JP2019216108A - サージ防護素子 - Google Patents

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黛 良享
Yoshitaka Mayuzumi
良享 黛
酒井 信智
Nobutomo Sakai
信智 酒井
良市 杉本
Ryoichi Sugimoto
良市 杉本
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Abstract

【課題】放電補助部の損傷、昇華消失を抑制することができ、耐久性の向上が可能なサージ防護素子を提供すること。【解決手段】 絶縁性管2と、絶縁性管の両端開口部を閉塞して内部に放電制御ガスを封止する一対の封止電極3と、絶縁性管の内周面にイオン源材料で形成された放電補助部4とを備え、一対の封止電極が、内方に突出し互いに対向した一対の突出電極部5を有し、放電補助部4が、絶縁性管の内周面の全周にわたって延在する環状に形成され、放電補助部の軸線が、絶縁性管の軸線と交差している。【選択図】図1

Description

本発明は、落雷等で発生するサージから様々な機器を保護し、事故を未然に防ぐのに使用するサージ防護素子に関する。
電話機、ファクシミリ、モデム等の通信機器用の電子機器が通信線との接続する部分、電源線、アンテナ或いはCRT、液晶テレビおよびプラズマテレビ等の画像表示駆動回路等、雷サージや静電気等の異常電圧(サージ電圧)による電撃を受けやすい部分には、異常電圧によって電子機器やこの機器を搭載するプリント基板の熱的損傷又は発火等による破壊を防止するために、サージ防護素子が接続されている。
従来、例えば特許文献1に示すように、一対の封止電極から対向状態に突出した一対の突出電極部を備え、絶縁性管の内面に放電補助部が形成されたアレスタ型のサージ防護素子が記載されている。通常、このようなサージ防護素子では、炭素材で形成された放電補助部が、一対の突出電極部の間にある中間領域に対向する絶縁性管の内面に形成されている。このような放電補助部は、一般的にはグラファイト等の導電性のイオン源材料で形成され、初期放電を助長するためのイオン源となっている。
実用新案登録第3151069号公報
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
従来の構造では、放電補助部が、絶縁性管の内周面の周方向に局所的又は部分的に形成されており、周方向で放電補助部が無い領域があるため、放電補助機能として必要な又は有効な領域にイオン発生源が不足するおそれがあった。
また、一対の突出電極部間で生じるアーク放電時の熱及び膨張エネルギーにより放電補助部の一部が損傷、昇華消失してしまい、繰り返し放電時の放電電圧が不安定(放電電圧が上昇する)になるという問題があった。特に、周方向に局所的又は部分的に形成された放電補助部が損傷、昇華消失した場合に、周方向において広い領域でイオン発生源を失い、動作がさらに不安定になる不都合があった。
なお、大電流の放電では、放電補助部の昇華消失が顕著になる傾向がある。また、放電電流が保証範囲を大幅に超えてしまうと、電極の設計を変更することが要求されると共に、安定した動作のために、サイズを大型化する、又は並列に接続するなどの対応が必要になる不都合があった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、絶縁性管の内周面の全周にわたって放電補助機能に十分なイオン発生源が得られると共に、放電補助部の損傷、昇華消失による動作の不安定化を抑制することが可能なサージ防護素子を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係るサージ防護素子は、絶縁性管と、前記絶縁性管の両端開口部を閉塞して内部に放電制御ガスを封止する一対の封止電極と、前記絶縁性管の内周面にイオン源材料で形成された放電補助部とを備え、一対の前記封止電極が、内方に突出し互いに対向した一対の突出電極部を有し、前記放電補助部が、前記絶縁性管の内周面の全周にわたって延在する環状に形成され、前記放電補助部の軸線が、前記絶縁性管の軸線と交差していることを特徴とする。
本発明のサージ防護素子では、放電補助部が、絶縁性管の内周面の全周にわたって延在する環状に形成され、放電補助部の軸線が、絶縁性管の軸線と交差しているので、絶縁性管の内周面の全周にわたって十分なイオン発生源が得られ、周方向のどの位置からも安定したイオン発生が得られる。特に、周方向に環状に延在した放電補助部の一部が損傷、昇華消失しても、周方向で多くのイオン源材料が延在しているので、高い動作の安定性を得ることができる。
第2の発明に係るサージ防護素子は、第1の発明において、前記放電補助部が、前記突出電極部の先端近傍に対向した位置から前記突出電極部の基端近傍に対向した位置まで延在していることを特徴とする。
第3の発明に係るサージ防護素子は、第1又は第2の発明において、前記放電補助部が、前記絶縁性管の軸方向に沿った方向に複数形成されていることを特徴とする。
すなわち、このサージ防護素子では、放電補助部が、絶縁性管の軸方向に沿った方向に複数形成されているので、絶縁性管の軸方向に沿った方向において1つの放電補助部が損傷しても、他の放電補助部が放電補助機能を良好に維持しており、繰り返し放電時でも安定した動作を得ることができる。
第4の発明に係るサージ防護素子は、第1から第3の発明のいずれかにおいて、前記放電補助部が、一対の前記突出電極部の外周面に対向する一対の電極対向領域のうち少なくとも一方に形成され、前記絶縁性管の内面のうち一対の前記電極対向領域の間にある領域が、前記放電補助部が存在しない放電補助部不存在領域とされていることを特徴とする。
すなわち、このサージ防護素子では、放電補助部が、一対の突出電極部の外周面に対向する一対の電極対向領域のうち少なくとも一方に形成され、絶縁性管の内面のうち一対の電極対向領域の間にある領域が、放電補助部が存在しない放電補助部不存在領域とされているので、アーク放電時の熱及び膨張エネルギーの影響を強く受ける領域に放電補助部が無く、電極対向領域だけに放電補助部があることで、放電補助部の損傷、昇華消失を抑制することができる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るサージ防護素子によれば、放電補助部が、絶縁性管の内周面の全周にわたって延在する環状に形成され、放電補助部の軸線が、絶縁性管の軸線と交差しているので、周方向のどの位置からも安定したイオン発生が得られると共に、放電補助部の一部が損傷、昇華消失しても、周方向で多くのイオン源材料が延在しているので、高い動作の安定性を得ることができる。
したがって、サージ電流や放電回数が増えてもサージ防護素子性能を良好に維持することが可能になる。特に、本発明に係るサージ防護素子は、大電流サージ耐性が要求されるインフラ用(鉄道関連、再生エネルギー関連(太陽電池、風力発電等))の電源及び通信設備に好適である。
本発明に係るサージ防護素子の第1参考技術を示す軸方向の断面図である。 図1のA−A線矢視断面図である。 本発明に係るサージ防護素子の実施形態を示す軸方向の断面図である。 本発明に係るサージ防護素子の第2参考技術を示す軸方向の断面図である。 本発明に係るサージ防護素子の第1参考技術の他の例を示す軸方向の断面図である。
以下、本発明に係るサージ防護素子の第1参考技術を、図1及び図2を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能又は認識容易な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
本参考技術のサージ防護素子1は、図1及び図2に示すように、絶縁性管2と、絶縁性管2の両端開口部を閉塞して内部に放電制御ガスを封止する一対の封止電極3と、絶縁性管2の内周面にイオン源材料で形成された放電補助部4とを備えている。
上記一対の封止電極3は、内方に突出し互いに対向した一対の突出電極部5を有している。
また、上記放電補助部4は、絶縁性管2の内周面の全周にわたって延在する環状に形成されている。すなわち、放電補助部4は、円環帯状に形成されている。
また、放電補助部4の軸線(中心線)C2は、絶縁性管2の軸線C1と同じである。
さらに、放電補助部4は、一対の突出電極部5の外周面に対向する一対の電極対向領域A1のうち少なくとも一方に形成され、絶縁性管2の内面のうち一対の電極対向領域A2の間にある領域が、放電補助部4が存在しない放電補助部不存在領域A2とされている。
なお、本参考技術では、放電補助部4は、一対の突出電極部5の外周面に対向する一対の電極対向領域A1の両方に形成されている。これらの放電補助部4は、突出電極部5の先端近傍に対向した位置に形成されている。
これら放電補助部4は、導電性材料であって、例えば炭素材で形成されたカーボン放電補助部である。
上記封止電極3は、例えば42アロイ(Fe:58wt%、Ni:42wt%)やCu等で構成されている。
封止電極3は、絶縁性管2の両端開口部に導電性融着材(図示略)により加熱処理によって密着状態に固定されている円板状のフランジ部7を有している。このフランジ部7の内側に、内方に突出していると共に絶縁性管2の内径よりも外径の小さな円柱状の突出電極部5が一体に設けられている。
上記絶縁性管2は、アルミナなどの結晶性セラミックス材で形成された円筒状部材である。なお、絶縁性管2は、鉛ガラス等のガラス管を採用しても構わない。
上記導電性融着材は、例えばAgを含むろう材としてAg−Cuろう材で形成されている。
上記絶縁性管2内に封入される放電制御ガスは、不活性ガス等であって、例えばHe,Ar,Ne,Xe,Kr,SF,CO,C,C,CF,H,大気等及びこれらの混合ガスが採用される。
このサージ防護素子1では、過電圧又は過電流が侵入すると、まず放電補助部4と突出電極部5との間で初期放電が行われ、この初期放電をきっかけに、さらに放電が進展して一対のフランジ部7間又は突出電極部5間で放電が行われる。
このように本参考技術のサージ防護素子1では、放電補助部4が、絶縁性管2の内周面の全周にわたって延在する環状に形成されているので、絶縁性管2の内周面の全周にわたって十分なイオン発生源が得られ、周方向のどの位置からも安定したイオン発生が得られる。特に、周方向に環状に延在した放電補助部4の一部が損傷、昇華消失しても、周方向で多くのイオン源材料が延在しているので、高い動作の安定性を得ることができる。
また、放電補助部4の軸線C2が、絶縁性管2の軸線C1と同じであるので、放電補助部4が周方向のどの位置でも、突出電極部5の先端縁から同じ距離になることで、より安定した動作が得られる。
さらに、放電補助部4が、一対の突出電極部5の外周面に対向する一対の電極対向領域A2のうち少なくとも一方に形成され、絶縁性管2の内面のうち一対の電極対向領域A2の間にある領域が、放電補助部4が存在しない放電補助部不存在領域A2とされているので、アーク放電時の熱及び膨張エネルギーの影響を強く受ける領域に放電補助部4が無く、電極対向領域A2だけに放電補助部4があることで、放電補助部4の損傷、昇華消失を抑制することができる。
次に、本発明に係るサージ防護素子の実施形態及び第2参考技術について、図3及び図4を参照して以下に説明する。なお、以下の実施形態及び参考技術の説明において、上記参考技術において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
本発明の実施形態と第1参考技術との異なる点は、第1参考技術では、放電補助部4の軸線C2が、絶縁性管2の軸線C1と同じであるが、本実施形態のサージ防護素子21では、図3に示すように、放電補助部24の軸線C2が、絶縁性管2の軸線C1と交差している点である。
すなわち、本実施形態では、互いに平行に並んだ2つの楕円環状の放電補助部24において、それぞれ軸線C2が、絶縁性管2の軸線C1に対して斜めに設定されている。なお、楕円環状の放電補助部24は、突出電極部5の先端近傍に対向した位置から突出電極部5の基端近傍に対向した位置まで延在している。
次に、第2参考技術と第1参考技術との異なる点は、第1参考技術では、1つの電極対向領域A2内に放電補助部4が1つ形成されているのに対し、第2参考技術のサージ防護素子31では、図4に示すように、1つの電極対向領域A2内に放電補助部34が3つ互いに軸方向に沿った方向に間隔を空けて形成されている点である。
すなわち、第2参考技術では、放電補助部34が、絶縁性管2の軸方向に沿った方向に複数形成されている。
したがって、第2参考技術のサージ防護素子31では、放電補助部34が、絶縁性管2の軸方向に沿った方向に複数形成されているので、絶縁性管2の軸方向に沿った方向において1つの放電補助部34が損傷しても、他の放電補助部34が放電補助機能を良好に維持しており、繰り返し放電時でも安定した動作を得ることができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、第1参考技術のように、一対の電極対向領域A2内にそれぞれ放電補助部4を形成することが好ましいが、他の例として、図5に示すように、一対の電極対向領域A1のうち一方のみに放電補助部4を形成したサージ防護素子41としても構わない。
1,21,31,41…サージ防護素子、2…絶縁性管、3…封止電極、4,24,34…放電補助部、5…突出電極部、C1…絶縁性管の軸線、C2…放電補助部の軸線、A1…電極対向領域、A2…放電補助部不存在領域

Claims (4)

  1. 絶縁性管と、
    前記絶縁性管の両端開口部を閉塞して内部に放電制御ガスを封止する一対の封止電極と、
    前記絶縁性管の内周面にイオン源材料で形成された放電補助部とを備え、
    一対の前記封止電極が、内方に突出し互いに対向した一対の突出電極部を有し、
    前記放電補助部が、前記絶縁性管の内周面の全周にわたって延在する環状に形成され、
    前記放電補助部の軸線が、前記絶縁性管の軸線と交差していることを特徴とするサージ防護素子。
  2. 請求項1に記載のサージ防護素子において、
    前記放電補助部が、前記突出電極部の先端近傍に対向した位置から前記突出電極部の基端近傍に対向した位置まで延在していることを特徴とするサージ防護素子。
  3. 請求項1又は2に記載のサージ防護素子において、
    前記放電補助部が、前記絶縁性管の軸方向に沿った方向に複数形成されていることを特徴とするサージ防護素子。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載のサージ防護素子において、
    前記放電補助部が、一対の前記突出電極部の外周面に対向する一対の電極対向領域のうち少なくとも一方に形成され、
    前記絶縁性管の内面のうち一対の前記電極対向領域の間にある領域が、前記放電補助部が存在しない放電補助部不存在領域とされていることを特徴とするサージ防護素子。
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