JP6691686B2 - サージ防護素子 - Google Patents

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Description

本発明は、落雷等で発生するサージから様々な機器を保護し、事故を未然に防ぐのに使用するサージ防護素子に関する。
電話機、ファクシミリ、モデム等の通信機器用の電子機器が通信線と接続する部分、電源線、アンテナ或いはCRT、液晶テレビおよびプラズマテレビ等の画像表示駆動回路等、雷サージや静電気等の異常電圧(サージ電圧)による電撃を受けやすい部分には、異常電圧によって電子機器やこの機器を搭載するプリント基板の熱的損傷又は発火等による破壊を防止するために、サージ防護素子が接続されている。
従来、例えば特許文献1,2に示すように、一対の封止電極から対向状態に突出した一対の突出電極部を備え、絶縁性管の内周面に放電補助部が形成されたアレスタ型のサージ防護素子が記載されている。通常、このようなサージ防護素子では、炭素材で形成された放電補助部が、絶縁性管の内周面に形成されている。このような放電補助部は、一般的にはグラファイト等の導電性のイオン源材料で形成され、初期放電を助長するためのイオン源となっている。また、このようなサージ防護素子では、絶縁性管と突出電極部との位置決めを行うために、突出電極部の基端側に先端部よりも外径が大きくされた拡径部が設けられている。
特開平11−354244号公報 特開2001−102148号公報
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
従来の構造では、放電補助部を突出電極部の拡径部近傍まで延ばした際に、放電補助部が突出電極部の拡径部と干渉すると放電電圧が低下してしまうと共に、直流放電開始電圧がばらついてしまう場合があった。特に、低電圧品を作製する際、放電開始電圧Vsを安定化させるために、絶縁性管の内周面において放電補助部を軸線方向に沿ってできるだけ長く形成する必要があり、その場合、より拡径部と接触し易くなると共に、突出電極部の先端部側との間で安定して放電を開始させることが難しくなる。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、放電補助部と突出電極部の拡径部との接触を防ぎ、放電開始電圧のばらつきを抑制することが可能なサージ防護素子を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係るサージ防護素子は、絶縁性管と、前記絶縁性管の両端開口部を閉塞して内部に放電制御ガスを封止する一対の封止電極と、前記絶縁性管の内周面にイオン源材料で形成された放電補助部とを備え、一対の前記封止電極が、前記絶縁性管の両端開口部に密着状態に固定されている一対のフランジ部と、一対の前記フランジ部から内方に突出し互いに対向した一対の突出電極部とを有し、前記突出電極部の基端側に、先端部よりも外径が大きく形成された拡径部が設けられ、前記放電補助部が、前記拡径部に対向する位置まで形成され、前記拡径部が、前記放電補助部に対向する部分に前記放電補助部と反対側に向けてえぐられた形状の窪み部を有していることを特徴とする。
本発明のサージ防護素子では、拡径部が、放電補助部に対向する部分に放電補助部と反対側に向けてえぐられた形状の窪み部を有しているので、窪み部によって拡径部と放電補助部とが離間し、互いの接触が無くなると共に、拡径部と放電補助部との距離が大きくなり、放電補助部が突出電極部の先端部側との間で安定して放電を開始することで、放電開始電圧のばらつきが抑制される。
第2の発明に係るサージ防護素子は、第1の発明において、前記窪み部と前記放電補助部との距離が、前記放電補助部と前記先端部との距離よりも大きく設定されていることを特徴とする。
すなわち、このサージ防護素子では、窪み部と放電補助部との距離が、放電補助部と先端部との距離よりも大きく設定されているので、拡径部よりも突出電極部の先端部の方が放電補助部に近くなることで、より安定して放電補助部と先端部との間で放電を開始することができる。
第3の発明に係るサージ防護素子は、第1又は第2の発明において、前記窪み部が、前記拡径部の基端まで形成されていることを特徴とする。
すなわち、このサージ防護素子では、窪み部が拡径部の基端まで形成されているので、突出電極部の軸線方向に沿った方向についても放電補助部との距離を大きく取ることができ、放電補助部が軸線方向に沿った方向に多少位置ずれしても接触を防ぐことができる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るサージ防護素子によれば、拡径部が、放電補助部に対向する部分に放電補助部と反対側に向けてえぐられた形状の窪み部を有しているので、拡径部と放電補助部との接触が無くなると共に、拡径部と放電補助部との距離が大きくなり、放電補助部が突出電極部の先端部側との間で安定して放電を開始することで、放電開始電圧のばらつきが抑制される。
本発明に係るサージ防護素子の第1実施形態を示す軸方向中央の断面図である。 図1のA−A線矢視断面図である。 本発明に係るサージ防護素子の第2実施形態を示す軸方向中央の断面図である。 図3のB−B線矢視断面図である。
以下、本発明に係るサージ防護素子の第1実施形態を、図1及び図2を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能又は認識容易な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
本実施形態のサージ防護素子1は、図1及び図2に示すように、絶縁性管2と、絶縁性管2の両端開口部を閉塞して内部に放電制御ガスを封止する一対の封止電極3と、絶縁性管2の内周面にイオン源材料で形成された放電補助部4とを備えている。
一対の封止電極3は、絶縁性管2の両端開口部に密着状態に固定されている一対のフランジ部5と、一対のフランジ部5から内方に突出し互いに対向した一対の突出電極部6とを有している。
上記突出電極部6の基端側には、先端部6aよりも外径が大きく形成された拡径部6bが設けられている。すなわち、先端部6aは円柱状に形成され、拡径部6bは先端部6aの外径よりも長径及び短径のどちらも大きな略楕円状に形成されている。
上記拡径部6bは、先端側に向けて外径が漸次小さく形成されたテーパ形状とされている。
また、拡径部6bは、その外周面の少なくとも一部が絶縁性管2の内周面に当接可能に形成されており、絶縁性管2と突出電極部6との位置決め機能を有している。すなわち、本実施形態では、拡径部6bの長径方向両端と短径方向両端との少なくとも4カ所で絶縁性管2の内周面に当接している。これにより、突出電極部6と絶縁性管2との軸線が一致するように位置決めされる。
また、放電補助部4は、拡径部6bに対向する位置まで形成されている。
上記拡径部6bは、放電補助部4に対向する部分に放電補助部4と反対側に向けてえぐられた形状の窪み部6cを有している。
本実施形態では、断面矩形状に形成された絶縁性管2の軸線方向に対する垂直断面において、一対の長辺側の中央にそれぞれ放電補助部4が、軸線方向に沿って直線状に形成されている。これに伴って、拡放電補助部4に対向する部分である拡径部6bの短径方向両端に、それぞれ窪み部6cが形成されている。
上記窪み部6cと放電補助部4との距離は、放電補助部4と先端部6aとの距離よりも大きく設定されている。すなわち、窪み部6cの表面は、放電補助部4に対向した凹曲面とされ、表面のどの位置も放電補助部4との距離が、放電補助部4と先端部6aとの距離よりも大きく設定されている。このため、窪み部6cの一部は、先端部6aの外周面よりも半径方向内方に向けて深くえぐられて形成されている。
また、窪み部6cは、拡径部6bの基端まで形成されている。すなわち、窪み部6cは、フランジ部5まで達している。
上記放電補助部4は、導電性材料であって、例えば炭素材で形成されている。
上記絶縁性管2は、例えばアルミナなどの結晶性セラミックス材で形成された角筒状部材である。なお、絶縁性管2は、鉛ガラス等の非晶質管を採用しても構わない。また、円筒状部材の絶縁性管2を採用しても構わない。
上記封止電極3は、例えば42アロイ(Fe:58wt%、Ni:42wt%)やCu等で構成されている。
封止電極3は、絶縁性管2の両端開口部に導電性融着材(図示略)により加熱処理によって密着状態に固定されている角板状のフランジ部5を有している。このフランジ部5と突出電極部6とは一体に設けられている。
上記導電性融着材は、例えばAgを含むろう材としてAg−Cuろう材で形成されている。
上記絶縁性管2内に封入される放電制御ガスは、不活性ガス等であって、例えばHe,Ar,Ne,Xe,Kr,SF,CO,C,C,CF,H,大気等及び これらの混合ガスが採用される。
上記突出電極部6の先端部6aの先端面には、封止電極3の材料よりも電子放出特性の高い材料で放電活性層7が形成されている。
上記放電活性層7は、例えばSi,Oを主成分元素とし、Na,Cs,Cのうちの少なくとも一つを含んでいる。この放電活性層7は、例えばケイ酸ナトリウム溶液に炭酸セシウム粉末を加えて前駆体を作製し、この前駆体を封止電極3の表面に塗布した後、前駆体に対してケイ酸ナトリウムが軟化する温度以上かつ炭酸セシウムが融解及び分解する温度以上の温度で熱処理を行うことで作製される。
このサージ防護素子1では、過電圧又は過電流が侵入すると、まず放電補助部4と突出電極部6の先端部6aとの間で優先的に初期放電が行われ、この初期放電をきっかけに、さらに放電が進展して一対のフランジ部5間又は突出電極部6間で放電が行われる。
このように本実施形態のサージ防護素子1では、拡径部6bが、放電補助部4に対向する部分に放電補助部4と反対側に向けてえぐられた形状の窪み部6cを有しているので、窪み部6cによって拡径部6bと放電補助部4とが離間し、互いの接触が無くなると共に、拡径部6bと放電補助部4との距離が大きくなり、放電補助部4が突出電極部6の先端部6a側との間で安定して放電を開始することで、放電開始電圧のばらつきが抑制される。
また、窪み部6cと放電補助部4との距離が、放電補助部4と先端部6aとの距離よりも大きく設定されているので、拡径部6bよりも突出電極部6の先端部6aの方が放電補助部4に近くなることで、より安定して放電補助部4と先端部6aとの間で放電を開始することができる。
さらに、窪み部6cが拡径部6bの基端まで形成されているので、突出電極部6の軸線方向に沿った方向についても放電補助部4との距離を大きく取ることができ、放電補助部4が軸線方向に沿った方向に多少位置ずれしても接触を防ぐことができる。
次に、本発明に係るサージ防護素子の第2実施形態について、図3及び図4を参照して以下に説明する。なお、以下の実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、窪み部6cが拡径部6bの短径方向両端に形成されているのに対し、第2実施形態のサージ防護素子21では、図3及び図4に示すように、拡径部26bの短径方向端部と長径方向端部との間に窪み部26cが形成されている点である。すなわち、第2実施形態では、一対の放電補助部4が第1実施形態の放電補助部4よりも長径方向にずれて形成されているため、対応する窪み部26cも、第1実施形態の窪み部6cよりも長径方向にずれて配置されている。
このように第2実施形態のサージ防護素子21においても、第1実施形態と同様に、突出電極部26の拡径部26bが、放電補助部4に対向する部分に窪み部26cを有しているので、拡径部26bと放電補助部4との接触が無くなると共に、拡径部26bと放電補助部4との距離が大きくなり、放電開始電圧のばらつきが抑制される。
なお、本発明の技術範囲は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、第1実施形態では、窪み部を拡径部の短径方向両端に形成し、第2実施形態では、窪み部を短径方向両端から長径方向にずれた位置に形成しているが、窪み部を拡径部の長径方向両端にそれぞれ形成しても構わない。
1,21…サージ防護素子、2…絶縁性管、3,23…封止電極、4…放電補助部、5…フランジ部、6…突出電極部、6a…突出電極部の先端部、6b,26b…拡径部、6c,26c…窪み部

Claims (3)

  1. 絶縁性管と、
    前記絶縁性管の両端開口部を閉塞して内部に放電制御ガスを封止する一対の封止電極と、
    前記絶縁性管の内周面にイオン源材料で形成された放電補助部とを備え、
    一対の前記封止電極が、前記絶縁性管の両端開口部に密着状態に固定されている一対のフランジ部と、
    一対の前記フランジ部から内方に突出し互いに対向した一対の突出電極部とを有し、
    前記突出電極部の基端側に、先端部よりも外径が大きく形成された拡径部が設けられ、
    前記放電補助部が、前記拡径部に対向する位置まで形成され、
    前記拡径部が、前記放電補助部に対向する全ての部分に前記放電補助部と反対側に向けてえぐられた形状の窪み部を有していることを特徴とするサージ防護素子。
  2. 請求項1に記載のサージ防護素子において、
    前記窪み部と前記放電補助部との距離が、前記放電補助部と前記先端部との距離よりも大きく設定されていることを特徴とするサージ防護素子。
  3. 請求項1又は2に記載のサージ防護素子において、
    前記窪み部が、前記拡径部の基端まで形成されていることを特徴とするサージ防護素子。
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