JP6690913B2 - 配管構造 - Google Patents

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Description

この発明は、配管構造に関するものである。
近年、介護用などとして、ベッドサイドに設置して使用できるようにした圧送式の水洗便器(圧送便器)が開発されている(例えば、特許文献1参照)。この圧送便器は、汚物の圧送機能を備えているため、溜め込み式の簡易型トイレと比べて汚物処理の手間が掛からず、また、臭気などの発生も抑えられるので、非常に便宜が良く、本人の負担や、家族や介護者の負担などを減らすことができるので画期的なものであり、今後の普及が期待されているものである。
特開2004−308404号公報
しかし、圧送便器は、基本的に一戸建て住宅用として開発されたものであり、例えば、圧送便器から延びる圧送管を、住宅の外壁に穴を開けるなどして外(戸外)へ導き、外にある汚水枡へ接続して、汚水を汚水枡へ直接排出させることなどを想定しているため、外の汚水枡を使うことができないマンションなどの集合住宅ではそのまま適用するのが難しかった。
そこで、本発明は、上記した問題点を解決することを、主な目的としている。
上記課題を解決するために、本発明は、
圧送便器から延びる圧送管を既設配管に接続させるようにした配管構造であって、
前記圧送管の最も下流側の端部に対し、既設配管へ着脱可能に接続される継手が設けられていると共に、
該継手の手前側に、既設配管へ向かって下り勾配に傾斜する屈曲部を有しており、
前記継手は前記既設配管の管頂部よりも高い位置であり、
前記屈曲部の角度は水平線に対して45°〜60°であることを特徴とする。
本発明によれば、上記構成によって、圧送便器をマンションなどの集合住宅でも使用することができるようになる。
マンションなどの集合住宅に対して本実施の形態の圧送便器を設置する状態を示す間取図である。 圧送便器の基本的な構造を示す側面図である。 圧送便器をマンションなどの集合住宅に対して取付けるための配管構造を示す側面図である。 図3の変形例を示す側面図である。 マンションなどの集合住宅における既設配管の状態を示す斜視図である。
以下、本実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1〜図5は、この実施の形態を説明するためのものである。
<構成>以下、構成について説明する。
図1に示すように、介護用などとして、例えば、ベッドサイドなどに自由に設置して使用できるようにした圧送式の水洗便器(圧送便器1)を、マンションなどの集合住宅やオフィスビルなどの建物などに対して設置できるようにするための配管構造2を設ける。
この配管構造2を、圧送便器1から延びる無勾配の圧送管3を既設配管4に対して接続させるものとする。
ここで、図2に示すように、圧送便器1は、便器部11の裏側などに粉砕圧送ユニット12を取付けたものとされる。便器部11は、暖房機能や水洗機能などを備えたものとすることができる。便器部11には、可動式の手すりなどを設けることもできる。
粉砕圧送ユニット12は、便器部11から汚物収容部13へ排出された汚物を、汚物収容部13にてモーターなどの駆動装置14によって回転する粉砕刃15で粉砕すると共に、粉砕刃15と同軸上に設けられた圧送用の羽根車16によって圧送管3へ圧送させるようにしたものとされる。圧送便器1は、随時移動や移設が可能なようにユニット化したものとされている(移動便器ユニット)。圧送便器1には、給水管17も接続される。
圧送管3は、粉砕された汚物を外部へ導くためのものであり、既設配管4と比べて細径で可撓性を有する軟質樹脂製の配管などとされている(例えば、Φ20のフレキシブルホースなど)。なお、圧送管3は、排水勾配が不要であるため、特に固定する必要がなく、「床ころがし」状態で床上(即ち、床面18の上側、図3参照)や床下(即ち、床面18と床スラブ19との間、図4参照)に設置することができる。
既設配管4は、マンションなどの集合住宅やオフィスビルなどの建物の場合、図5に示すように、建物の各階を上下に貫通する縦管21と、建物の各階層内を横へ延びる横管22(横枝管)とを、(集合管継手23などによって)接続した共用の排水系統と、この共用の排水系統に対して戸別に各種の排水設備45を接続するための接続部46とを有するものとなる。縦管21は、建物に設けられたパイプスペース25内に設置される。横管22には、縦管21へ向かって下りに傾斜する排水勾配が付けられている。
配管構造2は、要するに、圧送便器1を、圧送管3を介して上記した既設配管4(特に、共用の排水系統となっている横管22)へ接続するようにした構造である。
そして、以上のような基本的または全体的な構成に対し、この実施例は、以下のような構成を備えている。
(1)図3(図4)に示すように、上記圧送管3の最も下流側の端部に対し、既設配管4に着脱可能に接続される継手31が設けられるようにする。
そして、この継手31の手前側に、下り勾配に傾斜する屈曲部32を有するようにしている。
ここで、継手31には、例えば、ユニオン継手を用いるのが好ましい。このユニオン継手は、管(この場合には圧送管3)の端部にナットを回転可能に備えた継手であり、接続しようとする相手側の管(この場合には、既設配管4など)の端部に形成されたネジ部にねじ込むことで簡単確実に取付けられるようにしたものである。継手31(ユニオン継手)は、上記した圧送管3の屈曲部32よりも下流側のほぼ水平に向けられた端部に取付けられている。なお、床面18の継手31を設けた位置には床下点検口35などを設けるのが好ましい。
屈曲部32は、圧送管3の最も下流側の端部の近傍に設けられるもので、例えば、水平線に対して45°〜60°程度の曲がり角を有するものとされる。なお、図4に示すように、圧送管3を床面18と床スラブ19との間の床下スペースに設置する場合、既設配管4との高さ調整のために、屈曲部32の上流側近傍にリフトアップ部38を設けるようにしても良い。
(2)上記圧送管3と上記既設配管4との間に、上記既設配管4へ向け(下りとなる)排水勾配を有して延びる延長接続管41を備えるようにしても良い。
この延長接続管41の上記圧送管3との接続部分に、既設配管4へ向け高低差を有して下り勾配に傾斜される傾斜接続部44が設けられるようにする。
ここで、延長接続管41は、圧送管3による圧送可能範囲を超える部分を補って汚水を流せるようにするために補助的に設けられるものである。延長接続管41は、硬質樹脂製の太径の管部材などとされる(例えば、Φ40以上)。また、傾斜接続部44は、延長接続管41の端部に対して圧送管3を接続させるために設けられる接続構造を有しており、継手31(ユニオン継手)の相手側のネジ部を有している。この傾斜接続部44は、例えば、水平線に対して45°〜60°程度の角度で傾斜するものとされ、継手31が既設配管4の管頂部よりも高い位置となるような角度で設けることが好ましい。このような角度に継手31を設置することで、既設配管4内が満水となった場合でも圧送管3へ逆流することが無い。傾斜接続部44には、圧送管3と延長接続管41との径差を調整するための拡管部などを適宜設けることができる。
(3)図1に示すように、上記既設配管4に対する上記延長接続管41の接続部42が、上記既設配管4(の横管22)に対する他の排水設備45の接続部46よりも下流側となる位置で上記既設配管4に接続されるようにする。
ここで、他の排水設備45は、例えば、キッチンシンク45aや、洗面台45bや、常設の便器や、浴槽や、洗濯機下の防水パンなどとすることができる。
下流側となる位置とは、既設配管4(横管22)において、他の排水設備45との接続部46よりも縦管21や集合管継手23に近い位置のことである。
なお、図1では、圧送便器1を「洋室3」やサービスホールに設置する例を示しているが、これに限らず、圧送便器1は、例えば、「洋室1」、「洋室2」やLDなどに設置することも可能である。なお、「洋室1」「洋室2」「洋室3」は、間取図上の部屋番号を表したものであり、本実施例中の参照符号とは関係ない。
(4)上記延長接続管41が、上記既設配管4に対して、防火区画51の外側となる位置で接続されるようにする。
ここで、防火区画51は、例えば、上記した縦管21を中心とするほぼ直径1m以内の範囲などとされる。
(5)上記延長接続管41が、予め上記既設配管4に対して接続されているプリ配管61として設けられるようにする。
ここで、プリ配管61とは、建物の建築時に予め作り付けられている事前配管または事前設置配管のことである。プリ配管61としての延長接続管41は、必要に応じて何本設けるようにしても良い。なお、プリ配管61の端部には排水の流出を防止するための止水部材を設ける必要があり、例えば、TS受口を有するTS継手キャップの受口にプリ配管61の端部を差込んで接着接続するようにしても良いし、または、圧送管3の端部と接続されるユニオン継手などの継手31の開口部に止水部材を設けるようにしても良い。
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
圧送便器1は、介護用などに開発されて市販されている簡易型水洗トイレであり、汚物の圧送機能を備えているため、溜め込み式の簡易型トイレと比べて汚物処理の手間が掛からず、また、臭気などの発生も抑えられるので、今後の普及が期待されているものである。
しかし、圧送便器1は、基本的に一戸建て住宅用として開発されたものであり、圧送便器1から延びる圧送管3を、住宅の外壁に穴を開けるなどして外(戸外)へ導き、外の汚水枡へ接続して、汚水を直接汚水枡へ排出させることなどを想定しているため、外の汚水枡を使うことができないマンションなどの集合住宅やオフィスビルなどの建物ではそのまま適用するのが難しい。
即ち、マンションなどの集合住宅やオフィスビルなどの建物では、外の汚水枡に替えて、共用の排水系統(特に、横管22)に対して圧送管3を接続することになるので、他の排水設備45に対して影響を与えないようにする必要がある。
また、一戸建て住宅の場合と比べて格段に狭くなっている床下空間などに対して圧送管3を配管できるようにしなければならない。更に、圧送管3のメンテナンスなども十分に行い得るようにしなければならない。
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
(作用効果1)圧送管3の最も下流側の端部を既設配管4(図1では延長接続管41となっているが、可能な場合には横管22としても良い)に接続するようにした。よって、マンションなどの集合住宅やオフィスビルなどの建物に対して圧送便器1を設置することが可能になる。
この際、圧送管3の最も下流側の端部に対し、継手31(好ましくは、ユニオン継手)を設けた。これにより、継手31の部分で簡単に既設配管4から圧送管3を着脱することができるようになるので、容易に圧送管3のメンテナンスを行うことが可能となる。なお、圧送管3の最も下流側の端部に対して、既設配管4に着脱可能に接続される継手31はユニオン継手に限るものではない。例えば、傾斜接続部44に接着接続された差口と、圧送管3の端部がゴム輪等の止水部材を介して圧送管3を着脱可能に差し込まれるようにした受口と、を有する継手31などとしても良い。
また、継手31が、下り勾配に傾斜する屈曲部32を有して既設配管4に接続されるようにした。この屈曲部32により、既設配管4から圧送管3への逆流を防止することができるようになる。更に、下り勾配に傾斜する屈曲部32を設けたことにより、圧送管3から既設配管4へ向けて汚物が真上から垂直に落下するような急激な流れがなくなるので、既設配管4への影響を少なくすることができる。よって、マンションなどの集合住宅やオフィスビルなどの建物に対して、支障なく圧送便器1を設置することが可能になる。
(作用効果2)圧送管3と既設配管4との間に排水勾配を有する延長接続管41を介在させた。これにより、圧送管3の圧送可能範囲を超えるような長い距離であっても、延長接続管41の自然流下作用を利用することによって既設配管4まで支障なく取り回すことができる。そして、延長接続管41の圧送管3との接続部分に傾斜接続部44を設けた。これにより、仮に、既設配管4側から延長接続管41への逆流が生じたとしても、傾斜接続部44が存在することによって、圧送管3への逆流を防止することができる。また、傾斜接続部44を設けることによって、圧送管3と延長接続管41との接続が容易となる。
(作用効果3)既設配管4に対する延長接続管41の接続部42を、既設配管4(の横管22)に対する他の排水設備45の接続部46よりも下流側となる位置で既設配管4に接続されるようにした。これにより、圧送便器1からの汚水が既設配管4に接続された他の排水設備45に影響を与え難くなるので、圧送便器1を支障なく既設配管4に接続することができる。
(作用効果4)延長接続管41を、防火区画51の外側の位置で既設配管4に接続した。これにより、延長接続管41を防火処理しなくて済むようになり、その分、延長接続管41の施工の手間やコストを削減することができる。
(作用効果5)延長接続管41をプリ配管61(事前配管または事前設置配管)として、建築時に予め延長接続管41を既設配管4に接続した状態で設けておくようにした。これにより、延長接続管41にユニオン継手などの継手31で圧送管3を接続するだけの簡単な作業だけで、直ちに圧送便器1を設置・増設して使用開始することが可能となる。よって、例えば、建築後十数年が経過して、居住者の高齢化などにより圧送便器1を設置する必要が生じた時になって、改めて手間と費用と時間の掛かる事前調査や工事(床板を剥がすなどの大掛かりな調査や工事となる)などを行って既設配管4に圧送管3や延長接続管41を引き込む必要をなくすことができる。また、建築時に予め延長接続管41をプリ配管61として設置しておくことで、圧送便器1を設置する場所も同時に決めておくことができるので、圧送便器1の設置を想定した効率の良い間取りを作ることができる。
以上、この発明の実施の形態を図面により詳述してきたが、実施の形態はこの発明の例示にしか過ぎないものである。よって、この発明は実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施の形態に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、実施の形態に複数の実施例や変形例がこの発明のものとして開示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
1 圧送便器
2 配管構造
3 圧送管
4 既設配管
31 継手
32 屈曲部
41 延長接続管
42 接続部(延長接続管)
44 傾斜接続部
45 排水設備
46 接続部(排水設備)
51 防火区画
61 プリ配管

Claims (5)

  1. 圧送便器から延びる圧送管を既設配管に接続させるようにした配管構造であって、
    前記圧送管の最も下流側の端部に対し、既設配管へ着脱可能に接続される継手が設けられていると共に、
    該継手の手前側に、既設配管へ向かって下り勾配に傾斜する屈曲部を有しており、
    前記継手は前記既設配管の管頂部よりも高い位置であり、
    前記屈曲部の角度は水平線に対して45°〜60°であることを特徴とする配管構造。
  2. 請求項1に記載の配管構造において、
    前記圧送管と前記既設配管との間に、前記既設配管へ向け排水勾配を有して延びる延長接続管を備えていると共に、
    該延長接続管の前記圧送管との接続部分に、前記既設配管へ向け高低差を有して下り勾配に傾斜される傾斜接続部が設けられていることを特徴とする配管構造。
  3. 請求項2に記載の配管構造において、
    前記既設配管に対する前記延長接続管の接続部が、前記既設配管に対する他の排水設備の接続部よりも下流側となる位置で前記既設配管に接続されていることを特徴とする配管構造。
  4. 請求項2または請求項3に記載の配管構造において、
    前記傾斜接続部の角度は水平線に対して45°〜60°であることを特徴とする配管構造。
  5. 圧送便器から延びる圧送管を配管に接続させるようにした配管構造であって、
    前記圧送管の最も下流側の端部に設けられた継手と、
    前記圧送管と前記配管との間に、前記配管へ向け排水勾配を有して設けられた延長接続管と、
    前記圧送管と前記配管との間に設けられた拡径部と、
    前記延長接続管の前記圧送管との接続部分に、前記配管へ向け高低差を有して下り勾配に傾斜するよう設けられた傾斜接続部と、
    を備え、
    前記継手は前記既設配管の管頂部よりも高い位置であり、かつ、
    前記傾斜接続部の角度は水平線に対して45°〜60°であることを特徴とする配管構造。
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