<実施形態1>
本発明の実施形態1について図1〜6に基づいて以下に説明する。
〔概要〕
まず、本実施形態の空気調和機の動作の概要を図2に基づいて説明する。図2は、空気調和機の動作の概要を示す図である。空気調和機は、室内機と室外機とから構成されており、室内機と室外機とが協働して被空調空間の空調を行う。同図には、室内機1のみを示している。
本実施形態の空気調和機は、被空調空間に温風を送る暖房モード、被空調空間に冷風を送る冷房モード、被空調空間に送風する送風モードの他、ユーザの髪を乾燥させるドライヤーモードを有している。本実施形態の空気調和機は、室内機1の空気吹き出し口の鉛直下方に位置するユーザを検出すると、自動的にドライヤーモードの運転(髪乾燥運転)を開始する。
例えば、図2の(a)に示すように、ユーザが室内機1の空気吹き出し口の鉛直下方に位置していない場合は、空気調和機は暖房モード、冷房モードまたは送風モードの運転を行っているが、同図の(b)に示すように、ユーザが室内機1の空気吹き出し口の鉛直下方に移動した場合は、空気調和機は自動的にドライヤーモードに遷移し、ドライヤーモードの運転を開始する。
ここで、空気調和機は、ドライヤーモードの運転を開始する旨を示すメッセージ(図示の例では「ドライヤーモードの運転を開始します。」)を、例えば室内機1から音声で出力する。なお、メッセージは、音声で出力する以外にも、室内機1に表示してもよいし、ユーザが所持する端末装置3に表示してもよい。
このように、本実施形態の空気調和機では、空気吹き出し口の鉛直下方に位置するユーザを検出し、該検出に応じてドライヤーモードの運転を開始する。よって、ユーザは、空気吹き出し口の鉛直下方に移動するだけで、ドライヤーモードの運転を開始させることができる。つまり、本実施形態の空気調和機によれば、ユーザは何ら操作を行うことなく、髪を乾燥させることができるという効果を奏する。
また、空気調和機にドライヤー機能を持たせることにより、リビングや自室等でユーザが普段の生活をしている環境において、ドライヤー機能を使用することができる。特に、空気調和機のドライヤーモードにおいては、手で持つハンドタイプのドライヤーとは異なり、ユーザは両手を自由に使用することができ、行動の制限が緩和される。
〔要部構成〕
次に、空気調和機100の要部構成を図1に基づいて説明する。図1は、空気調和機100の要部構成の一例を示すブロック図である。図示のように、空気調和機100は、端末装置3(遠隔操作装置)と通信可能に構成されている。なお、同図では、本発明と直接関係のない構成要素、例えば、空気調和機100のリモコン等は図示を省略している。
端末装置3は、空気調和機100を遠隔操作するための装置であり、端末制御部30、端末通信部31、端末入力部32、端末表示部33および端末記憶部34を有している。端末制御部30は、さらに空調制御部300、設定管理部301および履歴管理部302を有している。
空調制御部300は、設定管理部301からの指示に基づき、空気調和機100の運転を制御するものである。
設定管理部301は、端末入力部32が受け付けた空気調和機100を遠隔操作するための入力操作に基づき、空調制御部300に空気調和機100の運転を制御させる。
履歴管理部302は、設定管理部301が空調制御部300に実行させた制御内容を履歴情報として端末記憶部34に記録するものである。なお、履歴管理部302は、空気調和機100に実行させた制御内容のうち、ドライヤーモードの運転内容を履歴情報として端末記憶部34に記録する仕様であってもよい。
端末通信部31は、室内機1と通信するためのものであり、空調制御部300は、端末通信部31を介して空気調和機100の運転を制御する制御コマンドを空気調和機100に送る。
端末入力部32は、ユーザからの入力操作を受け付けるものである。端末入力部32は、例えば、タッチパネルであってもよい。
端末表示部33は、情報を表示するものであり、空気調和機100の設定温度および設定風量等が表示される他、図2に基づいて説明したように、空気調和機100がドライヤーモードの運転を開始する旨を示すメッセージを表示することもできる。
端末記憶部34は、各種情報を記憶するものであり、例えば、設定管理部301が空調制御部300に実行させた制御内容を履歴情報として記憶したり、各種設定の情報を記憶したりする。各種設定の情報とは、例えば、ユーザが予め登録したユーザの性別や髪の長さ等の情報である。
なお、端末装置3は、空気調和機100を遠隔操作する機能を主機能とするもの(所謂リモコン)であってもよいし、他の機能も備えた装置(例えば、スマートフォン等の携帯型情報端末)であってもよい。スマートフォン等の携帯型情報端末を端末装置3として利用する場合、空気調和機100のユーザは、予め所望の端末装置3の機器ID等を空気調和機100に登録して、空気調和機100に情報を送信できるようにしておく。
室内機1は、室内機1の各部を統括して制御する制御部10、人感センサ11、リモコン信号受光部12、記憶部13、通信部14、温度検出器15、湿度検出器16、音声出力部17、イオン発生部18、室外機通信部19、熱交換器20、コンプレッサ21、室内ファン22(送風ファン)、気流パネル23およびルーバ24を有している。
人感センサ11は、室内機1の空気吹き出し口の鉛直下方に位置するユーザの有無を検知するセンサである。人感センサ11は、赤外線センサであってもよいし、サーモセンサであってもよく、ユーザの有無を検知することができ、かつ室内機1に設けることができるセンサであれば、どのようなものであってもよい。
リモコン信号受光部12は、図示しないリモコンからのリモコン信号を受光するものである。リモコン信号受光部12は、受光したリモコン信号に応じた操作内容を制御部10に出力する。
記憶部13は、室内機1が使用する各種データを記憶するものであり、例えば、空気調和機100の設定情報を記憶している。設定情報とは、例えば、現在の運転状態(停止中、暖房モード、冷房モード、送風モード等)、設定温度、設定風量および設定風向等である。
通信部14は、端末装置3と通信するためのものであり、例えば、端末装置3の端末通信部31を介して送られた空調制御部300からの制御コマンド等を制御部10に送る。
温度検出器15は、被空調空間の温度を検出するものであり、湿度検出器16は、被空調空間の湿度を検出するものである。冷暖房や除湿の運転時には、これらの検出結果に基づいて運転が制御される。
音声出力部17は、音声を出力するものであり、図2に基づいて説明したように、空気調和機100がドライヤーモードの運転を開始する旨を示すメッセージを音声で出力する。
イオン発生部18は、菌の増殖抑制作用を有するイオンを空気中に発生させる。発生させるイオンは、少なくとも菌の増殖抑制作用を有するものであればよく、例えばプラズマ放電によってプラスとマイナスのイオンをそれぞれ発生させるものであってもよい。
具体的には、イオン発生部18は、正放電電極と負放電電極とを備え、これらの電極に交流波形またはインパルス波形から成る電圧を印加する。これにより、正放電電極では、コロナ放電による水素イオンが空気中の水分と結合してH+(H2O)mを主とする正イオンが発生する。また、負放電電極では、コロナ放電による酸素イオンが空気中の水分と結合してO2 −(H2O)nを主とする負イオンが発生する。なお、上記m、nは任意の自然数である。
このようにして発生した上記の正負のイオンは、空気中の浮遊菌やにおい成分の表面で凝集してそれらを取り囲む。そして、下記の式(1)〜(3)に示すように、衝突により活性種である[・OH](水酸基ラジカル)やH2O2(過酸化水素)を微生物等の表面上で凝集生成して浮遊菌やにおい成分を破壊する。また、これらの活性種は、ウイルス等も破壊する。ここで、m’、n’は任意の自然数である。
H+(H2O)m+O2 −(H2O)n→・OH+1/2O2+(m+n)H2O・・・(1)
H+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2 −(H2O)n+O2 −(H2O)n’
→2・OH+O2+(m+m'+n+n')H2O・・・(2)
H+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2 −(H2O)n+O2 −(H2O)n’
→H2O2+O2+(m+m'+n+n')H2O・・・(3)
上述のイオン発生運転は、イオン発生部18にイオンを発生させながら、室内ファン22を駆動することにより、イオンを気流に乗せて被空調空間に送り出す運転である。上述のように、イオン発生部18が発生させるイオンには浮遊菌やにおい成分、ならびにウイルス等を破壊する作用があるから、上記イオン発生運転により、被空調空間の脱臭や除菌、ウイルス除去を行うことができる。なお、イオン発生部18が発生させるイオンは、菌の増殖抑制作用およびウイルスの生存抑制作用の少なくとも何れかを有していればよい。
また、正負のイオンを発生させる代わりに、負イオンのみを発生してもよい。さらに、本発明において、イオンには帯電微粒子水も含むものとする。この場合、イオン発生部18は、静電霧化装置によってラジカル成分を含む帯電微粒子水を生成する。より詳細には、静電霧化装置に設けた放電電極をペルチェ素子により冷却して放電電極の表面に結露水を発生させた上で、放電電極に負の高電圧を印加することにより、結露水から帯電微粒子水を生成する。なお、帯電微粒子水を発生させる際には、放電電極から負イオンも発生して、空気中に放出される。
室外機通信部19は、室外機2と通信するためのものであり、制御部10は、室外機通信部19を介して室外機2の動作制御を行う。
熱交換器20は、室内機1に設けられた吸い込み口(図示せず)から吸い込んだ被空調空間の空気と冷媒との間で熱交換を行うものである。具体的には、熱交換器20は、室外機2において、低温低圧の液体とした冷媒を気化させた気化熱を用いて、吸い込んだ被空調空間の空気から吸熱する。気化された低温低圧の冷媒は、室外機2の圧縮器により圧縮され高温高圧の気体にされ、凝縮器で放熱されると共に液化し、膨張弁で減圧されて低温低圧の液体とされ、再び室内機1の熱交換器20で気化される。
コンプレッサ21は、冷媒を圧縮するためのものである。
室内ファン22は、熱交換器20に対して送風するものである。室内ファン22が、室内機1に設けられた吸い込み口(図示せず)から吸い込んだ被空調空間の空気を熱交換器20に通すことによって、冷媒と被空調空間の空気との間で熱交換が行われる。熱交換された空気は、室内ファン22によって室内機1に設けられた空気吹き出し口(図示せず)から被空調空間に放出される。室内ファン22の単位時間当たりの回転数を制御することにより、空気吹き出し口から被空調空間に放出する風量を調節することができる。
気流パネル23は、室内機1の運転状態に応じて、開閉するものである。気流パネル23を開くことにより、室内ファン22が発生させた気流は空気吹き出し口から被空調空間に流れ出す。
ルーバ24は、複数の羽板部材からなり、羽板部材の傾きを調整することにより、空気吹き出し口から吹き出される空気の方向を調整するためのものである。
制御部10は、ユーザ検出部101、ドライヤーモード制御部102(髪乾燥運転制御部)、音声ガイド部103(出力制御部)、および運転制御部104を有している。
ユーザ検出部101は、人感センサ11の検知結果から、室内機1の空気吹き出し口の鉛直下方に位置するユーザを検出する。
ドライヤーモード制御部102は、ユーザ検出部101が室内機1の空気吹き出し口の鉛直下方に位置するユーザを検出すると、運転制御部104にドライヤーモードの運転を開始させるものである。
音声ガイド部103は、音声出力部17に音声を出力させるものである。例えば、図2に基づいて説明したように、ドライヤーモード制御部102が運転制御部104にドライヤーモードの運転を開始させると、音声出力部17に空気調和機100がドライヤーモードの運転を開始する旨を示すメッセージを音声で出力させる。
運転制御部104は、空気調和機100の運転に関する制御、具体的には各種の運転開始、運転中の制御、および運転停止等の制御を行う。運転制御部104が実行させる運転は、ユーザの操作に従って実行される通常運転と、ドライヤーモード制御部102からの指示に基づいて実行される自動運転とに大別できる。自動運転を行うタイミングは、空気調和機100が通常運転で運転中であってもよいし、空気調和機100が運転停止中であってもよい。
〔ドライヤーモードの運転内容および運転時間〕
ドライヤーモードの運転内容および運転時間は、ユーザの髪を乾燥させることができるような運転内容であれば特に限定はない。例えば、ドライヤーモード制御部102は、ドライヤーモードの運転内容および運転時間の少なくとも何れかを、ドライヤーモードの運転開始前の空気調和機100の元の運転状態に応じたものにして、運転制御部104にドライヤーモードの運転を開始させてもよい。ドライヤーモード制御部102は、空気調和機100の現在の運転状態の情報を記憶部13から取得し、ドライヤーモードの運転開始前の元の運転状態を判断することができる。
ドライヤーモード制御部102が、ドライヤーモードの運転内容および運転時間の少なくとも何れかを、ドライヤーモードの運転開始前の空気調和機100の元の運転状態に応じたものにすることにより、空気調和機100の運転状態は、ユーザがいる被空調空間の温度や湿度等の環境状態に応じたものとなる。また、空気調和機100の運転状態によって、空気調和機100の内部の温度や湿度等の状態も変化し得る。よって、空気調和機100では、このような環境状態等に応じた適切な運転内容(運転時間)でドライヤーモードの運転を実行することが可能になる。なお、上記「運転状態」には、暖房運転や冷房運転等の運転を行っている状態の他、運転を行っていない運転停止状態も含まれる。
ここで、ドライヤーモード制御部102は、ドライヤーモードの運転開始から運転終了までの期間において、ドライヤーモードの風量および温度の少なくとも何れかを漸減させた運転内容にして、運転制御部104にドライヤーモードの運転を開始させてもよい。
ドライヤーモードの運転開始から運転終了までの期間において、ドライヤーモードの風量および温度の少なくとも何れかを漸減させることによって、髪が最も濡れた状態であるドライヤーモードの運転開始時には十分な風量(温度)で速やかに乾燥を進め、髪の乾燥が進んだドライヤーモードの運転終了時には緩やかな風(低めの温度)で快適に髪を乾かすことができる。また、温度を漸減させる場合には、加熱による頭皮のダメージを抑えて、髪に適度な水分を残してしっとりと乾かすことができる。
〔処理の流れ〕
次に、空気調和機100がドライヤーモードの運転を自動的に開始する処理の流れを説明する。
(運転中)
始めに、空気調和機100が通常運転で運転中にドライヤーモードの運転を開始する場合の処理の流れについて、図3に基づいて説明する。図3は、空気調和機100が実行する処理の一例を示すフローチャートである。同図では、ドライヤーモード制御部102が、ドライヤーモードの運転内容および運転時間の少なくとも何れかを、ドライヤーモードの運転開始前の空気調和機100の運転状態に応じたものにすると共に、ドライヤーモードの風量および温度の少なくとも何れかを漸減させた運転内容にして、運転制御部104にドライヤーモードの運転を開始させる場合を示している。
まず、ユーザ検出部101は、人感センサ11の検知結果から、室内機1の空気吹き出し口の鉛直下方に位置するユーザの検出を行う(S1)。ユーザ検出部101が、室内機1の空気吹き出し口の鉛直下方に位置するユーザを検出すると(S1,YES)、ドライヤーモード制御部102は、運転制御部104にドライヤーモードの運転を開始させる(S2)。
ここで、ドライヤーモード制御部102は、ドライヤーモードの運転内容および運転時間の少なくとも何れかを、ドライヤーモードの運転開始前の空気調和機100の運転状態に応じたものにして、運転制御部104にドライヤーモードの運転を開始させる。ドライヤーモード制御部102は、空気調和機100の現在の運転状態の情報を記憶部13から取得し、ドライヤーモードの運転開始前の元の運転状態を判断する(S3)。
例えば、ドライヤーモードの運転開始前の元の運転状態が暖房モードであった場合(S3;暖房)、ドライヤーモード制御部102は、ドライヤーモードの運転内容を、最初に所定の温度かつ風量「強」で暖房運転を行い、その後、所定の温度かつ風量「中」で暖房運転を行った後、元の設定温度かつ風量「弱」で暖房運転を行う運転内容に決定する。
ドライヤーモード制御部102は、決定した運転内容に基づいて、運転制御部104にドライヤーモードの運転を開始させる。そして、運転制御部104は、最初に所定の温度かつ風量「強」で暖房運転を行い(S4)、その後、所定の温度かつ風量「中」で暖房運転を行った後(S5)、元の設定温度かつ風量「弱」で暖房運転を行う(S6)。
また、ドライヤーモードの運転開始前の元の運転状態が冷房モードであった場合(S3;冷房)、ドライヤーモード制御部102は、ドライヤーモードの運転内容を、最初に風量「強」で送風運転を行い、その後、風量「中」で送風運転を行った後、元の設定温度かつ風量「弱」で冷房運転を行う運転内容に決定する。
ドライヤーモード制御部102は、決定した運転内容に基づいて、運転制御部104にドライヤーモードの運転を開始させる。そして、運転制御部104は、最初に風量「強」で送風運転を行い(S4a)、その後、風量「中」で送風運転を行った後(S5a)、元の設定温度かつ風量「弱」で冷房運転を行う(S6a)。
また、ドライヤーモードの運転開始前の元の運転状態が送風モードであった場合(S3;送風)、ドライヤーモード制御部102は、ドライヤーモードの運転内容を、最初に所定の温度かつ風量「強」で暖房運転を行い、その後、風量「中」で送風運転を行った後、風量「弱」で送風運転を行う運転内容に決定する。
ドライヤーモード制御部102は、決定した運転内容に基づいて、運転制御部104にドライヤーモードの運転を開始させる。そして、運転制御部104は、最初に所定の温度かつ風量「強」で暖房運転を行い(S4b)、その後、風量「中」で送風運転を行った後(S5b)、風量「弱」で送風運転を行う(S6b)。
運転制御部104は、ドライヤーモードの運転を終了すると、空気調和機100の運転状態を、ドライヤーモードの運転開始前の元の運転状態に戻す(S7)。
なお、以上では、ドライヤーモード制御部102が、ドライヤーモードの運転内容のみを、ドライヤーモードの運転開始前の空気調和機100の運転状態に応じたものにする例を挙げたが、ドライヤーモードの運転時間を、ドライヤーモードの運転開始前の空気調和機100の運転状態に応じたものにしてもよい。
ところで、S3の処理を行うタイミングは、S2の処理の直後に限定されない。例えば、S4,S4a,S4bは共通の処理(例えば、所定の温度かつ風量「強」で暖房運転)を行い、その後、S3の処理を行ってもよい。そして、S5,S5a,S5bおよびS6,S6a,S6bの処理を、ドライヤーモードの運転開始前の空気調和機100の運転状態に応じたものにしてもよい。
あるいは、S4,S4a,S4bおよびS5,S5a,S5bは共通の処理(例えば、所定の温度かつ風量「強」で暖房運転、および所定の温度かつ風量「中」で暖房運転)を行い、その後、S3の処理を行ってもよい。そして、S6,S6a,S6bの処理を、ドライヤーモードの運転開始前の空気調和機100の運転状態に応じたものにしてもよい。
(運転停止中)
続いて、空気調和機100が運転停止中にドライヤーモードの運転を開始する場合の処理の流れについて、図4に基づいて説明する。図4は、空気調和機100が実行する処理の一例を示すフローチャートである。同図では、ドライヤーモード制御部102が、ドライヤーモードの運転内容および運転時間を、ドライヤーモードの運転開始前の空気調和機100の運転状態(運転停止)に応じたものにすると共に、ドライヤーモードの風量および温度の少なくとも何れかを季節に応じた運転内容にする例を示している。
空気調和機100が運転停止中の場合においても、ユーザ検出部101が室内機1の空気吹き出し口の鉛直下方に位置するユーザを検出すると、ドライヤーモード制御部102が運転制御部104にドライヤーモードの運転を開始させる。これらの処理は、図3のS1およびS2と同様である。
ここで、空気調和機100が運転停止中の場合においても、ドライヤーモード制御部102は、空気調和機100の直近の運転状態の情報を記憶部13から取得する。そして、ドライヤーモードの運転内容および運転時間の少なくとも何れかを、ドライヤーモードの運転開始前の空気調和機100の直近の運転状態、すなわち運転停止状態に応じたものとする。
この場合、ドライヤーモード制御部102は、ドライヤーモードの運転内容を、例えば、最初に所定の温度かつ風量「強」で暖房運転を行い、その後、所定の温度かつ風量「中」で暖房運転を行った後、所定の温度かつ風量「弱」で暖房運転を行う運転内容としてもよい。
また、図4のように、ドライヤーモードの運転内容を季節に応じた運転内容としてもよい。なお、現在の季節は、通信部14を介した通信にて外部から現在の季節の情報(例えば、現在の年月日の情報等)を取得する等の処理により判定可能である。
図4のフローチャートでは、ドライヤーモード制御部102は、運転制御部104にドライヤーモードの運転を開始させる。そして、運転制御部104は、最初に所定の温度かつ風量「強」で暖房運転を行った後(S4)、所定の温度かつ風量「中」で暖房運転を行う(S5)。
その後は、現在の季節が冬以外である場合(S3b,YES)は、運転制御部104は、風量「弱」で送風運転を行い(S6b)、現在の季節が冬である場合(S3b,NO)は、運転制御部104は、所定の温度かつ風量「弱」で暖房運転を行う(S6c)。
運転制御部104は、ドライヤーモードの運転を終了すると、空気調和機100の運転状態をドライヤーモードの運転開始前の元の運転状態に戻す、すなわち空気調和機100の運転を停止する。
なお、以上においても、ドライヤーモード制御部102が、ドライヤーモードの運転内容のみを、ドライヤーモードの運転開始前の空気調和機100の運転状態に応じたものにする例を挙げたが、ドライヤーモードの運転時間を、ドライヤーモードの運転開始前の空気調和機100の運転状態に応じたものにしてもよい。
〔ユーザの髪の長さに応じた運転内容および運転時間〕
ドライヤーモード制御部102は、ユーザの髪の長さに応じてドライヤーモードの運転内容および運転時間を決定してもよい。この例について、図5に基づいて説明する。図5の(a)は、空気調和機100を遠隔操作するためのアプリケーションの表示画面の一例を示す図であり、同図の(b)は、ドライヤーモードの運転内容の設定例を示す図である。
ユーザの髪の長さの情報は、端末装置3に記憶させておくことができる。また、端末装置3に空気調和機100を遠隔操作するためのアプリケーション(以下、単に「アプリ」と称する)をインストールすることにより、アプリ上でユーザの髪の長さを設定することも可能である。例えば、図5の(a)に示すように、アプリは、ユーザの髪の長さ(例えば、ロング、ミドル、ショート)を選択させる画面からユーザに自分の髪の長さを選択させ、ユーザが選択した髪の長さの情報を端末記憶部34に記憶してもよい。
ドライヤーモード制御部102は、端末装置3の端末記憶部34からユーザの髪の長さの情報を取得し、該髪の長さに応じてドライヤーモードの運転内容および運転時間を決定する。例えば、図5の(b)に示すように、ドライヤーモード制御部102は、髪の長さに応じて、風量「強」「中」「弱」で運転する時間を変えることができる。髪の長さが長いほど髪を乾かすために時間を要することが想定されるため、同図では、髪の長さが長いほどドライヤーモードの運転時間を長くしている。
このように、ドライヤーモードの運転時間を、ユーザの髪の長さに応じたものとするので、髪の長さに応じた適切な運転時間でドライヤーモードを実行することが可能になる。また、運転内容を、ユーザの髪の長さに応じたものとしてもよい。例えば、ユーザの髪の長さが短い場合には、頭皮へのダメージを抑えるために、髪の長さが長い場合と比べて、暖房運転の設定温度を下げてもよい。
ユーザの髪の長さの情報は、上述したように、ユーザの入力に基づいて端末装置3に予め記憶させておく以外にも、空気調和機100が自動で検出してもよい。空気調和機100が自動で検出する例としては、画像解析でユーザの髪の長さを判定する方法が挙げられる。
〔運転履歴に応じた運転内容および運転時間〕
上述したアプリ上において、空気調和機100の各種制御を行うことが可能な仕様にすることができる。例えば、ユーザは、該アプリ上でドライヤーモードの運転内容および運転時間を所望な内容に設定することができる。ただし、ドライヤーモードの運転を実行するたびに、運転内容および運転時間を設定するのはユーザにとって手間である。
そこで、ドライヤーモード制御部102は、ユーザが過去に実行させたドライヤーモードの運転内容に応じて、ドライヤーモードの運転内容および運転時間を決定することが好ましい。この例について、図6に基づいて説明する。図6は、空気調和機100を遠隔操作するためのアプリの表示画面の一例を示す図である。
ユーザが過去に実行させたドライヤーモードの運転内容は、端末装置3に記憶されている。例えば、上述したアプリ上で空気調和機100の各種制御を可能にし、該アプリ上でユーザが実行させた各種制御を履歴情報として記録することができる。
例えば、図6の(a)に示すように、アプリ上では、空気調和機100の風量、風向、イオン発生運転のオン/オフ、ドライヤー切替設定のオン/オフ等、空気調和機100のドライヤーモードに関する各種設定を行うことが可能となっている。アプリ上で空気調和機100の各種設定を可能にすることにより、ユーザは、当該アプリでドライヤーモードの運転を開始させると共に、ドライヤーモードにおいて所望の風向や風量等に設定することができる。
なお、イオン発生運転とは、イオン発生部18にイオンを発生させながら、室内ファン22を駆動することにより、イオンを気流に乗せて被空調空間に送り出す運転である。また、ドライヤー切替設定とは、ドライヤーモードの自動運転のオン/オフであり、本実施形態は、ドライヤー切替設定がオンの場合を前提としたものである。
同図には示していないが、このアプリ上では、ドライヤーモードの運転開始時、運転中または運転終了時に、ドライヤーモードの運転内容(例えば、ドライヤーモード中の暖房運転、冷房運転、送風運転の設定温度等)および運転時間(例えば、ドライヤーモード中の暖房運転、冷房運転、送風運転の運転時間等)を変更することもできる。
ユーザがアプリ上で行った制御操作に基づき、設定管理部301は、空調制御部300に空気調和機100の運転を制御させる。履歴管理部302は、設定管理部301が空調制御部300に実行させた制御内容を履歴情報として端末記憶部34に記録する。
端末記憶部34に記録された履歴情報は、図6の(b)に示すように、アプリ上で閲覧することもできる。同図では、ユーザ過去に実行させたドライヤーモードの運転時間と、各運転時間でドライヤーモードの運転を行った回数とが表示されている。よって、空調制御部300は、上記履歴情報を参照することにより、ドライヤーモードの運転内容および運転時間の少なくとも何れかを上記履歴情報に応じたものとすることができる。例えば、最も使用頻度の高い運転時間で運転させることもできる。例えば、図6の(b)の場合では、ユーザ過去に実行させたドライヤーモードの運転時間のうち、最も回数の多いのは「15分」であるため、空調制御部300は、ドライヤーモードの運転時間を「15分」とするように空気調和機100に指示することができる。
このように、ドライヤーモードの運転内容および運転時間の少なくとも何れかを、ユーザが過去に実行させたドライヤーモードの運転内容に応じたものとするので、過去の運転内容に応じた適切な運転内容(運転時間)でドライヤーモードの運転を実行することが可能になる。
なお、ドライヤーモード制御部102が、端末装置3から上記履歴情報を取得し、該履歴情報に応じてドライヤーモードの運転内容および運転時間を決定してもよい。また、履歴情報は空気調和機100が記憶していてもよい。例えば、空気調和機100が複数のユーザごとの履歴情報を記憶しておき、室内機1の空気吹き出し口の鉛直下方に位置するユーザを識別することにより、ドライヤーモード制御部102は、識別したユーザの履歴情報に応じた運転内容および運転時間を決定することもできる。
〔変形例〕
以上では、室内機1のユーザ検出部101が空気吹き出し口の鉛直下方に位置するユーザを検出した場合に、ドライヤーモード制御部102が運転制御部104にドライヤーモードの運転を開始させる構成を示したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、室内機1のユーザ検出部101が空気吹き出し口の鉛直下方に位置するユーザを検出したときに所定の条件を充足している場合に、ドライヤーモード制御部102は運転制御部104にドライヤーモードの運転を開始させてもよい。
所定の条件としては、ユーザがドライヤーモードの運転開始を望んでいることが分かるような条件とすればよい。このような条件としては、例えば、ユーザの髪が濡れていることを検出したこと、ユーザが所定時間(例えば、5秒)以上、室内機1の下方に検出され続けていること、ユーザが所定のジェスチャ(例えば、室内機1に手をかざす、人感センサ11を手で覆う、手で頭を触れる等)を行ったことを検出したこと、等が挙げられる。
<実施形態2>
本発明の実施形態2について図7〜図10に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。実施形態3以降についても同様である。
〔概要〕
まず、本実施形態の空気調和機100の動作の概要を図7に基づいて説明する。図7は、空気調和機100の動作の概要を示す図である。空気調和機100は、室内機と室外機とから構成されており、室内機1と室外機2とが協働して被空調空間の空調を行うが、同図には、室内機1のみを示している。
ユーザによって身長が異なるため、ドライヤーモードにおいて送出される風の風向が一定であると、ユーザによっては室内機1からの風が髪に当たらない場合が考えられる。互いに身長が異なる複数のユーザが空気調和機100を利用する場合であっても、各ユーザの髪に確実に風を当てることができる空気調和機100が望まれる。
そこで、本実施形態の空気調和機100は、図7の(a)に示すように、ユーザがリモコン4からドライヤーモードの運転開始を指示すると、同図の(b)に示すように、ユーザの髪の位置を検出し、検出した髪の位置に送風されるようにドライヤーモードの風向きを制御する。
このように、本実施形態の空気調和機100では、ユーザの髪の位置を検出し、検出した位置に送風されるようにドライヤーモードの風向を制御するから、髪に十分な風を送り、効率的に髪を乾燥させることができるという効果を奏する。また、空気調和機100から送り出される風をユーザの髪に向けることができるので、無駄な風を低減することができ、ユーザの髪を集中的に乾燥させることができる。
〔要部構成〕
次に、本実施形態の空気調和機100の要部構成を図8に基づいて説明する。図8は、空気調和機100の室内機1の要部構成の一例を示すブロック図である。なお、室外機2および端末装置3については、実施形態1と同様であるため図示を省略している。
以下では、実施形態1の室内機1と異なる点のみについて説明する。図示のように、本実施形態の室内機1は、サーモセンサ25および髪位置検出部105を有している。サーモセンサ25は、非接触で物体の熱を検知するセンサである。また、髪位置検出部105は、サーモセンサ25の検知結果から、ユーザの髪の位置を検出するものである。
ドライヤーモード制御部102は、髪位置検出部105が検出した位置に送風されるように、ドライヤーモードの風向を制御する。
〔風向制御(上下方向)〕
本実施形態の空気調和機100における風向制御について、図9に基づいて説明する。図9は、気流パネル23を用いた風向制御を示す図である。髪位置検出部105は、ドライヤーモードの運転を行う際(運転開始の前、後、運転開始と同時の何れであってもよい)にユーザの髪の位置を検出する。
髪位置検出部105が、ユーザの髪の位置を検出すると、ドライヤーモード制御部102は、髪位置検出部105が検出した位置に送風されるように、気流パネル23の傾きを制御する。例えば、図9の(a)に示すように、ユーザが室内機1の斜め下の位置にいる場合は、ドライヤーモード制御部102は、前回動軸232を中心に気流パネル23を大きく回動させ、空気吹き出し口から吹き出される空気を、室内機1の斜め下の位置にいるユーザの髪の位置に向けて送風させる。
また、同図の(b)に示すように、ユーザが室内機1の真下の位置にいる場合は、ドライヤーモード制御部102は、前回動軸232を中心に気流パネル23を小さく回動させ、空気吹き出し口から吹き出される空気を、室内機1の真下の位置にいるユーザの髪の位置に向けて送風させる。
このように、前回動軸232を中心に気流パネル23を回動させることにより、気流パネル23より前側には送風されないので、室内機1の下方に風を集中させることができる。また、気流パネル23の角度を変えることにより、空気吹き出し口の真下から斜め下までの範囲で風向を調整することができる。
なお、室内機1の後方寄りの後回動軸231のみを備えている室内機であれば、後回動軸231を軸に気流パネル23を下方に大きく開くことにより、風向を下向きにすればよい。
〔風向制御(左右方向)〕
左右方向の風向制御は、ルーバ24の羽板部材の傾きを制御することによって行われる。この左右方向の風向制御においては、暖房モード、冷房モードおよび送風モード等の空調運転時よりも送風範囲を狭くすることが好ましい。これについて、図10に基づいて説明する。図10は、ルーバ24を用いた風向制御を示す図である。同図は、室内機1の上方から見たときのルーバ24の状態を模式的に示す図である。図示のように、ルーバ24は、左ルーバ24aと右ルーバ24bに分かれており、これらは個別に傾きを変更することができるようになっている。
図10の(a)に示すように、ユーザが室内機1の左方寄りに位置している場合は、ドライヤーモード制御部102は、左ルーバ24aは正面に向け、右ルーバ24bは左斜め前方に向ける。これにより、室内機1の左斜め前方に位置しているユーザの髪の位置を中心として送風範囲を絞り込み、ユーザの髪に風を集中させることができる。
また、同図の(b)に示すように、ユーザが室内機1の中心付近に位置している場合は、ドライヤーモード制御部102は、左ルーバ24aは右斜め前方に向け、右ルーバ24bは左斜め前方に向ける。これにより、室内機1の正面に位置しているユーザの髪の位置を中心として送風範囲を絞り込み、ユーザの髪に風を集中させることができる。
このように、ルーバ24の羽板部材の傾きを調整することにより、空気吹き出し口から吹き出される空気の送風範囲を調整することができる。これにより、ドライヤーモードにおいては空調運転時よりも送風範囲を狭くするから、風をユーザの髪に集中させて、効率的に髪を乾燥させることができる。
なお、以上では、ルーバ24を左ルーバ24aおよび右ルーバ24bで構成する形態を示したが、本実施形態はこれに限定されるわけではない。例えば、ルーバ24を3つ以上のルーバで構成する形態であってもよい。これにより、室内機1の空気吹き出し口から吹き出される空気の送風範囲をより細かく調整することができる。
〔風量制御〕
運転制御部104は、ドライヤーモードにおける風量を定格運転の強風の風量以上にしてもよい。風量の制御は、室内ファン22の単位時間当たりの回転数を制御することにより行うことができる。これにより、十分な風量で効率的にユーザの髪を乾燥させることができる。なお、定格運転とは、空気調和機に設定されている定格能力を発揮させる運転である。
〔変形例〕
以上では、髪位置検出部105は、サーモセンサ25の検知結果からユーザの髪の位置を検出する構成を示したが、髪の位置の検出方法はこれに限定されない。例えば、髪位置検出部105は、サーモセンサ25の代わりに、カメラや赤外線センサ等を用いて、ユーザの髪の位置を検出してもよい。
あるいは、髪位置検出部105は、空気調和機100を遠隔操作する端末装置3の位置から、ユーザの髪の位置を検出してもよい。これによれば、空気調和機100を遠隔操作する端末装置3の位置からユーザの髪の位置を検出するため、空気調和機100を遠隔操作してドライヤーモードの運転を開始させたユーザの髪の位置を検出して、その髪を乾燥させることができる。例えば、空気調和機100の周囲に複数のユーザが存在するような場合であっても、ドライヤーモードの運転を開始させたユーザの髪を乾燥させることができる。同様に、空気調和機100を遠隔操作するリモコンの位置から、ユーザの髪の位置を検出してもよい。なお、端末装置3やリモコンの位置は、これらの遠隔操作装置から送信される制御信号の送信角度から特定することができる。また、これらの遠隔操作装置が該遠隔操作装置の位置を検出する機能(例えばGPSによる位置検出機能)を有している場合、該機能にて検出した位置を取得することにより、遠隔操作装置の位置を検出することができる。
なお、検出した遠隔操作装置の位置をそのままユーザの髪の位置としてもよい。ただし、一般的にはユーザの髪の位置は、遠隔操作装置より上方に位置するから、検出した遠隔操作装置の位置よりも所定の距離(例えば50cm)だけ上方の位置を髪の位置として検出してもよい。
<実施形態3>
本発明の実施形態3について、図11〜図14に基づいて以下に説明する。
〔概要〕
まず、本実施形態の空気調和機100の動作の概要を図11に基づいて説明する。図11は、空気調和機100の動作の概要を示す図である。空気調和機100は、室内機1と室外機2とから構成されており、室内機1と室外機2とが協働して被空調空間の空調を行うが、同図には、室内機1のみを示している。
ドライヤーモードにおいては、室内機1から送出される風が直接ユーザの髪に当たるため、室内機1から送出される風は、清浄なものであることが好ましい。そこで、本実施形態に係る空気調和機100は、図11の(a)に示すように、ユーザがリモコン4からドライヤーモードの運転開始を指示すると、同図の(b)に示すように、ドライヤーモードで送り出される空気の乾燥および清浄化の少なくとも何れかの効果を得るための内部清浄運転を、予備運転としてドライヤーモードの運転開始時に行う。内部清浄運転が終了すると、同図の(c)に示すように、空気調和機100はドライヤーモードの運転を開始する。
ここで、空気調和機100は、内部清浄運転を開始する旨を示すメッセージ(図示の例では「内部清浄を行います。しばらくお待ち下さい。」)を、例えば室内機1から音声で出力する。内部清浄運転が終了した後は、実施形態1と同様に、ドライヤーモードの運転を開始する旨を示すメッセージ(図示の例では「ドライヤーモードの運転を開始します。」)を、例えば室内機1から音声で出力する。なお、メッセージは、音声で出力する以外にも、室内機1に表示してもよいし、ユーザが所持する端末装置3やリモコン4に表示してもよい。
このように、ドライヤーモードの運転開始時に内部清浄運転を行うことにより、乾燥および清浄化の少なくとも何れかがなされた空気にてユーザの髪を乾燥させることができる。なお、上記ドライヤーモードの運転開始時とは、ドライヤーモードの運転開始直前(実行決定から実行開始までの期間)であってもよいし、ドライヤーモードの運転開始後から運転終了までの期間であってもよい。
〔要部構成〕
次に、室内機1の要部構成を図12に基づいて説明する。図12は、本実施形態の室内機1の要部構成の一例を示すブロック図である。なお、同図では、室外機2および端末装置3については、実施形態1と同様であるため図示を省略している。
以下では、実施形態1の室内機1と異なる点のみについて説明する。図示のように、本実施形態の室内機1は、清浄化部106(予備運転制御部)を有している。清浄化部106は、ドライヤーモードで送り出される空気の乾燥および清浄化の少なくとも何れかの効果を得るための内部清浄運転を、ドライヤーモードの運転開始時に運転制御部104に実行させるものである。
音声ガイド部103は、図11に基づいて説明したように、清浄化部106が運転制御部104に内部清浄運転を開始させると、音声出力部17に空気調和機100が内部清浄運転を開始する旨を示すメッセージを音声で出力させる。
〔内部清浄運転〕
清浄化部106が運転制御部104に実行させる内部清浄運転は、ドライヤーモードで送り出される空気の乾燥の効果を得るための乾燥化運転と、ドライヤーモードで送り出される空気の清浄化の効果を得るための清浄化運転とに大別することができる。
乾燥化運転では、ドライヤーモードで送り出される空気を乾燥させるために、暖房運転または送風運転を行う。乾燥化運転において、室内機1の空気吹き出し口より吹き出す空気の風向は、ユーザに当たらないような風向にすることが好ましい。
一方、清浄化運転では、ドライヤーモードで送り出される空気を清浄化するために、室内機1の内部の菌の増殖を抑えるための運転を行う。この運転について、図13に基づいて説明する。図13の(a)は、室内機1を側方から見たときの断面図であり、同図の(b)は、室内機1を上方から見たときの断面図である。以下に詳細に説明する。なお、同図では気流を矢印で示している。
清浄化運転では、例えば、イオン発生部18にイオンを発生させつつ、室内ファン22から吹き出した気流を、熱交換器20から室内機1の内部に吸い込むショートサーキット運転を行うことにより、室内機1の内部にイオンを供給する。図13の(a)に示すように、室内機1の内部には、室内ファン22とイオン発生部18が配置されていると共に、室内ファン22の周囲を囲むように熱交換器20が配置されている。また、室内機1からの空気の空気吹き出し口には、該空気吹き出し口を覆う気流パネル23が設けられている。
イオン発生部18からイオンを発生させつつ、気流パネル23にて吹き出し口を閉じた状態で室内ファン22を逆回転させることにより、熱交換器20の周囲に気流を循環させ、室内機1の内部にイオンを拡散させることができる。一方、室内ファン22を順回転に切り替えて、気流パネル23を開くことにより、室内ファン22が発生させた気流は吹き出し口から室内機1の外部に流れ出す。これにより、被空調空間にイオンを拡散させることができる。
そして、気流パネル23の開き度合いを小さくして、室内ファン22が発生させた気流が、室内機1の外表面に沿って上昇するようにしている。つまり、ショートサーキット運転を行う場合、清浄化部106は、気流パネル23の開き度合いの制御を行う。これにより、室内機1の外表面に沿って上昇した気流が熱交換器20の上方から室内機1の内部に吸い込まれるので、室内機1の内部でイオンを拡散させることができる。
なお、空気調和機100では、イオン発生部18にイオンを発生させながら、室内ファン22を駆動することにより、イオンを気流に乗せて被空調空間に送り出すイオン発生運転を、単独または暖房、冷房、および送風運転と同時に実行することができる。内部清浄運転の清浄化運転中にイオン発生部18から発生させるイオン量は、暖房、冷房、および送風の運転と同時に実行するイオン発生運転中にイオン発生部18から発生させるイオン量よりも多いことが好ましい。これにより、ドライヤーモードで送り出される空気を速やかに清浄化することができる。
ここで、同図の(b)に示すように、通過する空気を脱臭する脱臭フィルタ等の脱臭部材26を室内機1に設け、清浄化部106は、ドライヤーモードで送り出される空気が脱臭部材26を通過するように、内部清浄運転における風向を制御することが好ましい。これにより、室内機1の内部および周囲の空気を効率よく脱臭することができ、ドライヤーモードの運転時にユーザが不快なにおいを感じることを防ぐことができる。
なお、清浄化運転では、室内ファン22を被空調空間の空調時とは逆向きに回転させてもよい。室内ファン22を逆回転させた場合、室内機1の上側から風が吹き出し、ユーザ側には風が当たらない。また、ショートサーキット運転を行うことなく室内機1の内部を清浄することが可能であるから、ショートサーキット運転を行う場合と比べて短時間で同程度の清浄化効果を得ることができる。
〔内部清浄運転の運転内容および運転時間〕
清浄化部106は、内部清浄運転の運転内容および運転時間の少なくとも何れかを、ドライヤーモードの運転開始前の空気調和機の運転状態に応じたものにして、運転制御部104に内部清浄運転を実行させてもよい。これにより、室内機1の内部の温度や湿度等の状態に応じた適切な運転内容(運転時間)で内部清浄運転を実行することが可能になる。
なお、清浄化部106は、内部清浄運転において、風向の変更期間中には送風モードの運転を行い、風向の変更が終了した後で暖房モードの運転を行うことが好ましい。これによれば、風向の変更期間中においても、送風モードにより空気調和機100の内部の乾燥を進めつつ、風向の変更終了後には暖房モードにて空気調和機100の内部をより速やかに乾燥させることができる。
また、風向の変更期間中には暖房モードの運転を行わないため、風向を変更する際の気流パネル23やルーバ24等の動作によりコンプレッサ21の負荷が高まる事態を回避することができる。この場合、空気調和機100は、内部清浄運転を中止する旨を示すメッセージを、例えば室内機1から音声で出力してもよいし、室内機1に表示してもよいし、ユーザが所持する端末装置3に表示してもよい。なお、送風モードの際には、イオンを放出して空気調和機100の内部を清浄化してもよい。
なお、内部清浄運転の運転内容および運転時間は、ドライヤーモードで送り出される空気の乾燥および清浄化の少なくとも何れかの効果を得ることができるような運転内容および運転時間であればよく、上述の各例に限られない。
〔処理の流れ〕
次に、空調運転中にドライヤーモードの運転開始時に内部清浄運転を実行する場合の処理の流れについて、図14に基づいて説明する。図14は、空気調和機100が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
まず、ユーザがドライヤーモードの運転開始を指示すると(S20,YES)、清浄化部106は、運転制御部104に内部清浄運転を実行させる。ここで、清浄化部106は、空気調和機の現在の運転状態の情報を記憶部13から取得し、ドライヤーモードの運転開始前の元の運転状態を判断する(S21)。
ドライヤーモードの運転開始前の元の運転状態が暖房であった場合(S21;暖房)、清浄化部106は、内部清浄運転の運転時間を「短」に決定し、運転制御部104に短時間の内部清浄運転を実行するように指示する。そして、運転制御部104は、運転時間「短」で内部清浄運転を実行する(S22)。
また、ドライヤーモードの運転開始前の元の運転状態が冷房であった場合(S21;冷房)、清浄化部106は、内部清浄運転の運転時間を「長」に決定し、運転制御部104に長時間の内部清浄運転を実行するように指示する。そして、運転制御部104は、運転時間「長」で内部清浄運転を実行する(S22a)。
また、ドライヤーモードの運転開始前の元の運転状態が送風であった場合(S21;送風)、清浄化部106は、内部清浄運転の運転時間を「中」に決定し、運転制御部104に中程度の時間の内部清浄運転を実行するように指示する。そして、運転制御部104は、運転時間「中」で内部清浄運転を実行する(S22b)。
運転制御部104が内部清浄運転を終了すると、ドライヤーモード制御部102が運転制御部104にドライヤーモードの運転を開始させる。この処理は、図3のS4〜6,S4a〜S6a,S5a〜S6bと同様であるからここでは説明を繰り返さない。
なお、以上では、内部清浄運転の運転時間のみを、ドライヤーモードの運転開始前の空気調和機100の運転状態に応じたものにする例を挙げたが、内部清浄運転の運転内容を、ドライヤーモードの運転開始前の空気調和機100の運転状態に応じたものにしてもよい。例えば、ドライヤーモードの運転開始前の空気調和機100の運転状態が暖房であった場合は、ドライヤーモードで送り出される空気が十分に乾燥していると想定されるため、内部清浄運転ではイオン発生運転を行い、乾燥化運転を省略してもよい。
また、上記の運転時間「長」について、あまりに内部清浄運転の運転時間が長く設定すると、ユーザを長く待たせることになるので、最大でも10分程度とすることが好ましい。また、運転時間「中」は、運転時間「長」よりも短く、運転時間「短」よりも長い時間であればよい。そして、運転時間「短」は、内部清浄運転の上述の効果が得られる必要最小限の時間とすればよい。また、これらの各運転時間は、例えば、上述したアプリを介して、ユーザが所望の運転時間に設定できるようにしてもよい。
なお、運転停止中にドライヤーモードの運転が開始された場合、S21では元の運転が運転停止状態であると判定し、運転停止状態に応じた運転内容(および運転時間)で内部清浄運転を行う。運転停止状態に応じた運転時間は、上述のS22b(内部清浄運転(中))よりも長く、S22a(内部清浄運転(長))よりも短いものであってもよい。
つまり、ドライヤーモードの運転開始前の運転状態に応じて、内部清浄運転の運転時間は、冷房運転の場合に最も長くし、運転停止、送風運転、暖房運転の順で短くすることが好ましい。また、内部清浄運転中に暖房運転を行う場合、その暖房運転の時間は、冷房運転の場合に最も長くし、運転停止、送風運転、暖房運転の順で短くすることが好ましい。
これは、髪を乾燥させる空気は高温・乾燥していることが好ましいが、直前に冷房運転を行っていた場合には、運転停止中、送風、または暖房運転を行っていた場合よりも、室内機1の内部は低温・湿潤な状態となる可能性が高いからである。
なお、以上では、清浄化部106が、内部清浄運転の運転時間を、ドライヤーモードの運転開始前の空気調和機100の運転状態に応じたものにする例を挙げたが、内部清浄運転の運転内容を、ドライヤーモードの運転開始前の空気調和機100の運転状態に応じたものにしてもよい。
また、図4の例のように、季節に応じて内部清浄運転の運転時間を変えてもよい。この場合、高温多湿となる夏季には運転時間を長く、乾燥しがちな冬季には運転時間を短く設定すればよい。
〔ファン回転数〕
清浄化部106は、ドライヤーモードの運転開始前の空気調和機の元の運転状態に応じて、内部清浄運転における室内ファン22の単位時間当たりの回転数を決定してもよい。室内ファン22の単位時間当たりの回転数を多くすることにより、室内機1の内部を速やかに乾燥させることができる。
具体的には、清浄化部106は、ドライヤーモードの運転開始前の運転状態が、運転停止、送風運転、または冷房運転の場合には、暖房運転である場合よりも室内ファン22の単位時間当たりの回転数を多くしてもよい。これにより、暖房運転を行っていた場合と比べて、室内機1の内部の清浄化に時間がかかる、運転停止、送風運転、または冷房運転後の室内機1の内部を速やかに清浄化することができる。
<実施形態4>
本発明の実施形態4について、図15〜図18に基づいて説明する。
〔概要1〕
まず、本実施形態の空気調和機100の1つ目の動作概要を図15に基づいて説明する。図15は、空気調和機100の動作の概要を示す図である。ドライヤーモードにおいては、被空調空間の温度変化を小さく抑えながらも、空気調和機100の消費電力を抑えることが好ましい。そこで、本実施形態に係る空気調和機100は、図15に示すように、ドライヤーモードにおけるコンプレッサ21の回転数を定格運転時の回転数以下としている。
これによれば、ドライヤーモードにおいて送出する温風の温度が必要以上に高くなることを防ぐことができる。より詳細には、同図の例では、ドライヤーモードにおいて送出する温風の温度を60℃以下に抑えている。また、コンプレッサ21の回転数を定格運転時の回転数以下とすることにより、被空調空間の温度上昇を抑えることができると共に、空気調和機の消費電力を抑えることもできる。つまり、上記の構成によれば、温風による頭皮へのダメージを抑え、消費電力を抑え、被空調空間の温度変化を小さくすることができる。
〔コンプレッサ回転数の制御〕
上記したコンプレッサ21の回転数の制御について説明する。ドライヤーモード制御部102の指示に基づき、ドライヤーモードの運転を開始する際、運転制御部104は、ドライヤーモードにおけるコンプレッサ21の回転数を定格運転時の回転数以下にする。例えば暖房または冷房の定格運転時の回転数の1/2の回転数としてもよい。
また、運転制御部104は、ユーザの髪を乾燥させるために必要な所定の風量に維持しつつ、被空調空間に吹き出す温風の温度を所定の上限値以下とすることが好ましい。この場合、運転制御部104は、室内ファン22の単位時間当たりの回転数を制御することにより、空気吹き出し口から被空調空間に放出する風量を所定の風量に維持する。そして、吹き出し温度を監視しながら、コンプレッサ21の回転数、室外機2の風量、および室外機2の膨張弁開度の少なくとも何れかを制御することにより、吹き出し温度を所定の上限値以下に維持する。ただし、風量維持よりも温度維持の方が重要であるから、吹き出し温度を下げるために、室内機1の風量を上げることはあり得る。なお、吹き出し温度は、温度センサを用いて測定してもよいし、室内熱交換器温度サーミスタを用いて予測してもよい。
より詳細には、運転制御部104は、吹き出し温度が下がるとコンプレッサ21の回転数を上げて吹き出し温度を上昇させ、逆に吹き出し温度が上がるとコンプレッサ21の回転数を下げて、吹き出し温度を下降させる。また、室外機2の風量を上げるか、膨張弁開度を下げることによって吹き出し温度を上げることもでき、逆に室外機2の風量を下げるか、膨張弁開度を上げることによって吹き出し温度を下げることもできる。これにより、吹き出し温度を50℃〜60℃の範囲内で維持することが好ましい。
以上の構成によれば、ユーザの髪を乾かすというドライヤーモードの目的を果たしつつ、吹き出す温風の温度を所定の上限値以下として温風による頭皮へのダメージを抑えることができる。なお、空調運転時の吹き出し温度制御においては、風量の維持よりも被空調空間を設定温度に速やかに調整することに主眼が置かれているから、上記構成のような制御は行われていない。
〔概要2〕
次に、本実施形態の空気調和機100の2つ目の動作概要を図16に基づいて説明する。図16は、空気調和機100の動作の概要を示す図である。同図では、室外機2の図示を省略している。
従来の空気調和機は、被空調空間の空調を行うものとして使用されるのみであり、マッサージには用いられていなかった。しかしながら、髪を乾かしながら、頭皮のマッサージを行うことのできる空気調和機があれば、日々の髪を乾かす時間を快適なものとすることができる。
そこで、本実施形態に係る空気調和機100は、図16に示すように、ドライヤーモードにおいて、ユーザに向けて送出する風量を周期的に変化させる頭皮マッサージを行う。
同図に示すように、ドライヤーモードにおいて、ユーザに向けて送出する風量を繰り返し周期的に変化させることにより、ユーザの頭皮に強弱の刺激を与えることができ、これにより頭皮マッサージの効果を得ることができる。同図では、風量を「強」、「中」および「弱」の順に変化させている。
ここで、空気調和機100は、頭皮マッサージを開始する旨を示すメッセージ(図示の例では「頭皮マッサージを行います。」)を、例えば室内機1から音声で出力する。なお、メッセージは、音声で出力する以外にも、室内機1に表示してもよいし、ユーザが所持する端末装置3に表示してもよい。
〔頭皮マッサージ中の制御〕
上記頭皮マッサージを実行する際の制御について説明する。ドライヤーモードの運転を開始する際、運転制御部104は、室内ファン22の単位時間当たりの回転数を周期的に変化させることにより、風量を周期的に変化させる。
ここで、運転制御部104は、上記のようにして風量を周期的に変化させつつ、被空調空間に吹き出す温風の温度が所定の上限値(例えば60℃)以下である状態を常に維持することが好ましい。上述したように、運転制御部104は、コンプレッサ21の回転数、室外機2の風量、および室外機2の膨張弁開度の少なくとも何れかを制御することにより、被空調空間に吹き出す温風の温度を所定の上限値以下とする。これにより、頭皮をマッサージの風の温度を所定の上限値以下として温風による頭皮へのダメージを抑えることができる。
なお、頭皮マッサージ中には、室内機1の熱交換器の温度(圧力)を監視しておき、その温度(圧力)が所定の上限値を超えた場合には、運転制御部104は、コンプレッサ21の回転数を下げて、吹き出し温度を必ず60℃以下とすることが望ましい。
〔概要3〕
続いて、本実施形態の空気調和機100の3つ目の動作概要を図17に基づいて説明する。図17は、空気調和機100の動作の概要を示す図である。同図では、室外機2の図示を省略している。
ドライヤーモードの運転中において、ユーザの周囲の湿度が高いと、髪の乾燥効率が悪く、また、ユーザにとっては蒸し暑く不快な状態となる。ドライヤーモードの運転中において、ユーザの周囲の湿度が高い場合であっても、効率よく、またユーザにとって快適に髪を乾かすことが望まれる。
そこで、本実施形態に係る空気調和機100は、図17に示すように、ドライヤーモードの運転時に、被空調空間が湿潤状態であることを検出した場合に除湿運転を行う。これによれば、ドライヤーモードの運転時に湿潤状態であることを検出した場合に、空気調和機に除湿運転を実行することによって、ユーザの周囲の湿度を下げて、効率よく、またユーザにとって快適に髪を乾かすことができる。
なお、同図に示すように、除湿運転として、温風による再熱除湿運転を行う再熱ドライモードと、除湿運転として冷風による除湿運転を行うマイコンドライモードとの2つの運転モードを使い分けることもできる。これについては後程詳述する。
〔要部構成〕
室内機1の要部構成を図18に基づいて説明する。図18は、本実施形態の室内機1の要部構成の一例を示すブロック図である。なお、同図では、室外機2および端末装置3については、実施形態1と同様であるため図示を省略している。
以下では、実施形態1の室内機1と異なる点のみについて説明する。図示のように、本実施形態の室内機1は、湿潤状態検出部107を有している。湿潤状態検出部107は、被空調空間が湿潤状態であることを検出するものである。
音声ガイド部103は、図16に基づいて説明したように、運転制御部104が頭皮マッサージを行う際、音声出力部17に空気調和機100が頭皮マッサージを行う旨を示すメッセージを音声で出力させる。
〔除湿運転〕
上記除湿運転に関する制御を説明する。湿潤状態検出部107は、ドライヤーモードの運転時(運転開始時であってもよいし、運転中であってもよい)に被空調空間の湿潤状態を監視している。そして、湿潤状態検出部107が湿潤状態であることを検出すると、ドライヤーモード制御部102は運転制御部104に除湿運転を実行させる。なお、除湿運転の運転内容および運転時間は、被空調空間を除湿することができるような運転内容であれば特に限定はない。例えば、除湿運転として、温風を用いて除湿する再熱除湿運転(再熱ドライ運転)であってもよいし、冷風を用いて被空調空間を除湿する冷風除湿運転(マイコンドライ運転)であってもよい。
また、被空調空間の温度および湿度に応じて、再熱ドライ運転とマイコンドライ運転を使い分けることもできる。具体的には、湿潤状態検出部107は、第1の湿潤状態と、該第1の湿潤状態よりも温度および湿度の少なくとも何れかが高い第2の湿潤状態とを検出する。そして、ドライヤーモード制御部102は、湿潤状態検出部107が第1の湿潤状態を検出した場合には再熱ドライ運転を運転制御部104に実行させ、第2の湿潤状態を検出した場合にはマイコンドライ運転を実行させる。この例に限定されないが、第1の湿潤状態は、例えば温度(室温)30℃以上かつ湿度80%以上とし、第2の湿潤状態は、例えば温度(室温)32℃以上かつ湿度90%以上としてもよい。
上記の構成によれば、第1の湿潤状態であるときには再熱ドライモードにより湿度を下げつつ髪を乾燥させることができ、第2の湿潤状態であるときには冷風による除湿運転により蒸し暑さを低減し、心地よい冷風で髪を乾燥させることができる。
<実施形態5>
本発明の実施形態5について、図19〜図22に基づいて説明する。
〔概要1〕
まず、本実施形態の空気調和機100の1つ目の動作概要を図19に基づいて説明する。図19は、空気調和機100の動作の概要を示す図である。なお、同図には、空気調和機100の室内機1のみを示している。
ユーザによって髪の長さや量が異なるため、ドライヤーモードの運転時間が一定であると、ユーザによっては、ドライヤーモードの運転終了時点で髪が十分に乾燥できていなかったり、髪が十分に乾燥できているにも関わらずドライヤーモードの運転が行われていたりする場合が考えられる。また、互いに髪の長さや量が異なる複数のユーザが空気調和機100を利用する場合であっても、各ユーザの髪の長さや量に合った運転時間でドライヤーモードの運転を行うことが望まれる。
そこで、本実施形態に係る空気調和機100は、図19の(a)(b)に示すように、ユーザの髪の乾燥度が所定程度に達していることを検知して、ドライヤーモードの運転を終了する。これによれば、ユーザに何らの操作を行わせることなく、ユーザの髪の乾燥度が所定程度に達したタイミングでドライヤーモードの運転を終了することができる。
〔概要2〕
次に、本実施形態の空気調和機100の2つ目の動作概要を図20に基づいて説明する。図20は、空気調和機100の動作の概要を示す図である。なお、同図では空気調和機100の室内機1のみを示している。
従来の空気調和機は、被空調空間の空調を行うものとして使用されるのみであり、マッサージには用いられていなかった。しかしながら、髪を乾かしながら、頭皮のマッサージを行うことのできる空気調和機があれば、日々の髪を乾かす時間を快適なものとすることができる。
そこで、本実施形態に係る空気調和機100は、図20に示すように、ドライヤーモードにおいて、暖房運転と、冷房運転および送風運転の少なくとも何れかと、を交互に実行する。同図では、暖房運転、冷房運転および送風運転を順に繰り返し実行している。これによれば、頭皮に温冷刺激を与えてマッサージ効果を得ることができる。また、暖房運転で温度が上がったユーザの髪および頭皮を冷房運転および送風運転の少なくとも何れかによって冷ますことにより、髪および頭皮の熱によるダメージを抑えることもできる。
温冷刺激の頭皮マッサージの制御は、風量の強弱による頭皮マッサージの制御と概ね同様である。すなわち、温冷刺激の頭皮マッサージにおいては、ドライヤーモード制御部102は、ドライヤーモードの運転内容を、暖房運転と、冷房運転および送風運転の少なくとも何れかと、を交互に実行する運転内容とする。なお、これらの運転の繰り返し回数は特に限定されないが、ドライヤーモードの運転は冷房運転または送風運転で終了することが好ましい。これにより、髪および頭皮の熱によるダメージを抑えることができるからである。
ここで、ドライヤーモード制御部102は、ドライヤーモードにおいて実行する暖房運転と、冷房運転および送風運転の少なくとも何れかと、の運転時間を、ユーザの所望の髪の乾燥度に応じて調整してもよい。例えば、ユーザが髪をしっとりとした状態に仕上げたい場合は、暖房運転の運転時間を、冷房運転および送風運転の少なくとも何れかの運転時間よりも短くすることが好ましい。反対に、ユーザが髪をしっかりと乾いた状態に仕上げたい場合は、暖房運転の運転時間を、冷房運転および送風運転の少なくとも何れかの運転時間よりも長くすることが好ましい。
なお、温冷刺激の頭皮マッサージの際に、風量の強弱を周期的に変化させてもよく、これにより温冷刺激と風圧による刺激の双方を与えることができ、より高いマッサージ効果が期待できる。
〔概要3〕
続いて、本実施形態の空気調和機100の3つ目の動作概要を図21に基づいて説明する。図21は、空気調和機100の動作の概要を示す図である。なお、同図では空気調和機100の室内機1のみを示している。
ドライヤーモードにおいて、髪を乾燥させながらも髪型のセットを行うことができる空気調和機は、ユーザにとって有用である。そこで、本実施形態の空気調和機100は、図21に示すように、ユーザに髪型をセットさせるための温風および冷風を送出する髪型セット運転(セットモード)を行う。
より詳細には、髪型セット運転は、温風により髪型のセットを開始し、所定の髪型に決まった後、冷房または送風運転で仕上げるという運転内容である。また、髪型セット運転では、実行中の運転内容に応じた、ユーザが髪型をセットするためのガイド情報を所定の出力装置から出力する。例えば、同図では、ボリュームアップモード、ボリュームダウンモード、およびウェーブモードのそれぞれに応じたガイダンスを、例えば室内機1から音声で出力する。なお、音声の出力は、端末装置3やリモコン4から行ってもよく、端末装置3等の表示部を有する装置であればガイダンスを文字や画像で表示してもよい。
ガイダンスの内容は、セットする髪型に応じたものとなっている。同図では、髪をボリュームアップするセット、髪をボリュームダウンするセット、および髪にウェーブを持たせるセット、の3つのセットに応じたガイダンスを音声出力する例を示している。
〔要部構成〕
空気調和機の要部構成を図22に基づいて説明する。図22は、空気調和機の室内機1の要部構成の一例を示すブロック図である。なお、室外機2および端末装置3については実施形態1と同様であるため図示を省略している。
以下では、実施形態1の室内機1と異なる点のみについて説明する。図示のように、本実施形態の室内機1は、サーモセンサ25、乾燥判定部108、およびセットモード制御部109(髪型セット運転制御部)を有している。
サーモセンサ25は、実施形態2において説明したとおりである。乾燥判定部108は、サーモセンサ25の検知結果から、ユーザの髪の乾燥度が所定程度に達しているか否かを判定する。例えば、乾燥判定部108は、サーモセンサ25の検知結果が、ユーザの髪の温度が所定温度以上であることを示している場合に、ユーザの髪の乾燥度が所定程度に達していると判定する。
髪の乾燥度に応じた制御について説明する。乾燥判定部108は、ドライヤーモードの運転実行中に、ユーザの髪の乾燥度を監視する。そして、乾燥判定部108が、ユーザの髪の乾燥度が所定程度に達していると判定した場合に、ドライヤーモード制御部102は、運転制御部104にドライヤーモードの運転を終了させる。
なお、乾燥の判定方法は上記の例に限定されない。例えば、乾燥判定部108は、サーモセンサ25の代わりに、湿度センサ等を用いて、ユーザの髪の湿度が所定程度以下であると、ユーザの髪の乾燥度が所定程度に達していると判定してもよい。また、例えば、画像解析によりユーザの髪の乾燥度が所定程度に達しているか否かを判定してもよい。
セットモード制御部109は、ユーザに髪型をセットさせるための温風および冷風を送出する髪型セット運転を運転制御部104に実行させる。
音声ガイド部103は、セットモード制御部109が運転制御部104に実行させている髪型セット運転の運転内容に応じた、ユーザが髪型をセットするためのガイド情報を音声出力部17から出力させる処理を行う。
まず、ユーザがリモコンから髪型セット運転の開始を指示すると、リモコン信号受光部12はリモコンからの指示内容をセットモード制御部109に送る。この際にセットする髪型を指定してもよい。そして、セットモード制御部109は、リモコン信号受光部12から受け取った指示内容に基づき、髪型セット運転を運転制御部104に実行させる。具体的には、まず暖房運転を実行させる。暖房運転の時間や風量は、セットする髪型等に応じたものとすればよい。例えば、セットする髪型がウェーブである場合、温風の風量を「強」にすると髪のウェーブが散ってしまうので、温風の風量を「弱」にする。
また、セットモード制御部109は、運転制御部104に実行させている髪型セット運転の運転内容に応じた、ユーザが髪型をセットするためのガイド情報を、音声出力部17から出力させるように音声ガイド部103に指示する。音声ガイド部103は、セットモード制御部109からの指示を受け、運転制御部104に実行させている髪型セット運転の運転内容に応じたガイド情報を音声出力部17に出力させる。例えば、
そして、所定時間の暖房運転が終了すると、セットモード制御部109は、運転内容を冷房運転に切り替えるよう運転制御部104に指示する。なお、送風運転への切り替えを指示してもよい。また、セットモード制御部109は、冷房運転(または送風運転)に応じたガイド情報を音声出力させる。
なお、髪型セット運転に含まれるモードは、上述したものに限定されない。例えば、髪型にカール感を出すカールモード等、他のモードが含まれていてもよい。カールモードにおいては、例えば、温風の風量を「強」にすると髪のカールが散ってしまうので、温風の風量を「弱」にしながら、該カールモードに応じたガイド情報(例えば、「カールを出したいところをつかんでください」)を出力する。
また、髪型セット運転は、ドライヤーモードの運転の終了後に自動的に実行してもよいし、ドライヤーモードの運転に髪型セット運転が組み込まれていてもよい。後者の場合、ドライヤーモードの運転の最後の工程が、暖房運転および冷房運転(または送風運転)となり、これらの運転時にガイド情報が出力される。
〔ソフトウェアによる実現例〕
室内機1の制御ブロック(特に制御部10に含まれる各部)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、室内機1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る空気調和機は、被空調空間の空調を行う空気調和機であって、上記被空調空間への空気吹き出し口の鉛直下方に位置するユーザを検出するユーザ検出部101と、上記ユーザ検出部101が上記ユーザを検出したことに応じて、上記ユーザの髪を乾燥させる髪乾燥運転(ドライヤーモードの運転)を開始する髪乾燥運転制御部(ドライヤーモード制御部102)と、を備えている。
上記の構成によれば、空気吹き出し口の鉛直下方に位置するユーザを検出し、該検出に応じて髪乾燥運転を開始する。よって、ユーザは、空気吹き出し口の鉛直下方に移動するだけで、髪乾燥運転を開始させることができる。つまり、上記の構成によれば、ユーザは何ら操作を行うことなく、髪を乾燥させることができるという効果を奏する。
また、本発明の態様2に係る空気調和機は、上記態様1において、上記髪乾燥運転制御部は、上記髪乾燥運転の運転内容および運転時間の少なくとも何れかを、上記髪乾燥運転の実行前の上記空気調和機の運転状態に応じたものとする。
上記の構成によれば、髪乾燥運転の運転内容および運転時間の少なくとも何れかを、髪乾燥運転の実行前の空気調和機の運転状態に応じたものとする。ここで、空気調和機の運転状態は、ユーザがいる被空調空間の温度や湿度等の環境状態に応じたものとなり、また、空気調和機の運転状態によって、空気調和機の内部の温度や湿度などの状態も変化し得る。よって、上記の構成によれば、このような環境状態等に応じた適切な運転内容(運転時間)で髪乾燥運転を実行することが可能になる。なお、上記「運転状態」には、暖房運転や冷房運転等の運転を行っている状態の他、運転を行っていない運転停止状態も含まれる。
また、本発明の態様3に係る空気調和機は、上記態様1または2において、上記髪乾燥運転制御部は、上記髪乾燥運転の開始から終了までの期間において、上記髪乾燥運転の風量および温度の少なくとも何れかを漸減させる。
上記の構成によれば、髪乾燥運転の開始から終了までの期間において、髪乾燥運転の風量および温度の少なくとも何れかを漸減させる。よって、髪が最も濡れた状態である髪乾燥運転の開始時には十分な風量(温度)で速やかに乾燥を進め、髪の乾燥が進んだ髪乾燥運転の終了時には緩やかな風(低めの温度)で快適に髪を乾かすことができる。また、温度を漸減させる場合には、加熱による頭皮のダメージを抑えて、髪に適度な水分を残してしっとりと乾かすことができる。
また、本発明の態様4に係る空気調和機は、上記態様1から3の何れかにおいて、上記髪乾燥運転制御部は、上記髪乾燥運転の運転内容および運転時間の少なくとも何れかを、上記ユーザの髪の長さに応じたものとする。
上記の構成によれば、髪乾燥運転の運転内容および運転時間の少なくとも何れかを、ユーザの髪の長さに応じたものとするので、髪の長さに応じた適切な運転内容(運転時間)で髪乾燥運転を実行することが可能になる。なお、ユーザの髪の長さは、ユーザが入力してもよいし、空気調和機が自動で検出してもよい。
また、本発明の態様5に係る空気調和機は、上記態様1から4の何れかにおいて、上記髪乾燥運転制御部は、上記髪乾燥運転の運転内容および運転時間の少なくとも何れかを、上記ユーザが過去に実行させた上記髪乾燥運転の運転内容に応じたものとする。
上記の構成によれば、髪乾燥運転の運転内容および運転時間の少なくとも何れかを、ユーザが過去に実行させた上記髪乾燥運転の運転内容に応じたものとするので、過去の運転内容に応じた適切な運転内容(運転時間)で髪乾燥運転を実行することが可能になる。
また、本発明の態様6に係る遠隔操作装置(端末装置3)は、空気調和機を遠隔操作する遠隔操作装置であって、ユーザの髪を乾燥させる髪乾燥運転を上記空気調和機に実行させる空調制御部300と、上記空気調和機に実行させた上記髪乾燥運転の運転内容を履歴情報として記録する履歴管理部302と、を備え、上記空調制御部300は、上記髪乾燥運転の運転内容および運転時間の少なくとも何れかを、上記履歴管理部302が記録した上記履歴情報に応じたものとするように上記空気調和機に指示する。
上記の構成によれば、空気調和機に実行させた髪乾燥運転の運転内容を履歴情報として記録し、髪乾燥運転の運転内容および運転時間の少なくとも何れかを、上記記録した履歴情報に応じたものとするように空気調和機に指示する。よって、履歴情報に応じた適切な運転内容(運転時間)で髪乾燥運転を実行させることが可能になるという効果を奏する。
また、本発明の態様7に係る空気調和機は、被空調空間の空調を行う空気調和機であって、ユーザの髪を乾燥させる髪乾燥運転を上記空気調和機に行わせる髪乾燥運転制御部と、上記ユーザの髪の位置を検出する髪位置検出部105と、を備え、上記髪乾燥運転制御部は、上記髪位置検出部105が検出した位置に送風されるように上記髪乾燥運転の風向を制御する。
上記の構成によれば、ユーザの髪の位置を検出し、検出した位置に送風されるように髪乾燥運転の風向を制御するから、髪に十分な風を送り、効率的に髪を乾燥させることができるという効果を奏する。
また、本発明の態様8に係る空気調和機は、上記態様7において、上記髪乾燥運転制御部は、上記髪乾燥運転においては空調運転時よりも送風範囲を狭くする。
上記の構成によれば、髪乾燥運転においては空調運転時よりも送風範囲を狭くするから、風をユーザの髪に集中させて、効率的に髪を乾燥させることができるという効果を奏する。
また、本発明の態様9に係る空気調和機は、上記態様7または8において、上記髪位置検出部105は、上記空気調和機を遠隔操作する遠隔操作装置の位置から上記ユーザの髪の位置を検出する。
上記の構成によれば、空気調和機を遠隔操作する遠隔操作装置の位置からユーザの髪の位置を検出する。よって、空気調和機を遠隔操作して髪乾燥運転を開始させたユーザの髪の位置を検出して、その髪を乾燥させることができる。例えば、空気調和機の周囲に複数のユーザが存在するような場合であっても、髪乾燥運転を開始させたユーザの髪を乾燥させることができる。なお、上記遠隔装置は、上記空気調和機を遠隔操作する機能を主機能とするもの(所謂リモコン)であってもよいし、他の機能を備えた装置(例えば、スマートフォン等の携帯型情報端末)であってもよい。
また、本発明の態様10に係る空気調和機は、上記態様7から9の何れかにおいて、上記空気調和機の前方寄りの回動軸(前回動軸232)と、後方寄りの回動軸(後回動軸231)の何れかにて回動することにより、上記被空調空間への空気吹き出し口から送出する空気の鉛直方向の風向を調整する気流パネル23を備え、上記髪乾燥運転制御部は、上記髪位置検出部105が検出した位置が上記空気吹き出し口の下方の位置である場合に、上記気流パネル23を上記空気調和機の前方寄りの回動軸で回動させて鉛直方向に向いた状態とする。
上記の構成によれば、髪位置検出部105が検出した位置が空気吹き出し口の下方の位置である場合に、気流パネル23を空気調和機の前方寄りの回動軸で回動させて鉛直方向に向いた状態とする。これにより、空気吹き出し口から送出する空気は気流パネル23に沿って下方に進むので、空気吹き出し口の下方に位置するユーザの髪に風を集中させて、効率的に髪を乾燥させることができる。
また、本発明の態様11に係る空気調和機は、被空調空間の空調を行う空気調和機であって、ユーザの髪を乾燥させる髪乾燥運転を上記空気調和機に行わせる髪乾燥運転制御部と、上記髪乾燥運転で送り出される空気の乾燥および清浄化の少なくとも何れかの効果を得るための予備運転(内部清浄運転)を、上記髪乾燥運転の実行時に行う予備運転制御部(清浄化部106)と、を備えている。
上記の構成によれば、髪乾燥運転の実行時において、髪乾燥運転で送り出される空気の乾燥および清浄化の少なくとも何れかの効果を得るための予備運転を行う。よって、乾燥および清浄化の少なくとも何れかがなされた空気にてユーザの髪を乾燥させることができるという効果を奏する。なお、上記「髪乾燥運転の実行時」は、髪乾燥運転の実行直前(実行決定から実行開始までの期間)であってもよいし、髪乾燥運転の開始後から終了までの期間であってもよい。
また、本発明の態様12に係る空気調和機は、上記態様11において、上記予備運転制御部は、上記予備運転の運転内容および運転時間の少なくとも何れかを、上記髪乾燥運転の実行前の上記空気調和機の運転状態に応じたものとする。
上記の構成によれば、予備運転の運転内容および運転時間の少なくとも何れかを、髪乾燥運転の実行前の空気調和機の運転状態に応じたものとする。ここで、空気調和機の運転状態によって、空気調和機の内部の温度や湿度などの状態が変化し得る。そして、このような空気調和機の内部状態に応じて予備運転に要求される内容が変化し得る。つまり、上記の構成によれば、このような空気調和機の内部状態に応じた適切な運転内容(運転時間)で予備運転を実行することが可能になる。
また、本発明の態様13に係る空気調和機は、上記態様12において、上記予備運転制御部は、上記髪乾燥運転の実行前の運転状態が冷房運転状態である場合には、上記髪乾燥運転の実行前の運転状態が運転停止状態、送風運転状態、または暖房運転状態である場合よりも、上記予備運転の運転時間を長くする。
ここで、髪を乾燥させる空気は高温・乾燥していることが好ましいが、冷房運転の実行していた場合には、運転停止状態、送風運転状態、または暖房運転状態である場合よりも、空気調和機の内部は低温・湿潤な状態となる可能性が高い。そこで、上記の構成によれば、髪乾燥運転の実行前の運転状態が冷房運転状態である場合には、髪乾燥運転の実行前の運転状態が運転停止状態、送風運転状態、または暖房運転状態である場合よりも、予備運転の運転時間を長くする。これにより、髪乾燥運転にて送出する空気を、適切な運転時間にて髪の乾燥に適したものとすることができる。
また、本発明の態様14に係る空気調和機は、上記態様12または13において、上記予備運転制御部は、上記髪乾燥運転の実行前の運転状態が冷房運転状態である場合には、上記髪乾燥運転の実行前の運転状態が運転停止状態、送風運転状態、または暖房運転状態である場合よりも、上記予備運転中に実行する暖房運転の時間を長くする。
上記の構成によれば、髪乾燥運転の実行前の運転状態が冷房運転状態である場合には、髪乾燥運転の実行前の運転状態が運転停止状態、送風運転状態、または暖房運転状態である場合よりも、予備運転中に実行する暖房運転の時間を長くする。これにより、髪乾燥運転にて送出する空気を、適切な運転時間にて髪の乾燥に適したものとすることができる。
また、本発明の態様15に係る空気調和機は、上記態様12から14の何れかにおいて、上記予備運転制御部は、上記予備運転における、上記被空調空間に空気を送り出すための送風ファン(室内ファン22)の単位時間当たりの回転数を、上記髪乾燥運転の実行前の運転状態に応じた回転数とする。
上記の構成によれば、予備運転における、被空調空間に空気を送り出すための送風ファンの単位時間当たりの回転数を、髪乾燥運転の実行前の運転状態に応じた回転数とする。送風ファンの単位時間当たりの回転数を多くすることにより、空気調和機の内部を速やかに乾燥させることができるから、上記の構成によれば、髪乾燥運転にて送出する空気を、適切な運転時間にて髪の乾燥に適したものとすることが可能になる。
また、本発明の態様16に係る空気調和機は、上記態様12から15の何れかにおいて、上記予備運転制御部は、上記予備運転において、風向の変更期間中には送風運転を行い、風向の変更が終了した後で暖房運転を行う。
上記の構成によれば、予備運転において、風向の変更期間中には送風運転を行い、風向の変更が終了した後で暖房運転を行う。よって、風向の変更期間中においても、送風運転により空気調和機の内部の乾燥を進めつつ、風向の変更終了後には暖房運転にて空気調和機の内部をより速やかに乾燥させることができる。また、風向の変更期間中には暖房運転を行わないため、風向を変更する際の気流パネル23やルーバ24等の動作によりコンプレッサ21の負荷が高まる事態を回避することができる。なお、上記送風運転の際には、イオンを放出して空気調和機の内部を清浄化してもよい。
また、本発明の態様17に係る空気調和機は、上記態様12から16の何れかにおいて、通過する空気を脱臭する脱臭部材26を備え、上記予備運転制御部は、送出する空気が上記脱臭部材26を通過するように上記予備運転における風向を制御する。
上記の構成によれば、送出する空気が脱臭部材を通過するように予備運転における風向を制御するので、空気調和機の内部および周囲の空気を効率よく脱臭することができ、これにより髪乾燥運転時にユーザが不快なにおいを感じることを防ぐことができる。
また、本発明の態様18に係る空気調和機は、被空調空間の空調を行う空気調和機であって、ユーザの髪を乾燥させる髪乾燥運転を上記空気調和機に行わせる髪乾燥運転制御部と、上記髪乾燥運転におけるコンプレッサ21の回転数を定格運転時の回転数以下とする運転制御部104と、を備えている。
上記の構成によれば、ユーザの髪を乾燥させる髪乾燥運転におけるコンプレッサ21の回転数を定格運転時の回転数以下とする。コンプレッサ21の回転数を定格運転時の回転数以下とすることにより、髪乾燥運転において送出する温風の温度が必要以上に高くなることを防ぐことができ、消費電力を抑えることができ、被空調空間の温度変化を小さくすることができる。つまり、上記の構成によれば、温風による頭皮へのダメージを抑え、消費電力を抑え、被空調空間の温度変化を小さくすることができるという効果を奏する。
また、本発明の態様19に係る空気調和機は、上記態様18において、上記運転制御部104は、ユーザの髪を乾燥させるために必要な所定の風量を維持しつつ、コンプレッサ21の回転数、室外機2の風量、および室外機2の膨張弁開度の少なくとも何れかを制御することにより、上記被空調空間に吹き出す温風の温度を所定の上限値以下とする。
上記の構成によれば、ユーザの髪を乾燥させるために必要な所定の風量を維持しつつ、コンプレッサ21の回転数、室外機2の風量、および室外機2の膨張弁開度の少なくとも何れかを制御することにより、上記被空調空間に吹き出す温風の温度を所定の上限値以下とする。よって、ユーザの髪を乾かすという髪乾燥運転の目的を果たしつつ、吹き出す温風の温度を所定の上限値以下として温風による頭皮へのダメージを抑えることができる。なお、空調運転時の吹き出し温度制御においては、風量の維持よりも被空調空間を設定温度に速やかに調整することに主眼が置かれているから、上記構成のような制御は行われていない。
また、本発明の態様20に係る空気調和機は、被空調空間の空調を行う空気調和機であって、ユーザの髪を乾燥させる髪乾燥運転を上記空気調和機に行わせる髪乾燥運転制御部と、上記髪乾燥運転において上記ユーザに向けて送出する風量を周期的に変化させる運転制御部104と、を備えている。
上記の構成によれば、ユーザの髪を乾燥させる髪乾燥運転において該ユーザに向けて送出する風量を周期的に変化させるので、ユーザの頭皮に強弱の刺激を与えることができ、これにより頭皮マッサージの効果を得ることができる。
また、本発明の態様21に係る空気調和機は、上記態様20において、上記運転制御部104は、上記風量を周期的に変化させつつ、コンプレッサ21の回転数、室外機2の風量、および室外機2の膨張弁開度の少なくとも何れかを制御することにより、上記被空調空間に吹き出す温風の温度を所定の上限値以下とする。
上記の構成によれば、風量を周期的に変化させつつ、コンプレッサ21の回転数、室外機2の風量、および室外機2の膨張弁開度の少なくとも何れかを制御することにより、被空調空間に吹き出す温風の温度を所定の上限値以下とする。よって、吹き出す風によりユーザの頭皮をマッサージしている期間において、その風の温度を所定の上限値以下として温風による頭皮へのダメージを抑えることができる。
また、本発明の態様22に係る空気調和機は、被空調空間の空調を行う空気調和機であって、上記被空調空間が湿潤状態であることを検出する湿潤状態検出部107と、ユーザの髪を乾燥させる髪乾燥運転の実行時に上記湿潤状態検出部107が湿潤状態であることを検出した場合に、上記空気調和機に除湿運転を実行させる髪乾燥運転制御部と、を備えている。
上記の構成によれば、ユーザの髪を乾燥させる髪乾燥運転の実行時に湿潤状態であることを検出した場合に、空気調和機に除湿運転を実行させる。よって、ユーザの周囲の湿度を下げて、効率よく、またユーザにとって快適に髪を乾かすことができるという効果を奏する。
また、本発明の態様23に係る空気調和機は、上記態様22において、上記湿潤状態検出部107は、第1の湿潤状態と、該第1の湿潤状態よりも温度および湿度の少なくとも何れかが高い第2の湿潤状態とを検出し、上記髪乾燥運転制御部は、上記湿潤状態検出部107が上記第1の湿潤状態を検出した場合には上記空気調和機に温風による再熱除湿運転(再熱ドライモードの運転)を上記除湿運転として実行させ、上記第2の湿潤状態を検出した場合には上記空気調和機に冷風による冷風除湿運転(マイコンドライモードの運転)を上記除湿運転として実行させる。
上記の構成によれば、第1の湿潤状態を検出した場合には温風による再熱除湿運転を実行させ、第1の湿潤状態よりも温度および湿度の少なくとも何れかが高い第2の湿潤状態を検出した場合には冷風による除湿運転を実行させる。よって、第1の湿潤状態であるときには再熱除湿運転により湿度を下げつつ髪を乾燥させることができ、第2の湿潤状態であるときには冷風による除湿運転により心地よい冷風で髪を乾燥させることができる。
また、本発明の態様24に係る空気調和機は、被空調空間の空調を行う空気調和機であって、ユーザの髪を乾燥させる髪乾燥運転を上記空気調和機に行わせる髪乾燥運転制御部と、上記ユーザの髪の乾燥度が所定程度に達しているか否かを判定する乾燥判定部108と、を備え、上記髪乾燥運転制御部は、上記乾燥判定部108が上記ユーザの髪の乾燥度が所定程度に達していると判定した場合に、上記髪乾燥運転を終了する。
上記の構成によれば、ユーザの髪の乾燥度が所定程度に達していると判定した場合に、髪乾燥運転を終了する。よって、ユーザに何らの操作を行わせることなく、ユーザの髪の乾燥度が所定程度に達したタイミングで髪乾燥運転を終了することができるという効果を奏する。
また、本発明の態様25に係る空気調和機は、被空調空間の空調を行う空気調和機であって、ユーザの髪を乾燥させる髪乾燥運転を上記空気調和機に行わせる髪乾燥運転制御部と、上記髪乾燥運転において、暖房運転と、冷房運転および送風運転の少なくとも何れかと、を交互に実行する運転制御部104と、を備えている。
上記の構成によれば、ユーザの髪を乾燥させる髪乾燥運転において、暖房運転と、冷房運転および送風運転の少なくとも何れかと、を交互に実行する。よって、暖房運転で温度が上がったユーザの髪および頭皮を冷房運転および送風運転の少なくとも何れかによって冷ますことにより、髪および頭皮の熱によるダメージを抑えることができる。また、加温と冷却を交互に行うことにより、頭皮に温冷刺激を与えてマッサージ効果を得ることもできる。
また、本発明の態様26に係る空気調和機は、被空調空間の空調を行う空気調和機であって、ユーザに髪型をセットさせるための温風および冷風を送出する髪型セット運転を上記空気調和機に行わせる髪型セット運転制御部(セットモード制御部109)と、実行中の上記髪型セット運転の運転内容に応じた、上記ユーザが髪型をセットするためのガイド情報を所定の出力装置(音声出力部17)に出力させる出力制御部(音声ガイド部103)と、を備えている。
上記の構成によれば、ユーザに髪型をセットさせるための温風および冷風を送出する髪型セット運転を空気調和機に行わせると共に、実行中の髪型セット運転の運転内容に応じた、ユーザが髪型をセットするためのガイド情報を所定の出力装置に出力させる。よって、ユーザによる髪型のセットを容易にすることができるという効果を奏する。
本発明の各態様に係る空気調和機は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記空気調和機が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記空気調和機をコンピュータにて実現させる空気調和機の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。