JP6658433B2 - サージ防護素子 - Google Patents

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Description

本発明は、落雷等で発生するサージから様々な機器を保護し、事故を未然に防ぐのに使用するサージ防護素子に関する。
電話機、ファクシミリ、モデム等の通信機器用の電子機器が通信線と接続する部分、電源線、アンテナ或いはCRT、液晶テレビおよびプラズマテレビ等の画像表示駆動回路等、雷サージや静電気等の異常電圧(サージ電圧)による電撃を受けやすい部分には、異常電圧によって電子機器やこの機器を搭載するプリント基板の熱的損傷又は発火等による破壊を防止するために、サージ防護素子が接続されている。
従来、例えば特許文献1,2に示すように、一対の封止電極から対向状態に突出した一対の突出電極部を備え、絶縁性管の内周面に放電補助部が形成されたアレスタ型のサージ防護素子が記載されている。通常、このようなサージ防護素子では、炭素材で形成された放電補助部が、絶縁性管の内周面に形成されている。このような放電補助部は、一般的にはグラファイト等の導電性のイオン源材料で形成され、初期放電を助長するためのイオン源となっている。また、このようなサージ防護素子では、絶縁性管と突出電極部との位置決めを行うために、突出電極部の基端側に先端部よりも径が大きくされた拡径部が設けられている。
特開平11−354244号公報 特開2001−102148号公報
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
従来の構造では、放電補助部を突出電極部の拡径部近傍まで延ばした際に、放電補助部が突出電極部の拡径部と干渉すると放電電圧が低下してしまうと共に、直流放電開始電圧がばらついてしまう場合があった。特に、低電圧品を作製する際、放電開始電圧Vsを安定化させるために、絶縁性管の内周面において放電補助部を軸線方向に沿ってできるだけ長く形成する必要があり、その場合、より拡径部と接触し易くなると共に、突出電極部の先端部側との間で安定して放電を開始させることが難しくなる。また、ろう材によって絶縁性管に封止電極を固定する場合、ろう材が拡径部に沿って絶縁性管の内面に盛り上がり、放電補助部と干渉して異常に低い電圧で放電してしまう不都合があった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、放電補助部とろう材との接触を防ぎ、絶縁性管と突出電極部との位置決めが可能なサージ防護素子を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係るサージ防護素子は、四角筒状の絶縁性管と、前記絶縁性管の両端開口部を閉塞して内部に放電制御ガスを封止する一対の封止電極と、前記絶縁性管の内周面であって前記内周面の角部の近傍以外にイオン源材料で形成された放電補助部とを備え、一対の前記封止電極が、前記絶縁性管の両端開口部に密着状態に固定されている一対のフランジ部と、一対の前記フランジ部から内方に突出し互いに対向した一対の突出電極部と、一対の前記フランジ部から内方に突出し前記絶縁性管の内周面における少なくとも対角線上で対向する2つの角部の近傍に配された複数の位置決め用突起部とを有していることを特徴とする。
このサージ防護素子では、封止電極が、一対のフランジ部から内方に突出し絶縁性管の内周面における少なくとも対向する2つの角部の近傍に配された複数の位置決め用突起部を有しているので、位置決め用突起部によって絶縁性管と封止電極とを位置決めすることができると共に、角部近傍に放電補助部が無いことで、放電補助部とろう材との接触を防ぐことができる。すなわち、絶縁性管と封止電極とをろう材で接着した場合、ろう材が位置決め用突起部上に駆け上がっても、近傍に放電補助部が無いため、ろう材が放電補助部に干渉することが無く、安定した放電電圧を維持することができる。
第2の発明に係るサージ防護素子は、第1の発明において、前記位置決め用突起部が、前記絶縁性管の内周面における4つの角部の近傍にそれぞれ設けられていることを特徴とする。
すなわち、このサージ防護素子では、位置決め用突起部が、絶縁性管の内周面における4つの角部の近傍にそれぞれ設けられているので、前記内周面の4隅近傍の位置決め用突起部によって、より高精度に位置決めすることができる。
第3の発明に係るサージ防護素子は、第1又は第2の発明において、前記位置決め用突起部が、先端ほど外周が小さく形成されていることを特徴とする。
すなわち、このサージ防護素子では、位置決め用突起部が、先端ほど外周が小さく形成されているので、絶縁性管の内周面との間隔が先端ほど拡がってろう材が駆け上り難い。
なお、棒状の位置決め用突起部の場合、冷間鍛造で封止電極を作製する際の金型の劣化によって高精度に形状を得ることができず、必要な突出高さを得ることができない場合がある。しかしながら、先端ほど外周が小さい位置決め用突起部とすることで、封止電極を冷間鍛造で作製する際に、棒状の位置決め用突起部の場合に比べて金型の劣化を緩和することができ、作製上、安定した形状が得られる。
第4の発明に係るサージ防護素子は、第1から第3の発明のいずれかにおいて、前記位置決め用突起部が、前記突出電極部から前記角部の近傍まで延在していることを特徴とする。
すなわち、このサージ防護素子では、位置決め用突起部が、突出電極部から角部の近傍まで延在しているので、棒状の位置決め用突起部に比べて金型の劣化を緩和することができ、作製上、安定した形状が得られる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るサージ防護素子によれば、封止電極が、一対のフランジ部から内方に突出し絶縁性管の内周面における少なくとも対向する2つの角部の近傍に配された複数の位置決め用突起部を有しているので、位置決め用突起部によって絶縁性管と封止電極とを位置決めすることができると共に、放電補助部とろう材との接触を防ぐことができる。
したがって、高精度に位置決めが可能であると共に、安定した放電電圧を維持することができる。
本発明に係るサージ防護素子の第1実施形態において、内部を破線で示す斜視図である。 第1実施形態において、絶縁性管に接着された封止電極を示す縦断面図である。 第1実施形態において、封止電極を示す平面図である。 本発明に係るサージ防護素子の第2実施形態において、封止電極を示す平面図である。 図4のA−A線矢視断面図である。 本発明に係るサージ防護素子の第3実施形態において、封止電極を示す平面図である。 図6のB−B線矢視断面図である。
以下、本発明に係るサージ防護素子の第1実施形態を、図1から図3を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能又は認識容易な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
本実施形態のサージ防護素子1は、図1から図3に示すように、四角筒状の絶縁性管2と、絶縁性管2の両端開口部を閉塞して内部に放電制御ガスを封止する一対の封止電極3と、絶縁性管2の内周面であって前記内周面の角部2aの近傍以外にイオン源材料で形成された放電補助部4とを備えている。
上記一対の封止電極3は、絶縁性管2の両端開口部に密着状態に固定されている一対のフランジ部5と、一対のフランジ部5から内方に突出し互いに対向した一対の突出電極部6と、一対のフランジ部5から内方に突出し絶縁性管2の内周面における少なくとも対向する2つの角部2aの近傍に配された複数の位置決め用突起部7とを有している。
本実施形態では、位置決め用突起部7が、絶縁性管2の内周面における4つの角部2aの近傍にそれぞれ設けられている。すなわち、絶縁性管2の内周面にある四隅に位置決め用突起部7が設けられ、各位置決め用突起部7が角部2a近傍の絶縁性管2の内周面に当接した状態とされている。
上記放電補助部4は、絶縁性管2の互いに対向する一対の内面の中央に軸線に沿って線状に形成されている。すなわち、放電補助部4は、隣り合う角部2a間の中間位置に配されている。
放電補助部4は、導電性材料であって、例えば炭素材で形成されている。
上記絶縁性管2は、例えばアルミナなどの結晶性セラミックス材で形成された四角筒状部材である。なお、絶縁性管2は、鉛ガラス等の非晶質管を採用しても構わない。
上記封止電極3は、例えば42アロイ(Fe:58wt%、Ni:42wt%)やCu等で構成されている。
封止電極3は、絶縁性管2の両端開口部に導電性融着材(図示略)により加熱処理によって密着状態に固定されている角板状のフランジ部5を有している。このフランジ部5と突出電極部6及び位置決め用突起部7とは一体に設けられている。
上記導電性融着材は、例えばAgを含むろう材としてAg−Cuろう材で形成されている。
上記絶縁性管2内に封入される放電制御ガスは、不活性ガス等であって、例えばHe,Ar,Ne,Xe,Kr,SF,CO,C,C,CF,H,大気等及び これらの混合ガスが採用される。
上記突出電極部6の先端面には、封止電極3の材料よりも電子放出特性の高い材料で放電活性層(図示略)が形成されている。
上記放電活性層は、例えばSi,Oを主成分元素とし、Na,Cs,Cのうちの少なくとも一つを含んでいる。この放電活性層は、例えばケイ酸ナトリウム溶液に炭酸セシウム粉末を加えて前駆体を作製し、この前駆体を封止電極3の表面に塗布した後、前駆体に対してケイ酸ナトリウムが軟化する温度以上かつ炭酸セシウムが融解及び分解する温度以上の温度で熱処理を行うことで作製される。
上記位置決め用突起部7は、突出電極部6よりも低い円柱状に形成されている。
上記封止電極3は、金型を用いた冷間鍛造によって作製され、突出電極部6及びフランジ部5と共に位置決め用突起部7も同時に一体形成される。
このサージ防護素子1では、過電圧又は過電流が侵入すると、まず放電補助部4と突出電極部6との間で優先的に初期放電が行われ、この初期放電をきっかけに、さらに放電が進展して一対のフランジ部5間又は突出電極部6間で放電が行われる。
このように本実施形態のサージ防護素子1では、封止電極3が、一対のフランジ部5から内方に突出し絶縁性管2の内周面における少なくとも対向する2つの角部2aの近傍に配された複数の位置決め用突起部7を有しているので、位置決め用突起部7によって絶縁性管2と封止電極3とを位置決めすることができる。
特に、位置決め用突起部7が、絶縁性管2の内周面における4つの角部2aの近傍にそれぞれ設けられているので、前記内周面の4隅近傍の位置決め用突起部7によって、より高精度に位置決めすることができる。
また、角部2a近傍に放電補助部4が無いことで、放電補助部4とろう材との接触を防ぐことができる。
すなわち、絶縁性管2と封止電極3とをろう材で接着した場合、ろう材が位置決め用突起部7上に駆け上がっても、近傍に放電補助部4が無いため、ろう材が放電補助部4に干渉することが無く、安定した放電電圧を維持することができる。
次に、本発明に係るサージ防護素子の第2及び第3実施形態について、図4から図7を参照して以下に説明する。なお、以下の各実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、位置決め用突起部7が円柱状に形成されているのに対し、第2実施形態のサージ防護素子では、図4及び図5に示すように、位置決め用突起部27が、先端ほど外周が小さく形成されている点である。
すなわち、第2実施形態では、図4に示すように、平面視で外側が半円形状とされていると共に内側が略V字形状とされた位置決め用突起部27を採用しており、位置決め用突起部27が全体として山型とされている。これら位置決め用突起部27は、角部2aからフランジ部5の中央に向いた涙滴形状を有している。
このように第2実施形態のサージ防護素子では、封止電極23の位置決め用突起部27が、先端ほど外周が小さく形成されているので、絶縁性管2の内周面との間隔が先端ほど拡がってろう材が駆け上り難い。
なお、第1実施形態のように棒状の位置決め用突起部の場合、冷間鍛造で封止電極を作製する際の金型の劣化によって高精度に形状を得ることができず、必要な突出高さを得ることができない場合がある。しかしながら、先端ほど外周が小さい位置決め用突起部27とすることで、封止電極23を冷間鍛造で作製する際に、棒状の位置決め用突起部の場合に比べて金型の劣化を緩和することができ、作製上、安定した形状が得られる。
次に、第3実施形態と第2実施形態との異なる点は、第2実施形態では、位置決め用突起部27が、角部2aから突出電極部6に向けて途中まで延びているのに対し、第3実施形態のサージ防護素子では、図6及び図7に示すように、位置決め用突起部37が、突出電極部6から角部2aの近傍まで延在している点である。
すなわち、第3実施形態では、図6に示すように、4つの位置決め用突起部37が突出電極部6から四隅まで四方に延びて形成されている。
このように第3実施形態のサージ防護素子では、封止電極33の位置決め用突起部37が、突出電極部6から角部2aの近傍まで延在しているので、棒状の位置決め用突起部に比べて金型の劣化を緩和することができ、作製上、安定した形状が得られる。
なお、本発明の技術範囲は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
1…サージ防護素子、2…絶縁性管、2a…角部、3,23,33…封止電極、4…放電補助部、5…フランジ部、6…突出電極部、7,27,37…位置決め用突起部

Claims (4)

  1. 四角筒状の絶縁性管と、
    前記絶縁性管の両端開口部を閉塞して内部に放電制御ガスを封止する一対の封止電極と、
    前記絶縁性管の内周面であって前記内周面の角部の近傍以外にイオン源材料で形成された放電補助部とを備え、
    一対の前記封止電極が、前記絶縁性管の両端開口部に密着状態に固定されている一対のフランジ部と、
    一対の前記フランジ部から内方に突出し互いに対向した一対の突出電極部と、
    一対の前記フランジ部から内方に突出し前記絶縁性管の内周面における少なくとも対向する2つの角部の近傍に配された複数の位置決め用突起部とを有していることを特徴とするサージ防護素子。
  2. 請求項1に記載のサージ防護素子において、
    前記位置決め用突起部が、前記絶縁性管の内周面における4つの角部の近傍にそれぞれ設けられていることを特徴とするサージ防護素子。
  3. 請求項1又は2に記載のサージ防護素子において、
    前記位置決め用突起部が、先端ほど外周が小さく形成されていることを特徴とするサージ防護素子。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載のサージ防護素子において、
    前記位置決め用突起部が、前記突出電極部から前記角部の近傍まで延在していることを特徴とするサージ防護素子。
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