JP6688992B2 - 封止用エポキシ樹脂組成物、硬化物、及び半導体装置 - Google Patents

封止用エポキシ樹脂組成物、硬化物、及び半導体装置 Download PDF

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Description

本発明は、封止用エポキシ樹脂組成物、その封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物、及びその封止用エポキシ樹脂組成物から作製された封止材を備える半導体装置に関する。
従来、トランジスタ、IC、LSI等の半導体素子を外部環境から保護したり、半導体素子のハンドリング性を向上したりするため、半導体素子をプラスチックパッケージすること、例えばエポキシ樹脂組成物で封止することで、半導体装置を得ることが行われている。
一般に、エポキシ樹脂組成物には、成型時の硬化反応を速めるために硬化促進剤が配合される。硬化促進剤としては、例えば、アミン、イミダゾール系化合物、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の含窒素複素環式化合物、ホスフィン系化合物、第4級アンモニウム化合物、4級ホスホニウム化合物、アルソニウム化合物等が挙げられる。
耐湿信頼性に優れる半導体装置を得るために、特許文献1及び2では、封止用のエポキシ樹脂組成物に硬化促進剤としてトリフェニルホスホニウムから誘導されたアルキル4級化ホスホニウムのフェノール樹脂塩が提案されている。
特開2004−256643号公報 特開2005−162944号公報
しかしながら、エポキシ樹脂組成物が硬化促進剤としてホスホニウム塩を含有する場合には、エポキシ樹脂組成物から作製される封止材の耐湿信頼性を向上させることができるものの、金型から取り出すときの離型性に劣るため、半導体装置の生産性を低下させてしまう問題があった。
そこで、本発明者らは、エポキシ樹脂組成物に離型剤を配合することで、離型性を確保し、連続成型性を向上させることを試みたが、その場合は封止材とリードフレーム等の基材との密着性を確保することが困難となり、半導体装置の耐湿信頼性を悪化させやすいという問題があることがわかった。
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、半導体装置の封止材を作製するために適用でき、半導体装置に高い耐湿信頼性を付与できるとともに、封止材を作製する際の良好な離型性を有し、高い連続成型性を有することができる封止用エポキシ樹脂組成物、この封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物、及びこの封止用エポキシ樹脂組成物から作製された封止材を備える半導体装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る封止用エポキシ樹脂組成物は、下記式(1)で示されるホスホニウム塩(A)と、エポキシ樹脂(B)と、硬化剤(C)と、無機充填剤(D)と、離型剤(E)とを含有する。
Figure 0006688992
式(1)において、R1〜R3は、各々独立に炭素数6〜12のアリール基であり、R4は、炭素数1〜4のアルキル基であり、R6及びR8は、各々独立にCOOH、又はOHであり、R5及びR7は、各々独立にH又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R9及びR11の各々はHであり、R10は、COOH、又はOHであり、p、q及びrは、p≧1、q≧1、r≧1、及びq≧rの関係を満たす数である。
離型剤(E)は、α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合体(E1)を含む。
本発明の一態様に係る硬化物は、前記封止用エポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる。
本発明の一態様に係る半導体装置は、半導体素子と、前記半導体素子を封止する封止材とを備え、前記封止材は、前記硬化物である。
本発明によれば、半導体装置の封止材を作製するために適用でき、半導体装置に高い耐湿信頼性を付与できるとともに、封止材を作製する際の良好な離型性を有し、高い連続成型性を有することができる封止用エポキシ樹脂組成物、この封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物、及びこの封止用エポキシ樹脂組成物から作製された封止材を備える半導体装置が得られる。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る封止用エポキシ樹脂組成物は、ホスホニウム塩(A)と、エポキシ樹脂(B)と、硬化剤(C)と、無機充填剤(D)と、離型剤(E)とを含有する。
ホスホニウム塩(A)は、下記式(1)で示される。
Figure 0006688992
式(1)において、R1〜R3は、各々独立に炭素数6〜12のアリール基である。R4は、炭素数1〜4のアルキル基である。R6及びR8は、各々独立にCOOH、又はOHである。R5及びR7は、各々独立にH又は炭素数1〜4のアルキル基である。R9及びR11の各々はHである。R10は、COOH、又はOHである。
式(1)において、p、q及びrは、正の数である。p≧1、q≧1、r≧1、及びq≧rの関係を満たす。
離型剤(E)は、α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合体(E1)を含む。
封止用エポキシ樹脂組成物が、ホスホニウム塩(A)を含有するため、封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物からなる封止材を備える半導体装置は、高い耐湿信頼性を有する。さらに、封止用エポキシ樹脂組成物が共重合体(E1)を含有するため、封止用エポキシ樹脂組成物が成形時の高い離型性を有しながら、硬化物と金属との良好な密着性が損なわれにくい。したがって、封止用エポキシ樹脂組成物は、その硬化物からなる封止材を備える半導体装置の耐湿信頼性を損なうことなく、高い連続成型性を有することができる。
本発明の一実施形態に係る封止用エポキシ樹脂組成物の各成分について詳細に説明する。
まず、ホスホニウム塩(A)について、具体的に説明する。
上述の通り、ホスホニウム塩(A)は、下記式(1)で示される。
Figure 0006688992
式(1)において、R1〜R3は、各々独立に炭素数6〜12のアリール基である。R4は、炭素数1〜4のアルキル基である。R6及びR8は、各々独立にCOOH、又はOHである。R5及びR7は、各々独立にH又は炭素数1〜4のアルキル基である。R9及びR11の各々はHである。R10は、COOH、又はOHである。
式(1)において、p、q及びrは、正の数である。p≧1、q≧1、r≧1、及びq≧rの関係を満たす。この場合、封止用エポキシ樹脂組成物の硬化特性が特に高いと共に、封止用エポキシ樹脂組成物中でホスホニウム塩(A)が特に分散、及び融解しやすくなる。このため、封止用エポキシ樹脂組成物の成型時の密着性を向上させることができる。さらに、この封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物からなる封止材を備える半導体装置は、耐湿信頼性に優れる。特にp/qが1であり、q/rが1〜9の範囲内であることが好ましい。
ホスホニウム塩(A)は、下記式(1.1)に示す第4級ホスホニウムカチオン(A1)と、下記式(1.2)に示す有機カルボキシラートアニオン(A2)と、下記式(1.3)に示すフェノール化合物(A3)とから構成される。
Figure 0006688992
ホスホニウム塩(A)において、式(1.1)に示す第4級ホスホニウムカチオン(A1)と、式(1.2)に示す有機カルボキシラートアニオン(A2)とは、イオン結合している。さらに、式(1.2)に示す有機カルボキシラートアニオン(A2)と式(1.3)に示すフェノール化合物(A3)とは、水素結合しており、このため、ホスホニウム塩(A)は錯体状の化合物である。このホスホニウム塩(A)の構造の概念的なモデルの一例を下記式(2)に示す。
Figure 0006688992
ホスホニウム塩(A)を使用すると、流動性、硬化性、及び保存安定性に優れる封止用エポキシ樹脂組成物が得られる。これは、ホスホニウム塩(A)を構成する第4級ホスホニウムカチオン(A1)、有機カルボキシラートアニオン(A2)及びフェノール化合物(A3)という三つの要素間に働く次のような相互作用に起因すると考えられる。
式(2)に示すように、有機カルボキシラートアニオン(A2)とフェノール化合物(A3)の各々は、1,3位に水素結合可能な置換基である水酸基又はカルボニル基を有するため、有機カルボキシラートアニオン(A2)とフェノール化合物(A3)との間に水素結合による相互作用が強力に働く。これにより、有機カルボキシラートアニオン(A2)の酸強度が見かけ上強くなり、有機カルボキシラートアニオン(A2)とホスホニウム塩(A3)とが解離しにくくなる。このため、常温下ではホスホニウム塩(A)中の第4級ホスホニウムカチオン(A1)と有機カルボキシラートアニオン(A2)とが解離しない状態が維持されることで、封止用エポキシ樹脂組成物の硬化が抑制される。このため、封止用エポキシ樹脂組成物は優れた保存安定性を有すると考えられる。封止用エポキシ樹脂組成物が加熱されても、当初は有機カルボキシラートアニオン(A2)とフェノール化合物(A3)との間の強い相互作用が維持されることで、第4級ホスホニウムカチオン(A1)と有機カルボキシラートアニオン(A2)との解離が抑制される。このため、封止用エポキシ樹脂組成物が加熱されても、すぐには硬化反応は進行せず、封止用エポキシ樹脂組成物の溶融粘度の上昇が抑制される。これにより、封止用エポキシ樹脂組成物は成型時に優れた流動性を有すると考えられる。加熱を開始してからしばらくすると、有機カルボキシラートアニオン(A2)とフェノール化合物(A3)との間の相互作用は次第に弱まり、第4級ホスホニウムカチオン(A1)と有機カルボキシラートアニオン(A2)とが解離する。これにより、封止用エポキシ樹脂組成物の硬化が促進される。このため、高い流動性と硬化性とが両立すると考えられる。
本実施形態では、式(1)において、R1〜R3が各々独立に炭素数6〜12のアリール基であり、R4が炭素数1〜4のアルキル基であることで、ホスホニウム塩(A)におけ
る第4級ホスホニウムカチオン(A1)と有機カルボキシラートアニオン(A2)の立体障害が少なく、そのため、ホスホニウム塩(A)の安定性が高い。また、R6及びR8が各々独立にCOOH、又はOHであり、更にR10がCOOH、又はOHであることで、有機カルボキシラートアニオン(A2)とフェノール化合物(A3)との間の相互作用が強力に働き、上記のような封止用エポキシ樹脂組成物の優れた保存安定性、成型時の優れた流動性、及び優れた硬化性、並びにその硬化物からなる封止材を備える半導体装置に優れた耐湿信頼性がもたらされる。また、R5及びR7が各々独立にH又は炭素数1〜4のアルキル基であることで、芳香環上でエポキシ樹脂と反応する官能基同士が隣接せず、しかもエポキシ樹脂と反応する官能基の周りの立体障害が抑制される。このため、封止用エポキシ樹脂組成物が硬化する際にエポキシ樹脂と反応する官能基が未反応で残る確率が低くなり、封止用エポキシ樹脂組成物に高い硬化物特性が付与される。これらにより、封止用エポキシ樹脂組成物が、流動性、及び分散性に優れるため、成型時の成型性に優れることで、連続成型性の向上に寄与することもできる。
式(1)において、R6とR8の少なくとも一方はカルボキシル基であることが好ましい。この場合、封止用エポキシ樹脂組成物の保存安定性、成型時の流動性及び硬化性が更に向上するとともに、硬化物を含む封止材とリードフレームとの密着性が更に向上する。その理由は次の通りであると推察される。カルボキシル基及びカルボキシラートアニオンは、水酸基よりも求核性が低いため、R6とR8の少なくとも一方がカルボキシル基であると、ホスホニウム塩(A)がエポキシ樹脂(B)と反応する際には、当初は急激な反応は生じない。反応が進んでも、カルボキシラートアニオンが先に反応し、カルボキシル基は反応せずに残存しやすい。そのため、封止用エポキシ樹脂組成物の保存安定性、成形時の流動性が良好である。反応がある程度進むと、有機カルボキシラートアニオン(A2)からフェノール化合物(A3)が解離して、このフェノール化合物(A3)中の水酸基の高い求核反応性が発現し、そのため封止用エポキシ樹脂組成物の硬化が促進される。これにより、封止用エポキシ樹脂組成物は、高い硬化性を有する。有機カルボキシラートアニオン(A2)中のカルボキシル基は、封止用エポキシ樹脂組成物の硬化後も硬化物中に残存しやすい。このため、硬化物が金属表面と接触すると、組成物(X)中のカルボキシル基が金属元素と結合してカルボン酸塩を形成しやすく、金属表面に水酸基又は酸化膜が存在する場合にはカルボキシル基が金属表面と水素結合しやすい。このため、硬化物は金属表面との間の高い密着性を有することができ、これにより、封止材はリードフレームとの間の高い密着性を有することができる。
式(1)において、R10が水酸基であることも好ましい。この場合、封止用エポキシ樹脂組成物が、より高い保存安定性、成型時のより高い流動性及びより高い硬化性を有することができる。これは、ホスホニウム塩(A)内において、有機カルボキシラートアニオン(A2)とフェノール化合物(A3)との水素結合による相互作用が、より強く生じやすいからだと考えられる。特に、R6とR8の少なくとも一方がカルボキシル基であるとともにR10が水酸基である場合に、高い効果が得られる。これは、ホスホニウム塩(A)内における有機カルボキシラートアニオン(A2)に対してフェノール化合物(A3)が、有機カルボキシラートアニオン(A2)におけるカルボキシラートアニオン基及びカルボキシル基とフェノール化合物(A3)における二つの水酸基とが近接するように配置されやすいため、水素結合による相互作用が更に強く生じやすいためであると考えられる。
また、ホスホニウム塩(A)はベンゼンを含まず、ホスホニウム塩(A)の合成時にベンゼンが生成されてホスホニウム塩(A)に混入されることもない。このため、封止用エポキシ樹脂組成物からの、硬化促進剤に由来するベンゼンの放出が抑制される。
また、原料の加熱混練によって封止用エポキシ樹脂組成物を調製する際に、ホスホニウム塩(A)は封止用エポキシ樹脂組成物中で分散及び融解しやすい。このため、封止用エポキシ樹脂組成物で半導体素子を封止する場合、ホスホニウム塩(A)の粒子がワイヤー間やバンプ間にひっかかって絶縁不良を引きおこすようなことが、抑制される。
ホスホニウム塩(A)の融点又は軟化点が200℃以上という比較的高い温度であっても、ホスホニウム塩(A)は封止用エポキシ樹脂組成物中で分散及び融解しやすい。これは、何らかの分子間相互作用によって、封止用エポキシ樹脂組成物中でのホスホニウム塩(A)の分散性が高められているためであると考えられる。
封止用エポキシ樹脂組成物中でホスホニウム塩(A)が特に分散及び融解しやすくなるためには、ホスホニウム塩(A)の融点又は軟化点は200℃以下であることが好ましく、70〜140℃の範囲内であればより好ましい。融点又は軟化点が140℃以下であると、封止用エポキシ樹脂組成物中でホスホニウム塩(A)が特に分散及び融解しやすくなる。また、融点又は軟化点が70℃以上であると、ホスホニウム塩(A)を粉砕して粉末状にする場合の融着が特に抑制されると共に、保存中に粉末状のホスホニウム塩(A)がブロック化しにくくなる。融点又は軟化点は、80〜120℃の範囲内であれば更に好ましく、90〜100℃の範囲内であれば特に好ましい。
なお、ホスホニウム塩(A)の融点又は軟化点を得るためには、空気雰囲気下、昇温速度20℃/分の条件でホスホニウム塩(A)の示差走査熱量測定をおこなうことで、DSC曲線を得る。このDSC曲線における吸熱ピークが現れる温度を、融点又は軟化点とする。
ホスホニウム塩(A)の融点又は軟化点を下げる方法として、ホスホニウム塩(A)をフェノール樹脂でマスターバッチ化することが挙げられる。フェノール樹脂は低粘度であることが好ましい。フェノール樹脂としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂が挙げられる。マスターバッチ化のためには、公知の方法が利用可能である。
ホスホニウム塩(A)が粉末状であることも好ましい。この場合も、ホスホニウム塩(A)が、封止用エポキシ樹脂組成物中で特に分散及び融解しやすくなる。ホスホニウム塩(A)を粉末状にする方法としては、ホスホニウム塩(A)を衝撃式粉砕機等で粉砕することが挙げられる。粉末状のホスホニウム塩(A)が、100メッシュパス95%以上であることが好ましい。粉末状のホスホニウム塩(A)の95質量%以上が、100メッシュ(目開き212μm)を通過することが好ましい。この100メッシュパスは、エアージェットシーブ法で測定される。この場合、ホスホニウム塩(A)が、封止用エポキシ樹脂組成物中で非常に分散及び融解しやすくなる。
ホスホニウム塩(A)の合成方法は、特に限定されない。例えばまず式(1.1)に示す第4級ホスホニウムカチオンと式(1.2)に示す有機カルボキシラートアニオンとから構成される中間体を合成し、この中間体と式(1.3)に示すフェノール化合物とを混合することで、ホスホニウム塩(A)が得られる。
中間体は、例えば特許第4429768号公報に開示されている方法で製造できる。例えば式(1.1)に示す第4級ホスホニウムカチオンに対応する第4級ホスホニウムのアルキル炭酸塩と、式(1.2)に示す有機カルボキシラートアニオンに対応する有機カルボン酸との塩交換反応で、中間体が合成される。
第4級ホスホニウムのアルキル炭酸塩は、例えば第4級ホスホニウムに対応する第3級ホスフィンと炭酸ジエステル類とを反応させることで得られる。第3級ホスフィンとしては、例えばトリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、及び2−(ジフェニルホスフィノ)ビフェニルが挙げられる。炭酸ジエステルとしては、例えばジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート、及びジフェニルカーボネートが挙げられる。反応を速やかに収率良く完結させるためには、溶媒中で反応させる事が好ましい。溶媒としては、例えばメタノール及びエタノールが挙げられる。第4級ホスホニウムのアルキル炭酸塩を合成するためには、例えば第3級ホスフィンと炭酸ジエステル類を溶媒に加えて反応溶液を調製し、この反応溶液をオートクレーブ中で、50〜150℃の範囲内の温度で10〜200時間反応させる。
中間体は、式(1.1)に示す第4級ホスホニウムカチオンに対応する第4級ホスホニウムの水酸化物と、式(1.2)に示す有機カルボキシラートアニオンに対応する有機カルボン酸との塩交換反応で合成されてもよい。
第4級ホスホニウムの水酸化物は、例えば第4級ホスホニウムに対応する第3級ホスフィンとハロゲン化アルキル又はハロゲン化アリールとを反応させた後に、無機アルカリで塩交換することで得られる。第3級ホスフィンとしては、第4級ホスホニウムのアルキル炭酸塩を得る場合と同じものが挙げられる。ハロゲン化アルキルとしては、例えば臭化エチル、塩化ブチル、2−エチルヘキシルブロマイド、2−ブチルエタノール、及び2−クロロプロパノールが挙げられる。ハロゲン化アリールとしては、例えばブロモベンゼン、ブロモナフタレン、及びブロモビフェニルが挙げられる。無機アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム及び水酸化アルミニウムが挙げられる。反応を速やかに収率良く完結させるためには、溶媒中で反応させる事が好ましい。溶媒としては、例えばメタノール及びエタノールが挙げられる。第4級ホスホニウムの水酸化物を合成するためには、例えば第3級ホスフィンとハロゲン化アルキル又はハロゲン化アリールと無機アルカリとを溶媒に加えて反応溶液を調製し、この反応溶液をオートクレーブ中で、20〜150℃の範囲内の温度で1〜20時間反応させる。
第4級ホスホニウムのアルキル炭酸塩又は水酸化物と有機カルボン酸とを反応させる場合、例えば第4級ホスホニウムのアルキル炭酸塩又は水酸化物と有機カルボン酸とを含有する溶液を、例えば30〜170℃の範囲内の温度で1〜20時間反応させながら、副生成するアルコール、水、炭酸ガス及び必要に応じて溶媒を除去する。これにより、塩交換反応によって中間体が得られる。
中間体は、特に第4級ホスホニウムのアルキル炭酸塩と有機カルボン酸との塩交換反応で合成されることが好ましい。この場合、最終生成物であるホスホニウム塩(A)中へのハロゲンイオンなどのイオン性不純物の混入が抑制される。このため、ホスホニウム塩(A)を含有する封止用エポキシ樹脂組成物から作製される封止材におけるマイグレーションの発生が抑制され、このため封止材を備える半導体装置は、高い信頼性を有する。
上述の通り、中間体とフェノール化合物とを混合することで、ホスホニウム塩(A)が
得られる。そのためには、例えば中間体とフェノール化合物とを、メタノール、エタノール等の溶媒中で、50〜200℃で1〜20時間混合させてから、溶媒を除去する。溶媒を除去するためには、例えば溶液を減圧下又は常圧下で、50〜200℃で加熱する。これにより、ホスホニウム塩(A)が得られる。
ホスホニウム塩(A)中の不純物であるハロゲンイオン含量は、ホスホニウム塩(A)に対して5ppm以下であることが好ましい。この場合、封止用エポキシ樹脂組成物から作製される封止材におけるマイグレーションが特に抑制され、このため封止材を備える半導体装置が特に高い信頼性を有する。このような低いハロゲンイオン含量は、上記のようにホスホニウム塩(A)が特に第4級ホスホニウムのアルキル炭酸塩と有機カルボン酸との塩交換反応を含む方法で合成されることで達成可能である。
ホスホニウム塩(A)は、エポキシ樹脂(B)100質量部に対して、1〜20質量部の範囲内であることが好ましい。ホスホニウム塩(A)が1質量部以上であれば、封止用エポキシ樹脂組成物に特に優れた硬化性が付与される。また、ホスホニウム塩(A)が20質量部以下であれば、封止用エポキシ樹脂組成物に特に優れた成型時の流動性が付与される。ホスホニウム塩(A)が2〜15質量部の範囲内であれば特に好ましい。
封止用エポキシ樹脂組成物は、本発明の目的を逸脱しない範囲において、ホスホニウム塩(A)に加えて、ホスホニウム塩(A)以外の硬化促進剤を含有してもよい。例えば封止用エポキシ樹脂組成物は、ホスホニウム塩(A)以外の硬化促進剤として、トリアリールホスフィン類、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、及び1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7からなる群から選択される一種以上の成分を含有することができる。ホスホニウム塩(A)を含めた硬化促進剤全体に対して、ホスホニウム塩(A)以外の硬化促進剤は50質量%以下であることが好ましい。
離型剤(E)について具体的に説明する。
離型剤(E)は、α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合体(E1)を含む。このため、封止用エポキシ樹脂組成物は、高い離型性を有する。さらに、封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物からなる封止材を備える半導体装置は、耐湿信頼性に優れるとともに、封止用エポキシ樹脂組成物は、成型時における密着性を阻害することなく、高い連続成型性を有する。
また、共重合体(E1)は、無水マレイン酸に由来する極性基を有するため、この封止用エポキシ樹脂組成物は、優れた分散性、及び溶剤溶解性を有し、α−オレフィンに由来する疎水性の官能基が疎水性成分への親和性を有するため、この封止用エポキシ樹脂組成物は、成型時の流動性、及び溶解性に優れる。このため、封止用エポキシ樹脂組成物の成型時の成型性が向上しうるため、離型性、及び連続成型性に寄与することができる。
特に本実施形態では、封止用エポキシ樹脂組成物がホスホニウム塩(A)を含有し、更に共重合体(E1)を含有するために、封止用エポキシ樹脂組成物は優れた連続成型性を有することができる。すなわち、封止用エポキシ樹脂組成物の優れた連続成型性は、ホスホニウム塩(A)と共重合体(E1)との相乗的な作用によって実現できる。
共重合体(E1)は、下記式(5)で示される繰り返し単位を有することが好ましい。
Figure 0006688992
式(5)において、R12は、炭素数が26以上のアルキル基であることが好ましい。R12は、具体的には、例えば炭素数26〜58のアルキル基である。
封止用エポキシ樹脂組成物全量に対する離型剤(E)の含有量は、0.01〜0.5質量%の範囲内であることが好ましく、0.05〜0.5質量%の範囲内であればより好ましく、0.1〜0.3質量%の範囲内であれば更に好ましい。
封止用エポキシ樹脂組成物全量に対する共重合体(E1)の含有量は、0.01〜0.5質量%の範囲内であることが好ましい。この範囲内であれば、封止用エポキシ樹脂組成物の成型時の流動性と離型性とを両立できる。共重合体(E1)の含有量は、0.05〜0.3質量%の範囲内であればより好ましく、0.1〜0.3質量%の範囲内であれば更に好ましい。
共重合体(E1)の重量平均分子量は、例えば5000〜15000の範囲内である。
離型剤(E)は、本発明の目的を逸脱しない範囲において、共重合体(E1)以外の成分を含有してもよい。共重合体(E1)以外の成分の例は、例えば高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸カルシウム等であり、具体的には、カルナバワックス、ポリエチレン系ワックス等が挙げられる。
エポキシ樹脂(B)について説明する。エポキシ樹脂(B)は、1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物である。エポキシ樹脂(B)は、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂からなる群から選択される一種以上の成分を含有することができる。特にエポキシ樹脂(B)が、ビフェニル型エポキシ樹脂と、低級アルキル基が付加されたフェニル環を有する低吸湿型のエポキシ樹脂とのうち、少なくとも一方を含有することが、半導体装置の信頼性向上のために好ましい。エポキシ樹脂(B)のエポキシ当量は150〜290の範囲内であることが好ましい。エポキシ樹脂(B)の軟化点もしくは融点は50〜130℃の範囲内であることが好ましい。
エポキシ樹脂(B)は、硬化剤(C)1当量に対して、0.9〜1.5当量の範囲内であることが好ましい。この場合、この硬化物からなる封止材は、高温時でも特に高い密着性を有しうるとともに、封止用エポキシ樹脂組成物は、良好な保存安定性を有しうる。このため、封止用エポキシ樹脂組成物から作製される封止材を備える半導体装置は、更に高い耐湿信頼性を付与しうる。エポキシ樹脂(B)が1.0〜1.3当量の範囲内であれば更に好ましい。
硬化剤(C)について説明する。硬化剤(C)は、エポキシ樹脂(B)の硬化剤として作用する。硬化剤(C)は、フェノール化合物、酸無水物、及びフェノール性水酸基を生成する機能性化合物からなる群から選択される一種以上の成分を含有することが好ましい。特に、硬化剤(C)がフェノール化合物と機能性化合物とのうち少なくとも一方を含有すると、封止用エポキシ樹脂組成物から作製される封止材を備える半導体装置に非常に高い耐湿信頼性が付与される。
フェノール化合物には、1分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有するモノマー、オリゴマー及びポリマー全般が含まれうる。例えば硬化剤(C)は、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビフェニル型ノボラック樹脂、トリフェニルメタン型樹脂、ナフトールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、及びビフェニルアラルキル樹脂からなる群から選択される一種以上の成分を含有することができる。特に、硬化剤(C)が低吸湿性のフェノールアラルキル樹脂及びビフェニルアラルキル樹脂のうち少なくとも一方を含有することが、半導体装置の信頼性向上のために好ましい。硬化剤(C
)がフェノール化合物である場合、エポキシ樹脂(B)のエポキシ基1当量あたりのフェノール化合物の水酸基当量は、0.5〜2.0の範囲内であることが好ましく、0.8〜1.4の範囲内であれば更に好ましい。
酸無水物は、例えば無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸及びポリアゼライン酸無水物からなる群から選択される一種以上の成分を含有することができる。硬化剤(C)が酸無水物である場合、エポキシ樹脂(B)のエポキシ基1当量あたりの酸無水物は0.7〜1.5当量の範囲内であることが好ましく、0.8〜1.2当量の範囲内であれば更に好ましい。
フェノール性水酸基を生成する機能性化合物としては、加熱されることでフェノール性水酸基を生成する化合物が挙げられる。より具体的には、機能性化合物として、加熱されると開環してフェノール性水酸基を生成するベンゾオキサジン類が挙げられる。
無機充填剤(D)について説明する。無機充填材(D)は、一般にエポキシ樹脂組成物に配合される材料を特に制限なく含有することができる。例えば無機充填材(D)は、溶融シリカ、球状シリカ、球状溶融シリカ、破砕シリカ、結晶シリカ、球状アルミナ、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等;チタン酸バリウム、酸化チタン等の高誘電率フィラー;ハードフェライト等の磁性フィラー;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、グアニジン塩、ホウ酸亜鉛、モリブデン化合物、スズ酸亜鉛等の無機系難燃剤;並びに、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、雲母粉等からなる群から選択される一種以上の成分を含有することができる。特に無機充填材(D)は、球状溶融シリカを含有することが好ましい。無機充填材(D)の平均粒径は3〜40μmの範囲内であることが好ましく、この場合、成型時の封止用エポキシ樹脂組成物の流動性が特に良好である。なお、平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定される。
無機質充填剤(D)は、封止用エポキシ樹脂組成物全体に対して70〜95質量%の範囲内であることが好ましい。無機質充填剤(D)が95質量%以下であると、封止用エポキシ樹脂組成物の成型時の流動性が特に優れ、ワイヤー流れ、未充填等の不良が抑制される。無機質充填剤(D)が70質量%以上であると、封止用エポキシ樹脂組成物の成型時の溶融粘度が過剰に高くなることが抑制されることで、封止用エポキシ樹脂組成物から形成される封止材におけるボイドなどによる外観不良が抑制される。無機質充填剤(D)が封止用エポキシ樹脂組成物全体に対して85〜92質量%の範囲内であれば特に好ましい。
封止用エポキシ樹脂組成物は、上記(A)〜(E)成分に加えて、シランカップリング剤、難燃剤、難燃助剤、イオントラップ剤、カーボンブラック等の顔料、着色剤、低応力化剤、粘着付与剤、シリコーン可撓剤等の、添加剤を含有してもよい。
シランカップリング剤は、2個以上のアルコキシ基を有することが好ましい。シランカップリング剤は、例えばβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、及びヘキサメチルジシラザンからなる群から選択される一種以上の成分を含有することができる。
難燃剤は、ノボラック型ブロム化エポキシ樹脂、金属水酸化物等を含有することができ
る。特に、難燃剤は、三酸化二アンチモン及び五酸化二アンチモンのうち少なくとも一方を含有することが好ましい。
イオントラップ剤は、イオントラップ能力を有する公知の化合物を含有することができる。例えば、イオントラップ剤は、ハイドロタルサイト類、水酸化ビスマス等を含有することができる。
低応力化剤としては、アクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体等のブタジエン系ゴム、並びにシリコーン化合物が挙げられる。
封止用エポキシ樹脂組成物の製造方法について説明する。ホスホニウム塩(A)、エポキシ樹脂(B)、硬化剤(C)、無機充填材(D)、及び離型剤(E)、並びに必要により添加剤を混合してから、熱ロール、ニーダー等の混練機を用いて加熱状態で溶融混合し、続いて室温に冷却し、更に公知の手段で粉砕することで、粉末状の封止用エポキシ樹脂組成物を得ることができる。この粉末状の封止用エポキシ樹脂組成物を打錠することで、成型条件に見合った寸法及び質量を有するタブレット状の封止用エポキシ樹脂組成物を得てもよい。
封止用エポキシ樹脂組成物を熱硬化させて得られる硬化物は、半導体装置における半導体素子を封止する封止材として好適である。このような封止材を備える半導体装置について説明する。
半導体装置は、ICチップなどの半導体素子と、半導体素子を封止する封止材とを備える。封止材は、封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物である。半導体装置は、半導体素子を支持する基材を更に備えてもよい。基材は、例えばリードフレーム、配線板等である。封止材は、トランスファーモールド法、コンプレッションモールド法、インジェクションモールド法などの公知の成型法で作製されうる。
半導体装置を製造する場合、例えばまず基材に半導体を搭載する。半導体素子は、フリップチップボンディング、ワイヤボンディング等の方法で、基材に電気的に接続される。この半導体素子が搭載されている基材をトランスファーモールド用の金型にセットする。この状態で、封止用エポキシ樹脂組成物を加熱して溶融させてから、この封止用エポキシ樹脂組成物を金型に注入し、更に金型内で封止用エポキシ樹脂組成物を加熱する。これにより、封止用エポキシ樹脂組成物が熱硬化して、封止材が形成される。
トランスファーモールド法で封止材を作製する場合、例えば金型温度は160〜185℃の範囲内、成型時間は60〜120秒の範囲内である。なお、成型条件は、封止用エポキシ樹脂組成物の組成等に応じて、適宜に変更してよい。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[封止用エポキシ樹脂組成物の調製]
各実施例及び比較例において、無機充填剤をカップリング剤で表面処理した。処理後の無機充填剤と、硬化促進剤と、エポキシ樹脂と、フェノール化合物と、離型剤と、着色剤とをミキサーで充分混合することで混合物を得た。この混合物を2軸ロールで100℃の設定温度で5分間加熱しながら、溶融混練し、冷却後に粉砕機で粉砕することで、粉体状の封止用エポキシ樹脂組成物を得た。
実施例及び比較例で使用した成分、並びにその量は後掲の表に示す通りである。表中では成分の量は、質量部で示されている。これらの成分の詳細は次に示す通りである。
・硬化促進剤1:サンアプロ株式会社製、MeTPP−5HIPA−THB樹脂MB。
・硬化促進剤2:サンアプロ株式会社製、MeTPP−5HIPA−THB。
・硬化促進剤3:パナソニック株式会社製、TPP−Kとフェノールノボラック樹脂との反応物。
・エポキシ樹脂1:三菱化学株式会社製、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、品番YX−4000。
・エポキシ樹脂2:日本化薬株式会社製、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、品番NC−3000。
・フェノール化合物1:明和化成株式会社製、ノボラック型フェノール樹脂、品番H−3M。
・フェノール化合物2:明和化成株式会社製、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、品番MEH7851SS。
・離型剤1:三菱化学株式会社製、α−オレフィン・無水マレイン酸WAX、品名ダイヤカルナ30、重量平均分子量 約10000。
・離型剤2:大日化学工業株式会社製、カルナバワックス、品名F1−100。
・離型剤3:大日化学工業株式会社製、ポリエチレンワックス、品名PE−A。
・無機充填剤:電気化学工業株式会社製、球状溶融シリカ、品名FB940。
・カップリング剤:信越シリコーン株式会社製、シランカップリング剤、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、品名KBM803。
・顔料:三菱化学株式会社製、カーボンブラック、品名MA−600。
表1に示す硬化促進剤の更なる詳細について説明する。
(硬化促進剤1)
第4級ホスホニウムのアルキル炭酸塩と有機カルボン酸との塩交換反応を含む方法で合成された下記式(3)に示すホスホニウム塩を、合成時に添加したフェノールノボラック樹脂でマスターバッチ化して得られ、フェノールノボラック樹脂の割合が15質量%である生成物を、目開き212μmのメッシュを通過させることで得られた粉体状の硬化促進剤である。
Figure 0006688992
(硬化促進剤2)
第4級ホスホニウムのアルキル炭酸塩と有機カルボン酸との塩交換反応を含む方法で合成された上記式(3)に示すホスホニウム塩の結晶を粉砕してから、目開き212μmのメッシュを通過させることで得られた粉体状の硬化促進剤である。
(硬化促進剤3)
TPP−Kと低粘度フェノールノボラック樹脂(明和化成工業株式会社、品番H−4)とを、窒素雰囲気下、170〜180℃で加熱し、得られた生成物を冷却してから粉砕することで得られた、ホスホニウムカチオン濃度10質量%の化合物である。
[スパイラルフロー長さ]
成型時の流動性の指標として、実施例及び比較例における製造直後の封止用エポキシ樹脂組成物のスパイラルフロー長さを、株式会社神藤金属工業所製のトランスファープレス「ETA−D型」と、ASTM D3123に準拠したスパイラルフロー測定金型とを用い、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、成型時間120秒の条件で測定した。
[ゲルタイム評価]
各実施例及び比較例で得られた封止用エポキシ樹脂組成物の170℃でのゲルタイムを測定した。測定は、株式会社JSR株式会社製のキュラストメータを用いて行った。なお、本評価試験におけるゲルタイムは、測定開始時からトルクが9.81mN・m(0.1kgf・cm)になるまでに要する温度である。
[連続成型性評価]
平面視40mm×40mmの寸法を有する基板を、第一精工株式会社製の成型機「S・Pot」の金型にセットした後、各実施例及び比較例における封止用エポキシ樹脂組成物を成型温度175℃、キュア時間150秒の条件で成型することで、基板上に成形体を形成した。その直後に、金型から基板を持ち上げることで、成型体を金型から取り外した。このとき、金型から基板を持ち上げるために要する力を、株式会社イマダ製「型番 ZTS−DPU−100N」のデジタルフォースゲージを用いて測定した。この操作を100回繰り返し行い、成形回数1〜25回目、26〜50回目、51〜75回目、76〜100回目の各々の場合のデジタルフォースゲージによる測定値の平均値を算出した。
また、100回の測定値の平均が10N以下の場合を「A」、10Nより大きく20N未満の場合を「B」、20N以上30N未満の場合を「C」、30N以上を「D」と判定した。
[耐リフロー性評価 1]
平面視35mm×35mmの寸法を有する基板に、平面視8mm×9mmの寸法を有する半導体素子を実装した後、この基板をアピックヤマダ株式会社製の成型機(型番MM−536)の金型にセットした。その後、封止用エポキシ樹脂組成物を成形温度175℃、キュア時間120秒の条件で成形することで、基板上の半導体素子を覆う封止材を形成した。この封止材に、加熱温度175℃、加熱時間4時間の条件でポストキュアを施した。これにより、半導体装置を作製した。
この半導体装置を、30℃、60%RHの雰囲気の恒温恒湿機内に192時間配置した。続いて、その半導体装置に、旭エレクトロニクス株式会社製の遠赤外線式リフロー炉「型番 BABY REFLOW Ba−200D」を用いて、ピーク温度265℃の条件でリフロー処理を施した。その後、日立パワーソリューションズ株式会社製の超音波探査装置「型番 FS300II」を用いて、半導体装置における半導体素子に対する封止材の剥離の有無、及び剥離が見られる場合はその剥離の程度を確認した。その結果、剥離が認められない場合を「A」、剥離が認められ、その剥離の面積が半導体素子の表面積に対して5%以下である場合を「B」、剥離が認められ、その剥離の面積が半導体素子の表面積に対して5%より大きい場合を「C」と評価した。
[耐リフロー性評価 2]
上記の「耐リフロー性評価 1」と同様の方法で半導体装置を作製した。「耐リフロー性評価 1」における恒温恒湿機内の条件を「60℃、60%RH」、配置時間を「120時間」に変更し、「耐リフロー性評価 1」と同様に処理を施し、評価を行った。
Figure 0006688992

Claims (3)

  1. 下記式(1)で示されるホスホニウム塩(A)と、
    エポキシ樹脂(B)と、
    硬化剤(C)と、
    無機充填剤(D)と、
    離型剤(E)とを含有し、
    Figure 0006688992
    式(1)において、
    1〜R3は、各々独立に炭素数6〜12のアリール基であり、
    4は、炭素数1〜4のアルキル基であり、
    6及びR8は、各々独立にCOOH、又はOHであり、
    5及びR7は、各々独立にH又は炭素数1〜4のアルキル基であり、
    9及びR11の各々はHであり、
    10は、COOH、又はOHであり
    p、q及びrは、p≧1、q≧1、r≧1、及びq≧rの関係を満たす数であり、
    前記離型剤(E)は、α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合体(E1)を含む、
    封止用エポキシ樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の封止用エポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物。
  3. 半導体素子と、
    前記半導体素子を封止する封止材とを備え、
    前記封止材は、請求項2に記載の硬化物からなる半導体装置。
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