JP6693954B2 - 質量分析によるグリコサミノグリカンのレベルの測定 - Google Patents

質量分析によるグリコサミノグリカンのレベルの測定 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は2014年11月14日出願の米国仮特許出願第62/080,154号に対する優先権を主張し、その開示のすべては本明細書に組み込まれる。
種々の医学的な状態はグリコサミノグリカンの蓄積を伴う。グリコサミノグリカン(GAG)は、多くの生物学的プロセスに関与する大きな複合糖質分子である。グリコサミノグリカンは、ヘパラン、ヘパラン硫酸(HS)、ヒアルロン酸、ケラタン硫酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸及びこれらのコポリマーなどのアミノヘキソースから誘導される多糖を含む。種々のGAGは、それが含有するヘキソサミン、ヘキソースまたはヘキスロン酸単位の種類により、ならびにこれらの単位の間のグリコシド結合の幾何学的配置で異なる。場合によっては、GAG分子は二糖成分に分解されることができる。GAG及びGAG由来の二糖成分は、硫酸化、アセチル化、エピメリ化及び他の特徴の程度に関して、多くの構造的不均一性を示すことができる。ある程度はこのような変異が理由で、GAGは広範囲の異なる分子を含み、それは定量化及び特徴付けの課題に寄与する変異をもたらす。
特定のGAG、例えばHSは単一化合物ではなく、むしろ場合によっては異なる分子量を有する関連分子の集合体である。これは、HSを含む、このようなGAGの定量化または特徴付けが容易に達成可能でない1つの理由である。GAGレベルを測定する追加の及び改良された方法が、当該技術分野において求められている。
グリコサミノグリカン(GAG)を検出すること及び/または1つ以上のグリコサミノグリカンのレベルを測定することは、例えば種々の病態、種々の病態を有する患者の状態及び/または種々の病態を有する個人の治療に対する反応を確認する、または監視することにおいて、有用であり得る。本発明は、グリコサミノグリカンを検出する及び/または例えば質量分析を用いることによりグリコサミノグリカンのレベルを測定する方法を提供する。このような方法、その使用、その適用ための装置、ならびに関連する方法及び組成物は、更に本明細書に記載されている。本明細書に記載の方法は、少なくとも精度、真度、再現性及び処理量に関して、特定の従来の方法より改善されている。特定の場合において、本明細書に記載の1つ以上の方法は、精度に関して少なくとも特定の従来の方法より改善されている。他の例では、本発明の特定の実施例の有用性は、これに代えてまたはこれと併せて、種々の病態、種々の病態を有する患者の状態及び/または種々の病態を有する個人の治療に対する反応を確認する、または監視することへの適用可能性の結果である。
本発明の特定の方法は、GAG定量化の特定の課題を回避するために、GAG切断生成物の二糖の以降の定量化による、二糖成分への1つ以上のGAG分子の切断を含んでおり、その結果、1つ以上のGAG切断生成物の二糖の測定されたレベルは、1つ以上のGAGの直接定量の代替またはその代用を提供する。
二糖類が単数(例えば、「二糖」または「個々の二糖」)で称される特定の例において、「二糖」という語句は、その言及が特定の二糖を指すか否かに関わらず、試料、母集団などに存在する特定の種類のすべての分子を集合的に指すことができる。
本開示により教示されるように、特定の二糖異性体を含む多くのGAG由来の二糖(例えばGAG切断産物)は、例えば標識、例えば疎水性標識、例えば4−ブチルアニリン(4−NBA)での誘導体化後、逆相(RP)クロマトグラフィーにより分離されることができる。種々の実施形態において、標識は、クロマトグラフィー中の個々の分子または分子の種類の分離に関与する。1つ以上の選択された二糖における同位体標識内部標準物質(Istd)の有効性は、高レベルの真度及び再現性を付与することが可能なメカニズムとして含まれることができる。
少なくとも一態様において、本発明は、生体試料のグリコサミノグリカン(GAG)のレベルを測定する方法を含んでおり、前記方法は、グリコサミノグリカンの消化が二糖の混合物の生成を可能にする条件下で、1つ以上の酵素で生体試料をインキュベートする工程と、前記インキュベートする工程で生成する二糖の混合物を化学的に誘導体化する工程と、各個別の誘導体化された二糖の量を測定する工程と、前記測定する工程で測定した各個別の誘導体化された二糖の量に基づいて生体試料のグリコサミノグリカン(GAG)のレベルを測定する工程、とを含む。このような方法の特定の実施形態では、グリコサミノグリカンはヘパラン硫酸を含む。グリコサミノグリカンがヘパラン硫酸を含む実施形態を含有する、このような方法の特定の実施形態において、1つ以上の酵素は、1つ以上のヘパリン症、例えばヘパリン症I、II及び/またはIIIを含む。グリコサミノグリカンがヘパラン硫酸を含む実施形態を含有する、このような方法の特定の実施形態において、1つ以上の酵素は、コンドロイチナーゼAC、コンドロイチナーゼB、コンドロイチナーゼC、コンドロイチナーゼABC及びケラタナーゼからなる群から選択される、1つ以上の酵素を含む。
前述したもののような本発明の種々の方法において、二糖の混合物は、二糖I−S(ΔUA,2S−GlcNS,6S)、II−S(ΔUA−GlcNS,6S)、III−S(ΔUA,2S−GlcNS)、IV−S(ΔUA−GlcNS)、II−A(ΔUA−GlcNAc,6S)及び/またはIV−A(ΔUA−GlcNAc)を含むことができる。
本発明の特定の実施形態で、測定することは、誘導体化されたI−S(ΔUA,2S−GlcNS,6S)、誘導体化されたII−S(ΔUA−GlcNS,6S)、誘導体化されたIII−S(ΔUA,2S−GlcNS)、誘導化されたIV−S(ΔUA−GlcNS)、誘導体化されたII−A(ΔUA−GlcNAc,6S)、及び誘導体化されたIV−A(ΔUA−GlcNAc)のそれぞれの量を測定することを含む。
前述したもののような本発明の種々の方法において、二糖の混合物は、疎水性部分で誘導体化されることができる。
前述したもののような本発明の種々の方法において、二糖の混合物は、4−ブチルアニリン、2−アミノベンズアミド(2−AB)、2アミノ安息香酸(アントラニル酸、2−AA)、または2−アミノアクリドン(AMAC)で誘導体化される。
前述したもののような本発明の種々の方法において、測定する工程は、最初に個々の誘導体化された二糖をクロマトグラフィーにより分離して、次に各個々の誘導体化された二糖を質量分析で測定することを含むことができる。特定の実施形態では、クロマトグラフィーは逆相液体クロマトグラフィーである。
前述したもののような本発明の種々の方法において、個々の誘導体化された二糖の量は、内部標準物質と比較して測定される。例えば特定の実施形態において、各個々の二糖は4−ブチルアニリンで誘導体化されており、各対応する二糖についての内部標準物質は13−4−ブチルアニリンで標識される。
前述したもののような本発明の種々の方法において、生体試料のグリコサミノグリカン(GAG)のレベルは、測定した個々の二糖の量に基づいて合計した二糖のレベル値により決定される。
前述したもののような本発明の種々の方法において、生体試料は脳脊髄液(CSF)試料である。特定の実施形態において、CSF試料は約10μl〜100μl(例えば、10μl〜100μl、10μl〜75μl、10μl〜50μl、25μl〜100μl、25μl〜75μl、または50μl〜100μl)の範囲の量を有する。特定の実施形態において、CSF試料は約45μl〜55μlの範囲の量を有する。
前述したもののような本発明の種々の方法において、生体試料は、血液試料、血しょう試料、尿試料、または血しょう試料もしくは尿試料である。
前述したもののような本発明の種々の方法において、生体試料は、グリコサミノグリカンを抽出するために最初に処理される。
前述したもののような本発明の種々の方法において、生体試料は、0.1μM超(例えば0.1μM超、0.5μM超、1μM超、5μM超または10μM超)の濃度でグリコサミノグリカン由来の二糖を含む。
本発明の少なくとも別の態様において、本発明は、投与間隔で対象に置換酵素の治療有効量を投与することを含む治療過程で、リソソーム蓄積症を患う対象を治療することと、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法による治療過程中、対象から得た生体試料のグリコサミノグリカン(GAG)のレベルを測定することと、グリコサミノグリカンのレベルが治療前のベースラインのGAGレベルと比較して10%減少する場合、治療に有効な用量及び投与間隔を維持することと、を含む、リソソーム蓄積症を治療する方法を含む。関連する実施形態において、グリコサミノグリカンのレベルが例えば1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%減少する場合、治療に有効な用量及び投与間隔は維持される。関連する実施形態において、グリコサミノグリカンのレベルが、例えば少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%o、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%減少する場合、治療に有効な用量及び投与間隔は維持される。関連する実施形態において、通常もしくは実質的に通常のレベルに対して、対照レベルに対して、実験的にもしくは標準的に定められた通常の範囲内に対して、対照範囲内に対して、または1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%内のレベルもしくは任意のレベルに対して、グリコサミノグリカンのレベルが減少する場合、治療に有効な用量及び投与間隔は維持される。
本発明の少なくとも別の態様において、本発明は、治療を必要とする対象に、組み換えイズロン酸−2−スルファターゼ(I2S)の治療に有効な用量を定期的に髄腔内投与して、その結果、脳脊髄液(CSF)のグリコサミノグリカン(GAG)のレベルが、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法により測定される、治療前のベースラインのGAGレベルと比較して85%超減少することを含む、ハンター症候群を治療する方法を含む。
いくつかの実施形態では、本発明は、治療を必要とする対象に、組み換えヘパランN−スルファターゼの治療に有効な用量を定期的に髄腔内投与して、その結果、脳脊髄液(CSF)のグリコサミノグリカン(GAG)のレベルは、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法により測定される、治療前のベースラインのGAGレベルと比較して10%超減少することを含む、SanA症候群を治療する方法を含む。
少なくとも1つの態様において、本発明は、リソソーム蓄積症の治療を監視する方法を含み、その方法は、例えば、本明細書に記載のようなGAGレベルを監視する方法のようなそのいずれかの方法による治療過程中、投与間隔で対象に置換酵素の治療有効量を投与することと、対象から得た生体試料のグリコサミノグリカン(GAG)のレベルを測定することと、を含む治療過程で、リソソーム蓄積症を患う対象を治療することを含む。特定の実施形態において、リソソーム蓄積症は、MPSI、MPSII、MPSIIIA、MPSIIIB、MPSIIIC、MPSIIID、MPSIVA、MPSIVB、MPSVI、MPSVII、MPSIX、アルファマンノース症、アスパルチルグルコサミン尿症、ファブリー病、フコシド蓄積症、ガラクトシアリドーシス、ゴーシェ病、GM1ガングリオシドーシス、GM2活性化因子欠損症、シアリドーシス、クラッベ病、異染性白質ジストロフィー、ムコリピドーシスIV型、多種スルファターゼ欠損症、ポンペ病、サンドホフ病、テイサックス病、AB型シンドラー病、サラ病、ベータマンノース症、及びグロボイド細胞白質ジストロフィーからなる群から選択することができる。特定の実施形態では、投与は髄腔内投与または静脈内投与であり得る。いくつかの実施形態では、投与量は、10mg、45mg、90mg及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。いくつかの実施形態において、置換酵素は、組み換えヒトヘパランN−スルファターゼまたは組み換えイデュルスルファーゼであり得る。種々の実施形態において、投与間隔は、毎日、毎週、隔週、毎月、隔月、毎年またはこれらの組み合わせであり得る。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、生体試料は、脳脊髄液(CSF)、全血、細胞、組織、血しょう、血清、血液、尿及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることができる。
本明細書に記載される特定の方法は、GAGのレベルが対照GAGのレベルと比べて減少するまたはした場合、例えばGAGレベルが少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%以上減少しているまたはした、治療に有効な投与量及び/または投与間隔を維持することを含む。
本明細書に記載される特定の方法は、GAGレベルが対照GAGのレベルと比べて減少するまたはした場合、例えば治療に有効な投与量及び投与レベルを調節することが、投与量を増大する及び/または投与間隔を減少させることを含み得る場合、治療に有効な投与量及び/または投与間隔を調節することを更に含むことができる。いくつかの場合において、GAGレベルは、1%以下、2%以下、3%以下、4%以下、5%以下、6%以下、7%以下、8%以下、9%以下もしくは10%以下減少するまたはした。
本明細書に記載される特定の方法は、GAGレベルが対照GAGのレベルと比べて増大するまたはした場合、例えば治療に有効な投与量及び投与レベルを調節することが、投与量を増大する及び/または投与間隔を減少させることを含み得る場合、治療に有効な投与量及び/または投与感覚を調節することをさらに含むことができる。いくつかの場合において、GAGレベルは、少なくとも1%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%以上増大するまたはした。
本発明の種々の実施形態において、対照GAGレベルは、i)リソソーム蓄積症を患っている対象のGAGレベル、ii)治療の初期の時点で測定されたリソソーム蓄積症を患っている対象のGAGレベル、またはiii)未治療の対照対象のGAGレベルであり得る。
少なくとも1つの態様において、本発明は、治療を必要とする対象に、組み換えイズロン酸−2−スルファターゼ(I2S)の治療に有効な用量を定期的に髄腔内投与して、その結果、脳脊髄液(CSF)のグリコサミノグリカン(GAG)のレベルは、GAGレベルを測定するいずれかの方法、例えば、本明細書に記載されるいずれかの方法により測定される、治療前のベースラインのGAGレベルと比較して85%超減少できることを含有する、ハンター症候群を治療する方法を含む。
特定の実施形態では、例えば、以下が提供される:
(項目1)
生体試料のグリコサミノグリカン(GAG)のレベルを測定する方法であって、前記方法が、
a)グリコサミノグリカンの消化が二糖の混合物の生成を可能にする条件下で、1つ以上の酵素で生体試料をインキュベートする工程と、
b)工程a)で生成する前記二糖の混合物を化学的に誘導体化する工程と、
c)各個別の前記誘導体化された二糖の量を測定する工程と、
d)工程c)で測定した前記各個別の誘導体化された二糖の量に基づいて生体試料のグリコサミノグリカン(GAG)のレベルを測定する工程と、を含む、方法。
(項目2)
前記グリコサミノグリカンがヘパラン硫酸を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記1つ以上の酵素が1つ以上のヘパリナーゼを含む、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
前記1つ以上のヘパリナーゼがヘパリナーゼI、II及び/またはIIIを含む、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記1つ以上の酵素が、コンドロイチナーゼAC、コンドロイチナーゼB、コンドロイチナーゼC、コンドロイチナーゼABC及びケラタナーゼからなる群から選択される、項目1または2に記載の方法。
(項目6)
前記二糖の混合物が、二糖I−S(ΔUA,2S−GlcNS,6S)、II−S(ΔUA−GlcNS,6S)、III−S(ΔUA,2S−GlcNS)、IV−S(ΔUA−GlcNS)、II−A(ΔUA−GlcNAc,6S)及び/またはIV−A(ΔUA−GlcNAc)を含む、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
前記測定することが、誘導体化されたI−S(ΔUA,2S−GlcNS,6S)、誘導体化されたII−S(ΔUA−GlcNS,6S)、誘導体化されたIII−S(ΔUA,2S−GlcNS)、誘導化されたIV−S(ΔUA−GlcNS)、誘導体化されたII−A(ΔUA−GlcNAc,6S)、及び誘導体化されたIV−A(ΔUA−GlcNAc)のそれぞれの量を測定することを含む、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記二糖の混合物が疎水性部分で誘導体化されている、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記二糖の混合物が、4−ブチルアニリン、2−アミノベンズアミド(2−AB)、2アミノ安息香酸(アントラニル酸、2−AA)、または2−アミノアクリドン(AMAC)で誘導体化されている、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記工程c)が、
(i)前記個々の誘導体化された二糖をクロマトグラフィーにより分離することと、
(ii)前記各個々の誘導体化された二糖を質量分析で測定することと、を含む、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
前記クロマトグラフィーが逆相液体クロマトグラフィーである、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記各個々の誘導体化された二糖が内部標準物質と比較して測定される、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記各個々の二糖が4−ブチルアニリンで誘導体化されており、各対応する二糖の内部標準物質が 13 −4−ブチルアニリンで標識されている、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記生体試料中の前記グリコサミノグリカン(GAG)のレベルが、前記測定した個々の二糖の量に基づいて合計した二糖のレベル値により決定される、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
前記生体試料が脳脊髄液(CSF)試料である、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
前記CSF試料が約10μl〜約100μlの範囲の量を有する、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記CSF試料が約45μl〜約55μlの範囲の量を有する、項目15に記載の方法。
(項目18)
前記生体試料が血液試料である、項目1〜14のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記生体試料が血しょう試料または尿試料である、項目1〜14のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記生体試料が、グリコサミノグリカンを抽出するために最初に処理される、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記生体試料が、0.1μM超の濃度でグリコサミノグリカンを含む、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
リソソーム蓄積症の治療を監視する方法であって、前記方法が、
投与間隔で対象に置換酵素の治療有効量を投与することを含む治療過程で、リソソーム蓄積症を患う対象を治療することと、
先行項目のいずれか一項に記載の方法による治療過程中、対象から得た生体試料のグリコサミノグリカン(GAG)のレベルを測定することと、を含む前記方法。
(項目23)
前記リソソーム蓄積症が、MPSI、MPSII、MPSIIIA、MPSIIIB、MPSIIIC、MPSIIID、MPSIVA、MPSIVB、MPSVI、MPSVII、MPSIX、アルファマンノース症、アスパルチルグルコサミン尿症、ファブリー病、フコシド蓄積症、ガラクトシアリドーシス、ゴーシェ病、GM1ガングリオシドーシス、GM2活性化因子欠損症、シアリドーシス、クラッベ病、異染性白質ジストロフィー、ムコリピドーシスIV型、多種スルファターゼ欠損症、ポンペ病、サンドホフ病、テイサックス病、AB型シンドラー病、サラ病、ベータマンノース症、及びグロボイド細胞白質ジストロフィーからなる群から選択される、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記投与が髄腔内投与または静脈内投与である、項目22または23に記載の方法。
(項目25)
前記投与量が、10mg、45mg、90mg及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目22〜24のいずれか1項に記載の方法。
(項目26)
前記置換酵素が、組み換えヒトヘパランN−スルファターゼまたは組み換えイデュルスルファーゼである、項目22〜25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記投与間隔が、毎日、毎週、隔週、毎月、隔月、毎年またはこれらの組み合わせである、項目22〜26のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
前記生体試料が、脳脊髄液(CSF)、全血、細胞、組織、血しょう、血清、血液、尿、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目22〜27のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
前記GAGのレベルが対照GAGのレベルと比べて低下する場合、前記治療的に有効な用量及び/または前記投与間隔を維持することを更に含む、項目22〜28のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
前記GAGのレベルが少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%以上減少する、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記GAGのレベルが対照GAGのレベルと比べて低下する場合、前記治療的に有効な用量及び/または投与間隔を調節することを更に含む、項目22〜28のいずれか一項に記載の方法。
(項目32)
前記治療に有効な用量及び投与レベルを調節することが、前記投与量及び/もしくは投与間隔を増加させる、または前記投与量及び/もしくは投与間隔を減少させることを含む、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記GAGレベルが1%以下、2%以下、3%以下、4%以下、5%以下、6%以下、7%以下、8%以下、9%以下もしくは10%以下減少する、項目31に記載の方法。
(項目34)
前記GAGのレベルが対照GAGのレベルと比べて増加する場合、前記治療的に有効な用量及び/または投与間隔を調節することを更に含む、項目22〜28のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
前記治療に有効な用量及び投与レベルを調節することが、前記投与量及び/もしくは投与間隔を増加させる、または前記投与量及び/もしくは投与間隔を減少させることを含む、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記GAGのレベルが少なくとも1%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%以上増加する、項目34に記載の方法。
(項目37)
前記対照GAGのレベルが、i)リソソーム蓄積症を患っている対象のGAGレベル、ii)治療の初期の時点で測定されたリソソーム蓄積症を患っている対象のGAGレベル、またはiii)未治療の対照対象のGAGレベルである、項目29〜36のいずれか一項に記載の方法。
(項目38)
治療を必要とする対象に、組み換えイズロン酸−2−スルファターゼ(I2S)の治療に有効な用量を定期的に髄腔内投与して、その結果、脳脊髄液(CSF)のグリコサミノグリカン(GAG)のレベルが、先行項目のいずれか一項に記載の方法により測定される、治療前のベースラインのGAGレベルと比較して85%超減少することを含む、ハンター症候群を治療する方法。
定義
本発明をもっと簡単に理解するために、初めに特定の用語を定義する。以下の用語及び他の用語についての追加の定義は本明細書全体にわたって記載する。この定義が当業者によるこれらの用語の理解と矛盾しない限り、この定義はこれらの用語の一般的な意味を除外することを意図しない。
バイオマーカー:本明細書で定義される「バイオマーカー」という用語は、疾患、疾患を発症する危険性、キャリアーの状況または治療的介入への反応の指標として使用することができる物質(例えば、タンパク質または核酸)を指す。通常、適切なバイオマーカーは、指標として客観的に測定され、かつ評価されることができる特徴を有する。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、別の表現型状況(例えば疾患がない)と比較して1つの表現型状況(例えば疾患がある)の対象から得た試料中に特異的に存在する、有機生体分子である。異なる群のバイオマーカーの発現レベルの平均値または中央値が統計学的に有意であると計算される場合、バイオマーカーは異なる表現状況間に特異的に存在する。統計的有意性に関する通常の試験は、とりわけt検定、ANOVA、クルスカル−ウオーリス、ウィルコクソン、マンホイットニー、オッズ比、線形判別分析、二次判別分析及びK近傍法を含む。バイオマーカーは、単独あるいは組み合わせて、対象が1つの表現型状況または別のものに属する相対危険度の計測を、提供する。それゆえ、それらは、疾患(診断)、薬剤(セラノスティクス)の治療有効性及び毒性のマーカーとして有用である。
対照:本明細書で使用する場合「対照」という用語は、結果が比較される標準物質という、当該技術分野で理解される意味を有する。通常、対照とは、このような変数について結論を出すために、変数を単離することにより試験の整合性を補完するために使用される。
誘導体化:本明細書で使用する場合「誘導体化」とは、例えば安定的もしくは半安定的な方法で第1及び第2の分子または化合物が結合するようにできる条件下で、第1の化合物または分子を第2の化合物または分子と接触させることにより、第1の化合物または分子と第2の能動的に提供された化合物または分子を化合させることを意味する。本明細書で使用する場合、誘導体化された試料とは、誘導体化工程に供された試料を意味する。したがって本明細書で使用する場合「誘導体化された」化合物または分子は、提供された第2の化合物または分子と結合している化合物または分子である。特定の第2の化合物または分子が1つ以上の特定の実施形態に関して明記される場合、このような実施形態で使用する誘導体化された化合物または分子を、特に断りのある場合を除いて、提供される第2の化合物または分子と結合している化合物または分子を意味すると、当業者は理解するであろう。
消化:本明細書で使用する場合「消化」とは、化合物または分子の2つ以上の要素部分が接合した1つ以上の化学的相互作用を破壊することを意味し、その破壊は2つ以上の要素部分の2つ以上の分離をもたらす。消化は、例えば、化合物または分子を切断できる酵素を化合物または分子に接触させることによる、化合物または分子の酵素消化を含む。
有効量:本明細書で使用する場合「有効量」という用語は、その意図した目的(複数可)を実現するのに十分な化合物または薬剤の量を意味する。本発明の文脈において、目的(複数可)は、例えば、少なくとも1つの発明のバイオマーカーの発現を調節すること、及び/またはGAG状態の開始を遅延させるもしくは防ぐこと、及び/またはGAG状態の症状の進行、憎悪もしくは悪化を遅らせるもしくは停止させること、及び/またはGAG状態に関連する1つ以上の症状を緩和すること、及び/またはGAG状態の症状の改善をもたらすこと、及び/またはGAG状態を治癒することであり得る。
酵素:本明細書で使用する場合「酵素」という用語は、触媒作用により生物学的物質の変化を生成可能な任意のタンパク質を意味する。
酵素活性:本明細書で使用する場合「酵素活性」「酵素的活性」または文法的相当語句は、酵素の一般的な触媒特性を意味する。
単離した:本明細書で使用する場合「単離した」という用語は、(1)(元来及び/もしくは実験の設定のいずれかで)最初に生成したとき結合する少なくともいくつかの成分から分離された、ならびに/もしくは(2)ヒトの手によって設計、生成、調製及び/もしくは製造された、物質ならびに/または実体を意味する。単離された物質及び/または実体は、最初に会合する他の成分の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%以上もしくは約99%単離してもよい。いくつかの実施形態では単離された化学物質は、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%以上または約99%純粋である。本明細書で使用するとき、物質に他の成分が実質的に存在しない場合、物質は「純粋」である。いくつかの実施形態では、当業者には理解されるように、例えば1つ以上の担体または賦形剤(例えば、緩衝剤、溶媒、水など)のような特定の他の成分と結合された後、物質は依然として「単離された」または「純粋である」と見なすことができ、このような実施形態では、物質のパーセント単離または純度は、このような担体または賦形剤を含まずに計算される。いくつかの実施形態では、単離は、(例えば、ポリペプチドドメインをより長いポリペプチドから単離するため及び/またはヌクレオチド配列要素をより長いオリゴヌクレオチドまたは核酸から単離するため)共有結合の破壊を含む、またはそれを必要とする。
脊髄内投与:本明細書で使用する場合「脊髄内投与」または「脊髄内注入」という用語は、脊柱管(脊髄を囲む髄腔内の空間)への注入を意味する。穿頭孔、または大槽もしくは腰椎穿刺などによる側脳室の注入を含む、種々の技術を使用してもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本発明による「脊髄内投与」または「脊髄内送達」は、腰椎区域または領域を介したIT投与または送達、すなわち腰椎IT投与または送達を指す。本明細書で使用する場合「腰椎区域」または「腰椎領域」という用語は、第3及び第4の腰椎(下背)椎骨の間の領域、及び更に包括的にはもっと含めると脊椎のL2〜S1領域を意味する。
レベル:本明細書で使用する場合「レベル」という用語は、測定可能な質もしくは実体、例えば分子、化合物、分子もしくは化合物の種類、分子もしくは化合物の群、表現型、遺伝子型、症状、事象もしくは他の測定可能な質もしくは実体の、定量的測定もしくはその発現の絶対的もしくは相対的な量、濃度、頻度または定性を意味する。
正常:本明細書で使用する場合、「個体」または「対象」という用語を修飾するのに使用するときの「正常」という用語は、特定の疾患または状態を有さず、疾患もしくは症状のキャリアーでもない個体または個体群を意味する。「正常」という用語は、正常もしくは野生型の個体または対象から単離された生物試験片または試料、例えば「正常な生体試料」を認定するのにも使用される。
試料:本明細書で使用する場合「試料」という用語は、それを得たものの質、特性または量を示すことを目的とするものの小さな一部を意味する。試料という用語は、任意の供給元から得た任意の試料を包含する。
治療:本明細書で使用する場合「治療」(「治療する」または「治療すること」も)という用語は、広義には、特定の疾患、障害及び/もしくは状態(例えば、サンフィリポ症候群、ハンター症候群)の1つ以上の症状もしくは特徴を、部分的または完全に緩和、改善、除去、抑制、開始の遅延、重症度の低下ならびに/または発生を低下させる、治療用タンパク質(例えば、リソソーム酵素)の任意の投与を意味する。このような治療は、関連する疾患、障害及び/もしくは状態の徴候を示さない対象、ならびに/または、前記疾患、障害及び/もしくは状態の初期の徴候のみを示す対象のものであり得る。代替的にまたは追加的に、このような治療は、関連する疾患、障害及び/もしくは状態の1つ以上の確立された徴候を示す対象のものであり得る。いくつかの実施形態では、治療は、関連する疾患、障害及び/または状態があると診断された対象のものでもよい。いくつかの実施形態では、治療は、関連する疾患、障害及び/または状態が起きる危険性の増加と統計学的に関連する、1つ以上の感受性因子があることが既知の対象のものでもよい。
ヘパリナーゼを使用した酵素的解重合によって生成されたΔ−不飽和HS二糖を表す、例示の図及び表である。HS二糖の一般的な構造である。二糖は、α/β1−4グリコシド結合によるグルコサミンに結合されるヘキスロン酸を含有する。ヘキスロン酸の4−5Δ不飽和は天然の特性でなく、酵素の除去機構により導入される。置換の通常部位をR1、R2及びR3で示す。二糖は、そのN−置換、すなわちN−硫酸化及びN−アセチル化に基づいて2つのカテゴリに構造上分けられる。各カテゴリにおいて、二糖は、異なるヒドロキシル酸素で硫酸化されることができる。IIS/IIIS及びIIA/IIIAは、O−硫酸基の位置に関連して位置異性体であることに留意されたい。 図2A及び図2Bは、4−ブチルアニリン(4−NBA)を有するHS二糖の還元的アミノ化を表す、例示の図及びグラフである。図2Aは、4−NBAの化学構造、及び内部二糖標準物質を生成する際に使用するその13C同位体標識体を表す、図である。図2Bは、水酸基とアルデヒド基の間に平衡化した状態で存在する二糖の還元末端を表す、図及びグラフである。還元的アミノ化の間、4−NBAの一級アミンはアルデヒドと直ちに反応して、共有結合性イミン結合を形成する。イミン結合は還元剤によって更に還元されて、より安定的なアミン結合を生成した。高分解能質量スペクトルは、6Daより重い、その内部標準物質と一価の代表的な二糖(IIS)を示した。 図2A及び図2Bは、4−ブチルアニリン(4−NBA)を有するHS二糖の還元的アミノ化を表す、例示の図及びグラフである。図2Aは、4−NBAの化学構造、及び内部二糖標準物質を生成する際に使用するその13C同位体標識体を表す、図である。図2Bは、水酸基とアルデヒド基の間に平衡化した状態で存在する二糖の還元末端を表す、図及びグラフである。還元的アミノ化の間、4−NBAの一級アミンはアルデヒドと直ちに反応して、共有結合性イミン結合を形成する。イミン結合は還元剤によって更に還元されて、より安定的なアミン結合を生成した。高分解能質量スペクトルは、6Daより重い、その内部標準物質と一価の代表的な二糖(IIS)を示した。 C18逆相クロマトグラフィーを使用した、4−NBA標識HS二糖のLC/MS分離を表す、一連の代表的なグラフである。サンフィリポ症候群A型患者のCSFのHSの消化から生成される大量の種を表す、6つの市販の二糖が示される。分離は、12分の短いLC法によって達成された。異性体のN−硫酸化二糖IIS及びIIISは、ベースライン分離した。同様にN−アセチル化異性体IIA及びIIIAは、このプラットフォームを使用して分離できる(図示せず)。 試料の調製手順の工程を表す、代表的なダイアグラムである。 1日の二糖の較正曲線の直線性及び真度を表す、代表的なグラフである。較正曲線を作成するために、6つの二糖の規定比率での混合物が調製されて、マトリックス内に添加されて標識された。0.1μM〜50.0μMの範囲の混合物の8つのゼロ以外の標準(STD)濃度レベルを、繰り返し使用した。STD1は、アッセイのLLOQを表す。最適な線形曲線を、キャリブレーターの名目上の濃度と検出器の反応の間の関係を説明するために作成した。Y軸は、6つの二糖のそれぞれのIstdに対する合計した標準化反応を表す。この関係の線形は、測定の係数R=0.99により裏付けられた。 サンフィリポ症候群A型患者対対照のCSFのHSレベルを示す、代表的なグラフである。定量下限値(n=53)未満のHS濃度を有する対照試料は、プロットされなかった。 サンフィリポ症候群A型患者の組み換えヘパランN−スルファターゼ酵素の補充治療の脊髄内投与後、CSFのHS濃度の変化を示す、代表的なグラフである。 ハンター症候群患者対対照のCSFのHSレベルを示す、代表的なグラフである。定量下限値(n=53)未満のHS濃度を有する対照試料は、プロットされなかった。 組み入れた試験患者の内訳を示す、代表的なダイアグラムである。 年齢及び認識状態による(薬力学的集団)CSF GAG濃度を示す、代表的なグラフである。定量下限(LLOQ)未満の値はLLOQ値で置き換えた。 組み換えヒトヘパランN−スルファターゼで治療したサンフィリポ症候群A型患者のCSF GAG濃度を示す、代表的なグラフである。
本発明は、1つ以上のグリコサミノグリカン(GAG)のレベルを測定する方法及び組成物を含む。特定のGAG、例えばヘパラン硫酸(HS)は単一化合物ではなく、場合によっては異なる分子量を有する関連分子(HS GAG分子)の集合体である。種々の実施形態において、前記方法は、生体試料(例えば、GAGを含む生体試料)を酵素で消化して、消化した生体試料を作成して、その後消化した生体試料を誘導体化する工程を含むことができる。誘導体化の後、試料は、誘導体化された試料中に存在する化合物を同定するために分析されることができ、同定された化合物は、直接的または間接的に1つ以上のグリコサミノグリカンのレベルを提供する。したがって種々の実施形態で、本発明は、試料中の1つ以上のGAG(例えばHS)のレベルを測定する方法であり、この方法は消化する、誘導体化する及び分析する工程を含有する。
本発明の種々の実施形態において、分析することは1つ以上の分離工程及び1つ以上の検出工程を含む。一般に分離とは、クロマトグラフィーまたは当該技術分野において既知の関連する方法などの技術による分離を含むことができる。一般に検出とは、質量分析などの技術を含むことができる。したがっていくつかの特定の実施形態において、本発明は、試料中の1つ以上のGAGのレベルを測定する方法を含み、この方法は消化する、誘導体化する、分離する、及び検出する工程を含む。
本発明の種々の実施形態において、生体試料は、抽出工程により酵素消化のために調製される。本発明の種々の実施形態において、生体試料は、抽出工程により調製される(例えば、酵素消化、誘導体化、消化とその後の誘導体化、または誘導体化とその後の消化のために調製される)。本発明の種々の実施形態において、生体試料は、抽出とその後の脱塩工程により調製される(例えば、酵素消化、誘導体化、消化とその後の誘導体化、または誘導体化とその後の消化のために調製される)。例えば、臨床試料は1人以上の患者から収集することができ、GAGは臨床試料から抽出可能である。場合によっては、このような抽出によって生成した生成物は脱塩される。したがっていくつかの特定の実施形態において、本発明は、試料中の1つ以上のGAG(例えばHS)のレベルを測定する方法を含み、この方法は抽出する、消化する、誘導体化する及び検出する工程を含む。更にいくつかの特定の実施形態において、本発明は、試料中の1つ以上のGAGのレベルを測定する方法を含み、この方法は抽出する、脱塩する、消化する、誘導体化する、分離する、及び検出する工程を含む。これらの工程のうちの2つ以上のいずれかは、これらの工程のうちの2つ以上のいずれかを含む特定の実施形態を含有する、任意の順序で実行することができ、そこで、これらの工程から選択される更なる工程が分析工程の後に必ずしも続くわけではないという限りにおいて、その組み合わせは最終的な分析工程を含む、またはこれらの工程から選択される更なる工程が検出工程の後に必ずしも続くわけではないという限りにおいて、特に最終的な検出工程を含む。
種々の実施形態では、本発明の方法は、1つ以上のGAG(例えば、HS)または1つ以上のその成分のレベルを監視することによって、疾患または状態の経過を監視するために利用できる。特定の実施形態では、本発明の方法は、対象、例えば治療薬で治療している対象中の、1つ以上のグリコサミノグリカンまたは1つ以上のその成分のレベルを監視するために利用することができる。特定の実施形態では、本発明の方法は、1つ以上のGAGもしくはその1つ以上の成分のレベルの臨床的に重大な調節もしくは不均衡と関連する状態(GAG状態)を有する、もしくはそれを有する危険性があるとして診断された対象中の、1つ以上のグリコサミノグリカンまたは1つ以上のその成分のレベルを監視するために利用することができる。GAG状態とは、例えば、MPSI、MPSII、MPSIIIA、MPSIIIB、MPSIIIC、MPSIIID、MPSIVA、MPSIVB、MPSVI、MPSVII及びMPSIX(例えばSanA及びSanBを含む)、ならびにハンター症候群を含む。特定の実施形態では、本発明の方法は、リソソーム蓄積障害もしくはリソソーム蓄積障害であるGAG状態を有する、もしくはそれを有する危険性があるとして診断された対象中の、1つ以上のグリコサミノグリカンまたは1つ以上のその成分(例えば二糖成分)のレベルを監視するために利用することができる。
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、グリコサミノグリカンの不均衡と関連する病態を有する対象中の、1つ以上のグリコサミノグリカンまたは1つ以上のその成分のレベルを測定するために利用することができる。特定の実施形態では、本発明の方法は、更なる測定基準またはバイオマーカー、例えばGAG状態のバイオマーカー、例えばGAG状態の存在、活性もしくは進行の定性的または定量的バイオマーカーと共に用いられる。
種々の実施形態では、本発明の方法は、状態、例えばGAG状態を治療している個人中の、1つ以上のグリコサミノグリカンまたは1つ以上のその成分のレベルを測定するために利用することができる。
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、1つ以上の他のグリコサミノグリカン、もしくは他のバイオマーカーもしくは生物学的分子などの、絶対的または相対的標準物質に対する、1つ以上のグリコサミノグリカンのレベルにおける不均衡と関連する状態を診断するために利用することができる。
本発明の方法及び組成物の種々の実施形態は、本明細書でより詳細に説明される。
試料
本発明は特に、試料中の1つ以上のグリコサミノグリカンまたは1つ以上のその成分(例えば二糖成分)のレベルを測定するための、方法及び組成物を提供する。本明細書で使用する場合、試料という用語は、最初に収集した試料、ならびにその後に生成した変異型(複数可)またはその試料の一部を含み、その後に生成した変異型またはその一部は、本発明の種々の工程のいずれかによることを含む、例えば任意の種類の実験手順、物質の追加、物質の除去、その成分の改変などによる、その試料に由来する。特定の実施形態では、試料は、複数の試料をプールした複合体である。
本発明の特定の実施形態において、試料は生体試料である。生体試料は、生存する対象、例えばヒト対象に由来する、もしくはそれと接触した1つ以上の細胞、1つ以上の組織、1つ以上の体液、1つ以上の分子または1つ以上の物質の量を含む、任意の試料であり得る。
特定の場合において、生体試料は脳脊髄液、またはその成分である。特定の場合において、生体試料は血液、またはその成分である。特定の場合において、生体試料は血しょう、またはその成分である。特定の場合において、生体試料は尿、またはその成分である。特定の場合において、生体試料は糞便物質、またはその成分である。特定の場合において、生体試料は唾液、身体の腔から生じる流体、関節から生じる流体、涙液、またはこれらの成分である。特定の場合において、生体試料は、組織生検により作製された試料などの組織材料である。組織材料は、例えば脳組織、腎臓組織、肝臓組織、肺組織、毛髪、爪、生殖器組織、皮膚、腱、軟骨もしくは軟骨性組織、結合組織、腸粘膜、または筋肉組織のうちの1つ以上のいずれかを含む、当業者に周知の任意の組織から由来してもよい。好適な生体試料の例として、血清、尿、大便、唾液、表皮試料、口腔粘膜試料採取、精子、培養細胞、骨髄、口腔擦過、臍帯血、絨毛試料、絨毛試料培養組織、羊水、羊水培養物及び/または経頸部洗浄液が挙げられるが、これらに限定されない。
任意の生体試料の細胞培養物、例えば絨毛試料の培養物及び/または羊膜細胞培養物などの羊水培養物も、生体試料として使用できる。好適な生体試料は、胎児、若年成人、成人(例えば、妊婦)などライフステージから得ることができる。固定化または凍結された組織も使用され得る。
本発明に好適な生体試料は、対象から採取したばかりの試料もしくは対象から採取した凍結試料、または周知の診断、治療及び/もしくは転帰歴のある保管試料でもよい。生体試料は、任意の侵襲的または非侵襲的手段によって、例えば対象からCSFもしくは血液を採取することによって、または穿刺吸引もしくは針生検を使用することによって、または外科的生検によって収集してよい。
ある場合には、本発明の対象、例えば試料を得る対象は、動物である。特定の場合には、本発明の対象、例えば試料を得る対象は、哺乳動物である。ある場合には、本発明の対象、例えば試料を得る対象は、ヒトまたは非ヒト霊長類である。対象は、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヤギ、ニワトリ、ブタ、鳥または魚などの動物でもよい。対象は、獣医学的動物、家畜動物またはコンパニオンアニマルでもよい。対象は、GAG状態であることが周知の、GAG状態があると診断された、GAG状態の危険性がある、またはGAG状態に関して診断を必要とする、ヒトであり得る。対象は、GAG状態の治療を必要とする個人でもよい。対象は、GAG状態の治療を受けている個人でもよい。
種々の実施形態では、試料または生体試料は、実験用試薬を含むことができる、またはそれを組み合わせることができる。例えば試料または生体試料は、最初に対象から得た試料を、1つ以上の防腐剤、賦形剤、希釈剤、緩衝剤または本発明の方法に従って試料の分析を容易にする任意の薬剤と組み合わせた試料を含むことができる。
試料、またはGAGもしくは本発明のその成分(例えば、二糖成分)は、雄鶏もしくは雌鶏の鶏冠、または卵殻、例えば鶏卵の殻を含む。当業者に周知の種々の供給源から得ることができる。
本発明の種々の実施形態において、試料は当該技術分野において周知の任意の手順によっても処理されて、試料の1つ以上のGAGまたは1つ以上のその成分を増加させることができる。このような処理は、例えば抽出工程、切断工程、誘導体化工程、分離工程もしくは検出工程、もしくは本明細書において開示される工程(例えば、前処理)の他の任意の連続もしくは組み合わせの一部もしくは全部の前に行ってもよく、またはそれは、例えば分析の直前、分離の直前もしくは検出の直前を含む、本発明の方法の任意の2つの工程の間の任意の時点で行ってもよい。このような処理が、本明細書に別途記載されている各種工程、手順もしくは方法のいずれかを、もしくは場合によってはそれを組み合わせてもしくは同一の範囲を、含むことができる、またはそれに追加することができることを当業者は理解するであろう。
本発明の種々の実施形態において、試料(例えば、最初に得た試料、生体試料、工程間の試料、抽出工程直前の試料、分離工程直前の試料または検出工程直前の試料、例えばCSF)は、1μl〜50mL以上の量、例えば1μl、2μl、3μl、4μl、5μl、10μl、20μl、30μl、40μl、50μl、75μl、100μl、250μl、500μl、1mL、5mL、10mL、25mL、50mL以上、またはそれらの間の任意の範囲である。例えば特定の実施形態では、本明細書において開示される試料は、10μl〜100μl、例えば50μlの量である。
試料は、1つの時点で、2つの時点で、またはある期間にわたる複数の定期的にもしくは不規則にサンプリングした時点で収集することができる。例えば試料は、対象、または対象の群、または同等の対象の群の選択されたメンバーから、10分〜2年以上の範囲のある期間にわたって、例えば10分、30分、1時間、6時間、12時間、1日、1週間、1か月、3か月、6か月、1年、2年以上、またはそれらの間の任意の範囲、例えば1か月〜6か月、6か月〜1年もしくは1年〜2年で、得てもよい。
本明細書に開示される試料を得るヒト対象は、例えば胚、胎児、小児または成人であり得る。小児は、例えば1歳未満、2歳未満、3歳未満、4歳未満、5歳未満、6歳未満、7歳未満、8歳未満、9歳未満、10歳未満、15歳未満もしくは18歳未満、またはそれらの間の任意の年齢でもよい。成人は、例えば18歳以上、20歳以上、25歳以上、30歳以上、40歳以上、50歳以上、60歳以上、70歳以上、80歳以上、またはそれらの間の任意の年齢、例えば18〜25歳、25〜30歳、30〜35歳、35〜40歳、40〜50歳もしくは50〜60歳でもよい。本明細書において開示される任意の実施形態において、指示がない限り、対象または試料の供給元はヒトであり得る。
グリコサミノグリカン(GAG)及びGAG状態
グリコサミノグリカン(GAG)は、生物中で、例えば細胞表面、細胞外基質(ECM)及び肥満細胞顆粒上で見つかる、一般に直鎖アニオン性ポリマーの一群を構成する。GAGは、例えばヒアルロナン、ケラタン硫酸(KS)、コンドロイチン硫酸(CS)、デルマタン硫酸(DS)、ヘパラン硫酸(HS)、ヘパリン、コンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸(CS/DS)及びヘパラン硫酸(HS)/ヘパリンを含む。GAGは広範な生物学的機能を実現し、その代謝は多数の因子により調節される。1つ以上のGAGもしくは1つ以上のその成分のレベルの、臨床的に重大な調節もしくは不均衡と関連する状態をもたらすもしくはそれに関係している、疾患または状態をGAG状態と呼んでもよい。種々の実施形態では、GAG状態はリソソーム蓄積症である。
種々の実施形態では、GAG状態は、GAGレベル、例えばグリコシダーゼ、スルファターゼもしくは脱アセチル化酵素、例えばグリカン分解酵素の調節において、直接または間接的に機能する1つ以上の酵素の機能障害を含む。
特定のGAG状態において、例えば細胞毒性をもたらすGAG分解に役立つ酵素の破壊の結果、GAGは例えばリソソーム中に蓄積することができる。GAG条件はムコ多糖症(MPS)を含み、それはGAG分解に関与している1つ以上の酵素、例えばヒドロラーゼの活性の部分的または全損失のため起こり得る、劣性遺伝性疾患であり得る。任意の特定の科学理論に束縛されるものではないが、GAG分解の少なくとも1つの周知の経路は、9つの連続的に機能する酵素を含むと考えられる。現在まで、11つの異なるMPSは特性決定されている(MPSI、MPSII、MPSIIIA、MPSIIIB、MPSIIIC、MPSIIID、MPSIVA、MPSIVB、MPSVI、MPSVII及びMPSIX)。
サンフィリポ症候群またはムコ多糖症III(MPSIII)は、グリコサミノグリカン(GAG)の分解に関与する酵素の欠乏によって特徴づけられる、まれな遺伝病である。酵素がない状態で、部分的に分解したGAG分子を身体から除去することができず、種々の組織のリソソームに蓄積して、広範な進行性身体機能障害をもたらす。MPSIIIの4つの異なる形態、所定のMPSIIIA、B、C及びDが確認された。それぞれは、GAGヘパラン硫酸の分解に関与する4つの酵素のうちの1つの欠乏を表す。すべての形態は、粗い顔貌、肝脾腫、角膜薄濁及び骨格変形を含有する、同じ臨床症状の種々の程度を含む。しかし最も顕著には認知能力の重度かつ進歩性の低下であり、それはニューロンのヘパラン硫酸の蓄積だけでなく、主要なGAG蓄積によって生じるガングリオシドGM2、GM3及びGD2とも結びつく。
GAG状態の特別な例において、サンフィリポ症候群A型(SanA;MPSIIIA)は、分解酵素ヘパランN−スルファターゼ(HNS)中の変異体による、HSの異常な異化作用からの生じる可能性がある。SanAにおいて、HS分解産物の中間体はリソソームに蓄積することができる。身体のすべての細胞型が影響を受ける可能性があると共に、SanAの臨床症状は、中枢神経系(CNS)の機能障害に関連した表現型を含み、知能及び言語発達ならびに運動技能の障害を含むが、これらに限定されない。MPS患者に対する1つの治療戦略は、タンパク質の組み換え形によって欠乏したヒドロラーゼを補充することを目的とする、酵素補充療法(ERT)である。
別の特定の例において、ムコ多糖症型IIIB(MPSIIIB;サンフィリポ症候群B型)は、酵素α−N−アセチル−グルコサミニダーゼ(Naglu)の欠乏によって特徴づけられる、常染色体劣性障害である。この酵素がない場合、GAGヘパラン硫酸は、脳の外側のより少ない蓄積と共に、ニューロン及び神経膠細胞のリソソームに蓄積する。
ハンター症候群の患者の酵素イズロン酸−2−スルファターゼ(I2S)欠乏は、種々の細胞型のリソソーム中のグリコサミノグリカン(GAG)、例えばデルマタン硫酸またはヘパラン硫酸の進行性の蓄積につながる可能性があり、場合により細胞の拡張、臓器肥大、組織破壊、及び器官系機能不全を引き起こす。一般的に、ハンター症候群の身体的徴侯には、身体的症状とニューロン症状の両方がある。ハンター症候群のいくつかの事例では、中枢神経系の関与が発育遅延及び神経系の問題を引き起こす。周辺組織のGAGの蓄積は、患者の顔貌に特有の粗暴さにつながる可能性があり、突起した額、平坦な鼻梁及び肥大した舌の原因になる。GAGの蓄積は身体の器官系に悪影響を与える可能性がある。最初に心臓、肺及び気道の壁の肥厚が生じて、肝臓、脾臓及び腎臓の異常な肥大といった徴侯が見られ、これらの重度の変化は最終的には、破局的な広範な臓器不全をもたらす可能性がある。ハンター症候群は通常、重篤、進行性、及び致死的である。
種々の実施形態では、GAG状態は、リソソーム蓄積障害、例えばMPSI、MPSII、MPSIIIA、MPSIIIB、MPSIIIC、MPSIIID、MPSIVA、MPSIVB、MPSVI、MPSVII、MPSIX、アルファマンノース症、アスパルチルグルコサミン尿症、ファブリー病、フコシド蓄積症、ガラクトシアリドーシス、ゴーシェ病、GM1ガングリオシドーシス、GM2活性化因子欠損症、シアリドーシス、クラッベ病、異染性白質ジストロフィー、ムコリピドーシスIV型、多種スルファターゼ欠損症、ポンペ病、サンドホフ病、テイサックス病、AB型シンドラー病、サラ病、βマンノース症、またはグロボイド細胞白質ジストロフィーから選択されるリソソーム蓄積障害である。それらが1つ以上のGAG、その成分またはその切断生成物のレベルの変化、改変または破壊を含む限りにおいて、これらの状態は本発明に関連するだけであり得ることを、当業者は理解するであろう。種々の実施形態では、本発明は、GAG状態に関連する酵素の活性を評価する、GAG状態の状況を評価する、または例えばそれを必要とする対象の、もしくは調査目的のためにGAG状態に関連した治療の有効性を監視するメカニズムを包含することができる、または構成することができるが、これらに限定されない。
抽出
本発明の種々の実施形態において、試料は、1つ以上のGAG(例えばHS)、またはその1つ以上の成分(例えば、二糖成分)の抽出(例えば生成もしくは分離)により処理される。GAGは、例えばヒアルロナン、ケラタン硫酸(KS)、コンドロイチン硫酸(CS)、デルマタン硫酸(DS)、ヘパラン硫酸(HS)、ヘパリン、コンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸(CS/DS)及びヘパラン硫酸(HS)/ヘパリンを含む。特定の実施形態において、抽出は、試料に存在する1つ以上の他の分子もしくは分子の種類から、1つ以上のGAG分子もしくは1つ以上のその成分を分離するまたは精製する方法である。
試料から1つ以上のGAGまたは1つ以上のその成分を抽出するための種々の方法は、当技術分野において周知である。1つ以上の特定のGAGまたは1つ以上のその特定の成分を抽出するための方法も、当技術分野において周知である。
種々の実施形態では、本発明の抽出工程は、分留、勾配もしくはスピンカラム遠心分離、遠心分離、電気泳動、クロマトグラフィー(例えば、シリカゲルクロマトグラフィー、アルミナカラムクロマトグラフィー、キラルカラムHPLC、アキラルカラムHPLC、薄層クロマトグラフィー、分取フラッシュクロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、浸透クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、分子ふるいクロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、もしくはこの文脈もしくは他の任意の文脈で本明細書において開示されるクロマトグラフィーの任意の他の方法、濾過(例えば、フロリジルプラグもしくは活性炭プラグによって)、沈殿、浸透、再結晶、フルオラス相精製、蒸留、クロマト分画、超臨界流体抽出、または当該技術分野において周知の他の任意の適用可能な技術を含むことができる。
抽出は、プロテイナーゼ、例えばパパインによる消化を含むことができる。抽出は、例えばエタノール(例えば、種々の濃度のエタノール)を含む沈殿工程を含むことができる。抽出は、アルコール分留を含むことができる。抽出は、クロマトグラフィー、例えばアニオン交換クロマトグラフィー、DEAE−Sephacelイオン交換クロマトグラフィー、SEPHAROSE(登録商標)クロマトグラフィー、またはゲル濾過クロマトグラフィー、または本明細書において開示される、もしくは当業者に周知の別のクロマトグラフィーの任意の技術を含むことができる。抽出は、GAG/GAG分子−NaClの異なる濃度を有する四級アンモニウム化合物の複合体として沈殿している、1つ以上のGAGまたは1つ以上のその成分の可溶化を含むことができる。抽出は、例えばアルカリ条件下で硫酸銅による選択的沈殿を含むことができる。抽出は、ダイアフィルトレーションまたは透析工程を含むことができる。1つ以上のGAGまたは1つ以上のその成分の抽出は、アセテートによる処理を含むことができる。GAGまたはGAG分子抽出の更なる方法は、当技術分野において周知である。
特定のGAGまたはその成分(例えば二糖成分)は、骨形成タンパク質2などの周知の結合部または結合相手との親和性に基づいて単離することができる。
試料からの1つ以上のGAGまたは1つ以上のその成分の抽出は、1つ以上のGAGまたは1つ以上のその成分が、例えば共有結合し得る、他の組織成分または関連する組織成分の破壊を必要としてもよい。1つ以上のGAGまたは1つ以上のその成分の抽出は、加水分解処理を含むことができる。1つ以上のGAGまたは1つ以上のその成分の抽出は、界面活性剤とのインキュベーションを含むことができる。1つ以上のGAGまたは1つ以上のその成分の抽出は、アルカリ処理を含むことができる。
特定の実施形態では、GAGまたはGAG成分の抽出方法は、DEAE抽出である。特定の場合において、GAGの抽出方法はDEAE抽出であり、それは、試料をDEAEと接触させて、1つ以上のGAGまたは1つ以上のその成分が溶出しないように、必要に応じてローディングバッファーで洗浄して、それから1つ以上のGAGまたは1つ以上のその成分が溶出するように、試料を溶出バッファーと接触させる。
種々の実施形態では、抽出、分離または精製は、単糖、サルフェート、ホスフェート、アセテート、シアル酸、もしくは当業者が汚染物質として認識し得る任意の成分、場合によってはGAG、その成分(例えば、二糖成分)もしくはその切断生成物ではない成分のうちの1つ以上の部分的、ほぼ完全、もしくは完全な除去を含む、またはその結果になる。
特定の実施形態では、GAGは、ヘパラン硫酸のイオン交換固相抽出により抽出される。
特定の場合において、抽出は、1つ以上のGAG分子もしくは1つ以上のその成分の絶対または相対濃度が、5%以上、例えば5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、2倍(すなわち、100%の増加)、3倍、4倍、5倍、10倍、50倍、100倍、1,000倍、1,000,000倍以上、もしくはそれらの間の任意の範囲だけ増加している(例えばモル濃度もしくは重量で測定される)、抽出試料を生成する。例えば抽出は、20%〜100%、20%〜2倍、20%〜5倍、50%〜100%、50%〜2倍、50%〜5倍、1倍〜5倍、1倍〜100倍、50倍〜100倍、100倍〜1,000倍、もしくは1,000倍〜1,000,000倍だけ、1つ以上のGAG分子もしくは1つ以上のその成分の絶対または相対濃度を増加させることができる(例えば、モル濃度または重量で測定されるように)。
特定の場合において抽出された試料は、本発明の少なくとも1つの方法による検出下限を超える、1つ以上のGAG分子または1つ以上のその成分の合計量を有する。例えば特定の実施形態では、抽出された試料は、特定のGAGもしくはその成分(例えば、二糖成分)の0.01〜100μM以上、または全二糖、例えば特定の分子もしくは全二糖のうちの0.01、0.05、0.1、0.15、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、10、20、30、40、50、100、200、300、400、500μM以上を含むことができる。
脱塩
本発明の種々の実施形態において、試料は脱塩により処理される。種々の実施形態では、脱塩は抽出後に行うことができる。種々の実施形態では、脱塩は抽出前に行うことができる。種々の実施形態では、脱塩は抽出とインラインで行うことができる。種々の実施形態では、抽出及び脱塩は同時であり、例えば単一工程の結果として一緒に行う。
特定の実施形態では、脱塩は、ゲル濾過及び/またはゲル濾過クロマトグラフィーを含む。特定の実施形態では、脱塩は、重力流カラム、クロマトグラフィーカートリッジ、ゲル濾過カラムもしくは媒体、または遠心分離もしくはスピンカラムの使用を含む。特定の実施形態では、脱塩は、ダイアフィルトレーション、例えば限外濾過膜、選択的に浸透過性膜または他の濾過媒体を使用するダイアフィルトレーションを含む。特定の実施形態において、ダイアフィルトレーションは、連続的なダイアフィルトレーション、または定量式ダイアフィルトレーション、または不連続なダイアフィルトレーションを含む。脱塩は、濃縮器、透析カセットもしくはユニット、脱塩カラム、または緩衝液交換装置を含むことができる。特定の実施形態では、脱塩は、DEAEクロマトグラフィーまたはDEAE接合によるクロマトグラフィーを含む。いくつかの実施形態では、脱塩は、蒸発工程、その後のアルコール及び/または酢酸アンモニウムによる処理を含むことができる。
特定の例において、試料(例えば、生体試料または抽出された試料)は、G−25Multitrapプレートなどの脱塩プレートに加えられて、そのプレートは、溶離剤が脱塩された試料であるように、遠心分離される。
場合によっては、脱塩は、脱塩及び関連した方法で使用するために、またはそれと関連して従来技術において周知の1つ以上の種々の緩衝液を含む。脱塩及び関連する方法で使用するためのキット及び構成要素も、市販品として入手可能である。例えば市販のゲル濾過製品は、SEPHADEX(登録商標)G−10、SEPHADEX(登録商標)G−25、Bio−Gel P−60、SEPHADEX(登録商標)G−75、SEPHADEX(登録商標)G−100、Bio−Gel P−100、SEPHADEX(登録商標)G−200、Bio−Gel P−200、SEPHACRYL(登録商標)S−300及びSEPHAROSE(登録商標)2Bを含む。周知の緩衝液は、例えばトリス−HCl、リン酸ナトリウム及び酢酸ナトリウムを含む。種々の緩衝液は、任意の好適なもしくは条件付きで最適化したpH、または他の特性に調製されることができる。
種々の実施形態では、脱塩は、透析または緩衝液交換を含む。
脱塩した生成物は、例えば真空下で及び/または50℃で、蒸発できる。
特定の場合には、脱塩工程は、インライン脱塩工程である。インライン脱塩工程は、分離及び/または検出の前に、試料を別途に脱塩する必要性を排除できる。本発明の特定の実施形態では、試料のインライン脱塩を含む装置、例えばプレカラム及び分離または分析カラムを含む装置、例えば分離または分析カラムに直接接合したプレカラムを含む装置への直接注入を含む。特定の場合において、インライン脱塩を含む装置は、逆相プレカラム及びアニオン交換カラムを含むことができる。場合によっては、逆相プレカラムは脂質を捕捉するために利用できる。特定の実施形態では、インライン脱塩のための装置は、アニオン交換カラムに接合した、例えばアニオン交換カラムに直接接合した逆相プレカラムを含む。インライン脱塩を含む種々の実施形態において、脱塩は、抽出とのインライン、分離とのインラインまたは分析とのインラインで生じる。
酵素消化
本発明の種々の実施形態は、1つ以上のGAGが二糖などのGAG成分を産生するために酵素で切断される工程を含む。GAGは、例えばヒアルロナン、ケラタン硫酸(KS)、コンドロイチン硫酸(CS)、デルマタン硫酸(DS)、ヘパラン硫酸(HS)、ヘパリン、コンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸(CS/DS)及びヘパラン硫酸(HS)/ヘパリンを含む。GAGリアーゼとして知られている酵素の群は、GAG分子を消化する酵素の例を含む。広く本発明は、種類として、他の酵素において、特異的にGAGを切断すると知られている酵素を含む。GAG分子の切断の特異性は、特定の消化酵素の選択によって、任意に達成することができる。例としては、コンドロイチン硫酸リアーゼ、コンドロイチナーゼABC、コンドロイチナーゼC、Flavobacterium heparinum由来のコンドロイチナーゼC、ヘパラン硫酸リアーゼ、連鎖球菌ヒアルロニダーゼ、Streptomycesヒアルロニダーゼ、ヒアルロニダーゼA、ヒアルロニダーゼC、精巣ヒアルロニダーゼ、ケラタンアーゼ、ヒツジ精巣由来の精巣ヒアルロニダーゼ、及びエンド−β−ガラクトシダーゼを含む。より広範なもしくはより狭義の、または条件付きでより広範なもしくはより狭義の特異的な種々の酵素は、当技術分野において周知である。このような酵素の特異性は、当業者に周知である。種々の実施形態では、消化は、GAG切断生成物を生じる。
当業者は理解していると思われるが、ヘパリナーゼI、ヘパリナーゼII及びヘパリナーゼIIIは、ヘパラン硫酸を切断することが可能な酵素である。コンドロイチナーゼAC、コンドロイチナーゼB及びコンドロイチナーゼCならびにコンドロイチナーゼABCは、コンドロイチン硫酸及び/またはデルマタン硫酸を切断することができる。ケラタナーゼIIは、ケラタン硫酸を切断することが可能である。ヒアルロニダーゼは、ヒアルロン酸を切断することが可能である。
例えばヘパリナーゼIは、ヘパラン及び関連分子を含む特定のGAGを消化する酵素である。任意の特定の科学理論に束縛されるものではないが、少なくとも特定の条件下で、ヘパリナーゼIは、1,4結合D−グルクロネートもしくはL−イズロネートL残基、及び1,4−a−結合2−スルホアミノ−2−デオキシ−6−スルホ−D−グルコース残基を含有する、多糖の除去切断に関与して、その非還元末端で末端4−デオキシ−a−D−グルコース−4−エヌロシル基をオリゴ糖に付与できる、及びヘパラン硫酸を切断するより容易にヘパリナーゼIはヘパリンを切断できると、考えられている。
更に任意の特定の科学理論に束縛されるものではないが、ヘパリナーゼIIはヘパリン及びヘパラン硫酸の両方を切断すると思われる。
更に任意の特定の科学理論に束縛されるものではないが、ヘパリナーゼIIIはヘパラン硫酸だけを切断すると考えられ、未分画ヘパランまたは低分子量ヘパランを切断しないと思われる。
更に任意の特定の科学理論に束縛されるものではないが、例えばProteus Vulgarisに由来するコンドロイチナーゼABCまたはコンドロイチンABCリアーゼは、すべての種類のコンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸及びヒアルロナンを消化することができると思われる。任意の特定の科学理論に束縛されるものではないが、コンドロイチナーゼABCは、例えば種々の二糖を産生するコンドロイチン4−サルフェート、コンドロイチン6−サルフェート、デルマタン硫酸、コンドロイチン及びヒアルロン酸のN−アセチルヘキソサミニド結合の除去切断を触媒すると思われる。この酵素は、ケラチン硫酸、ヘパリン及びヘパラン硫酸に作用しないと考えられている。
更に任意の特定の科学理論に束縛されるものではないが、例えばArthrobactr aurescensに由来するコンドロイチナーゼACIIアルスロまたはコンドロイチンACリアーゼは、デルマタン硫酸以外のすべての種類のコンドロイチン硫酸及びヒアルロナンを消化することができると思われる。任意の特定の科学理論に束縛されるものではないが、コンドロイチナーゼACは、種々の二糖を産生するコンドロイチン、コンドロイチン4−サルフェート及びコンドロイチン6−サルフェートのN−アセチルヘキソサミニド結合の除去切断を触媒すると思われる。
更に任意の特定の科学理論に束縛されるものではないが、Streptomycles hyalurolycticus由来のヒアルロニダーゼまたはヒアルロン酸リアーゼは、ヒアルロナンまたはヒアルロン酸を特異的に消化すると思われる。Streptococcus dysgalactiase由来のヒアルロニダーゼSDまたはヒアルロン酸リアーゼは、非硫酸化コンドロイチン及びヒアルロナンを消化すると思われる。更に他の例において、ヒアルロニダーゼ酵素は、すべての種類のコンドロイチン硫酸及びヒアルロナンを消化する。
他の実施態様において、本反応の消化は、ヘパランまたはヘパラン硫酸を切断しない、1つ以上の酵素を含む。例えば任意の特定の科学理論に束縛されるものではないが、酵素コンドロイチナーゼACは、4−デオキシ−b−D−グルコース−4−エヌロシル基を含有する二糖への1,4−b−D−ヘキソサミニル及び1,3−b−D−グルクロノシル結合を含有する、多糖の除去分解に関与すると考えられており、ならびにコンドロイチン硫酸A及びCを切断すると思われる。コンドロイチナーゼBは、デルマタン硫酸を切断すると思われる。
本発明の種々の実施形態において、試料、または1つ以上のGAGもしくはその成分は、1つ以上のGAG消化酵素、例えば本明細書に提供されるまたは当該技術分野において周知の、1つ以上のGAG消化酵素のいずれかと接触する。
本発明の消化反応は、例えば特定の分子もしくは全二糖のうちの0.01〜100μM以上、または例えば特定の分子もしくは全二糖のうちの0.01、0.05、0.1、0.15、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、10、20、30、40、50、100、200、300、400、500μM以上の濃度のGAGを含むことができる。
本発明の消化反応は、0.1U〜100U以上、例えば0.1U、0.5U、1U、2U、3U、4U、5U、10U、20U、30U、40U、50U、75U、100U以上、またはそれらの間の任意の範囲、例えば0.1U〜20U、0.5U〜10Uもしくは1U〜5UのGAG消化酵素を含んでもよい。
消化反応は30秒〜6日以上、例えば30秒、1分、5分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間、1日、2日、3日、4日以上、またはそれらの間の任意の範囲で進行できる。反応は、例えば1℃、5℃、10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃またはそれらの間の任意の範囲など、1℃と99℃の間での温度で行うことができる。
本発明の消化反応は、1つ以上のGAG(例えば、HS)または1つ以上のその成分(例えば、二糖成分)がGAG消化酵素により切断されるのに十分な時間だけインキュベートすることができる。例えば本発明の消化反応は、種々の条件下にて、10秒以上、例えば10秒、20秒、30秒、40秒、50秒、1分、2分、3分、4分、5分、10分、20分、40分、60分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間、1日、2日以上、またはそれらの間の任意の範囲で、インキュベートすることができる。消化は完全でも不完全でもよく、例えば消化は、特定の酵素によって分解することが可能なGAGまたはGAG成分の1%〜100%、例えば、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%、またはそれらの間の任意の範囲、例えば30%〜100%、40%〜100%、50%〜100%、60%〜100%、70%〜100%、80%〜100%もしくは90%〜100%の切断を含むことができる。
誘導体化
種々の実施形態では、本発明の試料は誘導体化されることができる。特定の場合において、消化された試料中に存在するGAG切断生成物は、誘導体化される。誘導体化は、本明細書において開示される種々の方法の分析の感度を、例えば誘導体化された分子のクロマト分離、例えば誘導体化されたGAG切断生成物の分離に関与することによって増加させることができる。
種々の実施形態では、誘導体化は、GAG分子またはその切断生成物に沿った複数の部位での誘導体化部分の添加を含む。種々の実施形態では、誘導体化は、GAG分子またはその切断生成物の特定の部位での誘導体化部分の添加を含む。
試料は、抽出工程前にまたは抽出工程後に誘導体化されることができる。試料は、消化工程前にまたは消化工程後に誘導体化されることができる。試料は、抽出工程前及び消化工程前の時間に誘導体化されることができる。試料は、抽出工程後及び消化工程後の時間に誘導体化されることができる。試料は、抽出工程と消化工程の間の時間に、例えば抽出後だが消化前に、または例えば消化後だが抽出前に、誘導体化されることができる。種々の実施形態では、本発明の方法は、例えば抽出工程、続いて消化工程、続いて誘導体化工程を含むことができる。
誘導体化は、疎水性部分のGAG切断生成物への添加を含むことができる。誘導体化は、2−アミノピリジン、2−アミノベンズアミド(AB)、2−アミノ安息香酸(AA)、4−アミノ−サリチル酸(ASYL)、3−アミノキノロン(3−AQ)、3−(アセチルアミノ)−6−アミノアクリジン(AA−Ac)、2−アミノアクリドン(AMAC)、プロカイン(Pro)、プロカインアミド(ProA)、エチル−4−アミノ−安息香酸塩(ABEE)、ブチル−4−アミノ安息香酸塩(ABBE)、5−アミノ−2−ナフタレン−スルホン酸(ANSA)、8−アミノナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸(ANTS)、8−アミノピレン−1,3,6−トリスルホン酸(APTS)、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン(PMP)、4−ニトロ−2,1,3−ベンゾオキサジアゾール(NBD−F)、Fmoc及び6−アミノキノリンなどの部分への添加を含むことができる(例えばPabstら2009Analytical Biochemistry384:263−273を参照のこと)。
分離、例えばクロマト分離のための分子(例えば、GAG切断生成物などの分子)を誘導体化するための種々の部分を、を当業者は認識しており、その結果、その部分の添加は分離に関与して、それによって検出の感受性を改善する。特定の誘導体化部分、例えば疎水性誘導体化部分が、分離の方法に従って、例えばクロマトグラフィー、例えばアニオン交換クロマトグラフィーに従って選択され得ることを当業者は更に理解するであろう。
誘導体化反応は30秒〜6日以上、例えば30秒、1分、5分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間、1日、2日、3日、4日以上、またはそれらの間の任意の範囲で進行できる。誘導体化反応は、1℃、5℃、10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃もしくは99℃、またはそれらの間の任意の範囲など、1℃と99℃の間での温度で行うことができる。
グリカンに特異的な抽出
種々の実施形態において、グリカン特異的な抽出工程は、本発明の方法の任意の時点で、例えば分析前の除く、消化後または誘導体化後に実施され得る。特定の実施形態において、グリカン特異的抽出工程は、グリカン特異的な固相抽出工程でもよい。存在する場合、グリカン特異的抽出工程は、第2の抽出工程でもよい。あるいは、存在する場合、後の抽出工程は、唯一の抽出工程でもよい。グリカン特異的抽出工程は、本明細書に記載される方法もしくは技術、または当業者に周知の別の方法のいずれかを使用できて、特にその方法または技術は、条件付き、任意のもしくは別の方法の任意の他の抽出工程に関しても確認する。
分析
本発明の試料、例えば抽出、脱塩及び/または消化された試料、例えば少なくとも抽出及び/または消化された試料は、試料から、試料中に存在する1つ以上のGAG(例えば、HS)、もしくは1つ以上のその成分もしくは切断生成物の種類及び/または量を同定するために、分析することができる。特定の場合において、消化した試料は、消化後の試料中に存在する切断生成物を同定することによって、消化前、最初に試料中に存在する1つ以上のGAGの種類及び量を決定するために、分析される。分析することは、消化及び/または誘導体化した試料中に存在する、1つ以上のGAG、または1つ以上のその成分もしくは切断生成物を分離する工程を含むことができる。特定の場合において、本発明は、誘導体化されたGAG切断生成物を分離することを含む。
分析することは、消化及び/または誘導体化した試料中に存在する、1つ以上のGAG(例えばHS)、または1つ以上の成分もしくは切断生成物を検出する工程を含むことができる。特定の実施形態において、分析することは、1つ以上の誘導体化されたGAG切断生成物を検出することを含むことができる。
特定の実施形態において、分析することは、消化及び/または誘導体化した試料中に存在する、1つ以上のGAG、または1つ以上のその成分もしくは切断生成物を分離する工程、続いて1つ以上の分離したGAG、または1つ以上の分離したGAG成分もしくは1つ以上の分離した切断生成物を検出する工程を含むことができる。更により特定の実施形態において、分析することは、1つ以上の誘導体化されたGAG切断生成物を分離すること、及び分離したGAG切断生成物のうちの1つ以上を検出することを含むことができる。
分離
本発明の試料、例えばこの順番で、例えば抽出、脱塩、消化及び誘導体化された試料は、1つ以上のGAG、または1つ以上のその成分もしくは切断生成物を分離する方法で処理されることができる。
分離の種々の方法は当技術分野において周知であり、例えば分離のゲル系の方法及び分離のクロマトグラフ法を含む。特定の場合において、分離の方法は、液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動、ガスクロマトグラフィーまたは溶媒抽出を含むことができる。いくつかの場合には、分離の方法は、吸着クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィー、水性順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、分子もしくはサイズ排除クロマトグラフィー、または親和性クロマトグラフィーを含むことができる。分離の方法は、超高速液体をクロマトグラフィー(UPLC)または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を含むことができる。分離の方法は、高速アニオン交換クロマトグラフィー(HPAEC)を含むことができる。HPLC、HPAEC及びUPLCの方法は、当技術分野において周知である。クロマトグラフィーを含む分離の方法は、親水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC)、逆相(RP)クロマトグラフィー、または表面チャージハイブリッド(CSH)カラムクロマトグラフィーを含むことができる。種々の実施形態では、クロマトグラフィーはビーズ、例えばアニオン交換ビーズを含む。いくつかの場合には、分離は1つ以上の工程を含み、そこで分子は、例えばサイズ、極性、疎水性、電荷、蛍光、放射能、分光光度特性、スペクトル、質量、もしくは当該技術分野において周知の他の特性、またはこれらの任意の組み合わせに基づいて識別される。分離の任意の2つ以上の方法の任意の組み合わせも、本明細書で考察される(例えば、多次元分離)。
検出
分離した、または分離されてない試料は、検出工程を受けることができる。特定の実施形態では、検出は、様々な形態のうちの1つ以上の質量分析を含む。いくつかの実施形態では、検出工程は、例えば、電導度検出、ガスクロマトグラフ検出、アンペロメトリー検出(例えば、パルス化アンペロメトリー検出(PAD)または3Dアンペロメトリー)、ゲル電気泳動、及び他の従来のタンパク質分析法、その種々の形態のうちのいずれかの質量分析、ならびに当該技術分野において周知の他の方法を含むことができる。
本発明に適用できる質量分析の方法は、当該技術分野において周知の質量分析の任意の方法を含むことができる。例えば1つ以上のGAGまたは1つ以上のその成分もしくは切断生成物の検出は、加速器質量分析(AMS)、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)、液体クロマトグラフィー質量分析(LC−MS)、誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)、同位体比質量分析(IRMS)、イオン移動度分光分析質量分析、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)質量分析(例えば、MALDI−TOF)、表面強化レーザー脱離イオン化(SELDI)質量分析(例えば、SELDI−TOF)、タンデム質量分析(MS/MS)、熱イオン化質量分析(TIMS)、スパーク光源質量分析(SSMS)、高速原子衝撃質量分析(FAB)、ソフトレーザー脱着(SLD)質量分析、大気圧化学イオン化(APCI)質量分析、二次イオン質量分析(SIMS)、スパークイオン化(IS)質量分析、熱イオン化(TI)質量分析、化学イオン化(CI)質量分析、電子衝撃(EI)質量分析、電界脱離/電界イオン化(FD/FI)質量分析、及びサーモスプレーイオン化(TSP)質量分析を利用できる。当業者は、質量分析の種々の形態を認識しているであろう。
質量分析は、イオン化源、分析器及び検出器を含むことができる。質量分析計は、当該技術分野において周知の任意の分析計、例えば四重極型質量分析計、飛行時間形質量分析計、磁気セクター質量分析計、静電セクター質量分析計、四重極型イオントラップ質量分析計、オービトラップ型質量分析計、またはイオンサイクロトロン共振分析計から選択されることができる。質量分析検出器は、当該技術分野において周知の任意の検出器、例えば光電子増倍管、電子増倍管、ファラデーカップ、またはマイクロチャンネルプレートもしくはアレイ検出器から選択されることができる。
本明細書に記載される種々の方法において、本発明の方法は、LC/MSまたはLC/MS/MSを含む。
特定の場合には、本発明の検出工程は、質量分析の代わりに、またはそれと組み合わせて、ガスクロマトグラフィーを含むことができる。ガスクロマトグラフィー検出器は、非選択式、選択式、特異式、濃度依存式、または質量流量依存式検出器を含むことができる。特定の種類の検出器は、水素炎イオン化検出器、熱導電率検出器、電子捕獲検出器、及び窒素リン検出器を含むことができる。特定の場合において、本発明は、ガスクロマトグラフ質量分析(GCMS)を含む。
種々の実施形態では、検出工程は、本明細書において開示される質量分析もしくは他の任意の検出メカニズムの代わりに、またはそれと組み合わせて、本発明の範囲内に含まれると当業者が理解するような、特定のGAG、その成分、その切断生成物、または任意のGAG、その成分(例えば二糖成分)もしくはその切断生成物から選択される任意の複数に特有のプローブとして機能できる部分の使用を含む、核磁気共鳴、分光分析、放射線分光分析、薄層クロマトグラフィー、または当該技術分野において周知の関連する技術もしくは他の方法を含むことができるが、これらに限定されない。
検出の任意の2つ以上の方法の任意の組み合わせは、本明細書において考察される(例えば、多次元的な検出)。
種々の実施形態では、試料は、検出前にアセトニトリル中のトリブチルアミン溶液と合わせられる。
種々の実施形態では、本発明の試料、例えば消化され、かつ誘導体化された試料の分析は、分離工程及び検出工程の両方を含む。
本発明の種々の実施形態において、1つ以上のGAG(例えば、HS)のレベルを測定する方法は、本明細書に記載されるように、所望によりその順番で、抽出、脱塩、消化、誘導体化、分離、及び検出する工程を含む。本発明の種々の実施形態において、1つ以上のGAGのレベルを測定する方法は、本明細書に記載されるように、抽出、消化、誘導体化、分離、及び検出する工程を含む。本発明の種々の実施形態において、1つ以上のGAGのレベルを測定する方法は、本明細書に記載されるように、所望によりその順番で、脱塩、消化、誘導体化、分離、及び検出する工程を含む。本発明の種々の実施形態において、1つ以上のGAGのレベルを測定する方法は、本明細書に記載されるように、所望によりその順番で、消化、誘導体化、分離、及び検出する工程を含む。本発明の種々の実施形態において、1つ以上のGAGのレベルを測定する方法は、本明細書に記載されるように、所望によりその順番で、抽出、脱塩、消化、誘導体化、分離、及び検出する工程を含む。本発明の種々の実施形態は、本明細書において開示される工程の任意の組み合わせを含み、任意の順番で、本明細書において開示される任意の工程の必要に応じた除外、または特定の種類もしくは機能の複数の工程の必要に応じた含有を含む。
本発明の種々の実施形態は、複数のGAG切断生成物、例えば特定のGAGまたはその成分に由来する複数の異なる切断生成物の検出(例えば、質量分析によって)を含むことを、当業者は理解するであろう。更に本発明の種々の実施形態は、1つの試料から、または反応の1つの群中の、または1つの反応からの複数の異なるGAGの検出を含むことができる。種々の例において、任意の1つのGAG切断生成物を測定することが、本明細書にて開示する本発明の機能もしくは有用性、または種々の実施形態におけるその有用な部分を提供するため、十分に診断の指標となり得るという認識を、本発明は含む。更に、1つの試料からの検出可能なGAG切断生成物の全体の可能な範囲の任意のサブセットを検出されることができて、その点で本明細書で開示する本発明の機能もしくは有用性、または種々の実施形態におけるその有用な部分を提供できる。本発明は、試料中に存在するすべてのGAG、GAG成分もしくはGAG切断生成物が、検出されるまたは測定されることを必要としない。本発明は、試料中に存在するすべてのGAG、GAG成分もしくはGAG切断生成物が、検出されるまたは測定される、実施形態も包含する。
本発明の種々の実施形態の利点は、検出精度の増大、及びそれによる1つ以上のGAGレベル、1つ以上のその成分のレベル、または1つ以上のGAG切断生成物のレベルを測定する精度の増大である。
対照物質及び標準物質
種々の実施形態では、本明細書に記載される分析の方法は、対照物質及び/または内部標準物質を含む。対照物質及び/または内部標準物質の選択は、一般的に当業者に周知である。対照及び/または内部標準物質との分析結果の比較は、結論を引き出す及び/または重要なデータポイントを特定するための基礎を提供できる。本明細書で使用する場合、対照または標準(または対照物質または標準物質)という用語は、任意の1つの反応もしくはデータ、複数の反応もしくはデータ、反応もしくはデータの一群、または任意のその発現もしくは統合を意味すると理解される。
本発明の種々の実施形態において、分析は内部標準を含み、そこで内部標準は、1つ以上のGAG切断酵素の存在下で、1つ以上のGAG分子の切断によって生じることが知られている1つ以上の分子を含む。
例えば内部標準物質は、GAG切断生成物またはGAG切断生成物、例えば糖もしくは二糖の式を有する分子であり得る。内部標準GAG切断生成物は、例えばヘパラン硫酸の切断生成物、例えば、I−S(ΔUA,2S−GlcNS,6S;計算MW665.3975)、II−S(ΔUA−GlcNS,6S;計算MW563.3533)、III−S(ΔUA,2S−GlcNS;計算MW563.3533、IV−S(ΔUA−GlcNS;計算MW461.3091)、II−A(ΔUA−GlcNAc,6s;計算MW503.3463)、及びIV−A、(ΔUA−GlcNAc;計算MW401.3022)から選択されるヘパラン硫酸の切断生成物の式を有する分子であり得て、その構造は以下に提供される。対照物質または標準物質は、合成した、購入した、GAG分子の切断に生成したものでよい。
I−S

II−S

III−S

IV−S

II−A

IV−A
種々の実施形態では、内部標準物質は、検出を可能にするために改変される、または検出を可能にする改変を含む。例えば特定の実施形態で、試料は特定の分子で誘導体化されるが、内部標準物質はその特定の分子の同位体標識型、例えば重いもので誘導体化される。例えば場合によっては、試料は4−ブチルアニリンで誘導体化されて、1つ以上の内部標準分子は13−4−ブチルアニリンで誘導体化される。
1つ以上の対照内部標準物質のいずれかは、濃度の勾配で提供されることができる。例えば、1つ以上の対照物質または内部標準物質のいずれかは、特定の分子のまたは全二糖の0.01〜100μM以上、例えば特定の分子のまたは全二糖の0.01、0.05、0.1、0.15、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、10、20、30、40、50、100、200、300、400、500μM以上の濃度で提供されることができる。
種々の実施形態では、標準物質は、1つの二糖、例えば本明細書に記載される方法に含まれる1つ以上の特定の酵素による、1つ以上の特定のGAGの切断によって生じる1つの二糖からなる。種々の実施形態では、標準物質は、2つ以上の二糖、例えば本明細書に記載される方法に含まれる1つ以上の特定の酵素による、1つ以上の特定のGAGの切断によって生じる2つ以上の二糖からなる。種々の実施形態では、このような2つ以上の二糖は、1つの反応混合物において、または複数の反応混合物において分析されることができる。種々の実施形態では、2つ以上の二糖は様々なレベルで標準物質に含まれる。
特定の実施形態において、2つ以上の二糖標準物質の個々のレベルが、正常もしくは実質的に正常なレベル、実験により測定された正常レベル、標準的な正常レベル、試料特異的な正常レベル、試料群に特異的な正常レベル、母集団に特異的な正常レベル、または状態に特異的な正常レベルに適合する、それに近い、またはそれを示すように、1つ以上の(例えば2つ以上、例えば6つの)二糖標準物質の個々のレベルを選択できる。特定の実施形態において、2つ以上の二糖標準物質の個々のレベルが、正常もしくは実質的に正常な範囲、実験により測定された正常範囲、標準的な正常範囲、試料特異的な正常範囲、試料群に特異的な正常範囲、母集団に特異的な正常範囲、または状態に特異的な正常範囲内に入る値に適合する、それに近い、またはそれを示すように、1つ以上の(例えば2つ以上、例えば6つの)二糖標準物質の個々のレベルを選択できる。特定の実施形態において、2つ以上の二糖標準物質の個々のレベルが、正常もしくは実質的に正常な範囲、実験により測定された正常範囲、標準的な正常範囲、試料特異的な正常範囲、試料群に特異的な正常範囲、母集団に特異的な正常範囲、または状態に特異的な正常範囲内に入るように、1つ以上の(例えば2つ以上、例えば6つの)二糖標準物質の個々のレベルを選択できる。種々の実施形態では、1つ以上の二糖標準物質のレベルは、このようなレベルもしくはこのような範囲の1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%以内である。
特定の実施形態において、本発明の方法は6つの標準物質を含む。更により特定の実施形態において、6つの標準物質は、IS、IIS、IIIS、IVS、IIA及びIVAである。本発明は、例えば本明細書に記載されるように、それぞれ独立して測定したモルパーセント比を含む、適用したその任意のサブセットも更に含む。これらの6つの標準物質は、複数の異なる組み合わせもしくは個々の混合物を含む、1つの混合物中に、個々の混合物中に、または任意のこれらの組み合わせ中に存在することができる。
IS、IIS、IIIS、IVS、IIA及びIVAが1つの混合物中に存在する実施形態を含む、任意のこのような実施形態において、ISのモルパーセント比は0.5%〜100%、例えば1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%もしくは100%、またはそれらの間の任意の範囲(例えば1%〜20%、5%〜15%もしくは8%〜12%)であり得る。種々のこのような実施形態において、ISのモルパーセント比は10%であり得る。
IS、IIS、IIIS、IVS、IIA及びIVAが1つの混合物中に存在する実施形態を含む、任意のこのような実施形態において、IISのモルパーセント比は0.5%〜100%、例えば1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%もしくは100%、またはそれらの間の任意の範囲(例えば1%〜20%、1%〜15%、1%〜10%、3%〜8%もしくは3%〜6%)であり得る。種々のこのような実施形態において、IISのモルパーセント比は5%であり得る。
IS、IIS、IIIS、IVS、IIA及びIVAが1つの混合物中に存在する実施形態を含む、任意のこのような実施形態において、IIISのモルパーセント比は0.5%〜100%、例えば1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%もしくは100%、またはそれらの間の任意の範囲(例えば1%〜30%、5%〜25%、10%〜20%、12%〜18%もしくは13%〜17%)であり得る。種々のこのような実施形態において、IIISのモルパーセント比は15%であり得る。
IS、IIS、IIIS、IVS、IIA及びIVAが1つの混合物中に存在する実施形態を含む、任意のこのような実施形態において、IVSのモルパーセント比は0.5%〜100%、例えば1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%もしくは100%、またはそれらの間の任意の範囲(例えば1%〜20%、5%〜15%もしくは8%〜12%)であり得る。種々のこのような実施形態において、IVSのモルパーセント比は10%であり得る。
IS、IIS、IIIS、IVS、IIA及びIVAが1つの混合物中に存在する実施形態を含む、任意のこのような実施形態において、IIAのモルパーセント比は0.5%〜100%、例えば1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%もしくは100%、またはそれらの間の任意の範囲(例えば1%〜20%、5%〜15%もしくは8%〜12%)であり得る。種々のこのような実施形態において、IIAのモルパーセント比は10%であり得る。
IS、IIS、IIIS、IVS、IIA及びIVAが1つの混合物中に存在する実施形態を含む、任意のこのような実施形態において、IVAのモルパーセント比は0.5%〜100%、例えば1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、90%もしくは100%、またはそれらの間の任意の範囲(例えば20%〜80%、30%〜70%、35%〜65%、40%〜60%もしくは45%〜55%)であり得る。種々のこのような実施形態において、IVAのモルパーセント比は50%であり得る。
したがって本発明の特定の実施形態において、IS、IIS、IIIS、IVS、IIA及びIVAは、以下のそれぞれのモル比のパーセント:10%、5%、15%、10%、10%及び50%で混合することができる。本明細書に示される種々の例において、及び複数の異なる二糖が1つの混合物中に存在する特定の場合において、これらの二糖(またはパーセンテージ(複数可)に関してそのように特定されるときの二糖の群)の正味のモル比のパーセントが100%であることを、当業者は理解するであろう。当業者に理解されるように、本発明の種々の例において、二糖の標準物質の混成物は、標準物質として役立つ機能に関連しない他の化合物または分子を含んでおり、標準物質として役立つ機能に関連しないこれらの他の化合物または分子はモル比のパーセントの算出から除外される。
種々の実施形態では、1つ以上のGAG、その成分、その切断生成物またはGAG分子のレベルの測定に関する本方法の真度は、+/−20%より高い、例えば+/−20%、+/−19%、+/−18%、+/−17%、+/−16%、+/−15%、+/−14%、+/−13%、+/−12%、+/−11%、+/−10%、+/−9%、+/−8%、+/−7%、+/−6%、+/−5%、+/−4%、+/−3%、+/−2%、+/−1%超、またはそれらの間の任意の範囲である。種々の実施形態では、1つ以上のGAG、その成分、その切断生成物またはGAG分子のレベルの測定に関する本方法の精度は、0%〜20%、0%〜19%、0%〜18%、0%〜17%、0%〜16%、0%〜15%、0%〜14%、0%〜13%、0%〜12%、0%〜11%、0%〜10%、0%〜9%、0%〜8%、0%〜7%、0%〜6%、0%〜5%、0%〜4%、0%〜3%、0%〜2%、0%〜1%、5%〜20%、5%〜19%、5%〜18%、5%〜17%、5%〜16%、5%〜15%、5%〜14%、5%〜13%、5%〜12%、5%〜11%、5%〜10%、5%〜9%、5%〜8%、または5%〜7%である。
種々の実施形態では、分析結果は、マルチ分析干渉、抽出回収の相対的差異、及びマトリックス因子の補整、またはその考察を含む。
種々の実施形態では、本発明の方法は、10μM以下、例えば9μM、8μM、7μM、6μM、5μM、4μM、3μM、2μM、1μM、0.9μM、0.8μM、0.7μM、0.6μM、0.5μM、0.4μM、0.3μM、0.2μM、0.1μM、0.05μM、0.01μM以下の1つ以上のGAGまたはその成分の定量の下限を有する。
HSレベルを測定する特定の実施形態において、試料は1ng/mL〜10,000ng/mL、例えば1ng/mL、2ng/mL、3ng/mL、4ng/mL、5ng/mL、10ng/mL、20ng/mL、30ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、100ng/mL、500ng/mL、1000ng/mL、2000ng/mL、3000ng/mL、4000ng/mL、5000ng/mL、6000ng/mL、7000ng/mL、8000ng/mL、9000ng/mLもしくは1000ng/mL、またはそれらの間の任意の範囲、例えば200ng/mL〜1000ng/mL、200ng/mL〜5000ng/mL、1000ng/mL〜5000ng/mLもしくは3000ng/mL〜5000ng/mLである。
バイオマーカー
場合によっては、本発明の方法及び組成物は、対象から得た1つ以上のGAG、その成分(例えば、二糖成分)または分子を測定するために使用されて、対象は、第2の特性についても測定される、またその後に測定される。種々の例において、第2の特性はバイオマーカー、例えばGAG関連状態のバイオマーカーである。
ある場合には、GAG関連状態は、本明細書に記載される、当該技術分野において周知の1つ以上のバイオマーカーに従って、特徴づけられる、監視される、または診断される。バイオマーカー、例えばGAG状態バイオマーカー(GAG状態と関連するバイオマーカー)は、値の範囲または群を有することができる。GAG状態バイオマーカーは、GAG状態関連の値、値の範囲、値の群、または患者もしくは母集団の標準値もしくは対照値とのGAG状態関連の関係(例えば特定の基準値の上下の値は、GAG関連状態と関係していると見なされる)を有する。GAG状態関連バイオマーカーは、非GAG状態関連の値、値の範囲、値の群、または患者もしくは母集団の標準値もしくは対照値との非GAG状態関連の関係も有する。いくつかの場合には、GAG状態の治療は、GAG状態関連の値から非GAG状態関連の値まで、またはそれに向かう、バイオマーカーの時間平均、最頻値または経時値における変化または傾向を含む。更にバイオマーカーを、疾患の経過、または治療経過もしくは有効性を判定する過程で測定できる。
1つ以上のGAG状態のバイオマーカーとしては、画像形成、観測、認知試験及び患者試料の分析から得られる情報が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、GAG状態のバイオマーカーは、標準化認知神経科学的評価、標準化行動評価、ベイリーの新生児発達スケール(例えば、BSID−III)結果、コーフマンの子どものアセスメントバッテリー(例えば、KABC−II)結果、サンフィリポ特有行動の判定スケール評価結果、4点スコアシステム/全障害スコア(FPSS/TDS)結果、サンフィリポ行動の判定スケール(SBRS)結果、総運動技能評価結果、微細運動技能評価結果、随意運動評価結果、子どもの運動アセスメントバッテリー(例えば、MABC−2)結果、機能的な順応行動評価結果、順応行動複合(ABC)結果、ヴァインランドの適応行動スケール(例えば、VABS−II)結果、生活の質(QoL)評価結果、CHILD HEALTH QUESTIONNAIRE(商標)結果(例えば、両親フォーム50(CHQ−50)結果、例えば、子どもフォーム87(CHQ−87)結果)、INFANT TODDLER QUALITY OF LIFE QUESITONNAIRE(商標)(ITQOL;例えば、ITQOL−97)結果、子どもの睡眠習慣判定スケール結果、子どもの睡眠習慣質問表(CSHQ)結果、小児総合発達尺度(MSEL)結果、グリフィスの精神能力スケールの結果、リータースケールの結果、スタンフォードビネー知能スケールの結果、ウェクスラー式幼児用知能検査結果、ウェクスラー成人用知能検査(WAIS−IV)結果、弁別能力尺度結果(例えば、弁別能力尺度II;DASII)結果、CSF及び/または血清の治療濃度(例えば、治療的GAG状態)結果、脳MRI結果、脳ABR結果、肝臓サイズ(例えば、MRIで測定)結果、脾臓サイズ(例えば、MRIで測定)結果、疾患進行、CNS GAG状態関連の表現型の進行、灰白質容積、白質容積、頭蓋内CS容積(例えば、脳室プラス追加のCSF空間)、聴性脳幹反応(ABR)または聴性脳幹反応判定聴力、事象関連電位(ERP)、心エコー結果、腹部MRI結果、1つ以上のスルファターゼのいずれかの活性の測定、GAG分解に関与することが周知の1つ以上の酵素のいずれかの活性の測定、聴覚性失認の試験またはそのレベルの結果、聴覚(例えば聴覚問題または聴覚関連の病理)の検査またはその変化の結果、CNS病理のレベルまたは経過、睡眠障害、増大する活動、挙動問題、発作様の挙動、固執性の咀嚼、不成功の排便訓練、不成功の排尿訓練、脳萎縮、水頭症、重度の白質病変、有害事象、及び当該技術分野において周知の任意の臨床検査、例えば標準臨床検査のうちの1つ以上を含むことができる。
バイオマーカーは、発生率、種類もしくは重症度の定量的もしくは定性的測定または評価を含むことができる。
特定の実施形態では、バイオマーカーを、心電図、CSF化学作用の臨床検査試験、CSF細胞数、CSF炎症マーカー、血清化学作用、血清化学作用肝機能検査、血液学、尿検査、または1つ以上の組織(例えば、血液中の)の1つ以上の特定の標的(例えば、治療薬剤である標的)のいずれかに対する抗体の存在の測定により測定できるが、これらに限定されない。
バイオマーカーは、1つの時点、または複数の時点もしくはデータポイントで集められる情報を含んでもよい。複数の時点またはデータポイントで集められる情報を含むバイオマーカーは、未加工もしくは分析した形態で、または2つ以上のデータポイントの分析で判定した測定値(例えば、平均、勾配もしくは積分値)で利用できる。
種々の例において、バイオマーカーは有害事象である。
種々の例において、バイオマーカーは、試料中の1つ以上のGAGまたはその成分のレベルである。種々の例において、バイオマーカーは、全GAGの測定、例えばトロンビン活性アッセイであり、そこでヒトヘパリン共同因子II(HCII)でプレインキュベートした試料はその後に、全GAGの測定を提供するために、アッセイ緩衝液中の固定量のトロンビンの及び固定濃度の色素原基質S−2238でインキュベートする。特定の特に例示したトロンビン活性アッセイにおいて、CSF試料中のGAGは、HCIIと結合できて、それによりトロンビン不活化を加速させる。このようなアッセイにおいて、アッセイで測定する分子に反映するGAG濃度は、二糖較正曲線から算出されることができる。このようなアッセイに従う非二糖GAG濃度は、特異的に二糖を切断するコンドロイチナーゼBによる試料の処理後にも測定され得る。
本明細書で開示されるように、バイオマーカーは、本明細書において開示されるアッセイのうちの1つ以上のいずれかによって検出される、またはさもなければ当業者によって本発明によって含まれると理解される、特定のGAGもしくはその成分(例えば、二糖成分)、またはその切断生成物であり得る。
バイオマーカーは、DNAまたはmRNA診断または一般的なシーケンシング結果などのバイオマーカーを含むこともできる。例えば、特定のDNAまたはmRNA配列、例えばゲノム配列が1つ以上のGAG状態またはその状況の危険性の増加と関連する限りでは、個人のゲノムもしくはトランスクリプトーム中のこのような配列の有無、または個人のゲノムもしくはトランスクリプトーム中のこのような群の有無は、例えば、治療製剤またはレジメンの策定を含む診断または治療戦略に組み込まれることができる。
バイオマーカーは、上述のバイオマーカーまたは当該技術分野において周知の他のもの、例えば疾患の「フィンガープリント」を含む、1つ以上のバイオマーカーの組み合わせでもよい。
いくつかの場合には、バイオマーカーは、2型バイオマーカー、すなわちバイオマーカーのバイオマーカーであり得る。
種々の例において、バイオマーカーは、1つ以上のGAG、1つ以上のその成分、または1つ以上のその切断生成物のレベルの指標である。例えば種々の実施形態では、バイオマーカーは全GAGであり得る。全GAGを測定する方法は、当技術分野において周知である。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、1つ以上のGAGを測定する代替の方法、例えば本発明の方法の代替の方法である。種々の実施形態では、バイオマーカーは、質的に異なる試料、例えば異なる組織または体液、例えばCSF、血液もしくは尿、または本明細書に記載の種々の他の特定の試料源のいずれかからの試料中で測定されるGAGのレベルである。
他のバイオマーカーは、当技術分野において周知である。
本発明の種々の例において、本明細書において開示されるバイオマーカーのいずれかは、ハンター症候群、SanA、SanB、または本明細書において開示されるもしくは当業者に周知の他の任意のGAG状態のうちの1つ以上のいずれかに関連して測定されることができる。特定の実施形態では、バイオマーカーは、ハンター症候群、SanA、SanB、もしくは本明細書において開示されるもしくは当業者に周知の他の任意のGAG状態のうちの1つ以上のいずれかである、それであると診断された、その危険性がある、またはその危険性があると診断された、対象から得た試料中で測定される。本発明の種々の実施形態において、このような対象は、治療薬、例えば対象が診断された、もしくは危険性があると診断された状態の治療のための治療薬で治療されている、同時に治療された、またはその後に治療された対象であり得る。例えば対象は、ハンター症候群の治療のために治療用イデュルスルファーゼで治療され得る。例えば対象は、ハンター症候群の治療のためにELAPRASE(登録商標)で治療され得る。他の例では対象は、例えば、ELAPRASE(登録商標)とは無関係に、もしくはそれと共にPEGASYS(登録商標)、TYSABRI(登録商標)またはBIAXIN(登録商標)のうちの1つ以上で治療されることができる。
ELAPRASE(登録商標)を含む、GAG状態の治療に使用するために周知の1つ以上の薬剤のいずれかは、種々の投与剤形、投与量、投与経路などで提供され得る。例えば、本明細書において開示される治療は、髄腔内に、例えば皮下に埋め込まれた髄腔内薬物送達装置(IDDD)による髄腔内の空間への注入によって投与されることができる。他の例において、本明細書において開示される治療は、これに代えてまたはこれと併せて、腰椎穿刺を介して投与され得る。種々の実施形態では、髄腔内の空間への導入は、分の範囲、例えば2〜5分で行われる。多種多様な適用できる治療、製剤及び投与経路は、当業者には周知である。
更に本明細書において開示される方法は、1つ以上のGAGまたはその成分もしくはその切断生成物のレベルと、本明細書において開示されるもしくは当該技術分野において周知の1つ以上のバイオマーカーを相関させる方法で使用することができる。
本明細書において開示されるもしくは当該技術分野において周知の1つ以上のバイオマーカーのいずれかの測定に関して、値は、1つの時点で、2つの時点で、またはある期間にわたる複数の定期的に予定した、もしくは不規則な試料採取時点で測定されることができる。例えば試料は、対象、または対象の群、または同等の対象の群の選択されたメンバーから、10分〜2年以上の範囲のある期間にわたって、例えば10分、30分、1時間、6時間、12時間、1日、1週間、1か月、3か月、6か月、1年、2年以上、またはそれらの間の任意の範囲、例えば1か月〜6か月、6か月〜1年もしくは1年〜2年で、得てもよい。
本明細書で使用する場合、対象とは、例えば胚、胎児、小児または成人であり得る。小児は、例えば1歳未満、2歳未満、3歳未満、4歳未満、5歳未満、6歳未満、7歳未満、8歳未満、9歳未満、10歳未満、15歳未満もしくは18歳未満、またはそれらの間の任意の年齢でもよい。成人は、例えば18歳以上、20歳以上、25歳以上、30歳以上、40歳以上、50歳以上、60歳以上、70歳以上、80歳以上、またはそれらの間の任意の年齢、例えば18〜25歳、25〜30歳、30〜35歳、35〜40歳、40〜50歳もしくは50〜60歳でもよい。
用途
対象中の1つ以上のGAG(例えば、HS)、またはその成分(例えば、二糖成分)、またはその切断生成物のレベルの測定のために本明細書において開示される種々の方法は、例えば、種々のGAG状態を監視すること、種々のGAG状態を有する患者の重症度を判定すること、種々のGAG状態の治療に対する反応を監視すること、または種々のGAG状態を診断する際に有用であり得る。
治療は、種々のGAG関連状態のために開発中である。例えばハンター症候群の重要な治療は、酵素補充療法(ERT)である。例えばハンター症候群のためのERTは、ハンター症候群の患者に補充I2S酵素を投与することを含むことができる。Shire plc製のELAPRASE(登録商標)は、ハンター症候群の治療のための酵素補充療法としてFDAの承認を得たI2Sの精製組み換え形態である。別の例では、サンフィリポ症B型は、組み換えNagluタンパク質による酵素補充療法により治療できる。別のGAG状態、SanAは、分解酵素ヘパランN−スルファターゼ(HNS)中の変異体による、HSの異常な異化作用から生じることがあり得る。SanA患者に対する1つの治療戦略は、ヘパランN−スルファターゼ(HNS)の組み換え形によって欠乏したヒドロラーゼを補充することを目的とする、酵素補充療法(ERT)である。GAG状態の他の治療は、NAGLAZYME(登録商標)(ガルスルファーゼ、アリルスルファターゼb)などのアリルスルファターゼ補充、またはALDURAZYME(登録商標)(ラロニダーゼ)などのアルファ−L−イズロニダーゼ補充を含むことができる。
1つ以上のGAGのレベルに関連する、これらの治療及び他の状態を診断、監視及び評価する方法の必要性が存在する。本発明は、とりわけ、このような方法を提供する。
種々の実施形態では、本発明の方法及び組成物は、試料、例えば生体試料、例えば臨床試料中の1つ以上のGAGのレベルを測定するために使用される。
特定の場合には、本発明は、GAGレベルに関連した状態を有する患者から得た試料中の1つ以上のGAGレベルを測定するために使用して、その結果、本方法は、異なる時間で患者から得た少なくとも2つの試料中の1つ以上のGAGレベルを評価することにより、状態の経過を追跡する際に適用できる。
特定の例において、本発明は、GAGレベルに関連する状態を有し、及び治療的処置を受ける患者から得た1つ以上のGAGのレベルを測定するために使用する。このような場合、本発明は、異なる時間で患者から得た少なくとも2つの試料、治療の開始後の患者から得た試料のうちの少なくとも1つ中の1つ以上のGAGレベルを評価するにより、治療の有効性を判定するために使用できる。
特定の例において、本発明は、1つ以上のGAGレベルと、1つ以上の追加のバイオマーカー、例えばGAGレベルとの連結する疾患と関連するバイオマーカーを相関させるために使用する。例えばバイオマーカーレベルは、治療コースの前に、またはその開始時に測定できる(例えば、ベースラインまたは対照レベル)。バイオマーカーレベルは、一連の治療の全体を通して1つ以上の時点で測定されてもよく、治療前または治療コースの初期の時点からのレベルと比較されてもよい。適切な治療の特定もしくは選択、患者が治療及び/もしくは治療の最適化に陽性反応をしているか判定することは、これらの方法で得た情報を使用して導くことができる。
GAG状態の監視
本明細書において開示される1つ以上のGAG、1つ以上のその成分(例えば、二糖成分)、または1つ以上のGAG切断生成物のレベルを測定する方法は、GAG状態を監視する、例えばGAG状態の進行を監視する、またはその重症度を測定するために利用できる。例えば試料は、少なくとも第1の時点及び第2の異なる時点(すなわち、2つ以上の異なる時点)で特定の対象または対象の群から得ることができ、1つ以上のGAG、1つ以上のその成分または1つ以上のGAG切断生成物のレベルは、本発明の方法によって各試料から測定されることができる。2つ以上の異なる時点のいずれかの間の変化または傾向は、GAG状態の進行の徴候を提供できる。一実施形態において、1つ以上のGAG、1つ以上のその成分または1つ以上のGAG切断生成物のレベルの長期にわたる増加は、疾患の重症度の増加(すなわち、より重症な方の進行)を示す。あるいは、別の実施形態では、1つ以上のGAG、1つ以上のその成分または1つ以上のGAG切断生成物のレベルの長期にわたる低下は、疾患の重症度の低下を示す。
GAG状態の経過を監視する、またはその重症度を測定する方法の有効性が、GAG、GAG成分またはGAG切断生成物の診断の適切な選択に少なくともある程度は依存することを、当業者は理解するであろう。種々の実施形態では、本発明で開示されるように、GAGレベルはGAG切断生成物の測定値に基づいて算出されることができて、それは代替物または代用物をGAGの直接測定に提供する。他の例では、例えばどれか1つのGAG成分またはGAG切断生成物のレベルが、それが得られたまたは得ることができたGAG(複数可)のレベルを種々のレベルで知らせることができる限りでは、GAG成分またはGAG切断生成物のレベルは、十分に診断で有用であり得る。
GAG状態の治療の監視
本明細書において開示される1つ以上のGAG、1つ以上のその成分(例えば、二糖成分)、または1つ以上のGAG切断生成物のレベルを測定する方法は、治療のためにGAG状態の反応を監視する、例えば1つ以上の対象のGAG状態の進行における周知のもしくは実験用の治療の影響を監視するために利用できる。例えば試料は、治療を受けた、もしくは治療群のための対照群(例えば、未治療もしくはプラセボ群)として機能する、特定の対象または対象の群から得てもよい。試料は、少なくとも第1の時点及び第2の異なる時点(すなわち、2つ以上の異なる時点)で容認された実験行為と一致するやり方で、このような群のうちの1つ以上から得ることができ、1つ以上のGAG、1つ以上のその成分または1つ以上のGAG切断生成物のレベルは、本発明の方法によって各試料から測定されることができる。2つ以上の異なる時点のいずれかの間の変化または傾向は、例えば治療の存在下または不存在下にてGAG状態の進行の徴候を提供できる。例えば、治療を受けている1つ以上の対象もしくは対象の群の1つ以上のGAGレベルの増加、同じくらいの減少、統計学的に区別がつかない変化、またはより大きな増加は、対照群の1つ以上の対象もしくは対象の群の1つ以上の同じGAGと長期にわたって比較すると、治療の無効果を示すことができる。あるいは、治療を受けている1つ以上の対象もしくは対象の群の1つ以上のGAGレベルの統計学的に有意な低下、またはより少ない増加は、対照群の1つ以上の対象もしくは対象の群の1つ以上の同じGAGと長期にわたって比較すると、治療の有効性を示すことができる。このような実施形態で、治療は実験用の治療であり得る。
他の実施態様において、本発明の方法は、個人または個人の群において、治療、例えば周知の治療の効果を表すデータを提供するために用いる。例えば試料は、少なくとも第1の時点及び第2の異なる時点(すなわち、2つ以上の異なる時点)で特定の対象から得ることができ、1つ以上のGAG、1つ以上のその成分または1つ以上のGAG切断生成物のレベルは、本発明の方法によって各試料から測定されることができる。2つ以上の異なる時点のいずれかの間の変化または傾向は、GAG状態の進行の徴候を提供できる。状態の進行における傾向の比較は、対象の治療の有効性を示してもよい。例えば関連するGAGレベルの増加は、無効な治療を示すことができる。関連するGAGレベルの低下は、効果的な治療を示すことができる。他の状況において、例えば治療がGAGレベルが上がる速度を低下させて、GAG状態の進行の速度を遅くする場合(絶対の傾向がGAGレベルの増加であっても)、結果は効果的な治療を示すことができる。
一実施形態において、GAG状態の経過を監視する、またはその重症度を測定する方法の有効性が、GAG、GAG成分またはGAG切断生成物の診断の適切な選択に少なくともある程度は依存することを、当業者は理解するであろう。種々の実施形態では、本発明で開示されるように、GAGレベルはGAG切断生成物の測定値に基づいて算出されることができて、それは代替物または代用物をGAGの直接測定に提供する。他の例では、例えばどれか1つのGAG成分またはGAG切断生成物のレベルが、それが得られたまたは得ることができたGAG(複数可)のレベルを種々のレベルで知らせることができる限りでは、GAG成分またはGAG切断生成物のレベルは、十分に診断で有用であり得る。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される本発明の方法は、サンフィリポ症候群またはハンター症候群患者の治療反応を監視するために使用可能である。通常、例えばサンフィリポ症候群またはハンター症候群患者の1つ以上のバイオマーカーのレベルは、疾患の治療を受けた後に測定される。それから測定されたレベルは、患者が治療への陽性反応を有するか判定するために、対照レベルと比較される。本明細書で使用する場合、治療への「陽性反応」は、病徴の低下した重症度、進行速度の低下、疾患の減退または回復を含む。適切な対照レベルは、治療を受ける前(例えば、ベースライン)に同じ患者から得た、または処理の初期の時点に測定した1つ以上のバイオマーカーのレベルでもよい。いくつかの実施形態では、適切な対照レベルは、治療をしていない対照サンフィリポ症候群またはハンター症候群の患者の1つ以上のバイオマーカーのレベルである。いくつかの実施形態では、このような対照レベルは、相当数の対照患者から測定することができて、平均値または中央値は得られる。通常、対照患者は、同等の疾患または発達上のステージにいる。通常、適切な対照レベルと比較した1つ以上のバイオマーカーの統計的有意性を有する減少した、または上昇したレベルは、患者が治療への陽性反応を有することを示す。本明細書に記載するような種々の統計方法及び技術は、統計的有意性を判定するために用いることができる。いくつかの実施形態では、目的の関連した時点に得られた生体試料において測定したバイオマーカーのレベルが、対照レベルと比較して10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%より多く低下する場合、バイオマーカーは減少したレベルを有する。いくつかの実施形態では、生体試料で測定したバイオマーカーのレベルが、対照レベルと比較して20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%超、1倍、1.2倍、1.5倍、1.75倍、2倍、2.25倍、2.5倍、2.75倍または3倍より高い場合、バイオマーカーは上昇したレベルを有する。
本発明の方法は、すべての種類のサンフィリポ症候群(例えば、サンフィリポ症候群A型、B型、C型及びD型)、ハンター症候群ならびにいずれの疾患の種々の治療に適用することができる。特に本明細書に記載される本発明の方法は、サンフィリポ症候群またはハンター症候群の適切な治療として、酵素補充療法を確認するために用いることができる。非限定例としてサンフィリポ症候群A型を用いて、医師は、本明細書に記載する方法を使用して測定される1つ以上のバイオマーカーのレベルに基づく、患者に対する治療として組み換えヘパランN−スルファターゼ(HNS)タンパク質を投与することを勧めることができる。例えば医師は、少なくともある程度は本発明によるバイオマーカーレベルに基づいて、治療薬(例えば、HNSタンパク質などの補充酵素)の治療に有効な用量、投与間隔及び/または経路を判定することができる。非限定例としてハンター症候群を用いて、医師は、本明細書に記載する方法を使用して測定される1つ以上のバイオマーカーのレベルに基づく、患者に対する治療として組み換えイズロン酸−2−スルファターゼ(I2S)タンパク質を投与することを勧めることができる。例えば医師は、少なくともある程度は本発明によるバイオマーカーレベルに基づいて、治療薬(例えば、イズロン酸−2−スルファターゼタンパク質などの補充酵素)の治療に有効な用量、投与間隔及び/または経路を判定することができる。
特定の例において、本発明は、リソソーム蓄積症の治療を監視する方法を含み、そこでリソソーム蓄積症を患っている患者は、例えば治療に有効な用量の補充酵素の投与によって治療される。このような治療は、本明細書において開示される任意の方法など、その任意の方法に従って、1つ以上のグリコサミノグリカンのレベルを1つ以上の時点で測定することを伴うことができる。グリコサミノグリカンのレベルは、本明細書に記載される任意の試料組織を含む、患者から得た任意の生体試料から測定されることができる。特定の例において、試料は、リソソーム蓄積症の治療もしくは治療のコースの前、その間、またはその後のある時点を反映できる。
このようなリソソーム蓄積症の例としては、例えばMPSI、MPSII、MPSIIIA、MPSIIIB、MPSIIIC、MPSIIID、MPSIVA、MPSIVB、MPSVI、MPSVII、MPSIX、アルファマンノース症、アスパルチルグルコサミン尿症、ファブリー病、フコシド蓄積症、ガラクトシアリドーシス、ゴーシェ病、GM1ガングリオシドーシス、GM2活性化因子欠損症、シアリドーシス、クラッベ病、異染性白質ジストロフィー、ムコリピドーシスIV型、多種スルファターゼ欠損症、ポンペ病、サンドホフ病、テイサックス病、AB型シンドラー病、サラ病、βマンノース症、及びグロボイド細胞白質ジストロフィーが挙げられる。
リソソーム蓄積障害を治療するために投与される補充酵素は、例えば組み換え酵素、例えば1つの特定の例では組み換えヒトヘパランN−スルファターゼまたは組み換えイデュルスルファーゼであり得る。
リソソーム蓄積症の患者に行われる治療は、治療に有効な用量及び/または1mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、200mg、300mg、400mgもしくは500mg以上などの1mg〜500mgで選択される量などの任意の投与量でのリソソーム補充酵素の投与を含むことができる。
リソソーム蓄積症の治療のための治療薬、例えばリソソーム蓄積症の治療のための補充酵素の投与は、任意の間隔で行うことができる。投与の代表的な間隔は、毎日、毎週、隔週、毎月、隔月、隔年、または必要に応じて、及びこれらの任意の組み合わせを含む。したがって投与量は、例えば毎週、毎月、もしくは他の時間間隔で、または必要に応じて繰り返されることができる。
グリコサミノグリカンのレベルを、本明細書に記載する任意の試料を含む、様々な生体試料のいずれにおいても測定できる。代表的な組織は、例えば、脳脊髄液(CSF)、全血、細胞、組織、血しょう、血清、血液、尿及びこれらの組み合わせを含むことができる。
種々の実施形態では、グリコサミノグリカンのレベルの監視または測定の結果は、治療のコース(例えば、投与量または投与間隔)に影響を与えることができる。例えば、対照グリコサミノグリカンのレベルと比較して、グリコサミノグリカンのレベルが低下して測定される場合、投与量及び/または投与間隔を維持してよい。更に具体的には特定の場合には、対照グリコサミノグリカンのレベルと比較して、グリコサミノグリカンのレベルが、例えば少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%以上低下して測定される場合、投与量及び/または投与間隔を維持してよい。
いくつかの例では、対照グリコサミノグリカンのレベルと比較して、グリコサミノグリカンのレベルが低下して測定される場合、投与量及び/または投与間隔を調節できる。種々のこのような実施形態で、GAGレベルは、対照グリコサミノグリカンのレベルと比較して、1%以下、2%以下、3%以下、4%以下、5%以下、6%以下、7%以下、8%以下、9%以下または10%以下減少する。いくつかの例では、対照グリコサミノグリカンのレベルと比較して、グリコサミノグリカンのレベルが低下して測定される場合、投与量を増加することができる(例えば5%、10%、20%、30%、40%、50%、75%、2倍、3倍、4倍、5倍または10倍以上だけ)。いくつかの例では、対照グリコサミノグリカンのレベルと比較して、グリコサミノグリカンのレベルが低下して測定される場合、投与量を減らすことができる(例えば5%、10%、20%、30%、40%、50%、75%、2倍、3倍、4倍、5倍または10倍以上だけ)。いくつかの例では、対照グリコサミノグリカンのレベルと比較して、グリコサミノグリカンのレベルが低下して測定される場合、投与間隔を減らすことができる(例えば5%、10%、20%、30%、40%、50%、75%、2倍、3倍、4倍、5倍または10倍以上だけ)。いくつかの例では、対照グリコサミノグリカンのレベルと比較して、グリコサミノグリカンのレベルが低下して測定される場合、投与間隔を増やすことができる(例えば5%、10%、20%、30%、40%、50%、75%、2倍、3倍、4倍、5倍または10倍以上だけ)。
いくつかの例では、対照グリコサミノグリカンのレベルと比較して、グリコサミノグリカンのレベルが増加して測定される場合(例えば5%、10%、20%、30%、40%、50%、75%、2倍、3倍、4倍、5倍または10倍以上)、投与量及び/または投与間隔を調節することができる。種々のこのような実施形態で、GAGレベルは、少なくとも1%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%以上増加する。いくつかの例では、対照グリコサミノグリカンのレベルと比較して、グリコサミノグリカンのレベルが増加して測定される場合、投与量を増やすことができる(例えば5%、10%、20%、30%、40%、50%、75%、2倍、3倍、4倍、5倍または10倍以上)。いくつかの例では、対照グリコサミノグリカンのレベルと比較して、グリコサミノグリカンのレベルが増加して測定される場合、投与量を減らすことができる(例えば5%、10%、20%、30%、40%、50%、75%、2倍、3倍、4倍、5倍または10倍以上)。いくつかの例では、対照グリコサミノグリカンのレベルと比較して、グリコサミノグリカンのレベルが増加して測定される場合、投与間隔を増やすことができる(例えば5%、10%、20%、30%、40%、50%、75%、2倍、3倍、4倍、5倍または10倍以上)。いくつかの例では、対照グリコサミノグリカンのレベルと比較して、グリコサミノグリカンのレベルが増加して測定される場合、投与間隔を減らすことができる(例えば5%、10%、20%、30%、40%、50%、75%、2倍、3倍、4倍、5倍または10倍以上)。
種々の実施形態では、対照GAG濃度は、例えばリソソーム蓄積症を患っている対象のGAG濃度、治療の初期の時点で測定されたリソソーム蓄積症を患っている対象のGAG濃度、または未治療の対照対象のGAG濃度であり得る。
GAG状態の診断
本明細書において開示される1つ以上のGAG、1つ以上のその成分(例えば、二糖成分)、または1つ以上のGAG切断生成物のレベルを測定する方法は、GAG状態を診断する、例えば対象が病理状態を示す可能性が高いGAGレベルを提示しているか診断するために利用できる。GAGは、例えばヒアルロナン、ケラタン硫酸(KS)、コンドロイチン硫酸(CS)、デルマタン硫酸(DS)、ヘパラン硫酸(HS)、ヘパリン、コンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸(CS/DS)及びヘパラン硫酸(HS)/ヘパリンを含む。病理学的GAGレベルの測定は、ある期間にわたるGAGレベルを監視すること、及び監視した期間にわたるGAGレベルの傾向を確認することを含むことができる。病理学的GAGレベルの測定は、1つ以上の時点での1つ以上のGAGレベルを測定すること、及び測定したレベルを確立した標準値と比較することを含むことができる。標準値は、例えば本明細書において開示される方法に関して、統計的に有意な数の所与のGAG状態を有する対象及びGAG状態を有さない対象をサンプリングして、そこから得た値を比較し、精査し、または処理することによって確立することができる。
GAG状態の経過を監視する、またはその重症度を測定する方法の有効性が、GAG、GAG成分またはGAG切断生成物の診断の適切な選択に少なくともある程度は依存することを、当業者は理解するであろう。種々の実施形態では、本発明で開示されるように、GAGレベルはGAG切断生成物の測定値に基づいて算出されることができて、それは代替物または代用物をGAGの直接測定に提供する。他の例では、例えばどれか1つのGAG成分またはGAG切断生成物のレベルが、それが得られたまたは得ることができたGAG(複数可)のレベルを種々のレベルで知らせることができる限りでは、GAG成分またはGAG切断生成物のレベルは、十分に診断で有用であり得る。
治療レジメンの決定
本明細書に記載される方法を用いて、医師は、本明細書に記載される1つ以上のバイオマーカー(例えば、GAGなどのサンフィリポ症候群またはハンター症候群のためのバイオマーカー)の発現及び/または活性レベルの測定による診断及び疾患の段階分けに基づき、患者へ提供される、個々の患者に適している治療を選択し、処方することができる。所与の患者のための適切な治療レジメンの選択は、本明細書に記載されて本発明の方法により提供される診断/段階分けだけに基づいて、なされることができる。代替的にまたは追加的に、サンフィリポ症候群またはハンター症候群を診断して、疾患の進行を評価するために、医師は、既存の方法で使用する他の臨床または病理学的パラメータを考慮に入れることもできる。
治療の投与量及び頻度は、治療有効性を最適化するように調整されることができる。治療反応を監視するための適切な試料は、脳脊髄液(CSF)、細胞、組織、全血(例えば、末梢血液試料)、血しょう、血清、血液、尿及びこれらの組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。上記の追加の生体試料も使用できる。
本明細書から理解されるように、本発明は、GAGが切断生成物内に消化される種々の実施形態を含んでおり、例えば質量分析による切断生成物の定量化が切断生成物が由来するGAGのレベルの指標を提供するように、それは定量化される。本明細書において開示される種々の用途で、この値を使用することができる。本発明の種々の方法としては、抽出、脱塩、消化、誘導体化、任意のグリカン特有的な抽出、分離及び検出を含むが、特定工程または特定の工程の順番を除いて、数、繰り返しに関してこれらに限定されない。
本明細書に記載の実施例は、グリコサミノグリカンのレベルを測定するための質量分析の使用を示す。本発明は部分的には下記の実施例に基づき、それは、グリコサミノグリカンのレベルを測定する質量分析法の有用性を示す。
少なくともいくつかの実施例で、方法は記載されており、そこで脳脊髄液の50μlの試料は、ヘパラン硫酸のイオン交換固相抽出、サイズ排除脱塩、ヘパリナーゼによる消化、得られた二糖の化学的誘導体化、及び固相抽出を含む手順で分析された。少なくともいくつかの実施例で、I−S、IIS、III−S、IV−S、II−A及びIV−Aと同定された6つのヘパラン硫酸二糖を、4−ブチルアニリンで誘導体化した。特定の実施例において、分析物の定量化は、液体クロマトグラフィー(LC)、例えば逆位相液体クロマトグラフィーを用いて実行されて、その後質量分析(MS)が続いた。
実施例1:ムコ多糖症患者の脳脊髄液中のヘパラン硫酸の定量化のための、液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)アッセイ
試料中のヘパラン硫酸から抽出された二糖を多段階手順を使用して定量化する方法によって、ヘパラン硫酸はヒト脳脊髄液試料において定量化された。特に本実施例の多段階手順は、イオン交換個体相抽出、サイズ排除脱塩、ヘパリナーゼによる消化、化学的誘導体化及びグリカン特異的な固相抽出を含んだ。グリカン特異的な固相抽出の後で、二糖は、API5000(商標)エレクトロスプレー陰イオンモードで作動する三連四重極型質量分析計を使用する、タンデム質量分析と共に、液体クロマトグラフィーにより分析された。
CSFからのHSの抽出
ジエチルアミノエチル(DEAE)樹脂(175μL)は、20μmフリット入りの96ウェルプレートのウェルに加えられた。樹脂は、300μLの添加/洗浄緩衝液(20mMのトリス−HCl、0.1MのNaCl、pH7.4)を添加し、50RCFで1分間遠心分離して平衡させた。CSF(50μL)は、175μLの添加/洗浄緩衝液と混合して、樹脂に添加して、遠心分離された。ウェルを300μlの添加/洗浄緩衝液で2回洗浄して、HSを140μlの溶出緩衝液(20mMのトリス−HCl、1MのNaCl、pH7.4)を用いて樹脂から収集プレート内に溶出した。溶出液を、製造業者プロトコルに従ってG−25ゲル濾過Multitrapプレートを用いて脱塩して、遠心蒸発によって乾燥した。
HSの二糖への消化
各抽出ウェル中のHSを、50μLのヘパリンアーゼ消化緩衝液(25mMの酢酸アンモニウム、1mMの酢酸カルシウム、pH7.0)中に溶解させた。二糖成分への消化は、12UヘパリナーゼI、4UヘパリナーゼII及び1.4UヘパリナーゼIIIを使用して実行された。反応は30℃で一晩続けられて、その後の二糖の標識化に備えて、遠心蒸発によって乾燥した。
二糖の標識化及び精製
HSは、ヘキスロン酸(HexA)α/β1−4グルコサミン(GlcN)α4主鎖で構成される、繰り返し二糖サブユニットから作成された直鎖ポリマーを含む。二糖主鎖は、異なる化学基によって生合成的に改変されることができる。例えばHexA単位は、2−O位置で硫酸化されることができて、カルボキシル基はリングの平面に対して2つの逆方向にエピマー化されることができる。GlcNは、その6及びもっと稀には3ヒドロキシル酸素で硫酸化を生じることができる。アミン窒素はごく稀に遊離であり、硫酸化またはアセチル化によって、より頻繁に置換される。少なくともある程度はこのような不均一性により、HS鎖を分析するのは非常に困難である。二糖成分の分析及び定量化は、この問題点の解決に関与する。二糖の標識は、更に後述するように、本方法の少なくともいくつかで、このような方法の有用性に更に貢献できる工程である。
細菌性ヘパリナーゼI、II及びIIIを用いたHSを酵素的に解重合することによる親ポリマーの代用物として、二糖類は定量化された。酵素は種々の切断生成物を生成する二糖の間の結合を切断して、そこで少なくとも8つのアイソフォームが一般に検出された(図1)。IIS/IIIS及びIIA/IIIAなどの放出された二糖の多くは異性体であり、したがって質量分析によって同じ質量電荷比(m/z)で検出される。したがって本実施例では、これらの二糖を個別に定量化することを可能にするために、質量分析検出の前にクロマトグラフ寸法でそれらを分離することは重要である。
疎水性標識を有する還元的アミノ化による親水性二糖の改変は、RPクロマトグラフィーによる、それらの分離を改善する、または可能にする。4−ブチルアニリン(4−NBA)は、その疎水性、重水素化形態の市場での入手性、及び多量の13Cの有機合成の容易さにより有望な標識候補であった(図2A)。
HS二糖は、還元的アミノ化によって、12C−4−NBAで標識した。この反応は、7:3(v/v)のジメチルスルホキシド(DMSO):氷酢酸溶液中に溶解した13μLの0.57Mのシアノ水素化ホウ素ナトリウム溶液及び2μLの4−NBAを、乾燥二糖の各ウェルに添加することにより行われた。プレートは、2時間37℃で断続的に振り混ぜることによりインキュベートした。標識反応物を、あらかじめ13C標識4−NBAで誘導体化した、内部標準(Istd)として作用する二糖混合物0.58μMを含有する、200μLの98:2のアセトニトリル:水で希釈した。Istd混合物のモル組成は、較正曲線のために使用するキャリブレーターのものと同一である(下を参照)。標識した二糖及びそのIstdを含有する溶液は、固相抽出(SPE)によって標識反応過剰試薬から精製した。この目的のために、96ウェルフォーマットのGlykoClean S−Plus HILICカートリッジ(Prozyme(Hayward、CA))を、製造業者真空プロトコルに従って用いた。手短に言えば、樹脂を1mLの水でプライム化して、その後、1mLのアセトニトリルで平衡化した。Istdを含有する98:2のアセトニトリル:水中の標識二糖の200μLを、樹脂に添加して、500μLのアセトニトリルで洗浄し、続いて純水500μLで溶出した。溶出液に、10μLのトリブチルアミン(アセトニトリル中の0.5%)を加えて、試料をLC/MSで直接分析した。
LC/MS
HS二糖を、オンライン質量分析検出を備えた逆相(RP)クロマトグラフィーで分離した。使用するカラムは、流量0.3ml/分及びカラム温度25℃でWaters Acquityで作動するHSS T3RP18(1.7μM、2.1×100mm)(Waters(Milford、MA))であった。移動相Bがアセトニトリルであったのに対して、移動相Aは60mMの酢酸アンモニウム酢酸pH5.4であった。勾配は98%のAで最初の1分の平衡化を含み、8分間にわたる60%のAに減少して、二糖を溶出した。カラムを1分間20%のAで洗浄して、1分間98%のAで再平衡化した。合計分析時間は、12分であった。
負極性複数反応監視モードで作動する、三連四重極型分析計を備えたAPI5000質量分析計(AB Sciex(Concord、Ontario))を使用して、質量分析検出は実行された。ソースは以下の条件下で二糖検出のために調整された:カーテンガス20、GS1 50、GS2 50及び450℃の移送キャピラリー温度。12C−4−NBA標識二糖を検出するために用いる転移は、以下のとおり。ΔUA,2S−GlcNS,6S(I−SまたはIS)(709.1/549.2),ΔUA−GlcNS,6S(II−SまたはIIS)(629.1/549.2),ΔUA,2S−GlcNS(III−SまたはIIIS)(629.1/549.2),ΔUA−GlcNS(IV−SまたはIVS)(549.2/391.2),ΔUA−GlcNAc,6S(II−AまたはIIA)(591.2/433.2)及びΔUA−GlcNAc(IV−AまたはIVA)(511.2/157.0)。13C−4−NBA標識Istd二糖の検出のために使用する転移は以下のとおり。IS(715.1/555.2)、IIS(635.1/555.2)、IIIS(635.1/555.2)、IVS(555.2/397.2)、IIA(597.2/439.2)及びIVA(517.2/157.0)。
較正曲線の構築
較正を生成するために、ヒトCSF中で最も豊富な6つの商業的に入手した二糖、すなわちIS、IIS、IIIS、IVS、IIA及びIVAを、以下のそれぞれのモル比のパーセント10%、5%、15%、10%、10%及び50%で混合した。8つのゼロ以外の較正は、全二糖の濃度レベル(0.1μM、0.25μM、0.8μM、2.5μM、6.0μM、17.5μM、40μM及び50μM)の増加と共に使用された。定量化の下限及び定量化の上限は、それぞれ0.1μM及び50μMであった。DEAE抽出及び脱塩をすでに受けた50μLのCSFに、各レベルを添加した。基質へのヘパリナーゼの添加は、内因性HSの消化を回避するために省略した。キャリブレーター混合物を12C−4−NBAで標識して、上記のとおりIstdの存在下で、SPEにより精製した。それぞれの13C Istdに対する6つの12C二糖の標準化した強度の合計は、キャリブレーターの全二糖濃度に対してプロットされた。1/x重み付きの最適な線形回帰モデルを、較正曲線を生成するために用いた。
バリデーション試験
二糖品質管理(DS QC)の準備のために、キャリブレーターを模した二糖混合物を、較正曲線の範囲にわたる定量化(LLOQ)の下限及びより高い濃度レベルで調製した(0.3μM、2μM、15μM及び37.5μM)。QCを、較正曲線に基づいて定量化した。真度(%bias)及び精度(%CV;n=6)を測定した。
HS品質管理(HS QC)を準備するために、二糖当量の高濃度の2mg/mlのウシ腎臓HS原液を、二糖較正曲線に基づいて測定した。低、低〜中、中及び高HS QCは、0.3μM、2μM、15μM及び37.5μMの急上昇濃度の原液から調製された。HS QCの名目上の二糖濃度は、使用するマトリックスのロットからスパイクイン二糖濃度までの内因性HSの二糖寄与を加えることによって、算出された。HS QCは全試料調製プロトコルにより実施されて、真度及び精度(n=6)を算出した。
定量化の上限(ULOQ)を超える試料を希釈する能力を試験するために、高濃度のHS QC(400μM;n=6)は、空のマトリックスによる希釈後、較正曲線の範囲内の定量化可能なレベルまで定量化された。真度及び精度を測定した。
マトリックス効果を評価するために、低及び高レベルのDS QCは、異なる6ロットの抽出/脱塩されたマトリックスに添加されて、それから標識して精製された。平均質量分析反応を、未希釈溶液中の同じ濃度で注入、処理された二糖と比較した。マトリックス因子(MF)は、未希釈溶液中のそれに対するマトリックスの平均信号の比である。
高濃度の試料の処理後、キャリーオーバーの範囲を測定するために、ブランクは最も高濃度のキャリブレーター後に注入されて、分析物の存在のために評価された。
選択性は、他のマトリックス成分からの干渉のない所望の分析物を検出するアッセイの能力を指すことができる。アッセイ選択性を試験するために、異なる6ロットのブランクマトリックスは、HS二糖として同じ移行及び保持時間で干渉するピークに関して評価された。HSが内在性であるので、未消化のマトリックスだけが用いられる。
分析物に対するIstdの干渉は、アッセイで使用する濃度のマトリックス中のIstd添加、特性移行の信号及び分析物の保持時間の監視により評価された。
処理した試料の再注入再現性は、特定の試験条件下で保存した、あらかじめ受け入れた較正標準物質及び品質対照試料を再注入することによって判定された。品質管理濃度は再注入した較正曲線から算出されて、理論値に対して比較された。
処理した試料の抽出安定性は、新たに抽出した標準曲線に従った特定の試験条件下で保存した、あらかじめ受け入れた較正標準物質及び分析的な品質対照試料を再注入することによって判定された。品質管理濃度は新たに抽出した較正曲線から算出されて、理論値に対して比較された。
マトリックス安定性は、凍解安定性、ベンチトップ安定性、及び中間体安定性を含む、いくつかの特定の態様で評価された。
試験条件下(例えば、温度、露光量など)で保存した溶液から得た反応を、試験条件に従わなかった同じ溶液(対照)のアリコートから得た反応と比較することによって、溶液安定性は判定された。新たに調製した溶液(対照)から得た反応を、試験条件(例えば、低下した温度、光から保護)で維持した溶液から得た反応と比較することによって、長期の溶液安定性を判定した。
重4−NBAによるHS二糖の化学標識
監視する二糖のIstdを生成する可能性を提供するので、この標識の同位体標識型は望ましい。このように定量化の精度及び真度を強化する実験的可変性を相殺したので、試料調製及びLC/MS分析中のIstdの導入は重要であった。4−NBAの市販型は、逆相樹脂と相互作用するブチルヒドロカーボン尾部で重水素化する。水素添加で標識したラベルに関して、LC分離中、重水素化二糖の保持時間でわずか30秒の変動が生じる。この課題を回避するために、アニリン環で標示する13C−4−NBAが合成された(図2A)。質量分析の検出中、一価のとき、そのm/zで6ダルトンの変動を示す一方で、この型で標識した二糖はその12C対照物で共溶出される(図2B)。したがって13C−4−NBA標示した二糖は、本実施例においてIstdとして機能する最良の分析物であった。
二糖の逆相分離
4−NBAのHS二糖への共有結合はその親水性特性を減弱させて、RP C18液体クロマトグラフィーによる分離の影響を受けやすくなる。図3は、ヒトCSF HSから生成した大量の二糖を表す6つの市販のHS二糖標準物質の分離を示す。12分のLC/MS法は、大きな試料セットの分析中、試料の回転率を上昇させる。6つの二糖は、疎水性の順序を増加させる際に分解されて、溶出された。3重に硫酸化した二糖(IS)が6.46分で最初に溶出して、非硫酸化/アセチル化した1つ(IVA)は、樹脂と最も強力に相互作用して、8.33分の最も長い保持時間を有した。同一のm/zを有する異性体二糖IIS及びIIISは、それぞれ6.65分と6.94分でベースライン分離して溶出して、個々の検出及び計量を容易にした。同様に一対の異性体IIA/IIIAはこのクロマトグラフィーによって分離したが、IIIAがCSF中のヒトHSの軽微な成分であるので、それは分析から無視された。要約すると、本明細書で記載されたLC/MSプラットフォームは、試料分析の処理能力を増加させる短い勾配を使用して、異性体を含むHS二糖を分離する力を有する。溶出特性が方法の変化と共に変わることを、当業者は理解するであろう。
試料調製のプロトコル
CSF試料処理プロトコルは、処理能力の高い試料分析中の有用性を提供する特性の96ウェルプレートフォーマットで起こった(図4)。弱アニオン交換によって負に帯電したGAGの抽出により開始した。樹脂に保持された分析物は、高塩濃度緩衝液により溶出されて、それから溶出液はゲル濾過カートリッジを使用して脱塩された。抽出物のHSフラクションを、ヘパリナーゼI、II及びIIIを含む、HS特異的な酵素カクテルを使用して、その二糖構成単位内で解重合した。得られた二糖は、12C−4−NBAによって還元的にアミン化されて、親水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC)固相抽出(SPE)プレートを使用して、下流のクロマトグラフィーと干渉する過剰標識試薬から精製された。HS二糖は水で溶出されて、RP LC/MSによって直ちに分析された。あらかじめ13C−4−NBAで標識した二糖の混合物を、標識化工程後のIstdとして試料に添加して、下流工程で行われる試料から試料の実験的変動を相殺するのに役立つ(図4)。多工程アッセイプロトコルを広範囲に確認した。特定のバリデーション結果を表1に要約する。
最適な較正曲線の線形及び真度
患者CSF中の二糖定量化のための較正曲線を生成するために、異なる濃度の二糖キャリブレーターは、患者の試料を模擬化するマトリックス中に添加された。このようなマトリックスを調製するために、市販のブランクCSFに抽出及び脱塩を行った。患者試料の処理とは対照的に、キャリブレーターの調製で使用したマトリックスは、酵素消化を受けなかった。この改変は、急上昇したキャリブレーターの名目上の濃度に対する、低い内因性HSレベルの関与を排除する。二糖キャリブレーターは、脱塩後及び標識化の前に調製したマトリックスに加えられて、12C−4−NBAで標識されて、同位体標識Istdの存在下で、HILICにより精製される。キャリブレーターは、ヒトCSF HS、すなわちIS、IIS、IIIS、IVS、IIA及びIVAの構造で最も豊富なものを表す6つの市販の二糖を含有する、混合物であった。直交法に基づいて、モル比は、サンフィリポ症候群A型患者のCSF中の蓄積されたHSの近似の二糖組成物を模倣するように調整された。使用する濃度は、患者CSF中の全二糖濃度が低下すると思われる範囲にわたった。試験した範囲は、定量化の下限(LLOQ)である0.1μM及び定量化の上限(ULOQ)である50μMを有する、全二糖0μM〜50μMである。キャリブレーター混合物中の各二糖の絶対の質量分析反応は、そのそれぞれの13C Istdに標準化された。6つの二糖の標準化した強度の合計は、混合物の全二糖濃度に対してプロットされた(図5)。生成された較正曲線は、最適式y=0.9613x+0.2005及び0.99の判定(R)値の係数を有する線形であった。
最善の最適回帰モデルの真度を試験するために、各キャリブレーターレベルの標準化した強度は、最適式に基づいて濃度に逆算された。精度は、キャリブレーター理論上の名目濃度から逆算した濃度の偏差により定義されて、バイアスパーセント(%bias)として計算上報告された(表2)。表2に示すように、逆算した平均濃度のバイアスは−7%〜12.4%の範囲であった。新たに調整したキャリブレーター使用して、実験が異なる日に繰り返されるとき、異なるレベルの真度は、20%以下のままだった。
較正曲線を使用した定量化の真度と精度
品質管理(QC)は、較正曲線ベースの定量化の真度及び精度を評価するために用いる試料である。二糖QC(DS QC)は、新たに調整した二糖混合物を使用したキャリブレーターと同様に調整した。DS QCのものは較正曲線に基づいて定量化されて、定量化の真度及び精度を評価した。6つの複製中の各較正曲線の範囲にわたる5つの異なるQCレベルを、使用した。定量下限DS QC(0.1μM)、低DS QC(0.3μM)、低〜中DS QC(2μM)、中DS QC(15μM)及び高DS QC(37μM)。表3は、DS QCsの定量化のための1日内の真度及び精度データを示す。定量下限及び低DS QCについて、それぞれの%CVが11.7%と6.7%であったのに対して、%biasはそれぞれ16%及び9%であった。より高いQCレベルにおいて、真度及び精度パラメータ≦20%のままであった。この実験を3つの異なる日に繰り返して、5つのDS QCレベルにわたるアッセイ間の真度及び精度は、それぞれ−15.7〜16%及び2.2〜16%の範囲であった。
回収率
回収率(R)は、分析アッセイで使用する粗製材料の最初の量に対する回収される生成物の量の比であり得る。本分析アッセイにおいて、抽出/脱塩の後及び消化の直前にHSが同じマトリックスに添加される別の試料の標準化した検出反応を、最初の抽出工程前にHSがブランク未MPS CSFに添加される試料の標準化した検出反応で割ることによって、Rは測定される。比は、抽出及び脱塩の間、失われる材料の量を示す。この実施例のために、ウシ腎臓からのHSは市場での入手性に依存した。消化に応じて、較正曲線の定量化可能な範囲の全二糖濃度を得るHS濃度の低、低〜中、中及び高レベルについて、Rは算出された。興味深いことに、アッセイの回復率の値は、異なる濃度レベル(%CV=13.6)で急激な差異を示さず、44〜58%の範囲であった(表4)。実施例の残りのために及び必要に応じて、4つのHSレベル間の平均R値を使用した。
全分析アッセイの真度及び精度
上記のとおりのDS QCの準備中に、二糖混合物は、標識化工程でマトリックスに添加される。したがってこのようなQCを使用すると、抽出、脱塩及び消化工程で起きる変化が考慮されないので、定量化の真度及び精度はアッセイの一部に対してのみ評価される。アッセイの真度及び精度に影響できるプロトコルの初期工程と関連する2つの要因は、抽出及び脱塩工程中の試料回復率間の可変性、及びHSの酵素消化中のリアーゼの矛盾する酵素活性である。これらの要因の複合した影響を評価するために、ヘパラン硫酸品質対照試料(HS QC)を使用した。異なる4レベルのHS QCは、最初のアニオン交換抽出工程前に、異なる濃度レベルで非MPSドナーCSFにウシ腎臓HSを添加することによって調製された。HS QCは、抽出から質量分析検出まで全試料調製プロトコルを受けた。処理中生成された二糖は、平均回復率Rにより修正される較正曲線及び値に基づいて、定量化された。算出平均QC濃度の1日内の真度は、−12.8%〜7.9%の範囲だった(表5)。1日内の%CVの範囲は、5.0%〜11.4%であった。3つの異なる実験にわたって、精度は4.6%〜18.3%の間にあると共に、1日内の真度は−12.8%〜7.9%の範囲であった。
HS QCは、抽出工程から最終的な質量分析検出まで全分析アッセイの真度及び精度を試験するために用いた(表5)。低、低〜中、中及び高HS QCレベルは、0.3μM、2μM、15μM及び37.5μMのそれぞれの急上昇濃度と共に使用した。この実験で使用したCSFロットの内因性HSから生じている二糖の定量化されたレベルは、0.407μMであった。この値を急上昇濃度に加えて、全名目上の濃度を算出した。
再注入再現性
再注入再現性は、あらかじめ許容した較正標準及び品質管理値の量を決定して、その後再注入が続く。値は理論上の値と比較した(表6)。
抽出安定性
処理した試料中のヘパラン硫酸の抽出安定性は、新たに抽出した標準曲線に従った特定の試験条件下で保存した、あらかじめ受け入れた較正標準物質及び分析的な品質対照試料を192時間後に再注入することによって判定された(表7)。品質管理濃度を新たに抽出した較正曲線から算出されて、理論値と比較した。
マトリックス安定性
凍解安定性を評価するために、少なくとも24時間の最初の凍結期間の後、各凍解サイクルは、少なくとも12時間の凍結貯蔵を含んだ(表8)。実験試料のために使用した方法条件当たり、マトリックス安定性品質対照試料は、解凍されて、維持された。各解凍サイクルの時間間隔は、少なくとも30分であった。
卓上安定性を評価するために、マトリックス安定性品質対照試料は、実験試料の実験用の解凍及び分取に関連する条件を受けた(表9)。
中期安定性は、新たに調製した曲線に対する品質対照試料の進行中の分析によるバリデーションの過程で実証された。安定性の持続期間は、品質対照試料調製の時点から、最後の真度及び精度の実施の抽出の完了まで算出された(5週超えない)(表10)。
溶液安定性
試験条件下(例えば、温度、露光量など)で保存した溶液から得た反応を、試験条件に供されなかった同じ溶液(対照)のアリコートから得た反応と比較することによって、溶液安定性は明らかにされた。新たに調製した溶液(対照)から得た反応を、試験条件(例えば、低下した温度、光からの保護)で維持した溶液から得た反応と比較することによって、長期の溶液安定性を判定した。13C6−4−ブチルアニリンで標識した二糖の25時間にわたる卓上溶液安定性は、対照と試験溶液の間の1.6%の差で許容された。ヘパラン硫酸原液の25時間にわたる卓上安定性は、試験と対照溶液の間の1.9%の差で許容された。二糖溶液の21時間にわたる卓上使用用溶液安定性は、試験と対照溶液の間の0.3%の差で許容された。ヘパラン硫酸の長期原液安定性(27日)は、試験と対照溶液の間の2.0%の差で許容された。ヘパラン硫酸二糖の長期原液安定性(56〜81日)は、I−Sにおいては試験と対照溶液の間の3.0%の差で、II−Sにおいては試験と対照溶液の間の11.5%の差で、IV−Sにおいては試験と対照溶液の間の−2.9%の差で、IV−Aにおいては試験と対照溶液の間の8.8%の差で許容された。ヘパラン硫酸二糖III−Sの長期原液安定性(81日)は、試験と対照溶液の間の−2.4%の差で許容された。高濃度(50.0μM)のヘパラン硫酸二糖の長期使用用溶液安定性(56日)は試験と対照溶液の間の−1.5%の差で許容された。
結論
これらのデータは、HSの酵素消化によって生成された二糖の分離及び計量に、新規の96ウェルプレート、LC/MSプラットフォームを提供する。効果的なクロマトグラフ法は、例えば強アニオン交換(SAX)などのHS二糖類分析のために依然に利用された。効果的であるにもかかわらず、多くの従来のクロマトグラフ法は技術的な困難に直面する可能性がある。SAX分離の間、使用する高含有量の不揮発性塩は、特別なオンライン脱塩装置のない質量分析計によって、その直接カップリングを妨げる可能性がある。IPRPクロマトグラフィーは長時間を要する勾配を必要とする可能性があり、質量分析計を汚染する危険性がある移動相のアルキルアンモニウム塩のミリモル濃度の使用に依存している可能性がある。これにより多くの場合、1つの用途の運転中の器具がそれだけに専念することを必要とする可能性がある。PGCは、その損失を引き起こす溶出が困難な、特異的に高硫酸化した異なるHS二糖を保持できる(Gill,V.L.et al.,Anal.Chem.(2013)85(2):1138−1145)。HILICは、最適な分離を達成するために処理能力を犠牲にして長い分離時間(>30分)を必要とする可能性がある。分解能を保持すると共に、特定の場合には酢酸アンモニウムなどの通常の質量分析にも好都合な緩衝液を使用することにより、現行手法は、多くまたはすべてのこれらの問題をある程度は回避する。方法は、比較的急速な12分のLC/MS方法及び処理能力を提供できる。
本実施例は、同位体標識型の標識剤を用いることにより、内部標準物質が選択された分析物のために生成される標識化方法の使用を含む。ここで例示する方法は、Istdを組み込むという点で有利であり得る。このようなIstdは、すべてのHS二糖及び/または切断生成物の挙動を模倣するために、単一の分子を同定する難しさに取り組む。
較正曲線の構造内の精製された二糖の使用は、標準物質の信頼性が高い発生源を提供して、正確な定量化のための関連するヒトCSF HS試料を反映させる組成物に、キャリブレーター混合物を調製するのを可能にする。
実施例2:未治療のサンフィリポ症候群A型患者の脳脊髄液ヘパラン硫酸濃度。
25人の未治療のサンフィリポ症候群A型患者からのCSF試料は、上記のLC/MSベースHS分析法を使用して分析された。HS濃度は、CSFがバイオレポジトリーから得られて、同じ方法を用いて分析された156人の対照健康な個人と比較された。患者群において、HS濃度は1.94μM〜9.71μMの範囲であり、平均HS濃度は4.9μMであった(図6)。対照的に、対照試料の33%は、アッセイの定量化の下限(LLOQ)未満のHSレベルを特徴とする。定量化可能な範囲のそれらは、平均濃度は0.37μMであり、最低及び最高の濃度はそれぞれ0.229μM及び0.648μMであった。したがって対照と比べて、サンフィリポ症候群A型患者のCSF中のHSレベルは、著しい13倍の増加(t検定、P<0.001)であった。
実施例3:サンフィリポ症候群A型患者の髄腔内酵素補充療法後、HS濃度の変化。
本実施例は部分的には、患者の状況及び治療の有効性の監視のための本発明の方法の適用に関する。サンフィリポ症候群A型患者は、22週間脊髄内投与によって、毎月10mg、45mgまたは90mgの組み換えヘパランN−スルファターゼを投与された。CSF試料は組み換えヘパランN−スルファターゼの各投与の前に収集されて、CSF中のHSは上記のLC/MSベースHSアッセイを使用して測定された。22週間の治療理間にわたるCSF HSの変化を、図7に示す。すべての投与量で、CSF試料中のHS濃度は、ベースライン(すなわち、第1の治療投与量前に収集された試料)に対して50%減少した。これらのデータは、とりわけ、CSF HSレベルが治療過程の間、安定なままであり、CSF HSの最低レベルが90mg投与量で達成されたことを証明する。
実施例4:未治療のハンター症候群患者の脳脊髄液ヘパラン硫酸濃度。
9人の未治療のハンター症候群患者からのCSF試料は、実施例1に記載されているLC/MSベースHSアッセイを使用して分析された。HS濃度は、CSFがバイオレポジトリーから得られて、同じ方法を用いて分析された156人の対照健康な個人と比較された。患者群において、HS濃度は0.8μM〜9.5μMの範囲であり、平均HS濃度は2.9μMであった(図8)。対照的に、対照試料の33%は、アッセイの定量化の下限(LLOQ)未満のHSレベルを特徴とした。定量化可能な範囲のそれらは、平均濃度は0.37μMであり、最低及び最高の濃度はそれぞれ0.229μM及び0.648μMであった。したがって対照と比べて、ハンター症候群患者のCSF中のHSレベルは、著しい7.8倍の増加(t検定、P<0.001)であった。
実施例5:小児及び成人ハンター症候群患者の脳脊髄液の収集及び分析。
患者
MPSIIの書面の診断を有する成人患者≧18歳及び小児患者<18歳を組み入れた。すべての患者を、静脈内イデュルスルファーゼERTで治療した。非研究関連の腰椎穿刺(LP)を受けるスクリーニング前、または全身麻酔の投与を必要とする他の医学的もしくは診断手続きの前に予定される場合だけ、小児患者は参加する資格があった。成人患者は、LPを受けることを任意に選択できた。成人患者は、スクリーニング/ベースライン前3か月でまたはそれ以内に、認知評価による知能指数≧78を有すること必要とした。正式な認知試験は、小児患者には必要とされなかった。
以前のLPからの合併症もしくはそれを実行する際の技術的難しさの経歴がある;造血幹細胞移植を受けた;アスピリン、非ステロイド性抗炎症薬、もしくはLP前の7日以内に凝血形成に影響を及ぼすことができる他の薬物を服用した;または潜在的凝血形成の変化が有害である任意の研究関連の手順前の7日以内にこのような薬物を摂取した;患者はスクリーニングで除外された。
試験デザイン
患者参加の予定期間は約3週間であり、2週間のスクリーニング/ベースライン期間、研究室及び認知評価のために約1日、及びCSF収集に1日(LP、または頭蓋内圧監視装置挿入(圧力ボルト術)などCSFへのアクセスを可能にする他の事前の予定手順を介して、または頸髄減圧術中)からなる。安全評価のための追跡調査は、CSF収集後約1週間で電話により行われた(8日目)。
スクリーニング/ベースライン手順は、すべての患者について理学的検査、病歴及びバイタルサインを含んだ。ベースライン血清化学、血液学及び尿検査は、選択LPを受けている成人患者に対してのみ実行された。成人患者は、認定心理士による、または有資格精神科医の監視下で資格のあるスタッフによる、Wechsler Adult Intelligence Scale−Fourth Edition(WAIS−IV)を使用した認識評価を受けた(Wechsler,D.(2008)Wechsler Adult Intelligence Scale.4ed.San Antonio,TX:The Psychological Corporation)。小児患者の認知評価は必要とされないが、研究者は患者の認知状況に関する意見を記録した。前もって予定した非研究関連の手順のため、スクリーニング/ベースライン手順を完了することができない小児患者のために、病歴及び安全性データはカルテの見直しにより収集した。LPを付与された患者は、退院前に、術後少なくとも2時間監視された。
評価項目及び安全対策
主要な評価項目は、CSF中の全GAG濃度であった。安全対策は、有害事象(AE)の文書からなる。
薬力学的/バイオマーカー分析
CSF中の全HSレベルは、液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析法(LC−MS/MS)により測定された。簡潔には、CSF中のHSは、最初にアニオン交換樹脂を用いて抽出されて、次にヘパリナーゼI、II及びIIIを含む酵素の組み合わせで消化した。得られたHS二糖は、還元的アミノ化によって12C−4−N−ブチルアニリンで標識されて、それからLC−MS/MSにより分析された。全CSF HSレベルは、陽性対照として精製ウシHSを使用する、6つの最大量の(その信号強度に関連する)二糖の合成信号強度から得られた。
患者の内訳
10人の患者が実験対象基準を満たして、米国5か所、英国2か所の7か所の施設で登録された(図9)。全10人の登録患者は実験を完了した。これらの患者のうち、8人は評価可能なCSFサンプルを有し、安全性及び薬力学的母集団に含まれた。残りの2人の患者のうち、1人目の患者は不成功のLPを有し、2人目は遡及的CSF試料をGAG分析に提供することに同意した。1人目の不成功のLP患者は薬力学母集団でないが安全性母集団の一部として評価されて、2人目は安全性評価ではなく、薬力学母集団の一部であった。このように安全性及び薬力学母集団はそれぞれ9人の患者を有し、そのうちの8人は重複していた。
患者の特性
患者ベースラインの人口統計学的及び臨床的特徴を、表11に示す。実験母集団は、5人の成人患者≧18歳及び5人の小児患者<18歳を含んだ。ベースライン(CSF及び尿試料採集)時の総合平均年齢は、17.9歳だった(4.1〜36.8歳の範囲)。5人の成人中、平均年齢は27.9歳で、5人の小児中、平均年齢は7.8歳だった。成人患者のみ行われたWAIS−IVのスコアは88〜111の範囲で、平均スコアは99.6であった。正常または異常として記録した小児患者の認知状態は、3人の患者は異常、2人の患者は正常だった。
安全性母集団に含まれる全9人の患者は、静脈内イデュルスルファーゼを受けていた。薬効群(患者>3人[33%])により他の一般的に用いた薬物は、アニリド及び天然アヘンアルカロイド、セロトニン拮抗剤、アミド、ベンゾジアゼピン誘導体、メラトニン受容体作用剤、ならびに他の全身麻酔薬を含んだ。一般的に用いた薬物は、母集団の外科的/薬物治療プロファイルを反映した。
GAG分析
全5人の成人患者はLPを受けたが、CSF収集はこれらの患者のうちの1人で失敗し、そのヒトは安全性母集団のみに含まれており、別の患者は2LPを必要として、それの2回目は成功した(表11)。CSF試料があった5人の児童を含む9人の患者のうち(薬力学的集団)、患者1人当たり収集したCSFの量は1.5〜16.0mLの範囲だった。全GAG濃度は、356.8〜2,360.9ng/mLの範囲だった。児童だけで、CSF全GAG濃度は356.8〜2,360.9ng/mLの範囲だった。成人だけで、GAG濃度は、381.5〜1,181.1ng/mLだった。
3人の認知的に障害性のある児童は842.9ng/mL、939.7ng/mL及び2,360.9ng/mLのCSF GAGレベルを有し、通常の認知である残りの患者6人(4人の成人及び2人の児童)の356.8〜1181.1ng/mLの範囲と比較し。図10は、CSF収集及びベースライン認識状況で年齢によるこれらのCSF GAGレベルの散布図を示す。認知評価スコアと全CSF GAGレベルの間の何らかの相関が観察された。
非DS GAG CSFレベルは、9人の患者中7人で定量下限未満であり(36.7ng/mL)、残りの2人の患者で非DS GAG CSFレベルは成人で61.2ng/mL及び子どもで63.1ng/mLだった。DSがMPS IIの成人及び小児患者両方のCSF GAGの主要成分であることを、これは示唆する。
CSF HSレベルを質量分析で測定した。HSレベルは全分析試料で定量化可能だった。すべての患者は正常範囲を超えるレベルを有しており、それは予備データが示す、約0.4〜0.5μMである。認知的に無傷の患者は一般に、認知的に障害のある患者(2.3〜4.3μM)より低いHSレベル(6人患者のうち5人はレベル0.2〜1.5μM)を有しており、最も高い記録した値(9.57μM)は、認知的に無傷な成人患者においてであった。
結論
正常な認知発達/減弱したMPS IIの患者は一般に、重症な表現型の患者より低いCSF GAGレベルを有することができることを、これらのデータは証明する。認知状態が正常として評価された6人の患者(成人及び小児)のうち、5人は360ng/mL〜460ng/mLの範囲のCSF GAG値を有し、その一方で残りの患者のGAG値は1181.1ng/mLであった。対照的に、異常な認知の全3人の小児患者は値>840ng/mLを有した。質量分光で測定されるように、HSのレベルは一般に、健康な対象と比較して異常に高い値を有する全MPS II患者と、最も高い値を有する重症な表現型患者との類似のパターンに従った。しかし、最も高いHS値は認識的に無傷の成人で観察された(しかし、最も高い全CSF GAG値をもつ認知的に無傷の成人と同じ対象でなかった)。
できるだけ早くMPS II表現型を予測する生化学手段は、最適な患者管理のための有益な利点である。MPS IIを有する子どもが認知障害を発現するかについて予測することは、臨床医にとって困難な作業であり得る(Martin,R.et al.,Pediatrics(2008)121(2):e377−386;Burton,B.K.et al.,Eur.J.Pediatr.(2012)171(4):631−639;Scarpa,M.et al.,Orphanet J.Rare Dis.(2011)6(1):72)。遺伝子の突然変異分析は、しばしば限定的であり (Martin,R.et al.,Pediatrics(2008)121(2):e377−386)及び、臨床的展望からではあるが、睡眠障害、増大する活動、挙動問題、発作様の挙動、固執性の咀嚼、ならびに不成功の排便及び排尿訓練を含む、神経障害を予測するいくつかの初期の徴候は確認されて(Holt,J.et al.,J.Pediatr.(2011)159(2):320−326)、それらの有用性は特異性の欠如によって制限される。同様に、脳の画像が、認知的に障害性対認知的に無傷な患者における、脳萎縮、水頭症及び重篤な白質病変のより高い比率を確認したにもかかわらず、それは認知障害のない一部の患者でも生じたので、これらの指標は重症な表現型の診断に役立たなかった(Muenzer,J.et al.,Pediatrics(2009)124(6):e1228−e1239;Vedolin,L.et al.,Neurology(2007)69(9):917−924)。したがってMPS IIの家族歴がない場合、新奇のまたは非常に稀な突然変異に直面するとき、臨床医は多くの場合、認知的発達の緊密なモニタリングによる様子見の方法をしばしば使用する。
CSF GAGレベルを測定することによって、臨床医が生化学的にMPS IIを神経障害と確認できることを、本データは示す。MPS II患者のCSF及び尿中のGAGレベルの分析は、認知的に無傷な成人及び小児患者と比較して、そのレベルは異常な認知の小児患者においてより高いことを示した。
実施例6:組み換えヒトN−スルファターゼによる、サンフィリポ症候群A型患者の治療。
本実施例は広くは、とりわけ、治療的処置の評価及び/またはモニタリングにおけるHSの質量分析アッセイの使用に関する。本実施例は、MPS IIIA患者(すなわちサンフィリポ症候群A型)に髄腔内投与した組み換えヒトヘパランN−スルファターゼ(rhHNS)の最高3回の投与量レベルの、安全性、耐容性及び臨床的活性を評価するように設計された、多施設、複数回投与、投与量逐次漸増試験について記載する。サンフィリポ症候群A型患者は、4週間毎に1度、10mg、45mgまたは90mgのrhHNSで治療した。患者はこれまでサンフィリポ症候群A型のための薬剤または装置による治療を受けていなかったが、延長試験に入った患者は先行試験でrhHNSの5回または6回の予定した投与量を受けた。治療の継続は6か月であり、延長試験に入った患者は治療の継続は48か月であった。
対象基準は、線維芽細胞または白血球で測定される正常範囲の下限の10%以下のスルファミダーゼ酵素活性における、書面による欠乏症、及び、a)線維芽細胞または白血球で測定される少なくとも1つの他のスルファターゼ(複数のスルファターゼ欠乏を除外するために)の中で正常な酵素活性レベル、またはb)2つの文書化した突然変異のどちらかを含む。試験に入るために患者は更に、1歳以上の発達上の年齢を有する、3歳以上でなければならなかった。患者は更に医学的に安定でなければならなかった。
試験評価の科学的な整合性もしくは解釈を混乱させる、著しい非MPS IIIA関連CNS障害または挙動障害を有する場合、患者は試験から除外された。造血幹細胞もしくは骨髄移植を受けた、または試験の登録の前に30日以内にMPS IIIAを治療することを目的とする治験薬もしくは装置で治療された場合も、患者は除外された。
試験で評価する臨床的診断は、(1)ベースライン値から変化、及び(2)未治療のMPS IIIA患者の長期的な24か月の自然経過で得られた値の比較を測定することを含む。臨床的診断は、約6か月にわたって測定した、CSF及び血清中のrhHNSの濃度、CSF、尿及び血清中の安全性及び潜在的サロゲート有効性バイオマーカーの濃度、ならびに尿及びCSF中のヘパラン硫酸及びヘパラン硫酸誘導体の濃度を含んだ。追加の評価は、標準的神経認知及び行動の評価、サンフィリポ症特有な行動の評価スケール、著しい及び微細な行動評価、機能的な適応評価スケール、生活の質アンケート、及び子どもの睡眠習慣判定スケール、脳MRI及びABRを含んだ。
ヘパラン硫酸レベル
ヘパラン硫酸は、MPS IIIA中の主な蓄積代謝物質であり、中枢神経系のrhHNSの生体内活性を示す重要な薬力学エンドポイントである。実験期間にわたって、CSF中のグリコサミノグリカン(GAG)ヘパラン硫酸の濃度を測定した。全尿GAGも評価した。
CSF中の全ヘパラン硫酸のレベルは、実施例1で上述したとおり、有効なLC−MSベースのアッセイで測定されて、酵素HS消化後の6つの大量なHS由来二糖に基づいた。ヒトCSF HS中の豊富な6つの商業的に入手した二糖標準物質を使用して生成した較正曲線に基づいて、二糖は定量化された。
実験にわたって、平均CSF全ヘパラン硫酸レベルは、ベースライン(すなわち、第1の治療投与量の前)と比較して、3つの投与量レベルのそれぞれで低下した(図11)。脊髄内rhHNSの第1の投与量の後(すなわち第1の投与量の後、及び第2の投与量の直前に4週間観察した)、低下は明白だった。45mg及び90mgの投与量は、同様の方法で及び10mgの投与量と比較して、CSF中の全ヘパラン硫酸レベルを低下させた。24〜45か月の実験にわたって、CSF中のヘパラン硫酸の低下は持続しているように見える。
より高投与量レベルで観察したより大きな影響と共に、CSF全ヘパラン硫酸がすべての投与量レベルで治療に反応して低下を示したことを、これらのデータは示す。治療期間の残りの間に比較的安定したままになるレベルと共に、最初の投与(週6)後に減少の大部分は生じた。CSFパラン硫酸への影響は、rhHNSの治療効果に関与することができて、髄腔内に投与されるrhHNSが生物活性を示すことを証明する。
他の実施形態
本発明の多くの実施形態が本明細書に記載される一方で、本開示及び実施例は本発明の他の方法及び組成物を提供するために変更することができる。したがって、本発明の範囲は、例示として示される特定の実施形態に加えて、添付の請求の範囲により定義されることはいうまでもない。本明細書で引用したすべての参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。

Claims (17)

  1. 生体試料のグリコサミノグリカン(GAG)のレベルを測定する方法であって、前記方法が、
    a)グリコサミノグリカンの消化が二糖の混合物の生成を可能にする条件下で、1つ以上の酵素で生体試料をインキュベートする工程と、
    b)工程a)で生成する前記二糖の混合物を化学的に誘導体化する工程と、
    c)各個別の前記誘導体化された二糖の量を測定する工程であって、
    (i)個別の誘導体化された二糖をクロマトグラフィーにより分離することと、
    (ii)各個別の誘導体化された二糖を質量分析で測定することと、
    を含み、各個別の二糖が4−ブチルアニリンで誘導体化されており、 13 −4−ブチルアニリンで標識された各対応する二糖の内部標準物質と比較される、工程と、
    d)工程c)で測定した前記各個別の誘導体化された二糖の量に基づいて生体試料のグリコサミノグリカン(GAG)のレベルを測定する工程と、を含む、方法。
  2. 前記グリコサミノグリカンがヘパラン硫酸を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記1つ以上の酵素が1つ以上のヘパリナーゼを含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記1つ以上のヘパリナーゼがヘパリナーゼI、II及び/またはIIIを含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記1つ以上の酵素が、コンドロイチナーゼAC、コンドロイチナーゼB、コンドロイチナーゼC、コンドロイチナーゼABC及びケラタナーゼからなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
  6. 前記二糖の混合物が、二糖I−S(ΔUA,2S−GlcNS,6S)、II−S(ΔUA−GlcNS,6S)、III−S(ΔUA,2S−GlcNS)、IV−S(ΔUA−GlcNS)、II−A(ΔUA−GlcNAc,6S)及び/またはIV−A(ΔUA−GlcNAc)を含む、請求項1または2に記載の方法。
  7. 前記測定することが、誘導体化されたI−S(ΔUA,2S−GlcNS,6S)、誘導体化されたII−S(ΔUA−GlcNS,6S)、誘導体化されたIII−S(ΔUA,2S−GlcNS)、誘導化されたIV−S(ΔUA−GlcNS)、誘導体化されたII−A(ΔUA−GlcNAc,6S)、及び誘導体化されたIV−A(ΔUA−GlcNAc)のそれぞれの量を測定することを含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記二糖の混合物が疎水性部分で誘導体化されている、請求項1または2に記載の方法。
  9. 前記クロマトグラフィーが逆相液体クロマトグラフィーである、請求項に記載の方法。
  10. 前記生体試料中の前記グリコサミノグリカン(GAG)のレベルが、前記測定した個々の二糖の量に基づいて合計した二糖のレベル値により決定される、請求項1または2に記載の方法。
  11. 前記生体試料が脳脊髄液(CSF)試料である、請求項1または2に記載の方法。
  12. 前記CSF試料が約10μl〜約100μlの範囲の量を有する、請求項1に記載の方法。
  13. 前記CSF試料が約45μl〜約55μlの範囲の量を有する、請求項1に記載の方法。
  14. 前記生体試料が血液試料である、請求項1または2に記載の方法。
  15. 前記生体試料が血しょう試料または尿試料である、請求項1または2に記載の方法。
  16. 前記生体試料が、グリコサミノグリカンを抽出するために最初に処理される、請求項1または2に記載の方法。
  17. 前記生体試料が、0.1μM超の濃度でグリコサミノグリカンを含む、請求項1または2に記載の方法。
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