℃以上、特に50℃以上に加温すると、必要な接着力が出ないことが分かった。具体的には、接着後の耐熱クリープ試験(100℃×100g×24hr)にて基材と発泡体の間で剥がれが生じるという問題が認められた。これは基材と表皮材を一体化する際に接着剤の粘度が低くなるために発泡体の凹凸部に接着剤が入り込んでしまい、接着性が低下するためと考えられる。また、発熱体に囲まれた実際の作業環境において、基材温度を35℃未満にコントロールすることは極めて困難であり、作業性の面での問題がある。
また、特許文献2に開示された技術では、使用される発泡体により特定の配合の表面樹脂と合わせ車両インストルメントパネルに望まれる柔らかなタッチ感を作ることが可能になるが、この発泡体を用いた表皮材は特許文献1に記載された表皮材と同様に、成形時に必要な接着力がでないことが分かった。
なお、表皮材の接合に用いられる接着剤は、一般的にはホットメルトタイプのものより熱硬化性の溶液タイプが知られている。
ところが、車両インストルメントパネルに熱硬化性の溶液タイプの接着剤を適用すると、熱硬化性のために消費期限が限られてしまうことや、接着剤をプレコート後に残留溶剤による膨潤により、表皮材にカールが発生するという問題がある。
この点、本発明における接着剤は硬化剤を用いないために消費期限を大幅に伸ばすことができ、しかも、無溶剤のためにカールのないフラットな表皮材を提供することが可能になるものであり、前記特許文献2に開示されたエラストマーの含まれている発泡体では溶剤の吸収が著しく無溶剤でないとフラットな表皮材を製造することができないものでは明らかに優れている。
本発明者らは、樹脂シートからなる表皮外層、ポリオレフィン樹脂発泡体シートからなる中間層、および接着剤層からなる内層から構成された積層構造を有する車両インストルメントパネル表皮材において、表皮外層や中間層を構成する材質として特定の物を採択しなくても、内層である接着剤層の材質として特定の組成物を採択することにより、一体化成形直前に基材面に接着剤を塗布する従来方法によらなくとも、基材面に形成された凹凸若しくは深絞り形状が、基材と表皮材が一体化された車両インストルメントパネルの表面形状として忠実に再現できるのではないかという着眼の元に研究を重ね本発明を完成するに至った。
そこで、本発明の目的は、樹脂シートからなる表皮外層、ポリオレフィン樹脂発泡体シートからなる中間層、および接着剤層からなる内層から構成された積層構造を有する車両インストルメントパネル表皮材において、接着剤として特定の組成物を採択することにより、車両インストルメントパネルの微細な凹凸形状が、より一層、忠実に再現し得る車両インストルメントパネル表皮材を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、前記表皮材を用いて、特定の成形条件を採択することにより、車両インストルメントパネルの微細な凹凸形状が、より一層、忠実に再現しうる基材と表皮材の接合方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであって、下記の構成からなることを特徴とするものである。
すなわち、本発明によれば、樹脂シートからなる表皮外層、ポリオレフィン樹脂発泡体シートからなる中間層、および接着剤層からなる内層から構成された積層構造を有する車両インストルメントパネル表皮材において、
前記接着剤層が、
(A)結晶性プロピレン系ポリマー
(B)有機酸塩、リン酸類、エチレン−(メタ)アクリル酸アイオノマー類、多価アミド成分、ソルビトール類およびそれらの対応する誘導体からなる群より選択された少なくとも1種の核剤、
(C)オレフィン系ワックス、および、
(D)少なくとも1種の粘着付与剤、
からなることを特徴とする車両インストルメントパネル表皮材が提供される。
また、本発明によれば、樹脂シートからなる表皮外層、ポリオレフィン樹脂発泡体シートからなる中間層、および接着剤層からなる内層から構成された積層構造を有する車両インストルメントパネル表皮材において、
前記接着剤層が、
(A)少なくとも1種のポリマー成分であって、該ポリマー成分の総重量に基づいて少なくとも65重量%のプロピレンを重合形態で含有する結晶性ポリマー成分を30〜94.89重量%、
(B)有機酸塩、リン酸類、エチレン−(メタ)アクリル酸アイオノマー類、多価アミド成分、ソルビトール類およびそれらの対応する誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の核剤を接着剤の重量に基づいて0.01〜3重量%、
(C)炭素原子数が12未満である少なくとも1種のオレフィン系不飽和ジカルボン酸無水物でグラフトされたワックスである少なくとも1種の官能基化ワックスを接着剤の重量に基づいて0.1〜15重量%、
(D)少なくとも1種の粘着付与剤を5〜60重量%、および、
(E)少なくとも1種の酸化防止剤を0〜5重量%、
からなり、目付け量が20〜200g/m2
である上記車両インストルメントパネル表皮材が提供される。
また、本発明によれば、前記表皮材の硬さ(JIS K7215−1986のA硬度)
が40〜60である上記車両インストルメントパネル表皮材が提供される。
また、本発明によれば、前記樹脂シートが、サーモプラスチックオレフィン(TPO)
を主成分とし、硬さ(A硬度)が50〜95、厚さが0.3〜0.9mmである上記車両インストルメントパネル表皮材が提供される。
また、本発明によれば、前記ポリオレフィン樹脂発泡体シートが、エラストマーを30〜50重量%含む架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体で,厚さが2.5〜3.5mm、発泡倍率が10〜30倍である上記車両インストルメントパネル表皮材が提供される。
また、本発明によれば、前記表皮材の接着剤層面を、接着時に160〜200℃になるように加熱し、接着剤を塗工していないポリプロピレン製基材面を20〜70℃の加熱下に重ね合わせた状態で凹引き真空成形することを特徴とする基材への車両インストルメントパネル表皮材の接合方法が提供される。
すなわち、本願請求項1記載の発明によれば、前記表皮材を構成する接着剤層として、前記特定の組成物を採択することにより、成形型に形成された微細な形状がそのまま表面形状として再現された車両インストルメントパネルを提供することができる効果がある。
また、本願請求項2ないし請求項5に規定された発明によれば、提供される車両インストルメントパネルが、より一層、成形型に形成された微細な形状がそのまま表面形状として再現されたものとなる効果がある。
また、本願請求項6記載の発明によれば、前記表皮材と基材の接合がより好適に行うことができ、より一層、基材面に形成された微細な形状がそのまま表面形状として再現された車両インストルメントパネルが得られる効果がある。
本出願の請求項1ないし請求項5に規定された発明の特徴は、樹脂シートからなる表皮外層、ポリオレフィン樹脂発泡体シートからなる中間層、および接着剤層からなる内層から構成された積層構造を有する車両インストルメントパネル表皮材において、
前記接着剤層として、
(A)結晶性プロピレン系ポリマー
(B)有機酸塩、リン酸類、エチレン−(メタ)アクリル酸アイオノマー類、多価アミド成分、ソルビトール類およびそれらの対応する誘導体からなる群より選択された少なくとも1種の核剤、
(C)オレフィン系ワックス、および、
(D)少なくとも1種の粘着付与剤、
からなる組成を採択したことにある。
(A)結晶性プロピレン系ポリマーとしては、ポリプロピレン以外にも、プロピレンを主体とし、これと他のモノマー成分との共重合体が使用できる。
他のモノマー成分としては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が使用できる。
なかでも、(A)成分としては、少なくとも1種のポリマー成分であって、該ポリマー成分の総重量に基づいて少なくとも65重量%のプロピレンを重合形態で含有するポリマー成分を30〜94.89重量%であるものが好適に使用される。
このプロピレン系ポリマーは、核剤と組み合わせて結晶化温度での硬化を接着性発現に利用するため、結晶性であることが必須となる。
また、(B)成分としては、有機酸塩、リン酸類、エチレン−(メタ)アクリル酸アイオノマー類、多価アミド成分、ソルビトール類およびそれらの対応する誘導体からなる群より選択された少なくとも1種の核剤が使用される。
有機酸塩としては、例えば、脂肪族モノカルボン酸またはジカルボン酸などの有機酸の塩、例えば、コハク酸、グルタル酸、カプロン酸、モンタン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩もしくはアルミニウム塩、または安息香酸、アルキル安息香酸、ナフトエ酸、フェニル酢酸又は桂皮酸などの芳香族基を有するカルボン酸の同様の塩が挙げられる。
本発明において、前述した特定の核剤を採択した理由は、下記のとおりである。
すなわち、インストルメントパネルは日光に当たるため、使用時に100℃程度まで温度が上がることが想定されるので、本発明で用いる熱可塑性のホットメルト接着剤は、温度上昇時100℃程度まで軟化しないことが求められる。また、高温成形後,温度下降時は速やかに接着力を発現することが求められる。このため、狭い温度範囲で核剤により結晶化を促進することは必須であり、プロピレン系重合体の結晶を微細化して球晶の発達を防ぐ核剤の中でもより結晶化を促進することは必須であり、プロピレン系重合体の結晶を微細化して球晶の発達を防ぐ核剤の中でもより結晶化を促進する核剤が用いられる。さらに、融点の比較的低い非晶質部分を均質化および微細化する核剤により、耐熱クリープ性が向上する。
リン酸類としては、例えば、有機フォスフェートアルキル金属塩が挙げられる。
エチレン−(メタ)アクリル酸アイオノマー類としては、例えば、「アクリン(R)」系列の製品群(ハニーウェル社製の市販品)、または「サルリン(R)」系列の製品群(デュポン社製の市販品)などのような対応する市販品が挙げられる。
多価アミド成分としては、芳香族または脂肪族のコア基に少なくとも2つのアミド官能基を有する化合物、具体例として、芳香族トリスアミド誘導体、例えば、1,3,5−ベンゼントリスアミド、N,N,N−トリス−tert−ブチル1,3,5−ベンゼントリカルボキサミド、N,N,N−n−ブチル−1,3,5−ベンゼンートリカルボキサイド、N,N,N−トリス−イソプロピル−1,3,5−ベンゼントリカルボキサミドが挙げられる。
多価アミド成分はまたN,N’,N”−トリス(2−メチルシクロヘキシル)1,2,3−プロパントリカルボキサミドなドの脂肪族トリスアミド誘導体も包含するものであり、リカクリア(RIKACLEAR)PCIとして入手できる。同様に、無置換の形態だけでなく、または多アルキル置換、例えば、メチル置換の形態のジベンジリデンソルビトールの種類が好適に使用される。
核剤の別の好適な分類として、例えば、アロース、アルトロース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、グロース、イドース、マンノース、ソルボース、タロース、タガトース、アラビノース、リボース、リブロース、キシロース、キシルロース、リキソース、エリトロース、トレオース、ソルビトール、およびキシリトールからなる糖または糖アルコールが挙げられる。
ソルビトール類としては、例えば、1,3:2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,2,3,4−ジ−パラ−メチルベンジリデンソルビトール、1,2,3,4−ジ−メタ、パラ−メチルベンジリデンソルビトール、ビス(4−プロピルベンジリデン)プロピルソルビトールおよびそれらの混合物が挙げられる。
なかでも、ビス(4−プロピルベンジリデン)プロピルソルビトールなどのソルビトール類は、単に、プロピレン系重合体の結晶を微細化して球晶の発達を防ぐばかりでなく、融点の比較的低い非晶質部分を均質化および微細化するため、好ましく用いられる。
これらの(B)成分は、接着剤の重量に基づいて0.01〜3重量%の割合で用いられることが好ましい。
(C)成分のオレフィン系ワックスとしては、数平均分子量が10000以下で且つオレフィン成分を50重量%を超えて含有するオレフィン重合体をいう。
オレフィン系ワックスの融点は60〜120℃であることが好ましい。ワックスの融点は、ASTM D127に準拠する方法で測定することができる。オレフィン系ワックスの融点が120℃を超えると、ホットメルト接着剤が硬くなり、ホットメルト接着剤の湿潤接着性が低下する虞れがある。また、オレフィン系ワックスの融点が60℃未満であると、ホットメルト接着剤の凝集力が低下して、ホットメルト接着剤の湿潤接着性が低下する虞れがあり、より好ましいオレフィン系ワックスの融点は80〜110℃である。
グラフト重合されるモノマーとしては、例えば、炭素原子数12未満のオレフィン系不飽和モノカルボン酸(例えば、アクリル酸またはメタクリル酸)およびその対応tert−ブチルエステル(例えば、tert−ブチル(メタ)アクリレート)、炭素原子数12未満のオレフィン系不飽和ジカルボン酸(例えば、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸およびイタコン酸)およびその対応モノ−および/またはジ−tert−ブチルエステル(例えば、クロトン酸モノ−またはジ−tert−ブチル、フマル酸モノ−またはジ−tert−ブチルエステル、炭素原子数12未満のオレフィン系不飽和ジカルボン酸無水物(例えば、無水マレイン酸)、炭素原子数12未満のスルホまたはスルホニル−含有オレフィン系不飽和モノマー(例えば−p−スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロペンスルホン酸または2−スルホニル(メタ)アクリレート)、炭素原子数12未満のオキサゾニリル含有オレフィン系不飽和モノマー(例えば、ビニルオキサゾリン酸およびビニルオキサゾリン誘導体)、および炭素原子数12未満のエポキシー含有オレフィン系不飽和モノマー(例えば、グリシジル(メタ)アクリレートまたはアリルグリシジルエーテル)が挙げられる。
オレフィンの単独重合体またはオレフィン同士の共重合体を主鎖とし且つ主鎖にオレフィンと共重合可能なモノマーからなる分子鎖が枝状についているグラフト共重合体からなるポリオレフィン系ワックスとしては、炭素原子数が12未満である少なくとも1種のオレフィン系不飽和ジカルボン酸無水物でグラフトされたワックスである少なくとも1種の官能基化ワックスを接着剤の重量に基づいて0.1〜15重量%の割合で用いられることが好ましい。
(D)成分の粘着付与剤は、タッキファイヤーと呼ばれる樹脂であり、エラストマーに添加されることで、エラストマーと相溶して粘着機能(タッキ)を付与させる配合剤である。
粘着付与剤としては、テルペン樹脂水素化物(水添テルペン樹脂)などのテルペン樹脂、水素化石油樹脂、脂環族飽和炭化水素樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、C5系石油樹脂などの石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン系樹脂およびそれらの水素添加樹脂中の少なくとも一種の樹脂などが挙げられる。これらの中からASTM法E28で測定される環球式軟化点が約70℃〜150℃、好ましくは、約95℃〜130℃、特に好ましくは、約95℃〜105℃のものが用いられる。
また、前記接着剤層には、フェノール系、フォスファイト系、チオエーテル系などの酸化防止剤が5重量%以下の割合で含まれていてもよい。
また、接着剤層の目付け量は20〜200g/m2、好ましくは50〜130g/m2、より好ましくは75〜100g/m2である。
表皮材の外層として使用される樹脂シートとしては、自体公知の樹脂シートが用いられるが、なかでも、サーモプラスチックオレフィン(TPO)を主成分とし、樹脂シート単独での硬さ(A硬度)が50〜95、好ましくは80〜94、厚さが0.3〜0.9mm、好ましくは0.5〜0.8mmであるものが適している。
また、中間層として用いられる前記ポリオレフィン樹脂発泡体シートも自体公知のものが使用されるが、なかでも、エラストマーを30〜50重量%含む架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体で,厚さが2.5〜3.5mm、発泡倍率が10〜30倍のものが好適に使用される。
発泡倍率が10倍未満では、硬くて本発明において要求されるソフトタッチにならず、また発泡倍率が30倍を超すと耐久性が不足するために好ましくない。
表皮材の成形方法
前記車両インストルメントパネルは、ポリプロピレンからなる基材に、前記表皮材の接着剤層を当接して、両者を接合して真空成形などによって一体化させて得られるものである。
真空成形には、凸引き真空成形と凹引き真空成形が知られているが、本発明においては、凹引き真空成形を採択し、高温での成形を行うことにより成形型の微細な凹凸等の形状を、一体成形後のインストルメントパネルの表面形状とすることができる。
なお、本発明は広義では真空成形に含まれる、圧空成形、真空・圧空成形、プラグアシスト真空成形などにも適用可能である。
本発明者らは、前記特定の接着剤を使用し、本発明の目的が好適に達成され得るその成形条件を試行錯誤により探求した。
その結果、前記表皮材の接着剤層面を、接着時に160〜200℃、好ましくは170〜180℃になるように加熱し、接着剤を塗工していないポリプロピレン製基材面を20〜70℃、好ましくは40〜60℃の加熱下に重ね合わせた状態で凹引き真空成形することによって、より一層、成形型に形成された微細な形状がそのまま表面形状として再現された車両インストルメントパネルが得られることが分かった。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
実施例および比較例
実施例1
厚み0.6mmで、硬さ(A硬度)88のTPOシートと、発泡倍率10倍、厚み3.0mm、エラストマー50%を含む配合のポリプロピレンフォームを加熱、積層、圧着し、表皮外層と中間層からなる、表皮材の構成部材を作成した。
ついで接着剤層を構成する結晶性プロピレン系ポリマーとして、プロピレン含量が85重量%超の単独重合体を、200℃での粘度が1,868mPa・sに達するまで分解したポリプロピレン78.8重量%、粘着付与剤として、石油樹脂(荒川化学工業製:「アルコンM-100」)19.7重量%、ワックスとして、マレイン酸変性ポリプロピレンワックス(イーストマンケミカル社製:「Epolene E43」マレイン酸含量3.4重量%)1重量%、核剤として、ジベンジリデンソルビトール系核剤(ミリケンケミカル社製:「ミラッドNX8000」)0.2重量%、酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤(BASF社製:「Irganox1010」)0.3重量%を常法により配合して、ホットメルトタイプの接着剤を作成した。
これを、前記表皮材構成部材の中間層面に、リバースコートにより目付量100g/m塗布し、表皮材を作成した。この表皮材は、カールがなく、取扱い性に優れ、成形機装填時の作業性に問題がなく、また、硬さ(A硬度)が50でインストルメントパネル表皮に適した柔らかさであった。
この表皮材を凹引き真空成形機によって、表皮外層面を170℃、表皮材の接着剤層面を200℃に加熱し、接着時の表皮材の接着剤層面の温度を160℃として、接着剤を塗布していないポリプロピレン製基材接着面の温度を50℃に加熱し、これらを重ね合わせて凹引き真空成形し、接着と同時に基材面の絞を転写することによって、成形型の微細な形状がそのまま表面形状として再現された車両用インストルメントパネルを得ることができた。
また、テストサンプルとして、表皮材の接着剤層面を200℃に加熱し、接着時の表皮材の接着剤層面の温度を160℃として、接着剤を塗布していないポリプロピレン製基材接着面の温度を20℃および50℃の2水準に調整し、貼り合わせて直ぐに約0.05MPaの圧力を1分間かけ、硬化させた。なお硬化時間はホットメルトタイプでは1時間、溶剤系架橋タイプでは24時間とする。初期接着力テストとして、このサンプルを25mm幅にカットし、180度剥離テストを行い、すべて材料破壊であれば合格、半分以上材料破壊であれば使用可能、それ未満であればNGとするところ、合格だった。
別に耐熱クリープテストとして、このテストサンプルを所定の温度、時間放置した後、ポリプロピレン製基材と表皮材の接着剤層面の間をカッター等で剥離して100℃、荷重100gで90°剥離を行ない、24時間後にサンプルを取り出し5mm以上の剥離が無ければ合格とするところ、23℃×6か月、40℃×4か月、50℃×4か月ならびに60℃×2週間の条件で放置後においても、合格だった。
下記の実施例2ないし実施例9においては、前記実施例1において用いた接着剤層を用い、表皮外層の厚み(mm)および硬度(A硬度)、ポリプロピレンからなる中間層の組成ならびに接着剤層の目付量を下記の通り変更し、凹引き真空成形およびテストサンプルにより表皮材の性能を評価した。
実施例2:
表皮外層:厚み0.6mm、硬さ(A硬度)88
中間層:発泡倍率10倍、厚み3.0mm、エラストマーを含まない配合のポリプロピレンフォーム
接着剤層の目付量:100g/m
実施例3:
表皮外層:厚み0.6mm、硬さ(A硬度)88
中間層:発泡倍率10倍、厚み3.0mm、エラストマー50%を含む配合のポリプロピレンフォーム
接着剤層の目付量:75g/m
実施例4:
表皮外層:厚み0.6mm、硬さ(A硬度)88
中間層:発泡倍率10倍、厚み3.0mm、エラストマー50%を含む配合のポリプロピレンフォーム
接着剤層の目付量:50g/m
実施例5:
表皮外層:厚み0.6mm、硬さ(A硬度)88
中間層:発泡倍率10倍、厚み3.0mm、エラストマー30%を含む配合のポリプロピレンフォーム
接着剤層の目付量:100g/m
実施例6:
表皮外層:厚み0.6mm、硬さ(A硬度)88
中間層:発泡倍率15倍、厚み3.0mm、エラストマー30%を含む配合のポリプロピレンフォーム
接着剤層の目付量:100g/m
実施例7:
表皮外層:厚み0.6mm、硬さ(A硬度)88
中間層:発泡倍率15倍、厚み3.0mm、エラストマーを含まない配合のポリプロピレンフォーム
接着剤層の目付量:100g/m
実施例8:
表皮外層:厚み0.6mm、硬さ(A硬度)88
中間層:発泡倍率25倍、厚み3.0mm、エラストマーを含まない配合のポリプロピレンフォーム
接着剤層の目付量:100g/m
実施例9:
表皮外層:厚み0.55mm、硬さ(A硬度)95
中間層:発泡倍率25倍、厚み3.0mm、エラストマーを含まない配合のポリプロピレンフォーム
接着剤層の目付量:100g/m
実施例2ないし実施例9によって得られた表皮材について、いずれもカールはなく取り扱い性が良く、実施例1と同一条件で成形したところ、成形型の微細な形状がそのまま表面形状として再現され、インストルメントパネルに適した柔らかさであり、実施例1と同様に優れていた。特に実施例1,3,4,5,6は指で押したときの沈み込み感が良好で高品質なインストルメントパネルだった。
また、実施例1と同一条件でテストサンプルを作成したところ、ポリプロピレン製基材接着面の温度を20℃としたテストサンプルでは、実施例4と5については、耐熱クリープ性が「使用可能」レベルでやや劣る結果となったがこれ以外はすべて合格だった。
比較例1:
表皮外層および中間層の構成は上記実施例1と同じ構成であるが、接着剤層としてホットメルトタイプの接着剤(日立化成社製「YH−171−1P」)を用いて、実施例1と同じ条件で表皮材を作成したところ、得られた表皮材はカール性には問題なかったが、接着性の評価で耐熱クリープがNGとなった。
比較例2:
表皮外層および中間層の構成は上記実施例1と同じ構成であるが、接着剤層として溶剤系架橋タイプの接着剤(サンスター技研社製「ペンギンセメント#1951」)を目付量40g/m用いて作成した表皮材は、カールしてしまい成形加工性に問題があった。また、40℃で2か月放置した後に成形すると初期接着力が大きく低下しNGだった。
比較例3
表皮外層および中間層の構成は上記実施例2と同じ構成であるが、接着剤層として溶剤系架橋タイプの接着剤(サンスター技研社「ペンギンセメント#1951」)を目付量40g/m用いて作成した表皮材は、カールが多少あり、成形加工性に問題が起きることがあった。また、40℃で2か月放置した後に成形すると初期接着力が大きく低下しNGだった。
以上、本発明の実施例及び比較例を説明したが、具体的な構成はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲での変更は適宜可能であることは理解されるべきである。
本発明の車両インストルメントパネル表皮材は、表皮材の接着剤層として特定の組成物を用いることにより、車両インストルメントパネル表面の微細な凹凸形状を再現できる凹引き成形条件でも基材への接着剤塗工なしで充分に接着し、カールがなく取扱い性のよい、車両インストルメントパネルの表皮材および該表皮材を基材と一体化するため、車両インストルメントパネルとしての製品価値を高める場合に極めて利用可能性が高くなる。


































Claims (6)

  1. 樹脂シートからなる表皮外層、ポリオレフィン樹脂発泡体シートからなる中間層、および接着剤層からなる内層から構成された積層構造を有する車両インストルメントパネル表皮材において、
    前記接着剤層が、
    (A)結晶性プロピレン系ポリマー
    (B)有機酸塩、リン酸類、エチレン−(メタ)アクリル酸アイオノマー類、多価アミド成分、ソルビトール類およびそれらの対応する誘導体からなる群より選択された少なくとも1種の核剤、
    (C)オレフィン系ワックス、および、
    (D)少なくとも1種の粘着付与剤、
    からなることを特徴とする車両インストルメントパネル表皮材。
  2. 樹脂シートからなる表皮外層、ポリオレフィン樹脂発泡体シートからなる中間層、および接着剤層からなる内層から構成された積層構造を有する車両インストルメントパネル表皮材において、
    前記接着剤層が、
    (A)少なくとも1種のポリマー成分であって、該ポリマー成分の総重量に基づいて少なくとも65重量%のプロピレンを重合形態で含有するポリマー成分を30〜94.89重量%、
    (B)有機酸塩、リン酸類、エチレン−(メタ)アクリル酸アイオノマー類、多価アミド成分、ソルビトール類およびそれらの対応する誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の核剤を接着剤の重量に基づいて0.01〜3重量%、
    (C)炭素原子数が12未満である少なくとも1種のオレフィン系不飽和ジカルボン酸無水物でグラフトされたワックスである少なくとも1種の官能基化ワックスを接着剤の重量に基づいて0.1〜15重量%、
    (D)少なくとも1種の粘着付与剤を5〜60重量%、および、
    (E)少なくとも1種の酸化防止剤を0〜5重量%、
    からなり、目付け量が20〜200g/m2
    である請求項1記載の車両インストルメントパネル表皮材。
  3. 前記表皮材の硬さ(JIS K7215−1986のA硬度)が40〜60である請求項1または2記載の車両インストルメントパネル表皮材。
  4. 前記樹脂シートが、サーモプラスチックオレフィン(TPO)を主成分とし、硬さ(A硬度)が50〜95、厚さが0.3〜0.9mmである請求項1または2記載の車両インストルメントパネル表皮材。
  5. 前記ポリオレフィン樹脂発泡体シートが、エラストマーを30〜50重量%含む架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体で,厚さが2.5〜3.5mm、発泡倍率が10〜30倍である請求項1または2記載の車両インストルメントパネル表皮材。
  6. 請求項1または2記載の前記表皮材の接着剤層面を、接着時に160〜200℃になるように加熱し、接着剤を塗工していないポリプロピレン製基材面を20〜70℃の加熱下に重ね合わせた状態で凹引き真空成形することを特徴とする基材への車両インストルメントパネル表皮材の接合方法。


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