図1は、本発明の一形態に係る容器の検査装置の平面図である。検査装置1は、容器としてのプリフォーム100の外観を検査する。図6は、プリフォーム100の全体図である。プリフォーム100には、口部101と、首部102と、胴部103が設けられている。口部101の側面には、らせん状の溝部101aが設けられている。また、口部101の上端には、開口部101bが設けられている。首部102には、鍔102aが設けられている。胴部103には、球面状の底部103aが設けられている。
図1に戻り、検査装置1は、所定の搬送経路に沿ってプリフォーム100を搬送しつつ、搬送途中で各部の外観を検査する。検査結果に応じて、不良品を排出しつつ良品を次工程へ搬送する。検査装置1には、入口スターホイール搬送装置2と、メインロータ装置3と、出口スターホイール搬送装置4とが設けられている。入口スターホイール搬送装置2は、プリフォーム100を供給する入口搬送部5からプリフォーム100を受け取ってメインロータ装置3に搬送する。入口スターホイール搬送装置2には、外周に等間隔に設けられた複数のポケット2aを有するスターホイール2bが設けられている。また、出口スターホイール搬送装置4も同様に、外周に等間隔に設けられた複数のポケット4aを有するスターホイール4bが設けられている。出口スターホイール搬送装置4は、不良品のプリフォーム100を不良品排出部6へ搬送し、残りの良品のプリフォーム100を出口搬送部7へ搬送する。なお、入口スターホイール搬送装置2及び出口スターホイール搬送装置4は、周知技術を利用して構成してよい。
図2は、メインロータ装置3の正面図である。メインロータ装置3は、軸線AX1に沿って設けられる回転軸11と、軸線AX1の回りに回転する搬送手段としての第1ディスク12と、回転しないように固定された第2ディスク13と、第1ディスク12の外周に沿って等間隔に設けられた複数の吸着ヘッド14と、吸着ヘッド14の回転部分を自転させるための回転駆動手段としての回転駆動装置15(図1参照)とを備えている。回転軸11は、回転自在に設けられている。第1ディスク12は、回転軸11と一体として回転する。第1ディスク12には、外周に沿って等間隔に開いた複数の貫通孔12aと、吸着ヘッド14を上下方向に案内する昇降ガイド部材12bとが設けられている。各貫通孔12aには、吸着ヘッド14が挿入され、吸着ヘッド14は第1ディスク12の回転に伴って軸線AX1の回りに回転する。昇降ガイド部材12bには、ガイドレール12cと、ガイドレール12cに沿って案内されるスライダ12dとが設けられている。ガイドレール12cは、第1ディスク12に固定され、吸着ヘッド14に固定されたスライダ12dを案内する。また、第2ディスク13には、外周に沿ってカム13aが設けられている。回転駆動装置15には、複数の軸に掛け回されたスピンベルト15aが設けられ、スピンベルト15aは、図示しない駆動源から動力を受け、回転駆動する。
図3は吸着ヘッド14の拡大図である。吸着ヘッド14は、プリフォーム100の口部101の上端部を吸着支持しつつ軸線AX2の回りに自転させ、かつ吸着ヘッド14外に配置された光源16から射出される検査光を口部101の内部に導いて口部101を内面側から照射するように構成されている。なお、光源16には、一例としてLEDやLD等が利用される。光源16は、第1ディスク12の回転に伴う回転をしないように、第1ディスク12の上方、より詳しくは吸着ヘッド14の上方に固定されて設けられている。光源16は、図1に示す移動経路W上の点灯領域Aに設置される。撮像装置8a(後に詳述する。)の撮像位置に応じて1又は複数の光源16が設置されてもよい。撮像位置の一例として検査位置Pで説明する。光源16は、検査位置Pに位置する吸着ヘッド14に向けて光を照射可能な位置に設置される。光源16は、検査期間において常に点灯し続けるように構成されている。
吸着ヘッド14には、回転軸20と、回転軸20を軸線AX2を中心として回転自在に支持する第1支持部21及び第2支持部22と、光源16から射出された検査光を導く導光手段の一例としての導光部23とが設けられている。第1支持部21にはハウジング24が設けられ、そのハウジング24の下端側にはベアリング25を介して回転軸20の上端部20aが回転自在かつ軸線AX2の方向には相対移動ができないように嵌め合わされている。第2支持部22にもハウジング26が設けられ、そのハウジング26の上下端部にはベアリング27を介して回転軸20の中間部20bが回転自在かつ軸線AX2の方向には相対移動ができないように嵌め合わされている。回転軸20は第2支持部22の下方にさらに延ばされ、その下端部には保持部28が設けられている。保持部28の詳細は後述する。
図2に示すように、ハウジング26はスライダ12dと連結される。また、ハウジング24はガイドレール12cの上端側に取り付けられたブラケット17と軸線AX2の方向には相対移動可能かつ軸線AX2の回りには相対回転できないように組み合わされる。したがって、吸着ヘッド14は、ガイドレール12cに沿ってスライダ12dと一体的に昇降することができる。その昇降動作は、上述した第2ディスク13のカム13aとスライダ12dに取り付けられたカムフォロワ13bとによって実現される。第2支持部22の上方にはプーリ29が設けられている。プーリ29は、回転軸20と一体回転可能かつ軸線AX2の方向には回転軸20に対して相対移動ができないようにして回転軸20に取り付けられている。プーリ29が図1のスピンベルト15aと噛み合うことにより、回転軸20はスピンベルト15aの走行に伴って軸線AX2の回りに回転駆動される。
図3に戻って、第1支持部21のハウジング24の中心側にはプラグ30が固定されている。プラグ30の中心側には筒状部材の一例としての外筒31、及び導光部23の構成要素である第1導光部の一例としての導光部材32が設けられている。外筒31は内径及び外径が一定の円筒状であり、例えば金属材料を用いて形成される。導光部材32は外径一定の真直な軸状体である。導光部材32は、例えば検査光を通過させる透過性を備えたアクリル樹脂にて形成される。導光部材32は光ファイバ、その他の透過率の高い光学部材で構成されてもよい。外筒31及び導光部材32は軸線AX2と同軸的に配置され、軸線AX2の方向にはプラグ30に対して移動不能である。したがって、外筒31及び導光部材32はプーリ29からの駆動力で回転軸20が回転しても、これに合わせて回転することなく第1支持部21により回転不能に支持される。
外筒31及び導光部材32の上端はプラグ30の上方に突出し、かつ導光部材32の上端面32aは吸着ヘッド14の上方に露出する。吸着ヘッド14が光源16の直下に移動したとき、導光部材32の上端面32aが光源16と対向し、それにより光源16から射出された検査光が導光部材32の内部に導かれる。導光部材32の内部に導入される検査光の偏りを防ぐため、導光部材32の上端面32aは軸線AX2と直交する平坦面状に形成されている。外筒31は導光部材32の外周が空気通路34に直接露出しないように導光部材32を覆ってこれを保護する機能を有する。なお、外筒31と導光部材32との間には導光部材32の出し入れに必要な隙間が設けられる。
外筒31及び導光部材32は回転軸20の内部に沿って下方に延ばされ、それらの下端側は保持手段の一例としての保持部28の内部に達している。外筒31と回転軸20との間には、全長かつ全周に亘って隙間が設けられている。それにより、外筒31の外側には円筒状の空気通路34が形成される。第1支持部21のハウジング24の外周には継手35が取り付けられている。継手35の内部通路の一端側は空気通路34の上端部に接続され、他端側は吸引手段の一例としてのバキュームポンプVPに接続される。したがって、バキュームポンプVPを作動させることにより、空気通路34から空気を吸引することができる。なお、空気通路34の上端はプラグ30にて概ね塞がれるが、実際には、回転軸20の上端面20cとプラグ30との間に微小の隙間が残されている。これにより、回転軸20とプラグ30との接触を回避しつつ吸引力の減少を最小限に留めることができる。
図4に詳細を示すように、保持部28には、回転軸20の下端部に一体回転可能に取り付けられる保持具の一例としてのヘッドブロック40と、ヘッドブロック40に取り付けられる光学部材の一例としてのキャップ41とが設けられている。ヘッドブロック40は上ブロック40aと下ブロック40bとを軸線AX2の方向に突き合わせて相互に連結した組み立て部品であり、その外周は軸線AX2と同軸の円筒面状に形成されている。ヘッドブロック40の内部には空洞部40cが設けられており、その空洞部40cは下ブロック40bの貫通孔40dを介してヘッドブロック40の下方に開放されている。貫通孔40dは軸線AX2と同軸であり、その内径はプリフォーム100の口部101の内径とほぼ同一である。貫通孔40dの周囲において、ヘッドブロック40の下端面40eは軸線AX2と直交する平坦面状に形成されている。それにより、下端面40eはプリフォーム100の口部101の上端面(天面)と全周に亘って隙間なく密着可能な保持面として機能することができる。
キャップ41には、ヘッドブロック40の空洞部40cに嵌め合わされる固定部42と、その固定部42からヘッドブロック40の貫通孔40dに沿って延ばされた円筒部43と、ヘッドブロック40から下方に突出する円錐台状の発光部44とが設けられている。固定部42は空洞部40cと隙間なく密着する。円筒部43の外径は貫通孔40dよりも幾らか小さい。それにより、円筒部43の外周と貫通孔40dの内周面との間には、円筒部43の外周を一周するようにして環状溝45が形成されている。発光部44は、ヘッドブロック40の下端面40eよりも下方に突出し、その外径は下方に向かうほど漸次減少する。発光部44の下端面44aは、軸線AX2と直交する平坦面状に形成されている。ヘッドブロック40とプリフォーム100の口部101とが軸線AX2上で同軸的に置かれたとき、発光部44はプリフォーム100の口部101の内部に挿入される。環状溝45は、プリフォーム100の口部101の内部領域に開口する。キャップ41の固定部42には、固定部42の全周に亘って延びる空洞部47と、その空洞部47と環状溝45とを接続する複数の第1通気孔48とが形成されている。第1通気孔48は上下方向、すなわち軸線AX2の方向に延ばされ、軸線AX2の回りには等間隔で配置されている。第1通気孔48の個数及び内径は適宜に定めてよい。
キャップ41は、その全体が検査光を拡散する光拡散部材で構成される。光拡散部材は、一般的に乳白色の部材で構成される。拡散部材の構成として、例えば、ガラスやポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂等の透明材料が用いられ、それらの材料に光を拡散させる拡散剤(透明樹脂と屈折率の異なる粒子)が分散されている。光拡散部材の構成は、周知技術を利用してよい。ただし、発光部44のみが光拡散部材にて構成され、固定部42及び円筒部43は透過性を有しない材料にて形成されてもよい。つまり、キャップ41は、少なくとも発光部44が光拡散部材にて構成された光学部材であればよい。
キャップ41の固定部42の内側には隔壁部材50が設けられている。隔壁部材50は、固定部42に対して気密に接合される円筒状の嵌合部51と、その嵌合部51の内周を塞ぐように設けられた隔壁部52とを備えている。したがって、発光部44の内部には、キャップ41の円筒部43及び発光部44と隔壁部材50の隔壁部52とによって囲まれた閉鎖空間53が形成されている。閉鎖空間53は空気通路34に対して気密に仕切られている。隔壁部材50は導光部材32と同様に検査光を透過させることが可能な材料にて形成されている。一例として、隔壁部材50は導光部材32と同一の材料にて形成することができる。
隔壁部材50の隔壁部52には、導光部23の構成要素である第2導光部の一例として、軸線AX2と同軸的に延びる円柱状の導光軸54が形成されている。導光軸54は隔壁部52を貫くように設けられることにより、空気通路34側及び閉鎖空間53側に突出する。導光部材32の発光部44側の端部(下端部)は隔壁部材50の嵌合部51の内周側の領域55に達する位置まで延ばされており、その下端面32bは導光軸54の上端面54aと微小な隙間56を介して対向する。隙間56の存在により、導光部材32に対する導光軸54の回転が許容される。隙間56は、第1導光部と第2導光部との対向部の一例に相当し、領域55はその隙間56の外周側の領域の一例に相当する。導光部材32の下端面32b及び導光軸54の上端面54aはいずれも軸線AX2と直交する平坦面状に形成されている。したがって、導光部材32に導かれた検査光は導光部材32の下端面32bから射出され、導光軸54の上端面54aから導光軸54の内部に導かれる。一方、導光軸54の下端面54bは軸線AX2を中心として上方に球面状に後退する凹曲面状に形成されている。したがって、導光軸54に導かれた検査光は導光軸54の下端面54bから発光部44の内面に向かってほぼ均一に拡散するようにして射出する。しかも、発光部44が上述した光拡散部材で構成されているため、発光による導光軸54の下端面54bの輪郭が消失して均一な光が発光部44から取り出される。それにより、プリフォーム100の口部101に対してその内面側から均一な検査光を照射することができる。
回転軸20は隔壁部材50の嵌合部51よりも幾らか上方の位置まで延ばされている。空気通路34の発光部44側の端部(下端部)は、嵌合部51の内周側、言い換えれば導光部材32と導光軸54との対向部としての隙間56に対する外周側の領域55に達している。隔壁部材50の嵌合部51には、キャップ41の空洞部47と空気通路34とを結ぶ複数の第2通気孔57が形成されている。第2通気孔57は回転軸20の半径方向に延ばされ、かつ軸線AX2の回りには等間隔で配置されている。これにより、環状溝45と空気通路34とが第1通気孔48、空洞部47及び第2通気孔57を介して接続される。それらの環状溝45、第1通気孔48、空洞部47及び第2通気孔57により、ヘッドブロック40の下端面40eと密着したプリフォーム100の口部101の内部と空気通路34の下端部とを結ぶ通気路58が保持部28に形成される。したがって、バキュームポンプVPを作動させることにより、プリフォーム100の内部から空気を吸引して口部101をヘッドブロック40の下端面40eに吸着し、プリフォーム100を軸線AX2と同軸上にて保持部28から吊り下げられるように保持することができる。
第2通気孔57の空気通路34側における開口位置は、隔壁部材50の隔壁部52に対して閉鎖空間53の反対側(つまり上方)に設定されている。したがって、空気通路34に導かれた空気が閉鎖空間53に導かれて導光軸54の下端面54bが汚れるおそれはない。さらに、外筒31の下端部31aは、導光部材32の下端面32bと導光軸54の上端面54aとの間の隙間56を超えて下方、すなわち導光軸54の外周側まで延ばされている。それにより、外筒31の下端部31aは、導光部材32と導光軸54との隙間56に対する外周側の領域55まで延ばされた空気通路34の下端部から隙間56を覆い隠す覆い部として機能する。したがって、空気通路34に導入される空気が隙間56に回り込んで端面32b、54aの汚れが進行するといった不都合が生じるおそれを解消し、又は抑制することができる。特に、隙間56が第2通気孔57の空気通路34側における開口位置よりも上方、すなわち通気孔57の開口位置と比較して発光部44の遠方に位置しているため、外筒31による覆いが省略された場合には、隙間56に空気が回り込むおそれが高まるが、上記の構成によりそのおそれを確実に解消し、又は抑制することができる。ただし、隙間56が第2通気孔57よりも発光部44側に偏った位置に存在していたとしても、その隙間56を領域55から覆い隠すことは有効である。
導光部材32の外周には保護層60が設けられている。保護層60は導光部材32の全長に亘って設けられ、それにより導光部材32の外周の全ては保護層60にて覆われている。保護層60はその屈折率が導光部材32の屈折率よりも小さい材料にて形成されている。すなわち、導光部材32の屈折率をm、保護層60の屈折率をnとしたとき、m>nの関係が成立する。保護層60は適宜の手法により設けることができるが、例えばフッ素系の熱収縮チューブを導光部材32の外周に装着し、そのチューブを熱収縮させて導光部材32の外周に密着させることにより保護層60を形成することができる。その他にも、保護層60の材料を塗布し、蒸着するといった適宜の形成方法により保護層60が形成されてよい。また、導光軸54の隔壁部52よりも上方に突出した部分の外周にも保護層61が導光軸54を全周に亘って覆うように設けられている。保護層61の屈折率は導光軸54のそれよりも小さい。保護層61の形成手法は保護層60と同様でよい。
回転軸20の下端部の内周には筒支持部材62が設けられている。図5にも示したように、筒支持部材62は回転軸20の内周に嵌まり合うリング状に形成され、その内周側には複数の支持片62aが周方向に一定間隔を空けて設けられている。支持片62aは外筒31の外周に接し、外筒31を軸線AX2と同軸上に保持する機能を奏する。また、支持片62a間に隙間62bが存在することにより、空気通路34における空気の流通は妨げられない。さらに、筒支持部材62は回転軸20と一体に回転するため、支持片62aと外筒31との間の摩擦抵抗を減少させるべく、支持片62aは、その軸線AX2の方向の長さが内周側に突出するに従って漸次短くなるような形状に形成されている。また、支持片62aにそのような形状を付与することにより、組み立て時に筒支持部材62を案内して支持片62aの内側へ容易に差し込むことができる。
図1に戻ってさらに説明を続ける。検査装置1には、プリフォーム100を撮像する複数の撮像装置8a〜8c(区別する必要のない場合、参照符号8で代表する。)と、検査するプリフォーム100を照明する照明装置9が設けられている。撮像装置8には、プリフォーム100を撮像するカメラ8dと、ミラー8eとが設けられている。カメラ8dは、ミラー8eを介してプリフォーム100を撮像する。撮像装置8aはプリフォーム100の口部101を撮像し、撮像装置8bは首部102を撮像し、撮像装置8cは胴部103を撮像する。照明装置9は、撮像するプリフォーム100を照明するためのもので、適宜の位置に配置される。
また、検査装置1には、制御装置71が設けられている。制御装置71は、マイクロプロセッサと、そのマイクロプロセッサにて実行されるべきオペレーティングシステム等のプログラムが記録されたROM、及びマイクロプロセッサに対する作業領域を提供するRAM等の内部記憶装置とを備えたコンピュータユニットである。制御装置71内には、コンピュータハードウエアと所定のソフトウエアとの組合せによって実現される適宜の論理的装置が実現される。制御装置71には、撮像装置8a〜8cが接続され、撮像タイミング等が制御される。その他、必要に応じて制御装置71にメインロータ装置3の各機構や照明装置9等を接続してもよい。口部検査装置10には、メインロータ装置3と、撮像装置8aと、光源16と、制御装置71とが含まれる。なお、撮像装置8aが撮像手段に相当する。
図1を参照して検査装置1の動作を説明する。入口搬送部5からプリフォーム100が入口スターホイール搬送装置2に供給されると、各ポケット2aに収容され、順次メインロータ装置3へ搬送される。メインロータ装置3では、吸着ヘッド14の空気通路34を介してプリフォーム100内の空気が吸引され、プリフォーム100は、保持部28により口部101が保持される。メインロータ装置3では、軸線AX1の回りに各吸着ヘッド14が回転(公転)するとともに、回転駆動装置15のスピンベルト15aがプーリ29を回転させることにより軸線AX2の回りに吸着ヘッド14の回転軸20が回転(自転)する。各吸着ヘッド14は、公転する際に、カムフォロア13bの移動に伴って上下方向に移動する。メインロータ装置3は、入口スターホイール搬送装置2からのプリフォーム100の供給時、及び出口スターホイール搬送装置4へのプリフォーム100の受渡し時に各吸着ヘッド14が上下方向に移動するように構成されている。プリフォーム100を自転させた状態でプリフォーム100の各部101、102、103を各撮像装置8a〜8cで撮像し、外観検査をする。検査後のプリフォーム100は、出口スターホイール搬送装置4に供給されて、不良品と良品とに区別される。良品のプリフォーム100は、出口搬送部7から次の工程へ搬送される。
次に、図4を参照して口部検査装置10の動作を説明する。口部検査装置10では、プリフォーム100の口部101の外観を検査する。メインロータ装置3で搬送されるプリフォーム100が、軸線AX1の回りを回転しつつ、軸線AX2の回りを回転することにより、口部検査装置10は、各プリフォーム100の全周に亘る外観の検査が可能となる。光源16が点灯した状態で吸着ヘッド14が検査位置Pに到達すると、導光部材32の上端面32aが光源16からの検査光を受光し、その検査光が導光部材32から導光軸54を経て発光部44に照射されて発光部44が発光する。保持部28のヘッドブロック40に保持されたプリフォーム100の口部101には、発光部44を介して検査光が照射され、撮像装置8aで口部101が撮像される。導光部材32は、軸線AX2に沿って設けられているのでプリフォーム100の回転に影響することはない。発光部44が導光軸54の下端面54bからの検査光を拡散させ、撮像装置8aと発光部44との間に位置する口部101の側面をその内側から均一に照明することができる。したがって、保持部28及び光源16をプリフォーム100の上方に集約させることができるとともに、プリフォーム100の口部101に対して均一な検査光を照明することができる。よって、装置の構造、特にプリフォーム100周辺の構造を小型化しつつ、検査に適した検査光をプリフォーム100の口部101の内側に照明することができ、装置の小型化と検査精度の向上を両立させることができる。
保持部28は、プリフォーム100内の空気を吸引してその口部101をヘッドブロック40の下端面41eに吸着させて保持する。プリフォーム100内の空気は継手35に接続されたバキュームポンプVPにより吸引される。この際、導光軸54の下端面54bが空気通路34から仕切られた閉鎖空間53に位置し、導光部材32の下端面32bと導光軸54の上端面54aとの間の隙間56も外筒31の下端部31aにより外周側の領域55から覆い隠されているので、空気通路34内に流入する空気に混ざっている塵埃等が端面32b、54a、54bに付着することを防ぎ、検査光の照度の低下を防ぐことができる。
上記の形態では、導光部材32及び導光軸54の外周が保護層60、61にて覆われているため、導光部材32及び導光軸54のそれぞれの内部に導かれた検査光は、導光部32及び導光軸54の外周の境界面にて全反射を繰り返しながらそれらの内部を進む。保護層60、61が仮に空気中の塵埃で汚れたとしても、これが導光部材32及び導光軸54のそれぞれの内部における全反射には影響を与えることはない。したがって、検査光の照度低下をより確実かつ効果的に防止することが可能である。ちなみに、プリフォーム100がPET(ポリエチレンテレフタレート)製でかつ検査装置1がプリフォーム100の生産ラインに設置される場合には、検査装置1の周囲にPETの樹脂粉が漂う可能性があり、その樹脂粉が空気通路34に吸い込まれて導光部材32や導光軸54の外周に付着すると、PET樹脂の屈折率が導光部材32や導光軸54のそれよりも大きいため、その付着部分から検査光が外に漏れ、口部101における照度が低下するおそれがある。保護層60、61を設けた場合にはそのような照度低下を防ぐ効果が得られる。
なお、上記の形態では、筒支持部材62が回転軸20の下端部内周に装着されているが、これに代えて、図7に示すように隔壁部材50の嵌合部51の内周側に筒支持部材62が装着されてもよい。図7の形態では、第2通気孔57から流入する空気の流れを妨げないように、嵌合部51の内周面と筒支持部材62の外周面との間にリング状の隙間63が形成されている。導光部材32の下端面32bと導光軸54の上端面54aとの間の隙間56が外筒31の下端部31aによって覆い隠されることは図4の例と同様である。
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、上記の形態では、覆い部は外筒31を利用する例に限らず、外筒31とは別部品を隙間56の外側に配置して領域55から隙間56を覆い隠すようにしてもよい。その一例を図8に示す。図8の例では、導光軸54の外周に筒状体65を同軸的に装着し、その筒状体65の上端部を、隙間56よりも上方かつ外筒31の外周側まで延ばすことにより筒状体65を覆い部として機能させている。図9に示すように、隔壁部材50の嵌合部51の内周側に筒状体65を嵌め合わせ、その上端部を隙間56よりも上方かつ外筒31の外周側まで延ばすことにより筒状体65を覆い部として機能させてもよい。筒状体65は、例えば回転軸20の下端部に装着されてもよい。その場合には筒状体65の下端部を隙間56よりも下方まで延ばせばよい。図8及び図9では保護層60が省略されているが、導光部材32の外周が保護層60で覆われてもよい。図8の例では導光軸54の空気通路34側に突出する部分の外周が保護層61で覆われてもよい。また、図8及び図9の例において、外筒31は省略されてもよい。図4及び図7の例においても、外筒31の下端部31aに代えて覆い部として機能し得る部品を隙間56の外周側に配置すれば、外筒31が省略されてもよい。
図9の例では、導光軸54が隔壁部52に対して閉鎖空間53側にのみ突出するように設けられている。つまり、導光軸54は、必ずしも隔壁部52から導光部材32側に突出させる必要はない。隔壁部52の厚さを増加させて軸線AX2を中心とする一定範囲のみを透過性材料にて構成すれば、第2導光部は閉鎖空間53側及び空気通路34側のいずれに対しても突出しない形状に設けることも可能である。つまり、第2導光部は必ずしも突出部分を有する形状に限られることなく、第1導光部から射出される検査光を発光部44に向けて導くことができる限り、適宜の形状に形成されてよい。
上記の形態では、第1導光部が回転不能、かつ第2導光部は第1導光部と同軸上を回転するが、導光部の相対回転は必ずしも必須ではない。つまり、第1導光部も第2導光部と同様に回転するように設けられてもよいし、第1導光部及び第2導光部のいずれもが回転しないように構成されてもよい。それらの場合でも、例えば組み立て上の都合等から導光手段の第1導光部と第2導光部とが対向配置されることがあり、その場合に両導光部の対向部の外周側に覆い部を設けてその対向部への空気の流入を抑えることができる。
上記の形態では、発光部44の内部を隔壁部52によって空気通路34と仕切られた閉鎖空間53として設けているが、隔壁部52は必ずしも設けられることを要しない。例えば、通気路58の空気通路34側の開口位置が第2導光部54の下端面54bよりも十分に遠方に位置して下端面54bの周囲に空気が回り込むおそれが低い場合には、隔壁部52が省略されてよい。
上記の他にも、吸着ヘッド4の各部に対して適宜の変更が適用されてよい。例えば、保護層60、61を設ける場合には、導光部材32及び導光軸54のそれぞれの外周面上の少なくとも一部、例えば、特に汚れが進行し易い部分のみに限定して保護層60、61が設けられてもよい。第1導光部はその全長に亘って容器口部の軸線と同軸に延ばされていることを要しない。例えば、回転軸20の上方にて第1導光部が曲げられ、その先端に光源16が配置されてもよい。検査対象の容器はプリフォームに限らず、口部を有する限り各種の容器を検査対象とすることができる。空気通路及び通気路は、容器の口部内に空気を導入する手段としても利用することが可能である。その場合でも覆い部は第1及び第2導光部の対向部の汚れを防止する手段として機能する。