図1は、本発明の一形態に係る容器の検査装置の平面図である。検査装置1は、容器としてのプリフォーム100の外観を検査する。図5は、プリフォーム100の全体図である。プリフォーム100には、口部101と、首部102と、胴部103が設けられている。口部101の側面には、らせん状の溝部101aが設けられている。また、口部101の上端には、開口部101bが設けられている。首部102には、鍔102aが設けられている。胴部103には、球面状の底部103aが設けられている。
図1に戻り、検査装置1は、所定の搬送経路に沿ってプリフォーム100を搬送しつつ、搬送途中で各部の外観を検査する。検査結果に応じて、不良品を排出しつつ良品を次工程へ搬送する。検査装置1には、入口スターホイール搬送装置2と、メインロータ装置3と、出口スターホイール搬送装置4とが設けられている。入口スターホイール搬送装置2は、プリフォーム100を供給する入口搬送部5からプリフォーム100を受け取ってメインロータ装置3に搬送する。入口スターホイール搬送装置2には、外周に等間隔に設けられた複数のポケット2aを有するスターホイール2bが設けられている。また、出口スターホイール搬送装置4も同様に、外周に等間隔に設けられた複数のポケット4aを有するスターホイール4bが設けられている。出口スターホイール搬送装置4は、不良品のプリフォーム100を不良品排出部6へ搬送し、残りの良品のプリフォーム100を出口搬送部7へ搬送する。なお、入口スターホイール搬送装置2及び出口スターホイール搬送装置4は、周知技術を利用して構成してよい。
図2は、メインロータ装置3の正面図である。メインロータ装置3は、軸線AX1に沿って設けられる回転軸11と、軸線AX1の回りに回転する搬送手段としての第1ディスク12と、回転しないように固定された第2ディスク13と、第1ディスク12の外周に沿って等間隔に設けられた複数の吸着ヘッド14と、吸着ヘッド14を自転させるための回転駆動手段としての回転駆動装置15(図1参照)とを備えている。回転軸11は、回転自在に設けられている。第1ディスク12は、回転軸11と一体として回転する。第1ディスク12には、外周に沿って等間隔に開いた複数の貫通孔12aと、吸着ヘッド14を上下方向に案内する昇降ガイド部材12bとが設けられている。各貫通孔12aには、吸着ヘッド14が挿入され、吸着ヘッド14は第1ディスク12の回転に伴って軸線AX1の回りに回転する。昇降ガイド部材12bには、ガイドレール12cと、ガイドレール12cに沿って案内されるスライダ12dとが設けられている。ガイドレール12cは、第1ディスク12に固定され、吸着ヘッド14に固定されたスライダ12dを案内する。また、第2ディスク13には、外周に沿ってカム13aが設けられている。回転駆動装置15には、複数の軸に掛け回されたスピンベルト15aが設けられ、スピンベルト15aは、図示しない駆動源から動力を受け、回転駆動する。
図3は、吸着ヘッド14の拡大図である。吸着ヘッド14は、軸線AX2に沿って設けられる第1シャフト14aと、第1シャフト14aと同軸に設けられ、第1シャフト14aに対して回転自在に設けられる第2シャフト14bとを備えている。第1シャフト14aには、プリフォーム100の口部101を照明する照明手段としての照明装置21のうち導光手段としてのアクリル部材21aと、第2シャフト14bを軸線AX2の回りに回転可能に支持する支持手段としての第1支持部22とが設けられている。
照明装置21には、光源21bと、上述したアクリル部材21aとが設けられている。光源21bには、一例としてLEDやLD等が利用される。光源21bは、第1ディスク12の回転に伴う回転をしないように、第1ディスク12の上方、より詳しくは第1支持部22の上方に固定されて設けられている。光源21bは、後述する移動経路W上の点灯領域Aに設置される。撮像装置8aの撮像位置に応じて1又は複数の光源21bを設置してよい。撮像位置の一例として検査位置Pで説明する。光源21bは、検査位置Pに位置する吸着ヘッド14のアクリル部材21aに向けて光を照射可能な位置に設置される。光源21bは、検査期間において常に点灯し続けるように構成されている。アクリル部材21aは、アクリル樹脂で形成された棒状の光学部材である。アクリル部材21aは軸線AX2に沿って設けられ、上端側が第1支持部22により支持されている。アクリル部材21aのうち光源21b側に位置する上端部21cは、光源21bからの光を受光する。また、アクリル部材21aの他端側である発光面としての下端部21dは、上端部21cから伝わった光によって発光する。下端部21dの断面(発光面)は軸線AX2に対する垂直方向と平行になるようにカットされている。なお、アクリル部材21aの下端部21dが発光部の発光面に相当し、アクリル部材21aのうち下端部21dを除いた部分が光源21bからの光を発光部に導く導光部21eに相当する。
第1シャフト14aのアクリル部材21aと、第2シャフト14bとの間には、空間が設けられ、断面リング状の空気通路23が形成されている。第1支持部22には、ロータリージョイント22aが設けられている。ロータリージョイント22aの固定側のハウジング部22bには、図示しない吸引手段としてのバキュームポンプと接続される吸引口22cが設けられている。ロータリージョイント22aは、回転する第2シャフト14bから固定されたハウジング部22bに向かって空気が流れる継手である。バキュームポンプにより、吸引口22c及び空気通路23を介して空気が吸引される。また、ハウジング部22bには、第2シャフト14bを支持する軸受22dが設けられ、ハウジング部22bに対して第2シャフト14bが回転可能に支持されている。第2シャフト14bの上端部22eとハウジング部22bとの間には、微小の隙間が形成されている。これにより、吸引力の減少を最小限に留めつつ、第2シャフト14bとハウジング部22bとの接触を回避している。
また、ハウジング部22bは、軸線AX2に沿って配置されるようにアクリル部材21aを支持している。これにより、アクリル部材21aは、第2シャフト14bの回転に伴う回転をしないように支持される。アクリル部材21aは空気通路23内で固定され、第2シャフト14bは、アクリル部材21aの周囲を回転する。
第2シャフト14bには、プリフォーム100を保持する保持手段としてのプリフォーム保持部31と、プリフォーム保持部31を回転可能に支持する第2支持部32と、プリフォーム保持部31に回転力を付与するためのプーリ33とが設けられている。プリフォーム保持部31は、プリフォーム100の口部101の内部に挿入されるコーン31aと、軸線AX2の回りに回転可能な回転軸31bと、口部101の上端部を吸着させて保持する保持部としての吸着部31cとを備えている。
コーン31aは、アクリル部材21aの下端部21dからの検査光を拡散する光拡散部材で構成される。光拡散部材は、発光によるアクリル部材21aの下端部21dの輪郭を消失させ均一な光を取り出すために一般的に乳白色の部材で構成される。光拡散部材の構成として、例えば、ガラスやポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂等の透明材料が用いられ、それらの材料に光を拡散させる拡散剤(透明樹脂と屈折率の異なる粒子)を分散させている。光拡散部材の構成は、周知技術を利用してよい。コーン31aは、上部は円筒形状に形成され、下部のプリフォーム100の口部101に挿入される部分は、先端が切り取られた円錐状に形成されている。コーン31aの下端は塞がれており、コーン31aのうち、プリフォーム100に挿入される部分(後述する突出部に相当する部分)には孔が設けられていない。
回転軸31bは、空気通路23を形成するために円筒状に設けられている。ロータリージョイント22aの軸受22dは、第2シャフト14bの回転軸31bを支持している。吸着部31cは、コーン31aの周囲を取り囲むように設けられ、吸着面31dでプリフォーム100の口部101の上端部を保持する。また、吸着部31cは、回転軸31bとコーン31aとを接続させ、回転軸31bの回転に伴ってコーン31aが一体的に回転するように支持している。コーン31aは、円筒形状の上部は吸着部31cに支持され、円錐形状の下部は吸着面31dに対して突出する。
図4は、プリフォーム保持部31の要部拡大図である。コーン31aにおけるアクリル部材21aの下端部21dに対して吸引方向に後退した位置には、孔部31eが設けられている。孔部31eは、コーン31aの周方向に沿って等間隔に複数設けられている。孔部31eの大きさ、個数は適宜設定してよい。また、吸着部31cとコーン31aとの間には、空隙Gが形成され、孔部31eと接続される。空隙G及び孔部31eは、吸引される空気の流路として機能する。なお、コーン31aのうち吸着部31cの吸着面31dよりも突出し、プリフォーム100の口部101に挿入される部分が突出部に相当する。また、コーン31aのうち突出部を除いた部分、回転軸31b及び吸着部31cが筒状部に相当する。この場合において、空気通路23を形成している部材が筒状部に相当する。したがって、例えば、コーン31aと回転軸31bとが直接接続されている場合は、コーン31a及び回転軸31bが筒状部に相当することになる。
図3に戻って説明を続ける。第2支持部32には、昇降ガイド部材12bのガイドレール12cに案内されるスライダ12d(図2参照)が固定される。スライダ12dには、カムフォロア32a(図2参照)が設けられている。カムフォロア32aは、第2ディスク13のカム13aに沿って案内され、上下方向に移動する。これにより、スライダ12dがガイドレール12cに沿って移動し、吸着ヘッド14が上下方向に移動する。また、第2支持部32には、スライダ12dに対して回転軸31bを回転可能に支持する軸受32bが設けられている。プーリ33は、スピンベルト15aの回転力を受ける。これにより、回転軸31bが軸線AX2の回りに回転(自転)する。第1ディスク12、第1支持部22及び回転駆動装置15は、プリフォーム保持部31がプリフォーム100を保持している位置(吸着面31d)よりも上方に設置されている。
図1に戻ってさらに説明を続ける。検査装置1には、プリフォーム100を撮像する複数の撮像装置8a〜8c(区別する必要のない場合、参照符号8で代表する。)と、検査するプリフォーム100を照明する照明装置9が設けられている。撮像装置8には、プリフォーム100を撮像するカメラ8dと、ミラー8eとが設けられている。カメラ8dは、ミラー8eを介してプリフォーム100を撮像する。撮像装置8aはプリフォーム100の口部101を撮像し、撮像装置8bは首部102を撮像し、撮像装置8cは胴部103を撮像する。照明装置9は、撮像するプリフォーム100を照明するためのもので、適宜の位置に配置される。
また、検査装置1には、制御装置41が設けられている。制御装置41は、マイクロプロセッサと、そのマイクロプロセッサにて実行されるべきオペレーティングシステム等のプログラムが記録されたROM、及びマイクロプロセッサに対する作業領域を提供するRAM等の内部記憶装置とを備えたコンピュータユニットである。制御装置41内には、コンピュータハードウエアと所定のソフトウエアとの組合せによって実現される適宜の論理的装置が実現される。制御装置41には、撮像装置8a〜8cが接続され、撮像タイミング等が制御される。その他、必要に応じて制御装置41にメインロータ装置3の各機構や照明装置9等を接続してもよい。口部検査装置10には、メインロータ装置3と、撮像装置8aと、照明装置21の光源21bと、制御装置41とが含まれる。なお、撮像装置8aが撮像手段に相当する。
図1を参照して検査装置1の動作を説明する。入口搬送部5からプリフォーム100が入口スターホイール搬送装置2に供給されると、各ポケット2aに収容され、順次メインロータ装置3へ搬送される。メインロータ装置3では、吸引ヘッド14の第1シャフト14a及び第2シャフト14bの間の空気通路23を介してプリフォーム100内の空気が吸引され、プリフォーム100は、プリフォーム保持部31により口部101が保持される。メインロータ装置3では、軸線AX1の回りに各吸引ヘッド14が回転(公転)するとともに、回転駆動装置15のスピンベルト15aがプーリ33を回転させることにより軸線AX2の回りに吸引ヘッド14が回転(自転)する。各吸引ヘッド14は、公転する際に、カムフォロア32aの移動に伴って上下方向に移動する。メインロータ装置3は、入口スターホイール搬送装置2からのプリフォーム100の供給時、及び出口スターホイール搬送装置4へのプリフォーム100の受渡し時に各吸引ヘッド14が上下方向に移動するように構成されている。プリフォーム100を自転させた状態でプリフォーム100の各部101、102、103を各撮像装置8a〜8cで撮像し、外観検査をする。検査後のプリフォーム100は、出口スターホイール搬送装置4に供給されて、不良品と良品とに区別される。良品のプリフォーム100は、出口搬送部7から次の工程へ搬送される。
次に、図4を参照して口部検査装置10の動作を説明する。口部検査装置10では、プリフォーム100の口部101の外観を検査する。メインロータ装置3で搬送されるプリフォーム100が、軸線AX1の回りを回転しつつ、軸線AX2の回りを回転することにより、口部検査装置10は、各プリフォーム100の全周に亘る外観の検査が可能となる。照明装置21の光源21bが点灯した状態で吸着ヘッド14が検査位置Pに到達すると、アクリル部材21aの上端部21cが光源21dからの光を受光し、下端部21dで発光する。プリフォーム保持部31の吸着部31cに保持されたプリフォーム100の口部101には、コーン31aを介して検査光が照射され、撮像装置8aで口部101が撮像される。アクリル部材21aは、軸線AX2に沿って設けられているのでプリフォーム100の回転に影響することはない。コーン31aがアクリル部材21aの下端部21dからの光を拡散させ、撮像装置8aとコーン31aとの間に位置する口部101の側面をその内側から均一に照明することができる。したがって、プリフォーム保持部31及び照明装置21をプリフォーム100の上方に集約させることができるとともに、プリフォーム100の口部101に対して均一な検査光を照明することができる。よって、装置の構造、特にプリフォーム100周辺の構造を小型化しつつ、検査に適した検査光をプリフォーム100の口部101の内側に照明することができ、装置の小型化と検査精度の向上を両立させることができる。
プリフォーム保持部31は、プリフォーム100内の空気を吸引してその口部101を吸着面31dに吸着させて保持する。プリフォーム100内の空気は吸引口22cに接続されたバキュームポンプにより吸引され、空隙G及び孔部31eを介して空気通路23に流入する。発光部であるアクリル部材21aの下端部21dが空気通路23内の流入する空気が直接当たる位置に設けられていると、下端部21dに空気内に含まれる塵が付着し汚れが生じ、使用につれ検査光の照度が低下する。そこで、コーン31aの孔部31eをアクリル部材21aの下端部21dに対して吸引方向に後退した位置に設けることで、孔部31eから流れ込む空気を下端部21dに直接当たらないようにする。
したがって、空気の移動に伴って運ばれる塵が下端部21dに付着することを防ぎ、検査光の照度の低下を防ぐことができる。アクリル部材21aの下端部21d、つまり検査光の発光面に孔部31eから流入する空気が直接当たらなければ照度の低下を防ぐことができるので、孔部31eを設ける位置は、発光部の発光面に対して吸引方向に後退した位置であれば適宜の位置に設けてよい。孔部31eを設ける位置は、プリフォーム保持部31の構成に応じて適宜設定してよく、必要であれば孔部31eを設けた位置に応じて適宜空隙Gを設ければよい。
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、本形態では、発光部としてアクリル部材21aの下端部21dで説明したがこれに限られない。例えば、アクリル部材21aに代えて光ファイバを導光手段として設けてもよい。この場合においても、光ファイバのうちコーン31a側に位置する端部である下端部が発光部に相当し、光ファイバのうち下端部を除いた部分が導光部に相当する。また、アクリル部材21aを例として導光部と発光部とが同一の部材として説明したがこれに限られない。例えば、導光部をアクリル部材で構成し、導光部からの光をコーン31aに照射する発光部を、光拡散性を有する材料で形成された別の光学部材で構成するようにしてもよい。導光部と発光部とを一体的に形成し、発光部に相当する下端部に光拡散性を付してもよい。導光部は、アクリル部材や光ファイバに限られず、透過率の高い光学部材で構成してもよいし、何も設けずに第2シャフト14bの回転軸31b内の空間(空気通路23)を光が通過するようにしてもよい。一方で、発光部を導光部と同じ材料で形成してもよいし、別の材料で形成してもよい。コーン31aの内部で発光部が発光している状態であれば、コーン31aを介して検査光をプリフォーム100の口部101に照明可能である。また、導光部を設けることで、光源21bの設置の自由度が向上する。光源21bは、第1支持部22の上方に設置しなくてもよく、例えば、光ファイバを配線して適宜の位置に設置することができる。
あるいは、アクリル部材21aに代えて支持軸をロータリージョイント22aに支持させ、空気通路23内に固定された支持軸の下端に発光部としてのLEDを固定し、支持軸内に発光部に電力を供給するケーブルを配線するようにしてもよい。この場合、LEDの発光面に対して吸引方向に後退した位置に孔部31eを設けるようにすればよい。
上述した形態において、筒状部の発光部の発光面に対して吸引方向に後退した位置に孔部31eを設ける例で説明したが、孔部31eから流入する空気が発光面に直接当たらないように空気の流れを制限する制限部材をさらに設けてもよい。例えば、アクリル部材21aの下端部21dと孔部31eとの間の領域に、アクリル部材21aの外周に沿って外側に突出する制限部材としての鍔部を設けてもよい。鍔部が下端部21dに向かう空気の流れを生じさせにくくするので、下端部21dに塵が付着することを防止する。また、上述した形態では、コーン31aのうち吸着部31cの吸着面31dよりも突出し、プリフォーム100の口部101に挿入される突出部に孔部31eが設けられていない例で説明したが、これに限られない。例えば、突出部内にアクリル部材21aの下端部21d(発光面)が進入している場合、突出部に孔部31eが設けられていてもよい。孔部31eが設けられる位置は発光面との相対的な位置関係によって定まり、発光面の位置によっては突出部に孔部31eが設けられてもよい。
上述した形態において、光源21bが検査期間において常に点灯し続けるように構成されている例で説明したがこれに限られない。例えば、光源21bを制御装置41と接続し点灯及び消灯を切り替える切替制御をしてもよい。この場合において、制御装置41は、光源21bの照射位置Pに吸着ヘッド14が到達するタイミングで光源21bを点灯させ、照射位置Pに吸着ヘッド14が位置していないときには光源21bを消灯させるように切換制御を実行する。また、コーン31aの内部に反射部材を設けてもよい。また、照明装置21の導光手段(アクリル部材21a)は、プリフォーム保持部31の回転に伴う回転をしないように第1支持部22に支持されているが、プリフォーム保持部31とともに回転するように構成してもよい。この場合、導光手段(アクリル部材21a)はプリフォーム保持部31に固定されてもよい。また、アクリル部材21aの下端部21dの断面は軸線AX2に対する垂直方向と平行になるようにカットされているが、下端部21dは他の形状で構成されてもよい。例えば、下端部21dの断面は軸線AX2に対して斜めにカットされてよい。また、下端部21dはV字にカットされてもよいし、中心が凸となる円錐形状にカットされてもよい。適宜の変更が可能である。
図6は口部検査装置の他の形態を示している。ただし、図6において、図3及び図4の口部検査装置10と共通する部分には同一の参照符号を付し、以下では相違点を中心に説明する。図6に示す口部検査装置10Aにおいては、プリフォーム保持部31の構成が図4の例から変更されている。すなわち、図6の例では、コーン31aの上端側に隔壁部材40が設けられている。隔壁部材40はコーン31aの上端側の円筒部分、すなわち吸着部31cと嵌め合わされる部分に対して気密に接合される円筒状の嵌合部40aと、その嵌合部40aの内周を塞ぐように設けられた隔壁部40bとを備えている。したがって、プリフォーム保持部31の下端部には、コーン31aと隔壁部材40の隔壁部40bとによって囲まれた閉鎖空間41が形成される。閉鎖空間41は空気通路23に対して隔壁部材40より気密に仕切られている。隔壁部材40はアクリル部材21aの下端部21dからの光を通過させることが可能な透光性を有する材料にて形成される。一例として、隔壁部材40はアクリル部材21aと同一の材料にて形成することができる。
隔壁部材40の隔壁部40bには、軸線AX2と同軸的に延びる円柱状の導光部40cがさらに形成されている。導光部40cは閉鎖空間41を仕切る隔壁部40bの一部として機能する。導光部40cの上端側はアクリル部材21aの下端部21dと対向し、下端部側は閉鎖空間41内に突出するように延ばされている。その導光部40cの下端部(下端面)が発光面40dに相当する。アクリル部材21aの下端部21dまで導かれた検査光は、さらに導光部40cを介して発光面40dに導かれ、その発光面40dからコーン31aの円錐状の部分を介して口部101に照射される。したがって、図6の形態では、コーン31a及びこれと組み合わされる隔壁部材40、並びに回転軸31b及び吸着部31cの組み合わせによって筒状部が構成される。また、アクリル部材21aが第1導光部に、隔壁部材40の導光部40cが第2導光部にそれぞれ相当し、それらの第1及び第2の導光部の組み合わせが全体としての導光部に相当する。したがって、隔壁部材40は、図3に示した照明装置21の構成要素としても機能する。
コーン31aと吸着部31cとの間には、コーン31aの周囲から空気を吸い込むための空隙Gが設けられる。コーン31aの円筒部分、すなわち吸着部31cに嵌め合わされる部分には、その空隙Gから上方に向かって延びる複数の第1吸気孔42aが周方向に適宜に間隔を空けて形成されている。また、第1空気孔42aの上方には、軸線AX2を取り囲むリング状の中継室42bが形成されている。さらに、隔壁部材40の嵌合部40aには、中継室42bと空気通路23とを結ぶ第2空気孔42cが形成されている。その第2空気孔42cの空気通路23側における開口位置は、隔壁部材40の隔壁部40bよりも空気の吸引方向(図6において上方)に後退した位置に設定される。第1空気孔42a、中継室42b及び第2空気孔42cの組み合わせが筒状部の孔部42に相当する。
以上の構成によれば、発光面40dが存在する閉鎖空間41が隔壁部40bによって空気通路23から気密に仕切られているため、空気通路23に流入した空気が発光面40d側に回り込んで発光面40dが汚れるおそれがない。それにより、発光面40dの汚れに起因して検査光の照度が低下するおそれを確実に排除することができる。なお、以上の構成では、アクリル部材21aの下端部21dを隔壁部材40の隔壁部40bよりも吸引方向に後退させ、その下端部21dから発光面40dまでは隔壁部材40側の導光部40cにて検査光を導くようにしたが、隔壁部材40の隔壁部40bにアクリル部材21aが通過可能な程度の内径の貫通孔を形成し、閉鎖空間41内にアクリル部材21aの下端部21dを進出させてもよい。その場合でも、閉鎖空間41への空気の侵入は大きく抑えられ、検査光の照度低下を十分に抑えることができる。
図7は、口部検査装置のさらに他の形態を示している。ただし、図7の形態は図6の形態の一部を変更したものであり、図8の口部検査装置10Aと共通する部分には同一の参照符号を付し、以下では相違点を中心に説明する。図8に示す口部検査装置10Bにおいては、アクリル部材21aの外周に保護層50が設けられている。保護層50はアクリル部材21aの全長に亘って設けられ、それによりアクリル部材21aの外周の全ては保護層50にて覆われている。保護層50はその屈折率がアクリル部材21aの屈折率よりも小さい材料にて形成されている。すなわち、アクリル部材21aの屈折率をm、保護層50の屈折率をnとしたとき、m>nの関係が成立する。
保護層50は適宜の手法により設けることができるが、例えばフッ素系の熱収縮チューブをアクリル部材21aの外周に装着し、そのチューブを熱収縮させてアクリル部材21aの外周に密着させることにより保護層50を形成することができる。その他にも、保護層50の材料を塗布し、蒸着するといった適宜の形成方法により保護層50が形成されてよい。
以上の構成によれば、保護層50の屈折率nがアクリル部材21aの屈折率mよりも小さいので、アクリル部材21aに導入された検査光は、アクリル部材21aの外周の境界面にて全反射を繰り返しながらアクリル部材21aの下端部21dまで伝わる。保護層50がその周囲の空気通路23を通過する空気中の塵埃で汚れても、これがアクリル部材21a内における全反射には影響を与えることはない。したがって、検査光の照度低下をより確実かつ効果的に防止することが可能である。ちなみに、プリフォーム100がPET(ポリエチレンテレフタレート)製でかつ検査装置1がプリフォーム100の生産ラインに設置される場合には、検査装置1の周囲にPETの樹脂粉が漂う可能性があり、その樹脂粉が空気通路23に吸い込まれてアクリル部材21aの外周に付着すると、PET樹脂の屈折率がアクリル部材21aのそれよりも大きいため、その付着部分から検査光が外に漏れ、口部101における照度が低下するおそれがある。保護層50を設けた場合にはそのような照度低下を防ぐ効果が得られる。
なお、図7の形態では、アクリル部材21aの全体を保護層50で覆ったが、アクリル部材21aの空気通路23に露出する部分の外周の少なくとも一部、例えば、特に汚れが進行し易い部分のみに保護層50が設けられてもよい。また、図7の例では、隔壁部材40における導光部40cのうち空気通路23に露出する部分の外周の少なくとも一部に保護層50が設けられてもよい。さらに、図3及び図4に示した形態でもアクリル部材21aの外周の少なくとも一部に保護層50が設けられてもよい。